JP5941555B2 - 低速光ファイバブラッググレーティングセンサを使用した光デバイス、光デバイスを構成する方法、およびファイバブラッググレーティングを使用する方法 - Google Patents

低速光ファイバブラッググレーティングセンサを使用した光デバイス、光デバイスを構成する方法、およびファイバブラッググレーティングを使用する方法 Download PDF

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Description

[優先権の主張]
本出願は、2012年1月20日に出願された米国特許仮出願第61/589,248号からの優先権の利益を主張し、その開示内容全体を参照によりここに組み込む。本出願は、2011年9月2日に出願された米国特許出願第13/224,985号の一部継続出願であり、その開示内容全体を参照によりここに組み込む。
[関連出願]
本出願は、2010年6月2日に出願された米国特許出願第12/792,631号に関連し、その開示内容全体を参照によりここに組み込む。
本出願は、概して、ファイバブラッググレーティングおよび低速光を利用した光デバイスに関し、より具体的には、ファイバブラッググレーティングおよび低速光を利用した光センサに関する。
[先行技術の記載]
ファイバブラッググレーティング(FBG)は、特に、通信システム、ファイバレーザ、およびファイバセンサといった多数のフォトニクス用途として研究および産業において広く使用されている。それらは、フィルタ、高反射器または部分反射器、分散補償器、周波数標準器、周波数安定器、スペクトル分析器等として使用されている。ここに記載されるいくつかの実施例に密接な関係のある主要な領域であるファイバセンサの分野では、FBGに対して個別にまたは同時に加えられ、主として歪みおよび温度である多くの摂動に対する変化を感知するためにFBGが使用される。FBGに基づいた光歪みセンサは、構造モニタリング、ロボット工学、および航空宇宙産業を含む多くの領域に実際に適用されてきている。
例えば、FBGに対して温度変化が加えられた場合、FBGパラメータのうち3つ、すなわち、その長さ(熱膨張による)およびそれ故にグレーティングの周期、コア中を伝搬するモードの実効屈折率(熱光学効果による)、並びに、ファイバコアの大きさ(やはり熱膨張による)が変化する。これらの3つの効果のうち、FBGの性能に対して最も大きく寄与するものは、通常は熱光学効果である。これら3つの変化は、組み合わされると、ブラッグ波長の変化をもたらし、これを測定して、グレーティングに加えられた温度変化を取り出すことができる。同様な原理が、FBGに加えられた縦歪みを測定するために一般に使用される。ファイバが歪まされると、上述の3つのパラメータも変化し、これによりブラッグ波長にシフトを引き起こす。FBGは、疑いなくファイバセンサの分野において最も広く使用されている光感知部品である。この理由は主に、結局のところ非常に高感度な多波干渉計であることを考慮した上で、その小型で経済的なこと、その製造の容易さ、および、その相対的な安定性によるものである。
いくつか実施例においては、ファイバブラッググレーティング、狭帯域光源、および、少なくとも1つの光検出器を備える光デバイスが提供される。ファイバブラッググレーティングは、ファイバブラッググレーティングの長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有する。ファイバブラッググレーティングは、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および、波長の関数としての群遅延スペクトルを有する。狭帯域光源はファイバブラッググレーティングと光学的に通じており、ファイバブラッググレーティングへと光を透過するように構成されている。これにより、光の透過された部分がファイバブラッググレーティングの長さに沿って透過され、光の反射された部分がファイバブラッググレーティングから反射される。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。少なくとも1つの光検出器は、光の透過された部分の、光の反射された部分の、または、光の透過された部分と光の反射された部分との両方の光パワーを検出するように構成される。光は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークの傾きが0でない領域に波長を有する。共振ピークにおいて評価される以下の量のうちの一または複数が最大値にあるように、共振ピークが選択される。すなわち、(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。
いくつかの実施例においては、ファイバブラッググレーティングを使用する方法が提供される。この方法は、ファイバブラッググレーティングを提供する段階と、狭帯域光源から光を発生する段階と、光の透過された部分の、光の反射された部分の、または、光の透過された部分と光の反射された部分との両方の光パワーを少なくとも1つの光検出器で検出する段階とを備える。ファイバブラッググレーティングは、ファイバブラッググレーティングの長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有する。ファイバブラッググレーティングは、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および波長の関数としての群遅延スペクトルを有する。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。光の透過された部分がファイバブラッググレーティングの長さに沿って透過され、光の反射された部分がファイバブラッググレーティングから反射されるように、狭帯域光源はファイバブラッググレーティングと光学的に通じている。光は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークの傾きが0でない領域に波長を有する。共振ピークは、共振ピークの局所的な最大値において評価される以下の量のうちの一または複数が最大値にあるように選択される。すなわち、(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。
いくつかの実施例においては、光センサとして使用されるべき光デバイスを構成する方法が提供される。光デバイスは、ファイバブラッググレーティング、および、ファイバブラッググレーティングと光学的に通じている狭帯域光源を備える。狭帯域光源は、光の透過された部分がファイバブラッググレーティングの長さに沿って透過され、光の反射された部分がファイバブラッググレーティングから反射されるように、ファイバブラッググレーティングに対して光を透過させるように構成される。ファイバブラッググレーティングは、ファイバブラッググレーティングの長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有する。方法は、ファイバブラッググレーティングについての波長の関数としての光のパワー反射スペクトル、および、ファイバブラッググレーティングについての波長の関数としての光のパワー透過スペクトルのうちの少なくとも一方を決定する段階を備える。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。方法は、ファイバブラッググレーティングについて、波長の関数として光の群遅延スペクトルを決定する段階をさらに備える。方法は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークを選択する段階をさらに備える。共振ピークは、選択された共振ピークの局所的な最大値において評価される以下の量のうちの一または複数が最大値にあるように選択される。すなわち、(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。狭帯域光源からの光が、選択された共振ピークの傾きが0でない2つの領域のうちの傾きが0でない一の領域において波長を有するように、ファイバブラッググレーティングと狭帯域光源とを構成する段階を方法はさらに備える。
ブラッグ波長のシフトを測定するために使用される包括的な装置の概略を示す。
ファイバブラッググレーティングセンサを有するマッハツェンダー干渉計を利用する信号処理の包括的な実施の図を示す。
FBGによって反射される光のコヒーレンス長を、FBGの屈折率コントラストの関数として示す。3つの異なるFBG長について、1.55ミクロンの波長に対し、無損失のグレーティングを仮定して計算した。
図2のブラッグ反射モードのFBGセンサの温度に対する計算された最大感度を屈折率コントラストの関数として示す。様々なFBG長について、1.55ミクロンの波長に対し、無損失のグレーティングを仮定して計算した。
図2のブラッグ反射モードのFBGセンサの温度に対する計算された最大感度をFBG長の関数として示す。様々な屈折率コントラストについて、1.55ミクロンの波長に対し、無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った光センサの概略である。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った光センサの概略である。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、低速光透過モードにおいて使用されるFBGを利用する装置の実施例の図を示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、低速光反射モードにおいて使用されるFBGを利用する装置の実施例の図を示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.064ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して計算されたパワー透過スペクトルを示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.55ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して計算されたパワー透過スペクトルを示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ("加熱されていない"方の曲線は、熱的摂動が無い場合を示し、"加熱された"方の曲線は、熱的摂動があることを示す。)
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.064ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、波長の関数として計算された透過される信号の位相を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.55ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、波長の関数として計算された透過される信号の位相を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.064ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、波長の関数として計算された群屈折率を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.55ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、波長の関数として計算された群屈折率を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.064ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、計算された温度の感度を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、波長1.55ミクロンの透過において使用されるFBGの例に対して、計算された温度の感度を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光波長の近傍における、λ=1.064μmの透過モードにおいて使用されるFBGの例に対して、パワー透過の関数としての、温度に対する位相の感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光波長の近傍における、λ=1.55μmの透過モードにおいて使用されるFBGの例に対して、パワー透過の関数としての、温度に対する位相の感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従ったλ=1.064μmの低速光透過モード(破線)、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光反射モード(点線)、および、ブラッグ反射モード(実線)において使用される固定長(例えば2cm)のFBGに対して、屈折率コントラストの関数としての、温度に対するパワーの感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従ったλ=1.55μmの低速光透過モード(破線)、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光反射モード(点線)、および、ブラッグ反射モード(実線)において使用される固定長(例えば2cm)のFBGに対して、屈折率コントラストの関数としての、温度に対するパワーの感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、λ=1.064μmに対して、低速光反射モード(実線)および低速光透過モード(破線)において使用される固定長(2cm)のFBGに対して、屈折率コントラストΔnの関数として計算された群屈折率を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、λ=1.55μmに対して、低速光反射モード(実線)および低速光透過モード(破線)において使用される固定長(2cm)のFBGに対して、屈折率コントラストΔnの関数として計算された群屈折率を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
λ=1.064μmにおいて、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光反射モード(点線)および低速光透過モード(破線)、並びにブラッグ反射モード(実線)について、固定された屈折率コントラスト(1.5×10−4)のFBGに対し、長さの関数としての、温度に対するパワーの感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 λ=1.55μmにおいて、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光反射モード(点線)および低速光透過モード(破線)、並びにブラッグ反射モード(実線)について、固定された屈折率コントラスト(1.5×10−4)のFBGに対し、長さの関数としての、温度に対するパワーの感度の間の関係を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
λ=1.064μmについて、ブラッグ反射モードにおいて使用される長さ1cmのFBGに対して計算された検出可能な最小の温度変化を、屈折率コントラストΔnの関数として示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 λ=1.55μmについて、ブラッグ反射モードにおいて使用される長さ2cmのFBGに対して計算された検出可能な最小の温度変化を、屈折率コントラストΔnの関数として示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従って、λ=1.064μmについて、低速光透過モードにおいて使用される長さ1cmのFBGに対して計算された検出可能な最小の温度変化を、屈折率コントラストΔnの関数として示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。 ここに記載されるいくつかの実施例に従って、λ=1.55μmについて、低速光透過モードにおいて使用される長さ2cmのFBGに対して計算された検出可能な最小の温度変化を、屈折率コントラストΔnの関数として示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、長さ2cmおよびΔn=1.5×10−4のFBGについて、低速光反射モード(実線)および低速光透過モード(破線)におけるレーザ線幅に対するパワー感度の依存性を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算した。
強い均一なFBG(Δn=1.0×10−3)の例における様々な損失について、群屈折率およびパワー透過を長さの関数として示す。
水素装填されたFBGの例において、2m−1の損失に対する群屈折率およびパワー透過を長さの関数として示す。
均一なプロファイル、タイプAのアポダイズプロファイル、および、タイプBのアポダイズプロファイルを有するFBGに対する屈折率プロファイルを示す。
タイプAのアポダイズグレーティングの群屈折率スペクトルを示す。
FBGの例に対するパワーの非対称スペクトルのプロットを示す。
図19Cにおいて使用されたFBGの例に対する群屈折率の非対称スペクトルのプロットを示す。
タイプBの強いアポダイズFBGの例における様々な損失について、群屈折率およびパワー透過を長さの関数として示す。
タイプBの強いアポダイズFBGの例におけるガウシアンアポディゼーションのFWHMの関数として、群屈折率およびパワー透過を示す。
水素装填されたFBGの例における群屈折率およびパワー透過を、長さの関数として示す。
図22の水素装填されたFBGの例における群屈折率およびパワー透過を、ガウシアンアポディゼーションのFWHMの関数として示す。
FBGの群遅延を測定するために使用された実験の設定の例を示す。
FBGの例の測定されたおよび理論的な透過スペクトルを示す。
図25Aにおいて使用された同じFBGの例に対する、測定されたおよび理論的な群屈折率スペクトルを示す。
FBGの例に対して測定された透過スペクトルの全体を示す。
図26Aに示される測定されたおよび理論的な透過スペクトルの短波長部分を示す。
図26Aにおいて使用されたFBGの例に対する、測定されたおよび理論的な群屈折率スペクトルを示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、光感知の方法例のフローチャートである。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った、光感知の方法例のフローチャートである。
πシフトされたグレーティングの透過スペクトルを示す。
図29Aにおいて使用された、πシフトされたグレーティングの群屈折率スペクトルを示す。
アポダイズグレーティングの例に対して計算された透過スペクトルの例、および、計算された群屈折率スペクトルを示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従って低速光透過モードで使用されるFBGを利用した装置の実施例の図を示す。
透過スペクトルの平方根に図30の群屈折率スペクトルをかけた積である性能指数の例を示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った光感知方法の例のフローチャートである。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った光感知方法の例のフローチャートである。 ここに記載されるいくつかの実施例に従った光感知方法の例のフローチャートである。
FBGの例に対して測定された透過スペクトルを示す。
図36Aで使用されたFBGの例に対する群屈折率スペクトルを示す。
低速光センサとしてのその性能を試験するための、マッハツェンダー干渉計においてFBGを利用した実験の設定の例を示す。
図35の実験の設定例において測定された4つの低速光ピークにおいて測定された感度を示す。
長さL=2cmおよび損失の無い均一なグレーティングの例における屈折率コントラストの関数としてのFWHM帯域幅を示す。
長さL=2cmを有し、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光透過モードにおいて利用される損失の無い場合(上側の実線)および、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光透過モードにおいて利用される損失のある場合(様々な点線および破線)、並びにマッハツェンダー(MZ)干渉計処理による従来の反射モード(下側の実線)のFBGについて、屈折率コントラストの関数としての歪みに対する感度の間の関係を示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った均一なFBGの例のパワー透過および群屈折率スペクトルを示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った透過スキームにおけるFBGセンサの構成例を概略的に示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った反射スキームにおけるFBGセンサの構成例を概略的に示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従ったFBGを使用する方法の例のフローチャートである。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った光センサとして使用される光デバイスを構成する方法の例のフローチャートである。
ここに記載されるいくつかの実施例に従ったFBGの例の、(a)測定されたパワー透過スペクトルおよび(b)測定された群遅延スペクトルを示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った歪みの感度を測定する構成の例を概略的に示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従ったFBGの例について、測定されたおよび予測された感度スペクトルを示す。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った、2つのフィードバックループを有するMZベースのスキームにおいて歪みの感度を測定する構成の例を概略的に示す。
ファイバブラッググレーティング(FBG)は、その詳細な点において異なる多くの形態を取ることができるが、FBGは通常、一次元フォトニックバンドギャップ構造であり、また通常、光導波路(例えば光ファイバ)の導波領域とともに製造される周期Λを有する周期的屈折率のグレーティングを含む。FBGの導波領域における周期構造の存在が、フォトニックバンドギャップを誘起する。これは、すなわち、光がグレーティングを通って前方へと伝搬することが許されない、光周波数空間中の有限の帯域幅の帯域である。このバンドギャップの中心波長はブラッグ波長λとして知られている。λ近傍の波長の光がFBGのコアに入射されると光はFBGから実質的に反射されるのに対し、λから十分に遠く離れた波長の光は、FBGの長さに沿って実質的に透過される。この反射に対する物理的な説明は、コア領域の屈折率におけるそれぞれのリプルが、入射光の小さくわずかな部分をファイバの逆伝搬基本モードへと反射するということである。この反射は、物理的には、異なる屈折率の2つの誘電性媒体間の界面において生じるフレネル反射によるものである。従って、各リプルにおいて反射される光のわずかな部分(電場の観点から)は、非常に小さな数であるΔnに比例する。しかしながら、FBGは何万もの周期を通常含んでいるので、これら全ての反射が加わりあって、かなり大きな全反射になることができる。ブラッグ波長λ(λ=2nΛ、ここでnは有効屈折率であり、Λはグレーティング周期である)においては、実質的に全ての個々の反射が互いに同位相である。そして全ての反射が強め合うように加わって逆伝搬モードになり、結局は、入射光のパワーの大きな部分を伝えることができる。十分に長い長さと強い屈折率変調Δnを有するFBG中では、入射光の本質的に100%が反射されることができる。摂動(例えば歪み)がFBGに加えられた場合、屈折率とFBGの長さの両方の摂動が、摂動(例えば歪み)に比例するようなλのシフト、および透過スペクトルと反射スペクトルとにおける等しいシフトを引き起こす
ファイバセンサの分野においては、今までの大抵のFBGは、ここではブラッグ反射モードとして言及されているものに使用されてきている。この動作モードの概略が図1に示される。光(例えば広帯域光源からの)は、ファイバ結合器を介してFBGへと放たれる。FBGから反射された、λを中心とする光スペクトルの一部分は、同じ結合器によって分岐され、例えばλを測定する光スペクトル分析器(OSA)である波長モニタ機器へと向けられる。あるいはその代わりに、FBGによって透過される光スペクトルの一部分は、やはり、例えばOSAのようにλの測定値を提供する第2の波長モニタ機器によって測定することができる。温度変化がFBGに加えられると、λが変化し、このλの変化(またはλの変化した値)が一方あるいは両方の波長モニタ機器によって測定される。そして、測定されたλの変化(あるいはλの変化した値)から、温度変化の絶対値を計算することができる。歪みまたは加速度のように、FBGに加えられ、λを変更するその他のあらゆる摂動の絶対的な(あるいは相対的な)大きさを測定するために、同じ原理が使用される。センサとしてのFBGの動作におけるこのモードの多くの例が文献に記載されている。その全てが共通してこの点を有している。つまり、測定量を取り出すために、ブラッグ波長λ(あるいは、λの変化した値)の測定にこれらは依存している。
そのような感知スキームの感度(例えば、検出可能な最小の歪み)は、OSAの分解能によって制限され、通常は、約0.1−0.5nmとかなり低い。ブラッグ反射モードにおいて使用されるFBGの感度を向上させるためには、波長における極めて微小な変化、例えば10−13メートルよりも小さな変化を測定するように能力を向上させることが必須である。これは、高い分解能を有するOSAを使用することにより成すことができる。十分に高い波長分解能を有する市販のOSAが入手可能である。例えば、日本の東京の横河電機は分解能0.05nmを有するOSAを市販しており、日本の厚木のアンリツは分解能0.07nmのOSAを提供している。
例えば分解能10−12mというように、従来のOSAよりも遥かに高い波長分解能を提供する別の解決法は、波長をモニタするためにアンバランスなMZ干渉計を使用することである。例えばA. D. Kersey, T. A. Berkoff, and W. W. Morey, "High resolution fibre-grating based strain sensor with interferometric wavelength-shift detection," Electronic Letters, Vol. 28, No. 3を参照のこと。この概念の包括的な実施の図が図2に示される。測定されるべき波長λを有し、FBGから反射される信号は、MZ干渉計の2つのアームを通る。2つのアームは、適切な位相バイアスを有しつつ、例えばLが50cmおよびLが51cmのように異なる長さLおよびLを有するので、MZ干渉計の1つの出力ポートから出てくる信号はsin(Δφ/2)に比例する。ここでΔφ=2πnΔL/λであり、nはMZファイバ中のモード実効屈折率であり、ΔL=L−Lである。FBGに加えられた摂動の結果として、もしもFBGのブラッグ波長がδλ変動する場合、MZ干渉計の2つのアームの間の位相差は以下の量変動するであろう。
Figure 0005941555
干渉計は、位相差を、干渉計の出力において測定される量である出力パワーの変化に変換する。MZ干渉計の適切な位相バイアスを用いると、摂動の存在下で検出されるパワーがsin(Δφ/2)に比例するので、sin(πnΔLδλ/λ )で変動する。パワーにおけるこの変動を測定することによりδλを取り出すことができる。小さな摂動に対しては、δλは小さく、よってδΔφも小さい。そのため、パワーの変化はΔLδλ/λ に比例する。従って、原理的にこの技法は、ΔLを非常に高い値に増大させることにより、δλの非常に高い分解能を与えることができる。これは、光ファイバが通常非常に低い損失を有し(それで信号損失の増大という不利益無しに長い長さが使用可能であり、故に信号対ノイズ比を低減できる)、安価であるため、簡単に実行できる。100mのΔLを有する本原理の1つの実施例においては、A. D. Kersey等により、0.6nε/√Hzの検出可能な最小の歪みが測定された。
図2の手法は、2つの主な制限を有する。1つ目は、アンバランスなΔLを無制限に増大させることができないことである。MZ干渉計の基本的な動作は、2つの信号が干渉できるように、高度な時間的コヒーレンスを有してこれらが(例えば、MZ干渉計の第2の結合器において)再結合されることを必要とする。これは、MZ干渉計を通って進む信号のコヒーレンス長Lをおおよそ越えないように、光学長の不整合ΔLが選択されることを意味する。このコヒーレンス長は、FBGによって反射された信号の周波数線幅Δν(または波長線幅Δλ)と、次のように関連する。
