以下、添付図面を参照して、本願が開示する医用画像処理システム及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。ここで、以下の実施形態で用いる用語について説明すると、「視差画像群」とは、対象物を観察する視点位置を所定の視差角ずつ移動させた画像群のことである。例えば、「視差画像群」は、ボリュームデータに対して、所定の視差角ずつ視点位置を移動させてボリュームレンダリング処理を行うことで生成することができる。また、例えば、「視差画像群」は、所定の形状(例えば直方体)を立体的に視認できるように計算処理を行うことで生成することができる。すなわち、「視差画像群」は、「視点位置」が異なる複数の「視差画像」から構成される。また、「視差角」とは、「視差画像群」を生成するために設定された各視点位置のうち、隣接する視点位置とボリュームデータによって表される空間内の所定位置(例えば、空間の中心)とにより定まる角度のことである。また、「視差数」とは、立体視可能なモニタにて立体視されるために必要となる「視差画像」の数のことである。また、以下で記載する「9視差画像」とは、9つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。また、以下で記載する「2視差画像」とは、2つの「視差画像」から構成される「視差画像群」のことである。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る医用画像処理システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システムの構成例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像処理システム100は、医用画像撮影装置110と、医用画像保管装置120と、NAS(Network Attached Storage)130と、医用画像表示装置140とを有する。図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)10により、直接的又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像処理システム100にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
医用画像撮影装置110は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、又はこれらの装置群等である。
具体的には、医用画像撮影装置110は、被検体を撮影することにより医用画像の画像データを生成する。例えば、医用画像撮影装置110は、被検体を撮影することにより投影データやMR信号等のデータを収集し、収集したデータを再構成することで、医用画像の画像データを生成する。また、医用画像撮影装置110は、生成した画像データを医用画像保管装置120に送信する。なお、医用画像撮影装置110は、画像データを医用画像保管装置120に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像撮影装置110を識別する装置ID、医用画像撮影装置110による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
医用画像保管装置120は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、医用画像保管装置120は、医用画像撮影装置110から送信された画像データを自装置の記憶部又はNAS130に格納することで、医用画像を保管する。なお、第1の実施形態は、大容量の画像を保管可能な医用画像表示装置140を用いることで、図1に例示する医用画像表示装置140と医用画像保管装置120とが統合される場合であってもよい。すなわち、第1の実施形態は、医用画像表示装置140そのものに画像データを記憶させる場合であってもよい。
なお、医用画像保管装置120に保管された画像データは、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と関連付けて保管される。そして、医用画像保管装置120は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等が検索条件として設定された画像検索要求を医用画像表示装置140から受信すると、検索条件に合致する画像データを自装置の記憶部又はNAS130から検索する。続いて、医用画像保管装置120は、検索された画像データの格納場所を示すパス情報を医用画像表示装置140に送信する。なお、ここでいうパス情報とは、例えば、URL(Uniform Resource Locator)やIP(Internet Protocol)アドレス、フォルダ名、ファイル名等で表される情報である。
医用画像表示装置140は、医用画像の画像データを表示する装置である。具体的には、医用画像表示装置140は、医用画像保管装置120又はNAS130から画像データを取得し、取得した画像データを表示部に表示する。ここで、医用画像表示装置140は、表示部として、立体視可能なモニタ(以下、立体表示モニタ)を有する。なお、かかる医用画像表示装置140が有する機能については、後に詳細に説明する。
以上、第1の実施形態に係る医用画像処理システム100の構成例について簡単に説明した。なお、上述した医用画像処理システム100は、PACSが導入されている場合にその適用が限られるものではない。例えば、医用画像処理システム100は、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムが導入されている場合にも、同様に適用される。この場合、医用画像保管装置120は、電子カルテを保管するデータベースである。また、例えば、医用画像処理システム100は、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)が導入されている場合にも、同様に適用される。また、医用画像処理システム100は、上述した構成例に限られるものではない。各装置が有する機能やその分担は、運用の形態に応じて適宜変更されてよい。
