JP5911016B2 - 通信制御装置及び通信制御プログラム - Google Patents

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Description

本発明は通信制御装置及び通信制御プログラムに係り、特にネットワークを構成して相互にデータ通信を行う複数の通信端末(ノード)のそれぞれに搭載され、通信の衝突がなく、空間的な周波数利用効率が高くなるように順番に発信することで通信のスループットの向上及び安定維持を実現するための通信制御装置及び通信制御プログラムに関する。
近年、スマートフォンの普及や無線LAN(Local Area Network)ルーターの設置状況をみると、無線ネットワークの環境がユビキタス化しているため、多数の通信端末(ノード)間の干渉が問題となっている。携帯電話通信では時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式が採用されており、一つの周波数を時分割で使用することで、相互に影響し合う空間に配置された複数の携帯電話(ノード)同士が衝突することなく通信可能であり、WiFiなどに比べて周波数利用効率が高い。
しかし、TDMA方式の場合、各ノードに割り当てるタイムスロットの調停を集中管理装置(基地局)が行っており、基本的に1対Nの通信方式であるため、広い通信領域をカバーするには基地局を一定距離毎に設置しなくてはならない。また、万一、基地局が故障した場合には、その基地局がカバーする通信領域全体でシステムがダウンするなどの問題がある。
一方で、集中管理を必要としないネットワークとして、近年、携帯端末の普及により携帯端末が自由に移動しながら場所に限定されない通信を行える技術としてアドホックネットワークが注目されている。このアドホックネットワークは、無線LANのようなアクセスポイントを必要としない、無線端末(以下、無線ノード、あるいは単にノードともいう)のみで構築されたネットワークである。このアドホックネットワークは、アクセスポイントなどのインフラを持たない場所で安価にネットワークの構築が可能であり、また、個々の無線ノードの通信範囲は限られるが、別の無線ノードを中継してデータ転送することで、直接電波が届かない無線ノードにもデータを転送できるという特長がある。このアドホックネットワークでは、各無線ノードに応じて適応的、かつ、自律分散的に経路選択・中継通信するマルチホップ通信が行われる。
しかしながら、アドホックネットワークでは、隠れ端末問題やさらし端末問題があり、これらを解決することが求められている。ここで、「隠れ端末問題」とは、無線端末A、B、Cが存在し、無線端末AとC、無線端末BとCとはそれぞれ通信圏内で通信可能である場合、無線端末AとBは通信圏外にあり互いの存在を知らない(互いに隠れている)ため、無線端末AとBが同時に無線端末Cに対して発信することがあり、その場合は衝突が発生し、無線端末Cは無線端末A及びBからの受信ができないという問題である。ランダム時間後に無線端末A及びBが再送しても、決定的な解決とはならない。
また、「さらし端末問題」とは、無線端末A、B、Cが存在し、無線端末AとC、無線端末BとCとはそれぞれ通信圏内で通信可能である場合、無線端末Cは無線端末AとBに対してさらし状態にあるため、例えば無線端末Cが無線端末Bと通信しているのを無線端末Cの通信圏内にある無線端末Aが検知してしまい、その結果、無線端末Aの自分の通信圏内にある他の無線端末への発信が抑制され、スループットが落ちてしまうという問題である。この場合でも、ランダムウェイト、再送、衝突が繰り返される。
また、WiFiダイレクトやZigBeeなど無線ノード間をP2P(Point to Point)で結びネットワークを構築する技術が注目されている。しかし、WiFiなどの無線通信においては、同一周波数では一つの無線ノードだけしか通信できず、衝突回避のため、周波数が占有されていれば発信せず、衝突したらランダム時間後に再送する、CSMA/CA・CD方式を採用している。従って、P2P通信のネットワークでは、多数の無線ノードが影響し合う場合、衝突再送の繰り返しで通信のスループットが悪化する問題が指摘されている。
そこで、上記のスループットを改善し、隠れ端末問題やさらし端末問題を解決するための通信制御装置が従来開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2記載の通信制御装置では、集中管理サーバを必要とせず、複数ノードが自律分散的にタイムスロットの割り当てを調整するようにしており、そのため非線形振動をモデル化した数式を用いて、自ノード及び他ノードの発信するタイミングが極力離れるような調整を自律分散的に実現している。
すなわち、特許文献1、2記載の通信制御装置では、他ノードからの制御情報の受信に基づく各ノードのデータ発信タイミングを表す位相、及び自ノードのデータ発信タイミングを表す位相の位相状態を、位相間に作用させる非線形振動子モデルの反発特性の強さを制御することで相互調整し、決められた発信周期内において発信のタイミングが離れるようにタイムスロットを分割するようにしている。
特開2012−119891号公報 特許第4375445号公報
しかしながら、特許文献1、2には、相互通信を行うノード間で、非線形振動子モデルにおける固有振動数から決まる発信周期内において空間的な周波数利用効率(ネットワーク利用効率)を最大化させる方法が記述されているが、ノード数やネットワーク・トポロジーに応じた最適もしくは準最適な固有振動数を求める方法については記述されていない。
言い換えると、特許文献1、2には、予め想定される最大ノード数に応じた固定の発信周期が全てのノードに与えられており、その発信周期内において複数ノード間の通信衝突が起こらないように相互通信によってタイムスロットを自律分散的に分割する発明が提案されている。
しかし、上記の従来の発明では、ノード数が想定される最大ノード数に比べて少なく、また発信するデータ量も少ない場合、通信の空白部分が残り空間的な周波数利用効率が低くなってしまう問題があり、スループットの改善が不十分である。また、逆に想定以上のノード数の場合には、各ノードのタイムスロット幅が小さくなり、必要なデータ送信が行えない問題も考えられる。