Figure 0005941555
同様に、グレーティングから反射される光の線幅は、およそ次のように与えられる。
Figure 0005941555
ここでN=L/Λはグレーティング中の周期の数であり、LはFBG長である。例えば、Y. J. Raoの"In-fibre Bragg grating sensors"Meas. Sci. Technol. Vol. 8, 355-375 (1997)を参照のこと。従って、例えば、FBGの長さを増大させることのように、FBGの屈折率変調を減少させること、および/または、周期の数を増大させることによって、反射される光のコヒーレンス長を増大させるので、第2の条件(狭反射線幅)を満たすことができる。しかしながら、屈折率変調は実際のところは限られた量だけしか低減されず、また、FBGの長さの増大は、その熱的不安定性を増大させる。MZ干渉計の経路長差を増大させることも、熱変動に対してMZ干渉計を安定化させることをさらに困難にする。より最近になって、2つのFBGにより形成されるファイバファブリペロー(FFP)歪みセンサによって、Pound−Drever−Hall周波数ロッキング技法を利用してレーザ周波数を安定化させることにより、130fε/√Hzの検出可能な最小の歪みが実証された(G. Gagliardi, M. A. Salza, P. S. Ferraro, P. De Natale, "Probing the ultimate limit of fiber-optic strain sensing", Science, Vol.330, Iss. 6007, 1081-1084 (2010))。この装置は有望であるが、ここに記載される低速光を用いたいくつかの実施例は、はるかに簡単な実施形態によって、名目上、同じ検出可能な最小の歪みを実現することができ、また、究極的には同じ感度を実現することができる。
反射信号の線幅が狭い場合は信号コヒーレンス長が長く、MZ干渉計において大きな長さのアンバランスを使用することができ、感度を高くすることができる。しかしながら反射信号の線幅は任意に狭くできるわけではない。線幅は、式(3)を通じて、グレーティングにより、すなわち、周期の数Nおよび相対的屈折率コントラストΔn/nによって束縛される。大きな経路の不整合ΔLを使用することができるようにするために、非常に弱いグレーティング(非常に小さな相対的屈折率コントラスト(または変調)Δn/n、および非常に長いグレーティング)を使用することができる。例えば、1mの経路不整合を波長1.55μmにおいて使用するために、1mのコヒーレンス長が使用される。または、式(3)に従って、例えば、〜10−5の相対的屈折率コントラストおよび16cmよりも大きなグレーティング長が使用される。
図3は、波長1.064ミクロンにおける3つの異なるFBG長に対して、FBGから反射される光のコヒーレンス長を、その屈折率コントラストΔnの関数として示す。無損失のグレーティングを仮定して計算されている。与えられるFBG長に対しては、屈折率コントラストが低下するに連れて、ある最大値までコヒーレンス長は増大する。グレーティング長が増大するに連れてこの最大値は増大する。この最大コヒーレンス長は、グレーティング長にほぼ等しい(図3参照)。この結果は、式(2)および式(3)から予期される。Δn/nが無視できるような極限においては、Δλはλ/Nに近付き、従って、Lは下記の式に近付く。
Figure 0005941555
ここでは、FBGのブラッグ波長の式、λ=2nΛが使用されている。シリカファイバーにおいては、n≒1.45であり、故に式(4)中の2n/πは0.92に等しい。それにより、図3において予測されるように、LはLに近くなる。与えられる屈折率コントラストに対しては、長さが増大するに連れてコヒーレンス長もまた平坦域に達する。ここを越えてさらにFBG長を増大させても、いかなる顕著な様式でもコヒーレンス長を増大させない。従って、長いコヒーレンス長を得るためには、低コントラストで長さの長いグレーティングを使用することができる。しかしながら、典型的なコントラスト値(10−4から10−6、10−5が大体最も典型的である)に対しては、典型的で妥当な値(数cm)を越えるFBG長に対してさえも、コヒーレンス長はたかだか10cm程度か、あるいはそれよりも小さい。これは、Kersey等のリポートと矛盾しない。そこでは線幅Δλ=0.2nm(式(2)に従うと、コヒーレンス長〜3.8mmに相当する)を有するFBGからの反射信号を処理するMZ干渉計において、10mmの長さ不整合が使用されている。
上記に基づくと、図2のブラッグ反射構成の感度は、長さ不整合によって制限される。長さ不整合自体は、それ自体が図3に従いΔnおよびLによって課される、反射信号のコヒーレンス長によって制限される。長さ不整合ΔLに対しては、FBGによって反射される波長δλの変化によって生じる、MZ干渉計の2つのアーム間の位相差Δφにおける変化が、式(1)により与えられる。第一に、波長におけるこの変化が主として温度に伴うファイバ屈折率の変化によるものであると仮定すると(例えば、FBG長における変化の効果およびファイバの横断寸法を無視すると)、図2のセンサの感度は明示的に次のように書くことができる。
Figure 0005941555
感度は、ΔLの単純な線形関数である。シリカファイバーに対しては、dn/dT≒1.1×10−5−1である。図3で使用されている例示的な長さ不整合の最大値10cmに対して、および約1.064μmのブラッグ波長に対しては、温度に対する位相の感度は約6.5rad/℃であることを式(5)は述べている。MZ干渉計の出力において検出可能な最小の位相変化が1μrad(標準的で良好な値)である場合、検出可能な最小の温度変化は10−6/6.5≒1.54×10−7℃である。
上記の説明は、10cmという特定のアーム長の不整合を仮定している。(これは、例えば、約10cmのグレーティング長および10−5より小さなコントラストに対して適用可能である。図3参照。)実際のところ、可能な最大のアンバランスは、図3に従うと、FBGの屈折率コントラストおよび長さによって決定され、10cmよりも小さい。図4は、波長1.064ミクロンについて、異なるグレーティング長に対する屈折率コントラストの関数としてプロットされる、温度に対する感度を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算されている。与えられるグレーティング長に対しては、屈折率コントラストが低下するに連れて、漸近的最大値まで感度は増大する。この漸近的最大値は、グレーティング長が増大するに連れて増大する。図4は、たとえ装置の長さが増加しても高コントラストが使用された場合には、はるかに小さな感度を結果的に生じることを示す。
図5は、波長1.064ミクロンについて、異なる屈折率コントラストに対するグレーティング長の関数としてプロットされる、温度に対する感度を示す。無損失のグレーティングを仮定して計算されている。グレーティングの長さが増大するに連れて、漸近的最大値まで位相の感度は増大する。ブラッグ反射モードにおいて高感度を実現するために、FBGの屈折率コントラストは低くなるように選択されることができ、その長さは長くなるように選択されることができる。さらに、最大実用感度は、10rad/℃(図5参照)程度であるか、または検出可能な最小の温度は10−7℃程度である。さらに屈折率コントラストを低減し長さを増大させることによって、より小さな値が得られるが、より長い装置という代償を払うことになる。
図2の手法の2つ目の制限は、アンバランスなMZ干渉計は温度変動に対して非常に敏感であり、アンバランスさが増大するに連れて、さらに敏感になる。各アームを通って信号が伝搬するに連れて、このアームの長さに比例した位相シフト(例えば、アーム1に対してはφ=2πnL/λ)を信号が受ける。もしもMZ干渉計全体が何かの事情で温度変化ΔTを受けた場合、アーム1中およびアーム2中の信号の位相は異なる量だけ変動するであろう。そしてその結果、MZ干渉計の位相バイアスが変化するであろう。この位相バイアスは、あまり大きく変動し過ぎないようにすることが望ましい。そうでないと、MZ干渉計の感度が(最適バイアスに対する)最適値とゼロとの間で時間と共に変動するであろう。従って、MZ干渉計の温度を安定化させることが望ましい。より大きな長さ不整合ΔLに対しては、この温度制御がさらに厳重であることが望ましく、これは実際に実行することが困難である。例えば、信号波長1.064μm、およびアーム長の不整合10cmを有するシリカ製のファイバの例を考える。2つのアームの間の位相差を±0.02rad(妥当なバイアス安定性要求)よりも小さく維持するためには、望ましくは約±0.003℃で温度が制御される。これは、相当なエンジニアリング業務であり得、複雑性、パワー消費量、および、最終的なセンサシステムのコストを増大させる。
FBGに加えられる摂動に対する波長シフトの依存性を増大させるために、K. P. Koo and A. D. Kersey, "Bragg grating-based laser sensors systems with interferometric interrogation and wavelength division multiplexing," J. Lightwave Technol., Vol. 13, Issue 7 (July 1995)に記載されるように、例えば、レーザキャビティ内にFBGを配置することにより、これと同じ手法がその他の方法において使用されてきた。しかし、アンバランスなMZ干渉計の温度を安定化させるという要求から生じる困難は、同じように残る。まとめると、長さ不整合を増大させることによって、λの変動におけるより大きな差を発動させることができるが、これにより、MZ干渉計におけるより大きな不安定性という代償を払うことになる。
電磁誘導透過(EIT)(L. V. Hau, S. E. Harris, Z. Dutton, およびC. H. Behroozi, "Light speed reduction to 17 metres per second in an ultracold atomic gas")、および光結晶導波路(Nature 397(6720), 594-598 (1999); T. F. Krauss, "Slow light in photonic crystal waveguides," J. Phys. D: Appl. Phys. 40, 2666-2670 (2007))を使用した低速光が実験的に実証されてきた。バンドギャップの縁部または複数の縁部に存在する狭い共振ピークにおいても、FBG中に低速光が生じることができる。低速光媒体が、歪みまたは温度変化のような外部摂動を受ける場合、摂動によってデバイス中に誘起される位相シフトが、低い群速度(または、高い群屈折率)を示す光に対して強められる。この位相の感度は、群遅延に対して比例的に増大する(M. Soljacic, S. G. Johnson, S. Fan, M. Ibanescu, E. Ippen, and J. D. Joannopoulos, "Photonic-crystal slow-light enhancement of nonlinear phase sensitivity," JOSA B, Vol. 19, No. 9, 2052-2059 (2002))。
ここに記載されるいくつかの実施例は、FBGセンサの動作の新たなモードを有利に利用する。これらの新たなモードは、ブラッグ反射モードでのセンサとしてのFBGのこれまでの利用に対して、いくつかの実質的な利益を提供する。そのうち最大のものは、与えられるFBG長における測定量(例えば歪み)に対する感度の大きな増大、および/または、与えられた感度におけるFBG長の大きな低減である。いくつかの実施例においては、感度の増大および/または長さの低減は、1から数桁の大きさの係数の範囲内にある。
ここに記載されるいくつかの実施例に従った光デバイス10の2つの例が、図6Aおよび図6Bに概略的に示される。図6Aおよび図6Bのそれぞれにおいて、光デバイス10は、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有するFBG20を備える。FBG20は、複数の局所的な透過率最小値を有するパワー透過スペクトルを有する。隣接した局所的な透過率最小値のそれぞれの対は、それらの間に局所的な透過率最大値を有する。局所的な透過率最大値は、透過ピーク波長において最大のパワーを有する。光デバイス10は、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている狭帯域光源30を備える。狭帯域光源30は、隣接した2つの局所的な透過率最小値の間に波長を有する光を発生するよう構成される。波長は、局所的な透過率最大値にある、またはその近傍にあるか、もしくは、局所的な透過率最大値と、局所的な透過率最大値に隣接する2つの局所的な透過率最小値のどちらかとの間においてパワー透過スペクトルが最大の傾きを有するような波長にある、またはその近傍にある。
ここで使用されているように、特定の波長に関して"そこにある、またはその近傍にある"という用語は、その最も広い合理的な解釈を有し、これらに限定されるものではないが、特定の波長において、または、光デバイス10の性能が、特定の波長における光デバイス10の性能と実質的に等価であるような特定の波長に十分近い波長において、という解釈を含む。例えば、特定の波長"にある、またはその近傍にある"波長とは、その波長が、特定のターゲット波長からΔという量内にあることを意味することができる。ここでΔは透過ピークのFWHM線幅の一部分である。この一部分は、用途の要求に応じて、例えば1%、または5%、あるいは10%、もしくは20%であってよい。例えば、Δ=10%に対し、FWHM線幅が2pmである場合、特定のターゲット波長の0.2pm以内にある波長は、このターゲット波長の近傍にあるとみなされ、このターゲット波長から2pm離れた波長は、このターゲット波長の近傍にあるとはみなされない。
いくつかの実施例においては、光デバイス10は光センサであり、FBG20と光学的に通じている少なくとも1つの光検出器40をさらに有する。狭帯域光源30によって発生された光は、第1部分33aおよび第2部分33bに分岐される。第1部分33aは、FBG20の長さに沿って全長にわたり延びる第1光学経路31に沿って透過される。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40は、第1部分33a、第2部分33b、または第1および第2部分33a、33bの両方を受け取るように構成される。
いくつかの実施例においては、狭帯域光源30からの入射光のかなりの部分をFBG20が透過するように、狭帯域光源30によって発生された光の波長は、局所的な透過率最大値の透過ピーク波長に、またはその近傍にある。そのようないくつかの実施例においては、図6Aに概略的に示されるように、第1部分33aは、狭帯域光源30からFBG20に入射されFBG20に沿って透過される光を含み、第2部分33bは、FBG20と実質的に相互作用しない光を含む。従って、第1部分33aがFBG20に沿って透過される間に、FBG20に加えられた摂動によって第1部分33aは実質的に影響される。これに対して第2部分33bは、FBG20に加えられる摂動によって実質的に影響されない。
他のいくつかの実施例においては、狭帯域光源30によって発生された光の波長は、局所的な透過率最大値と、局所的な透過率最大値のどちらかの側における隣接した2つの局所的な透過率最小値の一方との間にある。これによりFBG20は、狭帯域光源30からの入射光のかなりの部分を透過し、狭帯域光源30からの入射光のかなりの部分を反射するようになる。そのようないくつかの実施例においては、図6Bに概略的に示されるように、第1部分33aは、狭帯域光源30からFBG20に入射されFBG20に沿って透過された光を含み、第2部分33bは、FBG20から反射された光を含む。従っていくつかの実施例においては、第1部分33aは、第1部分33aがFBG20に沿って透過される間に、FBG20に加えられた摂動によって実質的に影響される。第2部分33bは、第2部分33bがFBG20から反射される間に、FBG20に加えられる摂動によって実質的に影響される。
以下においてより完全に記載されるように、FBG20に沿って透過される光が、FBG20を通って伝搬するその他の大部分の波長における光が有するよりも遅い群速度を有するような波長にあるように、狭帯域光源30によって発生される光が選択される。例えば、いくつかの実施例においては、狭帯域光源30によって発生される光の波長は、FBG20を通って透過される光の群速度に対する真空中の光の速度(約3×10km/s)の比が5よりも大きく、または10よりも大きく、または30よりも大きく、または50よりも大きく、または100よりも大きく、または300よりも大きく、または500よりも大きく、または1,000よりも大きく、または3,000よりも大きく、または5,000よりも大きく、または10,000よりも大きく、または30,000よりも大きく、または50,000よりも大きく、または100,000よりも大きく、または300,000よりも大きく、または500,000よりも大きく、または1,000,000よりも大きくなるように選択することができる。他のいくつかの実施例においては、狭帯域光源30によって発生される光の波長は、FBG20を通って透過される光の群速度に対する真空中の光の速度(約3×10km/s)の比が5と10との間、または5と30との間、または10と50との間、または30と100との間、または50と300との間、または100と500との間、または300と1,000との間、または500と3,000との間、または1,000と5,000との間、または3,000と10,000との間、または5,000と30,000との間、または10,000と50,000との間、または30,000と100,000との間、または50,000と300,000との間、または100,000と500,000との間、または300,000と1,000,000との間、または500,000と3,000,000との間、または1,000,000と5,000,000との間になるように選択することができる。
いくつかの実施例においては、FBG20における実質的に周期的な屈折率変調は、FBG20の長さに沿って一定の周期を有する。その他のいくつかの実施例において実質的に周期的な屈折率変調は、チャープグレーティングのように、FBG20の長さに沿って変動する周期を有する。いくつかの実施例において屈折率変調の振幅は、アポダイズグレーティングのように、長さに沿って変動することができる。
FBG20は、空間変調されたUVビームに光ファイバのコアをさらすことにより、あるいはその他の多くの手段により製造することができる。屈折率変調は正弦関数であることができる。あるいは、その他の空間分布の任意の数を取ることができる。いくつかの実施例においては、光ファイバは、ニューヨーク州コーニングのCorning, Inc.から市販されているSMF−28(登録商標)光ファイバのような従来のシングルモードファイバである。しかしながら、他の実施例におけるファイバはマルチモードファイバである。他のいくつかの実施例においては、空間的に変動する光にさらすことによって屈折率中に所望の変調を誘起するように、ファイバには特有の元素がドープされて実質的に感光性にされる(例えば、UV光に実質的に反応する)。ファイバはシリカ、水素装填されたシリカ、リン酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、または、その他の材料から成ることができる。
FBG20におけるグレーティングの屈折率の摂動または変調は、弱い場合(例えばΔn≒10−5)または非常に高い場合(例えばΔn≒0.015)があり得る。FBG20の屈折率グレーティングは、いくつかの場合において、コアを直接に取り囲むクラッド中に延びることもあるが、普通はコアに制限される。長さが1メートルを越えるもの、あるいは1mmほどの短いFBG20も作成されてきてはいるものの、FBG20の長さは通常数ミリメートルから数センチメートルである。
いくつかの実施例においては、狭帯域光源30は、例えば、アリゾナ州ツーソンのNP Photonicsによる、1530nm−1565nmの間の波長範囲を有するEr−Ybドープされたファイバレーザである半導体レーザを備える。その他の実施例においては、狭帯域光源30は、1064.2nmの波長を有するNd:YAGレーザを備える。いくつかの実施例においては、狭帯域光源30は、10−13メートルよりも小さいか等しい線幅を有する。その他の波長(例えば1.3ミクロン)およびその他の線幅もまた、ここに記載されるいくつかの実施例に対応する。
いくつかの実施例においては、狭帯域光源30によって発生された光は、第1部分33aおよび第2部分33bに分岐される。第1部分33aは、FBG20の長さに沿って延びる第1光学経路31に沿って透過される。第2部分33bは、FBG20の長さに沿っては延びない第2光学経路32に沿って透過される。いくつかの実施例においては、図6Aに示されるように、第1光学経路31は第2光学経路32とは異なる。例えば、図6Aに示されるように、第1光学経路31は、第2光学経路32とは重複しない。その他のいくつかの実施例に対しては、第1光学経路31および第2光学経路32は、互いに重複してよい。例えば、図6Bに示されるように、第1光学経路31および第2光学経路32は、ともに、狭帯域光源30とFBG20との間に共通の部分を含む。いくつかの実施例においては、第1光学経路31および/または第2光学経路32は、空きスペースを横切ってよく、あるいは、様々な光学素子を横切ってよい。例えば、第1光学経路31および第2光学経路32の一方または両方が、例えば、以下においてより完全に記載されるファイバ結合器である光学素子を横切ることができる。いくつかの実施例においては、第1光学経路31および/または第2光学経路32は、異なる屈折率を有する領域を横切ってよい。例えば、図6Aにおいては、第1光学経路31は、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有するFBG20を横切る。
いくつかの実施例においては、光デバイス10は、FBG20と光学的に通じている少なくとも1つの光検出器40を備える。少なくとも1つの光検出器40は、光の第1部分33a、光の第2部分33b、または、光の第1および第2部分33a、33bの両方を受け取るように構成される。いくつかの実施例においては、光検出器40は、New Focusの汎用フォトディテクタ、モデル1811低ノイズフォトディテクタである。しかしながら光検出器40は、当該分野においてよく知られている様々な低ノイズフォトディテクタの1つであってよいが、まだ考案されていない検出器も同様に使用されてよい。
いくつかの実施例においては、ここでは低速光透過モードと呼ばれる動作のモードを(例えば、図6Aおよび図7に概略的に示される構造によって)使用することができる。これらの実施例においては、狭帯域スペクトルを有する光がFBG20へと放たれる。光は、FBG20が光をほとんど反射するよりもほとんど透過するような波長に(例えば、その波長に、またはその波長の近辺に)ある波長を有する。例えば、光の波長は、FBG20のパワー透過スペクトルの局所的な透過率最大値に対応する透過ピーク波長に(例えば、その波長に、またはその近辺に)あるように選択される。ここでλおよびλ'として参照されるこれら2つの波長の可能な位置は、特に図9A−図9Hに関連して、以下においてより詳細に議論する。これらの波長においては、相当な群遅延を光が受ける。すなわち、FBG20のバンドギャップからはるかに離れた波長における光の群速度よりも、はるかに遅い群速度で光が進む。例えば、低速光群速度は300km/sほどにも低くなり得る。これに対して非低速光群速度は、シリカ中を進む光に対して通常約207,000km/sである。FBG20のバンドギャップの縁部近傍における、このようにより遅い群速度を有する光を、ここでは低速光と呼ぶ。低速光は、他の状況において以前に調査されてきた。具体的には、例えば、光通信システムにおける分散補償に対するFBGの使用可能性を評価するためである。例えば、F. Ouellette, P.A. Krug, T. Stephens, G. Dhosi, and B. Eggleton, "Broadband and WDM dispersion compensation using chirped sample fibre Bragg gratings," Electronic Letters, Vol. 31, No. 11 (May 1995)を参照のこと。
いくつかの実施例においては、動作の低速光透過モードの利点は、例えばλまたはλ'である低速光波長の近傍において、パワー透過が局所的な最大値(例えば、それは1に近いまたは等しい)を有することである。その結果、FBG20に沿ってまたはFBG20を通って伝搬するに連れて、信号が受ける損失は小さい。いくつかの実施例においては、別の利点は、低速光波長λまたはλ'の一方において、またはこれらの一方の近傍において、FBG20を通って進む光に対してFBG20に加えられる摂動(例えば歪み)が、FBG20を通って進む光の位相は変更するが振幅は変更しないことである。より正確に言うと、いくつかの実施例において摂動は、第一次的に光の位相を、第二次的に光の振幅を変更する。これは、FBGに対する摂動が、最大限に反射される光の周波数を変更するような、FBGのブラッグ反射モードとは対照的である。従って、低速光透過モードを使用するいくつかの実施例(例えば図6Aおよび図7)においては、FBG20は位相センサとして働くことができる。例えば、これは、摂動(測定量)によって誘起される位相変調をパワーの変化(これが、ユーザが測定する量である)へと変換するために、任意の数の干渉計のうちの1つに直接配置されることができる。
図7は、名目上バランスが取られたMZ干渉計を備える構成の例を概略的に示す。図7の構成は、図6Aに概略的に示される一般的な構成の例である。図7においては、光デバイスまたは光センサ10は、狭帯域光源30、第1光学経路31、および、FBG20に沿って全長にわたっては延びない第2光学経路32と光学的に通じている第1ファイバ結合器51を備える。狭帯域光源30によって発生された光は、例えば3dBのパワー分割比を有する第1ファイバ結合器51によって、第1部分33aおよび第2部分33bに分岐される。この実施例においては、第1部分33aは第1光学経路31に沿って透過され、第2部分33bは第2光学経路32に沿って透過される。第1部分33aはFBG20に沿って伝搬するのに対し、第2部分33bはFBG20とは実質的に相互作用しない。この実施例においては、第1部分33aはFBG20の摂動に関する情報を含む。これに対して第2部分33bは、そのような摂動によって影響を受けないままである。
図7においては、光センサ10は、例えば3dBのパワー分割比を有し、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている第2ファイバ結合器52をさらに備える。第1部分33aおよび第2部分33bは、第2ファイバ結合器52によって再結合され、少なくとも1つの光検出器40へと透過される。この再結合により、第1部分33aと第2部分33bとは互いに干渉することが可能となり、第1部分33aと第2部分33bとの間の位相差に関する情報を含んだ結合信号を生成する。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40は、第2ファイバ結合器52の複数の出力ポートのうちの1つにおいて、単一の光検出器を備える。他のいくつかの実施例においては、図7に概略的に示されるように、少なくとも1つの光検出器40は、第2ファイバ結合器52の一方の出力ポートに第1光検出器40aを、また、第2ファイバ結合器52の他方の出力ポートに第2光検出器40bを備える。これら2つの光検出器40a、40bによって検出される複数の信号は、互いに対して反対の方向に変動する。(例えば、第2ファイバ結合器52の一方の出力ポートにおいて検出されるパワーが増大する場合、第2ファイバ結合器52の他方の出力ポートにおいて検出されるパワーが低下する。)また、2つの光検出器40a、40bからの出力の間の差異は、センサ信号として使用することができる。そのような検出スキームは、コモンモード阻止および、より高い信号を含む、様々な利点を提供することができる。いくつかの実施例において位相差は、FBG20に加えられた歪みの量を示す。他のいくつかの実施例において位相差は、FBG20の温度を示す。
いくつかの実施例においては、バランスの取られたMZ干渉計構成を低速光とともに使用することで、図7に概略的に示されるように、第1部分33aと第2部分33bとの間の位相差を検出および測定することによって、FBGに加えられる摂動を正確に検出および測定することが可能となる。対照的にブラッグ反射モードにおいては、波長(または周波数)の変化が検出される(例えば図1に示されるように)、あるいはパワーの変化に変換される。これは、アンバランスな干渉計(例えば図2に示されるような)を安定化させることによって高い精度で行うことができる。また、いくつかの実施例においては、低速光透過モードにおいてバランスの取られたMZ干渉計を使用することにより、アンバランスなMZ干渉計の温度に対する高い感度を有利にも避けられる。これは、MZ干渉計の温度安定性、それ故にその位相バイアスの安定性における大きな改善をもたらす。これはまた、使用されるべき温度制御の量を低減することにより、エンジニアリングを大幅に単純化する。
