JP5907492B2 - 音波−スピン流変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、音波−スピン流変換素子に関するものであり、例えば、圧電素子や磁歪素子で発生したバルク音波或いは表面弾性波(SAW)をスピン流に変換する構成に特徴のある音波−スピン流変換素子に関するものである。
現在の半導体装置等のエレトロニクス分野においては、電子の有する電荷の自由度を利用しているが、電子は電荷以外にスピンという自由度を有している。近年、このスピンの自由度を利用したスピントロニクスが次世代の情報技術の担い手として注目を集めている。
このスピントロニクスでは電子の電荷とスピンの自由度を同時に利用することによって、従来にない機能や特性を得ることを目指しているが、スピントロニクス機能の多くはスピン流によって駆動される。
スピン流はエネルギーの散逸が少ないため、効率の良いエネルギー伝達に利用できる可能性が期待されており、スピン流の生成方法や検出方法の確立が急務になっている。
なお、スピン流の生成方法としては、スピンポンピングによるスピン流が提案されており(例えば、非特許文献1参照)、スピン流の検出方法についても、本発明者等により逆スピンホール効果(ISHE)によるスピン流の検出方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
さらに、本発明者は、熱をスピン流の発生源としたスピン−ゼーベック効果素子を提案している(例えば、特許文献1参照)。
国際公開パンフレット WO 2009/151000
Phys.Rev.,B19,p.4382,1979 Applied Physics Letters Vol.88,p.182509,2006
しかし、上述のスピン流発生方法では、材料や組成構成が限定されてしまい、素子設計の自由度という観点からは問題がある。
したがって、本発明は、新規なスピン流源を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、音波−スピン流変換素子であって、音波発生部材と、前記音波発生部材からの音波によりスピン流を発生する磁性体部材と、前記磁性体部材に接合され前記磁性体部材で発生したスピン流が注入される逆スピンホール効果部材と、前記磁性体部材の磁化方向が前記磁性体部材の平面内において長手方向と垂直方向に磁化成分を有するように前記磁化方向を規制する磁場印加手段と、前記逆スピンホール効果部材の長手方向の一端側に設けられた第1の電極と前記長手方向の他端側に設けられた第2の電極とを有する。
本発明者が鋭意研究した結果、音波を磁性体部材に注入すると、磁性体部材中でのマグノン(量子化したスピン流)−フォノン相互作用により、マグノン分布関数が非平衡状態になり、磁性体部材中で音波誘起スピン流が発生することを発見した。発生した音波誘起スピン流は、磁性体部材と接する逆スピンホール効果部材中に注入される。このような、マグノン−フォノン相互作用を利用することにより新規な原理によるスピン流発生源を実現することができる。
この場合、音波発生部材が、前記磁性体部材と直接主表面同士が接するようにし、前記磁性体部材に注入される音波を、バルク音波としても良い。
或いは、音波発生部材が、前記磁性体部材とくさび状弾性体スペーサを介して接するようにしても良く、前記磁性体部材に注入される音波を表面弾性波として良い。この場合、音波発生部材で発生した音波は、くさび状弾性体スペーサと磁性体部材との界面でスネルの法則によって反射するので、全反射が起きるようにくさび状弾性体スペーサの傾斜角を設定することで磁性体部材中に表面弾性波を発生することができる。
或いは、音波発生部材を、表面弾性波を発生させるすだれ状電極を備えた圧電体部材とし、前記磁性体部材が、前記表面弾性波の進行方向において、前記圧電体部材と主表面同士が接するようにしても良い。すだれ状電極を用いた場合には、接着材を用いる必要がないので、高効率、特に、高周波超音波を用いる場合に高効率になる。
また、磁性体部材に、表面弾性波を増幅する表面弾性波増幅器を設けても良い。表面弾性波は、音響不安定性を用いることによって増幅することができるので、音響不安定性を誘起する表面弾性波増幅器を設けることによって、従来よりもはるかに遠くまでスピン情報を輸送することができる。
なお、音響不安定性を誘起するためには、表面弾性波が発生している媒体自体に音波を超えるドリフト速度を有する電流を流せば良い。或いは、表面弾性波が発生している媒体に、半導体膜やガンダイオードを取り付けて、この半導体膜やガンダイオードに音波を超えるドリフト速度を有する電流を流せば良い。
