以下で説明する各実施形態では、例として、本発明に係る表示装置を、スマートフォンに適用した場合について説明する。しかしながら、本発明に係る表示装置は、これに限定されず、携帯電話、タブレットPC、PDA(Personal Digital Assistant)、電子書籍リーダ、ゲーム機器など、表示部の画面上において所定の頻度で複数の画像を切り替えて表示する機能を有するあらゆる表示装置に適用することができる。
なお、本明細書において、表示部の画面上において所定の頻度で画像が切り替えて表示される領域(以下、画像領域300と称する(図3参照))とは、典型的には、JavaScript(登録商標)によってアニメーション化された広告、Gifアニメーションによる絵文字またはアイコン等の表示対象物を表示する領域であって、複数のフレームにそれぞれ対応した複数の画像が切り替えて表示される領域である。
また、本明細書において単に「スマートフォン(表示装置)100」と表記するときは、後述するスマートフォン100A、100Bおよび100Cの総称として用いるものとする。
〔第1の実施形態〕
(実施例1)
本発明の一実施形態の一実施例について、図1〜図4を参照して説明する。本実施形態に係るスマートフォン100をスマートフォン(表示装置)100Aと表記する。画像領域300は、表示部12の画面上の少なくとも一部分において、複数の画像が切り替えて表示される領域である(図3参照)。
なお、一般的なスマートフォンが有する構成において、画像領域300における画像の切り替え処理は、以下の手順で実行される。
本処理の前提として、表示部12には、画像領域300を含む画面全体の画像が既に表示されているものとする。なお、上記の「画像」には、文字列の画像を含むあらゆる表示対象が含まれる。
画像領域300に複数の画像を切り替えて表示させるためのアプリケーションを制御する制御部は、画像領域300において表示される画像が切り替えられる場合に、スマートフォンが備える描画システムに対して、表示部12の画面上における画像領域300の再描画を要求する信号である描画要求を出力する。この描画要求が出力される頻度は、JavaScript(登録商標)のタイマー(例としてsetTimeout等の命令)によって決定される構成であってもよい。
なお、本明細書における「再描画」とは、表示部12の画面上に既に表示されている画像の少なくとも一部である画像領域300について、表示内容を更新する、すなわち、表示画像を切り替えさせる処理である。上記再描画を要求する描画要求は、画像領域300の位置およびサイズを特定する情報を含む。上記画像領域300の位置およびサイズを特定する情報は、例えば、invalidate等のAPI(Application Programming Interface)によって通知される。具体的には、描画要求は、例えば、invalidate(x,y,h,w)のように、再描画を要求する領域、すなわち画像領域300の位置およびサイズを特定する情報を伴って描画システムに対し出力される。なお、xおよびyはそれぞれ、表示部12の画面をx−y平面として表現した場合の、画像領域300の原点(例えば矩形の左上の頂点)のx座標およびy座標、hは画像領域300の高さ、wは画像領域300の幅を示す。描画システムは、当該描画要求に応じて、画像領域300の再描画を実行する。
より具体的には、描画システムは、描画要求をトリガとして、描画要求を出力したアプリケーションの描画メソッド(例としてAndroid(登録商標)等におけるonDraw)を呼び出す。そして、該呼び出された描画メソッドにより生成された画像(例として、Android(登録商標)等におけるCanvasに描画させた画像)を、画像領域300に表示させる。
なお、描画システムは、描画要求によって特定される画像領域300以外の表示部12の画面上の領域については、既に描画されている画像(例としてAndroid(登録商標)等におけるCanvasに描画させた画像)を取得する。
(スマートフォン100Aの機能概要)
スマートフォン100Aの機能について概説する。スマートフォン100Aは、一般的なスマートフォンと同様、表示部12の画面上の画像領域300において、複数の画像を所定の頻度で切り替えて表示する機能を有する。スマートフォン100Aはさらに、ユーザが注視していると予想される表示部12の画面上の領域である注視領域(有効区画)301(図3(b)参照)を規定し、該規定した注視領域301に、画像領域300が含まれているか否かを判定する。そして、画像領域300が注視領域301に含まれていないと判定した場合は、当該画像領域300の再描画を要求する描画要求を無効とし、再描画を実行しない。一方、画像領域300が注視領域301に含まれていると判定した場合は、当該画像領域300の再描画を要求する描画要求を受け入れ、再描画処理を実行する。これにより、ユーザが注視していないと予想される画像領域300における表示の更新処理を抑止し、消費電力を低減するものである。
ここで、本明細書において、ユーザが注視していると予想される表示部12の画面上の領域である注視領域301とは、例えば、図3(b)および図3(c)に示すように、表示部12の画面を縦に3分割したうちの中央の1つの領域であってもよい。別の例として、表示部12の画面を3×3に分割した9個の領域のうち、画面中央を含む1つの区画を注視領域301としてもよく、画面が何個の区画に分割されるかは、表示部12の画面の大きさおよび表示対象の視認性に応じて適宜変更されればよい。また、図5に示すように、Eメール等のアプリケーション上で割り当てられた所定の領域(同図では本文の表示領域(有効領域)301a)を注視領域301としてもよい。注視領域301は、スマートフォン100Aの製造段階で予め上記のように設定されていてもよいし、ユーザが画面上の所望の領域を注視領域301として設定可能な構成であってもよい。
なお、以下の図面において同一の部分には、同一の参照符号を付すものとし、それらの説明は重複して行なわない。また、図面における長さ、大きさおよび幅などの寸法関係ならびに形状は、図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法および形状を表してはいない。
(スマートフォン100Aにおける表示例)
図3を参照して、一般的なスマートフォンと、本実施形態に係るスマートフォン100Aとにおける画像領域300における複数の画像の切り替え表示の態様の違いについて説明する。