媒体を通って光が進み、且つ、群速度が低い場合、物質−場の相互作用は増大する。光が媒体を通って進むためにより長い時間がかかるので、局所エネルギー密度の圧縮によって、位相シフトを含め、強められた物理的効果が生じる。誘起された位相のdkシフトに対する依存性は、群速度ν=dω/dkが小さい場合に著しく強められる。M. Soljacic, S. G. Johnson, S. Fan, M. Ibanescu, E. Ippen, and J. D. Joannopoulos, "Photonic-crystal slow-light enhancement of nonlinear phase sensitivity," JOSA B, Vol. 19, Issue 9 (September 2002)に示されるように、この効果は、位相シフトを群速度に関係付けることにより、次のように定量化することができる。
Figure 0005941555
この関係は、位相シフトが群速度ν=dω/dkに反比例すること、あるいは、群屈折率n=c/νに比例することを述べている。ここでcは真空中での光の速度である。ここに記載されるいくつかの実施例に従って、この低速光透過モードにおいて動作することの主な利点は、実証することなく以前に述べたように、その他の全ては同じでありながら、光が高い群速度を有するようなデバイス中に比べて、光が低い群速度を有するようなデバイス中において、与えられた摂動がはるかに大きな位相の摂動を誘起するであろうことである。数値シミュレーションを用いて以下に実証されるように、ここに記載されるいくつかの実施例に従って低速光透過モードで動作されるFBG20を有する光センサ10は、従って、グレーティング中を進む信号の位相を変える任意の測定量に対してはるかに大きな感度を示すことができる。
図7の構成におけるMZ干渉計は、FBG20に沿って進む光に対する摂動によって誘起される位相シフトを、強度の変化に変換するために使用することができる多くの干渉計の1つに過ぎない。位相の変調を振幅の変調に変換するあらゆる干渉計を、MZ干渉計の代わりに使用することができる。例えば、干渉計はマイケルソン干渉計、ファブリ・ペロー干渉計、または、(摂動が時間依存性である場合)サニャック干渉計であってよい。例えば、いくつかの実施例においては、光センサ10は、非対称に配置されたファイバブラッググレーティングを含むファイバループ(例えば、サニャック干渉計ループ)を備える。第1光学経路はファイバループに沿った第1の方向に延び、第2光学経路はファイバループに沿った第2の方向に延び、第2の方向は第1の方向とは反対である。そのようないくつかの実施例においては、光センサ10は、狭帯域光源およびファイバループに光学的に結合された少なくとも1つのファイバ結合器をさらに備える。ここで、狭帯域光源によって発生された光は、第1部分は第1光学経路に沿って伝搬し、第2部分は第2光学経路に沿って伝搬するように、少なくとも1つのファイバ結合器によって第1部分および第2部分に分岐される。第1部分および第2部分は、ファイバブラッググレーティングの長さに沿って全長にわたり伝搬した後に、少なくとも1つのファイバ結合器によって再結合される。少なくとも1つの光検出器は、再結合された第1および第2部分を受け取り、第1部分と第2部分との間の位相差を検出するように構成される光位相検出器を備える。そのようなサニャック構成は、FBG20に対して時間変動する摂動を検出するために使用することができる。いくつかの実施例においては、少なくとも1つのファイバ結合器は、相互の出力ポートにおいてパワーの検出を可能とするように構成される。
図6Bおよび図8は、ここに開示され低速光反射モードと呼ばれる動作の第2モードを概略的に示す。図8の構成は、図6Bに概略的に示される一般的な構成の1つの例である。光デバイス10はFBG20を備える。FBG20は、FBG20の長さに沿って、実質的に周期的な屈折率変調を有する。FBG20は、複数の局所的な透過率最小値を有するパワー透過スペクトルを有する。隣接した局所的な透過率最小値の各対は、それらの間に局所的な透過率最大値を有する。局所的な透過率最大値は、透過ピーク波長において最大のパワーを有する。光センサ10は、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている狭帯域光源30を備える。狭帯域光源30は、隣接した2つの局所的な透過率最小値の間(例えば、局所的な透過率最大値と局所的な透過率最大値に隣接する局所的な透過率最小値との間)に波長を有する光を発生するように構成される。いくつかの実施例においては、光デバイス10は光センサであり、FBG20と光学的に通じている少なくとも1つの光検出器40a、40bをさらに備える。狭帯域光源30によって発生された光は、FBG20によって第1部分33aおよび第2部分33bに分岐される。第1部分33aは、FBG20の長さに沿って延びる第1光学経路31に沿って透過される。第2部分33bは、第2光学経路32に沿って透過されFBG20から反射される。従って、図8に概略的に示されるように、FBG20の長さに沿っては延びない。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40a、40bは、第1部分33a、第2部分33b、または、第1および第2部分33a、33bの両方を受け取るように構成される。
図8に示される実施例においては、狭帯域光源30によって発生された光は、ファイバ結合器51を横切る。しかしながら、図7に示される実施例とは異なり、第1光学経路31および第2光学経路32は、互いに重なり合う。図8の第1光学経路31は、狭帯域光源30からファイバ結合器51を通り、FBG20の長さに沿って全長にわたり延びる。図8の第2光学経路32は、狭帯域光源30からファイバ結合器51を通り、FBG20へと延びる。光はFBG20で反射されてファイバ結合器51へと戻される。透過された第1部分33aは、FBG20に対して第1の方向に入射される光によって形成される。FBG20と相互作用すると、この入射光の幾分かが強め合うように前方に向けて(第1の方向に)干渉する。反射された第2部分33bは、FBG20に対して第1の方向に入射される光によって形成される。FBG20と相互作用すると、この入射光の幾分かが強め合うように後方に向けて(第1の方向とは反対の第2の方向に)干渉する。この実施例においては、第2部分33bは、FBG20から反射されるので、FBG20に沿って伝搬しない。光検出器40bは、第1部分33aを受け取るように構成される。これに対して光検出器40aは、第2部分33bがファイバ結合器51を通って横断するように戻された後に第2部分33bを受け取るように構成される。
いくつかの実施例においては、FBG20は狭帯域レーザ30によって調べられ、第1部分33aはFBG20に沿って透過され、第2部分33bはFBG20から反射される。FBG20を調べる光の波長は、パワー透過スペクトルの局所的な透過率最大値(例えば、λ、λ、λ、λ'、λ'、λ'、またはλ、またはλ'であり、ここでi≧1であり、以下において図9Aおよび図9Eを参照してさらに完全に説明される)と、局所的な透過率最大値に隣接する局所的な透過率最小値との間になるように選択される。そのようないくつかの実施例においては、FBG20に入射される光は、FBG20反射ピーク(例えばλ、λ、λ、λ、λ、λ、λ'、λ'、λ'、λ'、λ'、λ'、または、i≧1である波長λ'の間の他のそのような波長であり、図9Aおよび図9Eを参照して、以下にさらに完全に説明される)の最も急峻な部分に、またはその近傍に波長λおよびλ'を有する。
例えば、いくつかの実施例においてFBG20は、ブラッグ波長を包含し、第1端波長(例えば、第1の局所的な透過率最大値の透過ピーク波長λ、以下においてより完全に説明される)から、第2端波長(例えば、第2の局所的な透過率最大値の透過ピーク波長λ'、以下においてより完全に説明される)までの波長範囲の光を反射する。反射される光は、バンドギャップ(例えば、第1端波長と第2端波長との間)内の反射ピーク波長(例えばブラッグ波長)において強度の最大値を有する。2つの透過ピーク波長λおよびλ'の間の領域は、FBG20のパワー透過スペクトルの局所的な透過率最小値であるとみなすことができる。そのようないくつかの実施例においては、共振の縁部、または、パワー透過が、第1または第2の局所的な透過率最大値の透過ピーク波長λおよびλ'におけるパワー透過の最大値の選択された一部分(例えば、約半分、または1/5と4/5の間の範囲内)であるような低速光ピークであるように、波長を選択することができる。
FBG20に外部摂動が加えられた場合、反射ピークは波長がシフトする。λのこのシフトは、FBG20によって透過される第1部分33aおよびFBG20によって反射される第2部分33bに変化を生じさせる。例えば、FBG20に入射される光の波長において反射される光のパワーの変化である。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40は、第2部分33bの光パワーを受け取り、検出するように構成されたフォトダイオード40aを備える。図8に示されるように、FBG20によって反射されたレーザ信号の第2部分33bは、ファイバ結合器51(例えば、およそ3dBのパワー分割比を有するファイバ結合器)によってFBGの入力ポートから分離される。そして、第2部分33bの光パワーは、フォトディテクタ40aによって測定される。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40は、第1部分33aの光パワーを受け取り、検出するように構成されたフォトダイオード40bを備える。図8においては、FBG20の出力と光学的に通じているフォトディテクタ40bによって、パワーの変化をFBG20の出力において検出することができる。
いくつかの実施例においては、検出される光パワーは、FBG20に対して加えられた歪みの量を示す。他のいくつかの実施例においては、検出される光パワーは、FBG20の温度を示す。
低速光反射モードで動作するいくつかの実施例においては、FBG20を通って進むに連れて信号は遅い群速度を受ける。しかし、図7の低速光透過モードにおけるいくつかの実施例ほどまでは遅くはない。従って、そのようないくつかの実施例も、ブラッグ反射モードで動作されるFBGに対する感度の大きな増大を有利にも提供する。さらに、低速光反射モードは波長シフトを測定することを伴わないので、ブラッグ反射モード(例えば図2)とは異なり、アンバランスなMZ干渉計を利用しない。これにより、MZ干渉計の熱安定性の問題が除かれ、設計が著しく単純化される。動作の低速光反射モードにおいては、ここに記載されるいくつかの実施例に従うと、FBG20のパワー透過は、低速光透過モードにおけるいくつかの実施例ほどには高くない。しかしながら、透過率は依然として高い。(〜70%。損失は除く。設計の詳細に依存する。)従って、FBG20を通って伝搬するに連れて信号が受ける損失は、依然として小さい。従って、いくつかの実施例においては、FBG20によって透過される光パワーは、FBG20に加えられる摂動を測定するために、(例えばフォトダイオード40bによって)検出および測定することができる。
ここに記載される新たな反射および透過モードのうちの一方で動作される光センサ10のいくつかの実施例における感度は、FBG20において光の群速度をどれだけ遅くすることができるかに直接依存している。以下に記載される数多くのコンピュータシミュレーションは、この原理を示し、動作のこれらの新たなモードのいくつかの実施例によってもたらされる感度改善の大きさを定量化する。比較のため、これらのシミュレーションにより、上記において概略説明したブラッグ反射モードにおける特定の測定量、すなわち温度に対するFBGの感度もモデル化した。結果は実質的に、歪みのような別の測定量の効果をモデル化したシミュレーションと同一となったであろう。既知のパラメータ、すなわち、周期Λおよび振幅Δnの正弦波屈折率変調、グレーティング長L、および、均一で小さな温度変化ΔT、を有するグレーティングを通って進む信号の位相に対するよく知られた式を、これらのシミュレーションで利用した(例えばA. Yariv and P. Yeh, Optical waves in crystals: propagation and control of laser radiation, pp. 155-214 (New York: Wiley 1984)を参照のこと)。
図9A−図9Dは、以下のパラメータ値を用いて、正弦波FBGを使用した温度センサに対して計算された特性を示す。Δn=1.5×10−4、L=1cm、およびΛ=0.37μm(これは約1.064μmのブラッグ波長λを与える)とし、無損失のグレーティングを仮定して計算した。図9E−図9Hは、Δn=2.0×10−4、L=2cm、損失=1m−1、およびΛ=0.53μm(これは約1.55μmのブラッグ波長λを与える)を用い、無損失のグレーティングを仮定して計算した、正弦波FBGを用いた温度センサの計算された特性を示す。図9Aおよび図9Eは、λの近傍において、2つの温度、すなわち室温(300K)(図9A−図9Cおよび図9E−図9Gにおいては加熱されていない、と示されている)において計算された、このグレーティングのパワー透過を示す。図9A−図9Cに示される、1.064ミクロンのブラッグ波長に対しては、加熱された方の曲線は、室温にΔT=0.01℃を加えたものに対応する。図9E−図9Gに示される、1.55ミクロンのブラッグ波長に対しては、加熱された方の曲線は、室温にΔT=0.01℃を加えたものに対応する。温度変化は非常に小さいので、図9A−図9Cおよび図9E−図9Gの加熱された方および加熱されていない方の曲線は、互いに非常に近くてグラフ上では見分けがつかないであろう。図9A−図9Cおよび図9E−図9Gは、それぞれ1.064ミクロンおよび1.55ミクロンのブラッグ波長に対するFBGパワー透過、位相、および群屈折率の波長依存性を示す。λの近傍においては、FBGは反射器として作用し、図9Aおよび図9Eに示されるように、その透過率は期待されるようにゼロに近い。このように低い透過領域は、反射率が高く、おおよそFBGのバンドギャップを構成する。λ=1.064μmに対するこのグレーティングのバンドギャップの半値全幅(FWHM)は、図9Aによって示されるように約126pmであり、λ=1.55μmに対するバンドギャップのFWHMは、図9Eによって示されるように約202pmである。このバンドギャップ領域の外では、透過率は第1共振ピークに到達し、次いで、λから遠くに離れると振幅が減少するように振動する。λから十分遠く(これらの図に示される範囲の外)では、漸近的に1へと透過率は近付く。
以前に述べたように透過率が共振ピークに到達する第1波長を、ここではλ(λの短波長側の場合)、および、λ'(λの長波長側の場合)と呼ぶ。透過率が共振ピークに到達する、より高次の波長をλ(λの短波長側の場合)およびλ'(λの長波長側の場合)と呼ぶ。ここでi≧2である。いくつかの実施例においては、局所的な透過率最大値(例えば、ここではまた共振ピークあるいは低速光ピークと呼ばれ、λ、λ、λ、λ等、および、λ'、λ'、λ'、λ'等によって示すことができる)の1つに、またはその近傍に波長を有する光を狭帯域光源が発生する。いくつかの実施例においては、局所的な透過率最大値(例えば、ここではまた共振ピークあるいは低速光ピークと呼ばれ、λ、λ、λ、λ等、および、λ'、λ'、λ'、λ'等によって示すことができる)の1つと、隣接した局所的な透過率最小値との間に波長(λ、λ、λ、λ等、および、λ'、λ'、λ'、λ'等によって示される)を有する光を狭帯域光源が発生する。
例えば、パワー透過スペクトルが、ブラッグ波長を含む第1の局所的な透過率最小値とブラッグ波長の短波長側の第2の局所的な透過率最小値との間に第1の局所的な透過率最大値λを有し、且つ、第2の局所的な透過率最小値とブラッグ波長の短波長側の第3の局所的な透過率最小値との間に第2の局所的な透過率最大値λを有するようないくつかの実施例においては、狭帯域光源によって発生された光の波長は、第1の局所的な透過率最小値と第2の局所的な透過率最小値との間に、第1の局所的な透過率最大値に、第1の局所的な透過率最大値λと第1の局所的な透過率最小値または第2の局所的な透過率最小値のいずれか一方との間に、第2の局所的な透過率最小値と第3の局所的な透過率最小値との間に、第2の局所的な透過率最大値に、または、第2の局所的な透過率最大値と第2の局所的な透過率最小値または第3の局所的な透過率最小値のいずれか一方との間になるように選択することができる。同様に、第3の局所的な透過率最大値、第4の局所的な透過率最大値におけるブラッグ波長の短波長側に、または、第3あるいは第4の局所的な透過率最大値のいずれか一方と隣接した局所的な透過率最小値との間に、波長を選択することができる。
別の例としては、パワー透過スペクトルが、ブラッグ波長を含む第1の局所的な透過率最小値とブラッグ波長の長波長側の第2の局所的な透過率最小値との間に第1の局所的な透過率最大値λ'を有し、且つ、第2の局所的な透過率最小値とブラッグ波長の長波長側の第3の局所的な透過率最小値との間に第2の局所的な透過率最大値λ'を有するようないくつかの実施例においては、狭帯域光源によって発生された光の波長は、第1の局所的な透過率最小値と第2の局所的な透過率最小値との間に、第1の局所的な透過率最大値に、第1の局所的な透過率最大値と第1の局所的な透過率最小値または第2の局所的な透過率最小値のいずれか一方との間に、第2の局所的な透過率最小値と第3の局所的な透過率最小値との間に、第2の局所的な透過率最大値に、または、第2の局所的な透過率最大値と第2の局所的な透過率最小値または第3の局所的な透過率最小値のいずれか一方との間になるように選択することができる。同様に、第3の局所的な透過率最大値、第4の局所的な透過率最大値におけるブラッグ波長の長波長側に、または、第3あるいは第4の局所的な透過率最大値のいずれか一方と隣接した局所的な透過率最小値との間に、波長を選択することができる。
図9Bおよび図9Fは、狭帯域信号がこのグレーティングを通って進んだ後の計算された位相を波長の関数として示す。図9Aおよび図9Eに対して使用された温度について再びこの計算を行った。特定の波長λおよびλ'、並びに、λおよびλ'の周囲では、曲線の中心部の周囲(FBGが強く反射するλの周囲)に比べて、波長によって位相がもっと急激に変動する。端波長における、またはその近くにおける、波長に対する位相のこの依存性の増大は、信号がグレーティングを通って進むに連れて信号の群遅延がより大きくなることの結果である。言い換えると、これら2つの波長の近傍、例えば±5pmにおいては、グレーティングは低速光を持続させる。
図9Cおよび図9Gは、図9Bおよび図9Fの波長に対する位相の依存性に対して式(6)を適用することにより、波長の関数として計算された、このFBGを通って進む光の群屈折率をプロットしている。図9Cおよび図9Gは、λおよびλ'の近傍においては、群屈折率nが著しく増大することを示している。図中に示されるλおよびλ'のようなその他の透過共振の近傍においても同じことが当てはまるが、図中に示される波長範囲の外の他の共振λおよびλ'の近傍においても当てはまる。具体的には、λ=1.064μmを有する例示的なグレーティングの場合、端波長において、またはその近くにおいて約4.2の値にnは到達する。ファイバ中では、および、λから遠い波長に対するFBG中では、光の群屈折率はおよそc/nであり、あるいは、約207,000km/s(この値は光の波長に弱く依存する)である。対照的に、2つの端波長周辺では、群屈折率は、自由空間中の光の速度よりもわずかに係数約4.2だけ小さいにすぎない、または、約71,400km/sである。λ=1.55μmを有する別のグレーティングの例では、端波長において、またはその近くにおいて、nは約8.7の値に、あるいは約34,500km/sの群速度に到達する。
図9A−図9Cに概略を示される一般的な挙動を示し、正弦関数の屈折率摂動を有するFBGのパワー透過スペクトル、透過された位相、および、群屈折率は、異なる状況において以前に報告されてきた。M. Lee et al, "Improved slow-light delay performance of a broadband stimulated Brillouin scattering system using fiber Bragg gratings," Applied Optics Vol. 47, No. 34, pp. 6404-6415, December 1, 2008を参照のこと。この参照文献において著者達は、数値シミュレーションにより、図9A−図9C中で使用されたものと同様なパラメータを有する、すなわち、長さL=2.67cm、10−4の屈折率コントラストΔn、および、グレーティング周期Λ=533nm(1550nmのブラッグ波長)を有する正弦波屈折率変調を有するFBGをモデル化した。彼らの結論は、ブラッグ波長反射ピーク側の第1透過ピークの近傍に光の周波数の中心がある場合、FBGを通って進む光は通常よりも高い群遅延を示すというものであった。この特性は、この参照文献において、SBS遅延ラインに1つまたは2つのFBGを付加することにより、パワー消費量を増大させることなく、SBSベースの光遅延ラインにおける群遅延を増大させるために使用された。しかしながら、この参照文献は、群遅延が長さに対して非線形に増大することは認識できていない、または教示していない。実際、この参照文献は、1つではなく2つのグレーティングを使用した場合に、ここに記載されるいくつかの実施例の側面とは対照的に、群遅延が2倍になることを開示している。特に、以下においてより完全に記載されるように、グレーティング長の高次の累乗で群遅延は増大する。さらに、これらに限定されるものではないが、(1)群遅延を増大させるために屈折率コントラストを増大することの望ましさ、(2)この波長においてより速く蓄積する位相、(3)他の共振波長(グレーティングの透過率が局所的な最大値を示す)の存在、および、これらの波長における動作の可能性、並びに、(4)低速光モードにおけるセンサとしてのFBGの使用とその利点と、さらに、その性能特性を最適化する手段を含め、ここに記載される様々な側面に関してこの参照文献は何ら言及しないままである。
ここに記載されるいくつかの実施例においてFBGは、極めて大きな群遅延、または同等に、極めて大きな群屈折率を生成するように設計または構成されている。その結果、ここに記載される低速光モードでの動作の1つにおけるセンサとしてこのFBGが使用される場合、極めて高い感度を生じる。それに比較して、FBGに関する以前の研究は、相対的に小さな群屈折率を生成してきた。例えば、以前に引用したM. Lee等においては、その参照文献中の図2(a)から計算された群屈折率の最大値は約3.3である。別の例としてJoe T. Mok等の"Dispersionless slow light using gap solitons," Nature Physics, Vol. 21, pp. 775-780, November 2006においては、屈折率コントラストΔn=1.53×10−4を有する長さ10cmのアポダイズFBGにおいて、約5の群屈折率が報告されている。対照的に、ここに開示されるいくつかの実施例は、以下においてより完全に記載されるように、それよりもはるかに高いとは言わないまでも、数100の範囲内の群屈折率を有するFBGの生成を可能とするような革新的な概念を利用する。
ここに記載されるいくつかの実施例は、10sから100sまで、またはそれ以上の範囲という、かなり大きな群屈折率を有するFBGを有利にも提供する。そのようなグレーティングは、以下に記載されるように、著しく感度が増大され、既存のFBGベースのセンサに比べて、大抵の測定量に関して数10から数100、あるいはそれ以上も改善されたファイバセンサを製造するために使用することができる。これらは、大きな群屈折率または大きな群遅延を利用する、またはその利益を得る任意の用途に使用することもできる。用途としては、これらに限定されるものではないが、孤立波、群遅延ライン、分散補償、および光学フィルタを含む。
式(6)に基づくと、また、図9A−図9CのFBGによって達成される約4.2の群屈折率値または図9E−図9GのFBGによって達成される約8.7の群屈折率値の光においては、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光FBGセンサの温度に対する感度は、この同じFBGがブラッグ透過モードにおいて使用された場合よりも著しく大きい。図9A−図9Cは、それぞれλ=1.064μmに対する2つの曲線を示し、ΔT=0.01℃だけ隔てられた2つの温度においてそれぞれ計算されている。また、図9E−図9Gは、それぞれλ=1.55μmに対する2つの曲線を示し、ΔT=0.01℃だけ隔てられた2つの温度においてそれぞれ計算されている。図9Bの2つの位相曲線の間の差分を取り、ΔTが小さいのでΔTで割ることにより、図9Dに示されるように、λ=1.064μmについて、温度に関する位相の微分係数dφ/dTの近い近似が取得される。同様に、図9Fの2つの位相曲線の間の差分をΔTで割ることにより、図9Hに示されるように、λ=1.55μmについて、温度に関する位相の微分係数dφ/dTの近い近似を取得することができる。感度の最大値はλおよびλ'の近傍において生じる。これらの波長のどちらかにおいて、λ=1.064μmについて群屈折率は4.2、および感度dφ/dTは2.9rad/℃であり、また、λ=1.55μmについて群屈折率は8.7、および感度dφ/dTは8.1rad/℃である。従って、これらの低速光波長においては、温度に対する感度は非常に大きい。
図10Aおよび図10Bは、λ=1.064μmおよびλ=1.55μmのそれぞれについて、無損失のグレーティングを仮定して計算した、位相の感度と透過率との間の関係をより詳細に示す。感度は正確にλおよびλ'(ここでパワー透過は1に等しい)で最大値とはならず、それらの近傍にて最大値となることが示される。定義によれば、これらの2つの波長において透過率が最大値である(および1に等しい)ので、図10Aおよび図10Bは(少なくともこれらの例において)、透過率の最大化(信号がグレーティングを通って進むに連れて受ける損失を最小化するために望ましい)と、群屈折率の最大化(感度を最大化するために望ましい)との両方を達成する単一の波長が無いことを示す。しかしながら、透過率および群屈折率が最大化される波長は、互いの近傍にあるので、成されるべき妥協は比較的小さい。例えば、λ=1.064μmについては、第1の透過共振ピークにおいて透過率は1であり、群屈折率は4.0であり、また感度dφ/dTは2.6rad/℃である。群屈折率が最大値となる(そして4.2に等しい)波長においては、感度は2.85rad/℃であり、透過率は94%に等しい。別の例として、λ=1.55μmについては、第1の共振ピーク(透過率≒89%)において群屈折率は8.38であり、感度dφ/dTは7.84rad/℃である。群屈折率が最大値となる(そして8.7に等しい)波長においては、感度は8.1rad/℃であり、透過率は85%に等しい。損失を考慮すると、共振ピークは100%のパワー透過率に到達しない。これらの値は、これらに対応する最大値から10%未満異なるだけなので、いくつかの実施例においては、特定の目的とする用途によって課される基準に応じて、透過率または群屈折率のどちらかを最大化するように波長を選択することができる。正確な動作点にかかわりなく、透過率および群屈折率(従って感度)の両方が、かなり広い波長範囲にわたって、それらに対応する最大値の近くにある。これは、いくつかの実施例において、どちらに対しても有益な特徴である。この定性的な結論は、非常に広い範囲のFBGのパラメータ値に対して有効であり、この特定の数値例において使用されるよりもかなり高い群屈折率(例えば10)を生成するような値に対してさえも有効である。
上記で説明した図は、与えられる屈折率コントラスト(λ=1.064μmについてはΔn=1.5×10−4、λ=1.55μmについてはΔn=2.0×10−4)を有するFBGをモデル化することによって生成された。屈折率コントラストが増大するに連れて群遅延はさらに増大し、式(6)に従うと、測定量に対する感度も増大する。例えば、水素装填されたファイバ中でFBGが製造される場合(例えばΔnは0.015であり、例えばP.J. Lemaire, R.M. Atkins, V. Mizrahi, and W.A. Reed, "High pressure H2 loading as a technique for achieving ultrahigh UV photosensitivity and thermal sensitivity in GeO2 doped optical fibres," Electronic Letters, Vol. 29, No. 13 (June 1993)を参照のこと)には、このモデル化された値よりもFBGのΔnがかなり高くなり得るので、増大するΔnの結果、群遅延および感度の実質的な増大が生じる。この改善を定量化するために、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光透過の構成において使用されるグレーティングに対し、屈折率コントラストの関数として感度を計算した。屈折率変調および長さのみに対する群屈折率および感度の依存性を示すために、両方の波長において、グレーティングは損失がゼロであると仮定する。図11A(λ=1.064μmの場合)および図11B(λ=1.55μmの場合)は、(i)λまたは同等なλ'における低速光透過の構成のこの感度とともに、(ii)ここに記載されるいくつかの実施例に従ってλまたは同等なλ'における低速光反射の構成に使用されるグレーティングに対する感度、および、(iii)ブラッグ反射構成において使用されるグレーティングに対する感度をプロットするものであり、無損失のグレーティングを仮定して計算されている。図11Aおよび図11Bのそれぞれにおける3つの曲線は、全て、例示的なグレーティング長であるL=2cmについて計算された。この比較を実行するために、位相の感度は、以下のようにして低速光透過スキームにおけるパワーの感度に変換された。MZ干渉計が感度の最大値に対して位相にバイアスがかけられている場合、干渉計の複数の出力パワーのうちの1つにおける出力パワーは、P=Psin(Δφ/2)で与えられる。ここで、Pは全出力パワー(両方のポートを含めて)であり、Δφは2つのアームの間の位相差である。MZ干渉計の2つのアームのうちの一方に配置されたFBGに対して小さな摂動δΔφが加えられた場合、出力パワーはδP≒PδΔφ/2で変動する。従ってセンサのパワーの感度は、次のように定義される。
