JP5974244B2 - 有機膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット方式等の印刷方法による、有機材料からなる発光層等の有機膜の製造方法に関する。
近年、開発が進んでいる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記載する。)は、電流駆動型の発光素子であり、有機蛍光性物質の電界発光現象を利用した発光素子である。そして、有機EL素子を用いた表示装置として、基板上に有機EL素子を配設した有機EL表示パネルが広く活用されている。有機EL表示パネルにおける有機EL素子は、例えば、TFT(薄膜トランジスタ)基板と、Alのような金属からなる陽極と、有機発光材料からなる有機膜である発光層と、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明材料からなる陰極とが、順に積層されて構成されている。また、有機EL素子は、必要に応じて、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層、封止層等を備える。
ところで、有機EL素子表示パネルにおける発光層の製造方法として、有機発光材料を溶媒に溶解した有機材料インクを、インクジェットを用いて塗布する印刷方式で形成する方法がある。印刷方式で発光層を形成するには、まず、基板上に、撥液成分を含んだ材料からなる隔壁(「バンク」とも称される)を形成する。その後、隔壁で囲まれた凹部であるサブ画素領域内に、有機発光材料および溶媒を含むインクである有機材料インクを塗布および乾燥することで発光層を形成する。例えば、特許文献1では、インクジェットを用いて、発光層を形成するための技術が開示されている。
特開2007−311235号公報
ところで、発光層のような有機膜の形成の際、サブ画素領域内での電流分布の均一化等の目的で、有機膜の上面の形状を所望の膜形状に制御したいという要請があった。ここで、有機膜の上面の膜形状には、例えば、凹形状、平坦状、凸形状等がある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、有機膜の上面の形状を所望の形状に制御できる、有機膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る有機膜の製造方法は、基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含む第1インクを塗布する第1工程と、前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記第1インクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記有機材料および溶媒を含む第2インクを塗布する第3工程と、前記第3工程の後に、前記インク膜および第2インクを乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程とを備え、前記第3工程における前記第2インクの塗布量に対する、前記第1工程における前記第1インクの塗布量を示すインク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用いることを特徴とする。
本発明の有機膜の製造方法では、第1インクを塗布し、さらに第1インクを仮乾燥させている。その後、第2インクを塗布し、さらに第2インクを乾燥させている。ここで、第1インクの塗布量の第2インクの塗布量に対する比率は、乾燥後の有機膜の上面の設計形状に応じて定められている。
したがって、本発明の有機膜の製造方法では、有機膜の上面の形状を所望の形状に制御することができる。
本発明の実施の形態に係る有機EL表示パネルの断面図 図1に示した有機EL表示パネルの製造工程を示す断面図 図1に示した有機EL表示パネル製造時の上面図 図1に示した有機EL表示パネルの製造工程を示す断面図 図1に示した有機EL表示パネルを備えた有機EL表示装置の概略構成を示す模式ブロック図 図1に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の膜形状を示す図 図1に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の製造工程を説明する図 図1に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の製造工程を説明する図 図1に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の製造工程を説明する図 実施の形態2に係る有機EL表示パネルにおける有機膜の膜形状を示す図 図10に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の膜形状を示す図 図10に示した有機EL表示パネルにおける有機膜の膜形状を示す図
[本発明の一態様を得るに至った経緯]
以下、本発明の態様を具体的に説明するに先立ち、本発明の態様を得るに至った経緯について説明する。
まず、発明者らは、インクジェットを用いた印刷方式で、異なる色に発光する有機膜を備えたデバイスである有機EL表示パネルを製造することにした。ここで、印刷方式で用いる有機材料インクは、色ごとに有機材料インクの乾燥に必要な時間が異なる。そのため、所望の膜形状の有機膜を得るために、有機材料インクを塗布および乾燥して有機膜を形成する工程を、色ごとに行うこととした。例えば、R、G、Bの有機材料インクを用いた場合には、R、G、Bの順序で、各1色の有機材料インクを塗布し、溶媒を乾燥することで、1色ずつ有機膜を形成することとした。しかしながら、この製造方法では、有機材料インクの塗布工程を3回繰り返さねばならず、製造方法が煩雑となるという問題があった。
