JP5924385B2 - 制御装置および液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、噴射ノズルから液体を噴射する技術に関する。
近年、手術手法の一つとして、水や生理食塩水などの液体を噴射ノズルから高圧で噴き付けることにより、生体組織を切開あるいは切除する手法が開発されている。こうした手術手法に用いられる液体噴射装置は、大まかには、噴射ノズルから噴射する液体が充填される液体室と、液体室の容積を変化させるアクチュエーターとによって構成されている(例えば、特許文献1)。アクチュエーターが駆動(伸長)することによって液体室の容積を減少させるので、液体室内の液体が加圧されて噴射ノズルから高圧の液体が噴射されるようになっている。
このような液体噴射装置では、液体室内に気泡が存在すると、気泡が収縮して液体室内にかかる圧力を吸収してしまうので、液体室内の液体を十分に加圧することができず、生体組織を切開・切除する能力が低下してしまう。そのため、液体室内に気泡が混入あるいは発生した場合には、手術を一旦止めて、気泡を噴射ノズルから排出させるなどによって液体室内の気泡を取り除く必要がある。
また、こうした液体噴射装置の正常動作時(液体室内に気泡の混入などがないとき)には、アクチュエーターが伸長して液体室内の液体を加圧する際の反力に基づいて駆動音(主にアクチュエーターを固定する部材からの振動音など)が発生する。これに対して、液体室内に気泡が混入するなどの動作異常が発生すると、液体噴射装置から発生する駆動音が小さくなる(駆動音の周波数や振幅が変化する)という傾向がある。
特開2008−082202号公報
しかしながら、このように気泡混入などの動作異常によって駆動音が小さくなるという液体噴射装置の傾向は、一般的に装置に何らかの動作異常が生じると大きな異常音が発生するという常識とは全く逆であることから、液体噴射装置の操作者が動作異常の発生(液体室内の気泡の存在)に気付かないまま、使用を継続してしまうおそれがあるという問題があった。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、液体室内に気泡が混入するなどの動作異常が発生したことを、操作者が容易に認識可能とする技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の液体噴射装置は次の構成を採用した。すなわち、
噴射ノズルから液体を噴射する液体噴射装置であって、
前記液体が供給されるとともに、前記噴射ノズルに接続された液体室と、
駆動電圧が印加されることによって、前記液体室の容積を前記駆動電圧が印加される前よりも減少させる液体室容積減少部と、
前記液体室に前記液体が供給された状態で、前記駆動電圧を前記液体室容積減少部に対して印加する駆動電圧印加手段と、
前記液体室容積減少部に前記駆動電圧を印加した時に発生する駆動音に含まれる可聴周波数成分のうちの少なくとも一部の周波数成分を有する疑似駆動音の音データを記憶している疑似駆動音データ記憶手段と、
前記駆動電圧を印加した時に、前記疑似駆動音の音データを用いて、前記駆動音の可聴周波数範囲での音圧を減少させるように前記疑似駆動音を出力する疑似駆動音出力手段と
を備えることを要旨とする。
このような本発明の液体噴射装置においては、液体室に液体が供給された状態で、液体室容積減少部に駆動電圧を印加することにより、液体室内の液体を加圧して噴射ノズルからパルス状に噴射することができる。また、駆動電圧を印加した時に液体室内の液体を加圧する反力で駆動音が発生する。本発明の液体噴射装置では、この駆動音に含まれる可聴周波数成分のうちの少なくとも一部の周波数成分を有する疑似駆動音の音データを記憶している。そして、駆動電圧を印加した時に、疑似駆動音の音データを用いて、駆動音の可聴周波数範囲での音圧を減少させるように疑似駆動音を出力するようになっている。尚、「駆動音の可聴周波数範囲での音圧を減少させる」とは、駆動音を完全に打ち消さなくてもよく、疑似駆動音が出力されない場合に比べて液体噴射装置の操作者に聞こえる駆動音の音量が小さくなっていればよい。
このような構成によれば、液体室内に気泡が混入していないときには、駆動電圧の印加によって発生する駆動音の少なくとも一部を、駆動電圧を印加した時に出力される疑似駆動音が打ち消すことにより、液体噴射装置の操作者には、疑似駆動音が出力されない場合に比べて静かに感じられる。一方、液体室内に気泡が混入すると、気泡が圧縮されることで液体室内の液体を加圧する際の反力が変化し、それに伴って、駆動電圧の印加によって発生する駆動音の周波数や音圧が変化する。その結果、記憶されている音データを用いて出力される疑似駆動音が、変化した駆動音を打ち消さなくなるので、変化した駆動音と疑似駆動音とが何れも操作者に聞こえるようになる。このように、液体室内に気泡がないときには、駆動音を打ち消して静音化させていたはずの疑似駆動音が、液体室内に気泡が混入して駆動音が変化すると、逆に騒音(警報音)となることから、操作者には、液体噴射装置から聞こえる音が急に大きくなったように感じられて、液体室内への気泡の混入を容易に認識することが可能となる。
また、液体室内に混入した気泡が噴射ノズルから排出されるなどによって気泡のない状態に戻ると、再び駆動音と疑似駆動音とが互いに打ち消し合うようになり、操作者には、騒音が小さくなったように感じられることから、液体室内の気泡が排除されたことを容易に確認することができる。このように、液体室内の気泡の有無と、操作者が感じる駆動音の大小との関係を、異常が発生すると駆動音が大きくなるという常識的な関係とすることができるので、操作者は、気泡の有無を直感的に認識することができる。このため、液体噴射装置を常に適切な状態で使用することが可能となる。
こうした本発明の液体噴射装置では、液体室容積減少部に印加される駆動電圧に応じて、疑似駆動音の音データを記憶しておいてもよい。
