JP5948554B1 - 建築物件の法規順守チェックを支援するシステムおよびプログラム。 - Google Patents

建築物件の法規順守チェックを支援するシステムおよびプログラム。 Download PDF

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Abstract

【課題】 法規の順守条件や順守事項に関するチェック作業の正確性を保ちつつ作業効率を向上させること。チェック者ごとのチェック結果ばらつきを最小化すること。【解決手段】 建築物件の情報を取り込む手段と、建築法規の文章を順守事項命題(N命題)、および、該順守事項命題が免除される免除条件命題(C命題)からなる命題群に単純化して記憶する法規データベースを有するシステムで、物件情報にもとづいて、法規データベースから、物件に対応したN命題とC命題を引用し、それぞれの命題の真をチェックするチェックボックス欄とともに、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の数だけ表示して、利用者が単純化命題を逐次チェックするようにした。【選択図】 図8

Description

本発明は、建築物件が建築基準法など法律や基準等の関連法規を順守しているかどうかをチェックする作業を支援するコンピュータ技術である。
法規の順守チェックは、あらゆる業界で扱われる商品やビジネスに関わる法律や基準等に対して行われる一般的なものである。
たとえば、建築業界では、建築確認検査や住宅性能評価などで規制の順守チェックが行われる。ここで、建築確認検査は、建築物を建設、使用する際に建築基準法で定められた審査であり、住宅性能評価は、住宅の品質確保の促進等に関する法律で定められた住宅の性能表示に関するもので、管轄官庁等へ確認検査済の申請を要する。
こういった検査や評価の実務において、法律や基準等で定められた規制が順守されているのかのチェック作業が行われる。そのチェック作業は、技術や法律等に詳しい専門技能を要する人材が行う高度な作業である。
そのため、チェックに要する時間と費用がかさむので改善が望まれていた。すなわち、高度で専門技能を要する規制の順守チェック作業にて、正確性を保ちながら迅速に、かつ、だれでもできるようチェック作業を容易化すること、ルーチン作業を自動化することが望まれていた。
かかるニーズに対して、いくつかの技術が提案されている。本発明に関連する公知技術を、主に建築分野に絞って以下のように調査した。
特許庁データベース(IPDL)にて、例示される以下のキーワード群の積集合を請求項にもつ公開特許、登録特許を検索した。第一キーワード群「法律 法規 規則 規制」など、第二キーワード「チェック」「順守」「申請」「確認」など、第三キーワード「建築」「建物」「建造」「設計」など、である。
この検索調査により、以下の参考1〜12の特許が抽出された。すなわち:
参考1 特開平10−320430号公報(松下電工)
参考2 特開2001−014363号公報(エー・アイ ソフト)
参考3 特開2001−147946号公報(大和ハウス工業)
参考4 特開2002−163302号公報(アルファプライム・・)
参考5 欠番
参考6 特許第4889964号公報(エーケー)
参考7 特許第3055856号公報(戸田建設)
参考8 特許第3430430号公報(松下電工)
参考9 特許第2987071号公報(システムスーパーソフトウェア)
参考10 特許第5405263号公報(_住金システム建築)
参考11 特許第4905247号公報(日立製作所)
これらを概説すると:
参考1には、[請求項3][0013]に法規に適合するか否を判断する法規チェック手段が記載されている。
参考2には、[請求項1]に建築条件および規制情報から、前記建物についての建築制限の情報を算出する機能・・、[0008]に・・法的な規制についての建築制限の境界域を示す絵図が、その建物図についての表示に重ねて自動的に表示されるとある。
参考3には、[0015]に・・建築に関する法規に適合するか否かを、建物を示す図と法規適合有無の表示とを併記した画面として、前記表示装置の画面に表示する法規チェック手段が示されている。
参考4には、[請求項6]に・・住宅建築関連法規に関するデータを保存する法規記録手段と・・法規手段に記録された法規データに基づき、法規適合評価を行う法規チェック手段・・が示されている。
しかし、参考1〜4に示された法規チェック手段は不明確で、実現性と実用性に疑問がある。
参考6は、[請求項1]に・・記憶手段・・演算手段・・表示手段とを備え、記憶手段は、法律、政令、省令、条例、・・から選択される規則を表わす文、文章を構成する要素となる複数の主語、直接目的語及び間接目的語を含む複数の目的語及び活用形語尾を含む動詞の複数の述語並びに・・を記憶情報として記憶するルールデータベースを開示している。
参考7は、[請求項1]に・・建物の階と・・各階毎の基準線と、該基準線を基準とした部材の数量、位置、立体的形状との夫々を定義した3次元データで構成され、該基準線を基準とした部材のうち柱と梁と壁の位置表現は、基準線を基準として・・した位置表現で行うようにしたシステムを開示している。
参考8は、[請求項1]に・・ディスプレイの画面上に建物の平面図を表示させ、・・の範囲の面積及び一辺の長さについての法規情報を読み出し、この法規情報と、上記自動設計機能部で計算された警戒区域の面積及び一辺の長さとを比較して当該法規に適合するか否かを判断する法規チェック機能部とを備えたCAD装置を開示している。
参考9は、[請求項1]に・・確認申請書に記載する情報のうちどの情報として使用できるかの識別子を付加する図面情報入力部と、・・図面情報記憶部とを備え、・・付加された識別子に基づいて抽出する申請情報抽出部と、・・該申請情報記憶部により記憶された申請情報を建築確認申請書の所定欄に当嵌めて出力するシステムを開示している。
参考10は、[請求項1]に・・建築物の建設または販売に必要な複数の申請書類の書式を書式データとして保存しておくための書式データ記憶手段と、・・前記書式データ記憶手段に保存されている書式データを抽出し、・・データの中から必要なデータを抽出し、前記書式データの空白領域に埋め込んで申請書類を作成するシステムを開示している。
参考11は、[請求項1]に・・法規制や規格などの条文を、その文章の章節などを用いて、複数の階層のカテゴリーに分けて記憶するデータ項目、・・規制・法律データベース、・・を備えた法令順守支援システムを開示している。
