以下に、本発明のタッチパネルシステムの実施形態1〜5および、このタッチパネルシステムの実施形態1〜5のいずれかを用いた例えばPC(パーソナルコンピュータ)およびタブレット端末などの電子機器の実施形態6について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。また、センス配線やドライブ配線の本数も実際のデバイスと一致していなくてもよく、図示および説明の便宜を考慮した本数としたものであり、図示する構成に限定されるものではない。さらに、本発明のタッチパネルシステムの実施形態1〜5は、本願請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、本願請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を更に組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるタッチパネルシステムの全体構成例を示すブロック図である。
図1において、本実施形態1のタッチパネルシステム1は、画像表示用の表示画面を持つ表示装置2と、表示画面上に設けられた位置検出用のタッチパネル3と、タッチパネル3に接続されるフレキシブルプリント基板(FPC)などの接続部4と、接続部4に接続される制御基板5と、この制御基板5上に搭載されて位置検出制御処理を行うコントローラ部6と、コントローラ部6に制御基板5を介して接続された接続ケーブル7と、コントローラ部6に接続ケーブル7を介して接続され、表示装置2に接続されて表示装置2の表示を制御するホスト端末8とを有している。
表示装置2は、例えば液晶ディスプレイ(液晶表示装置)、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイおよび電解放出ディスプレイなどの他に、表示画面上に画像表示されるものであればよい。
タッチパネル3は、検出面Pに沿って互いに平行に設けられると共に、それぞれにドライブ信号が与えられるX配線としてのドライブラインDL(下部電極)を有し、さらに、X配線としてのドライブラインDLと交差(立体交差;垂直交差およびそれ以外の角度による交差)するように検出面Pに沿って互いに平行に設けられたY配線としてのセンスラインSL(上部電極)とを有している。このタッチパネルは、接触または近接する指示体(指やタッチペンなど)の有無による静電容量の変化に応じた出力信号を出力することができる。Y配線としての複数のセンスラインSLからの複数の出力信号は、ドライブラインDLが駆動されることにより、検出面P内のドライブラインDLとセンスラインSLの交差部分やその近傍部分を介して出力される信号である。
検出面P内の検出領域E(ドライブラインDLとセンスラインSLの交差部分やその近傍部分、以下同じ)に、指やペンなどの指示体が接触または近接していればセンスラインSLからの信号が変化する。即ち、このセンスラインで得られた信号が、検出領域Eに対する接触または近接の有無を示す2次元状の検出領域Eの位置情報(x,y)と指示体による静電容量の情報(z)を示す3次元座標情報を示す信号となる。静電容量の情報(z)のZ値が小さくなるほど、静電容量値を示す信号レベルは小さくなる。
接続部4は、一方端がドライブラインDLおよびセンスラインSLの各電極引出部に電気的に接続されると共に、他方端が制御基板5の回路端子に接続されるFPC(フレキシブルプリント)基板で構成されている。
制御基板5は、中央部にチップ状のコントローラ部6が搭載され、接続部4としてのFPC基板の他方端が制御基板5の回路端子に電気的に接続されている。
コントローラ部6は、各ドライブラインDLを駆動すると共に、各センスラインSLからの信号を処理して検出面P内における指示体の位置(検出領域E)を検出する。
接続ケーブル7は、一方端が、コントローラ部6の入出力端子に接続される制御基板5の回路端子に電気的に接続され、他方端がホスト端末8に電気的に接続されている。
ホスト端末8は、パーソナルコンピュータなどで構成されており、接続ケーブル7を介してコントローラ部6を制御すると共に、コントローラ部6で検出した指示体の位置(タッチ検出領域Eの位置情報(x,y))および静電容量の情報(z)に基づいて表示装置2の表示画面上に表示される画像を表示制御する。
また、タッチパネルシステム1に接続されたホスト端末8が、クラウドサービスのようにサーバ側にあってもよく、タッチパネルシステム1自体にホスト端末8の機能をもたせて表示を制御することも可能である。
図2は、図1のタッチパネルシステム1のコントローラ6における構成例を示すブロック図である。
図2において、本実施形態1のコントローラ部6は、複数のセンスラインSLからの複数の信号を処理して検出面P内における指示体の位置(検出領域Eの位置情報(x,y))および静電容量の情報(z)を検出する指示体位置検出部61と、ドライブDLを順次駆動するドライブライン駆動部62とを有している。
指示体位置検出部61は、複数のセンスラインSLから出力される複数の出力信号をそれぞれ増幅する増幅部611と、増幅部611がそれぞれ増幅した各出力信号を取得して時分割で出力する信号取得部612と、信号取得部612が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部613と、A/D変換部613がA/D変換したデジタル信号に基づいて検出面P内における静電容量の変化量の分布を求める復号処理部614と、後述の位置情報生成部616が検出面P内における指示体の位置(検出領域Eの位置情報(x,y))を検出する際に用いる検出基準値(閾値)を設定する検出基準設定部615と、復号処理部614が求めた静電容量の変化量の分布に対して検出基準値に基づいて検出面P内における指示体の位置(検出領域Eの位置情報(x,y))を検出して指示体の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部616とを有している。
ドライブライン駆動部62は、複数のドライブラインDL毎に所定のドライブ信号を順次または一斉に出力して複数のドライブラインDLを駆動する。
一方、ドライブライン駆動部62から駆動されたドライブラインDLと交差する2本以上のセンスラインSLからは、当該ドライブラインDLとの間に形成される静電容量の変化に応じた出力信号が増幅部611にて取得される。
増幅部611にて増幅された出力信号を信号取得部612にて隣接するセンスラインSLから出力信号値の差(差分)を読み出す。差(差分)を見ることでノイズが相殺されて、閾値レベルよりも大きな座標信号レベル(従来のものに対してノイズ成分の5倍〜20倍の信号レベル)が得られる。よって、大きな静電容量値を検出することが可能になる。