液体噴射装置では、噴射ノズルから液体を噴射する態様を切り換えるために、液体室容積減少部に印加される駆動電圧(例えば、印加される駆動電圧の大きさや、印加される駆動電圧の波形、あるいは駆動電圧が印加される周期など)を変更することが可能となっている。そして、液体室容積減少部に印加される駆動電圧を変更すると、駆動電圧の印加によって発生する駆動音の周波数や音圧も変化する。そこで、液体室容積減少部に印加される駆動電圧に応じて、駆動音の音圧を減少させる(静音化する)のに適した疑似駆動音の音データを記憶しておけば、印加される駆動電圧に対応する疑似駆動音の音データを用いて疑似駆動音を出力することにより、駆動音を適切に静音化しておくことができる。その結果、液体室内に気泡が混入した際には、騒音となって聞こえる疑似駆動音がより大きなものに感じられるので、操作者は、液体室内への気泡の混入を一層認識し易くなる。
また、こうした本発明の液体噴射装置では、駆動電圧を印加した時から遅れて疑似駆動音を出力することで、駆動音の可聴周波数範囲での音圧を減少させるようにしてもよい。
駆動音は、駆動電圧が印加される時に発生する。一方、駆動電圧を印加した時から遅れて疑似駆動音を出力することにより、駆動音の少なくとも一部を疑似駆動音が打ち消すように疑似駆動音の位相をずらすことができる。その結果、液体室内に気泡が混入した際には、操作者は、液体室内への気泡の混入を容易に認識することができる。
上述した本発明の液体噴射装置では、駆動電圧の印加から遅れて疑似駆動音を出力する時期を調整する出力時期調整手段を設けておいてもよい。
実際に発生する駆動音が最も静音化されるように疑似駆動音の出力時期を調整可能としておけば、適切な出力時期を容易に設定することができるとともに、適切に駆動音を静音化しておくことが可能となる。
また、前述した本発明の液体噴射装置では、駆動音に対して少なくとも一部の可聴周波数成分については逆位相となる疑似駆動音を、駆動電圧が印加される時期に合わせて出力することで、駆動音の可聴周波数範囲での音圧を減少させるようにしてもよい。
前述したように駆動音は、駆動電圧が印加される時に発生する。そして、この駆動音に対して逆位相となる疑似駆動音を、同じく駆動電圧が印加される時期に合わせて出力すれば、駆動音の少なくとも一部を疑似駆動音によって打ち消すことができるので、駆動音を静音化しておくことが可能となる。また、駆動電圧が印加される時期に合わせて疑似駆動音を出力するだけでよいので、出力時期の管理が容易となる。
また、こうした本発明の液体噴射装置では、次のようにしてもよい。先ず、駆動電圧の印加によって発生する駆動音を駆動音取得手段によって取得する。そして、取得された駆動音に基づいて疑似駆動音の音データを生成した後、記憶する。
このようにすれば、駆動電圧の印加によって実際に発生する駆動音に基づいて、この駆動音を静音化するのに適した疑似駆動音の音データを生成することができる。そのため、疑似駆動音の音データを用いて出力する疑似駆動音によって駆動音を適切に打ち消して静音化しておくことが可能となる。その結果、液体室内に気泡が混入した際に、操作者は、液体室内への気泡の混入を容易に認識することができる。
また、前述した本発明の液体噴射装置では、疑似駆動音の音データとして、駆動音に含まれる可聴周波数成分の中の何れか一つの周波数の正弦波形の音データを記憶しておいてもよい。
駆動電圧の印加によって実際に発生する駆動音には、様々な周波数成分が含まれている。そのため、疑似駆動音の音データとして、駆動音に含まれる可聴周波数成分の中の何れか一つの周波数の正弦波形の音データを用いて疑似駆動音を出力するようにすれば、駆動音の静音化を簡便に実現することができる。特に、駆動音の中で最も大きな音圧を有する周波数の正弦波形の音データを用いて疑似駆動音を出力すれば、高い静音効果を得ることができる。
上述した本発明の液体噴射装置では、次のようにしてもよい。先ず、正弦波形の位相あるいは振幅の少なくとも一方を調整する正弦波調整手段を設けておく。そして、正弦波形の位相あるいは振幅の少なくとも一方が調整された疑似駆動音の音データを用いて、疑似駆動音を出力する。
このように正弦波形の位相や振幅を実際の駆動音に合わせて調整可能としておけば、出力する疑似駆動音の波形を駆動音の波形に近づけることができるので、駆動音を静音化する精度を高めることが可能となる。
本実施例の液体噴射装置の大まかな構成を示した説明図である。 本実施例の液体噴射装置に搭載された噴射機構の構成を示した断面図である。 噴射機構のケースに貫通孔が設けられている様子を示した説明図である。 本実施例の液体噴射装置がキャンセル音を出力するために実行する処理(キャンセル音制御処理)の流れを示したフローチャートである。 噴射機構の液体室内に気泡が混入するなどの動作異常が発生した場合に、キャンセル音が警報音として機能する様子を示した説明図である。 第1変形例の液体噴射装置に搭載された噴射機構の構成を示した説明図である。 複数設定されている駆動電圧パターン毎に、固有のキャンセル音データが対応関係とともに予め記憶されている様子を概念的に示した説明図である。 第2変形例の液体噴射装置において、正弦波のキャンセル音データを用いて出力するキャンセル音によって駆動音を消音する様子を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.液体噴射装置の構成:
A−2.噴射機構の構成:
B.本実施例のキャンセル音出力動作:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
A.装置構成 :
A−1.液体噴射装置の構成 :
図1は、本実施例の液体噴射装置10の大まかな構成を示した説明図である。図示した液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体を高圧で噴き付けることで生体組織を切開あるいは切除する手術方法に用いられるものであるが、これ以外の用途に用いられるものであっても構わない。
