JP5947076B2 - Pcb抽出装置、並びにこれを用いた、pcb検出装置及びpcb検出方法 - Google Patents

Pcb抽出装置、並びにこれを用いた、pcb検出装置及びpcb検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ流体デバイスを利用したPCB抽出装置、並びにこれを用いた、PCB検出装置及びPCB検出方法に関する。
ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl,PCB)は、かつて電気絶縁材などとして使用されていた。生体に対する毒性が高いことから、1973年にその製造及び使用が禁止されたが、現在使用している重電機器の絶縁油に微量のPCBが混入している可能性が報告されたことにより(例えば、非特許文献1参照)、その汚染判定に有用な判定法の開発が急務となっている。
このようなPCBの汚染判定に有用な測定法としては、ガスクロマトグラフィーに続く質量分析や電子捕獲検出などが用いられている(例えば、非特許文献2及び3参照)。しかしながら、測定に長時間を要し、費用も高価であることから、より迅速かつ安価な測定法が要求されている。そこで、Micro Total Analysis Systems(μ−TAS)又はLab on a Chipと呼ばれる研究が注目されており、数cm角の基板上に1μm〜1,000μmの流路を設けたマイクロ流体デバイス上において、前記PCB汚染判定に必要な化学操作を集積化した分析化学デバイスの構築が試みられている。また、前記マイクロ流体デバイスは、そのマイクロ空間における比界面積が大きく、拡散距離が短いなどの物理的特徴を有するため、前記マイクロ流体デバイスを利用したPCB抽出装置とすることにより、従来法では実現することができなかった、絶縁油からのPCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化、PCB抽出操作における前処理から測定までのプロセスをフロー式とすることによる操作の簡便化及び迅速化、並びにPCB抽出効率の高効率化が可能になると考えられる。
したがって、マイクロ流体デバイスを用いることにより、PCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化、PCB抽出処理の簡便化、迅速化、高効率化等を実現することができるPCB抽出装置、並びにこれを用いた、PCB検出装置及びPCB検出方法の開発が強く求められているのが現状である。
低濃度PCB汚染物対策検討委員会 原因究明ワーキンググループ、低濃度PCB汚染物に関する原因究明調査報告書 概要(2005) 絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第2版) 平成12年12月28日厚生省告示第633号で改正された平成4年7月3日厚生省告示第192号の別表第二「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、PCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化、PCB抽出処理の簡便化、迅速化、高効率化等を実現することができるPCB抽出装置、並びにこれを用いた、PCB検出装置及びPCB検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、絶縁油中に含まれるPCBを抽出するに際し、前記絶縁油を分解するキャピラリーカラムと、前記キャピラリーカラムにより分解された前記絶縁油からPCBを抽出するマイクロ流体デバイスとを有するPCB抽出装置を用いることにより、前記PCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化、PCB抽出処理の簡便化、迅速化、高効率化等を実現することができることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 絶縁油中に含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)を抽出するPCB抽出装置であって、前記絶縁油を分解するキャピラリーカラムと、前記キャピラリーカラムにより分解された前記絶縁油からPCBを抽出するマイクロ流体デバイスとを有してなり、前記マイクロ流体デバイスが、前記絶縁油を流通させる流路と、前記流路に交差する方向に延設されたPCB抽出室とを有することを特徴とするPCB抽出装置である。
<2> PCB抽出室が、ガラスにより形成される前記<1>に記載のPCB抽出装置である。
<3> PCB抽出室の形状が、略半球状及び略角柱状の少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載のPCB抽出装置である。
<4> 一対のPCB抽出室が流路に対向して延設され、該一対のPCB抽出室を複数有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のPCB抽出装置である。
<5> キャピラリーカラムの内径が、0.5mm〜5.0mmである前記<1>から<4>のいずれかに記載のPCB抽出装置である。
<6> キャピラリーカラムが、発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域を有し、前記発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域における前記キャピラリーカラムの空隙率が、30体積%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のPCB抽出装置である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のPCB抽出装置と、該PCB抽出装置により抽出されたPCBを検出するPCB検出手段とを有することを特徴とするPCB検出装置である。
<8> 前記<7>に記載のPCB検出装置を用いるPCB検出方法であって、PCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスの流路及びPCB抽出室にPCB抽出溶媒を導入し、前記マイクロ流体デバイスの前記流路に、PCBを含有する絶縁油を流通させ、前記PCB抽出室において、前記絶縁油中に含まれる前記PCBを前記PCB抽出溶媒で抽出するPCB抽出工程と、抽出した前記PCBを検出するPCB検出工程と、を含むことを特徴とするPCB検出方法である。
<9> PCB抽出溶媒が、ジメチルスルホキシドである前記<8>に記載のPCB検出方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、PCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化、PCB抽出処理の簡便化、迅速化、高効率化等を実現することができるPCB抽出装置、並びにこれを用いた、PCB検出装置及びPCB検出方法を提供することができる。
