JP5961139B2 - 無線通信システム、送信機、および受信機 - Google Patents

無線通信システム、送信機、および受信機 Download PDF

Info

Publication number
JP5961139B2
JP5961139B2 JP2013108324A JP2013108324A JP5961139B2 JP 5961139 B2 JP5961139 B2 JP 5961139B2 JP 2013108324 A JP2013108324 A JP 2013108324A JP 2013108324 A JP2013108324 A JP 2013108324A JP 5961139 B2 JP5961139 B2 JP 5961139B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antenna
antenna element
transmission
array antenna
wireless communication
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013108324A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014230094A (ja
Inventor
健 平賀
健 平賀
中川 匡夫
匡夫 中川
智弘 関
智弘 関
一光 坂元
一光 坂元
上原 一浩
一浩 上原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2013108324A priority Critical patent/JP5961139B2/ja
Publication of JP2014230094A publication Critical patent/JP2014230094A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5961139B2 publication Critical patent/JP5961139B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、主に見通し伝搬環境において同一周波数帯を用いて複数の無線周波数(RF)信号を伝送し、伝送レートや伝送品質を向上する無線通信システムに関する。特に、直進性が高く見通し伝送路における伝送に適したミリ波帯を用いた近距離伝送を実施する無線通信システムに関し、あるいは、鉄塔上に設置されたアンテナの間でマイクロ波帯を用いた長距離高速無線伝送を行う固定マイクロ無線通信回線に代表される無線通信システムに関する。
近年、ダウンロードキオスク形式の非接触高速無線伝送や、屋内でのミリ波無線通信といった、見通し伝送路における無線通信方式の開発や実用化が進められている。
無線通信において伝送速度を高速化する手法は、利用する周波数帯域を大きくする、或いは多値変調方式を使用して1シンボルで伝送される情報量を大きくする、等の手法が用いられる。
伝送速度を高速化する手法のうち、限られた周波数帯域を利用して伝送速度を高速化するための実現方法の一つに、MIMO(Multiple−Input Multiple−Output)伝送技術がある。
MIMO伝送では、複数の送信アンテナから同一時間、同一周波数で異なる信号を送信し、送受信機間のマルチパス環境を利用することによって、受信側で信号処理により各信号を分離し、復号する。
これにより、使用周波数帯域を広げることなく、送受アンテナ素子数に応じて通信速度を向上することができる。
これまでのMIMO伝送では、マルチパスに富んだ環境で電波が伝搬することが前提とされており、送受信機間がマルチパス環境でない場合は、送受信される複数の信号の伝搬経路がほぼ等しくなり、空間相関が増加するため信号分離が困難になりチャネル容量が減少する。ところが、非特許文献1に示すように、送信アンテナと受信アンテナが近接してマルチパス環境ではない近距離通信においてもMIMO伝送技術を適用可能であることが示されている。以下、近距離通信におけるMIMO伝送を近距離MIMOと称する。
非特許文献1によれば、近距離MIMO伝送では、送受信機間の距離に対してアレーアンテナの素子間隔を適切に与えることで、マルチパス環境でない場合においてもアンテナ間の空間相関が低くなり高い伝送路容量を達成することができる。
本間,西森,関,溝口,「近傍MIMO通信における伝送容量の評価」信学技報,AP2008-125, Nov. 2008 西森,関,本間,平賀,溝口,"近傍MIMO通信に適した伝送方法に関する検討",電子情報通信学会技術研究報告,A.P2009-83,Sep.2009. Kazumitsu Sakamoto, Ken Hiraga, Tomohiro Seki, Tadao Nakagawa, and Kazuhiro Uehara,"Phase Difference Control Technique between Each Propagation Channel for Short-Range MIMO Transmission," Proceedings of 2012 International Symposium on Antennas and Propagation, pp.754-757,2012
屋内の無線LANに代表される高速無線通信システムの構築にはミリ波帯の利用が積極的に行われている。ミリ波の中でも特に60GHz帯は免許不要で利用可能な帯域が大きく、1つの周波数チャネルあたり比帯域4%、つまりおよそ2GHzの周波数帯域幅がある。
60GHz帯を用いた無線LAN方式として2012年に標準化がなされたIEEE802.11adでは,1つの周波数チャネルを用いて直交周波数分割多重(OFDM)による変調で6.8Gbit/sの高速伝送を実施することができる。
こうした広い周波数帯域の利用に加えて、前述の近距離MIMO伝送のような空間多重化伝送を併用すれば、10Gbit/sを超える高速伝送を実現することが期待される。
しかし,近距離MIMO伝送を含むMIMO伝送においては,送信ビームフォーミングや伝送路行列のフィードバック処理、MIMO復号信号処理が必要である。こうした信号処理は、大抵の場合、ディジタル信号処理によって実施されるが、その演算量は、MIMO多重化数の2乗に比例し、帯域幅に比例するため、高速化を行うには演算量の増加を避けることができない。
IEEE802.11ad通信用LSIは、取り扱うデータ信号が高速であることから、消費電力が大きく、発熱や電池稼働の観点から大規模な商品展開がなされていないのが現状であり、さらにMIMO伝送を併用した装置を実現するには、そのハードルが高くなることは言うまでもない。
高度な信号処理を適用せず、無線通信システムを実現するためには、電波伝搬経路を並列化し、それら経路の間のアイソレーションを確保することで、複数のRF信号の伝送による並列伝送を行う手法が有望である。こうした並列伝送の手法には、アンテナ素子間隔を大きくとることで、正面で対向するアンテナ素子同士を結ぶそれぞれの伝送経路の間のアイソレーションを高める手法があり、指向性の高いアンテナ素子を用いる手法が考えられている。
そのためには、例えば立体的な構造で製造コストの高いホーンアンテナや、奥行きが大きくなる導波器数の大きな八木宇田アンテナを使用することが必要となるが、アンテナの大きさやコストの面で、適さない場合が想定される。また、指向性の小さなアンテナ素子を利用した場合は、膨大なアンテナ素子間隔を取ることで、それぞれの伝送経路の間のアイソレーションを大きくとることが可能であるが、例えば非特許文献1に開示されているようにアレーアンテナのサイズが莫大となるため、これも適さない場合が大いに想定される。
本発明はこうした課題の解決手法の提供を目的としてなされたものであり、送信ビームフォーミングや伝送路行列のフィードバック処理、MIMO復号信号処理を実施することなく、さらに、各伝送経路間の距離を大きくとる、つまり膨大なアンテナ素子間隔を取ることができない場合であっても、同一周波数帯における並列伝送を可能とし、周波数利用効率の向上、つまり、伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることができる無線通信システムを提供することを目的としている。
本発明の一態様による無線通信システムは、M(Mは自然数)個のアンテナ素子から構成される送信アレーアンテナを持つ送信機と、N(Nは自然数)個のアンテナ素子から構成される受信アレーアンテナを持つ受信機と、から構成される無線通信システムであって、前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナが正面で対向し、前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナの間には前記送信アレーアンテナの中心と前記受信アレーアンテナの中心とを結ぶ直線と平行な平面の反射体が設置され,前記受信アレーアンテナの第i(iはN以下の自然数)アンテナ素子は、前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成され、かつ、前記送信アレーアンテナの第j(jはM以下のすべての自然数,かつj≠i)アンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記送信アレーアンテナの第jアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置され、かつ、前記送信アレーアンテナの第i(iはM以下の自然数)アンテナ素子は、前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成され、かつ、前記受信アレーアンテナの第j(jはN以下のすべての自然数、かつj≠i)アンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記受信アレーアンテナの第jアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置され、