ところで、一般的に、医用画像を表示する医用画像表示装置は、複数の検査又は複数のシリーズで撮影された複数の医用画像が表示可能である。このため、従来の医用画像表示装置には、比較読影に用いられる医用画像の位置的な関係性を明確にすることを目的として、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差する位置を示す交差線(スライスラインとも呼ばれる)を検査対象の医用画像上に表示させる機能を有するものがある。
図2は、従来の医用画像表示装置による交差線の表示を示す図である。図2に示すように、例えば、従来の医用画像表示装置は、検査対象の医用画像20を表示している時に、その医用画像20上に、比較対象の医用画像が交差する位置を示す交差線を表示する。このとき、複数の比較対象の医用画像が用いられる場合には、図2に示すように、複数の比較対象の医用画像ごとに複数の交差線21〜26が表示される。このように、検査対象の医用画像上に交差線を表示することで、操作者は、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差する位置を容易に識別することができる。
しかしながら、各種の医用画像撮影装置による撮影では、同じ被検体の同一断面を別の検査で撮影した場合に、撮影時の装置の設定などによって、撮影された医用画像の傾きにずれが生じる場合がある。このような場合に、操作者は、検査対象の医用画像上に表示された交差線によって検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差する位置を識別できるが、検査対象の医用画像に対する比較対象の医用画像の傾きを判別することはできない。したがって、従来の医用画像表示装置では、操作者は、比較対象の医用画像として選択した医用画像が、臨床上、同じ断面としてみなされるものであるか否かを容易に判別することができなかった。
また、従来の医用画像表示装置では、検査対象の医用画像上に比較対象の医用画像の数だけ交差線が表示される。したがって、読影をし易くするためには、検査対象の医用画像上に表示されている交差線のうち、臨床上、同一断面とみなされる医用画像の交差線については非表示にするのが望ましい。このようなことから、従来の医用画像表示装置では、操作者が検査対象の医用画像に対する比較対象の医用画像の傾きを判別できるようにすることが望まれていた。
そこで、第1の実施形態に係る医用画像表示装置140は、異なる撮影方向から同じ被検体を撮影した複数の医用画像が得られている場合に、各医用画像の位置情報に基づいて検査対象の医用画像に比較対象の医用画像を交差させたときの比較対象の医用画像の少なくとも外形線を示す交差画像を生成する。そして、医用画像表示装置140は、生成された交差画像を検査対象の医用画像に重ねて表示部143に表示させる。このように、検査対象の医用画像上に比較対象の医用画像の少なくとも外形線を示す交差画像を重ねて表示することで、操作者は、検査対象の医用画像に対する比較対象の医用画像の傾きを容易に判別することができるようになる。
以下、このような構成を有する医用画像表示装置140について詳細に説明する。図3は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置140の構成例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、医用画像表示装置140は、通信部141と、入力部142と、表示部143と、記憶部144と、制御部145とを有する。
通信部141は、他の装置との間で各種情報の通信を行う。例えば、通信部141は、NIC(Network Interface Card)等である。そして、例えば、通信部141は、医用画像保管装置120又はNAS130に格納されている画像データを検索するための画像検索要求を医用画像保管装置120に送信する。また、例えば、医用画像保管装置120又はNAS130上で画像データが格納されている場所を示すパス情報を医用画像保管装置120から受信する。
入力部142は、医用画像表示装置140に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。例えば、入力部142は、マウス、キーボード、トラックボール等である。そして、例えば、入力部142は、医用画像保管装置120やNAS130に保存されている医用画像を検索するための画像検索要求を行う操作や、表示部143に表示されたリストの中からパス情報を選択する操作、医用画像の表示指示を行う操作などを操作者から受け付ける。
表示部143は、医用画像を表示するモニタである。本実施形態では、表示部143は、視差画像群を表示することで立体視画像を表示可能な立体表示モニタである。例えば、表示部143は、レンチキュラーレンズ等の光線制御子を用いることで、例えば、9視差画像等の多視差画像を観察者が裸眼にて立体視可能とした立体表示モニタである。かかる立体表示モニタは、両眼視差による立体視を可能とし、更に、観察者の視点移動に合わせて観察される映像も変化する運動視差による立体視も可能とする。
図4は、第1の実施形態に係る表示部143の一例を示す図である。図4に示すように、9視差画像により立体表示を行う立体表示モニタでは、液晶パネル等の平面状の表示面200の前面に、光線制御子が配置される。例えば、図4に示す立体表示モニタには、光線制御子として、光学開口が垂直方向に延びる垂直レンチキュラーシート201が表示面200の前面に貼り付けられている。なお、図4に示す例では、垂直レンチキュラーシート201の凸部が前面となるように貼り付けられているが、垂直レンチキュラーシート201の凸部が表示面200に対向するように貼り付けられる場合であってもよい。
