JP5940348B2 - 押進装置 - Google Patents
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Description
例えば、ねじ送り機構を利用して材料粉末を押圧して粉末成形品を成形する装置が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、ねじ軸の大径化やモータ等の高トルク化による解決手法では、装置の大型化・重量化・高コスト化、さらにランニングコストの上昇等を招いてしまうという問題がある。
本発明の実施形態に係る押進装置は、第一送り機構部と、前記第一送り機構部に対して平行配置された第二送り機構部と、前記第二送り機構部に対して直列配置されると共に、前記第一送り機構部及び前記第二送り機構部よりも推力が大きい変位アクチュエータと、を備え、前記第一送り機構部と前記第二送り機構部の一方又は両方で被支持体を支持しつつ、前記変位アクチュエータを伸縮させて前記被支持体を押圧又は押進することを特徴とする。
送り機構は、モーター等の回転駆動源が発生する駆動トルクを、送りねじ軸及びナットを介して、推力へと変換する機構である。
送り機構は、ナットに外力が負荷が与えられたとしても、送りねじ軸が回転しないことによりその位置を保持し続けることが出来るという特徴がある。位置を保持し続ける力を保持力という。
送り機構の推力と保持力は、主に送りねじ軸装置自体の機械的性質に依存する。さらに、送り機構の推力は、送りねじ軸を回転させるモーター等の回転駆動源のトルクにも依存する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る押進装置1の概略構成を示す概念図である。
押進装置1は、被支持体Wに対して押圧力又は押進力を与える装置である。
押進装置1は、第一送り機構部10と、第一送り機構部10に対して平行配置された第二送り機構部20と、第二送り機構部20に対して直列配置された変位アクチュエータ30と、を備える。
第二送り機構部20は、ねじ軸21、ねじ軸21に螺合するナット22及びねじ軸21の一端に連結されて、ねじ軸21を回転駆動するモーター23を備える。
変位アクチュエータ30は、ナット22の先端に固定される。つまり、変位アクチュエータ30は、第二送り機構部20に対して直列配置される。また、変位アクチュエータ30は、第一送り機構部10に対して並列配置される。
変位アクチュエータ30は、例えば、圧電(圧歪)素子、磁歪素子、形状記憶素子又は熱動素子等の固体アクチュエーターを用いることができる。変位アクチュエータ30は、固体アクチュエーターに限らず、油圧(液圧)アクチュエーターであってもよい。
第一送り機構部10のナット12と、第二送り機構部20のナット22とにより被支持体Wを支持する。第二送り機構部20のナット22は、変位アクチュエータ30を介して、被支持体Wを間接的に支持する。
次に、押進装置1の動作について説明する。
図2は、本発明の第一実施形態に係る押進装置1の動作を示す図である。図3は、図2に続く動作を示す図である。
最初に、図2(a)に示すように、第二送り機構部20のモーター23を駆動して、ナット22を移動させて被支持体Wに押付ける。そして、ナット22を被支持体Wに押付けたら、モーター23の駆動を止める。
これにより、第二送り機構部20は、被支持体Wを支持する。
これにより、第一送り機構部10及び第二送り機構部20は、被支持体Wを支持する。
次に、図2(b)に示すように、変位アクチュエータ30を駆動して所定の距離を伸長させる。つまり、第一送り機構部10及び第二送り機構部20の送り方向に向けて、変位アクチュエータ30を変位(正変位)させる。
これにより、被支持体Wは、送り方向に向けて移動する。つまり、被支持体Wは、変位アクチュエータ30に押進(押圧)される。
なぜなら、変位アクチュエータ30の推力は、第二送り機構部20のみの推力、または第一送り機構部10及び第二送り機構部20の推力よりも大きい。加えて、被支持体Wからの反力は、第二送り機構部20(ねじ軸21)の保持力よりも小さい。このため、変位アクチュエータ30は、被支持体Wの反力に逆らって、被支持体Wを押進(押圧)する。
したがって、被支持体Wは、変位アクチュエータ30を介して第二送り機構部20のみにより支持される。
次に、図2(c)に示すように、第一送り機構部10により被支持体Wを支持する。つまり、第一送り機構部10のモーター13を駆動して、ナット12を所定の距離だけ移動させて被支持体Wに押付ける。そして、ナット12を被支持体Wに押付けたら、モーター13の駆動を止める。
これにより、第一送り機構部10及び第二送り機構部20は、負荷のない状態で稼動して被支持体Wを支持する。このため、モーター13,23は、小さな出力のものでよい。