図3(a)は、一般的なスマートフォンにおいて、ウェブブラウザでウェブページを表示する際の表示例を、画像領域300とともに示す図である。同図において、ウェブページは、例として、HTML(HyperText Markup Language)およびCSS(Cascading Style Sheets)等で記述されたコンテンツであり、画像領域300において複数の画像を切り替えて表示させるアニメーション広告を含む。
図3(a)に示す例においては、画像領域300の再描画を要求する描画要求は、当該スマートフォンにおいて全て(スマートフォンが処理するデフォルトの頻度で)受け入れられ、画像領域300の再描画が実行される。すなわち、画像領域300において複数の画像がアニメーションとして表示される。この構成では、例えば、画面上の中央付近に表示されたウェブページ中の文章にユーザの意識が集中しており、画像領域300を注視していない場合に、画像領域300において画像を切り替えて表示するという、ユーザにとって重要度の低い処理による電力の消費が生じ得る。
図3(b)は、スマートフォン100Aにおける、図3(a)と同様のウェブページの表示例を、画像領域300および注視領域301とともに示す図である。同図において、注視領域301は、表示部12の画面の横軸をx軸、縦軸をy軸としたとき、それぞれx軸に平行な第1の境界線303および第2の境界線304によって、3つの区画に分割された表示部12の画面内の中央の区画である。なお、第1の境界線303および第2の境界線304は、画面をy軸方向に均等に分割するものである必要はなく、境界線303および304の位置は、表示部12の画面の大きさおよびユーザにとっての見易さ等を考慮し、適宜変更されればよい。また、1つの境界線によって画面を上下2つの区画に分割し、上半分を注視領域301としてもよく、画面を何個の区画に分割するかは適宜変更可能である。また、注視領域301を画定する境界線の方向は、同図に示すようなx軸方向のみの一方向には限定されず、y軸に平行な境界線が規定されてもよいし、または、x軸およびy軸にそれぞれ平行な複数の境界線が規定されてもよい。あるいは、x軸およびy軸のいずれとも平行でない境界線が規定されてもよい。また、注視領域301は矩形でなくともよく、例えばひし形等であってもよい。さらに、注視領域301を画定する境界線は曲線であってもよく、例えば、注視領域301は円形、楕円形等であってもよい。
図3(b)に示す例においては、画像領域300は注視領域301に含まれていない。そして、スマートフォン100Aは、注視領域301に含まれていない画像領域300の再描画を要求する描画要求を無効とし、再描画を実行しない。すなわち、同図に示す例において、画像領域300において、複数の画像のうち既に表示されている1の画像が静止画として表示される。別の例として、スマートフォン100Aは、注視領域301に含まれていない画像領域300の再描画を要求する描画要求を、図3(a)に示す例よりも低い頻度で有効とし、当該頻度にて再描画を実行してもよい。この場合は、画像領域300において、複数の画像が、図3(a)に示す例と比較してフレーム数が減少したアニメーションとして表示される。
上述のように、ユーザが注視していないと考えられる画像領域300について、再描画を要求する描画要求を無効とする、または該描画要求を有効として画面の再描画を行う頻度を低下させる構成により、ユーザのウェブページの閲覧において、利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。
一方で、ユーザが注視領域301外の画像領域300に静止画として表示されている広告に興味を持ち、該広告をデフォルトのフレーム数のアニメーションとして閲覧することを所望する状況も考えられる。
上記のような状況において、ユーザは、タッチパネル1に対するフリック操作等により、画像領域300の少なくとも一部を注視領域301内に移動させることで、画像領域300に表示されている広告を、デフォルトのフレーム数のアニメーションとしてスマートフォン100Aに表示させることが可能である。上記の操作を行った場合のスマートフォン100Aによる表示の一例を図3(c)に示す。
図3(c)は、図3(b)の状態から、タッチパネル1に対し、図中黒矢印の方向にフリック操作が行われ、ウェブページが図中白矢印の方向にスクロールした状態の表示例を示す図である。同図において、画像領域300は、ウェブページのスクロールに伴い、注視領域301に含まれている。画像領域300が注視領域301に含まれていることにより、当該画像領域300の再描画を要求する描画要求は全て有効となり、画面の再描画が実行される。すなわち、画像領域300に表示される広告は、図3(a)に示す例と同様に、デフォルトのフレーム数のアニメーションとして表示される。
(スマートフォン100Aの構成)
次に、図1を参照して、スマートフォン100Aの構成について説明する。図1は、スマートフォン100Aの要部構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すとおり、スマートフォン100Aは、少なくとも、タッチパネル1、制御部2、記憶部3、および、通信部4を備えている。さらに、スマートフォン100Aは、スマートフォンが通常具備する機能として、例えば、タッチパネルとは別の操作部(ボタン、スイッチなど)、近距離無線通信部、音声出力部、音声入力部、外部インターフェース、通話処理部、撮像部(レンズ・撮像素子など)、放送受像部(チューナ・復調部など)、GPS、およびセンサ(加速度センサ、傾きセンサなど)他、スマートフォンが標準的に備えている各種部品を備えていてもよい。
タッチパネル1は、ユーザの操作を受け付けるとともに、画像を表示するための入出力インターフェースである。そのために、タッチパネル1は、操作部11と表示部12とを備えて成る。
操作部11は、ユーザの指などの指示体の接触(または接近)を検知することによってユーザの操作を受け付けたことを示す指示信号を出力するものである。操作部11は、例えば、圧力センサ、静電容量センサ、光センサ等を含んで実現される。本実施形態では特に、ウェブページをスクロールさせ、画像領域300を移動させるためのフリック操作等を検知する。
表示部12は、スマートフォン100Aが扱う情報を画像として表示するものである。表示部12は、特に、ウェブページを画像として表示するとともに、画像領域300において、複数の画像を切り替えて表示する。表示部12は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で実現される。