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ネットワーク調停を行う特別な管理ノード(基地局など)による通信タイミングの指示を必要とせず、最大ノード数を予め既定することなく、ノード間の相互通信によって得られた隣接ノードのノード情報に基づき、グラフ理論から導かれる、ネットワークを構成するノード数及びネットワークのトポロジーに応じた準最適な発信周期と通信タイミングを各ノードが自律分散的に調整する通信制御装置及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ノード故障や移動に伴うネットワーク・トポロジーの変化に対しても、ネットワークの再構成がノード間で自律分散的に可能な通信制御装置及び通信制御プログラムを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の通信制御装置は、ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置であって、隣接ノードとの間で通信パケットを送受信する相互通信手段と、前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、及び前記ネットワーク内で共有される最大の分割ノード数情報に基づき、自ノードの前記通信パケットの発信周期を算出する発信周期算出機構と、前記発信周期算出機構で算出した前記発信周期による自ノードの発信タイミングと他ノードからの受信タイミングとの差に応じて前記発信周期を調整する発信周期調整機構と、前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、受信タイミング情報、前記最大の分割ノード数情報及びノード間通信データをまとめて前記通信パケットを生成する通信パケット生成部と、前記発信周期調整機構で調整された調整後の前記発信周期に基づくタイミングで、前記通信パケット生成部で生成された前記通信パケットを発信する発信制御機構とを備えることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明の通信制御装置は、ネットワークを構成するすべての複数のノードは、それら複数のノードの最大の分割ノード数がすべて等しいか否かを示す接続情報を通信パケットの送受信により共有しており、前記発信周期算出機構は、前記接続情報が前記複数のノードのすべてで等しいことを示しているときは、自ノードの前記最大の分割ノード数に1を加算した値にパケット間隔を乗じた値を前記発信周期として算出し、前記接続情報が前記複数のノードのすべてまたは一部で等しくないことを示しているときは、自ノードの前記最大の分割ノード数に前記パケット間隔を乗じた値を前記発信周期として算出することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明の通信制御装置は、前記発信周期調整機構が、前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードにおける近傍ノードからの受信タイミング情報に基づき、自ノードから2ホップ目にあたるノードの自ノードに対する受信タイミングを計算し、直接通信接続されている前記隣接ノードと同様に発信周期調整に利用することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明の通信制御装置は、前記発信制御機構が、通信エラーの頻度に応じて前記調整後の発信周期を一時的に増加させるようにしてもよく、また、発信制御機構は、通信接続しているノードが存在しない場合に、前記調整後の発信周期を増加させて発信の回数を抑えるようにしてもよい。また、前記相互通信手段は、通信の受信強度情報を取得し、その受信強度情報に応じて受信感度を調整してもよく、通信パケット生成部は、他ノードからの受信強度情報も含めて前記通信パケットを生成するようにしてもよい。この場合、前記相互通信手段は、受信した前記通信パケットの前記受信強度情報に基づいて、ノード間通信接続が切断されない範囲で、通信パケット送信強度を調整することができる。
また、上記の目的を達成するため、本発明の通信制御プログラムは、ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載されたコンピュータに通信制御を実行させる通信制御プログラムであって、前記コンピュータに、隣接ノードとの間で通信パケットを送受信する相互通信機能と、前記相互通信機能により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、及び前記ネットワーク内で共有される最大の分割ノード数情報に基づき、自ノードの前記通信パケットの発信周期を算出する発信周期算出機能と、前記発信周期算出機能で算出した前記発信周期による自ノードの発信タイミングと他ノードからの受信タイミングとの差に応じて前記発信周期を調整する発信周期調整機能と、前記相互通信機能により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、受信タイミング情報、前記最大の分割ノード数情報及びノード間通信データをまとめて前記通信パケットを生成する通信パケット生成機能と、前記発信周期調整機能で調整された調整後の前記発信周期に基づくタイミングで、前記通信パケット生成機能で生成された前記通信パケットを発信する発信制御機能とを実現させることを特徴とする。
本発明によれば、集中的な管理サーバによる通信タイミングの指示を必要とせず、ネットワークを構成するノード数及びネットワークのトポロジーに応じて準最適な発信周期と通信タイミングがノード間の相互作用により自律分散的に調整されるため、ノード間通信の衝突を避けネットワークの利用効率を向上させることができる。
また、本発明によれば、ノードの故障や移動に伴うネットワークのトポロジーの変化に対しても、ネットワークの再構成がノード間で自律分散的に実現されるため、故障やスケールの変化にも強い頑健なネットワークを構築・維持することができる。