前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子と前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子との間を結ぶ伝搬経路でそれぞれ第i情報信号を無線周波数で変調して伝送する、ことを特徴とする。
また、前記無線通信システムにおいて、前記送信機のM個のアンテナ素子は前記反射体と垂直な方向に配列された前記送信アレーアンテナを構成し、前記受信機のN個のアンテナ素子は前記反射体と垂直な方向に配列された前記受信アレーアンテナを構成し、前記アンテナ素子各々の垂直方向の高さは、伝送路内における無線周波数信号の波長と伝送距離と基づいて設定される、ことを特徴とする。
また、前記無線通信システムにおいて、前記反射体は前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナを結ぶ線分上に配置される帯状である、ことを特徴とする。
また、前記無線通信システムにおいて、前記送信機のM個のアンテナ素子は前記反射体と平行な方向に配列された前記送信アレーアンテナを構成し、前記受信機のN個のアンテナ素子は前記反射体と平行な方向に配列された前記受信アレーアンテナを構成し、前記アンテナ素子各々の垂直方向の高さと素子間隔は、それぞれ伝送路内における無線周波数信号の波長と伝送距離と基づいて設定される、ことを特徴とする。
また、前記無線通信システムにおいて、前記反射体は4つのアンテナ素子の位置を結んで出来る長方形の中心位置に設置される平面である、ことを特徴とする。
また、前記無線通信システムにおいて、前記アンテナ素子は、副アンテナ素子からなる副アレーである、ことを特徴とする。
本発明の一態様による送信機は、前記送信機であって、前記送信機は、前記送信アレーアンテナにおけるアンテナ素子のビーム中心位置を機械的に可動とする、ことを特徴とする。
本発明の一態様による受信機は、前記受信機であって、前記受信機は、前記受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子のビーム中心位置を機械的に可動とする、ことを特徴とする。
本発明による無線通信システムによれば、高度かつ高速な信号処理を使用することなく、アンテナ素子間隔が狭い場合であっても並列伝送による空間多重化伝送を可能とし、見通し間の無線伝送システムにおいて伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることが可能となる。
送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1の配置を説明するための図である。 2波モデルにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。 第1の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。 第1の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力を説明するための図である。 第1の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力の計算結果を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。 図7に示す伝送路を、送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1とを含み、反射体30に垂直な平面において表示した図である。 送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_1とを含み、反射体に垂直な平面において表示した図である。 第2の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。 第2の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力を説明するための図である。 第2の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。 第2の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力の計算結果を説明するための図である。 第2の実施形態による無線通信システムの応用例を示す図である。 本発明の第3の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。 本発明の第4の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。 本発明の第5の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。 本発明の第6の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の原理を説明し、続いて各実施形態について説明する。
図1は、送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1の配置を説明するための図である。
まず、図1に示すように、1つの送信アンテナ素子10_1と、1つの受信アンテナ素子20_1とが、電波をよく反射する平面反射体30上に配置される場合の伝搬モデルを説明する。この伝搬モデルは、一般に2波モデルと呼ばれる。送信アンテナ素子10_1から送信された無線周波数信号は、直接、受信アンテナ素子20_1に到達する直接波(経路長r1)と、一度反射体30で反射して受信アンテナ素子20_1に到達する反射波(経路長r2)がある。そのため、実際に受信アンテナ素子20_1の位置における電界は、直接波と反射波の重ね合わせとなる。
以下、反射体30からの各アンテナ素子の位置をアンテナの高さと呼ぶこととし、送信アンテナ素子10_1の高さをh1、受信アンテナ素子20_1の高さをh2とする。送信電力をPt、送信アンテナ素子10_1のアンテナ利得をGtとすると、送信アンテナ素子10_1からの距離がR[m]の点における直接波の受信電界強度E0は、次式(1)で表わされる。なお、本明細書において、[]で示す括弧の中の記号は、以下単位を表すものとする。
Figure 0005961139
上述の通り、受信アンテナ素子20_1における電界強度は直接波と反射波の重ね合わせとして求められる。また、直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2の経路差lは、図1より幾何学的に次式(2)で求められる。
Figure 0005961139
ここで、直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2とは、次式(3)により表される。
Figure 0005961139
よって、直接波と反射波との位相差φは、次式(4)で求められる。ここで、λは伝送路内における無線周波数信号の波長である。
Figure 0005961139
偏波の方向を反射体30に垂直な偏波とし、反射体30において無線周波数信号は全反射する、つまり伝送路の空間と反射体30の境界面における反射率は100%であるとすると、受信アンテナ素子20_1の位置において直接波と反射波との合成により作られる電界は、上記式(1)〜(4)を用いて、次式(5)のように求められる。ここで、近似のため、伝送距離Dがアンテナ高さに比べて十分に大きいとしている。
Figure 0005961139
よって、受信アンテナの利得をGrとすると、受信電力は次式(6)となる。
Figure 0005961139
図2は、2波モデルにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。図2は、上式(6)に基づき、横軸に伝送距離Dをとり、縦軸に受信電力Prを示したグラフを示している。このグラフでは、周波数f[GHz]=60、送信アンテナ素子10_1の高さh1[m]=0.12、受信アンテナ素子20_1の高さh2[m]=0.12、送信電力Pt[dBm]=0、送信アンテナの利得Gt[dBi]=2、受信アンテナの利得Gr[dBi]=2としている。
