JP5927032B2 - 倒立振子型車両 - Google Patents

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Description

本発明は、床面上を移動可能な倒立振子型車両に関する。
床面上を移動する移動動作部と、この移動動作部を駆動するアクチュエータとが組み付けられた基体に、鉛直方向に対して傾動自在な乗員搭乗部が組み付けられた倒立振子型車両が、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−068165号公報
倒立振子型車両の搭乗者は、体重移動による操作又はジョイスティック等の操作部の操作により移動を行うが、自身が意図する通りに倒立振子型車両を移動させるためには、ある程度の習熟が必要である。そのため、操作に不慣れな初心者が、倒立振子型車両を自身の意図する通りに操作することは難しかった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、搭乗者による移動操作を容易にした倒立振子型車両を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、
床面上を移動可能な第1の移動動作部と、
前記移動動作部を駆動する第1のアクチュエータ装置と、
前記第1の移動動作部及び前記第1のアクチュエータ装置が組み付けられた基体と、
鉛直方向に対して傾動自在に前記基体に組み付けられた乗員搭乗部とを備え、
前記第1の移動動作部が、前記第1のアクチュエータ装置の駆動力によって、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員の前後方向及び左右方向を含む全方向に移動可能に構成された倒立振子型車両に関する。
そして、第1発明の倒立振子型車両は、
前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
前記操作部に対して、前記旋回操作と前記前後移動操作とがなされているときに、前記旋回操作の操作量が多いほど、前記前後移動操作に応じた前記前後移動速度指令を低く設定する前後移動速度指令制限部とを備えたことを特徴とする。
第1発明の倒立振子型車両において、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員により、前記操作部に対して前記旋回操作と前記前後移動操作がなされているときに、前記旋回操作の操作量が多くなったときには、乗員が倒立振子型車両をより旋回させることを意図していると想定される。
そこで、前記前後移動速度指令制限部により、前記旋回操作の操作量が多いほど前記前後移動操作に応じた前記前後移動速度指令を低く設定することにより、前記倒立振子型車両の旋回をし易くして、乗員による倒立振子型車両の操作を容易にすることができる。
また、第2発明の倒立振子型車両は、
前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
前記操作部に対して、前記旋回操作と前記前後移動操作とがなされているときに、前記前後移動操作の操作量が少ないほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定する旋回速度指令制限部とを備えたことを特徴とする。
第2発明の倒立振子型車両において、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員により、前記操作部に対して前記旋回操作と前記前後移動操作がなされているときに、前記前後移動操作の操作量が少ないときには、乗員は倒立振子型車両を低速で移動させることを意図していると想定される。
そこで、前記前後移動速度指令制限部により、前記前後移動操作の操作量が少ないほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定することにより、倒立振子型車両を低速で移動させようとしている乗員の意に反して、前記倒立振子型車両が高速で旋回することを抑制し、乗員による倒立振子型車両の操作を容易にすることができる。
また、第3発明の倒立振子型車両は、
前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
前記操作部に対して、前記旋回操作と前記左右移動操作とがなされているときに、前記左右移動操作の操作量が多いほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定する旋回速度指令制限部とを備えたことを特徴とする。
第3発明の倒立振子型車両において、前記制御処理部は、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるときは、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部を前記左右方向に同じ速度で移動させ、前記倒立振子型車両を旋回させるときには、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部を前記左右方向に異なる速度で移動させる。そのため、前記第2の移動動作部の移動速度は、旋回速度と前記左右方向の移動速度との合成速度により決定される。
そこで、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員により、前記操作部に対して前記旋回操作と前記左右移動操作がなされているときに、前記旋回速度指令制限部は、前記左右移動操作の操作量が多いほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定する。これにより、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を優先して、前記第2のアクチュエータ装置の作動限界の範囲内で前記旋回速度指令が出力され、乗員による前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動操作を容易にすることができる。
また、第4発明の倒立振子型車両は、
前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
前記操作部に対して、前記旋回操作と前記左右移動操作とがなされているときに、前記旋回操作の操作量が多いほど、前記左右移動速度指令を低く設定する左右移動速度指令制限部とを備えたことを特徴とする。
第4発明の倒立振子型車両において、前記制御処理部は、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるときは、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部を前記左右方向に同じ速度で移動させ、前記倒立振子型車両を旋回させるときには、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部を前記左右方向に異なる速度で移動させる。そのため、前記第2の移動動作部の移動速度は、旋回速度と前記左右方向の移動速度との合成速度により決定される。
そこで、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員により、前記操作部に対して前記旋回操作と前記左右移動操作がなされているときに、前記左右移動速度指令制限部は、前記旋回操作の操作量が多いほど、前記左右移動操作に応じた前記左右移動速度指令を低く設定する。これにより、前記旋回速度指令を優先して、前記第2のアクチュエータ装置の作動限界の範囲内で前記左右移動速度指令が出力され、乗員による前記倒立振子型車両の旋回操作を容易にすることができる。
本発明の一実施形態の倒立振子型車両の外観斜視図。 実施形態の倒立振子型車両の側面図。 実施形態の倒立振子型車両の制御のための構成を示すブロック図。 図3に示す第1制御処理部の処理を示すブロック線図。 図3に示す第1制御処理部の処理に用いる倒立振子モデルを説明するための図。 図5の倒立振子モデルに関する挙動を示すブロック線図。 図4に示す操作指令変換部の処理を示すブロック線図。 図4に示す重心ずれ推定部の処理を示すブロック線図。 図3に示す第2制御処理部の処理を示すブロック線図。 体重移動による前後移動速度指令の設定マップの説明図。 ジョイスティックによる前後移動速度指令の設定マップの説明図。 体重移動による左右移動速度指令の設定マップの説明図。 合成速度指令による左右移動速度指令の設定マップの説明図。 体重移動による左右移動速度指令の設定マップの説明図。 合成速度指令による左右移動速度指令の設定マップの説明図。 前後移動速度に応じた旋回速度指令の設定マップの説明図。
本発明の一実施形態を図1〜図16を参照して説明する。図1及び図2に示すように本実施形態の倒立振子型車両1(以降、単に車両1ということがある)は、基体2と、床面上を移動可能な第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4と、乗員が搭乗する乗員搭乗部5とを備える。
第1の移動動作部3は、図2に示す円環状の芯体6(以下、環状芯体6という)と、この環状芯体6の円周方向(軸心周り方向)に等角度間隔で並ぶようにして該環状芯体6に装着された複数の円環状のローラ7とを備える。各ローラ7は、その回転軸心を環状芯体6の円周方向に向けて環状芯体6に外挿されている。そして、各ローラ7は、環状芯体6の軸心周りに該環状芯体6と一体に回転可能とされていると共に、該環状芯体6の横断面の中心軸(環状芯体6の軸心を中心とする円周軸)周りに回転可能とされている。
これらの環状芯体6及び複数のローラ7を有する第1の移動動作部3は、環状芯体6の軸心を床面と平行に向けた状態で、ローラ7(環状芯体6の下部に位置するローラ7)を介して床面上に接地される。この接地状態で、環状芯体6をその軸心周りに回転駆動することで、環状芯体6及び各ローラ7の全体が輪転し、それにより第1の移動動作部3が環状芯体6の軸心と直交する方向に床面上を移動するようになっている。また、上記接地状態で、各ローラ7をその回転軸心周りに回転駆動することで、第1の移動動作部3が、環状芯体6の軸心方向に移動するようになっている。
さらに、環状芯体6の回転駆動と各ローラ7の回転駆動とを行なうことで、環状芯体6の軸心と直交する方向と、環状芯体6の軸心方向とに対して傾斜した方向に第1の移動動作部3が移動するようになっている。
これにより、第1の移動動作部3は、床面上を全方向に移動することが可能となっている。以降の説明では、図1及び図2に示すように、第1の移動動作部3の移動方向のうち、環状芯体6の軸心と直交する方向をX軸方向、該環状芯体6の軸心方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする。なお、前方向をX軸の正方向、左方向をY軸の正方向、上方向をZ軸の正方向とする。
