JP5924390B2 - 試料採取ペン - Google Patents

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Description

本発明は、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬などの試験試料を採取するための試料採取ペンに関する。
近年、食品の安全への関心が高まり、青果物等(被採取体)の出荷時等に、青果物等の表面に残留(付着)した農薬(試験試料)を採取して、青果物等に付着した農薬の量や濃度などを測定して、青果物等が農薬に汚染されているかを判定することが行われている。
従来、青果物等に付着した農薬を採取するための採取体として、青果物等の表面から農薬を拭い取りやすいように、数平方センチメートル以下の小さな面積のシートを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−253893号公報
しかしながら、人の手で把持したシート状の採取体で、青果物等に付着した農薬(試験試料)を拭き取ると、青果物等に付着した農薬を拭き取り方がその都度異なる。そのため、拭き取った農薬(試験試料)が採取体の一部分に偏ってしまうことや、採取体において拭き取った農薬(試験試料)にムラが生じることがある。
本発明は、採取体における試験試料の拭き取りの偏りやムラを抑制した状態で、青果物等の被採取体に付着した試験試料を簡易な作業で採取することができる試料採取ペンを提供することを目的とする。
本発明は、プリズムを介して試験試料のスペクトルを測定するために用いられ、試験試料を採取可能な試料採取ペンであって、ペン本体と、前記ペン本体の一端に設けられるペン先部と、前記ペン先部の先端部の外形に沿って配置され、試験試料を拭き取り可能なシート状の採取体と、を備え、前記ペン先部は、前記先端部が設けられると共に前記採取体が配置される採取体配置部と、該ペン先部の外部に前記採取体を露出させる先端開口部を有すると共に前記採取体配置部に配置された前記採取体を前記先端開口部の周縁と前記採取体配置部との間において挟み込んで保持する採取体保持部と、を有し、前記先端部の外形は、曲面状であり、前記先端部は、前記先端開口部を介して前記ペン先部の外部に突出して配置され、前記ペン先部は、前記ペン本体に対して着脱可能であり、前記プリズムを介して試験試料のスペクトルを測定する場合に、前記先端部で前記採取体を押圧することにより前記採取体を前記プリズムに密着させる、試料採取ペンに関する。
また、前記先端部の材質は、柔軟性を有する材質であることが好ましい。
また、前記ペン先部は、付勢力を発生する部材により前記先端部側に向けて付勢されることが好ましい。
また、前記プリズムは、赤外分光計を用いた全反射法により前記採取体に採取された試験試料の赤外吸収スペクトルを一回反射により測定する際に用いられる一回反射型のプリズムであることが好ましい。
本発明によれば、採取体における試験試料の拭き取りの偏りやムラを抑制した状態で、青果物等の被採取体に付着した試験試料を簡易な作業で採取することができる試料採取ペンを提供することができる。
本発明の一実施形態における試料採取ペン1の全体構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態における試料採取ペン1を分解した構成を示す斜視図である。 本発明の一実施形態における試料採取ペン1のペン先部3周辺の断面図である。 本発明の一実施形態における試料採取ペン1において、ペン先部3をペン本体2から外した状態を示す斜視図である。 スペクトル測定装置7及び測定治具8の構成を示す断面図であって、(a)は、測定治具8をスペクトル測定装置7に装着する途中の状態を示す図であり、(b)は、測定治具8をスペクトル測定装置7に装着した状態を示す図である。 測定治具8にペン先部3を挿入してスペクトル測定装置7により赤外吸収スペクトルを測定する図であって、(a)は、測定治具8にペン先部3を挿入した直後の図であり、(b)は、測定治具8にペン先部3を挿入した後にクランプ加圧器74によりペン先部3を押圧した状態を示す図である。 実施例1について示す図であって、(a)は、ペン先部3の先端部41の外形が曲面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。 実施例2について示す図であって、(a)は、ペン先部3の先端部41の外形が曲面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。 比較例について示す図であって、(a)は、ペン先部3Aの先端部41Aの外形が平面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態における試験試料としての農薬を採取して測定するための構成について図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、農薬を採取するための試料採取ペン1、採取した農薬(試験試料)を測定する測定装置としてのスペクトル測定装置7、及び、スペクトル測定装置7に着脱可能な測定治具8について説明する。図1は、本発明の一実施形態における試料採取ペン1の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態における試料採取ペン1を分解した構成を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態における試料採取ペン1のペン先部3周辺の断面図である。図4は、本発明の一実施形態における試料採取ペン1において、ペン先部3をペン本体2から外した状態を示す斜視図である。
本実施形態の試料採取ペン1は、先端側にシート状の採取体6を配置して、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬(試験試料)を、ペンで筆記するような感覚で、簡易な操作で採取体6に付着させて採取可能である。試料採取ペン1は、後述するプリズム72を備えるスペクトル測定装置7において、プリズム72を介して農薬(試験試料)のスペクトルを測定するために、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬(試験試料)を採取する際に用いられる。