本発明の通信制御装置の一実施の形態の全体構成のブロック図である。 ネットワーク・トポロジーの各例を示す図である。 すべてのノードが通信圏内(全結合)の場合のアルゴリズム1による通信態様等を示す図である。 ネットワークを構成する複数のノードが通信圏外の無線ノードを含む場合のアルゴリズム2による通信態様等を示す図である。 ネットワークを構成する複数の無線ノードに隠れ端末を含む場合のアルゴリズム2による通信態様等を示す図である。 ネットワーク構成が正則であるか否かの例を示す模式図である。 5つのノードがループ状に接続されたネットワークの通信態様等を示す図である。 本発明の通信制御装置の一実施の形態の動作説明用フローチャートである。 通信パケットの構造の一例を示す図である。 相互通信手段における通信の受信電界強度調整機能を説明する図である。 相互通信手段における通信の送信強度調整機能を説明する図である。 本発明装置を搭載した3つのノードにおける時分割調停の様子を説明する図である。 60個のノードからなるネットワークの一例を示す図である。 本発明の通信制御装置により、図13のネットワークを構成する各ノードが最大分割ノード数を共有しながら最終的に最大分割ノード数10に収束していく様子を示す図である。
図1は、本発明の通信制御装置の一実施の形態の全体構成のブロック図を示す。同図において、本実施の形態の通信制御装置10は、ネットワーク調停を行う特別な管理ノード(基地局など)を有しない自律分散的なネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載された通信制御装置であって、送信部12及び受信部13を備える相互通信手段11と、発信周期算出機構14と、発信周期調整機構15と、通信パケット生成部16と、発信制御機構17とを有する。
発信周期算出機構14は、受信部13から通信接続されている隣接ノードからの受信通信パケット21が供給されて解釈し、後述するようにネットワークにおけるノード数やネットワークの形態(トポロジー)に応じた準最適な自ノードの発信周期を、グラフ理論の染色数問題の定理に基づいて算出する。発信周期調整機構15は、発信周期算出機構14により算出された発信周期による自ノードの発信タイミングと他ノードからの発信タイミングとの差に応じて上記発信周期を調整する。
通信パケット生成部16は、通信接続されている隣接ノードからの通信パケットから取得した、自ノードにおける近傍ノード情報22、自ノードの発信周期における他ノードからの受信タイミング情報、最大の分割ノード数情報及びノード間通信データをまとめて通信パケットを生成する。発信制御機構17は、発信周期調整機構15で調整した発信周期情報23に基づくタイミングで、通信パケット生成部16により生成された通信パケットを送信通信パケット24として送信部12を通して発信させる。
ここで、本実施の形態の通信制御装置10における通信制御の要件について以下に説明する。
(1)ネットワーク内に調停を行う特別な管理ノード(基地局など)はおかず、すべてのノードが対等な関係とする。ただし、通信の調停がなされた結果、近傍ノードとの関係から機能の分化が起こり、アプリケーションにおいて積極的に機能分化を利用することは考えられる。たとえば、通信を仲介するハブのような役割のノードや、端末のノードなどの創出が想定される。
(2)ネットワーク・トポロジーには図2(a)〜(g)に模式的に示すように、環形(リング型)、全結合型、スター型、ツリー構造型、ライン型、メッシュ型、バス結合型など様々な形態があり、用途に合わせて使い分けがなされている。しかし、対等なノード同士を自由に結合することを考えた場合、トポロジーを限定することができないため、あらゆるネットワークの構成を対象とする。
(3)構成されたネットワーク・トポロジー及びその時のノード数に応じて、自律分散的に相互に通信が衝突しないように調停し、それを安定に維持できるようにする。
(4)従来の方法のように、複数のノード同士が通信可能なタイムスロットを取り合う(管理機構が割り当てる)のではなく、ネットワーク内のノード数、ネットワーク・トポロジーに応じて、空間的な周波数利用効率が向上するように発信周期を自律分散的に調整し、共有するものとする。
(5)各ノードにおける通信パケットの幅(以下「1パケット間隔」と呼ぶ、また記号で「PI」と記す)は、ネットワークを構成するノード間で一定と仮定する(ユーザーが決定できるが全体で同一とする)。従来手法のように、ノード数で一定の通信時間を分割するのではなく、ノード数に応じて各ノードの発信周期を伸ばす(可変する)ことで時間分割を実現する。
本実施の形態の通信制御装置10は、上記の要件を満たすための時間分割アルゴリズムに基づいて動作することに特徴がある。この時間分割アルゴリズムは、以下説明するアルゴリズム1、アルゴリズム2及びアルゴリズム3の計3つのアルゴリズムからなる。
(1)アルゴリズム1
アルゴリズム1は、複数のノードが互いに通信圏内にあるとして、通信圏内にあるノードの数を相互に共有し、1パケット間隔×ノード数で計算される時間(以下、発信周期という)に基づいて個々のノードが周期的に送信を行う。さらに、アルゴリズム1は、近傍ノードの発信に対して、1パケット間隔を保持するように各ノードが送信タイミングを調整することで、全体による時分割通信を自律分散的に実現する。このアルゴリズム1によれば、ノード数Mに合わせた適応制御による通信のスループットを最適に保つことができる。
図3は、すべてのノードが通信圏内(全結合)の場合のアルゴリズム1による通信態様等を示す。すなわち、図3(a1)に示すように、2つのノードA及びBが通信圏内にある場合は、ノードA及びBは、それぞれ図3(a2)に模式的に示すように、アルゴリズム1に従い交互に送信と受信動作を行う。この2ノードの場合、2×1パケット間隔の周期で送受信を行い、1パケット間隔は一定である。また、図3(b1)で示すように、3つのノードA、B及びCが同じ通信圏内にある場合は、ノードA、B及びCは、それぞれ図3(b2)で模式的に示すように、アルゴリズム1に従い、1パケット間隔の期間は送信動作、続く2パケット間隔の期間は受信動作という、3×1パケット間隔の送信周期で送受信を行う。1パケット間隔は一定である。
(2)アルゴリズム2
アルゴリズム1では、すべてのノードが通信圏内(全結合)にないと利用できない。そこで、ネットワークを構築する複数の無線ノードが全結合していない場合は、アルゴリズム2により、自ノードの1近傍(隣接)にあるノードのタイミング情報もデータとして近接ノードに送信し、自ノードの1近傍ノードを仮想ノードとして認識させる。例えばノードAとBが通信圏内にあって通信可能であり、ノードBとCが別の通信圏内にあって通信可能であるが、ノードAとCは通信圏外であるものとした場合、ノードAからはノードBしか見えず、ノードCからもノードBしか見えないため、隠れ端末問題やさらし端末問題が生じる。この場合、ノードAから見てノードCは仮想ノードであり、ノードCから見てノードAは仮想ノードである。