また、逆スピンホール効果部材を表面弾性波の進行方向において、複数個所に設けてもよく、それによって、複数個所において電圧やスピン流を取り出すことができる。
磁性体部材としては、金属磁性体でも、磁性半導体でも、或いは、絶縁性磁性体でも良く、典型的には、YFe5-xGa12(但し、0≦x<5)が望ましい。
また、逆スピンホール効果部材としては、Pt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道或いは3d軌道を有する遷移金属を有する元素、若しくはそれらの合金のいずれかを有する元素のいずれか、或いは、前記各材料とCu、Al、或いは、Siの合金のいずれかが望ましい。
また、逆スピンホール効果部材に、逆スピンホール効果により電圧を取り出すための一対の電極をもうけても良く、AC‐DCコンバータや発電素子として用いることができる。
開示の音波−スピン流変換素子によれば、磁性体部材中でのマグノン−フォノン相互作用を利用することによって、新規なスピン流源を提供することができる。
本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の説明図である。 スピン流発生のメカニズムの説明図である。 本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の特性の説明図である。 本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の特性の印加電圧の周波数依存性の説明図である。 本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の起電力の外部磁場強度及び印加電圧の周波数依存性の説明図である。 本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の起電力のディップ位置の圧電素子の共振周波数依存性の説明図である。 本発明の実施例1の発電素子の概念的斜視図である。 本発明の実施例2の磁気メモリの動作を説明する断面図である。 本発明の実施例3の表面弾性波−スピン流変換素子の概念的断面図である。 本発明の実施例4の表面弾性波−スピン流変換素子の概念的断面図である。 本発明の実施例5の表面弾性波−スピン流変換素子の概念的斜視図である。
ここで、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の説明図であり、図1(a)は概念的斜視図であり、図1(b)は印加電圧波形の説明図である。
図1(a)に示すように、音波発生部材11上に、逆スピンホール効果部材13を蒸着した磁性体部材12を接合し、逆スピンホール効果部材13の両端に電圧取り出し用の一対の電極14,14を設ける。また、逆スピンホール効果部材13を設けた側を覆うようにシリコーン樹脂等からなるヒートシンク15を設ける。なお、磁性体部材12の接合は接着剤により行っても良いし、或いは、後述するように、AED(エアロゾルデポジッション)法等を用いて音波発生部材11上に直接成膜しても良い。
この音波発生部材11は、PZTやPVDF(polyvinylidene fluoride)等を用いた圧電素子或いは磁歪素子からなる。圧電素子を用いる場合には、図1(b)に示すMHzオーダーの交流電圧を印加する。磁歪素子を用いる場合には、Ni、Co系合金、ソフトフェライト等の磁歪定数の大きな磁性材料をスピン流発生部材である磁性体部材12に取り付け、磁歪材料に交流磁場を印加すると磁歪に由来する交流振動により超音波が発生する。この場合スピン流発生部材である、磁性体部材の磁化は固定しなければならないので、磁歪材料への磁場印加は電流細線による磁場印加或いはコイルの巻き付けにより局所的に行う。
磁性体部材12は、金属磁性体でも、磁性半導体でも、或いは、絶縁性磁性体でも良い。磁性誘電体としては、FeやCoを含むものであれば何でも良いが、ガーネットフェライト、スピネルフェライト、或いは、六方晶フェライト、特に、実用的には、入手が容易で且つスピン角運動量の散逸の小さいYIG(イットリウム鉄ガーネット)やイットリウムガリウム鉄ガーネット、即ち、一般式で表記するとYFe5-xGa12(但し、0≦x<5)からなるガーネットフェライト、或いは、YIGのYサイトをLa等の原子で置換したガーネットフェライト、例えば、LaYFe12等を用いることが望ましい。これは、YFe5-xGa12はバンドギャップが大きいので伝導電子が非常に少なく、したがって、伝導電子によるスピン角運動量の散逸が小さいためである。但し、コストの観点からは、通常のフェライトFe等の安価な材料が望ましい。