被採取体としては、例えば、葉菜類や茎菜類等の各種の野菜や、仁果類や柑橘類等の各種の果実など、種類が限定されない青果物であって、例えば、出荷時のものや輸入時のもの等が挙げられる。
図1及び図2に示すように、本実施形態の試料採取ペン1は、全体として、所定方向に延びている。試料採取ペン1は、長さ方向(軸方向)に延びるペン本体2と、ペン先部3と、採取体6と、を備える。
ペン本体2は、図3及び図4に示すように、弾性機構部21と、把持部22と、を有する。把持部22は、長さ方向に延びる円筒状に形成される。弾性機構部21は、後端側において、把持部22の一端側に固定されている。弾性機構部21は、先端側において、ペン先部3を着脱可能に連結する。
ペン本体2の詳細については後述する。
採取体6は、シート状に形成され、ペン先部3に保持される。採取体6は、拭き取りシート61と、不透過性シート62と、を有する。拭き取りシート61には、不透過性シート62が貼り付けられる。拭き取りシート61の一部は、不透過性シート62が拭き取りシート61に貼り付けられた場合に、不透過性シート62の開口621を介して外部に露出される。
採取体6の詳細については後述する。
ペン先部3は、ペン本体2の一端に設けられる。ペン先部3は、図2に示すように、採取体配置部4と、採取体保持部5と、を有する。ペン先部3においては、採取体配置部4にシート状の採取体6が配置され、採取体配置部4に配置されたシート状の採取体6を採取体保持部5が保持する。
採取体配置部4は、ペン本体2の長さ方向(軸方向)に延びており、ペン本体2(後述)よりも短い円柱状である。採取体配置部4の先端(一端)には、先端部41が設けられる。先端部41は、後述する採取体保持部5をペン本体2に取り付けた場合にペン先部3の先端に位置する(図3参照)。そのため、先端部41は、ペン先部3の先端部でもある。
先端部41の外形は、先端側に突出する曲面状である。先端部41の外形が曲面状とは、青果物等の被採取体の表面から農薬(試験試料)を拭き取る際に、青果物等の被採取体の表面と接する先端部41の外形の形状が、滑らかでエッジがないという形状であることを含む概念である。本実施形態においては、先端部41の外形は、例えば、半球面状である。
先端部41の材質は、柔軟性を有する材質である。柔軟性を有する材質としては、例えば、樹脂材料やゴム等が挙げられる。先端部41の材質を柔軟性を有する材質とする理由は、次の通りである。後述するスペクトル測定装置7を用いてプリズム72を介して拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合においては、拭き取りシート61をプリズム72に密着させて測定するため、プリズム72上に拭き取りシート61をクランプ加圧器74(後述)を用いて押圧して固定させる必要がある。このため、ペン先部3の先端部41としては、クランプ加圧器74(後述)で押圧した場合に、拭き取りシート61がプリズム72上に密着しやすいように、柔軟性を有して変形しやすいものが好ましいためである。
採取体配置部4の長さ方向の途中の環状溝には、採取体配置部4の周方向に沿って環状に形成される弾性リング体42が配置されている。弾性リング体42は、弾性変形する材料により形成されている。弾性リング体42は、後述する採取体保持部5を採取体配置部4に取り付けた場合に、採取体配置部4と採取体保持部5との間において弾性変形して、採取体配置部4に採取体保持部5を保持させる。
採取体保持部5は、採取体配置部4に配置されたシート状の採取体6を保持する。採取体保持部5は、採取体配置部4にシート状の採取体6を配置した状態で、採取体配置部4に取り付けられる。採取体保持部5は、筒状に形成される。採取体保持部5は、図2及び図3に示すように、先端傾斜部51と、保持体筒状部52と、フランジ部53と、を有する。
先端傾斜部51は、内縁から外縁に向かうにしたがって先端側から後端側に向かうように傾斜している。先端傾斜部51の先端には、先端傾斜部51の内縁により外郭が形成される先端開口部511が形成される。先端開口部511は、採取体保持部5と採取体配置部4とにシート状の採取体6が保持された場合に、シート状の採取体6を外部に露出させる部分である。
保持体筒状部52は、先端傾斜部51の後端に接続されており、試料採取ペン1の長さ方向(軸方向)に、円筒状に延びる。
フランジ部53は、保持体筒状部52の長さ方向(軸方向)の後端に設けられる。フランジ部53は、保持体筒状部52の外周面から、保持体筒状部52の周方向の全域に亘って径方向の外方に突出する。フランジ部53は、採取体配置部4への採取体保持部5の取り付け及び取り外しを容易とするために、手で保持しやすいように、保持体筒状部52の外周面から径方向に突出している。
採取体6は、図2及び図3に示すように、シート状に形成される。採取体6は、ペン先部3の採取体配置部4の先端部41の曲面状の外形に沿って配置される。採取体6は、拭き取りシート61と、不透過性シート62と、を有する。拭き取りシート61には、不透過性シート62が貼り付けられる。拭き取りシート61の一部は、不透過性シート62が拭き取りシート61に貼り付けられた場合に、後述する不透過性シート62の開口621を介して外部に露出される。
拭き取りシート61は、農薬(試験試料)を拭き取り可能である。拭き取りシート61は、シート状に形成される。拭き取りシート61は、シート状に形成されるため、青果物等の被採取体の表面から農薬(試験試料)を拭い取りやすい。
本実施形態においては、拭き取りシート61の外形は、円形状である。拭き取りシート61には、開口は形成されていない。
拭き取りシート61は、青果物等の被採取体の表面から農薬(試験試料)を拭い取ることができるシート状のものであれば特に限定されない。拭き取りシート61しては、例えば、セルロース繊維やガラス繊維やシリカ繊維等の材料からなるろ紙、綿等の天然繊維やポリエステル繊維やポリアミド繊維等の化学繊維からなる布帛、ゴムやプラスチックなどの樹脂材料からなる成形品が挙げられる。
