JP5916509B2 - 気液2相流パラメータ測定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

気液2相流パラメータ測定装置及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

この発明は、気液2相流パラメータの計測技術に関し、特に、フォーセンサプローブを用い、気泡径がフォーセンサプローブのセンサ間の距離と同程度の場合も高精度で気泡径、気泡速度ベクトル及び界面積濃度等の気液2相流パラメータを計測する技術に関する。
連続した液相(又は気相)内に気泡(又は液滴)が分散して混入している気液2相流は、軽水型動力炉をはじめとして蓄熱・冷凍・冷蔵システム、電子回路冷却システム、及び化学工業分野における気泡反応塔など、多種多様な工業装置に利用されており、それらの機器・システムの運転特性や効率、経済性・安全性に深く関わっている。気液2相流において最も重要なプロセスは界面の存在と変化とであり、界面の存在は運動量、熱及び質量の移動に大きな影響を与える。2相流系を記述し予測するためのモデルを開発するためには、2相流のパラメータを計測するための正確な計測技術を確立することが基本である。さらに、現在の熱流動シミュレーションコードの開発と検証では、気泡頻度(fb)、気泡速度(Vb)、気泡径(Db)、ボイド率(α)及び界面積濃度IAC(ai)等の2相流パラメータの詳細な局所的測定データを必要とする。侵襲的なマルチセンサプローブを用いることによって、2相流におけるこれらパラメータの計測が可能となる。
今日のところ、フォーセンサプローブは2相流の局所データを計測できる最良の方法の1つである。フォーセンサプローブの典型的な設計とそのセンサ先端の構成とを図1及び図2に示す。図1及び図2を参照して、フォーセンサプローブ50は、本体52と、センサ部56と、本体52にセンサ部56を固定するセンサ保持部54と、センサからの信号を出力する出力部58とを含む。センサ部56は、特に図2を参照して、1個の中央前部センサと3個の周辺後部センサとからなる。局所計測点は中央前部センサの先端位置である。近年気泡流の計測によく使われているフォーセンサプローブには2種類ある。光学型と導電型とである。光学プローブは気相と液相とをそれらの屈折率の差を利用して、導電型プローブは気相及び液相の電気伝導性の差を利用して気相と液相とを検出する。
変化中の界面特性を考慮して、フォーセンサプローブの計測理論を確立するために、以下の2つの基本的仮定を導入した。
(1)界面が連続した変形しない曲面であり、プローブの挿入により生じた界面の曲率変化が無視できる。
(2)界面又は気泡の速度ベクトルは、気泡がセンサに接触する過程においては一定である。
〈気泡頻度及びボイド率の既存の計測方法〉
フォーセンサプローブによって、気泡頻度とボイド率を計測することは容易である。すなわち、気泡頻度は、計測が行なわれる時間間隔に対する検知気泡数の比から得られる。ボイド率は、計測が行なわれる時間間隔に対するセンサが気相に滞留する時間の比から得られる。ボイド率計測のための理論的基礎は後の「2相流の幾何学的パラメータ」のセクションで議論する。通常、気泡頻度及びボイド率計測では、フォーセンサプローブの中央前部センサによって検知した気泡数と気体滞留時間とを用いる。
〈気泡速度及び気泡径の従来の計測方法〉
これまで、多次元気液2相流においてフォーセンサプローブを用いて局所瞬間3次元気泡速度ベクトル及び局所瞬間気泡径を計測する効果的かつ陽的方法はなかった。すなわち、これらを直接求めるための式は導出されていない。
気泡がフォーセンサプローブの軸方向に平行に、すなわち軸方向主流方向に流れると仮定すると、界面がフォーセンサプローブの3つのセンサ対の各々における2個のセンサ先端を通過する際の時間差に対する2個のセンサ先端の距離の比を用いて、1次元気液2相流における界面速度を近似できる。非特許文献1は、気泡がフォーセンサプローブよりかなり大きいと仮定して、気液2相流における界面法線方向の界面速度成分を計測するフォーセンサプローブの計測方法を提案しており、さらに非特許文献2は多次元気液2相流のためのファイブセンサプローブ又はシックスセンサプローブに含まれる3個のフォーセンサプローブの組の、界面速度及び気泡径計測理論を導出している。気泡が球状であると仮定して、非特許文献3は、特別に配置した直交するフォーセンサプローブを用いて、球状の形状を記述する方程式から気泡の速度と直径とを計算する陰解法を提案している。非特許文献4は、気泡の形状が楕円体であると仮定し、楕円体気泡のアスペクト比とその速度とを計測する複雑なモデルを提案している。この複雑なモデルは、条件付非線形最小自乗最適化を用いて数値的なアルゴリズムで解く必要がある。非特許文献3、4の研究はいずれも、気泡の速度及びサイズを計測する陽的な方法を提案できていない。このような従来の方法は、繰返し数値計算で実現しなければならず、その複雑さのために、これらの方法を実際的な計測に適用するには限界がある。
〈界面積濃度(IAC)の従来の計測方法〉
非特許文献5はフォーセンサプローブの局所時間平均IACの計測法を最初に提案した。今やこの従来のフォーセンサプローブの計測方法は界面積濃度の計測に広く適用されている。非特許文献1及び非特許文献6は、フォーセンサプローブの局所時間平均IACの計測を、正面から近づいてくる界面から後部から近づいてくる界面へと拡大することで改善し、フォーセンサプローブを用いた界面法線方向計測の基本原理を提案している。
局所時間平均界面積濃度計測のための従来のフォーセンサプローブ理論は、フォーセンサプローブが気泡に対し相対的にサイズが小さいという重要な仮定に基づいて導出された。この仮定は、プローブのサイズに比して気泡が極端に大きく、その界面は微分において局所正接面のように見える、というものである。この仮定を大気泡仮定と呼ぶことにする。この大気泡仮定はこの理論において支配的な役割を果たすため、フォーセンサプローブ理論をセンサプローブと同程度のサイズの気泡(すなわち小気泡)に適用すると、その計測精度は明らかに低下する。これに関連して、モンテカルロ数値シミュレーションにより、小気泡のフォーセンサプローブ計測の精度がより悪化すると結論づけた研究が存在する。大きなスラグ気泡と小気泡とが共に存在するスラグ流では、確固たる計測理論を欠き、小気泡の2相流パラメータ計測の欠点のために、従来のフォーセンサプローブ方法は計測に適さないと指摘した研究も存在する。プローブセンサエリアにおいて気泡界面が正接面のように平坦であるとする仮定は、非常に小さい気泡の場合には有効ではない、とする研究も存在する。
大気泡仮定を除いては、非特許文献7が、気泡を楕円体と仮定し、フォーセンサプローブの幾何学的サイズと気泡が4本のセンサを通過する時間とによって表される、楕円形状を記述する基本等式を数値的に解くことにより、界面積濃度IACを計測することを提案している。もっとも、非特許文献7に記載された方法は複雑で、現実的ではない。
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以上のようにフォープローブセンサを用いた従来技術には、フォーブローブセンサの出力から気泡又は界面の速度ベクトルと気泡径を陽関数の形で算出出来ないという問題がある。また、界面積濃度を陽的に算出できる計測方法は大気泡仮定に基づいている。そのため、気泡の大きさがプローブのセンサ間の距離と同程度の大きさの場合には界面積濃度の計測結果が正確性を欠いている。
それ故に本発明の目的は、フォープローブセンサによる気液2相流において、気泡又は界面の速度ベクトルと気泡径を陽関数の形で算出して計測でき、気泡の大きさがプローブのセンサ間の距離と同程度の場合でも、高精度で、かつ気液2相流の界面積濃度を陽関数の形で算出して計測できる気液2相流パラメータ計測装置及びそのためのコンピュータプログラムを提供することである。
本発明の第1の局面に係る気液2相流パラメータ計測装置は、気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測する気液2相流パラメータ計測装置である。フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ〜第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力する。第1のセンサと第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、第1のセンサと第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、第1のセンサと第4のセンサとは第3のセンサ対を形成する。この気液2相流パラメータ計測装置は、所定の座標系を基準として、第1のセンサの先端から第2のセンサの先端までの位置ベクトル、第1のセンサの先端から第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び第1のセンサの先端から第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、気液2相流中の気泡の界面の、第1のセンサ対、第2のセンサ対、及び第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段とを含む。
好ましくは、第1の算出手段は、気泡の内、液相から気相への界面である第1番目の界面が、第1〜第3のセンサ対の各々において、第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第1の時間算出手段と、第1の時間算出手段により第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、第1〜第3のセンサ対の各々における第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、第1番目の界面の速度ベクトルを算出する第1の速度ベクトル算出手段と、気泡の内、気相から液相への界面である第2番目の界面が、第1〜第3のセンサ対の各々において、第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第2の時間算出手段と、第2の時間算出手段により第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、第1〜第3のセンサ対の各々における第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、第1〜第3のセンサ対の各々に対する第2番目の界面の速度ベクトルを算出する第2の速度ベクトル算出手段とを含む。
