以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.本実施形態の概要
低解像画像を高解像化する手法として、超解像処理や、画素シフトを用いた手法が知られている。超解像処理では、上述のように高解像画像の推定処理、その推定画像の劣化処理、その劣化画像と元の低解像画像との比較処理を繰り返す。画素シフトを用いた手法としては、例えば特許文献1、2の手法が知られている。
特許文献1には、画素シフトさせた低解像画像を動画撮影時に時系列的に順次撮影し、それらの複数の低解像画像を合成することにより高解像画像を仮定し、その仮定した高解像画像に対して上記のような超解像処理を施し、尤度の高い高解像画像を推定する手法が開示されている。しかしながら、一般的な超解像処理では、2次元フィルタを多用して繰り返し演算を行うことにより推定精度を上げていく手法なので、非常に処理の規模が大きくなり、膨大な処理時間がかかると言う課題がある。そのため、処理能力やコストの制限がある機器への適用は困難であり実用的ではない。また、この手法では時系列な複数の画像を用いるため、動きのある被写体の場合には画像の位置ずれが生じ、著しい画質劣化が発生するという課題がある。
また特許文献2には、画素シフトさせた複数枚の低解像画像を取得し、求めたい高解像画像を構成する仮の画素を副画素に設定し、その副画素の平均値と、観測される低解像画像の画素値とが一致すると仮定し、副画素の画素値を推定する手法が開示されている。しかしながら、この手法では、複数の副画素の初期値を設定し、算出したい副画素を除く副画素の画素値を低解像画像の画素値から差し引いて画素値を求め、その画素値を隣接する画素に対して順次適用する。そのため、初期値の特定が上手くいかないと推定誤差が非常に大きくなるという課題がある。初期値を設定するために副画素の画素値変化が小さく、ほぼそれらの平均値とそれらをカバーする低解像画素値が等しくなる部分を画像から見つけ出している。そのような部分を探索する処理においては、観測画像に適当な部分がないと推定は困難になる。この手法においても動きのある被写体の場合では画質劣化が発生する。
このように従来の高解像化手法では、複雑且つ膨大な演算を伴うものが多いという課題や、動きのある被写体で画質が劣化する、という課題があり、広く機器への適用を容易にするために、より簡素且つ効果的な高解像化処理が望まれている。
そこで本実施形態では、瞳分割により位相差画像(視差画像)を取得し、その位相差画像が持つ視差を利用して高解像化を行う。具体的には、第1実施形態で後述するように、撮像素子(以下では適宜「撮像センサ」とも呼ぶ)の画素の中間位置における画素値を、その中間位置に隣接する位相差画像の画素の画素値(サンプリング値)に基づいて推定する。或は、第2実施形態で後述するように、ボケ画像をもたらすポイントスプレッドファンクション(劣化関数、点広がり関数)の波形整形を行うことにより、解像度を回復させ、元の画像の解像度よりも高い解像度の画像を生成する。このように位相差画像の視差を利用して高解像化を行うことにより、簡素な演算により高解像画像を生成することが可能となる。
2.第1実施形態
2.1.撮像光学系の基本構成
次に、本実施形態の高解像化手法について詳細に説明する。まず、第1実施形態について説明する。
図1に、本実施形態における撮像光学系の基本構成例を示す。この撮像光学系は、撮像素子のセンサ面に被写体を結像させる結像レンズLNSと、第1瞳と第2瞳で帯域を分離する光学フィルタFLTと、を含む。なお以下では、第1瞳を右瞳とし、第2瞳を左瞳とする場合を例にとり説明する。また、左瞳から右瞳へ向かう瞳分割の方向を、適宜「視差方向」とも呼び、この視差方向(即ち水平走査方向)に沿った画素位置を位置xで表すものとする。
光学フィルタFLTは、帯域{rL,g,bL}を透過する右瞳フィルタFL1(第1フィルタ)と、帯域{rR,g,bR}を透過する左瞳フィルタFL2(第2フィルタ)と、を有する。光学フィルタFLTは、撮像光学系の瞳位置(例えば絞りの設置位置)に設けられ、フィルタFL1、FL2がそれぞれ右瞳(第1瞳)、左瞳(第2瞳)に相当している。帯域{bR,bL,g,rR,rL}は、図16に示すように撮像素子がもつ帯域を5バンドに分割したものであり、bR,bLは青色の帯域を2バンドに分割したものであり、rR,rLは赤色の帯域を2バンドに分割したものである。この帯域の詳細については、第3実施形態で後述する。なお、本実施形態では、この帯域分割に限定されず、同色の帯域を分割して右瞳と左瞳に割り当てた帯域分割であればよい。
瞳分割の方向である視差方向は、撮像素子の水平走査方向及び垂直走査方向に対して交差する方向である。撮像素子の画素ピッチが水平走査方向と垂直走査方向で同一の場合には、視差方向は、水平走査方向及び垂直走査方向に対して45度を成す方向となる。なお、図1には、視差方向(x方向)に対して直交する矢視方向から見た撮像光学系を図示している。
結像レンズLNS及び光学フィルタFLTを透過した結像光には、右瞳を通過した被写体像と左瞳を通過した被写体像が含まれる。撮像素子は例えばRGBベイヤ配列の撮像素子であり、その撮像素子は、これらの被写体像を含む結像光束を画像として撮像する。そして、左右瞳の透過率特性が明確に帯域分離されていることを用いて、撮像画像から右瞳画像(第1画像)の画素値IR(x)と左瞳画像(第2画像)の画素値IL(x)を求める。なお、IR(x)、IL(x)は位置xにおける画素値を表すが、画像全体を表す符号としても適宜IR(x)、IL(x)を用いる。
右瞳画像IR(x)は、例えば、分光推定した成分値{rR R,rR G,bR B}をそれぞれR、G、Bの画素値として構成する。左瞳画像IL(x)は、例えば、分光推定した成分値{rL R,bL G,bL B}をそれぞれR、G、Bの画素値として構成する。この右瞳画像IR(x)と左瞳画像IL(x)の生成手法としては、例えば第3実施形態で後述する手法を用いることができる。ここで、例えばrR Rは、光学フィルタFLTの右瞳フィルタ及び撮像素子の赤色フィルタを通過した帯域rRの成分値である。即ち、成分値を表す符号の上付きサフィックスは、右瞳「R」及び左瞳「L」のいずれを通過したかを表し、下付サフィックスは、赤色フィルタ「R」、緑色フィルタ「G」、青色フィルタ「B」のいずれを通過したかを表す。成分値{rR G,bL G}は、それぞれ赤色の帯域rR、青色の帯域bLの成分値であるが、撮像素子の緑色フィルタを通過した成分であるため、緑色成分として考えることができる。
図1に示すように、フォーカス位置FPに撮像素子のセンサ面がある場合には、右瞳画像IR(x)と左瞳画像IL(x)は視差方向にずれておらず、位置が一致している。一方、デフォーカス位置Drに撮像素子のセンサ面がある場合には、右瞳画像IR(x)と左瞳画像IL(x)は視差方向にずれる。
例えば、図1に示すデフォーカス位置Drは、フォーカスが撮像素子のセンサ面よりも前側にある前ピント状態であり、右瞳を通過した光束が左側に存在し、左瞳を通過した光束が右側に存在する。この前ピント状態の場合、光束の分離方向に対応して、右瞳画像IR(x)が左側(−x方向)にずれ、左瞳画像IL(x)が右側(+x方向)にずれる。図1には、このデフォーカス位置DrでのIR(x)、IL(x)を例として図示しており、IR(x)、IL(x)のずれ量をδで表す。一方、フォーカスが撮像素子のセンサ面よりも後ろ側にある後ピント状態では、右瞳画像IR(x)が右側にずれ、左瞳画像IL(x)が左側にずれる。