また、磁性体部材12の磁化方向を固定するための磁場印加手段は、コイル等を使用した外部磁場印加機構でも、或いは、ピン止め層となる反強磁性体を用いても良い。なお、逆スピンホール効果により発生する起電力EISHEは発生したスピン流jとスピン偏極方向の外積方向に生じるので、磁場印加方向は、逆スピンホール効果部材13の長手方向に対して垂直方向θ=90°とすることが望ましい。
また、磁性体部材12として、YFe5-xGa12(但し、0≦x<5)等の磁性誘電体を用いる場合には、スパッタ法、MOD法(Metal-organic decomposition Method:有機金属塗布熱分解法)、ゾル−ゲル法、液相エピタキシー法、フローティングゾーン法、或いは、エアロゾルデポジッション法のいずれを用いても良い。また、磁性誘電体の結晶性としては単結晶でも良いし或いは多結晶でも良い。
MOD法を用いる場合には、例えば、{100}面を主面とするGGG(GdGa12)単結晶基板上に、例えば、YFeGaO12組成のMOD溶液をスピンコート法で塗布する。この場合のスピンコート条件としては、まず、500rpmで5秒間回転させたのち、3000〜4000rpmで30秒間回転させてMOD溶液を焼成後の膜厚が100nmになるように均一に塗布する。なお、MOD溶液としては、例えば、(株)高純度化学研究所製のMOD溶液を用いる。
次いで、例えば、150℃に加熱したホットプレート上で5分間乾燥させて、MOD溶液に含まれる余分な有機溶媒を蒸発させ、次いで、電気炉中において、例えば、550℃で5分間加熱する仮焼成によって酸化物層とする。
次いで、電気炉中において、750℃で1〜2時間加熱する本焼成において酸化物層の結晶化を進めてYIG層とする。最後に、YIG層を所定のサイズに切り出せば良い。
また、エアロゾルデポジション法を用いる場合には、例えば、平均粒径が1μmのFe、NiO,ZnOそれぞれ、50mol%、27mol%、23mol%のエアロゾル用粉体を用い、例えば、開口が0.4mm×10mmのノズルを用いてキャリガスとなるArガスを1000sccm流して基板上に噴射させて堆積させれば良い。
また、逆スピンホール効果部材13としては、Pt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道或いは3d軌道を有する遷移金属を有する元素、若しくはそれらの合金のいずれかを有する元素のいずれか、或いは、これらの材料とCu、Al、或いは、Siの合金を用いることが望ましい。前者の元素はスピン軌道相互作用が大きいので、磁性誘電体との界面において、音響誘起スピン波スピン流と純スピン流の交換を高効率で行うことができる。但し、コストの観点からは、前者の材料とCu、Al、或いは、Siの合金が望ましい。
図2はスピン流発生のメカニズムの説明図である。図2(a)は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子のモデル図であり、音波発生部材11で発生したバルク音波は、磁性体部材12中に伝達され、磁性体部材12の中におけるマグノン−フォノン相互作用により、音波からスピン波へのエネルギー移行によって音響誘起のスピン流が発生する。この場合、エネルギー移行であって、運動量移行ではないので、音波の入射方向とスピン流の方向には関係がなく、したがって、音波の入射方向は重要ではない。発生したスピン流は逆スピンホール効果部材13に注入される。
図2(b)は、音波、スピン流、スピン偏極方向及び起電力の関係の説明図である。磁性体部材12に垂直に入射した音波により、スピン流が発生して、逆スピンホール効果部材13に界面から垂直方向にスピン流がポンピングされる。一方、磁場印加手段により、磁性体部材12はMの方向に磁化されているので、逆スピンホール効果部材13におけるスピン偏極方向σはM方向或いは−M方向になる。起電力EISHEは、
ISHE∝j×σ
であるので、起電力EISHEは、逆スピンホール部材13の長手方向に発生する。
図3は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の特性の説明図であり、音波発生部材11として、PVFDピエゾ素子を用いて、外部磁場の印加方向をθ=90°とし、印加する交流電圧の周波数をf=3.5MHzとした場合の特性図である。