次に、図3(a)に示すように、変位アクチュエータ30を駆動して所定の距離を縮長させる。つまり、第一送り機構部10及び第二送り機構部20の送り方向とは反対の方向に向けて、変位アクチュエータ30を変位(負変位)させる。
変位アクチュエータ30が縮長すると、第二送り機構部20及び変位アクチュエータ30は、被支持体Wから離間する。
これにより、被支持体Wは、第一送り機構部10のみにより支持される。第一送り機構部10(ねじ軸11)の保持力が被支持体Wからの反力よりも大きいので、被支持体Wは移動せずに同一位置に留まる。
最後に、図3(b)に示すように、第二送り機構部20により被支持体Wを支持する。つまり、第二送り機構部20のモーター23を駆動して、ナット22を所定の距離だけ移動させて被支持体Wに押付ける。そして、ナット22を被支持体Wに押付けたら、モーター23の駆動を止める。
これにより、第一送り機構部10及び第二送り機構部20は、被支持体Wを支持する。
すなわち、第二送り機構部20のモーター23を駆動して、ナット22を所定の距離だけ移動させて、被支持体Wに押付ける。そして、ナット22を被支持体Wに押付けたら、モーター23の駆動を止める。
この場合においても、第一送り機構部10及び第二送り機構部20は、負荷のない状態で稼動して被支持体Wを支持する。このため、モーター13,23は、小さな出力のものでよい。
すなわち、押進装置1は、第一送り機構部10及び第二送り機構部20の推力及び保持力と変位アクチュエータ30の推力を組み合わせる。これにより、押進装置1は、第一送り機構部10及び第二送り機構部20のみの場合よりも大きな推力を得て、被支持体Wを押圧(押進)する。
ねじ軸11,21は、機械的強度が小さく、ねじ有効径が小さくてもよい。また、モーター13,23は、低トルクしか発生できないものであってもよい。
また、ねじ軸11,21の歯の形状として、斜面の傾きが非対称である鋸歯ねじを用いてもよい。すなわち、第一送り機構部10及び第二送り機構部20の送り方向には抵抗が小さく、反対方向には抵抗が大きいねじ歯形状である。
すなわち、第一送り機構部10のモーター13と第二送り機構部20のモーター23を常に駆動(一定トルク制御)して、被支持体Wを支持する。つまり、ナット12,22を被支持体Wに常に押付ける。この状態において、変位アクチュエータ30を駆動して伸縮(振幅)させる。これにより、上述した第一工程(第五工程)から第四工程が繰り返されることになる。
また、第四工程と第五工程(第一工程)が一体となる。変位アクチュエータ30の縮長により被支持体Wから離間しようとすると同時に、変位アクチュエータ30の縮長の分だけ第二送り機構部20のナット22が被支持体Wに近づきながら支持し続ける。
このように、第一送り機構部10、第二送り機構部20及び変位アクチュエータ30を連続的に動作させることにより、押進装置1は、第一工程(第五工程)から第四工程を繰り返す。これにより、被支持体Wは、押進装置1に押進(押圧)されて、移動する(圧縮される)。
直流モーターは、安価であると共に一定の入力電流に対して一定のトルクを出力するので、装置の簡素化、低価格化が可能な点で好適である。直流モーターに代えて、ステッピングモーターなどを用いてもよい。
なお、第一送り機構部10及び第二送り機構部20では、摩擦等によりモーター13,23に負荷がかかる可能性がある。そこで、モーター13,23には、この摩擦等の負荷以上のトルクを発生するものを用いる。
図4は、本発明の第二実施形態に係る押進装置100を示す概略図である。
押進装置100は、第一ねじ送り機構部110、第二ねじ送り機構部120及び圧電素子130等を備える。
第一ねじ送り機構部110は、第一送り機構部10に相当する。第二ねじ送り機構部120は、第二送り機構部20に相当する。圧電素子130は、変位アクチュエータ30に相当する。
ナット112Aはねじ軸111Aに螺合配置され、ナット112Bはねじ軸111Bに螺合配置される。ナット112A,112Bは、ねじ軸111A,111Bの軸方向において同一位置に配置される。
ねじ軸111A,111B及びナット112A,112Bは、鉄鋼材料等から形成される。
プーリー114Aはねじ軸111Aの後端側に嵌合配置され、プーリー114Bはねじ軸111Bの後端側に嵌合配置される。タイミングベルト115は、プーリー114A,114Bの間に架け渡される。プーリー114A,114Bは、同一形状である。
ナット連結板116は、鉄鋼材料等から形成された板形部材であり、ナット112A,112Bのそれぞれの先端に固定される。ナット連結板116は、ねじ軸111A,111Bに対して直交する先端面116sを有する。また、ナット連結板116は、ねじ軸111A,111Bに対して非接触である。
ナット122はねじ軸121に螺合配置される。ナット122は、ねじ軸111A,111B,121の軸方向においてナット112A,112Bよりも後方側に配置される。
ねじ軸121及びナット122は、鉄鋼材料等から形成される。