なお、以下では後ピント状態の場合を例に本実施形態の高解像化処理について説明するが、前ピント状態の場合にも同様の処理により高解像化を行うことができる。後ピント状態・前ピント状態の判断手法としては、例えば相関演算により右瞳画像IR(x)と左瞳画像IL(x)のずれ方向を判断する手法が考えられる。
2.2.画像処理装置
図2に、本実施形態の高解像化処理を行う画像処理装置の構成例を示す。この画像処理装置は、データ記録部200、マルチバンド推定部270、位相差画像生成部220、高解像化処理部225を含む。なお、本実施形態は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。本実施形態の画像処理装置としては、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置が想定される。或は、本実施形態の画像処理装置は、撮像装置に含まれてもよい。
データ記録部200は、図1の撮像光学系で撮像されたRGB画像のデータを記録する。例えば、データ記録部200は、パーソナルコンピュータの記憶装置で構成される。マルチバンド推定部270は、データ記録部200からRGB画像を読み出し、そのRGB画像から各バンドの画素値{bR B,bL B,bL G,g,rR G,rR R,rL R}を推定する。位相差画像生成部220は、その画素値{bR B,bL B,bL G,g,rR G,rR R,rL R}から右瞳画像IR(x)={rR R,rR G,bR B}と左瞳画像IL(x)={rL R,bL G,bL B}を生成する。この分離した右瞳画像IR(x)と左瞳画像IL(x)を、以下では「位相差画像」と呼ぶ。高解像化処理部225は、位相差画像IR(x)、IL(x)に対して高解像化処理を行い、その処理で得られた高解像画像を出力する。
2.3.高解像化処理
次に、本実施形態の高解像化処理について詳細に説明する。図3に、青色成分{bR B,bL B}のサンプリング波形と、それを撮像センサの青色画素で撮像したサンプリング値とを模式的に示す。画像の水平走査方向における画素位置をi(iは自然数)で表し、画像の垂直走査方向における画素位置をj(jは自然数)で表すと、画像のx方向における画素位置は、(i,j)、(i+1,j+1)、(i+2、j+2)、・・・で表される。なお以下では、図示を簡単にするため、水平走査方向の画素位置i、i+1、i+2、・・・のみでx方向における画素位置を図示する。
青色の画素値を構成する2つの分光成分bR BとbL Bは、例えば第3実施形態で説明する分光推定処理等により分離され、デフォーカス領域では位相差δをもった類似波形として求められる。即ち、分光推定処理により、青色画像として2種類の位相差画像I(bR B)、I(bL B)が生成される。この位相差δを有する2つの波形は、同一の画素位置(i,j)、(i+1,j+1)、(i+2、j+2)、・・・でサンプリングされる。即ち、同一の波形を位相差δだけ異なった位置でサンプリングした値が、分光成分bR BとbL Bとして得られることとなる。
位相差δは、分光成分bR BとbL Bの相互相関演算を行うことにより算出できる。相互相関演算については、特に限定するものではなく一般的な公知手法を用いればよい。なお、本実施形態では、必ずしも位相差δを求める必要はない。
以上では、青色成分{bR B,bL B}について説明したが、赤色成分{rR R,rL R}や緑色成分{rR G,bL G}についても同様である。また、当然ながら本実施形態においては原理上、フォーカス位置では位相差が発生せず、位相差画像I(bR B)、I(bL B)が同一位置となることは言うまでもない。
図4に、左右瞳のポイントスプレッドファンクション(PSF: Point Spread Function)とサンプリング値の関係を模式的に示す。図4では、撮像センサにより得られる画素位置(i,j)のサンプリング値をI(i)と表し、分光推定で求めた位相差画像での画素位置(i,j)のサンプリング値をIR (i)、IL (i)と表わす。なお、サンプリング値I(i)、IR (i)、IL (i)は、赤色、緑色、青色のそれぞれについて存在する。
図4に示すように、瞳分割されていない光学系による結像画像をf(x)とすると、瞳分割された光学系による実際の撮像画像は、f(x)に対して右瞳のポイントスプレッドファンクションPSFRと左瞳のポイントスプレッドファンクションPSFLをコンボリューションしたものとなる。ここで図4の“*”はコンボリューション演算を表す。x方向において画素は(i,j)、(i+2,j+2)、(i+4,j+4)、・・・に存在しており、コンボリューションされた結像画像が各画素位置でサンプリングされるので、撮像画像のサンプリング値としてI(i)、I(i+2)、I(i+4)、・・・が得られる。
画素位置(i,j)を例にとると、サンプリング値I(i)は、f(x)に対してPSFR、PSFLの両方をコンボリューションしたものであるが、分光推定することにより、f(x)に対して、それぞれPSFR、PSFLをコンボリューションしたサンプリング値IR (i)、IL (i)を得ることができる。これらのサンプリング値IR (i)は、それぞれPSFR、PSFLの重心位置で結像画像f(x)をサンプリングした値と見なすことができる。即ち、サンプリング位置は画素位置(i,j)であるにも関わらず、位相差δだけシフトした位置でサンプリングした画素値IR (i)、IL (i)を得ることができる。
図5は、上記の左右瞳のポイントスプレッドファンクションとサンプリング値の関係を画像平面で表した図である。図5において、白四角は、撮像により得られたサンプリング値I(i)を表し、その白四角を中心とする円は、PSFR、PSFLの分布を模式的に表したものである。また、黒丸は、PSFRの重心位置に存在するとみなした右瞳画像のサンプリング値IR (i)を表し、白丸は、PSFLの重心位置に存在するとみなした左瞳画像のサンプリング値IL (i)を表す。なお画像データとしては、IR (i)、IL (i)は位置(i,j)での画素値である。
さて、レンズを介して得られる光学的結像画像の解像度が撮像センサのサンプリング密度に比べて高い場合には、そのサンプリング密度では光学的結像画像の解像度を十分に表すことができない。そこで本実施形態では、図4や図5に示すように、隣接する検出サンプリング点(i,j)、(i+2,j+2)の間の仮想サンプリング点(i+1,j+1)でのサンプリング値I’(i+1)を推定する。これにより、高い解像度を表わせるサンプリングが実現できるため、高い光学的結像画像の取得が可能である。
具体的には、図6(A)に示すように画素位置(i+1,j+1)を例にとると、検出サンプリング点は(i,j)、(i+2,j+2)であり、そのサンプリング値はIR (i)、IL (i)、IR (i+2)、IL (i+2)である。推定サンプリング値I’(i+1)は、これら検出サンプリング点でのサンプリング値を用いて、下式(1)により求める。ここで、φは係数であり、0≦φ≦1.0の範囲をとると効果的である。
I’(i+1)=[IL (i)+IR (i+2)]+φ・[IR (i)+IL (i+2)] (1)