記憶部3は、制御部2が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)制御部2が、スマートフォン100Aが有する各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。あるいは、(5)制御部2が各種機能を実行する過程で演算に使用するデータおよび演算結果等を記憶するものである。例えば、上記の(1)〜(4)のデータは、ROM(read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)(登録商標)、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置に記憶される。例えば、上記(5)のデータは、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置に記憶される。どのデータを記憶するために、記憶部3をどの記憶装置にて実現するのかについては、スマートフォン100Aの使用目的、利便性、コスト、物理的な制約等から適宜決定されればよい。
通信部4は、通信ネットワークを介して、外部の装置またはサーバ等から、スマートフォン100Aが実行する各処理に必要なデータを取得する。本実施形態では、特に、アプリケーション制御部22が制御するアプリケーションの実行する各処理において必要なデータを取得する。一例として、当該アプリケーションがウェブブラウザである例においては、通信部4は、ウェブページを取得する。別の例として、当該アプリケーションがEメールアプリケーションである例においては、通信部4は、Eメールの受信を行う。
制御部2は、スマートフォン100Aが備える各部の機能を統括し、スマートフォン100Aの動作を制御するものである。制御部2は、例えば、CPU(central processing unit)等で実現され、スマートフォン100Aが備える機能は、制御部2としてのCPUが、ROM等に記憶されているプログラムを、RAM等に読み出して実行することで実現される。制御部2は、図1に示すとおり、機能ブロックとして、少なくとも、操作取得部21、アプリケーション制御部22、描画要求部23、画像領域特定部(検出手段)24、切り替え頻度調整部(頻度調整手段)25、および、表示制御部(表示制御手段)26を含む構成である。
操作取得部21は、操作部11から出力される指示信号を受け付け、ユーザの指などの指示体が表示部12の表示面に接触(または接近)した位置の座標を特定する。また、上記指示信号を時系列で受け付け、接触位置の軌跡の座標を時系列で特定することによって、ユーザの操作の継続時間および接触位置の移動を検知し、ユーザの操作の種別(タップ、長押し、フリック、およびドラッグ等)を識別する構成であることが望ましい。本実施形態では、特に、ウェブページをスクロールさせ、画像領域300を移動させるためのフリック操作を受け付ける。なお、操作取得部21が特定した接触位置の座標情報およびユーザの操作の種別は、操作情報として、アプリケーション制御部22に供給される。
アプリケーション制御部22は、スマートフォン100Aに搭載されている各種のアプリケーションの動作を制御し、画像領域300において複数の画像を切り替えて表示部12に表示させるための出力情報を生成する。具体的には、図3に示す例では、当該アプリケーションはウェブブラウザであり、アプリケーション制御部22は、操作取得部21から取得した操作情報に基づいて、表示対象であるウェブページを、通信部4を介してサーバに要求し、取得する。そして、アプリケーション制御部22は、上記ウェブページから、表示部12の画面上において表示させるための表示用情報を生成する。上記表示用情報は、ウェブページが通信部4を介して取得されたのち、一旦、表示制御部26に対し供給され、表示制御部26は、該表示用情報に基づき、表示部12にウェブページを表示させる。
なお、本実施形態では、上記表示用情報は、ウェブページを画像として表示部12に表示させるための描画コマンド等を含む。また、上記表示用情報は、表示部12による表示対象となるウェブページの範囲を示す情報を含み、アプリケーション制御部22は、操作取得部21から取得した操作情報に基づき、上記表示用情報を更新する。具体的には、例えば、図3(c)に示すように、タッチパネル1に対する図中黒矢印の方向のフリック操作により、ウェブページが図中白矢印の方向にスクロールした場合、該移動に伴ってウェブページの表示対象となる範囲を示す情報を更新する。アプリケーション制御部22は、描画要求部23を備える。
描画要求部23は、画像領域特定部24に対し、描画要求を出力する。具体的には、描画要求部23は、アプリケーション制御部22が生成および更新した表示用情報に基づき、ウェブページのうち、表示内容に変更がある領域について、当該領域の再描画を要求する描画要求を、画像領域特定部24に対し出力する。
特に、ウェブページの一部において、表示される画像が所定の頻度で切り替えられる領域については、描画要求部23は、当該表示用情報に示される上記頻度に応じて、上記描画要求を画像領域特定部24に対し出力する。
上記描画要求は、例えば、invalidate(x,y,h,w)のように、当該領域の原点(例として矩形領域の左上の頂点)の座標(x,y)と、幅wおよび高さhとを特定する情報とを伴って出力される。上記xおよびyは、アプリケーション制御部22による表示用情報の更新に伴い更新される。
なお、上記表示用情報のうち、当該領域において切り替えて表示される複数の画像、および、該切り替えの頻度を示す情報は必ずしも通信部4を介して取得されずともよい。例えば、当該領域において、Eメールの文章中に含まれるGifアニメーションによる絵文字が表示される場合には、上記複数の画像、および該画像の切り替えの頻度は、記憶部3から取得されてもよい。この例では、表示用情報には、どの種類の絵文字を当該領域に表示させるかを指定する情報が含まれていればよい。
画像領域特定部24は、画像領域300を特定する。具体的には、画像領域特定部24は、描画要求部23から、全く同一の位置およびサイズの領域について、再描画を要求する描画要求が複数回、例えば2回以上出力された場合に、当該描画要求に係る領域を画像領域300として特定する。該特定した画像領域300の位置およびサイズは、当該画像領域300に係る描画要求とともに、切り替え頻度調整部25に通知される。
