JP5917534B2 - 浸水部材の遠隔探知 - Google Patents

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Description

本開示は、水中支持構造物の構造部材が空気で満たされているか浸水しているかを判定する方法に関する。
発生する可能性のある損傷が生じていないか点検する必要がある水中支持構造物が数多く存在している。水中支持構造物の一例は、石油掘削プラットフォームのような海洋プラットフォームのための水中支持構造物である。海洋プラットフォームの水中支持構造物は、多くの場合において、溶接された筒状部材からなり、その中には、正常時は水で満たされているものも、正常時は空気で満たされているものもある。空気で満たされているか否かに関わらず、筒状部材には海洋生物が付着しており、損傷および亀裂がないか筒状部材を目視点検することを困難にしている。例えばハリケーンに襲われるなどして海洋プラットフォームに応力が発生した場合は、構造部材の水中点検を行わなければならない。空気で満たされた部材に亀裂が生じると、その部材は浸水する。点検時に浸水部材を特定することは、亀裂を見つけ出す1つの方法である。
従来の浸水部材の特定方法は、点検中の部材と接触して置かれた音響装置を用いることを含んでいた。音響装置の一例として超音波プローブが挙げられ、これは、構造部材に接触させると、最初の数インチは無視するように設定され、その後、予め設定された範囲にわたって、存在し得る鋼から空気または水への境界面、水から空気または空気から水への境界面、および水または空気から鋼への境界面からの反射が聞こえるかを探るものである。使用される別の点検装置としては放射線(すなわちX線)装置が挙げられ、これは、X線を水中に配備することに関する困難は言うまでもないが、水面下にある部材を点検するために当該部材に接触させる必要はなくとも接近させる必要がある。
ソーナーシステムを利用することにより水中支持構造物の構造部材が空気で満たされているか水で満たされているかを判定する方法が記載される。構造部材が空気で満たされているはずであるのに浸水している場合、そのことは、この構造部材に亀裂または損傷が生じていることを示しているので、損傷した部材を特定して適切な修理を行うことが容易になる。
上記ソーナーシステムは、構造部材から離隔されるように構造部材から少し距離を置いて配置される。すなわち、上記ソーナーシステムは、構造部材または構造部材上の海洋生物に接近していたり密着していたりするのではなく、ソーナーシステムと構造部材とが少し離れているように、構造部材から離隔されている。
浸水した構造部材の音響−構造応答は、空気で満たされている構造部材の音響−構造応答とは異なる。対象構造部材に向かって音響信号を送出し、音響−構造応答を検出することによって、検出された音響−構造応答を処理して音響−構造特徴を抽出することができる。本明細書において、「特徴」とは、音響信号の大きさ(すなわち、さまざまな山および谷)をいう。求められた音響−構造特徴を当該構造部材についての予想音響−構造特徴と比較することにより、十分な一致が見られるかどうかが判定される。したがって、構造部材が空気で満たされているように意図されていて、求められた音響−構造応答が浸水した構造部材に対応している場合、構造部材は浸水していると判定され、それによって、構造部材にその構造部材を浸水させるように亀裂または他の損傷が生じていることが示される。
上記ソーナーシステムは、低〜中周波数の音波を使用するものであればいかなるシステムでもよい。上記ソーナーシステムは、例えば、ダイバーによって操作されるシステムであってもよく、自律型潜水機(autonomous underwater vehicle)(AUV)や遠隔操作探査機(remotely operated vehicle)(ROV)などのホストプラットフォーム航走体に連結されていてもよく、航走体によって曳航されてもよく、ポールに装着されていてもよく、船殻に装着されていてもよい。
一実施形態において、方法は、ソーナーシステムを用いることにより、空気で満たされているように意図された水中支持構造物の構造部材が浸水しているかどうかを判定することを含み、ここで、ソーナーシステムは、上記構造部材と接触しないように上記構造部材から少し距離を置いて配置されている。
別の実施形態において、浸水した構造部材がないか水中支持構造物を走査する方法は、上記水中支持構造物の一部をなす対象水中構造部材に向かって、上記対象水中構造部材から離れて配置された音波源から音波を送出することを含む。次いで、音波が上記対象水中構造部材に入射したことによって生じた音響−構造応答が検出され、検出された音響−構造応答が処理されることにより音響−構造特徴が抽出される。次いで、抽出された音響−構造特徴は、上記対象水中構造部材についての予想音響−構造特徴と比較される。この比較に基づいて、上記対象水中構造部材が浸水しているか否かが判定される。