図示されているように、本実施例の液体噴射装置10は、水や生理食塩水などの液体を加圧して噴射するための噴射機構50や、噴射する液体を噴射機構50に供給するための供給ポンプ150や、噴射する液体を収容する液体タンク160などから構成されている。供給ポンプ150は、液体通路152によって液体タンク160と接続されており、供給ポンプ150が液体タンク160から吸い上げた液体は、接続チューブ140を介して噴射機構50に供給される。
噴射機構50には、先端に噴射口132(噴射ノズル)が設けられた流路管130が接続されており、噴射機構50内で加圧された液体は、流路管130を通って先端の噴射口132から噴射される。液体噴射装置10の操作者は、噴射機構50のケース100を把持し、切開あるいは切除する生体組織に噴射口132を向けて液体を噴射することにより、生体組織を切開あるいは切除することが可能となっている。
A−2.噴射機構の構成 :
図2は、本実施例の液体噴射装置10に搭載された噴射機構50の構成を示した断面図である。図2(a)に示されているように、噴射機構50は、プラスチックなどの軽量で一定の強度を有する材料で形成されたケース100の内部に、水や生理食塩水などの液体が充填される液体室102や、供給ポンプ150によって供給される液体を液体室102まで導く供給流路104や、液体室102内の液体を流路管130へと導く噴射流路106などが設けられている。この液体室102の一端面は、金属薄板などで形成されたダイアフラム108によって構成されている。
また、噴射機構50のケース100内には、液体室102の容積を変化させるアクチュエーターとしてのピエゾ素子110が設けられている。このピエゾ素子110は、底板と呼ばれる板状部材114に固定されている。そして、筒状に形成されたハウジング112内にピエゾ素子110を収納して板状部材114をハウジング112に固定した状態では、ダイアフラム108の液体室102とは反対側の面にピエゾ素子110が接するようになっており、ピエゾ素子110とダイアフラム108とが接着されている。このように配置されたピエゾ素子110は、駆動電圧を印加すると伸長することから、これを利用して次のように液体を噴射するようになっている。
先ず、ピエゾ素子110に駆動電圧を印加していない状態では、図2(a)に示すように、ピエゾ素子110は伸長しておらず、液体室102は、供給ポンプ150から供給される水や生理食塩水などの液体によって満たされる。このように液体室102が液体で満たされた状態で、図示しない電源(駆動電圧印加手段)からピエゾ素子110に駆動電圧を印加すると、図2(b)に示すように、ピエゾ素子110が伸長してダイアフラム108を液体室102に向けて押すので、液体室102の容積は減少し、液体室102内の液体が加圧される。尚、液体室102には、前述したように供給流路104および噴射流路106の2つの流路が接続されているが、これらの流路はいずれも細く形成されているため、ピエゾ素子110の伸長により液体室102の容積を減少させることで液体室102内の液体を十分に加圧することができる。このように、ピエゾ素子110とダイアフラム108とは、液体室102の容積を減少させる液体室容積減少部を構成している。
こうして液体室102内で加圧された液体は、液体室102に接続された噴射流路106に向けて押し出される。このとき、液体室102内の液体は、噴射流路106だけでなく供給流路104に向けても押し出されるが、流路への液体の流入し易さは、流路の長さや流路の断面積等によって定まるので、供給流路104および噴射流路106の長さや断面積を適切に設定しておけば、供給流路104への液体の流入量を噴射流路106への液体の流入量に比べて少なくすることが可能である。そのため、液体室102内で加圧された液体は、もっぱら噴射流路106に向けて押し出され、流路管130を通って先端の噴射口132から高い流速で噴射される。尚、本実施例の液体噴射装置10では、噴射口132の内径が流路管130の内径よりも小さく設定されていることから、噴射口132から噴射される液体の流速をさらに高めることが可能である。
以上のようにして液体を噴射したら、ピエゾ素子110への駆動電圧の印加を停止する(駆動電圧を減少させる)ことによりピエゾ素子110は元の長さに戻ることから、それに伴って液体室102の容積も元に戻り、供給ポンプ150から液体室102に液体が供給される(図2(a)参照)。その後、再度駆動電圧を印加することよりピエゾ素子110を伸長させれば(図2(b)参照)、噴射口132から再び液体を高い流速で噴射することができる。こうした動作を繰り返すことにより、本実施例の液体噴射装置10では、高い流速の液体をパルス状に噴射することが可能となっており、高い流速で噴射された液体が生体組織に衝突する際の高い圧力を利用して、生体組織を切開あるいは切除する能力を高めている。
その一方で、液体を噴射するためにピエゾ素子110を駆動させると、噴射機構50の内部から液体噴射装置10の操作者にとって耳障りな駆動音が発生する。この駆動音は、ピエゾ素子110の伸縮動作自体や、ピエゾ素子110が液体室102内の液体を加圧する際の反力により、ピエゾ素子110を固定する板状部材114やハウジング112などが振動することで発生する。
そこで、本実施例の液体噴射装置10には、液体の噴射に伴って発生する駆動音を消音する(駆動音の音圧を減少させる)ための消音機構118が設けられている。図2(a)に示されているように、消音機構118は、噴射機構50で発生する駆動音をサンプリングするマイクロホン120(駆動音取得手段)と、サンプリングした駆動音を打ち消す(相殺する)キャンセル音(疑似駆動音)を発生させるスピーカー122(疑似駆動音出力手段)と、サンプリングした駆動音に基づいて発生させるキャンセル音を制御するキャンセル音制御部124などから構成されている。本実施例の噴射機構50のケース100内には、ハウジング112や板状部材114の周囲に空間116が設けられており、この空間116にマイクロホン120およびスピーカー122が設置されている。また、スピーカー122は、駆動音の主な発生源である板状部材114に向けて設置されている。本実施例では、キャンセル音制御部124は、噴射機構50のケース100とは別体に設けられているが、スペースに余裕があれば、噴射機構50のケース100内に設けておいてもよい。