基体2には、上記第1の移動動作部3が組み付けられている。より詳しくは、基体2は、床面に接地させた第1の移動動作部3の下部を除く部分の周囲を覆うように設けられている。そして、この基体2に第1の移動動作部3の環状芯体6が、その軸心周りで回転自在に支持されている。この場合、基体2は、第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心を支点として、その軸心周り(Y軸周り)に傾動自在とされていると共に、第1の移動動作部3と共に床面に対して傾くことで、第1の移動動作部3の接地部を支点として、環状芯体6の軸心と直交するX軸周りに傾動自在とされている。従って、基体2は、鉛直方向に対して2軸周りに傾動自在とされている。
また、基体2の内部には、図2に示すように、第1の移動動作部3を移動させる駆動力を発生する第1のアクチュエータ装置8が搭載されている。この第1のアクチュエータ装置8は、環状芯体6を回転駆動するアクチュエータとしての電動モータ8aと、各ローラ7を回転駆動するアクチュエータとしての電動モータ8bとから構成される。そして、電動モータ8a,8bは、それぞれ図示を省略する動力伝達機構を介して環状芯体6、各ローラ7に回転駆動力を付与するようにしている。なお、この動力伝達機構は公知の構造のものでよい。
なお、第1の移動動作部3は、上記の構造と異なる構造のものであってもよい。例えば、第1の移動動作部3及びその駆動系の構造として、PCT国際公開公報WO/2008/132778、あるいは、PCT国際公開公報WO/2008/132779にて本願出願人が提案した構造のものを採用してもよい。
また、基体2には、乗員搭乗部5が組み付けられている。この乗員搭乗部5は、乗員が着座するシートにより構成されており、基体2の上端部に固定されている。そして、乗員は、その前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向に向けて、乗員搭乗部5に着座することが可能となっている。また、乗員搭乗部5(シート)は、基体2に固定されているので、基体2と一体に鉛直方向に対して傾動自在とされている。
基体2には、さらに乗員搭乗部5に着座した乗員がその足を載せる一対の足載せ部9,9と、乗員が把持する一対の把持部10,10とが組み付けられている。足載せ部9,9は、基体2の両側部の下部に突設されている。なお、図1及び図2では、一方側(右側)の足載せ部9の図示は省略されている。
また、把持部10,10は、乗員搭乗部5の両側にX軸方向(前後方向)に延在して配置されたバー状のものであり、それぞれ、基体2から延設されたロッド11を介して基体2に固定されている。そして、把持部10,10のうちの一方の把持部10(図では右側の把持部10)には、操作器としてのジョイスティック12(本発明の操作部を構成する)が取り付けられている。
このジョイスティック12は、前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)に揺動操作可能とされている。そして、ジョイスティック12は、その前後方向(X軸方向)の揺動量を示す操作信号を、車両1を前方又は後方に移動させる指令として出力し、左右方向(Y軸方向)の揺動量を示す操作信号を、車両1を右周り(時計周り)又は左周り(反時計周り)に旋回させるための指令(旋回指令)として出力する。
なお、本実施形態では、ジョイスティック12の前後方向の揺動量(すなわち、Y軸周りの回転量、本発明の前後移動操作の操作量に相当する)は、前向きの揺動量が正、後向きの揺動量が負である。また、ジョイスティック12の左右方向の揺動量(すなわち、X軸周りの回転量、本発明の旋回操作の操作量に相当する)は、左向きの揺動量が正、右向きの揺動量が負である。
第2の移動動作部4は、本実施形態では、所謂、オムニホイールにより構成されている。第2の移動動作部4としてのオムニホイールは、同軸心の一対の環状芯体(図示省略)と、各環状芯体に、回転軸心を該環状芯体の円周方向に向けて回転自在に外挿された複数の樽状のローラ13とを備える公知の構造のものである。
この場合、第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の軸心をX軸方向(前後方向)に向けて第1の移動動作部3の後方に配置され、ローラ13を介して床面に接地されている。
なお、上記一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とは、該環状芯体の周方向に位相をずらして配置されており、該一対の環状芯体の回転時に、該一対の環状芯体の一方側のローラ13と、他方側のローラ13とのうちのいずれか一方が床面に接地するようになっている。
上記オムニホイールにより構成された第2の移動動作部4は、基体2に連結されている。より詳しくは、第2の移動動作部4は、オムニホイール(一対の環状芯体及び複数のローラ13の全体)の上部側の部分を覆う筐体14を備えており、この筐体14にオムニホイールの一対の環状芯体がその軸心周りに回転自在に軸支されている。さらに、筐体14から基体2側に延設されたアーム15が、前記第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心周りに揺動し得るように基体2に軸支されている。これにより、第2の移動動作部4は、アーム15を介して基体2に連結されている。
そして、第2の移動動作部4は、アーム15の揺動によって第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心周りに基体2に対して揺動自在とされ、これにより、第1の移動動作部3と第2の移動動作部4との両方を接地させたまま、乗員搭乗部5を基体2と共にY軸周りに傾動させることが可能となっている。
なお、アーム15を第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心部に軸支して、第1の移動動作部3に第2の移動動作部4をアーム15を介して連結するようにしてもよい。
また、基体2には、アーム15の揺動範囲を制限する一対のストッパ16,16が設けられており、該アーム15は、ストッパ16,16の間の範囲内で揺動することが可能となっている。これにより、第1の移動動作部3の環状芯体6の軸心周りでの第2の移動動作部4の揺動範囲、ひいては、基体2及び乗員搭乗部5のX軸周りの傾動範囲が制限されて、該基体2及び乗員搭乗部5が乗員の後ろ側に過大に傾くことが防止されるようになっている。
なお、第2の移動動作部4は、床面に押し付けられるようにバネ等により付勢されていてもよい。
上記のように、第2の移動動作部4は、その一対の環状芯体の回転と、ローラ13の回転とのうちの一方又は両方を行なうことで、第1の移動動作部3と同様に、床面上をX軸方向及びY軸方向を含む全方向に移動することが可能となっている。詳しくは、環状芯体の回転によって、第2の移動動作部4がY軸方向(左右方向)に移動可能とされ、ローラ13の回転によって、X軸方向(前後方向)に移動可能とされている。
また、第2の移動動作部4の筐体14には、第2の移動動作部4を駆動する第2のアクチュエータ装置としての電動モータ17が取り付けられている。この電動モータ17は、第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動するように該一対の環状芯体に連結されている。
したがって、本実施形態では、第2の移動動作部4のX軸方向での移動は、第1の移動動作部3のX軸方向での移動に追従して従動的に行われる。また、第2の移動動作部4のY軸方向での移動は、電動モータ17により第2の移動動作部4の一対の環状芯体を回転駆動することによって行われる。
補足すると、第2の移動動作部4は、第1の移動動作部3と同様の構造のものであってもよい。
以上が本実施形態における車両1の機構的な構成である。
図1及び図2での図示は省略したが、本実施形態の車両1の基体2には、該車両1の動作制御(第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の動作制御)のための構成として、図3に示したように、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成された制御装置20と、基体2の3軸方向の加速度を検出する加速度センサ50と、この3軸周りの角速度を検出する角速度センサ51(ジャイロセンサ等)と、電動モータ8aの回転速度を検出する回転速度センサ52a(エンコーダ等)と、電動モータ8bの回転速度を検出する回転速度センサ52bと、電動モータ17の回転速度を検出する回転速度センサ53とが搭載されている。
そして、制御装置20には、ジョイスティック12の出力と、加速度センサ50,角速度センサ51,回転速度センサ52a,回転速度センサ52b,及び回転速度センサ53の各検出信号とが入力されるようになっている。
制御装置20は、加速度センサ50及び角速度センサ51の検出信号から、乗員搭乗部5の傾斜角度(=基体2の傾斜角度)の計測値を、公知の手法を用いて取得する。この手法としては、例えば特許4181113号にて本願出願人が提案した手法を採用することができる。
なお、本実施形態における乗員搭乗部5の傾斜角度(又は基体2の傾斜角度)というのは、より詳しくは、車両1と、その乗員搭乗部5に既定の姿勢(標準姿勢)で搭乗した乗員とを併せた全体の重心が、第1の移動動作部3の接地部の直上(鉛直方向上方)に位置する状態での乗員搭乗部5(又は基体2)の姿勢を基準(ゼロ)とする傾斜角度(X軸周り方向の傾斜角度とY軸周り方向の傾斜角度との組)である。
また、制御装置20は、角速度センサ51の検出信号に基づいて、車両1のヨー軸周りの角速度の計測値を取得する。
制御装置20は、実装されるプログラム等により実現される機能として、上記のように計測値を取得する機能の他、第1のアクチュエータ装置8を構成する電動モータ8a,8bを制御することで第1の移動動作部3の移動動作を制御する第1制御処理部24と、第2のアクチュエータ装置としての電動モータ17を制御することで第2の移動動作部4の移動動作を制御する第2制御処理部25と、車両1の前後方向の移動速度指令を制限する前後移動速度指令制限部26と、車両1の左右方向の移動速度指令を制限する左右移動速度指令制限部27と、車両1の旋回速度指令を制限する旋回速度指令制限部28とを備えている。第1制御処理部24は、本発明の操作部と速度指令出力部と制御処理部の機能を含んでいる。
第1制御処理部24は、後述する演算処理を実行することで、第1の移動動作部3の移動速度(詳しくは、X軸方向の並進速度とY軸方向の並進速度との組)の目標値である第1目標速度を逐次算出し、第1の移動動作部3の実際の移動速度を、第1目標速度に一致させるように電動モータ8a,8bの回転速度を制御する。
この場合、電動モータ8a,8bのそれぞれの回転速度と、第1の移動動作部3の実際の移動速度との間の関係はあらかじめ定められており、第1の移動動作部3の第1目標速度に応じて、各電動モータ8a,8bの回転速度の目標値が規定されるようになっている。
そして、第1制御処理部24は、電動モータ8a,8bの回転速度を第1目標速度に応じて規定される目標値にフィードバック制御することで、第1の移動動作部3の実際の移動速度を第1目標速度に制御する。
