以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、図1乃至図3を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体構成について説明する。図1は、パチンコ機を示す正面図である。図2は、本体枠および前面枠を開放した状態のパチンコ機を示す斜視図である。図3は、パチンコ機の裏面構成を示す背面図である。
図1に示すように、パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面一側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。また、本体枠3は、前枠体8、遊技盤装着枠9、および機構装着枠10を合成樹脂材によって一体成形することにより構成されている。本体枠3の前側に形成された前枠体8は、外枠2前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。なお、外枠2に対する本体枠3の開閉は、内枠開放スイッチ36(図5に符号のみ記載)によって検出されるようになっている。
また、本体枠3は、合成樹脂材によって一体に形成されるとともに、前面側に遊技盤装着枠9が後面側に機構装着枠10がそれぞれ形成されている。これによって、合成樹脂製の本体枠3は、従来の前枠(内枠、前面枠等と呼ばれることがある)と、機構板(裏機構板、裏セット板等と呼ばれることがある)との機能を兼ね備えている。
前枠体8の後部に一体的に形成された遊技盤装着枠9には、遊技盤4が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。また、遊技盤装着枠9の左側部には、係合突部33が上下に2つ形成され、遊技盤装着枠9の右側部には、係合凹部(図示しない)が上下に2つ形成されている。また、遊技盤4の盤面(前面)の左側部には係合突部33と対応する係止凹部34が上下に2つ形成され(図4参照)、遊技盤4の盤面の右側部には係合凹部と対応する係合フック35が上下に2つ形成されている。係合フック35は、遊技盤4と遊技盤装着枠9とを係脱可能に係止する。
また、遊技盤4の左下部には、係止フック38が形成され(図4参照)、遊技盤装着枠9の左下部には、係止フック38と対応する付勢ロック部37が設けられている。遊技盤4を遊技盤装着枠9に装着した場合には、付勢ロック部37が係止フック38を下方に付勢して係止する。そして、付勢ロック部37によって係止フック38を下方に付勢することにより遊技盤4に下方への付勢力を作用しつつ係止することができる。これにより、遊技盤4が遊技盤装着枠9の下縁部と密着して下方に押圧固定される。
また、遊技盤4の盤面には、外レールと内レールとを備えた案内レール11が設けられている。また、遊技盤装着枠9よりも下方に位置する前枠体8の前側下部の一側寄りには、重低音用スピーカ14が装着されている。また、前枠体8前面の下部領域内の上側部分には、遊技盤4の発射通路に向けて遊技球を導く発射レール15が傾斜状に装着されている。一方、前枠体8前面の下部領域内の下側部分には、下前面部材16が装着されている。下前面部材16前面のほぼ中央には、下皿17が設けられ、片側寄りには操作ハンドル18が設けられている。
また、図2に示すように、本体枠3(前枠体8)のヒンジ機構7が設けられる側とは反対側となる開放側の後面には、外枠2に対して本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対して前面枠5を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置19が装着されている。施錠装置19は、外枠2に設けられた閉止具20に係脱可能に係合して本体枠3を閉鎖状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック21と、前面枠5の開放側の後面に設けられた閉止具22に係脱可能に係合して前面枠5を閉鎖状態に施錠する上下複数の扉施錠フック23とを備えている。
しかして、シリンダー錠24の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることによって、本体枠施錠フック21と外枠2の閉止具20との係合が解除されて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に鍵が回動操作されることによって、扉施錠フック23と前面枠5の閉止具22との係合が解除されて前面枠5が解錠されるようになっている。なお、シリンダー錠24の前端部は、パチンコ機1の前方から鍵を挿入して解錠操作が行えるように、前枠体8および下前面部材16を貫通して下前面部材16の前面に露出して配置されている。
本体枠3前面の一側には、ヒンジ機構25によって前面枠5が前方に開閉可能に装着されている。前面枠5は、扉本体フレーム26、および上皿28を備えて構成されている。扉本体フレーム26は、プレス加工された金属製フレーム部材によって構成され、前枠体8の上端から下前面部材16の上縁に亘る部分を覆う大きさに形成されている。扉本体フレーム26のほぼ中央には、後述する遊技領域12を前方から透視可能なほぼ円形状の開口窓30が形成されている。また、扉本体フレーム26の後側には、開口窓30よりも大きい矩形枠状をなす窓枠31が設けられ、該窓枠31には、遊技領域12を透視可能な透明板32が装着されている。透明板32は、ガラスや透明樹脂などによって形成される。なお、本体枠3に対する前面枠5の開閉は、扉開放スイッチ39(図5に符号のみ記載)によって検出されるようになっている。
扉本体フレーム26の前側には、開口窓30の周囲において、左右両側部に枠ランプ27が、下部に上皿28が、上部に中高音用スピーカ29が装着されている。なお、枠ランプ27は、後述する画像表示装置42にて実行される演出の演出態様に応じて点灯・消灯制御され、中高音用スピーカ29および上述した重低音用スピーカ14は、画像表示装置42にて実行される演出の演出態様に応じて複数種類の音出力態様の音出力制御が実行される。このように、画像表示装置42にて実行される演出に同期して枠ランプ27の点灯・消灯制御、中高音用スピーカ29および重低音用スピーカ14の音出力制御、を実行することにより演出効果を高め、遊技者の興趣を向上させるためのものである。また、中高音用スピーカ29および重低音用スピーカ14では、不正行為が実行されたことを報知する警告音、遊技に関するエラー状態が発生したことを報知する情報音、等の出力も行われる。
次に、本体枠3の裏面構成について説明すると、図3に示すように、本体枠3の裏面上側には、遊技島に設置される球揚送装置から供給される遊技球を貯留する球タンク105と、球タンク105と払出装置103とを接続し、球タンクに貯留される遊技球を流下せしめるタンクレール106と、が配置されている。なお、タンクレール106によって球タンク105と接続される払出装置103(球払出手段)は、ユニット状に形成され、タンクレール106からの遊技球を受け入れて遊技球の払い出しを指示する信号にもとづいて所定個数の遊技球を払い出す。
また、タンクレール106の下方には、基板等が内蔵される基板保護カバー107が設けられている。なお、基板保護カバー107は、タンクレール106から落下した球によってこれら基板類が損傷するのを防止するとともに、各基板への不正行為を防止する役割を担っている。また、基板保護カバー107は、パチンコ機1の後面側に張り出しており、その下方に主制御基板101が配置されている。また、主制御基板101の遊技盤4後面側には周辺制御基板111(図5に符号のみ記載)が配置されている。しかして、主制御基板101および周辺制御基板111の上方がパチンコ機1の後面側に張り出した基板保護カバー107によって覆われ、タンクレール106から落下した球によって主制御基板101および周辺制御基板111が損傷するのを防止している。
また、本体枠3の裏面下側一側に発射制御装置104(球発射手段)が取り付けられている。この発射制御装置104は、発射位置に送られた球を発射する発射ハンマーと、発射ハンマーに往復回動動作を付与する発射モータ等を集約して設けることにより構成され、操作ハンドル18と関連付けられている。また、発射制御装置104の右側方には、払出制御基板102が設けられている。払出制御基板102は、主制御基板101からの遊技球の払い出しを指示する信号を受信したことにもとづいて払出装置103を駆動制御する。
次に、遊技盤4に設けられる各種構成部材および装置について図4を参照して説明する。図4は、遊技盤4を示す正面図である。
遊技盤4の盤面には、案内レール11が円形状に立設し、その内側に遊技領域12を形成している。遊技領域12は、種々の部材によって、遊技球を転動可能な領域と、その他の領域(遊技球を転動不可能な領域)と、に区画形成される。具体的には、遊技領域12の中央部分に、遊技盤4の前面側の盤面から前方に所定の厚みを有し、中央が刳り貫かれた規制壁部材40が立設し、遊技領域12を区画している。すなわち、遊技領域12を流下してきた遊技球が規制壁部材40に接触すると、規制壁部材40の左右両側の一方に誘導され、規制壁部材40の内部に進入できないように規制壁部材40が形成されている。
また、規制壁部材40の一部には、遊技球が進入可能な開口(図示しない)が開設され、該開口から進入した遊技球は、規制壁部材40の内壁に沿って設けられる誘導部材40dにより規制壁部材40の下部内側面に誘導される。誘導部材40dは、透明な合成樹脂から形成される筒状の部材であり、内部を転動する遊技球を視認可能に構成される。また、規制壁部材40の下部内側面には、遊技球が転動可能な棚形状を有する入賞補助ステージ40eが形成されている(図13参照)。入賞補助ステージ40eは、その中央部分に前方下方に傾斜した補助溝40fが形成される。該補助溝40fは、後述する上始動口72の真上に位置し、入賞補助ステージ40e上を転動する遊技球を上始動口72の真上に放出し、上始動口72への入賞を補助するものである(図12参照)。
なお、この実施の形態では、誘導部材40dを透明な合成樹脂から形成することによって内部を転動する遊技球を視認可能としたが、誘導部材40dの内部を転動する遊技球が視認可能であれば誘導部材40dを異なる構成としてもよい。例えば、誘導部材40dの側面にスリット状の開口を複数形成することにより内部を転動する遊技球を視認可能となるようにしてもよい。
規制壁部材40の内側領域には、複数種類の画像を表示制御可能な画像表示装置42が配設される。遊技球の進入を阻止する規制壁部材40内部に画像表示装置42が設けられるため、画像表示装置42の前方を遊技球が流下して表示内容を視認し難くなるという不具合を防止できる。また、この実施の形態の画像表示装置42は、画像を表示可能な液晶表示装置(LCD)によって構成され、左・中・右の3つの領域それぞれにて各々を識別可能な複数種類の装飾図柄(例えば、「0」〜「9」の図柄)の変動表示を行う。
規制壁部材40の右下部には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器44、特図保留記憶LED47、普図保留記憶LED48、および状態表示LED43が設けられている。特別図柄表示器41は、2個のフルカラーLEDによって構成され、所定の態様でLEDを駆動制御することにより特別図柄を変動表示する。また、普通図柄表示器44は、2個のLEDによって構成され、所定の態様でLEDを駆動制御することにより特別図柄を変動表示する。特図保留記憶LED47は、2個のLEDによって構成され、所定の態様でLEDを駆動制御することにより後述する特図保留記憶数を表示する。普図保留記憶LED48は、2個のLEDによって構成され、所定の態様でLEDを駆動制御することにより後述する普図保留記憶数を表示する。状態表示LED43は、1個のフルカラーLEDによって構成され、所定の態様でフルカラーLEDを駆動制御することにより遊技状態を遊技者に報知する。
規制壁部材40の左側方には、ゲート74が設けられている。ゲート74には、ゲート74を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ74aが設けられている。なお、上述した普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示は、ゲート74を遊技球が通過し、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されたことにもとづいて開始される。すなわち、ゲートスイッチ74aによる遊技球の検出に応じて普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示が許可される。この例では、普通図柄表示器44は、左右2つのLEDによって構成され、左側のLEDは緑色に発光し、右側のLEDは赤色に発光する。そして、左右のLEDを交互に点灯することによって普通図柄の変動表示を実行する。
また、規制壁部材40の中央下方には、上始動口72と下始動口73とを備えた可変入賞球装置71が配置する。可変入賞球装置71において、上始動口72は、上方から流下する遊技球を常に受け入れ可能な状態で設けられる。一方、下始動口73は、上始動口72の下方に設けられるとともにその両側に可動片71aが設けられ、上方および左右両側が塞がれた状態で設けられる。すなわち、可変入賞球装置71において、下始動口73は、遊技球を受け入れ不可能な状態で設けられている。可動片71aは、普通電動役物ソレノイド71bにより下部を支点として回動し、可変入賞球装置71の状態を下始動口73に遊技球を受け入れ可能な開放状態と、下始動口73に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態と、のいずれかの状態に制御する。また、上始動口72に入賞した遊技球は上始動口スイッチ72aによって検出され、下始動口73に入賞した遊技球は下始動口スイッチ73aによって検出される。