図1は、現行法及び本発明のPCB抽出装置におけるキャピラリーカラムの一例を模式的に示す図である。 図2Aは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスの一例を模式的に示す図である。 図2Bは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスの他の一例を模式的に示す図である。 図3Aは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスにおける流体挙動の一例を示す図である。 図3Bは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスにおける流体挙動の他の一例を示す図である。 図4Aは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスにおけるPCB抽出室の流線の一例を表す図である。 図4Bは、本発明のPCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスにおけるPCB抽出室の流線の他の一例を表す図である。 図5は、現行法と本発明のPCB抽出装置とのDMSO分配における濃度依存の比較の一例を表す図である。 図6は、現行法と本発明のPCB抽出装置とのDMSO分配における抽出効率の比較の一例を表す図である。 図7Aは、実施例3のPCB回収率の結果を表す図である。 図7Bは、実施例4のPCB回収率の結果を表す図である。 図8は、本発明のPCB抽出装置において、キャピラリーカラムとマイクロ流体デバイスとを連結した形態の一例を示す写真である。 図9は、現行法のPCB抽出と本発明のPCB抽出の抽出効率の比較を表す図である。
(PCB検出装置及びPCB検出方法)
本発明のPCB検出装置は、PCB抽出装置と、PCB検出手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明のPCB検出方法は、PCB抽出工程と、PCB検出工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記PCB検出方法は、前記PCB検出装置により、好適に実施することができる。
<PCB抽出装置及びPCB抽出工程>
前記PCB抽出装置は、前記絶縁油中に含まれるPCBを抽出する装置である。
前記PCB抽出工程は、前記絶縁油中に含まれるPCBを抽出する工程である。
前記PCB抽出工程は、前記PCB抽出装置により、好適に実施することができる。
<<PCB抽出装置>>
前記PCB抽出装置は、絶縁油を分解するキャピラリーカラムと、前記キャピラリーカラムにより分解された前記絶縁油からPCBを抽出するマイクロ流体デバイスとを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記キャピラリーカラムにより前記絶縁油中に含まれる妨害成分を分解及び/又は吸着することができ、前記マイクロ流体デバイスにより前記絶縁油中に含まれるPCBを選択的に抽出することができる。
−キャピラリーカラム−
前記キャピラリーカラムは、前記絶縁油中に含まれるPCBを検出する際の妨害成分を分解及び/又は吸着することができるカラムであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記キャピラリーカラムを用いて前記絶縁油を通過させることにより、前記妨害成分が分解及び/又は吸着され、前記絶縁油中に含まれるPCBや前記絶縁油を送液する際に使用する溶媒等が溶出される。
ここで、前記絶縁油は、JIS規格の1種であればよく、主成分として鉱油を含んでいるものなどが挙げられる。また、前記妨害成分は、後述の前記PCBを検出する際に用いる抗体と結合しうる成分又は該抗体を変性させてしまう成分である。前記妨害成分は、前記絶縁油中に含まれている成分であり、前記絶縁油の種類によって含まれる成分が異なるが、前記鉱油を含む場合には、例えば、鎖式飽和炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。
前記キャピラリーカラムの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形の筒状、多角形の筒状、不定形の筒状などが挙げられるが、加工便宜上の観点から、円筒状が好ましい。
前記キャピラリーカラムの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1種単独の部材で形成されてもよいし、2種以上の部材で形成されてもよく、直線状、曲線状などの構造であってもよい。
前記キャピラリーカラムの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加工便宜上の観点から、長さとしては、5cm〜50cmが好ましく、20cm〜40cmがより好ましく、内径としては、0.5mm〜5.0mmが好ましく、1.0mm〜2.0mmがより好ましい。
前記キャピラリーカラムの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体などが挙げられるが、PCBの吸着を避ける目的で、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
前記キャピラリーカラムとしては、公知の方法により作製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記キャピラリーカラムを作製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、中空の細い管(チューブ)の内側に、他のチューブを挿入して積層構造としたカラムの内側に、前記充填剤を充填することにより作製する方法などが挙げられる。
前記キャピラリーカラムの内部には、前記絶縁油中に含まれる前記妨害成分を分解及び/又は吸着できる充填剤が充填されている。前記充填剤としては、前記絶縁油中に含まれる妨害成分を分解及び/又は吸着することができる充填剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ガラス繊維、アミノプロピルシリカゲル、無水硫酸ナトリウム、発煙硫酸含浸シリカゲル、無水硫酸ナトリウムの順に充填された充填剤が好ましい。また、前記キャピラリーカラムは、前記絶縁油が前記充填剤と高接触率で接触されているため、前記充填剤の量や前記絶縁油の通液に必要な試薬の量を低減することができる。
前記キャピラリーカラムに含まれる充填剤である前記発煙硫酸含浸シリカゲルのSOガスと、前記絶縁油とを接触させることにより、前記妨害成分が分解される。なお、前記SOガスと、前記絶縁油との接触による分解で除去されなかった妨害成分は、前記充填剤であるアミノプロピルシリカゲルにより吸着される。
前記キャピラリーカラムを通過する前記絶縁油と、前記SOガスとの接触時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5分間〜4分間が好ましい。前記絶縁油と前記SOガスとの接触時間が、0.5分間未満であると、前記妨害成分が前記キャピラリーカラムにより分解及び/又は吸着されないことがあり、4分間を超えると、前記妨害成分だけでなく、前記絶縁油中に含まれるPCBも前記キャピラリーカラムにより分解されることがある。一方、前記絶縁油と前記SOガスとの接触時間が、前記好ましい範囲であると、前記妨害成分を確実に除去することができ、前記絶縁中に含まれるPCBを高効率で回収することができる点で有利である。