Figure 0005941555
言い換えると、これは、感度に対する測定基準として上記で使用された位相の感度の半分に等しい。
低速光透過の構成においては、与えられるグレーティング長に対して、特定の屈折率コントラストよりも低い場合には感度は一定である。屈折率コントラストが十分に大きい場合(典型的には約10−4を越える場合)、Δnのより高次の累乗として感度が増大する。例えば、1.064μmで動作する2cmのグレーティング長に対しては、温度に対するパワーの感度は、Δn1.95と見積もられる。別の例として、1.55μmで動作する2cmのグレーティング長に対しては、温度に対するパワーの感度は、Δn1.99と見積もられる。比較すると、低速光反射の構成においては、屈折率コントラストが増加するに連れて感度は単調に増加する(図11Aおよび図11Bを参照のこと)。この例において約10−4を越える屈折率コントラストに対しては、2つの低速光スキームの感度は互いに極めて近い。
対照的に、図11A(1.064μm)および図11B(1.55μm)はまた、ブラッグ反射モードにおいては、特定の屈折率コントラスト(この特定のグレーティング長に対しては約10−5)よりも低いところでは、ちょうど低速光透過スキームの場合と同じように感度は一定であることを示す。この屈折率コントラストを越えると、感度が低下する。この低下の理由は上記にて説明した。これらのシミュレーションにおいては、ブラッグ反射構成の感度は、MZ干渉計の長さのアンバランスΔLを最大化することによって(例えば、長さのアンバランスを、FBGによって反射される光のコヒーレンス長と等しくすることによって)最大化された。このコヒーレンス長はFBGの屈折率コントラストに依存するので(式(2)および式(3)を参照のこと)、シミュレーションにおいて使用されるΔnの値のそれぞれに対してこの値を調整した。屈折率コントラストが増大するに連れて、反射される光のコヒーレンス長は低下し、長さのアンバランスΔLは低下し、従って、感度が低下する(式(5)を参照のこと)。
図11Aは、やはり実際に達成することのできる1.5×10−2というΔnに対して(例えばLemaire等を参照のこと)、λ=1.064μmに対する低速光透過スキームおよび低速光反射スキームにおけるパワーの感度が、〜6.5×10−1(曲線の上端)ほどにも高くなり、位相の感度1.3×10rad/℃に対応することを示す。これは、ブラッグ反射モードにおいて動作されるグレーティング(L=2cm、Δn=10−5)に対して予測される最良の値(1.18rad/℃)よりも110,000倍近く高い。図11Bは、1.5×10−2というΔnに対して、λ=1.55μmに対する低速光透過スキームおよび低速光反射スキームにおけるパワーの感度が、〜1.9×10−1ほどにも高くなり、位相の感度3.8×10rad/℃に対応することを示す。これは、ブラッグ反射モードにおいて動作されるグレーティング(L=2cm、Δn=10−5)に対して予測される値の最良の値(0.82rad/℃)よりも〜46,000倍高い。
何故2つの低速光の構成が大きなΔnに対してほとんど同じ感度を示す(図11Aおよび図11Bを参照のこと)かという理由は、低速光透過の構成において波長λ(またはλ')にて使用される光の群屈折率、および、低速光反射の構成においてλ(またはλ')にて使用される光の群屈折率がほとんど同じだからである。これは図12A(1.064μm)および図12B(1.55μm)に見られる。これらは、長さL=2cmのFBGに対してΔnの関数として計算された群屈折率をプロットしたものである。無損失のグレーティングを仮定して計算されている。これらのプロットはやはり、透過モードに対してはλ(または同等なλ')にて、反射モードに対してはλ(または同等なλ')にて計算された。低速光反射の構成および低速光透過の構成はほとんど同じ群屈折率を生成し、後者の方がほんのわずかに反射の構成より小さい。どちらのスキームにおいても、群屈折率はΔnに対して約Δn1.95で増大する。低速光反射スキームにおいては、低速光透過スキームにおける場合よりも、最も遅い光を生成する波長から、信号波長がもっと強くはずれる。図12Aはまた、λ=1.064μmを有する光ファイバグレーティングにおける極度の低速光を実現することが可能なことを証明している。この例におていは、0.015のΔnを有するFBG(水素装填されたFBG)に対して生じる実際のnの最大値は、約10である。これは、ほんの3,000m/sの群速度に対応する。これは、実験的にまたはシミュレーションによってFBGにおいて以前に証明されたものよりも約20,000倍遅い。FBG長を2cm(このシミュレーションにおいて使用された値)から10cmへと増大させることにより、この群屈折率の数字は、約51.99≒25から250万−120m/sの群速度、まで増大する。図12Bに示されるλ=1.55μmに対する例においては、やはり、両方のスキームに対して、約Δn1.99のΔnで群屈折率が増大する。0.015のΔnを有するFBG(水素装填されたFBG)に対して生じる実際のnの最大値は、約4.2×10である。これは、ほんの7,100m/sの群速度に対応する。これは、実験的にまたはシミュレーションによってFBGにおいて以前に証明されたものよりも約8,000倍遅い。FBG長を2cmから10cmへと増大させることにより、この数字は、約100万−300m/sの群速度まで増大する。この特性は、上述の用途の全て(例えば、これらに限定されるものではないが、光データ格納、光バッファ、光データまたはパルスの遅延を含む)を含めた多数の用途に対する大変な含蓄を有する。従って、いくつかの実施例においては、光デバイス10は光データ格納デバイス、光バッファ、または光遅延デバイスである。
感度に対するFBGの長さの効果を決定するために、図13A(1.064μm)および図13B(1.55μm)は、ここに記載されるいくつかの実施例に従い、1.5×10−4という固定されたΔnに対してパワーの感度対グレーティング長を示すように生成された。無損失のグレーティングを仮定して計算した。低速光透過スキーム(ここではまた、λあるいは同等なλ'において評価されている)については、1.064μmでの動作に対する位相の感度は、おおよそL2.75と見積もられる。この依存性は、正確に普遍的ではないが、それに近い。例えば、(例えば、YarivおよびYehの計算スキームを使用した)同一のシミュレーションをΔn=7.5×10−4で実行すると、L2.98で変動する感度が得られた。Δnをさらに1.5×10−3まで増大させると、感度はL2.97で増加する。これらの数字はまた、屈折率変調の正確な空間プロファイル(正弦関数、平方、等)にも依存する。それにもかかわらず、結論としては、感度は長さに対して急激に依存する。1.55μmにおける低速光透過スキームの動作については、位相の感度はおおよそL2.89と見積もられる。1.064μmにおける低速光反射スキーム(ここではまた、λまたは同等なλ'にて評価されている)については、感度はまたL2.91で増加する。これは、低速光透過スキームにおいて見られた関係と類似している。1.55μmにおける低速光反射スキームについては、感度はまたL2.85で増加する。
λ=1.064μm、1.5×10−4のΔn、および2cmの長さを有するFBGの上記の例においては、低速光透過モードにおけるパワーの感度は〜8℃−1であった。図13Aは、このグレーティングの長さを2cmから10cm(反射グレーティングにおいて使用するのに合理的と考えられる例示的な高い値、図4を参照のこと)へと増大させた場合、このパワーの感度は877℃−1まで増大することを示す。これらの図は、ここに記載されるいくつかの実施例に従って低速光透過モードにて動作されるFBGの長さおよび/または屈折率コントラストを増大させることによって取得することができる感度の劇的な改善を示す。図13Bに示され、1.5×10−4のΔnおよび2cmの長さを有するFBGに関する1.550μmでのその他の例に対しては、低速光透過モードにおけるパワーの感度は〜2.7℃−1であった。図13Bは、このグレーティングの長さを2cmから10cmへと増大させると、このパワーの感度が243℃−1まで増大することを示している。
いくつかの実施例においては、長さLおよび屈折率コントラストΔnは、10よりも大きな、20よりも大きな、30よりも大きな、40よりも大きな、50よりも大きな、100よりも大きな、500よりも大きな、1,000よりも大きな、5,000よりも大きな、あるいは10,000よりも大きな群屈折率nを提供するように選択することができる。
1つの実施例においては、図7に示されるように、例えば光ファイバから成るMZ干渉計の1つのアーム中にFBGが配置される。いくつかの実施例のMZ干渉計は、2つのアームにバイアスをかけて(例えばπ/2)、小さな位相変化に対する感度を最大化する目的を除いては、実質的にバランスされている。FBGに対して小さな温度変化が加えられた場合、FBGを通って進む信号の位相が変化する一方で、参照アームを通って進む信号の位相は変化しない。MZ干渉計の第2結合器においてこれら2つの信号が再結合された場合、π/2+δφであるこれらの相対的な位相シフトに依存する態様で、これらの信号が干渉する。ここでδφ=(dφ/dT)ΔTであり、dφ/dTは、以前に(例えば、図10Aおよび図10Bにおいて)説明および計算された感度である。この相対的な位相シフトの結果、MZ干渉計のどちらかのポートにおける信号の出力パワーは、δφに比例する量で変化する。
ファイバMZ干渉計は、通常、0.1から1μrad程度の検出可能な位相最小値(MDP)を有する。例としては、1μradのMDP、0.015の屈折率コントラスト、および10cmのグレーティング長を有し、1.55ミクロンで動作するMZ干渉計については、位相の感度は4.8×10rad/℃である。MDPが1μradであるので、このMZ低速光センサの構成は、2.1×10−13℃ほども小さな温度変化を検出することができる。今度もまた、同じ長さで最適化された反射FBGのものに比べて、これは500万倍近くも大きい。
この原理のさらなる例が図14Aおよび図14Bに示されている。ここでは、λ=1.064μmおよびλ=1.55μmのぞれぞれについて、ブラッグ反射モードにおいて使用されるFBGに対するFBG屈折率コントラストの関数として、計算された検出可能な最小の温度をプロットしたものであり、無損失のグレーティングを仮定して計算している。このシミュレーションにおけるグレーティング長は、λ=1.064μmに対しては1cmであり、λ=1.55μmに対しては2cmであり、MZ干渉計は1μradのMDPを有するものとした。特に図11Aおよび図11Bからの以前のシミュレーションにおいて予測されたように、屈折率コントラストが増大するに連れて感度は落ち、従って、検出可能な最小の温度は上がる。図15Aおよび図15Bには、ここに記載されるいくつかの実施例に従って低速光透過モードで動作される同じ長さ(およびMDP)のFBGに対する同じ依存性が示されている。無損失のグレーティングを仮定して計算されている。ブラッグ反射モードとは著しく対照的に、屈折率コントラストが増大するに連れて、検出可能な最小の温度は単調に低下し、やがては非常に小さな値に到達する。
この例は、ここに記載されるいくつかの実施例によってもたらされる、従来のブラッグ反射モードの動作に対する利点を明らかに示している。第1に、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光の構成の両方について、感度はかなり大きい。第2に、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光透過の構成について、MZ干渉計がアンバランスにされるべき必要が無い。そのため、そのアームの両方が非常に短い長さを持つことが可能であり、従って、温度変化に対して非常に安定したものにできる。第3に、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光の構成の両方について、光源として市販のレーザをセンサは利用することができる。これは、ある1つの場合においては広帯域光源を要し(例えばKersey等を参照のこと)、また、第2の場合においては独自のレーザを要する(例えばKooおよびKerseyを参照のこと)従来の反射モードの構成とは異なる。いくつかの実施例においては、極めて狭い線幅と、ショットノイズによって制限される低ノイズとを有する市販のレーザを選択することができる。対照的に、ブラッグ反射構成における第1の場合には(例えば図1)、広帯域光源ははるかにノイズがひどく、検出される出力信号に対して位相および強度ノイズを加えるであろう。そして、MDP(および、故に、検出可能な最小の温度)をさらに上げるであろう。ブラッグ反射構成の第2の場合においては(例えば図2)、光源は本質的にFBGを含んだ特別なレーザである。これは、レーザ線幅の広がりを低減し、ノイズを低く保つために、正確な波長安定化を必要とするであろう。これを実行することは可能であるが、やはり、かなりな量のエンジニアリングを必要とする。これは、大量に製造され販売されており、スケールメリットの恩恵を受ける市販の狭線幅レーザよりもコストが高い。
極めて小さな温度を検出するこの能力は、大抵の用途にとっては過剰である。しかしながら実際の用途においては、この高感度と交換で、より短い長さを提供することができる。λ=1.064μmについて上記にて引用された低速光透過モードの例においては、センサは、長さ10cmに対して2.2×10rad/℃の感度を有する。このFBG長を800μmまで、あるいは、L2.88依存性に従って係数を〜125まで低減することにより、係数〜1.77×10で12.4rad/℃まで感度が落ちるであろう。1.55μmで動作する第2の低速光透過モードの例については、長さ10cmに対して4.8×10rad/℃の位相の感度をセンサは有する。このFBG長を800μmまで減らすことにより、係数約1×10で4.8rad/℃まで感度が落ちるであろう。これらのセンサは依然としてブラッグ反射モード(図4を参照のこと)において使用される最適化されたFBGとほぼ同じ感度を有する。しかし、長さは10cmではなくわずかに800μmであり、従って、かなり小型である。
上記の解析は、温度が測定量である場合について実行した。FBGに直接加えられた縦歪みのように、測定量が別の量である場合にも同じ結論が当てはまる。
低速光を使用することにより、歪みの感度および温度の感度の両者が増大する。従って、ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光センサの1つの効果は、より感度が良い歪みセンサでありながら、温度変動に対してもまた、より感度が良いことである。いくつかの実施例においては、温度変動に対してセンサを安定化させることができるが、そのような安定化が望まれない場合がある。しかしながら、感度と長さとは、常にお互いに対して交換することができる。従って、ここに記載されるいくつかの実施例の低速光センサにおいて、歪みの感度および温度の感度は、おおよそ同じ比率で強められる。そのため、グレーティングの物理的な長さLを低減して、ブラッグ反射FBGの最高の場合と同じレベルまで歪みの感度および温度の感度を持って行くことができる。低速光の構成の差異、および利点は、等しい感度に対して、低速光FBGはかなり短いことである。これは、小型で経済的なことが重大であるような多くの用途に対して重要であり得る。長さと感度との任意の妥協もまた可能であり、これによって、通常の反射グレーティングよりも幾分短くしつつ、より高感度でなくてはならないように低速光センサが設計される。さらに、グレーティングに対して加えられる歪みの変化と温度の変化との間を区別するために適用されてきた、多くのエンジニアリング的解決法が、低速光センサの本構成においても適用可能である。具体的には、例えば、歪みと温度とが変化する領域中に、2つのグレーティングを平行に配置することができる。グレーティングの一方は歪みを受けるが他方は歪みは受けず、その一方で、(同じ)温度変化を両者が受ける。2つのセンサの読み値の間の比較により、共通の温度変化と、一方のグレーティングに加えられた歪み変化との両者を提供することができる。
シミュレーションはまた、ここに記載されるいくつかの実施例において、どちらかの低速光モードで動作されるFBGを調べるために使用される光源の線幅が全く妥当であることを示している。図16は、長さL=2cmおよびΔn=1.5×10−4を有し、λ=1.064ミクロンで動作されるグレーティングについて、レーザの線幅に対するパワー感度の依存性のプロットによってこの点を示すものである。無損失のグレーティングを仮定して計算している。レーザ線幅が増大するに連れて、約10−13mの線幅まで感度は一定である。この値を越えると、群屈折率スペクトルにおけるピークのみならず、それ以上に及ぶより広いスペクトル領域をレーザ信号が探査しているため、感度が低下し始める。言い換えると、いくらかの光子は高い群屈折率とみなされ(群屈折率スペクトルのピークおよびその周りの周波数における光子)、その他は、より低い群屈折率とみなされる(このピークからはずれた周波数における光子)。この曲線は、感度の最大値を取得するためには、レーザ線幅が約10−13m、あるいは、26MHzの周波数線幅より大きくないように選択されることが有利なことを示している。これは、例えば、アリゾナ州ツーソンのNP PhotonicsのEr−Ybドープされたファイバレーザのように、数多くの市販される半導体レーザから容易に入手可能な線幅である。長さが同じだが、大きな屈折率コントラスト(Δn=1.5×10−3)のFBGに対して実行された同様なシミュレーションは、約2×10−15m(530kHz)のレーザ線幅に対して最大値を与える。そのようなレーザ線幅もまた、商業的に容易に入手可能である。従って、グレーティングの屈折率コントラストが増大するに連れて、あるいはその長さが増大するに連れて、レーザ線幅を低減することができる。
全てのシミュレーションは、1064nm(Nd:YAGレーザの主要な波長)または1.55μmのどちらかのブラッグ波長を有するFBGに対して実行された。これらの波長を選択したのは、一般に使用されているものだからである。しかしながら、波長は、ここに記載されたいくつかの実施例において概要を説明された一般的な傾向には何の関係も無い。例えば1.3μm周辺のように、別の波長に中心を置く同様なFBGの特性も、ここに提示される特性と実質的に差は無く、ここに提示され、引用されているものと同じ式を用いてモデル化することができる。ここに記載されるいくつかの実施例に従った低速光スキームが、ここに記載されるブラッグ反射に対して有する相対的な利点は、実質的に変わらないままである。
最適化プロセス
均一なグレーティングの透過率および群屈折率スペクトルの特性は、3つのパラメータ、すなわち、屈折率変調、長さ、および損失によって一意的に決定される。上記において説明した場合である無損失のグレーティングにおいては、屈折率コントラストおよび長さを無限に増大することにより、群屈折率を高めることができる。実際には、グレーティングを通って光が進む場合、放射モードへの結合を誘起する散乱による損失に直面する。損失の存在下では、グレーティングの長さが増大するに連れて、グレーティング中のより長い距離を光が進み、それに応じてより高い損失に直面する。FBGの群屈折率が大きい場合に、この効果は強められる。これは、グレーティングを通って行ったり来たり何度も光が進むに連れて、より多くの損失に光が直面するためである。従って、与えられた損失に対しては、グレーティング長が増加するに連れて、上記の通り、群屈折率がまず増大する。群屈折率がさらに増大するに連れて、ファブリ・ペロー干渉計における場合と同じように、損失によって往復回数の最大値が制限され始め、長さがいくらかでもさらに増大すると群屈折率は低下し始める。その結果、与えられる損失係数に対し、共振において群屈折率を最大化するグレーティング長が存在する。同様に長さが増大するに連れて、これらの共振におけるグレーティングの透過率も損失によって制限される。低速光用途に対してFBGを設計する場合、そのプロファイルタイプ、屈折率変調、および損失が与えられたものとしてグレーティングの最適な長さを決定するために、例えば上記のモデルを使用して、最適化の調査を実行することが望ましい。当業者に知られているいくつもの標準的な技法を用いて、FBGの損失係数を測定することができる。FBGの測定されるパワー損失係数は、Geドープされたグレーティングにおける1m−1(Y. Liu, L. Wei, and J. Lit, "Transmission loss of phase-shifted fiber Bragg gratings in lossy materials: a theoretical and experimental investigation," Applied Optics, 2007)から、水素装填されたグレーティングにおける2m−1を越える範囲(D. Johlen, F. Knappe, H. Renner, and E. Brinkmeyer, "UV-induced absorption, scattering and transition losses in UV side-written fibers," in Optical Fiber Communication Conference and the International Conference on Integrated Optics and Optical Fiber Communication, 1999 OSA Technical Digest Series (Optical Society of America, Washington, D.C., 1999), paper ThD1, pp. 50-52)まで及ぶ。
1.55μmにて動作される均一なグレーティングの例に対するこの挙動が図17に示される。1m−1と2m−1との間で変動する損失係数αに対し、強くGeドープされたグレーティング、例えば、大きな屈折率コントラスト(この例ではΔn=1.0×10−3)を有するグレーティングにおいて、長さに対する第1共振(λ)での群屈折率および透過率の依存性をこの図は示す。与えられる損失係数に対しては、グレーティングの長さが短い場合、グレーティングは十分な周期を持たず、群屈折率は低い。長さが長い場合、光がグレーティングを通って進むに連れて、より大きな損失に光が直面し、群屈折率は低下する。これら2つの極限の間のどこかで、群屈折率は最大値となる。図17の例で示されるように、グレーティングの損失が1m−1である場合、2.25cmのグレーティング長において最も高い群屈折率が84であり、透過率が約10%である。損失が2m−1まで増大すると、より短い最適な長さ1.8cmにおいて最も高い群屈折率は53まで低下し、この長さにおける透過率は大体同じ(11%)である。また、上記にて説明されるように、長さが増大するに連れて透過率は着実に低下する。最も高い群屈折率が望ましく、透過率はあまり懸念とならないような用途においては、最適な長さにおける、あるいはその近傍における動作が好ましい。透過率がより大きな懸念であるような用途においては、過度に透過率を減少させることなく、可能な限り最も高い群屈折率を実現するために、妥協をすることができる。低速光FBGの設計者は、この例においてモデル化された第1共振波長に加えて、その他の共振波長を選択することもできる。
図18は、水素装填されたファイバ中で製造された、さらに強いFBGの例に対して計算された同じ依存性を示す。このシミュレーションにおいて使用されたΔnの値は、水素装填されたファイバ中において書かれたグレーティングに対して報告された値である0.01であり、損失係数は2m−1である。P. J. Lemaire, R. M. Atkins, V. Mizrahi, and W. A. Reed, "High-pressure H2-loading as a technique for achieving ultrahigh UV photosensitivity and thermal sensitivity in GeO2-doped optical fibers," Electron. Lett., 1993を参照のこと。この計算に対しては、FBGは均一であると仮定した。この例に対して最も高い群屈折率は、長さ0.37に対して生じ、243に等しい。この群屈折率におけるグレーティングの透過率は12%である。
アポディゼーションも群屈折率、透過率、および長さの間の関係に影響を及ぼす。ここでは、タイプAとしてゼロdc屈折率変化を有するレイズドガウシアンアポダイズ(raised-Gaussian-apodized with zero-dc index change)、および、タイプBとしてガウシアンアポダイズ(Gaussian-apodized)と呼ぶ2つのタイプのアポディゼーションの例が図19Aに示される。T. Erdogan, "Fiber grating spectra," J. of Lightwave Technology, Vol. 15, pp. 1277-1294, 1997を参照のこと。図19Aに示されるように、タイプAにおいては、屈折率プロファイルが、ある平均の屈折率値の上下で変調される。タイプBにおいては、屈折率プロファイルは、ある平均値を完全に越えたところで変調される。どちらのタイプにおいても、屈折率変調の包絡線は、例えば余弦関数またはガウシアンといった任意のプロファイルを有することができる。以下のシミュレーションにおいては、タイプAおよびタイプBのFBG両者に対して、包絡線は、Wで表示される半値全幅(FWHM)を有するガウシアンであると仮定されている。図19Bは、Δn=1.0×10−3、L=2cm、損失係数1.3m−1、およびW=2Lを有するタイプAのアポダイズFBGに対して計算された群屈折率スペクトルを示す。最も高い群屈折率のピークは第2共振において生じるが、その値は、同じ屈折率変調、長さ、および損失を有する均一なグレーティングのものより小さい。そのようなアポダイズグレーティングの低速光の挙動を制御している関連パラメータは4つあり、屈折率変調の最大値、長さ、損失係数、および、屈折率プロファイルの包絡線の半値全幅(FWHM)Wである。Δn=1.0×10−3、L=2cm、損失=1.3m−1、およびW=2Lについて図19Cおよび図19Dに示されるように、タイプBのグレーティングは、非対称な透過率および群屈折率スペクトルを生成する。最も高い群屈折率は、短波長側の第1共振ピークにおいて生じる。適切なアポディゼーションにより、同じ屈折率変調および長さを有する均一なグレーティングのものよりも、その値を大きくすることができる。以下に記載される最適化プロセスによって、いくつかの実施例においてこれを達成できる。
与えられる屈折率コントラストΔnの最大値および与えられる損失係数に対して、群屈折率を最大化するために最適化が可能な2つのパラメータは、長さとFWHM Wである。最適化プロセスにおいてよく知られている最も一般的な手法において、簡単な二次元のパラメータの調査を実行することができる。例として、図20は、FWHMが長さの2倍に等しく、Δnが1.0×10−3であり、損失係数が1m−1であるタイプBのアポダイズFBGに対する群屈折率、透過率、および長さの間の関係を示す。群屈折率の最大値に対する最適な長さは1.43cmである。この長さにおいては、群屈折率は178に達するほど高い。この時透過率は1.4%である。損失を1.5m−1まで増大させると、群屈折率が低下し、予期されるように最適な長さを低減させる。しかしながら、透過率は約1.7%までわずかに増大する。同じ屈折率コントラストを有する均一なFBGをモデル化した図17と比較すると、同じ長さおよび屈折率変調に対して、均一なグレーティングと同じ長さおよび屈折率変調を有するタイプBのアポダイズグレーティングは、均一なグレーティングよりも高い群屈折率および低い透過率を生成することが示される。従って、FBGの屈折率プロファイルを調整することは、低速光デバイスとして使用されるFBGのここに記載されるいくつかの実施例の設計に、相当な影響を及ぼすことができる。
アポディゼーション包絡線の幅もまた、群屈折率および透過率において重要な役割を果たすことができる。FWHMが小さい場合、グレーティングの実効的な長さが小さくなり、より低い群屈折率をもたらす。FWHMが大きい場合、グレーティングのプロファイルは均一なグレーティングに類似したものとなる。従って、この極限においては、群屈折率および透過率の長さに対する依存性は、対応する均一なグレーティングにおけるそれぞれの依存性に収束する。図21においては、損失係数1m−1、屈折率コントラストの最大値Δn=1.0×10−3、および長さ1.43cmの場合の例において、包絡線のFWHM Wに対する群屈折率および透過率がプロットされている。群屈折率の最大値に対する最適なFWHMは1.4cmである。このFWHMにおいては、群屈折率は200である。これは図20におけるものよりもさらに高いが、パワー透過は非常に低い。やはり、用途の要求に応じて、どちらの最適な長さを選ぶかを決定するために妥協することができる。しかし、図20および図21のような曲線は、この選択を行うことを可能とする情報を明らかに提供するものである。
