以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体について説明する。本発明の金属材料と樹脂材料との接合体は、金属材料と樹脂材料とを接合界面を介して接合させた接合体であって、
前記樹脂材料が、チオール、アミド、イミド、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性樹脂材料を含有しており、
前記金属材料の表面上の前記接合界面の領域に金属粒子からなる凹凸形状が形成されており、
前記接合界面領域中の前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が、前記接合界面領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさを有しており、
前記金属粒子がAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子であり、
前記凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、
前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり、且つ、
前記金属材料の表面上の前記接合界面領域の少なくとも一部が、ポリアルキレングリコール及びポリグリセリンのうちのいずれか1種を主骨格とし、金属に対して結合可能な官能基を有し且つ平均分子量が1200以下である有機化合物で有機修飾されていること、
を特徴とするものである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は本発明の接合体の好適な一実施形態を示す模式図であり、図2は図1に示す接合体の金属材料と樹脂材料との接合界面の近傍の断面を拡大して示す模式図であり、図3は図1に示す接合体中の金属材料のみを概念的に示す模式図である。なお、図1に示す接合体1は、金属材料11と樹脂材料12とが接合されたものであり、図2中の符号Cは、金属材料11の表面上に形成された凹凸形状を示し、図3中の符号Aで示すドットで表されている領域は、図1中において樹脂材料12が接合されている金属材料11の表面上の領域、すなわち、金属材料11の表面上の樹脂材料12との接合界面の領域(金属材料11の樹脂材料と接合する表面部位)を示す。
金属材料11は公知の金属からなる材料であればよく、その金属種は特に制限されるものではないが、その製造時にカチオン性ポリマーを熱分解させる場合に200℃以上の熱処理温度に耐える必要性があることから、Cu、Al、Fe、Ti、Mg、Zn、Ni、Sn、Cr、Co、Ag、Au及びそれらの合金からなる群から選択される1種を含有しているものが好ましく、Cu、Al、Fe、Ti、Mg、Zn、Ni、Sn及びそれらの合金からなる群から選択される1種を含有しているものがより好ましく、Cu、Al、Feのうちのいずれか1種を含有しているものが特に好ましい。このような合金としては、例えば、黄銅、青銅、白銅、洋白、Cu−Fe−P合金、Cu−Ni−Si合金、Cu−Zr合金、Cu−Be合金、Cu−Cr合金、1000〜7000系の展伸用Al合金、ADC12、ADC10、AC4C、AC2C等の鋳造用Al合金、一般構造用圧延鋼材、高張力鋼材、機械構造用炭素鋼材、冷間圧延鋼材、熱間圧延鋼材、ステンレス、鋳鉄が挙げられる。
また、このような金属材料11中のCu、Al、Fe、Ti、Mg、Zn、Ni、Sn、Cr、Co、Ag及びAuの総量(含有量の合計)としては、50質量%以上であることが好ましく、60質量%〜100質量%であることがより好ましい。このような金属の総量が前記下限未満では、前記凹凸形状が形成されている領域の総面積を、前記接合界面領域の面積の大きさの40%以上とすることが困難となる傾向にある。なお、このような金属材料11の形状は、図1に示す実施形態においては板状であるが、金属材料11の形状は特に制限されるものではなく、樹脂材料12と接合させるための面(平面であっても平面以外の面(例えば球面)であってもよい。)を有するものであればよい。
また、金属材料11においては、その金属材料11の表面上の樹脂材料12との接合界面の領域Aに金属粒子が担持(付着)されており、そのような金属粒子により、その表面上に凹凸形状が形成されている。すなわち、金属材料11においては、金属材料11の表面上の樹脂材料12との接合界面の領域Aに、金属粒子からなる凹凸形状Cが形成されている。
このような金属材料11の表面上に凹凸形状Cを形成する金属粒子は、Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子である。このように、凹凸形状Cを形成する金属粒子は、樹脂材料12に対して親和性に優れた金属(Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os、Rh)を含有するものであるため、樹脂材料12との間に十分に高度な接合強度を付与することが可能なものである。このような金属粒子中に含有される金属の中でも、樹脂材料12に対して、より高度な親和性を示し、得られる接合体において、より高い接合強度を発揮させることが可能となることから、Ag、Au、Cu、Pt、Pdのうちの少なくとも1種を含有することが好ましく、Ag、Au、Cuのうちの少なくとも1種を含有することがより好ましく、Agを含有することがより特に好ましい。
このような金属粒子中のAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhの総量(含有量の合計)は、前記金属粒子からなる凹凸形状Cにより樹脂材料12との間により高い接合強度を付与するという観点から、40質量%以上であることが好ましく、50質量%〜100質量%であることがより好ましい。このようなAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhの総量が前記下限未満では、樹脂材料12との間に十分な相互作用が得られず、接合体に高度な接合強度を付与することが困難となる傾向にある。
また、このような金属粒子の一次粒子の平均粒子径としては、1〜600nmであることが好ましく、10〜300nmであることが好ましい。このような金属粒子の一次粒子の平均粒子径が前記下限未満では凹凸形状が十分な高さを有するものとならず、接合体を形成した際に十分な接合強度が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると凹凸形状の高さが高くなりすぎて、接合体を形成した際に、樹脂が十分に凹凸層の凹部の深部にまで入り込めず、十分な接合強度が得られなくなる傾向にある。このような金属粒子の一次粒子の平均粒子径は、任意の200個以上の一次粒子の粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により測定し、その測定値を平均化することにより求める。なお、このような走査型電子顕微鏡(SEM)による測定に際しては、測定装置として、例えば日立製作所製の商品名「S−3600N」を用い、加速電圧を15kVとし、ワーキングディスタンスを15mmとし、観察倍率を5000倍とする測定条件を採用してもよい。なお、本発明にいう「粒子径」は、粒子の断面の最大直径を意味し、粒子の断面が円形でない場合には、その粒子の断面の最大の外接円の直径とする。
また、金属材料11の表面上において凹凸形状Cを形成する前記金属粒子は、基本的に、微細な一次粒子が凝集した二次粒子として存在している。このような金属粒子の二次粒子の平均粒子径としては、1〜1000nmであることが好ましく、10〜600nmであることが好ましい。このような金属粒子の二次粒子の平均粒子径が前記下限未満では、樹脂と金属粒子との接合部(接触面積)が少なくなり、十分な接合強度が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、接合体を形成した際に、樹脂が十分に凹凸層の凹部の深部にまで入り込めず、十分な接合強度が得られなくなる傾向にある。このような金属粒子の平均二次粒子径は、任意の200個以上の二次粒子の粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により測定し、その測定値を平均化することにより求める。なお、このような走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の際の測定条件は、上述の金属粒子の一次粒子の平均粒子径を測定する方法の際に採用した条件と同様の条件を採用することができる。
金属材料11の表面上に形成されている凹凸形状Cは、平均高さが80〜600nmのものである。このような平均高さが前記下限未満では、樹脂と金属粒子との接合部(接触面積)が少なくなり、十分な接合強度が得られなくなり、他方、前記上限を超えると、接合体を形成した際に、樹脂が十分に凹凸層の凹部の深部にまで入り込めず、十分な接合強度が得られなくなる。このような凹凸形状の平均高さの範囲としては、同様の観点で、より高度な効果が得られることから、90〜550nmであることがより好ましく、100〜500nmであることが特に好ましい。なお、本発明においては、凹凸形状Cの平均高さは、以下のようにして測定する。すなわち、先ず、測定装置として走査型プローブ顕微鏡(SPM:例えば、日本ビーコ社製の商品名「NanoScopeV D3100」)を用い、カンチレバーとしてレバー幅が35μm、先端の直径が2nmのシリコン(Si)製のチップ(日本ビーコ社製の商品名「TESP−SS」)を用い、タッピングモード(tapping mode、共振周波数:320kHz)を採用して、金属材料の表面上に形成されている凹凸形状の特性を測定する。そして、その凹凸形状の測定データに基づいて、任意の5点以上の凸部に関して、各凸部の頂点の金属材料の表面からの高さと、その高さを測定した凸部に隣接する凹部のうちの金属材料の表面からの高さが最も低い値となる点の高さとの差(凹凸高さ)を求め、これにより求められた各測定点での凹凸高さ(測定値)を平均化する。本発明においては、このようにして求められた凹凸高さ(測定値)の平均値を、凹凸形状Cの平均高さとする。
また、金属材料11の表面上に形成されている凹凸形状Cは、凹凸形状Cの凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmである。このような凸部の頂点間の平均距離が前記下限未満では、接合体を形成した際に、樹脂が十分に凹凸層の凹部の深部にまで入り込めず、十分な接合強度が得られなくなり、他方、前記上限を超えると、凹凸形状によるアンカー効果を十分に発現させることが困難となり、十分な接合強度が得られなくなる。このような凸部の頂点間の平均距離の範囲に関しては、同様の観点で、より高度な効果が得られることから、200〜2500nmであることがより好ましく、300〜2000nmであることが特に好ましい。なお、本発明においては、凹凸形状Cの凸部の頂点間の平均距離は、以下のようにして測定する。すなわち、凹凸形状Cの平均高さの測定に利用した測定装置及び測定条件と同様の装置及び条件を採用して凹凸形状の特性を測定した後、そのデータに基づいて、任意の5点以上の凸部に関して、その凸部と該凸部に最も近接して存在する凸部との間の頂点間の距離(最近接頂点間距離)をそれぞれ測定し、その最近接頂点間距離の測定値を平均化することにより、凹凸形状Cの凸部の頂点間の平均距離を測定する。
また、金属材料11の表面上に形成されている凹凸形状Cとしては、接合界面領域A中の凹凸形状Cが形成されている領域(接合界面領域A中の金属粒子が付着している部位)の総面積が、接合界面領域Aの面積(図3に示す実施形態においては式:[長さX]×[長さY]を計算して求められる面積)に対して40%(面積比)以上の面積を有している。すなわち、金属材料11の表面上においては、接合界面領域Aの40%以上(面積基準)の領域に金属粒子が付着して凹凸形状が形成されている。このような面積比(%)が前記下限未満では、樹脂材料12に対して十分に高度な接着強度を付与することができなくなる。また、このような接合界面領域A中の凹凸形状Cが形成されている領域の総面積としては、樹脂材料12に対してより高度な接着強度を付与することが可能となるとともに、接合部の長期耐久性効果を得ることが可能となることから、接合界面領域Aの面積の40〜90%の面積を有していることがより好ましく、45〜80%の面積を有していることが特に好ましい。なお、このような面積比(%)が、前記上限を超えると、接合体を形成した際に、樹脂が十分に凹凸層の凹部の深部にまで入り込めず、十分な接合強度が得られなくなる傾向にある。また、このような面積比は以下のようにして測定する。すなわち、測定装置として走査型電子顕微鏡(SEM:例えば、日立製作所製の商品名「S−3600N」)を用い、測定条件として加速電圧:15kV、観察倍率:5000倍の条件を採用して、金属材料11の表面上の接合界面領域A中の任意の縦17μm、横25μmの長方形状の領域(測定領域)のSEM像を求めた後、そのSEM像のデータに基づいて、解析ソフト(オリンパス社製の画像・粒子解析ソフト、商品名「analySIS(ver5.1)」)を用いて、電子計算機により縦17μm、横25μmの長方形の測定領域内における凹凸形状の総面積(金属粒子が付着している部位の面積の合計)を求めて、前記測定領域の面積に対する前記凹凸形状の総面積の割合を計算することにより測定する。このように、本発明においては、測定領域中の凹凸形状Cが形成されている領域の総面積の比率を求めて、得られた比率を、接合界面領域A中の凹凸形状Cが形成されている領域の総面積の比率(上記面積比)とする。
