JP5940694B1 - 周波数同期方法および周波数同期装置 - Google Patents

周波数同期方法および周波数同期装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来、パケット網で接続されるマスター装置とスレーブ装置とが周波数同期を行う場合、周波数信号の品質情報を含むパケットが中継する伝送装置で廃棄されたり、品質情報の定義が異なる場合にスレーブ装置が正確に品質状態を判別できないという課題があった。【解決手段】周波数信号および周波数信号の品質状態を示す品質情報を含むパケットを、伝送装置を介してマスター装置からスレーブ装置に送信する伝送システムの周波数同期方法において、品質情報は、品質状態と品質情報との対応関係の定義が異なる複数のオプションを有し、マスター装置と伝送装置とが異なるオプションの定義に基づいて品質情報をそれぞれスレーブ装置に送信する場合、スレーブ装置は、オプションが異なる複数の品質情報に対応した判別テーブルを参照し、自装置が受信する周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、装置間の周波数同期を実現する技術に関する。
ネットワーク内で接続される装置間で周波数同期を行う場合、上流側の装置は下流側の装置に周波数同期の品質状態を示す情報を送信する。例えば、周波数同期の品質状態を示す情報の送信方法としてSlow Protocolが知られており、周波数同期の品質状態をSSM(Synchronous Status Message)コードで転送する(例えば非特許文献1参照)。また、Ethernet(登録商標)などのパケット網で周波数同期を行う場合、SSMコードをESMC(Ethernet Synchronization Message Channel)パケットで転送する技術が利用されている(例えば、非特許文献2参照)。SSMコードは周波数同期の品質状態をQL(Quality Level:品質レベル)状態で規定し、SSMコードとQL状態との対応についてはOptionI、OptionIIおよびOptionIIIの3種類のOptionが用意されている(例えば非特許文献3参照)。
このような技術を利用して、例えばパケット網で接続されるマスター(Master)装置とスレーブ(Slave)装置との間で周波数同期を行う場合、Master装置は、自装置の周波数信号のQLをESMCパケットによりSlave装置に通知し、Slave装置は、周波数同期の品質を維持する制御を行う。
IEEE 802.3 Annex 57A/B ITU−T G.8264 ITU−T G.781
ところが、Master装置とSlave装置とがパケット網の伝送装置で接続される場合、以下のような課題がある。一つ目の課題は、パケットを中継する伝送装置にて、ESMCパケットが廃棄される場合があり、Slave装置は、伝送装置でのESMCパケットの廃棄によりMaster装置から周波数品質情報を受け取ることができない。二つ目の課題は、Master装置、伝送装置およびSlave装置の装置間で品質情報の定義(Option)が異なる場合があり、Slave装置は、装置間での周波数信号の品質情報の定義の相違により、Master装置や伝送装置から通知された周波数品質情報を正しく判断できない。
本発明は、上流側の装置が送信する周波数信号の品質情報を含むパケットが中継する伝送装置にて廃棄されないようにし、且つ、周波数信号の品質情報の定義が異なる場合でも正確に品質状態を判別できる周波数同期方法および周波数同期装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、周波数信号および周波数信号の品質状態を示す品質情報を含むパケットを、伝送装置を介してマスター装置からスレーブ装置に送信する伝送システムの周波数同期方法において品質状態と品質情報との対応関係の定義が異なる複数のオプションのうち、マスター装置と伝送装置とが、互いに異なるオプションの定義および同じ通信規格に基づいて品質情報を含むパケットをそれぞれ生成し、生成したパケットをそれぞれスレーブ装置に送信する場合、スレーブ装置は、オプションが異なる複数の品質情報に対応した判別テーブルを参照し、マスター装置と伝送装置との各々から受信するパケットに含まれる周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。
第2の発明は、判別テーブルは、オプションが異なる複数の品質情報を組み合わせた複数の品質状態を優先度順に並べたデータ構造であり、スレーブ装置は、判別テーブルを参照し、マスター装置から受信する品質情報と伝送装置から受信する品質情報とを用いて、自装置が受信する周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。
第3の発明は、伝送装置が品質情報を含む第1フォーマットのパケットを廃棄する設定の場合に、マスター装置は、第1フォーマットのパケットを第1フォーマットとは異なる第2フォーマットのパケットに変更してスレーブ装置に送信し、スレーブ装置は、第2フォーマットのパケットを受信した場合に、第1フォーマットのパケットに変更して品質情報を受信することを特徴とする。