表示面200には、図4に示すように、縦横比が3:1であり、縦方向にサブ画素である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つが配置された画素202がマトリクス状に配置される。図4に示す立体表示モニタは、9つの画像により構成される9視差画像を、所定フォーマット(例えば格子状)に配置した中間画像に変換したうえで、表示面200に出力する。すなわち、図4に示す立体表示モニタは、9視差画像にて同一位置にある9つの画素それぞれを、9列の画素202に割り振って出力させる。9列の画素202は、視点位置の異なる9つの画像を同時に表示する単位画素群203となる。
表示面200において単位画素群203として同時に出力された9視差画像は、例えば、LED(Light Emitting Diode)バックライトにより平行光として放射され、更に、垂直レンチキュラーシート201により、多方向に放射される。9視差画像の各画素の光が多方向に放射されることにより、観察者の右目及び左目に入射する光は、観察者の位置(視点の位置)に連動して変化する。すなわち、観察者の見る角度により、右目に入射する視差画像と左目に入射する視差画像とは、視差角が異なる。これにより、観察者は、例えば、図4に示す9つの位置それぞれにおいて、撮影対象を立体的に視認できる。
また、観察者は、例えば、図4に示す「5」の位置において、撮影対象に対して正対した状態で立体的に視認できるとともに、図4に示す「5」以外それぞれの位置において、撮影対象の向きを変化させた状態で立体的に視認できる。なお、図4に示す立体表示モニタは、あくまでも一例である。9視差画像を表示する立体表示モニタは、図4に示すように、「RRR・・・、GGG・・・、BBB・・・」の横ストライプ液晶である場合であってもよいし、「RGBRGB・・・」の縦ストライプ液晶である場合であってもよい。また、図4に示す立体表示モニタは、図4に示すように、レンチキュラーシートが垂直となる縦レンズ方式である場合であってもよいし、レンチキュラーシートが斜めとなる斜めレンズ方式である場合であってもよい。
一方、立体表示モニタの他の例として、立体視用メガネ等の専用機器を用いることで2視差画像(両眼視差画像とも称する)を立体視可能とするものもある。このような立体表示モニタを表示部143として用いることもできる。
図5及び6は、第1の実施形態に係る表示部143の他の例を示す図である。図5及び6に示す例は、シャッター方式により立体表示を行う立体表示モニタであり、モニタを観察する観察者が装着する立体視用メガネとしてシャッターメガネが用いられる。かかる立体表示モニタは、モニタにて2視差画像を交互に出射する。例えば、図5に示すモニタは、左目用の画像と右目用の画像を、120Hzにて交互に出射する。ここで、モニタには、図5に示すように、赤外線出射部が設置され、赤外線出射部は、画像が切り替わるタイミングに合わせて赤外線の出射を制御する。
また、赤外線出射部から出射された赤外線は、図5に示すシャッターメガネの赤外線受光部により受光される。シャッターメガネの左右それぞれの枠には、シャッターが取り付けられており、シャッターメガネは、赤外線受光部が赤外線を受光したタイミングに合わせて左右のシャッターそれぞれの透過状態及び遮光状態を交互に切り替える。以下、シャッターにおける透過状態及び遮光状態の切り替え処理について説明する。
各シャッターは、図6に示すように、入射側の偏光板と出射側の偏光板とを有し、更に、入射側の偏光板と出射側の偏光板との間に液晶相を有する。また、入射側の偏光板と出射側の偏光板とは、図6に示すように、互いに直交している。ここで、図6に示すように、電圧が印加されていない「OFF」の状態では、入射側の偏光板を通った光は、液晶層の作用により90度回転し、出射側の偏光板を透過する。すなわち、電圧が印加されていないシャッターは、透過状態となる。一方、図6に示すように、電圧が印加された「ON」の状態では、液晶層の液晶分子による偏光回転作用が消失するため、入射側の偏光板を通った光は、出射側の偏光板で遮られてしまう。すなわち、電圧が印加されたシャッターは、遮光状態となる。
そこで、例えば、赤外線出射部は、モニタ上に左目用の画像が表示されている期間、赤外線を出射する。そして、赤外線受光部は、赤外線を受光している期間、左目のシャッターに電圧を印加せず、右目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、図5に示すように、右目のシャッターが遮光状態となり、左目のシャッターが透過状態となるため、観察者の左目に左目用の画像が入射する。一方、赤外線出射部は、モニタ上に右目用の画像が表示されている期間、赤外線の出射を停止する。そして、赤外線受光部は、赤外線が受光されない期間、右目のシャッターに電圧を印加せず、左目のシャッターに電圧を印加させる。これにより、左目のシャッターが遮光状態となり、右目のシャッターが透過状態であるため、観察者の右目に右目用の画像が入射する。
このように、図5及び6に示す立体表示モニタは、モニタに表示される画像とシャッターの状態を連動させて切り替えることで、観察者が立体視可能な画像を表示させる。なお、2視差画像を立体視可能な立体表示モニタとしては、上記のシャッター方式以外にも、偏光メガネ方式を採用したモニタも知られている。
図3に戻って、記憶部144は、各種情報を記憶する記憶装置である。例えば、記憶部144は、ハードディスクや半導体メモリ素子等である。そして、例えば、記憶部144は、画像データ記憶部144aと、3次元座標データ記憶部144bとを有する。
画像データ記憶部144aは、後述する画像データ取得部145bによって医用画像保管装置120又はNAS130から取得された画像データを記憶する。3次元座標データ記憶部144bは、後述する3次元座標データ生成部145dによって生成されたボリュームデータ(3次元座標データ)を記憶する。