一方、特許文献1と特許文献2、および、公開情報として非特許文献1が周知である。
特許文献1は、建築基準法における単体規定の判定を行う規定文章の変換処理として、主語に対する係り元をA、前記主語と当該主語が係る述語にて形成される文章をCxとした場合、式(1)を当該主語についての基本式として条件式を作成する技術を開示している。(¬A ∨ Cx …(1)、ただし、¬:論理演算における否定、∨:論理和。)
そして、特許文献1の図6〜図8に、建築基準法における単体規定を一部変更したものを例文とした実施形態について図示された解析結果のツリー表示図、並びに、変換処理における主語S、適用条件A、適合条件Cxの適用結果を示した図が開示されている。
すなわち、特許文献1は、建築物の建築基準をチェックするシステムにおいて、建築物のCAD情報と照合することによって建築基準を満たすか否かを判定するために、テキスト情報で構成された建築基準文書を解析し、建築基準の単体規定の基本条件式及び基本条件式の組合せの条件式を生成する方法を開示している。
特許文献2には、チェック項目をリスト化し、当該リストに基づいて各項目をチェックする際に、既にチェックした項目と同じ項目には、チェック済みであることが認識できるように表示する方法が記載されている。
非特許文献1には、建築法規を記憶する法規データベースを備え、建築物件情報を受け付けると、当該建築物件を構成する個々の部位ごとに遵守すべき建築法規を抽出し、建築物件を構成する個々の部位、及び、遵守すべき法規を階層的にリストアップして表示する建築法規自動チェックシステムが記載されている(特に、第12頁、第15−18頁、第22−25頁)。
非特許文献1には、さらに、法規リストを折りたたみ・展開可能なツリー形式で表示し、チェック項目をチェックし得る表示方法も記載されている(例えば、第15頁の「e-PlanCheck:チェック項目選択」の図、第18頁の「e-PlanCheck:チェック結果表示例」の図、第22頁の「BYGGSOKプロジェクトの建築法規チェック」のツリービュワーの図、第25頁の「米国連邦調達庁GCAの空間チェック」の図)。
特開2012−038055号公報(清水建設) 特開2009−086959号公報(日本デジタル研)
安達嘉信、シンガポール自動建築法規チェックシステム(e-PlanCheck)調査報告、[online]、2007年5月11日、一般社団法人IAI日本、<URL: http://www.building-smart.jp/download/files/seminar2007_0511_2.pdf>
建築物件の法規順守チェックを支援する技術にて、従来技術の欠陥を補完することを課題とした。
というのは:
参考1〜4に示された法規チェック手段は概念として提案されてはいるが、実体を伴わず、実現できる技術に至っていない。すなわち、法規チェックをいかなる構成でどういった機序で機能させるのかを示していない。
そして、参考6もまた、法規の文章を整理してデータベース化することのみに限られている。ともに規制順守のチェック作業の容易化ないしは自動チェック化をいかなる構成でどういった機序で実現させるのかについては全く示されていない。
また、参考7、8は、基準線の実長入力で全データの実長をシステム内に共有化して、長さや面積に限定される法規チェックする技術を記載しているが、長さや面積以外に関与する法規のチェックに適応できるものではない。
同様に、参考9、10も、建築関係の申請書の自動作成システムを開示しているが、法規チェックと組み合わせた包括的なものを示していない。
一方、参考11は、法規の集約ルールを決め、上位階層の状況に集約してチェックする仕組みを示しているが、これは製造者が製品に対してなす法規チェックであって、建築物件の階層構造に特化した条件にてチェックすることに援用できる技術とは言えない。
また、特許文献1、特許文献2、非特許文献1にも、後述する本発明の特徴(「甲・乙」)を示唆する記載はなく改善の余地があった。(本明細書段落番号[0080]以降参照)
本発明の課題は、建築物件が法規により順守すべき事項を満たしているか、または、その法規の順守免除条件に適合しているか、をたやすくチェックできる支援システムの提供である。すなわち、法規の個々の規定について順守事項と免除条件を簡素化して表示し、チェック作業をだれでもできるように、かつ、チェック結果の正確性を保ちつつ作業効率を向上させることを課題とする。
本発明のシステムの構成要素は、「対象建築物件の情報入力手段」「法規のデータベース」「関連する法規を引用して表示する手段」である。データベースに記憶させたデータ形式と関連法規をどのように表示するかに特徴がある。これら特徴について説明する。
建築物件の仕様は、建築物の階層的部位にて表わされる。ここで、建築物の階層的部位とは、たとえば「建物」→「階」→「室」・・という階層にあるそれぞれの部位(建物・階・室・・)であり、それぞれ「棟1、棟2・・」、「階1、階2・・」、「室1、室2」と複数でもよく、階層状、ないしは、ツリー状に表わすことができる(図9(a)参照)。
物件ごとに階層的部位の個数と名称が決められる。たとえば、階層的部位の名称は、「A棟、B棟・・」、「1F、2F・・」、「11号室、12号室・・」であって、個数は、棟数=3、階数=3、室数=3などである(図9(b)参照)。本システムの利用者は、物件情報入力手段を通じてこれら個数と名称を、物件情報として入力する(図9(c)参照)。
一方、建築基準法などの建築法規は、ある条件下での順守事項を記述した「規定」の文の集合であって、個々の規定に対する適否は「真偽を問える」ので、法規は「命題」の集合と言える。
それらの命題は、論理積(「AND」または「∧」)、論理和(「OR」または「∨」)や、場合分け、数値上限、数値下限、数値範囲(それぞれ、「<」「>」または「≦」「≧」のひとつ、または、これらの組合せ)を含むものである。[簡単のため図面では論理積を「●」、論理和を「○」で示す。]
法規のチェックとは、すべての規定(規定「X」、規定「Y」、規定「Z」・・)の命題群が、論理積(「●」)としてクリアされることである(図1(a)参照)。
個々の規定は、「もし〜ならば」という「規制の条件」と、「〜でなければならない」という「順守すべき事項」のふたつの要素に分類できる。規定の文には「ただし〜は除外する」という記述もあるが、これも「規制の条件」である。