なお、画像領域300について、初回の再描画を要求する描画要求のみでは、画像領域特定部24は、当該領域において複数の画像が切り替えて表示されるか否かを知り得ず、上記の判定を行うことができない。そのため、画像領域特定部24は、所定の領域について初回の描画要求が取得された場合には、画像領域300の特定を行わずに、該初回の描画要求を表示制御部26にそのまま出力してもよく、表示制御部26は、該初回の描画要求に応じて画像領域300の再描画を実行してもよい。
別の例として、画像領域特定部24は、初回の描画要求から次の描画要求を取得し判定するまでの許容期間を設け、同一の領域についての描画要求が取得されないまま上記許容期間が経過した場合に、該初回の描画要求を表示制御部26にそのまま出力してもよい。これにより、スマートフォン100Aは、当該許容期間よりも短い期間で画像が切り替えられる画像領域300については、初回の再描画に係る処理負荷を抑えながら、画像領域300の特定以降の処理を実行することができる。
切り替え頻度調整部25は、画像領域300における画像の切り替えの頻度を調整する。具体的には、切り替え頻度調整部25は、画像領域特定部24から通知された画像領域300の位置およびサイズに基づき、画像領域300が、注視領域301に含まれているか否かを判定する。画像領域300が注視領域301に含まれていると判定すると、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し、画像領域特定部24から取得した描画要求を出力する。画像領域300が注視領域301に含まれていないと判定すると、切り替え頻度調整部25は、描画要求の出力を行わない。
あるいは、切り替え頻度調整部25は、画像領域300が注視領域301に含まれていないとの判定が所定回数連続して行われた場合に、直近に取得した描画要求を表示制御部26に対し出力してもよい。上記所定回数をn回(nは2以上の任意の整数)と表記すると、切り替え頻度調整部25は、描画要求を、n回に1回の頻度で表示制御部26に出力する。この構成では、画像領域300において切り替えて表示される複数の画像は、画像領域特定部24から取得した描画要求を全て有効とした場合と比較して、フレーム数が1/nに減少したアニメーションとなる。
切り替え頻度調整部25による判定処理の例について、図4を参照してより具体的に説明する。図4は、表示部12の画面上における、注視領域301、ならびに、注視領域301を画定する第1の境界線303および第2の境界線304を、画像領域300とともに示す図である。同図において、幅wおよび高さhを有する画像領域300の左上の頂点の座標を(xA,yA)としたとき、画像領域300の上辺E1を規定する直線の式はy=yAとなり、下辺E2を規定する直線の式はy=yA−hとなる。また、第1の境界線303を規定する直線の式をy=y303、第2の境界線を規定する直線の式をy=y304とする。
上記のように各直線を規定したとき、切り替え頻度調整部25は、yA<y304またはy303<yA−hのいずれかが成立するか否かを判定する。上記2式のいずれかが成立すれば、画像領域特定部24は、画像領域300が注視領域301に含まれていないと判定する。図4に示す例では、yA<y304が成立するため、画像領域特定部24は、画像領域300が注視領域301に含まれていないと判定し、画像領域300に係る描画要求を表示制御部26に対し出力しない、または、該描画要求を表示制御部26に対し出力する頻度を低下させる。
なお、上記は切り替え頻度調整部25が行う判定処理の一例であり、注視領域301を規定する境界線はx軸に平行な直線に限定されず、y軸に平行な直線であってもよいし、x軸およびy軸にそれぞれ平行な複数の直線であってもよい。また、上記のy303およびy304はスマートフォン100Aの製造段階で予め設定されていてもよいし、ユーザが所望に応じて変更できる構成であってもよい。
なお、注視領域301を規定する境界線は、x軸およびy軸のいずれとも平行でない直線であってもよい。また、注視領域301は矩形でなくともよく、例えばひし形等であってもよい。さらに、注視領域301を画定する境界線は曲線であってもよく、例えば、注視領域301は円形、楕円形等であってもよい。
また、切り替え頻度調整部25は、注視領域301をさらに細分化し、注視領域301内のどの領域に画像領域300が含まれるかに基づいて、該画像領域300に係る描画要求を有効とする頻度を調整してもよい。具体的には、例えば、画面をy軸方向に5区画に分割した場合に、中心付近の3区画を注視領域301とした上で、さらに、当該3区画のうち、画面中心を含まない2区画について、当該2区画に含まれる画像領域300に係る描画要求を有効とする頻度を、画面中心を含む1区画と、画面の上下両端の2区画との中間の頻度に設定してもよい。この構成によれば、画面の中心から遠い画像領域300ほど、画像が切り替えて表示される頻度が低下するため、頻度が注視領域301内外の2段階に設定される構成よりも、ユーザにとってシームレスな閲覧が実現される。なお、本構成においても、画面が分割される区画数は5に限定されず、また、分割方向も1方向に限定されないことは、先に述べたとおりである。
再び図1を参照して、スマートフォン100Aの構成について説明する。
表示制御部26は、表示部12に対して、各種情報を画像として表示するための信号を出力するものである。本実施形態では特に、切り替え頻度調整部25から出力された描画要求に基づき、表示部12に対して、画像領域300において、画像を切り替えて表示するための信号を出力する。なお、表示制御部26は、上記描画要求を取得した後、既に描画されている画像(例としてAndroid(登録商標)等におけるCanvas)をアプリケーション制御部22から取得し、該描画要求において特定された領域についてのみ再描画を行う。これにより、画面の更新処理は全体であっても、表示部12に表示させる画像を作成する際に、画像領域300以外の領域の表示内容を再利用するため処理負荷が抑えられる。
(スマートフォン100Aにおける処理の流れ)
図2を参照して、スマートフォン100Aにおける処理の流れの一例を説明する。
図2は、スマートフォン100Aにおける、画像領域300の再描画の頻度を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、本フローチャートは、描画要求部23から、画像領域300の再描画を要求する描画要求であって、少なくとも2回目以降の描画要求が出力された時点で開始される構成が好ましい。
まず、画像領域特定部24は、描画要求を取得する(S101)。具体的には、画像領域特定部24は、描画要求部23から出力された描画要求を取得する。