また、第2制御処理部25は、後述する演算処理を実行することで、第2の移動動作部4の移動速度(詳しくは、Y軸方向の並進速度)の目標値である第2目標速度を逐次算出し、Y軸方向での第2の移動動作部4の実際の移動速度を、第2目標速度に一致させるように電動モータ17の回転速度を制御する。
この場合、第1の移動動作部3の場合と同様に、電動モータ17の回転速度と、Y軸方向での第2の移動動作部4の実際の移動速度との間の関係はあらかじめ定められており、第2の移動動作部4の第2目標速度に応じて、電動モータ17の回転速度の目標値が規定されるようになっている。
そして、第2制御処理部25は、電動モータ17の回転速度を第2目標速度に応じて規定される目標値にフィードバック制御することで、Y軸方向での第2の移動動作部4の実際の移動速度を第2目標速度に制御する。
補足すると、本実施形態では、第2の移動動作部4のX軸方向での移動は、第1の移動動作部3のX軸方向の移動に追従して従動的に行なわれる。このため、X軸方向での第2の移動動作部4の移動速度の目標値を設定する必要はない。
なお、本明細書の実施形態の説明では、第1の移動動作部3の速度は、特にことわらない限り、第1の移動動作部3の接地点の移動速度を意味する。同様に、第2の移動動作部4の速度は、特にことわらない限り、第2の移動動作部4の接地点の移動速度を意味する。
次に、上記第1制御処理部24及び第2制御処理部25による処理をさらに詳細に説明する。まず、図4〜図8を参照して、第1制御処理部24による処理について説明する。
第1制御処理部24は、図4に示すように、その主要な機能部として、ジョイスティック12から入力される操作信号により示される該ジョイスティック12の前後方向の揺動量(Y軸周りの回転量)Js_x及び左右方向の揺動量(X軸周りの回転量)Js_yから車両1の移動のための速度指令に変換する操作指令変換部31と、車両1とその乗員搭乗部5に搭乗した乗員とを併せた全体の重心(以降、車両系全体重心という)の目標速度を決定する重心目標速度決定部32と、車両系全体重心の速度を推定する重心速度推定部33と、推定した車両系全体重心の速度を目標速度に追従させつつ、乗員搭乗部5の姿勢(基体2の姿勢)を安定化するように第1の移動動作部3の移動速度の目標値を決定する姿勢制御演算部34とを備える。そして、第1制御処理部24は、これらの各機能部の処理を、制御装置20の所定の演算処理周期で実行する。
なお、本実施形態では、車両系全体重心というのは、車両1の代表点の一例としての意味を持つものである。従って、車両系全体重心の速度というのは、その代表点の並進移動速度を意味するものである。
ここで、第1制御処理部24の各機能部の処理を具体的に説明する前に、その処理の基礎となる事項を説明しておく。車両系全体重心の動力学的な挙動(詳しくは、Y軸方向から見た挙動と、X軸方向から見た挙動)は、近似的に、図5に示すような倒立振子モデルの挙動により表現される。第1制御処理部24による処理のアルゴリズムは、この挙動を基礎として構築されている。
なお、図5の参照符号を含めて、以降の説明では、添え字“_x”はY軸方向から見た場合の変数等の参照符号を意味し、添え字“_y”はX軸方向から見た場合の変数等の参照符号を意味する。また、図5では、Y軸方向から見た場合の倒立振子モデルと、X軸方向から見た場合の倒立振子モデルとを併せて図示するために、Y軸方向から見た場合の変数の参照符号に括弧を付さないものとし、X軸方向から見た場合の変数の参照符号に括弧を付している。
Y軸方向から見た車両系全体重心の挙動を表す倒立振子モデルは、Y軸方向と平行な回転軸心を有して床面上を輪転自在な仮想的な車輪61_x(以降、仮想車輪61_xという)と、該仮想車輪61_xの回転中心から延設されて、該仮想車輪61_xの回転軸周りに(Y軸周り方向に)揺動自在なロッド62_xと、このロッド62_xの先端部(上端部)である基準部Ps_xに連結された質点Ga_xとを備える。
この倒立振子モデルでは、質点Ga_xの運動が、Y軸方向から見た車両系全体重心の運動に相当し、鉛直方向に対するロッド62_xの傾斜角度θb_x(Y軸周り方向の傾斜角度)が、乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向の傾斜角度に一致するものとされる。また、第1の移動動作部3のX軸方向の並進運動が、仮想車輪61_xの輪転によるX軸方向の並進運動に相当するものとされる。
そして、仮想車輪61_xの半径r_xと、基準部Ps_x及び質点Ga_xの床面からの高さh_xとは、あらかじめ設定された既定値(一定値)とされる。
同様に、X軸方向から見た車両系全体重心の挙動を表す倒立振子モデルは、X軸方向と平行な回転軸心を有して床面上を輪転自在な仮想的な車輪61_y(以降、仮想車輪61_yという)と、該仮想車輪61_yの回転中心から延設されて、該仮想車輪61_yの回転軸周りに(X軸周り方向に)揺動自在なロッド62_yと、このロッド62_yの先端部(上端部)である基準部Ps_yに連結された質点Ga_yとを備える。
この倒立振子モデルでは、質点Ga_yの運動が、X軸方向から見た車両系全体重心の運動に相当し、鉛直方向に対するロッド62_yの傾斜角度θb_y(X軸周り方向の傾斜角度)が、乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向の傾斜角度に一致するものとされる。また、第1の移動動作部3のY軸方向の並進運動が、仮想車輪61_yの輪転によるY軸方向の並進運動に相当するものとされる。
そして、仮想車輪61_yの半径r_yと、基準部Ps_y及び質点Ga_yの床面からの高さh_yとは、あらかじめ設定された既定値(一定値)とされる。なお、X軸方向で見た基準部Ps_y及び質点Ga_yの床面からの高さh_yは、Y軸方向で見た基準部Ps_x及び質点Ga_xの床面からの高さh_xと同じである。そこで、以降、h_x=h_y=hとおく。
ここで、Y軸方向から見た場合の上記基準部Ps_xと質点Ga_xとの位置関係について補足すると、基準部Ps_xの位置は、乗員搭乗部5に搭乗(着座)した乗員が、該乗員搭乗部5に対して予め定められた中立姿勢のまま不動であると仮定した場合における車両系全体重心の位置に相当している。
したがって、この場合には、質点Ga_xの位置は、基準部Ps_xの位置に一致する。このことは、X軸方向から見た場合の上記基準部Ps_yと質点Ga_yとの位置関係ついても同様である。
ただし、実際には、乗員搭乗部5に搭乗した乗員が、その上体等を乗員搭乗部5(又は基体2)に対して動かすことで、実際の車両系全体重心のX軸方向の位置及びY軸方向の位置は、一般には、それぞれ基準部Ps_x,Ps_yの位置から水平方向にずれることとなる。このため、図5では、質点Ga_x,Ga_yの位置をそれぞれ基準部Ps_x,Ps_yの位置からずらした状態で示している。
上記のような倒立振子モデルで表現される車両系全体重心の挙動は、次式(1a)、(1b)、(2a)、(2b)により表現される。この場合、式(1a),(1b)は、Y軸方向で見た挙動、式(2a),(2b)は、X軸方向で見た挙動を表している。
Vb_x=Vw1_x+h・ωb_x ……(1a)
dVb_x/dt=(g/h)・(θb_x・(h−r_x)+Ofst_x)+ωz・Vb_y ……(1b)
Vb_y=Vw1_y+h_y・ωb_y ……(2a)
dVb_y/dt=(g/h)・(θb_y・(h−r_y)+Ofst_y)−ωz・Vb_x ……(2b)
ここで、Vb_xは、車両系全体重心のX軸方向の速度(並進速度)、θb_xは乗員搭乗部5(又は基体2)のY軸周り方向の傾斜角度、Vw1_xは、仮想車輪61_xのX軸方向の移動速度(並進速度)、ωb_xはθb_xの時間的変化率(=dθb_x/dt)、Ofst_xは車両系全体重心のX軸方向の位置(質点Ga_xのX軸方向の位置)の、前記基準部Ps_xの位置からのX軸方向のずれ量、Vb_yは、車両系全体重心のY軸方向の速度(並進速度)、Vw1_yは、仮想車輪61_yのY軸方向の移動速度(並進速度)、θb_yは乗員搭乗部5(又は基体2)のX軸周り方向の傾斜角度、ωb_yはθb_yの時間的変化率(=dθb_y/dt)、Ofst_yは車両系全体重心のY軸方向の位置(質点Ga_yのY軸方向の位置)の、前記基準部Ps_yの位置からのY軸方向のずれ量である。また、ωzは車両1の旋回時のヨーレート(ヨー軸周り方向の角速度)、gは重力加速度定数である。
なお、θb_x、ωb_xの正方向は、車両系全体重心がX軸の正方向(前向き)に傾く方向、θb_y、ωb_yの正方向は、車両系全体重心がY軸の正方向(左向き)に傾く方向である。また、ωzの正方向は、車両1を上方から見た場合に、反時計周り方向である。
式(1a)の右辺第2項(=h・ωb_x)は、乗員搭乗部5のY軸周り方向の傾動によって生じる基準部Ps_xのX軸方向の並進速度成分、式(2a)右辺第2項(=h・ωb_y)は、乗員搭乗部5のX軸周り方向の傾動によって生じる基準部Ps_yのY軸方向の並進速度成分である。
補足すると、式(1a)におけるVw1_xは、詳しくは、ロッド62_xに対する(換言すれば乗員搭乗部5又は基体2に対する)相対的な仮想車輪61_xの周速度である。このため、Vw1_xには、床面に対する仮想車輪61_xの接地点のX軸方向の移動速度(床面に対する第1の移動動作部3の接地点のX軸方向の移動速度)に加えて、ロッド62_xの傾動に伴う速度成分(=r_x・ωb_x)が含まれている。このことは、式(1b)におけるVw1_yについても同様である。
また、式(1b)の右辺の第1項は、車両系全体重心のX軸方向の位置(質点Ga_xのX軸方向の位置)の、仮想車輪61_xの接地部(Y軸方向から見た第1の移動動作部3の接地部)の鉛直上方位置からのずれ量(=θb_x・(h−r_x)+Ofst_x)に応じて仮想車輪61_xの接地部に作用する床反力(図5のF)のX軸方向成分(図5のF_x)によって車両系全体重心に発生するX軸方向の加速度成分、式(1b)の右辺の第2項は、ωzのヨーレートでの旋回時に車両1に作用する遠心力によって発生するX軸方向の加速度成分である。
同様に、式(2b)の右辺の第1項は、車両系全体重心のY軸方向の位置(質点Ga_yのY軸方向の位置)の、仮想車輪61_yの接地部(X軸方向から見た第1の移動動作部3の接地部)の鉛直上方位置からのずれ量(=θb_y・(h−r_y)+Ofst_y)に応じて仮想車輪61_yの接地部に作用する床反力(図5のF)のY軸方向成分(図5のF_y)によって車両系全体重心に発生するY軸方向の加速度成分、式(2b)の右辺の第2項は、ωzのヨーレートでの旋回時に車両1に作用する遠心力によって発生するY軸方向の加速度成分である。
上記のように、式(1a)、(1b)により表現される挙動(X軸方向で見た挙動)は、ブロック線図で表現すると、図6に示すように表される。図中の1/sは積分演算を表している。
そして、図6における参照符号Aを付した演算部の処理が、式(1a)の関係式に該当しており、参照符号Bを付した演算部の処理が、式(1b)の関係式に該当している。
なお、図6中のh・θb_xは、近似的には、図5に示したDiff_xに一致する。