また、金属材料11は、その表面上の前記接合界面の領域A(金属材料11の樹脂材料と接合する表面部位)の少なくとも一部が、ポリアルキレングリコール及びポリグリセリンのうちのいずれか1種を主骨格とし、金属に対して結合可能な官能基を有し且つ平均分子量が1200以下である有機化合物で有機修飾されている。
なお、金属材料11の表面上の前記接合界面の領域A(金属材料11の樹脂材料と接合する表面部位)の少なくとも一部が、前記有機化合物で有機修飾されることにより、十分に高度な接合強度が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、このような有機化合物は、主骨格を形成するポリマー(ポリアルキレングリコール又はポリグリセリン)中のエーテル基及び/又はヒドロキシル基によって、極性を有するものとなる。そのため、前記有機化合物は、主骨格を形成するポリマー(ポリアルキレングリコール又はポリグリセリン)により、後述する樹脂材料12との親和性が十分に高いものとなる。従って、かかる有機化合物により金属材料11の表面上の接合界面領域Aの少なくとも一部を修飾することにより、金属材料11と、後述する樹脂材料12との親和性がより高度なものとなり、これにより金属材料11と樹脂材料12との間のより強固な接合が可能となるものと本発明者らは推察する。なお、このような有機化合物として、例えば、官能性アルカンを利用した場合には、アルキル鎖が極性を持たないため、樹脂材料12との親和性を向上させることができず、そのような有機化合物により修飾することで却って樹脂材料12が有する官能基と金属材料11との親和性を低下させてしまい、十分な接合強度が得られなくなる。
また、このような有機化合物の有する前記官能基(金属に対して結合可能な官能基)としては、金属と結合する官能基として公知の官能基を適宜利用することができ、特に制限されないが、金属材料や金属粒子との間の結合がより強固なものとなることや、有機化合物の調製等が容易で入手が容易であること等から、チオール、アミン、カルボン酸、リン酸が好ましく、チオール、アミン、リン酸がより好ましく、チオール、リン酸が更に好ましい。なお、このような官能基は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。また、かかる官能基は1つの有機化合物中に複数含まれていてもよい。なお、チオールやアミン、カルボン酸、リン酸などの官能基は、前記有機化合物が金属の表面修飾をしている際においては、それらの基から水素が脱離した状態で金属と結合を形成していてもよい。
また、このような有機化合物の主骨格を形成し得る前記ポリアルキレングリコールとしては、炭素数2〜4(より好ましくは2〜3)のアルキレンオキシ基を繰り返し単位として有するものが好ましい。このような炭素数が前記上限を超えると、アルキルの長さが長くなりすぎて、極性が十分に発現しなくなる傾向にあり、他方、前記下限未満では、主骨格が凝集し易くなり、十分な親和層が形成されなくなる傾向にある。
また、このような有機化合物の主骨格を形成し得る前記ポリアルキレングリコールとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンチレングリコール、ポリへキシレングリコールなどが挙げられる。このようなポリアルキレングリコールの中でも、より高度な接合強度が得られることから、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールがより好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
また、前記有機化合物の主骨格を形成し得るポリアルキレングリコール(特に好ましくはポリエチレングリコールの場合)やポリグリセリンとしては、平均重合度が5〜30のものが好ましく、10〜25のものがより好ましい。このような重合度が前記下限未満では、有機修飾層が十分な親和性を発現しなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、凹凸形状を形成する金属粒子(例えばAg等)の表面を有機物が覆ってしまい、十分に高度な接合強度が得られなくなる傾向にある。
また、このような有機化合物は、平均分子量が1200以下である必要がある。このような平均分子量が前記上限を超えると、ポリマー鎖が長くなり、金属材料を有機化合物で修飾した場合に、金属材料の前記接合界面領域に存在する凹凸形状の表面が有機化合物に覆われてしまうことから、金属粒子と樹脂材料12が有する官能基との間の相互作用(親和性)を却って低下させてしまい、接合強度が低下してしまう。また、このような有機化合物の平均分子量としては200〜1200であることがより好ましく、500〜1100であることが更に好ましく、700〜1050であることが特に好ましい。このような平均分子量が前記下限未満では、有機化合物中の極性基の量が十分なものとならず、有機化合物を修飾しても十分な効果が得られなくなって、却って経済性等が低下する傾向にある。なお、ここにいう平均分子量は、重量平均分子量をいい、GPCによりポリスチレン換算で計算した結果として測定される値(単位:g/mol)を採用する。
また、このような有機化合物としては、例えば、末端にチオールを有するポリエチレングリコール化合物、末端にアミンを有するポリエチレングリコール化合物、末端にカルボン酸を有するポリエチレングリコール化合物、末端にチオールを有するポリプロピレングリコール化合物、末端にアミンを有するポリプロピレングリコール化合物、末端にカルボン酸を有するポリプロピレングリコール化合物、末端にリン酸を有するポリエチレングリコール化合物、末端にリン酸を有するポリプロピレングリコール化合物、末端にリン酸を有するポリグリセリン化合物、末端にチオールを有するポリグリセリン化合物、末端にアミンを有するポリグリセリン化合物、末端にカルボン酸を有するポリグリセリン化合物、等を適宜利用することができる。また、このような有機化合物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を利用して適宜製造することができる。さらに、このような有機化合物としては、市販の有機化合物(例えば、アルドリッチ社製の末端にチオール基を有するポリエチレングリコール化合物(PEGSH)、阪本薬品工業社製のポリグリセリン(商品名「ポリグリセリン」)等)を適宜利用してもよい。
さらに、金属材料11を修飾する有機化合物としては、金属材料11の表面上の接合界面領域Aにおける有機化合物の量が、前記領域Aの面積に対して0.0001〜1mol/m2であることが好ましく、0.001〜0.1mol/m2であることがより好ましい。このような金属材料の接合界面領域Aにおける有機化合物の量が前記下限未満では、親和性が十分に発現せず、十分に高度な接合強度を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、凹凸形状を形成する金属粒子(例えばAg等)が有機化合物で過剰に覆われてしまい、十分に高度な接合強度を得ることができなくなる傾向にある。
樹脂材料12は、チオール、アミド、イミド、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性樹脂材料を含有するものである。このような官能基を有する熱可塑性樹脂材料は、Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子に対する親和性が十分に高く、両者間に十分な相互作用が得られるため、金属材料11と樹脂材料12との強固な接合を可能とする。このような熱可塑性樹脂材料の官能基としては、より高い接合強度が得られることから、チオール、アミド、エステル、エーテルがより好ましく、チオール、アミド、エステルが更に好ましい。
このような熱可塑性樹脂材料としては、前記官能基の少なくとも1種を有する公知の熱可塑性樹脂を適宜利用することができるが、金属との親和性がより高い官能基を有する熱可塑性樹脂材料を利用するという観点から、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエステル及びポリエーテルのうちの少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。なお、このような樹脂成分は1種を単独で、或いは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。
さらに、このような樹脂材料12において、チオール、アミド、イミド、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性樹脂材料の含有量としては、20〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがより好ましい。このような熱可塑性樹脂材料の含有量が前記下限未満では十分に高度な接合強度を得ることが困難となる傾向にある。なお、このような樹脂材料中の他の成分としては、例えば、強度を向上させるために含有させるガラス繊維や、他の樹脂材料等が挙げられる。また、このような樹脂材料12としては、市販のものを利用してもよく、例えば、東レ社製のPPS(ポリフェニレンスルフィド、商品名「A504×90(GF40%)」、ガラス繊維強化(GF))、Polyplastics社製のPBT(ポリブチレンテレフタレート、商品名「ジェラネックス3400(GF40%)」)、宇部興産社製のPA6(ナイロン6、商品名「1022B」)等が挙げられる。
なお、本発明の接合体においては、金属材料11と樹脂材料12とが直接接合していればよく、金属材料11や樹脂材料12に、それぞれ他の層(例えば、他の樹脂層や無機層等)が積層された多層構造のものとしてもよい。このような他の層の構成は特に制限されず、接合体の用途等に応じて設計を適宜変更できる。
以上、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体の好適な実施形態について説明したが、以下、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法について説明する。
本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法は、前記金属材料の金属材料と樹脂材料とを接合界面を介して接合させた接合体を製造する際に用いる樹脂材料接合用金属材料の製造方法であって、
カチオン性ポリマーを含有するポリマー溶液を用いて、前記金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域にカチオン性ポリマー層を形成する工程(工程(A))と、
アニオン性金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、前記金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域にアニオン性金属ナノ粒子層を形成する工程(工程(B))と、
前記カチオン性ポリマー層及び前記アニオン性金属ナノ粒子層が形成された金属材料を、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下において200〜1000℃の温度条件で加熱して、前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域に金属粒子からなる凹凸形状を形成する工程(工程(C))と、
前記凹凸形状が形成された金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に、ポリアルキレングリコール及びポリグリセリンのうちのいずれか1種を主骨格とし、金属に対して結合可能な官能基を有し且つ平均分子量が1200以下である有機化合物を接触せしめて、前記金属材料を前記有機化合物で修飾させることにより、樹脂材料接合用金属材料を得る工程(工程(D))と、
を含み、且つ、前記樹脂材料接合用金属材料が、該樹脂材料接合用金属材料に樹脂材料を接合する際に前記樹脂材料が接合されるべき領域に金属粒子からなる凹凸形状が形成されたものであり、