なお、上述した特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示は、上始動口72に遊技球が入賞して上始動口スイッチ72aにより遊技球が検出されたこと、および、下始動口73に遊技球が入賞して下始動口スイッチ73aにより遊技球が検出されたこと、にもとづいて開始される。すなわち、上始動口スイッチ72aおよび下始動口スイッチ73aによる遊技球の検出に応じて特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示が許可される。この例では、特別図柄表示器41は、左右2つのフルカラーLEDによって構成され、左右のLEDを所定の態様で駆動制御することにより特別図柄の変動表示を実行する。
規制壁部材40の上部には、大入賞口開閉装置75が配設されている。大入賞口開閉装置75は、大入賞口の状態を、遊技球を受け入れ可能な開放状態と、遊技球を受け入れ不可能(開放状態よりも受け入れ難い状態でもよい)な閉塞状態と、のいずれかの状態に制御する装置である。具体的には、大入賞口開閉装置75は、大入賞口の上方に突設する封鎖部材(図示しない)と、大入賞口の左右両側に配置する可動片(図示しない)と、により遊技球の進入を阻害するように構成され、大入賞口ソレノイド76aにより大入賞口の左右両側に配置する可動片を回動して遊技球を受け入れ可能な開放状態と遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態とに制御する。大入賞口に入賞した遊技球は、カウントスイッチ75aによって検出される。また、大入賞口に遊技球が入賞し、カウントスイッチ75aによって検出されたことにもとづいて所定数(例えば、15個)の遊技球の払い出しが行われる。
また、遊技領域12の最下部には、遊技領域12を流下していずれの入賞口や入賞装置にも入賞しなかった遊技球を遊技領域12から排出するアウト口77が設けられている。また、遊技領域12には、上方から遊技球を受け入れ可能な複数の一般入賞口(左上・左中入賞口13a、左下入賞口13b、右入賞口13c)も設けられ、いずれかの一般入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。なお、左上・左中入賞口13aに入賞した遊技球は、左上・左中入賞口スイッチ13dによって検出され、左下入賞口13bに入賞した遊技球は、左下入賞口スイッチ13eによって検出され、右入賞口13cに入賞した遊技球は、右入賞口スイッチ13fによって検出される。この例では、上述した可変入賞球装置71、および一般入賞口13a〜13cは、板状パネル70に取り付けられ、一体形成される。
また、遊技盤4の前面(遊技領域12が形成される側)には、遊技球の流下方向を変化させる複数の障害釘が植設する。また、以上説明した一般入賞口13a〜13cおよび各種入賞口(上始動口72、下始動口73、大入賞口)に入賞した遊技球は、各球検出スイッチによって検出された後、遊技盤4の裏面に排出されるが、これら全ての遊技球は、遊技盤4裏面に設けられた全入賞口入賞数計数スイッチ45a(図5に符号のみ記載)によって検出されるようになっている。
次に、パチンコ機1の裏面側に設けられる主基板100と周辺基板110とについて説明する。図5は主基板100と周辺基板110とを示すブロック図である。
主基板100は、図5に示すように、主制御基板101および払出制御基板102により構成されている。主制御基板101は、図5に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU101aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート101bと、を備えている。主制御MPU101aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するための機能も内蔵されている。
主制御I/Oポート101bを介して、カウントスイッチ75a、上始動口スイッチ72a、下始動口スイッチ73a、ゲートスイッチ74a、左上・左中入賞口スイッチ13d、左下入賞口スイッチ13e、右入賞口スイッチ13f、全入賞口入賞数計数スイッチ45a、磁気検知スイッチ45b、扉開放スイッチ39、および内枠開放スイッチ36からの検出信号がそれぞれ入力される。
なお、全入賞口入賞数計数スイッチ45aは、遊技領域12に設けられた複数種類の入賞口(この例では、一般入賞口13a〜13c、上始動口72、下始動口73、および大入賞口)に入賞した全ての遊技球を検出するスイッチであり、主制御MPU101aは、全入賞口入賞数計数スイッチ45aによって遊技球が検出されたことにもとづいて入賞球数を計数する。また、磁気検知スイッチ45bは、遊技盤4の後面側であって、遊技領域12における上始動口72および下始動口73の近傍に設けられ、磁気変化を検出するものである。すなわち、磁気検知スイッチ45bは、磁石等を用いて遊技球を上始動口72および下始動口73に不正に入賞させる不正行為がなされたことを検出するスイッチであり、主制御MPU101aは、磁気検知スイッチ45bによって磁気が変化したことを検出したときに不正がなされたことを報知する処理を行う。
また、主制御MPU101aは、上記した検出信号にもとづき、主制御I/Oポート101bを介して普通電動役物ソレノイド71a、大入賞口ソレノイド76a、特別図柄表示LED基板46(特別図柄表示器41および特図保留記憶LED47を搭載する基板)、普通図柄表示LED基板49(普通図柄表示器44および普図保留記憶LED48を搭載する基板)、および状態表示LED基板(状態表示LED43を搭載する基板;図示しない)を駆動する駆動信号を出力する。
主制御基板101と払出制御基板102との基板間では、互いに、つまり双方向に各種コマンドがやり取りされ、主制御基板101と周辺制御基板111との基板間では、主制御基板101から周辺制御基板111へ、つまり一方向に各種コマンドが出力されている。
払出制御基板102は、図5に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU102aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート102bと、を備えている。払出制御MPU102aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するため機能も内蔵されている。
主制御基板101から出力された払出装置103(払出モータ)を駆動するコマンドは払出制御I/Oポート102bを介して入力され、払出制御MPU102aは、このコマンドにもとづき、払出制御I/Oポート102bを介して払出装置103(払出モータ)を駆動する駆動信号を出力する。これにより、払出装置103は賞球を払い出す。なお、払出制御MPU102aは、図示しないプリペイドカードユニットから貸球要求信号が入力されると、貸球を払い出す。また、払出制御MPU102aは、主制御基板101から出力された異常発生時(例えば、磁気検知スイッチにより磁気変化を検出した)のコマンドが払出制御I/Oポート102bを介して入力されると、このコマンドにもとづいて発射制御装置104(発射モータ)の駆動を停止する駆動停止信号を、払出制御I/Oポート102bを介して出力する。これにより、発射制御装置104は異常発生時にその駆動が停止される。
周辺基板110は、図5に示すように、周辺制御基板111により構成されている。周辺制御基板111は、図5に示すように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU111aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM111bと、高音質の演奏を行う音源IC111cと、この音源IC111cが参照する音楽および効果音等の音情報が記憶されている音ROM111d、を備えている。
サブ統合MPU111aは、主制御基板101からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて表示演出に関する表示コマンドを作成し、液晶表示基板120に出力する。液晶表示基板120は、サブ統合MPU111aから出力された表示コマンドに応じてLEDモジュール(画像表示装置42)を制御して装飾図柄の変動表示、キャラクタ等の画像表示等を行う。
また、サブ統合MPU111aは、パラレル入出力ポートやシリアル入出力ポート等を内蔵しており、主制御基板101からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて、演出に関する演出コマンドを作成し、この演出コマンドを、パラレル入出力ポートから音源IC111cに出力する。音源IC111cは、サブ統合MPU111aから出力された演出コマンドに応じて、音ROM111dから音情報を読み込み、上述した重低音用スピーカ14および中高音用スピーカ29から各種演出に合わせた音楽および効果音等が出るよう制御を行う。また、サブ統合MPU111aは、演出コマンドに合わせて、枠ランプ27(図5には、枠装飾基板27aと記載)を駆動する駆動データを出力する。
また、サブ統合MPU111aは、演出コマンドに合わせて、シリアル入出力ポートからランプ駆動基板119に、各種LED(例えば、遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、遊技盤下LED基板119e、右下飾りLED基板119f、右ワープLED基板119g、右上飾り上LED基板119h、右上飾り中LED基板119i、右上飾り下LED基板119j、および大入賞口内LED基板119k)に搭載されるLEDを点灯/消灯(ON/OFF)するON/OFFデータと、各種モータ(例えば、大入賞口内振分モータ59a)を駆動する駆動データと、を出力する。
なお、右ワープLED基板119gは、規制壁部材40の右側方に設けられ、規制壁部材40の右側方の遊技領域を光装飾するものである。また、右上飾り上LED基板119h、右上飾り中LED基板119i、および、右上飾り下LED基板119jは、後述する右上装飾部材40cの後面側に設けられ、右上装飾部材40cを光装飾するものである。また、大入賞口内LED基板119kは、大入賞口開閉装置75の後面側に設けられ、大入賞口を光装飾するものである。
また、大入賞口内振分モータ59aの位置を検出する大入賞口内振分モータセンサ59b、振分装置進入スイッチ59c、振分装置進入スイッチ58d、特定演出スイッチ62d、特定演出排出スイッチ55dからの検出信号は、ランプ駆動基板119を介して周辺制御基板111に入力される。サブ統合MPU111aは、大入賞口内振分モータセンサ59b、振分装置進入スイッチ59c、振分装置進入スイッチ58d、特定演出スイッチ62d、特定演出排出スイッチ55dからの検出信号が入力されると、大入賞口内振分モータ59a、液晶表示基板120等に制御信号を出力する。
このように本実施形態では、特別図柄を変動表示する特別図柄表示器41を主基板100に搭載される主制御MPU101aで制御する一方、規制壁部材40および背面装飾部材50に設けられている各種装置(大入賞口開閉装置75、画像表示装置42等)を周辺基板110に搭載されるサブ統合MPU111aで制御するようになっている。このため、主基板100(主制御MPU101a)の制御負担を軽減することができるとともに、周辺基板110(サブ統合MPU111a)の制御によって規制壁部材40および背面装飾部材50に設けられている各種装置によって多彩な演出を実行することができ、演出に対する興趣を低減しない構成にできる。
ここで、上述した各種構成部材および装置等が設けられた遊技盤4にて実現される遊技について説明する。遊技者が操作ハンドル18を操作することによりパチンコ機1の裏面側に設けられる発射制御装置104によって遊技球が打ち出される。発射制御装置104から打ち出された遊技球は、発射レール15および案内レール11を通って遊技領域12の上部に放出され、遊技領域12を障害釘等に衝突しながらアウト口77に向かって流下する。そして、遊技領域12を流下する遊技球がゲート74を通過し、ゲートスイッチ74aによって検出されると、普通図柄表示器44で普通図柄の変動表示が開始される。
なお、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されると、所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そして、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を開始するときに、普通図柄当り判定乱数にもとづいて当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様でLEDを停止表示する。具体的には、当りと判定された場合には、右側のLED(赤色発光LED)を点灯した状態で停止し、はずれと判定された場合には、左側のLED(緑色発光LED)を点灯した状態で停止する。
また、普通図柄表示器44にて普通図柄の変動表示を実行中に遊技球がゲート74を通過し、ゲートスイッチ74aにより遊技球が検出されたことにもとづいて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(この実施の形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される普通図柄当り判定乱数の個数(普図保留記憶数)は普図保留記憶LED48によって表示される。上述したように、普図保留記憶LED48は、左右2つのLEDによって構成される。この例では、左側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が1であることを示し、左右2つのLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が2であることを示し、左側のLEDを点滅するとともに右側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が3であることを示し、左右2つのLEDを点滅させることにより普図保留記憶数が4であることを示す。