さらに好ましくは、第1の時間算出手段により、h番目の気泡に対して第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h(ただしkは第1〜第3のセンサ対を表し、k=1,2,3)、第2の時間算出手段によりh番目の気泡に対して第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h+1(k=1,2,3)、第1〜第3のセンサ対について位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルをs0k(k=1,2,3)として、第1の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A1)により第1〜第3のセンサ対について、h番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)を算出し、第2の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A2)により第1〜第3のセンサ対についての2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)を算出する。
第2の算出手段の第一選択肢は、気泡が球状であると仮定して以下の式(A3)及び式(A4)に従ってh番目の気泡の速度ベクトルVb,hを算出してもよい。
ただしcosηxv,h、cosηyv,h、及びcosηzv,hはそれぞれ、所定の座標系に関する、h番目の気泡の速度ベクトルVb,h方向の単位ベクトルであり、
であり、cosηx0k,cosηy0k,及びcosηz0k(ただしk=1,2,3)はそれぞれ、所定の座標系に関し、第1〜第3のセンサ対の位置ベクトルがx軸方向、y軸方向、及びz軸方向となす角の余弦であり、h番目の気泡の速度ベクトルVm0k,h(k=1,2,3)の大きさはh番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)の大きさとh番目の気泡の2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)の大きさの調和平均である。
第2の算出手段の第二選択肢は、気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して以下の式(A5)及び式(A6)に従ってl番目の界面(すなわちh番目の気泡の第1又は2番目の界面)の速度ベクトルVb,lを算出してもよい。
ただしcosηxi,l、cosηyi,l、及びcosηzi,lはそれぞれ、前記所定の座標系に関する、l番目の界面の速度ベクトルVb,l方向(すなわち界面法線方向)の単位ベクトルであり、
である。
好ましくは、気液2相流パラメータ計測装置はさらに、第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルを用い、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出するための気泡径算出手段を含む。
より好ましくは、気泡径算出手段は、以下の式(A7)にしたがってh番目の気泡の直径Dを算出するための手段を含む。
であり、
である。
さらに好ましくは、位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルと、気泡速度ベクトルと、パルス系列と、測定対象の時間とに基づき、気液2相流における平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段とをさらに含む。
平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A8)により平均界面積濃度aiを算出してもよい。
ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である。
平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A9)により平均界面積濃度aiを算出してもよい。
ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である。
気液2相流パラメータ計測装置はさらに、気泡の形状に応じて平均界面積濃度に定数を乗じることにより平均界面積濃度を補正するための補正手段を含んでもよい。
補正手段により平均界面積濃度に乗じられる定数は、気泡の大部分が扁平な楕円球形状であれば1.095,半球状であれば1.191である。
本発明の第2の局面に係るコンピュータプログラムは、気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測するよう、フォーセンサプローブの出力を受けるコンピュータを動作させるコンピュータプログラムである。フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ〜第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力する。第1のセンサと第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、第1のセンサと第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、第1のセンサと第4のセンサとは第3のセンサ対を形成する。このコンピュータプログラムは、コンピュータを、所定の座標系を基準として、第1のセンサの先端から第2のセンサの先端までの位置ベクトル、第1のセンサの先端から第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び第1のセンサの先端から第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、気液2相流中の気泡の界面の、第1のセンサ対、第2のセンサ対、及び第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段と、第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出する気泡径算出手段と、第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルと前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段として機能させる。
フォーセンサプローブの外観及び寸法を示す図である。 フォーセンサプローブのプローブ先端を拡大して示す写真である。 フォーセンサプローブのプローブ先端の間の幾何学的関係を説明するための図である。 1つの気泡の2つの界面とプローブとの関係、及びプローブ軌道のコントロール・ボリュームを説明するための図である。 センサ0が2h番目の界面を通過した後、センサ1が2h番目の界面に接触する第1の場合を模式的に示す図である。 センサ0が2h番目の界面を通過した後、センサ1が2h+1番目の界面に接触する第2の場合を模式的に示す図である。 センサ0が2h+1番目の界面を通過した後、センサ1が2h番目の界面に接触する第1の場合を模式的に示す図である。 センサ0が2h+1番目の界面を通過した後、センサ1が2h+1番目の界面に接触する第2の場合を模式的に示す図である。 球状の気泡がセンサ0を通過する過程を模式的に示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る気液2相流パラメータ測定装置の概略構成図である。 図10に示す気液2相流パラメータ測定装置のハードウェアブロック図である。 気液2相流パラメータ測定装置で実行されるプログラムのメインルーチンのフローチャートである。 図12に示すプログラムにより起動される、フォーセンサプローブによる測定プログラムの制御構造を示すフローチャートである。 実験に用いた気液2相流発生装置の概略構成を示すブロック図である。 実験により得られた気泡速度、ボイド率、IAC、及び気泡径を示すグラフである。 実験によりフォーセンサプローブから得られた測定結果と他の測定手法による結果とを対比して示すグラフである。 球状からの気泡形状の偏移が近似的球状気泡率と断面平均ガス速度とに与える影響を示すグラフである。 フォーセンサプローブにより得られた気泡の直径とその分布とを示すグラフである。 カメラにより撮影した気液2相流の状態と気泡サイズを示す写真である。 新旧方法によりフォーセンサプローブを用いて測定したIACを対比して示すグラフである。 球状気泡理論と大気泡理論によりフォーセンサプローブを用いて測定した気相速度を対比して示すグラフである。
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
1 新たな理論の展開
局所瞬間気泡速度、局所瞬間気泡径及び局所時間平均IACの計測における既存のフォーセンサプローブ理論の欠点に鑑みて、3次元気泡速度ベクトル及び気泡径の測定の空きを埋める新たなフォーセンサプローブ理論を展開し、小気泡と大気泡の両方に効果的な新たなIAC計測方法を確立する必要がある。この実施の形態の目的とするところは、(1)多次元2相流において、局所瞬間3次元気泡速度ベクトル、局所瞬間気泡径、及び局所時間平均IACのフォーセンサプローブによる計測方法の理論的基礎を確立すること、及び、(2)新たに展開する理論によって局所パラメータを計測するための実際的で信頼性の高い、完成した方法を形成することである