前記樹脂材料が接合されるべき領域中の前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさを有しており、
前記金属粒子がAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子であり、
前記凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、
前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり、且つ、
前記樹脂材料接合用金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部が、前記有機化合物で有機修飾されていること、
を特徴とする方法である。
本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法においては、先ず、カチオン性ポリマーを含有するポリマー溶液を用いて、前記金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域にカチオン性ポリマー層を形成する(工程(A))。図4は、金属材料11’の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域に、カチオン性ポリマー層13が形成された状態を模式的に示す。なお、図中の符号13Aは、ポリマー中のカチオン性の官能基を概念的に示すものである。また、ここにいう「樹脂材料が接合されるべき領域」とは、接合体を製造する際に樹脂材料が接合される領域、言い換えると、接合体を製造する際に金属材料11と樹脂材料12との接合界面(例えば図3中の領域A)となる領域をいう。なお、このような樹脂材料が接合されるべき領域は、樹脂材料接合用金属材料を用いて製造する接合体の用途等によって、その形状や範囲等が異なるものであり、接合体の用途等に応じて、その設計を適宜変更することが可能である。
このような金属材料11’は、表面に凹凸形状Cが形成されていない以外は上記本発明の金属材料と樹脂材料との接合体において説明した金属材料11と同様のものである。なお、このような金属材料11’は、その表面に凹凸形状を形成する際に、カチオン性ポリマー層13を熱分解してアニオン性金属ナノ粒子を積層(付着)させるが、その際に、アニオン性金属ナノ粒子をより十分に付着させるという観点から、該表面に酸化皮膜が形成されていないことが好ましい。このような観点から、金属材料11’としては電解研磨処理を施して酸化皮膜を除去したものを好適に使用することができる。このような電解研磨処理の方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、リン酸と硫酸との混合溶液中等で電解研磨する方法等を適宜採用することができる。
このようなカチオン性ポリマーとしては、カチオン性の官能基13Aを有するポリマーであればよく、特に制限されず、公知のカチオン性の官能基を有するポリマーを適宜用いることができる。このようなカチオン性の官能基13Aとしては、例えば、アミノ基、イミノ基等が挙げられる。このようなカチオン性ポリマーとしては、表面処理後の熱処理(加熱工程)により、より効率よく除去することが可能であるという観点から、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩素塩(PDADMAC)、ポリエチレンイミン(PEI)、塩酸ポリアリルアミン(PAH)、塩酸ポリリジンが好ましく、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩素塩、ポリエチレンイミンがより好ましい。
また、このようなカチオン性ポリマーを含有するポリマー溶液の溶媒としては特に制限されず、水や各種有機溶媒を適宜利用することが可能であるが、入手が簡易であり且つ極性を持つためカチオン性ポリマーを溶解し易いという観点から、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、THF、DMF、DMSO、エチレングリコール、グリセリンを利用することが好ましく、水を利用することが特に好ましい。
さらに、前記ポリマー溶液中のカチオン性ポリマーの含有量としては特に制限されないが、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。このようなカチオン性ポリマーの含有量が前記下限未満では、前記樹脂材料が接合されるべき領域に、カチオン性官能基を十分に有する層を形成することが困難となり、アニオン性金属ナノ粒子層を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、多量のカチオン性ポリマーを含む層が形成されてしまい、後述の加熱工程において、カチオン性ポリマーを熱分解により除去することが困難となり、金属粒子を金属材料11の表面上に十分に積層(付着)させることが困難となる傾向にある。
また、このようなポリマー溶液を用いて、金属材料11’の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域にカチオン性ポリマー層を形成する方法は、金属材料の表面上の所定の領域に樹脂層を形成することが可能な公知の方法を適宜利用することができ、例えば、前記ポリマー溶液を用いて、グラビアコート、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、はけ塗り等の方法を採用して塗膜を形成することによりカチオン性ポリマー層を形成する方法を採用してもよい。なお、このような塗膜としてカチオン性ポリマー層を形成する場合には、乾燥工程を適宜実施してもよく、30〜100℃の温度条件で3分間〜3時間程度加熱することにより乾燥させてもよい。
また、このような乾燥前の塗膜の厚みとしては、0.1〜100nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。このような塗膜の厚みが前記下限未満では、アニオン性金属ナノ粒子層14を形成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとカチオン性ポリマー層が厚くなりすぎて、熱分解により除去することが困難となる傾向にある。
本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法においては、次に、アニオン性金属ナノ粒子を含有する分散液を用いて、前記金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域にアニオン性金属ナノ粒子層を形成する(工程(B))。図5は、金属材料11’の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域に、アニオン性金属ナノ粒子層14が形成された状態を模式的に示す。なお、図5に示す実施形態においては、金属材料11’の表面の樹脂材料が接合されるべき領域上にカチオン性ポリマー層13及びアニオン性金属ナノ粒子層14が順次積層されている。なお、図中の符号14Aは、アニオン性金属ナノ粒子を模式的に示す。
アニオン性金属ナノ粒子14Aとしては、Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する金属粒子Pの表面上に、アニオン性の官能基を有する化合物Sを被覆した粒子を好適に用いることができる。このような金属粒子Pの金属種やその含有量は上記本発明の金属材料と樹脂材料との接合体において説明した金属粒子と同様である。なお、図6は、アニオン性の官能基を有する化合物Sがクエン酸である場合のアニオン性金属ナノ粒子14Aの好適な一実施形態を示す模式図であり、図6中、点線で囲まれた領域Eは点線で囲まれた領域Rを拡大して摸式的に示したものである。
このようなアニオン性の官能基を有する化合物Sとしては、より効率よく金属粒子Pにアニオン性を付与できることから、アニオン性官能基及び金属と結合する官能基の2つの種類の官能基を有する表面被覆用化合物であることが好ましい。このようなアニオン性官能基及び金属と結合する官能基の2つの種類の官能基を有する表面被覆用化合物は、金属と結合する官能基により金属粒子と結合する一方で、アニオン性官能基により金属ナノ粒子14Aにアニオン性を付与することを可能とする。すなわち、このような表面被覆用化合物においては、結合力が強い官能基の方が金属に結合する官能基となり、その金属に結合する官能基と比較して結合力が弱い官能基が金属とは結合せずに、アニオン性官能基としてそのまま残るため、これにより金属粒子にアニオン性を付与することが可能となる。そして、このようにアニオン性が付与された金属粒子は、カチオン性官能基13Aによりカチオン性ポリマー層13上に静電的に吸着させることが可能である。そのため、アニオン性が付与された金属粒子を用いることで、より効率よくアニオン性金属ナノ粒子14Aの層を形成することが可能である。なお、金属ナノ粒子がアニオン性を有していることは水、アルコール、アセトン等の極性溶媒に分散が可能であることや、カチオン性ポリマー層に付着可能であることから確認してもよい。また、このような分散状態は、目視により分散液の色や分散液中に沈殿がないことを確認したり、分散液を透過型電子顕微鏡により粒子同士が十分に分散しているか確認する等して確認してもよい。
このようなアニオン性官能基及び金属と結合する官能基の2種の官能基を有する表面被覆用化合物としては、Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os、Rhと結合可能な官能基を有する化合物であることから、ヒドロキシカルボン酸(金属と結合する官能基:カルボキシル基、アニオン性官能基:ヒドロキシル基)、チオカルボン酸(金属と結合する官能基:チオール基、アニオン性官能基:カルボキシル基)、アミノアルコール(金属と結合する官能基:アミノ基、アニオン性官能基:ヒドロキシル基)、チオアルコール(金属と結合する官能基:チオール基、ニオン性官能基:ヒドロキシル基)が好ましく、中でも、熱処理(加熱工程)時に腐食性のガスを出さないという観点から、ヒドロキシカルボン酸、アミノアルコールがより好ましく、ヒドロキシカルボン酸が特に好ましい。このようなヒドロキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、イソクエン酸、メバロン酸、パントイン酸、キナ酸、シキミ酸、リシノール酸が挙げられるが、水に対して優れた溶解性を有し、低分子で熱処理時に分解し易いという観点から、クエン酸が特に好ましい。
また、このようなアニオン性金属ナノ粒子としては、アニオン性官能基を介して、より着実にカチオン性ポリマー層へ付着させるという観点から、アニオン性官能基及び金属と結合する官能基の2種の官能基を有する表面被覆用化合物が前記金属粒子の一次粒子の表面に結合したものであることが好ましい。
また、アニオン性金属ナノ粒子としては、一次粒子の平均粒子径が1〜100nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましい。このようなアニオン性金属ナノ粒子の一次粒子の平均値が前記下限未満では、十分な高さ及び十分な面積比率を有する凹凸形状が得られず、十分に高度な接合強度を付与することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、凹凸形状の高さが高くなりすぎて、十分に高度な接合強度を付与することができなくなる傾向にある。このようなアニオン性金属ナノ粒子の一次粒子の平均粒子径は、任意の100個以上のアニオン性金属ナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定し、各粒子の一次粒子径を求めて、その値を平均化することにより求めることができる。また、このような測定に際しては、例えば、測定装置として、日本電子製の商品名「JEM2000EX」を用い、加速電圧を200kVとし、アニオン性金属ナノ粒子の分散液を、カーボン支持膜付のマイクログリッド(カーボン支持膜の厚み20〜25nm)に滴下して自然乾燥させたものを測定サンプルとして利用して測定してもよい。
さらに、このようなアニオン性金属ナノ粒子の製造方法は特に制限されず、例えば、Au、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩(硝酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩等)を含有する溶液を還元して金属粒子を析出させて、その表面に前記アニオン性の官能基を有する化合物Sを被覆することにより製造する方法(I)を採用してもよい。
