JP5943847B2 - 治療計画作成方法、治療計画装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線治療を行うための治療計画作成方法と治療計画装置に関するものである。
放射線治療は、治療対象となる患部に高エネルギーの光子、電子、粒子(陽子や炭素)ビームを照射して、患部組織に損傷を与えることにより治療を行うものである。一般的に放射線が体内に与える線量の分布は一様ではなく、放射線に固有の線量分布を有しており、治療の際には、臨床的にがん治療に適切とされる分布に形成しなおす必要がある。以降、空間座標を扱う場合、放射線のビーム進行方向をz方向と称し、z軸に垂直なある方向をx方向、x方向とz方向に垂直な方向をy方向と称して説明を行う。
例えば粒子線を用いた治療の場合、x方向およびy方向についてはワブラー電磁石装置を用いて、z方向についてはリッジフィルタ装置を用いて、それぞれ所望の線量分布(目標線量分布)となるように照射野が形成される。この線量分布は、標的体積(放射線を照射すべき部分)に合致するように形成される必要がある。ここで注意しなければならないのは、呼吸および心拍動などによる体内臓器の動き、および、患者固定および照射装置などの設定誤差の存在である。そのため、標的体積は、臨床標的体積(CTV:Clinical Target Volume)や計画標的体積(PTV:Planning Target Volume)のように区分されている(例えば、非特許文献1参照。)。
CTVは腫瘍(患部組織)およびその周辺の顕微鏡的な進展範囲、あるいは所属リンパ節領域を含んだ照射すべき標的体積であり、PTVは体内臓器の動きおよび装置の設定誤差を考慮してCTVに対してマージン(余白)を付け加え拡張したものである。厳密には、上記マージンは、体内臓器の動きを考慮したインターナルマージン(IM:Internal Margin)と毎回の設置における装置の設定誤差(SM:Set-up Margin)に分けられるが、本明細書では特に断りのない場合、両者を合計したものを単に「マージン」と呼ぶことにする。マージンを適切な大きさに設定し、PTV全域に均一な線量分布を形成するようにビームを照射することで、体内臓器の動きや装置の設定誤差があった場合でも、CTV全域に治療に必要な線量が照射されることが保障されている。
一方、標的体積に対して必要な線量を照射するだけでなく、標的体積外の正常な組織に対しての線量をなるべく低く抑えることも放射線治療にとっての課題であり、そのための技術の例として、放射線治療における強度変調放射線療法(IMRT:Intensity Modulated Radiation Therapy)や、粒子線治療における積層原体照射法やスキャニング照射法が存在する。これらの方法ではいずれも、所定の線量分布を持つ「単位照射」に適切な「重み係数」を乗じて足し合わせることで「合成線量分布」を得ている。この合成線量分布が標的体積に必要な線量を与え、かつ標的体積外の正常組織への線量がなるべく低くなるように、使用する単位照射の設定および重み係数の組み合わせを考慮しなければならない。
なお、実際の治療においては、各単位照射は、一般的にはそれぞれ異なる時刻に、照射方向やその他の機器パラメータ等を変更することにより照射される。ここで、上記機器パラメータとは、例えば、放射線のエネルギーや、使用する照射系機器(レンジシフタやコリメータ等)の種類を指す。また、重み係数の寡多は、単位照射ごとに照射する時間の長短か、または単位照射ごとの放射線強度の強弱に対応している。また通常、適切な重み係数の決定は、治療計画を立てる段階でなされる。
これらの方法は、それぞれの単位照射を異なる時刻および異なる機器設定にて照射するという特徴があるため、合成線量分布を一括で照射する従来法とは違い、単位照射ごとに体内臓器の動きや装置の設定誤差が異なる可能性がある。そのため、単位照射どうしの相対位置関係が計画時と実際とで異なると、ホットスポット(線量が周囲より高い部分)またはコールドスポット(線量が周囲より低い部分)といった局所的な目標線量分布からの逸脱が標的体積(例えば、CTV)内で発生する可能性がある。
そこで、単位照射の相対位置誤差を減らす技術として、患者位置変動を照射前に測定しておき、動きをモデル化することであらかじめ動きを予測した治療計画を立てるという方法がある(例えば、特許文献1参照。)。あるいは、照射中の患者位置を測定し、測定された動きが合成線量分布に与える影響を分析して治療計画をリアルタイムで最適化しなおすという方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2008−80131号公報(段落0016、0020〜0021、0035〜0044、図1A) 特表2012−506734号公報(段落0076〜0082、図5、図7、図22、図23)
西村恭昌、「放射線治療計画総論」、放射線治療計画ガイドライン・2008、2.I節、日本放射線専門医会・医会,日本放射線腫瘍学会,日本医学放射線学会編、インターネット(URL:http://www.kkr-smc.com/rad/guideline/2008/) K. Yoda, et. al. " Dose optimization of proton and heavy ion therapy using generalized sampled pattern matching" Physics in Medicine and Biology, 42(1997), p.2411 画像誘導放射線治療臨床導入のためのガイドライン、日本医学物理学会,日本放射線技術学会,日本放射線腫瘍学会、2010年9月23日、p.1-2 池田恢訳、放射線治療計画のための品質保証、米国医学物理学会放射線治療委員会タスクグループ53報告(Med.Phys.25(10), 1773-1829(October 1998)の日本語訳(案))「放射線治療の技術評価と品質管理による予後改善のための研究」平成15年度研究報告書(第2部)、p57