アルゴリズム2は、ノードBが隣接ノードであるノードCとの通信タイミングをノードAに送信することで、ノードAはノードBと同様にノードCからの発信タイミングに対しても位相差の調整を行うことで隠れ端末問題とさらし端末問題を同時に解決する。同様にして、ノードCはノードBと同様にノードCに対する仮想ノードであるノードAからの発信タイミングに対して位相差調整を行うことで隠れ端末問題とさらし端末問題を同時に解決する。このようにして、アルゴリズム2によりすべての無線ノードA、B、Cがあたかも結合しているように扱え、前述したアルゴリズム1を適用できるようになる。なお、複数のノードが全結合していないネットワークにおける各ノードの発信周期は、後述するようにネットワークを構成する複数のノードにおける1近傍ノード数と2近傍ノード数の和である分割ノード数の最大値に応じて決定される。
図4は、ネットワークを構成する複数のノードが通信圏外の無線ノードを含む場合のアルゴリズム2による通信態様等を示す。すなわち、図4(a)に示すように、ノードBがノードAとCのそれぞれと通信可能な通信圏内にあるが、ノードAとCとは通信圏外である場合、ノードA、B及びCは、それぞれ図4(b)に模式的に示すように、アルゴリズム2に従い、1パケット間隔の期間は送信動作、1パケット間隔の期間は受信動作、1パケット間隔の期間は仮想状態(仮想的な受信動作)という、3×1パケット間隔の周期で送受信を行う。1パケット間隔は一定である。
例えば、ノードAについて説明すると、ノードAはノードBからの情報(ノードAとCが1近傍ノード、ノードBにおけるノードAとCの受信タイミング(ctr_ba,ctr_bc))を基に、ノードAにおけるノードCの仮想的な受信タイミング(*ctr_ac=ctr_bc−ctr_ba)を計算し、カウンタが*ctr_acになった時点であたかもノードCから受信したように振る舞う(これを図4(b)では「仮想」として示す)ことで、時分割を成立させる。ノードCにおけるノードAの関係も同様である。このアルゴリズム2により、隠れ端末が存在してもスループットを落とすことなく通信が行える。また、ノードBはさらし状態にあるが、スループットを下げずに通信が行える。
図5は、ネットワークを構成する複数の無線ノードに隠れ端末を含む場合のアルゴリズム2による通信態様等を示す。すなわち、図5(a)に示すように、4つのノードA〜Dが一列になるように接続されたネットワークの場合、ノード3個の場合の図4と同様の3パケット間隔の周期で送受信が行われる。これは5つ以上のノードが一列に接続されたネットワークも同様である。これは図5(a)のノードAとDのように、3ホップ離れたノード同士は影響し合わず、同時に発信しても干渉しないからである。従って、図5(a)のネットワークを構成するノードA、Dのそれぞれは、図5(b)に模式的に示すように、アルゴリズム2に従い、1パケット間隔の期間は送信動作、1パケット間隔の期間は受信動作、1パケット間隔の期間は仮想状態という、3×1パケット間隔の周期で送受信を行う。ただし、ノードB及びCはそれぞれ隣接するノードA及びC、ノードB及びDが異なるタイミングで送信動作を行う期間は受信動作を行うので、仮想状態はなく3パケット間隔の周期で送受信動作を行う。1パケット間隔は一定である。
(3)アルゴリズム3
ネットワークの空間的な周波数利用効率を向上させるには、ある統一された発信周期をネットワークを構成するすべてのノードで共有し、さらにアルゴリズム1,2による時分割調停が機能する範囲でなるべく小さい発信周期であることが望ましい。そこで、アルゴリズム3は、以下説明するグラフ理論の染色数問題に基づく定理から導かれる手続きを用いて、ネットワーク全体における準最適な発信周期を発信周期算出機構14において算出する。
グラフ理論の定理(Brooks,1941、“Diestel,Graph Theory,3rd ed.,Springer,2000.“)から、連結グラフにおいて、隣接ノード数が全てのノードにおいて等しい場合(正則グラフ)と、正則グラフでない場合(隣接ノード数に差がある)とがあるが、正則グラフでない場合の染色数は、各ノードの隣接ノード数のグラフ全体における最大値以下である。正則グラフの場合の染色数は、各ノードの隣接ノード数のグラフ全体における最大値+1以下である。ここでは、隣接するノードが同一の色に塗り分けられてはいけないという染色数問題についての定理を示しているが、2ホップ以内のノードが接続されたグラフの染色数を考えることにより、これは複数ノードが様々なネットワーク・トポロジーで結合されている場合の、通信干渉問題と考えることができる。
つまり、2ホップ以内のノードが自ノードと同時に発信した場合、近接していればもちろん通信は衝突し、さらに2ホップの間隔にあるノード同士が同時に発信した場合、1近傍ノードでは両方の通信が干渉して受信できない問題(隠れ端末問題)や、自ノードが複数のノードと近接している場合において、隣接ノード同士が2ホップ間隔に位置している際に、隣接ノードが発信していると自ノードが発信できない問題(さらし端末問題)がある。上記定理に基づいて、2ホップ以内のノードが同じ色に塗り分けられないようにし、さらになるべく少ない色数で塗り分けることで、通信の干渉を抑え、さらにネットワークの空間的な周波数利用効率も同時に向上させることができる。
アルゴリズム3では、各ノードにおける隣接ノード数(以下分割ノード数)Rを、1近傍と2近傍ノード数との和であるものとし、そのネットワーク全体における最大値を以下では最大分割ノード数Rmaxとする。発信周期Tは以下のようにするものである。
正則の場合:T=(Rmax+1)×PI
正則でない場合:T=Rmax×PI
ただし、上式中、PIは1パケット間隔を示す。
次に、発信周期Tの具体例について説明する。
図6(a)は、5つのノードA〜Eがループ状に接続されたネットワークを示す。このネットワークでは、すべてのノードA〜Eにおいて自ノードを除く2ホップ以内のノード数Rが等しく「4」でRmax=4となり、正則の場合であるので、発信周期Tは5(=4+1)パケット間隔(=5×PI)となる。
図6(b)は、4つのノードA〜Dがループ状に接続されたネットワークを示す。このネットワークでは、すべてのノードA〜Dにおいて自ノードを除く2ホップ以内のノード数Rが等しく「3」でRmax=3となり、正則の場合であるので、発信周期Tは4(=3+1)パケット間隔(=4×PI)となる。