図22に示されるように、タイプBの水素装填されたアポダイズFBGに対して、同じ最適化プロセスを適用することができる。ガウシアン包絡線のFWHMが長さの2倍に等しい場合、1.0×10−2のΔnおよび2m−1の損失係数に対して最適な長さは0.17cmである。この例に対する群屈折率は744に達し、この群屈折率におけるパワー透過率は5%である。
図22においてモデル化された水素装填されたFBGについて、その長さとして0.17cmを選択したものと仮定すると、最適なFWHMが0.17cmであることを図23は示す。このFWHMにおいては、群屈折率は868に達するが、この点におけるパワー透過は非常に低い。最も高い群屈折率を生成するFWHMは、この場合、グレーティングの長さにほぼ等しい。この特定のFWHMの利点は、非常に高い群屈折率であり、欠点は低いパワー透過率である。ここで、以前に引用したその他の全ての例と同様に、パワー透過率と群屈折率との間のトレードオフは、それぞれの用途に対して特有のものである。
均一なグレーティングおよびアポダイズグレーティングに加えて、πシフトされたグレーティングは、低速光を生成することのできる一般的なグレーティングのプロファイルの別のタイプである。πシフトされたグレーティングは、グレーティングのプロファイルの中心部に配置された位相シフトπを有する。このタイプのグレーティングは、ブラッグ波長において狭い透過共振を広げ、また、透過スペクトルを広げる。このタイプのグレーティングに対する最も低い群速度は、もはやバンドギャップ端には位置せず、むしろバンドギャップλπの中心部に位置する。これは、Δn=2.0×10−4、L=2cm、および、ゼロ損失を有する均一なπシフトされたグレーティングに対して計算された透過率および群屈折率スペクトルを示した図29Aおよび図29Bに示されている。
1550nm付近のブラッグ波長を有する様々なFBGを通って進む光の群遅延を測定することにより、これらの予測が実験的に証明された。大きな群屈折率が生じる波長において進む光は、群屈折率に比例した大きな群遅延を受ける。どちらも同じ波長可変レーザによって提供される、異なる波長の2つの信号の到着時間の間の時間差を測定することにより、群遅延が決定された。通常の群速度でFBGを通って光が進むように、第1の波長はFBGのバンドギャップ端からはるか遠くに(〜2nm)位置された。この第1の波長においては、群屈折率は位相屈折率に非常に近く、位相屈折率自体は、材料の屈折率n、例えば約1.45に非常に近い。第2の波長は、バンドギャップ端の近く(200pm内)にあるよう調整された。ここでは群屈折率、従って群遅延はより大きい。第1の波長および第2の波長における信号は、FBGに入る前に、同じ周波数でともに振幅を変調された。2つの波長において測定された群遅延の間の差異は、FBGによって誘起された群屈折率の増大の基準を提供した。
この測定に使用した実験の設定を図24に示す。波長可変レーザ(Hewlett-Packard HP 81689A)からのビームが、光アイソレータおよび偏光制御器、次いで振幅変調器を通って送られた。偏光制御器は、変調器に入る光の偏光の状態(SOP)を調節し、故に変調器(その動作はたまたま偏光に依存した)によって透過されるパワーを最大化するために使用した。25MHzから100MHzまでの間の周波数fを有する、関数発生器からの正弦関数信号が、レーザ信号のパワーを変調する変調器へと送り込まれた。正弦曲線状に変調されたレーザ光が、試験用のFBGを通して送られた。FBGを出た信号は、50/50のファイバ結合器を用いて2つに分岐された。出力信号の1つは、そのパワーを測定するために、そしてそれ故に(レーザ波長を変動させた場合に)FBGの透過スペクトルを測定するために、パワーメーターへと送られた。他方のビームは、その位相を測定するロックイン増幅器へと続くフォトディテクタに送られた。第1の測定は、低速光を受けない、バンドギャップ端から十分遠く(2nm)に離れている波長1548.000nmで行われ、従って参照信号として使用された。次いでバンドギャップ端に近い低速光波長へとレーザを調整し、位相の測定を繰り返した。これら2つの波長の間で測定された位相変化Δφから、下記の式を用いて、第1の波長と第2の波長との間の群遅延の差異を計算した。
Figure 0005941555
第2の波長における群屈折率は、下記の式を用いて微分群遅延から計算することができる。
Figure 0005941555
表1は試験された市販のファイバブラッググレーティングを一覧にしたものである。これらは全てカナダのOE-Landによって製造された。表中には、製造業者の提供による、その長さ、非熱的グレーティングであったかどうか、および、グレーティングの屈折率プロファイルが均一であったかどうかが一覧にされている。また、それぞれのグレーティングの屈折率コントラストΔn(不均一なFBGの場合にはピーク値)も一覧されている。
Figure 0005941555
図25Aは、例として、長さ3cmおよびベンダーにより特定された値である約1×10−4の名目上均一な屈折率コントラストを有するグレーティング#1の測定された透過スペクトルを示す。透過スペクトルは、均一なグレーティングに対して予期される形状を示す。すなわち、ブラッグ波長(この場合はλ≒1549.948nm)に狭い反射ピークの中心が位置し、このピークから遠くに離れるに連れて振幅が減衰する振動によって両側が取り囲まれている形状を示す。図25A中の実線の曲線は、均一なFBGに対して理論から計算された透過スペクトルである。理論曲線を実験に一致させるために調整された唯一のパラメータが屈折率コントラストである。製造業者によって特定された屈折率コントラストの値が十分に正確ではなかったので、このフィッティングを用いた。図25Aを生成するために使用されたフィッティングされた値は、Δn=1.10×10−4であり、ベンダー値と近い。これらのシミュレーションでは損失ゼロを仮定した。透過率が100%に非常に近い透過ピークがブラッグ反射ピークの両側に存在することをこれらの曲線が示している。
図25Bは、同じグレーティング(#1)に対して測定された群屈折率スペクトルを、図25A中の実線の曲線の場合と同じΔnおよび長さに対して計算された理論スペクトルとともに示す。光は波長λ≒1549.881nmおよびλ'≒1550.012nmにおいて最も遅くなる。これらはλに対して対照的に位置されており、また、FBGのバンドギャップのどちらかの側における第1の高透過ピークとも一致する。これら2つの波長における群屈折率の最も高い測定値は〜3.7であり、予測される値と非常に良く一致している。図25Aの場合と同様に、理論と実験との間に良好な一致を見る。
より高い屈折率コントラストを有するFBGを試験したところ、予期されるように、これらは、より高い群屈折率の最大値を与えた。例として、図26A−図26Cは、長さ2cmおよび〜1.0×10−3のΔnを有するグレーティング#3に対する対応する曲線を示す。図26Aは、測定された透過スペクトルの全体はブラッグ波長の周りに対称的ではないことを示しており、これは、上記で説明したように、アポダイズグレーティングであることを示している。図26Bは、便宜のため、同じ測定された透過スペクトルのうち短波長部分を拡大して示している。この測定されたスペクトルに重ねられているのは、測定されたスペクトルに対して名目上最も良好なフィッティングを得るために、4つのパラメータ、すなわち、屈折率コントラスト(Δn=1.042×10−3)、長さ(L=20mm)、ガウシアンアポディゼーションのFWHM(W=42mm)、および、損失係数(γ=1.6m−1)をフィッティングしたモデルによって予測される、フィッティングされた透過スペクトルである。測定結果と理論との間の一致は、やはり非常に良好である。フィッティングされた群屈折率Δnは、製造業者によって特定された値と近く、損失係数はFBGに対して報告された値の範囲内にある。図26Cは、このグレーティングに対して測定された群屈折率スペクトル、並びに、図26B中にて使用したものと同じフィッティングされたパラメータ値に対して計算された予測されるスペクトルを示す。測定された群屈折率の最大値は第2の低速光ピーク(波長λ)にて生じ、69である。これは、ファイバブラッググレーティングにおいて今までに報告された最も高い値であり(以前の記録は〜5であり、これはJ. T. Mok, C. Martijn de Sterke, I. C. M. Littler and B. J. Eggleton, "Dispersionless slow-light using gap solitons," Nature Physics 2, 775 - 780 (2006)において報告されている)、また、光ファイバにおいて報告された最も高い値である(以前の記録は〜10であり、これはC. J. Misas, P. Petropoulos, and D. J. Richardson, "Slowing of Pulses to c/10 With Subwatt Power Levels and Low Latency Using Brillouin Amplification in a Bismuth-Oxide Optical Fiber", J. of Lightwave Technology, Vol. 25, No. 1, January 2007に報告されている)。これは群速度〜4,350km/sに対応し、光ファイバにおいて今までに報告されている中でもはるかに低い値である。実験スペクトルと理論スペクトルとの間の一致は非常に良い。n=69というこの値は、ブラッグ波長から第2の低速光ピーク(波長λ)において観測された。第1の低速光ピークは測定できなかった。これは、図26B中に示されるように、第1のピーク(波長λ=1549.692nmの周辺)が弱すぎて測定できないためであった。第2のピークにおけるFBGの透過率は〜0.5%であった。第3のピーク(波長λ)において測定された群屈折率は、ほんのわずかに低い(〜68)だけであったが、FBGの透過率は約8%と著しく高かった。第4のピーク(波長λ)についての対応する値はn≒43であり、透過率は32%であった。図26Cは、低速光ピークの次数iが増大するに連れて、低速光ピークの帯域幅が増大することも示す。これはまた、与えられるFBGが広い範囲の群屈折率/群屈折率帯域幅/透過率の組み合わせを与えることが可能なことを示しており、意図される用途に対して所望される性能に基づいてユーザがこれを選択することができる。
表1の最後の列は、試験した5つのグレーティングにおいて測定されたn値の最大値をまとめたものである。グレーティング#4を除く全ての場合において、予測値と測定値との間の一致は非常に良好であった。グレーティング#4の場合、長さが非常に長いので、計算が収束せず、信頼性のある値を提供できなかった。
群屈折率が増大するに連れて、例えば、グレーティングの屈折率コントラストまたは長さが増大するに連れて、低速光ピークの線幅は減少する傾向にある。低速光FBGセンサから、または他の目的に使用される低速光FBGから最大の恩恵を得るために、使用されている低速光ピークの線幅より小さな線幅を有するレーザを選択することができる。もしもレーザの線幅が低速光ピークの線幅よりも大きい場合、ピーク最大値におけるレーザ光子は感度の最大値を受けるが、ピークからずれた光子は、より低い感度を受けることになる。従って、平均の感度は低減するであろう。これは、測定において使用されるレーザ線幅によって示すことができる。適度な群屈折率の最大値を有するグレーティング#1については、この低速光ピーク(λ)の群屈折率の線幅は比較的広く、その透過率および群屈折率スペクトル(図25Aおよび図25B)は、〜1pmに等しい線幅のレーザを用いて探査され得るであろう。はるかに高い群屈折率の最大値を有するグレーティング#3については、低速光ピーク(λ、λ、およびλ)の群屈折率の線幅がはるかに狭く、その透過率および群屈折率スペクトル(図26Bおよび図26C)は、〜0.8fm(周波数では100kHz)に等しい線幅のレーザを用いて探査された。低速光ピークの線幅は、図25A−Bおよび図26A−Cによって示してきたように、上記した理論モデルを用いて容易に計算することができる。この線幅の予測から、レーザ線幅の関数としてセンサの感度を計算することは容易である。これに代わって、より広い線幅を用いてセンサを動作させることもできる。不利な点は(図16のように)より低い感度であるが、温度変化に対するより大きな安定性が利点である。
温度は低速光スペクトルに影響を及ぼす。熱膨張および/またはファイバ材料の屈折率依存性の温度依存性の組み合わせのために、FBGの温度が変化するに連れて、その周期Λ、実効的モード屈折率、および、長さの全てが変動する。これらの効果はよく知られており、よく確立された数学的モデルを用いて容易に予測することができる。例として、L=2cm、Δn≒1.5×10−4、およびλ=1.55μmを有するFBGに対してこれらの基本的な効果を適用すると、第1の透過ピーク波長(λおよびλ')の相対的な温度の感度は、1℃当たりおおよそΔλ/λ=10pmと予測される。例えばFBGが歪みセンサとして使用される場合、グレーティングの温度が変化するに連れて、歪みに対する感度が一般的に変動するであろう。これは、透過ピーク波長が温度によって変動するためである。実際上は、FBGの温度を制御することによって、動作波長における群屈折率に依存した程度にこれを避けることができる(群屈折率がより高くなると、一般に温度制御はより厳しくなる)。あるいは、グレーティングを適切に梱包することによってFBGスペクトルの固有温度依存性が部分的に補償されてきた、市販のデバイスである非熱的なFBGを使用することができる。そのようなデバイスは、例えばカナダのOE LandまたはTeraxionから商業的に市販されている。
ファイバブラッググレーティングは位相または振幅の無秩序性、すなわち、グレーティングの周期またはグレーティングの屈折率コントラストのどちらかにおけるグレーティングの縦軸zに沿ったランダムな変動による影響を受ける。そのような無秩序性の存在がFBGの特性を変化させることはよく知られている。特に、一般的にそのような無秩序性は、結果的に反射ピークの広がり、および、そのパワー反射係数の減少をもたらす。同様に、位相または振幅の無秩序性は、特に、一般には低速光ピークの透過率および群屈折率を低減する方向で、FBGの低速光スペクトルの変更をもたらすであろう。考慮している用途に対してもしもこれらの効果が有害と見なされる場合には、低速光FBGの製造の間に位相または振幅の無秩序性を最小化するための手段を講じてよい。
図27は、ここに記載されるいくつかの実施例に従った、ファイバブラッググレーティングの使用に対する例示的な方法1000のフローチャートである。方法1000は、動作ブロック1010に示されるように、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率摂動を有するFBG20を提供する段階を備える。FBG20は、複数の局所的な透過率最小値を有するパワー透過スペクトルを有する。隣接した局所的な透過率最小値の各対は、それらの間に局所的な透過率最大値を持つ。局所的な透過率最大値は、透過ピーク波長において最大のパワーを持つ。方法1000はまた、図28の動作ブロック1020に示されるように、狭帯域光源から、隣接した2つの局所的な透過率最小値の間に波長を有する光を発生する段階も備える。いくつかの実施例においては、発生された光は、透過ピークの線幅よりも狭い線幅を有する。方法1000は、動作ブロック1030において、FBG20の長さに沿って全長にわたり延びる第1光学経路31に沿って光の第1部分33aを透過させる段階、および、動作ブロック1040において、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを透過させる段階をさらに備える。光センサ中にFBGが使用されるいくつかの実施例においては、方法1000は動作ブロック1050において、第1部分33a、第2部分33b、または、第1および第2部分33a、33bの両方を、光検出器40を用いて検出する段階をさらに備える。
方法1000のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動はFBG20の長さに沿って一定の周期を有する。他のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がチャープグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する周期を有する。いくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がアポダイズグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する振幅を有する。
方法1000のいくつかの実施例においては、第1および第2部分33a、33bを再結合し、これらを光検出器40へと透過する段階を方法1000はさらに備える。例えば、いくつかの実施例において方法1000は、狭帯域光源30、第1光学経路31、および第2光学経路32と光学的に通じている第1ファイバ結合器51を提供する段階と、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている第2ファイバ結合器52を提供する段階とを備える。これらの実施例において方法1000は、狭帯域光源30によって発生された光を、第1ファイバ結合器51によって第1部分33aおよび第2部分33bに分岐する段階を含む。よって、これらの実施例においては、再結合し透過する段階は、第2ファイバ結合器52によって成される。また、これらの実施例において検出する段階1050は、第1部分33aと第2部分33bとの間の位相差を検出する段階を備える。いくつかの実施例においては、第1光学経路31と第2光学経路32とが、名目上バランスされたマッハツェンダー干渉計を形成する。
いくつかの実施例においては、位相差はFBG20に加えられる歪みの量を示す。いくつかの実施例においては、位相差はFBG20の温度を示す。
方法1000のいくつかの実施例においては、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを透過する段階1040は、FBG20から第2部分33bを反射する段階を備える。これらの実施例において検出する段階1050は、第1部分33a、第2部分33b、または、第1および第2部分33a、33bの両方の光パワーを検出する段階を備えることができる。いくつかの実施例においては、検出される光パワーはFBG20に加えられる歪みの量を示す。いくつかの実施例においては、検出される光パワーはFBG20の温度を示す。方法1000のいくつかの実施例においては、FBG20に沿って透過される第1部分33aが第1群速度を有する。第1群速度は、FBG20に沿って透過される波長の反射される範囲の外側に波長を有する光の第2群速度よりも小さい。これらの実施例のいくつかにおいては、第2群速度に対する第1群速度の比は1/3に等しいか、またはそれよりも小さい。いくつかの実施例においては、第2群速度に対する第1群速度の比は1/10に等しいか、またはそれよりも小さい。
図28は、ここに記載されるいくつかの実施例に従った、ファイバブラッググレーティングを使用する方法2000の別の実施例のフローチャートである。方法2000は、動作ブロック2010に示されるように、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率摂動を有するFBG20を提供する段階を備える。方法2000のいくつかの実施例においては、動作ブロック2020に示されるように、方法2000は、狭帯域光源30から、ある波長を有する光を発生する段階を備える。いくつかの実施例において波長は、FBG20の低速光ピークの近傍にある。方法2000は、動作ブロック2030において、群速度に対する真空中の光の速度の比が5よりも大きくなるような群速度を有するFBG20の長さに沿って全長にわたり延びる第1光学経路31に沿って光の第1部分33aを透過させる段階、および、動作ブロック2040において、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを透過させる段階をさらに備える。光感知にFBG20が使用されるいくつかの実施例においては、方法2000は動作ブロック2050において、第1部分33a、第2部分33b、または、第1および第2部分33a、33bの両方を、光検出器40を用いて検出する段階をさらに備える。
性能指数を用いた最適化
ファイバブラッググレーティング(FBG)を感知素子として利用する新規なタイプのファイバセンサのいくつかの実施例における動作がここに記載され、また、2010年6月2日に出願された米国特許出願第12/792,631号に記載されており、その開示内容全体を参照によりここに組み込む。今までに文献中に報告されている他のFBGセンサとの差異は、ここに記載されるいくつかの実施例が低速光を用いて感知することである。低速光は、特定の波長の光をFBGに入射させることにより、FBG中で励起されることができる。この概念を実行するいくつかの実施例においては、特定のFBGについてFBGのバンドギャップの縁部に存在する複数の高透過ピークの1つの近傍に、この波長を選択することができる。図9Aおよび図9Eに示されるバンドギャップの短波長側においては、これらの波長はλと表示される。ここでjは1に等しいかまたはそれより大きな整数であり、j=1のピークはバンドギャップに最も近いピークである。バンドギャップの長波長側においては、これらの波長はλ'と表示される。ここでjは1に等しいかまたはそれより大きな整数であり、j=1のピークはバンドギャップに最も近いピークである。これらの波長においてFBGは、光ファイバ中を標準的に進む光の群速度よりも実質的に低くなることのできる群速度によって特徴付けられる低速光を持続させることができる。この低い群速度νは高い群屈折率n=c/νによって特徴付けられる。ここでcは真空中の光の速度である。
いくつかの実施例に従った位相センサに対して感知されるべき摂動(例えば歪み)が加えられた場合、その結果生じる、センサを通って進む光の位相の摂動は、群速度の逆数に比例する。従って、これらの実施例においては、こうした複数の透過ピークのうちの1つの近傍においてFBGを動作することにより、測定量に対する感度の増大をもたらすことができる。特にこれは、以下のものに限定されるわけではないが、温度、歪み、変位、および相対的な回転について当てはまる。従って、低速光を利用するFBGセンサのいくつかの実施例においては、群屈折率のように、測定量に対する感度が上がることができる。よって、いくつかの実施例においては、他の全てが同じであれば、群屈折率が高くなればなるほど、あるいは、群速度が遅くなればなるほど、より感度が高くなる。
ここに記載されるいくつかの実施例において、および、米国特許出願第12/792,631号において開示されるように、光は一般的に第1の(j=1)ピークにおいて最も低い群速度を持つことができる。例えば、均一なFBGのいくつかの実施例は、バンドギャップの両側において、すなわちλとλ'の両方において最も低い群速度を持つことができる。別の例として、ここに記載される、および、米国特許出願第12/792,631号に記載されるアポダイズFBGのいくつかの実施例は、バンドギャップの短波長側、すなわちλにおいて最も低い群速度を持つことができる。こらら特定のアポダイズグレーティングのスペクトル応答における非対称性のおかげで、いくつかの実施例は、バンドギャップの長波長側において、目立った高い透過ピークをほとんどから実質的に全く示さない場合がある。
図30はアポダイズグレーティングの例に対して計算された透過スペクトルの例を示す。透過スペクトルの例は、長さL=1.2cm、損失1m−1、および、ピーク屈折率変調Δn=1.04×10−3と半値全幅(FWHM)W=0.98cmとを有するガウシアン屈折率プロファイルの包絡線を有するアポダイズグレーティングに対して計算されたものである。そのピーク屈折率変調は、0.6cmにおけるグレーティングの中心位置から0.06cm遠くに離れている。アポディゼーションシフトがあると、図30中のピーク番号1におけるnは218.6であり、ピーク番号2においては126.8である。シフトが無いと、ピーク番号1におけるnは225.2であり、ピーク2においては148.4である。グレーティングの中心位置からピーク屈折率変調をシフトさせることはnを低減させるであろうが、この場合、群屈折率の変化は重要ではない。何故ならば、グレーティングの長さと比較してシフトが小さいからである。明確性のために、スペクトルの短波長側のみが示されている。いくつかの実施例に対して上記したように、透過スペクトルはバンドギャップの縁部に鋭いピークを示す。図30においてλはFBGのブラッグ波長の位置を指しており、この例においては図の外である波長1550.176nmに位置する。この例においては、透過ピークは、ピーク番号jとともに増大するピーク透過率値を有する。この例においては、透過ピークはまた、ピーク番号が増大するにつれて広がる。
図30はまたアポダイズグレーティングの例に関する計算された群屈折率スペクトルも示す。やはり明確性のため、短波長側のみが示されている。ここに、および、米国特許出願第12/792,631号に記載されるいくつかの実施例に対して説明されるように、このスペクトルはまた、透過ピークの波長λおよびλ'の非常に近くに来る波長に中心が位置される鋭い共振を示すことができる。いくつかの実施例においては、第1ピーク(j=1)は最も高いn、例えば最も遅い群速度を示す。これらの実施例においては、後続の低速光ピークの群屈折率の最大値が、ピークの番号(j)が増大するに連れて低下する。
これらの概念に基づいて、いくつかの実施例に従った2つの一般的な種類のセンサが、ここに、および、米国特許出願第12/792,631号に開示される。透過モードと呼ばれる、この第1の種類のいくつかの実施例においては、名目上バランスが取られたMZ干渉計のアームの一方にFBGが配置され、FBGの低速光ピーク近傍の波長において干渉計を探査することができる。この手法の例示的な図が上記され、また図7に示されている。センサの第2の種類のいくつかの実施例においては、群屈折率スペクトルの傾きが最大値となるような波長において、あるいはその近傍において、低速光ピークのどちらかの側に来るように波長を選択することができる。従ってこれらのセンサは、上記されまた図8に示されるように反射モードにおいて使用することができる。
感度が群屈折率にのみ比例することに基づくと、最も高い可能な感度を実現するためには、第1低速光ピークの最大値近傍の波長においてセンサを探査するように結論付けたくなるかもしれない。しかしながら、いくつかの実施例については、以下に記載するように、これは必ずしもそうとは限らない。
a.透過の構成
図31は、ここに記載されるいくつかの実施例に従って低速光透過モードで使用されるFBGを利用した装置の実施例の図を示す。図31に示されるように光デバイス110は、FBG120の長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有するFBG120を備えることができる。FBG120は、複数の局所的な透過率最大値を有するパワー透過スペクトルを持つことができる。局所的な透過率最大値のそれぞれは、透過ピーク波長において最大のパワーを有する。FBG120は、波長の関数としての群屈折率スペクトルを有する。光デバイス110は、第1光学経路131および第2光学経路132と光学的に通じている狭帯域光源130を備えることができる。狭帯域光源130は、第1部分133aおよび第2部分133bに分岐されるように構成されることのできる光を発生するように構成することができる。第1部分133aは、FBG120の長さに沿って全長にわたって延びる第1光学経路131に沿い、ある群速度で透過されてよい。光は、群屈折率スペクトルとパワー透過スペクトルの平方根との積が最大値にある(例えば、FBG120のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するものよりも高くなる)波長に、あるいはその近傍に波長を有することができる。
いくつかの実施例においてFBG120は、ここに記載されるFBG20と同様なものであってよい。例えばFBG120は、空間変調されたUVビームに光ファイバのコアをさらすことによって製造することができる。屈折率変調は、任意の数の空間分布を取ることができる。光ファイバは、従来のシングルモードファイバまたはマルチモードファイバであってよい。空間的に変動する光にさらすことによって屈折率における所望の変調を誘起することができるように、光ファイバは特有の元素がドープされてよい。FBG120における空間的に周期的な屈折率変調は、均一なグレーティングとしては、FBG120の長さに沿って一定の周期を有することができ、チャープグレーティングとしては、FBG120の長さに沿って変動する周期を有することができ、あるいは、アポダイズグレーティングとしては、FBG120の長さに沿った屈折率変調の振幅変動を有することができる。図9Aおよび図9Eに示されるように、FBG120は、複数の局所的な透過率最大値を有するパワー透過スペクトルを持つことができる。局所的な透過率最大値のそれぞれは、透過ピーク波長において最大のパワーを有する。