しかしながら、上記のように、患者の動きを把握するためには、患者位置変動を測定するための測定装置、測定した位置変動データを記録するための媒体などの装置が必要である。また、位置変動データから腫瘍の動きをモデル化したり未来の腫瘍位置を予測したりするアルゴリズム、あるいはその結果得られたモデルや予測を反映して治療計画を最適化しなおすアルゴリズム等を搭載したソフトウェアも必要である。このように、必要な装置が増えると、コストが高くなるだけでなく、セットアップに時間を要し、治療できる患者数に制約が生じることになる。また、アルゴリズムが複雑になるためインプットしなければならない情報量が増え操作や煩雑になり、品質保持のための作業量も増加する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、患者の動きを把握することなく、標的体積内での局所的な目標線量分布からの逸脱の発生を抑制することを目的としている。
本発明の治療計画作成方法は、異なる線量分布を有する複数の単位照射を重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画作成方法であって、患部に対して設定された目標線量分布を近似する合成線量分布を生成するために、前記複数の単位照射のそれぞれの重み係数を設定する重み係数設定ステップと、前記複数の単位照射のそれぞれに対して、当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、前記目標線量分布からの局所的な線量ずれの大きさを算出し、算出結果に基づいて、前記複数の単位照射のなかから特定の単位照射として前記線量ずれが最も大きくなる単位照射を選定する単位照射選定ステップと、前記特定の単位照射に設定される重み係数が、直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、修正情報を生成する修正情報生成ステップと、を含み、あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、上記各ステップが順次繰り返されることを特徴とする。
本発明の治療計画装置は、異なる線量分布を有する複数の単位照射を重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画を作成する治療計画装置であって、患部に対して設定された目標線量分布を近似する合成線量分布を生成するために、前記複数の単位照射のそれぞれの重み係数を設定する重み係数設定部と、前記複数の単位照射のそれぞれに対して、当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、前記目標線量分布からの局所的な線量ずれの大きさを算出し、算出結果に基づいて、前記複数の単位照射のなかから特定の単位照射として前記線量ずれが最も大きくなる単位照射を選定する単位照射選定部と、前記特定の単位照射に設定される重み係数が、直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、修正情報を生成する修正情報生成部と、あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、上記各部での処理が順次繰り返されるように上記各部を制御する終了条件判定部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の治療計画作成方法、または治療計画装置によれば、患者位置の変動を測定または予測しなくても、患者位置の変動に起因する標的体積中の局所的な目標線量分布からの逸脱を抑制することができる。
本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法の適用対象である粒子線治療装置の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法の動作を説明するための、単位照射の線量分布と合成線量分布の関係等を示す図である。 本発明の実施の形態1にかかる治療計画装置の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法における、情報の流れを説明するための図である。 単位照射による位置変動量に対するコールドスポットまたはホットスポットの大きさの関係を示す図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法および治療計画装置について説明する。図1〜図6は、本発明の実施の形態1にかかる治療計画作成方法および治療計画装置について説明するためのもので、図1は治療計画作成方法を説明するためのフローチャート、図2は本治療計画作成方法を適用する粒子線治療装置の構成を示す図、図3は治療計画作成方法の動作を説明するための、体内深さごとの線量分布を示す図であり、図3(a)はCTVとマージンをつけた標的体積に対する体内深さと線量の関係(目標線量分布)を示す図、図3(b)は図3(a)で示す目標線量分布を得るための合成線量分布と重ね合わせる単位照射の線量分布との関係を示す図、図3(c)はある単位照射を他の単位照射に対して相対移動させた場合の合成線量分布の変化と目標線量分布(指示線量)に対する線量ずれの関係を示す図である。また、図4は治療計画装置の構成を説明するためのブロック図、図5は治療計画作成方法における、情報の流れを説明するための、段階ごとのデータのインプットとアウトプットを示す図、図6は単位照射ごとの位置変動量と線量ずれ量の関係を示す図である。
本実施の形態にかかる治療計画作成方法および治療計画装置の特徴的な説明に先立ち、その前提となる積層原体照射法による粒子線治療を実行できる粒子線治療装置について説明する。
