JP5951535B2 - 制御システム及び制御プログラム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、制御対象となるプロセスで用いられる駆動装置を、ネットワークを介してフィードバック制御する制御システムと、この制御システムで用いられる制御プログラムとに関する。
近年の制御システムにおいて、通信の果たす役割が大きくなっている。例えば、インターネットを介して駆動装置を遠隔地からリアルタイムで制御し、又は、大規模プラントにおいて共有回線で接続される多くの組込機器を制御する等、ネットワークを介して機器を制御するネットワーク化制御(NCSs: Networked Control Systems)が現実のものとなりつつある。
従来、制御システムにおける制御理論は、フィードバック系内の信号伝送に無限の通信スループット(bps)を仮定している。制御システム内の通信が専用線を用いて実施される場合には、無限の通信スループットを想定して制御装置を実装しても特に問題は生じない。一方、制御システム内の通信がインターネット等の共有回線を用いて実施される場合には、通信スループットに制約がある。通信スループットの制約を無視して制御系を設計すると、制御系の性能や安定性に支障をきたすおそれがある。
例えば、UDP通信プロトコルは、通信速度及び/又はリアルタイム性を求める場合に使用されるが、TCP/IPのように、3-way handshake(コネクション確立)、再送制御及びウィンドウ制御等の機能が無いため、データパケットが到達する保証が無い。そのため、UDP通信プロトコルを利用した通信では、いわゆるパケットロスが発生することがある。
ところで、従来の制御システムでは、ネットワーク上でパケットロスが発生し、一定時間データが到達されない場合、警報を発報したり、フィードバック制御を異常停止したりせざるを得ないという問題がある。
特開平8−305416号公報 特開平9−160851号公報
以上のように、従来の制御システムでは、共有回線を利用して駆動装置をフィードバック制御しようとする場合、ネットワーク上でパケットロスが発生すると、警報を発報したり、フィードバック制御を異常停止したりせざるを得ないという問題がある。
そこで、目的は、共有回線を利用して駆動装置をフィードバック制御する場合に、ネットワーク上でパケットロスが発生したときであっても、プロセスに支障が無い範囲内でパケットロスを許容して制御を継続することが可能な制御システム及びこの制御システムで用いられる制御プログラムを提供することにある。
実施形態によれば、制御システムは、駆動装置、計測装置及び制御装置を具備する。駆動装置は、ネットワークを介して第1のパケットとして供給される制御信号を受信し、前記受信した制御信号に従って制御対象プロセスにおける所定の動作を実行する。計測装置は、前記制御対象プロセスの状態を計測し、計測結果を第2のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する。制御装置は、前記ネットワークを介して前記駆動装置及び前記計測装置と接続し、受信部、判定部、演算部及び送信部を備える。受信部は、前記ネットワークを介して前記第2のパケットを受信し、前記第2のパケットの受信間隔に基づいてサンプリング周期を算出する。判定部は、前記サンプリング周期が、予め設定される最大許容サンプリング周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したと判定する。演算部は、前記異常が発生したと判定されない場合、前記第2のパケットに含まれる計測結果と、前記駆動装置に対して設定される制御目標とに基づいて前記制御信号を生成し、前記異常が発生したと判定される場合、前記制御信号の生成を抑制する。送信部は、前記生成された制御信号を前記第1のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する。
第1の実施形態に係る制御システムの構成を示す模式図である。 図1に示す制御システムの機能構成を示すブロック図である。 図1に示す制御装置の動作を説明する図である。 図1に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 図1に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 図5に示すサンプリング周期算出部が第2の最大許容サンプリング周期を算出する際の図である。 図1に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 図1に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 第2の実施形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。 図9に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 図9に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。 図9に示す制御システムの機能構成のその他の例を示すブロック図である。
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る制御システムの構成を示す模式図である。図1に示す制御システムは、制御装置10−1,10−2、アクチュエータ20−1,20−2及び計測装置30−1,30−2を具備する。制御装置10−1,10−2とアクチュエータ20−1,20−2との間、及び、計測装置30−1,30−2と制御装置10−1,10−2との間は、ネットワークで接続される。このネットワークは、専用線通信と比較して安価な共有回線であって、ノイズ及び/又はその他の通信状況によって通信スループットが変動し易いものとする。
制御装置10−1,10−2は、目標値に基づき、アクチュエータ20−1,20−2へ操作量を送信する。アクチュエータ20−1,20−2は、制御対象プロセスにおける所定の動作を実行するための駆動装置であり、例えば、ポンプ、バルブ又は空調機等である。なお、アクチュエータ20−1,20−2は、これらに限定されるものではない。計測装置30−1,30−2は、制御対象プロセスの状態を計測するものであり、例えば、温度計、湿度計又はpH計等である。なお、計測装置30−1,30−2は、これらに限定されるものではない。
制御対象プロセスは、例えば、鉄鋼用プラント、電力系統プラント、発電プラント、又は、上下水道プラント等の各種の制御対象プラントにおいて、ネットワークを介して制御されるプロセスを表す。制御対象プロセスは、例えば、池水位、配管圧力又は室内温度等である。しかしながら、制御対象プロセスは、これらに限定されるものではない。