水中支持構造物とその構造部材は、支持構造物を点検して構造部材が浸水しているかどうかを判定することが望まれる場合があるものであればいかなる水中支持構造物のいかなる構造部材であってもよい。例えば、水中支持構造物は、海上石油プラットフォーム支持構造物などのような人工物を含み得る。
本明細書において、用語「水中」は、水中支持構造物が位置し得、かつ、点検される必要があり得るいかなる種類の水中環境をも含み、限定されるわけではないが、海洋のような塩水域と、淡水域とを含む。
図1は、水中支持構造物によって支持された典型的な海洋プラットフォームを示す。
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、空気で満たされた部材と、この空気で満たされた部材に入射した音波の対応する反射強度とを示す。
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、水で満たされた浸水部材と、この浸水部材に入射した音波の対応する反射強度とを示す。
図4は、本明細書に記載の浸水部材検出方法を示すフローチャートである。
図5は、上記方法において用いられる探索空間(search volume)の概念を示す。
図6は、空気で満たされた部材からの反射音波(すなわち音響−構造応答)のエンベロープ(envelope)の例を示す。
図7は、浸水部材からの反射音波(すなわち音響−構造応答)のエンベロープの例を示す。
図8は、構造部材が空気で満たされているかのように生成された参照反射音波(すなわち音響−構造応答)のエンベロープを示す。
図9は、図6の反射音波エンベロープと図8の参照反射音波エンベロープとの差を求める様子を示す。
図10は、図7の反射音波エンベロープと図8の参照反射音波エンベロープとの差を求める様子を示す。
図11は、図9で求められた差と閾値との比較を示す。
図12は、図10で求められた差と上記閾値との比較を示す。
図13は、水中支持構造物の3次元モデル上の浸水した構造部材の表示を示す。
図1は、水中支持構造物14によって支持された海洋プラットフォーム12がある水域10を示す。水域10は、塩水であろうと淡水であろうと、いかなる水域であってもよい。この図示した例において、プラットフォーム12は石油プラットフォームであり、支持構造物14は水域の底に据え付けられている。しかしながら、石油プラットフォームおよびその関連支持構造物の描写は単なる例示であり、水中支持構造物は、人工のものであろうと自然のものであろうと、海底に据えられていようと水中に浮遊していようと、いかなる種類の水中支持構造物であってもよく、また、プラットフォーム12は他の種類のプラットフォームであってもよいことが理解されるべきである。
支持構造物14は、溶接または他の方法で接合された多数の筒状の構造部材16からなり、それらの中には、正常時は水で満たされているように意図されたものもあり、正常時は空気で満たされているように意図されたものもある。本明細書において、正常時は水で満たされている構造部材は、正常時は空気で満たされている構造部材に亀裂または他の損傷が生じて浸水したものとは異なる。この区別をはっきりさせるために、正常時は空気で満たされているように意図された構造部材でありながら何らかの理由で浸水した構造部材を「浸水構造部材」と呼び、「浸水」という用語は、意図されたあるいは正常な状態から逸脱した構造部材の状態を含意している。よって、水で満たされているように意図された構造部材は、浸水部材ではない。
ソーナーシステム18は、支持構造物14および個々の構造部材16から離隔されて、支持構造物にも構造部材にも接触しないようにされたものとして図示されている。本明細書において「接触しない」とは、ソーナーシステム18が、支持構造物14にも、その構造部材16のいずれにも、構造部材上の海洋生物にも密着せずに、ソーナーシステムと支持構造物およびその構造部材との間が少し離れているように支持構造物およびその構造部材から離隔されていることを意味する。
以下にさらに詳細に説明するように、ソーナーシステム18を利用することにより、空気で満たされているように意図された水中支持構造物14の構造部材が浸水しているかどうかが判定される。ソーナーシステム18をこのように用いることは、浸水構造部材の入射音波に対する音響−構造応答が空気で満たされている構造部材の音響−構造応答とは異なるという本発明者らの認識に基づいている。対象構造部材に向かって音波を送出し、反射音響−構造応答を検出することによって、検出された音響−構造応答を処理して音響−構造特徴を抽出することができる。抽出された音響−構造特徴を当該構造部材についての予想音響−構造特徴と比較することにより、十分な一致が見られるかどうかが判定される。構造部材が空気で満たされているように意図されていて、求められた音響−構造応答が浸水構造部材に対応している場合、構造部材は浸水していると判定され、それにより、構造部材にその構造部材を浸水させるように亀裂または他の損傷が生じていることが示される。