前記キャピラリーカラムは、上述したように前記発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域を有することが好ましい。前記発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域における前記キャピラリーカラムの空隙率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましく、25体積%以下が特に好ましい。前記空隙率が、前記好ましい範囲であると、前記絶縁油と前記発煙硫酸含浸シリカゲルとの接触面積が増え、前記絶縁油を高効率で分解することができる。
前記キャピラリーカラムにおける前記発煙硫酸含浸シリカゲルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャピラリーカラムにおける、内径が1.0mm〜2.0mmの範囲、及び前記発煙硫酸含浸シリカゲル部分のキャピラリーカラムの長さが150mm〜170mmの範囲にある場合、150mg〜500mgが好ましく、350mg〜450mgがより好ましい。前記含有量が、前記好ましい範囲であると、前記絶縁油と前記発煙硫酸含浸シリカゲルとの接触面積が増えるため、前記絶縁油を高効率で分解することができる。
前記キャピラリーカラムを通過する前記絶縁油の送液方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記キャピラリーカラムの先端に前記絶縁油を添着した後に、マイクロシリンジポンプを用いて任意に設定した量の溶媒を送液することにより前記絶縁油を滴下させて送液する方法などが挙げられる。
前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサン、アセトンなどが挙げられるが、PCBが低極性分子であるため、前記充填剤であるシリカゲルに吸着したPCBを溶出させる点で、無極性溶媒であるヘキサンが好ましい。
前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μL/min〜300μL/minが好ましい。前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流速が、100μL/min未満であると、前記絶縁油中に含有されるPCBが溶出されないだけでなく、前記妨害成分が溶出することがあり、300μL/minを超えると、前記妨害成分が溶出することがある。一方、前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流速が、前記好ましい範囲であると、前記妨害成分が溶出しない点で有利である。
前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャピラリーカラムにおける、内径が1.0mm〜2.0mmの範囲、及び長さが20cm〜40cmの範囲にある場合、0.5mL〜1.4mLが好ましい。前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流量が、0.5mL未満であると、前記絶縁油中に含まれるPCBが前記キャピラリーカラムに残存することがあり、1.4mLを超えると、前記絶縁油中に含まれる妨害成分が溶出されることがある。一方、前記キャピラリーカラムを通過する前記溶媒の流量が、前記好ましい範囲であると、前記絶縁油中に含まれるPCBが高回収率で溶出される点で有利である。
ここで、前記キャピラリーカラムの具体例を、図面を用いて説明すると、図1に示すように、前記キャピラリーカラム10は、チューブ内にガラス繊維6、アミノプロピルシリカゲル5、無水硫酸ナトリウム4、発煙硫酸含浸シリカゲル3、無水硫酸ナトリウム2の順に充填されている。前記キャピラリーカラムに、前記PCBを含有する絶縁油1を送液することにより、前記絶縁油中に含まれる前記妨害成分を分解及び/又は吸着することができる。また、前記キャピラリーカラムの構成とすることにより、前記キャピラリーカラム内に充填される充填剤等の試薬量は、現行法(絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第2版)平成22年6月、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)のカラム処理に必要な試薬量の12分の1とすることができる。
−マイクロ流体デバイス−
前記マイクロ流体デバイスは、前記キャピラリーカラムにより前記妨害成分が分解されたPCBを含有する絶縁油から、前記PCBを抽出するデバイスである。
前記マイクロ流体デバイスは、前記絶縁油を流通させる流路と、前記流路に交差する方向に延設されたPCB抽出室とを有する。
ここで、前記マイクロ流体デバイスの第一の実施形態を、図面を用いて説明すると、図2Aに示すように、前記マイクロ流体デバイス20における前記流路20B、及び前記PCB抽出室20Aは、その空間サイズが小さいため、比界面積が大きく、拡散距離が短いため、迅速な分子輸送プロセスとすることができる。
また、前記マイクロ流体デバイスの第二の実施形態を、図面を用いて説明すると、図2Bに示すように、前記マイクロ流体デバイス20における前記流路20B、及び前記PCB抽出室20Aは、その空間サイズが小さいため、比界面積が大きく、拡散距離が短いため、迅速な分子輸送プロセスとすることができる。
−−流路−−
前記流路は、前記キャピラリーカラムにより前記妨害成分が分解された絶縁油を流通させる流路である。前記流路の線流は、低レイノルズ数であることから、前記流路に平行して前記絶縁油を流通させることができる。
前記流路の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略角柱状、略楕円柱状、略半円柱状などが挙げられるが、空気混入を避けることができる点で、図2Aに示すような略半円柱状、図2Bに示すような略角柱状が好ましい。
前記流路の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1種単独の部材、2種以上の部材を用いてもよく、直線状、曲線状であってもよく、基板上への集積化がしやすくなる点で、図2Aに示すような流路、図2Bに示すような流路を有する構造が好ましい。
前記流路の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、短い拡散距離と大きな比界面積という特徴を利用した速い分子輸送プロセスを実現することができる点で、幅、深さともに10μm〜1,000μmの流路が好ましい。
前記流路の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、PCB抽出が高効率となる点で、ガラスが好ましい。
−−PCB抽出室−−
前記PCB抽出室としては、前記絶縁油中に含まれる前記PCBを抽出することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記PCB抽出室を、前記PCBを抽出するための溶媒(PCB抽出溶媒)で満たすことにより、前記絶縁油中に含まれるPCBを抽出することができる。
前記PCB抽出室の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略直方体状、略楕円状、略半球状などが挙げられるが、前記PCB抽出室への空気や油成分の混入を防ぐことができる点で、図2Aに示すような略半球状、図2Bに示すような略直方体状が好ましい。