図3(a)に示すように、外部磁場の強度をH=1kOeとした場合に発生した起電力Vは印加電圧のピーク−ピーク電圧VPPの増加とともに増大し、図3(b)に示すように、発生した起電力VはVPPの二乗に比例する。これは、圧電素子表面の変位ΔdはVPPに比例し、圧電素子から生成された音波の強度はΔdの2乗に比例するためであり、逆スピンホール効果による起電力Vは、注入された音波の強度に比例する。
図3(c)は、発生した起電力Vの外部磁場強度及びVPP依存性の説明図であり、起電力Vは磁場反転により極性が反転することがわかる。
図4は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の特性の印加電圧の周波数依存性の説明図である。図4(a)は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の特性の印加電圧の周波数依存性の説明図であり、f=3.5MHz付近で鋭いディップ構造の負符号の電圧が発生する。
図4(b)は、音波発生部材の発熱の周波数依存性の説明図であり、f>5MHzでPVFDが発熱していることがわかる。この結果と図4(a)に示した特性を対比すると、5MHz以上の周波数領域における起電力Vはスピン−ゼーベック効果による起電力であることがわかる。発生した起電力が音波由来か或いは発熱由来かは、起電力の極性を検証することにより区別することができる。
図5は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の起電力の外部磁場強度及び印加電圧の周波数依存性の説明図である。図5(a)に示すように、外部磁場の印加方向をθ=90°とした場合には、起電力Vは3.5MHz近傍でスピン−ゼーベック効果による起電力により極性(符号)が反転する。
また、図5(b)に示すように外部磁場の印加方向をθ=0°とした場合には、起電力Vは消失する。スピン流は温度勾配▽Tの方向となり、一方、スピン偏極方向は外部磁場方向になるので、j×σで表わされる起電力は逆スピンホール効果部材の短手方向に発生し、長手方向に設けた電極14,14では検出されないためである。
なお、図5(c)に示すように、逆スピンホール効果部材であるPtの代わりに、逆スピンホール効果が発生しないCuを用いた場合には、逆スピンホール効果が発生しないので、θ=90°としても起電力は発生しない。
図6は、本発明の実施の形態の音波−スピン流変換素子の起電力のディップ位置の圧電素子の共振周波数依存性の説明図である。ここでは、音波発生部材としてPZTピエゾ素子を用いて、H=1kOe、θ=90°の測定結果を示す。圧電素子の共振周波数は厚さで決定されるので、ここでは、PZTの厚さを変化させて測定を行った。なお、圧電素子の素材は何でも良いが、媒質密度と音速の積で表わされる音響インピーダンスのマッチングが良い場合に大きな信号が得られる。
PZTの膜厚dPZTを0.3mmとした場合には、ディップ位置はf=7.2MHzとなり、PZTの膜厚dPZTを0.4mmとした場合には、ディップ位置はf=5.4MHzとなり、PZTの膜厚dPZTを0.6mmとした場合には、ディップ位置はf=3.6MHzとなる。この特性を利用することによって、圧電素子を選択することによって、入力AC電圧の周波数を選択することができ、AC-DCコンバータとなる。
また、スピン流の注入により、磁性体部材の磁化方向を変化させることができるので、音波発生部材とスピンバルブ膜構造を組み合わせることにより、磁気メモリを構成することもできる、
以上の説明においては、音波発生部材と磁性体部材とを主面同士を直接面接触させてバルク音波を磁性体部材に注入しているが、表面弾性波を注入しても良い。表面弾性波を注入する場合には、音波発生部材を磁性体部材とくさび状弾性体スペーサを介して接するようにすれば良い。音波発生部材で発生した音波は、くさび状弾性体スペーサと磁性体部材との界面でスネルの法則によって反射するので、全反射が起きるようにくさび状弾性体スペーサの傾斜角を設定することで表面弾性波を発生することができる。
或いは、音波発生部材を表面弾性波を発生させるすだれ状電極(IDT)を備えた圧電体部材とし、磁性体部材を表面弾性波の進行方向において、圧電体部材と主表面同士が接するようにしても良い。すだれ状電極を用いた場合には、接着材を用いる必要がないので、高効率、特に、高周波超音波を用いる場合に高効率になる。
また、磁性体部材に、表面弾性波を増幅する表面弾性波増幅器を設けても良い。表面弾性波は、音響不安定性を用いることによって増幅することができるので、音響不安定性を誘起する表面弾性波増幅器を設けることによって、従来よりもはるかに遠くまでスピン情報を輸送することができる。