このグラフから明らかなように、自由空間伝搬では、伝送距離の増加に応じて受信電力は単調減少するが、反射波が合成される本伝搬モデルにおいては、たとえば伝送距離D=2、300λ=11.5[m]付近において受信電力が非常に小さな値(理想的には零)をとることが判る。こうした伝送距離においては、直接波と反射波が逆位相で合成され、それぞれ互いに打ち消し合うように働いている。こうした弱電界の点の位置は、上記lの値に依存した値であるため、送信アンテナ素子10_1の高さh1と受信アンテナ素子20_1の高さh2の両方に依存することは明らかである。
従って、高さの異なる複数のアンテナ素子を送受信それぞれに使用し、それらの高さを伝送距離Dと適切な関係に設定すれば、ある受信アンテナ素子において特定の送信アンテナ素子からの受信電力を大幅に低減することができるため、並列の空間多重伝送路を構成することが期待できる。
<第1の実施形態>
図3は、本発明の第1の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。金属壁面や床面、金属レール等の反射体30の上に2素子の送受信アレーアンテナがある。送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1とは高さh1、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2とは高さh2に設置されており、送受信アレーアンテナ(送信アレーアンテナ10、受信アレーアンテナ20)は、それぞれ垂直に2つのアンテナ素子を配列したアレーアンテナである。これらのアレーアンテナが見通し伝搬環境で、伝送距離D隔てて正面で対向している。
送信アンテナ素子数が2、受信アンテナ素子数が2であるので、このMIMO伝送路は4個の電波伝搬経路を持つ。そして、上述した2波モデルのように、ぞれぞれの伝搬経路は、アンテナ素子間を結ぶ直接波と反射体30において1回反射した反射波との両方による伝搬から成り立っている。ここで、送信アンテナ素子(送信アンテナ素子10_iとする)から送信され、受信アンテナ素子(受信アンテナ素子20_jとする)で受信される伝搬経路をhjiと表記する。本明細書においては、以下も同様の表現を使用する。
図3より、h11、h12、h22は、それぞれ直接波と反射波の経路差が異なるため、伝搬損失が異なることが判る。なお、h12とh21とに関しては、それぞれ直接波と反射波の経路差が等しいため、伝搬損失は等しい。
図4は、第1の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。図4は、図3に示す無線通信システムにおいて、横軸に伝送距離D/λをとり、縦軸に受信電力(Received Power)を示したグラフである。ここで、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_1、受信アンテナ素子20_1)の高さh1=11.2λ、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_2、受信アンテナ素子20_2)の高さh2=22.4λとしている。アンテナ素子の利得はすべて2dBi、送信アンテナ素子の送信電力は0dBmとしている。
図4に示すように、伝送距離約1000λ(D/λ=1000)においては、経路h12と経路h21を経て受信される電力が非常に小さな値をとる一方、それらに比べて経路h11と経路h22を経て受信される電力は大きな値をとっている。
これは、ここで示したアンテナ素子の高さの条件では、当該伝送距離において、送信アンテナ素子10_1から受信アンテナ素子20_1に伝送される信号レベルを保ったまま、送信アンテナ素子10_2から受信アンテナ素子20_1に伝送される信号レベルを低減することが可能であることを示している。また、同時に、送信アンテナ素子10_2から受信アンテナ素子20_2に伝送される信号レベルを保ったまま、送信アンテナ素子10_1から受信アンテナ素子20_2に伝送される信号レベルを低減することが可能であることを示している。
言いかえると、正面で対向する送受信アンテナ素子同士を結ぶ伝送路が並列に2つ高いアイソレーションで成立している。なお、例えば、周波数=60GHz、伝送路が空気中であるとすると、波長は5mmとなるため、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_1、受信アンテナ素子20_1)の高さはh1=56mm、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_2、受信アンテナ素子20_2)の高さはh2=112mmとなる。
図5は、第1の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力を説明するための図である。図5は、上述したアイソレーションの指標となる、信号電力と干渉電力、雑音電力との比(Signal to Interference plus Noise Ratio;SINR)の一例を示す図である。なお、図5において、受信雑音電力は−90dBmとしている。
ここで、SINR11は受信アンテナ素子20_1におけるSINR、SINR22は受信アンテナ素子20_2におけるSINRを示す。周波数=60GHz、伝送路が空気中であるとすると、例えば、伝送距離5mのときSINRは20dBを超える値をとり、並列伝送で相応の変調信号を伝送することが可能であることが示されている。
それでは、伝送距離Dが与えられたとき、アンテナ素子の高さh1およびh2はそれぞれどのような値を設定すればよいか、その一実施例を、以下に説明する。なお、説明を容易にするため、以下ではh1<h2とする。
図4に示すような受信電力の大小関係と各伝搬経路における直接波と反射波の経路差lの関係とにより、アンテナ素子の高さh1およびh2の値の設定条件として、下記の設定条件(1)〜(3)が導き出される。
(条件1)経路h12と経路h21では直接波と反射波の経路差lが1/2波長となること(直接波と反射波が逆位相で合成されること)。
(条件2)経路h11は、直接波と反射波の経路差lが経路h12および経路h21に比べて小さいので、経路差が0波長を超え1/2波長未満であること。
(条件3)経路h22は、直接波と反射波の経路差lが経路h12および経路h21に比べて大きいので、経路h22では経路差が1/2波長を超え3/2波長未満であること。
以上の設定条件(1)〜(3)を満たせば、アンテナ素子の高さh1およびh2の値を設定できる。なお、設定条件のうち、条件2と条件3とは必須の条件でなく、条件1を満たせばよい。
上記の条件1より、D>>h1、h2とすると、h1およびh2は次式(7)を満たす。
Figure 0005961139
上記式(7)さえ満たせば、経路h12および経路h21の信号伝送はなされないので、経路h11および経路h22の伝搬損失が無限大にならない限り、経路h11および経路h22からなる2つの並列伝送路が形成されることになる。
ただし、出来るだけ高いSINRを確保し、伝送路容量を確保するためには、経路h11や経路h22において、直接波と反射波がたがいに強めあう点を利用するのが望ましい。そこで、これら2つの経路を比較した場合、経路h22のほうが、その反射波の経路が長く、トータルの伝搬損失が大きいと考えられるため、ここでは、経路h22の伝搬損失を小さくするようアンテナ高さh1およびh2を決定する手法を示す。
上記の条件3を満たす範囲で経路h22の受信電界ができるだけ大きくなるようにするには、経路h22において直接波と反射波との経路差をλに等しくすればよい。このとき直接波と反射波は同位相で合成されることとなる。これを定式化すると、下記式(8)が成立する。
Figure 0005961139
つまり、式(8)を解くと、送受信アンテナ素子(送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2)の高さh2は次式(9)で求められる。
Figure 0005961139
なお、式(8)から式(9)を導く際、D>>h2という条件に基づく近似を使用している。さらに、式(7)と式(9)とから、送受信アンテナ素子(送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2)の高さh1は、次式(10)で求められる。
Figure 0005961139
図6は、第1の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力の計算結果を説明するための図である。図6は、上記式(16)および式(17)で求めたアンテナ高さh1、h2を適用したSINRの計算結果を示すグラフである。図6に示す計算結果では、各アンテナ素子間を結ぶ方向におけるアンテナの利得は一定としている。そこで、正面で対向するアンテナの方向にのみ高い利得を持ち、それ以外のアンテナ素子方向への利得が低くなるようアンテナ素子の指向性を持たせれば、図6に示すSINRより大きなSINRを得て、より高い伝送路容量を得ることが出来る。そのため、本発明にかかる無線通信システムにおいては、アンテナの指向性を活用することが望ましい。
また、アンテナの高さを変更する方法は、例えば機械的モータ等を使用する方法、非特許文献3に開示されているように1つのアンテナ素子を2つのアンテナ素子から構成される副アレーで構成して電気的にアンテナ素子位置を変更する手法、等が考えられる。