発明者らは、この問題に着目して、有機材料インクの塗布工程を2回繰り返すだけで、所望の膜形状の有機膜を備えた有機EL表示パネルを形成できる、有機膜の製造方法を編み出した。まず、一回目の塗布工程で、すべての発光色に対応するサブ画素領域に対し、有機材料インクを塗布および仮乾燥してインク膜を形成する。そして、画素領域内のサブ画素領域の場所、有機材料インクの粘度、および有機膜の設計膜厚に基づいて、二回目の塗布工程でのインクの塗布量比率を定める。ここでいう「インク塗布量比率」とは、二回目の塗布工程における有機材料インクの塗布量に対する、一回目の塗布工程における有機材料インクの塗布量を示すものである。そして、二回目の塗布工程で、すべての発光色に対応するサブ画素領域に対し、それぞれ定められた塗布量のインクを塗布および乾燥して有機膜を形成する。これらの工程により有機膜を製造すると、有機膜の上面の形状を所望の形状に制御できるという結果が得られた。本発明の態様はこのような経緯により得られたものである。
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係る有機膜の製造方法は、基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含む第1インクを塗布する第1工程と、前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記第1インクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記有機材料および溶媒を含む第2インクを塗布する第3工程と、前記第3工程の後に、前記インク膜および第2インクを乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程とを備え、前記第3工程における前記第2インクの塗布量に対する、前記第1工程における前記第1インクの塗布量を示すインク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用いることを特徴とする。
この有機膜の製造方法では、第1インクを塗布し、さらに第1インクを仮乾燥させている。その後、第2インクを塗布し、さらに第2インクを乾燥させている。ここで、第1インクの塗布量の第2インクの塗布量に対する比率は、乾燥後の有機膜の上面の設計形状に応じて定められている。したがって、本発明の有機膜の製造方法では、有機膜の上面の形状を所望の形状に制御することができる。
また、前記インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が平坦となるよう定めてもよい。
また、前記インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が凸形状となるよう定めてもよい。
また、前記第4工程において上面の形状が凸形状の前記有機膜を形成するインク塗布量比率は、前記第4工程において上面の形状が凹形状の前記有機膜を形成する場合のインク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記凹部は複数個存在し、前記第1工程における前記第1インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われ、前記第3工程における前記第2インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行ってもよい。
また、前記凹部は複数個存在し、前記凹部は、赤色発光材料および溶媒を含むRインク、緑色発光材料および溶媒を含むGインク、青色発光材料および溶媒を含むBインクで塗り分けられ前記第3工程は、前記R、G、Bインクのうち、少なくとも1つに対して行ってもよい。
また、前記R、G、Bインクのうち粘度が最も低いインクの前記インク塗布量比率は、他のインクの前記インク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記インク塗布量比率は、前記R、G、Bインクのうち少なくとも1つが異なるよう定めてもよい。
また、前記インク塗布量比率は、前記基板上における前記第1および第2インクの塗布位置に応じて定めてもよい。
また、前記基板上の周囲部における前記インク塗布量比率は、前記基板上の中央部における前記インク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記インク塗布量比率は、前記有機膜の設計膜厚に応じて定めてもよい。
本発明の一態様に係る有機膜の製造方法は、基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含むインクを塗布する第1工程と、前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記塗布されたインクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記溶媒をさらに塗布する第3工程と、前記第3工程の後に、前記インク膜および第3工程で塗布した溶媒を乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程とを備え、前記第3工程における溶媒の塗布量に対する、前記第1工程における前記インクの塗布量を示す溶媒インク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用いてもよい。
また、前記溶媒インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が平坦となるよう定めてもよい。
また、前記溶媒インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が凸形状となるよう定めてもよい。
また、前記第4工程において上面の形状が凸形状の前記有機膜を形成する溶媒インク塗布量比率は、前記第4工程において上面の形状が凹形状の前記有機膜を形成する場合の溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記凹部は複数個存在し、前記第1工程における前記インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われ、前記第3工程における前記溶媒の塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行ってもよい。