図2に示すように、粒子線治療装置10は、粒子(イオン)を治療に必要なエネルギー(運動量)まで加速した粒子線Bとして出力する、例えばシンクロトロンのようなビーム発生装置11と、ビーム発生装置11で出力した粒子線Bを輸送するビーム輸送経路12と、ビーム輸送経路12で輸送された粒子線Bを患者Kに設定された標的体積に応じて成形して照射する照射装置13とを備えている。そして、積層原体照射においては、粒子線が患者Kの体内で線量ピークを形成する深さを変更するためのレンジシフタ15が備えられている。
また、例えば、図示しない呼吸同期装置と連携し、輸送された粒子線BのON/OFF切り替えを行うビームゲート14等を備えている。また、図に示すように、例えば、レンジシフタ15には、レンジシフタ15を駆動するためのレンジシフタ駆動モジュール17b、ビームゲート14には、ビームゲート14を駆動するためのビームゲート駆動モジュール17aのように、各機器を駆動するための駆動モジュールが備えられ、これら各駆動モジュールは、例えば、コンピュータ等で構成される主制御部16によって連携制御されている。
これにより、基本的には、患者Kが移動したとしても、移動範囲が所定範囲を超えた場合は照射を中断できるので、粒子線Bが患部に向かって実際に照射されている期間での患者の移動量は、想定された範囲(マージン)内にとどまっているとみなすことができる。
そして、治療計画装置20は、粒子線治療装置10が治療を実行するための治療計画(治療に必要な情報)を作成する装置である。例えば、主制御部16は、治療計画装置20が決定した、異なる線量ピーク深さを持つ単位照射ごとの照射時間に基づき、レンジシフタ駆動モジュール17bとビームゲート駆動モジュール17aに命令を送る。
なお、治療計画装置20は、粒子線治療装置10の主制御部16と物理的に同じコンピュータ上に形成されてもよいが、一般的には別々のコンピュータであることが多い。そこで、図では、別々のコンピュータ上に形成した場合を想定して記載している。また、図2では、レンジシフタ15およびビームゲート14を照射装置13内の機器として記載したが、必ずしも照射装置13内に設置される必要はなく、後述するようにビーム輸送経路12のような他の機器側に設置されていてもよい。
つぎに、治療計画作成方法について説明する。
本実施の形態にかかる治療計画作成方法は、図2に示すように、合成線量分布が所望の分布と近づくよう、単位照射ごとの重み係数を最適化(設定)する第1段階と、第1段階で設定された結果に対し、ある単位照射の位置を他の単位照射に対して相対的に所定量変動させた場合に発生する局所的な線量のずれ(ホットスポットおよびコールドスポットの大きさ)を算出し、線量ずれが最も大きくなる単位照射を特定する第2段階と、第2段階において特定した単位照射の重み係数が小さくなるように第1段階におけるアルゴリズムの修正情報を生成する第3段階と、第1段階〜第3段階のループ上に存在して終了条件を判定する終了判定シーケンスと、を含む。以下、図1のフローチャートによるステップ番号を参考にして、各段階での動作を説明する。
第1段階(ステップS110)では、図3(a)に示すように、CTVに対して所定のマージンMgnを付加した領域(標的体積=PTV)に、指示線量Dd通りの線量(目標線量分布DObj)が付与されるように、合成線量分布Dを生成する。合成線量分布Dは、式(1)に示すように、異なる線量分布d (x,y,z)(以降、単にd と記載することあり。)を持つ単位照射uiを適切な重み係数Wを乗じて足し合わせることで得ている。
Figure 0005943847
このようにして得た合成線量分布Dを図3(b)に示す。なお、図中dと示したものは、それぞれ番号iの単位照射uiの線量分布d に重み係数Wを乗じたもの(=W )を示す。
この合成線量分布Dが標的体積(PTV)に必要な線量を与え、かつ標的体積外の正常組織への線量がなるべく低くなるように、使用する単位照射ui(線量分布d )の設定、および重み係数Wの組み合わせを考慮しなければならない。ここで、合成線量分布Dが目標線量分布DObjに近づくよう単位照射uiごとの重み係数Wを最適化する手段については、非特許文献2に記載の方法の他にも、「疑似ニュートン法」をはじめとする数多くの手段が本分野では知られているので、ここでは詳細に説明しない。一般的には、合成線量分布Dと目標線量分布DObjとの差を評価する値(評価関数と呼ばれる)を定義し、評価関数が最小になるような重み係数Wの組み合わせを探索するというアルゴリズム(重み係数設定アルゴリズム)がよく用いられる。
ここで、フローチャートでの終了判定シーケンスの説明を後回しにして、第2段階(ステップS210〜S220)について説明する。
第2段階では、はじめに、第1段階で生成した合成線量分布Dに基づき、単位照射uiごとに所定範囲内で他の単位照射に対する相対位置を変動させた場合の合成線量分布D v,iを生成し、単位照射uiごとの目標線量分布DObj(本例では、全域で指示線量Ddの一定値)からのずれ(線量ずれs(i))を算出する(ステップS210)。
例えば、番号2の単位照射u2に着目するときは、図3(c)に示すように、番号2の単位照射u2の線量分布を位置変動がないときの線量分布d(重み係数Wを乗じたもの)の代わりに、位置を変動させた線量分布d2vに変更して合成線量分布D v,2を生成する。そして、指示線量Ddとの差(ホットスポットΔ2o、コールドスポットΔ2u)を算出する。このような計算を想定される位置変動範囲で繰り返す。そして、上記のような位置の変動を変動範囲内の様々な位置(基本的に境界領域)に変動させたときの合成線量分布Dの線量と指示線量Ddとの差が評価領域内で最も大きくなる点における線量ずれの値を番号2の単位照射u2の線量ずれs(2)とする。