一方、式(2a)、(2b)により表現される挙動(Y軸方向で見た挙動)を表現するブロック線図は、図6中の添え字“_x”を“_y”に置き換え、参照符号Cを付した加算器への入力の一つである図中下側の加速度成分(遠心力によって発生する加速度成分)の符号“+”を“−”に置き換えることによって得られる。
本実施形態では、第1制御処理部24の処理のアルゴリズムは、上記のように車両系全体重心の基準部Ps_x,Ps_yからのずれ量と、遠心力とを考慮した車両系全体重心の挙動モデル(倒立振子モデル)に基づいて構築されている。
以上を前提として、第1制御処理部24の処理をより具体的に説明する。なお、以降の説明では、Y軸方向から見た挙動に関する変数の値と、X軸方向から見た挙動に関する変数の値との組を添え字“_xy”を付加して表記する場合がある。
図4を参照して、第1制御処理部24は、制御装置20の各演算処理周期において、まず、操作指令変換部31の処理と、重心速度推定部33の処理とを実行する。
図7に示すように、操作指令変換部31は、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量(すなわち、X軸周りの回転量)Js_yと、ジョイスティック12のX軸方向への揺動量(すなわちY軸周りの回転量)Js_xとに応じて、第1の移動動作部3の移動速度(並進速度)の基本指令値である基本速度指令Vjs_xyと、車両1の旋回時のヨー軸周り方向の角速度の基本指令値である基本旋回角速度指令ωjsとを決定する。
上記基本速度指令Vjs_xyのうち、X軸方向の基本速度指令Vjs_xは、処理部31aにて、ジョイスティック12のX軸方向への揺動量Js_xに応じて決定される。具体的には、揺動量Js_xが正方向の揺動量(前向きの揺動量)である場合には、X軸方向の基本速度指令Vjs_xは、車両1の前進方向への速度指令(正の速度指令)とされ、揺動量Js_xが負方向の揺動量(後向きの揺動量)である場合には、X軸方向の基本速度指令Vjs_xは、車両1の後進方向への速度指令(負の速度指令)とされる。
また、この場合、X軸方向の基本速度指令Vjs_xの大きさは、ジョイスティック12のX軸方向(前向き又は後向き)への揺動量Js_xの大きさが大きいほど、既定の上限値以下で、大きくなるように決定される。
なお、ジョイスティック12の正方向又は負方向への揺動量Js_xの大きさが十分に微小なものとなる所定の範囲を不感帯域として、その不感帯域内の揺動量では、X軸方向の基本速度指令Vjs_xをゼロに設定するようにしてもよい。図7の処理部31a中に示すグラフは、上記不感帯域を有する場合の入力(Js_x)と、出力(Vjs_x)との間の関係を示している。
また、基本速度指令Vjs_xyのうち、Y軸方向の基本速度指令Vjs_yは、車両1の旋回用の第1の移動動作部3のY軸方向の速度指令として、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量Js_yに応じて決定される。具体的には、揺動量Js_yが負方向の揺動量(右向きの揺動量)である場合には、Y軸方向の基本速度指令Vjs_yは、車両1の左向きへの速度指令(正の速度指令)とされ、揺動量Js_yが正方向の揺動量(左向きの揺動量)である場合には、Y軸方向の基本速度指令Vjs_yは、車両1の右向きへの速度指令(負の速度指令)とされる。この場合、Y軸方向の基本速度指令Vjs_yの大きさは、ジョイスティック12のY軸方向への(右向き又は左向きへの)揺動量の大きさが大きいほど、既定の上限値以下で、大きくなるように決定される。
より具体的には、例えば、図7に示す如く、処理部31bの処理によって、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量Js_yに応じて、車両1の旋回時のヨー軸周りの方向の角速度の基本指令値である基本旋回角速度指令ωjsが決定される。この場合、ジョイスティック12の揺動量Js_yが負方向の揺動量(右向きの揺動量)である場合には、基本旋回角速度指令ωjsは、右周り(時計周り)の旋回の角速度指令(負の角速度指令)とされ、ジョイスティック12の揺動量Js_yが正方向の揺動量(左向きの揺動量)である場合には、基本旋回角速度指令ωjsは、左周り(反時計周り)の旋回の角速度指令(正の角速度指令)とされる。この場合、基本旋回角速度指令ωjsの大きさは、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量の大きさが大きいほど、既定の上限値以下で、大きくなるように決定される。
そして、処理部31cにおいて、この基本旋回角速度指令ωjsに、車両1の瞬間旋回中心と第1の移動動作部3の接地点とのX軸方向の距離としてあらかじめ定められた所定値(>0)の(−1)倍の負の値Kを乗じることによって、第1の移動動作部3のY軸方向の基本速度指令Vjs_yが決定される。
従って、第1の移動動作部3のY軸方向の基本速度指令Vjs_yは、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量Js_yに応じて決定される基本旋回角速度指令ωjsに比例するように決定される。
ただし、基本速度指令Vjs_y又は基本旋回角速度指令ωjsの大きさは、ジョイスティック12のY軸方向への揺動量の大きさが十分に微小なものとなる所定の範囲を不感帯域として、その不感帯域内の揺動量では、Y軸方向の基本速度指令Vjs_y又は基本旋回角速度指令ωjsをゼロに設定するようにしてもよい。図7の処理部31b中に示すグラフは、上記不感帯域を有する場合の入力(Js_y)と、出力(ωjs)との間の関係を示している。
また、ジョイスティック12がX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)の両方に操作されている場合には、Y軸方向の基本速度指令Vjs_yの大きさを、ジョイスティック12のX軸方向への揺動量又はX軸方向の基本速度指令Vjs_xに応じて変化させるようにしてもよい。
なお、本実施形態では、ジョイスティック12のY軸方向(左右方向)への揺動操作に応じて決定される基本旋回角速度指令ωjs(又はY軸方向の基本速度指令Vjs_y)がゼロでない状態が、ジョイスティック12から旋回指令が出力されている状態に相当し、ωjs(又はVjs_y)がゼロとなる状態が、ジョイスティック12から旋回指令が出力されていない状態に相当する。
ここで、前後移動速度指令制限部26は、処理部31aにおいてジョイスティック12の揺動量Js_x(本発明の前後移動操作の操作量に相当する)に応じて決定される、X軸方向(前後方向)の基本速度指令Vjs_xを制限する処理を行う。前後移動速度指令制限部26は、図11(a)〜図11(c)に例示したジョイスティック12の揺動量Js_x(入力)に対する基本速度指令Vjs_x(出力)の設定マップにより、揺動量Js_xに対する基本速度指令Vjs_xを基本旋回角速度指令ωjsに応じて変更する。
図11(a)〜図11(c)のいずれかの設定マップにより、前後移動速度指令制限部26は、基本旋回角速度指令ωjsが高いほど、ジョイスティック12の揺動量Js_xの入力に対して出力する基本速度指令Vjs_xを低く設定する。例えば、図11(c)の設定マップでは、同一のJs_xに対するVjs_xが、全域に亘って|ωjs1|(<|ωjs2|)であるときよりも|ωjs2|であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、基本旋回角速度指令ωjsが高く、乗員が高速旋回を意図した操作を行っているときに、車体1の前後方向の速度を低く維持して車体1を旋回し易くし、乗員による車体1の旋回操作を容易にしている。
次に、前記重心速度推定部33は、前記倒立振子モデルにおける前記式(1a),(2a)に表される幾何学的な(運動学的な)関係式に基づいて、車両系全体重心の速度の推定値Vb_estm1_xyを算出する。
具体的には、図4のブロック線図に示したように、第1の移動動作部3の実際の並進速度Vw1_act_xyの値と、乗員搭乗部5の傾斜角度θb_xyの実際の時間的変化率(傾斜角速度)ωb_act_xyに、車両系全体重心の高さhを乗じてなる値とを加え合せることにより、車両系全体重心の速度の推定値Vb_estm1_xyを算出する。
すなわち、車両系全体重心のX軸方向の速度の推定値Vb_estm1_xとY軸方向の速度の推定値Vb_estm1_yとがそれぞれ、次式(3a),(3b)により算出される。

Vb_estm1_x=Vw1_act_x+h・ωb_act_x ……(3a)
Vb_estm1_y=Vw1_act_y+h・ωb_act_y ……(3b)

ただし、車両系全体重心の位置の基準部Ps_xyの位置からの前記ずれ量Ofst_xy(以降、重心ずれ量Ofst_xyという)の時間的変化率は、Vb_estm1_xyに比べ十分に小さく無視できるものとした。
この場合、上記演算におけるVw1_act_x,Vw1_act_yの値としては、本実施形態では、前回の演算処理周期で姿勢制御演算部34により決定された第1の移動動作部3の移動速度の目標値Vw1_cmd_x,Vw1_cmd_y(前回値)が用いられる。
ただし、例えば、電動モータ8a,8bのそれぞれの回転速度を回転速度センサ52a,52bにより検出し、それらの検出値から推定したVw1_act_x,Vw1_act_yの最新値(換言すれば、Vw1_act_x,Vw1_act_yの計測値の最新値)を式(3a),(3b)の演算に用いるようにしてもよい。
また、ωb_act_x,ωb_act_yの値としては、本実施形態では、加速度センサ50及び角速度センサ51の検出信号に基づく乗員搭乗部5の傾斜角度θbの計測値の時間的変化率の最新値(換言すれば、ωb_act_x,ωb_act_yの計測値の最新値)が用いられる。
第1制御処理部24は上記の如く操作指令変換部31及び重心速度推定部33の処理を実行した後、次に、図4に示す重心ずれ推定部35aの処理を実行することで、前記重心ずれ量Ofst_xyの推定値である重心ずれ量推定値Ofst_estm_xyを決定する。
この重心ずれ推定部35aの処理は、図8のブロック線図により示される処理である。なお、図8は、重心ずれ量推定値Ofst_estm_xyのうちのX軸方向の重心ずれ量推定値Ofst_estm_xの決定処理を代表的に表している。
図8の処理を具体的に説明すると、重心ずれ推定部35aは、加速度センサ50及び角速度センサ51の検出信号から得られた乗員搭乗部5のY軸周り方向の実際の傾斜角度θb_act_xの計測値(最新値)と、角速度センサ51の検出信号から得られた車両1の実際のヨーレートωz_actの計測値(最新値)と、重心速度推定部33により算出された車両系全体重心のY軸方向の速度の第1推定値Vb_estm1_y(最新値)と、前回の演算処理周期で決定したX軸方向の重心ずれ量推定値Ofst_estm_x(前回値)とを用いて、前記式(1b)の右辺の演算処理を演算部35a1で実行することにより、車両系全体重心のX軸方向の並進加速度の推定値DVb_estm_xを算出する。