制御部145は、医用画像表示装置140の全体制御を行う処理装置である。例えば、制御部145は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。本実施形態では、制御部145は、画像データ位置取得部145aと、画像データ取得部145bと、画像データ読込み部145cと、3次元座標データ生成部145dと、交差画像生成部145eと、表示制御部145fとを有する。
画像データ位置取得部145aは、医用画像保管装置120又はNAS130上で画像データが格納されている場所を示すパス情報を取得する。具体的には、画像データ位置取得部145aは、読影に用いられる医用画像を検索するための検索条件(患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等)が操作者によって入力されると、入力された検索条件を設定した画像検索要求を医用画像保管装置120に送信する。そして、画像データ位置取得部145aは、検索された医用画像の画像データの格納場所を示すパス情報が医用画像保管装置120から送信されると、送信されたパス情報のリストを作成して表示部143に表示させる。
画像データ取得部145bは、操作者から要求された画像データを医用画像保管装置120又はNAS130から取得する。具体的には、画像データ取得部145bは、画像データ位置取得部145aによって表示部143に表示されたリストの中から、読影に用いられる医用画像の画像データが格納されている場所を示すパス情報を選択する操作を操作者から受け付ける。この操作を受け付けると、画像データ取得部145bは、操作者によって選択されたパス情報に基づいて医用画像保管装置120又はNAS130にアクセスし、パス情報によって示された格納場所から画像データを取得する。そして、画像データ取得部145bは、取得した画像データを画像データ記憶部144aに格納する。
画像データ読込み部145cは、画像データ取得部145bによって取得された画像データから付帯情報及び画素データを読込む。具体的には、画像データ読込み部145cは、画像データ取得部145bによって画像データ記憶部144aに画像データが格納されると、格納された画像データから付帯情報及び画素データを読込む。そして、画像データ読込み部145cは、読み込んだ付帯情報及び画素データを3次元座標データ生成部145dに引き渡す。
3次元座標データ生成部145dは、画像データ読込み部145cによって読み込まれた付帯情報及び画素データに基づいて、2次元の医用画像を3次元空間に配置したボリュームデータ(3次元座標データ)を生成する。具体的には、3次元座標データ生成部145dは、画像データ読込み部145cから画像データの付帯情報及び画素データを受け付けると、受け付けた付帯情報及び画素データに基づいて、その画像データによって表される2次元の医用画像を3次元空間に配置したときのボリュームデータを生成する。ここで、ボリュームデータとは、3次元の画像データであり、3次元座標とボクセル値とで定義される。そして、3次元座標データ生成部145dは、生成したボリュームデータを、画像データ読込み部145cによって付帯情報及び画素データが読み込まれた画像データごとに3次元座標データ記憶部144bに格納する。
交差画像生成部145eは、異なる撮影方向から同じ被検体を撮影した複数の医用画像が得られている場合に、各医用画像の位置情報に基づいて検査対象の医用画像に比較対象の医用画像を交差させたときの当該比較対象の医用画像の外形線を示す交差画像を生成する。本実施形態では、交差画像生成部145eは、交差画像として、比較対象の医用画像を3次元空間に配置したときの状態を表すボリュームデータから比較対象の医用画像の外形線を立体視可能に表示するための視差画像群を生成する。
具体的には、交差画像生成部145eは、表示制御部145fから検査対象の医用画像及び比較対象の医用画像が通知された場合に、通知された各医用画像に関するボリュームデータを3次元座標データ記憶部144bから読み出す。続いて、交差画像生成部145eは、読み出した各ボリュームデータを用いて、3次元空間で検査対象の医用画像に比較対象の医用画像を交差させたときの比較対象の医用画像を表す交差画像作成用のボリュームデータを生成する。その後、交差画像生成部145eは、生成した交差画像作成用のボリュームに対してボリュームレンダリング処理を行うことで、3次元空間で検査対象の医用画像に交差させたときの比較対象の医用画像を立体視可能に表示するための視差画像群を交差画像として生成する。そして、交差画像生成部145eは、生成した交差画像を表示制御部145fに引き渡す。
なお、本実施形態では、交差画像生成部145eは、ボリュームレンダリング処理を行う際に、比較対象の医用画像の外形線を示す交差画像を生成する。しかし、例えば、交差画像生成部145eは、被検体の像が描出された医用画像全体を示す交差画像を生成してもよい。これにより、操作者は、検査対象の医用画像上に表示された交差画像の位置における被検体の断面画像を観察することができるようになる。
また、ここでは、検査対象の医用画像及び比較対象の医用画像それぞれに関するボリュームデータを用いて、3次元空間で検査対象の医用画像に比較対象の医用画像を交差させたときの比較対象の医用画像を表す交差画像作成用のボリュームデータを生成することとした。しかし、例えば、交差画像生成部145eは、検査対象の医用画像に関するボリュームデータと比較対象の医用画像に関するボリュームデータとを位置合わせしたうえで重畳させることで、3次元空間上で交差させたときの両方の医用画像を表すボリュームデータを、交差画像作成用のボリュームデータとして生成してもよい。
次に、交差画像生成部145eによって行われるボリュームレンダリング処理について具体的に説明する。図7は、第1の実施形態に係る交差画像生成部145eによって行われるボリュームレンダリング処理の一例を説明するための図である。前述したように、交差画像生成部145eは、交差画像作成用のボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を行うことで、検査対象の医用画像に交差させたときの比較対象の医用画像を立体視可能に表示するための視差画像群を生成する。なお、ここでは、交差画像生成部145eが、視差角を1度として、9つの視差画像からなる視差画像群を生成する場合について説明するが、視差角の角度や視差画像の数はこれに限られない。