「規制の条件」と「順守すべき事項」は、当然ながらともに真偽を判定できるので命題である。
ここで、「もし〜ならば」という「順守の条件」を条件が免除される否定の条件と書き換え、かつ、「ただし〜は除外する」も免除される条件として加えれば、ひとつの規定の文は、「順守免除条件」の命題と、「順守事項」の命題に置き換え可能と考えられる。
すなわち、法規データベースとして、建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換して、その命題群を記憶する。
法規チェックをこの置換した命題群を利用して行うのである。つまり、対象が免除条件命題(C命題)のいずれかにあてはまる、あるいは、対象が順守事項命題(N命題)にあてはまる、の命題のどれかの真を判定するために、それらを構成するいくつかの単純な命題の真偽をチェックする、という簡潔な作業の繰り返しとして容易化した。
これは、『命題Aならば命題Cxである(A⇒Cx)』が、『命題Aの否定と命題Cxの論理和(¬A ∨ Cx)』と同値である、という論理原則を利用している。
さらに、上記の「順守免除条件」の命題と「順守事項」の命題は、それらを分析すれば、より単純な、建築物の階層的部位に関する「要素命題」から成る論理式 (「要素命題」の論理積、論理和、さらにその結果の論理積や論理和など) として構成することもできる。
「要素命題」は、これ以上細かく分割できない命題であって、一般的な事実について簡素に記述したもので、建築法規に関する知識を用いなくても容易に真偽を判定しうるものである。
すなわち、法規データベースとして、建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換して、さらに、順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)とを、それらを構成する要素命題および該要素命題を被演算子とする論理演算からなる命題データ群に置換して記憶する、としてもよい。
要素命題まで文章をブレークダウンすると、真偽判定がさらに容易にできるようになる。利用者が複雑な規定の文章を読み解くこともなく、単純な要素命題のチェックの繰り返しで複雑な規定のチェック作業が完遂できる。
利用者への命題表示は、順守事項命題(N命題)または免除条件命題(C命題)そのものを表示するとともに、それらを構成する要素命題にブレークダウンして展開させた表示をしたり、折りたたんで元に戻したりできるようにするのが好適である(図16参照)。
折りたたみ表示と展開表示とを利用者の選択に応じて可逆的に表示することで、利用者が注目したい命題は内容を展開表示し、チェック完了したものは折りたたんでコンパクトにする、という利便性が得られる。
簡単のため以下の説明は、要素命題にブレークダウンする前の順守事項命題(N命題)、免除条件命題(C命題)で説明する。
たとえば(図1(b)(c)参照)、規定「X」が、「C1ではない」というひとつの免除条件命題(C命題)と、「Nである」という順守事項命題(N命題)からなるものなら、チェック作業は、「C1ではない」命題、あるいは、「Nである」命題、のいずれか(論理和「○」)が真であることをチェックすればよい。
複雑な規定例として(図1(d)参照)、規定「Y」が、「C1、または、C2、または、C3ではない」という一つ以上の免除条件命題(C命題)と、「Nである」という順守事項命題(N命題)との組合せで、さらに、「C3ではない」が、「C3の1号、C3の2号、C3の3号、のいずれでもない」、そして、「C3の1号ではない」が、「C311からC316のいずれでもない」、および、「C3の3号ではない」が、「C331、または、C332ではない」という例でも、図1(d)のように表示されたチェックリストでチェックを行えばよい。[ 図1(d)は「C3ではない」で「Y」をクリアしている ]
ここで図1(d)は、図3に示す建築基準法24条の命題群を代数的に示したものである。図1(d)と対応して図3を見れば規定の文章と単純化命題によるチェック作業との関係を理解できるだろう。なお、図3は、『「木造建築物等」ではない」』という免除条件命題(C命題)が真であることで建築基準法24条のクリアをチェックしたことを例示している。
このように規定の文章に任意の論理積、論理和の複雑な組合せがあっても、その論理演算が法規データベースに記憶されていて、それを命題とともに引用し、論理を分解して表示するので、利用者は単純な要素命題を逐次チェックすればよいので、利用者のチェック作業が容易かつ効率的に行える。
規定の文章には、場合分け、および、階層的部位に関する空間的形状(長さや面積)に関する数量、収容人数、日照時間、仕上材の性能数値などと、それらの数値上限や数値下限や数値範囲を含んだものがあるが、これらも法規データベースに命題として記憶させることができる。
具体的に、場合分け、と数量の命題(数値命題)を含むものを図4に例示する。これは、建築基準法129条4のチェックのために作成したものである。(建築基準法129条4の本文は略す)
利用者が入力する建築物件の情報によって、法規データベースから、当該建築物件に関連する法規を、建築物件の階層的部位の命題を引用し、チェックボックス欄とともに建築物件の階層的部位の個数だけ表示する。かかる引用表示機能を担うものをチェックリスト表示手段と呼ぶことにする。
チェックリスト表示手段の表示が、建築物件の階層的部位の個数だけ繰り返し重複してなされることが重要である。この繰り返し表示を図10に例示する。図10は、利用者が入力手段で入力した建築物件の個数と名称を含む建築物件の情報(図9(c)参照)と対応している。
建築法規の文章にある順守条件が、異なった階層的部位の条件に跨がる論理演算である場合が多いので、それに応じた表示が必要となる。論理演算が、論理和(「OR」)であれば、論理和対象の命題ごとに個別に分離して表示すればよいが、論理積(「AND」であるときに、個々の論理積対象の命題の階層的部位の位置(距離)によって、チェックリストの表示パターンが異なるものになるので注意が必要である。
しかし、それらのパターンの違いは個々の論理積対象の命題の階層的部位の位置(距離)によって一義的に決まるので、その表示パターンをチェックリスト表示手段が記憶しておき、その記憶によって適宜表示パターンを呼び出して表示するか、「演算テーブル(後述)」を用いたソフトウェア(プログラム)で論理的に表示ロジックを記述して表示制御してもよい。