さらに重心ずれ推定部35aは、車両系全体重心のX軸方向の並進加速度の推定値DVb_estm_xを積分する処理を演算部35a2で実行することにより、車両系全体重心のX軸方向の速度の第2推定値Vb_estm2_xを算出する。
次いで、重心ずれ推定部35aは、車両系全体重心のX軸方向の速度の第2推定値Vb_estm2_x(最新値)と、第1推定値Vb_estm1_x(最新値)との偏差を算出する処理を演算部35a3で実行する。
さらに、重心ずれ推定部35aは、この_偏差に所定値のゲイン(−Kp)を乗じる処理を演算部35a4で実行することにより、X軸方向の重心ずれ量推定値Ofst_estm_xの最新値を決定する。
Y軸方向の重心ずれ量推定値Ofst_estm_yの決定処理も上記と同様に実行される。具体的には、この決定処理を示すブロック線図は、図8中の添え字“_x”と“_y”とを入れ替え、加算器35a5への入力の一つである図中右側の加速度成分(遠心力によって発生する加速度成分)の符号“+”を“−”に置き換えることによって得られる。
このような重心ずれ推定部35aの処理によって、重心ずれ量推定値Ofst_estm_xyを逐次更新しつつ決定することによって、Ofst_estm_xyを実際の値に収束させるように決定することができる。
第1制御処理部24は、次に、図4に示す重心ずれ影響量算出部35bの処理を実行することによって、重心ずれ影響量Vofs_xyを算出する。
重心ずれ影響量Vofs_xyは、後述する姿勢制御演算部34において、車両系全体重心の位置が倒立振子モデルにおける前記基準部Ps_xyの位置からずれることを考慮せずにフィードバック制御を行った場合の車両系全体重心の目標速度に対する実際の重心速度のずれを表す。
具体的には、この重心ずれ影響量算出部35bは、新たに決定された重心ずれ量推定値Ofst_estm_xyの各成分に、(Kth_xy/(h-r_xy))/Kvb_xyという値を乗じることにより、重心ずれ影響量Vofs_xyを算出する。
なお、Kth_xyは、後述する姿勢制御演算部34の処理において、乗員搭乗部5の傾斜角度をゼロ(目標傾斜角度)に近づけるように機能する操作量成分を決定するためのゲイン値である。また、Kvb_xyは、後述する姿勢制御演算部34の処理において、車両系全体重心の目標速度Vb_cmd_xyと該車両系全体重心の速度の第1推定値おけるVb_estm1_xyとの偏差をゼロに近づけるように機能する操作量成分を決定するためのゲイン値である。
第1制御処理部24は、次に、図4に示す重心目標速度決定部32の処理を実行することによって、操作指令変換部31により決定された基本速度指令Vjs_xyと、重心ずれ影響量算出部35bにより決定された重心ずれ影響量Vofs_xyとに基づいて、制限後重心目標速度Vb_cmd_xyを算出する。
重心目標速度決定部32は、まず、図4に示す処理部32cの処理を実行する。この処理部32cは、重心ずれ影響量Vofs_xyの値に関する不感帯処理とリミット処理とを実行することで、車両系全体重心の目標値のうちの重心ずれに応じた成分としての目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xyを決定する。
具体的には、本実施形態では、重心目標速度決定部32は、X軸方向の重心ずれ影響量Vofs_xの大きさがゼロ近辺の所定の範囲である不感帯域内の値(比較的ゼロに近い値)である場合には、X軸方向の目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xをゼロにする。
また、重心目標速度決定部32は、X軸方向の重心ずれ影響量Vofs_xの大きさが不感帯域内から逸脱した値である場合には、X軸方向の目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xを、Vofs_xと同極性で、その大きさが、Vofs_xの大きさの増加に伴い大きくなるように決定する。ただし、目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xの値は、所定の上限値(>0)と下限値(≦0)との間の範囲内に制限される。
Y軸方向の目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yの決定処理も上記と同様である。
なお、重心速度推定部33と、重心ずれ推定部35aと、重心ずれ影響量算出部35bとにより、乗員の体重移動による重心ずれ影響量(乗員の体重移動による前後方向及び左右方向の速度指令操作の操作量)を求める構成は、本発明の操作部の機能に相当し、この構成とジョイスティック12とにより、本発明の操作部が構成される。
ここで、前後移動速度指令制限部26は、処理部32cにおいて重心ずれ影響量Vofs_x(X軸方向の体重移動による速度指令、本発明の前後移動操作の操作量に相当する)に応じて決定される、X軸方向(前後方向)の目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xを制限する処理を行う。
前後移動速度指令制限部26は、図10(a)〜図10(c)に例示した重心ずれ影響量Vofs_x(入力)に対する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_x(出力)の設定マップにより、重心ずれ影響量Vofs_xに対する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xを、基本旋回角速度指令ωjsに応じて変更する。
図10(a)〜図10(c)の設定マップにより、前後移動速度指令制限部26は、基準旋回角速度指令ωjsが高いほど、重心ずれ影響量Vofs_xの入力に対して出力する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xを小さく設定する。例えば、図10(c)の設定マップでは、同一のVost_xに対するVb_cmd_by_ofs_xが、不感帯を除く全域に亘って、|ωjs1|(<|ωjs2|)であるときよりも|ωjs2|であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、基本旋回角速度指令ωjsが高く、乗員が高速旋回を意図した操作を行っているときに、車体1の前後方向の速度を低く維持して車体1を旋回し易くし、乗員による車体1の旋回操作を容易にしている。
また、左右移動速度指令制限部27は、処理部32cにおいて重心ずれ影響量Vofs_y(Y軸方向の体重移動による速度指令、本発明の左右移動操作の操作量に相当する)に応じて決定される、Y軸方向(左右方向)の目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yを制限する処理を行う。
左右移動速度指令制限部27は、図12(a)〜図12(c)及び図14(a)〜図14(c)に例示した、重心ずれ影響量Vofs_y(入力)に対する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_y(出力)の設定マップにより、重心ずれ影響量Vofs_yに対する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yを、基本旋回角速度指令ωjsに応じて変更する。
図12(a)〜図12(c)は、基本旋回角速度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、重心ずれ影響量Vofs_yによる左右の移動方向が逆である場合、すなわち、ωjsが右回りの角速度指令(負の角速度指令)であってVofs_yが左方向への移動指令である場合、及び、ωjsが左回りの角速度指令(正の角速度指令)であってVofs_yが右方向への移動指令である場合を対象としている。
基本旋回角速度ωjsによる車体1の旋回方向と、重心ずれ影響量Vofs_yによる左右の移動方向が逆である場合に、Vofs_yによる左右方向の移動速度指令が高いと、第2の移動動作部4の電動モータ17に対する速度指令が過剰になるおそれがある。
そこで、左右移動速度指令制限部27は、図12(a)〜図12(c)のいずれかの設定マップにより、基本旋回角速度ωjsが高いほど、重心ずれ影響量Vofs_yの入力に対して出力する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yを小さく設定する。例えば、図12(c)の設定マップでは、同一のVofs_yに対するVb_cmd_by_ofs_yが、不感帯を除いた全域に亘ってωjs1,−ωjs1(|ωjs1|<|ωjs2|)であるときよりもωjs2,−ωjs2であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、電動モータ17の速度限界の範囲内で、車体1を旋回させることができるため、乗員による車体1の旋回操作を容易にすることができる。
次に、図14(a)〜図14(c)は、基本旋回角速度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、重心ずれ影響量Vofs_yによる左右の移動方向が同じである場合、すなわち、ωjsが右回りの角速度指定(負の角速度指令)であってVofs_yが右方向への移動指令である場合、及び、ωjsが左回りの角速度指令(正の角速度指令)であってVofs_yが左方向への移動指令である場合を対象としている。
基本旋回速度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、重心ずれ影響量Vofs_yによる左右の移動方向が同じである場合に、Vofs_yによる左右方向の移動速度指令が高いと、車体1の旋回が妨げられるおそれがある。
そこで、左右移動速度指令制限部27は、図14(a)〜図14(c)のいずれかの設定マップにより、基本旋回角速度ωjsが高いほど、重心ずれ影響量Vofs_yに対して出力する目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yを低く設定する。例えば、図14(c)の設定マップでは、同一のVofs_yに対するVb_cmd_by_ofs_yが、不感帯以外の全域に亘ってωjs1,−ωjs1(|ωjs1|<|ωjs2|)であるときよりもωjs2,−ωjs2であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、車体1の旋回操作を優先して、乗員による車体1の旋回操作を容易にしている。
次いで、重心目標速度決定部32は、操作指令変換部31により決定された基本速度指令Vjs_xyの各成分に目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xyの各成分を加え合わせてなる目標速度V1_xyを決定する処理を図4に示す処理部32dで実行する。すなわち、V1_x=Vjs_x+Vb_cmd_by_ofs_x、V1_y=Vjs_y+Vb_cmd_by_ofs_yという処理によって、V1_xy(V1_xとV1_yとの組)を決定する。