但し、拭き取りシート61は、青果物等の被採取体の表面から農薬を拭き取りやすいことが好ましいため、疎水性を有するものが好ましい。ここでいう疎水性とは、水に対する親和性が低い性質をいい、そのような疎水性を有する拭き取りシート61は、例えば、分子内に疎水性官能基である炭化水素基、シラノール基、クロロアルキル基またはフルオロアルキル基等を有する材料からなるものが好ましい。このため、ろ紙の場合には、シリカ繊維からなるものが好ましく、布帛の場合には、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂繊維のような上述の疎水性官能基を有する合成樹脂繊維等の化学繊維からなるものが好ましい。また、セルロース繊維又はガラス繊維からなるろ紙や綿の布帛等のように、疎水性の弱い拭き取りシート61を用いる場合、この拭き取りシート61は、後述する疎水性溶媒を含浸させることで疎水性を付与することが好ましい。
また、拭き取りシート61は、後述するスペクトル測定装置7を用いてプリズム72を介して拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合においては、拭き取りシート61をプリズム72に密着させて測定する。そのため、プリズム72上に拭き取りシート61をクランプ加圧器74(後述)を用いて押圧して固定される必要があることから、プリズム72上に密接しやすい柔軟性を有するものが好ましい。拭き取りシート61は、面積が大きくなる程に青果物等の被採取体からの農薬(試験試料)の拭き取りムラを生じやすくなることから、ペン先部3において拭き取りシート61が外部に露出される面積が、数平方センチメートル以下(例えば、4.0cm以下、好ましくは0.1〜1.0cm程度)の小さな面積のものを用いるのが好ましい。
拭き取りシート61は、農薬(試験試料)の拭き取り残しを生じにくくできることから、疎水性溶媒を含むものが特に好ましい。疎水性溶媒は、農薬(試験試料)を溶解可能なものであれば各種のものを用いることができ、好ましくは20℃における水への溶解度が1g/100mL以下のものである。特に、常温常圧(20℃、1気圧)下で不揮発性のもの、例えば、沸点が120℃以上(好ましくは150℃以上)で蒸気圧(20℃)が1kPa以下(より好ましくは0.5kPa以下)の疎水性溶媒が好ましい。
好ましい疎水性溶媒としては、例えば、ノナンやデカン等の炭素数が9以上のアルカン、クロロパラフィンやフルオロパラフィン等の流動パラフィン、シリコンオイル(例えば、ジメチルシリコンオイルやメチルフェニルシリコンオイル等)およびサラダ油やコーン油等の食用油を挙げることができる。
また、拭き取りシート61で拭き取った際の農薬(試験試料)の回収率を向上させるため、拭き取りシート61への添加剤としては、前述の疎水性溶剤のほか、界面活性作用を示す界面活性剤の添加も有効である。
なお、拭き取りシート61の材料または拭き取りシート61に含める疎水性溶媒がベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香環を含むものである場合、この芳香環は赤外吸収ピークを発生する。このため、後述するスペクトル測定装置7を用いて拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合においては、拭き取りシート61自体又は疎水性溶媒自体の赤外吸収ピークが農薬による赤外吸収ピークに影響し、農薬の定量精度等を損なう可能性がある。したがって、拭き取りシート61の材料及び疎水性溶媒としては、芳香環を含まないものを用いるのが好ましい。例えば、採取体の材料としては、ガラス繊維やシリカ繊維のような無機系の繊維材料又は脂肪族系の繊維材料若しくは樹脂材料を用いるのが好ましく、疎水性溶媒としては脂肪族系のもの(例えば、シリコンオイルの場合はジメチルシリコンオイル等)を用いるのが好ましい。
また、後述するスペクトル測定装置7を用いて拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合においては、赤外吸収ピークを発生する原因となる元素、例えば、農薬の構成原子として含まれることが多い硫黄やリンを含む材料を用いた採取体は、芳香環を含む材料と同じく農薬の赤外吸収ピークに影響する赤外吸収ピークを発生する。そのため、硫黄やリンを含む材料を用いた採取体の使用を回避することが好ましい。
不透過性シート62は、シート状に形成される。本実施形態においては、不透過性シート62の外形は、円形状であり、拭き取りシート61と同じ大きさの外形を有する。不透過性シート62は、厚み方向に貫通する開口621を有する。不透過性シート62は、拭き取りシート61の表面側に貼り付けられる。
不透過性シート62は、農薬(試験試料)を実質的に透過しない不透過性の材料で形成される。拭き取りシート61は、不透過性シート62が貼り付けられた状態で、農薬(試験試料)を拭き取ることが可能である。
開口621は、不透過性シート62が拭き取りシート61に貼り付けられた場合に、拭き取りシート61の一部を外部に露出させる。開口621は、不透過性シート62の中央に設けられる。本実施形態においては、開口621は、円形状である。
不透過性シート62は、拭き取りシート61に貼り付けられた場合に、開口621において、拭き取りシート61と不透過性シート62とが同一平面に近くなるように、段差が少なく、厚みが薄いことが好ましい。本実施形態においては、不透過性シート62の厚みは、例えば、50μm〜100μmである。
開口621の大きさは、スペクトル測定装置7を用いてプリズム72を介して農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合に、プリズム72が露出される部分の大きさと同じか又は小さい。これにより、スペクトル測定装置7を用いて拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合に、開口621を介して、拭き取りシート61が外部に露出される全部を、プリズム72に密着させることができる。なお、後述するスペクトル測定装置7において、スペクトル測定装置7の測定台部71の円錐貫通孔711から外方にプリズム72が露出する部分の大きさは、例えば、直径3mmである。この場合には、開口621の大きさは、例えば、直径3mm又は直径3mm以下である。