ソーナーシステム18は、点検中の対象構造部材の外殻を透過および励起することができる低〜中周波数の音波を用いる。音波が構造部材を透過および励起する能力は、構造部材の材料や外殻の厚さつまり構造部材の壁の厚さのような要因に依存する。したがって、用いられる周波数はさまざまであり得、対象構造部材の外殻を透過および励起するのに十分ないかなる周波数も、低〜中周波数の意味の範囲内に包含される。
ソーナーシステムは、一方の周波数が50kHz以下、他方の周波数が100kHz以上の二重周波数を有するマルチビームソーナーであることが好ましい。ソーナーは、好ましくは、約50フィートを超える測定距離での動作に十分な能力を有し、パラメトリックあるいは従来の方式であり得る。本発明者らが適切であると考える音響周波数の一例は20kHzである。適切なソーナーシステムの例として、英国、アバディーン(Aberdeen)のトライテック・インターナショナル社(Tritech International Limited)から入手可能なSeaKingパラメトリックSBP(SeaKing Parametric SBP)というサブボトムプロファイラが挙げられる。SeaKingパラメトリックSBPは、20kHzの低周波数と200kHzの一次周波数とを有する二重周波数ソーナーである。SeaKingパラメトリックSBPの場合、ソーナーは、支持構造物を点検している間、例えば、支持構造物から約50フィート離れて配置することが可能である。しかしながら、ソーナーシステム18は、支持構造物から50フィートよりも離れた位置または近い位置にあってもよい。マルチビームソーナーが用いられる場合は、本明細書に記載の方法が単にソーナーの音響ビーム毎に繰り返され得る。
ソーナーシステム18を用いることにより、空気で満たされた構造部材と水で満たされた浸水部材との差が音響的に検出される。これは、音響信号あるいは過渡信号(signal transient)を対象構造部材に向かって送出し、当該構造部材からの音響−構造応答反射を検出することによって行われる。次いで、音響−構造応答反射が処理されて、音響−構造特徴が求められ、当該構造部材が空気で満たされているか浸水しているかが判定される。任意には、検出された浸水部材を支持構造物の3次元モデル上に表示して、浸水部材の範囲を示すのに役立たせ、支持構造物の状態をよりよく理解するのに役立たせることができる。
図2Aおよび図2Bならびに図3Aおよび図3Bを参照すると、ソーナー装置18による構造部材16への探信音発信が示されている。概念を説明しやすくするために、構造部材16は断面形状が矩形のものとして図示されている。ただし、実際には、構造部材16は典型的には丸い(すなわち円形の)断面形状を有する。しかしながら、構造部材は、矩形または丸/円形に限定されない任意の断面形状を有し得る。
図2Aは空気で満たされた構造部材16を示し、図2Bは、ソーナー装置が構造部材16に向けて発信した音波20が構造部材16に当った結果としてソーナー装置18によって検出された反射音響−構造波24を示している。構造部材16を画定する壁を本明細書中では構造部材の外殻22という。波20は、外殻22を透過および励起することができるような周波数のものである。図2Bに示すように、波20が部材16内部の外殻22と空気との境界面に接触した結果として、音波20のほぼ最高の強度が反射されて戻ってくる(反射波24のエンベロープの振幅26によって示される)。
これに対し、図3Aは水で満たされた構造部材16を示し、図3Bは、ソーナー装置が構造部材16に向けて発信した音波20が構造部材16に当った結果としてソーナー装置18によって検出された反射音響−構造波28を示している。音波20は、外殻22を透過および励起する。しかしながら、この部材は水で満たされているため、波20はこの部材内の水の中を伝搬して当該部材16の向かい側の壁に達し、反対側へ出ていく。図3Bに示すように、反射波のエンベロープ28には、外殻22と水との境界面を示す2つの小さいピーク30および32が見られる。
図2Aおよび図2Bならびに図3Aおよび図3Bから明らかなように、空気で満たされた部材16の音響−構造応答は水で満たされた部材16のものとは異なる。この音響−構造応答の差を利用することにより、空気で満たされているはずの部材が浸水しているかどうかを判定することが可能である。