加えて、噴射機構50のケース100には、内側の空間116から外側に貫通する貫通孔126が設けられており、本実施例では、図3に示すように、スピーカー122が取り付けられたケース100の端面に、スピーカー122を取り囲むようにして6つの貫通孔126が設けられている。詳しくは後述するが、本実施例の液体噴射装置10では、噴射機構50の液体室102に気泡が混入するなどの動作異常が発生すると、スピーカー122から出力されるキャンセル音が貫通孔126から漏れ聞こえることによって、液体噴射装置10の操作者が動作異常の発生を容易に認識することが可能となっている。尚、貫通孔126には、ケース100の内部に異物が入ることを防止するためにメッシュ部材が嵌め込まれている。
本実施例の液体噴射装置10では、以上のような噴射機構50によって、噴射口132から高い流速の液体をパルス状に噴射するとともに、液体の噴射に伴って発生する駆動音を消音するようになっている。以下では、本実施例の液体噴射装置10において、液体の噴射に伴って発生する駆動音を消音するためにキャンセル音を出力する動作について説明する。
B.本実施例のキャンセル音出力動作 :
図4は、本実施例の液体噴射装置10がキャンセル音を出力するために実行する処理(キャンセル音制御処理)の流れを示したフローチャートである。この処理は、液体の噴射が開始されると、キャンセル音制御部124(疑似駆動音データ生成手段に相当)によって実行される。
キャンセル音制御処理を開始すると、先ず初めに、液体の噴射に伴って噴射機構50のケース100内で発生する駆動音を、ケース100内に設置したマイクロホン120でサンプリングする(ステップS100)。前述したように、本実施例の液体噴射装置10では、ピエゾ素子110に駆動電圧を印加することにより液体をパルス状に噴射するようになっている。そして、駆動音は、駆動電圧の印加によりピエゾ素子110が伸長することに伴って発生することから、ステップS100では、駆動電圧の印加から次の駆動電圧の印加までを一周期として駆動音をサンプリングするようになっている。
駆動音をサンプリングしたら、続いて、サンプリングした駆動音の位相を反転させて逆位相のキャンセル音データ(疑似駆動音の音データ)を生成した後(ステップS102)、生成したキャンセル音データを記憶する(ステップS104)。詳しくは後述するが、駆動音の周波数は、ピエゾ素子110に印加される駆動電圧の周波数(駆動周波数)に依存しており、駆動周波数の整数倍の周波数帯に強い成分を有している。また、本実施例の液体噴射装置10では、キャンセル音制御部124にキャンセル音データ記憶部(疑似駆動音データ記憶手段)が設けられており、生成したキャンセル音データは、このキャンセル音データ記憶部に記憶される。
こうして駆動音に対して逆位相のキャンセル音データを記憶すると、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加されるタイミングで、キャンセル音データをスピーカー122に送信することにより、キャンセル音をスピーカー122から出力する(ステップS106)。前述したように、スピーカー122は、駆動音の主な発生源である板状部材114に向けて設置されており(図2(a)参照)、駆動音とスピーカー122からのキャンセル音とが互いに打ち消し合うことによって、液体噴射装置10の操作者にとって耳障りな駆動音が消音される(駆動音の音圧が減少する)。
キャンセル音データをスピーカー122に送信してキャンセル音を出力したら、液体の噴射を停止したか否かを判断する(ステップS108)。液体の噴射を停止しているとき、すなわちピエゾ素子110が駆動していないときには、駆動音は発生せず、キャンセル音を出力する必要がないことから、ステップS108では、液体の噴射を停止したか否かを確認することとしている。
そして、液体の噴射を継続している場合は(ステップS108:no)、液体の噴射に伴って発生する駆動音を消音するため、ステップS106の処理に戻って、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加されるタイミングでキャンセル音データをスピーカー122に送信し、スピーカー122からキャンセル音を出力する。こうしてピエゾ素子110に駆動電圧が印加される度に、スピーカー122からキャンセル音を出力する処理を繰り返すうちに、液体の噴射を停止した場合は(ステップS108:yes)、図4のキャンセル音制御処理を終了する。
本実施例の液体噴射装置10では、以上のようなキャンセル音制御処理を実行して、駆動音とは逆位相のキャンセル音をスピーカー122から出力することにより、液体の噴射に伴って発生する駆動音を消音している。ここで、前述したように、実施例の液体噴射装置10では、マイクロホン120でサンプリングした駆動音から生成したキャンセル音データを記憶し、記憶しているキャンセル音データを用いてキャンセル音を出力している。このように固定のキャンセル音を出力して駆動音を消音することにより、液体室102に気泡が混入するなどの動作異常が発生した場合には、キャンセル音が警報音として機能することから、液体噴射装置10の操作者が動作異常の発生を容易に認識することが可能となっている。以下では、この点について詳しく説明する。