また、前記凹部は複数個存在し、前記凹部は、赤色発光材料および溶媒を含むRインク、緑色発光材料および溶媒を含むGインク、青色発光材料および溶媒を含むBインクで塗り分けられ、前記第3工程は、前記R、G、Bインクが塗布された凹部のうち、少なくとも1つに対して行ってもよい。
また、前記R、G、Bインクのうち粘度が最も低いインクの前記溶媒インク塗布量比率は、他のインクの前記溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記溶媒インク塗布量比率は、前記R、G、Bインクのうち少なくとも1つが異なるよう定めてもよい。
また、前記溶媒インク塗布量比率は、前記基板上における前記インクおよび溶媒の塗布位置に応じて定めてもよい。
また、前記基板上の周囲部における前記溶媒インク塗布量比率は、前記基板上の中央部における前記溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定めてもよい。
また、前記溶媒インク塗布量比率は、前記有機膜の設計膜厚に応じて定めてもよい。
[実施の形態1]
1.有機EL表示パネル1の製造方法
本発明の実施の形態1に係る、有機膜として発光層を備えた有機EL表示パネルの製造方法について図1〜図5を用いて説明する。まず、図1を用いて本発明の製造方法により形成される有機EL表示パネル1の概略を説明する。次に、図2、3を用いて全体の工程を説明し、図4を用いて発光層の形成工程を詳細に説明し、最後に、完成した有機EL素子を組み込んだ電子装置の一例を説明する。なお、図1および図2には、有機EL表示パネル1の2画素(6サブ画素)分が示されている。
1−1.構成
図1は、本発明の製造方法により形成される、有機EL表示パネル1の断面図である。
有機EL表示パネル1は、ガラス基板、TFT(薄膜トランジスタ)層、平坦化膜層等を含むTFT基板11と、TFT基板11上に形成された隔壁層12とを備える。なお、薄膜トランジスタおよび平坦化膜の構成は周知のものを使用しているため、ここでは図示しない。隔壁層12の膜厚は1um程度であり、その断面形状は順テーパー状である。
隣り合う隔壁層12の間にあるサブ画素領域には、Alのような金属からなる陽極13と、ホール注入層14と、有機材料からなる発光層15R、15G、15B(以下、区別の必要が無いときには、「発光層15」と総称する)とが積層されている。さらに、隔壁層12および発光層15を覆うような電子注入層16と、ITO(Indium Tin Oxide)のような透明材料からなる陰極17と、SiN、SiONのような光透過性材料からなる封止層18とが順に積層されている。有機EL表示パネル1では、R、G、Bの3つのサブ画素の組み合わせを1画素としている。また、サブ画素領域の発光色がR、G、Bとそれぞれ異なるのは、発光層15の材料の違いによる。
1−2.有機EL表示パネル1の製造工程
図2は、有機EL表示パネル1の製造工程を示す断面図であり、図3は、図2(b)に示した有機EL表示パネル1の製造工程を示す上面図である。
図2(a)に示すように、まず、TFT基板11と、隔壁層12と、陽極13と、ホール注入層14とを備えた基板10を準備する。
図2(b)に示すように、基板10上のすべてのサブ画素領域における、隔壁層12に囲まれた凹部に、インクジェットを用いた印刷方式で発光層15の材料である有機材料インクを塗布および乾燥させることにより、発光層15を形成する。なお、図2(b)の状態を上から見た図が、図3である。図3におけるA−A´断面が図2(b)にあたる。図3に示すように、隔壁層12は発光層15を囲んでいる。また、発光層15の見えている領域が、それぞれのサブ画素領域に相当する。一般的な20インチの有機EL表示パネルで、1280×768画素が均等な距離で配置されている場合、サブ画素領域のサイズは(64um×234um)程度となる。
図2(c)に示すように、隔壁層12および発光層15を覆うような電子注入層16と陰極17とを形成する。
図2(d)に示すように、陰極17上に封止層18を形成すると、有機EL表示パネル1が完成する。
なお、電子注入層16、陰極17、および封止層18については公知の有機発光デバイス技術おける一般的な部材と形成技術を用いる。
1−3.発光層の製造工程
図4は、図2(a)、(b)に示した製造工程の発光層形成工程の詳細を示す断面図である。
まず、図4(a)に示すように、TFT基板11と、隔壁層12と、陽極13と、ホール注入層14とを備えた基板10を準備する。
次に、図4(b)に示すように、基板10上のすべてのサブ画素領域における凹部に、インクジェットを用いた印刷方式で、有機材料および溶媒を含む第1有機材料インク15RI1、15GI1、15BI1(以下、区別の必要がないときには「15I1」と総称する)を塗布する。具体的には、第1有機材料インク15I1の液滴(ドロップ)を所定量滴下する。その後、減圧乾燥により第1有機材料インク15I1を仮乾燥させる。具体的には、0.5Paで減圧乾燥を20分実施するとよく、減圧乾燥以外にも、ベークなどによっても第1有機材料インク15I1の仮乾燥を実施できる。なお、ここでいう「第1有機材料インク15I1の仮乾燥」とは、有機材料インク15I1に含まれる溶媒をすべて蒸発させることのみに限らず、インク膜15RR、15GG、15BBの上面の形状が定まっており内部に溶媒が残っていることも含む。
第1有機材料インク15I1を仮乾燥させることで、図4(c)に示すように、インク膜15RR、15GG、15BBを形成する。