例えば、コールドスポットに注目する場合、ある番号iの単位照射uiについての線量ずれs(i)とは、例えば、式(2)で表すように、番号iの単位照射uiを他の単位照射に対する相対位置を変動範囲内の様々な位置に変動させたときの、その位置での合成線量分布の線量と指示線量Ddとの差Δiuが評価領域内で最も大きくなる位置における、合成線量分布D の線量と指示線量Ddとの差で定義される。
Figure 0005943847
なお、本実施の形態では、評価領域はCTVと等しく、単位照射uiの変動範囲は、CTVからのマージンmgn分、つまりPTV内でCTVを自由に移動させる場合の変動範囲に相当する。D v,iとは、i番目の単位照射の位置がずれたときの合成線量分布を表しており、以下の式(3)、式(4)のように計算する。
Figure 0005943847
ここで、i番目の単位照射の位置ずれの大きさ(Δx,Δy,Δz)についてであるが、まず、積層原体照射に限って言えば、Δx=Δy=0とみなして良い。積層原体照射ではワブラー電磁石法または二重散乱体法と呼ばれる装置を用いて、少なくともPTV領域内においてはx、y方向に一様な分布をもつ単位照射uiを形成するため、x方向あるいはy方向への位置変動が原因でCTV領域内のコールドスポット(ホットスポットも同様)が発生することがほとんど無いからである。
そして、単位照射uiごとに算出した線量ずれs(i)(コールドスポットの大きさ)を比較し、線量ずれが最も大きくなる単位照射uj(番号)を特定する(ステップS220)。
なお、上記例では臨床的に影響が大きいと考えられている局所的な線量不足、つまりコールドスポットが最も大きくなる単位照射ujを特定することについて説明した。しかし、逆に式(5)に示すように、過剰線量、つまりホットスポットについて着目するようにしてもよい。
Figure 0005943847
また、式(2)および式(5)のカッコ内を絶対値とすれば、ホットスポットかコールドスポットかを区別せず、指示線量Ddからのずれ量で評価することもできる。また、コールドスポットとホットスポットの双方を評価するとともに、その影響を区別してもよく、コールドスポットの影響を重く見る場合、例えば、コールドスポットの線量ずれは、1.5〜3倍の値に換算し、換算した値とホットスポットの値(1倍)との大きさを比較するようにしてもよい。これらのことは、以降の各実施の形態でも同様であるが、以降の実施の形態では説明を簡単にするため、コールドスポットに限定して説明を行う。
このように第2段階で特定した線量ずれが大きくなる単位照射ujに対し、第3段階では、第1段階における合成線量分布生成時に、その単位照射ujに対して、直前の第1段階における計算において決定した重み係数よりも小さな重み係数に決定するように、アルゴリズム修正情報を生成する(ステップS310)。具体的には、例えば、特定した単位照射(番号:j)の重み係数Wjに対して、直前の値より小さい値に設定した上限値LWjをアルゴリズム修正情報として生成する。これにより、第1段階に戻った時には、重み係数を最適化する際、単位照射(番号j)の重み係数Wは、上限値LWjを超えない値で設定されることになる。
上記アルゴリズム修正情報が加わった状態で第1段階に戻り、再度単位照射uiごとの重み係数Wの最適化を実施したのち、同様に第2段階、第3段階、第1段階・・・と処理を繰り返す。その際、あらかじめ決められた終了条件を満たしたときには、終了判定シーケンスにより繰り返しを停止して、最終的に設定された重み係数の情報を出力して処理を終了する。
次に、終了判定シーケンス(ステップSF10〜ステップSF20)における終了条件について説明する。
例えば、第3段階における、特定の単位照射ujの重み係数Wが小さくなるようにアルゴリズム修正情報を生成することは、言い換えるならば第1段階の最適化手法に新たな制限または束縛条件を加えるということであり、必要以上に繰り返しを行うと、第1段階において合成線量分布Dを所望する分布(目標線量分布DObj)に近づけるという手法が効果的に機能しなくなる。これを避けるため、適切なタイミングで第1〜第3段階の繰り返しを止めなければならない。
そのため、例えば、第1段階において重み係数Wを最適化した結果得られる合成線量分布Dと、所望の分布(目標線量分布DObj=指示線量Dd)とを比較し、その差がある一定以上より大きいときは繰り返しを終了するように終了条件を設定する。具体的には、例えば、非特許文献4に記載された基準を適用するならば、少なくともPTV領域内の全ての点における線量が、指示線量Ddと比較して±5%以内でなければならず、±5%を超えたか否かを終了条件に設定することが考えられる。
ただし、非特許文献4においての±5%以内という基準は、機器誤差や患者位置変動など全て含めた上での線量の不確定さだと定義されているのに対して、本発明における第1段階で演算した合成線量分布Dは、患者位置誤差や機器誤差がない状態での線量分布である。そのため、第1段階における基準はより厳しく設定する必要があり、例えば、合成線量分布Dと指示線量Ddとの差として、5%よりも小さな1〜3%の値に設定する一方、評価対象領域をCTVとする。そして、CTV領域内での全ての点における線量が、指示線量Ddと比較して設定値(1〜3%)を超えたか否かで終了条件を満たすか否かを判定(ステップSF10)するようにすればよい。
また、終了条件としては、上記の合成線量分布Dを悪化させない(劣悪にならない)ための条件に加え、好適範囲(局所的な線量の逸脱が小さい)に入ったか否かも追加することが好ましい。これについては、第2段階において単位照射ujを特定するための線量ずれの上限値が考えられる。例えば、コールドスポットの上限値として5%を終了条件として設定した場合、線量ずれが最大となった単位照射ujが特定できたとしても、そのときの線量ずれが5%以内であるならば、終了と判定するようにしてもよい。この場合は、アルゴリズムを修正することなく、直前(第1段階)で演算した合成線量分布Dを生成するための重み係数Wの組合せを用いることになる。