第4の発明は、パケットは、ITU-T G.8264のESMCパケットに対応し、オプションは、ITU-T G.781規格のOptionI、OptionII、OptionIIIのいずれかに対応し、品質情報および品質状態は、ITU-T G.781規格のSSMコードおよびQL状態にそれぞれ対応し、判別テーブルは、OptionI、OptionIIおよびOptionIIIのうち少なくとも2つのSSMコードを組み合わせた複数のQL状態を優先度順に並べた情報を有し、スレーブ装置は、判別テーブルを参照し、マスター装置から受信するESMCパケットのSSMコードのQL状態と、伝送装置から受信するSSMコードのQL状態とを用いて、自装置が受信する周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。
第5の発明は、周波数信号および周波数信号の品質状態を示す品質情報を含むパケットを、伝送装置を介してマスター装置から受信する周波数同期装置において、品質情報と品質状態との対応関係の定義が異なる複数のオプションのうち、マスター装置と伝送装置とにおいて、互いに異なるオプションの定義および同じ通信規格に基づいて生成された品質情報を含むパケットをそれぞれ受信する受信部と、オプションが異なる複数の品質情報に対応した判別テーブルを参照し、マスター装置と伝送装置との各々から受信したパケットに含まれる周波数信号の品質状態を判別する変換部とを有することを特徴とする。
第6の発明は、判別テーブルは、オプションが異なる複数の品質情報を組み合わせた複数の品質状態を優先度順に並べたデータ構造であり、変換部は、判別テーブルを参照し、マスター装置から受信する品質情報と伝送装置から受信する品質情報とを用いて、自装置が受信する周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。
第7の発明は、伝送装置が品質情報を含む第1フォーマットのパケットを廃棄する設定のときに、受信部は、マスター装置によって第1フォーマットのパケットから第1フォーマットとは異なる第2フォーマットに予め変更して送信されたパケットを、第1フォーマットのパケットに再び変更するフォーマット変換処理を行って品質情報を受信することを特徴とする。
第8の発明は、パケットは、ITU-T G.8264のESMCパケットに対応し、オプションは、ITU-T G.781規格のOptionI、OptionII、OptionIIIのいずれかに対応し、品質情報および品質状態は、ITU-T G.781規格のSSMコードおよびQL状態にそれぞれ対応し、判別テーブルは、OptionI、OptionIIおよびOptionIIIのうち少なくとも2つのSSMコードを組み合わせた複数のQL状態を優先度順に並べた情報を有し、変換部は、判別テーブルを参照し、マスター装置から受信するESMCパケットのSSMコードのQL状態と、伝送装置から受信するSSMコードのQL状態とを用いて、自装置が受信する周波数信号の品質状態を判別することを特徴とする。
本発明に係る周波数同期方法および周波数同期装置は、パケットを中継する伝送装置にて周波数信号の品質情報を含むパケットが廃棄されないようにし、且つ、周波数信号の品質情報の定義が異なる場合でも正確に品質状態を判別することができる。
本実施形態における周波数同期ネットワークの一例を示す図である。 Master装置の一例を示す図である。 Slave装置一例を示す図である。 OptionIIのSSMコード例を示す図である。 OptionIIIのSSMコード例を示す図である。 OptionIIとOptionIIIとを組み合わせたSSMコードの対応例を示す図である。 Master装置からSlave装置へのQLの送信例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る周波数同期方法および周波数同期装置の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における周波数同期ネットワークの一例を示す。図1に示した周波数同期ネットワークは、Master装置101(0)およびMaster装置101(1)と、Slave装置102とを有する。Master装置101(0)は、パケット網の伝送装置103および伝送装置104を介してSlave装置102に接続される。一方、Master装置101(1)は、伝送装置を中継せずにSlave装置102に直接接続される。なお、本実施形態は、図1の点線で示したMaster装置101(0)およびSlave装置102に適用される。なお、本実施形態の説明では、Master装置101(0)からSlave装置102の伝送系統を0系と称し、Master装置101(1)からSlave装置102の伝送系統を1系と称する。
図1において、Master装置101(0)が送信するESMCパケットは、伝送装置103および伝送装置104で中継されてSlave装置102で受信される。ここで、図1の例では、ESMCパケットは、伝送装置103および伝送装置104の2台の装置で中継されるが、中継する伝送装置は1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
ここで、本実施形態では、従来技術の課題を以下のように解決する。