復号処理部614は、ドライブライン駆動部62が各ドライブラインDLに順次または一斉に与えたドライブ信号の信号パターンに基づいて、A/D変換部613から得られるデジタル信号を復号処理することによって、検出面P内における静電容量の変化量の分布を求める。
復号処理部614は、指示体のタッチ位置の検出を行う前に、例えばタッチパネルシステム1の起動直後に行われるキャリブレーション時に、検出面Pに接触または近接する指示体(指またはタッチペンなど)が存在しない状態で、得られた各出力信号から求められたデジタル信号を取得することによって、検出面Pに接触または近接する指示体(指またはタッチペンなど)が存在しない状態の検出面P内における静電容量の2次元的な分布を予め求めている。
さらに、復号処理部614は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない状態の検出面P内における静電容量の分布と、指示体の位置の検出時に求めた検出面P内における静電容量の分布とを比較して、検出面P内における静電容量の変化量の分布、即ち、検出面Pへの指示体の接触または近接に起因して変化した静電容量の成分の2次元的な分布を求める。
さらに、復号処理部614は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない状態の検出面P内における静電容量の2次元的な分布を、指示体のタッチ位置の検出時に求めた検出面P内における静電容量の2次元的な分布から減算することにより、指示体が触れるかまたは近接した検出面P内における静電容量の変化量の3次元的な分布を求めることができる。この静電容量の変化量の3次元的な分布は、後述するが、指示体の入力位置(x,y)をタッチパネル3に指示して得られる静電容量値の情報(z)を含む静電容量値の3次元座標(x,y,z)に対応している。
検出基準設定部615は、復号処理部614から得られる静電容量の変化量の分布に対する検出基準値(閾値)を設定する。例えば検出基準設定部615が求めた検出基準(閾値)は記憶部(図示せず)に記憶されている。
位置情報生成部616は、復号処理部614が求めた検出面P内における静電容量の変化量の分布と検出基準とを用いて、検出面P内における指示体の位置を求めて位置情報を生成する。
位置情報生成部616は、検出面P内における静電容量の変化量の分布中のタッチ位置を求め、当該タッチ位置における静電容量の変化量が検出基準値よりも大きければ、当該タッチ位置を検出面Pに接触または近接する指示体の位置とすることができる。
位置情報生成部616は、検出面P内の静電容量の検出領域の全てを用いてタッチ位置(静電容量の情報(z)が最大の位置)を求めてもよいし、検出領域の一部(例えば静電容量の変化量が所定の閾値よりも大きくなる部分)を用いてタッチ位置を求めてもよい。また、位置情報生成部616は、当該タッチ位置の付近(または検出面内の一部)の検出領域における静電容量の変化量に対して補間処理などを行うことによって、当該タッチ位置における静電容量の変化量を求めてもよい。
位置情報生成部616は、検出面Pにおける指示体の位置を示す位置情報を生成して出力する。このとき、位置情報生成部616は、検出面Pに接触または近接する指示体が存在しない場合など、検出面Pに接触または近接する指示体の位置を求めることができなかった場合は、その旨を位置情報として生成して出力するようにしてもよい。
ここで、本願では、X配線としての複数のドライブラインDLとY配線としての複数のセンスラインSLを切り替えることも可能であり、図1の上部電極をドライブラインDL、下部電極をセンスラインSLとしてもよい。
さらには、上記説明の複数のセンスラインSLと複数のドライブラインDLに接続される増幅部と駆動部を切り替える機能を設け、上部電極と下部電極の役割(センス/ドライブ)をタッチパネルの動作中に定期的に切り替えるようにしてもよい。
ここで、本実施形態1の特徴構成の制御基板5として、図1のコントローラ部6が搭載された制御基板5の積層構造について説明する。
図3は、図1の制御基板5の要部積層構造を模式的に示す図である。
図3において、本実施形態1のタッチパネルシステム1において、前述したが、複数のドライブラインDLと複数のセンスラインSLとが交差して配列されたタッチパネル3に指示体(指やタッチペンなど)により入力位置を指示して、タッチパネル3の複数のドライブラインDLと複数のセンスラインSLが接続された制御基板5上のコントローラ部6が、隣接するセンスラインSL毎の各信号値から差分値を得、この差分値に基づいて指示体の入力位置情報を検出するものである。このように、タッチパネルシステム1は、入力位置情報検出用のタッチパネル3に一端が接続される接続部4の他端がコネクタ等を介して接続された制御基板5を有している。この制御基板5に搭載されたコネクタとコントローラ部6との間に複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLが配列される積層構造を有している。
この積層構造とすることで、軽薄短小が求められるモバイル機器において制御基板の狭面積化を図ることが可能となる。要するに複数のドライブ配線DLを単層から上下2層に分けて第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52とし、複数のセンス配線SLを単層から上下2層に分けて第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55としている。
積層構造とした複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLがそれぞれ単層から複数層に分けられて、ドライブ配線とセンス配線間にグランド・プレーン層53(GND層)を設けることにより、各層の平面視面積が単層の平面視面積に比べて縮小され、ノイズの影響を軽減して、検出する静電容量値の精度の向上に寄与している。
さらに、制御基板5は、これらの複数のセンス配線SLの上下2層(第4層目のセンス配線層54および第5層目のY2ライン層55)と、複数のドライブ配線DLの上下2層(第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52)との間に第3層目のグラウンド・プレーン層53を介在させた積層構造としている。
要するに、第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52と、第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55というようにドライブ配線層とセンス配線層を上下に配置位置を分けてその間にグラウンド・プレーン層53を介在させて電気的に上下に分離している。