また、普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示は、所定期間経過後に停止し、停止時の普通図柄の表示結果が「当り」となったときに可変入賞球装置71を所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御する。一方、普通図柄表示器44の表示結果が「ハズレ」となった場合には、可変入賞球装置71を開放状態に制御することなく下始動口73に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態を維持するが、上始動口72は遊技球を受け入れ可能な状態となっている。
すなわち、下始動口73は、普通図柄表示器44に当りとなる表示結果が停止表示されたときに所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御される。具体的には、普通図柄表示器44に当りとなる表示結果が停止表示されたことにもとづいて普通電動役物ソレノイド71bを可動して可動片71aを回動し、可変入賞球装置71を開放状態に制御する。そして、所定期間経過したときに再び普通電動役物ソレノイド71bを可動して可動片71aを回動し、可変入賞球装置71を閉塞状態に制御する。可変入賞球装置71を開放状態に制御することにより下始動口73に遊技球を受け入れ可能な状態になり、可変入賞球装置71を閉塞状態に制御することにより遊技球を受け入れ不可能な状態になる。
また、遊技領域12を流下する遊技球が上始動口72、または、下始動口73に入賞すると、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態、および、特別図柄および装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとともに、画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始し、所定期間経過後に特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示、および、画像表示装置42における装飾図柄の変動表示を停止して表示結果を導出する。
なお、本実施形態では、特別図柄の変動表示が許可される入賞口として、可変入賞球装置71に設けられる上始動口72および下始動口73の2つの始動入賞口が設けられているが、可変入賞球装置71に設けられる始動入賞口の設置個数はこれらに限られず、例えば、上始動口72と、下始動口73と、のいずれか一方のみ設ける構成であってもよい。また、上始動口72に遊技球が入賞して上始動口スイッチ72aによって検出されたことにもとづいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われ、下始動口73に遊技球が入賞して下始動口スイッチ73aによって検出されたことにもとづいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。
また、上始動口スイッチ72aおよび下始動口スイッチ73aにより遊技球が検出されると、所定範囲の大当り判定乱数を更新するカウンタから大当り判定乱数を抽出する。また、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとき(および、画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)に、大当り判定乱数にもとづいて大当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様で特別図柄表示器41のLEDを点灯制御するとともに、画像表示装置42に装飾図柄を導出表示する。具体的には、大当りとする判定がなされた場合には、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様(大当り図柄)で点灯表示するとともに、画像表示装置42に装飾図柄の特定表示結果(大当り図柄:同一の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出表示し、はずれと判定された場合には、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様とは異なる態様(はずれ図柄)で点灯表示するとともに、画像表示装置42に特定表示結果とは異なるはずれ状態となる表示結果(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、この実施の形態では、少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出表示する。このように、特別図柄表示器41における特別図柄の表示結果と、画像表示装置42における装飾図柄の表示結果と、は対応している。
また、画像表示装置42にて変動表示される装飾図柄は特別図柄表示器41にて変動表示される特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄表示器41にて行われる変動表示の内容を演出用の装飾図柄を用いてより演出効果を高めて遊技者に表示するものである。つまり、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態(15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態)に移行制御するが、万が一、画像表示装置42にて装飾図柄の表示結果が特定表示結果となっても特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様とは異なる態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態に移行制御されない。
さらに、この実施の形態では、特別図柄表示器41の2個のLEDによって点灯表示する特定の態様は、特別態様(確変図柄)と、特別態様とは異なる非特別態様(非確変図柄)と、を含み、さらに、特別態様(確変図柄)には、高利益特別態様(15R確変図柄)と、低利益特別態様(2R確変図柄)と、を含み、非特別態様(非確変図柄)には、高利益非特別態様(15R非確変図柄)と、低利益非特別態様(2R非確変図柄)と、を含む。
そして、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち高利益特別態様(15R確変図柄)で点灯表示する場合には、画像表示装置42に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち高利益特別表示結果(15R確変図柄:この実施の形態では、同一の奇数図柄の組み合わせ)を導出表示し、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち低利益特別態様(2R確変図柄)で点灯表示する場合には、画像表示装置42に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち低利益特別表示結果(2R確変図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ):この実施の形態では、「123」)を導出表示する。
また、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち高利益非特別態様(15R非確変図柄)で点灯表示する場合には、画像表示装置42に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち高利益非特別表示結果(15R非確変図柄:この実施の形態では、同一の偶数図柄の組み合わせ)を導出表示し、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち低利益非特別態様(2R非確変図柄)で点灯表示する場合には、画像表示装置42に装飾図柄の表示結果として特定表示結果のうち低利益非特別表示結果(2R非確変図柄(はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ):この実施の形態では、「321」)を導出表示する。
特別図柄表示器41の2個のLEDを特別態様(高利益特別態様およぎ低利益特別態様)で点灯表示した場合には、大当り遊技状態終了後、通常状態および後述する時短状態よりも高い確率で大当りと判定される高確率状態(この実施の形態では、高確率状態では、1/31.5の確率で大当りと判定、通常状態および時短状態では、1/315.5の確率で大当りと判定)に制御する。
一方、特別図柄表示器41の2個のLEDを非特別態様(高利益非特別態様および低利益非特別態様)で点灯表示した場合には、大当り遊技状態終了後、特別図柄表示器41により特別図柄の変動表示を所定回数(例えば、100回)実行するまで、特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間と、普通図柄表示器44により普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間と、を通常状態よりも短縮する時短状態に制御する。なお、画像表示装置42による装飾図柄の変動表示は特別図柄表示器41による特別図柄の変動表示と同期している。具体的には、特別図柄表示器41により特別図柄の変動表示を開始するときに画像表示装置42により装飾図柄の変動表示を開始し、特別図柄表示器41により特別図柄を停止表示するときに画像表示装置42により装飾図柄を停止表示する。すなわち、特別図柄表示器41による特別図柄の変動時間と、画像表示装置42による装飾図柄の変動時間と、は同一の時間とされ、時短状態において特別図柄表示器41による特別図柄の変動時間が短縮されることに伴って画像表示装置42による装飾図柄の変動時間も短縮される。
また、時短状態では、さらに、下始動口73が開放状態にされる開放時間を通常状態よりも延長する制御(この実施の形態では、通常状態では、0.5秒、時短状態では、5秒)と、普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示の結果が当り(この実施の形態では、赤色の点灯表示)となる確率を高める制御と、が実行される。なお、通常状態とは、高確率状態および時短状態とは異なる遊技状態のことである。また、時短状態では、大当りと判定される確率は通常状態と同じであるため、通常状態と時短状態とを総称して低確率状態と呼ぶことがある。
なお、上述した例に限らず、時短状態では、特別図柄表示器41および画像表示装置42における特別図柄および装飾図柄の変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器44における普通図柄の変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普通図柄表示器44における普通図柄の変動表示の結果が当りとなる確率を通常状態よりも高める制御、可変入賞球装置71が開放状態にされる開放時間を通常状態よりも延長する制御、可変入賞球装置71が開放状態にされる回数を通常状態よりも増加する制御、のうちいずれか1つ、または、任意の組み合わせ(全部でもよい)を実行するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、画像表示装置42の3つの表示領域に対応する左・中・右の装飾図柄は、左装飾図柄→右装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御される。装飾図柄の停止図柄とは、左・中・右の装飾図柄の変動表示を開始してから中装飾図柄が停止表示されることにより左・中・右の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。
また、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を実行中、または、大当り遊技状態の実行中、に上始動口72、または、下始動口73に遊技球が入賞し、上始動口スイッチ72aおよび下始動口スイッチ73aにより遊技球が検出された(所定条件成立)ことにもとづいて抽出された大当り判定乱数は、所定個数(この実施の形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される大当り判定乱数の個数(特図保留記憶数)は、特図保留記憶LED47によって表示される。上述したように、特図保留記憶LEDは、左右2つのLEDによって構成される。この例では、左側のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が1であることを示し、左右2つのLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が2であることを示し、左側のLEDを点滅するとともに右側のLEDを点灯させることにより特図保留記憶数が3であることを示し、左右2つのLEDを点滅させることにより特図保留記憶数が4であることを示す。このように、特図保留記憶LED47は、所定条件が成立(上始動口72、または、下始動口73に遊技球が入賞)したが未だ特別図柄の変動表示が開始されていない記憶数(特図保留記憶数)を表示するものである。