このような音響不安定性を誘起するためには、表面弾性波が発生している媒体自体に音波を超えるドリフト速度を有する電流を流せば良い。或いは、磁性体部材が導電性を有する場合には、表面弾性波が発生している媒体に、半導体膜やガンダイオードを取り付けて、この半導体膜やガンダイオードに音波を超えるドリフト速度を有する電流を流せば良い。
また、このような表面弾性波を用いる場合には、逆スピンホール効果部材を表面弾性波の進行方向に複数個所に設けても良く、それによって、複数個所において電圧やスピン流を取り出すことができる。
ここで、図7を参照して、本発明の実施例1の発電素子を説明図する。図7は、本発明の実施例1の発電素子の概念的斜視図であり、PZTからなるピエゾ効果素子21、YIG層22、Pt膜23、電極24,24と、ヒートシンクとなるシリコーン樹脂25からなる。ここでは、ピエゾ効果素子21を構成するPZTの膜厚を0.6mmとし、YIG層22を、長さ6mm、幅2mm、厚さ1mmとし、Pt膜23を長さ6mm、幅0.5mm、厚さ15nmとする。
この発電素子に対して、Pt膜23の長手方向に直交する方向にH=1kOeの外部磁場を印加した状態で、f=3.6MHzの交流電圧をピエゾ効果素子21に印加すると、VPP で規格化した起電力V/VPP として8×10−9−1の起電力が得られた。
このように、本発明の実施例1においては、音波によりスピン流を生成し、このスピン流を逆スピンホール効果を利用することによって、電圧を発生することができる。また、見方を変えると、AC−DCコンバータとなる。
次に、図8を参照して、本発明の実施例2の磁気メモリ素子を説明する。図8は、本発明の実施例2の磁気メモリの動作を説明する断面図であり、図8(a)は音波注入前の磁化状態を示し、図8(b)は音波注入時の磁化状態を示し、図8(c)は音波注入停止後の磁化状態の説明図である。ここでは、メモリ素子を構成する情報蓄積部を概念的断面図として示したものである。
図8(a)に示すように、本発明の実施例2の磁気メモリは、ピエゾ効果素子31上に、CoFeB等からなるピンド層32、常磁性体スペーサ33及び、NiFe等からなるフリー層34を積層したものである。なお、常磁性体スペーサ33としては、MgOやAl−O等のトンネル絶縁膜でも、或いは、CuやRu等の金属膜でも良い。
図8(b)に示すように、ピエゾ効果素子31に交流電圧を印加してピンド層32に音波を注入すると、ピンド層32内でマグノン−フォノン相互作用により、スピン流が発生する。発生したスピン流は、トンネル伝導或いはオーミック伝導により常磁性体スペーサ33を介してフリー層34に注入される。注入されたスピン流のスピン偏極方向にフリー層34の磁化方向が反転する。
図8(c)に示すように、フリー層34の磁化方向が反転した状態で、交流電圧の印加を停止すると、フリー層34の磁化方向は、保磁力によって保たれたままである。したがって、この現象を利用することによって、磁気メモリのセルの書き換えが可能になる。但し、微小セルを超音波励起するためには、印加電圧として相当な高周波数を必要とするため、セルの初期化に特に有効である。
次に、図9を参照して、本発明の実施例3の表面弾性波−スピン流変換素子を説明する。図9は、本発明の実施例3の表面弾性波−スピン流変換素子の概念的断面図であり、YIG層41の端部にくさび状弾性体スペーサ42を介してピエゾ効果素子43を設け、YIG層41における表面弾性波の進行方向に複数のPt膜44,44,44を設けた。なお、くさび状弾性体スペーサ42としては、アクリル、或いは、サファイア等を用いる。
ピエゾ効果素子43で発生した音波は、くさび状弾性体スペーサ42とYIG層41との界面でスネルの法則によって反射するので、全反射が起きるようにくさび状弾性体スペーサ42の傾斜角αを設定することで表面弾性波を発生することができる。音波の反射角θは、入射角θとくさび状弾性体スペーサ42の音速CとYIG層41の音速Cにより、C/sinθ=C/sinθとなる。
この場合、Pt膜44,44,44の長手方向(図の奥行き方向)に一対の電極を設けると電圧を取り出すことができ、電極を設けなければ、スピン流源とすることができる。
次に、図10を参照して、本発明の実施例4の表面弾性波−スピン流変換素子を説明するが、この実施例4は、上述の実施例3において、表面弾性波の進行方向の途中に表面弾性波増幅器45を設けたもので、その他の構成は上記の実施例3と同様である。
表面弾性波は、音響不安定性を用いることによって増幅することができる。このような音響不安定性を誘起するためには、表面弾性波が発生しているYIG層41にGaAs、Si等の半導体膜やガンダイオードを取り付けて表面弾性波増幅器45とする。この半導体膜やガンダイオードに音波を超えるドリフト速度を有する電流を流すことによって、音響不安定が発生し、表面弾性波が増幅される。