2.フォーセンサプローブの局所計測理論
2.1 実用フォーセンサプローブの基本情報
図1のフォーセンサプローブの幾何学的構成によれば、フォーセンサプローブの制作にあたって、図3に示すように、中央前部センサ70の先端(0)から3個の周辺後部センサ72,74及び76の先端のいずれか(k、k=1、2、3)、への3つの距離ベクトルsok (k=1、2、3)を利用できる。
ここでnok(k=1、2、3)は距離ベクトルsok(k=1、2、3)の方向における単位ベクトルである。ηxok、ηyok及びηzokは距離ベクトルsok(k=1、2、3)とx、y及びz軸のそれぞれとの間の角度である。
センサの先端を通過する液体−気体界面は、光ファイバにおいてはレーザ光、導電型センサにおいては電気信号の、1つの状態から他の状態への変化を生じさせる。従って、1つの気泡がセンサ先端を通過すると、電圧パルスのシーケンスが得られる。フォーセンサプローブの4つのセンサの各々は、h番目の気泡のl番目(l=2h又は2h+1)の界面、すなわち第1の界面(2h)又は第2の界面(2h+1)がそこを通過する際の時間(tk,l、k=0、1、2、3)を与える。
得られる時間から、界面が中央前部センサ70の先端0から3個の周辺後部センサ72,74及び76の先端k(k=1、2、3)へそれぞれ移動する際の3つの時間差(δtok,l、k=1、2、3)を知ることができる。
さらに、センサ先端がh番目の気泡内にとどまる滞留時間δtk,hを知ることができる。
2.2 2相流の幾何学的パラメータ
2相流のボイド率とIACとは2つの主な幾何学的パラメータである。前者は2相混合流のコントロール・ボリュームの内で気相が占める体積割合として定義され、後者は2相混合流コントロール・ボリュームに対する総界面面積の比として定義される。図4は、方向96に沿って進行するh番目の気泡が2相流においてプローブを通過する過程を示す。ここで、方向96に沿った円筒状のコントロール・ボリューム92とともに、気泡がセンサ70の先端を通過する軌跡を考える。円筒状のコントロール・ボリューム92の断面積Acvは限りなく小さい。コントロール・ボリューム92の体積(Vcv)は、h番目の気泡の速度(Vb,h)、総サンプリング時間(Ω)及び円筒状コントロール・ボリュームの断面積(Acv)を用いて、以下のように表すことができる。
コントロール・ボリューム内のh番目の気泡の気体体積は、h番目の気泡の速度(Vb,h)、プローブの気泡内滞留時間(Δtb,h)及び円筒状コントロール・ボリューム92の断面積(Acv)から、以下のように近似できる。
コントロール・ボリューム内のh番目の気泡の界面面積(Abi,h)は、気泡の貫通軌跡と2h番目の界面上のプローブ−気泡の接触点94の界面法線方向とのなす角度(θ2h)、気泡の貫通軌跡と2h+1番目の界面上のプローブ−気泡の分離点98の界面法線方向とのなす角度(θ2h+1)、及び円筒状コントロール・ボリューム92の断面積(Acv)を用いて、以下のように近似できる。
従って、ボイド率(a)の定義と界面積濃度(ai)とから、以下が得られる。
ここでni,2h及びni,2h+1はそれぞれ、2h番目の界面上のプローブ−気泡の接触点と、2h+1番目の界面上のプローブ−気泡の分離点とにおける界面法線単位ベクトルである。式(7)は、総サンプリング時間Ω、すなわち考慮される時間間隔Ω、に対する気体滞留時間の比としてボイド率を計測可能であることを示す。式(8)はh番目の気泡のIAC(ai,h)が、2h番目及び2h+1番目の界面がある点を通過する変位速度の逆数(すなわち2h番目及び2h+1番目の界面のIAC、ai,2h及びai,2h+1)の和を、考慮される時間間隔(総サンプリング時間Ω)で除したものであることを示す。この結果、局所時間平均ボイド率と局所時間平均IACに関する以下の式が得られる。
ここでNbは総サンプリング時間Ωの間に検出された気泡数である。接近してくる気泡に対するプローブの干渉に鑑みて、通常は、中央前部センサからの局所時間平均ボイド率がフォーセンサプローブの代表的な値として用いられる。フォーセンサプローブを用いて局所時間平均IACを計測するためには、IAC計測における気泡形状について付加的な仮定を加える必要がある。
2.3 球状気泡計測のためのフォーセンサプローブ理論
再び図1を参照して、図1は、典型的なフォーセンサ光学プローブ及び導電型プローブの幾何学的サイズを示す。これらのサイズは現在一般的に1mmのオーダである。将来はより小型のフォーセンサプローブを作成できるであろうが、そのサイズは無限小ではない。小気泡とは、プローブの幾何学的サイズと同等又はそれより大きなサイズのものである。気液2相流では、数ミリメータのオーダのサイズの小気泡はほぼ球に近似した形状で移動する。従って、小気泡の形状を球状であると仮定するのが合理的である。以下は球状気泡の仮定に基づいたフォーセンサプローブ理論である。
2.3.1 気泡速度ベクトル計測の理論
図5〜図8は速度ベクトルVb,hでセンサ70の先端0からセンサ72の先端1に移動する直径Dhのh番目の球状気泡を示す。界面は、連続した、変形しない曲面(球面)であると仮定され、h番目の気泡の速度ベクトルは気泡センサ接触過程において一定であると仮定されるので、以下の記述が可能である。
ここでVb,2h及びVb,2h+1はそれぞれ2h番目及び2h+1番目の界面の速度ベクトルである。nb,hはVb,h方向における単位ベクトルである。ηxv,h、ηyv,h及びηzv,hはそれぞれ、速度ベクトルVb,hとx、y及びz軸との間の角度である。センサ70の先端0が2h番目の界面に接触すると、センサ72の先端1は図5及び図6に示すように連続して2h番目(図5)及び2h+1番目(図6)の界面に接触する。センサ0が2h+1番目の界面に接触すると、センサ1は図7及び図8に示すように連続して2h番目(図7)と2h+1番目(図8)の界面に接触する。なお、図5〜図8において、δt0,2hは2h番目の界面がセンサ70の先端0を通過してからセンサ72の先端1に至るまでの時間を示し、δt01,2h+1は2h+1番目の界面がセンサ70の先端0を通過してからセンサ72の先端1に至るまでの時間を示し、δt0,hは2h番目の界面がセンサ70の先端0を通過してから2h+1番目の界面がセンサ70の先端0を通過するまでの時間を示す。
図5〜図8に示すように、気泡の中心からセンサ70の先端0及びセンサ72の先端1を通過する球面上の点までの半径方向ベクトルをrb0、rb1、rb2及びrb3とする。図5及び図6のrb0と、図7及び図8のrb2とは以下のように書ける。
ここでni,2h及びni,2h+1はそれぞれ、2h番目及び2h+1番目の界面上のセンサ0の接触点における界面法線単位ベクトルである。ni,2hは、x、y及びz軸との間にそれぞれ角度ηxi,2h、ηyi,2h及びηzi,2hを成し、ni,2h+1は、x、y及びz軸との間にそれぞれ角度ηxi,2h+1、ηyi,2h+1及びηzi,2h+1を成す。
ここで以下が成り立つ。
b0、rb1、s01のベクトル分布及び図5でセンサ70の先端0からセンサ72の先端1に移動するh番目の気泡90の2h番目の界面の距離ベクトルVb,hδto1,2hと、rb2、rb3、so1のベクトル分布及び図8でセンサ70の先端0からセンサ72の先端1に移動するh番目の気泡90の2h+1番目の界面の距離ベクトルVb,hδt01,2h+1とに鑑みて、rb1及びrb3はそれぞれ次のように表すことができる。
式(15)を式(14)に代入し、結果の式を式(1)と(11−12)とを用いて変形することにより、以下が得られる。
式(16)を式(14)に代入し、結果の式を式(1)、(11)及び(13)を用いて変形することにより、以下が得られる。
式(17)及び(18)はそれぞれ、|Vb,h|δt01,2h及び|Vb,h|δt01,2h+1に関する二次方程式である。式(17)は、センサ0が2h番目の界面を通過した後、h番目の気泡の2h番目及び2h+1番目の界面がそれぞれセンサ1を通過するのに対応する2個の解、|Vb,h|δt01,2hと|Vb,h|(δt01,2h+1+δt0,h)とを有する。2個の解はそれぞれ図5と図6とに示され、以下で与えられる。
式(18)もまた、センサ0が2h+1番目の界面を通過した後、h番目の気泡の2h番目及び2h+1番目の界面がそれぞれセンサ1を通過するのに対応する2個の解、|Vb,h|δt01,2h+1と|Vb,h|(δt01,2h-δt0,h)とを有する。2個の解はそれぞれ図7及び図8に示され、以下で与えられる。
式(19)の2つの解の和により以下が得られる。
式(20)の2つの解の和により以下が得られる。
図9に示すように球状の気泡90がセンサ70の先端0を完全に通過すると考えれば、以下が得られる。なおここでは、点Oとセンサ70の先端0との間の距離、及び点Oとセンサ70の先端0との間の距離がいずれも気泡が直径Dの球形であると仮定してDh/2であり、したがってこの3点が2等辺三角形を形成していることを用いている。
式(23)を式(21)に代入するか、又は式(23)を式(22)に代入することにより、次の式(24)が得られる。
ここで、計測可能な速度ベクトル、Vm01,2h及びVm01,2h+1を、センサ70の先端0からセンサ72の先端1までの距離ベクトルs01の、h番目の気泡の2つの界面が2つのセンサ先端の間の距離を通過する時間、それぞれδt01,2h及びδt01,2h+1、に対する比であると定義する。すなわち
h番目の気泡の計測可能ベクトルVm01,hは2h番目及び2h+1番目の界面からの2個の速度の調和平均である。
式(27)を式(24)に代入することにより、以下が得られる。
上述の議論から分かるように、以下の2つの式は、中央前部センサ70の先端0と周辺後部センサ74の先端2との対、及び中央前部センサ70の先端0と周辺後部センサ76の先端3との対、のそれぞれについても有効である。
ここでVm0k,h(k=2及び3)は2つのセンサ対からの対応する計測可能な速度である。
