JP5943327B2 - 小水力発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、農業用水路,市中の防火用水路その他山野に存在する小河川のわずかな段差を利用して、効率よく且つ安価で設置できる小水力発電装置を提供する。
河川の段差を利用して発電するものに、河川内の段差上流部と下流部に導水路を設け、上流部導水路の中に縦軸型の水車を設けて段差導水路内の河川水の重量を吸出し力として利用するものもあるが、この方法だと渇水期など導水路内を満たせぬ程河川水位が低下した場合、たとえ放水口の開度を絞って導水路内を満水にしても、水車の出力増加には結びつかない問題。 また大雨後の泥水に対して、価格や製造の面で、スラスト軸受が使えない小型縦軸型水車の欠点である下部軸受の損傷問題等がある。 (特許文献1)
また、水車への集水装置として、桶状の導水装置を用いたものがあるが、この導水装置では河川水のエネルギー密度を十分に高めることはできず、したがって水車出力も大きくは取れない問題がある。 また、上掛け水車を使用することから、河川の段差高は水車の直径以上なくてはならず、利用できる河川の段差箇所が限られる等の問題がある。 (特許文献2)
河川水位の変動に対応させる発電装置として、河川の上に架台を組み、水車をワイヤーで吊り下げ、河川の水位に応じて水車を上下させて発電するものがあるが、この方法では河川水の速度エネルギーの一部しか取り込むことができず、発電装置としての効率が悪い問題。 また、変化の激しい小河川の水位に応じて、こまめに水車を調整しなければならない問題等がある。 (特許文献3)
同じく河川水位の変動に対応させる発電装置として、上下2段の水面を導水管で結び、下段水面に浮き子を設け、その浮力で水車,回転体及び導水管下部を支持する方法があるが、この方法では導水管が満水になった場合、浮き子の浮力をさらに大きくしなければならない問題。 また水車軸に直結される回転体の直径は大きく採れず、故に発電機までの伝達装置に中間増速装置を設けなければならず、効率の悪い発電装置になってしまう問題等がある。(特許文献4)
特開2007−64141 特開2013−83173 特開2013−151871 実用新案 平3−6067
本発明は上記の問題点に鑑み、小河川の段差のある個所に設置する発電装置として、効率よく発電でき、且つ低コストで製作,設置が可能で、また河川の水位変動や河川ゴミにも対応できる小水力発電装置の提供を図るものである。
効率の良い発電装置(水車)とする為に、水路の段差上流側に横四角形の広口の取水口と段差下流側に横四角形の狭窄出口を設けた逆台形をした誘導ダクトを設け、前記誘導ダクトは、整流板を内蔵したダクトベースとダクト蓋の2分割構造で耐内圧型のダクトであることを特徴とする。
また前記誘導ダクト先端の狭窄出口には、水車ランナーを下側から覆い、両側を塞いだ形状のダクトスプーンが取り付けられ、水車ランナーの下部半分近くはこの中で回転する構造で、このダクトスプーンと水車ランナーとの間隔は、ダクトスプーンの先端に行くほど狭められ、狭窄出口の流速エネルギーと圧力エネルギーを効率よく水車ランナーに伝達する構造であることを最大の特徴とする。エネルギーを伝達し終えた河川水は、ダクトスプーンの先端より吐出される。
河川段差の上流側と下流側とに前記誘導ダクトを設けた事により、河川段差から水車を下流方向へ遠ざけることがでる為、台風や大雨等の一時的な増水に対しても水車の軸受は冠水し難い構造を特徴とする。
また水車は横軸型とし、その車軸は懸垂架台によって空中で支持される為、冠水し難い構造を特徴とする。
季節的な河川水位の低下(渇水期)に対応する為に、河川段差上部の誘導ダクトの取水口下部に設けられる嵩上げチャンネルは、前記誘導ダクトを回動自在に支持するだけでなく、必要に応じて2段、3段と嵩上げ高さを増して、河川段差の上流側の水位を上げられる構造を特徴とする。