(1)パケットを中継する伝送装置にてMaster装置101(0)が送出したESMCパケットが廃棄されるという課題に対して、例えば、Master装置101(0)は、伝送装置103および伝送装置104で廃棄されないESMCパケットのフォーマットを設定する。例えばESMCパケットのSubtypeを伝送装置103や伝送装置104で廃棄されない設定に変更する。
(2)Master装置101(0)、伝送装置103、伝送装置104およびSlave装置102の装置間で品質情報の定義(Option)が異なる場合に受信する周波数信号のQL状態を正しく判定できないという課題に対して、Slave装置102は、異なるOptionを組み合わせたQL状態の対応表を持つことで、正しいQL状態を判定できるようにする。
このように、本実施形態に係るMaster装置101(0)およびSlave装置102は、伝送装置103または伝送装置104がESMCパケットを廃棄しないように設定し、且つ、装置間の品質情報のOptionが異なる場合でも、異なるOptionを組み合わせた対応表を持つことにより、周波数品質情報を正確にSlave装置102に転送することができる。
本実施形態では、Slave装置102に含まれる後述の0系受信部301(0)が受信する周波数信号(クロック)は、伝送装置103および伝送装置104を経由してMaster装置101(0)から送出された周波数信号である場合を前提とする。そして、Slave装置102は、上流側から受信する周波数信号の品質状態を、周波数信号と共に受信するESMCパケットの品質情報に基づいて判定する。ところが、サポートするOptionがMaster装置101(0)と伝送装置104とで異なる場合、伝送装置104は、伝送装置103を介してMaster装置101(0)が送出したESMCパケットを廃棄してしまい、Slave装置102に届かないという問題がある。なお、伝送装置104は、上流からのESMCパケットに関係なく、自身で生成したESMCパケットをSlave装置102に送信する。
そこで、本実施形態に係るMaster装置101(0)は、伝送装置104がESMCパケットを廃棄しないように、伝送装置104の廃棄条件に当てはまらないフォーマットにESMCパケットを変換して送信する。そして、Slave装置102は、伝送装置104とMaster装置101(0)との両方のESMCパケットを受信し、Master装置101(0)と伝送装置104との両方のQL状態から、Slave装置102の0系から受信する周波数信号の品質状態を判断することができる。これに対して、従来は、Master装置101(0)のESMCパケットがSlave装置102に届かなかったので、Slave装置102は、Master装置101(0)の周波数信号のQL状態を知ることができなかった。
なお、本実施形態に係る周波数同期方法は、Slave装置102がMaster装置101(0)と伝送装置104とから受信する0系の2つのQL状態の良い方を選択するわけではなく、Slave装置102が上流側から受信する周波数信号の品質状態を正確に判断できるようにする技術である。これにより、従来のSlave装置102のように、OptionIIまたはOptionIIIのいずれかのQL状態だけしか判断できず、正確な品質状態がわからないという課題が解決される。
図2は、Master装置101(0)の一例を示す。図2において、Master装置101(0)は、受信部201、周波数同期部202、パケット処理部203、周波数品質状態判別部204、パケット処理部205および送信部206を有する。
受信部201は、周波数信号およびSSMコードを有するESMCパケットを上流側の装置から受信する。なお、SSMコードは、ESMCパケットのData and padding領域に格納されている。
周波数同期部202は、受信部201から受信した周波数信号に同期した周波数信号を生成する。また、周波数同期部202は、周波数信号を受信しない場合は自身で保有する内部発振器を基に周波数信号を生成する機能(自走状態)を有する。
パケット処理部203は、受信部201から受信したESMCパケットの処理を行う。例えば、周波数同期部202は、ESMCパケットからSSMコードを抽出してQL状態を取得する。
周波数品質状態判別部204は、上流側の装置から受信する周波数信号の品質状態および自装置の周波数同期部202の品質状態に対応するQL状態を非特許文献3の開示に基づいて求める。
パケット処理部205は、周波数品質状態判別部204が求めたQL状態に対応するSSMコードを付加したESMCパケットの送出を行う。ここで、パケット処理部205は、ESMCパケットが伝送装置103および伝送装置104で廃棄されずにSlave装置102へ転送するためにEthernetフレームに内包する形でカプセル化、あるいは、廃棄されないフォーマットにESMCパケットを定義し直して送出する処理を行う。また、パケット処理部205は、伝送装置103および伝送装置104を介さないネットワーク構成(例えば光伝送路による直結など)を考慮し、ESMCパケットのEthernetフレームへのカプセル化または中継する伝送装置で廃棄されないフォーマットへ変換する機能の有効/無効の設定を行うことができる。なお、本実施形態では、パケット処理部205は、ESMCパケットが伝送装置103や伝送装置104で廃棄されないフォーマットに設定する例について説明する。例えばSubtype”00-01”のESMCパケットが伝送装置104で廃棄される場合、パケット処理部205は、ESMCパケットのSubtype”00-01”をSubtype”FF-01”に変換して送信する。