図4は、音響−構造反射を解釈することにより構造部材が空気で満たされているか浸水しているかを判定するために用いられるステップのフローチャートを示す。部材16からの音響−構造反射を解釈するために、支持構造物の3次元モデルに対するセンサ装置18の位置および向き(姿勢情報)が用いられる。姿勢情報および既存の3次元モデルは、空気で満たされているはずであり、したがって点検する必要があるのはどの部材16かという知識を提供し、対象構造部材に関する情報、例えば、ソーナー18からの距離や、部材16の直径や、もしかしたら戻ってきた音響−構造波に影響を及ぼし、検出された反射に強い影響を与えているかもしれないその他の近接する構造物が存在するかどうかなどを提供する。また、検出された音響−構造反射を予想音響−構造反射、すなわち、空気で満たされているかまたは浸水している部材の音響−構造反射特性と比較するアルゴリズムを実行するために適切なソフトウェアが提供される。
図4において、支持構造物の3次元モデルと、この3次元モデルに対するセンサ18の姿勢とが、ステップ40で取得される。3次元モデルは、先在するモデルであろうと、2010年10月25日付で出願された「Building A Three Dimensional Model Of An Underwater Structure」という名称の米国仮特許出願第61/406444号(代理人整理番号20057.0147USP1)に記載されている方法を用いてリアルタイムで生成されたモデルであろうと、支持構造物のいかなる3次元モデルであってもよい。なお、この仮特許出願に言及することにより、そのすべての内容は本出願に組み込まれる。姿勢情報は、ソーナー装置に関連する公知の構成の慣性航法装置と、2010年10月25日付で出願された「Estimating Position and Orientation Of An Underwater Vehicle Relative To Underwater Structures」という名称の米国仮特許出願第61/406424号(代理人整理番号20057.0145USP1)に開示されている技術を用いることにより3次元モデルに対する姿勢を求めることとによって提供され得る。なお、この仮特許出願に言及することにより、そのすべての内容は本出願に組み込まれる。
次に、対象構造部材について、予想音響−構造応答が設定される。図示した例において、予想音響−構造応答は、対象水中構造部材が空気で満たされていると仮定した予想音響−構造応答である。しかしながら、状況によっては、あたかも対象水中構造部材が浸水しているかのように予想音響−構造応答を設定することが可能である。
構造部材が空気で満たされていると仮定して予想音響−構造応答を設定する2つの例を以下に示す。まず、図4の囲み枠42で示すように、高周波参照探信音が対象構造部材に向かって発射され得る。高周波参照探信音は、ソーナー装置18の第2のトランスデューサから、または、ソーナー装置が異なる周波数に対応可能である場合は同じトランスデューサによって、生成され得る。前述のSeaKingパラメトリックSBPは、20kHzの周波数の探信音に加えて200kHzの高周波探信音を生成できる。高周波数の波は、構造部材の外殻を透過せず、図2Aで述べたように外殻と空気との境界面から反射される低周波数の波の最初の反射と同じように、構造部材から反射する。処理を受けると、検出された音響−構造反射は、あたかも構造部材が空気で満たされているかのような予想音響−構造応答となる。
予想音響−構造応答を設定する別の例は、図4の囲み枠44で示すように、構造部材の3次元モデルから取得された情報から低周波参照探信音をシミュレートすることである。これは、ある特定の探信音強度を仮定して、上記低周波数での、時間に対する反射強度と、ソーナー装置18からの距離に対する図5に示す露出表面積46に比例する音響−構造応答とを計算することによって達成可能である。その他のより複雑なソーナーシミュレーションが用いられてもよい。
図8は、あたかも部材が空気で満たされているかのように設定された予想音響−構造応答48の例を示す。
図4に戻り、ステップ50において、予想音響−構造応答48と、ソーナーシステム18の低周波音波20により生じた、実際に検出された反射音響−構造応答から求められた音響−構造応答との比較が、両者の差を求めることによって行われる。図6は、空気で満たされた部材からの検出された反射音響−構造応答52(音響損失について正規化)を示し、図7は、浸水部材からの検出された反射音響−構造応答54(音響損失について正規化)を示す。
図9は、空気で満たされた部材からの検出された反射音響−構造応答52と比較した予想反射音響−構造応答48を示し、これら2つの信号の大きさの差56(すなわち音響−構造特徴の差)が下に示されている。同様に、図10は、浸水部材からの検出された反射音響−構造応答54と比較した予想反射音響−構造応答48を示し、これら2つの信号の大きさの差58(すなわち音響−構造特徴の差)が下に示されている。