圧電素子支持箱124は、鉄鋼材料等から形成された箱形部材であり、ナット122の先端に固定される。圧電素子支持箱124は、ねじ軸121に対して直交する先端面124sを有する。また、圧電素子支持箱124は、ねじ軸121に対して非接触である。
リニアガイドは、圧電素子支持箱124の底面とベース部材141の間に配置される。
押圧板142は、ナット連結板116(先端面116s)及び圧電素子130(先端面130s)に対して平行な板形部材である。押圧板142は、リニアガイド143A,143Bを介してベース部材141に対して軸方向に移動可能に配置される。
このため、押圧板142は、ナット連結板116や圧電素子130に後方側から押圧されると前進する。
実験条件は、以下の通りである。
ねじ軸111A,111B,121及びナット112A,112B,122は、ねじ有効径:9mm、ねじ部摩擦係数:0.15、ねじ山の半角:30°、リード角:0.005°である。
モーター113,123は、DCモータであり、最大トルク:25mN・m/Aを発生する。
圧電素子130は、一辺が10mmの正方形で、長さ20mmである。最大変位:18μm、発生応力:3500Nである。
圧電素子130を振幅±5.0μm、周波数1.0Hzの正弦波で振幅駆動した。
ワークWAから押圧板142に対する反力を約30N(3.0kgf)に設定した。ワークWAとして圧縮バネを用いた。ワークWAからの反力は、第一ねじ送り機構部110及び第二ねじ送り機構部120の合計推力よりも大きい。
また、変位アクチュエータ30,圧電素子130ののみの場合よりも大きな送り量(変位量)を得て、被支持体W,ワークWAを押圧、押進できる。
すなわち、第一送り機構部10,第一ねじ送り機構部110と第二送り機構部10,第二ねじ送り機構部120が平行に配置される場合であれば、並列配置、同軸配置のいずれであってもよい。
すなわち、低トルクのときは第一送り機構部にモータのトルクを伝え、高トルクのときは第二送り機構部にモータのトルクを伝えるように、クラッチを設定してもよい。
Claims (9)
- 第一送り機構部と、
前記第一送り機構部に対して平行配置された第二送り機構部と、
前記第二送り機構部に対して直列配置されると共に、前記第一送り機構部及び前記第二送り機構部よりも推力が大きい変位アクチュエータと、
を備え、
前記第一送り機構部と前記第二送り機構部の一方又は両方で被支持体を支持しつつ、前記変位アクチュエータを伸縮させて前記被支持体を押圧又は押進することを特徴とする押進装置。 - 前記第二送り機構部で前記被支持体を支持した状態から前記変位アクチュエータを伸長させて前記被支持体を押圧又は押進し、
前記第一送り機構部を駆動して前記被支持体を支持し、
前記変位アクチュエータを縮長させて前記第二送り機構部を前記被支持体から離間し、
前記第二送り機構部を駆動して前記被支持体を支持する、
ことを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の押進装置。 - 前記第一送り機構部と前記第二送り機構部の両方を駆動して前記被支持体を支持すると同時に、前記変位アクチュエータを伸縮させることを特徴とする請求項1に記載の押進装置。
- 前記第一送り機構部及び前記第二送り機構部は、すべりねじ軸、台形ねじ軸又はボールねじ軸を用いることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の押進装置。
- 前記変位アクチュエータは、固体アクチュエータであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の押進装置。
- 前記固体アクチュエータは、圧電素子、磁歪素子、形状記憶素子又は熱動素子である、ことを特徴とする請求項5に記載の押進装置。
- 前記被支持体の位置を計測する位置センサを備え、
前記位置センサの計測結果に基づいて、前記第一送り機構部、前記第二送り機構部及び前記変位アクチュエータを位置制御することを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の押進装置。 - 前記第一送り機構部と前記第二送り機構部は、並列配置又は同軸配置されることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の押進装置。
- 前記第一送り機構部に対して直列配置されると共に、前記第一送り機構部及び前記第二
送り機構部よりも推力が大きい第二変位アクチュエータを備え、
前記第二変位アクチュエータを前記変位アクチュエータに対して一定の位相差で振幅さ
せることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の押進装置。
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