図2は、図1に示す制御システムの機能構成を示すブロック図である。なお、図2では、説明を簡潔にするため、制御装置10−1、アクチュエータ20−1及び計測装置30−1について説明し、それぞれを制御装置10、アクチュエータ20及び計測装置30と称して説明する。
制御装置10は、計測量受信部11、計時部12、判定部13、演算部14及び操作量送信部15を備える。なお、計測量受信部11、判定部13、演算部14及び操作量送信部15は、例えば、制御装置10に備えられるコンピュータに、制御プログラムを実行させることにより実現させるようにしてもよい。
計測量受信部11は、受信時刻付与部111及び受信処理部112を備える。
受信時刻付与部111は、受信処理部112で計測量が受信されると、計時部12から供給される時刻情報を受信処理部112へ出力する。
受信処理部112は、ネットワークを介し、計測装置30から送信される計測量を受信する。受信処理部112は、計測量を受信すると、受信した計測量に受信時刻付与部111から出力された時刻情報を付与して記憶する。また、受信処理部112は、計測量を受信すると、受信時刻付与部111から出力された時刻情報と、前回受信した計測量に付与されている時刻情報とを比較し、サンプリング周期を算出する。受信処理部112は、受信した計測量を演算部14へ出力すると共に、算出したサンプリング周期を判定部13へ出力する。
判定部13は、制御対象プロセス毎に設定される最大許容サンプリング周期を予め記憶する。最大許容サンプリング周期の決定方法は限定されるものではないが、例えば、次のように決定される。
パケットロスが確率的に発生する場合、制御対象プロセスを含む離散時間の線形システムは、以下の状態方程式で与えられる。
Figure 0005951535
ここで、A、Bは、
Figure 0005951535
のA、Bを離散時間で表現したものである。このとき、A−Bの固有値の絶対値がすべて1未満となるようにコントローラFが設計される。
ネットワークの状態が正常であれば所定の制御周期ΔT毎に信号が到達するが、パケットロスが1回以上連続してσ(i)回発生すると、通常の制御周期ΔTに対してσ(i)・ΔTだけ制御周期が遅れることになる。つまり、離散時間系において、σ(i)回のパケットロスが発生すると、離散時間の変化、A及びBは次式のように表される。
Figure 0005951535
ここで、τ(i)は離散時間iの時刻を表す。
(1)式を利用し、σ(i)=0を想定して設計された制御則Fに対し、A−Bの固有値の絶対値が1になるまでのσ(i)を求める。このように、σ(i)を求めることで、パケットロスの発生をどの程度許容できるかを把握する。最大許容サンプリング周期は、把握した許容回数に基づいて決定される。
なお、離散時間系に対するリヤプノフの安定条件から、任意の正定(又は半正定)行列Qに対して、P=A PA+Qとなるような正定行列Pが存在するまで、σ(i)を許容する方法を採用し、最大許容サンプリング周期を決定してもよい。また、サンプリング定理に従い、制御対象プロセスの時定数の1/2までを許容するように最大許容サンプリング周期を決定してもよい。サンプリング定理によれば、制御対象プロセスが持つ最大周波数fに対して2fよりも高い周波数で計測すれば、制御対象プロセスの計測信号を受信側で完全に復元することが可能となる。
判定部13は、計測量受信部11から出力されるサンプリング周期が、予め記憶する最大許容サンプリング周期を逸脱していないか判定する。判定部13は、サンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱すると判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を演算部14へ出力する。
演算部14は、外部から供給される制御目標値(SV)と、計測量受信部11から供給される計測量(PV)とを受け取る。演算部14は、予め設定される制御周期に従い、計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20を駆動させる操作量(MV)を演算する。操作量を演算する手法は、PID制御、モデル予測制御及びHインフィニティ制御等、様々なアルゴリズムがある。しかしながら、本実施形態では、上記のいずれの演算手法も採用せずとも、フィードバック制御であれば良い。演算部14は、求めた操作量を操作量送信部15へ出力する。
また、演算部14は、判定部13から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
操作量送信部15は、演算部14から出力された操作量を、ネットワークと対応するプロトコルのデータパケットへ変換する。操作量送信部15は、変換後のデータパケットを、アクチュエータ20を指定してネットワークへ送信する。
アクチュエータ20は、操作量受信部21及び駆動部22を備える。操作量受信部21は、制御装置10の操作量送信部15からネットワークを介して送信されてきた操作量に基づいて、駆動部22を操作する。アクチュエータ20がポンプである場合、操作量は、ポンプ回転数であり、駆動部22は、ポンプ回転数に応じて羽根車を回転させる機構のことである。
計測装置30は、計測部31及び計測量送信部32を備える。計測部31は、予め設定された周期で制御対象プロセスの状態を計測する。計測量送信部32は、計測部31により計測された計測量を、ネットワークと対応するプロトコルのデータパケットへ変換する。計測量送信部32は、変換後のデータパケットを、制御装置10を指定してネットワークへ送信する。
図3は、本実施形態に係る制御装置10の動作を説明する模式図である。図3(a)は、ネットワークが正常な状態での制御装置10の動作を示す。図3(b),(c)は、ネットワークが混雑し、パケットロスが発生する状態での制御装置10の動作を示す。図3(d)は、ネットワークが混雑し、パケットロスが発生する状態での従来の制御装置の動作を示す。なお、以下の説明では、最大許容サンプリング周期が3.5Δtである場合を説明する。また、従来の制御装置では、通信系の制約として2Δt以内に次のデータパケットが到達しないと、通信エラーとして警報を発報し、及び/又は、アクチュエータを緊急停止させるものとする。
図3(a)において、制御装置10は、計測装置30からネットワークを介して送信されるデータパケットを、ΔT間隔で受信する。受信処理部112は、T=t+3Δtでデータパケットを受信すると、前回に受信されたデータパケットの受信時刻T=t+2Δtと、T=t+3Δtとの差から、Δtをサンプリング周期として算出する。
判定部13は、サンプリング周期Δtが、最大許容サンプリング周期3.5Δtを逸脱していないか判定する。ここでは、3.5Δt>Δtであり、サンプリング周期は最大許容サンプリング周期を逸脱していないため、演算部14は、アクチュエータ20に対するフィードバック制御を継続する。