ドライブ配線とセンス配線が積層されると、ドライブ配線とセンス配線が平行して走ることになり、上下の層を介して、ドライブラインの信号がセンスラインのノイズとなる。ドライブ配線とセンス配線を上下の層毎に分け、それらの間にグランド層を置くことで、ドライブラインの影響を受けにくくすることが可能になる。
これらの第1層〜第5層の5層にはスルーホールと呼ばれる金属材料が埋め込まれたコンタクト56,57が設けられており、各コンタクトによって各層の複数のドライブ配線DLや複数のセンス配線SLがそれぞれ接続されている。具体的には、制御基板5のコネクタからコンタクト56を介して、第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55で、例えば第51番目のセンス配線SLを共有し、また、コンタクト57を介して、第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55に共有された第51番目のセンス配線SLがコントローラ部6に接続されている。詳細に後述するが、第51番目のセンス配線SLは、タッチパネル3から接続されて第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55に共有されている。
複数のセンス配線SLの上下2層の第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55において、図4Aに示すように、例えば100本のセンスラインSLを上下2層(第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55)に例えば50本と50本に分けて平行に配列する場合に、下側の第5層目のセンス配線層55では第1番目〜第51番目のセンス配線SLを左側から右側に等間隔に平行に配置し、上側の第4層目のセンス配線層54では第51番目〜第100番目のセンス配線SLを左側から右側に等間隔に平行に配置する。
要するに、前述したが、第5層目のセンス配線層55および第4層目のセンス配線層54で第51番目のセンス配線SLを最後と最初に共に配置している。上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55とで連続性が失われる複数のセンス配線SLが2つに分割される切れ目にあるセンス配線SL(ここでは第51番目)に位置する端ラインを上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55で共有するようにしている。ここでは、ノイズ相殺用に差分をとるために第51番目のセンス配線SLを両層で共有するようにしているが、第50番目のセンス配線SLを連続性が失われる端として上下両層で共有するようにしてもよい。
これによって、隣接したセンス配線SLとして、第5層目のセンス配線層55において、第1番目と第2番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、次に、第2番目と第3番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、・・・第49番目と第50番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、第50番目と第51番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除する。さらに、隣接したセンス配線SLとして、第4層目のセンス配線層54において、第51番目と第52番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り・・・第99番目と第100番目のセンスラインSLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除する。
要するに、第51番目の連続端部のセンス配線SLを、上側の第4層目のセンス配線層54と下側の第5層目のセンス配線層55に共に配置して、差分を同一層の隣接センス配線SL間から得るようにし連続性を保つことができる。または、第50番目の連続端部のセンス配線SLを上側の第4層目のセンス配線層54と下側の第5層目のセンス配線層55に共に配置して、差分を同一層の隣接センスラインSL間から得るようにしてもよい。これらによって、複数層に跨り連続性が失われるセンス配線においても、同一条件でノイズを精度良く排除することができて、より精度の良い差分値を得ることができる。
なお、上記図4Aでは、上下の層でセンサ配線が互いに平行な方向に配列される場合について説明したが、これに限らず、図4Bに示すように、上下の層でセンサ配線が互いに直交する方向に配列されていてもよく、図4Cに示すように、上下の層でセンサ配線が互いに傾斜する方向(平面視交差角が例えば45度)に配列されていてもよい。
例えば図4Bに示すように、複数のセンス配線SLの上下2層の第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55において、例えば100本のセンスラインSLを上下2層(第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55)に例えば50本と50本に分けて平行に配列する場合に、下側の第5層目のセンス配線層55では第1番目〜第51番目のセンス配線SLを左側から右側に等間隔に平行に配置し、上側の第4層目のセンス配線層54では第51番目〜第100番目のセンス配線SLを奥側から手前側に等間隔に平行に配置している。第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55で複数のセンス配線SLの配列が平面視で互いに直交している。
第5層目のセンス配線層55および第4層目のセンス配線層54で第51番目のセンス配線SLを共に配置している。上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55とで連続性が失われる複数のセンス配線SLが2つに分割される切れ目にあるセンス配線SL(ここでは第51番目)に位置する端ラインを上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55で共有するようにしている。ここでは、ノイズ相殺用に差分をとるために第51番目のセンス配線SLを両層で共有するようにしているが、第50番目のセンス配線SLを連続性が失われる端として上下両層で共有するようにしてもよい。