例えば、交差画像生成部145eは、図7の「9視差画像生成方式(1)」に示すように、視差角が1度おきとなるように視点の位置を(1)〜(9)に平行移動して、平行投影法により視差角(視線方向間の角度)が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、平行投影法を行う場合、交差画像生成部145eは、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定する。
または、交差画像生成部145eは、図7の「9視差画像生成方式(2)」に示すように、ボリュームデータの中心(重心)を中心に視差角が「1度」おきとなるように、視点の位置を(1)〜(9)に回転移動して、透視投影法により視差角が1度ずつ異なる9つの視差画像を生成する。なお、透視投影法を行う場合、交差画像生成部145eは、視線方向を中心に光を3次元的に放射状に照射する点光源や面光源を各視点にて設定する。また、透視投影法を行う場合、レンダリング条件によっては、視点(1)〜(9)は、平行移動される場合であってもよい。
なお、交差画像生成部145eは、表示されるボリュームレンダリング画像の縦方向に対しては、視線方向を中心に光を2次元的に放射状に照射し、表示されるボリュームレンダリング画像の横方向に対しては、視線方向に沿って無限遠から平行な光線を照射する光源を設定することで、平行投影法と透視投影法とを併用したボリュームレンダリング処理を行ってもよい。このようにして生成された9つの視差画像が、視差画像群となる。
本実施形態では、上述したボリュームレンダリング処理によって、3次元空間に配置されたときの比較対象の医用画像の状態を表すボリュームデータから、比較対象の医用画像の少なくとも外形線を立体視可能に表示するための視差画像群が生成される。なお、交差画像生成部145eは、ボリュームレンダリング処理によって視差画像群を生成する際に、検査対象の医用画像に隠れる部分については比較対象の医用画像の外形線を消しておく。これにより、交差画像として生成された視差画像群が検査対象の医用画像に重ねられて表示された際に、奥行き方向の立体感が明確に示される。
図3に戻って、表示制御部145fは、交差画像生成部145eによって生成された交差画像を検査対象の医用画像に重ねて表示部143に表示させる。図8〜11は、第1の実施形態に係る表示制御部145fによる医用画像の表示制御を説明するための図である。なお、図9〜11では、説明の便宜上、交差画像として生成された視差画像群が立体視モニタに表示された時の様子を概念的に表すために、交差画像を斜視図のように示している。しかし、交差画像は、実際に立体視モニタに表示されたときには、必ずしも図示のように表示されるとは限らない。
具体的には、表示制御部145fは、操作者から検査対象の医用画像の表示指示を受け付けると、指示された検査対象の医用画像の画像データを画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した画像データを表示部143に表示させる。また、表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けると、指示された比較対象の医用画像の画像データを画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した画像データを検査対象の医用画像に並べて表示部143に表示させる。
このとき、表示制御部145fは、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差する位置を示す交差線を検査対象の医用画像上にさらに表示させる。例えば、図8に示すように、表示制御部145fは、検査対象の医用画像30上に、比較対象の医用画像が交差する位置を示す交差線を表示させる。ここで、例えば、比較対象の医用画像として2つの医用画像が表示されており、それぞれが検査対象の医用画像と重なるものであった場合には、図8に示すように、2本の交差線32及び34を検査対象の医用画像30上に表示させる。このように、検査対象の医用画像30上に交差線を表示することで、操作者が、検査対象の医用画像30上で、後述する交差画像が交差する位置を容易に識別することができるようになる。
さらに、表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けたときに、検査対象の医用画像30及び比較対象の医用画像を交差画像生成部145eに通知する。そして、表示制御部145fは、この通知に応じて交差画像生成部145eから交差画像が引き渡されると、その交差画像を検査対象の医用画像30に重ねて表示部143に表示させる。表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けるごとに、同様に交差線の表示と交差画像の表示とを行う。
例えば、表示部143が9視差画像により立体視を行う立体表示モニタであった場合には、表示制御部145fは、図4に示したように、9列の画素202に対して、検査対象の医用画像に含まれる同一の画素を全ての画素202に割り当て、さらに、9つの視差画像において同一位置にある9つの画素を9列の画素202にそれぞれ割り当てる。この結果、表示部143において、検査対象の医用画像は平面画像として表示され、視差画像群すなわち交差画像は立体視画像として表示される。
ここで、例えば、図8に示した検査対象の医用画像30と同一の断面を別の検査で撮影した医用画像があったとする。ただし、この医用画像は、撮影時の装置の設定などによって、医用画像30とは少しだけ撮影方向にずれが生じており、交差線32の位置で検査対象の医用画像30と交差していたとする。この医用画像が比較画像として指定された場合には、交差画像生成部145eによって、図9に示すように、交差線32の位置で検査対象の医用画像30と交差し、検査対象の医用画像30と傾きが少しずれた医用画像の外形を示す交差画像42が生成される。