図3(b)において、計測装置30からネットワークを介して送信されるデータパケットは、T=t+Δtと、T=t+2Δtとにおいて消失している。受信処理部112は、T=t+3Δtでデータパケットを受信すると、前回に受信されたデータパケットの受信時刻T=tと、T=t+3Δtとの差から、3Δtをサンプリング周期として算出する。
判定部13は、サンプリング周期3Δtが、最大許容サンプリング周期3.5Δtを逸脱していないか判定する。ここでは、3.5Δt>3Δtであり、サンプリング周期は最大許容サンプリング周期を逸脱していないため、演算部14は、アクチュエータ20に対するフィードバック制御を継続する。
図3(c)において、計測装置30からネットワークを介して送信されるデータパケットは、T=t+Δtと、T=t+2Δtと、T=t+3Δtとにおいて消失している。受信処理部112は、T=t+4Δtでデータパケットを受信すると、前回に受信されたデータパケットの受信時刻T=tと、T=t+4Δtとの差から、4Δtをサンプリング周期として算出する。
判定部13は、サンプリング周期4Δtが、最大許容サンプリング周期3.5Δtを逸脱していないか判定する。ここでは、4Δt>3.5Δtであり、サンプリング周期は最大許容サンプリング周期を逸脱しているため、判定部13は、停止信号を演算部14へ出力する。演算部14は、停止信号を受け取ると、アクチュエータ20に対するフィードバック制御を停止する。
図3(d)では、従来の制御装置は、T=t+2Δtにおいて、データパケットが到達しない場合には、通信系の制約である2Δtを超えてデータパケットが到達しないため、制御対象プロセスに異常がないとしても、通信エラーが発生したとして、アクチュエータに対するフィードバック制御を停止する。
以上のように、第1の実施形態では、受信処理部112は、計測量を受信するサンプリング周期を算出する。判定部13は、サンプリング周期と、予め設定される最大許容サンプリング周期とを比較し、サンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱しないか否かを判定する。サンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱する場合、判定部13は、演算部14に対して、アクチュエータ20のフィードバック制御を停止させるようにしている。これにより、通信系からの制約ではなく、制御系からの制約となる最大許容サンプリング周期を基準として、フィードバック制御を継続するか、停止するかを決定することが可能となる。
したがって、第1の実施形態に係る制御システムによれば、共有回線を利用して駆動装置をフィードバック制御する場合に、ネットワーク上でパケットロスが発生したときであっても、プロセスに支障が無い範囲内でパケットロスを許容して制御を継続することができる。
なお、第1の実施形態に係る制御システムでは、判定部13の判定結果に従い、アクチュエータ20へのフィードバック制御を停止させる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図4に示す制御装置40を備えていてもよい。すなわち、制御装置40は、計測量受信部11、計時部12、判定部41、演算部42、操作量送信部15及び定常状態判定部43を備える。
判定部41は、計測量受信部11から出力されるサンプリング周期が、予め記憶する最大許容サンプリング周期を逸脱していないか判定する。判定部41は、サンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱すると判定した場合、エラー信号を定常状態判定部43へ出力する。
定常状態判定部43は、判定部41から出力されるエラー信号を受信すると、計測量受信部11から出力される計測量に基づき、制御対象プロセスが定常状態であるか否かを判定する。制御対象プロセスが定常状態であるかを判定する方法は限定されるものではないが、例えば、以下のように判定する。
時刻kの計測量x(k)が受信できない場合に、前回までの計測量x(k−1),x(k−2),…,x(k−i),i=1,2,…,Nに対して、以下の平均μと分散σとを考える。
Figure 0005951535
定常状態判定部43は、平均μと分散σとの値が予め設定した閾値の範囲内である場合、制御対象プロセスが定常状態にあると判定する。
定常状態判定部43は、制御対象プロセスが定常状態にあると判定した場合、演算部42によるアクチュエータ20のフィードバック制御を継続させる。また、定常状態判定部41は、制御対象プロセスが定常状態にないと判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を演算部42へ出力する。
演算部42は、外部から供給される制御目標値と、計測量受信部11から供給される計測量とを受け取る。演算部42は、予め設定される制御周期に従い、計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20を駆動させる操作量を演算する。演算部42は、求めた操作量を操作量送信部15へ出力する。演算部42は、定常状態判定部41から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
これにより、制御装置40は、制御対象プロセスが定常状態にある場合は、最大許容サンプリング周期を逸脱するサンプリング周期が計測されても、アクチュエータ20のフィードバック制御を継続することが可能となる。
また、第1の実施形態に係る制御システムは、判定部13が最大許容サンプリング周期を予め記憶し、計測量受信部11から供給されるサンプリング周期と、最大許容サンプリング周期とを比較する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図5に示す制御装置50を備えていてもよい。すなわち、制御装置50は、計測量受信部11、計時部12、サンプリング周期算出部51、判定部52、演算部14及び操作量送信部15を備える。
サンプリング周期算出部51は、計測量として許容できる上下限値を予め記憶する。サンプリング周期算出部51は、予め設定した期間に受信した計測量を参照し、計測量の動向を示す値として外挿値を算出する。外挿値を算出する方法は、例えば、ARモデルを利用して算出する方法が考えられる。外挿値は、
Figure 0005951535
と求められる。ここで、φはモデルパラメータを示し、cは定数を示す。また、計測量に外乱を含む場合、すなわち、y(k)=Cx(k)+vの場合は、カルマンフィルタを用いて外挿値を算出する方法もある。なお、vはノイズを示す。外挿値は、
Figure 0005951535
と求められる。ここで、Kはカルマンゲインを示す。なお、外挿値を算出する方法はこれらに限定される訳ではない。
サンプリング周期算出部51は、外挿値を算出すると、図6に示すように、外挿値が上下限値に至るまでの時間を算出する。サンプリング周期算出部51は、算出した時間を第2の最大許容サンプリング周期とする。サンプリング周期算出部51は、算出した第2の最大許容サンプリング周期を判定部52へ出力する。