式(25−26)と同様に、計測可能な速度ベクトルVm0k,2h及びVm0k,2h+1(k=2、3)は、センサ70の先端0からセンサ(74、76)の先端k(k=2,3)までの距離ベクトルsokの、h番目の気泡の2つの界面が2つのセンサ70の先端0及びセンサ(74,76)の先端k(k=1,2,3)の間の距離を通過する時間、それぞれδt0k,2h及びδt0k,2h+1に対する比である。
式(1)及び(11)から、式(28−29)は以下の行列の形で書ける。
ここで以下の行列式を定義する。
クラメルの規則により、速度単位ベクトル、nv,hの成分は式(31)から、以下のように解ける。
v,hは単位ベクトルであるため、(cosηxv,h)2+(cosηyv,h)2+(cosηzv,h)2=1である。h番目の気泡について、|Vb,h|を以下のように定めることができる。
式(37)を式(36)に代入することにより、単位ベクトルnv,hの成分を速度ベクトル方向に以下のように書きかえることができる。
ここで注意すべきは、式(37)には正と負との2つの解があるということである。気泡速度ベクトルの大きさが負の値をとることは意味をなさない。しかし、cosηxv,h、cosηyv,h及びcosηzv,hが正と負との値であることは、nv,hがx、y及びz軸に対してそれぞれ鋭角と鈍角とをなすことを意味する。式(37−38)はh番目の気泡の速度ベクトルVb,hの陽的表現を与える。
2.3.2 気泡径及び界面法線単位ベクトル計測の理論
h番目の気泡の直径Dhとその界面法線単位ベクトルni,2h及びni,2h+1との陽的表現を得るために、式(19)と式(20)とにおいてそれぞれ、一方の解から他方の解を減じ、結果として得られる式の両辺を二乗する。これによって以下が得られる。
式(21)を式(39)に代入し、式(22)を式(40)に代入し、得られる式を変形すると以下のようになる。
ここでE01,2h及びE01,2h+1は、センサ0及び1の先端を通る線におけるni,2h及びni,2h+1方向の気泡直径の投影距離である。これら二つのパラメータは式(41)及び(42)の中央部分に示すように、フォーセンサプローブの三つ距離ベクトル(s01、s02、s03)と4本センサから得た時間によって決定することができる。
上述の議論と同様に、2h番目及び2h+1番目の界面のそれぞれについて、これらが中央前部センサ70の先端0から周辺後部センサ(74,76)の先端k(k=2、3)へ移動する際の、以下の2つの等式が得られる。
ここでE0k,2h及びE0k,2h+1(k=2、3)はセンサ70の先端0及びセンサ(74、76)の先端k(k=2,3)を通る線におけるni,2h及びni,2h+1方向の気泡直径の投影距離である。これらのパラメータは式(43−44)の中央部分に示すように、フォーセンサプローブの三つ距離ベクトル(s01、s02、s03)と4本センサから得た時間によって決定することができる。
式(1)及び(12−13)から、式(41−44)は以下の行列の形で書ける。
ここで以下の行列式を定義する。
クラメルの規則により、界面法線単位ベクトルni,l(l=2h、2h+1)の成分について式(45)は以下のように解ける。
i,l(l=2h、2h+1)は単位ベクトルであるため、(cosηxi,l)2+(cosηyi,l)2+(cosηzi,l)2=1である。h番目の気泡の直径Dhは以下のように定められる。
式(50)を式(49)に代入することにより、単位ベクトルni.lの成分は以下のように書ける。
ここでも、式(50)には正と負との2つの解があるということに注意する。気泡の直径が負の値をとることは意味をなさない。しかし、cosηxi,2h、cosηyi,2h及びcosηzi,2hが正と負との値であることは、ni,2hがx、y及びz軸に対してそれぞれ鋭角と鈍角とをなすことを意味する。式(50)及び(51)はh番目の気泡の直径Dhとその界面法線単位ベクトルni,lとの陽的表現である。
2.3.3 界面積濃度計測理論
b,hの式(37−38)と、ni,l(l=2h、2h+1)の式(51)とを式(10)に代入することにより、局所時間平均IACが得られる。
気泡は球状であることが仮定されており、その対称性から、式(10)における局所時間平均IACの表現を以下のように変更できる。
b,hの式(37−38)とni,l(l=2h、2h+1)の式(51)とを式(53)に代入することにより、以下のような局所時間平均IACの別の陽的表現が得られる。
式(52)及び式(54)は、球状気泡の仮定に基づく局所時間平均IACの陽関数計算式である。
2.4 大気泡計測のためのフォーセンサプローブ理論
大気泡の計測におけるフォーセンサプローブの理論は、気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して相対的にかなり大きいという大気泡仮定に基づく。要するに、この仮定は、接近してくる界面を局所的に正接面と見てもよいとするものである。以下では、大気泡の計測理論と球状気泡の計測理論の整合性及び大気泡の仮定に基づくフォーセンサプローブ理論の新展開を説明する。
2.4.1 界面法線単位ベクトル測定における大気泡理論と球状気泡理論の整合性
非特許文献1は、大気泡仮定を、前部センサの界面接触点の界面勾配方向と、前部センサの界面接触点と後部センサのいずれかの界面接触点との間のコードベクトルとの垂直性に変形し、前部センサの界面接触点において計測可能な界面速度ベクトルは全て、界面法線方向に同じ成分を有し、この成分は界面法線方向における局所瞬間界面速度ベクトルの成分に等しい、という界面計測法則を導出した。この理論は以下のように表すことができる。
式(23)を式(55)に代入して変形することにより、以下が得られる
式(41−44)を式(56)に代入することにより、以下が得られる。
従って、式(57)から、以下の行列表現が容易に得られる。
式(51)のcosηxi,l、cosηyi,l及びcosηzi,lの表現における分子及び分母に1/(|Vm01,2h|×E01,2h)を乗じ、さらにこれに式(58)を適用することにより、式(51)における界面方向単位ベクトルni,l(l=2h、2h+1)の成分を以下のように変形できる。
ここで
式(59)における界面法線単位ベクトルni,lの成分の表現は、非特許文献1により、大気泡仮定を用いて導出されたものである。従って、大気泡仮定を用いることにより、式(51)の球状気泡仮定に基づく界面単位ベクトル(ni,l)の成分表現を、式(59)の大気泡仮定に基づく表現に還元可能であることが分かる。
2.4.2 大気泡仮定に基づく新しい界面速度ベクトルの測定方法及びその新計測方法の球状気泡理論との整合性
i,l(l=2h、2h+1)の式(59−62)を式(55)に代入することにより、以下が得られる。
式(63)における界面法線方向の界面速度ベクトルの成分の表現は、非特許文献1により、大気泡仮定を用いて導出されたものである。
プローブに接近する大気泡の両界面がローカルに二つの平行な接線平面とみなすことができれば、それらの両界面の中央前部センサ70の先端0から周辺後部センサ(72,74,76)の先端k(k=1、2、3)への通過時間は互いに等しい。すなわち、
式(25−27)のような計測可能な速度ベクトルの定義に鑑みて、以下が得られる。
式(65)を利用して、式(37−38)を式(63)と式(59)に変換することができる。これは、気泡がフォーセンサプローブのサイズに対してかなり大きければ、界面速度ベクトルが界面法線方向の界面速度ベクトルの成分に等しいことを意味する。
予測できるが、大気泡の両界面がローカルに二つの接線平面とみなすことができれば、界面速度ベクトルと界面法線単位ベクトルは同じ方向を共有している。大気泡の仮定に基づいて、式(63)から次の大気泡の界面速度ベクトル計測用陽関数式が得られる。
ここで、界面法線単位ベクトルni,l(l=2h、2h+1)は式(59−62)で与えられる。
式(66)が単一界面のプローブ通過時間を利用してその界面の速度ベクトルを測っている。実際の測定中、大気泡の両界面は多少異なる移動速度を維持することが可能である。式(66)は両界面が二つの接線平面とみなすことができる大気泡のみに有効である。もちろん、これらの二つの接線平面は互いに平行である必要がない。もしこれらの二つの接線平面は互いに平行であれば、式(37)と式(66)は同じ予測値を与える。式(66)に比べて、式(37)は単一気泡の両界面のプローブ通過時間を利用してその気泡の速度ベクトルを測っていて、また球状気泡のみに有効である。
2.4.3 界面積濃度測定における大気泡理論と球状気泡理論の整合性
大気泡仮定を用いることにより、新たに導出された式(52)及び(54)における局所時間平均IACの陽的表現を非特許文献5において最初に導出された従来の表現に変形することもできる。式(52)及び(54)を式(10)及び(53)にそれぞれ戻すことができるため、式(10)から本案の変形の検証を開始する。界面計測法則の式(55)を式(10)に代入することにより、以下が得られる。
式(41−42)により、式(67)は以下のようになる、
式(50)を式(68)に代入することにより、以下が得られる
式(58)に鑑みて、式(69)は以下のようになる。
式(70)は非特許文献5、非特許文献8、非特許文献1によって導出された大気泡仮定に基づく局所時間平均IACの従来の表現である。従って、新たに導出された球状気泡仮定に基づく局所時間平均IACの表現、式(52)は、理論的に、大気泡仮定に基づく局所時間平均IACの表現、式(70)に変形できる。式(70)はもともと、大気泡仮定に基づいて導出されたものであり、これは気泡が球状であることを要件としない。大気泡の接近してくる両界面は対応する局所正接面と見ることができるため、大気泡の異なる形状からくるIACの寄与度の相違は無視できる。この結果、式(52)は気泡が球状であるという仮定から導出されたものであるにも関わらず、非球状の大気泡についても有効であろう。