次に、画像領域特定部24は、画像領域300を特定する(S102:検出ステップ)。具体的には、画像領域特定部24は、ステップS101で取得した描画要求において特定される、再描画を要求する領域が、既に取得した描画要求において特定された領域と同一であることを認識し、当該領域を画像領域300として特定する。該特定した画像領域300の位置およびサイズ(原点座標、幅および高さ)は、当該画像領域300に係る描画要求とともに、切り替え頻度調整部25に通知される。
次に、切り替え頻度調整部25は、画像領域300が、(A)表示部12の画面の一部であり、かつ(B)注視領域301外であるか否かを判定する(S103:頻度調整ステップ)。
(A)について、切り替え頻度調整部25は、まず、ステップS102において画像領域特定部24が特定した画像領域300が、表示部12の全体に表示されるものであるか否かを判定する。具体的には、図4を参照して説明すれば、切り替え頻度調整部25は、画像領域300の上下左右の各辺と、表示部12の画面を画定する上下左右の各辺との位置関係を参照し、画像領域300が表示部12の画面全体を含むか否かを判定する。画像領域300が表示部12の画面全体を含む、すなわち、画像領域300について(A)が不成立である場合(S103でNO)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し描画要求を出力し、本フローチャートに係る処理はステップS104(表示制御ステップ)に移行する。
一方、画像領域300が表示部12の画面全体を含まない、すなわち、画像領域300が表示部12の画面の一部であると判定された場合、画像領域300について(A)が成立すると判定される。画像領域300について(A)が成立するとき、次に、(B)について、切り替え頻度調整部25は、画像領域300が注視領域301に含まれているか否かを判定する。具体的には、図4を参照して説明すれば、切り替え頻度調整部25は、yA<y304またはy303<yA−hのいずれかが成立するか否かを判定する。上記2式がいずれも成立しない、すなわち、画像領域300について(B)が不成立である場合(S103でNO)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し描画要求を出力し、本フローチャートに係る処理はステップS104に移行する。
画像領域300について、(A)または(B)が不成立である場合(S103でNO)、表示制御部26は、描画要求に応じて、画像領域300の再描画を行う(S104)。具体的には、表示制御部26は、ステップS103において切り替え頻度調整部25が出力した描画要求に基づき、表示部12に対して、画像領域300において、画像を切り替えて表示するための信号を出力する。
一方、(B)について、yA<y304またはy303<yA−h(図4参照)のいずれかが成立すれば、画像領域特定部24は、画像領域300について(B)が成立すると判定する(S103でYES)。図4に示す例では、yA<y304が成立するため、画像領域特定部24は、画像領域300について(B)が成立すると判定する。画像領域300について(A)および(B)が同時に成立すると判定されると(S103でYES)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し、画像領域300の再描画を要求する描画要求の出力を行わず、本フローチャートに係る処理は終了する。あるいは、切り替え頻度調整部25は、画像領域300について(A)および(B)が同時に成立するとの判定が所定回数連続して行われた場合に、直近に取得した描画要求を表示制御部26に出力してもよい。
(効果)
以上のように、スマートフォン100Aは、ユーザが注視していると予想される表示部12の画面上の領域である注視領域301を規定し、該規定した注視領域301に、複数の画像を所定の頻度で切り替えて表示するための画像領域300が含まれているか否かを判定する。そして、スマートフォン100Aは、画像領域300が注視領域301に含まれていないと判定した場合に、該画像領域300において表示される画像を切り替える頻度を低下させる。
これにより、スマートフォン100Aは、画像領域300における、ユーザにとって重要度の低い画像の切り替えの頻度を低下させることで、ユーザの利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。
なお、上述の記載では、注視領域301を規定し、画像領域300が注視領域301に含まれない場合に、当該画像領域300において表示される画像を切り替える頻度を低下させる例について説明した。しかしながら、スマートフォン100Aは、例えば、表示部12の画面上の注視領域301以外の領域を無効区画とし、画像領域300が当該無効区画に含まれる場合に、当該画像領域300において表示される画像を切り替える頻度を低下させる構成であってもよい。上記無効区画とは、ユーザが注視しないと予想される表示部12の画面上の領域に設定される。画像領域300における、ユーザにとって重要度の低い画像の切り替えの頻度を低下させることで、ユーザの利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減するという上述の効果は、この構成においても同様に奏される。
(実施例2)
本実施形態の別の実施例として、スマートフォン100Aは、画像領域300の全部が表示部12の画面内に含まれない、すなわち、画像領域300が表示部12の画面外にはみ出している場合に、該画像領域300において画像を切り替える頻度を低下させてもよい。
本実施例においては、注視領域301は表示部12の画面全体である。そして、切り替え頻度調整部25は、画像領域300の全部が注視領域301に含まれているか否かの判定を行う。具体的には、切り替え頻度調整部25は、画像領域特定部24が特定した画像領域300の上下左右の辺の全てが表示部12の画面内に含まれるか否かを判定する。そして、画像領域300のいずれかの辺が表示部12の画面外に存在すると判定した場合に、該画像領域300の再描画を要求する描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。
図4に示す例では、画像領域300の下辺E2が、y軸方向において表示部12の画面の下辺より下部に存在しているため、切り替え頻度調整部25は、画像領域300の再描画を要求する描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。よって、画像領域300において画像が切り替えて表示される頻度が低下する。