上式(1)を一般的な画素位置について表した場合には、下式(2)となる。ここで、k=0、1、2、・・・である。
I’(i+2k+1)=[IL (i+2k)+IR (I+2k+2)]+
φ・[IR (i+2k)+IL (i+2k+2)] (2)
上式(1)では、第1加算値[IL (i)+IR (i+2)]と、第2加算値[IR (i)+IL (i+2)]に係数φを乗じた値と、を加算して推定サンプリング値I’(i+1)を求める。図6(A)には、この上式(1)の演算を考慮したポイントスプレッドファンクションと結像画像f(x)とのコンボリューションを模式的に示している。上式(1)の演算は、これらのポイントスプレッドファンクションを加算することに相当する。即ち、図6(B)に示すように、その加算したポイントスプレッドファンクションをPSFAとすると、推定サンプリング値I’(i+1)は、その仮想的なポイントスプレッドファンクションPSFAと結像画像f(x)のコンボリューションで得られた値とみなすことができる。
以上のようにして、検出サンプリング位置(i,j)、(i+2,j+2)の中間位置(i+1,j+1)での推定サンプリング値I’(i+1)を得ることができる。即ち、x方向において、実際のサンプリング密度よりも2倍の密度をもつサンプリング値を求めることができる。
次に、上記の推定サンプリング値から高解像画像を生成する手法について説明する。なお以下ではRGBベイヤ配列の撮像素子を例にとり説明する。
図7に示すように、R画像では、撮像により画素位置(i,j)、(i+4,j+4)、(i+8,j+8)、・・・でのサンプリング値が得られる。推定サンプリング値の画素位置は、(i+2,j+2)、(i+6,j+6)、・・・である。これらのサンプリング値に対してベイヤ補間処理を行い、画素位置(i+2,j)、(i,j+2)等のサンプリング値を求める。
図8に示すように、B画像では、撮像により画素位置(i+2,j+2)、(i+6,j+6)、・・・でのサンプリング値が得られる。推定サンプリング値の画素位置は、(i,j)、(i+4,j+4)、(i+8,j+8)、・・・である。これらのサンプリング値に対してベイヤ補間処理を行い、画素位置(i+2,j)、(i,j+2)等のサンプリング値を求める。
図9に示すように、G画像では、撮像により画素位置(i,j)、(i+2,j+2)、(i+4,j+4)、・・・でのサンプリング値が得られる。推定サンプリング値の画素位置は、(i+1,j+1)、(i+3,j+3)、(i+5,j+5)、・・・である。これらのサンプリング値に対してベイヤ補間処理を行い、画素位置(i+2,j)、(i,j+2)、(i+3,j+1)、(i+1,j+3)等のサンプリング値を求める。このG画像のベイヤ補間処理では、以下に説明する方向尤度補間を行ってもよい。
図10を用いて方向尤度補間について説明する。以下では、画素位置(i+5,j+3)の画素値を求める場合を例に説明し、画素位置(i,j)でのG画像の画素値をg(i)(j)と表すものとする。
着目画素g(i+5)(j+3)の補間値を求める場合、その近傍画素からの補間において、一般的に変化が小さい方向の隣接画素から補間を行う方が尤度の高い値が求められる。そこで、まず、着目画素g(i+5)(j+3)の近傍において、水平方向vと垂直方向hのいずれの方向で、画素値の変化がより小さいかを判定する。
具体的には、水平方向hにおける画素値変化の評価値Ehを下式(3)、(4)により求める。
eh1=|g(i+2)(j+2)−g(i+6)(j+2)|+
|g(i+6)(j+2)−g(i+10)(j+2)|,
eh2=|g(i+3)(j+3)−g(i+7)(j+3)|+
|g(i+7)(j+3)−g(i+11)(j+3)|,
eh3=|g(i+4)(j+4)−g(i+8)(j+4)|+
|g(i+8)(j+4)−g(i+12)(j+4)| (3)
Eh=eh1+eh2+eh3 (4)
また、垂直方向vにおける画素値変化の評価値Evを下式(5)、(6)により求める。
ev1=|g(i+4)(j)−g(i+4)(j+4)|+
|g(i+4)(j+4)−g(i+4)(j+8)|,
ev2=|g(i+5)(j+1)−g(i+5)(j+5)|+
|g(i+5)(j+5)−g(i+5)(j+9)|,
ev3=|g(i+6)(j+2)−g(i+6)(j+6)|+
|g(i+6)(j+6)−g(i+6)(j+10)| (5)
Ev=ev1+ev2+ev3 (6)
そして、評価値Eh、Evの大小関係に基づいて補間方向を選択する。即ち、Eh≦Evである場合には、下式(7)により画素値g(i+5)(j+3)を求め、Eh>Evである場合には、下式(8)により画素値g(i+5)(j+3)を求める。
Eh≦Ev:
g(i+5)(j+3)={g(i+3)(j+3)+g(i+7)(j+3)}/2 (7)
Eh>Ev:
g(i+5)(j+3)={g(i+5)(j+1)+g(i+5)(j+5)}/2 (8)
さて、x方向に瞳分割を行うことによってx方向(右斜め方向)のサンプリング密度を上げることができるが、x方向に直交するy方向(左斜め方向)のサンプリング密度は上がらない。そのため、方向を考慮せずに近傍画素から補間しただけでは、補間の推定精度が得られない。この点、本実施形態では、画素値の変化率が小さい方向を判定し、その判定した方向で補間を行うので、補間の推定精度を改善することができる。
次に、上記のベイヤ補間で得られたR’画像、G’画像、B’画像から高解像画像を生成する手法について説明する。
上記のベイヤ補間で得られたR’画像、G’画像、B’画像は、撮像時のサンプリング密度に対して水平垂直共に2倍のサンプリング密度となっている。図10に示すように、それらの画像に対してデモザイキング処理を行い、高解像画像の画素値を求める。即ち、R’画像とB’画像については、例えば画素位置(i+1,j)、(i,j+1)、(i+1,j+1)等の画素値をデモザイキング処理で求める。G’画像については、例えば画素位置(i+1,j)、(i,j+1)等の画素値をデモザイキング処理で求める。そして、これらのデモザイキング処理後の画像を合わせて、RGBの高解像画像を出力する。
以上の高解像化処理を行うことで、撮像センサの画素密度により取得できる解像度を上回る解像度のサンプリング画像を得ることができる。撮像時点での画素数は変わらないので、撮像時のデータ量を増やすことなく、より高い解像度の画像を生成することが可能となる。本実施形態では、光学解像度が撮像解像度よりも高い場合を想定しているので、高解像化処理によって与えられた撮像センサのサンプリング密度では得られなかった光学解像度を撮像画像として復元できることになる。このような復元効果が得られることで、焦点深度の拡大や、被写界深度の拡大が可能となり、フォーカスが合う範囲を広げることができる。これにより、例えばデジタルカメラなどでは、光学的フォーカスが多少甘い場合であっても合焦度の高い画像を生成することが可能となる。或は、焦点深度が狭い顕微鏡や、広い被写界深度が求められる内視鏡などでは、被写界深度が広がることによりフォーカス調整が容易になる。
2.4.係数φの決定手法
図12に、上式(1)、(2)の係数φを決定する処理のフローチャートを示す。例えば、設計段階においてこのフローを実行し、予め係数φを設定すればよい。