図4(d)に示すように、上記基板上のすべてのサブ画素領域におけるインク膜15RR、15GG、15BB上に、インクジェットを用いた印刷方式で、インク膜15RR、15GG、15BB上に第2有機材料インク15RI2、15GI2、15BI2(以下、区別の必要が無いときには「15I2」と総称する)を塗布する。なお、ここでは、第1有機材料インク15I1の濃度と第2有機材料インク15I2の濃度とは同じものとする。その後、減圧乾燥により第2有機材料インク15I2を乾燥する。具体的には、0.5Paで減圧乾燥を20分実施するとよく、減圧乾燥以外にも、ベークなどによっても第2有機材料インク15I2乾燥を実施できる。なお、ここでいう「第1有機材料インク15I2の乾燥」とは、有機材料インク15I2の溶媒をすべて蒸発させることをいう。
第2有機材料インク15I2を乾燥させることで、図4(e)に示すように、上面が平坦な発光層15を形成する。なお、サブ画素領域の中央領域と周辺領域との発光層15の厚みの差が、中央領域の発光層15の厚みの20%未満であれば、平坦状とする。
その後、有機EL表示パネル1全面に、N2雰囲気下130℃でベーク乾燥を10分間実施すると、発光層15の形成が完了する。
なお、有機EL表示パネル1の電気的接続については、公知の通りである。例えば、図5に示すように、有機EL表示パネル1は、駆動回路31に接続され、駆動回路31は制御回路32により制御される。
2.インク塗布量比率と発光層の膜形状との分析
本実施の形態では、パネル全面において、すべての発光層15の上面が平坦になるよう、インク塗布量比率を予め定めておく。発光層15の膜形状は、二回目の塗布工程における第2有機材料インク15RI2の塗布量に対する、一回目の塗布工程における第1有機材料インク15RI2の塗布量を示すインク塗布量比率を、形成しようとする発光層15の上面の形状に応じて予め定めればよい。具体的なインク塗布量比率の決定方法について、上面が平坦な発光層を形成する場合を説明する。
図6は、一回目および二回目の塗布工程において、Rサブ画素領域に、合計40ドロップ(以下40dとする)のR有機材料インクを塗布した結果、形成されるR発光層の膜形状を段差計で測定した図である。図6(a)が一回目の塗布工程および仮乾燥後の発光層の膜形状、図6(b)が二回目の塗布工程および乾燥後の発光層の膜形状にそれぞれ対応する。
図6(a)に示すように、一回目の塗布工程および仮乾燥後の発光層の膜形状は、インク塗布量にかかわらず凹形状となっている。一方、図6(b)に示すように、二回目の塗布工程および乾燥後の発光層の膜形状は、インク塗布量比率により凹形状から凸形状までとそれぞれ異なっている。より詳しく述べると、二回目のインク塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、0d+40dから15d+25dまでは凹形状、20d+20dでは平坦状、25d+15dから35d+5dまでは凸形状となっている。従って、インク塗布量比率は20d+20dが望ましい。
3.発光層形成メカニズム
ここで、図6で示した一回目および二回目の塗布工程において、発光層が形成される場合の想定メカニズムを、図7から図9を用いて説明する。図7は10d+30d、図8は、20d+20d、図9は、30d+10dに対応する図である。
3−1.上面が凹形状の発光層形成
図7(a)に示すように、一回目の塗布工程として、Rサブ画素領域に、溶媒内に溶質が分布する第1R有機材料インク15RI1を10d塗布する。その後、減圧乾燥により第1R有機材料インク15I1を仮乾燥させる。この際、サブ画素領域における中央領域と周辺領域とでは、第1R有機材料インク15I1の乾燥速度が異なる。この第1R有機材料インク15I1の乾燥速度の差により、対流が生じて溶質が溶媒の中を動く。第1R有機材料インク15I1の多くが乾燥すると、対流は停止し溶質の動きも停止する。この対流停止時点の溶質の分布が、図7(b)で形成されるRインク膜15RRの膜形状に反映される。
図7(b)に示すように、第1R有機材料インク15I1が完全に乾燥すると、Rインク膜15RRが形成される。第1R有機材料インク15I1を乾燥させる際、対流により溶質がサブ画素領域における周辺領域に動いたため、Rインク膜15RRの上面は凹形状となる。
図7(c)に示すように、二回目の塗布工程として、Rサブ画素領域におけるRインク膜15RR上に、第2R有機材料インク15RI2を30d塗布し、減圧乾燥により第2R有機材料インク15RI2を乾燥させる。ここでも、図7(a)で説明したように対流が生じる。
二回目の塗布工程後の溶媒の乾燥の際には、図7(d)、(e)に示すように、対流により溶質がサブ画素領域における周辺領域に動きやすい。これは、30dと多くの第2R有機材料インク15RI2が塗布されたため、第2R有機材料インク15RI2の乾燥時間が長くなるためである。
その結果、図7(f)に示すように、第2R有機材料インク15RI2が完全に乾燥すると、上面が凹形状のR発光層15Rが形成される。
3−2.上面が平坦な発光層形成
図8(a)に示すように、一回目の塗布工程として、Rサブ画素領域に、溶媒内に溶質が分布する第1R有機材料インク15RI1を20d塗布する。その後、減圧乾燥により第1R有機材料インク15RI1を仮乾燥させると、乾燥中の第1R有機材料インク15I1に対流が生じる。
図8(b)に示すように、第1R有機材料インク15RI1が完全に乾燥すると、Rインク膜15RRが形成される。第1R有機材料インク15RI1を仮乾燥させる際、対流により溶質がサブ画素領域における周辺領域に動いたため、Rインク膜15RRの上面は凹形状となる。
図8(c)に示すように、二回目の塗布工程として、Rサブ画素領域におけるRインク膜15RR上に、第2R有機材料インク15RI2を20d塗布し、減圧乾燥により第2R有機材料インク15RI2を乾燥させる。ここでも、乾燥中の第2R有機材料インク15RI2に対流が生じる。
二回目の塗布工程後の溶媒の乾燥の際には、図8(d)、(e)に示すように、対流により、半量程度の溶質が、サブ画素領域における周辺領域に動き、残りの溶質が、サブ画素領域における中央領域に留まる。これは、20dの多くの第2R有機材料インク15RI2が塗布されたため、第2R有機材料インク15RI2の乾燥時間が適度な長さとなるためである。