さらに、線量分布に関する条件に加え、プログラム高速化または安定化のため、他の終了条件を追加することも可能である。例えば、「第1段階→第2段階→第3段階の繰り返しをあらかじめ決められた回数だけ実施したとき」などの条件が考えられる。
そのため、終了判定シーケンスは、必ずしも図1に示したように第1段階と第2段階の間に入る必要はなく、第1段階、第2段階、第3段階を繰り返すループの中のどこであっても良いし、また必ずしも1箇所である必要はなく、第1段階、第2段階、第3段階を繰り返すループの中に複数設定されていて、それら複数の終了条件のうちどれか一つが満たされた時点でループを終了(ステップSF20)しても良い。
つぎに、本実施の形態にかかる治療計画作成方法を実行する治療計画装置について図4および図5を用いて説明する。
本実施の形態1にかかる治療計画装置20は、一般的な治療計画装置が備えている構成(図示せず)が備わっているのはもちろんのこと、図4に示すように、合成線量分布等の線量分布に関する演算を行う線量分布演算部21と、終了判定シーケンスを実行する終了判定部22と、これら各処理を行うための情報(データ)を記憶するデータ記憶装置23と、を備えている。
そして、線量分布に関する各処理(第1段階、第2段階、第3段階)は、それぞれ重み係数設定部211、単位照射選定部212、アルゴリズム修正情報生成部213にて実行される。上記重み係数設定部211、単位照射選定部212、アルゴリズム修正情報生成部213、および終了判定部22は、図5に示すように、データ記憶装置23に記憶された情報FR1、FR2、FR3、FR4をそれぞれ適時読み出すとともに、直前の処理で生成された情報(FC1、FC2、FC3、FF1、FF2)を用いて実行処理を行う。
例えば、重み係数設定部211は、合成線量分布が所望の分布と近づくよう単位照射ごとの重み係数を最適化し、その結果得られた単位照射ごとの重み係数の情報FC1を単位照射選定部212に渡す。単位照射選定部212は、受け取った重み係数の情報FC1から、一つの単位照射のピーク位置が変動したときの合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさを評価して、一定の位置変動量に対して合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさが最も大きい単位照射を特定し、特定した単位照射の情報FC2をアルゴリズム修正情報生成部213に渡す。アルゴリズム修正情報生成部213は、受け取った単位照射の重み係数が小さくなるように最適化手法に加えるべき変更内容(アルゴリズム修正情報)FC3を、重み係数設定部211に渡す。そのため、重み係数設定部211は、一般的な治療計画装置における重み係数の設定機能に、アルゴリズム修正情報に基づいてアルゴリズムを修正する機能を付加したものとなる。
また、各段階で生成した情報のうち、終了判定に必要な情報(目標線量分布DObjと生成した合成線量分布Dの情報FF1、単位照射を変動させたときの線量ずれの情報FF2)などは、終了判定部22に随時出力されている。
上述したように、これら重み係数設定部211、単位照射選定部212、アルゴリズム修正情報生成部213は、実際には、コンピュータ上にプログラムをインストールすることで、これら各部(治療計画作成方法の各段階を実行するモジュール)を構築したものである。そのため、治療計画装置20を構築するCPUおよびメモリ等と物理的に同一のハードウエア内に構築されていてもよい。また、上述した治療計画装置20の構成は、後述する以降の実施の形態に適用できるのは言うまでもない。
なお、上述した第2段階においては、単位照射uiの位置変動量をPTVとCTVとの関係(マージンMgn相当)で設定する例について説明したが、必ずしもそれに限られることはない。以下に説明する。
図6は一例として、3つの単位照射u1、u2、u3(図3で示したものとは別)を例にとって、その単位照射uiの位置変動量とそのときのコールドスポットまたはホットスポットにおける線量ずれ量(絶対値)との関係を示したものである。図中、横軸はz方向の位置変動量であり、粒子線Bの進行方向に対して順方向への位置変動を正、逆方向への位置変動を負と定義している。図6からわかるように、単位照射uiの位置変動量と合成線量分布D v,iでの指示線量Ddに対する線量ずれs(i)との間には線形の関係があり、その比例係数は単位照射uiによって異なるという傾向がある。また、その傾向は位置変動の方向がビーム進行方向と順方向であっても逆方向であっても同様である。
したがって、ある一定の位置変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさが最も大きい単位照射ujは、位置変動量の値が異なるときでもコールドスポットの大きさが最も大きくなる単位照射になる。例えば、図6に示される3つの単位照射のなかでは、位置変動量の大きさに関係なく、常に単位照射u1の線量ずれ量が最も大きい。
したがって、変動範囲内のすべての点で計算を行わなくとも、ある適当な一定の位置変動量を決め、その位置変動量に対して合成線量分布D v,iに発生する線量ずれs(i)が最も大きい単位照射を特定すればよい。そして特定した重み係数Wを小さく設定しなおすことによって、全体として患者位置の変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさを小さくすることが可能である。なお、上記の一定の位置変動量を決定する際には、現実にビーム照射中に患者位置がどのくらい動くかを見積もるのが望ましいが、具体的には例えば、非特許文献3に示されるように、5mm以下の値をとるのが妥当である