この実施の形態では、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様で点灯表示したことにもとづく大当り遊技状態では、大入賞口ソレノイド76aにより大入賞口の左右両側に配置する可動片を回動して大入賞口に遊技球を受け入れ可能な開放状態に制御する。なお、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち高利益特別態様および高利益非特別態様で点灯表示したときには、15R大当り遊技状態に制御し、大入賞口を開放状態に制御してから所定時間(例えば、30秒)が経過したとき、あるいは所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口に入賞したとき、に大入賞口ソレノイド76aにより再び大入賞口の左右両側に配置する可動片を回動して大入賞口に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態に制御する。大入賞口に遊技球を受け入れ可能な開放状態に制御してから大入賞口に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態に制御するまでが大当り遊技状態における1ラウンド(1R)である。15R大当り遊技状態は、15ラウンド(15R)を実行したときに終了する。
また、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち低利益特別態様および低利益非特別態様で点灯表示したときには、2R大当り遊技状態に制御し、大入賞口を開放状態に制御してから所定時間(例えば、1.3秒)が経過したときに大入賞口ソレノイド76aにより再び大入賞口の左右両側に配置する可動片を回動して大入賞口に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態に制御する。2R大当り遊技状態は、2ラウンド(2R)を実行したときに終了する。
上述したように、状態表示LED43は、遊技状態に応じた態様で駆動制御する。具体的には、通常状態では消灯した状態、時短状態では青色で点灯した状態、確変状態では赤色で点灯した状態、15R大当り遊技状態では赤色で点滅した状態、2R大当り遊技状態では青色で点滅した状態、にそれぞれ駆動制御する。これによりいずれの遊技状態であるかを把握することが可能である。なお、遊技者に遊技状態を把握させないようにするために、点灯させないように構成してもよい。また、15R大当り遊技状態であるか、2R大当り遊技状態であるか、を報知するためのLED等の表示器を状態表示LED43とは別個に設けるように構成してもよい。
ところで、この実施の形態の遊技盤4は、透明な合成樹脂により形成されている。透明な合成樹脂としては、アクリル樹脂材、ポリカーボネート樹脂材、ポリアリレート樹脂材などが挙げられる。これらの合成樹脂は、透明度が高く硬質なものとして知られている。また、遊技盤4の後面側には、立体的に形成される背面装飾部材50を配置している。図6を参照して背面装飾部材50について説明する。図6は、遊技盤4の正面図である。なお、図6においては背面装飾部材50を視認し易くするために遊技盤4の前面に植設される障害釘の表示を省略している。
図6に示すように、この実施の形態のパチンコ機1は、遊技盤4を透明な合成樹脂により形成することによって遊技盤4の後方を視認可能に構成され、遊技盤4の後面側に配置する背面装飾部材50が視認可能となる。なお、図4に示す遊技盤4の正面図は、遊技盤4の後方に配置する部材の表示を省略した態様であり、遊技盤4を透明な合成樹脂によって形成しなかった場合に遊技者の目にうつる態様と同様である。また、周知のように、遊技盤4を透明な合成樹脂によって形成しない場合にも遊技盤4の後面側に配置する部材(背面装飾部材50)の一部は、後述する遊技盤4に形成された変形多角形状の開口4dから視認可能となっている。また、この実施の形態では、遊技盤4を透明な合成樹脂により形成することによって遊技盤4の後方を視認可能になり、遊技盤4の後方に配置される背面装飾部材50によって遊技盤4が後方から装飾されるため、遊技者の目にうつる態様は、図6に示す遊技盤4の正面図に障害釘の表示を追加した態様となる。
図7は、遊技盤4の後面側に配置する背面装飾部材50を正面側からみた斜視図である。遊技盤セット枠4aの後面側(遊技領域12が形成されない側)に取り付けられる背面装飾部材50は、後述する遊技盤4に形成された変形多角形状の開口4dの内側形状に沿った外周形状を有するように形成され、背面装飾部材50の一部が該開口4dに挿入される。また、背面装飾部材50は、四隅部分に取付部55aが形成され、該取付部55aが遊技盤4の四隅の隅角部分に当接するまで背面装飾部材50を開口4dに挿入する。そして、取付部55aと遊技盤4の四隅の隅角部分とをビス等により固着することにより背面装飾部材50を遊技盤4に取り付ける。
このように、背面装飾部材50は、遊技盤4の後面側から取り付けられ、遊技盤4に形成された開口4dを閉塞する。また、図6に示すように、背面装飾部材50は、遊技盤4の後面側であって、案内レール11の外レールによって囲まれる領域、換言すると、開口窓30から視認可能な領域、のうち画像表示装置42を配置していない領域全てを覆うように形成され、遊技盤4の前面側に部材(規制壁部材40、板状パネル70等)を配置するだけでなく、遊技盤4の後面側の画像表示装置42を配置していない領域全てに部材(背面装飾部材50)を配置している。そのため、遊技者の目にうつる態様は、遊技盤4の前面側に配置する部材(規制壁部材40、板状パネル70等)および遊技盤4の後面側に配置する部材(背面装飾部材50)によって画像表示装置42を配置していない領域全てに装飾が施された態様(図6に示す遊技盤4の正面図に障害釘の表示を追加した態様)となる。
また、背面装飾部材50の中央部分には開口50aが開設され、該開口50aの後面側から画像表示装置42が取り付けられている。なお、画像表示装置42は、該画像表示装置42の後面側(画像表示しない側)に位置し、該画像表示装置42を表示制御する液晶表示基板120と一体的に形成されている。遊技者は、背面装飾部材50の開口50aによって画像表示装置42に表示される画像を視認可能となる。
なお、この例では、背面装飾部材50の中央部分に開口50aを開設し、遊技者は該開口50aにより画像表示装置42に表示される画像を視認可能となるように構成したが、遊技者が画像表示装置42に表示される画像を視認可能となるように構成すれば上記した構成に限らない。例えば、少なくとも背面装飾部材50の中央部分(この例では、開口50aに対応する部分)を透明な合成樹脂によって形成し、該中央部分の後面側から一体的に形成される画像表示装置42と液晶表示基板120とを取り付けることにより遊技者が画像表示装置42に表示される画像を視認可能となるように構成してもよいし、背面装飾部材50の内部に一体的に形成される画像表示装置42と液晶表示基板120とを配置することにより遊技者が画像表示装置42に表示される画像を視認可能となるように構成してもよい。
また、背面装飾部材50の内部に一体的に形成される画像表示装置42と液晶表示基板120とを配置する場合には、背面装飾部材50に配線(液晶表示基板120と他の基板とを接続するための配線)を排出させる開口を形成するようにしてもよい。また、背面装飾部材50の前面に一体的に形成される画像表示装置42と液晶表示基板120とを配置することにより遊技者が画像表示装置42に表示される画像を視認可能となるように構成してもよい。この場合には、画像表示装置42を遊技盤4の前面側に配置するように構成してもよいし、画像表示装置42を遊技盤4の後面側に配置するように構成してもよい。
また、この実施の形態の背面装飾部材50は、複数の部材を備えて立体的に形成されている。図8は、背面装飾部材50の正面側から見た分解斜視図である。
図8に示すように、背面装飾部材50は、中央部分に画像表示装置42を視認可能とする開口55aが開設された箱形状の箱体55の前面に複数の部材を配置することによって立体的に形成される(ジオラマ)。具体的には、前後方向に所定の厚みを有する箱体55の前面に開口56aが形成された保持部材56、左上装飾部材53、左下装飾部材52、および右下装飾部材54、を取り付けることによって背面装飾部材50を形成する。なお、保持部材56に形成される開口56aは、保持部材56を箱体55の前面に取り付けたときに開口55aの前方に位置し、画像表示装置42を視認可能とするものである。
また、この例では、箱体55に配置される部材を別部材によって構成したが、箱体55に配置される部材と箱体55とを一体形成することにより背面装飾部材50を構成してもよい。例えば、表面に起伏を有する装飾を施した箱体55を形成することによって背面装飾部材50を形成してもよい。
また、背面装飾部材50は、複数の部材が積み重なって(積層構造)立体的に形成される。具体的には、左下装飾部材52は、保持部材56(背面領域装飾体51)の前面に重畳し、保持部材56(背面領域装飾体51)の表面から左下装飾部材52が浮き出る(突出する)ように配置する。そのため、背面装飾部材50をより立体的に形成できる。また、保持部材56(背面領域装飾体51)の一部に切欠部を有し、左上装飾部材53は、切欠部に配置される。
なお、詳しくは後述するが、箱体55には、複数のLED基板が配置する。また、保持部材56の一部(背面領域装飾体51)は、透光性を有する水色の合成樹脂から形成され、左上装飾部材53の一部(前面)は、透光性を有する緑色の合成樹脂と透光性を有する赤色の合成樹脂とから形成される。そして、箱体55に配置されるLED基板に搭載されるLEDを発光させることにより、保持部材56および左上装飾部材53の後面側から照射し、保持部材56および左上装飾部材53を光装飾する。保持部材56に切欠部を設けることによってLEDからの照射光が保持部材56(背面領域装飾体51)によって妨げられること、若しくは輝度が低下することを防止し、左上装飾部材53を光装飾することができる。
また、左上装飾部材53は、一部が前後方向に所定の厚みを有して立体的に形成され、保持部材56の前面に取り付けられることにより保持部材56の前方に突出する。さらに、右下装飾部材54は、前後方向に所定の厚みを有して立体的に形成され、保持部材56の前面に取り付けられることにより保持部材56の前方に突出する。
このように、背面装飾部材50は、複数の部材を積み重ねることにより形成されるため、部材毎に材質や配色を異ならせることが可能となり、より立体感を向上させることができる。例えば、保持部材56の前面に配置する部材を浮き出させるように配色したり、保持部材56の前面に配置する部材を、透光性を有する合成樹脂により形成し、後面側から光装飾することによって該部材を浮き出させるようにしたりすることもできる。
なお、この例では、保持部材56の一部に複数の部材(左上装飾部材53、左下装飾部材52、および右下装飾部材54)を重畳する構成としたが、保持部材56の全域に亘るように一体形成された部材を保持部材56の前面に重畳するように構成してもよい。この場合には、一体形成された部材の一部に切欠部を形成することによって保持部材56を視認可能となるように重畳する部材を構成してもよい。
また、この例では、箱体55の前面に配置する保持部材56によって箱体55の表面を覆い、遊技者から箱体55の表面を視認できないように背面装飾部材50を構成しているが、箱体55の表面を遊技者から視認可能に背面装飾部材50を構成してもよく、この場合には、箱体55の前面にペイントを施したり、ペイントを施したセルやシートを貼り付けたりすることにより、装飾効果を高めるようにしてもよい。
次に、背面装飾部材50を構成する各部材について説明する。図9は、箱体55の正面側から見た斜視図である。図9に示すように、箱体55は、外周部分が隆起し、内部に保持部材56を設置可能に構成される。また、中央部分に開口55aが開設され、該開口55aの後面側から取り付けられる画像表示装置42が視認可能になっている。
図示しないが、箱体55には、複数のLED基板を配置するとともに、LED基板の前方にLED基板に搭載されるLEDの発光を拡散させる拡散レンズを配置する。拡散レンズは、LEDの発光を拡散させるものである。これにより、LEDの発光部分のみ輝度が高くなることを防止し、保持部材56の後面側から均一に照射することが可能となる。また、箱体55に配置するLED基板および拡散レンズは、箱体55の前面に配置される保持部材56によって覆われ、遊技者から視認不能となる。また、箱体55には、ゲートスイッチ74aの形状に沿って開口55bが開設され、箱体55の後面側から該開口55bにゲートスイッチ74aが挿入される。
また、箱体55の前面下部には、後述する演出ステージ60に進入した遊技球をパチンコ機1の外部に排出するための排出通路55cが形成され、該排出通路55cには、演出ステージ60から排出される遊技球を検出する特定演出排出スイッチ55d(図5に符号のみ記載)を配置している。これにより、演出ステージ60内に進入した遊技球が排出されたか否かを判別することができ、演出ステージ60内に進入した遊技球が球詰まりなどにより排出されないという不具合を把握することが可能となる。なお、箱体55に形成される排出通路55cの前面は拡散レンズによって覆われ、遊技球が前方に転落しないようになっている。
図10は、保持部材56の分解斜視図である。保持部材56は、口形状の縁装飾部材57と、透光性を有する水色の合成樹脂から形成される背面領域装飾体51と、大入賞口に入賞した遊技球を転動させる演出ステージ60と、後述する第1放出口57aから放出される遊技球を演出ステージ60に誘導する誘導通路部材58と、から構成される。
