JP5909070B2 - Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物のスクリーニング方法に関し、より詳しくは、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない化合物を、前記受容体に対する医薬品候補化合物として選択することを特徴とするスクリーニング方法に関する。
Gs共役受容体は、細胞膜に存在する7回膜貫通型ドメインを有するGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であり、神経伝達物質やホルモン等の多種多様なリガンドを受容して、様々なシグナルを細胞内に伝達するため、多くの疾患に対する医薬品の標的物質として知られている。
図1に示すように、Gs共役受容体に各受容体に対応するリガンド等(アゴニスト)が結合すると、受容体と共役しているGタンパク質のαサブユニット(Gα)は受容体から解離して活性型となる。活性型となったGαによって、更にアデニル酸シクラーゼが活性化され、ATP(アデノシン三リン酸)からcAMP(サイクリックアデノシン一リン酸)が産生される。cAMPはセカンドメッセンジャーとしてcAMP依存プロテインキナーゼ(PKA)を活性化し、活性化されたPKAは転写因子であるCRE結合タンパク質(CREB)をリン酸化する。そして、リン酸化されたCREBによってcAMP応答配列(CRE)を上流に有する遺伝子群の発現が亢進されるようになる。
例えば、βアドレナリン受容体は、主に心筋、平滑筋、脳、脂肪に存在するGs共役受容体であり、アドレナリンやノルアドレナリンといったカテコールアミン類が当該受容体に結合することにより、前述の一連のシグナル伝達が発生し、ひいては、心収縮、気管支平滑筋の拡張、血管平滑筋の拡張、脂肪分解の活性化等が生体内で生じることになる。
しかしながら一方で、リガンド(アゴニスト)のGs共役受容体に対する長期又は過剰な曝露は、図1に示すように、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)によるGs共役受容体のリン酸化を伴う。リン酸化されたGs共役受容体はβアレスチンと結合するようになる。そして、この結合によって、Gs共役受容体は細胞膜から細胞質内に移行(internalization)してしまうため、前述のシグナル伝達は減弱されてしまうようになる。このようなアゴニストに対するGs共役受容体の応答の減弱は脱感作と称され、βアドレナリン受容体に関しては、慢性心不全等の疾患の主要な原因として考えられている(非特許文献1〜4)。
従って、慢性心不全等の疾患に対する医薬品の開発のために、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない化合物の同定が必要とされている。しかしながら、このような化合物のスクリーニングに有効な方法は、未だ開発されていない。
Lefkowitz RJら、Circulation、2000年、101巻、1634〜1637ページ Harding VBら、PNAS、2001年、98巻、5809〜5814ページ Whalen EJら、Cell、2007年、129巻、511〜522ページ 浦山恭次、黒瀬等、「アドレナリン受容体−遺伝子改変動物からみたアドレナリン受容体」、医学のあゆみ、2005年、212巻、1号、55〜60ページ
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない化合物の提供を可能とする、Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物のスクリーニング方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Gs共役受容体の一種であるβアドレナリン受容体に対してフルアゴニスト活性を有する化合物はβアドレナリン受容体の脱感作を生じさせる一方、βアドレナリン受容体に対してパーシャルアゴニスト活性を有する化合物がβアドレナリン受容体の脱感作を生じさせにくいことを見出した。また、βアドレナリン受容体同様に、Gs共役受容体の一種であるGLP−1受容体に対してパーシャルアゴニスト活性を有する化合物がGLP−1受容体の脱感作を生じさせにくいことを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、Gs共役受容体に対するパーシャルアゴニスト活性を指標とすることにより、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない化合物を効率的にスクリーニングしうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
(1)Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物を接触させ、前記受容体に対するアゴニスト活性を検出する工程、
(b)前記受容体に対して、パーシャルアゴニスト活性を有する化合物を選択する工程、
(c)工程(b)において選択された化合物を、前記Gs共役受容体を発現している細胞に接触させ、前記受容体の脱感作を誘導する活性を検出する工程、
(d)前記受容体の脱感作を誘導する活性が低い化合物を選択する工程、
を含み、かつ前記受容体が、β3アドレナリン受容体及びGLP−1受容体からなる群から選択される少なくとも一の受容体である、方法
(2)前記受容体に対するアゴニスト活性を、Gタンパク質のαサブユニットの活性型の検出、細胞内サイクリックAMP濃度の上昇、PKAの活性化、CREBのリン酸化、及び、CREBによる転写活性化からなる群より選択される少なくとも一を指標に検出する、(1)に記載のスクリーニング方法。
(3)前記受容体の脱感作を誘導する活性を、前記受容体のリン酸化、βアレスチンの細胞膜への移行、前記受容体とβアレスチンとの結合、前記受容体の細胞内への移行、及び、パーシャルアゴニスト活性の減少からなる群より選択される少なくとも一を指標に検出する、(1)又は(2)に記載のスクリーニング方法
本発明により、パーシャルアゴニスト活性を指標として、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない化合物をスクリーニングする方法が提供された。これまでの強いアゴニスト活性を指標としたスクリーニングにおいては、脱感作を生じさせない化合物を同定することは困難であったが、本発明により、このような化合物を効率的に同定することが可能となった。