本実施形態においては、説明を容易にするため、送信側と受信側のアンテナを区別しているが、送受信の関係が反対であっても並列伝送できるアンテナ素子の配置条件は同一である。従って、例えば、時分割多重(Time Division Duplex;TDD)による双方向伝送可能な無線通信システムにそのまま適用することが可能である。
本実施形態には垂直偏波による方法のみを記載しているが、水平偏波を利用したもの、円偏波を利用したものでもよい。こうした偏波を利用した無線通信システムについても、反射体30における反射係数が異なるだけで同様の並列伝送の実施が可能である。水平偏波は反射体30が金属の場合は位相がπだけずれるので、直接波と反射波の経路差を計算する際に、その位相のずれを考慮して本発明にかかる無線通信システムを設計すればよい。なお、上述の反射体30は、大地、電離層、金属レール、軌道、金属壁、床、天井、水面等、様々な物体や構造物が該当する。
<第2の実施形態>
上述した第1の実施形態とは異なり、縦方向ではなく、横方向にアンテナ素子を並べたアレーアンテナにおいても、直接波と反射波の合成による並列伝送が可能である。
図7は、本発明の第2の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。なお、図7において、図3と同一の部分には同一の符号を付している。
図7では、2つのアンテナ素子(送信アンテナ素子10_1と送信アンテナ素子10_2、受信アンテナ素子20_1と受信アンテナ素子20_2それぞれ)が横方向に並び、アンテナ素子間隔dの送受信アレーアンテナ(送信アレーアンテナ10と受信アレーアンテナ20)が正面で対向し、伝送距離D隔てて設置された伝送路を示している。4つのアンテナ素子の位置を結んだ四角形は長方形であり、各経路の反射波は、この長方形の中心位置において反射する。なお、反射体30は、アンテナが設置されているエリアの中で、長方形の中心位置及びその周辺を覆うように設置されていれば、想定した動作が期待できる。
図8は、図7に示す伝送路を、送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1とを含み、反射体30に垂直な平面において表示した図である。この図8に示すように、本発明の原理において述べたように、送信アンテナ素子10_1から送信され、受信アンテナ素子20_1で受信する無線周波数信号の受信電力を計算することが出来る。言い換えると、送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1とを結ぶ径路h11における伝搬損失を計算することが可能である。上述の通り、受信アンテナ素子20_1における電界強度は、直接波と反射波の重ね合わせとして求められる。直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2との経路差lは、図8より幾何学的に次式(11)で求められる。
Figure 0005961139
ここで、直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2とは、次式(12)により表される。
Figure 0005961139
よって、直接波と反射波との位相差φは、次式(13)で求められる。ここで、λは伝送路内における無線周波数信号の波長である。
Figure 0005961139
偏波の方向を反射体に垂直な偏波とし、反射体において無線周波数信号は全反射する、つまり伝送路の空間と反射体の境界面における反射率は100%であるとすると、受信アンテナ素子20_1の位置において直接波と反射波の合成により作られる電界は、上記式(1)、(11)〜(13)を用いて、次式(14)のように求められる。ここで近似のため、伝送距離Dがアンテナ高さに比べて十分に大きいとしている。
Figure 0005961139
よって、受信アンテナ素子20_1の利得をGrとすると、送信アンテナ素子10_1から送信され、受信アンテナ素子20_1で受信する無線周波数信号の受信電力は次式(15)となる。
Figure 0005961139
このように、図8において、送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1とを結ぶ径路h11における伝搬を示したが、図7に示すアンテナ配置であれば、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2とを結ぶ径路h22に関しても同じ計算ができるため、送信アンテナ素子10_2から送信され、受信アンテナ素子20_2で受信する無線周波数信号の受信電力も、上記式(15)で求められる。
次に、斜め方向に対角する送受信アンテナ素子を結ぶ経路h12及びh21に関する説明を行う。図9は、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_1とを含み、反射体に垂直な平面において表示した図である。この図から、送信アンテナ素子10_2から送信され、受信アンテナ素子20_1で受信する無線周波数信号の受信電力を計算することが出来る。言い換えると、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_1とを結ぶ径路における伝搬損失を計算することが可能である。受信アンテナ素子20_1における電界強度は、送信アンテナ素子10_2から送信される直接波と反射波との重ね合わせとして求められる。直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2の経路差lは、図9より幾何学的に次式(16)で求められる。
Figure 0005961139
ここで、直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2とは、次式(17)により表される。
Figure 0005961139
送信アンテナ素子10_2から送信され、受信アンテナ素子20_1で受信する無線周波数信号の受信電力は、式(11)、式(12)に直接波の伝搬距離r1と反射波の伝搬距離r2に代入した結果を、上記式(13)〜式(15)に代入して同様に求められる。
このように、図9は、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_1とを結ぶ径路h12における伝搬を示した。図7に示すアンテナ配置であれば、送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2を結ぶ径路h22に関しても同じ計算ができるため、送信アンテナ素子10_2から送信され、受信アンテナ素子20_2で受信する無線周波数信号の受信電力も、上記式(15)で求められる。
図10は、第2の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。図10は、図7に示す無線通信システムにおいて、横軸に伝送距離Dをとり、縦軸に受信電力を示したグラフである。ここで、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1)の高さをh1=10λ、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2)の高さをh2=h1、アンテナ素子間隔d=100λとしている。また、アンテナ素子の利得はすべて2dBi、送信アンテナ素子の送信電力は0dBmとしている。
図10に示すように、伝送距離約175λにおいては、経路h12と経路h21を経て受信される電力が非常に小さな値をとる一方、それらに比べて経路h11と経路h22を経て受信される電力は大きな値をとっている。これは、ここで示したアンテナ素子の高さの条件では、当該伝送距離において、送信アンテナ素子10_1から受信アンテナ素子20_1に伝送される信号レベルを保ったまま、送信アンテナ素子10_2から受信アンテナ素子20_1に伝送される信号レベルを低減することが可能であることを示している。また、同時に、送信アンテナ素子10_2から受信アンテナ素子20_2に伝送される信号レベルを保ったまま、送信アンテナ素子10_1から受信アンテナ素子20_2に伝送される信号レベルを低減することが可能であることを示している。言いかえると、正面で対向する送受信アンテナ素子同士を結ぶ伝送路が並列に2つ高いアイソレーションで成立している。なお、周波数=60GHz、伝送路が空気中であるとすると、波長は5mmとなるため、アンテナ素子の高さはh1=50mm、h2=50mm、アンテナ素子間隔は500mmとなる。
図11は、第2の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力を説明するための図である。図11(a)は、第1の実施形態において述べたアイソレーションの指標となる、信号電力と干渉電力の比(Signal−to−Interference Ratio;SIR)を示す図である。ここで、SIR11は受信アンテナ素子20_1におけるSIR、SIR22は受信アンテナ素子20_2におけるSIRを示す。周波数=60GHz、伝送路が空気中であるとすると、例えば、伝送距離約173λ、つまり、約865mmのときSIRは30dBを超える値をとり、並列伝送で変調信号を伝送することが可能であることが示されている。図11(b)は、SIRの高い範囲を拡大した図である。SIRが30dBを超える高い値を得ることが出来る伝送距離は、3波長以上の範囲を持っていることがわかる。それでは、アンテナ素子の間隔を変更するとどのようになるかについて、以下に計算を示す。