送信部206は、周波数信号および周波数信号のQL状態を示すSSMコードを格納するESMCパケットを下流側の装置に送信する。
このように、Master装置101(0)は、上流側の装置から受信した周波数信号または自身で保有する内部発振器を基に生成する周波数信号のいずれかをESMCパケットと共に下流側の装置に送信する。
ここで、周波数品質状態判別部204は、上流側の装置から受信する周波数信号の品質状態または自装置の周波数同期部202の品質状態のいずれかを示すQLに対応するSSMコードを求める。ITU-T G.781規格では、QL状態とSSMコードとの対応について、OptionI、OptionIIおよびOptionIIIの3種類のOptionが用意されている。そこで、周波数品質状態判別部204は、自装置が対応するOptionのSSMコード対応表を参照してQL状態とSSMコードとの対応関係を決定する。
以降の実施形態では、Master装置101(0)がOptionIIに対応するSSMコードを含むESMCパケットを送信し、伝送装置104がOptionIIIに対応するSSMコードを含むESMCパケットを送信する場合について説明する。この場合、Slave装置102は、Master装置101(0)からOptionIIに対応するSSMコードを含むESMCパケットを受信し、伝送装置104からOptionIIIに対応するSSMコードを含むESMCパケットを受信する。なお、Slave装置102がOptionI、OptionIIおよびOptionIIIのうち異なる複数のOptionに対応するSSMコードを含むESMCパケットを受信する場合についても同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。本実施形態において使用するOptionIIとOptionIIIにおけるSSMコードとQL状態との対応表については、後で詳しく説明する。
図3は、Slave装置102の一例を示す。図3において、Slave装置102は、0系受信部301(0)、1系受信部301(1)、0系パケット処理部302(0)、1系パケット処理部302(1)、周波数品質状態判別部303、パケット処理部304、送信部305、切替処理部306および周波数同期部307を有する。
0系受信部301(0)は、0系の周波数パスに接続され、周波数信号およびQL状態を示すSSMコードを有するESMCパケットを0系の上流側の装置から受信する。例えば図1の場合、0系受信部301(0)は、Master装置101(0)側の周波数パスに接続され、Master装置101(0)および伝送装置104の両方からESMCパケットを受信する。なお、0系受信部301(0)は、フォーマット変換されたESMCパケット受信した場合、変換前のフォーマットに戻して0系パケット処理部302(0)に出力する。ここで、変換前のフォーマットと変換後のフォーマットは予め決められているものとし、0系受信部301(0)は、例えばSubtype”FF-00”のESMCパケットを受信した場合、フォーマット変換されたESMCパケットであると認識し、変換前のSubtype”00-01”に戻したESMCパケットを0系パケット処理部302(0)に出力する。
1系受信部301(1)は、1系の周波数パスに接続され、周波数信号およびQL状態を示すSSMコードを有するESMCパケットを1系の上流側の装置から受信する。例えば図1の場合、1系受信部301(1)は、Master装置101(1)側の周波数パスに接続され、Master装置101(1)から周波数信号およびESMCパケットを受信する。
0系パケット処理部302(0)は、0系受信部301(0)から受信するESMCパケットの処理を行う。ここで、0系パケット処理部302(0)は、Master装置101(0)および伝送装置104からそれぞれ送信されたESMCパケットを処理する。ここで、0系パケット処理部302(0)は、種類が異なるOptionのSSMコードに対応してQL状態を判別することができる。そして、0系パケット処理部302(0)は、Master装置101(0)および伝送装置104からそれぞれ受信するESMCパケットのSSMコードからQL状態を取得する変換部302aを有し、0系受信部301(0)が受信する周波数信号のQL状態を判別する。なお、Master装置101(0)から受信するESMCパケットのSSMコードがOptionII、伝送装置104から受信するESMCパケットのSSMコードがOptionIIIのように、Optionが異なる場合でも、0系パケット処理部302(0)は、OptionIIおよびOptionIIIの両方のSSMコードを組み合わせたQL状態を優先度順に並べたテーブル(後述する図6に示した対応表)を有するので、異なるOptionに対応することができる。
1系パケット処理部302(1)は、1系受信部301(1)から受信するESMCパケットの処理を行う。