この構成によれば、ユーザは、画像領域300における表示内容の重要度が低いと判断したときに、フリック操作等により、画像領域300の一部を表示部12の画面外にはみ出させるという簡易な操作によって、当該画像領域300における画像の切り替えに起因する処理負荷の発生を抑止することができる。これにより、スマートフォン100Aは、ユーザの利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。
(実施例3)
本実施形態のさらに別の実施例として、スマートフォン100Aは、画像領域300において画像を表示するためのアプリケーションにおける所定の有効領域に、該画像領域300が含まれていない場合に、該画像領域300において画像を切り替える頻度を低下させてもよい。
本実施例について、図5を参照して説明する。図5は、スマートフォン100Aにおける、件名および本文にGifアニメーションによる絵文字を表示する画像領域300a1および300a2が含まれているEメール500の表示例を示す図である。
本実施例において、注視領域は表示部12の画面上の固定の領域ではなく、Eメールアプリケーションによって規定される、本文の表示領域301aである。注視領域301を本文の表示領域とする構成は、Eメールの閲覧において、ユーザにとっての重要度が高いのは本文の表示領域301aにおける表示内容であり、それ以外の、例えば件名の表示領域(無効領域)501における表示内容は、ユーザにとっての重要度が低いとの想定に基づくものである。このように、本実施例においては、注視領域301は、ユーザにとっての利便性等を考慮し、アプリケーションごとに適宜変更されることが好ましい。
本実施例に係る切り替え頻度調整部25は、画像領域300a1、300a2が本文の表示領域301aに含まれているか否かの判定を行う。具体的には、切り替え頻度調整部25は、画像領域特定部24が特定した画像領域300a1、300a2が、本文の表示領域301aに含まれるか否かを判定する。そして、画像領域300a1、300a2が本文の表示領域301aに含まれていないと判定した場合に、該画像領域300a1、300a2の再描画を要求する描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。
図5に示す例では、画像領域300a1は本文の表示領域301aに含まれており、画像領域300a2は件名の表示領域501に含まれている。よって、切り替え頻度調整部25は、画像領域300a1の再描画を要求する描画要求は全て表示制御部26に出力し、一方、画像領域300a2の再描画を要求する描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。これにより、画像領域300a2において画像が切り替えて表示される頻度が低下する。
この構成によれば、スマートフォン100Aは、ユーザにとって重要度の高い本文の表示領域301aに含まれない、例えば、件名の表示領域501内の画像領域300a2における画像の切り替えに起因する処理負荷の発生を抑止することができる。これにより、スマートフォン100Aは、ユーザによるEメール500の閲覧において、利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。
なお、上述の記載では、画像領域300a1、300a2が本文の表示領域301aに含まれない場合に、当該画像領域300a1、300a2において表示される画像を切り替える頻度を低下させる例について説明した。しかしながら、スマートフォン100Aは、画像領域300a1、300a2が件名の表示領域501に含まれる場合に、当該画像領域300a1、300a2において表示される画像を切り替える頻度を低下させる構成であってもよい。ユーザによるEメール500の閲覧において、利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減するという上述の効果は、この構成においても同様に奏される。
なお、本実施例において、ユーザのキー操作等により件名の表示領域501がフォーカスされた場合は、画像領域300a2における画像の切り替えの頻度の低減を解除し、画像領域300a1と同様に画像の切り替えを行うようにしてもよい。
また、ユーザは、Eメール500を開いた直後には件名を確認するために件名の表示領域501を注視すると考えられる。このときに、画像領域300a2における画像の切り替えの頻度が低下していることは好ましくない。そこで、件名を確認するために要するであろう所定の期間(例えば5秒間)を設定し、Eメール500の表示後に上記所定の期間が経過した場合に、画像領域300a2における画像の切り替えの頻度を低下させる構成であってもよい。これにより、ユーザは、Eメール500を開いた直後に、デフォルトと同じ頻度で画像が切り替えて表示される画像領域300a2を伴って件名を確認することができる。
(実施例4)
上述した各実施例では、スマートフォン100Aは、画像領域300の位置およびサイズ、すなわち、画像領域300の原点座標と、幅および高さとに基づいて、画像領域300において画像を切り替える頻度を調整する構成として説明を行った。
しかしながら、スマートフォン100Aは、画像領域300の位置情報のみによって上記の頻度調整を行ってもよい。
本実施形態のさらに別の実施例として、スマートフォン100Aは、画像領域300の中心座標が注視領域301に含まれない場合に、該画像領域300において画像を切り替える頻度を低下させてもよい。
本実施例においては、画像領域特定部24は、描画要求部23から取得した描画要求に含まれる画像領域300の原点座標と、幅および高さとから、該画像領域300の中心座標を算出し、該算出した中心座標を切り替え頻度調整部25に通知してもよい。そして、切り替え頻度調整部25は、該通知された画像領域300の中心座標が、上述したいずれかの実施例における注視領域301、301aに含まれない場合に、表示制御部26に対し描画要求を出力する頻度を低下させてもよい。
これによれば、スマートフォン100Aは、画像領域300の位置情報のみに基づいて、該画像領域300において画像を切り替える頻度を調整すればよいので、頻度調整にかかる処理の負荷をより抑えることができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の別の実施形態について、図1および図6を参照して説明する。