また同様に、図4Cに示すように、複数のセンス配線SLの上下2層の第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55において、例えば100本のセンスラインSLを上下2層(第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55)に例えば50本と50本に均等に分けて互いに平行に配列する場合に、下側の第5層目のセンス配線層55では第1番目〜第51番目のセンス配線SLを左側から右側に等間隔に平行に配置し、上側の第4層目のセンス配線層54では対角方向(斜め45度方向)に平行に第51番目〜第100番目のセンス配線SLを対角方向に等間隔に平行に配置する。第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55で複数のセンス配線SLの配列が平面視で互いに斜め方向(ここでは角度45度)に交差している。もちろんこれとは逆に、上側の第4層目のセンス配線層54でセンス配線SLを左側から右側に等間隔に平行に配置し、下側の第5層目のセンス配線層55で対角方向(斜め45度方向)にセンス配線SLを平行で等間隔に配置するようにしてもよい。
この場合にも、第5層目のセンス配線層55および第4層目のセンス配線層54で第51番目のセンス配線SLを共に配置している。上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55とで連続性が失われる複数のセンス配線SLが2つに分割される切れ目にあるセンス配線SL(ここでは第51番目)に位置する端ラインを上下の第4層目のセンス配線層54と第5層目のセンス配線層55で共有するようにしている。ここでは、ノイズ相殺用に差分をとるために第51番目のセンス配線SLを両層で共有するようにしているが、第50番目のセンス配線SLを連続性が失われる端として上下両層で共有するようにしてもよい。
図5は、本実施形態1のタッチパネルシステム1で用いた制御基板5の積層構造例を模式的に示す断面図である。
図5において、制御基板5の積層構造は、さらに詳細に説明すると、上下の最表面に保護膜51aと保護膜58bが形成され、複数のドライブ配線DLが2層に分けられて形成された第1層目(L1)のドライブ配線層51および第2層目(L2)のドライブ配線層52と、グラウンド・プレーン層が設けられた第3層53(L3)と、複数のセンスラインSLが2層に分けられて形成された第4層目(L4)のセンス配線層54および第5層目(L5)のY2ライン層55と、Y2ライン層55下に、電源回路および駆動回路などの各種配線が設けられた第6層目(L6)の電源層58と、電源層58下に、以上の配線以外の信号配線を跨ぐ配線など各種配線が設けられた第7層目(L7)の基板59とを有している。第1層目のドライブ配線層51〜第7層目の各種配線層59はそれぞれ、厚さ40〜60μmの絶縁層上に厚さ20μmの金属層(ここではCu層)が配線層として設けられている。
制御基板5の積層構造は、従来に比べて積層数を増やし、平面視表面積を縮小させることにより、タッチパネルの周囲の狭い額縁領域内にもより容易に収容することができる。センス配線SL間の距離も積層数を増やすことでライン間隔を縮小する必要がないことからセンスラインSL間のノイズの影響や寄生容量を抑制することができる。スルーホールの加工はレーザ装置によるレーザ加工により行うので、各層の厚さが薄い方が加工しやすい。なお、ここでは、第1層目のドライブ配線層51〜第5層目のセンス配線層55の他に、表面側にCu層が設けられた第6層目の電源層58および第7層目の基板59の合計7層としたが、これに限らず、第1層目のドライブ配線層51〜第5層目のセンス配線層55に、表面側にCu層が設けられた基板57だけを加えた合計6層としてもよいし、表面側にCu層が設けられた第6層目の電源層58だけを加えた合計6層としてもよい。表面側にCu層が設けられた基板57は搭載された半導体やコンデンサーや抵抗等の各種回路を構成していてもよい。なお、グランド・プレーン層53を各ライン層毎に配置した方がノイズを良好に排除することができるが、グランド・プレーン層53の数を多くすると積層数が増え、厚さが厚くなる。
以上により、本実施形態1によれば、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を2分割したドライブ配線層51およびドライブ配線層52と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割したセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグランド・プレーン層53を介在させ、ノイズを除去する。また、隣接センス配線SLから差分を取ることから、複数のセンス配線SLの連続性が失われる配列番号の切れ目(ここでは第51番目のセンス配線SL)のいずれかを上下層に共に配置することにより、単層から分離された層においてもノイズを除去できる。
したがって、軽薄短小を求められるモバイル機器において、タッチパネル3に接続される、コントローラ部6が搭載される制御基板5が平面視で表面積を縮小可能となり、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内に制御基板5をより容易に収容できて、績層することができてセンスライン間でノイズの影響を軽減することができる。
このように、ノイズの影響が軽減できて、検出する静電容量値の精度をより向上させることができる。また、複数のドライブ配線DLが配線された第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52と複数のセンス配線SLが配線された第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55との間にグラウンド・プレーン層53を設けたため、センス配線SLのインピーダンスを安定化することができる。
(比較例)
図6(a)は、上記実施形態1のタッチパネルシステム1で用いた制御基板5の要部積層構造例を概略的に示す模式図であり、図6(b)は、本比較例のタッチパネルシステムに用いた制御基板の要部積層構造例を概略的に示す模式図である。