縁装飾部材57は、中央に開口56aを形成し、箱体55の後面側から取り付けられる画像表示装置42は、該開口56aおよび箱体55に開設される開口55aを通して視認可能となるとともに、岩を象って立体形成される縁装飾部材57によって画像表示装置42の周囲が装飾される。また、図示しないが、縁装飾部材57の右下部には、LED基板(右下飾りLED基板119f)および右下装飾部材54が配置される。LED基板は、右下装飾部材54の後方に配置し、右下装飾部材54は、該LED基板に搭載されるLEDによって後面側から光装飾されるようになっている。
また、縁装飾部材57の上部には、大入賞口に入賞した遊技球を演出ステージ60に誘導する第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cと、大入賞口に入賞し、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cに誘導されなかった遊技球を排出する排出通路(図示しない)と、大入賞口に入賞した遊技球を所定の乱数を用いた抽選により第1放出口57a、第2放出口57b、第3放出口57c、および排出通路のいずれかに振り分ける振分装置59と、が設けられている。
振分装置59は、大入賞口内振分モータ59a(図5に符号のみ記載)を備えて構成され、大入賞口内振分モータ59aを駆動することにより大入賞口に入賞した遊技球を第1放出口57a、第2放出口57b、第3放出口57cおよび排出通路のいずれかに振り分ける。
なお、第1放出口57aは、後述する誘導通路部材58と連結し、第1放出口57aに振り分けられた遊技球は誘導通路部材58を通って演出ステージ60上に誘導される。また、第2放出口57bおよび第3放出口57cは、演出ステージ60の上方に位置し、第2放出口57bおよび第3放出口57cに振り分けられた遊技球は演出ステージ60上に落下する。
また、縁装飾部材57の下部には、演出ステージ60内に進入した遊技球を排出するための排出口57dが形成されている。演出ステージ60内に進入した遊技球は、排出口57dから縁装飾部材57の下方に導かれて箱体55の前面に形成される排出通路55cからパチンコ機1外部に排出される。
縁装飾部材57には、背面領域装飾体51が取り付けられる。背面領域装飾体51は、縁装飾部材57の上部に取り付けられる部材と、縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材と、からなり、滝を象って立体形成される。縁装飾部材57の上部に取り付けられる部材と、縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材と、の間(切欠部)には左上装飾部材53が配置される。
また、背面領域装飾体51は、透光性を有する合成樹脂から形成され、箱体55に配置する複数のLED基板(遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、および遊技盤下LED基板119e)に搭載されるLEDによって光装飾され、該LEDを所定の順序で点灯させることにより上方から水が流れ落ちる態様を表示可能となっている。
また、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材には、複数の開口が開設されている。例えば、該部材の左側部には、ゲートスイッチ74aの形状に沿って開口51aが開設され、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材の左下部には、左上・左中入賞口13aに入賞した遊技球を誘導する球通路を構成する開口51bが開設される。また、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材の下部には、左下入賞口13bに入賞した遊技球を誘導する球通路を構成する開口51cと、上始動口72および下始動口73を備えた可変入賞球装置71が嵌め込まれる開口51dと、右入賞口13cに入賞した遊技球を誘導する球通路を構成する開口51eと、が開設されている。開口51aは、箱体55の後面側から開口55bに挿入されるゲートスイッチ74aが挿入される。ゲートスイッチ74aは、遊技盤4の前面に突出し、ゲート74を構成する。
なお、この例では、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材のこれらの開口51a〜51eが開設される部分は、他の部分に比べて隆起している(例えば、図12参照)。すなわち、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材は、画像表示装置42に近い側は窪み、開口51a〜51eが開設される画像表示装置42から遠い側は隆起した曲面形状をなし、画像表示装置42から遠ざかるに従って遊技盤4の後面に近づくように配置する。このように構成することにより、一般入賞口13b、13c、上始動口72、および下始動口73に入賞した遊技球を確実に誘導できるとともに、ゲートスイッチ74aを覆い隠し、ゲートスイッチ74aが視認可能にならないように構成している。
また、開口51aの前方の遊技盤4の表面には、ゲート74が立体形成される。また、開口51b〜51eの前方の遊技盤の前面には、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71が立体形成される。この例では、背面領域装飾体51における開口51a〜開口51eの近傍を隆起させるように構成したため、遊技盤4の前面側に設けられるゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71を目立たたせることなく設置することができ、遊技者に違和感を与えない。
すなわち、ゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71が立体形成される部分の後面側を隆起させない構成とした場合には、ゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71と背面領域装飾体51との距離が離れた状態となり、ゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71が背面領域装飾体51の表面から浮いたように見える。そのため、ゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71が目立ち、遊技者に違和感を与える虞がある。本発明では、背面領域装飾体51における開口51a〜開口51eの近傍を隆起させるように構成したため、ゲート74、一般入賞口13a〜13cおよび可変入賞球装置71を目立たせることなく設置する(背面領域装飾体51の表面から浮いたように見えない)ことができ、遊技者に違和感を与えない。
また、この例では、開口51a〜51eが開設される部分を隆起させることによって遊技盤4の後面に近づくように背面領域装飾体51を構成するが、開口51a〜51eが開設される部分の一部または全部を遊技盤4の後面よりも前方に突出するように構成してもよい。すなわち、正対する遊技者に近づくように背面領域装飾体51を構成すればよい。この場合には、開口51a〜51eが開設される部分の一部または全部が遊技盤4の前面よりも前方に突出するように背面領域装飾体51を構成してもよいし、遊技盤4の前面よりも突出しないように背面領域装飾体51を構成してもよい。
また、この例では、ゲートスイッチ74aを箱体55の後面側から開口55bに挿入し、ゲートスイッチ74aの箱体55の後面側に突出している部分に配線が接続されるため、ゲートスイッチ74aの箱体55の前面側の部分に配線を背接続した場合であっても背面領域装飾体51によってゲートスイッチ74aの配線を覆い隠し、遊技者から視認できないため、装飾性を向上させることができる。
また、左上装飾部材53は、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材の開口51aの左側部を覆うように取り付けられ、該開口51aの左側部を覆う部分は、透光性を有しない部材によって構成される。この例では、ゲートスイッチ74aを箱体55の後面側から開口55bに挿入し、ゲートスイッチ74aの箱体55の後面側に突出している部分に配線が接続されることによって、遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、および遊技盤下LED基板119eに搭載されるLEDを点灯させた場合にも配線による影が背面領域装飾体51に映り込まないように構成されるが、遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、および遊技盤下LED基板119eよりも前方の部分にてゲートスイッチ74aに配線を接続した場合であっても、該配線を左上装飾部材53の透光性を有しない部材の後面側に配置することによって配線による影が背面領域装飾体51に映り込まないように構成することができる。
また、左上装飾部材53は、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材の開口51aの左側部を覆うように取り付けられるため、遊技盤4の前面側に設けられるゲート74を目立たたせることなく設置することができ、遊技者に違和感を与えない。
また、背面領域装飾体51の縁装飾部材57の左側部および下部に取り付けられる部材の上部には後面側に立設した排出棚部51fが形成され、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cに振り分けられて演出ステージ60内に進入した全ての遊技球を集めて排出するための排出領域を構成している。また、排出棚部51fの一部には、後面側に下り傾斜を有する排出溝51gが形成される。排出溝51gは、背面領域装飾体51を縁装飾部材57に取り付けたときに縁装飾部材57に形成される排出口57dと連結し、排出棚部51f上を転動する遊技球を縁装飾部材57に形成される排出口57dに誘導する。排出溝51gによって排出口57dに取り込まれた遊技球は、箱体55に形成される排出通路55cを通ってパチンコ機1外部に排出される。
縁装飾部材57の下部に取り付けられる演出ステージ60は、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cから誘導された遊技球を転動させるものである。図11は、背面領域装飾体51、演出ステージ60、および誘導通路部材58を組み付けた状態の後面側から見た斜視図である。
演出ステージ60は、バンカーを象って立体形成される第1演出部材61と、グリーンを象って立体形成されるとともに背面領域装飾体51の排出棚部51fと連結する第2演出部材62と、第1演出部材61の後面側に一体形成されて第2演出部材62に連結される架橋部63と、から構成される。
第1演出部材61は、外周部が立設するとともに中央が窪んだ形状をなし、後面側の外周部に切欠部61bが形成されている。また、第1演出部材61は、後面側に下り傾斜し、遊技球を切欠部61bが形成される後面側に転動させるように構成されるとともに、中央の窪み部分に低反発シート61aが備えられている。外周部が立設することにより第1演出部材61上における遊技球の転動方向を規制するとともに、後面側に下り傾斜することによって遊技球を切欠部61bに誘導するように構成される。
また、第2放出口57bに振り分けられた遊技球は、第1演出部材61の低反発シート61a表面に落下する(図14のルート2a)。低反発シート61aは、緩衝材で構成され、落下する遊技球の勢いを吸収するものである。すなわち、低反発シート61a上に落下した遊技球は、その勢いが抑制され、弾き飛ばされることなく後面側に転動する。また、第1演出部材61の後面側には、架橋部63が一体形成され、第1演出部材61の表面を後面側に転動する遊技球は切欠部61bから架橋部63に誘導される(図12のルート2b)。
第2演出部材62は、立体的な造形が施されて演出ステージ60の上部表面を構成する上部転動面62aと、背面領域装飾体51の排出棚部51fと連結して第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cに振り分けられて演出ステージ60内に進入した全ての遊技球を集めて排出するための排出領域を構成する下部排出面62bと、から構成され、所定間隔を有して一体形成されている。
上部転動面62aは、後面側に下り傾斜するように構成され、特定演出口62cが形成されている。特定演出口62cは、特定演出スイッチ62d(図5に符号のみ記載)を備え、特定演出口62cに進入した遊技球を検出するようになっている。また、特定演出口62cに進入した遊技球は、上部転動面62aの下方に位置する下部排出面62b上に落下する。
下部排出面62bは、背面領域装飾体51の排出棚部51fと連結し、排出棚部51f方向に下り傾斜を有するように構成される。上述したように、上部転動面62aの特定演出口62cに進入した遊技球は、下部排出面62b上に落下する。下部排出面62bに落下した遊技球は、背面領域装飾体51の排出棚部51f方向に転動し、排出棚部51fに形成された排出溝51gによって排出口57dに取り込まれ、箱体55に形成される排出通路55cを通ってパチンコ機1外部に排出される。
架橋部63は、平板状の部材によって構成され、第2演出部材62方向に下り傾斜を有するように配置する。また、架橋部63は、第1演出部材61の後面に一体形成され、第2演出部材62の右側部(パチンコ機1に正対した状態で右側)に接続されている。そして、第1演出部材61に落下し、切欠部61bから架橋部63に誘導された遊技球は、第2演出部材62方向に転動する(図12のルート2c)。
また、図12に示すように、架橋部63は、第1演出部材61よりも左右方向(パチンコ機1に正対した状態で左右方向)の幅が広くなるように形成され、第1演出部材61および第2演出部材62を所定の間隔(少なくとも遊技球が通過可能な程度の間隔)を空けて接続する。そして、第1演出部材61に落下した遊技球は、架橋部63上を転動することによって第1演出部材61から第2演出部材62に移動可能となるように演出ステージ60を構成している。