Gs共役受容体のシグナル伝達及びGs共役受容体の脱感作の概要を示す図である。なお、図1中「四角に囲まれたP」は、各々のタンパク質がリン酸化されていることを示す。 Isoproterenol、Pindolol又はCarvedilolを接触させた、βアドレナリン受容体を発現している細胞におけるcAMPの蓄積量を示すグラフである。なお、上段はβ1アドレナリン受容体を発現している細胞における結果を、中段はβ2アドレナリン受容体を発現している細胞における結果を、下段はβ3アドレナリン受容体を発現している細胞における結果を示す。 Isoproterenol、Pindolol又はCarvedilolを接触させた、βアドレナリン受容体を発現している細胞におけるβアドレナリン受容体のリン酸化を示す、電気泳動の写真である。なお、上段はβ1アドレナリン受容体を発現している細胞における結果を、下段はβ2アドレナリン受容体を発現している細胞における結果を示す。 Isoproterenol、Pindolol又はCarvedilolを接触させた、βアドレナリン受容体を発現している細胞におけるβアレスチンの細胞膜への移行を示す、電気泳動の写真である。 Isoproterenol、Pindolol又はCarvedilolを接触させた、βアドレナリン受容体を発現している細胞におけるβアレスチンの細胞膜への移行を示す、グラフである。なお縦軸は、βアレスチンに結合させているGFPが発する細胞膜近傍における蛍光が、Isoproterenol等による刺激を加える前のそれに比べ、何%増加しているのかを示す。 Isoproterenol、Pindolol又はCarvedilolを接触させた、βアドレナリン受容体を発現している細胞におけるβアドレナリン受容体の細胞内への移行を示す、顕微鏡写真である。 Exendin−4、Liraglutide又はGLP−1(7−36)を接触させた、GLP−1受容体を発現している細胞におけるcAMPの蓄積量を示すグラフである。 Exendin−4、Liraglutide又はGLP−1(7−36)を接触させた、GLP−1受容体を発現している細胞の表面に存在するGLP−1受容体の量をELISAによって分析した結果を示すグラフである。
本発明のGs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法においては、まず、Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物を接触させ、前記受容体に対するアゴニスト活性を検出する(工程(a))。
本発明における「Gs共役受容体」は、細胞膜に存在する7回膜貫通型ドメインを有するGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であり、共役しているGタンパク質のαサブユニット(Gα)がGαsである受容体のことを意味する。
本発明にかかる「Gs共役受容体」としては、例えば、βアドレナリン受容体、GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)受容体、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体、CRLR(カルシトニン受容体様)受容体(アドレノメデュリン受容体及びCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体)、PTH(副甲状腺ホルモン)受容体、MC4R(4型メラノコルチン受容体)、GNRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体、V2バソプレシン受容体、PACAP・VIP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド・血管作動性腸管ペプチド)受容体、D1ドーパミン受容体、カルシトニン受容体、PGI2(プロスタサイクリン)受容体、プロスタグランジンD受容体、LH(黄体形成ホルモン)受容体、FSH(卵胞刺激ホルモン)受容体、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)受容体、TSH(甲状腺刺激ホルモン)受容体、グルカゴン受容体、H2ヒスタミン受容体、D5ドーパミン受容体、プロスタグランジンE2受容体、アデノシンA2受容体が挙げられる。
本発明における「βアドレナリン受容体」は、アドレナリン受容体のサブタイプβに属し、アドレナリンやノルアドレナリンといったカテコールアミン類をリガンドとする、7回膜貫通型ドメインを有するGs共役受容体である。また、βアドレナリン受容体には、β1アドレナリン受容体、β2アドレナリン受容体、及びβ3アドレナリン受容体があり、ヒト由来のβ1アドレナリン受容体として典型的には、ACCESSION No.NP_000675(No.NM_000684)で特定される蛋白質(遺伝子)が挙げられ、ヒト由来のβ2アドレナリン受容体として典型的には、ACCESSION No.NP_000015(No.NM_000024)で特定される蛋白質(遺伝子)が挙げられ、ヒト由来のβ3アドレナリン受容体として典型的には、ACCESSION No.NP_000016(No.NM_000025)で特定される蛋白質(遺伝子)が挙げられる。本発明におけるβアドレナリン受容体には、これら各種βアドレナリン受容体が含まれる。また、蛋白質のアミノ酸配列は、自然界において(すなわち、非人工的に)変異し得る。従って、本発明におけるβアドレナリン受容体には、このような天然の変異体も含まれる。
本発明における「GLP−1受容体」は、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)等をリガンドとする、7回膜貫通型ドメインを有するGs共役受容体である。ヒト由来のGLP−1受容体として典型的には、ACCESSION No.NP_002053(No.NM_002062)で特定される蛋白質(遺伝子)が挙げられる。また、蛋白質のアミノ酸配列は、自然界において(すなわち、非人工的に)変異し得る。従って、本発明におけるGLP−1受容体には、このような天然の変異体も含まれる。
本発明において用いられる「Gs共役受容体を発現している細胞」としては、本発明のスクリーニングの対象となる各Gs共役受容体が発現している細胞であればよく、例えば、「βアドレナリン受容体を発現している細胞」としては、心筋細胞、血管や気管支等に由来する平滑筋細胞、内皮細胞、マクロファージや単球等の炎症細胞、脂肪細胞(白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞)が挙げられる。また、これら細胞においては、生理的な条件下において各βアドレナリン受容体に対して特異的にスクリーニングを行うことができるという観点から、β1アドレナリン受容体を標的としたスクリーニングにおいては心筋細胞を用いることが好ましく、β2アドレナリン受容体を標的としたスクリーニングにおいては、心筋細胞、平滑筋細胞、内皮細胞又は炎症細胞を用いることが好ましく、β3アドレナリン受容体を標的としたスクリーニングにおいては、脂肪細胞を用いることが好ましい。
さらに「GLP−1受容体を発現している細胞」としては、膵β細胞、膵α細胞、脳神経細胞、心筋細胞、腎尿細管細胞が挙げられ、「GIP受容体を発現している細胞」としては、膵β細胞、脂肪細胞、骨芽細胞が挙げられる。また「CRLR受容体を発現している細胞」としては、心筋細胞、平滑筋細胞が挙げられ、「PTH受容体を発現している細胞」としては、破骨細胞、腎尿細管細胞が挙げられる。さらに「MC4Rを発現している細胞」としては、視床下部由来の神経細胞が挙げられ、また「GNRH受容体を発現している細胞」としては、下垂体GH細胞が挙げられる。さらに「V2バソプレシン受容体を発現している細胞」としては、腎集合管細胞が挙げられ、「PACAP・VIP受容体を発現している細胞」としては、膵β細胞、脂肪細胞、血管平滑筋細胞、気管平滑筋細胞が挙げられる。また「D1ドーパミン受容体を発現している細胞」としては、神経細胞、腎血管平滑筋細胞が挙げられ、「カルシトニン受容体を発現している細胞」としては、破骨細胞が挙げられる。さらに「PGI2受容体を発現している細胞」としては、血管平滑筋細胞、気管支平滑筋細胞、血小板が挙げられ、「プロスタグランジンD受容体」としては、血管平滑筋細胞、脳神経細胞、血小板が挙げられる。また「LH受容体を発現している細胞」としては、卵胞膜細胞、ライディッヒ細胞が挙げられ、「FSH受容体を発現している細胞」としては、顆粒膜細胞、セルトリ細胞が挙げられる。さらに「ACTH受容体を発現している細胞」としては、副腎皮質細胞が挙げられ、「TSH受容体を発現している細胞」としては、濾胞細胞が挙げられる。また「グルカゴン受容体を発現している細胞」としては、膵β細胞、肝細胞が挙げられ、「H2ヒスタミン受容体を発現している細胞」としては、胃壁細胞が挙げられる。さらに「D5ドーパミン受容体を発現している細胞」としては、脳神経細胞が挙げられ、「プロスタグランジンE2受容体を発現している細胞」としては、気管支平滑筋細胞、肥満細胞が挙げられ、「アデノシンA2受容体受容体を発現している細胞」としては、神経細胞が挙げられる。