周波数品質状態判別部303は、0系パケット処理部302(0)および1系パケット処理部302(1)の各々より取得した周波数信号の品質状態(QL状態)を比較して最も品質が良い系の周波数信号を判別する。また、両系のQL状態が自身で保有する内部発振器のQL状態よりも悪い場合は、周波数品質状態判別部303は、内部発振器に切り替えるように切替処理部306に指示する。この場合、内部発振器のQL状態が下流側の装置に出力する周波数信号の品質状態となる。なお、周波数品質状態判別部303は、先に説明した0系パケット処理部302(0)と同様のSSMコードとQL状態との対応表を有する。
パケット処理部304は、周波数品質情報判定部303で判定したQL状態に対応するSSMコードを格納するESMCパケットを生成する。
送信部305は、パケット処理部304が生成したESMCパケットおよび周波数同期部307が出力する周波数信号を下流側の装置に送信する。
切替処理部306は、周波数品質状態判定部303の判定結果に応じて、周波数パスの選択系を切り替える処理を行う。なお、周波数品質状態判定部303の判定結果において、両系から受信する周波数信号の品質状態が自身で保有する内部発振器の品質状態よりも悪い場合は、切替処理部306は、0系受信部301(0)および1系受信部301(1)が両系から受信する周波数パスの周波数信号が周波数同期部307に出力されないように遮断する。
周波数同期部307は、0系受信部301(0)から受信した周波数信号または1系受信部301(1)から受信した周波数信号を出力する。なお、周波数同期部307は、周波数信号を受信しない場合や切替処理部306で周波数信号が遮断された場合は、周波数同期部307自身が保有する内部発振器が自走状態で発振する周波数信号を出力する。
このように、本実施形態に係るSlave装置102は、0系の周波数パスおよび1系の周波数パスから周波数信号およびESMCパケットを受信し、ESMCパケットに格納されたSSMコードのQL状態を比較して、周波数品質状態が良い方の系の周波数パスに切り替えることができる。特に本実施形態では、0系の周波数パスにおいて、Master装置101(0)は、ESMCパケットが廃棄されないようにフォーマットを変換して送信し、Slave装置102は、異なるOptionのSSMコードに対応できるように、異なるOptionのSSMコードを組み合わせたQL状態との対応表を備える。これにより、Master装置101(0)のESMCパケットがSlave装置102に届かなかったり、異なるOptionのSSMコードに対応できずにQL状態を正確に判別できないという課題を解決することができる。
次に、OptionIIとOptionIIIにおけるSSMコードとQL状態との対応例について説明する。
図4は、OptionIIにおけるSSMコードとQL状態との対応を示すテーブルである。図4に示したテーブルにおいて、SSMコードは4bitsで表され、各SSMコードに対応するQL状態が決められている。例えば図4において、SSMコード:0001のQL状態はPRS(Primary Reference Source)を示し、SSMコード:0000のQL状態はSTU(Synchronization Traceability Unknown)を示す。同様に、SSMコード:0111のQL状態はST2(Stratum 2)、SSMコード:1010のQL状態はST3(Stratum 3)、SSMコード:1100のQL状態はSMC(SONET Minimum Clock)、SSMコード:1111のQL状態は(DUS Don’t Use for Sync)、上記以外のSSMコードのQL状態はInvalidをそれぞれ示す。
ここで、図4に示したテーブルにおいて、周波数品質の優先度は、PRS > STU > ST2 > ST3 > SMC > DUS > Invaidの順に定義され、PRSの優先度が最も高い。例えば、Slave装置102が保有する内部発振器がRb発振器等のITU-T G.812, TypeIIに準拠する周波数精度を有する場合のQL状態はST2になるので、上流側の装置から受信する0系又は1系の周波数パスのSSMコードのQL状態がST3未満であった場合、Slave装置102は上流側の装置から受信する周波数信号を利用せず、自装置の内部発振器の自走状態の周波数信号を用いる。この場合、Slave装置102の下流側の装置に送信するSSMコードのQL状態はST2となる。
図5は、OptionIIIにおけるSSMコードとQL状態との対応を示すテーブルである。図5に示したOptionIIIのテーブルにおいて、図4で示したOptionIIと同様に、SSMコードは4bitsで表され、各SSMコードに対応するQL状態が決められている。例えば図5において、SSMコード:0000のQL状態はUNK(Unknown)、SSMコード:1011のQL状態はSEC(SDH Equipment Clock)、上記以外のSSMコードのQL状態はInvalidをそれぞれ示す。ここで、図5に示したテーブルにおいて、周波数品質の優先度は、UNK > SEC > Invaidの順に定義される。