表示パターンは、『Pである建物の、Qである階の、Rである室はZでなければならない』、『Pである建物の、Qである階の(すべての)室はYでなければならない』、『Pである建物の(すべての)室はXでなければならない』の3つの典型例に代表される。
典型例1(図11参照)の、『Pである建物の、Qである階の、Rである室はZでなければならない』にては、最上行が、「建物がPでない」の免除条件命題(C命題)、次の行が、「階はQでない」の免除条件命題(C命題)、その次の行から「室はRでない」免除条件命題(C命題)と「室はZである」順守事項命題(N命題)との組合せ表示行が階にある室の個数だけ繰り返される。
典型例2(図12参照)の、『Pである建物の、Qである階の(すべての)室はYでなければならない』にては、最上行が、「建物がPでない」の免除条件命題(C命題)、次の行から、「階はQでない」の免除条件命題(C命題)と「室はYである」の順守事項命題(N命題)が階ごとに各階にある室の個数だけ繰り返される。
典型例3(図13参照)の、『Pである建物の(すべての)室はXでなければならない』にては、最上行に、「建物がPでない」の免除条件命題(C命題)、次の行から、「室はZである」の順守事項命題(N命題)の行だけが室の個数だけ繰り返される。
その他のものも、これら典型例の応用であるので図示例に準拠して適宜表示を行えばよい。
利用者は入力した建築物件について順次表示される順守事項命題(N命題)、免除条件命題(C命題)を、上から下に並ぶ項目ごとに、その右方に表示されたチェックボックス欄にチェックしていく作業を行う。その作業は単純化されたもので、かつまた、視線の動きに無理がなく人間工学的にミス発生を極力抑制することができる。
すなわち行列状のチェックシートが表示されるのがよい。その行列は、行方向には、一つ以上の免除条件命題(C命題)の一つ以上の行、その行の下方に順守事項命題(N命題)行が配置される。複数のC命題の行とその下方にN命題という組合せが、建築法規の規定ごと、建築物件の階層的部位とその個数だけ配置される。
行列の、列方向には、命題の論理演算を示すマークの列、その右方にC命題とN命題の表示列、その右方に命題の主語である「建物」「階」「室」という建築物の階層、または、「A棟、B棟・・」、「1階(1F)、2階(2F)・・」、「11号室、12号室・・」といった物件の階層的部位の呼称の表示列、さらにその右方にチェックボックス欄の表示列を配置する、という配列が好ましい行列表示として例示できる。
図5(a)が、法規データベースの、建築基準法129条6に対応した命題群を示す。図中の1が免除条件命題(C命題)、図中の2が順守事項命題(N命題)、図中の3が建築物の階層的部位である。
そして図5(b)が、入力された「3階で301や201等の室名をもつ建築物件例(物件詳細略)」について、図5(a)の建築基準法129条6のデータにもとづいて表示した部分を例示したものである。図中の4が建築物件の階層的部位の名称、図中の5が命題のチェックボックス欄である。
図5(b)で、命題の論理演算を示すマークの列の論理積(●)は「∧」、論理和(○)は「∨」と表示している。これら記号(∧, ∨)の左方の一部にある、「+」は、表示されている命題に関連する他の命題が隠されていることを示しており、「+」をクリックすると、その関連する命題を表示し、最終的に要素命題にまでブレークダウンして展開された表示がなされる。
一方「−」表示があるものは、要素命題まで既に展開されていることを示していて、「−」をクリックすると、要素命題が折りたたまれ、上位の代表命題が「+」とともに表示される。
ここで、『・・クリックすると・・』とは、利用者のクリックという選択操作である。
また、ここで、「代表命題」とは、複数の要素命題をまとめた任意の命題群(命題の組み合わせたセット)をいうものである。
なお、図5(b)と図7の代表命題のチェックボックス欄には、すべてチェックマーク(ハネ印)が示されている。
これは、例示した代表命題が、下位の命題を含めて満たされている場合で、当然ながら、下位の命題が満たされていなければ、上位の代表命題のチェックマーク(ハネ印)は表示されない。
本発明では、要素命題とそれを被演算子とする論理演算を引用しているので、代表命題に含まれる要素命題の真偽と論理演算から該代表命題の真偽を演算し、それを該代表命題の真偽チェックマーク(ハネ印)の有無に反映させることは容易である。
このような機能があると、システム利用者が注目している命題だけを限られた表示スペースに表示できるので便利である。この機能は、Microsoft社のWindows(登録商標)におけるfile folder内のfile表示機能と同様であって、これに類する従来のsoftware技術の援用で容易に実現できる。
図16、図17に「+」→「−」による要素命題への展開表示を模式的に示す。図16は、C命題がその要素命題c1、要素命題c2・・へ、N命題がその要素命題n1、要素命題n2・・へ展開表示されることを示す。(「−」→「+」で元に折りたたまれる)
図17は、規定条文の上位の命題が、下位の命題群に展開表示され、さらに下位の命題群がそのC命題とN命題の要素命題である「要素命題c1、要素命題n1」、「要素命題c2、要素命題n2」・・へ展開表示されることを示す。(「−」→「+」で元に折りたたまれる)
後者の具体例は、図5(b)の「F3階について」で、「火気使用室の壁天井が準不燃」という下位の命題が、「火気使用室でない」というC命題の要素命題と、「壁と天井準不燃」というN命題の要素命題に展開表示されている。その一方、図5(b)のその他の「+」表示のある行では、これらの要素命題の表示が折りたたまれている。
以上のように本発明は(図8参照)、建築物件情報を入力する物件情報入力手段と、建築法規を命題群として記憶する法規データベースと、建築物件の法規順守チェックに必要なチェックリストを表示するチェックリスト表示手段を具備した、建築物件の法規順守チェックを支援するシステムであって、物件情報入力手段で入力される物件情報が、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含み、法規データベースが、建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換してなる命題群として記憶したものであり、チェックリスト表示手段が、前記物件情報入力手段で入力された物件情報にもとづいて、前記法規データベースから、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を引用し、それぞれの命題の真をチェックするチェックボックス欄とともに、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ表示する、システムである。