一方、例えば、図8に示した検査対象の医用画像30と直交する断面を別の検査で撮影した医用画像があったとする。そして、この医用画像は、検査対象の医用画像30と交差線34の位置で交差していたとする。この医用画像が比較画像として指定された場合には、交差画像生成部145eによって、図10に示すように、交差線34の位置で検査対象の医用画像30と直交する医用画像の外形を示す交差画像44が生成される。
この場合には、例えば、図11に示すように、表示制御部145fは、検査対象の医用画像30と傾きが少しずれた医用画像の外形を示す交差画像42と、検査対象の医用画像30に直交する医用画像の外形を示す交差画像44とを、それぞれ検査対象の医用画像30に重ねて表示部143に表示させる。このように、検査対象の医用画像30上に比較対象の医用画像の外形を示す交差画像を表示させることで、操作者は、検査対象の医用画像30に対する比較対象の医用画像の傾きを容易に判別することができるようになる。この結果、操作者は、比較対象として選択した医用画像が、臨床上、検査対象の医用画像と同じ断面としてみなされるものであるか否かを容易に判別することができるようになる。
なお、ここでは、撮影時の装置の設定などによって撮影方向にずれが生じた場合について説明したが、この他に、例えば、撮影時に被検体(患者)がとることができる体位や、体の傾き、呼吸などによっても同様のずれが生じ得る。
また、ここでは、検査対象の医用画像と交差する医用画像の外形を示す交差画像を立体表示させる場合について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、同期している画像が交差していなくても、位置情報に基づいて、立体表示を行ってもよい。すなわち、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差していない場合でも、比較対象の医用画像の外形を示す画像を立体表示させてもよい。これにより、同一断面の判断が容易になり、また、同一断面とみなす操作がより有効になる。
次に、第1の実施形態に係る医用画像表示装置140によって行われる画像処理の処理手順について説明する。図12は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置140によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、医用画像表示装置140では、まず、画像データ位置取得部145aが、操作者からの画像検索要求を受け付けると(ステップS101,Yes)、読影に用いられる医用画像の画像データが格納されている場所を示すパス情報を取得する(ステップS102)。
続いて、画像データ取得部145bが、画像データ位置取得部145aによって表示部143に表示されたリストの中から操作者によってパス情報が選択されると(ステップS103,Yes)、選択されたパス情報に基づいて、医用画像保管装置120又はNAS130から画像データを取得する(ステップS104)。
続いて、画像データ読込み部145cが、画像データ取得部145bによって取得された画像データから付帯情報及び画素データを読込む(ステップS105)。そして、3次元座標データ生成部145dが、画像データ読込み部145cによって読み込まれた付帯情報及び画素データに基づいて、2次元の医用画像を3次元空間に配置したボリュームデータ(3次元座標データ)を生成する(ステップS106)。
その後、表示制御部145fが、操作者から検査対象の医用画像の表示指示を受け付けると(ステップS107,Yes)、指示された検査対象の医用画像の画像データを画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した画像データを表示部143に表示させる(ステップS108)。
また、表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けると(ステップS109,Yes)、指示された比較対象の医用画像の画像データを画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した画像データを検査対象の医用画像に並べて表示部143に表示させる(ステップS110)。このとき、表示制御部145fは、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像とが交差する位置を示す交差線を検査対象の医用画像上にさらに表示させる(ステップS111)。
さらに、表示制御部145fは、交差画像生成部145eを制御して、検査対象の医用画像に比較対象の医用画像を交差させたときの当該比較対象の医用画像の外形線を示す交差画像を生成させる(ステップS112)。そして、表示制御部145fは、交差画像生成部145eによって生成された交差画像を検査対象の医用画像に重ねて表示部143に表示させる(ステップS113)。表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けるごとに、同様に交差線の表示と交差画像の表示とを行う(ステップS109〜S113)。
上述したように、第1の実施形態によれば、検査対象の医用画像上に比較対象の医用画像の外形を示す交差画像を表示させることで、操作者が検査対象の医用画像に対する比較対象の医用画像の傾きを容易に判別することができる。この結果、操作者は、比較対象として選択した医用画像が、臨床上、検査対象の医用画像と同じ断面としてみなされるものであるか否かを容易に判別することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る医用画像処理システムについて説明する。なお、第2の実施形態に係る医用画像処理システム及び医用画像表示装置の構成は、基本的には、図1及び3に示したものと同じであるが、医用画像表示装置140の表示制御部145fによって行われる処理が異なる。具体的には、第2の実施形態に係る表示制御部145fは、第1の実施形態で説明した表示制御部145fが有する機能に加えて、以下に示す機能をさらに有する。