不透過性シート62の材料としては、農薬(試験試料)を実質的に透過しない不透過性の材料であれば限定されない。例えば、不透過性シート62としては、農薬(試験試料)を実質的に透過しない材料で形成されたセロハンテープや、農薬(試験試料)を実質的に透過しない撥水性を有する滑らかなポリマー(重合体)等の材料で形成されたシート等が挙げられる。
ペン先部3は、図4に示すように、ペン本体2に対して着脱可能である。ペン先部3の長さ方向のペン本体2側の後端面には、図3及び図4に示すように、雌ネジ部3aが設けられている。ペン先部3の後端面の雌ネジ部3aは、後述するペン本体2の弾性機構部21の雄ネジ部2aに螺合可能である。
ペン先部3は、後述する弾性機構部21により、先端部41側に向けて付勢される。
ペン本体2は、図3及び図4に示すように、弾性機構部21と、把持部22と、を有する。
弾性機構部21は、図3及び図4に示すように、後端側において、把持部22の一端側に固定されている。弾性機構部21は、先端側において、ペン先部3を着脱可能に連結する。弾性機構部21の長さ方向のペン先部3側の一端面(先端面)には、雄ネジ部2aが設けられている。弾性機構部21の先端面の雄ネジ部2aは、ペン先部3の雌ネジ部3aに螺合可能である。これにより、弾性機構部21は、弾性機構部21の先端面の雄ネジ部2a及びペン先部3の雌ネジ部3aを介して、ペン先部3を着脱可能に連結する。
弾性機構部21は、押圧力の加減の違いや拭き取る人の押圧力に個人差があっても、ペン先部3に掛かった押圧力を吸収して、農薬(試験試料)を拭き取る際のペン先部3への荷重を安定させることを可能とする機構である。
弾性機構部21は、図3に示すように、筒状体211と、移動体212と、バネ部材213と、を有する。
筒状体211は、把持部22の一端(先端)に形成される。筒状体211は、円筒形状に形成される。筒状体211の一端側には、開口211aの外郭となる内方突出部211bが形成されている。内方突出部211bは、筒状体211の内周面から径方向の内方に突出する。移動体212(後述)がバネ部材213(後述)により付勢されても、移動体212(後述)の突出係止部212c(後述)は、内方突出部211bに係止される。そのため、移動体212(後述)が筒状体211から飛び出すことは規制される。
移動体212は、筒状体211の開口211aを介して筒状体211の内部と外部とに亘って配置されている。移動体212は、試料採取ペン1の長さ方向(軸方向)に移動可能である。移動体212は、第1部分212aと、第2部分212bと、を有する。第1部分212aは、筒状体211の内部に配置される。第2部分212bは、筒状体211の先端側の外部に配置される。
第1部分212aは、筒状体211の内部で径の中心に沿って軸方向に延びる。第1部分212aには、筒状体211の内方突出部211bに係止される突出係止部212cが径方向の外方に突出して形成される。
第2部分212bは、筒状体211の内部で径の中心に沿って軸方向に延びる中心部分と、先端側において中心部分から径方向に延びる円板部分と、円板部分の外縁から後端側に延びて筒状体211の先端側の外周面の一部を覆う筒状部分と、を有する。第2部分212bは、中心部分の後端において、第1部分212aの先端に接続される。
バネ部材213は、筒状体211の内部において、第1部分212aが挿入された状態で、筒状体211の底面と第1部分212aの突出係止部212cとの間に配置される。バネ部材213は、付勢力を発生する部材であり、移動体212をペン先部3側に向けて付勢する。これにより、ペン先部3は、バネ部材213により先端部41側に向けて付勢される。
移動体212は、ペン先部3が押圧されていない場合において、図3に示すように、バネ部材213に付勢されており、突出係止部212cが筒状体211の内方突出部211bに係止されるため、ペン先部3側に向けて付勢された状態で保持される。この場合には、ペン先部3は、先端部41側に向けて付勢されている。移動体212は、ペン先部3がバネ部材213の付勢力に抗して押圧される場合において、バネ部材213の付勢力に抗して後端部側に移動して、ペン先部3からの押圧力を吸収する。よって、農薬(試験試料)を拭き取る際のペン先部3への荷重を安定させることができる。
把持部22は、弾性機構部21の他端(後端)に連結されている。把持部22は、長さ方向(軸方向)に延びる円筒状に形成される。把持部22は、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬(試験試料)を採取する際に、人の手により把持される部分である。
次に、試料採取ペン1により採取された農薬(試験試料)のスペクトルを測定するスペクトル測定装置7及びスペクトル測定装置7に取り付けられる測定治具8について図面を参照しながら説明する。図5は、スペクトル測定装置7及び測定治具8の構成を示す断面図であって、(a)は、測定治具8をスペクトル測定装置7に装着する途中の状態を示す図であり、(b)は、測定治具8をスペクトル測定装置7に装着した状態を示す図である。図6は、測定治具8にペン先部3を挿入してスペクトル測定装置7により赤外吸収スペクトルを測定する図であって、(a)は、測定治具8にペン先部3を挿入した直後の図であり、(b)は、測定治具8にペン先部3を挿入した後にクランプ加圧器74によりペン先部3を押圧した状態を示す図である。
スペクトル測定装置7は、採取体6に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを、赤外分光計を用いた全反射法(ATR法)により測定する装置である。