このような方法(I)における還元に際しては、還元剤として、前記表面被覆用化合物のアルカリ金属塩(例えば、クエン酸三ナトリウム二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)等)を用いることが好ましい。このような表面被覆用化合物のアルカリ金属塩を還元剤として用いることで、前記溶液中において、前記金属塩を還元しつつ、析出した金属粒子の表面に前記表面被覆用化合物を結合させることが可能となり、より効率よくアニオン性金属ナノ粒子を製造することが可能となる。
このような方法(I)の還元に際しては、不活性ガス雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)下において、50〜200℃に加熱することが好ましい。このような加熱温度が前記下限未満では、還元反応を十分に進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粒子が凝集して所望の粒径以下のナノ粒子を得ることが難しくなる傾向にある。
また、このような方法(I)の還元に際しては、還元時間を1〜30分間とすることが好ましい。還元時間が前記下限未満では、金属塩の還元が不十分で十分に金属粒子を析出させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、析出した金属粒子の凝集が進んでしまい、金属粒子が1μm以上の二次粒子(凝集体)となってしまい、それを用いた場合に、樹脂材料11に対して十分に接合強度を付与することが可能な凹凸形状を有する樹脂材料接合用金属材料を得ることができなくなる傾向にある。なお、還元反応を上記還元時間の経過後に終了させる方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、上記反応時間の経過後に反応液を0〜30℃まで冷却する方法(例えば、氷水を用いて冷却する方法)を採用してもよい。
また、前記アニオン性金属ナノ粒子を含有する分散液(アニオン性金属ナノ粒子含有分散液)の溶媒としては特に制限されず、水、各種有機溶媒を適宜利用することができるが、入手が簡易であり且つ極性を持つためアニオン性金属ナノ粒子を効率よく分散させることができるという観点から、水、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、THF、DMF、DMSO、エチレングリコール、グリセリンであることが好ましく、水が特に好ましい。なお、前記アニオン性金属ナノ粒子を上記方法(I)を採用して製造する場合においては、例えば、前記金属塩と前記還元剤の反応場となる前記金属塩を含有する溶液中の溶媒や前記還元剤の溶媒を、前記分散液の溶媒と同様の種類のものとし、還元反応後に金属粒子が析出した反応液をそのまま前記アニオン性金属ナノ粒子含有分散液として利用してもよい。
また、前記アニオン性金属ナノ粒子含有分散液中のアニオン性金属ナノ粒子の含有量としては特に制限されないが、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましい。このようなアニオン性金属ナノ粒子の含有量が前記下限未満ではアニオン性金属ナノ粒子層を効率よく製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、製造時の還元が困難となるばかりか、製造時に粒子が凝集し易くなって、所望の粒径のナノ粒子が分散した分散液を得ることが困難となる傾向にある。
さらに、金属材料11’の表面上の所定の領域に分散液を用いてアニオン性金属ナノ粒子層を形成する方法としては、特に制限されず、金属材料11’の表面上の所定の領域に分散液を用いて金属粒子の層を形成することが可能な公知の方法を適宜利用することができ、例えば、グラビアコート、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、はけ塗り等の方法を採用して金属材料11の表面上の所定の領域にアニオン性金属ナノ粒子含有分散液を塗工して塗膜としてアニオン性金属ナノ粒子層を形成する方法を採用してもよい。なお、本発明においては、金属材料11’の表面上の所定の領域にカチオン性ポリマー層13を形成し、その層13上に前記アニオン性金属ナノ粒子含有分散液を塗工することにより、層13中のカチオン性官能基により、アニオン性金属ナノ粒子を静電吸着させることが可能となり、より効率よくアニオン性金属ナノ粒子層を積層することが可能となる。また、このように、静電吸着によりアニオン性金属ナノ粒子を積層できることから、アニオン性金属ナノ粒子を十分に均一に分散させた状態で担持することもできる。
また、このようなアニオン性金属ナノ粒子層の厚みとしては、80〜1000nmであることが好ましく、80〜600nmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では、熱処理(加熱工程)後に形成される、金属粒子からなる凹凸形状の平均高さが80nm未満となり、接合体を形成した際に密着が不十分となり、十分な接合強度を付与できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、熱処理(加熱工程)後に形成される凹凸形状の平均高さが600nmを超えてしまい、接合時に樹脂を凹部の深い所まで入り込ませることができず、十分な接合強度を付与できなくなる傾向にある。
なお、本発明においては、後述の樹脂材料接合用金属材料を製造するという観点から、金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域に、平均高さが80〜600nmであり且つ凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmである凹凸形状が形成され、且つ、前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさとなるようにして、工程(A)及び工程(B)を実施する必要があり、必要な場合には、これらの工程を繰り返し実施してもよい。このように、工程(A)及び(B)により形成される前記カチオン性ポリマー層及び前記アニオン性金属ナノ粒子層は、金属材料の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域に、平均高さが80〜600nmであり且つ凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmである凹凸形状が形成され、且つ、前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさとなるようにして形成された層である。
また、このような工程(A)及び(B)を繰り返し実施する場合において、繰り返し実施する回数は、用いるポリマー液や分散液の種類や濃度、金属材料11’の種類等によっても異なるものであるため、一概には言えるものではなく、上述のような凹凸形状の条件や面積比の条件を満たすのに必要十分となる量のアニオン性金属ナノ粒子を金属材料11’の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域に担持することが可能となるように工程(A)及び(B)を適宜繰り返せばよく、例えば、工程(A)及び(B)を2回以上(例えば3〜15回程度)繰り返し実施してもよい。このように工程(A)及び(B)を繰り返し実施することにより、より効率よくアニオン性金属ナノ粒子の担持総量を増加させることが可能となり、より確実に、上述のような凹凸形状の条件や面積比の条件を満たす金属材料を得ることが可能となる。なお、工程(A)及び(B)においてはそれぞれ、前記各層を形成した後に、余剰なポリマーや余剰の金属ナノ粒子を除去するために、水洗工程を施してもよい。
また、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法においては、工程(A)及び工程(B)により前記カチオン性ポリマー層及びアニオン性金属ナノ粒子層を形成した後、前記カチオン性ポリマー層及び前記アニオン性金属ナノ粒子層が形成された金属材料を、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下において200〜1000℃の温度条件で加熱して、樹脂材料を接合する際に前記樹脂材料が接合されるべき領域に金属粒子からなる凹凸形状を形成する(工程(C))。このような加熱工程により、金属材料11’上に形成された前記カチオン性ポリマー層が熱分解されて除去されるとともに、前記アニオン性金属ナノ粒子の表面を覆っているアニオン性の官能基を有する化合物Sも熱分解されて除去され、金属粒子Pが周囲に存在する他の金属粒子Pと凝集しながら、金属材料11の表面上に担持され、金属粒子からなる凹凸形状Cを金属材料の表面上に形成することが可能となる。なお、図7は、凹凸形状が形成された金属材料の一実施形態を模式的に示す断面図であり、表面上の一部の領域に凹凸形状Cが形成されている金属材料11を示している。
このような加熱工程は、金属粒子Pが酸化されることを防止するという観点から、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気下で行う。このような不活性ガスとしては特に制限はなく、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。また、前記還元性ガスとしては、特に制限されず、一酸化炭素、炭化水素(HC)、水素等の還元ガスを適宜用いることができる。また、ここにいう「不活性ガス又は還元性ガス雰囲気」とは、酸素を実質的に含まず(好ましくは酸素の含有量が1質量%未満)、前記不活性ガス又は還元性ガスを3〜100容量%含有する雰囲気をいう。このような不活性ガス又は還元性ガス雰囲気としては、前記不活性ガス又は還元性ガスを100容量%含有する雰囲気であることが好ましい。
また、このような加熱工程においては、加熱温度を200〜1000℃とする。このような加熱温度が前記下限未満では、カチオン性ポリマーを十分に分解できず、金属材料の表面上に十分に金属粒子を付着させることができなくなり、他方、前記上限を超えると、金属材料の表面上で金属粒子Pが溶融したり、凝集が著しく促進されたりして、その金属粒子からなる凹凸形状を、平均高さが100〜600nmであり且つ凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであるような形状とすることができなくなる。
このようにして、工程(A)〜(C)を施すことにより、凹凸形状の形成された金属材料を得ることができる。このような凹凸形状の形成された金属材料における凹凸形状の特性は、基本的に、後述の樹脂材料接合用金属材料と同様のものとなる。すなわち、前記凹凸形状の形成された金属材料は、金蔵材料11の表面上の、樹脂材料を接合する際に前記樹脂材料が接合されるべき領域に、金属粒子からなる凹凸形状が形成されたものであり、前記樹脂材料が接合されるべき領域中の前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさを有しており、前記金属粒子がAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子であり、前記凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、且つ、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであるものである。
また、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法においては、工程(A)〜(C)を実施して前記凹凸形状の形成された金属材料を得た後に、前記凹凸形状が形成された金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に、ポリアルキレングリコール及びポリグリセリンのうちのいずれか1種を主骨格とし、金属に対して結合可能な官能基を有し且つ平均分子量が1200以下である有機化合物を接触せしめて、前記金属材料を前記有機化合物で修飾させることにより、樹脂材料接合用金属材料を得る(工程(D))。
このような有機化合物は、前述の本発明の金属材料と樹脂材料との接合体において説明したものと同様のものである。
また、このような有機化合物を前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に接触させる方法としては、前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に有機化合物を接触させることが可能な方法であればよく、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記有機化合物を含有する溶液又は分散液を利用して、その溶液又は分散液を、グラビアコート、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、はけ塗り等の公知の方法で、前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に接触させる方法を採用してもよい。