図12は、第2の実施形態による無線通信システムにおける伝送距離に対する受信電力を説明するための図である。図12は、横軸に伝送距離Dをとり、縦軸に受信電力を示したグラフであり、アンテナ素子(送信アンテナ素子10_1と受信アンテナ素子20_1)の高さとアンテナ素子(送信アンテナ素子10_2と受信アンテナ素子20_2)の高さをh1=h2=10λ、アンテナ素子間隔をd=90λとした計算結果である。つまり、図12では、図11の場合に比べてアンテナ素子の間隔を10波長小さくした状態を示している。
また、図13は、第2の実施形態による無線通信システムにおける雑音電力の計算結果を説明するための図である。図13は、図12の場合のSIRを示す。図11の場合と比べると、SIRが大きな値をとる伝送距離、つまり、並列伝送が可能となる伝送距離は178λとなり、図11の場合に比べて大きくなることがわかる。
また、ここで図示していないが、図13とは反対に、アンテナ素子の間隔を図11の場合に比べて大きく、例えば、d=110λとすると、並列伝送が可能となる伝送距離は166λとなり小さくなることが計算で確かめられる。このことから、伝送距離に応じてアンテナの素子間隔を適切に設定すれば並列伝送は可能となることがわかる。
アンテナの素子間隔を変更する方法としては、例えば機械的にモータ等を使用する方法、非特許文献3に開示されているように1つのアンテナ素子を2つのアンテナ素子から構成される副アレーで構成し電気的にアンテナ素子位置を変更する手法、等が考えられる。また、本実施形態では全てのアンテナ素子の高さを同じとしたが、それぞれのアンテナ素子の高さを変更することで伝送距離やアンテナ素子間隔の範囲を適宜変更することが出来る。
さらに、ここで示した計算では、各アンテナ素子間を結ぶ方向におけるアンテナの利得は一定としている。正面で対向するアンテナの方向にのみ高い利得を持ち、それ以外のアンテナ素子方向への利得が低くなるようアンテナ素子の指向性を持たせれば、図6に示したSIRより大きなSIRを得て、より高い伝送路容量を得ることが出来るため、本発明にかかる無線通信システムにおいてはアンテナの指向性を活用することが望ましい。
それでは、伝送距離Dが与えられたとき、アンテナ素子の高さhおよび素子間隔dはそれぞれどのような値を設定すればよいか、その一実施例を以下に説明する。図4に示すような受信電力の大小関係と各伝搬経路における直接波と反射波の経路差lの関係より、アンテナ素子の高さh値の設定条件として、下記の設定条件(1)〜(2)が導き出される。
(条件1)経路h12と経路h21では、直接波と反射波の経路差lが1/2波長となること(直接波と反射波が逆位相で合成される)。
(条件2)経路h11と経路h22では、直接波と反射波の経路差lが1波長となること(直接波と反射波が同位相で合成される)。
以上の設定条件(1)〜(2)を満たせば、アンテナ素子の高さhの値を設定できる。なお、設定条件のうち、条件2は必須の条件でなく、条件1を満たせばよい。
上記の条件1は、式(16)および式(17)でl=1/2λとおいたものである。よって、高さhは次式(18)を満たす。
Figure 0005961139
また、上記の条件2は、式(11)および式(12)でl=λとおいたものである。dは次式(19)を満たす。
Figure 0005961139
このように、伝送距離が与えられたとき、上記のようにアンテナ高さとアンテナ素子間隔を求めれば、2経路の並列伝送が可能となる。
本実施形態においては説明を容易にするため、送信側と受信側のアンテナを区別しているが、送受信の関係が反対であっても並列伝送できるアンテナ素子の配置条件は同一である。従って、例えば、時分割多重(TDD)による双方向伝送可能な無線通信システムにそのまま適用することが可能である。
また、本実施形態には垂直偏波による方法のみを記載しているが、水平偏波を利用したもの、円偏波を利用したものでもよい。こうした偏波を利用した無線通信システムについても反射体30における反射係数が異なるだけで同様の並列伝送の実施が可能である。水平偏波は反射体30が金属の場合は位相がπだけずれるので、直接波と反射波の経路差を計算する際にその位相のずれを考慮して本発明にかかる無線通信システムを設計すればよい。
また、反射体30は、大地、電離層、金属レール、軌道、金属壁、床、天井、水面等、様々な物体や構造物が該当する。
ところで、上述の第1の実施形態(図3参照)で示した縦方向のアレーアンテナと異なり、伝送路行列の非対角項に対応する伝送経路における直接波と反射波の位相差を確保するためには、伝送距離に比べてアンテナ素子間隔を大きくとる必要がある場合があることが計算で示された。そのため、アレーアンテナによる近距離MIMO伝送というよりもむしろ4個2対の無線通信装置がそれぞれ同一の周波数帯を使用して同時に通信を行うような無線通信システム、例えば、ミリ波帯を用いた無線LAN用の中継器を部屋の天井に複数配置する場合に、天井に金属レール等の無線周波数信号を反射しやすい構造物が設置されていれば、2対の中継器もしくはアクセスポイントを設置し、同一の無線周波数帯を用いて通信することで、無線LAN内における周波数利用効率を向上することが可能となる。ただし、2対の通信路においては、送受信のタイミングを合わせる必要がある。
図14は、第2の実施形態による無線通信システムの応用例を示す図である。室内の無線LANを構築するうえで、通信エリアを拡張するために天井に4つの中継器40_1〜中継器40_4を設置し、各中継器は室内に配置された端末無線通信装置50_1.50_2との通信を実施するアクセスポイント(AP)としても機能するものとする。天井60は金属等無線周波数信号(電波)をよく反射する材質の平面で構成されている。中継器40_1〜中継器40_4のアンテナは、天井からの距離hの点に設置されており、図7と同様の位置関係であるとする。中継器40_1のアンテナと中継器40_2のアンテナとの間隔、及び中継器40_3のアンテナと中継器40_4のアンテナの間隔はともにdである。
例えば、上述の計算例のように、h=10λ、d=100λの場合、中継器40_1のアンテナと中継器40_3を結ぶ伝送路と中継器40_2のアンテナと中継器40_4のアンテナを結ぶ伝送路は、波長がλとなる無線周波数帯1において互いにアイソレーションの高い2つの伝送路として扱うことが出来る。したがって、中継器40_1から中継器40_3へ無線周波数帯1で変調された無線中継データストリーム1を伝送し、同時に、中継器40_2から中継器40_4へ無線周波数帯1で変調された無線中継データストリーム2を伝送することが可能である。各中継器から端末無線通信装置50_1、50_2への無線伝送は、無線周波数帯1以外の周波数を用いて実施する。これにより、無線中継伝送の周波数利用効率を2倍にすることが出来る。
ただし、前記の通り、無線周波数帯1で変調された無線中継データストリーム1及び無線周波数帯1で変調された無線中継データストリーム2の送受信のタイミングは合わせる必要がある。送受信のタイミングを合わせない場合、例えば、中継器40_1が無線周波数帯1においてデータストリーム1を送信し、中継器40_3が無線周波数帯1においてそれを受信し、同時に、中継器40_4が無線周波数帯1においてデータストリーム2を送信し、それを中継器40_2が無線周波数帯1において受信しようとしている場合には、中継器40_2は中継器40_4が送信したデータストリーム2だけでなく中継器40_1が送信したデータストリーム1をも受信してしまい、混信が発生する。中継器40_3においても同様の混信が想定される。
しかし、このような混信はアンテナの指向性により排除できる場合がある。例えば、マイクロストリップアンテナは最大放射方向から90度の角度方向、つまり基板面方向に対しては利得がほぼ0となる。したがって、図14に示す中継器40_1と中継器40_2が互いにマイクロストリップアンテナを使用しそれぞれのアンテナ素子の放射導体を同一平面内に配置すれば、前記混信を回避することができ、前記送受信のタイミングを合わせることは不要となる。また、マイクロストリップアンテナだけでなく、ホーンアンテナもアンテナ放射方向と直交する方向に対する利得はほぼ0となることが知られているため同様に利用できる。また上述した第1の実施形態では、アレーアンテナのアンテナ素子を縦方向に配置した無線通信システム、本実施形態では、アレーアンテナのアンテナ素子を横方向に配置した無線通信システムを開示しているが、これらを組み合わせた無線通信システムであっても良い。
<第3の実施形態>
続いて、機械的にアンテナ設置の高さまたはアンテナ素子の間隔を変更することが可能な無線通信システムの構成について説明する。図15は、本発明の第3の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。
無線通信装置70_1は、送信アンテナ素子10_1の設置高さh1を、アンテナ素子位置変更機構により、機械的に変更する機能を有する。