この処理が開始されると、まず係数φの初期値を設定する(ステップS1)。初期値は例えばφ=0である。次に、係数φが所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS2)。所定範囲は例えば0≦φ≦1である。係数φが所定範囲内である場合には、その係数φを用いて高解像化処理を行い、高解像画像を生成する(ステップS3)。次に、その高解像画像の画質評価を行う(ステップS4)。画質評価としては、主観評価や定量評価等の種々の評価手法を用いることができる。次に、画質評価の結果を判断する(ステップS5)。上記のような評価手法を用いた結果、所定の値を満たした場合、つまり、画質が良好であると判断した場合には、処理を終了する。画質が良好でない場合には、φをΔφだけ変化させ(ステップS6)、再びステップS2を実行する。ステップS2において、係数φが所定範囲内でない場合には、ステップS1を再び実行する。
以上のフローを複数の画像に対して適用して各画像についての係数φを決定し、その各画像についての係数φに基づいて最終的な係数φを決定する。例えば、各画像についての係数φにおいて、最も出現頻度が高い値を最終的な係数φに決定する。
以上の実施形態によれば、図2に示すように画像処理装置は画像取得部(データ記録部200)と位相差画像生成部220と高解像化処理部225とを含む。画像取得部は、第1被写体像(右瞳を通過した被写体像)と、第1被写体像に対して視差を有する第2被写体像(左瞳を通過した被写体像)と、を撮像して得られた撮像画像を取得する。位相差画像生成部220は、その撮像画像に基づいて、第1被写体像に対応する第1画像IR(右瞳画像)と第2被写体像に対応する第2画像IL(左瞳画像)とを生成する。高解像化処理部225は、その第1画像IRと第2画像ILとに基づいて、撮像画像の高解像化処理を行う。
ここで「視差」とは、被写体と観測点(本実施形態では光学系の瞳)の相対的な位置の違いによって、結像の位置が変化する(ずれる)ことである。
このようにすれば、視差を有する第1画像IRと第2画像ILを撮像画像から分離することができ、その分離した第1画像IRと第2画像ILを用いて高解像化処理を行うことができる。図4や図5で説明したように、第1画像IRと第2画像ILの画素値は、実際のサンプリング位置から視差の分だけずれた仮想的なサンプリング位置での画素値とみなすことができる。このようなサンプリング位置のシフトによって、第1画像IRと第2画像ILは、撮像素子のサンプリング密度よりも2倍の密度でサンプリングした画像と考えることができる。このようなサンプリング密度が高い第1画像IRと第2画像ILを利用することで、2次元フィルタの繰り返し演算のような高負荷の処理が不要となり、例えば上式(1)のように画素値を加算するだけの簡素な処理で高解像化を実現できる。
また本実施形態では、図1等で説明したように、第1被写体像と第2被写体像との間の視差は、撮像画像を撮像する撮像素子の水平走査方向h及び垂直走査方向vに交差する方向の視差である。図5等に示すように、高解像化処理部225は、第1画像IR及び第2画像ILの画素のうち視差の方向(x方向)に沿って並ぶ画素の画素値I(i)、I(i+2)、I(i+4)、・・・に基づいて、視差の方向(x方向)で撮像画像を高解像化する処理を行う。
このようにすれば、撮像素子の水平走査方向h及び垂直走査方向vに交差するx方向に高解像化されるので、その結果として、水平走査方向h及び垂直走査方向vのいずれの方向においても解像度を向上させることができる。
また本実施形態では、図5等に示すように、高解像化処理部225は、視差の方向(x方向)に隣り合う第1画素(I(i))と第2画素(I(i+2))との間に補間対象画素(I’(i+1))を設定する。そして、第1画像IR及び第2画像ILのうち一方の画像ILにおける第1画素の画素値IL (i)と、第1画像IR及び第2画像ILのうち他方の画像IRにおける第2画素の画素値IR (i+2)とに基づいて、補間対象画素の画素値I’(i+1)を求める。
このようにすれば、視差によってサンプリング位置が仮想的にシフトした画素のうち、その仮想的なサンプリング位置が補間対象画素に近い画素を選択することが可能となる。そして、その仮想的なサンプリング位置が補間対象画素に近い画素に基づいて補間対象画素の画素値を求めることにより、元のサンプリング位置での画素値で補間した場合よりも補間精度を向上できる。
3.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一の内容(例えば撮像光学系の基本構成や、撮像装置の構成など)については、適宜説明を省略する。また、以下では後ピント状態の場合を例にとって説明するが、前ピント状態の場合にも同様の処理により高解像化を行うことができる。
第2実施形態では、撮像センサのサンプリング密度が、光学的結像の解像度に対して十分である場合を想定する。即ち、光学的結像がある程度ボケており、撮像センサの解像度よりも光学的結像の解像度が低い場合を考える。本実施形態では、そのようなボケ画像の解像度を復元する処理を行う。第1実施形態とは異なり、撮像センサのサンプリング密度で決まる解像度以上の復元を行うわけでなく、あくまでも撮像センサのサンプリング密度の範囲内で解像度を復元する。
具体的には、図13(A)に示すように、撮像により画素位置(i,j)、(i+2,j+2)、(i+4,j+4)でのサンプリング値が得られる。そして、これらの検出サンプリング値に基づいて画素位置(i+2,j+2)でのサンプリング値I’(i+2)を推定する。推定サンプリング値I’(i+2)は、下式(9)により求められる。
I(i+2)=[IL (i+2)+IR (i+2)]+
ξ・[IL (i+4)+IR (i)] (9)
ここで、ξは係数であり、−1.0≦ξ≦0の範囲をとると効果的である。この係数ξは、図12で説明したフローと同様の処理で決定できる。即ち、ステップS1において例えば初期値ξ=−1.0を設定し、係数ξについてステップS2以降を実行すればよい。
上式(9)を一般的な画素位置について表した場合には、下式(10)となる。ここで、k=0、1、2、・・・である。即ち、推定サンプリング値は、全ての画素位置(i,j)、(i+2,j+2)、(i+4,j+4)、・・・について求められ、その推定サンプリング値で元の検出サンプリング値を置き換えることにより、高解像画像を生成する。
I(i+2k)=[IL (i+2k)+IR (i+2k)]+
ξ・[IL (i+2k+2)+IR (i)] (10)
上式(9)では、第3加算値[IL (i+2)+IR (i+2)]と、第4加算値[IL (i+4)+IR (i)]に係数ξを乗じた値と、を加算して推定サンプリング値I’(i+2)を求める。図13(A)には、上式(9)の演算に関わる4つのポイントスプレッドファンクションと結像画像f(x)とのコンボリューションを模式的に示している。上式(9)の演算は、IL (i+2)、IR (i+2)に対応するポイントスプレッドファンクションから、IL (i+4)、IR (i)に対応するポイントスプレッドファンクションを減算することに相当する。即ち、図13(B)に示すように、その減算したポイントスプレッドファンクションをPSFBとすると、推定サンプリング値I’(i+2)は、その仮想的なポイントスプレッドファンクションPSFBと結像画像f(x)のコンボリューションで得られた値とみなすことができる。