本実施形態に係るスマートフォン(表示装置)100Bは、画像領域300のサイズが所定値以下である場合に、該画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させる。
図1に示すとおり、スマートフォン100Bは、第1の実施形態に係るスマートフォン100Aと同様のブロック構成を具備している。
ただし、スマートフォン100Bが備える切り替え頻度調整部25は、画像領域300のサイズが所定値(例えば20dot*20dot)以下であるか否かを判定する。そして、画像領域300のサイズが所定値以下であると判定した場合に、切り替え頻度調整部25は、該画像領域300の再描画を要求する描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。よって、所定値以下のサイズを有する画像領域300において画像が切り替えて表示される頻度が低下する。
図6を参照して、スマートフォン100Bにおける処理の流れの一例を説明する。
図6は、スマートフォン100Bにおける、画像領域300の再描画の頻度を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本フローチャートは、上記第1の実施形態において図2に示したフローチャートと同様、描画要求部23から、画像領域300の再描画を要求する描画要求であって、少なくとも2回目以降の描画要求が出力された時点で開始される構成が好ましい。
本フローチャートにおけるステップS201〜S202、S204における処理については、上記第1の実施形態におけるステップS101〜S102、S104と同様である。
本フローチャートにおいて、切り替え頻度調整部25は、画像領域300のサイズが所定値以下であるか否かを判定する(S203:頻度調整ステップ)。具体的には、切り替え頻度調整部25は、ステップS202(検出ステップ)で画像領域特定部24が特定した画像領域300の幅および高さの値の少なくともいずれかが、それぞれに定められた閾値以下であるか否かを判定する。上記幅および高さの少なくともいずれかが、それぞれに定められた閾値を上回る場合(S203でNO)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し描画要求を出力し、本フローチャートに係る処理はステップS204(表示制御ステップ)に移行し、当該画像領域300の再描画が行われる。
一方、画像領域300のサイズが所定値以下であると判定されると(S203でYES)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し画像領域300の再描画を要求する描画要求の出力を行わず、本フローチャートに係る処理は終了する。あるいは、切り替え頻度調整部25は、画像領域300のサイズが所定値以下であるとの判定が所定回数連続して行われた場合に、直近に取得した描画要求を表示制御部26に出力してもよい。
(効果)
以上のように、スマートフォン100Bは、複数の画像を切り替えて表示するための画像領域300のサイズが所定値以下である場合に、当該画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させる構成である。
この構成によれば、スマートフォン100Bは、表示サイズが小さく、ユーザにとって視認性の低い画像領域300における画像の切り替えに起因する処理負荷の発生を抑止することができる。これにより、スマートフォン100Bは、ユーザの利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。
なお、切り替え頻度調整部25が行う上記の判定に係る各所定値は、スマートフォン100Bの製造段階において予め設定されていてもよいし、ユーザが任意に設定可能であってもよい。また、アプリケーションごとに上記所定値が異なっていてもよい。例えば、Eメールに含まれる絵文字は、表示サイズが小さくともユーザにとって重要度が高いと考えられるが、ウェブページに含まれるアニメーション画像は、表示サイズが小さければユーザにとっての重要度は低いと考えられる。そのため、切り替え頻度調整部25は、Eメールアプリケーション動作時は、ウェブブラウザアプリケーションよりも低い上記所定値に基づいて、上記の判定を行ってもよい。
また、上記第1の実施形態の実施例1と組み合わせて、画像領域300のサイズが、表示部12の画面を分割(例えば9区画に分割)したときの1区画のサイズ以下であれば、該画像領域300において画像を切り替える頻度を低下させてもよい。
〔第3の実施形態〕
本発明のさらに別の実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態に係るスマートフォン(表示装置)100Cは、上述した第1または第2の実施形態に係るスマートフォン100Aまたは100Bの機能に加え、さらに、画像領域300において画像が表示された後、ユーザによる操作が検出されないまま所定の期間が経過した場合に、画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させる。
図7は、スマートフォン100Cの要部構成を示す機能ブロック図である。図7に示す通り、スマートフォン100Bは、第1または第2の実施形態に係るスマートフォン100Aまたは100Bと同様の機能ブロックを具備している。
ただし、スマートフォン100Cが備える操作取得部21は、アプリケーション制御部22に加え、切り替え頻度調整部25に対しても操作情報を供給する。そして、切り替え頻度調整部25は、画像領域300において画像が表示された後に、操作取得部21から該操作情報が供給されないまま所定の期間が経過した場合に、画像領域特定部24から取得した描画要求を表示制御部26に出力する頻度を低下させる。
図8を参照して、スマートフォン100Cにおける処理の流れの一例を説明する。
図8は、スマートフォン100Cにおける、画像領域300の再描画の頻度を決定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本フローチャートに係る処理は、上記第1の実施形態において図2または図6に示したフローチャートにおける、ステップS104またはステップS204に代えて実行されてもよい。