また、架橋部63の左側部(第2演出部材62に近い側)には、後面側から前面側に切込まれた切込部63aが形成され、架橋部63の後面側は、第2演出部材62に当接し、架橋部63の前面側は、第2演出部材62に当接しないように構成されている。そのため、架橋部63上を第2演出部材62方向に転動する遊技球の勢いが強い場合には、第2演出部材62に移動可能であるが(図12のルート2d)、架橋部63上を第2演出部材62方向に転動する遊技球の勢いが弱い場合には、切込部63aによって遊技球の転動方向が前方に変化し、第1演出部材61と第2演出部材62との空間から排出棚部51fおよび下部排出面62bによって構成される排出領域に転落する(図12のルート2e)。
このように構成することにより、架橋部63上を第2演出部材62方向に転動する全ての遊技球が第2演出部材62に移動可能とならず、架橋部63上を第2演出部材62方向に転動する遊技球の勢いによって該遊技球が第2演出部材62に移動可能な状態と移動不可能な状態とに変化するため、架橋部63を転動する遊技球の動きに注目させることができる。
なお、上述した規制壁部材40の中央部分には、透明な合成樹脂により板状に形成された透明パネル40aが設けられ、該透明パネル40aは、演出ステージ60の前面および縁装飾部材57の上部を構成する部材に当接する。また、演出ステージ60の後面側には、縁装飾部材57および画像表示装置42が配置し、演出ステージ60の後面側は、縁装飾部材57の前面に当接する。また、演出ステージ60の左右側方には、縁装飾部材57および誘導通路部材58が配置し、演出ステージ60の左右側部と当接する。すなわち、画像表示装置42の前方には、縁装飾部材57、誘導通路部材58、および演出ステージ60によって囲まれた大入賞口領域(図13の斜線部分の領域)が形成され、遊技球は、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cから大入賞口領域に進入可能となる。
また、該大入賞口領域は、上記した部材によって囲まれた空間であり、大入賞口領域に進入した全ての遊技球は、排出棚部51fおよび下部排出面62bによって構成される排出領域に集められた後、排出棚部51fに形成された排出溝51gによって排出口57dに取り込まれ、箱体55に形成される排出通路55cを通ってパチンコ機1外部に排出される。すなわち、演出ステージ60は、画像表示装置42、縁装飾部材57、および誘導通路部材58によって囲まれ、演出ステージ60の前後方向および左右方向に遊技球を転落させることなく、全ての遊技球は排出領域に集められてパチンコ機1外部に排出される。
図14に示すように、第1放出口57aと連結する誘導通路部材58は、L字状に屈曲し、誘導通路部材58の下部は右下方に緩やかに傾斜するともに先端部が右上方に緩やかに傾斜した円弧状に形成されている。また、誘導通路部材58は、縁装飾部材57の左側部前方に配置するとともに、誘導通路部材58の下部は、演出ステージ60の下方に配置する。すなわち、誘導通路部材58は、画像表示装置42および演出ステージ60を掩蔽することなく配置され、画像表示装置42に表示される画像および演出ステージ60上を転動する遊技球の視認を妨げない。
また、誘導通路部材58は、透明な合成樹脂から形成され、内部を転動する遊技球が視認可能となる。また、誘導通路部材58の下部は、一部に切欠部58aを有する樋状の通路を形成し、誘導通路部材58の左部および左下部は、筒状の通路を形成している。そして、誘導通路部材58内を転動する遊技球は、演出ステージ60の下方に位置する誘導通路部材58の先端部から放出される。このように、誘導通路部材58の遊技球を放出する先端部近傍を樋状に構成したため、遊技球の転動をよりクリアに視認でき、遊技者に遊技球の転動に注目させることができる。
また、誘導通路部材58は、背面装飾部材50を遊技盤4の後面側に配置した場合に、規制壁部材40に設けられた誘導部材40dの後面側に並列して配置する。そのため、誘導部材40dによって誘導通路部材58の一部が覆われた状態で配置するが、この実施の形態では、誘導部材40dを透明な合成樹脂によって形成するとともに、誘導通路部材58を透明な合成樹脂によって形成するため、誘導部材40dによって覆われた部分においても誘導通路部材58内を転動する遊技球を視認することができる。また、誘導通路部材58を誘導部材40dの後面側に並列に配置することにより、遊技球がいずれを転動しているかを把握させ難くすることができ、放出される遊技球に注目させることができる。
なお、この実施の形態では、誘導通路部材58を透明な合成樹脂から形成することによって内部を転動する遊技球を視認可能としたが、誘導通路部材58の内部を転動する遊技球が視認可能であれば誘導通路部材58を異なる構成としてもよい。例えば、誘導通路部材58の側面にスリット状の開口を複数形成することにより内部を転動する遊技球を視認可能となるようにしてもよい。
また、図11に示すように誘導通路部材58の樋状の通路の先端部には、左側面(パチンコ機1に正対した状態の左側)から上面にかけて曲面を有して立体形成されるとともに、高反発シート58cにより表面が覆われた反発部材58bを備えている。高反発シート58cは、ゴムなどで構成され、衝突する遊技球を所定の方向に弾き飛ばすものである。また、反発部材58bは、遊技球の放出方向に対面して設けられている。
具体的には、第1放出口57aに振り分けられた遊技球は、誘導通路部材58内に進入し(図14のルート1a)、誘導通路部材58内で付勢されて誘導通路部材58の先端部から放出される(図14のルート1b)。誘導通路部材58の先端部から放出された遊技球は、反発部材58bの曲面左側(パチンコ機1に正対した状態で左側)に勢いよく衝突し、所定の方向に弾き飛ばされる(図14のルート1c)。
なお、誘導通路部材58内を転動する遊技球は、演出ステージ60の下方に放出される(例えば、図14のルート1b)。反発部材58bの左側面から上面にかけて形成される曲面は、左下方向(パチンコ機1に正対した状態で左下)の傾斜を有するように形成され、曲面の上部は、緩やかな傾斜を有し、左側面下部に近づくに連れて傾斜が急になるように構成される。誘導通路部材58を転動して演出ステージ60の下方に放出された遊技球は、反発部材58bの曲面左側に衝突して演出ステージ60上方向に弾き飛ばされる。(例えば、図14のルート1c)。このようにして演出ステージ60の下方に放出された遊技球は、演出ステージ60の上方に移動可能となる。また、この例では、高反発シート58cによって反発部材58bの表面を覆うことによって遊技球の反発力を高め、高い割合で演出ステージ60の上方に遊技球を弾き飛ばすようにしている。
また、第3放出口57bに振り分けられた遊技球は、反発部材58bの曲面上方に落下し(図14のルート3a)、反発部材58bの上面に衝突して所定の方向に弾き飛ばされる(図14のルート3b)。上述したようにこの例では、反発部材58bの左側面(パチンコ機1に正対した状態の左側)から上面にかけて形成される曲面は、演出ステージ60方向に下り傾斜を有するように形成され、反発部材58bの上面に落下した遊技球を演出ステージ60上に誘導可能となるようにしている(例えば、図14のルート3b)。
このように、演出ステージ60の下方に誘導された遊技球を反発部材58bに衝突させて演出ステージ60の上方に弾き飛ばすため、意外性のある演出を実行できるとともに、遊技球の勢いに応じて異なる方向に弾き飛ばすため、誘導通路部材58を転動して反発部材58bに衝突する遊技球の動きに注目させることができる。また、画像表示装置42の前方に遊技球を落下したり、反発部材58bによって画像表示装置42の前方に遊技球を弾き飛ばしたりするため、演出ステージ60で所定の遊技が実行されることを遊技者に容易に認識させることができ、演出ステージ60にて転動する遊技球に注目させることができる。
また、反発部材58bにおける遊技球が衝突する面を曲面としたため、遊技球の衝突位置によって遊技球の弾き飛ばされる方向が変化する。すなわち、遊技球が衝突する面を平面とした場合には、遊技球が弾き飛ばされる方向は略同一方向となるが、遊技球が衝突する面を曲面とすることによって遊技球が弾き飛ばされる方向を多様化することができる。そのため、反発部材58bに衝突する遊技球の動きに注目させることができるとともに、多種多様な演出を実行することができる。
なお、反発部材58bにおける遊技球が衝突する面を傾斜角度が異なる複数の面で構成するようにしてもよい。このように構成することにより、さらに遊技球の反発方向を多様化することができ、反発部材58bに衝突する遊技球の動きに注目させることができるとともに、多種多様な演出を実行することができる。また、反発部材58bにおける遊技球が衝突する面曲面と平面とを組み合わせる構成としてもよい。例えば、平面で構成される上面と、平面で構成される左側面と、を曲面で接続して一面化するように反発部材58bを構成してもよい。
また、遊技球の勢いを利用して演出ステージ60の下方から演出ステージ60の上方に弾き飛ばすため、遊技球を演出ステージ60の下方から演出ステージ60の上方に移動させるための装置を設置する必要がなく、画像表示装置42の表示領域および遊技領域12を狭めることなく省スペースとすることができる。
なお、この例では、誘導通路部材58の下部に樋状の通路を形成したため、反発部材58bによって弾き飛ばされた遊技球は、再び誘導通路部材58の樋状の通路に進入する虞があるが、樋状の通路に形成される切欠部58aによって排出棚部51f表面に遊技球を落下させることによって誘導通路部材58から排出でき、球詰まりの発生を防止している。また、第1放出口57aに振り分けられて誘導通路部材58を転動する遊技球は付勢されているため、切欠部58aから転落することなく誘導通路部材58の先端部から放出される。
また、この例では、画像表示装置42の上方に位置する大入賞口に入賞した遊技球を誘導通路部材58内に誘導して演出ステージ60の下方に放出する。そのため、遊技球の勢いを強めた状態で反発部材58bに衝突させることができる。すなわち、遊技領域12の上部位置から誘導通路部材58内に遊技球を転動させる、換言すると、位置エネルギーが高い状態で誘導通路部材58内に遊技球を転動させるため、該位置エネルギーによって十分な運動エネルギーに変換されて反発部材58bに衝突させることができる。これにより、演出ステージ60の下方から演出ステージ60の上方に遊技球を弾き飛ばすことができる。
なお、この実施の形態では、大入賞口に入賞した遊技球を誘導通路部材58内に誘導する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、入賞口とは異なる取り込み口を規制壁部材40に形成し、該取り込み口に進入した遊技球を誘導通路部材58に誘導するように構成してもよい。また、第2放出口57bおよび第3放出口57cにおいても同様に取り込み口に進入した遊技球を放出するようにしてもよい。また、遊技球を演出ステージ60の下方から演出ステージ60の上方に弾き飛ばすことが可能であれば、取り込み口の形成される位置は、画像表示装置42の上方に限られない。例えば、取り込み口を画像表示装置42の左側方中央に形成し、反発部材58bを覆う高反発シート58cによって遊技球を演出ステージ60の下方から演出ステージ60の上方に弾き飛ばすことが可能となるように構成してもよい。
左上装飾部材53は、「プロゴルファー猿」の文字を象って立体的(前後方向に所定の厚みを有する)に形成され、その前面は、透光性を有する緑色の合成樹脂と透光性を有する赤色の合成樹脂とから形成され、側面は、透光性を有しない合成樹脂から形成されている。また、左上装飾部材53は、箱体55に配置されるLED基板(遊技盤左上LED基板119a)に搭載されるLEDを発光させることにより後面側から光装飾され、「プロゴルファー猿」の文字を浮かび上がらせるようになっている。
左下装飾部材52は、しぶきを象って立体的に形成され、透光性を有する白色の合成樹脂から形成される。また、左下装飾部材52は、箱体55に配置されるLED基板(遊技盤左LED基板119c)に搭載されるLEDを発光させることにより後面側から光装飾され、滝の水しぶきを表示可能となっている。
右下装飾部材54は、ゴルフボールを象って立体的(球状)に形成され、透光性を有する白色の合成樹脂から形成される。また、右下装飾部材54は、縁装飾部材57に配置されるLED基板(右下飾りLED基板119f)に搭載されるLEDを発光させることにより後面側から光装飾される。また、右下装飾部材54は、前方に突出するように配置し、その前面は、遊技盤4の前方に突出する。
この実施の形態では、画像表示装置42の近傍に複数のLED基板(遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、遊技盤下LED基板119e、および右下飾りLED基板119f)を備え、様々な態様で点滅させることにより、画像表示装置42に表示される画像の演出効果を高めることができる。また、画像表示装置42の近傍に複数のLED基板(遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、遊技盤下LED基板119e、および右下飾りLED基板119f)を配置したため、画像表示装置42に表示される画像に注目している遊技者にも容易にLEDの発光に気付かせることができる。
このように、背面装飾部材50は、複数の部材を配置することによって立体的に形成され、その表面は、前後方向に起伏している。すなわち、前面が遊技盤4の後面に近接して配置する部材と、該部材よりも前面が遊技盤4の後面から離れた位置に配置する部材と、によって遊技盤4の後面側に立体的な空間を形成し、遠近感を表現している。
また、上述したように、遊技盤4の後面側の画像表示装置42を配置していない領域全てに部材を配置する。そのため、背面装飾部材50によって遊技領域12の後面側全域に前後方向に立体感のある空間が形成され、遊技盤4の前方から後方にかけての遠近感を表現でき、遊技領域12の装飾効果を向上させることができる。