図6(c)は、5つのノードA〜Eのうち3つのノードA〜Cのみがループ状に接続されたネットワークを示す。このネットワークでは、図6(c)に示すようにノードA及びBの各分割ノード数Rが「3」、ノードC及びDの各分割ノード数が最大の分割ノード数Rmaxとなり「4」、ノードEの分割ノード数が「2」であり、正則でない場合であるので、発信周期Tは4(=Rmax×PI)パケット間隔となる。
図7は、5つのノードがループ状に接続されたネットワークの通信態様等を示す。図7(a)に示すように、5つのノードA〜Eがループ状に接続されたネットワークの場合、ノードAとDは3ホップと2ホップのケースがあり、2ホップの場合は影響し合う。ノードA〜Eからなるネットワークは正則の場合であるので、アルゴリズム3に従い、図6(a)とともに説明したように、各ノードA〜Eは5×1パケット間隔の送信周期で図7(b)に模式的に示すような送信動作を行い、送信期間以外の期間で受信動作を行う。
以上説明したアルゴリズム1〜3からなる時間分割アルゴリズムにより、ネットワークを構築する複数のノードのそれぞれの発信周期Tに応じて、各ノードはパルス結合振動子モデルによって、隣接ノードと仮想ノードとの間を1パケット間隔分空けるように発信のタイミングを調整し、複数のノードのそれぞれが自律分散的に上記の調整動作を繰り返すことでネットワーク全体が安定した状態(共通の発信周期)に落ち着いていく。万一、ネットワークを構築するノードが増減した場合でも、隣接ノードがそれを検知して、分割ノード数をリセットし、それが隣接ノードに伝搬していくことで、自律的にネットワークが再構築される。
次に、図8のフローチャートを併せ参照して図1に示した本実施の形態の通信制御装置10の動作についてさらに詳細に説明する。個々のノードにおいて、図8のフローチャートの処理を繰り返し実行することで自律分散的な調停が実現される。
まず、発信周期算出機構14は、受信部13から受信通信パケット21の受信を完了したかを判定する(ステップS1)。ここで、送受信される通信パケットのパケット構造は、図9にその一例を示すように、2バイト(byte)の識別子、送信元のノードに割り当てられた送信元ID、データバイト数(=3+C×3)、1バイトの最大分割ノード数Rmax、1バイトの正則判定フラグ値L、1バイトの1近傍ノード数(隣接ノード数)C、1バイトの1近傍ノードIDを示すVID、2バイトの1近傍ノードタイミングRT、nバイトの通信データ(目的地ID、経由ID、データなど)、1バイトのチェックサムからなる。なお、VID及びRTは1近傍ノード数分ある。この通信パケットは後述する通信パケット生成部16において生成される。
発信周期算出機構14は、図9のデータ構造の受信通信パケット21を受信完了していないときは(S1のNo)、後述のステップS13に進んで発信周期調整機構15に処理を渡すが、受信完了したときは(S1のYes)、パケット受信フラグをセットし、受信通信パケット21から受信ID、タイミングVTを含めて隣接ノードとして登録し、2ホップ以内のノード数Rをカウントする(ステップS2)。ここで、上記のノード数Rは、隣接ノード数(1近傍ノード数)Cと2近傍ノード数との和であり、自ノードにおける分割ノード数である。
続いて、発信周期算出機構14は、受信した最大分割ノード数Rmax*が以前に受信した最大分割ノード数Rmax以上であるか否かを判定し(ステップS3)、Rmax*≧Rmaxのときは最大分割ノード数RmaxをRmax*とし、また受信した正則判定フラグ値Lに応じてアルゴリズム3に従い発信周期Tを算出し、更にRmaxの有効期間DNを「2T+counter」としてセットする(ステップS4)。なお、「counter」はパックグラウンドで一定間隔でインクリメントされるカウンタ値である。
ここで、上記の正則判定フラグ値Lは、ネットワーク全体が正則グラフであるのか、そうでないのかを判定するために導入されたフラグであり、ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれの最大の分割ノード数がすべて等しいか否かを示す接続情報である。この正則判定フラグ値は以下のようにして各ノードにより自律分散的に算出されて送受信される。
もし、最大の分割ノード数Rmaxと自ノードの分割ノード数Rが等しくない場合、自ノードの正則判定フラグLをLmaxとする。Lmaxはネットワークの規模によって決まる定数でユーザーが決定できる。
それ以外(Rmax=R)の場合で、隣接ノードの正則判定フラグLc≦Lのとき、L=L−1(ただしL≧0)、隣接ノードの正則判定フラグLc>Lのとき、L=Lc−1(ただしL≧0)として算出される。この算出動作は各ノードがネットワーク内において通信を介して繰り返す。そして、ネットワークが正則グラフかどうかの判定において、
L=0ならば、正則グラフとなり、発信周期T=(Rmax+1)×PI
L>0ならば、正則グラフでないので、発信周期T=Rmax×PI
となる。
なお、上記Brooksによるグラフ理論の定理により準最適な発信周期を算出することができるが、それが最適であるとは限らない。より小さい発信周期を求める方法として、公知の文献(Welsh and Powell,“An upper bound for the chromatic number of a graph and its application to timetabling problems”,Computer Journal 10 (1),85-86,1967)記載のWelsh-Powellの命題が利用できる。Welsh-Powellの命題を利用すると、すべてのノードに対する“自ノードを含む2ホップ以内のノード数”が得られれば、これを降順にソートしたリスト[e1,...,en]に対して、maximin{ei,i}を最大の分割ノード数として発信周期を求められる。
しかし、ネットワーク内すべてのノードにおける“自ノードを含む2ホップ以内のノード数”の情報を個々のノードが持つ必要があるため通信のコストも大きく、また無限に大きなネットワークの場合において発信周期の収束が確証されない問題がある。適用できる場合は、ノード数が限定されており、収束に時間を要してでもより最適な発信周期が必要な場合で、実用性と用途とのトレードオフで決まる。
次に、他ノードとの発信の間隔の調整を行う発信周期調整機構15について説明する。発信周期調整機構15では、隣接ノードからの受信タイミングに応じて、自ノードの発信周期を微修正することで、通信が干渉しないように調整する機構である。発信周期調整機構15における動作のアルゴリズムについて以下で説明する。