判定部52は、サンプリング周期算出部51で算出された第2の最大許容サンプリング周期が、予め記憶する最大許容サンプリング周期以上であるか判断し、以上である場合、計測量受信部11から出力されるサンプリング周期が、最大許容サンプリング周期ではなく、第2の最大許容サンプリング周期を逸脱していないか判定する。サンプリング周期が第2の最大許容サンプリング周期を逸脱すると判定した場合、判定部52は、警報を発報すると共に、停止信号を演算部14へ出力する。
第2の最大許容サンプリング周期が最大許容サンプリング周期未満である場合、判定部52は、計測量受信部11から出力されるサンプリング周期が、最大許容サンプリング周期を逸脱していないか判定する。判定部52は、サンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱すると判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を演算部14へ出力する。
これにより、制御装置50は、計測量が上限値を超えるタイミングを取得可能である場合には、最大許容サンプリング周期を逸脱するサンプリング周期が計測されても、アクチュエータ20のフィードバック制御を継続することが可能となる。
また、第1の実施形態では、演算部14は、予め設定される制御周期に従って操作量を演算する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図7に示す制御装置60を備えていてもよい。すなわち、制御装置60は、計測量受信部61、計時部12、判定部13、演算部62及び操作量送信部15を備える。
計測量受信部61は、受信時刻付与部111及び受信処理部611を備える。受信処理部611は、計測量を受信すると、サンプリング周期を算出する。受信処理部611は、受信した計測量を演算部62へ出力すると共に、算出したサンプリング周期を判定部13及び演算部62へ出力する。
演算部62は、周期修正部621及び操作量算出部622を備える。
周期修正部621は、計測量受信部から出力されるサンプリング周期を受信すると、受信したサンプリング周期に制御周期を同期させる。周期修正部621は、サンプリング周期に同期させた制御周期を操作量算出部622へ出力する。
操作量算出部622は、外部から供給される制御目標値と、計測量受信部61から供給される計測量とを受け取る。操作量算出部622は、周期修正部621から出力される制御周期に従い、計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20−1を駆動させる操作量を演算する。PID制御により操作量を演算する場合、操作量は次式に基づいて算出される。
Figure 0005951535
ここで、MV(k)は時刻kに送信する操作量を示し、ΔMV(k)は時刻kに操作量を変更する差分操作量を示し、e(k)は時刻kにおける制御目標値と計測量の偏差を示し、Kpは予め設定される比例ゲインを示し、Tiは予め設定される積分時間を示し、ΔTは周期修正部621により修正される制御周期を示す。操作量算出部622は、算出した操作量を操作量送信部15へ出力する。
ネットワーク上で発生するパケットロス率は、(4)式に示すように、受信データ量[bit]と送信データ量[bit]とで定義される。ここで、ネットワーク上のルータで発生するパケットロスは、(5)式で示すように、ルータ処理能力B[bps]、送信周期T[sec]及び送信データ量M[bit]に依存する。なお、送信データ量Mは、データ数n[個]×データサイズS[bit]から求められる。
パケットロス率[%]=1−(受信データ量[bit]/送信データ量[bit]) (4)
受信データ量[bit]=送信データ量[bit]−Σ((M/T)[bps]−B[bps]) (5)
(ただし、M/T≦Bの時は受信データ量=送信データ量)
つまり、送信周期を長くし、かつ、送信データ量を少なくすることで、パケットロス率は低減されることになる。
パケットロスが(特にバースト的に)発生した場合、制御装置60は、操作量演算に必要な計測量を長時間受信することができない。そのため、制御装置60は、制御対象プロセスの計測量と、所望の制御目標値とに基づいて操作量を作成できない。これにより、パケットロスは、制御システムにおいて、通信異常としてシステム異常を発生させる要因となり得る。
演算部62は、周期修正部621により、計測量受信部61で算出されるサンプリング周期に基づいて制御周期を変更し、操作量算出部622により、変更した制御周期に従って操作量を算出する。これにより、サンプリング周期が長くなっている場合には、制御装置60は、送信するデータパケットの量を減らすことが可能となる。パケットロス率は、通信環境である通信スペック及び/又はルータ等の周囲環境に依存するが、本実施形態に係る制御装置60は、データパケットの送信周期を調整することによって、パケットロス率の抑制を行う。これにより、ネットワークが混雑している場合において、パケットロスの影響を最小限に抑えることが可能となる。
また、第1の実施形態に係る制御システムでは、計測装置30から送信される計測量に時刻情報が含まれない場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図8に示す制御装置70、アクチュエータ20−1,20−2及び計測装置80を備えていてもよい。計測装置80は、計測部31、計測量送信部81及び計時部82を備える。
計測量送信部81は、送信時刻付与部811及び送信処理部812を備える。送信時刻付与部811は、送信部31で計測量が計測されると、計時部82から供給される時刻情報を送信処理部812へ出力する。
送信処理部812は、計測量が測定されると、測定された計測量に送信時刻付与部811から出力された時刻情報を付与する。送信処理部812は、時刻情報を付与した計測量を、ネットワークと対応するプロトコルのデータパケットへ変換する。送信処理部812は、変換後のデータパケットを、制御装置70を指定してネットワークへ送信する。
制御装置70は、計測量受信部71、計時部12、判定部13、演算部72及び操作量送信部15を備える。
計測量受信部71は、受信時刻付与部111及び受信処理部711を備える。
受信処理部711は、ネットワークを介し、計測装置80から送信される計測量を受信する。受信処理部711は、計測量を受信すると、受信した計測量に受信時刻付与部111から出力された時刻情報を付与して記憶する。
また、受信処理部711は、計測量を受信すると、受信時刻付与部111から出力された時刻情報と、前回受信した計測量に付与されている時刻情報とを比較し、サンプリング周期を算出する。受信処理部711は、受信した計測量を演算部72へ出力すると共に、算出したサンプリング周期を判定部13へ出力する。