図6(a)に示すように、上記実施形態1のタッチパネルシステム1に用いたタッチ位置検出用の制御基板5に搭載されたコネクタとコントローラ部6間に設けられた積層構造として、複数のドライブ配線DLを上下2層に分けた第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52と、その下のグランド・プレーン層53と、グランド・プレーン層53の下層として、複数のセンス配線SLを上下2層に分けた第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線55とを有して、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの配置を電気的に上下に分離してインピーダンスを安定化させている。
これに対して、図6(b)に示すように、比較例の積層構造は、上記実施形態1の積層構造に比べて間にグランド・プレーン層53がなく、複数のドライブ配線DLを上下2層に分けた第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52と、複数のセンス配線SLを上下2層に分けた第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55との4層構成になっている。また、図示しないが、各層それぞれにドライブ配線DLとセンス配線SLが混在した構成にも取り得る。
図13に示すように、従来例の積層構造は、最上層の第1層104に複数のドライブラインDLと複数のセンスラインSLとが等間隔に配列されている。この場合に、ノイズとされる固定容量値が相対値として600程度であるが、これはノイズとしては無視できる程度である。これに対して、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にグランド・プレーン層53がない図6(b)の比較例の積層構造では、ノイズとされる固定容量値が20000程度あり、従来の相対値としての600と比較して33倍程度あり、無視できないレベルである。場合によりノイズとして検出されてしまう可能性がある。したがって、グランド・プレーン層53のない図6(b)の比較例の積層構造ではノイズが無視できず、タッチとして認識される可能性がある。これは、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にラインに重なり部分が生じて差分の固定容量値として寄生容量として考えられる。
これに対して、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にグランド・プレーン層53を用いた上記実施形態1の積層構造では、差分の固定容量値が、小さくなる。上記従来例のノイズの場合と同様、このノイズレベルは無視できる程度である。
したがって、上記実施形態1のように、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にグランド・プレーン層53を設けることによって、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの寄生容量の影響を取り除くことができる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分け、各層で左側から右側に順次並べて配列した場合について説明したが、本実施形態2では、複数のセンス配線SLの配列を上層で左側から右側に順次並べて配列した後に下層で右側から左側に逆方向に順次並べて配列した場合について説明する。
図7は、本発明の実施形態2のタッチパネルシステム1Aにおける制御基板5Aの第4層および第5層における複数のセンス配線SLの配列例に配列番号を付けて示した模式図である。なお、この複数のセンス配線SLの配列例以外は上記実施形態1の場合と同様である。
図7において、本実施形態2の制御基板5Aの第4層目のセンス配線層54Aおよび第5層目のセンス配線層55Aにおける複数のセンス配線SLの配列例として、例えば100本のセンス配線SLを上下2層(第4層目のセンス配線層54Aおよび第5層目のセンス配線層55A)に例えば50本と50本に分ける場合に、上側の第4層目のセンス配線層54Aで第1番目〜第51番目のセンス配線SLを左側から右側に並べて等間隔に配置し、下側の第5層目のセンス配線層55Aで第51番目〜第100番目までのセンス配線SLを右側から左側の配列順の、上層とは逆方向に並べて等間隔に順次配置する。または、下側の第5層目のセンス配線層55Aで第1番目〜第51番目のセンス配線SLを左側から右側に並べて等間隔に配置し、上側の第4層目のセンス配線層54Aで第51番目〜第100番目までのセンス配線SLを右側から左側の配列順の、下層とは逆方向に並べて配置してもよい。いずれにせよ、センス配線層54Aとセンス配線層55Aで同じ配列番号の第51番目のセンス配線SLが互いに対向する位置に配列されている。また、上側の配列と下側の配列が同じ方向に配列されていてもよい。
要するに、第4層目のセンス配線層54Aおよび第5層目のセンス配線層55Aで第51番目のセンス配線SLを共有し、第4層目のセンス配線層54Aに配置された第51番目のセンス配線SLの直下の第5層目のセンス配線層55Aの位置に同じ配列番号の第51番目のセンス配線SLを配置している。この場合、第4層目のセンス配線層54Aの第51番目のセンス配線SLと、第5層目のセンス配線層55Aの第51番目のセンス配線SLとは互いに対向して近くに配線上同一条件で配置されている。これによって、ノイズによる影響をより軽減できて、より精度のよい差分値を得ることができる。
これによって、隣接したセンス配線SLとして、第4層目のセンス配線層54Aにおいて、左側から第1番目と第2番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、次に、第2番目と第3番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、・・・第49番目と第50番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り、第50番目と第51番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除する。さらに、隣接したセンス配線SLとして、第5層目のセンス配線層55において、右側から第51番目と第52番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取り・・・第99番目と第100番目のセンス配線SLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除する。