また、これらの細胞に分化し得る細胞、例えば、胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹細胞(iPS)細胞といった多能性幹細胞を本発明に用いることも可能である。
さらに、「Gs共役受容体を発現している細胞」としては、Gs共役受容体を一過的に又は恒常的に発現するようにGs共役受容体をコードする遺伝子を導入して形質転換させた細胞(以下、「形質転換細胞」とも称する)も本発明に用いることができる。この場合、用いるGs共役受容体は、天然型のGs共役受容体のみならず、人為的に改変された変異体であり得る。
形質転換の手法としては、公知の手法を適宜選択して用いることができる。例えば、Gs共役受容体をコードする遺伝子が挿入されたプラスミドベクターをリン酸カルシウム沈殿法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法等を用いて細胞に導入することによって形質転換細胞を調製することができる。また、Gs共役受容体をコードする遺伝子が挿入されたウィルスベクターを細胞に感染させることによって形質転換細胞を調製することもできる。形質転換の対象とする細胞としては特に制限されることなく、例えばHEK293細胞、CHO細胞、COS細胞などが挙げられる。緑色蛍光蛋白質(GFP)やFLAG等のマーカータンパク質で標識されたGs共役受容体をコードする遺伝子を導入して調製された形質転換細胞は、Gs共役受容体の定量や細胞内動態の検出をし易いという観点から好ましい。
Gs共役受容体を発現している細胞に接触させる「被験化合物」としては特に制限はなく、例えば、合成低分子化合物ライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、ペプチドライブラリー、抗体、細菌放出物質、細胞(微生物、植物細胞、動物細胞)の抽出液及び培養上清、精製または部分精製ポリペプチド、海洋生物、植物または動物由来の抽出物、土壌、ランダムファージペプチドディスプレイライブラリーが挙げられる。また、本発明においては被験化合物として、Gs共役受容体と相互作用することが知られている公知の化合物、例えば、βアドレナリン受容体においては、β遮断薬(βブロッカー)やβ作動薬を用いてもよく、さらにこれら化合物の構造の一部を改変した化合物(誘導体や類縁体等)も好適に用いることができる。さらに、本発明においては、上記本発明のスクリーニングを実施することにより同定された化合物の構造の一部を改変した化合物(誘導体や類縁体等)を被験化合物として、再度のスクリーニングを行うこともできる。
本発明における、Gs共役受容体を発現している細胞への被験化合物の「接触」は、通常、前記Gs共役受容体を発現している細胞の培養液に被験化合物を添加することによって行うことができるが、これに制限されない。
本発明における「Gs共役受容体に対するアゴニスト活性の検出」は、Gs共役受容体の活性化に応答したシグナル伝達において生じるイベントを検出することにより行うことができる。当該イベントの検出は、例えば、Gs共役受容体に共役しているGタンパク質のαサブユニット(Gα)の活性型の検出、細胞内cAMP濃度の上昇の検出、PKAの活性化の検出、CREBのリン酸化の検出、CREBによる転写活性化の検出、又はこれらの組み合わせにより行うことができるが、これらに制限されない。
Gs共役受容体に共役しているGαの活性型の検出としては、例えば、Gs共役受容体に共役しているGαの活性化におけるGDPとGTPとの交換反応の検出、より具体的には放射性同位体で標識したGTP−γS([35S]GTP−γS等)を前記Gs共役受容体を発現している細胞に取り込ませ、[35S]GTP−γSのGαへの結合量をシンチレーションカウンターで測定して定量化することが挙げられる。
細胞内cAMP濃度の上昇を検出する方法としては、例えば、後述の実施例に示すような、[H]ATPを前記Gs共役受容体を発現している細胞に取り込ませ、被験化合物の接触前後における[H]cAMPの産生量を測定し、得られた値が被験化合物の接触前より接触後において増加していることを検出する方法や、cAMP−AP(アルカリフォスファタ―ゼ)複合体を用いた競合ELISA(enzyme−linked immunoassay、酵素結合免疫測定法)を行い、cAMPの産生量を定量化し、得られた値が被験化合物の接触前より接触後において増加していることを検出する方法が挙げられる。
PKAの活性化の検出は、PKAの触媒サブユニットと、その触媒活性を抑制するPKAの調節サブユニットとの解離、PKAの触媒サブユニットとcAMPとの結合、細胞内カルシウムイオン濃度の減少、カルシウム依存性カリウムチャネルの活性化、過分極等を指標として行うことができる。このような検出の方法としては、例えば、フルオレセインが結合しているPKAの触媒サブユニットとローダミンが結合しているPKAの調節サブユニットとを前記Gs共役受容体を発現している細胞に取り込ませ、被験化合物の接触前後において、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によってローダミンから発せられる蛍光の強度を測定し、PKAの触媒サブユニットと調節サブユニットとの解離を検出する方法が挙げられる(Rich TCら、Annals of Biomedical Engineering、2002年、30巻、1088〜1099ページ 参照)。
CREBのリン酸化を検出する方法としては、例えば、リン酸化されたCREBを特異的に認識する抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロッティング又はELISAにより検出する方法や、32Pにより標識したGs共役受容体を発現している細胞から、CREBを精製し、PKAによるリン酸化を介してCREBに取り込まれた32Pを検出する方法が挙げられる。
CREBによる転写活性化を検出する方法としては、例えば、CREBのcAMP応答配列(CRE)への結合により誘導される遺伝子の発現をPCR、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング又はELISAにより検出する方法や、CREの下流にルシフェラーゼやGFP等のレポーター遺伝子を組み込んだレポータープラスミドベクターをGs共役受容体を発現する細胞に導入し、被験化合物の接触前後におけるレポーター活性を測定して定量化する方法が挙げられる。
これらの中では、リガンド等とGs共役受容体との結合によって生じるシグナルは下流に行くほど増幅され易いという観点から、細胞内cAMP濃度の上昇の検出を本発明において用いることが好ましい。
本発明のGs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法においては、次いで、前記受容体に対して、パーシャルアゴニスト活性を有する化合物を選択する(工程(b))。