その結果、図8(f)に示すように、第2R有機材料インク15RI2が完全に乾燥すると、上面が平坦なR発光層15Rが形成される。このように、インク塗布量比率を定めることで、一回目の塗布工程において形成されるインク膜15RR、15GG、15BBの上面の形状が凹形状であるときに、二回目の塗布工程において形成する有機膜15の上面を平坦にできる。
3−3.上面が凸形状の発光層形成
図9(a)に示すように、一回目の塗布工程として、Rサブ画素領域に、溶媒内に溶質が分布する第1R有機材料インク15RI1を30d塗布する。その後、減圧乾燥により第1R有機材料インク15RI1を仮乾燥させると、乾燥中の第1R有機材料インク15RI1に対流が生じる。
図9(b)に示すように、第1R有機材料インク15RI1が完全に乾燥すると、Rインク膜15RRが形成される。溶媒を乾燥させる際、対流により溶質がサブ画素領域における周辺領域に動いたため、Rインク膜15RRの上面は凹形状となる。
図9(c)に示すように、二回目の塗布工程として、Rサブ画素領域におけるRインク膜15RR上に、第2R有機材料インク15RI2を10d塗布し、減圧乾燥により第2R有機材料インク15RI2を乾燥させる。ここでも、乾燥中の第2R有機材料インク15RI2に対流が生じる。
二回目の塗布工程後の第2R有機材料インク15RI2の乾燥の際には、図9(d)、(e)に示すように、対流により、溶質がサブ画素領域における周辺領域に動きにくい。これは、10dの少ない第2R有機材料インク15RI2が塗布されたため、第2R有機材料インク15RI2の乾燥時間が短くなるためである。
その結果、図9(f)に示すように、第2R有機材料インク15RI2が完全に乾燥すると、上面が凸形状のR発光層15Rが形成される。このように、インク塗布量比率を定めることで、一回目の塗布工程において形成されるインク膜15RR、15GG、15BBの上面の形状が凹形状のとき、二回目の塗布工程において形成される有機膜15の上面の形状を凸形状にできる。より詳しく述べると、上面の形状が凸形状の有機膜15を形成するインク塗布量比率は、上面の形状が凹形状の有機膜15を形成する場合のインク塗布量比率よりも大きくなるように定めればよい。
4.インクの粘度によるインク塗布量比率の調整
上述した二回目のインク塗布後のインクの乾燥時間の長さ以外に加え、塗布されるインクの粘度によっても、インク塗布量比率を調節する必要がある。これらについて以下で詳しく説明する。
同じ製造工程および同じインク塗布量比率を用いて発光層を形成した場合でも、有機材料インクの粘度が異なると、形成される発光層の膜形状は異なる。これは、異なる粘度の有機材料インクを用いた場合、低粘度の有機材料インクが、高粘度の有機材料インクと比べ溶媒の流動性が大きく対流も大きくなるためと考えられる。
例えば、異なる粘度のR有機材料インクおよびG有機材料インクを用いた場合を考える。なお、R有機材料インクの粘度は10.4cp、G有機材料インクの粘度は7.1cp程度である。この場合、二回目の塗布工程後に、低粘度インクであるG有機材料インクでは他のインクであるR有機材料インクよりも対流が大きくなる。対流が大きいほど、溶質がサブ画素領域の端に動きやすいため、低粘度インクであるG有機材料インクでは他のインクであるR有機材料インクよりも、発光層がより凹形状になりやすい傾向がある。そのため、二回目の塗布工程において、低粘度インクであるG有機材料インクの塗布量が、R有機材料インクの塗布量よりも少なくても、発光層が平坦状あるいは凹形状になりやすい。すなわち、異なる粘度の有機材料インクを用いて同じ膜形状の発光層を形成したい場合、粘度が低いインクのインク塗布量比率を、他のインクのインク塗布量比率よりも大きく定めればよいことがわかる。なお、必要のないときには、粘度が異なる有機材料インクに対して、同一のインク塗布量比率を用いてもよい。
5.効果
図7(a)、(b)で述べたように、一回のインク塗布および減圧乾燥では、上面が凹形状の発光層15が形成されやすい。そして、一回のインク塗布および自然乾燥で発光層15を形成したとしても、対流により溶質がサブ画素領域の周辺領域に動くため、上面が凹形状の発光層15が形成されやすい。しかしながら、本発明の製造方法では、一回のインク塗布および減圧乾燥あるいは自然乾燥で形成することが難しい上面が凸形状の発光層15、および上面が平坦な発光層15を、インク塗布量比率を調節することで容易に形成できる。従って、有機膜の上面の形状を所望の形状に制御できる、といえる。
さらに、本発明の製造方法では、二回有機材料インクを塗布および乾燥するのみで発光層を形成しているので、1つのインクジェット装置で発光層を形成でき、製造装置を簡便化できる。
また、二回目の塗布工程後のインク溶媒の乾燥時間の長さ、画素領域全体に対するインクが塗布されるサブ領域の存在する場所、塗布されるインクの粘度、および発光層の設計膜厚によって、インク塗布量比率を調整している。これにより、すべての発光色の有機材料インクを塗布して一括乾燥しても、所望の膜形状の発光層を得ることができる。加えて、自然乾燥時間を長くとることなく、減圧乾燥を用いて有機材料インクを乾燥できるので、自然乾燥の工程を省略できる。これにより、スループットおよび製造効率を向上できる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、第1インクを塗布および仮乾燥してインク膜を形成し、その後、インク膜の上に第2インクを塗布および乾燥して平坦な発光層を得た。しかしながら、これに限らず、第1インクを塗布および仮乾燥してインク膜を形成し、その後、インク膜上に溶媒を塗布および乾燥しても、平坦な発光層を得ることができる。以下、後者を実施の形態2として詳細に説明する。
1.インク塗布量比率と発光層の膜形状との分析
図10は、一回目の塗布工程としてR有機材料インクを40d塗布した後、二回目の塗布工程として溶媒を塗布した場合の、形成されるR発光層の膜形状を段差計で測定した図であり、図10(a)が一回目の塗布工程としてインク塗布および乾燥後の発光層の膜形状、図10(b)が二回目の塗布工程としての溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状にそれぞれ対応する。ここで、溶媒インク塗布量比率には、一回目の塗布工程としてインクを塗布および乾燥した後に、二回目の塗布工程として溶媒を塗布する際のインクの対溶媒比率をいう。