無線通信装置70_1は、無線信号処理部71_1、71_2、SIR検出部72_1、アンテナ素子位置算出部73_1、アンテナ素子位置変更機構74_1を備えている。
無線信号処理部71_1は、無線通信装置70_1が送信アンテナ素子10_1(送信機の第1アンテナ素子)から受信アンテナ素子20_1(受信機の第1アンテナ素子)までの伝搬経路で情報信号1を無線周波数で変調して送信するための信号の処理を行う。また、無線信号処理部71_2は、無線通信装置70_1が送信アンテナ素子10_1(送信機の第2アンテナ素子)から受信アンテナ素子20_1(受信機の第2アンテナ素子)までの伝搬経路で情報信号2を、無線通信装置70_1の無線周波数と同一の無線周波数で変調して送信するための信号の処理を行う。
SIR検出部72_1は第1の実施形態、第2の実施形態で示した2つの伝送路間のSIRを検出する。また、アンテナ素子位置算出部73_1はアンテナ素子をどちらの方向に移動すればよいかを算出する。この算出結果に基づいて、アンテナ素子位置変更機構74_1が、例えばモータなどで駆動することにより、送信アンテナ素子10_1の高さh1を変更する。無線通信装置70_1と対向して通信を実施する無線通信装置70_2も、無線通信装置70_1と同様の構成を備えるものとする。
アンテナ素子位置算出部73_1におけるアンテナ素子移動方向の算出方法は、例えば、アンテナ素子を可動範囲いっぱいに動かし、SIR検出部72_1において無線周波数の試験送受信を実施しながら求められるSIRが最大になるアンテナ高さh1をアンテナ素子位置算出部73_1が保持する、という方法がある。そのほか、無線信号処理部71_1が伝送路の推定を実施し、アンテナ素子位置算出部73_1が最適なアンテナ高さh1を計算するという方法も考えられる。
なお、本実施形態では、h1のみを変更する形態を示したがこれに限定されることなく、h2のみ、またはh1とh2とを変更する形態でもよく、さらにアンテナ素子の設置位置は図面の横方向、図面の奥行き方向に変更するものでもよい。
また、アンテナ素子位置変更機構74_1は人手によって変更するものであっても良い。その場合は、SIR検出部72_1がSIRを数値、指針等で表示し、ユーザがその値を見ながらSIRが最大となるように人手でアンテナ素子位置を調整する構成としてよい。
また、本実施形態は、縦方向のアレーアンテナだけではなく、横方向にアンテナ素子を並べたアレーアンテナで素子間隔を変更する構成でもよい。
<第4の実施形態>
続いて、アンテナ素子を、副アンテナ素子からなる副アレーとする構成について説明する。図16は、本発明の第4の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。
なお、図15と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第4の実施形態では、上述の第3実施形態に示したようにアンテナ素子の位置を機械的に移動させるほかに、非特許文献3に開示されているように、1つのアンテナ素子を複数の副アレーから構成されるものにして、図15に示したアンテナ素子位置変更機構74_1の代わりに、副アレー内の各アンテナ素子への給電電力の比率を変更する重み付け変更機構75_1を設ける。
ここで、副アレーは、例えば、2つのアンテナ素子から構成され、それぞれのアンテナ素子への給電電力の比率を変更すれば、副アレーのビームの中心軸が図の上下方向に移動する構成となっている。詳細な動作については、非特許文献3を参照するとよいので、ここでは省略する。重み付け変更機構75_1は、アンテナ素子位置算出部73_1の指示値に応じて副アレー内の2つのアンテナ素子への給電電力の比率を設定する。
なお、本実施形態では、送信アンテナ素子10_1のみを副アレーとする形態を示したが、これに限定されることなく、送信アンテナ素子10_2のみ、または送信アンテナ素子10_1と送信アンテナ素子10_2の両方を変更する形態でもよい。
また、上述の第3の実施形態と同様、人手によって副アレー内重み付けを調整する機構であってもよい。その場合は、SIR検出部72_1がSIRを数値、指針等で表示し、ユーザがその値を見ながらSIRが最大となるように、人手で副アレーの給電電力の比率を調整する。また、本実施形態は、縦方向のアレーアンテナだけではなく、横方向にアンテナ素子を並べたアレーアンテナで素子間隔を変更する構成でもよい。
<第5の実施形態>
図17は、本発明の第5の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。図17に示すように、第5の実施形態では、反射体30の上に3素子の送受信アレーアンテナ(送信アレーアンテナ10、および受信アレーアンテナ20)がある。
送信アンテナ素子10_iと受信アンテナ素子20_j(j=1、2、3)は、それぞれ高さhk(k=1、2、3)に設置されており、送受信アレーアンテナは反射体30に垂直に3つのアンテナ素子を配列したアレーアンテナである。これらのアレーアンテナが見通し伝搬環境で、伝送距離D隔てて正面で対向している。
つまり、送信アンテナ素子数が3、受信アンテナ素子数が3であるので、このMIMO伝送路は9個の電波伝搬経路を持つ。
そして、上述した2波モデルのように、ぞれぞれの伝搬経路は、アンテナ素子間を結ぶ直接波と、反射体において1回反射した反射波の両方による伝搬から成り立っている。
ここで、送信アンテナ素子10_iから送信され、受信アンテナ素子20_jで受信される伝搬経路をhjiと表記する。図17より、hjiとhijとに関しては、それぞれ直接波と反射波の経路差が等しいため、伝搬損失は等しい。このような無線通信システムにおいても、アンテナの高さhk(k=1、2、3)をそれぞれ適切に設定すれば、上記第1の実施形態と同様に、3つの並列な伝送路を構成することが出来る。それでは、伝送距離Dが与えられたとき、アンテナ素子の高さhk(k=1、2、3)を、それぞれどのような値に設定すればよいかについて、その一実施例を以下に説明する。
まず、各伝搬経路における直接波と反射波の経路差lの関係より、下記条件が導き出される。
(条件)経路hijと経路hji(iとjとは等しくない)では、直接波と反射波の経路差lが1/2波長の奇数倍であること(直接波と反射波が逆位相で合成されること)。
上記の条件より、D≫hk(k=1、2、3)とすると、hk(k=1、2、3)は、それぞれ次の式(20)〜式(22)を満たす。ここで、Nk(k=1、2、3)は奇数である。
Figure 0005961139
Figure 0005961139
Figure 0005961139
上記式(20)〜式(22)から、hk(k=1、2、3)は、次式(23)の関係を満たす。
Figure 0005961139
上記式(23)から、アンテナの高さh2とアンテナの高さh1の関係が次式(24)のようになる。
Figure 0005961139
式(24)を式(20)に代入すると、アンテナの高さh1を次式(25)により求めることができる。
Figure 0005961139
また、式(25)を式(23)に代入すれば、アンテナの高さh2、アンテナの高さh3を求めることができる。
このように、伝送距離Dが与えられたとき、アンテナ素子の高さhk(k=1、2、3)の値を設定することができる。
<第6の実施形態>
図18は、本発明の第6の実施形態による無線通信システムの一態様を示す図である。図18に示すように、第6の実施形態では、反射体30の上に3素子の送受信アレーアンテナ(送信アレーアンテナ10および受信アレーアンテナ20)がある。送信アンテナ素子10_iと受信アンテナ素子20_iとは、それぞれ高さhk(k=1、2、3)に設置されており、送受信アレーアンテナは反射体30に平行に3つのアンテナ素子を配列したアレーアンテナである。また、アンテナ素子間隔はdである。これらのアレーアンテナが見通し伝搬環境で、伝送距離D隔てて正面で対向している。
つまり、送信アンテナ素子数が3、受信アンテナ素子数が3であるので、このMIMO伝送路は9個の電波伝搬経路を持つ。そして、上述した2波モデルのように、ぞれぞれの伝搬経路は、アンテナ素子間を結ぶ直接波と、反射体30において1回反射した反射波との両方による伝搬から成り立っている。
図18に示す構成から明らかなように、直接波と反射波の経路長が同一の伝搬経路は等しい。具体的に言うと、h11=h22=h33、h12=h21=h23=h32、さらにh13=h31である。上述の通り伝搬経路は9個あるが、値はこのように3種類しか存在しない。
このような無線通信システムにおいても、アンテナの高さhおよびアンテナ素子間隔dをそれぞれ適切に設定すれば、上述した第1の実施形態と同様に、3つの並列な伝送路を構成することが出来る。それでは、伝送距離Dが与えられたとき、アンテナの高hとアンテナ素子間隔dとをそれぞれどのような値を設定すればよいかについて、その一実施例を以下に説明する。
まず、各伝搬経路における直接波と反射波との経路差lの関係より、下記条件が導き出される。
(条件)経路hijと経路hji(iとjとは等しくない)では、直接波と反射波の経路差lが1/2波長の奇数倍であること(直接波と反射波が逆位相で合成されること)。
上記の条件より、伝搬経路h12、h21、h23、h32における直接波と反射波との経路差をl12、伝搬経路h13、h31における直接波と反射波との経路差をl13とおくと、下記式(26)が成立する。ここで、Nk(k=2、3)はそれぞれ等しくない奇数である。