以上のように、本実施の形態1にかかる治療計画作成方法によれば、異なる線量分布d を有する複数の単位照射uiを重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画作成方法であって、患部(標的体積=PTV)に対して設定された目標線量分布DObj(例えば、CTV内の線量が指示線量Dd)を近似する合成線量分布Dを生成するために、複数の単位照射uiのそれぞれの重み係数Wを設定する重み係数設定ステップ(ステップS110)と、複数の単位照射uiのそれぞれに対して、当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、目標線量分布DObjからの局所的な線量ずれs(i)(例えばコールドスポット)の大きさを算出し、算出結果に基づいて、例えば、相対位置の移動量が一定の場合に発生する線量ずれs(i)大きな単位照射ujを選定する単位照射選定ステップ(ステップS210、220)と、選定された単位照射ujに設定される重み係数Wが直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、重み係数設定ステップで用いるアルゴリズムを修正するための修正情報FC3を生成する修正情報生成ステップ(ステップS310)と、を含み、あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、上記各ステップが順次繰り返される(終了シーケンスSF10、SF20を有する)ように構成したので、患者位置の変動を測定・モデル化・予測しなくても、患者位置の変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するホットスポットやコールドスポットの大きさを小さくすることができる。そのため従来技術と比べて、患者位置を把握するための測定・モデル化・予測といった処理を行う必要がなく、患者位置の変動を測定する装置や、動きについての情報の入力を省くことができる。また、このような構成によれば、モデル通りではない予期せぬ変動に対してもある程度対応できるという効果がある。
また、本実施の形態1にかかる治療計画装置20によれば、異なる線量分布d を有する複数の単位照射uiを重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画を作成する治療計画装置20であって、患部(標的体積=PTV)に対して設定された目標線量分布DObj(例えば、CTV内の線量が指示線量Dd)を近似する合成線量分布Dを生成するために、複数の単位照射uiのそれぞれの重み係数Wを設定する重み係数設定部211と、複数の単位照射uiのそれぞれに対して、当該単位照射の当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、目標線量分布DObjからの局所的な線量ずれs(i)(例えばコールドスポット)の大きさを算出し、算出結果に基づいて、例えば、相対位置の移動量が一定の場合に発生する線量ずれs(i)が大きな単位照射ujを選定する単位照射選定部212と、選定された単位照射ujに設定される重み係数Wが直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、重み係数設定部211で用いるアルゴリズムを修正するための修正情報FC3を生成する修正情報生成部(アルゴリズム修正情報生成部213)と、あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、線量分布演算部21の各部(211、212、213)部での処理が順次繰り返されるように上記各部を制御する終了判定部22と、を備えるように構成したので、患者位置の変動を測定・モデル化・予測しなくても、患者位置の変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するホットスポットやコールドスポットの大きさを小さくすることができる。そのため従来技術と比べて、患者位置を把握するための測定・モデル化・予測といった処理を行う必要がなく、患者位置の変動を測定する装置や、動きについての情報の入力を省くことができる。また、このような構成によれば、モデル通りではない予期せぬ変動に対してもある程度対応できるという効果がある。
とくに、あらかじめ設定された終了条件は、重み係数設定ステップ(第1段階)あるいは重み係数設定部211における動作において目標線量分布DObjと生成した合成線量分布Dとの差が所定値より大きくなる、および単位照射選定ステップ(第2段階)あるいは単位照射選定部212における動作において線量ずれs(i)の大きさが所定値よりも小さくなる、のうち少なくともいずれか一方である、ように構成したので、合成線量分布Dの所望の線量分布(目標線量分布DObj)からの乖離の抑制、および、ホットスポットやコールドスポットの大きさの所定値以下への抑制の少なくともどちらかを行える。また、処理時間も短縮できる。
また、単位照射選定ステップ(第2段階)あるいは単位照射選定部212における動作では、線量ずれのうち、所望の線量分布(目標線量分布DObj)よりも線量が低くなる線量ずれ(コールドスポット)を線量が高くなる線量ずれ(ホットスポット)より優先して、単位照射ujを選定するようにすれば、臨床的に影響の大きなコールドスポットをより効果的に抑制することができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、重み係数を修正する対象としてひとつの単位照射を特定する例について説明したが、必ずしもひとつの単位照射に限られることはない。本実施の形態2では、複数の単位照射を選定するようにした。具体的には、「一定の位置変動量に対して合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさが大きいほうから順に、あらかじめ決められた個数の単位照射を選定する」、または「一定の位置変動量に対して合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさがあらかじめ決められた基準を超えるような単位照射すべて」などの方法が考えられる。