図4に戻り、別のステップ60は、3次元モデルから探索空間を画定することを含む。図5を参照すると、探索空間62は、部材16の遠位側に位置し、もしソーナー反射が受信されれば浸水部材であることが示される空間として計算される。解析中の音響ビームについての3D空間における探索空間と時間領域への変換とにより、当該構造部材に関する情報、例えば、寸法、距離、角度、および音響ビーム中心からのずれ、が伝えられる。この情報は、ソーナーの音響ビームの進路に複数の物体が存在する場合に、処理アルゴリズムの焦点を絞って誤検出の発生を回避できるようにするために必要とされる。探索空間は、反射が検出されるとすれば浸水部材のせいであるに違いない空間を表す。空気で満たされた構造部材の空気は、構造部材の遠位側、または構造部材のすぐ後ろのあらゆる物体からの反射を遮断する。探索空間が構造部材の遠位側の少し先まで及び得るのはこのためである。
図4に戻り、別のステップ64は、図9および図10からの音響−構造特徴の大きさの差56、58を、探索空間62内の閾値と比較することを含む。これを図11および図12に示しており、図11は閾値66の範囲と比較した大きさの差56、図12は閾値66の範囲と比較した大きさの差58を示す。閾値は任意であり、一例においては、所与のソーナーシステムおよび一連の点検対象となり得る構造部材での実験によって求められ得る。
図4に戻り、ステップ64での比較に基づいて、対象部材が浸水しているか否かが判定される。図11に示すように、大きさの差56は、閾値範囲を超えていない。したがって、対象部材は浸水しておらず、空気で満たされているという結論が導かれる。図12は、大きさの差58が閾値範囲を超えている、すなわち大きさの差(つまり音響−構造特徴の差58)の一部が閾値範囲の枠の外側にあることを示している。したがって、図12からは、対象部材は浸水しているという結論が導かれる。
空気で満たされているはずの部材が浸水しているという情報は、その部材に亀裂または他の損傷が生じていることを示す。このことは、ダイバー、ROV、AUV、またはその他の点検システムが当該浸水部材に焦点を絞ることを可能にして、亀裂またはその他の損傷を見つけ出し、損傷した部材の適切な修理または交換を行うのに役立つ。
任意には、図13に示すように、検出された浸水部材16を支持構造物の3次元モデル70上に、例えば図13に示すようにモデル70上に浸水部材を強調表示することによって、表示して、浸水部材の範囲を示すのに役立たせ、支持構造物の状態をよりよく理解するのに役立たせることができる。
水中支持構造物の構造部材の中には、同心の筒または他の内部構造を収容しているものもある。本明細書に記載の方法を用いることにより、たとえ構造部材が任意の内部構造を収容していたとしても、その任意の内部構造のせいで空気で満たされた構造部材が浸水しているように見えるということがない限り、空気で満たされた構造部材と水で満たされた構造部材とを区別することができる。
本出願において開示された例は、すべての点で例示であって限定的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、以上の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更を包含するものである。

Claims (5)

  1. 浸水した構造部材がないか水中支持構造物を走査する方法であって、
    前記水中支持構造物の一部をなす対象水中構造部材に向かって参照音波を送出し、その結果生じた反射音響−構造応答を検出することにより、予想反射音響−構造応答を設定することと、
    前記対象水中構造部材に向かって、前記対象水中構造部材から離れて配置された音波源から点検音波を送出することと、
    前記点検音波が前記対象水中構造部材に入射したことにより生じた反射音響−構造応答を検出することと、
    前記検出された反射音響−構造応答を前記対象水中構造部材についての前記予想反射音響−構造応答と比較することと、
    前記比較に基づいて、前記対象水中構造部材が浸水しているか否かを判定することと、を含む方法。
  2. 前記参照音波は、前記対象水中構造部材の外殻を透過するのに十分な周波数ではなく、前記点検音波は、前記対象水中構造部材の前記外殻を透過するのに十分な周波数である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記音波源が、前記構造部材と接触しないように前記構造部材から離隔されたソーナーシステムである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記水中支持構造物が海洋プラットフォームに関連する、請求項に記載の方法。
  5. 記予想反射音響−構造応答をあたかも前記対象水中構造部材が空気で満たされているかのように求めることと、前記検出された反射音響−構造応答と前記予想反射音響−構造応答との差を求めることと、前記差を閾値と比較することとを含む、請求項に記載の方法。
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