前記PCB抽出室の構造としては、前記流路に交差する方向に延設されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、流路幅方向の拡散距離を短くすることができる点で、図2A及び図2Bに示すように、一対のPCB抽出室が流路に対向して延設され、該一対のPCB抽出室を複数有する構造が好ましい。前記交差する方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流通方向と直交する方向を基準として、前記流通方向における下流側に向けて、0°(流通方向と直交する方向)〜70°(流通方向とのなす角度20°)に位置する方向に調節することができる。なお、前記PCB抽出室の形状が略半球状の場合には、前記直交する方向は、接線と直交する方向を基準とする。
前記PCB抽出室の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、短い拡散距離と大きな比界面積という特徴を利用した早い分子輸送プロセスを実現することができる点で、幅、深さともに10μm〜1,000μmのPCB抽出室が好ましい。
前記PCB抽出室の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、PCB抽出が高効率となる点で、ガラスが好ましい。
−その他の部材−
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記分解された絶縁油を回収する部材、前記分解された絶縁油を前記マイクロ流体デバイスに送液する部材などが挙げられる。
前記分解された絶縁油を回収する部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイクロチューブなどが挙げられる。
前記分解された絶縁油を前記マイクロ流体デバイスに送液する部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記絶縁油を送液するためのマイクロシリンジポンプ、該マイクロシリンジポンプに接続させるシリンジ用アダプタ、該シリンジ用アダプタと前記マイクロ流体デバイスとを接続するためのピークチューブなどが挙げられる。
前記キャピラリーカラムと前記マイクロ流体デバイスとは、直接連結させることが好ましく、前記連結させる手段としては、例えば、前記キャピラリーカラムと前記マイクロ流体デバイスとをチューブを介して連結する手段が好ましい。
<<PCB抽出工程>>
前記PCB抽出工程は、前記PCB抽出装置を用いて実施することができ、前記マイクロ流体デバイスの前記流路及び前記PCB抽出室に前記PCB抽出溶媒を導入し、前記マイクロ流体デバイスの前記流路に、PCBを含有する絶縁油を流通させ、前記PCB抽出室において、前記絶縁油中に含まれる前記PCBを前記PCB抽出溶媒で抽出する工程である。
前記マイクロ流体デバイスに前記PCB抽出溶媒を導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マイクロシリンジポンプを用いて任意に設定した量の前記PCB抽出溶媒を送液することにより前記マイクロ流体デバイスに導入する方法などが挙げられる。
前記PCB抽出溶媒としては、前記絶縁油中に含まれるPCBを抽出することができる溶媒であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられるが、PCB抽出が高効率となる点で、ジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましい。前記PCB抽出室に、前記PCB抽出溶媒が満たされることにより、前記PCBを含有する絶縁油中に含まれる前記PCBを抽出することができる。
なお、前記マイクロ流体デバイスの材質として、ガラスを用いる場合、前記マイクロ流体デバイスの前記流路及び前記PCB抽出室に、前記抽出溶媒として前記DMSOを直接導入すると、前記PCB抽出室に空気が残存して、前記PCB抽出室が前記DMSOで満たされないため、予め前記PCB抽出室にエタノール、アセトンなどを送液した後に、前記DMSOを導入して溶媒置換する必要がある。
前記PCBを含有する絶縁油を前記流路に流通させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マイクロシリンジポンプを用いて任意に設定した量の絶縁油を送液することにより流通させる方法などが挙げられる。
前記PCBを含有する絶縁油を流路に流通させることにより、前記PCB抽出室に含まれる前記PCB抽出溶媒が、前記絶縁油に含まれるPCBのみを抽出することができる。
また、前記PCB抽出室において、前記PCBを抽出した後に、前記流路に残存する絶縁油を除去した後に、前記PCB抽出室に抽出されたPCBを回収する。
前記流路に残存する絶縁油を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記流路に空気を導入することにより除去する方法などが挙げられる。
前記PCB抽出室に抽出されたPCBを回収する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記絶縁油を除去した後に、ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝液(PBS)(以下、PBS−BSA溶液と略称する)を導入して前記PCB抽出室に含まれるPCBを溶出させて回収する方法などが挙げられる。
ここで、前記PCB抽出工程の具体例を、図面を用いて説明する。
前記マイクロ流体デバイスは、前記流路及び前記PCB抽出室にエタノールを送液し、更にDMSOで溶媒置換した後に(図3Aの(A)及び図3Bの(A)参照)、前記流路に前記PCB含有絶縁油を流通させて(図3Aの(B)及び図3Bの(B)参照)、空気を導入して前記PCB含有絶縁油を排出させて(図3Aの(C)及び図3Bの(C)参照)、PBS−BSA溶液を導入して前記PCB抽出室に含まれるPCBを含むDMSOを希釈させながら排出させ(図3Aの(D)及び図3Bの(D)参照)、脱溶媒することにより、前記絶縁油からPCBを含む溶出液を回収することができる。なお、図3Aの(B)及び図3Bの(B)に示すように、前記流路に前記絶縁油を流通させると、稀に微量の前記絶縁油が、前記PCB抽出室に混入することもあり、前記PCB抽出室に混入した絶縁油成分は、前記PCB抽出室に留まり、排出孔より排出されることはない。
また、前記PCB抽出室は、固体表面と液液界面で閉じられたマイクロ空間であることから、前記PCB抽出室では、図4A及び図4Bに示すような流体挙動を示し、前記PCB抽出溶媒が円を描くような渦流を形成している。そのため、前記渦流により、前記絶縁油中に含まれるPCBが、効率よく前記PCB抽出室に移動することができる。
なお、前記マイクロ流体デバイスにおける流体挙動を観測する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記PCB抽出室における蛍光微粒子をDMSOに分散させ、図4A及び図4Bに示される蛍光画像を用いて、前記蛍光微粒子の軌跡から流線を観測する方法が好ましい。なお、前記蛍光画像は、蛍光顕微鏡とCCDカメラとを用いて取得することができる。
<PCB検出手段及びPCB検出工程>
前記PCB検出手段は、前記PCB抽出装置により前記絶縁油中から抽出されたPCBを検出する手段である。
前記PCB検出工程は、前記PCB抽出工程により前記絶縁油中から抽出されたPCBを検出する工程である。