さらに、重心目標速度決定部32は、処理部32eの処理を実行する。この処理部32eでは、第1の移動動作部3のアクチュエータ装置8としての電動モータ8a,8bのそれぞれの回転速度を、所定の許容範囲から逸脱させることのないようにするために、目標速度V1_xとV1_yとの組み合わせを制限してなる車両系全体重心の目標速度としての制限後重心目標速度Vb_cmd_xy(Vb_cmd_x,Vb_cmd_yの組)を決定するリミット処理が実行される。
この場合、処理部32dで求められた目標速度V1_x,V1_yの組が、目標速度V1_xの値を縦軸、目標速度V1_yの値を横軸とする座標系上で所定の領域(例えば8角形状の領域)内に在る場合には、その目標速度V1_xyがそのまま制限後重心目標速度Vb_cmd_xyとして決定される。
また、処理部32dで求められた目標速度V1_x,V1_yの組が、上記座標系上の所定の領域から逸脱している場合には、該所定の領域の境界上の組に制限したものが、制限後重心目標速度Vb_cmd_xyとして決定される。
ここで、前後移動速度指令制限部26は、処理部32eにおいて目標速度V1_x(本発明の前後移動操作に相当する)に応じて設定される、X軸方向(前後方向)の制限後重心目標速度Vb_cmd_x(本発明の前後移動速度指定に相当する)を制限する処理を行う。前後移動速度指令制限部26は、上述した図7の処理部31aと同様に、図11(a)〜図11(c)に示した設定マップと同様の設定マップ(目標速度V1_xを入力して、制限後重心目標速度Vb_cmd_xを出力するマップ)により、基本旋回角速度指令ωjsが高いほど、目標速度V1_xの入力に対して出力する制限後重心目標速度Vb_cmd_xを低く設定する。
また、左右移動速度指令制限部27は、処理部32eにおいて基本速度指令Vjs_yと目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_yとを合成した目標速度V1_y(本発明の左右移動操作の操作量に相当する)に応じて決定される、Y軸方向(左右方向)の制限後重心目標速度Vb_cmd_yを制限する処理を行う。左右移動速度指令制限部27は、図13(a)〜図13(c)及び図15(a)〜図15(c)に例示した、目標速度V1_y(入力)に対する制限後重心目標速度Vb_cmd_y(出力)の設定マップにより、目標速度V1_yに対する制限後重心目標速度Vb_cmd_yを基本旋回角速度指令ωjsに応じて変更する。
図13(a)〜図13(c)は、基本旋回角度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、目標速度V1_yによる左右の移動方向が逆である場合、すなわち、ωjsが右回りの角速度指令(負の角速度指令)であってV1_yが左方向への移動指令である場合、及び、ωjsが左回りの角速度指令(正の角速度指令)であってV1_yが右方向への移動指令である場合を対象としている。
基本旋回角度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、目標速度V1_yによる左右の移動方向が逆である場合に、目標速度V1_yによる左右方向の移動速度指令が高いと、第2の移動動作部4の電動モータ17に対する速度指令が過剰になるおそれがある。
そこで、左右移動速度指令制限部27は、図13(a)〜図13(c)のいずれかの設定マップにより、基本旋回角速度ωjsが高いほど、目標速度V1_yの入力に対して出力する制限後重心目標速度Vb_cmd_yを低く設定する。例えば、図13(c)の設定マップでは、同一のV1_yに対するVb_cmd_yが、全域に亘ってωjs1,−ωjs1(|ωjs1|<|ωjs2|)であるときよりもωjs2,−ωjs2であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、電動モータ17の速度限界の範囲内で、車体1を旋回させることができるため、乗員による車体1の旋回操作を容易にすることができる。
次に、図15(a)〜図15(c)は、基本旋回角速度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、目標速度V1_yによる左右の移動方向が同じである場合、すなわち、ωjsが右回りの角速度指令(負の角速度指令)であってV1_yが右方向への移動指令である場合、及び、ωjsが左回りの角速度指定(正の角速度指令)であってV1_yが左方向への移動指令である場合を対象としている。
基本旋回速度指令ωjsによる車体1の旋回方向と、目標速度V1_yによる左右の移動方向が同じである場合に、V1_yによる左右方向の移動速度指令が高いと、車体1の旋回が妨げられるおそれがある。
そこで、左右移動速度指令制限部27は、図15(a)〜図15(b)のいずれかの設定マップにより、基本旋回角速度ωjsが高いほど、目標速度V1_yに対して出力する制限後重心目標速度Vb_cmd_yを低く設定する。例えば、図15(c)の設定マップでは、同一のV1_yに対するVb_cmd_yが、全域に亘ってωjs1,−ωjs1(|ωjs1|<|ωjs2|)であるときよりもωjs2,−ωjs2であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、車体1の旋回操作を優先して、乗員による車体1の旋回操作を容易にしている。
以上のように、前記基本速度指令Vjs_xyと、前記重心ずれ影響量Vofs_xy(または、重心ずれ)とに基づいて、重心目標速度Vb_cmd_xyが決定されるので、乗員は、操作器の操作(ジョイスティック12の操作)と、乗員の身体の姿勢の変化(体重移動)によって、車両1を操縦することができる。
以上のように重心目標速度決定部32の処理を実行した後、第1制御処理部24は、次に、姿勢制御演算部34の処理を実行する。この姿勢制御演算部34は、図4のブロック線図で示す処理によって、第1の移動動作部3の移動速度(並進速度)の目標値である第1目標速度Vw1_cmd_xyを決定する。
より詳しくは、姿勢制御演算部34は、まず、前記制限後重心目標速度Vb_cmd_xyの各成分から、重心ずれ影響量Vofs_xyの各成分を減じる処理を演算部34bで実行することにより重心ずれ補償後目標速度Vb_cmpn_cmd_xy(最新値)を決定する。
次いで、姿勢制御演算部34は、上記演算部34bと、積分演算を行う積分演算部34aとを除く演算部の処理によって、第1の移動動作部3の接地点の並進加速度の目標値である目標並進加速度DVw1_cmd_xyのうちのX軸方向の目標並進加速度DVw1_cmd_xと、Y軸方向の目標並進加速度DVw1_cmd_yとをそれぞれ次式(4a),(4b)の演算により算出する。

DVw1_cmd_x=Kvb_x・(Vb_cmpn_cmd_x−Vb_estm1_x)
−Kth_x・θb_act_x−Kw_x・ωb_act_x ……(4a)
DVw1_cmd_y=Kvb_y・(Vb_cmpn_cmd_y−Vb_estm1_y)
−Kth_y・θb_act_y−Kw_x・ωb_act_y ……(4b)

式(4a),(4b)におけるKvb_xy、Kth_xy、Kw_xyはあらかじめ設定された所定のゲイン値である。
また、式(4a)の右辺の第1項は、車両系全体重心のX軸方向の重心ずれ補償後目標速度Vb_cmpn_cmd_xy(最新値)と第1推定値Vb_estm1_x(最新値)との偏差に応じたフィードバック操作量成分、第2項は、乗員搭乗部5のY軸周り方向の実際の傾斜角度θb_act_xの計測値(最新値)に応じたフィードバック操作量成分、第3項は、乗員搭乗部5のY軸周り方向の実際の傾斜角速度ωb_act_xの計測値(最新値)応じたフィードバック操作量成分である。そして、X軸方向の目標並進加速度DVw1_cmd_xは、これらのフィードバック操作量成分の合成操作量として算出される。
同様に、式(4b)の右辺の第1項は、車両系全体重心のY軸方向の重心ずれ補償後目標速度Vb_cmpn_cmd_y(最新値)と第1推定値Vb_estm1_y(最新値)との偏差に応じたフィードバック操作量成分、第2項は、乗員搭乗部5のX軸周り方向の実際の傾斜角度θb_act_yの計測値(最新値)に応じたフィードバック操作量成分、第3項は、乗員搭乗部5のX軸周り方向の実際の傾斜角速度ωb_act_yの計測値(最新値)に応じたフィードバック操作量成分である。そして、Y軸方向の目標並進加速度DVw1_cmd_yは、これらのフィードバック操作量成分の合成操作量として算出される。
次いで、姿勢制御演算部34は、積分演算部34aによって、目標並進加速度DVw1_cmd_xyの各成分を積分することによって、第1の移動動作部3の第1目標速度Vw1_cmd_xy(最新値)を決定する。
そして、第1制御処理部24は、上記のように決定した第1目標速度Vw1_cmd_xyにしたがって第1の移動動作部3のアクチュエータ装置8としての電動モータ8a,8bを制御する。より詳しくは、第1制御処理部24は、第1目標速度Vw1_cmd_xyにより規定される各電動モータ8a,8bの回転速度の目標値に、実際の回転速度(計測値)を追従させるように、フィードバック制御処理により各電動モータ8a,8bの電流指令値を決定し、この電流指令値に従って、各電動モータ8a,8bの通電を行なう。このように、第1目標速度Vw1_cmd_xyに従って、第1の移動動作部3の電動モータ8a,8bの作動を制御する構成が、本発明の制御処理部に相当する。
以上の処理により、前記制限後重心目標速度Vb_cmd_xyが一定値であって、車両1の運動が整定し、車両1が一定速度で直進している状態においては、車両系全体重心は、第1の移動動作部3の接地点の真上に存在する。この状態では、乗員搭乗部5の実際の傾斜角度θb_act_xyは、式(1b)、(2b)に基づいて、−Ofst_xy/(h−r_xy)となる。また、乗員搭乗部5の実際の傾斜角速度ωb_act_xyはゼロ、目標並進加速度DVw1_cmd_xyはゼロとなる。このことと、図4のブロック線図から、Vb_estm1_xyとVb_cmd_xyとが一致することが導き出される。
すなわち、第1の移動動作部3の第1目標速度Vw1_cmd_xyは、基本的には、車両系全体重心の制限後重心目標速度Vb_cmd_xyと第1推定値Vb_estm1_xyとの偏差をゼロに収束させるように決定される。
また、車両系全体重心の位置が、倒立振子モデルにおける前記基準部Ps_xyの位置からずれることの影響を補償しつつ、前記処理部32eの処理によって、第1の移動動作部3のアクチュエータ装置8としての電動モータ8a,8bのそれぞれの回転速度が、所定の許容範囲から逸脱することのないように制御される。
以上が、本実施形態における第1制御処理部24の処理の詳細である。
次に、前記第2制御処理部25の処理を図9を参照して説明する。第2制御処理部25は、その処理を概略的に言えば、前記操作指令変換部31により決定される基本旋回角速度指令ωjsがゼロである状況(ジョイスティック12のY軸方向への揺動量Js_yがゼロもしくはほぼゼロである状況)では、車両1の並進移動を行なわせるために、第2の移動動作部4のY軸方向の移動速度(並進速度)の目標値である第2目標速度Vw2_cmd_yを、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yに一致させるように決定する。