さらに、背面装飾部材50を遊技盤4の後面側に配置するため、遊技領域12における遊技球が転動可能な領域の後方に背面装飾部材50によって前後方向に立体感のある空間を形成できるため、遊技領域12の表面に突設する規制壁部材40が形成されていない遊技領域12においても装飾効果を向上させることができる。すなわち、遊技領域12における遊技球を転動させる領域は、平面であることが求められるため、遊技盤4の前面に立体形成される部材を配置することによって遊技球の流下が阻害されて遊技領域12における遊技球を転動させる領域が狭まる。そのため、遊技盤4の前面に配置する部材には制限(位置、大きさ等)がある。本発明では、遊技盤4の後面側に立体的に形成される部材を配置することにより、遊技領域12における遊技球の転動させる領域の制約を受けることなく遊技領域12を立体的な部材によって装飾できるため、装飾効果を向上させることができる。
また、背面装飾部材50に複数のLED基板(遊技盤左上LED基板119a、遊技盤左中LED基板119b、遊技盤左LED基板119c、遊技盤左下LED基板119d、遊技盤下LED基板119e、および右下飾りLED基板119f)を配置したため、遊技領域12の遊技球が転動する領域を光装飾することができ、さらに装飾効果を向上させることができる。
なお、この例では、開口窓30から視認可能な全ての領域に背面装飾部材50が配置されるが、これに限られるものではない。例えば、遊技領域12のうち遊技盤4の前面側に部材(この例では、規制壁部材40および板状パネル70)の設けられていない領域に背面装飾部材50を配置するように構成してもよい。すなわち、少なくとも遊技領域12の前面側に部材が設けられていない領域の後面側に背面装飾部材50を配置するように構成してもよい。
この例では、上述した2R大当り遊技状態の実行中に、大入賞口開閉装置75に入賞した遊技球の全てまたは一部(1個でもよい)を、振分装置59により第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cに誘導する。そして、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cに誘導された遊技球が特定演出口62cに進入し、特定演出スイッチ62dにより遊技球が検出されたことにもとづいて2R大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御するか否か、および、時短状態に制御するか否かを画像表示装置42等の演出手段(中高音用スピーカ29、重低音用スピーカ14、画像表示装置42等)によって報知する。
なお、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち低利益特別態様(2R確変図柄)で点灯表示したことにもとづく2R大当り遊技状態である場合には、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cのうち遊技球が特定演出口62cに進入しやすい放出口(この例では、第2放出口57b)に、遊技球が特定演出口62cに進入しにくい放出口(この例では、第3放出口57c)に振り分ける割合よりも高い割合で振り分けるように構成し、特別図柄表示器41の2個のLEDを特定の態様のうち低利益非特別態様(2R非確変図柄)で点灯表示したことにもとづく2R大当り遊技状態である場合には、第1放出口57a、第2放出口57b、および第3放出口57cのうち遊技球が特定演出口62cに進入しにくい放出口(この例では、第2放出口57b)に、遊技球が特定演出口62cに進入しやすい放出口(この例では、第3放出口57c)に振り分ける割合よりも高い割合で振り分けるように構成してもよい。
このように構成することにより、2R大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御する場合には、積極的に2R大当り遊技状態の終了後の遊技状態を報知するように制御し、2R大当り遊技状態の終了後に時短状態に制御する場合には、積極的に2R大当り遊技状態の終了後の遊技状態を報知しないように制御するため、2R大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されないことが報知された場合に遊技の興趣を低下させることを防止できるとともに、2R大当り遊技状態の終了後に確変状態に制御されることが報知された場合に遊技の興趣を向上させることができる。
しかして、上記のように構成される背面装飾部材50は、遊技盤4の後面側に配置されるものである。以下、図15を参照して説明する。図15は、遊技盤4の正面側から見た分解斜視図である。
図15において、この実施の形態の遊技盤4は、遊技盤装着枠9に装着し得る合成樹脂製の遊技盤セット枠4aと、該遊技盤セット枠4aに開設された開口4dに嵌合され且つ遊技領域12の一部または全部を構成する透明樹脂板4bと、前記遊技盤セット枠4aの前面に固定され且つ前記遊技領域12の外側の外周を装飾する遊技盤装飾部材4cと、から構成されている。
遊技盤セット枠4aは、外周形状がほぼ方形状となるように合成樹脂によって形成され、その外周だけを残して変形多角形状の開口4dが開設されている。開口4dの内側には、次に詳述する透明樹脂板4bを嵌合したときに該透明樹脂板4bの裏面と当接する当接突片(図示しない)が適宜間隔を置いて形成されている。そして、透明樹脂板4bを当接突片に当接した状態で開口4dに嵌合したときには、透明樹脂板4bと遊技盤セット枠4aの前面側が面一状態となるようになっている。また、遊技盤セット枠4aには、その下部中央にアウト口77から排出する遊技球を遊技盤セット枠4a後面に誘導する開口4eが形成されている。更に、遊技盤セット枠4aには、遊技盤セット枠4aの前面側に取り付けられる遊技盤装飾部材4cや後面側に取り付けられる背面装飾部材50を取り付けるための取付穴やボス等が合成樹脂によって一体的に形成されている。
ところで、上記のように合成樹脂によって一体的に形成される遊技盤セット枠4aの外形形状は、従来から使用されている合板製の遊技盤の外形形状と同じに形成されるものである。また、図16に示すように、その前後方向の厚さ寸法W1も従来の合板製の遊技盤と同じ厚さ寸法(約20mm)を有するように形成されている。このため、図示のパチンコ機1の場合には、従来の合板製から本実施形態に係る遊技盤4への交換、あるいは逆の交換も容易に行うことができる。
遊技盤セット枠4aの後面側(遊技領域12が形成されない側)に取り付けられる背面装飾部材50は、遊技盤セット枠4aに形成された変形多角形状の開口4dの外周形状と同等若しくは該外周形状よりも大きな外周形状となるように形成され、遊技盤セット枠4aの四隅の隅角部分の裏面に背面装飾部材50の四隅部分をビス等で固着し、遊技盤セット枠の後面側から取り付けられることにより遊技盤セット枠4aに形成された変形多角形状の開口4dを塞いでいる。なお、遊技盤セット枠4aの後面側(遊技領域12が形成されない側)には、遊技の進行を制御する主制御基板101も取り付けられている。
遊技盤セット枠4aに嵌合される透明樹脂板4bは、前記遊技盤セット枠4aの開口4dに内側形状に沿った外周形状を有して透明な合成樹脂によって形成される。透明な合成樹脂としては、アクリル樹脂材、ポリカーボネート樹脂材、ポリアリレート樹脂材などが挙げられる。これらの合成樹脂は、透明度が高く硬質なものとして知られている。また、透明樹脂板4bにおいて、画像表示装置42の前方に対応する中央部分に開口4fが開設され、画像表示装置42に表示される画像の鮮明度を向上させている。
また、透明樹脂板4bの下部中央には、板状パネル70を嵌め込むための開口4gが形成されている。上述したように、板状パネル70には、上始動口72および下始動口73を備えた可変入賞球装置71および一般入賞口13a〜13dが取り付けられ、これらの入賞口に入賞した遊技球は、開口4gによって板状パネル70および透明樹脂板4b後面に誘導される。
なお、この例では、透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成するが、遊技盤セット枠4aも透明な合成樹脂によって形成してもよいし、透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成し、遊技盤セット枠4aを従来の合板で形成してもよい。
また、透明樹脂板4bの前面(遊技領域12が形成される側)には、中央が刳り貫かれ、岩を象って立体的に形成される規制壁部材40が立設している。なお、透明樹脂板4bに開設される開口4fは、規制壁部材40の外周形状にほぼ合致している。規制壁部材40は、透明樹脂板4bの表面から所定の厚み(例えば、10mm)を有して透明樹脂板4bの前面に立設し、遊技領域12を区画する。すなわち、遊技領域12を流下する遊技球は、規制壁部材40に衝突してその流下方向を変化させ、開口4fへの進入を阻止される。
上述したように、規制壁部材40の中央部分には、透明な合成樹脂により板状に形成された透明パネル40aを備えている。この透明パネル40aは、背面装飾部材50の開口50aの前方に位置し、画像表示装置42に表示される画像を視認可能にする。また、規制壁部材40の右下部には、開口40bが開設され、上述した背面装飾部材50の右下装飾部材54を突出させるように構成している。
また、規制壁部材40の右上部には、鷹を象って立体的に形成される(前後方向に所定の厚みを有する)右上装飾部材40cを備えている。右上装飾部材40cは、一部(鷹の目の部分)が透光性を有する合成樹脂から形成され、その後面側には、右上飾り上LED基板119hが配置し、右上飾り上LED基板119hに搭載されるLEDによって光装飾されるようになっている。
また、透明樹脂板4bの開口4gの前面(遊技領域12が形成される側)には、板状パネル70が取り付けられ、該開口4gに遊技球が進入しないように該開口4gを塞いでいる。また、板状パネル70に一体的に取り付けられた上始動口72、下始動口73、および一般入賞口13a〜13cにより複数の入賞口が形成される。また、透明樹脂板4bには、その表面に多数の障害釘、規制壁部材40、板状パネル70および案内レール11を止着するための多数の取付穴が形成されている。
また、左上・左中入賞口13aの後面側は、背面領域装飾体51の開口51bと連結し、左上・左中入賞口13aに入賞した遊技球をパチンコ機1外部に排出させる。左下入賞口13bの後面側は、背面領域装飾体51の開口51cと連結し、左下入賞口13bに入賞した遊技球をパチンコ機1外部に排出させる。右入賞口13cの後面側は、背面領域装飾体51の開口51eと連結し、右入賞口13cに入賞した遊技球をパチンコ機1外部に排出させる。
また、透明樹脂板4bの前後方向の厚さ寸法W2は、前記遊技盤セット枠4aの厚さ寸法W1のほぼ半分(具体的には、11mm)に設定されている。これは、透明樹脂板4bを薄い寸法とした場合に、上述したように透明樹脂板4bの前面に取り付けられる障害釘や規制壁部材40を十分な担時力で取り付けるための構造とすることができ難い反面、余りにも厚い寸法とした場合に透明樹脂板4bの後面側に形成される空間の寸法W3を十分に取ろうとすると、遊技盤4の突出量が多くなってしまうという欠点があるからである。
つまり、本実施形態における透明樹脂板4bの厚さ寸法W2は、透明樹脂板4bの表面に取り付けられる各種の部品の担持力を十分に確保することができ、また、透明樹脂板4bの後面側に形成される空間の寸法W3を遊技盤4の最後端部の突出量を抑制しつつ確保できることを考慮して設定されたものである。さらに、透明樹脂板4bの前後方向の厚さ寸法W2を遊技盤セット枠4aの前後方向の厚さ寸法W1よりも薄く形成することにより、遊技盤セット枠4aの前後方向の厚さ寸法W1と同じ前後方向の厚さ寸法で透明樹脂板4bを形成した場合に比べて、遊技盤4の全体の重量を軽減することができる。
また、遊技盤セット枠4aの前後方向の厚さ寸法W1と同じ前後方向の厚さ寸法で透明樹脂板4bを形成した場合に比べて、透明樹脂板4bの前後方向の厚さ寸法が薄い分だけ、その後面に配置される背面装飾部材50を視認し易い。また、上述した例では、透明樹脂板4bの後面側に位置する画像表示装置42の前方に対応する透明樹脂板4bの中央部分に開口4dを開設することにより、画像表示装置42に表示される画像の鮮明度を向上させるように構成しているが、画像表示装置42の前方に対応する透明樹脂板4bの中央部分を刳り貫かない構成とした場合であっても、遊技盤セット枠4aの前後方向の厚さ寸法W1と同じ前後方向の厚さ寸法で透明樹脂板4bを形成した場合に比べて、透明樹脂板4bの前後方向の厚さ寸法W2が薄い分だけ、その後面に配置される画像表示装置42に表示される画像の鮮明度を増すことができる。
なお、遊技盤セット枠4aと、透明樹脂板4bと、遊技盤装飾部材4cと、から遊技盤4を構成した場合に比べて背面装飾部材50を視認し難くなる虞があるが、遊技盤セット枠4aと透明樹脂板4bと透明な合成樹脂により一体的に形成した遊技盤4を用いてもよい。
遊技盤セット枠4aの前面側に取り付けられる遊技盤装飾部材4cは、遊技盤セット枠4aの外周部分を装飾するために、ほぼ遊技盤セット枠4aと同一形状に合成樹脂によって形成されている。また、遊技盤装飾部材4cには、透明樹脂板4bによって構成される遊技領域12を囲むように円形状の開口4hが形成されるが、その開口部に沿って案内レール11が一体的に取り付けられている。だだし、内レールは、遊技盤装飾部材4cを遊技盤セット枠4aに取り付けたときに透明樹脂板4bの前方に位置するようになっているので、当該部分は図示しない固定ピンで透明樹脂板4bに固定されるようになっている。