季節的な河川水位の上昇(豊水期)に対応する為に、河川の両岸に2本ずつ埋設されたリードボルトに井桁状の渡し架台を貫通させ、両岸に各々2台ずつ仮設した油圧ジャッキ等により井桁状の渡し架台を上下移動させ、任意の高さになったところで、リードボルト付近に枕受け台を差し込み、リードボルトのナットで締め付けて固定することを特徴とするもので、前記井桁状渡し架台に取付けられる懸垂架台には、水車,誘導ダクトの狭窄出口及びダクトスプーン等が取り付けられ、それらは井桁状渡し架台と共に河川の水位に応じて上下移動できることを特徴とする。
河川の流入ゴミに対応する為に、横置きラダーの支持架台に等辺山形鋼或いは丸棒,丸型パイプ等を20〜30mmの隙間間隔で取り付けた横型スクリーンを設け、前記誘導ダクトの上流部に河川幅を斜め横断して取付けられるもので、上流側は誘導ダクト設置側岸の上流部に、下流側は段差上の誘導ダクトの取水口より下流に取付けられることを特徴とする。
製作費,建設費及び維持管理費等が低廉となるために、使用する鋼材,部品等は全てJIS規格の汎用品で製作,組み立てられるスケルトン構造を特徴とした。
河川の流れ方向に取付けた逆台形型の誘導ダクトとその狭窄出口に設けたダクトスプーンにより、誘導ダクトで高められた流水エネルギーをダクトスプーンで効率よく水車ランナーに伝達することができる為、水車出力が増加する。即ち同じ出力の他の水車と比べれば、水車サイズをコンパクトにできる。
水車ランナーを下側から覆う形状のダクトスプーンを設けたことにより段差下流の開放水面はダクトスプーン天端まで許容される為、段差の持つ位置エネルギーを最大限利用することができる。 即ち、20〜30cm程度のわずかな段差の河川をも利用することができる。
河川段差の上流側から下流側へ誘導ダクトを掛けることにより、瞬間的な河川の増水時にも誘導ダクトの長さ分、河川段差から水車を遠ざけることができる為、水車の軸受までは冠水せず、軸受の長寿命化が図れる。
誘導ダクトの取水口底部と段差上部の河川底との間に嵩上げチャンネルを設け、渇水期に河川段差上流部の水位を上げて河川水の位置エネルギーを増加することができる為、渇水期の出力低下を僅かながらも補償できる。
河川両岸に渡された上下移動可能な井桁状の渡し架台に懸垂された水車と誘導ダクトの狭窄出口及びダクトスプーンは、河川水位の増減に応じて上下移動が可能な為、河川の増水期に於いても水車軸受を水没させることがなく、且つ水車と誘導ダクトの好適な照射角度を維持することができ、安定した出力と水車軸受の長寿命化が図れる。
誘導ダクトの取水口手前の上流部に河川幅を斜め横断して取付けられる為、横型スクリーンに捕捉された河川ゴミは、横型スクリーンに沿って下流方向へ自然誘導され、誘導ダクトの取水口を通過した時点でゴミ吐出口から段差下流へと押し流され、ゴミによる水車トラブルが防止できる。
本小水力発電装置を設置するに当たり、河川への大掛かりな河川改修、土木工事は不要である。
使用する鋼材,部品等は全てJIS規格の汎用品で製作,組み立てられるスケルトン構造の為、維持管理が容易になっただけでなく、製作費,建設費等が低廉となり汎用性が出てきた。
当小水力発電装置を構成するほとんどの部品は、河川土手の中に納められる構造であるため、設置後も周囲の景観を損なうこともなく目立たない存在となる。
本発明を構成する全体平面図である。 本発明を構成する渇水期の側面図である 本発明を構成する満水期の側面図である 本発明を構成する全体正面図である 本発明に使用する誘導ダクトの概形図である 本発明に使用する簡易水車の概形図である。 本発明に使用するゴミ除けスクリーンの概形図である
本発明の小水力発電装置は、小河川の段差を利用して段差上流部と段差下流部とに河川流水のエネルギー密度を高める誘導ダクトを掛け、その狭窄出口に流水エネルギーを効率よく水車ランナーに伝達するダクトスプーンを設け、その中に複数枚の湾曲ブレードを持った水車ランナーの下部半分近くを浸して回転させる横軸型水車を特徴とするもので、その水車及び誘導ダクトの狭窄出口とダクトスプーンとは、河川の両岸に渡された上下移動可能な井桁状の渡し架台に取付けられた懸垂架台に設置され、河川の水位に応じて上下移動ができることを最大の特徴とするもので、以下実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の小水力発電装置を構成する全体平面図である。