本フローチャートにおいて、切り替え頻度調整部25は、直近のユーザ操作から所定期間が経過したか否かを判定する(S301:頻度調整ステップ)。具体的には、切り替え頻度調整部25は、操作取得部21から最後に操作情報を取得してからの経過期間をtとしたとき、Q<tが成立するか否かを判定する。なお、Qは本実施形態における所定期間であり、例えば60秒であってもよい。t≦Qである場合(S301でNO)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し描画要求を出力し、本フローチャートに係る処理はステップS302(表示制御ステップ)に移行し、当該画像領域300の再描画が行われる。
一方、Q<tが成立する場合(S301でYES)、切り替え頻度調整部25は、表示制御部26に対し画像領域300の再描画を要求する描画要求の出力を行わず、本フローチャートに係る処理は終了する。あるいは、切り替え頻度調整部25は、Q<tが成立するとの判定が所定回数連続して行われた場合に、直近に取得した描画要求を表示制御部26に出力してもよい。
(効果)
以上のように、スマートフォン100Cは、画像領域300において画像が表示された後、ユーザによる操作が検出されないまま所定の期間が経過した場合に、複数の画像が切り替えて表示される画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させる構成である。
この構成によれば、スマートフォン100Cは、ユーザが画面を閲覧していないと考えられる状況において、画像領域300における画像の切り替えに起因する処理負荷の発生を抑止することができる。そして、ユーザが操作を再開すれば、該画像領域300における画像の切り替えの頻度の低減を解除する。
これにより、スマートフォン100Cは、ユーザの利便性および視認性を大きく損なうことなく消費電力を低減することができる。具体的には、例えば、ユーザがEメールを開いた状態でスマートフォン100Cを放置した場合等の状況において、不要な電力消費を抑制することができる。
なお、切り替え頻度調整部25は、直近のユーザ操作からの経過時間に対する判定結果に複数の段階を儲け、上記経過時間の段階に応じて、画像領域300における画像の切り替えの頻度を変更してもよい。具体的には、切り替え頻度調整部25は、直近のユーザ操作からの経過時間が長くなるに応じて、画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させてもよい。
なお、上記の説明において、切り替え頻度調整部25は、タッチパネル1に対する操作に基づく操作情報取得後の経過時間を判定する構成として説明した。しかしながら、切り替え頻度調整部25は、図示しないハードウェアキー等の、タッチパネル1とは別の操作部からの信号入力を取得し、タッチパネル1に対する操作に基づき得られた上記操作情報と合わせて、ステップS301における判定を行うことが好ましい。
(画像の切り替え頻度の低減からの復帰方法)
なお、上述した各実施形態において、画像領域300における画像の切り替えの頻度の低減は、ユーザの所望に応じて適宜解除されることが好ましく、該解除は以下のように行われてもよい。
例えば、画像領域300において画像の切り替えの頻度が低下している状況において、ユーザがタッチパネル1の任意の位置をタッチした場合、あるいは、タッチパネル1外のハードウェアキー等の操作部を操作した場合に、当該画像領域300における画像の切り替えの頻度の低減が解除されてもよい。これは、ユーザがタッチパネル1に対し操作を行っている間は、スクロール等により、表示部12の画面上において何らかの表示内容の更新が行われていることが多いためである。つまり、ユーザの操作が検出されているときに、画面の一部を占める画像領域300における画像の切り替えの頻度の低減を解除しても、該解除によって消費電力が著しく増大する可能性は低いと考えられる。なお、ユーザの操作が最後に検出されてから所定の期間が経過すれば、上記各実施形態にて説明した判定基準に基づき、再び画像領域300における画像の切り替えの頻度を低下させてもよい。
または、ユーザによりタッチされた、または、ユーザのキー操作等によりフォーカスされた領域に含まれる画像領域300における画像の切り替えの頻度の低減が解除される構成であってもよい。上記に該当する画像領域300は、ユーザにとって興味が高いと考えられるためである。
なお、スマートフォン100が備える描画システムによって上述した画像の切り替え頻度の低減処理機能を実現すれば、任意のアプリケーションについて上記低減処理を実行できるが、換言すれば、システムレベルの改修が必要となる。これに対し、アプリケーションレベルで上記低減処理を実行する場合、他のアプリケーションについての上記低減処理は実行されないが、改修は容易である。
また、当該アプリケーションがウェブブラウザであれば、描画要求部23による描画要求の出力そのものを、アプリケーションレベルで抑止することができる。この構成を実現するためには、画像領域特定部24および切り替え頻度調整部25の有する上記の機能が、アプリケーションが実行する処理に組み込まれていればよい。具体的には、例えば、画像領域300に係るJavaScript(登録商標)またはGifアニメーションを駆動するタイマーを停止/再開すればよい。この場合、描画要求の発生を抑止することにより、さらに高い省電力効果を得ることができる。また、Java(登録商標)においては、アプリケーション層で使用Viewを継承した独自のViewを作成し、当該独自のView内において、invalidate(x,y,h,w)メソッドをオーバーライドし処理をフックしてもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、スマートフォン100の各ブロック、特に制御部2は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
後者の場合、スマートフォン100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるスマートフォン100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記スマートフォン100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible medium)、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
また、スマートフォン100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。