また、前記有機化合物を含有する溶液又は分散液を利用する場合において、その溶液又は分散液の溶媒としては、特に制限されず、水、各種有機溶媒を適宜利用することができるが、金属表面の酸化を進行させないようにするという観点から、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、DME、DEE、DMF、DMACであることが好ましく、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、THFが特に好ましい。
また、前記有機化合物を含有する溶液又は分散液を利用する場合において、その溶液又は分散液中の有機化合物の含有量としては特に制限されないが、0.01〜100mmol/Lであることが好ましく、0.1〜10mmol/Lであることがより好ましい。このような有機化合物の含有量が前記下限未満では金属材料の表面を有機化合物で効率よく有機修飾することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、有機化合物の量が多くなりすぎて、凹凸形状を形成する金属粒子(例えばAg等)が有機化合物に覆われてしまい、十分に高度な接合強度が得られなくなる傾向にある。
また、前記有機化合物を前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に接触させて、前記金属材料を前記有機化合物で修飾(有機修飾)する方法としては、特に制限されず、前記有機化合物を、前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部に接触させて、前記有機化合物中の官能基と金属材料中の金属(金属材料上の凹凸形状を形成する金属粒子中の金属を含む。)とを反応させることが可能な方法であればよい。すなわち、このような方法においては、前記有機化合物中の官能基と、凹凸形状の形成された金属材料とを反応させることが可能な条件(温度条件や圧力条件、雰囲気条件等)を適宜採用することができる。例えば、前記有機化合物としてチオール基を有する有機化合物を利用し且つ金属材料上の凹凸形状を形成する前記金属粒子がAgを含有するものである場合において、大気圧下、室温(25℃)の条件においてもAgとチオール基との間の反応が進行するため、かかる条件下において、前記有機化合物を含有する溶液又は分散液中に、前記凹凸形状の形成された金属材料を浸漬することにより、金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域に有機化合物を接触させることができ、これにより少なくとも凹凸形状を形成する金属粒子と前記有機化合物との間で反応を進行させることが可能となるため、前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部を前記有機化合物で有機修飾させることができる。このように、官能基の種類等に応じて適宜条件を変更して、前記有機化合物中の官能基と金属材料(凹凸を形成する金属粒子を含む。)とを反応させることで前記金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部を、前記有機化合物で有機修飾することができる。なお、このような反応の条件は公知の条件を適宜採用すればよい。また、本発明においては、前述のような浸漬処理等により反応性等の観点から前記有機化合物をより効率よく修飾させることが可能となることから、凹凸形状Cを形成する金属粒子を前記有機化合物で修飾することが好ましい。なお、このような有機修飾は、金属種等によっては浸漬処理を行うだけでも進行させることが可能となるため、本発明によれば、より安価なプロセスにより樹脂材料と金属材料との間の高度な接合強度を達成することが可能である。
このようにして、前記凹凸形状の形成された金属材料に対して工程(D)を施すことにより、樹脂材料接合用の金属材料を得ることができる。このような樹脂材料接合用金属材料は、金蔵材料11の表面上の、樹脂材料を接合する際に前記樹脂材料が接合されるべき領域に、金属粒子からなる凹凸形状Cが形成されたものであり、前記樹脂材料が接合されるべき領域中の前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさを有しており、前記金属粒子がAu、Ag、Cu、Pt、Ru、Pd、Ir、Os及びRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する粒子であり、前記凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり、且つ、前記樹脂材料接合用金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部が、ポリアルキレングリコール及びポリグリセリンのうちのいずれか1種を主骨格とし、金属に対して結合可能な官能基を有し且つ平均分子量が1200以下である有機化合物で有機修飾されているものである。このような樹脂材料接合用金属材料の諸条件(凹凸形状の平均高さ等の条件)は、工程(A)〜(B)において用いるポリマー液や分散液の濃度や各層の厚み、各工程を繰り返し実施する回数等を適宜変更することで容易に達成させることができる。なお、このような樹脂材料接合用金属材料は、金属材料中の前記樹脂材料が接合されるべき領域が接合体を製造した場合に接合界面領域Aとなる以外は、上記本発明の接合体中の図3に示すような金属材料11と同様のものである。なお、凹凸形状の平均高さ、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離、前記凹凸形状が形成されている領域の総面積の大きさの比、金属材料を修飾する有機化合物は、上記本発明の接合体中の金属材料11に関して説明したものと同様である。そのため、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法は、上記本発明の接合体を製造する際に用いる樹脂材料接合用の金属材料11を得るために好適に利用することができる。
以上、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法について説明したが、以下、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体を製造するための方法として好適に利用することが可能な本発明の金属材料と樹脂材料との接合体の製造方法について説明する。
本発明の金属材料と樹脂材料との接合体の製造方法は、上記本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法により得られた樹脂材料接合用金属材料を用い、該樹脂材料接合用金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域に、チオール、アミド、イミド、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性樹脂材料を含有する樹脂材料を、該熱可塑性樹脂材料の融点以上の温度において接触させることにより、金属材料と樹脂材料とを接合界面を介して接合させて金属材料と樹脂材料との接合体を得ることを特徴とする方法である。なお、図8は、樹脂材料接合用の金属材料11の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域A’に、樹脂材料12を接合させる工程を概念的に示す模式図である。なお、図8中のドットで表されている領域A’は樹脂材料12を接合させる領域(金属材料11の表面上の樹脂材料が接合されるべき領域)であり、その領域中に凹凸形状Cが形成されているとともに、その領域の少なくとも一部が有機化合物で修飾されている。そして、このようにして金属材料11と樹脂材料12とを接合することにより、図1に示すような金属材料と樹脂材料との接合体を得ることが可能となる。
このような接合体の製造方法に用いる樹脂材料接合用金属材料は、上記本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法により得られたものである。また、本発明の接合体の製造方法に用いる樹脂材料12は、上記本発明の金属材料と樹脂材料との接合体において説明した樹脂材料12と同様のものである。
本発明において、上記樹脂材料接合用の金属材料11と樹脂材料12とを接触させる工程は、樹脂材料12中に含有される熱可塑性樹脂材料の融点以上の温度条件下で行う必要がある。このような温度条件が熱可塑性樹脂材料の融点未満では、樹脂を融解することができないため、金属材料11と樹脂材料12とを十分に接合することができない。
また、このような加熱温度としては、熱可塑性樹脂材料の融点以上であり且つ前記融点よりも35℃高い温度(融点+35℃)以下であるという条件を満たす温度とすることが好ましく、融点よりも5℃高い温度(融点+5℃)以上であり融点よりも30℃高い温度(融点+30℃)以下であるという条件を満たす温度であることがより好ましい。このような温度が前記上限を超えると、樹脂が溶けすぎてしまい、強固な密着層が得られなくなる傾向にある。なお、このような温度条件を満たすことにより、より効率よく金属材料11と樹脂材料12とを接合させることが可能となる。
また、このような金属材料11と樹脂材料12とを接触させる工程を実施する際の雰囲気は特に制限されないが、金属材料11と樹脂材料12の酸化を防ぐという観点から、不活性ガス又は還元性ガス雰囲気とすることが好ましい。
また、金属材料11と樹脂材料12とを接触させる方法は、金属材料11と樹脂材料12とを接触させて接合させることが可能な方法であればよく、特に制限されず、金属材料11の樹脂材料12を接合させる領域上に、樹脂材料12を配置して加圧(プレス)する方法を採用してもよい。このように加圧する方法を採用する際の圧力(プレス)条件は特に制限されないが、10〜3000kPaとすることが好ましく、100〜1000kPaとすることがより好ましい。このような圧力条件が前記下限未満では樹脂と凹凸形状とにより強固な密着層を作ることが困難となり、十分に高度な接合強度を付与することができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、樹脂が広がりすぎてしまい、強固な密着層が得られなくなり、十分に高度な接合強度を付与することができなくなる傾向にある。なお、本発明においては、接合時に加圧(プレス)する方法を採用する場合においても、上記特許文献2に記載の従来技術のように4MPa以上となるような高圧でのプレスをする必要(接合工程に一般的に利用される射出成形やプレス成形等を採用する必要)がない。
なお、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体の製造方法において、このような低荷重のプレスで樹脂材料と金属材料との接合強度を十分に高度なものとすることが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、上記特許文献1に記載の技術(金属材料の表面にナノオーダーの凹部を形成させて金属材料と樹脂材料とを接合する方法)や上記特許文献2に記載の技術(金属材料の表面に被膜を形成させた後に金属材料と樹脂材料とを接合する方法)ではいずれも、樹脂材料との接合時に、樹脂材料と金属材料との間の相互作用を十分に得ることができず、樹脂材料と金属材料とを強固に接合するためには、樹脂材料を完全に溶融させて高圧で金属表面と密着させる必要があった。これに対して、本発明においては、金属材料の表面上に、樹脂材料との親和性の高い金属を含有する金属粒子(例えばAg粒子)により凹凸形状が形成されているとともに、その金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部が前記有機化合物により修飾されている。また、金属材料との接合に用いる樹脂材料は、チオール、アミド、イミド、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の官能基を有する熱可塑性樹脂材料を含有するものである。このように、前記熱可塑性樹脂材料中の官能基が金属粒子の表面に十分に結合することが可能な基であるとともに、金属材料の前記樹脂材料が接合されるべき領域の少なくとも一部を修飾する前記有機化合物の主骨格中の極性基(エーテル基やヒドロキシル基)と熱可塑性樹脂材料との親和性が高いことから、樹脂材料と金属材料との間に、より十分な相互作用を得ることができる。従って、本発明においては、低加圧でも十分な接合強度で金属材料と樹脂材料とを接合することが可能である。そのため、本発明においては、金属材料の表面上に高加圧で樹脂材料を積層しなくても、十分に高い接合強度を有する接合体が得られるものと本発明者らは推察する。また、上記本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法は、凹凸形状を、基本的に、カチオン性ポリマーとアニオン性金属ナノ粒子を用いて、金属表面へ静電吸着させて形成させるため、理論的に導電体である全ての金属に対して適用可能である。そのため、このようにして得られる樹脂材料接合用金属材料を用いる本発明の金属材料と樹脂材料との接合体の製造方法は、金属材料の種類によらず、金属材料と樹脂材料とが十分に高い強度で接合された接合体を得る方法として好適に利用できるものと本発明者らは推察する。