また、受信処理部711は、計測量を受信すると、計測量に付与されている送信時の時刻情報と、受信時刻付与部111から出力された時刻情報とを比較し、ネットワークにより計測量を送信する際の所要時間を算出する。受信処理部711は、所要時間が予め設定する許容所要時間を超えるか否かを判定する。所要時間が予め設定した許容所要時間を超える場合、受信処理部711は、フラグ付与信号を作成し、作成したフラグ付与信号を演算部72へ出力する。予め設定する許容所要時間は、ネットワークが混雑していると判断するためのパケット到達時間である。
演算部72は、操作量算出部721及びフラグ付与部722を備える。
操作量算出部721は、外部から供給される制御目標値と、計測量受信部71から供給される計測量とを受け取る。操作量算出部721は、予め設定される制御周期に従い、計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20−1,20−2を駆動させる操作量を演算する。操作量算出部721は、算出した操作量をフラグ付与部722へ出力する。
また、操作量算出部721は、判定部13から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
フラグ付与部722は、アクチュエータ20−1,20−2に対して予め設定された優先度を記憶している。フラグ付与部722は、計測量受信部71から出力されるフラグ付与信号を受信すると、アクチュエータ20−1,20−2のうち、優先度が高いアクチュエータが送信先として指定される操作量に優先度フラグを付与する。フラグ付与部722は、優先度フラグを付与した操作量及び付与していない操作量を操作量送信部15へ出力する。
このとき、ネットワークは、優先度フラグが付与されたデータパケットを優先的にアクチュエータへ送信するプロトコルを備える。
以上のように、フラグ付与部722は、ネットワークが混雑している場合、優先度の高いアクチュエータを対象とする操作量に優先度フラグを付与し、データパケットが優先的にアクチュエータへ到達させるようにしている。パケットロス率は、通信環境である通信スペック及び/又はルータ等の周囲環境に依存するが、本実施形態に係る制御装置70は、優先的に送信させるデータパケットに優先度フラグを付けることで、パケットロス率の抑制を行う。すなわち、必要最低限の操作量については、ネットワーク上でのパケットロスを極力発生しないようにすることが可能となる。
また、上記第1の実施形態では、判定部13,41,52はサンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱する場合、警報を発報すると共に、停止信号を演算部へ出力する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、判定部13,41,52はサンプリング周期が最大許容サンプリング周期を逸脱する場合、「緊急停止」、「異常発報」、「待機」又は「信号を外挿して継続」等を演算部に対して指示する指示信号を出力するようにしても構わない。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。図9に示す制御システムは、制御装置90、アクチュエータ20及び計測装置30を具備する。制御装置90とアクチュエータ20との間、及び、計測装置30と制御装置90との間は、ネットワークで接続される。
制御装置90は、計測量受信部91、計時部92、演算部93及び操作量送信部94を備える。なお、計測量受信部91、演算部93及び操作量送信部94は、例えば、制御装置90に備えられるコンピュータに、制御プログラムを実行させることにより実現させるようにしてもよい。
計測量受信部91は、受信処理部911を備える。受信処理部911は、ネットワークを介し、計測装置30から送信される計測量を受信する。受信処理部911は、計測量を受信すると、受信した計測量を演算部93へ出力する。
演算部93は、操作量算出部931及び判定部932を備える。
操作量算出部931は、外部から供給される制御目標値(SV)と、計測量受信部91から供給される計測量(PV)とを受け取る。操作量算出部931は、計測量を受け取ると、受け取った計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20を駆動させる操作量(MV)を演算する。操作量を演算する手法は、PID制御、モデル予測制御及びHインフィニティ制御等、様々なアルゴリズムがある。しかしながら、本実施形態では、上記のいずれの演算手法も採用せずとも、フィードバック制御であれば良い。操作量算出部931は、求めた操作量を判定部932及び操作量送信部94へ出力する。
また、操作量算出部931は、判定部932から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
判定部932は、計時部92と接続し、時刻情報が供給される。判定部932は、操作量算出部931から出力される操作量を受信すると、受信した操作量に計時部92から供給される時刻情報を付与して記憶する。また、判定部932は、操作量を受信すると、計時部92から供給される時刻情報と、前回受信した操作量に付与されている時刻情報とを比較し、制御周期を算出する。
また、判定部932は、制御対象プロセス毎に設定される最大許容制御周期を予め記憶する。最大許容制御周期の決定方法は限定されるものではないが、例えば、第1の実施形態における最大許容サンプリング周期と同様の方法により決定される。
判定部932は、算出した制御周期が、予め記憶する最大許容制御周期を逸脱していないか判定する。判定部932は、制御周期が最大許容制御周期を逸脱すると判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を操作量算出部931へ出力する。
操作量送信部94は、演算部93から出力される操作量を、ネットワークと対応するプロトコルのデータパケットへ変換する。操作量送信部94は、変換後のデータパケットを、アクチュエータ20を指定してネットワークへ送信する。
以上のように、第2の実施形態では、判定部932は、操作量を算出する制御周期を算出する。判定部932は、制御周期と、予め設定される最大許容制御周期とを比較し、制御周期が最大許容制御周期を逸脱しないか否かを判定する。制御周期が最大許容制御周期を逸脱する場合、判定部932は、操作量算出部931に対して、フィードバック制御を停止させるようにしている。これにより、通信系からの制約ではなく、制御系からの制約となる最大許容制御周期を基準として、フィードバック制御を継続するか、停止するかを決定することが可能となる。
したがって、第2の実施形態に係る制御システムによれば、共有回線を利用して駆動装置をフィードバック制御する場合に、ネットワーク上でパケットロスが発生したときであっても、プロセスに支障が無い範囲内でパケットロスを許容して制御を継続することができる。