自ノードの発信周期Tは1パケット間隔PIの整数倍で与えられ、発信と発信の間に隣接する複数のノードからの受信を受け付ける。複数の受信のうち、(T-PI)〜Tの間に受信した隣接ノードに対してのみ調整を行う。また、自ノードの発信周期を伸ばす方向に修正を行う。その理由としては、全てのノードが隣接するノード全ての発信タイミングに対して調整を行うと、容易に周期が定まらない発振した状態に陥る問題があるためである。
また、発信周期調整機構15では、隣接ノードからの直接受信に加えて、通信圏内にない2ホップ目に位置するノード(仮想ノード)からの発信についても、隣接ノードから得られる仮想ノードのタイミング情報から自ノードに対するタイミングに変換し、受信ノードとして扱う。そうすることで、前述した隠れ端末問題、さらし端末問題を回避することができる。前述したように仮想ノードを挿入することで、全結合している場合のアルゴリズム1に帰着でき、時間分割が成立する。
受信タイミングの計算では、自ノードに対する隣接ノードに関しては、直接受信した際の自ノードにおけるカウンタ値を付加して記録する。仮想ノードに関しては、図9に示した通信パケット構造から分かるように、隣接ノードから得られる隣接ノードの1近傍ノードタイミング値RTを使って以下のように求める。
隣接ノードから受信した情報の中に、隣接ノードにおける1近傍ノードとして自ノードのID(MyID)が含まれているはずである。また、隣接ノードにおける自ノードの受信タイミング値RTも記録されている。そこで、発信周期調整機構15は、まず自ノードIDのノードを抽出し、その受信タイミング値RTを自ノードから隣接ノードに対するタイミングオフセット値TOとする(ステップS5)。
続いて、発信周期調整機構15は、タイミングオフセット値TOを利用することで、隣接ノードにおける1近傍ノード、つまり自ノードにおける2近傍ノードの発信タイミングVTを以下のように計算して登録する(ステップS6)。
VT[n]=RT[n]−TO
(nは隣接ノードにおける1近傍ノードのID、n≠MyID)
続いて、発信周期調整機構15は、通信データがあるかを判定し(ステップS7)、通信データがあれば通信データを処理し(ステップS8)、なければステップS9に進む。ステップS8の通信データの処理では、自ノード宛のデータであれば登録し、他ノード宛のデータであれば転送バッファに入れる。また、隣接ノードから受信した際に、仮想ノードのID、変換した発信タイミングVTも同時に記録しておき、T−PI≦VT<Tの場合、仮想ノードからも受信があったとして扱う。
続いて、発信周期調整機構15は、パケット受信フラグがセットされているか、又は仮想ノードの受信タイミングがカウンタ値counterと一致するか否かを判定する(ステップS9)。一致していればパケット受信フラグをリセットし、差時間DTを次式により算出する(ステップS10)。
DT=PI−(T−VT)
この差時間DTは、受信ノード及び仮想ノードからの受信タイミングVTが、(T−PI)〜Tに含まれているかどうかを判別するための時間で、自ノード発信期間(1パケット間隔)と対象ノードとの干渉時間を示している。
続いて、発信周期調整機構15は、DT>0であるか否かを判定する(ステップS11)。発信周期調整機構15は、もし、DT>0であれば、受信ノード及び仮想ノードからの受信タイミングVTが、(T−PI)〜Tに含まれていると判断し、その場合は、自ノードの発信と干渉するので調整が必要であるため、自ノードの発信周期Tを次式により調整する(ステップS12)。
*=T+DT×a (ただし、aは0〜1の範囲の係数)
係数aはネットワークにおける時間分割の収束速度に影響し、大きすぎる場合は発振する傾向にあり、小さすぎる場合はネットワーク全体の収束に時間を要する。
一方、DT>0でないとステップS11で判定された場合は、カウンタ値counterがステップS4でセットした最大分割ノード数Rmaxの有効時間DNを超過したかどうかを判定し(ステップS13)、超過していれば最大分割ノード数Rmaxに2ホップ以内のノード数Rを代入して(ステップS14)ステップS15に進み、超過していなければステップS14を経由することなくステップS15に進む。
ステップS12で算出された調整後の自ノードの発信周期T*に基づいて、後述する発信制御機構17では通信パケット送信のタイミングを制御する。上記の発信周期調整機構15には、確率変数などは含まれておらず、一旦安定した時間分割通信がネットワーク内で得られた後は、確率などの不安定化要素がないために安定した通信を維持することができる。一方で、最適でない局所的な状態に陥った場合に抜け出しにくい問題があるが、局所状態の通信の時分割調停が適切でなく、通信エラーが頻発する際には、発信制御機構17において通信エラーの頻度に応じて発信周期を一時的に増加させることで強制的にタイミングをずらして局所状態から抜け出せるよう対処している。
次に、通信パケット生成部16について説明する。通信パケット生成部16では、発信周期調整機構15から得られる自ノードにおける近傍ノード情報22、受信タイミング情報、最大の分割ノード数情報、ノード間通信データをまとめて図9に示した構造の通信パケットを生成する(ステップS15)。通信パケット生成部16は、通信パケットの生成時に、2ホップ以内の近傍ノードの存在を検証しており、ノードが近傍から移動していなくなるなど一つでも存在が変化した状況を検知した場合、最大分割ノード数Rmaxや正則判定フラグ値Lなどの変数のリセットを行う。そうすることで、ネットワーク・トポロジーが変化した際にネットワークの再構築プロセスが開始し、再び安定した状態へと収束していく。
なお、図9に示した通信パケット構造の例には含まれていないが、1近傍ノードに対してそれらの通信スロットを発信周期内において専有することを示した識別子を付加して転送することで、発信周期内において特定のノードが複数回発信することが可能となる。
通信パケット生成部16では、通信制御に利用するノード情報以外に、ノード間の通信データの転送も処理している。自ノード宛のデータでない場合は、データに自ノードIDを経由ノードとして追加して転送処理を行う。同じデータを再度受信した際は、転送処理を停止する仕組みになっており、ブロードキャストや対象IDへのデータ送信など様々に対応できる。また、通信データには経由したノードのIDが記録されているので、通信経路をたどることも可能である。