ATR法は、プリズム72の表面に農薬(試験試料)が付着した採取体6を密着させることで、採取体6に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを得る方法であり、反射回数が1回で一箇所に単反射させる単反射型と反射回数が複数回で複数箇所に複数回反射させる多重反射型とがある。本実施形態においては、プリズム72として、ATR法の単反射型に用いられる一回反射法のプリズムを採用する。
なお、多重反射型の場合、農薬(試験試料)が付着した採取体が大きいとプリズムの表面に試験試料を均一に密着させることが難しく、また農薬(試験試料)が付着した採取体が特に大きい場合においては、農薬(試験試料)が付着した採取体とプリズムとの接触面積が大きくなる。そのため、採取体の面積当たりの農薬(試験試料)の濃度が低くなり、結果として農薬(試験試料)の定量精度等を損なう可能性がある。従って、本実施形態では、単反射型のATR法を採用する。
スペクトル測定装置7は、図5(a)に示すように、円錐貫通孔711が形成された測定台部71と、円錐貫通孔711に取り付けられたプリズム72と、プリズム72の下方に配置された集光レンズ73と、クランプ加圧器74と、不図示の赤外光入光部と、不図示の赤外光検出部と、不図示の赤外光解析部と、を備える。また、本実施形態においては、スペクトル測定装置7を使用する場合には、測定治具8(後述)をスペクトル測定装置7に取り付ける。
測定台部71は、厚みを有する板状の金属プレートで構成される。測定台部71には、円錐貫通孔711が形成される。円錐貫通孔711は、測定台部71の表面側から裏面側に向かうにしたがって径が大きくなるように形成される。円錐貫通孔711には、後述するプリズム72が配置される。円錐貫通孔711における測定台部71の表面における開口部分の大きさは、例えば、直径3mmである。
測定台部71には、位置合わせ凹部712が設けられる。位置合わせ凹部712は、測定台部71の表面側から内部側に窪む円環溝状に形成される。位置合わせ凹部712には、後述する測定治具8が測定台部71に取り付けられる際に、測定治具8の突出部85が挿入される。
プリズム72は、赤外分光計を用いた全反射法により採取体6に採取された農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを一回反射により測定する際に用いられる一回反射型のプリズムである。プリズム72は、測定台部71の円錐貫通孔711に配置される。プリズム72は、測定台部71の表面において、円錐貫通孔711を介して上部側に露出される。
プリズム72は、上方に向かうにしたがって径が小さくなる截頭円錐状に形成される。プリズム72における測定台部71の表面における大きさは、例えば、直径3mmである。プリズム72は、円錐貫通孔711における測定台部71の表面において、測定台部71の表面と同一平面上になるように配置される。プリズム72としては、例えば、ダイヤモンドプリズムなどが挙げられる。
集光レンズ73は、プリズム72の下方側に、プリズム72に近接又は当接して配置される。集光レンズ73は、赤外光入光部(不図示)により入光された赤外光をプリズム72の上面の中心部に集光させて、全反射して折り返される赤外光を赤外検出部(不図示)に集光させて検出させる。集光レンズ73を介して赤外検出部(不図示)に検出された赤外光は、赤外光解析部(不図示)により赤外吸収スペクトル情報として、解析される。
測定治具8は、プリズム72を介して農薬(試験試料)のスペクトルを測定するために、スペクトル測定装置7に取り付けられて用いられる。測定治具8は、スペクトル測定装置7に着脱可能に構成される。
測定治具8は、図5(a)及び(b)に示すように、板状部としての段差筒状板81を備える。段差筒状板81は、段差を有する円筒状の板状に形成される。段差筒状板81は、小径部82と、大径板状部83と、を有する。小径部82と大径板状部83は、一体に形成される。
小径部82は、円筒状に形成され、測定治具8がスペクトル測定装置7に装着された場合に、上方側に配置される。大径板状部83は、小径部82よりも大きい径の円筒状に形成され、測定治具8がスペクトル測定装置7に装着された場合に、下方側に配置される。
段差筒状板81は、小径部82と大径板状部83とに亘って、厚み方向に同じ径で貫通する貫通孔811を有する。段差筒状板81は、貫通孔811を介して、プリズム72を上方に露出させる。
段差筒状板81には、位置合わせ部84が設けられる。位置合わせ部84は、測定台部71の表面において、ペン先部3の軸方向に直交する方向の位置合わせを行うことが可能である。本実施形態においては、位置合わせ部84は、小径部82及び大径板状部83の内縁の部分であり、貫通孔811に沿った筒状に形成される。つまり、貫通孔811は、位置合わせ部84として機能する。位置合わせ部84は、農薬(試験試料)を拭き取り可能なシート状の採取体6を保持するペン先部3(保持体)を、貫通孔811を介してプリズム72に対して位置合わせをするように配置可能である。
段差筒状板81には、裏面側から下方に突出する突出部85が設けられている。突出部85は、段差筒状板81の外縁に沿って形成され、円環状である。突出部85は、スペクトル測定装置7の位置合わせ凹部712に挿入可能である。突出部85をスペクトル測定装置7の位置合わせ凹部712に挿入することで、測定治具8をスペクトル測定装置7に取り付ける。測定治具8をスペクトル測定装置7に取り付けると、位置合わせ部84(貫通孔811)の中心がプリズム72の中心(測定中心)に一致するように、位置合わせ部84は、プリズム72に対して位置決めされる。
以上のように構成される測定治具8を用いることにより、測定治具8がスペクトル測定装置7に取り付けた状態において、ペン先部3(保持体)は、位置合わせ部84に挿入されることで、ペン先部3の軸方向に直交する方向において、貫通孔811を介してプリズム72に対して位置合わせされる。そして、プリズム72を介して農薬(試験試料)のスペクトルを測定する場合に、拭き取りシート61が不透過性シート62に貼り付けられた状態で、ペン先部3(保持体)の先端部41で採取体6を押圧することにより採取体6をプリズム72に密着させる。これにより、ペン先部3を測定治具8の位置合わせ部84に挿入するだけで、拭き取りシート61の農薬(試験試料)の拭き取り中心とスペクトル測定装置7において測定する測定中心とを、一致させることができる。従って、スペクトル測定装置7における測定の精度を向上させることができる。