Figure 0005961139
ここで、図18から明らかなように、伝搬経路h13、h31は、伝搬経路h12、h21、h23、h32より長いため、直接波と反射波との経路差にはl13<l12という大小関係がある。つまり、上記式(26)においても、下記式(27)に示す関係がある。
Figure 0005961139
図18に示すように、伝搬経路h12の水平距離、及び伝搬距離h13の水平距離を、れぞれ、次式(28)で表すL12、L13とおくと、経路差に関する次式(29)が得られる。
Figure 0005961139
Figure 0005961139
なお、上記式(29)においては、下記式(30)を利用した近似計算を行っている。
Figure 0005961139
上記式(29)を式(26)に代入すると、上記の条件を、下記式(31)により表すことができる。
Figure 0005961139
上記式(31)は、アンテナの高さhとアンテナ素子間隔dとの連立方程式であるので、これを解いてh、dを求めることができる。例えば、上記式(27)に従い、N=2n−1、N=2n+1(n=1、2、3、…)とすると、アンテナの高さhとアンテナ素子間隔dを下記式により求めることができる。
Figure 0005961139
以上説明したように、本発明の無線通信システムは、M(Mは自然数)個のアンテナ素子から構成される送信アレーアンテナ10を持つ送信機と、N(Nは自然数)個のアンテナ素子から構成される受信アレーアンテナ20を持つ受信機と、から構成される無線通信システムである。なお、上記実施形態の説明ではM=N=2、M=N=3の場合を一例と説明している。ここで、無線通信システムでは、送信アレーアンテナ10と受信アレーアンテナ20が正面で対向し、送信アレーアンテナ10と受信アレーアンテナ20の間には送信アレーアンテナの中心と受信アレーアンテナの中心とを結ぶ直線と平行な平面の反射体が設置される。
また、受信アレーアンテナ20の受信アンテナ素子20_i(第i(iはN以下の自然数)アンテナ素子)は、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_i(第iアンテナ素子)から送信される電波のうち直接到達する直接波と、送信アレーアンテナの送信アンテナ素子10_iから送信される電波のうち反射体30において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成される位置に設置される。また、受信アレーアンテナ20の受信アンテナ素子20_iは、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_j(第j(jはM以下のすべての自然数、かつj≠i)アンテナ素子)から送信される電波のうち直接到達する直接波と、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_jから送信される電波のうち反射体30において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置される。
また、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_i(第i(iはM以下の自然数)アンテナ素子)は、受信アレーアンテナ20の受信アンテナ素子20_i(第iアンテナ素子)から送信される電波のうち直接到達する直接波と、受信アレーアンテナ20_iの受信アンテナ素子20_i(第iアンテナ素子)から送信される電波のうち反射体30において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成される位置に設置される。また、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_iは、受信アレーアンテナ20受信アンテナ素子20_j(第j(jはN以下のすべての自然数、かつj≠i)アンテナ素子)から送信される電波のうち直接到達する直接波と、受信アレーアンテナ20の受信アンテナ素子20_jから送信される電波のうち反射体30において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置される。
また、本発明の無線通信システムは、送信アレーアンテナ10の送信アンテナ素子10_i(第iアンテナ素子)と受信アレーアンテナ20の受信アンテナ素子20_i(第iアンテナ素子)との間を結ぶ伝搬経路でそれぞれ第i情報信号を無線周波数で変調して伝送する、ことを特徴とする。
これにより、本発明による無線通信システムによれば、高度かつ高速な信号処理を使用することなく、アンテナ素子間隔が狭い場合であっても並列伝送による空間多重化伝送を可能とし、見通し間の無線伝送システムにおいて伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることが可能となる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…送信アレーアンテナ、20…受信アレーアンテナ、10_1,10_2…送信アンテナ素子、20_1,20_2…受信アンテナ素子、 30…反射体、40_1,40_2,40_3,40_4…中継器、50_1,50_2…端末無線通信装置、60…天井、70_1,70_2…無線通信装置、71_1,71_2…無線信号処理部、72_1…SIR検出部、73_1…アンテナ素子位置算出部、74_1…アンテナ素子位置変更機構、75_1…重み付け変更機構

Claims (8)

  1. M(Mは自然数)個のアンテナ素子から構成される送信アレーアンテナを持つ送信機と、
    N(Nは自然数)個のアンテナ素子から構成される受信アレーアンテナを持つ受信機と、
    から構成される無線通信システムであって、
    前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナが正面で対向し、
    前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナの間には前記送信アレーアンテナの中心と前記受信アレーアンテナの中心とを結ぶ直線と平行な平面の反射体が設置され、
    前記受信アレーアンテナの第i(iはN以下の自然数)アンテナ素子は、
    前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成され、かつ、
    前記送信アレーアンテナの第j(jはM以下のすべての自然数、かつj≠i)アンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記送信アレーアンテナの第jアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置され、
    かつ、
    前記送信アレーアンテナの第i(iはM以下の自然数)アンテナ素子は、
    前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに180°×n(nは奇数)以外の位相差で合成され、かつ、
    前記受信アレーアンテナの第j(jはN以下のすべての自然数、かつj≠i)アンテナ素子から送信される電波のうち直接到達する直接波と、前記受信アレーアンテナの第jアンテナ素子から送信される電波のうち前記反射体において1回反射して到達する反射波とが、互いに逆の位相で合成される位置に設置され、
    前記送信アレーアンテナの第iアンテナ素子と前記受信アレーアンテナの第iアンテナ素子との間を結ぶ伝搬経路でそれぞれ第i情報信号を無線周波数で変調して伝送する、
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記送信機のM個のアンテナ素子は前記反射体と垂直な方向に配列された前記送信アレーアンテナを構成し、
    前記受信機のN個のアンテナ素子は前記反射体と垂直な方向に配列された前記受信アレーアンテナを構成し、
    前記アンテナ素子各々の垂直方向の高さは、伝送路内における無線周波数信号の波長と伝送距離と基づいて設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記反射体は前記送信アレーアンテナと前記受信アレーアンテナを結ぶ線分上に配置される帯状である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2いずれかに記載の無線通信システム。
  4. 前記送信機のM個のアンテナ素子は前記反射体と平行な方向に配列された前記送信アレーアンテナを構成し、
    前記受信機のN個のアンテナ素子は前記反射体と平行な方向に配列された前記受信アレーアンテナを構成し、
    前記アンテナ素子各々の垂直方向の高さと素子間隔は、それぞれ伝送路内における無線周波数信号の波長と伝送距離と基づいて設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  5. 前記反射体は4つのアンテナ素子の位置を結んで出来る長方形の中心位置に設置される平面である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項4いずれか一項に記載の無線通信システム。