これは、電子のドリフト速度が音速を超えた場合、電流のエネルギーが音波に渡されることに起因する。具体的には、例えば、市販の高出力DC電源を用いて、表面弾性波増幅器45にリード線を付けて音波伝搬方向に電流を流せば良い。
このように、本発明の実施例4においては、音響不安定性を誘起する表面弾性波増幅器を設けているので、従来よりもはるかに遠くまでスピン情報を輸送することができる。なお、この実施例4においては磁性体部材として絶縁体のYIG層41を用いているが、導電性の磁性体を用いた場合には、磁性体自体に音波を超えるドリフト速度を有する電流を流すようにしても良い。
次に、図11を参照して、本発明の実施例5の表面弾性波−スピン流変換素子を説明する。図11は、本発明の実施例5の表面弾性波−スピン流変換素子の概念的斜視図であり、LiNbOからなる圧電基板51の一方の端部にTi/Au二層膜からなるすだれ状電極52を設け、表面弾性波の進行方向にYIG膜53を成膜し、その上に複数のPt膜54,54,54を成膜する。
ここでは、すだれ状電極52の電極線幅hを5μm、間隙aを5μmとし、横2mm、縦5mmのサイズとする。従って、電極のピッチdはd=h+aとなり、電極のパターンの波長λはλ=2dであるので、20μmとなる。これを圧電基板51の音速で割ると表面弾性波の周波数となる。因みに、LiNbO基板ならば基本周波数は172MHzになる。
本発明の実施例5においては、くさび状弾性体スペーサを用いることなく、すだれ状電極を用いているので、より簡便に且つ高効率に表面弾性波を発生することができる。なお、この場合も、複数のPt膜54,54,54の間に表面弾性波増幅器を設けても良い。

Claims (9)

  1. 音波発生部材と、
    前記音波発生部材からの音波によりスピン流を発生する磁性体部材と、
    前記磁性体部材に接合され前記磁性体部材で発生したスピン流が注入される逆スピンホール効果部材と、
    前記磁性体部材の磁化方向が前記磁性体部材の平面内において長手方向と垂直方向に磁化成分を有するように前記磁化方向を規制する磁場印加手段と
    前記逆スピンホール効果部材の長手方向の一端側に設けられた第1の電極と前記長手方向の他端側に設けられた第2の電極と
    を有する音波−スピン流変換素子。
  2. 前記音波発生部材が、前記磁性体部材と直接主表面同士が接しており、前記磁性体部材に注入される音波が、バルク音波である請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
  3. 前記音波発生部材が、前記磁性体部材とくさび状弾性体スペーサを介して接しており、前記磁性体部材に注入される音波が、表面弾性波である請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
  4. 前記音波発生部材が、表面弾性波を発生させるすだれ状電極を備えた圧電体部材であり、前記磁性体部材は、前記表面弾性波の進行方向において、前記圧電体部材と主表面同士が接している請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
  5. 前記磁性体部材に、前記表面弾性波を増幅する表面弾性波増幅器を備えている請求項3または請求項4に記載の音波−スピン流変換素子。
  6. 前記逆スピンホール効果部材が、前記表面弾性波の進行方向において、複数個所に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の音波−スピン流変換素子。
  7. 前記磁性体部材が、YFe5-xGa12(但し、0≦x<5)からなる請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
  8. 前記逆スピンホール効果部材が、Pt、Au、Pd、Ag、Bi、或いは、f軌道或いは3d軌道を有する遷移金属を有する元素、若しくはそれらの合金のいずれかを有する元素のいずれか、或いは、前記各材料とCu、Al、或いは、Siの合金のいずれかである請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
  9. 前記逆スピンホール効果部材が、逆スピンホール効果により電圧を取り出すための一対の電極を有している請求項1に記載の音波−スピン流変換素子。
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