要するに、第51番目の連続端部のセンス配線SLを上側の第4層目のセンス配線層54Aと下側の第5層目のセンス配線層55Aに共に配置して、差分値を同一層の隣接センス配線SL間から得るようにしている。また、第50番目の連続端部のセンス配線SLを上側の第4層目のセンス配線層54Aと下側の第5層目のセンス配線層55Aに共に配置して、差分値を同一層の隣接センス配線SL間から得るようにしてもよい。これらによって、上下層で互いに近くに配置された各第51番目のセンス配線SLによって差分値に差異が生じ難く、より精度の良い差分値を得ることができる。制御基板の配線上、上側の第4層目のセンス配線層54Aと下側の第5層目のセンス配線層55Aで近接するように配置したが、そのような配線が困難な場合は、上側の第4層目のセンス配線層54Aと下側の第5層目のセンス配線層55Aで配列する方向を同じにして配置しても、効果を得ることができる。
以上により、本実施形態2によれば、図6(a)のドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を2分割したドライブ配線層51およびドライブ配線層52とセンス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割したセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグランド・プレーン層(全面にCu層)である層53を介在させ、かつノイズを除去するために隣接センス配線SLから差分を取ることから連続性が失われたセンス配線である連続端ラインのいずれかを上下層に共に配置している。
したがって、軽薄短小を求められるモバイル機器において、タッチパネル3に接続される、コントローラ部6が搭載される制御基板5Aが平面視面積的に縮小可能となり、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内に制御基板5Aをより容易に収容できて、積層化により平面視面積的に余裕ができてセンス配線SL間の距離を縮小することなくより間隔を離間することができてセンスライン間でノイズの影響を軽減することができる。このように、ノイズの影響が軽減できて、検出する静電容量値の精度をより向上させることができる。
なお、本実施形態2では、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて上層で左側から右側に順次並べて配列した後に下層で右側から左側に上層とは逆方向に順次並べて配列した場合について説明したが、これに限らず、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて下層で左側から右側に順次並べて配列した後に上層で右側から左側に上層とは逆方向に順次並べて配列してもよい。または、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて上層で右側から左側に順次並べて配列した後に下層で左側から右側に上層とは逆方向に順次並べて配列してもよいし、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて下層で右側から左側に順次並べて配列した後に上層で左側から右側に上層とは逆方向に順次並べて配列してもよい。
要するに、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて上下層で一方側から他方側に並べて配列する上記実施形態1の場合とは異なり、本実施形態2では、複数のセンス配線SLの配列を上下層に分けて一方層で一方側から他方側に並べて配列した後に他方層で他方側から一方側に一方層とは逆方向に並べて配列する。
(実施形態3)
上記実施形態1,2では、連続した二つの隣接センス配線SL間のノイズ相殺用の差分処理を同一層の差分処理で行う場合について説明したが、本実施形態3では、連続した二つの隣接センス配線SL間のノイズ相殺用の差分処理を上下の異なる層間での差分処理で行う場合について説明する。
図8は、本発明の実施形態3のタッチパネルシステムにおける制御基板5Bの第4層および第5層における複数のセンス配線SLの配列例を示す模式図である。なお、複数のセンス配線SLの配列例以外は上記実施形態1の場合と同様である。
図8において、本実施形態3の制御基板5Bの第4層目のセンス配線層54Bおよび第5層目のセンス配線層55Bにおける複数のセンス配線SLの配列例としては、例えば100本のセンス配線SLを上下2層(第4層目のセンス配線層54Bおよび第5層目のセンス配線層55B)に第4層目のセンス配線層54Bの所定厚の絶縁層を上下から挟んで交互に順次振り分ける場合に、上側の第4層目のセンス配線層54Bで第1番目〜第99番目までの奇数番目のセンス配線SLを左側から右側の方向に等間隔に並べ、下側の第5層目のセンス配線層55Bで第2番目〜第100番目までの偶数番目のセンス配線SLを左側から右側の方向に等間隔に並べて、連続番号順に上下に交互に複数のセンス配線SLを配置する。このとき、センス配線層54Bで奇数番目の隣接センス配線SLの中央位置に対向するように、センス配線層55Bで偶数番目のセンス配線SLが配置されている。また、センス配線層55Bで偶数番目の隣接センス配線SLの中央位置に対向するように、センス配線層54Bで奇数番目のセンス配線SLが配置されている。
要するに、上下の第4層目のセンス配線層54Bおよび第5層目のセンス配線層55Bにおいて第4層目のセンス配線層54Bの絶縁層を上下から挟み込むように、連続する複数のセンス配線SLを上下層上に交互に順次配列しているので、連続した二つのセンス配線SL間のノイズ相殺用の差分のために、上記実施形態1,2のように第51番目のセンス配線SLを上下層で共有する必要がなくなる。この場合、連続した二つのセンス配線SL間のノイズ相殺用の差分処理は、上下の異なるセンス配線層54Bとセンス配線層55B層との間で行われる。
即ち、隣接したセンス配線SLとして、第4層目のセンス配線層54Bにおける第1番目のセンス配線SLと第5層目のセンス配線層55Bにおける第2番目のセンス配線SLとの各信号値から差分を取り、次に、第5層目のセンス配線層55Bにおける第2番目のセンス配線SLと第4層目のセンス配線層54Bにおける第3番目のセンス配線SLとの各信号値から差分を取り、・・・第5層目のセンス配線層55Bにおける第98番目のセンス配線SLと第4層目のセンス配線層54Bにおける第99番目のセンス配線SLとの各信号値から差分を取り、さらに第4層目のセンス配線層54Bにおける第99番目のセンス配線SLと第5層目のセンス配線層55Bにおける第100番目のセンス配線SLとの各信号値から差分を取ることによって、安定した同一条件で隣接センス配線SL間の差分値を得ることができる。このように、共有するセンス配線SLを必要としない。