このように、図5に示したOptionIIIと図4に示したOptionIIとでSSMコードに対応するQL状態が異なる。例えば、上流側の装置がOptionIIのSSMコードをサポートし、SSMコード: 0000に設定した場合、QL状態はSTUであるが、下流側の装置がOptionIIIをサポートしている場合、上流側の装置から受信したSSMコード:0000が示すQL状態をUNKと判断するため、上流側の装置と下流側の装置との間でQL状態の不一致が生じる。なお、通常は、システム内の全装置で同じOptionをサポートする等の対応が図られているが、上流側の装置と下流側の装置とが接続されるEthernetなどのパケット網内の伝送装置において、Optionが上流側の装置および下流側の装置と異なる場合がある。例えば図1において、Master装置101(0)およびSlave装置102のOptionが伝送装置103または伝送装置104のOptionと異なる場合、Slave装置102は、Master装置101(0)のQL状態を正確に判定できないという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、OptionIIおよびOptionIIIのSSMコードの情報を組み合わせたSSMコードとQL状態との対応テーブルをSlave装置102が持つことで、正しいQL状態を判定できるようにしている。
図6は、OptionIIおよびOptionIIIを組み合わせたSSMコードとQL状態との対応テーブルの一例を示す。なお、図6において、図4または図5と同名称のQL状態は、同じQL状態を示す。
図6において、OptionIIIのSSMコード:0000はOptionIIのSSMコード: 0001,0000,0111,1010,1100,1111,other(PRS,STU,ST2,ST3,SMC,DUS,Invaid)に対応する。また、OptionIIIのSSMコード:1011は、対応するOptionIIのSSMコードが無く(Don't care)、QL状態はSECである。さらに、OptionIIIのSSMコード:0000,1011以外のSSMコードは、対応するOptionIIのSSMコードが無く(Don't care)、QL状態はInvalidである。
このように、本実施形態では、Slave装置102がOptionIIとOptionIIIとの両方のSSMコードに対応するQL状態を判別することができるので、上流側の装置から異なるOptionのSSMコードを受信した場合でも正確にQL状態を判定することができる。特に、本実施形態に係るSlave装置102は、0系の周波数パスにおいて、Master装置101(0)と伝送装置104との両方から異なるOption(OptionIIおよびOptionIII)の2つのESMCパケットを受信した場合でも、双方のQL状態を判別できるので、受信する周波数信号の品質状態を正確に知ることができる。
次に、0系パケット処理部302(0)および1系パケット処理部302(1)の処理について詳しく説明する。
図7は、図1に示した構成のMaster装置101(0)とSlave装置102との間で送受信されるESMCパケットとSlave装置102におけるSSMコードの処理例を示す。なお、図7において、Master装置101(1)の構成は省略する。
図7に示したESMCパケットの送受信例の前提条件は以下の通りである。
・Master装置101(0)は、OptionIIのSSMコードのESMCパケットを送信するときに、ESMCパケットのSubtypeを'FF-00'に変換して伝送装置(伝送装置103および伝送装置104)に送信する。なお、ITU-T Subtype領域に格納された値が"00-01"のパケットは、ITU-T G.8264で規定されているESMCパケットであることを示す。
・伝送装置104は、ITU-T G.8264で規定されているITU-T Subtype”00-01”のESMCパケットを廃棄するので、ITU-T Subtypeを”FF-00”に書き換えたESMCパケットを送信する。これにより、伝送装置104は、ITU-T Subtype”FF-00”のESMCパケットを廃棄せずに透過してSlave装置102に転送する。なお、伝送装置104は、透過するMaster装置101(0)のESMCパケットとは別に、ITU-T Subtypeが”00-01”のESMCパケットを生成してSlave装置102に送信する。
このように図7の例では、Slave装置102は、Master装置101(0)が送信するSubtype'FF-00'のESMCパケットと、伝送装置104が生成して送信するSubtype”00-01”のESMCパケットとを受信する。
次に、図7において、Master装置101(0)とSlave装置102との間で送受信されるESMCパケットの流れについて説明する。図7は、図2および図3とは視点が異なる図で、ESMCパケットの生成処理、変換処理および送受信処理をレイヤー構造で描いてある。図7において、Master装置101(0)は、Over ether layerのブロック401でSubtype”00-01”のESMCパケットを生成し、ブロック402のSubtype convertでESMCパケットのSubtype”00-01”を伝送装置で廃棄されないSubtype”FF-00”のESMCパケットに変換する。そして、Subtype”FF-00”のESMCパケットは、ether layerのブロック403でEther網に送信される。