より好ましくは、法規データベースの命題群が、順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算とからなる命題データ群として記憶されたものであり、チェックリスト表示手段が、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を構成する前記要素命題および該要素命題を被演算子とする論理演算を引用し、該要素命題の真をチェックするチェックボックス欄とともに、該要素命題を被演算子とする論理演算にもとづいて、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の数だけ表示する、のがよい。
順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を構成する要素命題は、これ以上細かく分割できない命題で、「学校の用途に供しない」「階数が1である」といった一般的な事実について簡素に記述したものである。
それらの要素命題が同一であることを示すフラグなどの記憶ビットをデジタル的に記憶される要素命題の記憶領域に付随させることが望ましい。
利用者が同一要素命題のひとつをチェックした場合、他の同一要素命題も自動的にチェックマークが表示されると使い勝手がよいだろう。すなわち、図2(a)のように、規定「1」に「C12ではない」があり、規定「2」にも同一の「C12ではない」がある場合、一方に利用者がチェックすれば他方にもチェックマークが表示されるのが便利である。
同様に、図2(b)のように、規定「3」に「C3311ではない」があり、規定「4」にも同一の「C3311ではない」がある場合、一方がチェックされれば他方にもチェックマークが表示されるのが便利である。チェックリスト表示手段に、このような同一命題チェック手段を兼備していることが望ましい。
すなわち、要素命題の中に共通する同一の要素命題があり、チェックリスト表示手段が、共通の要素命題の一つとともに表示されたチェックボックス欄にチェックがなされると、他の同一の共通の要素命題とともに表示されたチェックボックス欄にもチェックマークを表示する、同一命題チェック手段を兼備しているのが望ましい。
また、要素命題に、階層的部位に関する空間的形状(長さや面積)に関する数量、その他数量(収容人数、日照時間、仕上材の性能数値)と、それらの数値上限や数値下限や数値範囲を含んだ数値命題があり、かつまた、物件情報に建築物件の階層的部位に関する数量の情報が含まれる場合がある。
そのときに、その数量が数値命題を満たしていることを数値の大小比較などの演算機能を用いて、利用者がチェックするまでもなく真であると判定してチェック欄に反映する数値判定と自動チェックを行う手段が兼備していることが望ましい。
すなわち、物件情報が、建築物件の階層的部位に関する数量の情報を含み、要素命題の中に建築物件の階層的部位に関する数量の数値上限または数値下限または数値範囲のいずれかを記述した数値命題があり、チェックリスト表示手段が、前記建築物件の階層的部位に関する数量について前記数値命題が真であることを判定する数値判定手段と、該数値判定手段で真と判定された数値命題とともに表示されたチェックボックス欄にチェックマークを表示する、数値判定チェック手段を兼備していることが望ましい。
本システムはコンピュータに実行させる。そのプログラムは、少なくとも、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含む物件情報を入力する手順と、 建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換してなる命題群として記憶した法規データベースから、物件情報にもとづいて、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を引用する手順と、前記手順で引用した命題の真をチェックするチェックボックス欄とともに、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ表示する手順を含むものである。
本システムは、参考6から11に例示したような従来のシステム技術を援用することで、さらに使いやすい機能が付加された、より好適なマンマシンインターフェイスを構築できる。たとえば(図6参照)、チェック中の法規のウィンドウ(図6の「50」)と同じ画面に、以下の別ウィンドウを同時表示すると便利である。
すなわち、チェックしているC命題やN命題に関連する法規全体をツリー構造で示したウィンドウ(図6の「51」)、チェックしているC命題やN命題を含む法規全文を示すウィンドウ(図6の「52」)、チェックしているC命題やN命題に関連する建築物件の平面図や立面図を示すウィンドウ(図6の「53」、「54」)を付加表示するなどである。
図7に、図6の表示画面の「50」を拡大して示す。これは図3と同様、建築基準法24条の表示であって、図5(b)同様、論理積(●)は「∧」、論理和(○)は「∨」と表示している。
図5(b)の説明で記載したように、図7の6行目「法24条1号に該当しない」の左方の「+」をクリックすると(利用者が「法24条1号に該当しない」の要素命題を必要とする場合)、「学校の用途に供しない」「劇場、映画館又は演芸場の用途に供しない」「観覧場の用途に供しない」「公会堂・集会場の用途に供しない」「マーケットの用途に供しない」「公衆浴場の用途に供しない」という要素命題(図3参照)がチェック欄などとともに表示される(図示略)。
このクリック操作で利用者が「法24条1号に該当しない」ことを、要素命題にブレークダウンされた単純な事実の判断でチェックできるようになる。
もちろん、申請書類や評価書類の提出フォーマットのひな型をシステムに記憶しておき、建築物件データや設計図面データとともに、法規チェック結果データをひな型に転送して自動記入することで申請書類作成を支援する機能も容易に実現可能である。