次に、試料採取ペン1で農薬(試験試料)を採取して、採取した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルをスペクトル測定装置7で測定する方法について説明する。
まず、図1に示す試料採取ペン1を使用して、青果物等の被採取体(不図示)の表面から農薬(試験試料)を採取する。試料採取ペン1で採取した農薬は、ペン先部3の先端部41において、拭き取りシート61に付着されている。ペン先部3の先端部41の外形が曲面状であるため、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬を、ほぼ点接触で拭き取ることができる。また、拭き取りシート61が不透過性シート62の開口621を介して露出しているため、農薬(試験試料)を拭き取りシート61の狭い範囲に集中させて採取することができる。
その後、図4に示すように、拭き取りシート61が保持された状態のペン先部3をペン本体2から取り外す。
続けて、図6(a)に示すように、ペン本体2から取り外したペン先部3を、スペクトル測定装置7に装着した測定治具8の筒状の位置合わせ部84に挿入する。これにより、ペン先部3は、ペン先部3の軸方向に直交する方向において、測定治具8の貫通孔811を介してプリズム72に対して位置合わせされる。
そして、ペン先部3が位置合わせされた状態で、スペクトル測定装置7のクランプ加圧器74によりペン先部3を押圧する。ペン先部3の先端部41の材質が柔軟性を有する材質であるため、クランプ加圧器74に押圧されることで、先端部41がプリズム72の表面に沿うように変形する。これにより、ペン先部3の先端部41でシート状の採取体6を押圧することで、採取体6を変形させて面接触でプリズム72に密着させることができる。この状態においては、拭き取りシート61が不透過性シート62に貼り付けられた状態で、拭き取りシート61及び不透過性シート62がプリズム72に面接触で密着する。
ここで、拭き取りシート61は、不透過性シート62の開口621を介して露出している。拭き取りシート61における開口621から露出する部分の周縁には、不透過性シート62が貼り付けられている。不透過性シート62は、拭き取りシート61と共に、プリズム72に密着する。
そのため、スペクトル測定装置7のクランプ加圧器74によりペン先部3を押圧した場合に、拭き取りシート61における開口621から露出する部分の周縁に貼り付けられている不透過性シート62が、拭き取りシート61の周縁をシールするシール材として機能する。これにより、スペクトル測定装置7を用いてプリズム72を介して拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する場合において、外部からの余計な赤外光の侵入を抑制し、かつ、赤外光入光部(不図示)により入光された赤外光の外部への漏れを抑制することができる。従って、スペクトル測定装置7は、不透過性シート62が拭き取りシート61における開口621から露出する部分の周縁においてシール材として機能するため、農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを精度よく測定することができる。
次に、スペクトル測定装置7においては、赤外分光計を用いた全反射法(ATR法)により、プリズム72を介して、赤外光入光部(不図示)により赤外光を拭き取りシート61に入光して、赤外吸収スペクトルを一回反射で全反射させる。赤外入光部(不図示)から入光された赤外光は、プリズム72を介して、農薬(試験試料)の内部に2μm程度潜り込んで全反射される。
その後、農薬(試験試料)から全反射された赤外光を、赤外光検出部(不図示)により検出する。そして、検出された赤外光を赤外光解析部(不図示)でATR法により解析して、赤外吸収スペクトル情報を得る。
続けて、スペクトル測定装置7においてATR法により測定した赤外吸収スペクトル情報を解析して、測定した赤外吸収スペクトル情報に基づいて農薬の付着の状態を判定する。
ATR法により測定した赤外吸収スペクトル情報の解析方法としては、予め用意した農薬成分用キャリブレーションモデルに赤外吸収スペクトルを適用し、農薬を検出する方法を採用することができる。このような解析方法は、例えば、特開2007−263883号公報において知られており、農薬成分用キャリブレーションモデルとして、同文献に記載の重回帰またはPLS(部分最小二乗法)回帰などにより作成した定量用検量線又は判別分析法若しくはSIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)法により作成された定性用キャリブレーションモデルを用いることができる。
本実施形態の試料採取ペン1によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態の試料採取ペン1は、プリズム72を介して農薬(試験試料)のスペクトルを測定するために用いられ、農薬(試験試料)を採取可能な試料採取ペン1であって、ペン本体2と、ペン本体2の一端に設けられるペン先部3と、ペン先部3の先端部41の外形に沿って配置され、農薬(試験試料)を拭き取り可能なシート状の採取体6と、を備える。先端部41の外形は、曲面状であり、プリズム72を介して農薬(試験試料)のスペクトルを測定する場合に、先端部41で採取体6を押圧することにより採取体6をプリズム72に密着させる。
ペン先部3の先端部41の外形が曲面状であるため、青果物等の被採取体の表面に付着した農薬を、ほぼ点接触で拭き取ることができる。これにより、採取体6の狭い範囲に農薬を集中させて拭き取ることができる。従って、拭き取る際の農薬(試験試料)の拭き取りの偏りや拭き取りムラを抑制することができる。