この仮想的なポイントスプレッドファンクションPSFBは、通常の何もしないポイントスプレッドファンクションPSFR、PSFLに比べて高周波成分をもっている。即ち、光学特性によって決まるポイントスプレッドファンクションを、画像処理によって、より高周波成分をもつ波形に成形したことになる。このようなポイントスプレッドファンクションの波形成形により、光学的にボケた解像度を復元することが可能となる。
以上の実施形態によれば、高解像化処理部225は、視差の方向(x方向)に隣り合う第1〜第3画素(画素位置(i,j)、(i+2,j+2)、(i+4,j+4)の画素)のうち第1画素と第3画素との間の第2画素を推定対象画素(I’(i+2))に設定する。そして、第1画像IR及び第2画像ILにおける第2画素の画素値IR (i+2)、IL (i+2)と、第1画像IR及び第2画像ILのうち一方IRの画像における第1画素の画素値IR (i)と、第1画像IR及び第2画像ILのうち他方の画像ILにおける第2画素の画素値IL (i+4)とに基づいて、推定対象画素の画素値I’(i+2)を求める。
このようにすれば、上述したように、光学特性によって決まるポイントスプレッドファンクションを画像処理によって高周波成分をもつ波形に成形することが可能となる。これにより、光学的にボケた画像の解像度を改善できるため、例えば被写界深度の拡大等を実現することが可能となる。例えば顕微鏡のような被写界深度が狭い光学系で撮像した画像に対して本実施形態を適用することで、見かけ上、被写界深度が広がったかのような効果が得られる。
4.第3実施形態
4.1.撮像装置
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、RGB画像から5バンドの画像を推定し、その5バンドの画像のうち、右瞳に対応するバンドの画像から右瞳画像IRを生成し、左瞳に対応するバンドの画像から左瞳画像ILを生成する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一の内容(例えば撮像光学系の基本構成や、高解像化処理など)については、適宜説明を省略する。
図14に、第3実施形態における撮像装置の構成例を示す。この撮像装置は、結像レンズLNS、光学フィルタFLT、撮像部10、位相差画像生成部20、高解像化処理部25(高解像画像生成部)、表示画像生成部30、モニタ表示部40、マルチバンド推定部70、マルチバンド画像生成部75、データ圧縮部90、データ記録部100を含む。なお、本実施形態の撮像装置は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略(例えばマルチバンド画像生成部75、データ圧縮部90など)したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
撮像部10は、撮像素子と撮像処理部を含むことができる。撮像素子は、例えばRGB3原色の撮像素子であり、結像レンズLNS及び光学フィルタFLTによって結像された被写体を撮像する。撮像処理部は、撮像動作の制御や、アナログの画素信号をA/D変換する処理、ベイヤ画像に対するデモザイキング処理などを行う。また撮像部10は、分光特性記憶部を含むことができる。その分光特性記憶部は、撮像素子がもつカラーフィルタの分光特性のデータを記憶しており、そのデータをマルチバンド推定部70に出力する。ここで、撮像されるRGB成分は、厳密にはカラーフィルタのみならず撮像素子の分光感度特性や、結像レンズLNSの分光特性によって決まるものである。即ち、分光特性記憶部は、撮像素子や結像レンズLNSの分光特性を含んだ分光特性のデータを記憶する。
マルチバンド推定部70は、撮像画像と分光特性のデータとに基づいてマルチバンド推定処理を行う。具体的には、図16に示すように、撮像センサのカラーフィルタがもつ波長域を5バンド{rL,rR,g,bL,bR}に分割する。光学フィルタFLTの右瞳は帯域{rR,g,bR}を透過し、左瞳は帯域{rL,g,bL}を透過する。マルチバンド推定部70は、撮像画像I(x)のRGB画素値から5バンド{rL,rR,g,bL,bR}の画素値を推定する。
位相差画像生成部20は、5バンド{rL,rR,g,bL,bR}の画素値から、右瞳画像IR={rR R,rR G,bR B}と左瞳画像IL={rL R,bL G,bL B}を生成する。この2画像を位相差画像とする。
高解像化処理部225は、位相差画像IR(x)、IL(x)に対して高解像化処理を行い、その処理で得られた高解像画像を出力する。
マルチバンド画像生成部75は、推定した5バンド{rL,rR,g,bL,bR}の画素値から各バンドの画像を生成し、その画像をマルチバンド画像として出力する。
表示画像生成部30は、5バンド{rL,rR,g,bL,bR}の画素値から表示用のRGB画像を生成する。例えば{rR,g,bR}の画素値をRGB画像とする。モニタ表示部40は、表示画像生成部30が生成した画像を表示する。
データ圧縮部90は、撮像部10からのRGB画像を圧縮する処理を行う。データ記録部100は、圧縮されたRGB画像データと、カラーフィルタの分光特性データとを記録する。これらの記録データは、撮影後の事後処理においてマルチバンド推定処理や位相差検出処理に用いることが可能である。なお、この事後処理は、撮像装置と別体に構成された情報処理装置で行ってもよい。
4.2.画像処理装置
図15に、撮像装置と別体に構成した画像処理装置の構成例を示す。この画像処理装置は、データ記録部200、データ伸張部210、位相差画像生成部220、高解像化処理部225、表示画像生成部230、モニタ表示部240、マルチバンド推定部270、マルチバンド画像生成部275を含む。なお、本実施形態の画像処理装置は図15の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略(例えばマルチバンド画像生成部275、データ伸張部210など)したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
データ記録部200は、例えば外部記憶装置(例えばメモリカード等)により構成され、撮像装置により記録されたRGB3板画像データ及び分光特性データを記憶している。データ伸張部210は、撮像装置により圧縮されたRGB3板画像データを伸張する処理を行う。
位相差画像生成部220、高解像化処理部225、表示画像生成部230、モニタ表示部240、マルチバンド推定部270、マルチバンド画像生成部275については、撮像装置で説明した各構成要素と同様の動作や処理を行うため、説明を省略する。
4.3.バンド分割手法
次に、撮像画像から位相差画像を取得するためのマルチバンド推定処理について詳細に説明する。なお以下では、RGBベイヤ配列の撮像素子を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、カラーフィルタの透過率特性に重なり部分がある撮像素子でさえあればよい。