図10(a)に示すように、インクの40dの塗布および仮乾燥後の膜形状は、ほぼ一定の凹形状となっている。一方、図10(b)に示すように、溶媒塗布および乾燥後の膜形状は、溶媒の塗布量すなわち溶媒インク塗布量比率により、凹形状から凸形状までとそれぞれ異なっている。より詳しく述べると、二回目の溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、40d+40dから40d+20dまでは凹形状、40d+15dでは平坦状、40d+10dおよび40d+5dまでは凸形状となっている。この実験により、第1インクを塗布および乾燥してインク膜を形成し、その後、インク膜上に溶媒を塗布および乾燥しても、所望の膜形状の発光層を得ることができることがわかった。例えば、膜厚100nmの上面が平坦なR発光層を得るためには、40dのインクを塗布および仮乾燥した後、15dの溶媒を塗布および乾燥すればよいこともわかった。
2.サブ画素領域の場所による溶媒インク塗布量比率の調整
ところで、同じ製造工程および同じ溶媒インク塗布量比率を用いて発光層を形成した場合でも、サブ画素領域がパネルの中央部と周囲部とのどちらにあるかによって、形成される発光層の膜形状は異なる。なお、パネルの中央部と周囲部とは、基板の中央部と周囲部とにそれぞれ対応する。すべてのサブ画素領域に有機材料インクを塗布すると、パネルの中央部にあるサブ画素領域では、パネルの周囲部にあるサブ画素領域と比べて、近辺のサブ画素領域で乾燥するインクが少ない。その結果、サブ画素領域がパネルの中央部と周囲部とのどちらにあるかによって、サブ画素領域近辺の溶媒蒸気圧が異なり、有機材料インクの対流が異なる。具体的には、パネルの周囲部にあるサブ画素領域に塗布されたインクの対流は、パネルの中央部にあるサブ画素領域に塗布されたインクの対流よりも大きい。これを踏まえて、以下で測定結果を説明する。なお、基板の中央部とは基板の中心から70%〜90%を指し、パネルの周囲部とは基板の外周から10%〜30%を指す。
図11は、一回目の塗布工程としてR有機材料インクを合計40d塗布し、二回目の塗布工程として異なる塗布量の溶媒を塗布した場合、形成されるR発光層の膜形状を段差計で測定した図であり、図11(a)がパネルの周囲部における二回目の塗布工程および乾燥後の発光層の膜形状、図11(b)がパネルの中央部における二回目の塗布工程および乾燥後の発光層の膜形状にそれぞれ対応する。
図11に示すように、二回目の塗布工程である溶媒塗布および乾燥後の膜形状は、溶媒の塗布量すなわち溶媒インク塗布量比率により、凹形状から凸形状までとそれぞれ異なっている。より詳しく述べると、図11(a)に示すように、パネルの周囲部において、二回目の溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、40d+40dから40d+20dまでは凹形状、40d+15dでは平坦状、40d+10dおよび40d+5dまでは凸形状となっている。これにより、膜厚100nmの上面が平坦なR発光層を得るためには、40dのインクを塗布および乾燥した後、15dの溶媒を塗布および乾燥すればよいことがわかった。一方、図11(b)に示すように、パネルの中央部において、二回目の溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、40d+40dおよび40d+35dまでは凹形状、40d+30dでは平坦状、40d+25dおよび40d+5dまでは凸形状となっている。これにより、膜厚100nmの上面が平坦なR発光層を得るためには、40dのインクを塗布および乾燥した後、30dの溶媒を塗布および乾燥すればよいことがわかった。
なお、この傾向がみられる理由は、二回目の塗布工程後に、パネルの周囲部におけるサブ画素領域ではパネルの中央部におけるサブ画素領域よりも対流が大きくなり、溶質がサブ画素領域の端に動きやすいためである。そのため、二回目の塗布工程において、パネルの周囲部における溶媒の塗布量が、パネルの中央部における溶媒の塗布量よりも少なくても、発光層が平坦状あるいは凸形状になりやすい、と考えられるためである。すなわち、パネル全面におけるサブ画素領域に対し同じ膜形状の発光層を形成したい場合、パネルの周囲部における溶媒インク塗布量比率は、パネルの中央部における溶媒インク塗布量比率よりも大きくすればよいことがわかる。なお、必要のないときには、パネルの中央部および中央部に対して、同一の溶媒インク塗布量比率を用いてもよい。
また、この傾向は、実施の形態1のように有機材料インクを二回塗布する場合であっても同様であると考えられる。すなわち、パネル全面におけるサブ画素領域に対し同じ膜形状の発光層を形成したい場合、パネルの周囲部におけるインク塗布量比率は、パネルの中央部におけるインク塗布量比率よりも大きくすればよいことがわかる。
3.設計膜厚による溶媒インク塗布量比率の調整
図12は、R有機材料インクを合計40d塗布した場合、形成されるR発光層の膜形状を段差計で測定した図であり、図12(a)が一回目の塗布工程および仮乾燥後の発光層の膜形状、図12(b)が二回目の塗布工程および乾燥後の発光層の膜形状にそれぞれ対応する。
図12に示すように、二回目の塗布工程である溶媒塗布および乾燥後の膜形状は、溶媒の塗布量すなわち溶媒インク塗布量比率により、凹形状から凸形状までとそれぞれ異なっている。より詳しく述べると、図12(a)に示すように、設計膜厚100nmの場合、二回目の溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、40d+40dから40d+20dまでは凹形状、40d+15dでは平坦状、40d+10dおよび40d+5dでは凸形状となっている。これにより、膜厚100nmの上面が平坦なR発光層を得るためには、40dのインクを塗布および乾燥した後、15dの溶媒を塗布および乾燥すればよいことがわかった。一方、図12(b)に示すように、設計膜厚50nmの場合、二回目の溶媒塗布および乾燥後の発光層の膜形状は、20d+40dから20d+10dまでは凹形状、20d+5dでは平坦状となっている。これにより、膜厚50nmの上面が平坦なR発光層を得るためには、20dのインクを塗布および乾燥した後、5dの溶媒を塗布および乾燥すればよいことがわかった。