次に発信制御機構17について説明する。発信制御機構17では、発信周期算出機構14で算出された発信周期に対して発信周期調整機構15で微調整された発信周期T*と、内部カウンタのカウンタ値とを比較して、発信のタイミングになったら以下の処理を行う。
すなわち、発信制御機構17は、まず内部カウンタのカウンタ値counterが、調整後の発信周期T*より大きい値であると判断したときに(ステップS16のYes)、内部カウンタをリセットし、通信のエラー頻度がある閾値を超えた際には、発信周期Tを以下の式で増加させていく(ステップS17)。
**=T*+T*×b (bは係数0〜1の範囲内の係数)
ただし、増加後の発信周期T**は最大値Tmax以下である。
エラー頻度が高い状態は、発信周期Tがまだネットワーク全体で同一に収束していない場合や、単独ノードで隣接ノードが存在しない場合が考えられる。前者の場合は一時的に発信周期Tを増加させることで、隣接ノードからの通信が通り易くなる効果がある。後者の場合は、通信相手がいないので発信周期Tを増大させることで発信の間隔が疎になり送信に要するエネルギ消費を抑える働きがある。受信があれば、すぐに復帰される。
続いて、発信制御機構17は、現在の受信状況を確認し、パケットの受信中でなければ(ステップS18のNo)、通信パケット生成部16で作成された通信パケットを送信通信パケット24として相互通信手段11内の送信部12を通して送信させる(ステップS19)。
相互通信手段11では、送信部12により送信通信パケット24を発信周期調整機構15による調整後の発信周期で送信し、送信していない期間で受信部13により通信パケットを受信して受信通信パケット21を発信周期算出機構14へ出力する。無線通信では、送信と受信は同時には行えないため、通常は受信強度(RSSI)を見て発信を行うかどうか判断する。相互通信手段11は受信強度に応じて受信感度を調整する機能、及び送信強度を調整する機能の一方又は両方を有していてもよい。
例えば、図10(a)に示すようにノードA、Bが受信可能範囲31内に在圏し、ノードB〜Dが受信可能範囲34に在圏しているが、受信可能範囲32の一部がノードDにあり、受信可能範囲34の一部がノードBにある場合、ノードB、ノードD間の通信が不安定である。この場合、ノードB、ノードDの各相互通信手段11は、ノード間通信において、受信強度が弱くデータ受信が行えないと判断し、図10(b)に模式的に示すように、ノードBの相互通信手段11は受信可能範囲が32’になるように受信感度を調整して自ノードから離れているノードDの影響を除き、またノードDの相互通信手段11は受信可能範囲が34’になるように受信感度を調整して自ノードから離れているノードBの影響を除くことが可能である。
また、ネットワーク全体においてノード間の時分割調整が収束し通信が安定した状態で、相互通信手段11がノード間通信に受信強度情報を含めることでノード間の通信接続が切れない範囲で個々のノード送信強度の調整を行うことができる。ただし、この場合は通信パケット生成部16が、他ノードからの受信強度情報も含む通信パケットを生成する。例えば、図11(a)に示すように各々送信可能範囲41〜44を有するノードA〜D間の時分割調停が収束して通信が安定した状態で、ノードA、Cの各相互通信手段11が受信した通信パケットから取得したノード間通信の受信強度をもとに、ノード間の結合が失われない程度に送信可能範囲を図11(b)に41’、43’に示すように狭く調整することができる。この場合は、ネットワーク維持に必要な送信強度を効率化でき、また周囲への通信干渉を抑えることができる。ネットワークの時分割調整が収束したかどうかについては、最大分割ノード数Rmaxが一定の値で変化しないことで判断することができる。
電波の場合は、マルチパスなどの影響で電波強度からノード間の距離推定を行うのは困難であるが、赤外線や可視光通信など光通信の場合は指向性が高いため、受信強度から距離を比較的精度良く推定できる。それを利用することで、ネットワーク内の時間分割調停が収束した段階では干渉しあうノードは存在しない状態なので、ノード間の距離情報を利用してネットワーク全体におけるノード間の物理的な位置関係を構築することも可能である。
図12は、本発明の通信制御装置により、ノード数に応じて個々の発信周期がパケット間隔の整数倍に伸びて安定して通信が行えている様子を示している。図12のグラフでは縦軸が通信パルス列の強度、横軸が時間を表している。図12の例は、2個のノード1とノード2とが2パケット間隔で通信している期間51に、3個目のノード3が参加した場合の時間調停の様子で、2パケット間隔の通信からしばらくの遷移期間52の後、発信間隔が3パケット間隔になり53で示すように安定して時分割通信が実現されていることを示している。
図13は、60個のノードからなるメッシュ状のネットワークの一例を示す。図14は、図13のようなネットワークを構成する60個のノードが各々本発明の通信制御装置を搭載していることにより、最大の分割ノード数を共有しながら最終的に10パケット間隔の発信周期に収束していく様子を示している。縦軸が個々のノードにおける最大の分割ノード数のネットワーク全体における合計値を示しており、横軸が時間である。ネットワークの構成当初は、ノード間のリンクが十分に張れていないため、分割ノード数合計値は低い値だが、時間が経過するにつれネットワーク全体における最大分割ノード数が同じ分割ノード数に収束していく。
図14では、各ノードがそれぞれ分割ノード数「10」に収束するため、グラフでは600個(=60個×10)の合計値に収束していることが分かる。従来の方法では、60個のノードが時分割通信を行うには決められた通信リソースを60分割する必要があった。これに対し、本発明では、ノード数、ネットワークの形態(トポロジー)に応じて、また空間的な周波数利用効率が高くなるように準最適な分割ノード数が自律分散的に創出されるため、図13に示す60個のネットワーク構成においては、図14に示すように10分割のみでネットワークが成立していることが分かる。一旦収束した後は安定的なネットワークが維持され、各ノードは10パケット間隔の発信周期でスループットを落とさず相互通信が行える。
このように、本実施の形態の通信制御装置10によれば、集中的な管理サーバによる通信タイミングの指示を必要とせず、ネットワークを構成するノード数及びネットワークの形態(トポロジー)に応じて準最適な発信周期と通信タイミングがノード間の相互作用により自律分散的に調整されるため、ノード間通信の衝突を避けネットワークの利用効率を向上させることができる。