本発明において「パーシャルアゴニスト活性」とは、フルアゴニストが示すアゴニスト活性と比較して低いアゴニスト活性を意味する。従って、本発明における「Gs共役受容体に対して、パーシャルアゴニスト活性を有する化合物の選択」は、フルアゴニストをGs共役受容体を発現している細胞に接触させた際に検出されるアゴニスト活性と比較して、低いアゴニスト活性を示す被験化合物の選択を意味する。
対照となる「フルアゴニスト」は、Gs共役受容体に対して完全なアゴニスト活性を発揮する化合物であり、一般的にはGs共役受容体に対して強い親和性を有する。フルアゴニストとしては、例えば、βアドレナリン受容体に関しては、イソプロテレノール(Isoproterenol)、アドレナリン、ノルアドレナリンが挙げられる。これらの化合物の中では、αアドレナリン受容体等には作用せず、βアドレナリン受容体に対して特異的なアゴニストであるという観点から、本発明においてはIsoproterenolを選択して用いることが好ましい。また、GLP−1受容体のフルアゴニストとしては、エキセンディン−4(Exendin−4)が挙げられる。従って、本発明における「パーシャルアゴニスト活性」は、典型的には、本実施例で示すように、IsoproterenolやExendin−4が示すアゴニスト活性よりも低いアゴニスト活性として評価することができる。
「低いアゴニスト活性」とは、フルアゴニストが発揮するアゴニスト活性の100%に達しないアゴニスト活性を意味する。本発明のスクリーニングにおいては、好ましくはフルアゴニストが発揮するアゴニスト活性の90%以下、より好ましくは60%(例えば、50%以下、40%以下、30%以下)であり、且つアゴニストで刺激していない状態におけるGs共役受容体が示す活性(基礎活性)以上(例えば、フルアゴニストが発揮するアゴニスト活性の5%以上)の化合物を選択することが好ましい。
パーシャルアゴニスト活性の検出においては、飽和量の被験化合物を用いた場合の活性として検出することが好ましい。ここで「飽和量」とはアゴニスト活性の最大値を示す被験化合物の添加量、すなわちこれ以上濃度を上げてもアゴニスト活性が増加しない被験化合物の量を意味する。
本発明のGs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法においては、次いで、工程(b)において選択された化合物を、前記Gs共役受容体を発現している細胞に接触させ、前記受容体の脱感作を誘導する活性を検出する(工程(c))。
本発明において「脱感作」とは、被験化合物による前処理を行ったGs共役受容体を発現している細胞に対して、当該被験化合物を再度接触させた場合に、当該被験化合物に対するGs共役受容体の応答が減弱することを意味する。前処理を施してから再度アゴニストを接触させるまでの時間としては特に制限されることはないが、15分〜7日が好ましく、1〜24時間がより好ましい。前記下限未満だとパーシャルアゴニスト活性を検出しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、被験化合物に対するGs共役受容体の応答とは異なる、非特異的な変化を検出しやすくなる傾向にある。
本発明における「脱感作を誘導する活性の検出」は、例えば、Gs共役受容体のリン酸化の検出、βアレスチンの細胞膜への移行の検出、Gs共役受容体とβアレスチンとの結合の検出、Gs共役受容体の細胞内への移行の検出、パーシャルアゴニスト活性の減少の検出、又はこれらを組み合わせにより行うことができるが、これらに制限されない。
Gs共役受容体のリン酸化を検出する方法としては、例えば、後述の実施例に示すような、32Pにより標識したGs共役受容体を発現している細胞から、Gs共役受容体を精製し、GRKによるリン酸化を介してGs共役受容体に取り込まれた32Pを検出する方法や、GRKによってリン酸化されたGs共役受容体のC末側の部位を特異的に認識する抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロッティング又はELISAにより検出する方法が挙げられる。
βアレスチンの細胞膜への移行を検出する方法としては、例えば、後述の実施例に示すような、Gs共役受容体を発現している細胞から細胞膜を単離し、βアレスチン特異的な抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロッティング又はELISAによって、単離した細胞膜からβアレスチンを検出する方法や、GFP等の蛍光蛋白質によって標識されたβアレスチンとGs共役受容体とを発現している細胞をスライドガラスに接着させ、TIRF(Total Internal Reflection Fluorescence、全反射照明蛍光)顕微鏡を用いて、スライドガラス接着面近傍のみの蛍光シグナルを検出する方法が挙げられる。
Gs共役受容体とβアレスチンとの結合を検出する方法としては、例えば、Gs共役受容体又はβアレスチンを認識する抗体を用いた免疫共沈により検出する方法や、CFP(青色蛍光蛋白)を融合させたGs共役受容体と、YFP(黄色蛍光蛋白)を融合させたβアレスチンとを発現している細胞を用いたFRETにより検出する方法が挙げられる。
Gs共役受容体の細胞内への移行を検出する方法としては、例えば、後述の実施例に示すような、Gs共役受容体を認識する抗体を用いた蛍光免疫染色によって、細胞内のべシクル様粒子(点状)の蛍光シグナルを検出する方法が挙げられる。また、Gs共役受容体を認識する抗体を用いたELISAによって、細胞膜表面に存在するGs共役受容体の量の減少を検出する方法が挙げられる。
パーシャルアゴニスト活性の減少を検出する方法は、上記の通りである。
本発明のGs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法においては、次いで、前記受容体の脱感作を誘導する活性が低い化合物を選択する(工程(d))。
本発明において、「脱感作を誘導する活性が低い」とは、被験化合物が脱感作を誘導する活性がフルアゴニストと比較して低いことを意味する。すなわち、本工程において選択される化合物は、Gs共役受容体を発現している細胞に接触させた場合において、脱感作の指標となる上記イベント(例えば、Gs共役受容体のリン酸化、βアレスチンの細胞膜への移行、Gs共役受容体とβアレスチンとの結合、またはGs共役受容体の細胞内への移行、パーシャルアゴニスト活性の減少)を誘導する活性が低い化合物である。
このような化合物の選択は、具体的には、以下のように行うことができる。Gs共役受容体のリン酸化の検出、βアレスチンの細胞膜への移行の検出、Gs共役受容体とβアレスチンとの結合の検出、及びGs共役受容体の細胞内への移行の検出においては、例えば、Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物を接触させた後で、リン酸化されているGs共役受容体、細胞膜に移行しているβアレスチン、又は細胞内に移行しているGs共役受容体が、フルアゴニストのそれらと各々比較して低い化合物を選択することが挙げられる。さらには、より脱感作を生じさせにくいGs共役受容体に対する医薬品候補化をスクリーニングできるという観点から、Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物を接触させた後で、リン酸化されているGs共役受容体、細胞膜に移行しているβアレスチン、又は細胞内に移行しているGs共役受容体が、被験化合物の接触前におけるそれらと各々比較して有意に増加していない化合物(例えば、前者に対する後者の増加率が20%以下、10%以下、5%以下となる化合物)を選択することが好適な例として挙げられる。