以上、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法、本発明の接合体の製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、金属材料及び樹脂材料が板状の形状を有しているが、本発明の金属材料と樹脂材料との接合体においては、金属材料や樹脂材料の形状は特に制限されず、接合体の用途に応じて、その設計を適宜変更できる。また、上記実施形態においては、凹凸形状Cが形成されている接合界面領域A又は樹脂材料を接合すべき領域A’が金属材料の表面上の一部の領域に形成されているが、本発明においては、かかる領域の形状や範囲は特に制限されず、例えば、金属材料の一方の面の全面を上記領域A又はA’としてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1〜2:金属材料の調製)
表1に示す金属を用いて、縦10mm、横50mm、厚み1mmの板状体を形成し、その板状体に対して電解研磨処理を施すことにより、金属材料をそれぞれ調製した。なお、電解研磨処理に用いる電解研磨液としては表1に示す混合液を利用した。なお、表1に示す電解研磨液の試薬は全て和光純薬工業社製のものを用いた。また、電解研磨条件は、表1に示す条件を採用するとともに、陰極をSUS304電極とし且つ液温度を25℃とした。
(調製例3〜7:樹脂材料の調製)
表2に示す樹脂を射出成形することにより、縦10mm、横80mm、厚み4mmの大きさの板状の成形品を調製し、得られた成形品をそれぞれ樹脂材料として利用した。
(調製例8:Ag粒子を含有する分散液の調製)
Ag粒子を含有する分散液を以下のようにして調製した。すなわち、先ず、蒸留水500mL中に硝酸銀(AgNO3:和光純薬製)90mgを溶解してAgイオン溶液を調整した。また、これとは別に、蒸留水100mL中にクエン酸三ナトリウム二水和物(C6H5Na3O7・2H2O:和光純薬製)1.14gを溶解してクエン酸溶液を調整した。次に、フラスコ中に前記Agイオン溶液500mLを投入して、内部にN2ガスを1L/minの流量で導入しながら撹拌して100℃まで昇温した。その後、前記Agイオン溶液を100℃に維持しながら、前記フラスコ中に前記クエン酸溶液10mLを投入して、前記Agイオン溶液と前記クエン酸溶液とを混合した。このようにして前記Agイオン溶液と前記クエン酸溶液とを混合した後、混合液の温度を100℃に維持して3分間経過させたところ、前記混合液の色が黄色になったため、フラスコを氷水で冷却して反応を終了させた。このようにしてAg粒子を含有する分散液(Ag粒子含有分散液)を得た。
このようにして得られたAg粒子含有分散液中のAg粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した。このような測定に際しては、先ず、Ag粒子含有分散液をカーボン支持膜付のマイクログリッド(応研商事社製の商品名「エラスチックカーボン支持膜付STEM100Cuグリット」、カーボン支持膜の厚み20〜25nm)に滴下して自然乾燥させたものを測定サンプルとして調製した。次に、前記測定サンプルを加速電圧200kVの条件で透過型電子顕微鏡(日本電子製の商品名「JEM2000EX」)により測定した。このような測定結果として、Ag粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図9に示し、電子線回折パターンを図10に示す。
図9に示す写真等から、Ag粒子は基本的に、非常に微細な一次粒子からなるものであることが確認された。また、同様の条件で透過型電子顕微鏡により任意の100個のAg粒子の粒子径を測定してAg粒子の一次粒子の平均粒子径を求めたところ、調製例8で得られたAg粒子の一次粒子の平均粒子径は3nmであることが確認された。更に、図10に示す電子線回折パターンの結果からも明らかなように、得られた粒子は銀からなるものであることが確認された。
また、このようにして得られたAg粒子分散液を目視にて確認したところ、沈殿物が確認されず、十分にAg粒子が分散していることが確認された。また、図9に示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真からも明らかなように、粗大な凝集体は確認されず、Ag粒子が十分に微細な状態で分散していることが確認された。このように、Ag粒子は極性溶媒である水に十分に分散していることから、かかるAg粒子はアニオン性の置換基を有するものであることが分かる。また、Ag粒子分散液中に残存する成分を用いた材料から検討すると、前記Ag粒子の有するアニオン性の置換基はクエン酸に由来するOH基であることが分かる。なお、このようなAg粒子の分散液中の含有量を試薬の配合比から計算して測定したところ、Ag粒子の含有量は0.018質量%であった。
(調製例9:凹凸形状の形成された金属材料(A)の調整)
〈カチオン性ポリマー層形成工程〉
先ず、蒸留水100mL中にポリエチレンイミン(PEI:シグマーアルドリッチ社製、平均分子量423)0.25gを溶解して、PEIを0.25質量%の濃度で含有するPEI溶液を調製した。次に、PEI溶液50mLをフラットシャーレ(内径:8.5cm、高さ2.0cm)中に導入した。次いで、調製例1で得られたCuからなる金属材料を前記フラットシャーレ中に20分間浸漬した。なお、このような金属材料のPEI溶液中への浸漬に際しては、図1に示すような接合体を形成する際に、図3に示す接合体中の金属材料11の接合界面領域AをXが10mmであり且つYが10mmである領域とするために、金属材料の表面上の接合界面領域Aとなるべき部位に、より確実にカチオン性ポリマー層が形成されるように、該領域Aとなるべき部位を含む少し広めの領域(金属材料11の端部からX方向に向かって10mm以上の長さを有する領域)に対して常にPEI溶液が接触するようにして、金属材料をPEI溶液中に浸漬した。次いで、前記金属材料をフラットシャーレから取り出し、蒸留水により洗浄した。このようにして金属材料の表面上にPEIからなる層(カチオン性ポリマー層)を形成した。
〈Ag粒子層形成工程〉
調製例8で得られたAg粒子含有分散液を用い、前記Ag粒子含有分散液50mLをフラットシャーレ(内径:8.5cm、高さ2.0cm)中に導入した。次に、前記PEIからなる層(カチオン性ポリマー層)を形成した金属材料を、該カチオンポリマー層の形成されている領域にAg粒子含有分散液が接触するようにして前記Ag粒子含有分散液の導入されたフラットシャーレ中に20分間浸漬した。すなわち、このような金属材料のAg粒子含有分散液中への浸漬に際しては、図1に示すような接合体を形成する際に、図3に示す接合体中の金属材料11の接合界面領域AをXが10mmであり且つYが10mmである領域とするために、金属材料の表面上の接合界面領域Aとなるべき部位に、より確実に金属ナノ粒子層が形成されるように、該領域Aとなるべき部位を含む少し広めの領域(金属材料11の端部からX方向に向かって10mm以上の長さを有する領域)に対して常にAg粒子含有分散液が接触するようにして、金属材料をAg粒子含有分散液中に浸漬した。次いで、前記金属材料をフラットシャーレから取り出し、蒸留水により洗浄した。このようにして金属材料の表面にAg粒子からなる層(金属ナノ粒子層)を形成した。なお、かかる金属ナノ粒子層はカチオン性ポリマー層上に形成された。
なお、実施例1においては、上述のカチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程の実施回数がそれぞれ6回となるようにし、カチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程の順で繰り返し実施した。なお、カチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程を3回繰り返し実施した段階で、フラットシャーレ中のPEI溶液、Ag粒子含有分散液をそれぞれ新しいものに交換し、その後の3回のカチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程を実施した。このようにして、カチオン性ポリマー層と金属ナノ粒子層を十分に積層して、金属材料、カチオン性ポリマー層及び金属ナノ粒子層の積層体を得た。
〈加熱工程〉
前記積層体を、水素ガス雰囲気(H2:100容量%)中、250℃の温度条件で1時間加熱して、凹凸形状の形成された金属材料(A)を得た。
このようにして得られた凹凸形状の形成された金属材料(A)の表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。なお、このような走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の条件としては以下のような条件を採用した。
<走査型電子顕微鏡(SEM)による測定条件>
測定装置:日立製作所製の商品名「S−3600N」
加速電圧:15kV
ワーキングディスタンス:15mm
観察倍率:5000倍。
走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の結果、金属材料(A)の表面上には、金属粒子からなる凹凸形状が形成されていることが確認された。また、このような走査型電子顕微鏡(SEM)による測定により、前記加熱工程により、PEIが分解され、Ag粒子がCuからなる金属材料の表面に担持(結合)されていることが確認された。また、このような走査型電子顕微鏡(SEM)による測定画像を利用して、金属材料の表面に担持されている金属粒子の一次粒子及び二次粒子の平均粒子径を任意の200個の粒子(一次粒子及び二次粒子)をそれぞれ測定することにより求めたところ、金属粒子の一次粒子の平均粒子径は100nmであり、二次粒子の平均粒子径は500nmであることが確認された。なお、得られた凹凸形状の形成された金属材料(A)の縦17μm、横25μmの長方形状の領域の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図11に示す。
次に、前記走査型電子顕微鏡(SEM)測定により得られた縦17μm、横25μmの長方形状の領域のSEM画像を、解析ソフト(オリンパス社製の画像・粒子解析ソフト、商品名「analySIS(ver5.1)」)を利用して電子計算機により解析し、縦17μm、横25μmの長方形の測定領域内における凹凸形状の総面積(金属粒子が付着している部位の面積の合計)を求めて、前記SEM像の測定領域の面積に対する前記凹凸形状の総面積の割合を計算した。このような測定の結果、測定領域の全面積に対する前記凹凸形状が形成されている領域の総面積(金属粒子が付着している部位の面積の合計)の存在割合(面積比)は63.37%であった。
また、このようにして得られた凹凸形状の形成された金属材料(A)の表面上に形成されている凹凸形状を走査型プローブ顕微鏡(SPM)により測定した。なお、このような走査型プローブ顕微鏡(SPM)による測定の条件としては以下のような条件を採用した。
<走査型プローブ顕微鏡(SPM)による測定条件>
測定装置:日本ビーコ社製の商品名「NanoScopeV D3100」
カンチレバー:Si製のチップ(日本ビーコ社製の商品名「TESP−SS」)
カンチレバーのレバー幅:35μm
カンチレバーの先端の直径:2nm
測定モードの設定:タッピングモード
共振周波数:320kHz。
次いで、前記走査型プローブ顕微鏡(SPM)による凹凸形状の測定データに基づいて、任意の5点の凸部に関して、各凸部の頂点の金属材料の表面からの高さと、その高さを測定した凸部に隣接する凹部のうちの金属材料の表面からの高さが最も低い値となる点の高さとの差(凹凸高さ)を求め、これにより求められた各測定点での凹凸高さ(測定値)を平均化して、凹凸形状の平均高さを測定した。また、前記走査型プローブ顕微鏡(SPM)による凹凸形状の測定データに基づいて任意の5点の凸部に関して、その凸部と該凸部に最も近接して存在する凸部との間の頂点間の距離(最近接頂点間距離)をそれぞれ測定し、その最近接頂点間距離の測定値を平均化して、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離を測定した。このような測定の結果、凹凸形状の形成された金属材料(A)においては、凹凸形状の平均高さは325nmであり、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離は300nmであった。なお、このような測定により得られた走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真を図12に示す。