Master装置101(0)からEther網に送信されたSubtype”FF-00”のESMCパケットは、先ず、Ether網内の伝送装置103で受信され、さらに伝送装置104からSlave装置102に転送される。ここで、伝送装置104は、Subtypeが”00-01”のESMCパケットを廃棄するが、Subtypeが”FF-00”のESMCパケットは透過するので、透過されたESMCパケットはSlave装置102のether layerのブロック404で受信される。ここで、Master装置101(0)がSlave装置102に送信するESMCパケットのSSMコードのQL状態は図4で説明したOptionIIに対応し、QL状態はPRSであるものとする。
一方、伝送装置104は、透過するESMCパケットとは別に、Subtype”00-01”のESMCパケットを生成して送信する。図7の例では、伝送装置104は、Subtype”00-01”のESMCパケットを生成してSlave装置102に送信し、Slave装置102のether layerのブロック404でSubtype”00-01”のESMCパケットが受信される。ここで、伝送装置104がSlave装置102に送信するESMCパケットのSSMコードのQL状態は図5で説明したOptionIIIに対応し、QL状態はSECであるものとする。
図7のSlave装置102において、ether layerのブロック404で受信されたOptionIIのSubtypeが”FF-00”のパケットは、ITU-T G.8264で規定されているSubtype:"00-01"のESMCパケットではないのでブロック405に出力される。そして、ブロック405のSubtype convertは、Subtype”FF-00”をMaster装置101(0)が生成したSubtype”00-01”のESMCパケットに変換する。Over ether layerのブロック406は、ブロック405でSubtype”00-01”に変換されたESMCパケットを受け、0系パケット処理部302(0)に出力する。一方、ether layerのブロック404で受信されたOptionIIIのSubtypeが”00-01”のESMCパケットは、そのまま0系パケット処理部302(0)に出力される。
このようにして、Master装置101(0)が送信するOptionIIのSSMコードを有するESMCパケットは、Subtypeを"00-01"から"FF-00"に変換して送信されるので、伝送装置104を透過してSlave装置102で受信される。これにより、Master装置101(0)が送信するESMCパケットが伝送装置104で廃棄されることを防止できる。また、Slave装置102は、OptionIIおよびOptionIIIの両方のSSMコードに対応してQL状態を判別できるので、OptionIIとOptionIIIとの両方のESMCパケットが受信される場合においても、正確にQL状態を判断することができる。
なお、0系パケット処理部302(0)は、Master装置101(0)および伝送装置104からそれぞれ受信するESMCパケットのSSMコードからQL状態を取得する変換部302aを有し、0系受信部301(0)が受信する周波数信号のQL状態を判別する。例えば、0系パケット処理部302(0)は、OptionIIIのSSMコードを有するパケットであって、伝送装置104から送信されたSubtype”00-01”のESMCパケットのQL状態はSECと判別できる。同様に、0系パケット処理部302(0)は、OptionIIのSSMコードを有するパケットであって、Master装置101(0)から送信されたSubtype”FF-00”のESMCパケットのQL状態はPRSと判別できる。この場合、0系パケット処理部302(0)は、Master装置101(0)のESMCパケットのQL状態を周波数品質状態判別部303に出力する。そして、周波数品質状態判別部303は、図3で説明したように、Master装置101(0)から受信したESMCパケットのQL状態と、1系受信部301(1)から受信したESMCパケットのQL状態とを比較して、QL状態が良い方の系を選択する。
以上、実施形態で説明したように、本発明に係る周波数同期方法および周波数同期装置は、パケットを中継する伝送装置にてESMCパケットが廃棄されないようにし、且つ、装置間で品質情報の定義が異なる場合でも、周波数品質情報を正確に下流側の装置に通知することができる。
101(0),101(1)・・・Master装置;102・・・Slave装置;103,104・・・伝送装置;201・・・受信部;周波数同期部202・・・;203・・・パケット処理部;204・・・周波数品質状態判別部;205・・・パケット処理部;206・・・送信部;301(0)・・・0系受信部;301(1)・・・1系受信部;302(0)・・・0系パケット処理部;302(1)・・・1系パケット処理部;302a・・・変換部;303・・・周波数品質状態判別部;304・・・パケット処理部;305・・・送信部;306・・・切替処理部;307・・・周波数同期部

Claims (8)

  1. 周波数信号および前記周波数信号の品質状態を示す品質情報を含むパケットを、伝送装置を介してマスター装置からスレーブ装置に送信する伝送システムの周波数同期方法において、
    前記品質状態と前記品質情報との対応関係の定義が異なる複数のオプションのうち、前記マスター装置と前記伝送装置とが、互いに異なる前記オプションの定義および同じ通信規格に基づいて前記品質情報を含むパケットをそれぞれ生成し、生成した前記パケットをそれぞれ前記スレーブ装置に送信する場合、前記スレーブ装置は、前記オプションが異なる複数の前記品質情報に対応した判別テーブルを参照し、前記マスター装置と前記伝送装置との各々から受信する前記パケットに含まれる前記周波数信号の前記品質状態を判別する