また、先端部41の外形が曲面状に滑らかであるため、エッジがある場合に比べて、拭き取る際の農薬(試験試料)の拭き取りの偏りや拭き取りムラを抑制することができる。
また、本実施形態においては、ペン先部3の先端部41の材質は、柔軟性を有する材質である。そのため、スペクトル測定装置7を用いてプリズム72を介して拭き取りシート61に付着した農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定する際に、ペン先部3をプリズム72に押圧して、先端部41を変形させて採取体6を面接触でプリズム72に密着させることができる。これにより、採取体6に採取された農薬(試験試料)を精度よく測定することができる。
また、本実施形態においては、ペン先部3は、付勢力を発生するバネ部材213により先端部41側に向けて付勢される。そのため、押圧力の加減の違いや拭き取る人の押圧力に個人差があっても、農薬(試験試料)を拭き取る際のペン先部3への荷重を安定させることができる。その結果、採取体6に採取された農薬(試験試料)を精度よく測定することができ、測定した農薬(試験試料)のデータを比較する際の精度がよくなる。
また、本実施形態においては、ペン先部3は、ペン本体2に対して着脱可能である。そのため、ペン先部3は試料採取ペン1よりも小さいため、ペン先部3に保持された採取体6の取り扱いが容易である。ペン先部3をスペクトル測定装置7にセットしやすいため、採取体6に付着した農薬(試験試料)のスペクトルを容易に測定することができる。
また、本実施形態においては、プリズム72は、赤外分光計を用いた全反射法により採取体6に採取された農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを一回反射により測定する際に用いられる一回反射型のプリズムである。そのため、本発明の上記構成のように、ペン先部3の先端部41を曲面状に構成して、青果物等の被採取体にほぼ点接触させて、農薬(試験試料)の付着を狭い範囲に集中させることができる構成において、狭い範囲に付着した農薬(試験試料)を測定する際に、一回反射型のプリズムを、好適に使用することができる。
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、ペン先部3の先端部41の外形を半球面状としたが、これに限定されない。ペン先部3の先端部41の外形は、曲面であればよく、例えば、楕円面等であってもよい。
また、前記実施形態においては、不透過性シート62の開口621は、不透過性シート62を拭き取りシート61に貼り付けられた場合に、拭き取りシート61の一部を露出させるように構成されているが、これに限定されず、拭き取りシート61の大きさを不透過性シート62の開口621の大きさと同じとすることで、拭き取りシート61の全部を露出させるように構成してもよい。
また、前記実施形態においては、ペン先部3を先端部41側に向けて付勢する付勢力を発生する部材として、バネ部材213を使用したが、これに限定されず、例えば、スポンジでもよい。
また、前記実施形態においては、測定治具8において、プリズム72に対して位置合わせをする位置合わせ部84に配置する保持体として、ペン先部3としたが、これに限定されない。保持体は、例えば、試料採取ペン1の全体であってもよい。
また、前記実施形態においては、試験試料を農薬としたが、これに限定されない。例えば、試験試料を、ATR法により赤外吸収スペクトルを測定可能な化学物質としてもよい。
また、前記実施形態においては、拭き取りシート61に不透過性シート62を貼り付けた状態で農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定するように構成したが、これに限定されない。拭き取りシート61から不透過性シート62を剥がして、拭き取りシート61の単体で農薬(試験試料)の赤外吸収スペクトルを測定するように構成してもよい。
また、前記実施形態において、測定治具8の突出部85及びスペクトル測定装置7の位置合わせ凹部712を、円環状としたが、これに限定されない。例えば、測定治具8の突出部85が、段差筒状板81の裏面から突出する2本以上の棒状部材で構成され、スペクトル測定装置7の位置合わせ凹部712が、2本以上の棒状部材を挿入可能な2つ以上の孔部で構成されていてもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例を用いて、本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものでない。図7は、実施例1について示す図であって、(a)は、ペン先部3の先端部41の外形が曲面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。図8は、実施例2について示す図であって、(a)は、ペン先部3の先端部41の外形が曲面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。図9は、比較例について示す図であって、(a)は、ペン先部3Aの先端部41Aの外形が平面状である場合を示す図であり、(b)は、採取体6に付着した農薬の分布を示す図であり、(c)は、農薬製剤の換算付着量と換算付着量の算出値との関係を示すグラフである。
まず、実施例及び比較例の評価動作を行う際の各種条件は次の通りである。
(試験片Pの調製)
蜜柑の果皮を1cm角の大きさで複数枚切り取り、複数枚の試験片P(図7(a)、図8(a)、図9(a)参照)を得た。そして、複数枚の試験片Pに対し、付着量(mg/cm)(有効成分としての付着量)になるよう農薬製剤(シンジェンタジャパン株式会社の「スプラサイド乳剤40」:有効成分としてメチダチオンを40重量%含有)を塗布した。
以下において、「付着量」を「換算付着量」に換算する。「換算付着量」は、平均的なLサイズの蜜柑(重量100g、表面積126cm)1kg当りの農薬製剤の付着量(有効成分としての付着量であり:単位はmg/kgである。)に換算したものである。