また、第2制御処理部25は、前記基本旋回角速度指令ωjsがゼロでない状況では、車両1の旋回を行なわせるために、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yを、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yと異ならせるように決定する。
このような第2制御処理部25の処理は、具体的には次のように行なわれる。すなわち、図9を参照して、第2制御処理部25は、まず、処理部41において、旋回速度指令制限部28により基本旋回速度指定ωjsを制限する処理を行う。旋回速度指令制限部28は、図16(a)〜図16(c)に例示した基本旋回角速度指令ωjs(入力)に対する制限後旋回角速度指令ωjsc(出力)の設定マップにより、基本旋回角速度指令ωjsに対する制限後旋回角速度指令ωjscをX軸方向(前後方向)の移動速度の目標値Vw1_cmd_xに応じて設定する。
図16(a)〜図16(c)のいずれかの設定マップにより、旋回速度指令制限部28は、移動速度の目標値Vw1_cmd_xが低いほど、基本旋回角速度指令ωjsの入力に対して出力する制限後旋回角速度指令ωjscを低く設定する。図16(a)〜図16(c)は移動速度の目標値Vw1_cmd_xが正(車両1の前進を指示する目標値)である場合を示しており、例えば、図16(c)の設定マップでは、同一のωjsに対するωjscが、全域に亘って+Vw1_cmd_x2(>+Vw1_cmd_x1)であるときよりも+Vw1_cmd_x1であるときの方が低くなるように設定されている。
そして、これにより、前進を指示する移動速度の目標値Vw1_cmd_xが低く、乗員が低速での移動を意図しているときに、高速での旋回角速度指令がなされることを抑制している。
また、左右方向の移動速度の目標値Vw1_cmd_yについて、旋回速度指定制限部28により、Vw1_cmd_yが高いほど(左右移動操作の操作量が多いほど)、基本旋回角速度指令ωjsの入力に対して出力する制限後旋回角速度ωjscを低く設定するようにしてもよい。これによれば、車両1の左右方向の移動を優先して、電動モータ17の作動限界の範囲内で制限後旋回角速度指令ωjscを出力し、乗員による車両1の左右方向の移動操作を容易にすることができる。
次に、第2制御処理部25は、演算部42の処理を実行する。この演算部42は、制限後旋回角速度指令ωjscに、第1の移動動作部3と第2の移動動作部4の間のX軸方向の距離L(あらかじめ定められた値)の−1倍の値を乗算することによって、制限後旋回角速度指令ωjscの角速度で車両1の旋回を行なうための、第1の移動動作部3に対する第2の移動動作部4のY軸方向の相対速度の指令値である基本相対速度指令Vjs2_yを決定する。
次いで、第2制御処理部25は、上記基本相対速度指令Vjs2_y(最新値)を、第1制御処理部24で決定された第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_y(最新値)に加える処理を演算部43で実行することにより、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yを決定する。
次いで、第2制御処理部25は、図9中の演算部44で示すように、第2の移動動作部4のY軸方向における現在の実際の移動速度Vw2_act_yが、前記第2目標速度Vw2_cmd_y(最新値)に追従するように第2のアクチュエータ装置としての電動モータ17の電流(ひいては第2の移動動作部4の駆動力)を制御する。
具体的には、次式(5)の演算によって電動モータ17の電流指令値Iw2_cmdを決定し、さらに、モータドライバによって、電動モータ17の実際の電流をIw2_cmdに制御する。

Iw2_cmd=K2・(Vw2_cmd_y−Vw2_act_y) ……(5)

式(5)におけるK2はあらかじめ設定された所定のゲイン値である。
また、Vw2_act_yの値としては、本実施形態では、電動モータ17の回転速度の検出値(図示しないロータリエンコーダ等の回転速度センサによる検出値)から推定した値が用いられる。
なお、式(5)のVw2_cmd_y−Vw2_act_yの代わりに、Vw2_cmd_yにより規定される電動モータ17の回転速度の目標値と、該回転速度の計測値との偏差を用いてもよい。
以上の第2制御処理部25の制御処理によって、ジョイスティック12から旋回指令が出力されていない状況(基本旋回角速度指令ωjsがゼロである状況)では、前記第2目標速度Vw2_cmd_yは、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_y(最新値)に一致するように決定されることとなる。
また、ジョイスティック12から旋回指令が出力されている状況(基本旋回角速度指令ωjsがゼロでない状況)では、前記第2目標速度Vw2_cmd_yは、前記基本旋回角速度指令ωjsに応じて決定した基本相対速度指令Vjs2_y(最新値)を、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_y(最新値)に加えた値に決定される。すなわち、前記第2目標速度Vw2_cmd_yは、Vw1_cmd_y+Vjs2_yに一致するように決定される。
したがって、前記第2目標速度Vw2_cmd_yは、車両1の旋回が行なわれるように、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yと異なる速度値に決定されることとなる。
より詳しくは、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を右側(右周り方向)に旋回させようとする指令である場合(ωjsが時計周り方向の角速度である場合)には、基本相対速度指令Vjs2_yは左向きの速度とされる。
このとき、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yが左向きの速度である場合には、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yは、左向きの速度で、且つ、その大きさが、Vw1_cmd_yよりも大きい速度とされる。
また、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を右側(右周り方向)に旋回させようとする指令である場合において、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yが右向きの速度である場合には、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yは、右向きの速度で、且つ、その大きさが、Vw1_cmd_yよりも小さい速度とされるか、又は、Vw1_cmd_yと逆向き(左向き)の速度とされる。
一方、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を左側(左周り方向)に旋回させようとする指令である場合(ωjsが反時計周り方向の角速度である場合)には、基本相対速度指令Vjs2_yは右向きの速度とされる。
このとき、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yが右向きの速度である場合には、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yは、右向きの速度で、且つ、その大きさが、Vw1_cmd_yよりも大きい速度とされる。
また、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を左側(左周り方向)に旋回させようとする指令である場合において、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yが左向きの速度である場合には、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yは、左向きの速度で、且つ、その大きさが、Vw1_cmd_yよりも小さい速度とされるか、又は、Vw1_cmd_yと逆向き(右向き)の速度とされる。
以上が、第2制御処理部25の処理の詳細である。
なお、操作指令変換部31により、基本旋回角速度指令ωjs及び基本速度指令Vjs_xyを出力する構成と、重心ずれ推定部35aと重心ずれ影響量算出部35bと重心目標速度決定部により、目標重心速度加算量Vb_cmd_by_ofs_xy及び制限後重心目標速度Vb_cmd_xyを出力する構成とにより、本発明の速度指令出力部が構成されている。
また、移動速度の目標値Vw1_cmd_xyに応じて、第1制御処理部24が第1の移動動作部3の電動モータ8a,8bの通電制御を行い、また、第2制御処理部25が第2の移動動作部4の電動モータ17の通電制御を行う構成が、本発明の制御処理部に相当する。
以上説明した本実施形態の車両1では、乗員搭乗部5に搭乗した乗員の身体の動きに伴う該乗員搭乗部5(又は基体2)の前後方向(X軸方向)傾動に応じて、あるいは、ジョイスティック12の前後方向の揺動操作に応じてX軸方向での車両1の並進移動を行なうことができる。
また、乗員搭乗部5(又は基体2)の左右方向(Y軸方向)傾動に応じてY軸方向での車両1の並進移動を行なうことができる。
また、これらの並進移動を複合して、X軸方向及びY軸方向に対して傾斜した任意の方向にも車両1の並進移動を行なうこともできる。
また、ジョイスティック12の左右方向の揺動操作に応じて出力される旋回指令に応じて、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4のそれぞれのY軸方向の移動速度を異ならせることによって、車両1の左右のうちの該旋回指令により規定される側への車両1の旋回(方向転換)を行なうこともできる。
従って、ジョイスティック12等の操作器の複雑な操作や、乗員の身体の複雑な動きを必要とすることなく、車両1の並進移動や旋回を容易に行なうことができる。
また、車両1の停車時等、第1の移動動作部3のY軸方向の移動速度がゼロもしくはほぼゼロとなっている状況(第1目標速度Vw1_cmd_yがゼロもしくはほぼゼロとなっている状況)で、車両1の旋回を行なうべく乗員がジョイスティック12を左右方向に揺動させると、車両1の代表点としての車両系全体重心の目標速度Vb_cmd_xyには、ジョイスティック12の左右方向の揺動量に応じたY軸方向の速度成分としての基本速度指令Vjs_yが、ジョイスティック12の左右方向の操作が無いと仮定した場合の目標速度に付加される。
この速度成分Vjs_yは、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を左側(左周り方向)に旋回させようとする指令である場合には、右向きの速度となり、ジョイスティック12からの旋回指令が車両1を右側(右周り方向)に旋回させようとする指令である場合には、左向きの速度となる。