まず、第2の実施形態に係る表示制御部145fは、操作者からの指示に応じて、交差画像を表示させる表示モードと、交差画像を非表示にする表示モードとを切り替える。例えば、表示制御部145fは、入力部142を介して、交差画像を表示させる第1の表示モード及び交差画像を非表示にする第2の表示モードのいずれか一方を選択する操作を操作者から受け付ける。そして、第1の表示モードが選択された場合には、表示制御部145fは、第1の実施形態で説明したように、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けたときに、指示された比較対象の医用画像を表示部143に表示させるとともに、交差画像生成部145eを制御して、比較対象の医用画像の外形線を示す交差画像を生させる。一方、第2の表示モードが選択された場合には、表示制御部145fは、交差画像生成部145eに交差画像を生成させることなく、指示された比較対象の医用画像を表示部143に表示させる。なお、交差画像を非表示にする第2の表示モードでは、表示制御部145fは、交差線も非表示にしてもよいし、交差線は表示させてもよい。
このように、操作者からの指示に応じて、交差画像を表示させる表示モードと、交差画像を非表示にする表示モードとを切り替えることで、操作者は、比較対象として用いる医用画像の数や医用画像の種類などに応じて、交差画像を表示させるか否かを適宜に選択することができ、効率よく読影を行うことができるようになる。
また、第2の実施形態に係る表示制御部145fは、交差画像を選択する操作が操作者によって行われた場合に、選択された交差画像とその交差画像に関する交差線とをそれぞれ非表示にする。例えば、表示制御部145fは、入力部142を介して、交差画像として表示された比較対象の医用画像の外形部分を選択する操作を操作者から受け付ける。そして、この操作を受け付けると、表示制御部145fは、選択された交差画像と、その交差画像が交差する位置を示す交差線とを、検査対象の医用画像上から非表示にする。なお、このとき、表示制御部145fは、交差画像及び交差線の両方を非表示にしてもよいし、交差画像のみを非表示にしてもよい。
このように、操作者によって選択された交差画像とその交差画像に関する交差線とをそれぞれ非表示にすることで、操作者は、比較対象として選択した医用画像の中に検査対象の医用画像と同じ断面としてみなされる医用画像があった場合に、その医用画像を非表示にすることができる。これにより、検査対象の医用画像上に表示されている不要な交差線を非表示にすることができるので、操作者は、検査対象の医用画像をより容易に読影することができるようになる。
また、第2の実施形態に係る表示制御部145fは、検査対象の医用画像に関連する医用画像と比較対象の医用画像に関連する医用画像とを連動させて表示させる連動表示機能を有する。図13及び14は、第2の実施形態に係る表示制御部145fが有する連動表示機能を説明するための図である。例えば、図13に示すように、表示制御部145fは、検査対象の医用画像50と比較対象の医用画像60とがそれぞれ表示部143に表示されている時に、操作者からの表示指示に応じて、医用画像50に関連する医用画像71と、医用画像60に関連する医用画像81とを表示部143に表示させる。
ここで、例えば、検査対象の医用画像50と比較対象の医用画像60とは、同じ被検体を別の検査で撮影したサジタル面の医用画像であったとする。また、医用画像71は、医用画像50と同じ検査で撮影されたコロナル面の医用画像であり、医用画像81は、医用画像60と同じ検査で撮影されたコロナル面の医用画像であったとする。このような場合に、例えば、表示制御部145fは、検査対象の医用画像50上に、医用画像60に関する交差線51及び交差画像53と、医用画像71に関する交差線52及び交差画像54とをそれぞれ表示させる。なお、ここでは説明の便宜上、比較対象の医用画像60上にも、医用画像50に関する交差線61と、医用画像81に関する交差線62とを示している。
そして、例えば、表示制御部145fは、検査対象の医用画像50上でサジタル面の位置を変える操作を操作者から受け付ける。具体的には、図14に示すように、表示制御部145fは、入力部142を介して、医用画像50上に表示されている交差線52及び交差画像54を医用画像50の表示面に沿って移動させる操作を受け付ける(図14に示す矢印を参照)。そして、表示制御部145fは、この操作に応じて、移動後の交差線52及び交差画像54の位置におけるサジタル面の医用画像72を画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した医用画像72を医用画像71に替えて表示させる。
このように、表示制御部145fは、操作者によって検査対象の医用画像に関連する医用画像を変更する操作が行われた場合に、比較対象の医用画像に関連する医用画像も同様に変更する。すなわち、表示制御部145fは、図14に示すように、医用画像50上で交差線52及び交差画像54を移動させる操作を操作者から受け付けた場合に、比較対象の医用画像60上で、交差線52及び交差画像54に対応する位置を特定する。そして、表示制御部145fは、特定した位置におけるサジタル面の医用画像82を画像データ記憶部144aから読み出し、読み出した医用画像82を医用画像81に替えて表示させる。これにより、検査対象の医用画像50上に表示された交差線52及び交差画像54に対して行われた操作に応じて、検査対象の医用画像50に関連する医用画像と比較対象の医用画像60に関連する医用画像とが連動して表示される。
このように、検査対象の医用画像に関連する医用画像と比較対象の医用画像に関連する医用画像とを連動させて表示させることで、操作者は、複数の医用画像を用いた比較読影を容易に行うことができるようになる。