いくつかの実施例においては、狭帯域光源130は、ここに記載される狭帯域光源30と同様なものであってよい。例えば狭帯域光源130は、半導体レーザまたはファイバレーザ、例えば、約1530nmと1565nmとの間の波長範囲を有するErドープされたファイバレーザを備えることができる。別の例としては、狭帯域光源130は、波長1064.2nmを有するNd:YAGレーザを備えることができる。いくつかの実施例において狭帯域光源130は、例えば10−13よりも小さいかまたはこれに等しい狭い線幅を持つことができる。
狭帯域光源130は、第1光学経路131および第2光学経路132と光学的に通じることができる。狭帯域光源130によって発生された光は、第1部分133aおよび第2部分133bに分岐されることができる。いくつかの実施例においては、第1部分133aは、FBG120の長さに沿って全長にわたって延びる第1光学経路131に沿い、ある群速度で透過されることができる。いくつかの実施例において第2部分133bは、FBG120の長さに沿っては延びない第2光学経路132に沿って透過されることができる。いくつかの実施例においては、図31に示されるように、第1光学経路131は第2光学経路132とは異なるものであってよい。他の実施例においては、第1光学経路131と第2光学経路132とは、少なくとも部分的に互いに重なっていてよい。第1光学経路131および第2光学経路132は、空きスペースを横切ってよく、あるいは複数の光学素子を横切ってよい。例えば、第1光学経路131および/または第2光学経路132は、例えば以下に記載されるようなファイバ結合器である光学素子を横切ってよい。いくつかの実施例においては、狭帯域光源130によって発生された光は、群屈折率とパワー透過の平方根との積が最も高くなるような波長において、またはその近傍において波長を有することができる。これもまた以下において完全に説明する。
いくつかの実施例において光デバイス110は、少なくとも1つの光検出器140を備えることができる。光検出器140は、FBG120と光学的に通じるように構成することができる。光検出器140は、光の第1部分133a、光の第2部分133b、または、光の第1部分133aおよび第2部分133bの両者の光パワーを受け取り、検出するように構成することができる。図31において光検出器140は、光の第1部分133aおよび第2部分133bの両者を受け取り、検出することができる。いくつかの実施例において光検出器140は、ここに記載される光検出器40と同様なものであってよい。例えば光検出器140は、汎用の低ノイズフォトディテクタであってよい。
いくつかの実施例において光デバイス110は、狭帯域光源130、第1光学経路131、および第2光学経路132と光学的に通じている第1ファイバ結合器151を備えることができる。図31に示されるように、狭帯域光源130によって発生された光を、例えば3dBのファイバ結合器である第1ファイバ結合器151によって、第1部分133aと第2部分133bとに分岐することができる。第1部分133aは第1光学経路131に沿って透過されてよい。第2部分133bは第2光学経路132に沿って透過されてよい。第1部分133aはFBG120に沿って伝搬することができるのに対し、第2部分133bはFBG120とは実質的に相互作用しなくてよい。この実施例における第1部分133aは、FBG120の摂動に関する情報を含んでよい。これに対してこの実施例における第2部分133bは、摂動によって影響を受けないままであってよい。
光センサ 110は、例えば3dBのファイバ結合器であって第1光学経路131および第2光学経路132と光学的に通じている第2ファイバ結合器152をさらに備えることができる。第1部分133aおよび第2部分133bは、第2ファイバ結合器152によって再結合され、少なくとも1つの光検出器140へと透過されることができる。ここで説明されるように、この再結合により、第1部分133aおよび第2部分133bは互いに干渉することができ、第1部分133aと第2部分133bとの間の位相差に関する情報を含むことのできる結合信号を生成する。図31に示されるように、光検出器140は、第2ファイバ結合器152の複数の出力ポートのうちの1つにおいて単一の光検出器を備えることができる。他のいくつかの実施例においては、図7に概略的に示されるように、光検出器140は、第2ファイバ結合器52の一方の出力ポートにおける第1光検出器40a、および、第2ファイバ結合器52の他方の出力ポートにおける第2光検出器40bを備えることができる。いくつかの実施例において位相差は、FBG120に加えられた歪みの量を示すことができる。他のいくつかの実施例において位相差は、FBG120の温度を示すことができる。
上記のように、狭帯域光源130によって発生された光は、群屈折率とパワー透過の平方根との積が最も高くなるような波長に、またはその近傍に波長を有することができる。例えば、図31に示されるように、光デバイス110は透過モードで動作する光センサであってよく、例えばここに記載されるMZ干渉計である。例えばMZ干渉計である光デバイスの出力における信号は、第1光学経路131によってポート152aへと透過される場Eと、第2光学経路132によってポート152bへと透過される場Eとのコヒーレント和であってよい。これらの場は次のように書くことができる。
Figure 0005941555
ここでEは狭帯域光源130と第1ファイバ結合器151への入射によって生成される場であり、√ηは第1光結合器151の場結合係数であるか、または、同等にηが第1光結合器151のパワー結合係数であり、φおよびφはそれぞれ第1光学経路131および第2光学経路132を通って伝搬する光によって蓄積される位相であり、tおよびtはそれぞれ第1光学経路131および第2光学経路132の場の透過率である。位相の項exp(iπ/2)は、光が結合器を通って結合される場合に得る、よく知られたπ/2の位相シフトを構成する。光デバイス110の上方出力ポート152aにおいては、EとEとのコヒーレント和として場が与えられ、出力パワーPoutはこの全場の絶対値の平方に比例する。従って、次の通り。
Figure 0005941555
ここでPは光デバイス110の第1ファイバ結合器151に入射されるパワーであり、Δφ=φ−φは2つの光学経路131、132中の2つの信号が受ける位相間の差異である。式(11)の最後の等式における平方を展開すると次式を与える。
Figure 0005941555
式(12)の右側中の第1項は、位相およびFBG120に加えられる位相の摂動とは独立なDC項である。第2項は2つの波の間の干渉項を含み、従って、重要な位相情報を含むことができるものである。
いくつかの実施例に従うと、図31の光デバイス110中のFBG120に摂動δψが加えられると、この摂動はFBG120を通って伝搬する信号の位相に変化を誘起することができる。この位相の摂動は、(十分に小さな摂動に対する)摂動に対し、そして上記に見られるように、FBG120中の光の群屈折率に対して比例することができる。従って次のように書くことができる。
Figure 0005941555
式(12)中の位相差Δφは、2つの光学経路131、132の間に固有な位相差である定数項と、この位相の摂動δφとの間の和である。この固有な位相差をπ/2(πをモジュロとした)に選択した場合、出力パワーPoutは小さな摂動δψに最大限依存する。従って、出力パワーの位相に依存する部分(式(12)の右側の第2項)は次のように書くことができる。
Figure 0005941555
いくつかの実施例においては、(FBG120に加えられた極めて小さい摂動を測定する試みの場合のように)位相の摂動が小さい場合、sin(δφ)≒δφであり、式(14)は次のようになる。
Figure 0005941555
式の最も右側のδφを置換するために式(13)を用いている。
従っていくつかの実施例においては、例えばMZ干渉計である光デバイス110によって提供される信号である出力パワーは、FBG120に加えられる摂動の結果、η(1−η)tに比例する。この信号を最大化するために、そして、これ故に、ここに記載されるいくつかの実施例に従った光デバイス110の感度を最大化するために、まず第一に積η(1−η)を最大化することができる。これは、η=0.5の場合に達成できる。第1ファイバ結合器151および第2ファイバ結合器152が50%のパワー結合係数を有する場合に、例えばMZ干渉計である光デバイス110の感度が最大値となる。出力パワーを最大化するために最大化されることのできる第2の項目は、積tである。これは、まず第一に、例えばMZ干渉計の参照アームである第2光学経路132の透過率tを最大化することによって達成することができる。第2のステップは、積tを最大化することである。第1光学経路131の場の透過率tは、√Tとしてより簡便に表現することができる。ここでTは第1光学経路131のパワー透過率である。従って、いくつかの実施例に従った図31の光デバイスの感度は、単にnが最も高い場合のみでなく、積n√Tが最も高い場合にも最大化され得る。従って、この光デバイス110の感度を最大化するために最大化される関連した性能指数はF=n√Tである。
図32は、図30の透過スペクトルの平方根に図30の群屈折率スペクトルをかけた積である性能指数の例を示す。以前に説明したように、(図30にプロットされている)Tと(図30にプロットされている)nとの両者は、波長に強く依存する。従って性能指数Fはまた、図32に示されるように、波長に強く依存する。図32は、この特定のアポダイズFBGの例においては、性能指数(または感度)が第1低速光ピークの波長において最大値となっていないことを示す。図30に示されるように、第1低速光ピークにおいてnは最も高いが、この例の場合Tは非常に弱い。一方、第2ピークにおいてnはほんのわずかに小さいが、Tは著しく高い。従ってこの例の場合、第1ピークにおいてよりも、第2ピークにおいての方がFが高い。この例の場合、続く低速光ピークに対しては、Tが増大する以上にnが低下する。そのため、これらの他のピークにおける性能指数は、第2ピークにおけるものよりも低い。最終結果としては、第2ピーク(波長λ)で動作することにより、この特定の例においては最も高い性能指数が得られる。それ故に、最も高感度の光デバイス110が得られる。図30および図32のような図をプロットすることは、特定のFBG120について感度の最大値で動作する最適な波長を見つけ出すのに有益となり得る。
図30および図32のような図をプロットすることは、いくつかの実施例においては必要無いかもしれない。例えば、均一なグレーティングを用いたいくつかの実施例においては、透過スペクトル中のピークは、全て最大値1を有する。感度の最大値の波長は群屈折率スペクトルによって決定され、それらはおおよそ波長λおよびλ'と一致する。従って、これらの実施例において最も高い感度を与える波長は、群屈折率を最大化する波長であり、これはλおよびλ'である。しかしながら、低速光センサのいくつかの実施例における帯域幅を決定するために、あるいは、検出することのできる同等な摂動の最大値を決定するためには、性能指数Fのスペクトルをプロットすることが、検出される信号のスペクトル、それ故に帯域幅情報をそれが含んでいるので有利となり得る。
b.反射の構成
ここに記載されるいくつかの実施例は、例えば図8に示されるように、低速光反射モードで使用されるFBGを利用する。光デバイス10は、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている狭帯域光源30を備えることができる。狭帯域光源30は、FBG20によって第1部分33aと第2部分33bとに分岐されるように構成される光を発生するように構成することができる。波長の関数とした場合に、群屈折率スペクトルと1からパワー透過スペクトルを引いたものとの積の傾きが最大値となる(例えば、FBG20のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するものよりも高くなる)ような波長に、あるいはその近傍に、光は波長を有することができる。いくつかの実施例において光は、波長の関数とした場合の群屈折率スペクトルとパワー透過スペクトルとの積の傾きが最大値となる(例えば、FBG20のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するものよりも高くなる)ような波長に、あるいはその近傍に、波長を有することができる。
さらに上記にて説明したように、図8に示される光デバイス10のいくつかの実施例は、少なくとも1つの光検出器40aおよび/または40bをさらに備えることができる。図8の光デバイス10はまた、少なくとも1つのファイバ結合器51を含むことができる。
いくつかの実施例においては、狭帯域光源30によって発生された光は、FBG20によって、第1部分33aおよび第2部分33bに分岐することができる。いくつかの実施例においては、少なくとも1つの光検出器40aおよび/または40bは、光の第1部分33a、第2部分33b、または第1および第2部分33a、33bの両方を受け取るように構成することができる。
いくつかの実施例においては、FBG20は狭帯域光源30によって調べられ、狭帯域光源30によって発生された光は、FBG20によって第1部分33aと第2部分33bとに分岐されてよい。FBG20を調べる光の波長を、波長の関数とした場合の群屈折率と1からパワー透過を引いたものとの積の傾きが最大値となるような波長に、もしくはその近傍にすることができる。以下においてより完全に説明する。いくつかの実施例においては、FBG20を調べる光の波長を、波長の関数とした場合の群屈折率とパワー透過との積の傾きが最大値となるような波長に、もしくはその近傍にすることができる。以下においてより完全に説明する。
上記にて説明したように、FBG20に外部摂動が加えられた場合、反射ピークは波長をシフトすることができる。λのこのシフトは、FBG20によって透過される光の第1部分33aおよびFBG20によって反射される光の第2部分33bにおける変化、例えば、FBG20に入射される光の波長において反射される光のパワーの変化をもたらし得る。
反射モード動作の場合(例えば図8)、いくつかの実施例に従った光デバイス10の出力パワーは、例えば図31の透過モードのように、nをFBG20のパワー反射係数倍したものに比例する。出力パワーがFBG20によって反射されたパワーである場合には、パワー反射係数はR=1−Tである。よって、関連する性能指数はF=(1−T)nである。出力パワーがFBG20によって透過されたパワーである場合には、関連する性能指数はF'=Tである。光デバイス10の出力としてどちらの出力が測定されるかに応じて、FまたはF'のどちらかのスペクトルを取得するために、図32に類似したプロットをプロットすることができる。従って、感度を最大化する動作波長は、性能指数の傾きが最大値となるような波長によって与えられる。
c.追加の例
図33Aは、ここに記載されるいくつかの実施例に従った、ファイバブラッググレーティングを使用する例示的な方法3000のフローチャートである。方法3000は、動作ブロック3010に示されるように、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率摂動を有するFBG20を提供する段階を備える。FBG20は、複数の局所的な透過率最大値を有するパワー透過スペクトルを持つことができる。局所的な透過率最大値は、それぞれ透過ピーク波長において最大のパワーを有する。方法3000はまた、図33Aの動作ブロック3020に示されるように、光を発生する段階を備える。光は狭帯域光源30によって発生することができる。いくつかの実施例においては、狭帯域光源30は第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じている。光はまた、光の第1部分33aと光の第2部分33bとに分岐される。方法3000は、動作ブロック3030において、FBG20の長さに沿って全長にわたって延びる第1光学経路31に沿って、ある群速度で光の第1部分33aを透過させる段階をさらに備えることができる。いくつかの実施例において光は、群屈折率とパワー透過の平方根との積が最大値にある(例えば、FBG20のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するものよりも高くなる)ような波長に、またはその近傍に波長を有することができる。
方法3000のいくつかの実施例は、光の第1部分33a、第2部分33b、または、第1部分33aと第2部分33bとの両方を、光検出器40を用いて受け取る段階と、光の第1部分33a、第2部分33b、または、第1部分33aと第2部分33bとの両方の光パワーを検出する段階とをさらに備えることができる。方法3000は、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを透過させる段階をさらに備えることができる。第2光学経路32は、FBG20に沿って全長にわたって延びていなくてもよい。様々な実施例において方法3000は、狭帯域光源30、第1光学経路31、および第2光学経路32と光学的に通じている第1ファイバ結合器51を提供する段階をさらに備えることができる。さらに方法3000は、光検出器40、第1光学経路31、および第2光学経路32と光学的に通じている第2ファイバ結合器52を提供する段階を備えることができる。
方法3000のいくつかの実施例においては、方法3000は、光の第1および第2部分33a、33bを再結合し、これらを光検出器40へと透過する段階をさらに備えることができる。これらの実施例において方法3000は、狭帯域光源30によって発生された光を、第1ファイバ結合器51によって第1部分33aと第2部分33bとに分岐する段階を含むことができる。従って、これらの実施例においては、再結合し透過する段階は、第2ファイバ結合器52によって成すことができる。また、これらの実施例において検出する段階は、第1部分33aと第2部分33bとの間の位相差を検出する段階を有することができる。いくつかの実施例においては、第1光学経路31および第2光学経路32は、名目上バランスされたマッハツェンダー干渉計を形成することができる。いくつかの実施例においては、位相差はFBG20に加えられる歪みの量を示すことができる。その他の実施例においては、位相差はFBG20の温度を示すことができる。
方法3000のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20の長さに沿って一定の周期を有することができる。その他のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がチャープグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する周期を有することができる。いくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がアポダイズグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する振幅を有することができる。
図33Bは、ここに開示されるいくつかの実施例に従ったファイバブラッググレーティングを使用する方法4000の別の実施例のフローチャートである。方法4000は、動作ブロック4010に示されるように、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率摂動を有するFBG20を提供する段階を備えることができる。方法4000のいくつかの実施例においては、動作ブロック4020に示されるように、ある波長を有する光を発生する段階を方法4000は備えることができる。光は狭帯域光源30から発生することができる。いくつかの実施例において狭帯域光源30は、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じることができる。光は、光の第1部分33aと光の第2部分33bとに分岐することができる。方法4000は、動作ブロック4030において、FBG20の長さに沿って全長にわたって延びる第1光学経路31に沿って、ある群速度で光の第1部分33aを透過させる段階をさらに含むことができる。いくつかの実施例において光は、波長の関数としての、群屈折率と1からパワー透過を引いたものとの積の傾きが最大値となる(例えば、FBG20のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するこの量の値と比較して最大値となる)ような波長に、またはその近傍に波長を有する。
方法4000のいくつかの実施例は、光の第1部分33a、第2部分33b、または、第1部分33aと第2部分33bとの両方を、光検出器40を用いて受け取る段階と、光の第1部分33a、第2部分33b、または第1部分33aと第2部分33bとの両方の光パワーを検出する段階とをさらに備えることができる。方法4000は、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを反射する段階をさらに備えることができる。
方法4000のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20の長さに沿って一定の周期を有する。その他のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がチャープグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する周期を有する。いくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がアポダイズグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する振幅を有する。
図33Cは、ここに記載されるいくつかの実施例に従ってファイバブラッググレーティングを使用する方法5000の別の実施例のフローチャートである。方法5000は、動作ブロック5010に示されるように、FBG20の長さに沿って実質的に周期的な屈折率摂動を有するFBG20を提供する段階を備えることができる。方法5000のいくつかの実施例においては、動作ブロック5020に示されるように、ある波長を有する光を発生する段階を方法5000は備えることができる。光は狭帯域光源30から発生することができる。いくつかの実施例においては、狭帯域光源30は、第1光学経路31および第2光学経路32と光学的に通じることができる。光は、光の第1部分33aと光の第2部分33bとに分岐することができる。方法5000は、動作ブロック5030において、FBG20の長さに沿って全長にわたって延びる第1光学経路31に沿って、ある群速度で光の第1部分33aを透過させる段階をさらに含むことができる。いくつかの実施例において光は、波長の関数としての、群屈折率とパワー透過との積の傾きが最大値となる(例えば、FBG20のバンドギャップの縁部近傍におけるあらゆる他の波長に対するこの量の値と比較して最大値となる)ような波長に、またはその近傍に波長を有する。
方法5000のいくつかの実施例は、光の第1部分33a、第2部分33b、または、第1部分33aと第2部分33bとの両方を、光検出器40を用いて受け取る段階と、光の第1部分33a、第2部分33b、または第1部分33aと第2部分33bとの両方の光パワーを検出する段階とをさらに備えることができる。方法5000は、第2光学経路32に沿って光の第2部分33bを反射する段階をさらに備えることができる。
方法5000のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20の長さに沿って一定の周期を有する。その他のいくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がチャープグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する周期を有する。いくつかの実施例においては、実質的に周期的な屈折率摂動は、FBG20がアポダイズグレーティングであるように、FBG20の長さに沿って変動する振幅を有する。
図24は、FBGの透過率および群屈折率スペクトルを測定するために使用される例示的な実験の設定を示す。性能指数を使用したこの最適化は、名目上のΔnが1.035×10−3、長さL=1.2cm、推定される損失係数が1.16m−1、およびFWHM W=0.9cmを有するガウシアンアポダイズ屈折率プロファイルを有するFBGを試験することによって実行された。図24および式(8)および式(9)に関連して上記したように、群遅延および群屈折率を測定した。
図34Aは測定された透過スペクトルを示し、図34BはFBGによって透過された信号の測定された群屈折率スペクトルを示す。対応する実線の曲線は、それらが実験的なスペクトルに最も良くフィッティングされるようにΔn、W、およびαを調節した後に、モデルを用いて計算された理論予測である。フィッティングされた値はΔn=1.035×10−3、W=0.9cm、および、α=1.16m−1である。前者は、製造業者による推定値とよく一致する。測定されたスペクトルの両方とも、理論とよく一致する多重リプルを示す。測定された群屈折率の最大値は第2透過ピーク(λ≒1549.6976nm)の近傍において生じ、127に等しい。この波長における透過率は0.8%である。これは、今までに、FBGまたは光ファイバのどちらかにおいて報告された最も遅い群速度(2,362km/s)の1つである。バンド端に最も近いピーク(λ≒1.54974μm)は、さらにもっと高い群屈折率(〜217)を持つべきであるが、この例では、このピークにおいて透過されるパワーが小さすぎて検出できないために、測定できなかった。
このFBGに対して制御および較正された歪みを加えるために、FBGを圧電性(PZT)リング上に取り付けた。リングにはAC電圧が加えられ、これにより正弦関数の伸びがFBGに加えられた。次いで図35に示されるように、低速光センサとしてのその性能を試験するために、FBGがMZ干渉計に配置された。MZ干渉計によって、レーザの位相ノイズが、検出可能な最小の歪みを増加させてしまうであろう強度ノイズに転換されることを最小限にするために、MZ干渉計の2つのアームが同じ長さを有することを確実にするように注意を払った。独立な干渉測定からの推定によると、アーム長の差は1−3mmであった。関数発生器により、周波数ω=25kHzにおいて既知の振幅の電圧をPZTに加えた。出力検出器によってMZ干渉計の出力を測定した。この出力は、温度変動のために2つのアーム間でゆっくりと変動する位相差により誘起される、ゆっくり変動する成分を含む。この変動する信号は、比例積分微分(PID)コントローラへと送られた。このゆっくりとしたドリフトを相殺するために、後者によって、下方のアームに配置された第2PZTに対してちょうど適切な電圧を加えた。この閉ループの目的は、干渉計を安定化することであり、また、以前に説明したように、感度を最大にするために、その位相バイアス(FBG/感知アームに対して加えられる変調が無い場合の2つのアームの間の位相差)をπ/2に等しく保つことであった。検出器出力の別の部分は、ωで変調された出力成分をこの部分から抽出するロックイン増幅器へと送られた。この出力成分はセンサ信号であった。波長可変レーザの波長を変動させることにより、この例のように、波長の関数としてFBGに加えられた同一の摂動(歪み)の振幅および周波数に対するセンサの応答を測定することができる。
FBGが取り付けられるPZTは、通常の技法を用いて事前に較正されている。既知の長さのファイバをその周りに巻きつけた。このファイバをMZ干渉計の内部に配置した。そして、この干渉計を用いて、このファイバ中に生じる位相シフトの量をPZTに加えられる電圧の関数として測定した。
上記に基づくと、図35の例示的なセンサの感度は、F(λ)=n(λ)√T(λ)に比例するスペクトルを有する。ここでn(λ)は測定された群屈折率スペクトル(例えば図34B)であり、T(λ)はFBGの透過スペクトル(例えば図34A)である。これら2つの測定されたスペクトルから計算されたスペクトルF(λ)を、例えば図36に示されるようにプロットすることができる。図32に関連して以前に実証したように、感度はピークj=3の近傍において最大値となることが予測される(第1ピークj=1は、以前に指摘したように、弱過ぎて測定されなかったので示されていない)。歪みに対するセンサの感度は次のように定義される。
Figure 0005941555
ここでdPoutは、歪みdεの変化の結果生じるMZ干渉計の出力におけるパワーの変化である。Sは歪みの逆数を単位としている。式(15)を用いると、感度は次の式に比例することがわかった。
Figure 0005941555
ここでTおよびTはそれぞれFBGアームおよび参照アームのパワー透過率である。式(17)に示されていない比例係数は、材料の屈折率が歪みに対してどのように依存するかを表す材料パラメータに依存する(例えば、H. Wen, M. Terrel, S. Fan, and M. Digonnet, "Sensing with slow light in fiber Bragg gratings," Sensor Journal, IEEE Vol. 12, Issue 1, 156-163 (2012)に記載されており、その内容全体をここに参照により組み込む)。式(17)は、MZベースの低速光FBGセンサについて、与えられたFBGセンサに対する感度の最大値に最適な波長を選択する(例えば、
Figure 0005941555