図5は、噴射機構50の液体室102内に気泡が混入するなどの動作異常が発生した場合に、キャンセル音が警報音として機能する様子を示した説明図である。先ず、図5(a)には、液体を噴射するためにピエゾ素子110に駆動電圧を印加する様子が例示されている。前述したように、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加されると、ピエゾ素子110が伸長して液体室102の容積を減少させるので、液体室102内で加圧された液体が噴射口132から噴射される。その後、ピエゾ素子110に印加される駆動電圧が減少すると、ピエゾ素子110が元の長さに戻り、それに伴って液体室102の容積も回復して液体が液体室102に充填される。すると、再び駆動電圧がピエゾ素子110に印加されて、噴射口132から高圧の液体が噴射される。このようにピエゾ素子110に駆動電圧を印加することにより、液体をパルス状に噴射することが可能となっている。
液体をパルス状に噴射するのに伴って、噴射機構50のケース100内では駆動音が発生する。図5(b)には、液体の噴射に伴って発生する駆動音の波形が例示されている。この駆動音は、主に、ピエゾ素子110が伸長することでダイアフラム108を押して液体室102内の液体を加圧する際に、その反力により、ピエゾ素子110を固定する板状部材114やハウジング112などが振動することで発生している。そのため、駆動音の振幅(音圧)は、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加されるのと同期して大きくなり、駆動電圧が減少すると、駆動音の振幅も減衰する傾向にある。また、駆動音の周波数は、ピエゾ素子110に印加される駆動電圧の周波数(駆動周波数)に依存しており、駆動周波数の整数倍の周波数帯に強い成分を有している。図5(b)に例示した駆動音では、駆動周波数の10倍の周波数(例えば、駆動周波数が300Hzであれば3kHz)の音圧が最も大きく、駆動音の主成分となっている。
本実施例の液体噴射装置10では、このような駆動音に対してスピーカー122からキャンセル音を出力することよって、駆動音を消音している。図5(c)には、スピーカー122から出力するキャンセル音の波形が例示されている。前述したように、スピーカー122に送信するキャンセル音データは、ピエゾ素子110への駆動電圧の印加から次の駆動電圧の印加までを一周期としてマイクロホン120でサンプリングした駆動音の位相を反転させて生成している。そのため、キャンセル音は、駆動音に対して周波数や振幅は同じであり、位相だけが逆になっている。そして、生成したキャンセル音データを記憶しておき、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加される度に、記憶されているキャンセル音データをスピーカー122に送信してキャンセル音を出力するようになっている。
図5(d)には、図5(b)に示した駆動音の波形と、図5(c)に示したキャンセル音の波形とが重ね合わされた波形が示されており、液体噴射装置10の操作者には、この重ね合わされた波形の音が聞こえることになる。先ず、スピーカー122からキャンセル音が出力されていない状態では、駆動音がそのまま放出されてしまうので、操作者には、駆動音が聞こえる。しかし、駆動音とは逆位相のキャンセル音がスピーカー122から出力されると、駆動音とキャンセル音とが互いに打ち消し合うことで消音されるので、操作者には、噴射機構50からの音はほとんど聞こえなくなる。尚、液体室102内に気泡がない状態で、ピエゾ素子110への駆動電圧の印加が一定のパターンで行われていれば、発生する駆動音はほぼ一定であることから、本実施例のように記憶されているキャンセル音データを用いてキャンセル音を出力しても、駆動音を消音する(駆動音の音圧を減少させる)ことができる。
一方、液体室102内に気泡が混入あるいは発生すると、図5(b)に示すように、駆動音が変化する。これは、次のような理由によるものである。先ず、前述したように、駆動音は、ピエゾ素子110が液体室102内の液体を加圧する際の反力によって、主に板状部材114やハウジング112などが振動して発生する。しかし、液体室102内に気泡が存在すると、ピエゾ素子110が液体室102内の液体を加圧する際に気泡が収縮して圧力を吸収してしまうので、反力が弱まり、その結果、駆動音の周波数や振幅(音圧)が変化する。図5(b)に示した例では、液体室102内に気泡が存在しないとき(正常動作中)の駆動音の主成分であった周波数(駆動周波数の10倍の周波数)の音圧が著しく低下している。また、こうした気泡の存在によって液体室102内の液体は十分に加圧されず、噴射口132から噴射される液体の勢いも弱まるので、生体組織を切開あるいは切除する能力が低下してしまう。したがって、液体室102内に気泡が混入あるいは発生した場合には、液体噴射装置10の操作者は、手術を一旦止めて、気泡を噴射口132から排出させるなどによって取り除く必要がある。加えて、ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音が小さくなるという傾向は、液体室102内に気泡が存在するとき以外にも、例えば、ダイアフラム108が破損するなどによりピエゾ素子110が液体室102内の液体を適切に加圧できないときにも見られる。この場合には、液体噴射装置10の使用を中止しなければならない。
本実施例の液体噴射装置10では、このように液体室102内に気泡が混入するなどによって駆動音が変化した場合でも、記憶されているキャンセル音データをそのまま用いてキャンセル音を出力しているので、図5(c)に示すように、気泡混入の前後で、スピーカー122から出力されるキャンセル音が変化することはない。そのため、気泡の混入などで変化した駆動音と、スピーカー122から出力されるキャンセル音とは、周波数や振幅が一致せず、互いに打ち消し合うことができなくなる。