これは、二回目の塗布工程後に、設計膜厚が小さい場合、設計膜厚が大きい場合よりも、溶媒に溶解している溶質の量が少ないためである。二回目の塗布工程後に溶媒に溶解している溶質の量が少ないと、例えば、同じ溶媒がサブ画素領域に存在する場合、溶質がサブ画素領域の端に動きやすくなる。そのため、二回目の塗布工程において、設計膜厚が小さい場合の溶媒の塗布量が、設計膜厚が大きい場合Rの溶媒の塗布量よりも少なくても、発光層が平坦状あるいは凸形状になりやすい。すなわち、溶媒インク塗布量比率は、発光層15の設計膜厚に応じて定めればよく、特に、設計膜厚が小さい場合の溶媒インク塗布量比率が、設計膜厚が大きい場合の溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるように定めればよい。なお、必要のないときには、設計膜厚が異なるサブ画素領域に対しても、同一の溶媒インク塗布量比率を用いてもよい。
また、この傾向は、実施の形態1のように有機材料インクを二回塗布する場合であっても同様であると考えられる。すなわち、パネル全面におけるサブ画素領域に対し同じ膜形状の発光層を形成したい場合、パネルの周囲部におけるインク塗布量比率は、パネルの中央部におけるインク塗布量比率よりも大きくすればよいことがわかる。
4.効果
二回目の塗布工程において、有機材料インクの代わりに溶媒を塗布しても、所望の膜形状の発光層を得ることができる。
[変形例]
以上の通り、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限られない。以下に、上記実施の形態の変形例について説明する。
1.本発明を適用するサブ画素領域の範囲
上記実施の形態では、すべてのサブ画素領域における、隔壁層に囲まれた凹部に対して、二回塗布による発光層の形成を行ったが、これに限らない。サブ画素領域の一部に対応する凹部に対して、二回塗布による発光層の形成を行った場合でも、そのサブ画素領域で本発明の効果が得られる。また、異なるインクを用いて、発光色の異なる発光層を形成する場合、すべてのインクに二回塗布による発光層の形成を行ってもよいし、少なくとも1つのインク、例えば、R、Gインクに対して行ってもよい。
2.有機材料インク
上記実施の形態では、有機材料インクとして、R、G、B有機材料インクを用いたが、これに限らず、例えば、シアン、マゼンタ、イエローなどの有機材料インクを用いてもよい。
また、上記実施の形態では、第1有機材料インクの濃度と第2有機材料インクの濃度とは同じものとしたが、これら濃度を異ならせてもよい。
3.本発明の適用例
上記実施の形態では、発光層に対して発明を適用したが、これに限らず、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、および電子注入層など、インクジェットによる印刷方式を用いて製造できる有機膜であれば適用できる。
本発明は、インクジェット装置によって製造される有機EL素子を用いた有機EL表示パネルの生産に利用可能であり、各種電子機器のディスプレイに利用可能である。
1 有機EL表示パネル
11 TFT基板
12 隔壁
13 陽極
14 ホール注入層
15I1 第1有機材料インク
15RR、15GG、15BB インク膜
15I2 第2有機材料インク
15 発光層
16 電子注入層
17 陰極
18 封止層

Claims (19)

  1. 基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含む第1インクを塗布する第1工程と、
    前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記第1インクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記有機材料および溶媒を含む第2インクを塗布する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記インク膜および第2インクを乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程と
    を備え、
    前記第3工程における前記第2インクの塗布量に対する、前記第1工程における前記第1インクの塗布量を示すインク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用いる、
    有機膜の製造方法。
  2. 前記インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が平坦となるよう定められる、
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  3. 前記インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が凸形状となるよう定められる、
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  4. 前記第4工程において上面の形状が凸形状の前記有機膜を形成するインク塗布量比率は、前記第4工程において上面の形状が凹形状の前記有機膜を形成する場合のインク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる
    請求項3記載の有機膜の製造方法。
  5. 前記凹部は複数個存在し、
    前記第1工程における前記第1インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われ、