前記PCB検出工程は、前記PCB検出手段により、好適に実施することができる。
前記PCB検出手段としては、前記PCB抽出装置により前記絶縁油中から抽出されたPCBを検出することができる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の抗原抗体反応を利用したイムノアッセイによりPCBを検出できる装置などが挙げられ、具体的には、結合平衡除外測定装置(KinExA 3000,Sapidyne Instrument Inc.,USA)、バイオセンサー装置(イムニー、電力中央研究所製)を用いて測定することができる。
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の工程及びその他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(試験例1:キャピラリーカラムの性能評価)
試験例1では、PCB抽出装置に用いるキャピラリーカラムの性能を評価した。
<実験例1:キャピラリーカラムの性能試験>
−キャピラリーカラムの製造−
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のチューブ(内径1.59mm、外径3.17mm、アズワン株式会社製、商品名「四弗化パイプ」)に、テフゼルチューブ(内径0.25mm、外径1.57mm、ジーエルサイエンス株式会社製、商品名「テフゼルチューブ」)を差し込み、アラルダイトにて接着した。チューブ内にガラス繊維、アミノプロピルシリカゲル(株式会社住化分析センター製)130mg、無水硫酸ナトリウム(株式会社住化分析センター製)64mg、発煙硫酸含浸シリカゲル(遊離SO:20%以下、株式会社住化分析センター製)170mg、及び無水硫酸ナトリウム(株式会社住化分析センター製)64mgをこの順に充填して、キャピラリーカラムを製造した(図1の符号10参照)。
−キャピラリーカラムによるPCB溶出−
上記製造したキャピラリーカラムを用いて、PCB含有絶縁油中に含まれるPCBを溶出させるのに必要な試薬量、及び溶出にかかった時間を計測することにより、その性能を試験した。まず、PCB含有絶縁油25μLを前記キャピラリーカラムの先端に添着した。次に、前記キャピラリーカラムの先端から流量を1.2mL、流速を300μL/minに設定してヘキサンを送液することにより、前記絶縁油中に含まれる妨害成分を前記キャピラリーカラムにより分解及び吸着させて、前記PCBを含むヘキサンを溶出させた。
なお、送液にはマイクロシリンジ(1001TLL,Hamilton社製)とマイクロシリンジポンプ(KDS210,KD Scientific社製)を用いた。カラムとシリンジを接続するため、上流側に高速液体クロマトグラフィー用のコネクター(P302,P300,P−628,Upchurch Scientific社製)を装着した。
<比較例1:カラム(従来品)の性能試験>
−カラム(従来品)の製造−
現行法である「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル」(第2版)(平成22年6月、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)に記載の[高濃度硫酸シリカゲルカラム]を比較例1で使用するカラムとして製造した(図1の符号15参照)。
−カラム(従来品)によるPCB溶出−
上記製造したカラム(従来品)を用いて、PCB含有絶縁油中に含まれるPCBを溶出させるのに必要な試薬量、及び溶出にかかった時間を計測することにより、その性能を試験した。まず、PCB含有絶縁油295μLを前記カラムの先端に添着し、3分間放置した。次に、カラム壁面を洗浄するようにヘキサン75μLを2回添加し、無水硫酸ナトリウム層やカラムの壁面に残存している絶縁油を高濃度硫酸シリカゲル層に移動させ、1分間放置した。1分間放置後、ヘキサン10mL(5mL×2回)をカラムにゆっくり添加し、自然滴下により、前記絶縁油中に含まれる妨害成分を前記カラムにより分解及び吸着させて前記PCBを含むヘキサンを溶出させた。
<<試験例1の試験結果>>
実施例1で製造したキャピラリーカラムは、マイクロシリンジポンプを用いて溶出するため、送液速度や流量を適宜設定することができるのに対し、現行法である比較例1で製造したカラムは、自然滴下により前記PCB絶縁油中に含まれるPCBを溶出させるため、送液速度や流量を設定することができない。また、実施例1で製造したキャピラリーカラムでは、カラムを通過する溶液が全ての充填剤と接触するため、現行法である比較例1のカラムで必要とされる試薬量の12分の1とすることができた。
よって、実施例1で製造したキャピラリーカラムを用いることにより、前記絶縁油からのPCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化を図ることができた。
(試験例2:マイクロ流体デバイスの性能評価)
試験例2では、現行法によるPCB抽出方法と、本発明によるPCB抽出方法とを比較し、その性能を評価した。
<実験例2:マイクロ流体デバイスの性能試験>
実施例2では、PCB含有ヘキサン溶液に含まれるPCBを、マイクロ流体デバイスを用いて抽出し、公知の検出方法を用いて抽出されたPCBを検出することによりその性能を評価した。
−PCB含有ヘキサン溶液の調製−
PCB含有ヘキサンとして、純粋なヘキサンに、カネクロール混合液(KC−300、KC−400、KC−500、及びKC−600をそれぞれ等量で混合したカネクロール混合液,ジーエルサイエンス株式会社製)を添加して、5.8×10−2ppm、1.5×10−1ppm、2.9×10−1ppm、1.5ppm、2.9ppm、15.0ppm、29.0ppmのPCB含有ヘキサン溶液を調製した。
−マイクロ流体デバイスの製造−
フォトリソグラフィ工程を用いてガラス製マイクロ流体デバイスを作製した。
まず、表面研磨したテンパックスガラス基板(40mm×40mm×t=0.7mm、柴田科学株式会社製)を、硫酸過水(濃硫酸と過酸化水素水の混合液)に10分間以上浸漬した後、蒸留水に浸漬して10分間超音波洗浄した後に、2−プロパノールで洗浄し、前記基板を乾燥させた後、スパッタリング装置(L−332S−FH、キャノンアネルバ株式会社製)を用いてクロム薄膜を形成した。
次に、ポジ型フォトレジスト(S−1818,Rohm and Haas Electronic Materials LLC社製)を、スピンコーター(K−359SD−1、株式会社共和理研製)を用いて、3,000rpmで30秒間スピンコートして65℃で1分間、95℃で3分間、65℃で3分間加熱した。マスクアライナーを用いてウェハにフォトマスクを重ね、波長365nmの高圧水銀ランプで露光したウェハを現像液に浸漬し、露光部のレジストを除去した。180℃で30分間加熱した後、クロムエッチング液(硝酸銀第二アンモニウムセリウム1.65g、70質量%過塩素酸0.42mL、水10mLの割合で混合した溶液)に浸漬し、剥離したレジスト部分のクロム薄膜を除去した。50質量%フッ化水素酸(和光純薬工業株式会社製)に浸漬し、クロムを剥離した部分のガラスをエッチングして硫酸過水でレジストを除去し、クロムエッチング液でクロム薄膜を除去した。
そして、マイクロ流路を作製したガラス基板と、ドリル加工により導入孔を作製したガラス基板を650℃で熱融着し、貼り合わせて、図2Aに示すマイクロ流体デバイスを製造した。このマイクロ流体デバイスは、流路の幅が250μm、流路の深さが50μm、流路の長さが57cm、PCB抽出室の直径が250μm、PCB抽出室の深さが50μm、PCB抽出室が1,472個、及びPCB抽出室1個あたりの体積が2.3nLであった。