図面左手矢印方向Sより流入する河川水は、ゴミ除けスクリーン18で水車ランナーに有害な大きさの河川ゴミは取り除かれる。 ゴミ除けスクリーンを通過できない(選別された)粗大ごみはゴミ除けスクリーンに沿ってゴミ吐出口22へと流し出され、やがて河川段差Bの下流へと吐き出される。 ゴミ除けスクリーンを通過した河川水は、誘導ダクト5に流入し、水圧と流速を増して狭窄出口7からダクトスプーン17へと導かれる。
図2に於いて、ダクトスプーン17へ導かれた高速流水は、水車ランナーとダクトスプーンとで徐々に狭められる為、流速エネルギーは徐々に水車ランナー16、の湾曲ブレードに伝達され、水車を回転させる。 エネルギーの大半を使い果たした河川水は、ダクトスプーンの先端より段差下流の水面上に吐出され、その役目を終える。
渇水期の段差下流の水面を基準に据え付けられるこの水車は、段差下流の開放水面Fがダクトスプーンの天端29に達するまで水車(渡し架台)を上げる必要がなく、故に相当長期にわたって本位置での運転が可能となる。
図1及び図2に於いて、台風,大雨等一時的な増水に対して、誘導ダクトの取水口6の吸込み高さ以下の場合、その増水エネルギーの大半は水車の回転力として消滅し、残りはゴミ吐出口22より段差下流へ放流される。
図3に於いて、一時的増水がさらに増して誘導ダクトの取水口の吸込み高さを超えた場合でも河川流水は水車の軸受までは届かず、誘導ダクトの途中で段差下流の水面上に落水する。
図3の春から秋の河川豊水期の水車運転について、河川が増水して段差下流の開放水面Jがダクトスプーンの天端29より高くなると水車の効率が落ちる。その為、ダクトスプーンの天端29は常に段差下流の開放水面Jより高い位置で運転する必要がある。 誘導ダクトの水平軸26,ダクトスプーン17,及び水車軸受13等は、渡し架台8に取付けられた懸垂架台12に取付けられている為、河川の両岸で、渡し架台を上げることによってそれらも上がることになる。
図1及び図4に於いて、井桁状渡し架台の上方移動は、河川両岸に2本ずつあるリードボルト10のナットを緩め、仮設の油圧ジャッキ9等で井桁状渡し架台を上方移動する。 ダクトスプーン天端29が段差下流の開放水面Jより十分に上昇したら(その後の増水を考慮して)図3で示す通り、リードボルト10とコンクリート基礎3との間に数個の枕台座11を挿入し、渡し架台8が任意の高さで水平になったらリードボルトのナットを締め、当位置での渡し架台を固定する。
ここで水車を最も効率よく運転する為に、水車位置と誘導ダクトの照射角度を調整する必要がある。 図2の渇水期の場合と図3の豊水期の場合とでは、水車ランナーに対する誘導ダクトの照射角が僅かに異なる為、ダクト吊りボルト2及びダクトスプーン調整ボルト28を調整して好適な照射角度(運転位置)を決める。
河川の豊水期から渇水期への移行時期に於ける水車の運転は、[0031]で示した手順の逆を行うことになる。 即ち、河川両岸に2本ずつあるリードボルト10のナットを緩め、仮設の油圧ジャッキ9を渡し架台8とコンクリート基礎3との間に挿入し、一度ジャッキアップしてから枕台座を取り外し、任意の高さまで下方移動し、リードボルトのナットを締めて固定する。
ここでは、設置費用の関係で安価な仮設ジャッキを用いて、渡し架台を上下移動させたが、スクリュウジャッキと連結棒及び操作ハンドルの装置を組み込んで一人で上下移動することもできる。
産業上の利用性