(調製例10:凹凸形状の形成された金属材料(B)の調整)
調製例1で得られたCuからなる金属材料の代わりに調製例2で得られたAlからなる金属材料を用い、且つ、加熱工程における温度条件を250℃から400℃に変更した以外は、調製例9と同様にして、凹凸形状の形成された金属材料(B)を製造した。
なお、凹凸形状の形成された金属材料(B)の特性を調製例9で採用している評価方法と同様の方法を採用して評価したところ、金属粒子の一次粒子の平均粒子径は200nmであり、二次粒子の平均粒子径は500nmであり、測定領域の全面積に対する凹凸形状が形成されている領域の総面積の存在割合(面積比)は53.39%であり、凹凸形状の平均高さは275nmであり、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離は750nmであった。なお、調製例10で得られた凹凸形状の形成された金属材料(B)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図13に示し、走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真を図14に示す。
(実施例1)
〈樹脂材料積層用金属材料の調整:有機修飾処理〉
調製例9で採用した方法と同様の方法で製造した凹凸形状の形成された金属材料(A)を、以下のようにして有機修飾し、樹脂材料積層用金属材料(I)を得た。すなわち、先ず、チオール末端ポリエチレングリコール化合物(PEGSH、Aldirich社製、平均分子量1000g/mol)を0.1mmol秤量し、ジクロロメタン(CH2Cl2)100mL中に添加し、溶解させてPEGSH溶液を得た。次に、20mLのバイアル瓶の中に前記PEGSH溶液10mL添加し、2枚の凹凸形状の形成された金属材料(A)の表面上の接合界面領域Aとなるべき部位(図3に示す接合体中の金属材料11の接合界面領域A:Xが10mmであり且つYが10mmである領域)がそれぞれ常に前記PEGSH溶液に接触するようにして、前記2枚の凹凸形状の形成された金属材料(A)の該領域を前記PEGSH溶液に浸漬せしめ、室温(25℃)で24h静置した(浸漬処理)。このようにして凹凸形状の形成された金属材料(A)に対してPEGSH溶液による浸漬処理を行って、凹凸形状の形成された金属材料(A)の接合界面領域Aとなるべき部位をPEGSHにより修飾し、樹脂材料積層用金属材料(I)を得た(なお、PEGSHの担持量は接合界面領域Aの面積に対して0.02mol/m2)。
このようにして得られた樹脂材料積層用金属材料(I)の凹凸形状を、下記測定条件で走査型電子顕微鏡(SEM)により測定するとともに、エネルギー分散X線分光(EDS)分析により、元素分析を行った。このような測定により得られた樹脂材料積層用金属材料(I)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図15に示す。なお、図15中の白い点線が記載された円は、EDS分析を行った領域(直径1μmの円状の領域)を示す。また、樹脂材料積層用金属材料(I)のEDS分析の結果として、EDSスペクトルのグラフを図16に示す。
<走査型電子顕微鏡(SEM)による測定条件>
測定装置:日立製作所製の商品名「S−3600N」
加速電圧:15kV
ワーキングディスタンス:15mm。
図15及び図16に示す結果からも明らかなように、EDS分析の結果、樹脂材料積層用金属材料(I)においては、金属粒子を形成する銀(Ag)のピークと共に有機化合物中の硫黄(S)に由来するピークが確認され、チオール基を介してPEGSH(平均分子量1000)が金属粒子の表面に結合していることが確認された。このような結果から、樹脂材料積層用金属材料(I)においては、凹凸形状が形成された金属材料の接合界面領域Aとなるべき部位が、平均分子量が1000のポリエチレングリコール系の化合物(PEGSH)により修飾されていることが分かった。
また、調製例9で採用した方法と同様にして樹脂材料積層用金属材料(I)の凹凸形状の特性を評価したところ、樹脂材料積層用金属材料(I)においては、金属粒子の一次粒子の平均粒子径は100nmであり、二次粒子の平均粒子径は500nmであり、測定領域の全面積に対する凹凸形状が形成されている領域の総面積の存在割合(面積比)は63.37%であり、凹凸形状の平均高さは325nmであり、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離は300nmであった。
〈接合体の形成工程〉
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料を用い、前述のようにして得られた樹脂材料積層用金属材料(I)の前記凹凸形状の形成されている表面上に、前記樹脂材料を配置し、これらを300℃の温度条件下においてプレス圧0.4MPaで3分間プレスして、金属材料の表面上に樹脂材料を接合して、金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/PSS接合体)を得た。なお、前記樹脂材料を配置した領域(接触している領域)は前記凹凸形状の形成されている領域(金属粒子を付着させた領域)とした。また、このような接合工程においては、得られる接合体が図1に示すような形状となるようにし、図3に示す接合界面領域Aが、Xが10mmであり且つYが10mmである正方形状の領域(面積:100mm2)となるようにした。
(実施例2)
凹凸形状の形成された金属材料(A)を用いる代わりに、調製例10で採用した方法と同様の方法で製造した凹凸形状の形成された金属材料(B)を用いた以外は、実施例1と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/PSS接合体)を製造した(なお、PEGSHの担持量は接合界面領域Aの面積に対して0.02mol/m2)。すなわち、凹凸形状の形成された金属材料(A)の代わりに凹凸形状の形成された金属材料(B)を用い、金属材料(B)の表面上の接合界面領域Aとなるべき部位に対して前記有機修飾処理(浸漬処理)を施して、樹脂材料積層用金属材料(II)を製造した後、得られた樹脂材料積層用金属材料(II)を用いて前記接合体の形成工程を施し、金属材料と樹脂材料との接合体を製造した。
このようにして得られた樹脂材料積層用金属材料(II)の特性を実施例1と同様にして評価した。すなわち、樹脂材料積層用金属材料(II)に対して走査型電子顕微鏡(SEM)測定を行うとともに、エネルギー分散X線分光(EDS)分析を行った。このような測定により得られた樹脂材料積層用金属材料(II)の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図17に示す。なお、図17中の白い点線が記載された円は、EDS分析を行った領域(直径1μmの円状の領域)を示す。また、樹脂材料積層用金属材料(II)のEDS分析の結果として、EDSスペクトルのグラフを図18に示す。
図17及び図18に示す結果からも明らかなように、EDS分析の結果、樹脂材料積層用金属材料(II)においては、金属粒子を形成する銀(Ag)のピークと共に有機化合物中の硫黄(S)に由来するピークが確認され、チオール基を介してPEGSH(平均分子量1000)が金属粒子の表面に結合していることが確認された。このような結果から、樹脂材料積層用金属材料(II)においては、凹凸形状を形成する金属材料の接合界面領域Aとなるべき部位が、平均分子量が1000のポリエチレングリコール系の化合物(PEGSH)により修飾されていることが分かった。
また、調製例9で採用した方法と同様にして樹脂材料積層用金属材料(II)の凹凸形状の特性を評価したところ、樹脂材料積層用金属材料(II)においては、金属粒子の一次粒子の平均粒子径は200nmであり、二次粒子の平均粒子径は500nmであり、測定領域の全面積に対する凹凸形状が形成されている領域の総面積の存在割合(面積比)は53.39%であり、凹凸形状の平均高さは275nmであり、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離は750nmであった。
(実施例3)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例4で得られたPA6からなる樹脂材料を用い、接合時の温度条件を300℃から240℃に変更した以外は、実施例1と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/PA6接合体)を製造した。
(実施例4)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例4で得られたPA6からなる樹脂材料を用い、接合時の温度条件を300℃から240℃に変更した以外は、実施例2と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Al[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/PA6接合体)を製造した。
(実施例5)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例5で得られたm−PPEからなる樹脂材料を用い、接合時の温度条件を300℃から295℃に変更した以外は、実施例1と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/m−PPE接合体)を製造した。
(実施例6)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例5で得られたm−PPEからなる樹脂材料を用い、接合時の温度条件を300℃から295℃に変更した以外は、実施例2と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Al[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/m−PPE接合体)を製造した。
(実施例7)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例6で得られたPBTからなる樹脂材料を用い、接合時の温度条件を300℃から240℃に変更した以外は、実施例2と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Al[平均分子量1000のPEGSHで修飾、凹凸あり]/PBT接合体)を製造した。なお、本実施例において用いた樹脂材料積層用金属材料は実施例5で得られた樹脂材料積層用金属材料と同様のものであった。
(比較例1)
調製例3で得られたPPSからなる樹脂材料の代わりに調製例7で得られたPPからなる樹脂材料を用い、金属材料の表面の有機修飾処理を実施せずに凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用し、且つ、接合時の温度条件を300℃から200℃に変更した以外は、実施例1と同様にして金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[凹凸形状なし]/PP接合体)を製造した。
(比較例2)
樹脂材料積層用金属材料(II)を製造せず、樹脂材料積層用金属材料(II)の代わりに調製例2で得られたAlからなる金属材料をそのまま(カチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程を実施せずに)用いて接合体の形成工程を実施した以外は、実施例2と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[凹凸形状なし]/PPS接合体)を製造した。なお、このようなAlからなる金属材料の表面の粗さを、ミツトヨ社製の表面粗さ計「SJ−301」により評価長さ4mmで測定したところ、任意の10点の測定点の平均粗さが、3.2μmであった。
(比較例3)
樹脂材料積層用金属材料(II)を製造する代わりに、以下のようにして比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−I)を製造し、樹脂材料積層用金属材料(II)の代わりに比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−I)に樹脂材料を接合した以外は、実施例2と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[有機修飾なし、凹凸あり]/PBT接合体)を製造した。