  6. 前記アンテナ素子は、副アンテナ素子からなる副アレーである、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5いずれか一項に記載の無線通信システム。
  7. 請求項1から請求項6いずれか一項に記載の送信機であって、
    前記送信機は、
    前記送信アレーアンテナにおけるアンテナ素子のビーム中心位置を機械的に可動とする、
    ことを特徴とする送信機。
  8. 請求項1から請求項6いずれか一項に記載の受信機であって、
    前記受信機は、
    前記受信アレーアンテナにおけるアンテナ素子のビーム中心位置を機械的に可動とする、
    ことを特徴とする受信機。
JP2013108324A 2013-05-22 2013-05-22 無線通信システム、送信機、および受信機 Active JP5961139B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013108324A JP5961139B2 (ja) 2013-05-22 2013-05-22 無線通信システム、送信機、および受信機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013108324A JP5961139B2 (ja) 2013-05-22 2013-05-22 無線通信システム、送信機、および受信機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014230094A JP2014230094A (ja) 2014-12-08
JP5961139B2 true JP5961139B2 (ja) 2016-08-02

Family

ID=52129568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013108324A Active JP5961139B2 (ja) 2013-05-22 2013-05-22 無線通信システム、送信機、および受信機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5961139B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6751051B2 (ja) * 2017-05-25 2020-09-02 日本電信電話株式会社 無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置
JP6930859B2 (ja) * 2017-05-30 2021-09-01 株式会社東芝 アンテナ配置決定装置、アンテナ配置決定方法、無線通信装置および通信システム
JP2019009724A (ja) * 2017-06-28 2019-01-17 矢崎総業株式会社 車両用無線通信システム
JP7031478B2 (ja) * 2018-05-08 2022-03-08 トヨタ自動車株式会社 無線通信システム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7551680B2 (en) * 2004-10-28 2009-06-23 Interdigital Technology Corporation Wireless communication method and apparatus for forming, steering and selectively receiving a sufficient number of usable beam paths in both azimuth and elevation
JP5645238B2 (ja) * 2008-09-19 2014-12-24 日本電気株式会社 無線通信システムの制御方法、及び無線通信システム
JP2011188439A (ja) * 2010-03-11 2011-09-22 Mitsubishi Denki Tokki System Kk 対向するmimo送受信機による通信方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014230094A (ja) 2014-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102884731B (zh) 用于毫米波通信系统的空分双工的装置和方法
Samimi et al. 28 GHz millimeter-wave ultrawideband small-scale fading models in wireless channels
US9270022B2 (en) Method, apparatus and system of antenna array dynamic configuration
CN102362519B (zh) 改进的转发器
US20160087349A1 (en) Method and apparatus for forming beam in antenna array
Lu et al. Comparison of antenna arrays in a 3-D multiuser multicell network
US10756828B2 (en) Millimeter wave RF channel emulator
CN112585881B (zh) 通信设备中的多波束接收
JP5961139B2 (ja) 無線通信システム、送信機、および受信機
Rohani et al. Improving Channel Capacity in Indoor $4\times 4$ MIMO Base Station Utilizing Small Bidirectional Antenna
Zhang et al. Measurement-based angular characterization for 72 GHz propagation channels in indoor environments
Abdulwahid et al. A Comparison between Different C-band and mmWave band Frequencies for Indoor Communication.
Zou et al. Beamforming codebook design and performance evaluation for 60GHz wireless communication
Tang et al. Design of 5G dual-antenna passive repeater based on machine learning
JP2012191281A (ja) 無線通信装置
Simonsson et al. Dual polarization beamforming coverage demonstrated with 5G NR SSB
US8503951B2 (en) Antenna installation method in a multiple input multiple output communication method
Kataoka et al. Analog decoding method for simplified short-range MIMO transmission
JP5367408B2 (ja) 携帯電話機
Tapio et al. Coverage enhancements using RIS-integrated NR
JP2008283369A (ja) 基地局アンテナのビーム特性の設定方法
Wang et al. Measurements of 3.5 GHz OAM misaligned channels in indoor corridor scenarios
Cella et al. Design of a practical and compact mm-wave MIMO system with optimized capacity and phased arrays
US20230344506A1 (en) Reconfigurable intelligent surfaces (ris) assisted line-of-sight (los) multiple-input multiple-output (mimo) for range extension at terahertz (thz)
CN106992802A (zh) 用于用户终端的信号收发装置、用户终端和信号传输方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160609

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160624

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5961139

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150