図16にバンド分割についての説明図を示す。図16に示すように、5バンドの成分bR、bL、g、rR、rLは、撮像系の分光特性に応じて定まる成分である。図16には、撮像系の分光特性として、撮像センサのカラーフィルタの透過率特性FR、FG、FBを示すが、厳密には、撮像系の分光特性は、例えばカラーフィルタを除いた撮像センサがもつ分光特性や、光学系のもつ分光特性等も含んでいる。以下では説明を簡単にするため、撮像センサ等の分光特性が、図16に示すカラーフィルタの透過率特性FR、FG、FBに含まれるものとする。
図16に示すように、青色フィルタの透過率特性FBと緑色フィルタの透過率特性FGとの重なり部分に対応するバンドの成分がbLであり、青色フィルタの透過率特性FBの非重なり部分に対応するバンドの成分がbRである。また、赤色フィルタの透過率特性FRと緑色フィルタの透過率特性FGとの重なり部分に対応するバンドの成分がrRであり、赤色フィルタの透過率特性FRの非重なり部分に対応するバンドの成分がrLである。また、緑色フィルタの透過率特性FGの非重なり部分に対応するバンドの成分がgである。ここで、非重なり部分とは、他の色フィルタの透過率特性と重なっていない部分のことである。
5バンドの帯域BD1〜BD5は、透過率特性FR、FG、FBの形状や重なり具合などに応じて決定すればよく、透過率特性の帯域や重なり部分の帯域そのものである必要はない。例えば、透過率特性FG、FBの重なり部分の帯域は、およそ450nm〜550nmであるが、帯域BD2は重なり部分に対応するものであればよく、450nm〜550nmである必要はない。
第3の実施形態では、光学フィルタFLTの右瞳フィルタFL1には、透過波長域としてバンド{bR,g,rR}を割り当て、光学フィルタFLTの左瞳フィルタFL2には、透過波長域としてバンド{bL,g,rL}を割り当てる。
4.4.色ずれ抑制の手法
次に、光学フィルタFLTの分光特性を調整し、色ずれを抑制する手法について説明する。
瞳分割した光学系で撮像した画像の非合焦領域では、一方の瞳通過画像と他方の瞳通過画像の通過経路が異なるため、必ず相互に画像ずれ(位相差)が生じている。通常の撮像画像は、これら左右瞳画像が合成された画像である。この左右瞳画像は、対称関係にある左瞳と右瞳のポイントスプレッドファンクションによって生じるので、両瞳の透過波長帯域が同一である場合には、同一色成分の左右瞳画像が対称にずれ、それを合成した撮像画像には色ずれが生じない。
しかしながら、左右の瞳通過画像が同一波長域ではなく、それらの成分比がアンバランスである場合には、撮像画像に色ずれが発生する。例えば、画像のエッジ部分などでは、R、G、Bの画像プロファイルが相互に異なるように崩れ、色ずれが発生した画像となって表れる。このような非合焦領域での色ずれ現象は、画像品質として好ましくない。なお、合焦領域では色ずれは生じない。
図17(A)を用いて、白黒のエッジ部を前ピント状態で撮像した場合を例にとり、色ずれの発生についてより詳細に説明する。
左右瞳画像は、開口重心の異なる右瞳と左瞳のポイントスプレッドファンクションと被写体の反射率分布とのコンボリューションで表わされる。そのため、エッジ部を撮像した画像から仮にマルチバンド推定により位相差画像を生成したとすると、例えば左右瞳画像の赤成分rR R、rL Rは、位相差の分だけ左右にずれた状態となっている。この赤成分rR R、rL Rは波長帯域が異なっているので、一般的には成分バランス(即ち成分値、画素値)が異なったものとなる。そのため、撮像画像のR成分は、この成分バランスが異なる左右にずれた2つの赤成分rR R、rL Rを合成したものとなってしまう。
同様に、撮像画像のB成分は、成分バランスが異なる左右にずれた2つの青成分bR B、bL Bを合成したものとなる。撮像画像のG成分は、成分バランスが異なる左右にずれた2つの緑成分bL G、rR Gと、成分バランスがとれたg成分を合成したものとなる。g成分の成分バランスがとれているのは、左右瞳で波長帯域を分けていないためである。
このように、左右瞳で各色の成分バランスがとれていない場合、撮像画像のRGB各色において左右瞳画像のずれが生じ、その画像ずれが結果として色ずれを生じる。例えば図17(A)の白黒エッジを非合焦状態で撮像した例では、左右瞳画像の成分バランスの違いによってエッジ部に色が付いてしまう。
そこで本実施形態では、図17(B)と下式(11)に示すように、右瞳画像と左瞳画像の成分バランスがとれるように光学フィルタFLTの分光特性を設定する。
bR B≒bL B,
rR R≒rL R (11)
一般に自然被写体ではrR RとrL Rの画像およびbR BとbL Bの画像の成分バランスは、近接する分光成分であるため、ほぼ等しい場合が多いと考えられる。そのため、少なくとも白色被写体の場合において成分バランスがとれるように分光特性を設定しておく。分光特性の調整は、例えばバンドBD1〜BD5の帯域幅や相対ゲインを調整することによって行う。
このようにすれば、分光の成分バランスを調整することができ、特別なカラーマネージメントをしなくてもRGB各色の画像ずれを低減し、色ずれ現象の発生を抑圧できる。
4.5.マルチバンド推定処理
4.5.1.RGB画素値とバンド成分値の関係
図16で説明したように、右瞳を通過した波長分割光{bR,g,rR}と、左瞳を通過した波長分割光{bL,g,rL}は、波長帯域が明確に分離されている。一方、撮像素子のカラーフィルタの分光特性{FR,FG,FB}は、隣接する分光特性の波長帯域が重複した特性となっている。この重複状態を考慮すると、デモザイキング処理後の各画素における赤色、緑色、青色の画素値R、G、Bを、下式(12)のようにモデル化することができる。
R=gR+rR R+rL R,
G=bL G+gG+rR G,
B=bR B+bL B+gB (12)
図18(C)に示すように、成分{bR B,bL B,gB}は、分光特性FBの青色フィルタを通過した波長分割光{bR,bL,g}に対応する。図18(D)に示すように、成分{bL G,gG,rR G}は、分光特性FGの緑色フィルタを通過した波長分割光{bL,g,rR}に対応する。また、図20(D)に示すように、成分{gR,rR R,rL R}は、分光特性FRの赤色フィルタを通過した波長分割光{g,rR,rL}に対応する。各成分を表す符号の上付きサフィックスは、右瞳「R」及び左瞳「L」のいずれを通過したかを表し、下付サフィックスは、赤色フィルタ「R」、緑色フィルタ「G」、青色フィルタ「B」のいずれを通過したかを表している。
4.5.2.{bR,bL,(g+rR)}の推定処理
次に、図18(A)〜図19を用いて、画素値{R,G,B}から成分{bR B,bL B,gB}、{bL G,gG,rR G}、{gR,rR R,rL R}を推定する処理について説明する。
まず上式(12)を用いて、画素値{B,G}で重複している波長帯域{bL,g}を、画素値{B,G}の差分に基づいて取り除き、成分bRと成分[g+rR]の関係を求めることにより成分{bR,bL,(g+rR)}の関係式を導き出す処理を行う。
ここで注意しなければならないのは、図18(A)〜図18(D)に示すように、波長帯域bLに対応するのは画素値Bの成分bL B及び画素値Gの成分bL Gであるが、成分bL B、bL Gには、分光特性FB、FGの相対ゲインが乗じられていることである。そのため、成分bL B、bL Gは、相対ゲインの分だけ異なる値であり、成分bL B、bL Gが等しくなるように補正する必要がある。