さらに、第2の実施形態に係る表示制御部145fは、検査対象の医用画像上に表示された交差画像を選択する操作が操作者によって行われた場合には、上述した連動表示機能を停止する。図15及び16は、第2の実施形態に係る表示制御部145fによる連動表示機能の停止を説明するための図である。例えば、表示制御部145fは、入力部142を介して、交差画像として表示された比較対象の医用画像の外形部分を選択する操作を受け付ける。
そして、交差画像を選択する操作を受け付けると、表示制御部145fは、操作者によって選択された交差画像と、その交差画像が交差する位置を示す交差線とを非表示にする。例えば、図15に示すように、表示制御部145fは、検査対象の医用画像50上で、比較対象の医用画像60に関する交差画像53を選択する操作を操作者から受け付けると、選択された交差画像53と、交差画像54が交差する位置を示す交差線51とを非表示にする。なお、このとき、表示制御部145fは、交差画像及び交差線の両方を非表示にしてもよいし、交差画像のみを非表示にしてもよい。
その後、表示制御部145fは、検査対象の医用画像50と比較対象の医用画像60との間では、関連する医用画像の連動表示を行わないように制御する。すなわち、表示制御部145fは、図16に示すように、医用画像50上で交差線52及び交差画像54を移動させる操作を操作者から受け付けた場合でも、比較対象の医用画像60に関するサジタル面の医用画像81は替えずに表示し続ける。
このように、操作者からの指示に応じて、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像との間における連動表示機能を停止することで、操作者は、検査対象の医用画像と比較対象の医用画像との関連性に応じて、それぞれの医用画像に関連する医用画像を連動して表示させるか否かを任意に決めることができるようになり、より効率よく読影を行うことができるようになる。
(変形例)
以上、第1の実施形態及び第2の実施形態について説明したが、医用画像表示装置140の実施形態はこれに限られない。
例えば、表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けたときに、検査対象の医用画像との交差角度が小さいものについては交差しているとみなさないようにしてもよい。例えば、表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けたときに、検査対象の医用画像と指示された比較対象の医用画像との交差角度を算出する。そして、表示制御部145fは、算出した交差角度が所定の基準角度より大きかった場合に、選択された比較対象の医用画像に関する交差線及び交差画像を表示部143に表示させる。
この場合には、さらに、表示制御部145fは、交差画像を選択する操作を操作者から受け付け、選択された交差画像に対応する比較対象の医用画像と検査対象の医用画像とを同じ断面とみなすように制御してもよい。この場合には、例えば、表示制御部145fは、操作者によって選択された交差画像に対応する比較対象の医用画像と検査対象の医用画像との交差角度を算出し、算出した交差角度を前述した基準角度として設定する。これにより、検出対象の医用画像に対する交差角度が基準角度より小さい比較対象の医用画像については、検査対象の医用画像と同じ断面であるとみなされるようになる。
また、例えば、交差画像生成部145eによって生成される交差画像は、視差画像群からなる立体視画像ではなく、2次元の平面画像であってもよい。この場合には、交差画像生成部145eは、交差画像として、例えば、図9や図10に示したような、比較対象の医用画像の外形線を斜視図のような立体的な表現で表した平面画像を生成する。そして、表示制御部145fは、交差画像生成部145eによって生成された2次元の交差画像を2次元の検査対象の医用画像に重ねて表示部に表示させる。この場合に用いられる表示部は、2次元の平面画像を表示可能な一般的なモニタであってもよいし、立体視画像を表示可能な立体表示モニタであってもよい。
また、例えば、図3に示した3次元座標データ生成部145d及び交差画像生成部145eは、医用画像表示装置140以外の他の装置に実装されてもよい。なお、ここでいう他の装置とは、例えば、医用画像撮影装置110や医用画像保管装置120などである。この場合には、例えば、医用画像表示装置140の表示制御部145fは、操作者から比較対象の医用画像の表示指示を受け付けたときに、検査対象の医用画像及び比較対象の医用画像を他の装置に通知する。そして、この通知を受け付けた他の装置では、3次元座標データ生成部145dが、自装置又は他装置に格納された医用画像の画像データを用いてボリュームデータを生成する。また、交差画像生成部145eが、生成されたボリュームデータを用いて交差画像を生成し、生成した交差画像を医用画像表示装置140に送信する。その後、交差画像を受信した医用画像表示装置140では、表示制御部145fが、受信された交差画像を検査対象の医用画像に重ねて表示部143に表示させる。
また、例えば、上記実施形態で説明した制御部145の機能は、ソフトウェアによって実現することもできる。例えば、制御部145の機能は、上記実施形態において制御部145が行うものとして説明した処理の手順を規定した医用画像処理プログラムをコンピュータに実行させることで、実現される。この医用画像処理プログラムは、例えば、ハードディスクや半導体メモリ素子等に記憶され、CPUやMPU等のプロセッサによって読み出されて実行される。また、この医用画像処理プログラムは、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)やMO(Magnetic Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録されて、配布され得る。
以上説明したとおり、上記実施形態によれば、操作者が検査対象の医用画像に対する比較対象の医用画像の傾きを判別することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。