この方法では、繰り返しの終了条件を早く満たすという利点がある。この理由を以下に説明する。例えば、一定の位置変動量に対する合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさが最も大きい単位照射が単位照射u1で、一定の位置変動量に対する合成線量分布D に発生するコールドスポットの大きさが2番目に大きい単位照射が単位照射u2であったような場合、実施の形態1の方法に従うならば、単位照射u1の重み係数Wを小さくするようにアルゴリズム修正情報が生成され、これにしたがって第1段階、第2段階、第3段階を繰り返すうち、あるループで一定の位置変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさがu1とu2で逆転する可能性が高い。
逆転した直後の第2段階では一定の位置変動量に対する合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさが最も大きい単位照射が単位照射u2であると判断され、今度は単位照射u2の重み係数Wを小さくするようにアルゴリズム修正情報が生成される。しかし、本実施の形態2のように、例えば、「一定の位置変動量に対して合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさが大きいほうから順に2個の単位照射を選定する」という選定基準を設定しておけば、単位照射u1とu2の重み係数W、Wを同時に小さくするようにアルゴリズム修正情報が生成されるため、実施の形態1による方法よりも、少ない繰り返し回数で類似の結果が得られ、結果、繰り返しの終了条件を早く満たす。
なお、上記順位付けの際、コールドスポットの線量ずれの値とホットスポットでの線量ずれの値に所定の係数を乗じて重みづけをしたり、一方を無視するようにしたりしてもよいなどは、上述した実施の形態1と同様である。また、選定した順位、あるいは線量ずれの大きさに応じて重み係数Wの圧縮率に差をつけるようにしてもよい。
以上のように、本実施の形態2にかかる治療計画作成方法では、第2段階において複数の単位照射を選定するようにしたので、実施の形態1による方法よりも、少ない繰り返し回数で類似の結果が得られ、結果、処理に必要な時間が短くなる。
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2においては、第2段階において、一定の位置変動量に対して合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさによって単位照射を特定した例について説明した。本実施の形態3では、その代わりに、合成線量分布に発生するコールドスポットの大きさがあらかじめ決められた一定値となるときの位置変動量の大きさによって、つまり、位置変動量が最も小さい単位照射ukを特定するようにした。
具体的には、単位照射uiの位置変動量を、あらかじめ定められたステップで0から順に大きくしていき、合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさを計算していく。そして、計算したコールドスポットの大きさが、あらかじめ決められた一定値を超えたときの位置変動量が最も小さい単位照射ukを特定するという方法である。
患者の位置変動量が、あらかじめある程度分かっている場合には実施の形態1あるいは2による方法が有効である。しかし、患者の位置変動量は分かっていないが、コールドスポットでの線量不足がどこまで許容されるかの基準が定まっているような場合、本実施の形態3のように、合成線量分布D v,iに発生するコールドスポットの大きさがあらかじめ決められた一定値となるときの位置変動量が最も小さい単位照射ukを特定し、その単位照射ukの重み係数Wを小さくするほうが効果的である。
なお、上記線量ずれの値について、コールドスポットの上限値とホットスポットでの上限値を変えたり、一方を無視するようにしたりしてもよいなどは、実施の形態1で説明したのと同様である。また、複数の単位照射を選定するようにしてもよいことも実施の形態2と同様である。
以上のように、本実施の形態3にかかる治療計画作成方法では、単位照射選定ステップ(第2段階)あるいは、単位照射選定部212の動作において、複数の単位照射のうち、線量ずれs(i)の大きさが所定値以上になるときの相対位置の移動量が小さな単位照射ukを選定するように構成したので、患者の位置変動量は不明だが、コールドスポットでの線量不足がどこまで許容されるかの基準が定まっているような場合、効果的である。
実施の形態4.
実施の形態1においては、単位照射uiを形成する際、図2に示すレンジシフタ15(およびレンジシフタ駆動モジュール17b)を用いて粒子線のエネルギー(飛程)を調整する場合について説明した。本実施の形態4では、ビーム発生装置11の運転パラメータを変更することにより、ビーム発生装置11から出射されるビームのエネルギーを変更することで単位照射uiを形成するようにした。
なお、ビームゲート14およびビームゲート駆動モジュール17aの機能が、照射装置13ではなく、ビーム発生装置11に含まれていても良い。また、エネルギー選択システム(ESS)やリッジフィルタ(RGF)、マルチリーフコリメータ(MLF)等の機器を用いて、単位照射uiを形成しても良いし、あるいはこれらの方法を組み合わせても良い。それぞれの方法により、単位照射uiの形状や、駆動時間、ビーム強度などが変化するので、治療に最も適したものを選択することが可能である。
例えば、ビーム発生装置11の運転パラメータを変更することにより粒子線Bのエネルギーを変更することで単位照射uiを形成した場合、レンジシフタ15を用いて単位照射uiを形成するよりもビームの散乱を抑えることができるというメリットがある反面、粒子線Bのエネルギー変更に時間がかかるというデメリットがある。
実施の形態5.