図5(d)に示した例では、液体室102内に気泡が混入して駆動音の音圧が減少することにより、スピーカー122から出力されるキャンセル音が打ち消されずに残ってしまっている。そして、前述したように、本実施例の噴射機構50のケース100には、貫通孔126が設けられていることから(図3参照)、液体室102内に気泡が混入するといった動作異常が発生した場合には、打ち消されなかったキャンセル音が貫通孔126から漏れ聞こえるようになる。このように、液体噴射装置10の正常動作中は、駆動音を打ち消して消音させていたはずのキャンセル音が、動作異常が発生すると、逆に騒音(警報音)となって液体噴射装置10の操作者に聞こえるようになることから、操作者に動作異常の発生を容易に認識させることができる。尚、図5(b)に示した例とは異なり、液体室102内に気泡が混入するなどによって、駆動音の振幅(音圧)は維持したまま、周波数だけが変化する場合もある。この場合には、駆動音とキャンセル音とが逆位相の関係とならず相乗することによって、さらに大きな異音が聞こえるようになる。
以上に説明したように、本実施例の液体噴射装置10では、液体の噴射に伴って発生する駆動音をサンプリングして生成した逆位相のキャンセル音データを記憶しておき、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加される度に、記憶されているキャンセル音データを用いてスピーカー122からキャンセル音を出力することで駆動音を消音している。そのため、噴射機構50の液体室102内に気泡が混入するなどの動作異常が発生して駆動音が変化すると、キャンセル音で駆動音を打ち消すことができなくなるとともに、キャンセル音自体が操作者に聞こえるようになる。液体噴射装置10の操作者にとっては、それまで聞こえなかった騒音(警報音)が噴射機構50から急に発生するようになったと感じられるので、動作異常の発生を容易に認識することが可能となる。
また、本実施例の液体噴射装置10では、ピエゾ素子110への駆動電圧の印加から次の駆動電圧の印加までを一周期として実際に発生する駆動音を内蔵のマイクロホン120でサンプリングし、そのサンプリングした駆動音を反転させてキャンセル音データを生成している。これにより、スピーカー122から出力するキャンセル音は、駆動音に対して周波数および振幅は同じであり、しかもピエゾ素子110に駆動電圧が印加されるタイミングで(印加される時期に合わせて)キャンセル音データをスピーカー122に送信するだけで逆位相の関係となることから、正常動作中の駆動音をキャンセル音によって適切に打ち消して高い精度で消音しておくことができる。その結果、液体室102内に気泡が混入するなどの動作異常が発生した際には、騒音となって聞こえるキャンセル音に操作者が気付き易くなるので、動作異常の発生をより確実に操作者に認識させることが可能となる。
さらに、液体室102内に混入した気泡が噴射口132から排出されるなどによって動作が回復すると、駆動音が再びキャンセル音と互いに打ち消し合うようになり、騒音が聞こえなくなることから、液体噴射装置10が正常な状態に復帰したことを容易に確認することができる。
C.変形例 :
以下に第1変形例、第2変形例について説明する。第1変形例、第2変形例の説明にあたっては、前述した実施例と同様の構成部分については、先に説明した実施例と同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
C−1.第1変形例 :
以上に説明した実施例では、噴射機構50にマイクロホン120が内蔵されており、マイクロホン120でサンプリングした駆動音からキャンセル音データを生成するようになっていた。しかし、正常動作中にピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音は、ピエゾ素子110に印加する駆動電圧のパターン毎に、ほぼ一定であると考えられるので、ピエゾ素子110に印加する駆動電圧のパターンに応じて、キャンセル音データを予め記憶しておくことも可能である。以下では、このような構成を採用した第1変形例について説明する。
図6は、第1変形例の液体噴射装置10に搭載された噴射機構50の構成を示した説明図である。先ず、第1変形例の液体噴射装置10には、前述した実施例(図2参照)とは異なり、駆動音をサンプリングするためのマイクロホン120が設けられていない。これは、第1変形例の液体噴射装置10には、ピエゾ素子110に印加する駆動電圧のパターン(駆動電圧パターン)に応じて、キャンセル音データが予め記憶されており、前述した実施例のようにキャンセル音データを生成するために駆動音をサンプリングする必要がないためである。
また、第1変形例の液体噴射装置10は、複数の駆動電圧パターンが予め設定されているとともに、ピエゾ素子110に駆動電圧を印加する動作を制御する噴射制御部200に駆動電圧パターン選択ダイヤル202が接続されていてもよい。この駆動電圧パターン選択ダイヤル202を液体噴射装置10の操作者が切り換えることによって、複数の駆動電圧パターンの中から何れを選択することが可能となっている。各駆動電圧パターンは、印加する駆動電圧の周波数(駆動周波数)や、印加する駆動電圧の大きさがそれぞれ異なっており、操作者は、駆動電圧パターンを切り換えることで、噴射口132から液体をパルス状に噴射する噴射周期や、噴射する液体の圧力の大きさを変更することが可能となっている。
液体噴射装置10の操作者が駆動電圧パターン選択ダイヤル202で何れかの駆動電圧パターンを選択して液体の噴射を開始させると、噴射制御部200は、駆動電圧パターン選択ダイヤル202で選択されている駆動電圧パターンに従って、ピエゾ素子110に駆動電圧を印加することにより、ピエゾ素子110を駆動させる。また、噴射制御部200は、スピーカー122から出力するキャンセル音を制御するキャンセル音制御部124と接続されており、ピエゾ素子110を駆動させるのに先立って、何れの駆動電圧パターンが選択されているかをキャンセル音制御部124に伝達する。