各試験片Pを濡れたウエス上に置いて試験装置内に配置し、各試験片P自体が干からびないように各試験片Pの表面(農薬製剤の塗布面)に気流を3時間流して農薬製剤を乾燥させた。そして、このように乾燥処理した各試験片Pを濡れたウエス上で24時間放置した。
(試験方法)
シリコンオイルを含浸させたセルロース繊維ろ紙を1cm角に切り取った拭き取りシート61(採取体)を、試料採取ペン1のペン先部3,3Aに保持させた状態で、試料採取ペン1を用いて、各試験片Pの表面(農薬製剤の塗布面)全面を拭き取りシート61で拭いた。ATR測定用のジンクセレンプリズムを備えたフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光株式会社の型番「FT/IR−4100」)を用い、分解能4cm−1、積算回数36の条件で各試験片Pの表面(農薬製剤の塗布面)の赤外吸収スペクトルを単反射型のATR法により測定した。そして、得られた赤外吸収スペクトルについて、400〜4,000cm−1の領域のデータをPLS定量ソフト(日本分光株式会社のPLS定量ソフトプログラム「PLS−4000」)により処理し、各試験片Pにおける農薬製剤の付着量(有効成分としての付着量)を求めた。この付着量から換算付着量を算出した。そして、下記実施例1、実施例2及び比較例について、換算付着量と換算付着量の算出値とをグラフ化した。
まず、以下の実施例1、実施例2、比較例の構成について説明する。実施例1、実施例2、比較例の基本的な構成は、図1及び図2に示す試料採取ペン1の構成と同じである。
図1及び図2に示す試料採取ペン1の構成と異なる構成について説明する。実施例1、実施例2、比較例においては、採取体6としては、不透過性シート62及び拭き取りシート61の両方を使用せずに、拭き取りシート61のみを使用して、拭き取りシート61をペン先部3,3Aに保持させた。
また、実施例1、実施例2、比較例において、それぞれ、次のような異なる構成とした。
〔実施例1〕
図7(a)に示すように、ペン先部3の先端部41の外形を曲面状とした。ペン先部3の先端部41の材質を、剛性を有する金属材料とした。この条件で、上記試験方法に基づき試験を行った。
〔実施例2〕
ペン先部3の先端部41の外形を、実施例1と同様に、図8(a)に示すように、曲面状とした。ペン先部3の先端部41の材質を、実施例1とは異なる材質とし、柔軟性を有する樹脂材料とした。この条件で、上記試験方法に基づき試験を行った。
〔比較例〕
図9(a)に示すように、ペン先部3Aの先端部41Aの外形を平面状とした。ペン先部3Aの先端部41Aの材質を、剛性を有する金属材料とした。この条件で、上記試験方法に基づき試験を行った。
(採取体に付着した農薬の分布)
採取体6に付着した農薬の分布を、実施例1について図7(b)に示し、実施例2について図8(b)に示し、比較例について図9(b)に示す。
実施例1においては、図7(b)に示すように、ペン先部3の先端部41が曲面状の先端の部分に農薬の付着が集中した。
実施例2においては、実施例1と同様に、図8(b)に示すように、ペン先部3の先端部41が曲面状の先端の部分に農薬の付着が集中した。
比較例においては、図9(b)に示すように、ペン先部3Aの先端部41Aが平面状のエッジ部分に農薬の付着が集中した。
(試験結果の評価)
換算付着量と換算付着量の算出値との関係について、実施例1においては、図7(c)のグラフが得られ、実施例2においては、図8(c)のグラフが得られ、比較例においては、図9(c)のグラフが得られた。
実施例1と実施例2と比較例とを対比すると、換算付着量と換算付着量の算出値とプロット点の関係を平均化した直線に対して、実施例2、実施例1、比較例の順で、換算付着量と換算付着量の算出値とのプロット点が平均化した直線に近い位置に集まって分布している。そのため、実施例2、実施例1、比較例の順で、換算付着量の算出値と換算付着量との相関性が高いため、バラツキが少なく、拭き取りムラが少ないことがわかる。
すなわち、実施例1及び実施例2は、比較例と比べて、換算付着量の算出値と換算付着量との相関性が高いため、バラツキが少なく、拭き取りムラが少ないことがわかった。
また、実施例2は、実施例1と比べて、換算付着量の算出値と換算付着量との相関性が更に高いため、バラツキがより少なく、拭き取りムラがより少ないことがわかった。
1 試料採取ペン
2 ペン本体
3 ペン先部
6 採取体
41 先端部
61 拭き取りシート
62 不透過性シート
72 プリズム
621 開口

Claims (4)

  1. プリズムを介して試験試料のスペクトルを測定するために用いられ、試験試料を採取可能な試料採取ペンであって、
    ペン本体と、
    前記ペン本体の一端に設けられるペン先部と、
    前記ペン先部の先端部の外形に沿って配置され、試験試料を拭き取り可能なシート状の採取体と、を備え、
    前記ペン先部は、前記先端部が設けられると共に前記採取体が配置される採取体配置部と、該ペン先部の外部に前記採取体を露出させる先端開口部を有すると共に前記採取体配置部に配置された前記採取体を前記先端開口部の周縁と前記採取体配置部との間において挟み込んで保持する採取体保持部と、を有し、
    前記先端部の外形は、曲面状であり、
    前記先端部は、前記先端開口部を介して前記ペン先部の外部に突出して配置され、
    前記ペン先部は、前記ペン本体に対して着脱可能であり、
    前記プリズムを介して試験試料のスペクトルを測定する場合に、前記先端部で前記採取体を押圧することにより前記採取体を前記プリズムに密着させる、試料採取ペン。
  2. 前記先端部の材質は、柔軟性を有する材質である、請求項1に記載の試料採取ペン。
  3. 前記ペン先部は、付勢力を発生する部材により前記先端部側に向けて付勢される、請求項1又は2に記載の試料採取ペン。
  4. 前記プリズムは、赤外分光計を用いた全反射法により前記採取体に採取された試験試料の赤外吸収スペクトルを一回反射により測定する際に用いられる一回反射型のプリズムである、請求項1からのいずれかに記載の試料採取ペン。
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