従来のいわゆる小水力発電装置なるものは、出力が微小でありながら高価な装置であった。 それと云うのもその利用者は、公共団体,学校の教材或いは富裕人の趣味道楽の域を超えていなかったことにも一因する。 本発明は、そうした非実用的な発電装置とは一線を画し、あくまで実用的,低廉で汎用性のある小水力発電装置の製造,建設を目指すものである。 本発明の小水力発電装置は、農業用ハウス栽培の照明電源,河川脇道路の防犯灯の電源,電気自動車用充電装置の電源,将来の水素発生装置の電源,等が考えられる。
1 ダクト吊り架台 A 段差上流川底
2 ダクト吊りボルト B 河川段差
3 コンクリート基礎 C 段差下流川底
4 アンカーボルト D 河川護岸
5 誘導ダクト E 河川護岸天端
6 ダクト取水口 F 渇水期水位
7 ダクト狭窄出口 J 満水期水位
8 井桁状渡し架台 S 流水方向
9 仮設ジャッキ
10 リードボルト 図1 全体平面図
11 枕台座 図2 渇水期の側面図
12 懸垂架台 図3 満水期の側面図
13 水車軸受 図4 全体正面図
14 水車プーリー
15 タイミングベルト 図5 誘導ダクト概形図
16 水車ランナー 図5−(a)誘導ダクト立体概形図
17 ダクトスプーン 図5−(b)誘導ダクト平面図
18 ゴミ除けスクリーン 図5−(c)誘導ダクト側面図
19 スクリーン固定チャンネル 図5−(d)誘導ダクト断面図
20 ダクト吊りワイヤー
21 スクリーン吊りワイヤー 図6 簡易水車概形図
22 ゴミ吐出口 図6−(a)水車ランナー正面図
23 嵩上げチャンネル 図6−(b)水車ランナー側面図
24 引掛けアングル
25 発電機 図7 ゴミ除けスクリーン概形図
26 ダクト水平軸 図7−(a)スクリーン取付架台
27 連結アングル 図7−(b)ゴミ除けスクリーン正
28 ダクトスプーン調整ボルト 図7−(c)ゴミ除けスクリーン側
29 ダクトスプーン天端
30 整流板
31 ダクト蓋
32 ダクトベース
33 湾曲ブレード
34 開き止め

Claims (6)

  1. 水路の段差上流部から下流部にかけて設置される誘導ダクトとその狭窄出口に設けたダクトスプーンとを一体とした導水装置を段差下流側の両岸に渡した井桁状渡し架台に取付け、前記井桁状渡し架台に取付けた懸垂架台、前記懸垂架台に支持されたダクトスプーン内で回転する水車ランナー,回転伝達装置,及び発電機から構成されることを特徴とする小水力発電装置。
  2. 請求項1に記載の誘導ダクトは、段差上流側に横長方形の幅広取水口を持ち、段差下流側に狭窄出口を持った逆台形型の導水装置であって、上下2分割できる耐内圧型のダクトで、取水口の底部には引掛けアングルを有し、段差上流の川底に設けた嵩上げチャンネルに引掛けて回動自在にし、段差下流のダクトの狭窄出口とダクトスプーンを前記渡し架台及び懸垂架台に支持される構造の誘導ダクトを持った小水力発電装置。
  3. 請求項1に記載したダクトスプーンは、前記誘導ダクトの狭窄出口部に取付けられ、内部に水車ランナーを包含し、誘導ダクトの狭窄出口から吐出される高速流水のエネルギーを効率よく回収する前記ダクトスプーンを持った小水力発電装置。
  4. 請求項1に記載の井桁状渡し架台は、水路の段差下流の両岸に渡され、上下移動が可能で、且つ任意の高さで固定できる井桁状の渡し架台で、前記誘導ダクトの狭窄出口の高さ調整装置及び懸垂架台が固定できることを特徴とする井桁状の渡し架台を持った小水力発電装置。
  5. 請求項1に記載の懸垂架台は、前記渡し架台に取付けられ、前記誘導ダクトの狭窄出口からの高速流水に拮抗できる構造を有し、前記誘導ダクトとの連結アングル,ダクトスプーンの高さ調整装置,水車ランナー,回転伝達装置及び発電機を備えた懸垂架台を持った小水力発電装置。
  6. 請求項1に記載の水車ランナーは、湾曲を有するブレードとそれらを支持する円筒形ドラム,その円筒形ドラムとブレードを両側から固定する各々の車軸を持った円盤状のドラム蓋から成る横軸水車で、その車軸は大気中で回転する水車ランナーを持った小水力発電装置。
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