前述したように、選択されている駆動電圧パターンが異なると、ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音も異なることから、キャンセル音制御部124に設けられたキャンセル音データ記憶部には、図7に示すように、各駆動電圧パターンに応じて、固有のキャンセル音データが対応関係とともに予め記憶されている。これらのキャンセル音データは、液体室102内に気泡がない状態(正常動作状態)で、対応する駆動電圧パターンに従ってピエゾ素子110に駆動電圧を印加したときに発生する駆動音を適切に消音させることができるもの(例えば、駆動音の位相を反転させたもの)として設定されており、駆動電圧の印加から次の駆動電圧の印加までを一周期として記憶されている。
キャンセル音制御部124は、図7のようなテーブルに従って、駆動電圧パターン選択ダイヤルで選択されている駆動電圧パターンに対応するキャンセル音データを読み出し、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加されるタイミングでキャンセル音データをスピーカー122に送信することで、キャンセル音を出力させている。
また、図6に示したように、第1変形例の液体噴射装置10では、キャンセル音制御部124に、キャンセル音データの周波数を調整するための周波数調整ダイヤル204、キャンセル音データの振幅を調整するための振幅調整ダイヤル206、およびキャンセル音データの位相を調整するための位相調整ダイヤル208が接続されていてもよい。さらに、位相調整ダイヤル208の設定に応じて、図示しない出力時期調整手段によってキャンセル音データを送信するタイミングを微調整可能にしてもよい。ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音は、噴射する液体(すなわち、液体室102に供給される液体)の違いなどにより僅かに変化することがあることから、液体噴射装置10の操作者は、これらのダイヤルを操作して、最も消音された状態に設定することが可能となっている。
以上に説明したように、第1変形例の液体噴射装置10においても、前述した実施例と同様に、正常に動作している状態では、ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音が、スピーカー122から出力されるキャンセル音によって打ち消されて消音される。一方、液体室102内に気泡が混入などの動作異常が発生して駆動音が変化すると、キャンセル音で駆動音を打ち消すことができなくなるとともに、キャンセル音自体が液体噴射装置10の操作者に聞こえるようになることから、操作者は動作異常の発生を容易に認識することができる。
また、第1変形例の液体噴射装置10では、複数設定されている駆動電圧パターン毎に、予めキャンセル音データが記憶されていることから、駆動音をサンプリングするためのマイクロホンを噴射機構50の内部に設けておく必要がなく、噴射機構50をコンパクトにすることが可能となる。加えて、マイクロホンが周囲の音を拾って、それに基づいて誤ったキャンセル音データを生成してしまうといった誤動作の可能性もなくなるので、安定した消音状態を得ることができる。
さらに、周波数調整ダイヤル204、振幅調整ダイヤル206、位相調整ダイヤル208を設けておけば、実際に発生する駆動音が最も消音された状態となるように、キャンセル音の周波数、振幅、および位相を調整することができるので、正常動作中の駆動音を高い精度で消音しておくことができる。その結果、液体室102内に気泡が混入するなどの動作異常が発生すると、液体噴射装置10の操作者には、騒音となって聞こえるキャンセル音が大きく感じられるので、操作者は動作異常の発生を認識し易くなるという効果が得られる。
C−2.第2変形例 :
前述した実施例および第1変形例では、駆動音の位相を反転させたキャンセル音データを用いてキャンセル音を出力するようになっていた。しかし、キャンセル音データは、駆動音の位相を反転させたものでなくてもよく、正弦波のキャンセル音データを用いてキャンセル音を出力することとしてもよい。以下では、このような構成を採用した第2変形例について説明する。
図8は、第2変形例の液体噴射装置10において、正弦波のキャンセル音データを用いて出力するキャンセル音により駆動音を消音する様子を示した説明図である。先ず、図8(a)には、液体をパルス状に噴射するために、ピエゾ素子110に駆動電圧を印加する様子が示されている。また、図8(b)には、ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音の波形が例示されている。
このような駆動音に対して、第2変形例の液体噴射装置10では、キャンセル音制御部124から正弦波形のキャンセル音データをスピーカー122に送信することで、キャンセル音を出力するようになっている。正弦波形のキャンセル音データは駆動音の中で最も大きな音圧を有する周波数の正弦波形とすれば、高い静音効果を得ることができるため、好ましい。
また、第2変形例の液体噴射装置10にも、前述した第1変形例と同様に、キャンセル音制御部124に周波数調整ダイヤル204、振幅調整ダイヤル206、および位相調整ダイヤル208(正弦波調整手段)が接続されていてもよい(図6参照)。液体噴射装置10の操作者は、これらのダイヤルを操作することによって、駆動音が最も消音された状態となるように、スピーカー122に送信するキャンセル音データの周波数、振幅、および位相を調整することが可能である。キャンセル音制御部124は、ピエゾ素子110に駆動電圧が印加される度に、調整されたキャンセル音データをスピーカー122に送信するようになっている。図8(c)には、駆動音に合わせて調整されたキャンセル音データを用いてスピーカー122から出力されるキャンセル音の波形が例示されている。尚、ピエゾ素子110の駆動に伴って発生する駆動音に対して、スピーカー122から出力するキャンセル音を逆位相の関係とするには、駆動音と同位相の関係にあるキャンセル音データを、ピエゾ素子110への駆動電圧の印加から半周期分だけ遅らせてスピーカー122に送信することとしてもよい。また、位相調整ダイヤル208の設定に応じて、図示しない出力時期調整手段によってキャンセル音データを送信するタイミングを微調整してもよい。