    前記第3工程における前記第2インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われる
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  6. 前記凹部は複数個存在し、
    前記凹部は、赤色発光材料および溶媒を含むRインク、緑色発光材料および溶媒を含むGインク、青色発光材料および溶媒を含むBインクで塗り分けられ
    前記第3工程は、前記R、G、Bインクのうち、少なくとも1つに対して行われる、
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  7. 前記R、G、Bインクのうち粘度が最も低いインクの前記インク塗布量比率は、他のインクの前記インク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる
    請求項6記載の有機膜の製造方法。
  8. 前記インク塗布量比率は、前記R、G、Bインクのうち少なくとも1つが異なるよう定められる、
    請求項6記載の有機膜の製造方法。
  9. 前記インク塗布量比率は、前記基板上における前記第1および第2インクの塗布位置に応じて定められる、
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  10. 前記基板上の周囲部における前記インク塗布量比率は、前記基板上の中央部における前記インク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる、
    請求項9記載の有機膜の製造方法。
  11. 前記インク塗布量比率は、前記有機膜の設計膜厚に応じて定められる、
    請求項1記載の有機膜の製造方法。
  12. 基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含むインクを塗布する第1工程と、
    前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記塗布されたインクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記溶媒をさらに塗布する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記インク膜および第3工程で塗布した溶媒を乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程と
    を備え、
    前記第3工程における溶媒の塗布量に対する、前記第1工程における前記インクの塗布量を示す溶媒インク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用い
    前記溶媒インク塗布量比率は、前記第2工程において形成される前記インク膜の上面の形状が凹形状であるときに、前記第4工程において形成する前記有機膜の上面が凸形状となるよう定められ、
    前記第4工程において上面の形状が凸形状の前記有機膜を形成する溶媒インク塗布量比率は、前記第4工程において上面の形状が凹形状の前記有機膜を形成する場合の溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる
    ことを特徴とする有機膜の製造方法。
  13. 前記凹部は複数個存在し、
    前記第1工程における前記インクの塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われ、
    前記第3工程における前記溶媒の塗布が、前記凹部のすべてに対し一括で行われる
    請求項12記載の有機膜の製造方法。
  14. 前記凹部は複数個存在し、
    前記凹部は、赤色発光材料および溶媒を含むRインク、緑色発光材料および溶媒を含むGインク、青色発光材料および溶媒を含むBインクで塗り分けられ
    前記第3工程は、前記R、G、Bインクが塗布された凹部のうち、少なくとも1つに対して行われる、
    請求項12記載の有機膜の製造方法。
  15. 前記R、G、Bインクのうち粘度が最も低いインクの前記溶媒インク塗布量比率は、他のインクの前記溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる
    請求項14記載の有機膜の製造方法。
  16. 前記溶媒インク塗布量比率は、前記R、G、Bインクのうち少なくとも1つが異なるよう定められる、
    請求項14記載の有機膜の製造方法。
  17. 基板に設けられた少なくとも一つの凹部に、有機材料および溶媒を含むインクを塗布する第1工程と、
    前記第1工程の後に、少なくとも上面の形状が定まるよう、前記塗布されたインクを仮乾燥させることにより、前記有機材料を含むインク膜を形成する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記インク膜上に、前記溶媒をさらに塗布する第3工程と、
    前記第3工程の後に、前記インク膜および第3工程で塗布した溶媒を乾燥させることにより、有機膜を形成する第4工程と
    を備え、
    前記第3工程における溶媒の塗布量に対する、前記第1工程における前記インクの塗布量を示す溶媒インク塗布量比率は、前記第4工程において形成しようとする前記有機膜の上面の形状に応じて予め定められた比率を用い
    前記溶媒インク塗布量比率は、前記基板上における前記インクおよび溶媒の塗布位置に応じて定められる、
    ことを特徴とする有機膜の製造方法。
  18. 前記基板上の周囲部における前記溶媒インク塗布量比率は、前記基板上の中央部における前記溶媒インク塗布量比率よりも大きくなるよう定められる、
    請求項17記載の有機膜の製造方法。
  19. 前記溶媒インク塗布量比率は、前記有機膜の設計膜厚に応じて定められる、
    請求項12記載の有機膜の製造方法。
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