「C命題とN命題を構成する要素命題と該要素命題を被演算子とする論理演算」に関して補足する。
法規データベースには、C命題とN命題をさらに単純化して置き換えた「要素命題」と、その「要素命題」間の論理関係を論理演算として記憶させるのが好ましい。「要素命題」は、論理的関係をツリー状に表現するなら、その末端で、これ以上細かく分割できない最小単位命題であって、原子命題と呼称されることもある。
法規データベースのN命題の「要素命題」データには、規定で順守すべき主体である「主語」の種類(建物または階または室など) と、規定が順守する事項である「述語」の情報をもたせるのが好ましい。
C命題の「要素命題」データにも、免除される条件の主体である「主語」の種類(建物または階または室など) と、条件である「述語」の情報をもたせるのが好ましい。
複数の「要素命題」の論理積(「AND」)あるいは論理和(「OR」)という論理演算の結果から「演算結果命題」が合成できる。たとえば(図14参照)、「火気使用室ではない」「・・が準不燃である」は要素命題で、これらから、「火気使用室であれば・・は準不燃」という演算結果命題が合成できる。
同様に、「要素命題」と「演算結果命題」の演算、複数の「演算結果命題」同士の演算という多重演算で、より多くの条件や事項が複合された「演算結果命題」が合成できる。
「要素命題」間の論理演算は、「演算テーブル」で記憶させるとよい。「演算テーブル」は、「被演算子(オペランド)」「演算子(オペレータ)」「演算結果」を、それぞれの記憶格納場所を定義して記憶したものである。ここで被演算子は「要素命題」である。
「演算テーブル」は、2つの命題に論理積(「AND」)を行うもの、2つの命題に論理和(「OR」)を行うもの、3つ以上の命題に組合せ論理を行うものなどが「被演算子(オペランド)」を引用できるようにして記憶しておいて適宜引用して、前記の「演算結果命題」を合成させるのが好適である。
たとえば、図15のような論理積(「AND」)を二度行う演算テーブルを法規データベースに記憶しておく。そして、この演算テーブルを同様に記憶させた「建物がPである」「階がQである」「室がRである」の3つの要素命題と組合せて、『Pである建物の、Qである階の、室がRである』の命題を合成できる。
このように論理を組合せた命題は、要素命題と演算テーブルという形で法規データベースに記憶することが記憶容量を節約する上で好適である。
「要素命題」は、事実を簡潔に記述した内容を文字列として法規データベースに記憶するが、当然のことながら、記述に含まれる文字列は共通的に定義した文字列を用いる。かかる共通化は、表示するときに利用者の誤解を回避する上でも有効であるし、前記の同一命題チェック手段、数値判定手段を機能させる上でも必要である。
「要素命題」の中で特に、主語が持つ数量の情報について記述したものを「数値命題」と呼ぶ。
「数値命題」の述語部は、主語のもつ数量の名称を、たとえば、「階の居室面積」、「階の廊下の幅」・・など法規データベース内で共通的に定義した名称文字列と、判定基準量と判定演算子、たとえば、数値上限または数値下限または数値範囲を示す「≧」、「>」、「≦」、「<」 などの文字と、主語が持つ数量の値である「1、2、3・・」という文字を組合せて、法規データベースに記憶しておけばよい。
すなわち「数値命題」には、階層的部位に関する空間的形状(長さや面積)に関する数量、収容人数、日照時間、仕上材の性能数値などとそれらの数値上限や数値下限や数値範囲を記憶される。
そして、「数値判定手段」は、物件情報にある建築物件の階層的部位に関する数量の情報を参照し、その情報に一致する数値命題の主語と述語による記述について、その真偽を判定するのである。
プログラムに関して補足する。
各命題の「主語」の種類(建物・階・室など)と、命題間の論理関係、および、物件情報にある階層的部位との一致(文字列の一致および論理関係の一致)を判定する手順、および、チェックリスト表示手段に、その判定手順で抽出された、物件情報の階層的部位との一致がある命題を引用して、それら命題を建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の数だけ表示する手順をプログラムとして記述するのが好適である。
前述の『Pである建物の、Qである階の、Rである室は・・でなければならない』に例示される異なった階層的部位の条件に跨がる命題も、それを構成する各命題の「主語」の種類(建物・階・室など)を比較して、命題間の距離(「主語」の一致も含む)がわかる。その距離にもとづいて選択的に図11−13のような表示を実行させる手順をプログラムとして記述するのが好適である。
命題の文字列(論理関係も含む)が一致するものに同一であることを示すフラグなどの記憶ビットをそれら命題の記憶領域に付随させ、そのフラグを読み取って、同一の命題の一つとともに表示されたチェックボックス欄にチェックがなされると、他の同一の命題とともに表示されたチェックボックス欄にもチェックマークを表示する手順を、同一命題チェック手段の動作プログラムとして記述するのが好適である。
「数値命題」にある「主語」の種類(建物・階・室など)と、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位との一致、かつ、物件情報にある階層的部位の空間的形状に関する数値の情報に含まれる数量の名称と、「数値命題」の述語部にある主語のもつ数量の名称との一致を判定する手順、および、物件情報にある階層的部位の数量について「数値命題」の述語部にある判定基準量と判定演算子に演算を実行させる手順、その演算結果をチェック表示に反映させる手順を、数値判定チェック手段の動作プログラムとして記述するのが好適である。
本発明は、従来技術にない以下の[甲・乙]の特徴を持つものである。
すなわち:
[甲] 利用者の選択に応じて以下の(1)を表示する折りたたみ表示と、(1)に加えて以下の(2)を追加した展開表示とを、可逆的に表示する特徴。
(1) 複数の要素命題をまとめた代表命題、およびその真をチェックするチェックボックス欄。
(2) 代表命題に含まれる複数の要素命題、およびその真をチェックするチェックボックス欄。
[乙] 展開表示で、代表命題に含まれる複数の要素命題が該代表命題の下に、論理演算マークとともに表示され、そのマークが、代表命題とそれに含まれる複数の要素命題との論理関係を示す特徴。