〈比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−I)の調製〉
調製例1で得られたCuからなる金属材料の代わりに調製例2で得られたAlからなる金属材料を用い、カチオン性ポリマー層形成工程及びAg粒子層形成工程の繰り返し実施する回数を6回から3回に変更し、且つ、加熱工程における温度条件を250℃から400℃に変更した以外は、調製例9と同様にして、比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−I)を製造した。
なお、比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−I)の特性を調製例9で採用している評価方法と同様の方法を採用して評価したところ、金属粒子の一次粒子の平均粒子径は100nmであり、二次粒子の平均粒子径は300nmであり、測定領域の全面積に対する前記凹凸形状が形成されている領域の総面積の存在割合(面積比)は34.83%であり、凹凸形状の平均高さは75nmであり、凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離は500nmであった。また、比較用の樹脂材料積層用金属材料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図19に示し、走査型プローブ顕微鏡(SPM)写真を図20に示す。
(比較例4)
チオール末端ポリエチレングリコール化合物の種類を変更して、平均分子量が1000g/molのチオール末端ポリエチレングリコール化合物の代わりに、平均分子量が2000g/molのチオール末端ポリエチレングリコール化合物(PEGSH、Aldirich社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、凹凸形状の形成された金属材料(A)を有機修飾して樹脂材料積層用金属材料(C−II)を製造した後、得られた比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−II)に樹脂材料を接合して、金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[平均分子量2000のPEGSH修飾、凹凸あり]/PPS接合体)を製造した。
このようにして得られた比較用の樹脂材料積層用金属材料(C−II)の特性を実施例1と同様にして評価した。すなわち、樹脂材料積層用金属材料(C−II)に対して走査型電子顕微鏡(SEM)測定を行うとともに、エネルギー分散X線分光(EDS)分析を行った。このような測定の結果、金属粒子を形成する銀(Ag)のピークと共に有機化合物中の硫黄(S)に由来するピークが確認され、チオール基を介してPEGSH(平均分子量2000)が金属材料の表面に結合していることが確認された。
(参考例1)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例1と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[有機修飾なし、凹凸あり]/PPS接合体)を製造した。
(参考例2)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(B)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例2と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[有機修飾なし、凹凸あり]/PPS接合体)を製造した。
(参考例3)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例3と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[有機修飾なし、凹凸あり]/PA6接合体)を製造した。
(参考例4)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(B)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例4と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[有機修飾なし、凹凸あり]/PA6接合体)を製造した。
(参考例5)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例5と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Cu[有機修飾なし、凹凸あり]/m−PPE接合体)を製造した。
(参考例6)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例6と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[有機修飾なし、凹凸あり]/m−PPE接合体)を製造した。
(参考例7)
金属材料の表面の有機修飾処理を実施せず、凹凸形状の形成された金属材料(A)をそのまま樹脂材料積層用金属材料として利用した以外は、実施例7と同様にして、金属材料と樹脂材料との接合体(Al[有機修飾なし、凹凸あり]/PBT接合体)を製造した。
[実施例1〜2及び比較例3で用いた樹脂材料積層用金属材料の特性評価]
前述の実施例1〜2及び比較例3で用いた樹脂材料積層用金属材料(接合体を製造する際の材料)の凹凸形状のデータから、実施例1〜2で用いた樹脂材料積層用金属材料においては、樹脂材料を接合する際に前記樹脂材料が接合されるべき領域に金属粒子からなる凹凸形状が形成されており、前記樹脂材料が接合されるべき領域中の前記凹凸形状が形成されている領域の総面積が、前記樹脂材料が接合されるべき領域の面積の大きさに対して40%以上の大きさを有しており、前記金属粒子がAg粒子であり、前記凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、且つ、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであることが確認された。なお、比較例3で用いた比較用の樹脂材料積層用金属材料の結果を鑑みれば、上記特定の凹凸形状が形成された樹脂材料接合用金属材料を得るためには、金属ナノ粒子含有分散液の種類やその濃度、金属材料の種類等に応じて各工程の実施回数を適宜変更したり、金属ナノ粒子含有分散液の種類やその濃度自体を適宜変更して実施すればよいことが分かる。また、各実施例及び調整例で得られた樹脂材料接合用金属材料の走査型電子顕微鏡写真(図11、図13、図15、図17)やEDS分析の結果からも明らかなように、本発明の樹脂材料接合用金属材料の製造方法を利用した場合(調製例9〜10及び実施例1〜2)においては、加熱工程において、カチオン性ポリマー層を形成している樹脂成分が分解されて、Ag粒子が金属材料の表面に担持(結合)されることが分かるとともに、有機修飾処理により、金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域が有機化合物(PEGSH)により修飾されたものとなることが確認された。
[実施例1〜7、比較例1〜4及び参考例1〜7で得られた接合体の特性の評価]
各実施例、各比較例及び各参考例で採用している方法と同様の方法で、各実施例、各比較例及び各参考例ごとに、前記接合体をそれぞれ3個準備した。すなわち、実施例1〜7、比較例1〜4及び参考例1〜7で得られた接合体をそれぞれ3個づつ準備した。このようにして3個づつ準備した各実施例、各比較例及び各参考例で得られた接合体をそれぞれ用いて、以下のようにして接合強度を評価した。すなわち、各接合体の両端(金属材料の端部(樹脂材料と接触していない端部)と樹脂材料の端部(金属材料と接触していない端部):図1に示す接合体における左側の端部と右側の端部)を、引張試験装置(インストロンジャパン社製の商品名「インストロン型万能試験機」)を用いて、引っ張り速度10mm/minで引っ張って、金属材料と樹脂材料との接合部が剥がれた際のせん断強度(単位:MPa)を測定した。そして、各実施例、各比較例及び各参考例ごとに、3個の接合体の前記せん断強度の平均値を求め、かかるせん断強度の平均値を接合強度の指標とした。得られた結果を表3に示す。
表3に示す結果からも明らかなように、凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり且つ接合界面領域における凹凸形状の存在比率(面積比)が40%以上となっている金属材料を用いた実施例1〜7で得られた接合体(本発明の接合体)及び参考例1〜7で得られた接合体においてはいずれも、接合強度の指標であるせん断強度が5MPa以上となっており、十分に高度な強度で樹脂材料と金属材料とが接合されていることが確認された。このような結果から、凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり且つ接合界面領域における凹凸形状の存在比率(面積比)が40%以上となっている金属材料を利用することにより、十分に高度な接合強度が得られることが分かった。
なお、実施例1〜7で得られた接合体(本発明の接合体)及び参考例1〜7で得られた接合体に関して、金属材料の前記樹脂材料が接合されるべき領域を有機化合物で修飾した場合と、金属材料を有機化合物で修飾していない場合とにおける接合強度の違いを比較するため、有機化合物の修飾の有無以外は共通する構成を有する材料を利用した場合についての接合体同士の接合強度を比較するグラフを図21〜図27(図21:実施例1と参考例1、図22:実施例2と参考例2、図23:実施例3と参考例3、図24:実施例4と参考例4、図25:実施例5と参考例5、図26:実施例6と参考例6、図27:実施例7と参考例7)に示す。
このような図21〜27に示す結果からも明らかなように、凹凸形状が形成された金属材料の表面上の前記樹脂材料が接合されるべき領域を有機化合物により有機修飾することで、接合強度がより向上することが確認された。すなわち、前述のような特性を有する凹凸形状を有する金属材料において、前記樹脂材料が接合されるべき領域を前記有機化合物により修飾することによって、金属材料と樹脂材料との間において、より高度な接合強度が達成されることが分かった。
これに対して、凹凸形状が形成されていない金属材料を用いた比較例2で得られた接合体や、凹凸形状が形成されていたとしても、その凹凸形状の平均高さが100nm未満であり且つ接合界面領域における凹凸形状の存在比率(面積比)が40%未満である金属材料を用いた比較例3で得られた接合体は、接合強度が十分なものとはならなかった。更に、凹凸形状の平均高さが80〜600nmであり、前記凹凸形状の凸部の頂点間の平均距離が100〜3000nmであり且つ接合界面領域における凹凸形状の存在比率(面積比)が40%以上となっている金属材料を用いた場合であっても、接合する樹脂がポリプロピレン(PP)である場合(比較例1)には、樹脂材料と金属材料とを十分に接合することができないことが確認された。このような結果から、十分に高度な接合強度を得るためには、上記本発明にかかる樹脂材料用金属材料を用いつつ、それに接合させる樹脂材料を、チオール基、エステル基、アミド基、エーテル基等のような金属との結合が可能な官能基を有する樹脂を含有するものとする必要があることが分かった。
また、前記樹脂材料が接合されるべき領域を有機化合物で修飾した場合であっても、有機化合物として平均分子量が2000であるPEGSHを用いた比較例4で得られた接合体においては、接合強度が十分なものとはならないことが確認された。なお、同一種類の金属材料及び樹脂材料を利用している実施例1、参考例1及び比較例4で得られた接合体の接合強度のグラフを図28に示す。このような結果から、PEGSHとして平均分子量が1000のものを用いた場合に接合強度が十分に向上しているのに対して、平均分子量が2000のものを用いた場合には接合強度が却って低下してしまうことが確認された。なお、このような結果は、平均分子量が2000である有機化合物を利用した場合には、主骨格を形成するポリマー鎖が多くなり過ぎるため(長くなるため)、凹凸形状を形成する金属粒子を覆うようにして有機化合物が修飾されてしまい、金属粒子の表面に樹脂材料中の官能基を結合させることが困難となって接合強度が低下することに起因するものと本発明者らは推察する。そして、このような結果から、平均分子量が1200以下の有機化合物を利用することにより、金属粒子(凹凸形状)と樹脂材料との間の相互作用(樹脂材料の官能基と金属粒子との結合及びアンカー効果等)と、金属粒子に修飾した有機化合物と樹脂材料との間の高い親和性とをバランスよく利用することが可能となり、樹脂材料と金属材料との間の接合強度をより向上させることが可能となることが分かった。