なお、第2の実施形態に係る制御システムでは、判定部932の判定結果に従い、アクチュエータ20へのフィードバック制御を停止させる場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図10に示す制御装置100を備えていてもよい。すなわち、制御装置100は、計測量受信部91、計時部92、演算部101及び操作量送信部94を備える。
演算部101は、操作量算出部1011、判定部1012及び定常状態判定部1013を備える。
判定部1012は、操作量算出部1011から出力される操作量に基づいて算出した制御周期が、予め記憶する最大許容制御周期を逸脱していないか判定する。判定部1012は、制御周期が最大許容制御周期を逸脱すると判定した場合、エラー信号を定常状態判定部1013へ出力する。
定常状態判定部1013は、判定部1012から出力されるエラー信号を受信すると、計測量受信部91から出力される計測量に基づき、制御対象プロセスが定常状態であるか否かを判定する。制御対象プロセスが定常状態であるかを判定する方法は限定されるものではないが、例えば、(2)式及び(3)式を用いて判定する。
定常状態判定部1013は、制御対象プロセスが定常状態にあると判定した場合、操作量算出部1011によるアクチュエータ20のフィードバック制御を継続させる。また、定常状態判定部1013は、制御対象プロセスが定常状態にないと判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を操作量算出部1011へ出力する。
操作量算出部1011は、外部から供給される制御目標値と、計測量受信部91から供給される計測量とを受け取る。操作量算出部1011は、計測量を受け取ると、受け取った計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20を駆動させる操作量を演算する。操作量算出部1011は、求めた操作量を判定部1012及び操作量送信部94へ出力する。また、操作量算出部1011は、定常状態判定部1013から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
これにより、制御装置100は、制御対象プロセスが定常状態にある場合は、最大許容制御周期を逸脱する制御周期が計測されても、アクチュエータ20のフィードバック制御を継続することが可能となる。
また、第2の実施形態に係る制御システムは、判定部932が最大許容制御周期を予め記憶し、算出される操作量から求められる制御周期と、最大許容制御周期とを比較する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図11に示す制御装置110を備えていてもよい。すなわち、制御装置110は、計測量受信部91、計時部92、演算部113及び操作量送信部94を備える。
演算部113は、操作量算出部931、制御周期算出部1131及び判定部1132を備える。
制御周期算出部1131は、計測量として許容できる上下限値を予め記憶する。制御周期算出部1131は、予め設定した期間に、計測量受信部91から出力される計測量を参照し、計測量の動向を示す値として外挿値を算出する。制御周期算出部1131は、外挿値を算出すると、外挿値が上下限値に至るまでの時間を算出する。制御周期算出部1131は、算出した時間を第2の最大許容制御周期とする。制御周期算出部1131は、算出した第2の最大許容制御周期を判定部1132へ出力する。
判定部1132は、操作量算出部931から出力される操作量を受信すると、計時部92から供給される時刻情報と、前回受信した操作量に付与されている時刻情報とを比較し、制御周期を算出する。
また、判定部1132は、制御周期算出部1131で算出された第2の最大許容制御周期が、予め記憶する最大許容制御周期以上であるか判断し、以上である場合、操作量算出部931から出力される操作量から求められる制御周期が、最大許容制御周期でなく、第2の最大許容制御周期を逸脱していないか判定する。制御周期が第2の最大許容制御周期を逸脱すると判定した場合、判定部1132は、警報を発報すると共に、停止信号を操作量算出部931へ出力する。
第2の最大許容制御周期が最大許容制御周期未満である場合、判定部1132は、算出した制御周期が、最大許容制御周期を逸脱していないか判定する。判定部1132は、制御周期が最大許容制御周期を逸脱すると判定した場合、警報を発報すると共に、停止信号を操作量算出部931へ出力する。
これにより、制御装置110は、最大許容制御周期を逸脱する前に計測量が上下限値を超えるおそれがある場合には、パケットロスにより計測量を受信しなくても、アクチュエータ20のフィードバック制御を停止することが可能となる。
また、第2の実施形態に係る制御システムでは、計測装置30から送信される計測量に時刻情報が含まれない場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御システムは、図12に示す制御装置120、アクチュエータ20−1,20−2及び計測装置80を備えていてもよい。なお、計測装置80は、図8に示す計測装置80と同様の動作をする。
制御装置120は、計測量受信部121、計時部92、演算部122及び操作量送信部94を備える。
計測量受信部121は、受信時刻付与部1211及び受信処理部1212を備える。
受信時刻付与部1211は、受信処理部1212で計測量が受信されると、計時部92から供給される時刻情報を受信処理部1212へ出力する。
受信処理部1212は、ネットワークを介し、計測装置80から送信される計測量を受信する。受信処理部1212は、計測量を受信すると、計測量に付与されている送信時の時刻情報と、受信時刻付与部1211から出力された時刻情報とを比較し、ネットワークにより計測量を送信する際の所要時間を算出する。受信処理部1212は、所要時間が予め設定する許容所要時間を超えるか否かを判定する。所要時間が予め設定した許容所要時間を超える場合、受信処理部1212は、フラグ付与信号を作成し、作成したフラグ付与信号を演算部122へ出力する。
演算部122は、操作量算出部1221、判定部932及びフラグ付与部1222を備える。
操作量算出部1221は、外部から供給される制御目標値と、計測量受信部121から供給される計測量とを受け取る。操作量算出部1221は、計測量を受け取ると、受け取った計測量及び制御目標値に基づき、アクチュエータ20−1,20−2を駆動させる操作量を演算する。操作量算出部1221は、算出した操作量を判定部932及びフラグ付与部1222へ出力する。
また、操作量算出部1221は、判定部932から停止信号が出力されると、演算処理を停止する。