そして、図8(d)には、図8(b)に示した駆動音の波形と、図8(c)に示したキャンセル音の波形とが重ね合わされた波形が示されている。スピーカー122から出力されるキャンセル音と、実際に発生している駆動音とは、周波数や振幅が完全に一致しているわけではないので、互いに完全に打ち消すことはできないが、少なくともキャンセル音が出力されていないときに比べて、液体噴射装置10の操作者に聞こえる騒音の音圧を減少させることができる。
その後、液体室102内に気泡が混入するなどの動作異常が発生して駆動音が変化すると、正常動作中の駆動音に合わせて最適化されたキャンセル音と、変化した駆動音とでは、互いに打ち消し合うことができず、逆に相乗することによって、操作者には騒音が大きくなったように感じられるので、動作異常の発生を容易に認識することができる。
以上に説明したように、第2変形例の液体噴射装置10では、正常動作中の駆動音が最も消音されるように、正弦波形のキャンセル音データの周波数、振幅、位相を調整して、キャンセル音を出力させるようになっていてもよい。ピエゾ素子110への駆動電圧の印加によって実際に発生する駆動音には様々な周波数成分が含まれていることから、正弦波形のキャンセル音データを基に、実際の駆動音に合わせて周波数、振幅、位相を調整するようにすれば、正常動作中に発生する駆動音の音圧を減少させておくキャンセル音を簡便に出力することができる。
尚、図8(c)に示した例では、正弦波で近似されたキャンセル音の振幅は、振幅調整ダイヤル206で調整された後は一定となっていた。しかし、実際に発生する駆動音の振幅は駆動電圧の減少に伴って減衰する傾向にあることから、キャンセル音の振幅を減衰させてもよい。この場合、キャンセル音制御部124に、キャンセル音データの振幅の減衰率を調整するための減衰率調整ダイヤルを接続しておけば、キャンセル音の波形を駆動音の波形に近づけることができるので、消音の精度をより高めることが可能となる。
以上、本発明の液体噴射装置について各種の実施形態を説明したが、本発明は上記すべての実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
10…液体噴射装置、50…噴射機構、100…ケース、102…液体室、104…供給流路、106…噴射流路、108…ダイアフラム、110…ピエゾ素子、112…ハウジング、114…底板、118…消音機構、120…マイクロホン、122…スピーカー、124…キャンセル音制御部、126…貫通孔、130…流路管、132…噴射口、140…接続チューブ、150…供給ポンプ、152…液体通路、160…液体タンク。

Claims (8)

  1. 液体を充填可能な液体室と、駆動電圧が印加されることによって、前記液体室の容積を前記駆動電圧が印加される前よりも減少させることが可能な液体室容積減少部と、疑似駆動音を出力することが可能な疑似駆動音出力手段と、を含む液体噴射機構に接続可能な制御装置であって
    前記駆動電圧を前記液体室容積減少部に対して印加することが可能な駆動電圧印加手段と、
    前記液体噴射機構の正常動作時に、前記疑似駆動音及び前記液体室容積減少部に対する前記駆動電圧の印加に伴って発生する駆動音が重ね合わさった場合の音の音圧が、前記駆動音の音圧よりも小さくなり、
    前記液体噴射機構の異常動作時に、前記駆動音及び前記疑似駆動音が重ね合わさった音の音圧が、前記正常動作時に前記駆動音及び前記疑似駆動音が重ね合わさった音の音圧よりも大きくなるような前記疑似駆動音を、前記疑似駆動音出力手段から出力させることが可能な疑似駆動音制御部と、
    を備える制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記疑似駆動音制御部は、前記疑似駆動音を出力させる時期を調整することが可能である、
    ことを特徴とする制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の制御装置であって、
    前記疑似駆動音制御部は、前記駆動電圧の印加から遅れて前記疑似駆動音を出力させることが可能である制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の制御装置であって、
    前記疑似駆動音制御部は、前記駆動電圧が印加されると同時に前記疑似駆動音を出力させることが可能である制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4に記載の制御装置であって、
    前記液体室容積減少部に印加される前記駆動電圧に応じて、前記疑似駆動音の音データを記憶する疑似駆動音データ記憶手段を備える制御装置。
  6. 請求項5に記載の制御装置であって、
    前記疑似駆動音データ記憶手段は、前記疑似駆動音の音データとして、前記駆動音に対して少なくとも一部の可聴周波数成分については逆位相となる音データを記憶した手段である制御装置。
  7. 請求項5に記載の制御装置であって、
    前記疑似駆動音データ記憶手段は、前記疑似駆動音の音データとして、前記駆動音に含まれる可聴周波数成分の中の何れか一つの周波数の正弦波形の音データを記憶した手段である制御装置。
  8. 体を充填させることが可能な液体室と、駆動電圧が印加されることによって、前記液体室の容積を前記駆動電圧が印加される前よりも減少させることが可能な液体室容積減少部と、疑似駆動音を出力するための疑似駆動音出力手段と、を備える液体噴射機構と、
    請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の制御装置と、を備える液体噴射装置。
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