以上により、本実施形態3によれば、図6(a)でドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を2分割したドライブ配線層51およびドライブ配線層52と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割したセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグラウンド・プレーン層(全面にCu層)であるGND層53(グランドプレーン層)を介在させてノイズの影響を低減し、かつ隣接センス配線SLを上下層のセンス配線層54とセンス配線層55に設けてこれらから差分を取ってノイズを高精度に排除している。
したがって、軽薄短小を求められるモバイル機器において、タッチパネル3に接続される、コントローラ部6が搭載される制御基板5を積層構造にしたことにより単層の場合に比べて平面視表面積が縮小可能となり、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内に制御基板5Bをより容易に収容できて、制御基板5が平面視面積的に余裕ができてセンス配線SL間の距離を縮小することなくより離間することができ、センスライン間でノイズの影響を軽減することができる。このようにノイズの影響が軽減できて、検出する静電容量値の精度をより向上させることができる。
なお、本実施形態3では、配列順序が連続する複数のセンスラインが上下層(第4層目のセンス配線層54Bと第5層目のセンス配線層55B)上に交互に配列される場合に、センス配線層54Bで奇数番目の隣接センス配線SLの中央位置に対向するように、センス配線層55Bで偶数番目のセンス配線SLが配置され、また、センス配線層55Bで偶数番目の隣接センス配線SLの中央位置に対向するように、センス配線層54Bで奇数番目のセンス配線SLが配置されている場合について説明したが、これに限らず、配列順序が連続する複数のセンスラインが上下層(第4層目のセンス配線層54Bと第5層目のセンス配線層55B)上に交互に配列される場合に、センス配線層54Bで奇数番目の隣接センス配線SLに対向するように、センス配線層55Bで偶数番目の隣接センス配線SLが配置されていてもよい。
なお、上記実施形態1〜3では、第1層目のドライブ配線層51および第2層目のドライブ配線層52のドライブライン層と、第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55のセンスライン層とに上下に配置位置を分けてその間にグラウンド・プレーン層53を介在させて電気的に上下に分離するように構成したが、これに限らず、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した単層のドライブ配線層と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割して配列した2層のセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグラウンド・プレーン層53を介在させて電気的に上下に分離するように構成してもよい。または、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を2分割したドライブ配線層51およびドライブ配線層52と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を配列した単層のセンス配線層とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にGND層53を介在させて電気的に上下に分離するように構成してもよい。さらには、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した単層のドライブ配線層と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を配列した単層のセンス配線層とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にGND層53を介在させて電気的に上下に分離するように構成してもよい。
要するに、制御基板は、複数のドライブ配線DLが配列された層と、複数のセンス配線SLが配列された層と、これらの間に設けられたグラウンド・プレーン層53との積層構造を有している。
複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLのうちの少なくともいずれかが単層から複数層に分けられて各層の平面視面積が単層の平面視面積に比べて縮小されて、当該各層にそれぞれ複数のセンスラインが配列されている。これによって、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内に制御基板5,5Aおよび5Bをより容易に収容できる。
さらに、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した単層のドライブ配線層と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を配列した単層のセンス配線層とに上下2層に分けたことにより、分けられた各層の平面視面積が元の単層(複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLが共に搭載された層)の平面視面積に比べて縮小されて、一方の層に複数のドライブ配線DLが配列され、他方の層に複数のセンス配線SLが配列されている。
(実施形態4)
上記実施形態1〜3では、図6(a)でドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を2分割したドライブ配線層51およびドライブ配線層52と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割したセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグランド・プレーン層53を介在させた場合について説明したが、本実施形態4では、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した単層のドライブ配線層と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割して配列した2層のセンス配線層54およびセンス配線層55に上下に分け、これらのドライブ配線層とセンス配線層との間にグランド・プレーン層53だけではなく電源層58をも介在した場合について説明する。