−PCB抽出工程−
上記製造したマイクロ流体デバイスを用いて、各濃度に調製した前記PCB含有ヘキサン溶液から前記PCBを抽出した。前記PCB含有ヘキサン溶液の流量は、10μL/minに設定し、接触時間が42秒間となるように設定した。以下に手順を示す。
まず、前記マイクロ流体デバイスにおける流路にエタノールを通液後、PCB抽出溶媒であるDMSOを送液して置換した。図3Aの(A)に示すように、前記マイクロ流体デバイスにおける前記PCB抽出室に前記DMSOが満たされた状態となった。次に、図3Aの(B)に示すように、各濃度の調製した前記PCB含有ヘキサン溶液50μLを送液して、前記PCB抽出室に前記PCB含有ヘキサン溶液中に含まれる前記PCBのみを分配させた。そして、図3Aの(C)に示すように、空気を送気して流路に含まれる前記PCB含有ヘキサン溶液を除去した後、図3Aの(D)に示すようにPBS−BSA溶液1mLを100μL/minで送液して、前記PCB抽出室に分配された前記PCBを溶出させて、前記PCBを含む溶出液を回収し、前記PCBの濃度を測定した。なお、送液は、マイクロシリンジポンプを用いて行った。まず、導入孔及び排出孔部分にネジ穴を設けたアルミ製の冶具にマイクロ流体デバイスをセットし、フェラル及びステンレス製ネジにPEEKチューブ(内径0.26mm×外径0.5mm)を差し込むことで、マイクロ流体デバイスとチューブとを接続した。前記チューブの先端にはシリンジ用アダプタ(ISC−01、マイクロ化学技研株式会社製)を装着し、シリンジと接続した。前記シリンジをマイクロシリンジポンプにセッティングして送液した。
−PCB検出工程−
前記PCBの検出は、抗原抗体反応を利用したイムノアッセイにより検出した。前記回収したPCBを含む溶出液を、PBS−BSA溶液にて1.7倍希釈し、抗体溶液の濃度が250pmol/Lとなるように調製した試料中に含まれるPCB濃度を測定した。
前記抗体溶液として、1次抗体(マウス抗PCBモノクローナル抗体,K2A,京都電子工業株式会社製)及び2次抗体(Cy−5標識ヤギ抗マウス抗体,Jackaon ImmunoResearch Laboratories社製)を共に0.1質量%PBS−BSA溶液で希釈したものを用いた。
前記イムノアッセイで用いる固相担体としては、アガロースビーズ(NHS−activated SepharoseTM 4fast flow,Amercham Biosciences社製)を用いた。
前記ビーズ担体の活性化は、以下の手順に従って行った。まず、ビーズ容量1mLとなるように懸濁液を採取し、1mMのHCL(1mL)で10回洗浄した。次に、この懸濁液を生理食塩水(PBS)(pH7.5,1mL)にて10回洗浄して、PBS(0.9mL)に懸濁した。この懸濁液に、0.1mLの[合成したジクロロフェノール誘導体及びBSAの複合体を含むPBS溶液](前記誘導体及び前記複合体の濃度:1mg/mL)を添加した。この溶液を室温にて2時間振とうした後、0.1mLの[BSAを含むPBS溶液](BSA濃度:100mg/mL)を添加し、更に2時間振とうした。振とう後、ビーズを30mLのPBSに懸濁して検出セルに充填した。
前記イムノアッセイは、結合平衡除外測定装置(KinExA 3000,Sapidyne Instrument社製)における中空上の検出セル内に、上記手順で調製した固相担体を充填し、前記試料を送液することにより行った。前記試料にPCBが含まれる場合、1次抗体の一部は液相のPCBと結合し、複合体を形成しているため、固相上の疑似抗原に結合することなく検出セルを素通りする。一方、前処理液にPCBが含まれない場合、全ての1次抗体は未結合抗体であるため、固相上の疑似抗原との結合により検出セル内に捕捉されやすい。よって、前記捕捉された抗体量の比較からPCBの有無を判別した。前記検出セル内に捕捉された抗体量は、2次抗体に標識したCy−5の蛍光強度として光学的に計測した。なお、前記検出セルへ送液する溶液の種類、量、及び速度は、前記結合平衡除外測定装置に接続したコンピュータ上で任意に設定した。また、蛍光信号値(励起波長620nm、測定波長670nm)を同じコンピュータ上に毎秒記録した。また、相対信号値を、PCBを含有していない対照測定液に対する百分率として求めた。
以上により、製造例2で製造したマイクロ流体デバイスを用いたPCB抽出の性能試験を行った。結果を図5及び図6に示す。
<比較例2:現行法によるPCB抽出の性能試験>
比較例2では、PCB含有ヘキサン溶液に含まれるPCBを現行法により抽出し、公知の検出方法を用いて抽出されたPCBを検出することによりその性能を評価した。
−PCB含有ヘキサン溶液の調製−
実施例2と同様の方法により、各濃度のPCB含有ヘキサンを調製した。
−PCB抽出−
現行法である「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第2版)(平成22年6月、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)」に記載の高濃度硫酸シリカゲルカラム処理における[濃縮・分配]の欄に記載された方法により、各濃度に調製した前記PCB含有ヘキサン溶液から前記PCBを抽出し、回収した。
−PCB検出工程−
実験例2と同様の方法により、前記回収したPCBの検出を行った。結果を図5及び図6に示す。
<<試験例2の試験結果>>
本発明のPCB抽出装置におけるガラス製マイクロ流体デバイスを利用したDMSO分配に対する濃度依存、及び現行法で前処理及び調製した溶液を供した場合の濃度依存を図5に示す。抗体の半分が反応するPCB濃度をIC50濃度とし、それぞれの校正曲線よりIC50濃度を算出した。図5より、本発明のガラス製マイクロ流体デバイスを利用した場合、PCB検出の測定可能な濃度範囲が、0.034ppm〜1.34ppmであり、校正曲線からIC50濃度を算出すると0.23ppmとなることがわかった。このことから、本発明のPCBマイクロ流体デバイスを用いてPCB含有ヘキサン溶液からPCBを抽出した後、抽出されたPCBを検出すると、現行法よりも3倍程度高感度にPCBを検出できることがわかった。
また、現行法によるPCB検出は、前処理した70μLのDMSOを約70倍希釈したものを測定液として用いた。これに対し、本発明によるPCB検出は、7μLのDMSOを約240倍希釈したものを測定液として用いた。現行法によるPCB検出で用いた測定液と、本発明によるPCB検出で用いた測定液とでは、DMSOの希釈率が約3.4倍異なっていた。それにも関わらず、本発明によるPCB検出の方が、現行法によるPCB検出よりも高感度でPCBを検出できることがわかった。これは、本発明によるPCB検出が、マイクロ流体デバイスを用いてフロー式でPCB抽出を行ったことにより、測定液中のPCBが濃縮されて抽出されたからである。
よって、図6にも示したように、現行法よりも本発明のガラス製マイクロ流体デバイスを用いることにより、10倍程度のPCB濃縮抽出が可能となり、PCB抽出処理の高効率を実現することができた。また、本発明は、マイクロ流体デバイスを用いてPCB抽出を行うことにより、現行法で必須となっていたエバポレーターによるPCBの濃縮工程を経ずにPCBの濃縮を行うことができるため、PCB抽出処理の簡便化、迅速化等も可能となった。