また、パーシャルアゴニスト活性の減少の検出においては、Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物による前処理を行った後、当該被験化合物を再度接触させた場合における、当該被験化合物のパーシャルアゴニスト活性の減少(被験化合物による前処理のパーシャルアゴニスト活性と、被験化合物を再度接触させた際のパーシャルアゴニスト活性との差)が、フルアゴニストのその減少と比較して低い化合物を選択することが挙げられる。さらには、より脱感作を生じさせにくいGs共役受容体に対する医薬品候補化をスクリーニングできるという観点から、Gs共役受容体を発現している細胞に対する被験化合物の前処理後と再度接触させた後とで、当該活性が同程度(例えば、前者が後者の80%以上、90%以上、95%以上)である化合物を選択することが好適な例として挙げられる。
こうして選択された化合物は、Gs共役受容体に対する医薬品の候補となる。各Gs共役受容体の発現傾向は生体における部位により異なる。例えば、β1アドレナリン受容体は心臓(心筋)に多く発現しており、β2アドレナリン受容体は気管支や血管に多く発現しており、β3アドレナリン受容体は主に脂肪細胞に発現しており、その他消化管、肝臓、骨格筋等にも発現していることが知られている。従って、βアドレナリン受容体の脱感作を原因とする疾患は、各々の受容体によって異なる。このため、β1アドレナリン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、例えば、心不全(特に慢性心不全)や不整脈(特に心房細動)等に対する医薬品の候補となり、β2アドレナリン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、例えば、喘息、糖尿病、心不全(特に慢性心不全)、不整脈(特に心房細動)、肥満、動脈硬化、高血圧、メタボリックシンドローム、肺高血圧、腎障害、慢性炎症等に対する医薬品の候補となり、β3アドレナリン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム等に対する医薬品の候補となる。
また、GLP−1受容体は、主に膵臓で発現しており、さらに脳神経、心筋、腎臓、消化管、肺等においても発現しているため、GLP−1受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、心不全等に対する医薬品の候補となる。また、GIP受容体は、膵臓、骨、脂肪等において発現しているため、GIP受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、糖尿病等に対する医薬品の候補となる。さらにCRLR受容体は、心臓、血管系等において発現しているため、CRLR受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、心不全、心肥大、動脈硬化、循環障害等に対する医薬品の候補となる。また、PTH受容体は、破骨細胞、腎臓等において発現しているため、PTH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、骨粗鬆症等に対する医薬品の候補となる。さらに、MC4Rは、視床下部等において発現しているため、MC4Rを標的としてスクリーニングされた化合物は、肥満、過食等に対する医薬品の候補となる。また、GNRH受容体は、下垂体等において発現しているため、GNRH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、性腺機能不全症、不妊等に対する医薬品の候補となる。さらに、V2バソプレシン受容体は、腎集合管等において発現しているため、V2バソプレシン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、腎性尿崩症等に対する医薬品の候補となる。また、PACAP・VIP受容体は、膵臓、脂肪、血管、気管等において発現しているため、PACAP・VIP受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、糖尿病、動脈硬化、気道炎症等に対する医薬品の候補となる。さらに、D1ドーパミン受容体は、大脳、腎血管平滑筋等において発現しているため、D1ドーパミン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、統合失調症、認知機能障害、高血圧等に対する医薬品の候補となる。また、カルシトニン受容体は、破骨細胞等において発現しているため、カルシトニン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、骨粗鬆症、高カルシウム血症等に対する医薬品の候補となる。さらに、PGI2受容体は、血小板、気管支平滑筋等において発現しているため、PGI2受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、動脈硬化、血管障害等に対する医薬品の候補となる。また、プロスタグランジンD受容体は、血小板、血管平滑筋、脳神経系等において発現しているため、プロスタグランジンD受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、動脈硬化、血管障害、睡眠障害等に対する医薬品の候補となる。さらに、LH受容体は、卵巣、睾丸等において発現しているため、LH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、性腺機能低下症、成長障害、不妊等に対する医薬品の候補となる。また、FSH受容体は、卵巣(卵胞)、睾丸等において発現しているため、FSH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、性腺機能低下症、成長障害、不妊等に対する医薬品の候補となる。さらに、ACTH受容体は、副腎皮質等において発現しているため、ACTH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、副腎不全等に対する医薬品の候補となる。また、TSH受容体は、甲状腺等において発現しているため、TSH受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、甲状腺機能低下症、甲状腺癌等に対する医薬品の候補となる。さらに、グルカゴン受容体は、膵臓、肝臓等において発現しているため、グルカゴン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、低血糖等に対する医薬品の候補となる。また、H2ヒスタミン受容体は、胃等において発現しているため、H2ヒスタミン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、胃酸分泌不全等に対する医薬品の候補となる。さらに、D5ドーパミン受容体は、脳神経系等において発現しているため、D5ドーパミン受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、認知機能障害等に対する医薬品の候補となる。また、プロスタグランジンE2受容体は、気管支平滑筋、肥満細胞等において発現しているため、プロスタグランジンE2受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、喘息、呼吸不全、炎症等に対する医薬品の候補となる。さらに、アデノシンA2受容体は、脳神経系等において発現しているため、アデノシンA2受容体を標的としてスクリーニングされた化合物は、疼痛、炎症、睡眠障害等に対する医薬品の候補となる。