また、本実施の形態の通信制御装置10によれば、ノードの故障や移動に伴うネットワーク・トポロジーの変化に対しても、ネットワークの再構成がノード間で自律分散的に実現されるため、故障やスケールの変化にも強い頑健なネットワークを構築・維持することができ、スループットの大幅な向上も可能である。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、図1のブロック図の通信制御装置10における各ブロック11〜17の機能をコンピュータにより実行させる通信制御プログラムも包含する。また、ネットワークを構成する本発明が適用される通信端末(ノード)は、赤外線、無線、光等により通信を行う通信端末に限らず、有線端末も適用することができる。
本発明の通信制御装置は、P2P通信による自律分散的な時間分割アルゴリズムを備えて、ノードの数、ネットワーク形態によらず自律的にネットワークを構成、修復可能であり、例えばN:N通信を可能とする赤外線通信装置として利用できる。
10 通信制御装置
11 相互通信手段
12 送信部
13 受信部
14 発信周期算出機構
15 発信周期調整機構
16 通信パケット生成部
17 発信制御機構
21 受信通信パケット
22 近傍ノード情報
23 発信周期情報
24 送信通信パケット

Claims (9)

  1. ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載される通信制御装置であって、
    隣接ノードとの間で通信パケットを送受信する相互通信手段と、
    前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、及び前記ネットワーク内で共有される最大の分割ノード数情報に基づき、自ノードの前記通信パケットの発信周期を算出する発信周期算出機構と、
    前記発信周期算出機構で算出した前記発信周期による自ノードの発信タイミングと他ノードからの受信タイミングとの差に応じて前記発信周期を調整する発信周期調整機構と、
    前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、受信タイミング情報、前記最大の分割ノード数情報及びノード間通信データをまとめて前記通信パケットを生成する通信パケット生成部と、
    前記発信周期調整機構で調整された調整後の前記発信周期に基づくタイミングで、前記通信パケット生成部で生成された前記通信パケットを発信する発信制御機構と
    を備えることを特徴とする通信制御装置。
  2. 前記ネットワークを構成するすべての前記複数のノードは、それら複数のノードの前記最大の分割ノード数がすべて等しいか否かを示す接続情報を前記通信パケットの送受信により共有しており、前記発信周期算出機構は、前記接続情報が前記複数のノードのすべてで等しいことを示しているときは、自ノードの前記最大の分割ノード数に1を加算した値にパケット間隔を乗じた値を前記発信周期として算出し、前記接続情報が前記複数のノードのすべてまたは一部で等しくないことを示しているときは、自ノードの前記最大の分割ノード数に前記パケット間隔を乗じた値を前記発信周期として算出することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  3. 前記発信周期調整機構は、前記相互通信手段により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードにおける近傍ノードからの受信タイミング情報に基づき、自ノードから2ホップ目にあたるノードの自ノードに対する受信タイミングを計算し、直接通信接続されている前記隣接ノードと同様に発信周期調整に利用することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  4. 前記発信制御機構は、通信エラーの頻度に応じて前記調整後の発信周期を一時的に増加させることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  5. 前記発信制御機構は、通信接続しているノードが存在しない場合に、前記調整後の発信周期を増加させて発信の回数を抑えることを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  6. 前記相互通信手段は、通信の受信強度情報を取得し、その受信強度情報に応じて受信感度を調整することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  7. 前記通信パケット生成部は、他ノードからの受信強度情報も含めて前記通信パケットを生成することを特徴とする請求項1記載の通信制御装置。
  8. 前記相互通信手段は、受信した前記通信パケットの前記受信強度情報に基づいて、ノード間通信接続が切断されない範囲で、通信パケット送信強度を調整することを特徴とする請求項7記載の通信制御装置。
  9. ネットワークを構成する複数のノードのそれぞれに搭載されたコンピュータに通信制御を実行させる通信制御プログラムであって、
    前記コンピュータに、
    隣接ノードとの間で通信パケットを送受信する相互通信機能と、
    前記相互通信機能により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、及び前記ネットワーク内で共有される最大の分割ノード数情報に基づき、自ノードの前記通信パケットの発信周期を算出する発信周期算出機能と、
    前記発信周期算出機能で算出した前記発信周期による自ノードの発信タイミングと他ノードからの受信タイミングとの差に応じて前記発信周期を調整する発信周期調整機能と、
    前記相互通信機能により通信接続されている前記隣接ノードからの前記通信パケットから取得した、前記隣接ノードのノード情報、前記隣接ノードの近傍ノード情報、受信タイミング情報、前記最大の分割ノード数情報及びノード間通信データをまとめて前記通信パケットを生成する通信パケット生成機能と、
    前記発信周期調整機能で調整された調整後の前記発信周期に基づくタイミングで、前記通信パケット生成機能で生成された前記通信パケットを発信する発信制御機能と
    を実現させることを特徴とする通信制御プログラム。
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