図18(C)、図18(D)に示すように、画素値Gを基準(例えば「1」)として、(bL B+gB)の成分比をkB1とし、bL Gの成分比をkB2とすると、下式(13)が成り立つ。ここで、kB1/kB2は、例えば帯域bLにおける分光特性FB、FGのゲイン比である。
bL B+gB=(kB1/kB2)×bL G (13)
帯域bL、gにおける分光特性FBのゲインを考慮すると、成分gBは成分bL Bよりも十分小さいと考えられるため、成分bL B、bL Gを等しくするためには、成分(bL B+gB)と成分bL Gがほぼ等しくなればよい。成分(bL B+gB)を補正した値を(bL B’+gB’)とすると、上式(13)を用いて下式(14)に示す補正を行えばよい。
bL B’+gB’≒bL G=(kB2/kB1)×(bL B+gB) (14)
成分(bL B+gB)は画素値Bに含まれるため、成分(bL B+gB)を補正するためには、結局、画素値Bを補正することになる。この補正後のBをB’とすると、下式(15)の関係が得られる。
B’=(kB2/kB1)B (15)
上式(15)より、B’の成分{bR B’,bL B’,gB’}は下式(16)となる。
bR B’=(kB2/kB1)×bR B,
bL B’+gB’≒bL G (16)
上式(12)、(16)より、画素値B’と画素値Gを成分{bR B’,bL G,gG,rR G}を用いて表すと、下式(17)のようになる。
B’=bR B’+(bL B’+gB’)=bR B’+bL G,
G =bL G+(gG+rR G) (17)
次に、下式(18)に示すように、補正後の画素値B’と画素値Gの差分を取ることにより、重複した成分bLを取り除く。また上式(17)より下式(19)が成り立つ。
B’−G=[bR B’+bL G]−[bL G+gG+rR G]
=bR B’−(gG+rR G) (18)
bL G=B’−bR B’ (19)
bR B’を未知数(支配変数)とすると、上式(18)、(19)より{bR B’,bL G,(gG+rR G)}の関係式を下式(20)のように求められる。
bR B’=未知数(支配変数)
bL G=B’−bR B’
gG+rR G=bR B’−(B’−G) (20)
{B’,G}は検出された既知の値であるので、上式(20)に基づき未知数bR B’が決まれば、{bR B’,bL G,(gG+rR G)}が全て決まることになる。即ち、{bR B’,bL G,(gG+rR G)}の尤度パターンを特定することができる。
図19に、この関係を原理的に表した図を示す。図19に示すように、未知数bR B’として、{bR B’,bL G,(gG+rR G)}と{B’/2,G/2}の誤差が最小になる値を求める。即ち、下式(21)に示す誤差の評価値EBGが最小になる場合のbR B’を求め、求めたbR B’を上式(20)に代入することにより、{bR B’,bL G,(gG+rR G)}の値を決定する。
eB=(B’/2−bR B’)2+(B’/2−bL G)2,
eG=(G/2−bL G)2+(G/2−(gG+rR G))2,
EBG=eB+eG (21)
以上のようにして、各画素の2バンド画素値{B’,G}から成分{bR B’,bL G,(gG+rR G)}を推定することができる。
なお、上記では{bR B’,bL G,(gG+rR G)}と{B’/2,G/2}の誤差が最小となる場合のbR B’を求めたが、本実施形態では、{bR B’,bL G,(gG+rR G)}と{αBB’,αGbG}の誤差が最小となる場合のbR B’を求めてもよい。ここで、αB、αGbは、下式(22)を満たす値である。αBは、B’に対する{bR B’,bL G}の平均的な値を算出するためのものであり、αGbは、Gに対する{bL G,(gG+rR G)}の平均的な値を算出するためのものである。これらは、図16に示すような撮像素子のカラーフィルタ特性から{bR B’,bL G}及び{bL G,(gG+rR G)}の成分比を考慮して決定すればよい。
0<αB≦1,0<αGb≦1 (22)
4.5.3.{(bL+g),rR,rL}の推定処理
次に、画素値{G,R}から成分{(bL+g),rR,rL}を推定する処理について説明する。
上式(12)を用いて、画素値{G,R}で重複している波長帯域{g,rR}を、画素値{G,R}の差分に基づいて取り除き、成分[bL+g]と成分rLの関係を求めることにより成分{(bL+g),rR,rL}の関係式を導き出す処理を行う。
図20(A)〜図20(D)に示すように、波長帯域rRに対応するのは画素値Gの成分rR G及び画素値Rの成分rR Rであるが、成分rR G、rR Rには、分光特性FG、FRの相対ゲインが乗じられている。そのため、成分rR G、rR Rは、相対ゲインの分だけ異なる値であり、成分rR G、rR Rが等しくなるように補正する必要がある。
図20(C)、図20(D)に示すように、画素値Gを基準(例えば「1」)として、(gR+rR R)の成分比をkR1とし、rR Gの成分比をkR2とすると、下式(23)が成り立つ。kR1/kR2は、例えば帯域rRにおける分光特性FG、FRのゲイン比である。
gR+rR R=(kR2/kR1)×rR G (23)
帯域g、rRにおける分光特性FRのゲインを考慮すると、成分gRは成分rR Rよりも十分小さいと考えられるため、成分rR G、rR Rを等しくするためには、成分(gR+rR R)と成分rR Gがほぼ等しくなればよい。成分(gR+rR R)を補正した値を(gR’+rR R’)とすると、上式(23)を用いて下式(24)に示す補正を行えばよい。
gR’+rR R’≒rR G=(kR2/kR1)×(gR+rR R) (24)
成分(gR+rR R)は画素値Rに含まれるため、成分(gR+rR R)を補正するためには、結局、画素値Rを補正することになる。この補正後のRをR’とすると、下式(25)の関係が得られる。
R’=(kR2/kR1)R (25)
上式(25)より、R’の成分{gR’,rR R’,rL R’}は下式(26)となる。
gR’+rR R’≒rR G,
rL R’=(kR2/kR1)×rL R (26)
上式(12)、(26)より、画素値Gと画素値R’を成分{bL G,gG,rR G,rL R’}を用いて表すと、下式(27)のようになる。
G =bL G+(gG+rR G),
R’=(gR’+rR R’)+rL R’=rR G+rL R’ (27)
次に、下式(28)に示すように、画素値Gと補正後の画素値R’の差分を取ることにより、重複した成分rRを取り除く。また上式(27)より下式(29)が成り立つ。
G−R’=[bL G+gG+rR G)]−[rR G+rL R’]
=(bL G+gG)−rL R’ (28)
rR G=R’−rL R’ (29)
rL R’を未知数(支配変数)とすると、上式(28)、(29)より{rL R’,rR G,(bL G+gG)}の関係式を下式(30)のように求められる。
rL R’=未知数(支配変数),
rR G=R’−rL R’,
bL G+gG=rL R’+(G−R’) (30)