上記各実施の形態にかかる治療計画作成方法および治療計画装置20は、粒子線治療におけるスキャニング照射法に対しても応用が可能である。積層原体照射においてはx、y方向(面方向)には、ほぼ一様な単位照射をz方向(深さ方向)分布のみ変調させて重ね合わせることで合成線量分布Dを形成したが、スキャニング照射における単位照射uiは一般的にはx、y、z方向それぞれにピーク状の線量分布を持つ「スポットビーム」と呼ばれるものであり、これら単位照射uiを3次元的に重ね合わせることで合成線量分布Dを得る技術がスキャニング照射法である。
スキャニング照射で得られる単位照射uiの線量分布d と合成線量分布Dの関係式は、積層原体照射と同様に式(1)で表すことができる。これに対し、スキャニング照射において、ある単位照射(i番目)の位置がずれた時に合成線量分布D v,i,αに発生するコールドスポットの大きさは、積層原体照射の場合とは異なりx、y、z全ての方向への単位照射uiのずれを考慮しなければならない。したがって、以下の式(6)〜(8)に示すように、単位照射uiの位置ずれのパターンを基本的な6パターンに分解し、それらの影響を合計することで、単位照射uiの位置ずれが合成線量分布D v,i,αのコールドスポット発生に与える影響を評価する。
Figure 0005943847
Δx、Δy、Δzの値を決定する際は、現実にビーム照射中に患者位置がどのくらい動くかを見積もるのが望ましいが、この場合も、具体的には、例えば、非特許文献3に示されるように、5mm以下の値をとるのが妥当である。
10:粒子線治療装置、 11:ビーム発生装置、 12:ビーム輸送経路、13:照射装置、 14:ビームゲート、 15:レンジシフタ、 16:主制御部、17a:ビームゲート駆動モジュール、 17b:レンジシフタ駆動モジュール、 20:治療計画装置、 21:線量分布演算部、 22:終了判定部、 23:データ記憶装置、 211:重み係数設定部、 213:単位照射選定部、 214:アルゴリズム修正情報生成部(修正情報生成部)。

Claims (5)

  1. 異なる線量分布を有する複数の単位照射を重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画作成方法であって、
    患部に対して設定された目標線量分布を近似する合成線量分布を生成するために、前記複数の単位照射のそれぞれの重み係数を設定する重み係数設定ステップと、
    前記複数の単位照射のそれぞれに対して、当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、前記目標線量分布からの局所的な線量ずれの大きさを算出し、算出結果に基づいて、前記複数の単位照射のなかから特定の単位照射として前記線量ずれが最も大きくなる単位照射を選定する単位照射選定ステップと、
    前記特定の単位照射に設定される重み係数が、直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、修正情報を生成する修正情報生成ステップと、を含み、
    あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、上記各ステップが順次繰り返されることを特徴とする治療計画作成方法。
  2. 前記単位照射選定ステップでは、前記複数の単位照射のうち、前記相対位置の移動量が一定の場合に発生する線量ずれが大きな単位照射を前記特定の単位照射として選定することを特徴とする請求項に記載の治療計画作成方法。
  3. 単位照射選定ステップでは、前記複数の単位照射のうち、前記線量ずれの大きさが所定値以上になるときの前記相対位置の移動量が小さな単位照射を前記特定の単位照射として選定することを特徴とする請求項に記載の治療計画作成方法。
  4. 前記単位照射選定ステップでは、前記線量ずれのうち、前記目標線量分布よりも線量が低くなる線量ずれを線量が高くなる線量ずれより優先して、前記単位照射の選定を行うことを特徴とする請求項またはに記載の治療計画作成方法。
  5. 異なる線量分布を有する複数の単位照射を重ね合わせて放射線治療を行うための治療計画を作成する治療計画装置であって、
    患部に対して設定された目標線量分布を近似する合成線量分布を生成するために、前記複数の単位照射のそれぞれの重み係数を設定する重み係数設定部と、
    前記複数の単位照射のそれぞれに対して、当該単位照射の他の単位照射に対する相対位置を移動させた場合に発生する、前記目標線量分布からの局所的な線量ずれの大きさを算出し、算出結果に基づいて、前記複数の単位照射のなかから特定の単位照射として前記線量ずれが最も大きくなる単位照射を選定する単位照射選定部と、
    前記特定の単位照射に設定される重み係数が、直前に設定された値よりも小さい値に設定されるように、修正情報を生成する修正情報生成部と、
    あらかじめ設定された終了条件を満たすまで、上記各部での処理が順次繰り返されるように上記各部を制御する終了条件判定部と、
    を備えたことを特徴とする治療計画装置。
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