大気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論と球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論の比較により、これらの二つのフォーセンサプローブ理論の計測パラメータと計測特徴をテーブル1にまとめた。ここで注目すべきは、新たに開発されたフォーセンサプローブ理論が、局所瞬間3次元気泡速度ベクトル、局所瞬間気泡径、局所瞬間界面法線単位ベクトル、局所時間平均IACを、多次元気液2相流において計測するための完結した方法を提供することである。この理論はもともとは球状気泡を仮定して、小気泡の計測のために開発された。しかし、上の議論により、局所時間平均IAC及び局所瞬間界面法線ベクトル計測のための理論はまた、球状又は球状でない大気泡についても有効であることが理論的に示された。球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論と大気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論はそれぞれ単一気泡の両界面と単一界面のプローブ通過時間を利用して気泡流のパラメータの計測を行っている。
3.フォーセンサプローブ計測のための信号処理
3.1 界面ペアリング信号処理法
フォーセンサプローブは、2相流の計測において4セットの直列電圧信号を出力する。気泡がセンサを通過すると、その出力信号列に電圧パルスが現れる。フォーセンサプローブの理論に従った計測においては、フォーセンサプローブの異なるセンサの出力から正しい界面信号を選択することが重要である。なぜなら、異なるセンサによって検出されたシーケンシャルな信号は、常に同じ界面に対応するとは限らず、同じ気体又は液体相での滞留時間も、異なるセンサについて正確に同じであるとは限らないからである。
固定されたプローブに対する気泡の前進運動を仮定して、非特許文献8は、異なるセンサによって検出された信号から、対応する気泡信号対を区別するための、気泡ペアリングの信号処理法を提案している。フォーセンサプローブ計測において前部センサ先端に接触したが、後部センサ先端の1つ又は2つ以上に接しなかった気泡は、通常は欠落気泡と定義される。非特許文献8の気泡ペアリングの信号処理法によれば、前部センサには接触したがこの信号処理法の要件に合致しない気泡は、それらが4つのセンサ先端の全てに接触したか否かに関わらず、欠落気泡とされる。従って、プローブに対し後退する気泡全てと、前部センサ先端よりも後部センサ先端の1つ又は2つ以上においてより長い滞留時間である気泡全てが、欠落気泡として扱われる。非特許文献8の気泡ペアリングの信号処理法は気泡の単一方向前進運動を仮定しているので、この処理法は一次元気液二相流のみに有効である。
多次元気泡流におけるフォーセンサプローブ計測の必要性を満たすため、非特許文献1は、フォーセンサプローブの異なるセンサによって検出された同一の界面の対応信号を得る界面ペアリング信号処理法を提案している。この信号処理法では、時系列により、前部センサからの界面信号の各々が後部センサの各々からの界面信号のシーケンスと比較され、対応する界面信号が見出される。この信号処理法は、生の信号の観察結果と比較することによって検証された。検証結果には、前部センサと後部センサとの両方に接触した有効な界面が全て、この信号処理法に有効利用されたことが示された。異なるセンサの出力から同一の界面についての信号を正しく選択することに関わる信号処理誤差は、この信号処理法を用いることで0まで最小化できる。ここで、フォーセンサプローブ計測に、この界面ペアリング信号処理法を用いることを推奨する。
3.2 気泡の分類及び非球状気泡の回復方法
このフォーセンサプローブ計測理論は、気泡形状が球状であると仮定して開発された。この理論は、実際の気液2相流ではわずかに球形から外れる気泡についても近似的に有効である。すべての気泡が近似球状気泡と非球形気泡に分類することができるならば、球状気泡仮定に基づく理論によって近似球状気泡の必要な情報が得て、更に非球形気泡の特徴を考慮した上で近似球状気泡の情報を利用して非球形気泡の寄与を推定することができる。この考えにより、球状気泡仮定に基づく理論を用いる実用的なフォーセンサプローブ計測が可能となる。
流れの中の気泡の変形を定量的に評価するために、球形からの気泡偏差係数Cdvを以下のように定義した。
図4に示すようにθi,2h+θi,2h+1=πであり、h番目の球状気泡の2h番目及び2h+1番目の界面のIACへの寄与(ai,2h及びai,2h+1)が互いに等しいため、Cdvは0となる。気泡がわずかに球形から外れた場合、θi,2h+θi,2h+1≠π、ai,2h≠ai,2h+1及びCdvが0を越える。非球形気泡のいずれかの界面が、その界面速度ベクトルとその界面の法線方向の間に直角にプローブを接触した場合、その界面のIACへの寄与はゼロとなり、Cdvは1の最大値に達する。従って、気泡の形状が球状から、近似球状、非球状まで変化すれば、対応するCdvの範囲は0から1である。球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論はCdvが小さい近似球状気泡に近似的に適用でき、Cdvが大きい非球状気泡に有効ではない。近似球状気泡と非球状気泡との間に存在する臨界的な気泡偏差係数Cdv,critが第5.1セクションの実験データによって決定される。
近似球状気泡はCdvの値が小さく、球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論は近似的にこれらに有効である。ここでは、近似球状気泡についての時間平均IAC計測に、式(54)に代えて式(52)を用いることを推奨する。なぜなら、式(52)ではIAC寄与における気泡の2つの界面間のわずかな相違を考慮しているからである。以下、非球形気泡の特徴を考慮した上で、非球状気泡の気泡速度、気泡径と界面積濃度の寄与を推定する方法を提案している。
気液2相流では優勢なキャップ型気泡が後続の気泡よりかなり大きいが、気水2相実験での観察によれば、楕円又は偏球状気泡等の非球状気泡のほとんどは通常近似球状気泡と同じサイズであり、大気泡は数が少ないことが示された。従って、非球状気泡も近似球状気泡の平均速度及び平均径を有すると考えるのが合理的であろう。しかし、非球状気泡は近似球状気泡に比べ、IACに対する寄与度がわずかに大きいと予測される。このため、非球状気泡のほとんどが偏球状又は半球状(すなわちキャップ型気泡)である場合には、平均非球状気泡の局所時間平均IACを平均球状気泡の値の1.095及び1.191倍に評価することを勧める。1.095はアスペクト比0.5の偏球と同じ体積の球との表面積比であり、1.191は半球と同じ体積の球との表面積比である。
3.3 欠落及び逸脱気泡の訂正方法
侵襲的なフォーセンサプローブの測定理論を確立するために、界面曲率と気泡移動速度の2つの基本的な仮定は第1章で導入されている。気泡と界面は、わずかにプローブの立入によって影響を受けている。また、実際の気液二相流において、気泡と界面は常にフォーセンサプローブの全ての先端に触れることができない。以下、仮定と現実の違いの訂正方法が詳細にバブルの動きを分析することによって提案される。
多次元2相流における侵襲的フォーセンサプローブに対する気泡の動きによれば、気泡は3つのグループに分けられる。すなわち、正面接近する気泡(on)、後退接近する気泡(rec)、横断接近する気泡(tran)である。正面接近する気泡はプローブの正面に向かって移動するので、後部センサ先端よりも先に前部センサ先端に接触する。後退接近する気泡は後方からフォーセンサプローブに沿って移動するので、前部センサ先端よりも先に後部センサ先端に接触する。最後に、横断接近する気泡はプローブセンサにほぼ垂直な方向に移動するので、前部センサ先端には接触するが、後部センサの一つ又は二つ以上の先端には接触しない。横断する気泡は通常、欠落気泡と呼ばれる。上昇2相流内に下向きに置かれた侵襲的プローブでは、上向きに移動する気泡が正面接近する気泡であり、下向きに移動する気泡が後退接近する気泡である。球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブの計測を遂行するために、これら3種類の気泡について測定誤差又はその回復方法について論じる。
正面接近する気泡の動きは、侵襲的フォーセンサプローブのサイズが有限であるため、計測において乱されることがある。しかし、画像分析により、液体が静止状態になっている管内において生成した上向きに移動する安定したスラグ気泡(すなわち正面接近する気泡)について、フォーセンサプローブのボイド率及びIAC計測を検証した研究によれば、正面接近する気泡についてのボイド率及びIAC計測の誤差は無視できるほど小さい。
横断接近する気泡は、フォーセンサプローブ計測において、センサ先端間が距離的に離れているため、通常、前部センサ先端には接触するが、後部センサの一部又は全部先端には接触しない。気泡流の計測において欠落気泡を取扱う古典的な手順では、欠落気泡はあたかも、4本センサの先端に触れた有効な気泡の平均表面法線方向の界面速度成分を有するかのように扱われる。欠落気泡は通常最も小さい気泡又は端に引っ掛かった気泡であるため、IACについてのこの回復方法では、欠落気泡が過小評価されている。
後退接近する気泡は、侵襲的フォーセンサプローブの後部支持部品が邪魔になるため、計測において、正面接近する気泡より顕著に乱れることが予想される。気泡の中には前部センサ先端から逸れるものもあるだろう。界面形状はプローブ壁の剪断応力のために変形するであろう。気泡の内には速度が遅くなるものもある。これらの効果は、計測におけるボイド率及びIACの損失につながる。後退接近する気泡の率がある程度に達すると、プローブの後部支持部品が邪魔になるために生じる気泡逸脱効果(すなわち、気泡の逸脱、界面の変形及び気泡の速度低下)による流体力学的誤差が、侵襲的フォーセンサプローブによるボイド率計測及び界面積濃度計測の信頼性を損なうほどになる。