(試験例3:キャピラリーカラムの性能評価)
試験例3では、PCB抽出装置に用いるキャピラリーカラムの発煙硫酸含浸シリカゲルの充填量の違いによるPCB回収率の性能を評価した。
<実施例3:キャピラリーカラムの性能試験>
−キャピラリーカラムの製造−
実施例1で製造したキャピラリーカラムにおいて、発煙硫酸含浸シリカゲルの含有量を170mgから400mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてキャピラリーカラムを製造した。製造したキャピラリーカラムは、発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域における前記キャピラリーカラムの空隙率が、計算により25体積%となることがわかった。なお、ここでの空隙率は、シリカゲルの細孔容積を含む値である。
−PCBの回収−
上記製造したキャピラリーカラムを用いて、既知濃度のPCBを含有する絶縁油中に含まれるPCBを回収した。まず、PCB含有絶縁油(PCB濃度:0.41mg/kg)25μLを前記キャピラリーカラムの先端に添着した。このとき、前記キャピラリーカラムに含有される無水硫酸ナトリウムと前記PCB含有絶縁油とを接触させないように添着した。次に、前記キャピラリーカラムの先端から流量を0.6mL、0.8mL、及び1.0mL、流速を100μL/min、300μL/min、及び500μL/minに設定してヘキサンを送液した。前記ヘキサンを送液することにより、前記絶縁油中に含まれる妨害成分を前記キャピラリーカラムにより分解及び吸着させた。そして、前記キャピラリーカラムの下流側から前記PCBを含むヘキサンを溶出させて、PCB回収溶液とした。なお、送液にはマイクロシリンジ(1001TLL,Hamilton社製)とマイクロシリンジポンプ(KDS210,KD Scientific社製)を用いた。カラムとシリンジを接続するため、上流側に高速液体クロマトグラフィー用のコネクター(P302,P300,P−628,Upchurch Scientific社製)を装着した。
−PCB回収率の測定−
前記PCB回収溶液中に含まれるPCB量をイムノアッセイにより定量して、その回収率を算出することにより、キャピラリーカラムの性能を試験した。まず、前記PCB回収溶液(全量)を2mLのマイクロチューブに回収し、ジメチルスルホキシド(DMSO)(25μL)を加え、温風によりヘキサンを蒸発させた。ヘキサンの蒸発後、ボルテックスミキサーにて1分間攪拌し、回収したPCBをDMSOに分配させた。この分配液を遠心分離機にて遠心分離(10,000rpm、1分間)した後、下相のDMSOを18μL採取した。採取したDMSOを、0.1質量%のPBS−BSA、DMSO、及び抗体を加えて100倍希釈して希釈液(抗体濃度:250pmol/L、DMSO濃度:2体積%)を得た。この希釈液を結合平衡除外測定装置に供し、PCB量を測定した。なお、PCB量を測定する際に用いた抗体、固相担体、及び結合平衡除外測定装置は、実施例2と同様のものを使用した。また、回収率の測定は3回行い、その平均値を用いた。結果を図7Aに示す(図7A中、エラーバーは標準偏差を示す)。
<実施例4:キャピラリーカラムの性能試験>
−キャピラリーカラムの製造−
実施例1と同様の方法により、キャピラリーカラム(発煙硫酸含浸シリカゲルの含有量:170mg)を製造した。実施例4のキャピラリーカラムは、前記発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域における前記キャピラリーカラムの空隙率が、計算により69体積%となることがわかった。なお、前記空隙率は、シリカゲルの細孔容積を含む値である。
−PCBの回収−
前記キャピラリーカラムに含有される無水硫酸ナトリウムと前記PCB含有絶縁油とを接触させて添着したこと以外は、実施例3と同様の方法により、PCB含有絶縁油(PCB濃度:0.41mg/kg)25μLから、PCB回収溶液を得た。
−PCB回収率の測定−
実施例3と同様の方法により、PCB回収溶液におけるPCB回収率を測定した。結果を図7Bに示す(図7B中、エラーバーは標準偏差を示す)。
<<試験例3の試験結果>>
実施例3のキャピラリーカラムを用いて、流量を0.6mLに設定してPCBを回収した場合、PCBの回収率が42%〜51%となり、流量を0.8mL以上に設定してPCBを回収した場合、PCBの回収率が50%以上となった。
一方、実施例4のキャピラリーカラムを用いて、流量を0.6mLに設定してPCBを回収した場合、PCB回収率が47%〜53%となったが、流量を0.8mL以上に設定してPCBを回収すると、50%以下の回収率となった。
実施例3のキャピラリーカラムにおける前記空隙率は30体積%以下であり、実施例4のキャピラリーカラムにおける前記空隙率は60体積%以上である。キャピラリーカラムにおける発煙硫酸含浸シリカゲル領域の空隙率を30体積%以下にすると、絶縁油分解能が向上し、PCB回収率が高くなることがわかった。
実施例4では、カラムにPCB含有絶縁油を通液する際、前記無水硫酸ナトリウムと前記PCB含有絶縁油とを接触させた後、ヘキサンにより前記PCB含有絶縁油を送液させる手法をとった。その結果、実施例4では、PCB溶出が遅いために多量のヘキサンが必要となった。これは、前記無水硫酸ナトリウムと前記PCB含有絶縁油とを接触させることで、毛管力により絶縁油が移動してしまうからである。
一方、実施例3では、前記PCB含有絶縁油をキャピラリーカラムに通液する際、前記キャピラリーカラムに含有される前記無水硫酸ナトリウムと前記PCB含有絶縁油とが直接接触しないよう、前記PCB含有絶縁油を前記キャピラリーカラムの先端に添着させた後、ヘキサンにより前記PCB含有絶縁油を送液させる手法をとった。その結果、PCB溶出時間が実施例4よりも短時間となるだけでなく、送液するヘキサン量も最小限に留めることができた。また、前記キャピラリーカラムに含有される発煙硫酸含浸シリカゲルのSOガスと、前記PCB含有絶縁油との接触時間が従来の4分の1である1分間に短縮され、前記キャピラリーカラムにより前記PCB含有絶縁油が効率的に分解され、大幅な分解時間の短縮を実現することができた。
(試験例4:PCB抽出装置の性能評価)
試験例4では、本発明によるPCB検出と現行法によるPCB検出とを比較し、最終的に得られるPCBの検出感度を比較した。
<実施例5>
−PCB抽出装置の製造−
キャピラリーカラムとマイクロ流体デバイスとを図8に示すように連結することによりPCB抽出装置を製造した。
−−キャピラリーカラムの製造−−
実施例3と同様の方法により、キャピラリーカラム(発煙硫酸含浸シリカゲルの含有量:400mg、空隙率:25体積%)を製造した。
−−マイクロ流体デバイスの製造−−
実施例2で製造したマイクロ流体デバイスにおいて、マイクロ流体デバイスの流路の幅が260μm、流路の深さが50μm、流路の長さが57cm、PCB抽出室の幅が520μm、PCB抽出室の深さが50μm、PCB抽出室が1,212個、及びPCB抽出室1個あたりの体積が12.2nLとなるように設計したこと以外は、実施例2と同様にして製造した(図2B参照)。導入孔及び排出孔部分にネジ穴を設けたアルミ製の冶具にマイクロ流体デバイスをセットした。排出孔にはフェラル及びステンレス製ネジにPEEKチューブ(内径0.26mm×外径0.5mm)を差し込み、前記マイクロ流体デバイスとチューブを接続した。前記導入孔には、アップチャーチ社製コネクタ(P−200及びP−206)に前記キャピラリーカラムのテフゼルチューブを差し込むことでマイクロ流体デバイスとチューブとを接続した。送液には、マイクロシリンジ(1001TLL、Hamilton社製)及びマイクロシリンジポンプ(KDS210、KD Scientific社製)を用いた。前記キャピラリーカラムとシリンジとの接続には、アップチャーチ社製コネクタ(P−628)を用いた。