の最大の値を有するピークを選択する)ための性能指数として使用することができる。
(例えばH. Wen, M. Terrel, S. Fan, and M. Digonnet, "Sensing with slow light in fiber Bragg gratings," Sensor Journal, IEEE Vol. 12, Issue 1, 156-163 (2012)に記載されるように)式(15)にδφの完全な式を挿入すると、シリカファイバに対する感度についての以下の式が得られる。
Figure 0005941555
式(18)は、様々なMZベースのFBGセンサの絶対的および相対的性能を特徴付ける性能指数を与えるために使用することができる。式(18)に従うと、感度はη=0.5の場合に最大値となる。与えられる波長範囲(例えば1.5μmの周辺)で動作されるこのMZスキームを利用するいくつかの実施例に対しては、複数のMZベースの低速光FBGセンサを比較する場合、あるいは、FBGセンサを設計する場合(例えば、
Figure 0005941555
の最大の値を有するFBGセンサを選択する場合、あるいは、
Figure 0005941555
の大きな値を有するピークを持つようなFBGセンサを設計する場合)に、積
Figure 0005941555
を、性能指数として使用することができる。
実際のところ、一般に参照(例えば下側の)アームの透過率を最大値に維持しようと努力し、且つ、この最大値は実際上、他方(上側)のアームに含まれるFBGの特性とは独立に1の近くであり得るので、特定の波長範囲で動作されるMZベースのスキームに対する実際的な性能指数は、
Figure 0005941555
である。ここでTはやはりFBGを含むアームのパワー透過であり、従って、全ての意図および目的に対し、動作波長におけるFBGの透過率である。
このMZスキームを利用するいくつかの実施例に対し、与えられた波長範囲で与えられたセンサに使用されるべきFBGについては、MZベースのセンサ中で使用されるべき複数のFBGを比較する場合、あるいは、感度の最大値を有するように使用されるべきFBGを設計する場合(例えば、
Figure 0005941555
の最大の値を有するFBGを選択する場合、あるいは、
Figure 0005941555
の大きな値を有するピークを持つようにFBGを設計する場合)に、動作の波長において評価される積
Figure 0005941555
を性能指数として使用することができる。同等に、τ=nL/cなので、等価な性能指数は
Figure 0005941555
である。式(18)は、小さな歪みに対するFBGの感度を最大化するために、動作の波長で評価される積
Figure 0005941555
を最大化できるということを述べている。例えば式(18)は、MZベースの構成にて使用される特定のFBGにおいて、どのピークおよびどの動作波長が感度の最大値(あるいは特定の目標値を有する感度)を与えるかを選択するために使用することができる。与えられるFBGに対して長さLは固定されているので、与えられるFBGに対して積
Figure 0005941555
を性能指数として使用することができる。
2つのパラメータτとT(例えばH. Wen等によって記載されており、参照によってここにその開示内容全体が組み込まれている)を計算または測定し、次いでこれらの値を式(18)に代入して感度の最大値を予測することにより、特定のパラメータの組を有する特定のFBGの小さな歪みに対する感度の最大値を計算するまたは予測するために、式(18)をまた使用することができる。
図35の設定を利用した歪み感知実験の結果も、4つの観測された低速光ピークにおいて測定された感度の形で図36にプロットされている。測定された感度は、スペクトルによって示される値と適度によく一致する。これもやはり、グレーティングの測定された群屈折率および透過スペクトルから予測された。従って、いくつかの実施例においては、透過モードにおけるいくつかの実施例に従った低速光センサの感度は、理論によって予測されるように、性能指数F(λ)=n(λ)√T(λ)で見積もられる。さらに低速光は、いくつかの実施例において、歪みに対するセンサの感度を増大することにおいて顕著な役割を果たすことができる。図36に示される測定値の最大値は約3.14×10歪み−1であり、おそらく歪みセンサについてこれまでに報告された最も大きいものである。続く研究(H. Wen等)においては、このMZベースの手法が、880fε√Hzの検出可能な最小の歪みを有する歪みセンサを提供することが示された。MZベースのスキームにおいては、感度を最大化するためにMZ干渉計が方形に保たれている。これは、MZ干渉計を安定化することを意味する。歪みの感度を長時間にわたって安定させるため、探査用レーザ波長はまた、FBGの低速光ピークにロックされる。対照的にいくつかの実施例においては、ここにまた記載される透過および反射の手法は、付加的な干渉計を利用しない。従ってそれらは温度においてより安定である。しかしそれらはまた、高められた感度も実現することができる。
いくつかの実施例に従った図35のセンサによって測定することのできる最小の歪みは、感度から計算することができる。われわれの測定において使用されたパワー(平均の検出されるパワーはP=36μW)においては、センサの出力における全ノイズ(それに加えられる歪みが無い場合に測定される)は、3kHzにおける約1.0μV/√Hzから、30kHzにおける約0.45μV/√Hzの範囲、あるいは、較正後では、ノイズパワーPnoise≒25pW〜11pWの範囲である。この出力パワーレベルにおいては、このノイズは、レーザ相対強度ノイズ(RIN)およびより高い周波数におけるフォトディテクタノイズ、並びに、より低い周波数において支配的なロックイン増幅器ノイズから成っていた。以前に述べたようにMZ干渉計がほとんどバランスされているので、レーザの位相ノイズは無視できる成分であり、その結果、位相ノイズは重要な強度ノイズには変換されなかった。検出可能な最小の歪みは、ちょうどノイズに等しい変動を出力パワーPout中に生成するような歪みである。感度の定義(式(16))から、検出可能な最小の歪み(MDS)は次のように書くことができる。
Figure 0005941555
測定されたノイズパワー(25pW)、入力パワー(36μW)、および最も高感度なピーク(j=3、図36を参照のこと)において測定された感度の最大値3.14×10歪み−1から、MDSは、3kHzにおいては〜2.2ピコ歪み(picostrain)(pε)であり、30kHzにおいては〜1ピコ歪みである。比較として、100kHzより大きな周波数において5pεのMDSが、反射で動作されるπシフトされたFBGにおいて報告されている(D. Gatti, G. Galzerano, D. Janner, S. Longhi, and P. Laporta, "Fiber strain sensor based on a π-phase-shifted Bragg grating and the Pound-Drever-Hall technique," Optics Express, Vol. 16, No. 3, 1945-50 (Feb. 4, 2008))。これらのデバイスはどちらも受動型である。これら2つの参照文献は、FBGに基づいた受動センサについて本出願よりも前に報告されたうち検出可能な最小の歪みであろう。Gatti等の参照文献は"低速光"については全く言及しておらず、低速光を利用したかどうかが単に推測されるだけである。K. P. KooおよびA. D. Kerseyの"Bragg grating-based laser sensors systems with interferometric interrogation and wavelength division multiplexing," J. Lightwave Technol., Vol. 13, No. 7, 1243-49 (July 1995)においては、56フェムト歪み(femtostrain)(または0.056pε)のMDSが、反射器としてFBGを用いたファイバレーザにおいて報告されている。そのセンサは、ポンプパワー(〜70mW)および強くアンバランスなMZ干渉計(〜100mのアーム長の差)を要するアクティブデバイスであり、これは、読み出しに使用されるMZ干渉計を外部の温度変動に対して安定化させることが非常に困難であった。対照的に、ここに記載されるいくつかの実施例に従ったデバイスは、かなり低いパワー(わずか36μW)を使用し、そのMZ干渉計は名目上バランスされている。これは熱的にはるかに安定したものであることを暗示している。
図37は、長さL=2cmで実質的に損失の無い均一なグレーティングにおける、モデルから予測される第1低速光ピークの帯域幅の半値全幅を屈折率コントラストの関数として示す。この図は、この例における帯域幅が、弱いグレーティング(屈折率コントラストが10−4)に対する約20pmから、強いグレーティング(屈折率コントラストが1.5×10−2)に対する約1fmまでの範囲に及ぶことを示す。いくつかの実施例について、このFBGの例のブラッグ波長である1.55μmにおいては、センサを探査するために使用されるレーザの線幅は、この帯域幅の値よりも小さくあるべきであり、グレーティングの屈折率コントラストに応じて、1fm(またはそれよりも低い)から10pm(またはそれよりも大きい)程度であるべきである。そのようなレーザは、ともにカリフォルニア州Santa Claraに本社を置くRedfern Integrated Optics Inc.(RIO)およびAgilent Technologiesのような、多数の製造業者から容易に入手可能である。この帯域幅は多数のパラメータに依存し、センサのいくつかの実施例において使用されるべきレーザの線幅を決定するために、有利にも、この帯域幅を計算するか、あるいは実験的に測定するかができる。図37はこの線幅を決定するために使用することのできるであろうプロセスの説明を示す。
図38は、ここに記載されるいくつかの実施例に従った、低速光透過モードにて使用される長さL=2cmおよび損失の無いFBGに対する屈折率コントラストの関数としての歪みに対する感度(上側の実線)と、MZプロセスによる従来の反射モード(下側の実線)との間の関係を示す。図38に示されるように、従来のFBGセンサに対しては、屈折率コントラストが増大するに連れて、反射ピークは広がり分解能が悪くなる。一方、どちらの低速光センサにおいても、屈折率コントラスト(および群屈折率)が増大するに連れて、感度は、例えば30,000倍高感度まで増大することができる。例えば数センチメートルの適度なL、および適度な屈折率コントラスト(例えば10−3)に対してさえも、この向上は数桁の大きさとなり得る。図38は、図11Bとは異なる数値例を示し、図11Bの温度の感度とは反対の歪みの感度をモデル化する。
図38は、ここに記載されるいくつかの実施例に従った、低速光透過モードにて使用される長さL=2cmおよび損失を有するFBGに対する(点線および破線)、屈折率コントラストの関数としての歪みに対する感度との間の関係も示す。図38に示されるように、たとえ、例えば0.02m−1から2m−1の範囲の損失のような損失を有しているとしても、ここに記載されるセンサのいくつかの実施例は、14−1000の感度の改善を期待することができる。
いくつかの実施例は、FBGにおいて非常に低速な光が持続されることを実証してきた。群屈折率は、例えばL2.9のようにFBGの長さLによって、また例えばΔn1.8のように屈折率コントラストによって劇的に増大することができる。特定のアポダイズFBGは、より低速な光を提供することができる。さらに、10,000およびそれよりも大きな値が、低損失FBGにおいて予測されてきた。例えばシリカファイバーにおける約5およびブラッグファイバにおける約10に比較して、ここに記載されるように、光ファイバにおいて報告される、例えば1.2cmのFBGにおいて127という最大の群屈折率が示されてきた。群屈折率のこの値は、2,360km/sほども低い群速度に対応する。従って、低速光を利用したここに記載されるFBGセンサのいくつかの実施例は、検出可能な最小の歪みが例えば受動FBGセンサ中での約1pεのように、感度を高めてきた。
透過スキームおよび反射スキームのさらなる議論
図39は、長さ5mm、屈折率コントラスト5×10−3、および、1.55μmにおいて0.02m−1の伝搬損失を有する代表的な均一なFBGの計算された透過率および群屈折率スペクトルを示す。これは、FBGのフォトニックバンドギャップ(中心はブラッグ波長λに位置する)の縁部において、群遅延τのスペクトルおよび透過率(または反射)スペクトルの両者に共振ピークが存在することを示す。図39に示されるように、パワー透過スペクトルは複数の共振ピークを有し、それぞれのピークは、局所的な最大値と、それぞれが局所的な最大値のどちらかの側にある、傾きが0でない2つの領域とを有する(すなわち、局所的な最大値は、傾きが0でない2つの領域の間にある)。傾きが0でない領域の一方における少なくとも一部分は、波長(または周波数)の関数として、大きな正の傾きを持った急峻な縁部を有する。他方の領域の少なくとも一部分は、波長(または周波数)の関数として、大きな負の傾きを持った急峻な縁部を有する。パワー透過スペクトルのピーク、および、群屈折率スペクトルのピークは、ほとんど同じ周波数(または波長)に生じる。従って、共振波長は、そのピーク透過率係数Tおよびそのピーク群遅延τ(または同等に群速度、あるいは同等に群屈折率)によって特徴付けられる。どちらのピーク(透過または反射と群遅延)も本質的に同じ周波数線幅Δωを有する。一般に、τは干渉計の品質係数Q=ωres/Δωに関連している(T. Sunner, M. Gellner, A. Loffler, M. Kamp, and A. Forchel, "Group delay measurements on photonic crystal resonators," Appl. Phys. Lett. 90, 151117 (2007)を参照のこと)。
Figure 0005941555
ここでQは、共振ピークの線幅に対する周波数の比で定義され、共振の鋭さの基準である。線幅が減少するに連れて、群遅延は増大する。透過スキームおよび反射スキームにおいて、FBGを探査するレーザの周波数は、これらのピークの1つにおける2つの急峻な縁部の一方に、またはその近傍に調整される。例えば、波長に対する透過率の微分係数が局所的な最大値となるような波長である。図39は、λ、λ、λ等、およびλ'、λ'、λ'、等のようないくつかの波長を示しており、これらにおいては、透過ピークまたは反射ピークが局所的に最も急峻であり、歪みまたはその他の外部摂動に対する感度が局所的に最大である。FBGが歪まされた場合、あるいはその温度が変えられた場合、そのスペクトルは変形しないが、歪みまたは温度変化に比例する量だけ波長空間においてシフトする。探査波長での透過スペクトルにおける傾きの急峻さのため、透過スペクトルのこのシフトは、図39から容易にわかるように、透過されるパワーに大きな変化を生成する。
動作波長または探査波長において、加えられた摂動の結果生じるパワー透過またはパワー反射スペクトルのどちらかでのシフトは、出力におけるパワーの変化として測定することができる。図40および図41は、図6A−図6Bおよび図8に関連して上記にて説明したように、それぞれ、透過スキームおよび反射スキームにおける構成例を概略的に示す。透過スキーム(例えば図6A−図6Bおよび図40)では、動作波長の光がFBGへと放たれ、透過されるパワーが測定される。例えば歪みである摂動がFBGに加えられた場合、透過されるパワーが変化する。摂動の大きさは、測定量から取り出すことができる。反射スキーム(例えば図8および図41)では、光がファイバ結合器またはファイバ循環器を通ってFBGへと放たれる。FBGから戻ってくる反射信号は、結合器の第2入力ポートまたはアイソレータの第3ポートにおいて測定される。透過スキームのように、摂動がFBGに加えられた場合、反射されるパワーが変化する。
感度のモデル化
光デバイスは、光デバイスの特定の構成中のFBGに対する適切な性能指数を用いて、達成可能な最大の感度を有するように設計することができる。以下においてより詳細に記載されるように、そして図40および図41を参照すると、いくつかの実施例においては、光デバイス210はFBG220および狭帯域光源230(例えば波長可変狭帯域光源)を備える。FBG220は、FBG220の長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有する。FBG220は、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および、波長の関数としての群遅延スペクトルを有する。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。狭帯域光源230はFBG220と光学的に通じており、光の一部分がFBG220の長さに沿って透過され、光の一部分がFBG220から反射されるように、FBG220へと光を透過するように構成される。光デバイスは、光の透過された部分、光の反射された部分、または光の透過された部分と光の反射された部分の両者の光パワーを検出するように構成された少なくとも1つの光検出器をさらに備える。狭帯域光源230からの光は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークにおける傾きが0でない領域に波長を有する。共振ピークは、共振ピークにおいて評価される次の量のうちの一または複数が最大値にあるように選択される。すなわち(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。例えば波長は、波長に対するパワー透過スペクトルの微分係数が、選択された共振ピークについて局所的な最大値となるような波長である。
図40に概略的に示されている透過スキームにおいては、FBG220の長さに沿って透過される光の一部分が、少なくとも1つの光検出器240(例えば、一または複数のフォトディテクタ)によって検出される。図41に概略的に示される反射スキームにおいては、FBG220から反射される光の一部分が、少なくとも1つの光検出器240(例えば、一または複数のフォトディテクタ)によって検出される。
透過スキーム(例えば、図40によって概略的に示され、FBG220を通って透過される光の一部分の光パワーを検出するように構成された少なくとも1つのフォトディテクタ240を有する構成)の歪みの感度(入力パワーに対して正規化されている)は、次のように定義される。
Figure 0005941555
ここでT(λ)は、探査する波長(例えばλ)におけるFBGの波長依存性パワー透過であり、εは加えられる歪みである。微分係数dT/dεは次のように表される。
Figure 0005941555
ここでdλ/dεは、加えられる小さな歪みdεによるFBGの透過スペクトル中のシフトである。例えば、シリカファイバーにおいてはdλ/dε=0.79λである(A.D. Kersey, M. A. Davis, H. J. Patrick, M. LeBlanc, K. P. Koo, C. G. Askins, M. A. Putnam, and E. J. Friebele, "Fiber Grating Sensors," J. of Lightwave Technol. Vol. 15, No. 8, 1442-1463 (1997)を参照のこと)。式(21)と式(22)とを結合すると、シリカFBGに対する歪みの感度は次のようになる。
Figure 0005941555
この解析の第1の結論は、与えられるFBGの感度スペクトルは、測定されたまたは計算された透過率T(λ)の波長に対する微分係数を単純に取ることによって、簡単に計算することができることである。
透過率の微分係数を群屈折率に関連付けるために、そして、群遅延(または群屈折率)に対する感度の依存性を明白に示すために、透過共振ピークのスペクトルを、λの共振波長およびΔλのFWHMを有するローレンツ線形としてモデル化することができる。
Figure 0005941555
微分係数dT/dλは、
Figure 0005941555
である場合に最大化されるべきことが容易に示される。これは、透過ピークの傾きが最大値となる、すなわち、センサの感度が名目上最大値となるような波長である。この波長における微分係数は
Figure 0005941555
である。
式(20)からτの関数として表されるΔλをこの最後の式に代入し、結果として生じる微分係数dT/dλの式を式(23)に代入することにより、歪みの感度の最大値に対する単純な式を取得できる。
Figure 0005941555
透過スキームにおいて達成可能な最大の感度に対するFBGの性能指数は、従って、特定の動作波長範囲における、FBGの群遅延スペクトルτとFBGのパワー透過スペクトルTとの積(τ)である。同等に、τ=nL/cであるので、等価な性能指数は、群屈折率スペクトル、パワー透過スペクトル、および長さの積(nLT)である。ここで、nは動作波長におけるFBG中の光の群屈折率であり、LはFBGの長さである。透過スキームにおいて小さな歪みに対するFBGの感度を最大化するために、動作波長が位置している低速光共振のピーク波長において評価される積τを最大化することができるということを式(25)は述べている。同等に、動作波長が位置している低速光共振のピーク波長において評価される積nLTを最大化することができる。
反射スキーム(例えば、FBG220によって反射される光の反射された部分の光パワーを検出するように構成された少なくとも1つのフォトディテクタ240を有し、図41に概略的に示される構成)における歪みの感度に対する対応する微分は、透過スキームにおけるものと同様である。正規化された感度は次のように定義される。
Figure 0005941555
ここでdPrefは、加えられる歪みεによって生じる反射パワー中の変化であり、R(λ)はパワー反射スペクトルである。損失の無いFBGにおいては、透過されるパワーと反射されるパワーとの合計は1であり、R(λ)=1−T(λ)である。従って、低損失極限においては、どちらのスキームにおいても感度は(負の符号であることを除いて)同一である。
Figure 0005941555
伝搬損失が存在する場合感度は異なるものの、通常の場合がそうであるように、損失が小さい場合はほんのわずかに異なるのみである。反射スペクトルの形状は、共振の中心部に大きさRの窪みを有する反転ローレンツ線形である。従って、反射スキームにおける感度の最大値は、シリカファイバーについては次の通り。
Figure 0005941555
損失が存在する場合、これに代わって感度スペクトルは、式(26)に示されるように、測定された反射スペクトルの微分係数dR(λ)/dλを取ることによって簡単に計算することができる。
従って、反射スキームにおいて達成可能な最大の感度に対する性能指数は、考慮している低速光共振のピークで評価される、FBGの群遅延スペクトルτと1からFBGのパワー反射スペクトルを引いた(1−R)との積(τ(1−R))である。同等に、τ=nL/cであるので、等価な性能指数は、考慮している低速光共振のピークでどちらも評価される群屈折率スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたもの、並びにFBG長の積(nL(1−R))である。反射スキームにおいて小さな歪みに対するFBGの感度を最大化するために、考慮している低速光共振のピークにおいて評価される積τ(1−R)を最大化することができることを式(28)は述べている。同等に、考慮している低速光共振のピークにおいて評価される積nL(1−R)を最大化することができる。低損失極限においては、パワー透過スペクトルは1からパワー反射スペクトルを引いたものに等しく、反射スキームは、上記で説明した透過スキームが有するものと同じ性能指数を有する。
式(25)または式(28)は、それぞれ透過スキームまたは反射スキームに対して、特定のFBGにおけるどのピークおよびどの動作波長が感度の最大値(または、特定の目標値を有する感度)を与えるかを選択するために使用することができる。透過スキームにおいてτまたはnLTに対して最大値を有するピークをFBGが持つように設計すること、あるいは、反射スキームにおいてτ(1−R)またはnL(1−R)に対して最大値を有するピークをFBGが持つように設計することによって、感度の最大値を有するFBGを設計するために式(25)または式(28)を使用することもできる。さらに式(25)または式(28)は、それぞれ透過スキームまたは反射スキームに対して、特定のFBGにおけるどのピークが感度の最大値(または、特定の目標値を有する感度)を与えるかを選択するために使用することができる。FBG長Lが固定されているいくつかの透過スキームの適用においては、性能指数はτまたはnであってよく、そのどちらかが、任意の共振ピークにおける達成可能な最大の感度に関する迅速だが信頼できる測定基準を与える。FBG長Lが固定されているいくつかの反射スキームの適用においては、性能指数はn(1−R)またはτ(1−R)であってよく、そのどちらかが、任意の共振ピークにおける達成可能な最大の感度に関する迅速だが信頼できる測定基準を与える。
例えば、透過スキームに対して式(25)の2つのパラメータ(τおよびT)を計算することまたは測定することにより、あるいは、反射スキームに対して式(28)の2つのパラメータ(τおよびR)を計算することまたは測定することにより、小さな歪みに対する、特定のパラメータの組を有する特定のFBGの感度の最大値を計算するためまたは予測するために、式(25)または式(28)をまた使用することもできる。どちらのスキームについても、感度の最大値は、対応する2つのパラメータの積が最大値となるピークに対応する。(例えばH. Wen等によって記載され、参照によりその開示内容全体をここに組み込まれているように)これらのパラメータを計算または測定することができ、次いで必要に応じて、感度の最大値を予測するために式(25)または式(28)へと代入することができる。
上記したように、式(25)および式(28)を、それぞれ透過モードまたは反射モードにて動作する低速光FBGセンサに対する性能指数として適用することは、MZベースの低速光FBGスキームに対して性能指数を与えることにおいて式(18)を適用することと類似している。いくつかの実施例に対しては、式(25)または式(28)は、異なるFBGセンサ、FBG、または特定のFBGに対する複数のピークの相対的な性能を特徴付けるための性能指数を提供するために使用することができる。例えば、与えられる波長範囲で動作される透過スキームまたは反射スキームのどちらかを利用するセンサに対して、複数のFBGセンサを比較する場合、あるいはFBGセンサを設計する場合(例えば、性能指数の最大の値を有するFBGセンサを選択する場合、大きな性能指数値を有するピークを持つようにFBGセンサを設計する場合、あるいは、特定のFBGにおいて感度の最大値(または特定の目標値を有する感度)のためにどのピークを使用するべきかを選択する場合)に、この性能指数を使用することができる。
上記の微分は、低速光ピークがローレンツ線形を有することを仮定して行っている。これは、簡便でかなり正確な近似であり、感度の最大値に関する単純な閉形式の式をもたらす。この仮定は、式(25)中の定数係数の値(3.22)にのみ影響を及ぼす。実際には、FBGの屈折率プロファイルに応じて、線形は正確にはローレンツ型ではないであろう。その場合、この仮定は修正されてよく、より忠実に低速光ピーク線形を表すような線形を使用することができる。しかしながら、一般に最終結果、すなわちこの定数係数において大きな差異は予測されない。例として、特定のFBGの感度の最大値の数値計算に対して、測定された透過スペクトルの波長に対する微分係数を数値的に計算し、この微分係数スペクトルを感度の基本的な定義(式(21))中に挿入した(この式に入れられる微分係数dλ/dεは、上記にて述べたように0.79λに等しい単純なスケール係数であり、容易に評価される)。次いで感度の最大値Smaxは、スペクトルS(λ)中の感度が最も高い波長を探すことによって取得された。このようにして、すなわち、ローレンツ線形を有すると仮定する代わりに透過スペクトルの実際の線形を使用することによって見つけられたSmaxの値は、ローレンツ線形を仮定した式(25)から見出される値に非常に近かった。例えば、以下に説明するFBGの場合、より正確な数値シミュレーション値Smaxをτ/λに対して正規化することにより取得された比Smax/(τ/λ)の値は、式(25)によって予測された3.22と比較して、定数係数3.09を与えた。群遅延が高い場合、低速光ピークはローレンツ線形に類似しており、従って、係数の値は理論値3.22に近付く。
上記にて説明したように、バンドギャップに最も近い低速光ピークは、最も高い群屈折率を有することが多い。しかしながら、FBGの伝搬損失が十分に大きい場合、この第1ピーク(バンドギャップに最も近いという意味で第1)は、低い透過率および相対的に低いnLT積を有するであろう。よって、第2ピークまたは第3ピーク、あるいはより高次のピークが、より高いnLT積を持ち、従ってより高い感度の最大値を有するであろう可能性が十分にある。MZベースの低速光スキームに関連する同等な方法が、2011年9月2日に出願された米国特許出願第13/224,985号により詳細に説明されており、その開示内容全体を参照によりここに組み込む。