フラグ付与部1222は、アクチュエータ20−1,20−2に対して予め設定された優先度を記憶している。フラグ付与部1222は、計測量受信部121から出力されるフラグ付与信号を受信すると、アクチュエータ20−1,20−2のうち、優先度が高いアクチュエータが送信先として指定される操作量に優先度フラグを付与する。フラグ付与部1222は、優先度フラグを付与した操作量及び付与していない操作量を操作量送信部94へ出力する。
このとき、ネットワークは、優先度フラグが付与されたデータパケットを優先的にアクチュエータへ送信するプロトコルを備える。
以上のように、フラグ付与部1222は、ネットワークが混雑している場合、優先度の高いアクチュエータを対象とする操作量に優先度フラグを付与し、データパケットが優先的にアクチュエータへ到達させるようにしている。パケットロス率は、通信環境である通信スペック及び/又はルータ等の周囲環境に依存するが、本実施形態に係る制御装置120は、優先的に送信させるデータパケットに優先度フラグを付けることで、パケットロス率の抑制を行う。すなわち、必要最低限の操作量については、ネットワーク上でのパケットロスを極力発生しないようにすることが可能となる。
また、上記第2の実施形態では、判定部932,1012,1132は制御周期が最大許容制御周期を逸脱する場合、警報を発報すると共に、停止信号を操作量算出部へ出力する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、判定部932,1012,1132は制御周期が最大許容制御周期を逸脱する場合、「緊急停止」、「異常発報」、「待機」又は「信号を外挿して継続」等を操作量算出部に対して指示する指示信号を出力するようにしても構わない。
(その他の実施形態)
なお、上記第1及び第2の第1の実施形態に係るでは、操作量送信部15,94は、優先度フラグが付与されていないデータパケットについてもネットワークへ送信する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、操作量送信部15,94は、優先度フラグが付与されていないデータパケットを送信しないようにしても構わない。これにより、ネットワークの通信負荷を低減してパケットロスを抑制することが可能となる。
また、上記第1及び第2の実施形態では、優先度の低いアクチュエータへ送信する操作量については、優先度フラグが付与されずにネットワークへ送信される場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、制御装置は、優先順位の低いデータパケットについて、一定の割合で少しだけでもアクチュエータへ到達するように、データパケットに対して処理を施してもよい。例えば、フラグ付与部722,1222は、所定の周期で優先順位の低いデータパケットについても、優先度フラグを付与するようにしてもよい。また、操作量送信部15,94は、所定の周期で優先度フラグが付与されていないデータパケットに対して重み付けをして、データパケットを送信するようにしてもよい。これにより、ネットワークが混雑した状況で優先度の高いデータパケットだけが流れる状況が続くことで、優先度の低いデータパケットは全く処理されず、制御対象プロセス以外の通信が実施できない状況を避けることが可能となる。
また、上記第1及び第2の実施形態に係る制御システムでは、1個の計測装置を対象とした場合を例に説明した。しかしながら、これに限定される訳ではない。例えば、判定部13では、複数の計測装置に対して優先順位が予め設定されており、最大許容サンプリング周期以上の時間、データパケットが未到達であった場合には、計測量を送信した計測装置の優先順位が高い順にその後の処理として、「緊急停止」、「異常発報」、「待機」又は「信号を外挿して継続」等を選択するようにしても構わない。また、判定部932では、複数の計測装置に対して優先順位が予め設定されており、最大許容制御周期以上の時間、操作量が算出されない場合には、計測量を送信した計測装置の優先順位が高い順にその後の処理として、「緊急停止」、「異常発報」、「待機」又は「信号を外挿して継続」等を選択するようにしても構わない。
また、上記第1及び第2の実施形態に係る制御システムで実行される制御プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されるようにしても構わない。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10,10−1,10−2,40,50,60,70,90,100,110,120…制御装置、11,61,71,91,121…計測量送信部、111,1211…受信時刻付与部、112,611,711,911,1212…受信処理部、12,82…計時部、13,41,52,932,1012,1132…判定部、14,42,62,72,93,101,113,122…演算部、15,94…操作量送信部、20,20−1,20−2…アクチュエータ、21…操作量受信部、22…駆動部、30−1,30−2…計測装置、31…計測部、32…計測量送信部、43,1013…定常状態判定部、51…サンプリング周期算出部、621…周期修正部、622,721,931,1011,1221…操作量算出部、722,1222…フラグ付与部、81…計測量送信部、811…送信時刻付与部、812…送信処理部、1131…制御周期算出部

Claims (11)

  1. ネットワークを介して第1のパケットとして供給される操作量を受信し、前記受信した操作量に従って制御対象プロセスにおける所定の動作を実行する駆動装置と、
    前記制御対象プロセスの状態を計測し、計測結果を第2のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する計測装置と、
    前記ネットワークを介して前記駆動装置及び前記計測装置と接続する制御装置であって、
    前記ネットワークを介して前記第2のパケットを受信し、前記第2のパケットの受信間隔に基づいてサンプリング周期を算出する受信部と、
    前記サンプリング周期が、予め設定される最大許容サンプリング周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したと判定する判定部と、
    前記異常が発生したと判定されない場合、前記第2のパケットに含まれる計測結果と、前記駆動装置に対して設定される制御目標とに基づいて前記操作量を生成し、前記異常が発生したと判定される場合、前記操作量の生成を抑制する演算部と、
    前記生成された操作量を前記第1のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する送信部と
    を備える前記制御装置と
    を具備する制御システム。
  2. 前記制御装置は、
    直前に受信される複数の第2のパケットに含まれる計測結果を参照し、前記制御対象プロセスの状態が定常状態であるか否かを判定する定常状態判定部をさらに備え、