{G,R’}は検出された既知の値であるので、上式(30)に基づき未知数rL R’が決まれば、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}が全て決まることになる。即ち、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}の尤度パターンを特定することができる。
図21に、この関係を原理的に表した図を示す。図21に示すように、未知数rL R’として、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}と{G/2,R’/2}の誤差が最小になる値を未知数rL R’として求める。即ち、下式(31)に示す誤差の評価値EGRが最小になる場合のrL R’を求め、求めたrL R’を上式(30)に代入することにより、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}の値を決定する。
eG=(G/2−(bL G+gG))2+(G/2−rR G)2,
eG=(R’/2−rR G)2+(R’/2−(rL R’))2,
EGR=eG+eR (31)
以上のようにして、各画素の2バンド画素値{G,R’}から成分{rL R’,rR G,(bL G+gG)}を推定することができる。
なお、上記では{rL R’,rR G,(bL G+gG)}と{G/2,R’/2}の誤差が最小となる場合のrL R’を求めたが、本実施形態では、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}と{αGrG,αRR’}の誤差が最小となる場合のrL R’を求めてもよい。ここで、αR、αGrは、下式(32)を満たす値である。αRは、R’に対する{rL R’,rR G}の平均的な値を算出するためのものであり、αGrは、Gに対する{rR G,(bL G+gG)}の平均的な値を算出するためのものである。これらは、図16に示すような撮像素子のカラーフィルタ特性から{rL R’,rR G}及び{rR G,(bL G+gG)}の成分比を考慮して決定すればよい。
0<αR≦1,0<αGr≦1 (32)
4.5.4.成分値の算出処理、右瞳画像と左瞳画像の取得処理
次に、上記で求めた値{bR B’,bL G,(gG+rR G)}、{rL R’,rR G,(bL G+gG)}を用いて、画素値Bを構成する成分{bR B,bL B}の値と、画素値Gを構成する成分{bL G,gG,rR G}の値と、画素値Rを構成する成分{rR R,rL R}の値とを算出する。
bR B,rL Rは、上式(16)、(26)より、下式(33)のように求められる。
bR B=(kB1/kB2)×bR B’,
rL R=(kR1/kR2)×rL R’ (33)
bL B,rR Rは、gB≪bR B,gR≪rL Rであること及び上式(12)より、下式(34)のように求められる。
bL B=B−(bR B+gB)≒B−bR B,
rR R=R−(rL R+gR)≒R−rL R (34)
bL G,rR Gは、上式(12)より、下式(35)のように求められる。
bL G=G−(gG+rR G),
rR G=G−(gG+bL G) (35)
gGは、上式(12)、(35)より、下式(36)のように求められる。
gG=G−(bL G+rR G) (36)
右瞳画像IRと左瞳画像ILのR、G、B成分は、上記で求めた成分から下式(37)のように分離する。
IR=(rR R,rR G,bR B),IL=(rL R,bL G,bL B) (37)
以上の実施形態によれば、光学フィルタFLTは、撮像光学系の瞳を、第1瞳(例えば右瞳)と、第1瞳とは透過波長帯域が異なる第2瞳(左瞳)とに分割する。図16で説明したように、撮像素子は、第1透過率特性FBを有する第1色(例えば青色)フィルタと、第2透過率特性FGを有する第2色(緑色)フィルタと、第3透過率特性FRを有する第3色(赤色)フィルタとを含む。マルチバンド推定部70は、第1〜第3透過率特性{FB,FG,FR}の重なり部分及び非重なり部分に対応する第1〜第5バンドBD1〜BD5を設定し、撮像画像を構成する第1〜第3色の画素値{R,G,B}に基づいて第1〜第5バンドの成分値{bR,bL,g,rR,rL}を推定する。位相差画像生成部20は、第1〜第5バンドBD1〜BD5のうち第1瞳の透過波長帯域に対応するバンドの成分値を第1画像(右瞳画像)IR=(rR R,rR G,bR B)として取得し、第1〜第5バンドのうち第2瞳の透過波長帯域に対応するバンドの成分値を第2画像(左瞳画像)IL=(rL R,bL G,bL B)として取得する。
このようにすれば、第1〜第3色の画素値で構成される画像から5バンドの成分値を推定し、その成分値を第1画像と第2画像に分離することができる。そして、第1画像と第2画像の画素値を比較することにより、合焦方向(第1画像と第2画像のずれ方向)を判定できる。また、通常のRGB撮像素子を用いることが可能となるため、位相差検出用画素による画素欠陥や、1色当たりの割り当て画素数の減少等が起きず、位相差の検出精度や画像の解像度が低下しない。また、第1瞳と第2瞳でそれぞれ複数色を透過するように設定すれば、デフォーカス画像領域における色ずれの抑制や、色が偏った被写体における位相差検出精度の向上を、実現できる。
また本実施形態では、図16で説明したように、マルチバンド推定部70は、第1透過率特性FBの非重なり部分に対応する第1バンドBD1と、第1透過率特性FBと第2透過率特性FGとの重なり部分に対応する第2バンドBD2と、第2透過率特性FGの非重なり部分に対応する第3バンドBD3と、第2透過率特性FGと第3透過率特性FRとの重なり部分に対応する第4バンドBD4と、第3透過率特性FRの非重なり部分に対応する第5バンドBD5とを設定する。
ここで、透過率特性の重なり部分とは、図16に示すように波長軸に対して透過率特性を表した場合に、波長軸上で隣り合う透過率特性が重なっている領域のことである。重なり部分は、透過率特性が重なっている領域そのもの、あるいは透過率特性の帯域が重なっている帯域で表される。また、透過率特性の非重なり部分とは、他の透過率特性と重なっていない部分のことである。即ち、透過率特性から重なり部分を除いた部分のことである。なお、重なり部分又は非重なり部分に対応するバンドは、重なり部分又は非重なり部分の帯域そのものに限定されず、重なり部分又は非重なり部分に対応して設定されたバンドであればよい。例えば、所定の透過率と透過率特性が交わる波長でバンドを分割し、第1〜第5バンドを設定してもよい。
このようにすれば、撮像画像の第1〜第3色の画素値{R,G,B}から第1〜第5のバンド成分値{bR,bL,g,rR,rL}を推定することが可能となる。即ち、上式(12)で説明したように、透過率特性が隣り合う画素値(例えばB、G)には重なり部分の成分値(bL)が含まれる。この重なり部分の成分値(bL)を、上式(18)のように画素値の差分(B’−G)により消去することで、上式(20)のように成分値の関係式を求め、その関係式に基づいて成分値を推定することが可能となる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また撮像光学系、画像処理装置、撮像装置等の構成・動作や、位相差画像生成手法、高解像化処理手法、マルチバンド推定手法等も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。