図42は、ここに記載されるいくつかの実施例に従ったFBGを使用する方法300の例のフローチャートである。方法300は図40および図41の光デバイス210およびFBG220と関連して記載されているが、光デバイスおよびFBGのその他の構成もまた、方法300のいくつかの実施例に対応する。動作ブロック310において方法300は、FBG220の長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有するFBG220を提供する段階を備える。FBG220は、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および、波長の関数としての群遅延スペクトルを有する。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。動作ブロック320におてい方法300は、光の透過された部分がFBG220の長さに沿って透過され、光の反射された部分がFBG220から反射されるように、FBG220と光学的に通じている狭帯域光源230から光を発生する段階をさらに備える。光は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークにおける傾きが0でない領域に波長を有する。ここで共振ピークは、共振ピークの局所的な最大値において評価される以下の量のうちの一または複数が最大値にあるように選択される。すなわち、(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。いくつかの実施例において方法300は、光の透過された部分、光の反射された部分、または、光の透過された部分と光の反射された部分との両者の光パワーを、少なくとも1つの光検出器(例えば一または複数のフォトディテクタ)を用いて検出する段階をさらに備える。
いくつかの実施例における波長は、波長に対するパワー透過スペクトルの微分係数が、選択された共振ピークに対して局所的な最大値となるような波長である。いくつかの実施例においては、光を発生する段階は、共振ピークの傾きが0でない2つの領域のうちの一方の傾きが0でない領域に波長を有する光を発生するように、狭帯域光源230を調整する段階を備えることができる。
図43は、ここに記載されるいくつかの実施例に従った光センサとして使用されるべき光デバイスを構成する方法400の例のフローチャートである。図40および図41の光デバイス210およびFBG220と関連して方法400を記載しているが、光デバイスおよびFBGのその他の構成も、方法400のいくつかの実施例に対応する。動作ブロック410において方法400は、FBG220に対する波長の関数としての光のパワー透過スペクトル、および、FBG220に対する波長の関数としての光のパワー反射スペクトルのうち、少なくとも一方を決定する段階を備える。いくつかの実施例においては、パワー透過スペクトルおよびパワー反射スペクトルのうちの少なくとも一方を決定する段階は、スペクトルの測定を実行する段階を備えることができる。これに対していくつかの他の実施例においては、パワー透過スペクトルおよびパワー反射スペクトルのうちの少なくとも一方を決定する段階は、別個のソースからのそのようなデータを入手する段階または利用する段階(例えば、FBG220の製造業者からのデータシートを使用する段階)を備えることができる。波長の関数としてのパワー透過スペクトルは、一または複数の共振ピークを有し、共振ピークのそれぞれは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、それら2つの領域の間に局所的な最大値がある。
動作ブロック420において方法400は、FBG220に対し、波長の関数として光の群遅延スペクトルを決定する段階をさらに備える。いくつかの実施例において群遅延スペクトルを決定する段階は、スペクトルの測定を実行する段階を備えることができる。これに対していくつかの他の実施例において群遅延スペクトルを決定する段階は、別個のソースからのそのようなデータを入手する段階または利用する段階(例えば、FBG220の製造業者からのデータシートを使用する段階)を備えることができる。
動作ブロック430において方法400は、一または複数の共振ピークのうちの1つの共振ピークを選択する段階をさらに備える。共振ピークは、選択された共振ピークの局所的な最大値において評価される次の量のうちの一または複数が最大値にあるように選択される。すなわち、(a)群遅延スペクトルとパワー透過スペクトルとの積、および、(b)群遅延スペクトルと1からパワー反射スペクトルを引いたものとの積である。動作ブロック440において方法400は、狭帯域光源230からの光が、選択された共振ピークの傾きが0でない2つの領域のうちの一方の傾きが0でない領域において波長を有するように、FBG220および狭帯域光源230を構成する段階をさらに備える。例えば波長は、選択された共振ピークに対して、波長に対するパワー透過スペクトルの微分係数が局所的な最大値となるような波長である。いくつかの実施例においては、選択された共振ピークの傾きが0でない2つの領域のうちの一方の傾きが0でない領域に波長を有する光を発生するように、狭帯域光源230を調整することができる。あるいは、選択された共振ピークの傾きが0でない2つの領域のうちの一方の傾きが0でない領域に光が波長を有するという条件を満たすようなFBG220を、複数のFBGから選択することができる。
いくつかの実施例において方法300および方法400は、上記にて説明したように、一般性を損なうことなく、群遅延スペクトルを群屈折率スペクトルで置き換えて実行することができる。
透過率および群遅延の測定
低速光歪みセンサの感度を向上させるために、FBGの伝搬損失を最小限にすることができる。これは、群屈折率および透過率の両者を増大させる。また、グレーティングの屈折率変調を増大させることもできる(例えばH. Wen等を参照のこと)。これも同様に、群屈折率を増大させる。様々な損失、屈折率変調、アポディゼーションプロファイル、および長さを有する任意のFBGを、ここに記載されるいくつかの実施例からの恩恵を得るために使用することができる。ここに記載される構成において使用されるFBGは、カナダのケベック州のO/E Landより購入した。FBGは、測定された透過率および群屈折率スペクトルを数値モデルに対してフィッティングすることにより推定されるように、1.0×10−3の屈折率コントラストΔnを有し、長さは1.2cmであった。図44は、(a)パワー透過スペクトル、および、(b)FBGを通って透過された信号の群遅延スペクトルであり、どちらもH. Wen等によって記載される方法を用いて測定された。
図44の透過率および群遅延スペクトルの両者は、バンドギャップの短波長側にいくつかの低速光ピークを示す(バンドギャップは最も右にあるピークの右側から始まっている)。測定された群遅延の最大値はピーク#1(λ≒1549.7112nm)で生じ、4.20nsに等しく、群屈折率n=cτ/L=105に対応する。この波長において測定された透過率は1.3%であった。このピークに対して予測される感度の最大値は、これらの値を式(25)に代入して得られ、3.4×10歪み−1である。ピーク#2(λ≒1549.6435nm)は、1.48nsというより低い群遅延を有するが、はるかに高い透過率12.55%を有する。この第2ピークの最も急峻な傾きにおいて計算される感度は1.16×10歪み−1である。これによってこのピークは、図44の全てのピークの中で最も高い感度を与えるものである。
歪みの感度の測定
このFBGの歪み感度スペクトルの測定を、図45の構成を用いて実行した。波長可変レーザ光源からの光が偏光制御器(PC)を通るように送られ、次いでFBG中に結合された。FBGを正弦関数的に伸ばし、FBGに正弦関数の歪みを加える圧電性(PZT)リングにFBGを取り付けた。FBGを出る光信号は、3dBのファイバ結合器によって2つの出力ポートへと分岐され、一方の出力ポートから来る光はそのパワーを測定するパワーメーターによって検出され、他方のポートから来る光は、ロックイン増幅器へと続く検出器へ送られて、歪み信号が取り出された。25kHzにおいて10mVのAC電圧をPZTリングに加えた。これはFBGに10nεの歪みを誘起した(この値は、良く知られた較正手順によって取得された)。感度スペクトルは、測定されたスペクトルを、加えられる既知の歪みおよび入力された光パワーで割ることによって取得した。これらの測定に使用される部品は市販されているものである。例えば、カリフォルニア州Santa ClaraのAgilent Technologiesの波長可変レーザ光源(モデル81682A)、英国SurreyのProtoDelの偏光制御器、カリフォルニア州ChinoのGeneral Photonicsのファイバ結合器(モデルNoTail結合器)、および、カリフォルニア州Santa ClaraのNew Focusのフォトディテクタ(モデル1811)とカリフォルニア州IrvineのNewport Corporationのフォトディテクタ(モデル818IR)である。
図45に概略的に示される構成は、安定化スキームを使用している。ここでは、FBGを出る透過された光パワーが、2つの成分、つまり第1のゆっくりと変動する成分と、第2のより速く変動する成分とを有すると考えられている。第1の成分は、その温度の変動、または、FBGに加えられる時間依存性の外部からの歪みの変動のような、FBGに対する環境の効果によって引き起こされる。FBGの温度がずれていくに連れて、そのスペクトルもずれる。もしもレーザ波長が一定の場合には、透過率が変動し、よって透過されるパワーも変動する。この第1の成分は、通常は、低周波数(典型的にはおよそdcから数100Hzまたは数kHzまでの範囲内)でのパワー変動として現れるような時定数を有する。第2の成分は、例えば数100Hzを越える、より高い周波数において典型的である(必ずしもではないが)、FBGに加えられる動的な歪みによって引き起こされる。
図45に示されるように光出力を2つの部分に分岐することができる。一部分は、ロックイン増幅器へと続く検出器へ送られる。これはフィルタとして作用し、狭い周波数帯域幅(例えば1Hz)中の、動的な歪みの周波数fにおける速い成分を検出する。もしも動的な歪みが複数の周波数成分を持つ場合、あるいは、複雑且つ概して未知のスペクトルを持つ場合、この電子機器がロックイン増幅器の周波数をスキャンするように設計することができる。それにより、どこに信号があるかを探すことができ、これらの信号の振幅および周波数を測定する。名目上単一の周波数fに歪みがあるようなより単純な場合、fにおける検出器信号の振幅をロックイン増幅器が測定する。この分岐中の検出器は、特別秀でた性能でなくても、時としてより高い周波数のこともあるが、通常は数10kHzまたはそれよりも小さいfを検出するのに十分速いものを選択することができる。光信号の他方の部分は、例えば数100Hzより遅いような、ゆっくりとした変化のにみ応答するパワーメータへと送られてよい。
FBGが温度変化を受ける場合、その透過スペクトルがシフトする。パワーメータからの電圧の平均値(dcの付近という意味での平均)が変化するであろう。パワーメータはゆっくりした変化にのみ応答するので、fにおけるac信号とは独立なこの変化をパワーメータが検出できる。フィードバックループの一部である比較器は、次いで、この測定された電圧と安定な参照電圧との間の差分に等しい誤差電圧を生成することができる。次いでフィードバックループは、レーザ周波数に対してこの誤差電圧に比例した信号を加えることができる。誤差電圧は、新たな(温度がシフトされた)動作周波数に戻すためにちょうど適切な量だけレーザ周波数を変更する。
図45に対するこの安定化スキームは、環境がもたらす、より高い周波数で歪みが加えられる場合に最も良く作用する。より低い周波数の歪みを検出する場合は、異なるフィードバックループを使用することができる。
図40および図41は単一の検出器を使用するスキームを概略的に示している。この場合、検出器から来る電気信号は、フィードバック制御分岐中の低域通過フィルターによってフィルタリングされる。図40および図41のフィードバック制御システム250は、フィードバック回路の当業者には既知の様式で、f成分を除去するためのそのような低域通過フィルターを備えることができる。
歪み感知測定の結果を、図46中に実線の曲線としてプロットする。図46にはまた、(例えば、図44の測定された透過スペクトルの微分係数を取り、式(23)に従って0.79λをこのスペクトルに掛けることによって)式(23)から計算された理論的な感度スペクトルが破線の曲線によって示されている。図44に関連して予測された感度の最大値に関する上記の説明から予測されるように、測定された感度の最大値は、図44のパワー透過スペクトル中に示されるピーク#2の最も急峻な傾きに生じる。感度の最大値のこの波長(λ≒1549.6435nm)においては、測定される感度は1.2×10歪み−1である。この値は上記で導出された予測される値1.16×10歪み−1と非常に良く一致している。この低速光ピークの近傍にレーザが調整されているので、dT/dλが増大するので感度も増大する。ピークの頂点を過ぎると、T(λ)が最大値に到達し、故に、その微分係数dT/dλが落ちるので、感度が低下し始める。最後に、透過ピークの他方の側において、透過ピークの他方の急峻な傾きの領域に到達するので、感度が再び増大する。従って各ピークは、感度が最も高くなる2つの波長を有する。この特定のFBGにおいては、バンド端により近い側の方が、わずかに高い感度を有する。予測された感度スペクトルと測定された感度スペクトルとの間には非常に良い一致が見られる。
低速光センサの性能をその他のFBGベースのセンサと比較するために、もっとも頻繁に使用される測定基準は検出可能な最小の歪みであり、その定義は式(19)によって与えられる。感度の最大値においては、検出される信号において測定されるノイズは57μV/√Hzであった。ノイズとしては、検出器の光学的および電気的ショットノイズが支配的であった。等価な0.41Vの光入力電圧に対して正規化され、次いで感度1.2×10歪み−1で割った、57nV/√Hzのノイズレベルを使用することにより、検出可能な最小の歪みが見出される。従って、この低速光歪みセンサの検出可能な最小の歪みは、最も高い感度の波長において1.2pε/√Hzである。
熱的安定性
FBGが温度摂動ΔTを受ける場合、モードの実効屈折率およびFBGの長さの両者が変化する。これら2つの変化は、次式で与えられる、透過スペクトルと反射スペクトルにおけるシフトを誘起する。
Figure 0005941555
ここでα=5×10−7−1は熱膨張係数であり、δn/δT=1.1×10−5−1はシリカファイバの熱光学係数である。1.55μmにおいては、dλ/dTは12.5pm/℃である。歪みの感度と同様に、透過スキームにおける正規化された熱的感度は次の通りである。
Figure 0005941555
動作波長において、低速光共振に対して再びローレンツ線形を仮定すると、dT(λ)/dλは、
Figure 0005941555
である。従って、この式およびdλ/dT=12.5pm/℃を式(30)に代入することにより、透過スキームにおける熱的感度の最大値は次の通りである。
Figure 0005941555
同様に反射スキームにおいては次の通りである。
Figure 0005941555
透過スキームおよび反射スキームの両者における熱的感度は、群遅延が増大するに連れて増大する。低速光モードで動作している場合、熱変動に対してセンサを安定化させるために、フィードバック制御を使用することが有利となり得る。例えば、図40および図41に示されるように、(例えば、サーボループまたは比例積分微分コントローラを有する)フィードバック制御システム250を、透過スキームまたは反射スキームにおいて使用することができる。動作波長において測定されたDC出力電圧が、比例積分微分(PID)コントローラの設定点として使用される。FBGの温度の変化の結果、センサのDC出力が設定点からはずれて行く場合、新たな動作波長(例えば、新たな温度におけるFBGの動作波長)に戻すようにレーザ波長を調整する誤差電圧を、PIDコントローラが生成する。最も高い感度で動作させるためには、透過スキームまたは反射スキームのどちらか用に1つのフィードバックループがあれば十分である。
透過スキームおよび反射スキームとは対照的に、MZベースのスキームは、温度変化に対して安定化するために2つのフィードバックループを利用する。図47に示されるように、第1フィードバックループは、温度に依存する動作波長にレーザが同調したままとなることを確実にする。これに対して第2フィードバックループは、干渉計の2つのアームの間の位相差が方形に保たれる(±π/2、±3π/2、等)ことを確実にする。従って、いくつかの実施例においては、透過スキームおよび反射スキームの実施は、2つのフィードバックループではなく1つのフィードバックループを利用するので、MZベースのスキームの実施よりも名目上、より単純となることができる。
その他のパラメータの感知
上記の低速光センサは、歪みの他にも多くの摂動を測定することができる。温度、磁場および電場等のようなその他の摂動も、FBGの透過スペクトルおよび反射スペクトルをシフトさせることができる。温度センサにおいては、FBGに熱的摂動が加えられる場合、熱光学効果によって材料の屈折率が変化し、熱膨張効果によってFBGが引き延ばされる。両方の効果の組み合わせによって上記のスペクトルにシフトが誘起される。これは、透過、反射、またはMZベースのスキームにおける低速光センサを使用することによって測定することができる。磁場センサにおいては、磁気光学ガラスのような強磁性材料にFBGを結合することができる。DCまたはAC磁場が磁気光学ガラスに加えられる場合、材料の磁化中に生じる変化が磁気歪み性の歪みを誘起し、これが材料の長さ、故にFBGの長さを変化させ、その結果スペクトル中にシフトを生成する。電歪材料に対してFBGによって電場を測定することについても、同じ概念を適用することができる。DCまたはAC電場の影響下では材料の寸法が変化し、FBGの長さを変化させ、やはりスペクトル中にシフトを生成させるであろう。ここにリストされた以外のその他のパラメータも、この技法および類似の技法を使用して測定することができる。
本発明の様々な実施例を上記の通り記載してきた。本発明をこれらの特定の実施例を参照して記載してきたが、その記載は、発明の説明を意図したものであり、限定するべきことを意図したものではない。様々な変更および用途が、ここに定義される発明の本来の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。

Claims (16)

  1. 光デバイスであって、
    ファイバブラッググレーティングであって、前記ファイバブラッググレーティングの長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有し、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および、波長の関数としての群遅延スペクトルを有するファイバブラッググレーティングと、
    前記ファイバブラッググレーティングと光学的に通じており、光の透過された部分が前記ファイバブラッググレーティングの前記長さに沿って透過され、前記光の反射された部分が前記ファイバブラッググレーティングから反射されるように前記ファイバブラッググレーティングへと前記光を透過させる狭帯域光源であって、波長の関数としての前記パワー透過スペクトルは、複数の共振ピークを有し、前記複数の共振ピークのそれぞれの共振ピークは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、前記局所的な最大値は前記2つの領域の間にあり、前記光は、前記複数の共振ピークのうちの一の共振ピークの傾きが0でない領域に波長を有する狭帯域光源と、
    前記光の前記透過された部分、前記光の前記反射された部分、または前記光の前記透過された部分および前記光の前記反射された部分の両方の光パワーを検出する少なくとも1つの光検出器と、
    前記波長が前記一の共振ピークの前記傾きが0でない領域に留まるように、前記少なくとも1つの光検出器の電圧に応答して前記狭帯域光源から前記ファイバブラッググレーティングへ透過される前記光の前記波長を変更することにより、熱変動に対して前記光デバイスを安定化させるフィードバック制御システムと、
    を備え、
    前記一の共振ピークは、前記一の共振ピークにおいて評価される量である(a)前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの積、および、(b)前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルを引いたものとの積のうちの一または複数が最大値にあるように選択される光デバイス。
  2. 前記一の共振ピークにおいて評価される前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの前記積が最大値にあり、前記少なくとも1つの光検出器は、前記光の前記透過された部分の前記光パワーを検出する請求項1に記載の光デバイス。
  3. 前記一の共振ピークにおいて評価される前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルをひいたものとの前記積が最大値にあり、前記少なくとも1つの光検出器は、前記光の前記反射された部分の前記光パワーを検出する請求項1に記載の光デバイス。
  4. 前記検出される光パワーは、前記ファイバブラッググレーティングに加えられる歪みの量を示す請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光デバイス。
  5. 前記検出される光パワーは、前記ファイバブラッググレーティングに加えられる磁場または電場の大きさを示す請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光デバイス。
  6. ファイバブラッググレーティングを使用する方法であって、
    前記ファイバブラッググレーティングの長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有し、波長の関数としてのパワー反射スペクトル、波長の関数としてのパワー透過スペクトル、および、波長の関数としての群遅延スペクトルを有し、波長の関数としての前記パワー透過スペクトルは、複数の共振ピークを有し、前記複数の共振ピークのそれぞれの共振ピークは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、前記局所的な最大値は前記2つの領域の間にあるファイバブラッググレーティングを提供する段階と、
    狭帯域光源から光を発生する段階であって、前記光の透過された部分が前記ファイバブラッググレーティングの前記長さに沿って透過され、前記光の反射された部分が前記ファイバブラッググレーティングから反射されるように、前記狭帯域光源は前記ファイバブラッググレーティングと光学的に通じており、前記光は、前記複数の共振ピークのうちの一の共振ピークの傾きが0でない領域に波長を有する段階と、
    前記光の前記透過された部分、前記光の前記反射された部分、または前記光の前記透過された部分および前記光の前記反射された部分の両方の光パワーを、少なくとも1つの光検出器により検出する段階と、
    前記波長が前記一の共振ピークの前記傾きが0でない領域に留まるように、前記狭帯域光源から前記ファイバブラッググレーティングへ透過される前記光の前記波長を変更するべく、前記少なくとも1つの光検出器の電圧に応答する段階と、
    を備え、
    前記一の共振ピークは、前記一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される量である(a)前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの積、および、(b)前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルを引いたものとの積のうちの一または複数が最大値にあるように選択される方法。
  7. 前記一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの前記積が最大値にあり、前記光パワーを検出する段階は、前記光の前記透過された部分の前記光パワーを検出する段階を有する請求項6に記載の方法。
  8. 前記一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルを引いたものとの前記積が最大値にあり、前記光パワーを検出する段階は、前記光の前記反射された部分の前記光パワーを検出する段階を有する請求項6に記載の方法。
  9. 前記検出される光パワーは、前記ファイバブラッググレーティングに加えられる歪みの量を示す請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記検出される光パワーは、前記ファイバブラッググレーティングに加えられる磁場または電場の大きさを示す請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記ファイバブラッググレーティングは、前記実質的に周期的な屈折率変調前記ファイバブラッググレーティングの前記長さに沿って変動する振幅を有するアポダイズグレーティングである請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 光センサとして使用される光デバイスを構成する方法であって、前記光デバイスはファイバブラッググレーティングと、前記ファイバブラッググレーティングと光学的に通じている狭帯域光源とを有し、前記狭帯域光源は、光の透過された部分が前記ファイバブラッググレーティングの長さに沿って透過され、前記光の反射された部分が前記ファイバブラッググレーティングから反射されるように前記ファイバブラッググレーティングへと前記光を透過させ、前記ファイバブラッググレーティングは前記ファイバブラッググレーティングの前記長さに沿って実質的に周期的な屈折率変調を有し、前記光デバイスは、前記光の前記透過された部分、前記光の前記反射された部分、または、前記光の前記透過された部分および前記光の前記反射された部分の両方の光パワーを検出する少なくとも1つの光検出器をさらに備える方法であって、
    前記ファイバブラッググレーティングに対する波長の関数としての前記光のパワー反射スペクトル、および、前記ファイバブラッググレーティングに対する波長の関数としての前記光のパワー透過スペクトルの少なくとも一方を決定する段階であって、波長の関数としての前記パワー透過スペクトルは、複数の共振ピークを有し、前記複数の共振ピークのそれぞれの共振ピークは、局所的な最大値と傾きが0でない2つの領域とを有し、前記局所的な最大値は前記2つの領域の間にある段階と、
    波長の関数として、前記ファイバブラッググレーティングに対する前記光の群遅延スペクトルを決定する段階と、
    前記複数の共振ピークのうちの一の共振ピークを選択する段階であって、前記一の共振ピークを、前記選択された一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される量である(a)前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの積、および、(b)前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルを引いたものとの積の一または複数が最大値にあるように選択する段階と、
    前記狭帯域光源からの前記光が、前記選択された一の共振ピークの前記傾きが0でない2つの領域のうちの傾きが0でない一の領域に波長を有するように、且つ、熱変動があっても、前記選択された一の共振ピークの前記傾きが0でない一の領域に前記波長が留まるように、前記ファイバブラッググレーティング、前記狭帯域光源、および前記少なくとも1つの光検出器を構成する段階と、
    を備える方法。
  13. 前記選択された一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される前記群遅延スペクトルと前記パワー透過スペクトルとの前記積が最大値にあり、前記少なくとも1つの光検出器は、前記光の前記透過された部分の前記光パワーを検出する請求項12に記載の方法。
  14. 前記選択された一の共振ピークの前記局所的な最大値において評価される前記群遅延スペクトルと1から前記パワー反射スペクトルを引いたものとの前記積が最大値にあり、前記少なくとも1つの光検出器は、前記光の前記反射された部分の前記光パワーを検出する請求項12に記載の方法。
  15. 前記ファイバブラッググレーティング、前記狭帯域光源、および前記少なくとも1つの光検出器を構成する段階は、前記選択された一の共振ピークの前記傾きが0でない2つの領域のうちの前記傾きが0でない一の領域に前記波長を有する光を発生させるように前記狭帯域光源を調整する段階を有する請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記ファイバブラッググレーティング、前記狭帯域光源、および前記少なくとも1つの光検出器を構成する段階は、前記選択された一の共振ピークの前記傾きが0でない2つの領域のうちの前記傾きが0でない一の領域に前記波長があるように、前記ファイバブラッググレーティングを選択する段階を有する請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
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