こうして同定された化合物は、薬理学上許容される担体とを混合して製剤化することができる。従って、本発明は、Gs共役受容体に対する医薬品の製造方法であって、
(a)上記のスクリーニング方法を実施する工程、および
(b)工程(a)によって得られた化合物と薬理学上許容される担体とを混合する工程、を含む方法をも提供するものである。
本発明のスクリーニングにより同定された化合物と混合する「薬理学上許容される担体」としては特に制限されることなく、公知の製剤学的方法に用いられる物質の中から適宜選択することができる。例えば、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられるが、これらに制限されない。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例に用いた細胞は、全てHEK293細胞を基にするものであり、10% FCS(牛胎児血清)含有DMEM(sigma社製)培地にて培養し、各実験に供した。また、HEK293細胞の形質転換は、Lipefectamine 2000を用いて、ヒトβ1アドレナリン受容体、ヒトβ2アドレナリン受容体、ヒトβ3アドレナリン受容体又はヒトGLP−1受容体をサブクローニングしたpcDNA3をトランスフェクションすることによって行った。さらにこれらGs共役受容体等を恒常的(Stable)に発現させる細胞株は、トランスフェクション後、G418(0.4mg/ml)を用いて、pcDNA3が有する薬剤耐性マーカー(ネオマイシン耐性マーカー)に選択圧をかけることによって選択して樹立した。
(実施例1)
<βアドレナリン受容体を介して蓄積されるcAMP量の検出>
図1に示すように、アゴニストがβアドレナリン受容体等のGs共役受容体に結合すると、受容体と共役しているGαは受容体から解離して活性型となる。活性型となったGαによって、更にアデニル酸シクラーゼが活性化され、ATPからcAMPが産生されることは知られている。そこで、細胞内に産生されたcAMP量を指標として、βアドレナリン受容体のフルアゴニストとして知られているイソプロテレノール(Isoproterenol)、βブロッカーとして知られているピンドロール(Pindolol)及びカルベジロール(Carvedilol)のβアドレナリン受容体に対するアゴニスト活性及び脱感作を誘導する活性を評価した。
すなわち、先ず、ヒトβ1アドレナリン受容体、ヒトβ2アドレナリン受容体又はヒトβ3アドレナリン受容体が恒常的に過剰発現するHEK293細胞(以下、各々「β1アドレナリン受容体発現細胞」、「β2アドレナリン受容体発現細胞」、「β3アドレナリン受容体発現細胞」とも称する)を24ウェル(穴)プレートに7.5x10個/ウェルずつ播き、トリチウム(H)で標識したATP([H]ATP)を添加した培養液中にて、16〜24時間培養した。
次に[H]ATPを取り込ませた細胞に、ホスホジエステラーゼ阻害薬(IBMX(3−isobutyl−1−methylzanthine))を1mM添加し、更にIsoproterenolを1μM、Pindololを0.5μM、又は、Carvedilolを0.5μMを添加した。
また、前記の通りにして[H]ATPを取り込ませた細胞に、Isoproterenolを1μM、Pindololを0.5μM、又は、Carvedilolを0.5μMを添加し、その24時間後にIBMXを1mM添加した後、更に先と同じ化合物とを同濃度にて添加した。また、陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞も用意した。
このようにして各化合物を添加した細胞を30分間インキュベートした後、培養液を吸引し、0.5mMのトリクロル酢酸(TCA)液を加えて、各細胞を破壊するとともに、ATPからcAMPへの生合成反応を停止させた。そして、得られた細胞溶解液中の標識されたATP及びcAMPをカラムで分画した。
なお、ATP及びcAMPの分画は以下のように行った。すなわち、Dowexカラム(Biorad社製、0.6ml)に、得られた細胞溶解液を加え、続いて1.25mlの蒸留水を加えて回収した液体をATPフラクションとした。また、引き続いて6mlの蒸留水を加えて回収した液体をAluminaカラム(Sigma社製、0.5ml)に滴加した後、このカラムに2mlの溶出液(100mM イミダゾール、26mM 塩酸)を加えて回収した液体をcAMPフラクションとした。
そして、各フラクションにおける[H]量をATP又はcAMPの量として測定し、得られた測定値から、cAMPの合成の程度(ATP及びcAMPの量に対するcAMP量の割合)を算出し、cAMPシグナルの強度として評価した。得られた結果を図2に示す。図2中、Iso、Pind、及びCarは、各々Isoproterenol、Pindolol、及びCarvedilolを添加した結果を示し、(−)は陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞における結果を示す。
図2に示した結果から明らかなように、化合物を添加しなかった細胞に比べて、フルアゴニストであるIsoproterenolを添加した細胞においては、cAMPの強いシグナルが観察された。しかしながら、24時間前にIsoproterenolを添加した(前処理した)細胞に更にIsoproterenolを添加した細胞においては、cAMPシグナルの低下、すなわち脱感作の強い誘導が確認された。また、βブロッカーであるPindololにおいては、フルアゴニストであるIsoproterenolの添加よりも弱いアゴニスト活性(パーシャルアゴニスト活性)が検出されると共に、前処理したβ1アドレナリン受容体発現細胞、および前処理したβ2アドレナリン受容体発現細胞においては、そのパーシャルアゴニスト活性の減少が確認された。しかし、前処理したβ3アドレナリン受容体発現細胞においては、Pindololのパーシャルアゴニスト活性の減少は確認されなかった。さらに、βブロッカーであるCarvedilolにおいては、パーシャルアゴニスト活性が観察されたが、前処理したβ1アドレナリン受容体発現細胞、前処理したβ2アドレナリン受容体発現細胞、及び前処理したβ3アドレナリン受容体発現細胞、これら細胞のいずれにおいても、そのパーシャルアゴニスト活性は維持されたままであった。
(実施例2)
<βアドレナリン受容体のリン酸化の検出>
図1に示すように、アゴニストがβアドレナリン受容体等のGs共役受容体に結合すると、GRKによってβアドレナリン受容体等のC末側がリン酸化を受ける。リン酸化されたβアドレナリン受容体等はβアレスチンと結合し、続いて、細胞質内に移行する(internalization)ことが知られている。そこで、先ずはβアドレナリン受容体のリン酸化を指標として、実施例1においても用いた化合物の脱感作を誘導する活性を評価した。
すなわち、先ず、FLAGタグが融合しているヒトβ1アドレナリン受容体又はFLAGタグが融合しているヒトβ2アドレナリン受容体が恒常的に過剰発現するHEK293細胞を12ウェルプレートに1.5x10個/ウェルずつ播き、32P(0.2mCi/ml)で標識し、脱リン酸化酵素阻害薬(オルトバナジン酸ナトリウム(Sigma社製、2mM)、ピロリン酸ナトリウム(Sigma社製、10mM)、及びフッ化ナトリウム(Sigma社製、100mM))存在下において、各化合物で20分間刺激した。また、陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞も用意した。次に、かかる細胞から、抗FLAGタグ抗体(Sigma社製、製品名:ANTI−FLAG(R)M2 monoclonal antibody、製品番号:F−3165)を用いた免疫沈降により前記受容体を単離した。単離したサンプルをSDS−PAGEに供して展開した後、オートラジオグラフィーによる検出を行った。得られた結果は図3に示す。図3中、Iso、Pind、及びCarは、各々Isoproterenol、Pindolol、及びCarvedilolを添加した結果を示し、(−)は陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞における結果を示す。