欠落気泡効果及び逸脱気泡効果に関するボイド率の損失及びIACの損失に鑑みて、フォーセンサプローブ計測では、ボイド率とIACの損失を回復するのに非特許文献9の訂正方法を用いることを推奨する。この方法では、後退接近する気泡については、プローブ後部支持部品の存在によって逸脱した気泡に関連するボイド率の損失とIACの損失を加算することにより、横断接近する気泡については非特許文献10の訂正方法を採用することにより、ボイド率とIACとが補充される。
ここでaeff及びatrueはそれぞれ、前部センサ先端の検出により計測されたボイド率と、訂正されたボイド率とである。ai,eff及びai,trueはそれぞれ、有効な気泡全てから計算した局所時間平均IACと、訂正された局所時間平均IACである。rtran及びrrecはそれぞれ、界面信号から容易に得られる、横断接近又は欠落気泡率と後退接近気泡率である。
4.実施の形態
図10を参照して、本発明の1実施の形態に係る気液2相流パラメータの測定装置140は、前述したとおり、測定対象の気液2相流130内に配置されるフォーセンサプローブ50からの出力から、気液2相流130の気液2相流パラメータを測定するためのものである。
図11を参照して、測定装置140は、フォーセンサプローブ50の出力を所定時間ごとにサンプリングするサンプリング部160と、サンプリング部160によりサンプリングされた値を一時蓄積するためのバッファ162と、バッファ162に蓄積されたサンプル値に基づいて、パルス信号の対応関係を付け、後述する処理によって気液2相流パラメータを逐次算出する処理を行なうための演算部164と、演算部164が使用するデータ及びプログラムを記憶するための記憶装置168と、演算部164に対してユーザが指示を与えるために使用する入力装置166と、演算部164の演算結果を所定形式で出力する出力部170とを含む。本実施の形態では、入力装置166は、キーボード及びマウスを含み、出力部170は液晶モニタを含む。
図12を参照して、演算部164が実行するプログラムのメインルーチンは、以下のような制御構造を持つ。すなわち、このプログラムは、測定装置140の電源が投入されると起動され、ハードウェア各部の初期化の後に装置状態、稼働中のプロセス(もしあれば)の結果、及び処理メニューを表示するステップ200と、ステップ200で表示された画面においてユーザの入力を待ち、ユーザにより行なわれた選択結果に応じて制御を分岐させるステップ202とを含む。
ステップ202で選択可能な処理は、プローブの登録処理、計測プロセスの開始処理、開始したプロセスを終了させる処理、及びこのプログラムの実行を終了させる処理である。これ以外にも様々な処理を選択可能であるが、本発明に関連のない部分については説明をわかりやすくするため、図12には図示していない。
プローブの登録処理は、予め準備されたプローブについて、その寸法(センサの先端間の位置関係を前述のようにベクトル表現したもの)をプローブ番号とともに登録する処理である。新たなプローブを使用する場合、この登録を行なわないと正しい測定を行なうことができない。センサの登録処理は、ユーザにより、登録対象のセンサプローブの寸法の入力を受けるステップ204と、この新たなプローブに番号(名称)を付けてその寸法等に関する情報を記憶装置168に登録し、処理をステップ200に戻すステップ206とを含む。
プロセスを開始する処理は、センサプローブが接続されているポート番号を選択するステップ202と、測定プロセスで使用されるプローブ番号を記憶されているプローブ番号の中から選択するステップ210と、測定プロセスを起動して制御をステップ200に戻すステップ212とを含む。
プロセスの終了処理は、現在実行中のプロセスの中からどのプロセスを終了させるかを選択するステップ204と、ステップ204で選択されたプロセスに対して処理終了の制御信号を送信してプロセスを停止させ、制御をステップ200に戻すステップ216とを含む。
図13を参照して、図12のステップ212で起動される測定プロセスを実現するプログラムは、記憶領域の確保など必要な初期化を行なうステップ240と、指定されたセンサプローブの寸法を記憶装置168から読出すステップ242と、ステップ242で読出されたデータに基づき、測定のための定数|A|/Aを算出するステップ244とを含む。この値は、式(32)から計算でき、式(51)、式(59)等で用いられる。
このプログラムはさらに、各センサプローブの出力を読出すステップ246と、読出されたセンサプローブの出力パルスと、バッファに記憶されているセンサプローブの出漁パルスとに基づいて、センサ対ごとに、双方のセンサの2h番目の界面信号と2h+1番目の界面信号との対を特定するステップ248と、ステップ248で特定されたパルス対の時間情報に基づいて、気泡速度ベクトルを式(37)と式(38)により算出するステップ250と、式(41)〜式(44)を用い、E0k,2h及びE0k,2h+1(k=1,2,3)を算出するステップ252と、このようにして算出されたE0k,2h及びE0k,2h+1とAとを用い、式(46)〜式(48)及び式(50)により気泡径Dhを算出するステップ254と、式(51)によって界面法線ベクトルを算出するステップ256と、式(52)により局所時間平均界面積濃度IAC(ai)を算出し、制御をステップ246に戻すステップ258とを含む。
図13の各ステップで使用されるのは、前述した考察により得られた最終的な式のみであり、サンプル値をこれら式に適用することにより、気液2相流パラメータの適切な値を得ることができる。
5.検証
上記実施の形態による測定方法について、実験による検証を行なった。まず始めに、新たに展開したフォーセンサプローブ理論の適用範囲について論じる。気泡径Dhにより、気泡を3つのグループ、すなわち、極小気泡、小気泡及び大気泡に分類する。前2つのグループは、フォーセンサプローブのサイズと同程度のサイズの気泡径Dprobeによって分ける。後の2つのグループはフォーセンサプローブのサイズよりかなり大きい(フォーセンサプローブのサイズの10倍を推奨する)気泡径Dtranによって分ける。臨界気泡偏差係数Cdv,critにより、全ての気泡を2つのグループ、すなわち近似球状気泡と非球状気泡とに分類した。従って、Db-Cdv座標系において、図に示すように6個の組合せができる。極小気泡は、フォーセンサプローブより小さいサイズであるため、フォーセンサプローブでの計測は不可能である。この新たに展開したフォーセンサプローブ理論は、2相流における近似的球状気泡の計測に適用できる。この理論を、垂直な管内の安定スラグ流等の、非球状気泡の多い2相流の計測に適用するのは避けるべきである。
5.1 検証実験
新たに展開したフォーセンサプローブ理論の実用性を調査し検証するために、光学フォーセンサプローブを利用して、多次元2相流における局所瞬間3次元気泡又は界面速度ベクトル、局所瞬間気泡径、局所時間平均IACを計測した。この気液2相流実験は、内径(D)200mmの垂直管において行なわれた。その実験装置の概略を図14に示す。
図14を参照して、この実験装置280は、試験部290と、試験部290の下部に設けられた気水混合部296と、試験部290の上部に設けられた気水分離器292と、試験部290上部から水を取水し、気水混合部296に供給して気水2相流を試験部290内に作り出す循環部294とを含む。
循環部294は、気水分離器292からの水を気水混合部296に向けて供給する循環ポンプ304と、循環ポンプ304からの水を2系統に分けて気水混合部296に供給するベンチュリー流量計306及び308とを含む。ベンチュリー流量計306からの水は気水混合部296の外部に供給される。ベンチュリー流量計308からの水は、気水混合部296の内部の狭い隙間部に送られる。一方、実験装置280は、気水混合部296の隙間部に空気を供給するためのエアコンプレッサ300を持つ。エアコンプレッサ300により一旦蓄圧タンクに貯められた空気は、流量計を通って気水混合部296の内部に送られ、細孔部298から噴出されて細かな気泡を発生し、水と混合する。
試験部290の内径は0.2mで高さは26mである。この実験では、図14にも示すとおり、試験部290の入口に配置された圧力計(P)と、7台の差圧計(DP)とにり、流れ方向の圧力分布を測定した。
実験条件が低流速範囲で、摩擦圧力損失が無視出来ることを考慮して、差圧測定結果より断面平均ボイド率<α>を次式から得る。
ここで、ΔPDPは試験部区間Δzの差圧測定値である。
入口側気体流量及び気体圧はそれぞれ、オリフィス流量計及び圧力ゲージを用いて計測した。気体オリフィス流量計の精度は、0から55℃の周囲温度で最大測定限界の±0.5%であった。圧力ゲージの最大測定誤差は最大測定限界の1%であった。流れに沿った圧力分布は、差圧計(DP)ゲージを用いて得たが、その最大不確実性は±0.1kPa/mと推定される。従って、流れに沿った断面平均ボイド率もDPゲージによって計測可能である。局所計測を行なうため、光学フォーセンサプローブをz/D=41.5、82、8及び113の3軸位置に設置した。各軸位置において、11の半径方向位置、すなわちr/R=0、0.2、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95で計測を行なって、断熱的気水2相流の局所流れパラメータを得た。ここでr及びRは管の半径位置及び半径を表す。横河電機株式会社のWE7000制御データ獲得システムを光学プローブとともに用い、サンプリング周波数は3×100秒で10kHzであった。
臨界気泡偏差係数Cdv,critは、球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ計測方法にとって重要なパラメータである。気泡のCdv値は球形からのその形状の偏差の程度を表すので、総気泡数に対する近似球形気泡数の比と定義される近似球形気泡率rSBは主にCdv,critに依存する。図17には、200mm径の垂直管内z/D=82.8の<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.280m/s条件の実験データが、Cdv,critを決定するために使用されている。図17の左の図は、rSBがCdv,critの増加に伴って急激に増加していることを示す。Cdv,crit=1でrSBは総気泡数に対する有効な気泡数の比と定義される実効気泡率reffに達する。フォーセンサプローブから計測された<jG>(第5.2セクションに示す)に対するCdv,critの効果を検討したものが図17の右側に示される。この図のDPゲージから計測された<jG>と比較すると、気液2相流のフォーセンサプローブ計測においてはCdv,critの値を0から0.2の範囲にとることが合理的であると分かる。近似球状気泡率rSBに鑑みて、フォーセンサプローブによる実際的な気液2相流の計測にはCdv,critの値を0.1とすることを推奨する。