このため、第1の移動動作部3のY軸方向の第1目標速度Vw1_cmd_yと、第2の移動動作部4のY軸方向の第2目標速度Vw2_cmd_yとは、基本的には、互いに同じ向きとなると共に、Vw2_cmd_yが、Vw1_cmd_yよりも大きな大きさの速度となるように、Vw1_cmd_y及びVw2_cmd_yが設定される。
このため、ジョイスティック12の左右方向の揺動操作に応じた車両1の旋回(方向転換)は、その旋回中の各瞬間において、第1の移動動作部3及び第2の移動動作部4の接地面の前方の領域に存在する瞬間旋回中心を回転中心として、ヨー軸周り方向に該車両1が回転するように行なわれることとなる。
この結果、乗員搭乗部5に搭乗している乗員は、車両1の旋回挙動を体感的に認識しやすくなる。このため、車両1の乗員は、車両1の旋回挙動の認識を適切に行いつつ、所望の旋回挙動が得られるようにジョイスティック12を操作することができる。
また、例えば、第1の移動動作部3の第1目標速度Vw1_cmd_xyがゼロもしくはほぼゼロに設定されている状況で、ジョイスティック12から旋回指令が出力された場合には、第1の移動動作部3に関するY軸方向の基本速度指令Vjs_yとして、旋回用の速度指令(≠0)が設定される。このため、第1の移動動作部3をY軸方向に移動させつつ、車両1の旋回を行なうことができる。
このため、第1の移動動作部3と床面との間の摩擦力が軽減され、車両1の旋回を円滑に行うことができる。
また、本実施形態では、第1制御処理部24の重心ずれ推定部35aは、図8に示した処理によって、車両系全体重心の前記重心ずれ量Ofst_xyを推定する。そのため、該重心ずれ量を精度よく推定することができる。そして、この重心ずれ量Ofst_xyの推定値Ofst_estm_xyに応じて、前記した如く車両系全体重心の目標速度(制限後重心目標速度)Vb_cmd_xyが決定される。このため、前記重心ずれ量Ofst_xyが車両1の挙動に及ぼす影響を適切に補償することができる。
また、本実施形態の車両1では、基体2に対する第2の移動動作部4の揺動量(Y軸周り方向の揺動量)が、前記ストッパ16,16により規定される所定の範囲内に機構的に制限されるので、特に、乗員搭乗部5が、乗員が視認し難い後方側に過剰に傾倒するのを防止することができる。
次に、本実施形態の変形態様をいくつか説明する。
前記実施形態では旋回指令等を出力するための操作器として、ジョイスティック12を用いたが、ジョイスティックの代わりに、トラックボールや、タッチパッドを使用してもよく、あるいは、乗員による接触箇所を検知する荷重センサや、乗員が把持する姿勢センサ等を使用してもよい。
また、第2の移動動作部4は、前述のような一対の環状芯体及びそれに外挿される複数のローラ13で構成されるオムニホイール以外に、一つの環状芯体及びそれに外挿される複数のローラで構成されるものであっても良い。オムニホイール以外の構造、例えば、第1の移動動作部3と同様の構造のものであってもよい。
また、本実施形態では、加速度センサ50及び角速度センサ51の検出信号に基づいて、接地点速度を算出したが、他の種類のセンサを用いて接地点速度を検出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、前後移動速度指令制限部26による前後方向の移動速度の制限と、左右移動指令制限部27による左右方向の移動速度の制限と、旋回速度指令制限部28による旋回速度の制限とを行ったが、これらの制限のうちの少なくとも一つを行うことによって、本発明の効果を得ることができる。
1…倒立振子型車両、2…基体、3…第1の移動動作部、4…第2の移動動作部、5…乗員搭乗部、8a,8b…電動モータ(アクチュエータ装置)、17…電動モータ、12…ジョイスティック(操作器)、20…制御装置、24…第1制御処理部、25…第2制御処理部、26…前後移動速度指令制限部、27…左右移動速度指令制限部、28…旋回速度指令制限部、50…加速度センサ、51…角速度センサ、52a,52b…回転速度センサ、53…回転速度センサ。

Claims (4)

  1. 床面上を移動可能な第1の移動動作部と、
    前記移動動作部を駆動する第1のアクチュエータ装置と、
    前記第1の移動動作部及び前記第1のアクチュエータ装置が組み付けられた基体と、
    鉛直方向に対して傾動自在に前記基体に組み付けられた乗員搭乗部とを備え、
    前記第1の移動動作部が、前記第1のアクチュエータ装置の駆動力によって、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員の前後方向及び左右方向を含む全方向に移動可能に構成された倒立振子型車両であって、
    前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
    前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
    前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
    前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
    前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
    前記操作部に対して、前記旋回操作と前記前後移動操作とがなされているときに、前記旋回操作の操作量が多いほど、前記前後移動操作に応じた前記前後移動速度指令を低く設定する前後移動速度指令制限部と
    を備えたことを特徴とする倒立振子型車両。
  2. 床面上を移動可能な第1の移動動作部と、
    前記移動動作部を駆動する第1のアクチュエータ装置と、
    前記第1の移動動作部及び前記第1のアクチュエータ装置が組み付けられた基体と、
    鉛直方向に対して傾動自在に前記基体に組み付けられた乗員搭乗部とを備え、
    前記第1の移動動作部が、前記第1のアクチュエータ装置の駆動力によって、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員の前後方向及び左右方向を含む全方向に移動可能に構成された倒立振子型車両であって、
    前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
    前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
    前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
    前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
    前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
    前記操作部に対して、前記旋回操作と前記前後移動操作とがなされているときに、前記前後移動操作の操作量が少ないほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定する旋回速度指令制限部と
    を備えたことを特徴とする倒立振子型車両。
  3. 床面上を移動可能な第1の移動動作部と、
    前記移動動作部を駆動する第1のアクチュエータ装置と、
    前記第1の移動動作部及び前記第1のアクチュエータ装置が組み付けられた基体と、
    鉛直方向に対して傾動自在に前記基体に組み付けられた乗員搭乗部とを備え、
    前記第1の移動動作部が、前記第1のアクチュエータ装置の駆動力によって、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員の前後方向及び左右方向を含む全方向に移動可能に構成された倒立振子型車両であって、
    前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
    前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
    前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
    前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
    前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
    前記操作部に対して、前記旋回操作と前記左右移動操作とがなされているときに、前記左右移動操作の操作量が多いほど、前記旋回操作に応じた前記旋回速度指令を低く設定する旋回速度指令制限部と
    を備えたことを特徴とする倒立振子型車両。
  4. 床面上を移動可能な第1の移動動作部と、
    前記移動動作部を駆動する第1のアクチュエータ装置と、
    前記第1の移動動作部及び前記第1のアクチュエータ装置が組み付けられた基体と、
    鉛直方向に対して傾動自在に前記基体に組み付けられた乗員搭乗部とを備え、
    前記第1の移動動作部が、前記第1のアクチュエータ装置の駆動力によって、前記乗員搭乗部に搭乗した乗員の前後方向及び左右方向を含む全方向に移動可能に構成された倒立振子型車両であって、
    前記第1の移動動作部と前記前後方向に間隔を存して前記第1の移動動作部又は前記基体に連結され、床面上を前記全方向に移動可能に構成された第2の移動動作部と、
    前記第2の移動動作部の少なくとも前記左右方向への移動を行わせる駆動力を発生する第2のアクチュエータ装置と、
    前記乗員搭乗部に搭乗した乗員による、前記倒立振子型車両の前記前後方向の移動を指示する前後移動操作と、前記倒立振子型車両の前記左右方向の移動を指示する左右移動操作と、前記倒立振子型車両の旋回を指示する旋回操作とを受け付ける操作部と、
    前記前後移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記前後方向に移動させるための前後移動速度指令と、前記左右移動操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を前記左右方向に移動させるための左右移動速度指令と、前記旋回操作の操作量に応じた指令速度で、前記倒立振子型車両を旋回させるための旋回速度指令とを出力する速度指令出力部と、
    前記前後移動速度指令と前記左右移動速度指令と前記旋回速度指令とに応じて、前記第1のアクチュエータ装置と前記第2のアクチュエータ装置の作動により、前記第1の移動動作部と前記第2の移動動作部の移動動作を制御する制御処理部と、
    前記操作部に対して、前記旋回操作と前記左右移動操作とがなされているときに、前記旋回操作の操作量が多いほど、前記左右移動速度指令を低く設定する左右移動速度指令制限部と
    を備えたことを特徴とする倒立振子型車両。
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