なお、SDS−PAGEはSDS−PAGEキット(Biorad社製)を用いて行った。すなわち、先ずタンパク質サンプル(単離したサンプル)をサンプルバッファー(終濃度:2% SDS、25% グリセロール、125mM Tris−HCl、pH6.7)と混合して98℃で3分間ボイルし、SDS−PAGEサンプルとした。そして次にSDS−PAGEサンプルを11%アクリルアミドゲルにアプライし、70mAの電流をかけ、2時間電気泳動を行った。
図3に示した結果から明らかなように、化合物等で細胞を刺激していない陰性対照に比べて、Isoproterenol及びPindololにおいて、ヒトβ1アドレナリン受容体のリン酸化は増強されていた。しかし、Carvedilolは陰性対照と同程度であり、ヒトβ1アドレナリン受容体のリン酸化を増強する活性を有していないことが明らかになった。また、ヒトβ2アドレナリン受容体においては、Isoproterenolによる著しいリン酸化が認められ、Pindololによる軽度のリン酸化が認められたものの、Carvedilolにおいてはヒトβ2アドレナリン受容体のリン酸化が認められなかった。
(実施例3)
<βアレスチンの細胞膜への移行の検出>
次に、βアドレナリン受容体とβアレスチンとの結合によって生じるβアレスチンの細胞質から細胞膜への移行を指標として、実施例1においても用いた化合物の脱感作を誘導する活性を評価した。
すなわち先ず、β2アドレナリン受容体と、GFPタグタンパク質が融合しているβアレスチンとが共発現している細胞株を樹立した(以下、この細胞を「共発現細胞」とも称する)。そして、この細胞を12ウェルプレートに1.5x10個/ウェルずつ播き、各化合物によって刺激(Isoproterenol、Pindolol、又はCarvedilolを各々3μM添加)した。また、陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞も用意した。刺激してから20分後に、細胞を低浸透圧液(20mM Tris−HCl、20mM NaCl、1mM EGTA、4μg aprotinin、2μg leupeptin、0.1mM PMSF、1μg/ml pepstatin A)中に浮遊させ、Dounceホモジェナイザーで10回破砕し、得られた溶液を50,000gにて30分間遠心した。遠心後、上清を細胞質フラクションとして回収し、ペレットを低浸透圧液中に浮遊させ、細胞膜フラクションとして回収した。このようにして分画した細胞膜フラクションを前記と同様にしてSDS−PAGEにて展開し、その後、抗GFP抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、βアレスチンを検出した。得られた結果を図4に示す。図4中、Iso、Pind、及びCarは、各々Isoproterenol、Pindolol、及びCarvedilolを添加した結果を示し、(−)は陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞における結果を示す。
なお、ウェスタンブロッティングはWestern blotting キット(Biorad社製)を用いて行った。すなわち、先ずSDS−PAGEを行ったゲルをPVDF膜とあわせて150mAの電流を2時間かけることによって、ゲル内のタンパク質をPVDF膜に移行させた。次に、タンパク質の移行したPVDF膜を、0.2% Tween20、1% スキムミルクを含むPBS液で1時間インキュベートし、ブロッキング処理を施した。そして、1/5000に希釈した一次抗体(抗GFP抗体等)と2時間インキュベートし、0.2% Tween20を含むPBS液で、15分間、3回インキュベートし、洗浄を行った後、1/5000に希釈した、ぺルオキシダーゼが結合した二次抗体を加え、1時間インキュベートした。そして、先と同様にして洗浄を3回行った後、ECL液とインキュベートし、生じた発光をX線フィルムにて検出した。
図4に示した結果から明らかなように、化合物等で細胞を刺激していない陰性対照に比べて、Isoproterenolにおいては、強いβアレスチンの細胞膜分画への移行が観察された。また、Pindololにおいても弱い移行が観察されたが、Carvedilolにおいてはほとんど認められなかった。
(実施例4)
<細胞膜直下におけるβアレスチンのTIRF顕微鏡による観察>
TIRF(Total Internal Reflection Fluorescence、全反射照明蛍光)顕微鏡(ニコンバイオラボ社製)を用いて、スライドガラスに接着させた共発現細胞の接着面近傍のみの蛍光シグナルを検出した。すなわち、各化合物を、12ウェルプレートに1.5x10個/ウェルずつ播種した細胞に添加し、その添加の際及びその5分後に、各細胞におけるGFP−tag−β−arrestin由来の蛍光強度を、各々の細胞の約20箇所にて同時測定した。得られた結果を図5に示す。図5中、Iso、Pind、及びCarは、各々Isoproterenol、Pindolol、及びCarvedilolを添加した結果を示す。
図5に示した結果から明らかなように、Isoproterenolにおいては、蛍光強度の強い増加、すなわち強いβアレスチンの細胞膜分画への移行が観察された。また、Pindololにおいては軽度の蛍光強度の増加が観察されたが、Carvedilolにおいてはほとんど認められなかった。
(実施例5)
<βアドレナリン受容体の細胞内への移行>
次に、βアドレナリン受容体の細胞内への移行を指標として、実施例1においても用いた化合物の脱感作を誘導する活性を評価した。すなわち、12ウェルプレートに1.5x10個/ウェルずつ播種した、各化合物を添加した細胞又は化合物非添加の細胞をPBSで洗った後、100% メタノールで3分間処理し固定した。なお、本実施例においてはFLAGタグが融合しているヒトβ2アドレナリン受容体が恒常的に過剰発現するHEK293細胞を用いた。固定した細胞を、1/50〜1/100に希釈した一次抗体(抗FLAGタグ抗体)を含むPBSで2時間インキュベートした後、PBSで3回洗浄し、蛍光色素(Alexa Fluor 488)を結合した二次抗体で1時間インキュベートした。そして、先と同様にして2回洗浄した後、蛍光顕微鏡(製品名:ECLIPSE E600、ニコン社製)で免疫染色を施した細胞を観察した。得られた結果を図6に示す。図6中、Iso、Pind、及びCarは、各々Isoproterenol、Pindolol、及びCarvedilolを添加した結果を示し、コントロールは化合物非添加の細胞における結果を示す。
図には示していないが、Isoproterenolによるβアドレナリン受容体の細胞内移行は、化合物添加の15分後に細胞内のべシクル様粒子(点状)として明確に観察された。一方、Pindolol及びCarvedilolでは、各化合物添加の15分後には、点状の蛍光シグナルを含め、何の変化も観察されなかった。