さらに、遊技盤装飾部材4cを遊技盤セット枠4aにビス等で取り付けることにより、遊技盤装飾部材4cの一部が前記透明樹脂板4bの前面側の一部と当接して、透明樹脂板4bが遊技盤セット枠4aの開口4dから前方に脱落しないようになっている。より詳細に説明すると、前述したように、遊技盤セット枠4aに形成される開口4dは、その開口縁が正面から見たときに変形多角形状となっているため、この開口4dの開口縁形状と一致するように透明樹脂板4bの外周縁を形成することにより、透明樹脂板4bの開港に対する嵌合一が一義的に決定され、それらが嵌合されたときには、透明樹脂板4bが遊技盤セット枠4aに対して回転方向に移動しないように且つ面一状態となっている。その状態で、遊技盤セット枠4aの前方から遊技盤装飾部材4cをビス等で固着すると、遊技盤装飾部材4cの少なくとも四隅の隅角部分の裏面が透明樹脂板4bの前面に当接した状態となる。このため、透明樹脂板4bが遊技盤セット枠4aの開口4dに強固に固着されることになる。
このように、透明樹脂板4bを遊技盤セット枠4aに遊技盤装飾部材4cの四隅の隅角部分で当接挟持することにより、遊技機を廃棄する際に容易に分解することができるため、リサイクルがし易く、また、四隅だけで当接挟持させ、その上下部および左右部の領域で透明樹脂板4bと遊技盤装飾部材4cとを殆ど当接挟持させることがない構造のため、遊技領域12を広く取ることができるという利点がある。もちろん、この場合、上下部および左右部の領域で全く当接させなくてもよいが、僅かに挟持させるものでもよい。
なお、遊技盤セット枠4aの開口4dを多角変形状に形成しなくても、透明樹脂板4bを遊技盤セット枠4aの開口4dに嵌合させたとき一義的に取付位置が決定され且つ回転しないような位置決め部を有する構造(例えば、遊技盤セット枠4aの開口4dを円形にし、当接突片の前面に位置決め突起または位置決め穴を形成し、対応する透明樹脂板4bの裏面に位置決め穴または位置決め突起を形成した構造、あるいは、透明樹脂板4bと遊技盤セット枠4aに位置決めを行う切欠とそれに係合する係合突起を形成する構造等)であればよい。
しかして、前面側に規制壁部材40および板状パネル70を取り付けた透明樹脂板4bを遊技盤セット枠4aの開口4dに嵌合し、遊技盤装飾部材4cを遊技盤セット枠4aの前方から固着するとともに、遊技盤セット枠4aの後面側から画像表示装置42および液晶表示基板120を取り付けた背面装飾部材50と、主制御基板101と、を取り付けることにより遊技盤4が形成され、図6に示すように、遊技盤4の正面側から透明樹脂板4bの後面側に位置する背面装飾部材50および画像表示装置42に表示される画像を視認可能となる。
このように、背面装飾部材50は、案内レール11の外レールによって囲まれる遊技領域12を含む全ての領域、言い換えると、開口窓30から視認可能な全ての領域に亘って背面装飾部材50が形成され(図6参照)、透明樹脂板4bの後面側に配置する(図15および図16参照)。このように構成することにより、遊技領域12の後面側に背面装飾部材50によって前後方向に立体感のある空間が形成されて遠近感を表現できるため、遊技領域12の装飾効果を向上させることができる。
さらに、背面装飾部材50は、遊技領域12における遊技球が転動可能な領域の後方にも配置するため、遊技領域12の表面に突設する規制壁部材40が形成されていない遊技領域12においても遠近感を表現でき、装飾効果を向上させることができる。また、上述したように、この例では、背面装飾部材50に複数種類のLEDを内蔵したため、さらに装飾効果を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、箱体55に立体的に形成される背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54を配置することにより形成される背面装飾部材50を透明樹脂板4bの後面側に配置するものを示したが、背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54を箱体55に配置することなく透明樹脂板4bの後面側に個々に配置するものであってもよい。例えば、背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54をそれぞれ透明樹脂板4bの後面に配置するように取り付けるようにしてもよい。この場合には、背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54を透明樹脂板4bの後面に直接取り付けるようにしてもよいし、遊技盤セット枠4aに取り付けるようにしてもよい。
また、遊技領域12の表面に規制壁部材40を立設するとともに、遊技領域の後面側に位置する背面装飾部材50によって前後方向に立体感のある空間を形成するため、遊技領域12の前方に位置する規制壁部材40の先端部(遊技領域12の表面から最も遠い部分、表面ともいう)から遊技領域12の後方に位置する背面装飾部材50の表面にかけての広い範囲で遠近感を表現でき、装飾効果を向上させることができる。
上述したように、発射制御装置104によって遊技球が打ち出された遊技球は、発射レール15および案内レール11を通って遊技領域12の上部に放出され、遊技領域12を障害釘等に衝突しながらアウト口77に向かって流下する。このような遊技機では、遊技領域12に所定の装飾が施された部材等を配置することにより遊技領域12を区画するとともに装飾効果を向上させていた。ところが、遊技領域12に部材等を配置して遊技領域12を区画することにより遊技球の転動可能となる領域が狭まるとともに遊技球の自由度が低下する。
また、通常の遊技機において始動口等への入賞率は、障害釘を調整することによって変化させるが、遊技領域12に立体形成される部材等を配置することにより始動口等への入賞率を変化させることが困難になる。すなわち、遊技領域12に設置する部材の個数および設置領域には制限があった。そのため、従来の遊技機では、遊技領域12の表面にキャラクタなどのペイントを施したセルなどを貼り付けることによって装飾効果の向上を図っていたが、平坦な板状パネルにペイントしたものであるため、部材等を配置した場合に比べて装飾効果を高められなかった。
図17および図18を参照して具体的に説明する。図17は、従来の一般的なパチンコ機の遊技盤4の正面図であり、図18は、従来の一般的なパチンコ機の遊技盤4の正面側から見た斜視図である。なお、図17および図18に示すパチンコ機の遊技盤4は合板製であり、遊技盤4の後面側は視認できない。また、図17においては、説明のために、遊技盤4の後面側に配置する部材は表示していない。
図17に示すように、従来の一般的なパチンコ機1においては、遊技領域12に規制壁部材40等を配置することにより立体的に形成される一方、規制壁部材40が配置されない領域においては、遊技球を流下させるために平面で構成しなければならず、キャラクタなどのペイントを施したセルを貼り付けることによって装飾していた。また、遊技盤4の後面側に配置される部材などは、規制壁部材40に設けられた透明パネル40aと、規制壁部材40に開設された開口40bおよび40gとからのみ視認可能となる。
しかして、図18に示すように、規制壁部材40に設けられた透明パネル40aと、規制壁部材40に開設された開口40bおよび40gから遊技盤4の後面側に配置される部材が視認可能となった状態においては、遊技盤4の前面側に設けられる規制壁部材40と一体となり、立体的に構成されるが、規制壁部材40によって囲われた領域においては立体的に構成されるのみであり、規制壁部材40によって囲われていない領域においては、平面であるため、遊技盤4全体における起伏が少なく、装飾効果が高まらなかった。
このように、遊技盤4の前面側においては、遊技球を流下させる領域を確保しなければならず、立体的な部材を配置することには制限(大きさ、位置など)があった。そのため、キャラクタなどのペイントを施したセルを貼り付けることによって装飾していたが、遊技盤4全体における起伏が少なく、装飾効果が高まらなかった。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1について説明する。図19は、本実施形態における遊技盤4の正面側から見た斜視図である。なお、図19においては背面装飾部材50を視認し易くするために遊技盤4の前面に植設される障害釘の表示を省略している。
図19に示すように、この実施の形態の遊技盤4は、透明な合成樹脂によって形成され、遊技領域12全域に亘って立体的な部材が配置される。そして、遊技領域12全域が起伏した状態となる。また、遊技領域12における遊技球を転動させる領域においては、立体的に形成される部材を遊技盤4の後面側に配置するため、遊技盤4の前面側においては、平面で構成される。そのため、遊技球の転動する領域を狭めることなく遊技領域12全域に亘って立体的な部材を配置することができ、装飾効果を向上させることができる。
すなわち、遊技領域12が形成される透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成し、透明樹脂板4bの後面側(遊技領域12が形成されない側)に、箱体55の前面に立体的に形成される背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54を取り付けた背面装飾部材50を配置し、遊技領域12の後面側に背面装飾部材50によって前後方向に立体感のある空間を形成することにより遠近感を表現するため、遊技領域12における遊技球が転動可能な領域の後方を背面装飾部材50によって立体的に形成でき、遊技球の転動可能領域を狭めることなく装飾効果を向上させることができる。
また、遊技球の自由度を低下させないため、従来の遊技機と同様に障害釘を調整することによって始動口等への入賞率を比較的容易に変化させることができる。また、遊技領域12の前面にフィルムや板状パネルにデザインを施したものを配置した場合に比べて広い範囲で遠近感を表現できるため、装飾効果が向上する。
また、近年では、パチンコ機1等の遊技機に大型の画像表示装置を備えたものが複数出現している。このような遊技機において、画像表示装置の周囲に規制壁部材を設置して画像表示装置の前方に遊技球を流下させない構成とすることにより、画像表示装置に表示される画像を視認し易くしている。画像表示装置を大きくすることによって規制壁部材も大きくなり、遊技領域における遊技球の転動可能領域が狭まるが、本発明によれば、規制壁部材によって区画される領域以外の領域に部材を設置することなく装飾効果を向上させることが可能になるため、大型の画像表示装置を備えた遊技機に対して有効である。
また、遊技領域12が形成される透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成し、透明樹脂板4bの後面側(遊技領域12が形成されない側)に、箱体55の前面に立体的に形成される背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54を取り付けた背面装飾部材50を配置するため、遊技球の転動を障害することがなく、案内レール11の後面側にも背面装飾部材50を配置できる。具体的には、上述した左上装飾部材53はその一部が案内レール11の後方に位置するように配置される。そのため、遊技球が流下する遊技領域12だけでなく、開口窓30によって視認可能な領域全域に亘って奥行感を表現でき、装飾効果が向上する。
また、上述した例では、背面装飾部材50に画像表示装置42を設けたため、画像表示装置42に表示される画像と、背面装飾部材50と、によってさらに立体感を演出でき、装飾効果が向上する。また、上述した例では、背面装飾部材50の箱体55の後面側から画像表示装置42を取り付ける構成としたため、箱体55に配置される背面領域装飾体51、左上装飾部材53、および右下装飾部材54は画像表示装置42よりも前方に突出して配置される。そのため、画像表示装置42の表面とこれらの部材の表面とを幅のある立体的な空間が形成され、これらの部材の前面からと画像表示装置42の前面にかけての遠近感を表現でき、装飾効果を向上させることができる。
また、この実施の形態では、背面装飾部材50は、透明樹脂板4bの後面に当接しないように配置される。すなわち、透明樹脂板4bの後面から後方に離れた位置に背面装飾部材50が配置する。換言すると、遊技領域12の表面から奥まった位置に背面装飾部材50を配置したため、遊技領域12にデザインを施したフィルムな板状パネル等を配置した場合に比べて奥行幅が広がり、遊技者に奥行感を感じさせることができるため、装飾効果が高まる。また、背面装飾部材50を透明樹脂板4bに当接させないことにより、遊技領域12を流下する遊技球によって透明樹脂板4bが振動した場合であっても透明樹脂板4bの振動が背面装飾部材50に伝播して振動音が発生することも防止できる。なお、背面装飾部材50の一部を透明樹脂板4bの後面に当接するように配置してもよい。この場合には、背面装飾部材50の鮮明度を向上させることができる。
また、本発明では、背面装飾部材50として立体的に形成される部材を備えたものを示したが、フィルムや板状パネル等にデザインを施したものを背面装飾部材として備えるものであってもよい。この場合には、遊技球の転動面(遊技領域12の表面)よりも奥まった位置(透明樹脂板4bの後面側、透明樹脂板4bに当接するように背景樹脂部材を備えてもよいし、透明樹脂板4bに当接しないように背景樹脂部材を備えてもよい)に背面装飾部材を配置するため、遊技領域12にデザインを施したフィルムな板状パネル等を配置した場合に比べて広い範囲で遠近感を表現でき、装飾効果が向上する。また、背面装飾部材50を遊技領域12の一部の後面側を覆うように構成し、背面装飾部材50によって覆われない遊技領域12の後面側にフィルムや板状パネル等にデザインを施したものを貼り付けるようにしてもよい。
以上、本発明によれば、遊技領域12における遊技球の転動可能な領域を狭めることなくパチンコ機1等の遊技機の装飾効果を向上させることができる。また、遊技球の転動を阻害することなく装飾効果を高めることができるため、遊技機の設計の自由度が高まる。