[甲・乙]を兼ね備えた構成は利便性が高い。利用者は、折りたたみ表示で対象命題群の全体のチェック状況を俯瞰的に把握し、必要な部分だけを展開表示して、簡潔単純な要素命題群にブレークダウンでき、かつ、それら簡潔単純な要素命題群の論理関係は、論理積(●)は「∧」、論理和(○)は「∨」などの視認できるマークとして眼から把握できるので、チェック作業が非常に楽である。
[甲・乙]を兼ね備えた構成は、特許文献1と非特許文献1を組み合わせても容易に得られるものではない。
というのは、特許文献1は、法規の文章の主語と述語の構造に注目し、法規の適用条件と適合条件を抽出する技術を開示しているが、これに非特許文献1の『法規を階層的に、かつ、折りたたみ・展開して表示する技術』等を組み合わせても、[甲・乙]のように、法規の文章の内容の論理関係まで必要に応じて(可逆的に)示すという構成に容易に到達できるものではない。
また、特許文献2の『既にチェックした項目をチェック済みと認識できるように表示する方法』も、[甲・乙]の構成を得る示唆を与えるものではない。
[乙]の特徴を(3)として、本発明のシステムは以下のように記述される。
すなわち;
建築物件情報を入力する物件情報入力手段と、建築法規を命題群として記憶する法規データベースと、建築物件の法規順守チェックに必要なチェックリストを表示するチェックリスト表示手段を具備した、建築物件の法規順守チェックを支援するシステムであって、
物件情報入力手段で入力される物件情報が、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含み、
法規データベースが、建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換して、さらに、該順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として記憶したものであり、
チェックリスト表示手段が、前記物件情報入力手段で入力された物件情報にもとづいて、前記法規データベースから、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として引用し、
利用者の選択に応じて以下の(1)の項目を表示する折りたたみ表示と、(1)に加えて以下の(2)の項目を追加して表示する展開表示とを可逆的に、かつ、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ、以下の(3)のように表示するシステム。
(1) 順守事項命題(N命題)または免除条件命題(C命題)を構成する複数の要素命題をまとめた代表命題、および該代表命題の真をチェックするチェックボックス欄。
(2) (1)の項目の代表命題に含まれる複数の要素命題、および該複数の要素命題の真をチェックする複数のチェックボックス欄。
(3) 該チェックリスト表示手段による表示が行列状で、展開表示では、折りたたみ表示の代表命題に含まれる複数の要素命題の表示行が該代表命題の表示行の下の行に表示され、かつ、展開表示された複数の要素命題の表示行に論理積または論理和を示す論理演算マークを表示して、代表命題と該代表命題の表示行の下の行に展開表示で表示される複数の要素命題との論理関係が、前記の論理演算マークによって示されている。
[乙]の特徴を(3)として、本発明のプログラムは以下のように記述される。
すなわち;
建築物件の法規順守チェックを支援するシステムを動作させるプログラムであって、
建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含む物件情報を入力する手順と、
建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)に置換して、さらに、該順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として記憶した法規データベースから、前記物件情報にもとづいて、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として引用する手順と、
引用した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、利用者の選択に応じて以下の(1)の項目を表示する折りたたみ表示と、(1)に加えて以下の(2)の項目を追加して表示する展開表示とを可逆的に、かつ、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ、以下の(3)のように表示する手順をコンピュータに実行させるプログラム。
(1) 順守事項命題(N命題)または免除条件命題(C命題)を構成する複数の要素命題をまとめた代表命題、および該代表命題の真をチェックするチェックボックス欄。
(2) (1)の項目の代表命題に含まれる複数の要素命題、および該複数の要素命題の真をチェックする複数のチェックボックス欄。
(3) 該チェックリスト表示手段による表示が行列状で、展開表示では、折りたたみ表示の代表命題に含まれる複数の要素命題の表示行が該代表命題の表示行の下の行に表示され、かつ、展開表示された複数の要素命題の表示行に論理積または論理和を示す論理演算マークを表示して、代表命題と該代表命題の表示行の下の行に展開表示で表示される複数の要素命題との論理関係が、前記の論理演算マークによって示されている。
プログラムは、本発明のシステム機能を果たすものであればよく、上記の例示に限定されない。
建築物件の法規順守チェックする際に、複雑で多くの項目を折りたたんで全体状況を俯瞰的に表示する一方、必要な部分だけを展開して簡潔単純な文章群にブレークダウン、かつ、それら簡潔単純な文章群の論理関係をわかりやすく表示して、チェックを実施しやすくする。
法規の複雑な条件と順守事項を単純化してわかりやすく列挙表示するので、チェックミスの発生が人間工学的に抑制される。その結果、専門技能を要する規制の順守チェック作業が簡素、かつ、チェックミスがなく正確性が維持されるものになる。
また、複数利用者の重複チェック、チェック結果の点検、チェック結果の問題点レビューなどで、どの条文のどういった条件がクリアされていないのか、あるいは、どの順守事項が実施されていないのか、を個々の規定と対応付けて特定しやすい、という効果があり、有効である。
副次効果として、法規チェックにてチェック作業者の能力差等によるチェック結果のばらつきがあったものを、本システムを用いることで属人的な要素を減らすことができ、結果のばらつきがきわめて少なくなる。