−PCB抽出及びPCB検出−
製造したPCB抽出装置を用いて、各濃度のPCB含有絶縁油(PCB濃度:0.216mg/kg、0.414mg/kg、0.777mg/kg、1.940mg/kg、5.638mg/kg)から前記PCBを抽出し回収した。そして、回収したPCB回収溶液中に含まれるPCB濃度を結合平衡除外測定装置(KinExA 3000,Sapidyne Instrument社製)により測定した。各測定は3回繰返し測定の平均値を示した。結果を図9に示す。なお、図9中、エラーバーは標準偏差を示す。
<比較例3>
−PCB抽出及びPCB検出−
現行法である「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第2版)(平成22年6月、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)」に記載の高濃度硫酸シリカゲルカラム処理における[濃縮・分配]の欄に記載された方法により、各濃度のPCB含有絶縁油(PCB濃度:0.10mg/kg、0.30mg/kg、0.50mg/kg、1.00mg/kg、2.00mg/kg、10mg/kg)から前記PCBを抽出し回収した。そして、回収したPCB回収溶液中に含まれるPCB濃度を、携帯型測定装置(イムニー)により測定した。各測定は3回繰返し測定の平均値を示した。結果を図9に示す。なお、図9中、エラーバーは標準偏差を示す。
<<試験例4の評価結果>>
図9の縦軸は、各測定装置(実施例5:結合平衡除外測定装置、比較例3:携帯型測定装置)により検出された相対信号値を表す。この相対信号値から前記PCB回収溶液中におけるPCB濃度がわかる。本試験例では、この相対信号値が10%〜90%の範囲にあるものを測定可能範囲とした。また、抗原抗体反応させたサンプル溶液中の抗体の半分が反応するPCB濃度をIC50濃度とし、それぞれの校正曲線よりIC50濃度を算出した。図9より、本発明のマイクロ流体デバイスを利用した場合(図9中、「●」は本法を示す)、PCB検出の測定可能な濃度範囲が、0.12mg/kg〜6.79mg/kgであり、校正曲線からIC50濃度を算出すると0.68mg/kgとなることがわかった。また、現行法(図9中、「○」は現行法を示す)によるPCB検出は、校正曲線から0.69mg/kgとなることがわかった。
よって、本発明のマイクロ流体デバイスを利用すると現行法と同程度の感度が得られることがわかった。
本発明によるPCB抽出から検出までにかかった処理時間は、キャピラリーカラムでの処理時間が1分間であり、マイクロ流体デバイスでの処理時間が18分間であるため、合計19分間であった。一方、現行法によるPCB抽出から検出するまでにかかった処理時間は、「絶縁油中の微量PCBに関する簡易測定法マニュアル(第2版)(平成22年6月、環境省廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課)」をもとに算出すると21分間であった。現行法において、遠心エバポレーターの真空引きなどにかかる時間を考慮すると、66分間となる。
よって、本発明のPCB抽出装置を用いると、現行法と同程度の感度でありながら、現行法よりも簡便かつ迅速にPCBを検出することができることがわかった。また、図8に示すように、本発明のマイクロ流体デバイスとキャピラリーカラムとを直接連結させてPCB抽出を行った場合、連結させずにPCB抽出を行ったときよりも、PCBの抽出効率が格段に高くなることがわかった。
本発明のPCB抽出装置は、前記キャピラリーカラムを用いることにより、絶縁油からのPCB抽出に必要な試薬量の大幅な低減による低コスト化を実現することができた。
また、本発明のPCB抽出装置は、前記マイクロ流体デバイスを用いることにより、PCB抽出処理の簡便化、迅速化、高効率化等を実現することができるため、絶縁油に微量に含有されているPCBの検出に好適に使用することができる。
1 PCBを含有する絶縁油
2 無水硫酸ナトリウム
3 発煙硫酸含浸シリカゲル
4 無水硫酸ナトリウム
5 アミノプロピルシリカゲル
6 ガラス繊維
10 キャピラリーカラム
15 カラム
20 マイクロ流体デバイス
20A PCB抽出室
20B 流路

Claims (9)

  1. 絶縁油中に含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)を抽出するPCB抽出装置であって、
    前記絶縁油を分解するキャピラリーカラムと、
    前記キャピラリーカラムにより分解された前記絶縁油からPCBを抽出するマイクロ流体デバイスと
    有してなり、
    前記マイクロ流体デバイスが、前記絶縁油を流通させる流路と、
    前記流路に交差する方向に延設され、前記絶縁油に含まれる前記PCBを抽出しうるPCB抽出溶媒を満たしたPCB抽出室と
    有することを特徴とするPCB抽出装置。
  2. PCB抽出室が、ガラスにより形成される請求項1に記載のPCB抽出装置。
  3. PCB抽出室の形状が、略半球状及び略角柱状の少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のPCB抽出装置。
  4. 一対のPCB抽出室が流路に対向して延設され、該一対のPCB抽出室を複数有する請求項1から3のいずれかに記載のPCB抽出装置。
  5. キャピラリーカラムの内径が、0.5mm〜5.0mmである請求項1から4のいずれかに記載のPCB抽出装置。
  6. キャピラリーカラムが、発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域を有し、
    前記発煙硫酸含浸シリカゲルを含有する領域における前記キャピラリーカラムの空隙率が、30体積%以下である請求項1から5のいずれかに記載のPCB抽出装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のPCB抽出装置と、該PCB抽出装置により抽出されたPCBを検出するPCB検出手段とを有することを特徴とするPCB検出装置。
  8. 請求項7に記載のPCB検出装置を用いるPCB検出方法であって、
    PCB抽出装置におけるマイクロ流体デバイスの流路及びPCB抽出室にPCB抽出溶媒を導入し、前記マイクロ流体デバイスの前記流路に、PCBを含有する絶縁油を流通させ、前記PCB抽出室において、前記絶縁油中に含まれる前記PCBを前記PCB抽出溶媒で抽出するPCB抽出工程と、
    抽出した前記PCBを検出するPCB検出工程と、を含むことを特徴とするPCB検出方法。
  9. PCB抽出溶媒が、ジメチルスルホキシドである請求項8に記載のPCB検出方法。
JP2012069155A 2011-03-24 2012-03-26 Pcb抽出装置、並びにこれを用いた、pcb検出装置及びpcb検出方法 Active JP5947076B2 (ja)

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