図15は球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ計測法により、垂直管内z/D=82.8において、流れ条件<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.280m/sと流れ条件<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.185m/sで計測された局所パラメータ半径分布を示す。それらの両流れ条件の面積平均ボイド率がそれぞれ0.263及び0.205であるので、それらの流れは乱気泡流の流動様式である。計測された局所時間平均ボイド率(α)プロファイルと、計測された局所時間平均IAC(ai)プロファイルとはいずれも、図15の左上及び左中央の図において半径方向に典型的なべき法則分布を示している。図15の左下の図は、気泡の平均径、Dbが3.5mmから6mmの範囲であり、管の中央領域の気泡は管の壁領域のものに比べわずかに径が大きいことを示している。図15の右側の3つの図は、3方向における平均気体速度(すなわち気泡速度)成分を示す。流れ方向の平均気体速度成分Vbzは、べき法則半径方向分布を有し、管の中央領域における相対的に大きな気泡の早い動きに対応している。半径方向及び周方向の平均気体速度成分、Vbx及びVbyは、ほぼ0に等しく、これは、激しい乱流が優勢であることが観察されているにも関わらず、垂直管内では回転流がないことを示す。流れ条件の2つの例について、参考として、サンプリング時間(100秒)における、中央前部センサによって検知された総気泡数、4つのセンサ全てで検知された有効気泡数、有効気泡率reff、近似球状気泡数、及び近似球状気泡率rSBをテーブル2に示す。
5.2 差圧ゲージ及び流量計を用いた計測との比較
局所フォーセンサプローブ計測の精度を検証する1方法として、流れチャネルの局所流れパラメータを積分することによって得られた面積平均量を、ボイド率についてのDPゲージ及び表面気体速度についてのオリフィス流量計等を用いる他の相互較正方法によって計測された面積平均パラメータと比較した。図16の上の図は、それぞれ、DPゲージとフォーセンサプローブとによって測定された断面積平均ボイド率の比較を示す。この比較は、フォーセンサプローブからの値がDPゲージからの値とよく一致していることを示し、平均相対偏差は±7.84%であった。光学フォーセンサプローブを用いて計測された局所時間平均ボイド率と局所平均Vbzから、断面積平均見掛け気相速度<jG>を得ることができ、これは以下で定義される。
局所平均Vbzは式(37)と式(66)に示している二つの方法で算出することができる。図16の中央と下の図では、ガス流量計計測によって測定された<jG>をそれぞれ式(37)と式(75)を用いて算出した<jG>と式(66)と式(75)を用いて算出した<jG>と比較している。<jL>=0.0505〜0.312m/s及び<jG>=0.0127〜0.280m/s(<α>=0.0128〜0.323)の範囲では、それぞれ平均相対偏差±18.3%と±19.8%の一致が得られた。面積平均ボイド率と面積平均見掛け気相速度との相互較正により、新たに開発した球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論と大気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論を2相流計測に適用する有効性が検証された。
5.3 写真方法を用いた気泡サイズ計測との比較
球状気泡仮定に基づくフォーセンサプローブ理論による計測で得られた気泡径を検証するため、高速ビデオカメラで撮影した写真画像を用いた。図18及び図19は、<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.0254m/sの場合の200mm径の垂直管内r/R=0及びz/D=113での計測された局所気泡径の確率密度関数と、z/D=113での気液2相流の対応する写真である。図19の写真の左と右の端にある気泡が屈折によって歪められているので、写真の右側にある定規との比較により、写真中央領域の気泡の大きさを測定することができる。これら2枚の図を比較することで、フォーセンサプローブも、写真画像もともに、この流れ条件下で2mmから6mmという同じ範囲のほとんどの気泡の径を検出できることがわかる。
5.4 フォーセンサプローブを用いた従来のIAC計測との比較
フォーセンサプローブによる従来の局所時間平均IAC計測、すなわち式(70)は、大気泡仮定から導出され、キャップ型気泡の画像を用いて、また安定スラグ気泡を用いて検証されている。従来のフォーセンサプローブ法によって計測された局所時間平均IACを球状気泡仮定から新たに展開されたフォーセンサプローブ法による計測(すなわち式(52))と比較することが重要である。図20の右と左の図はそれぞれ流れ条件<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.280m/sと、流れ条件<jL>=0.312m/s及び<jG>=0.185m/sとの場合の比較を示す。新たに展開されたフォーセンサプローブ法によって計測された局所時間平均IACは、従来のフォーセンサプローブ法によって計測されたものよりも小さい。この差の理由は、気液2相流において多くの小気泡が近似球状であり、同じ体積ではそのほかの全ての形状に比べて球形が最小の表面積を有するという事実による。従って、従来のフォーセンサプローブ法は気液2相流における小気泡の界面積を過大評価していた。この過大評価は、気液2相流において小気泡の数が増加するにつれて増加するであろう。この新たに展開されたフォーセンサプローブ法は気液2相流において適切な局所時間平均IACを与える。なぜなら、この方法は近似球状の小気泡と、あらゆる形状の大気泡とを合理的に予測するからである。
5.5 球状気泡理論と大気泡理論の間の速度測定の比較
本発明では、球状気泡仮定と大気泡仮定を利用して、それぞれ気泡速度ベクトル(式(37))と界面速度ベクトル(式(66))を測定する二つの方法が開発されている。z/D=41.5の流れ条件<jL>=0.194m/s及び<jG>=0.203m/s(<α>=0.313)と、z/D=82.8の流れ条件<jL>=0.194m/s及び<jG>=0.267m/s(<α>=0.283)において、両速度測定方法の比較はそれぞれ図21の右と左の3図に示されている。z/D=41.5からz/D=82.8までの見掛け気相速度<jG>の増加は流れに沿った圧力低下によるものである。しかし、流れ方向の面積平均ボイド率減少は、大きな気泡の形成によるものである。形成した大きな気泡は、気液2相流のドリフト速度の増加とボイド率の低下をもたらした。従って、図21の右と左の3図にそれぞれ示しているz/D=41.5のデータとz/D=82.8のデータの間に大きな違いは、その気泡のサイズである。z/D=41.5からz/D=82.8までの流れに沿って気泡の合体と圧力低下により、大きな気泡数が大幅に増加している。図21の上の4図には、式(37)と式(66)によって算出した半径方向と円周方向の平均気相速度成分の比較が示される。それらの差が無視できるほど小さいことが分かった。図21の下の2図には、式(37)と式(66)によって算出した軸方向(すなわち流れ方向)の平均気相速度成分が異なっていることが示される。式(37)と式(75)を用いて算出した<jG>と式(66)と式(75)を用いて算出した<jG>をガス流量計計測によって測定された<jG>と比較することにより、式(37)と式(66)からの相対偏差はz/D=41.5でそれぞれ4.59%と-24.8%、z/D=82.8でそれぞれ28.7%と4.91%と推定されている。以上の比較研究から、気泡サイズが球状気泡理論の式(37)と大気泡理論の式(66)の測定結果に影響を及ぼし、球状気泡理論の式(37)と大気泡理論の式(66)がそれぞれ小さい気泡の多い流れと大きな気泡の多い流れに使用されるべきであることが分かった。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
50 フォーセンサプローブ
52 本体
54 センサ保持部
56 センサ部
58 出力部
70、72、74、76 センサ
90 気泡
92 コントロール・ボリューム

Claims (13)

  1. 気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測する気液2相流パラメータ計測装置であって、
    前記フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ〜第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力し、
    前記第1のセンサと前記第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第4のセンサとは第3のセンサ対を形成し、
    前記気液2相流パラメータ計測装置は、
    所定の座標系を基準として、前記第1のセンサの先端から前記第2のセンサの先端までの位置ベクトル、前記第1のセンサの先端から前記第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び前記第1のセンサの先端から前記第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、