利用者のシステム使用履歴を記憶する記録手段を兼備すれば、別の副次効果として、使用履歴から利用者ごとの作業の特徴がわかる。かかる特徴から、利用者のチェック能力評価や比較ができる。
法規の条文ごとに命題の記憶量や表示の行数を計数すれば、その数値で法規条文の複雑さを定量化することもできる。
本発明の表示概念とチェック作業を説明する模式図。 同一命題チェックを説明する模式図。 建築基準法24条の命題構成の説明図。 建築基準法129条4の命題構成の説明図。 建築基準法129条6の命題構成の説明図(a)と表示の具体例図(b)。 本発明のシステムの表示画面の具体例図。 図6の表示画面で建築基準法24条の表示部(50)の拡大図。 システム構成の模式図。 物件情報の階層(a)と物件例(b)、物件例の物件情報の模式図(c)。 チェックリスト表示手段の表示を説明する模式図。 異なる階層的部位の条件に跨がる命題の典型例1の表示模式図。 異なる階層的部位の条件に跨がる命題の典型例2の表示模式図。 異なる階層的部位の条件に跨がる命題の典型例3の表示模式図。 法規データベース内の要素命題の説明図。 演算テーブルの説明図。 命題の展開表示と折りたたみの第一例図。 命題の展開表示と折りたたみの第二例図。
1 免除条件命題(C命題)、または、一つ以上のC命題群の表示欄
2 順守事項命題(N命題)、または、N命題の表示欄
3 建築物件の階層的部位の表示欄
4 建築物件の階層的部位の呼称の表示欄
5 命題のチェックボックス欄
50 建築基準法24条の表示部
51 法規全体をツリー構造で示した表示部
52 該当する法規全文を示す表示部
53 建築物件の平面図を示す表示部
54 建築物件の立面図を示す表示部

Claims (2)

  1. 建築物件情報を入力する物件情報入力手段と、建築法規を命題群として記憶する法規データベースと、建築物件の法規順守チェックに必要なチェックリストを表示するチェックリスト表示手段を具備した、建築物件の法規順守チェックを支援するシステムであって、
    物件情報入力手段で入力される物件情報が、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含み、
    法規データベースが、論理命題として捉えた建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)論理原則にもとづいて置換して、さらに、該順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として記憶したものであり、
    チェックリスト表示手段が、前記物件情報入力手段で入力された物件情報にもとづいて、前記法規データベースから、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として引用し、
    利用者の選択に応じて以下の(1)の項目を表示する折りたたみ表示と、該(1)の項目をブレークダウンした以下の(2)の項目表示する展開表示とを可逆的に、かつ、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ、以下の(3)のように表示するシステム。
    (1) 順守事項命題(N命題)または免除条件命題(C命題)を構成する複数の要素命題をまとめた代表命題、および該代表命題の真をチェックするチェックボックス欄。
    (2) (1)の項目の代表命題に含まれる複数の要素命題、および該複数の要素命題の真をチェックする複数のチェックボックス欄。
    (3) 該チェックリスト表示手段による表示が行列状で、展開表示では、折りたたみ表示の代表命題に含まれる複数の要素命題の表示行が該代表命題の表示行の下の行に表示され、かつ、展開表示された複数の要素命題の表示行に論理積または論理和を示す論理演算マークを表示して、代表命題と該代表命題の表示行の下の行に展開表示で表示される複数の要素命題との論理関係が、前記の論理演算マークによって示されている。
  2. 建築物件の法規順守チェックを支援するシステムを動作させるプログラムであって、
    建築物件の階層構造に含まれる階層的部位と、該階層的部位の個数の情報を含む物件情報を入力する手順と、
    論理命題として捉えた建築法規の文章を、建築物の階層的部位が順守すべき事項の命題とした順守事項命題(N命題)と、該順守事項命題が免除される階層的部位の条件を命題とした免除条件命題(C命題)論理原則にもとづいて置換して、さらに、該順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として記憶した法規データベースから、前記物件情報にもとづいて、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位に対応した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、それらを構成する要素命題と、該要素命題を被演算子とする論理演算として引用する手順と、
    引用した順守事項命題(N命題)と免除条件命題(C命題)を、利用者の選択に応じて以下の(1)の項目を表示する折りたたみ表示と、該(1)の項目をブレークダウンした以下の(2)の項目表示する展開表示とを可逆的に、かつ、建築物件の階層構造に含まれる階層的部位の個数だけ、以下の(3)のように表示する手順をコンピュータに実行させるプログラム。
    (1) 順守事項命題(N命題)または免除条件命題(C命題)を構成する複数の要素命題をまとめた代表命題、および該代表命題の真をチェックするチェックボックス欄。
    (2) (1)の項目の代表命題に含まれる複数の要素命題、および該複数の要素命題の真をチェックする複数のチェックボックス欄。
    (3) 該チェックリスト表示手段による表示が行列状で、展開表示では、折りたたみ表示の代表命題に含まれる複数の要素命題の表示行が該代表命題の表示行の下の行に表示され、かつ、展開表示された複数の要素命題の表示行に論理積または論理和を示す論理演算マークを表示して、代表命題と該代表命題の表示行の下の行に展開表示で表示される複数の要素命題との論理関係が、前記の論理演算マークによって示されている。
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