また、図6に示した結果から明らかなように、長時間の投与(7日間の投与)ではIsoproterenolの添加のみならず、Pindolol添加によってもβアドレナリン受容体の細胞内移行は観察された。一方、Carvedilolの添加においては、βアドレナリン受容体の細胞内移行は認められなかった。
(実施例6)
<GLP−1受容体を介して蓄積されるcAMP蓄積量の検出>
Gs共役受容体としてβアドレナリンの代わりにGLP−1受容体を用い、実施例1に記載の方法と同様にして、細胞内に産生されたcAMP量を指標として、GLP−1受容体の生理的アゴニストであるGLP−1(7−36)(以下「GLP−1」とも称する)、並びにGLP−1アナログ製剤として知られているエキセンディン−4(Exendin−4)及びリラグルチド(Liraglutide)のGLP−1受容体に対するアゴニスト活性及び脱感作を誘導する活性を評価した。
なお、評価系として、ヒトGLP−1受容体が恒常的に過剰発現するHEK293細胞(以下「GLP−1受容体発現細胞」とも称する)に[H]ATP等を取り込ませたものを用いた。また、[H]ATP等を取り込ませたGLP−1受容体発現細胞には、前記3種のアゴニストを各々3nM添加した。また、その24時間後に同濃度にて各アゴニストを添加した細胞も調製した。そして、これら細胞におけるcAMP蓄積量を、実施例1に記載の方法と同様にして測定した。得られた結果を図7に示す。なお、図7中、「Ex」、「Lir」及び「GLP−1」は、各々Exendin−4、Liraglutide及びGLP−1(7−36)を添加した結果を示し、(−)は陰性対照(ネガティブコントロール)として、化合物を添加しない細胞における結果を示す。
図7に示した結果から明らかなように、化合物を添加しなかった細胞に比べて、Exendin−4又はLiraglutideを添加した細胞においては、cAMPの強いシグナルが検出された。しかしながら、24時間前に前処理した細胞に更にExendin−4又はLiraglutideを添加した細胞においては、cAMPシグナルの低下、すなわち脱感作の強い誘導が確認された。一方、GLP−1においては、Exendin−4又はLiraglutideの添加よりも弱いアゴニスト活性(パーシャルアゴニスト活性)が検出された。また、GLP−1にて前処理したGLP−1受容体発現細胞において、そのパーシャルアゴニスト活性は維持されたままであり、脱感作を誘導する活性は極めて低いものであった。
(実施例7)
<GLP−1受容体の細胞内への移行>
次に、GLP−1受容体の細胞内への移行を指標として、実施例6において用いた各アゴニストの脱感作を誘導する活性を評価した。すなわち、FLAGタグが融合しているヒトGLP−1受容体が恒常的に過剰発現するHEK293細胞を12ウェルプレートに1.5x10個/ウェルずつ播き、GLP−1(7−36)、Exendin−4及びLiraglutideを各々3nMにて該細胞と24時間接触させた。そして、細胞膜表面に存在する受容体をELISAにより測定し、得られた測定値をアゴニスト接触前(アゴニスト非添加の細胞)の測定値と比較した。
なお、ELISAは以下に示す方法にて行った、すなわち、先ず各アゴニストを添加した細胞又はアゴニスト非添加の細胞を4℃の1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝食塩水(1%BSA−PBS)にて2回洗浄した後、1%BSA−PBSにて1/4000に希釈した抗FLAG抗体(実施例2に記載の抗体)と4℃にて1時間インキュベートすることにより、GLP−1受容体に融合しているFLAGタグに抗FLAG抗体を結合させた。次いで、これら細胞を1%BSA−PBSにて洗浄した後、4%パラホルムアルデヒドを含むPBS液にて細胞を4℃、5分間インキュベートして固定した後、1%BSA−PBSにて2回洗浄した。そして、固定化した細胞と、1%BSA−PBSにて1/12000に希釈した、ペルオキシダーゼが結合した二次抗体とを室温にて1時間インキュベートした後、1%BSA−PBSにて2回、PBSにて1回洗浄した。次いで、ペルオキシダーゼの基質(o−phenylenediamine dihydrochloride、OPD:Sigma社製)と室温にて5分間インキュベートした。次いで、反応を等量の2.5Nの塩酸を添加することにより停止させた後、プレートリーダー(バイオラッド社製)にて492nmにおける吸光度を測定した。得られた結果を図8に示す。図8中、「Ex」、「Lir」及び「GLP−1」は、各々Exendin−4、Liraglutide及びGLP−1(7−36)を添加した細胞の結果を示し、「−」はアゴニスト非添加の細胞の結果を示す。また、縦軸の数値は、アゴニスト非添加の細胞におけるELISAの測定値を100として算出した、各アゴニストを添加した細胞における相対値を示す。
図8に示した結果から明らかなように、Exendin−4又はLiraglutideの添加により、細胞の膜表面に存在するGLP−1受容体の量は減少し、これらアゴニストの添加により、GLP−1受容体は細胞内に移行することが明らかになった。一方、GLP−1を添加しても、細胞の膜表面に存在するGLP−1受容体の量は殆ど減少せず、GLP−1受容体の細胞内移行は認められなかった。
以上説明したように、本発明によれば、Gs共役受容体を活性化しつつ、脱感作を生じさせない、Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物を効率的にスクリーニングすることが可能となる。特に、βアドレナリン受容体は、心不全(特に慢性心不全)や不整脈(特に心房細動)、喘息、糖尿病、肥満、動脈硬化、高血圧、メタボリックシンドローム、肺高血圧、腎障害、慢性炎症等に関与していると考えられる。また、GLP−1受容体も、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、心不全等に関与していると考えられるため、本発明は、特にこれら疾患に対する医療の分野に大きく貢献しうるものである。

Claims (3)

  1. Gs共役受容体に対する医薬品候補化合物をスクリーニングする方法であって、
    (a)Gs共役受容体を発現している細胞に被験化合物を接触させ、前記受容体に対するアゴニスト活性を検出する工程、
    (b)前記受容体に対して、パーシャルアゴニスト活性を有する化合物を選択する工程、
    (c)工程(b)において選択された化合物を、前記Gs共役受容体を発現している細胞に接触させ、前記受容体の脱感作を誘導する活性を検出する工程、
    (d)前記受容体の脱感作を誘導する活性が低い化合物を選択する工程、
    を含み、かつ前記受容体が、β3アドレナリン受容体及びGLP−1受容体からなる群から選択される少なくとも一の受容体である、方法。
  2. 前記受容体に対するアゴニスト活性を、Gタンパク質のαサブユニットの活性型の検出、細胞内サイクリックAMP濃度の上昇、PKAの活性化、CREBのリン酸化、及び、CREBによる転写活性化からなる群より選択される少なくとも一を指標に検出する、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記受容体の脱感作を誘導する活性を、前記受容体のリン酸化、βアレスチンの細胞膜への移行、前記受容体とβアレスチンとの結合、前記受容体の細胞内への移行、及び、パーシャルアゴニスト活性の減少からなる群より選択される少なくとも一を指標に検出する、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
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