    前記演算部は、前記判定部で異常が発生したと判定され、かつ、前記定常状態判定部で定常状態でないと判定される場合、前記操作量の生成を抑制する請求項1記載の制御システム。
  3. 前記制御装置は、
    直前に受信される複数の第2のパケットに含まれる計測結果を参照し、計測結果が予め設定される上下限値に達するまでの時間を第2の最大許容サンプリング周期として算出するサンプリング周期算出部をさらに備え、
    前記判定部は、前記第2の最大許容サンプリング周期が前記最大許容サンプリング周期よりも長い場合、前記最大許容サンプリング周期の代わりに前記第2の最大許容サンプリング周期を用い、前記サンプリング周期が、前記第2の最大許容サンプリング周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したと判定する請求項1又は2記載の制御システム。
  4. 前記演算部は、前記サンプリング周期に従って前記操作量を生成する請求項1乃至3のいずれかに記載の制御システム。
  5. 前記駆動装置が複数存在し、
    前記計測装置は、前記第2のパケットに、前記第2のパケットを送信する送信時刻を付与し、
    前記受信部は、前記第2のパケットの送信時刻と、前記第2のパケットの受信時刻との差から前記ネットワークにより前記第2のパケットを送信する際の所要時間を算出し、前記所要時間が予め設定する許容所要時間を超える場合、フラグ付与信号を生成し、
    前記演算部は、前記異常が発生したと判定されず、かつ、前記フラグ付与信号が生成される場合、前記複数の駆動装置の優先順位を参照し、前記優先順位の高い駆動装置に対する操作量に、この操作量を優先して伝送させるための優先度フラグを付与する請求項1乃至4のいずれかに記載の制御システム。
  6. ネットワークを介して第1のパケットとして供給される操作量を受信し、前記受信した操作量に従って制御対象プロセスにおける所定の動作を実行する駆動装置と、
    前記制御対象プロセスの状態を計測し、計測結果を第2のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する計測装置と、
    前記ネットワークを介して前記駆動装置及び前記計測装置と接続する制御装置であって、
    前記ネットワークを介して前記第2のパケットを受信する受信部と、
    前記第2のパケットに含まれる計測結果と、前記駆動装置に対して設定される制御目標とに基づいて前記操作量を生成する操作量算出部と、
    前記操作量が生成される間隔に基づいて制御周期を算出し、前記制御周期が、予め設定される最大許容制御周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したとして前記操作量算出部における前記操作量の生成を抑制する判定部と、
    前記生成された操作量を前記第1のパケットに変換して前記ネットワークへ出力する送信部と
    を備える前記制御装置と
    を具備する制御システム。
  7. 前記制御装置は、
    直前に受信される複数の第2のパケットに含まれる計測結果を参照し、前記制御対象プロセスの状態が定常状態であるか否かを判定する定常状態判定部をさらに備え、
    前記操作量算出部は、前記判定部で異常が発生したと判定され、かつ、前記定常状態判定部で定常状態でないと判定される場合、前記操作量の生成を抑制する請求項6記載の制御システム。
  8. 前記制御装置は、
    直前に受信される複数の第2のパケットに含まれる計測結果を参照し、計測結果が予め設定される上下限値に達するまでの時間を第2の最大許容制御周期として算出する制御周期算出部をさらに備え、
    前記判定部は、前記第2の最大許容制御周期が前記最大許容制御周期よりも長い場合、前記最大許容制御周期の代わりに前記第2の最大許容制御周期を用い、前記制御周期が、前記第2の最大許容制御周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したとして前記操作量算出部における前記操作量の生成を抑制する請求項6又は7に記載の制御システム。
  9. 前記駆動装置が複数存在し、
    前記計測装置は、前記第2のパケットに、前記第2のパケットを送信する送信時刻を付与し、
    前記受信部は、前記第2のパケットの送信時刻と、前記第2のパケットの受信時刻との差から前記ネットワークにより前記第2のパケットを送信する際の所要時間を算出し、前記所要時間が予め設定する許容所要時間を超える場合、フラグ付与信号を生成し、
    前記制御装置は、
    前記フラグ付与信号が生成される場合、前記複数の駆動装置の優先順位を参照し、前記操作量算出部で生成される操作量のうち、前記優先順位の高い駆動装置に対する操作量に、この操作量を優先して伝送させるための優先度フラグを付与するフラグ付与部をさらに備える請求項6乃至8のいずれかに記載の制御システム。
  10. 制御対象プロセスにおける所定の動作を実行する駆動装置と、前記制御対象プロセスの状態を計測する計測装置と、ネットワークを介して接続する制御装置で使用される制御プログラムであって、
    前記ネットワークを介して前記計測装置から計測結果を含む第1のパケットを受信し、前記第1のパケットの受信間隔に基づいてサンプリング周期を算出する処理と、
    前記サンプリング周期が、予め設定される最大許容サンプリング周期を超えるか否かを判定し、超える場合、異常が発生したと判定する処理と、
    前記異常が発生したと判定されない場合、前記計測結果と、前記駆動装置に対して設定される制御目標とに基づいて操作量を生成する処理と、
    前記異常が発生したと判定される場合、前記操作量の生成を抑制する処理と、
    前記生成された操作量を第2のパケットに変換し、前記ネットワークを介して前記駆動装置へ出力する処理と
    を前記制御装置のコンピュータに実行させる制御プログラム。
  11. 制御対象プロセスにおける所定の動作を実行する駆動装置と、前記制御対象プロセスの状態を計測する計測装置と、ネットワークを介して接続する制御装置で使用される制御プログラムであって、
    前記ネットワークを介して前記計測装置から計測結果を含む第1のパケットを受信する処理と、
    前記計測結果と、前記駆動装置に対して設定される制御目標とに基づいて操作量を生成する処理と、
    前記操作量を生成する間隔に基づいて制御周期を算出する処理と、
    前記制御周期が、予め設定される最大許容制御周期を超えるか否かを判定し、超える場合、前記操作量の生成を抑制する処理と、
    前記生成された操作量を第2のパケットに変換し、前記ネットワークを介して前記駆動装置へ出力する処理と
    を前記制御装置のコンピュータに実行させる制御プログラム。
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