    ことを特徴とする周波数同期方法。
  2. 請求項1に記載の周波数同期方法において、
    前記判別テーブルは、前記オプションが異なる複数の前記品質情報を組み合わせた複数の前記品質状態を優先度順に並べたデータ構造であり、
    前記スレーブ装置は、前記判別テーブルを参照し、前記マスター装置から受信する前記品質情報と前記伝送装置から受信する前記品質情報とを用いて、自装置が受信する前記周波数信号の前記品質状態を判別する
    ことを特徴とする周波数同期方法。
  3. 請求項2に記載の周波数同期方法において、
    前記伝送装置が前記品質情報を含む第1フォーマットの前記パケットを廃棄する設定の場合に、前記マスター装置は、前記第1フォーマットのパケットを前記第1フォーマットとは異なる第2フォーマットのパケットに変更して前記スレーブ装置に送信し、
    前記スレーブ装置は、前記第2フォーマットのパケットを受信した場合に、前記第1フォーマットのパケットに変更して前記品質情報を受信する
    ことを特徴とする周波数同期方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載の周波数同期方法において、
    前記パケットは、ITU-T G.8264のESMCパケットに対応し、
    前記オプションは、ITU-T G.781規格のOptionI、OptionII、OptionIIIのいずれかに対応し、
    前記品質情報および前記品質状態は、ITU-T G.781規格のSSMコードおよびQL状態にそれぞれ対応し、
    前記判別テーブルは、前記OptionI、前記OptionIIおよび前記OptionIIIのうち少なくとも2つの前記SSMコードを組み合わせた複数のQL状態を優先度順に並べた情報を有し、
    前記スレーブ装置は、前記判別テーブルを参照し、前記マスター装置から受信する前記ESMCパケットの前記SSMコードの前記QL状態と、前記伝送装置から受信する前記SSMコードの前記QL状態とを用いて、自装置が受信する前記周波数信号の前記品質状態を判別する
    ことを特徴とする周波数同期方法。
  5. 周波数信号および前記周波数信号の品質状態を示す品質情報を含むパケットを、伝送装置を介してマスター装置から受信する周波数同期装置において、
    前記品質情報と前記品質状態との対応関係の定義が異なる複数のオプションのうち、前記マスター装置と前記伝送装置とにおいて、互いに異なる前記オプションの定義および同じ通信規格に基づいて生成された前記品質情報を含むパケットをそれぞれ受信する受信部と、
    前記オプションが異なる複数の前記品質情報に対応した判別テーブルを参照し、前記マスター装置と前記伝送装置との各々から受信した前記パケットに含まれる前記周波数信号の前記品質状態を判別する変換部と
    を有することを特徴とする周波数同期装置。
  6. 請求項5に記載の周波数同期装置において、
    前記判別テーブルは、前記オプションが異なる複数の前記品質情報を組み合わせた複数の前記品質状態を優先度順に並べたデータ構造であり、
    前記変換部は、前記判別テーブルを参照し、前記マスター装置から受信する前記品質情報と前記伝送装置から受信する前記品質情報とを用いて、自装置が受信する前記周波数信号の前記品質状態を判別する
    ことを特徴とする周波数同期装置。
  7. 請求項6に記載の周波数同期装置において、
    前記伝送装置が前記品質情報を含む第1フォーマットのパケットを廃棄する設定のときに、
    前記受信部は、前記マスター装置によって前記第1フォーマットのパケットから前記第1フォーマットとは異なる第2フォーマットに予め変更して送信されたパケットを、前記第1フォーマットのパケットに再び変更するフォーマット変換処理を行って前記品質情報を受信する
    ことを特徴とする周波数同期装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の周波数同期装置において、
    前記パケットは、ITU-T G.8264のESMCパケットに対応し、
    前記オプションは、ITU-T G.781規格のOptionI、OptionII、OptionIIIのいずれかに対応し、
    前記品質情報および前記品質状態は、ITU-T G.781規格のSSMコードおよびQL状態にそれぞれ対応し、
    前記判別テーブルは、前記OptionI、前記OptionIIおよび前記OptionIIIのうち少なくとも2つの前記SSMコードを組み合わせた複数のQL状態を優先度順に並べた情報を有し、
    前記変換部は、前記判別テーブルを参照し、前記マスター装置から受信する前記ESMCパケットの前記SSMコードの前記QL状態と、前記伝送装置から受信する前記SSMコードの前記QL状態とを用いて、自装置が受信する前記周波数信号の前記品質状態を判別する
    ことを特徴とする周波数同期装置。
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