    前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、前記気液2相流中の気泡の界面の、前記第1のセンサ対、前記第2のセンサ対、及び前記第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して前記気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段とを含む、気液2相流パラメータ計測装置。
  2. 前記第1の算出手段は、
    気泡のうち、液相から気相への界面である第1番目の界面が、前記第1〜第3のセンサ対の各々において、前記第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第1の時間算出手段と、
    前記第1の時間算出手段により前記第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、前記第1〜第3のセンサ対の各々における前記第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、前記第1番目の界面の速度ベクトルを算出する第1の速度ベクトル算出手段と、
    気泡のうち、気相から液相への界面である第2番目の界面が、前記第1〜第3のセンサ対の各々において、前記第1のセンサの先端から他のセンサの先端に到達するまでの経過時間を前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づいて算出する第2の時間算出手段と、
    前記第2の時間算出手段により前記第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間に対する、前記第1〜第3のセンサ対の各々における前記第1のセンサの先端と他のセンサの先端との間の距離の比を算出することにより、前記第1〜第3のセンサ対の各々に対する前記第2番目の界面の速度ベクトルを算出する第2の速度ベクトル算出手段とを含む、請求項1に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  3. 前記第1の時間算出手段により、h番目の気泡に対して前記第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h(ただしkは第1〜第3のセンサ対を表し、k=1,2,3)、前記第2の時間算出手段によりh番目の気泡に対して前記第1〜第3のセンサ対の各々について算出された経過時間をδ0k,2h+1(k=1,2,3)、前記第1〜第3のセンサ対について前記位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルをs0k(k=1,2,3)として、
    前記第1の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A1)により第1〜第3のセンサ対についてh番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)を算出し、前記第2の速度ベクトル算出手段は、以下の式(A2)により第1〜第3のセンサ対についてh番目の気泡の2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)を算出する、
    請求項2に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  4. 前記第2の算出手段は、気泡が球状であると仮定して以下の式(A3)及び式(A4)に従ってh番目の気泡の速度ベクトルVb,hを算出し、
    ただしcosηxv,h、cosηyv,h、及びcosηzv,hはそれぞれ、前記所定の座標系に関する、h番目の気泡の速度ベクトルVb,h方向の単位ベクトルであり、
    であり、cosηx0k,cosηy0k,及びcosηz0k(ただしk=1,2,3)はそれぞれ、前記所定の座標系に関し、前記第1〜第3のセンサ対の位置ベクトルがx軸方向、y軸方向、及びz軸方向となす角の余弦であり、h番目の気泡の速度ベクトルVm0k,h(k=1,2,3)の大きさは前記h番目の気泡の1番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h(k=1,2,3)の大きさと前記h番目の気泡の2番目の界面の速度ベクトルVm0k,2h+1(k=1,2,3)の大きさの調和平均である、請求項3に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  5. 前記第2の算出手段は、気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して以下の式(A5)及び式(A6)に従ってl番目の界面、すなわちh番目の気泡の1又は2番目の界面、の速度ベクトルVb,lを算出し、
    ただしcosηxi,l、cosηyi,l、及びcosηzi,lはそれぞれ、前記所定の座標系に関する、l番目の界面の速度ベクトルVb,l方向(すなわち界面法線方向)の単位ベクトルであり、
    である、請求項3に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  6. さらに、前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルを用い、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出するための気泡径算出手段を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  7. 前記気泡径算出手段は、以下の式(A7)にしたがって気泡の直径Dを算出するための手段を含み、
    であり、
    である、請求項6に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  8. 前記位置ベクトル記憶手段に記憶された位置ベクトルと、前記気泡速度ベクトルと、前記パルス系列と、測定対象の時間とに基づき、前記気液2相流における平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段とをさらに含む、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  9. 前記平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A8)により平均界面積濃度を算出し、
    ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である、請求項8に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  10. 前記平均界面積濃度算出手段は、以下の式(A9)により平均界面積濃度を算出し、
    ただしΩは全測定時間であり、Nは時間Ω中に観測された気泡の数である、請求項8に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  11. さらに、気泡の形状に応じて前記平均界面積濃度に定数を乗じることにより前記平均界面積濃度を補正するための補正手段を含む、請求項9又は請求項10に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  12. 前記補正手段により前記平均界面積濃度に乗じられる定数は、気泡の大部分が扁平な楕円球形状であれば1.095,半球状であれば1.191である、請求項11に記載の気液2相流パラメータ計測装置。
  13. 気液2相流に配置されるフォーセンサプローブの出力に基づいて、気液2相流中の気泡に関するパラメータを計測するよう、前記フォーセンサプローブの出力を受けるコンピュータを動作させるコンピュータプログラムであって、
    前記フォーセンサプローブは、第1、第2、第3及び第4のセンサを持ち、当該第1のセンサ〜第4のセンサの各々は、気相と液相との界面を検出すると検出パルスを出力し、
    前記第1のセンサと前記第2のセンサとは第1のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第3のセンサとは第2のセンサ対を形成し、前記第1のセンサと前記第4のセンサとは第3のセンサ対を形成し、
    前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
    所定の座標系を基準として、前記第1のセンサの先端から前記第2のセンサの先端までの位置ベクトル、前記第1のセンサの先端から前記第3のセンサの先端までの位置ベクトル、及び前記第1のセンサの先端から前記第4のセンサの先端までの位置ベクトルを記憶するための位置ベクトル記憶手段と、
    前記第1、第2、第3及び第4のセンサの各々が出力するパルス系列に基づき、前記気液2相流中の気泡の界面の、前記第1のセンサ対、前記第2のセンサ対、及び前記第3のセンサ対間の速度ベクトルを算出する第1の算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルに基づき、気泡が球状である又は気泡がフォーセンサプローブのサイズに対して遥かに大きいと仮定して前記気液2相流中の気泡又は界面の3次元速度ベクトルを推定する第2の算出手段と、
    前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、気泡が球形であると仮定して気泡の直径を算出する気泡径算出手段と、
    前記第1の算出手段により算出される界面の速度ベクトルと前記第2の算出手段により算出される気泡の速度ベクトルに基づき、平均界面積濃度を算出する平均界面積濃度算出手段として機能させる、コンピュータプログラム。
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