図9は、本発明の実施形態4のタッチパネルシステム1Cにおける制御基板5Cの要部積層構造例を示す模式図である。なお、図9では、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、本実施形態4のタッチパネルシステム1C(図1)における制御基板5Cの要部積層構造は、第4層および第5層としてのセンス配線層54およびセンス配線層55と、その上の第3層としての電源層58と、その上の第2層としてのグラウンド・プレーン層53と、その上の第1層としてのドライブ配線層50とを有している。
要するに、これらのドライブ配線層50とセンス配線層54およびセンス配線層55との間にグラウンド・プレーン層であるGND層53の他に電源回路が形成された
電源層58が介在されている。
第1層のドライブ配線層50には位置検出制御用のコントローラ部6および、図1の接続部4に接続されるコネクタ等が搭載されている。第1層上に搭載されたコネクタとコントローラ部6との間に複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとが配列されるが、例えば、複数のドライブ配線DLは、第1層のドライブ配線層50に配列され、複数のセンス配線SLは、図示しない各コンタクトを介して、第4層および第5層のセンス配線層54およびセンス配線層55の2層に分けてライン間隔を等間隔で配列されている。第1層のドライブ配線層50における配線等の金属(Cu等)の直上には、保護膜である絶縁層図5に示す保護膜51aが形成されている。
第2層のグランド・プレーン層53は配線全面が均一に配置されている。その第2層下の第3層である電源層58には電源回路などの配線が設けられている。これらの第2層のグランド・プレーン層53およびその下の第3層の電源層58により、第1層のドライブ配線層50と、第4層および第5層のセンス配線層54およびセンス配線層55とが電気的に分離されている。これによって、センス配線層54およびセンス配線層55において互いに隣接したセンス配線SLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除することができる。このように、隣接したセンス配線SLからの信号値を差分してノイズを取り除くために、隣り合うセンス配線は同条件になるように等間隔で平行に配線されている。
複数のセンス配線SLの配列例については、上記実施形態1の制御基板5の第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55における複数のセンス配線SLの配列例(図4)の他、上記実施形態2の制御基板5Aの第4層目のセンス配線層54Aおよび第5層目のセンス配線層55Aにおける複数のセンス配線SLの配列例(図7)、および上記実施形態3の制御基板5Bの第4層目のセンス配線層54Bおよび第5層目のセンス配線層55Bにおける複数のセンス配線SLの配列例(図8)のいずれかを本実施形態4に適用することができる。
なお、第5層のセンス配線層55下にはそれらの配線以外の信号配線を跨ぐ配線など各種配線が設けられた図5に示すような基板57が配置されていてもよい。
以上により、本実施形態4によれば、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した単層のドライブ配線層50と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割して2層のセンス配線層54およびセンス配線層55に上下に分け、これらのドライブ配線層50とセンス配線層54およびセンス配線層55のセンス配線層との間にグランド・プレーン層53および電源層58の2層を介在させ、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとをより距離を開けて配置できると共に、隣接センス配線SLから差分を取ってより確実にノイズを除去することから、上記実施形態1,2のようにセンス配線層54およびセンス配線層55の上下2層における連続端ライン(後端ラインと前端ライン)のいずれかを上下層に共に共有していてもよい。
したがって、軽薄短小が求められるモバイル機器において、タッチパネル3に接続される、コントローラ部6が搭載される制御基板5の表面積が積層構造により平面視で縮小可能となり、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内により容易に収容できて、平面視面積的に余裕ができてセンス配線SL間の距離を縮小することなく間隔を空けることができてセンス配線間でノイズの影響をより軽減することができる。しかも、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にグランド・プレーン層53および電源層58の2層を介在させて、その間をより離間させてノイズの影響をより軽減できて、検出する静電容量値の精度をより向上させることができる。
また、複数のドライブ配線DLが配線された第1層のドライブ配線層50と、複数のセンス配線SLが配線された第4層および第5層であるセンス配線層54およびセンス配線層55との間にグラウンド・プレーン層53と共に電源層58を設けたため、各センス配線SLのインピーダンスがより安定化すると共に、各層毎にグランド・プレーン層53を設けることに比べて、グランド・プレーン層53をより少なくして薄く構成することができる。
(実施形態5)
上記実施形態4では、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した1層のドライブ配線層50と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割して配列した2層のセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層50とセンス配線層との間にグランド・プレーン層53および電源層58をも介在した場合について説明したが、本実施形態5では、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列した1層のドライブ配線層50と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割して配列した2層のセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層50とセンス配線層との間にグランド・プレーン層53を介在させ、かつセンス配線層54とセンス配線層55との間に電源層58を介在させた場合について説明する。
図10(a)は、本発明の実施形態5のタッチパネルシステム1Dにおける制御基板5Dの要部積層構造例を示す模式図であり、図10(b)は図10(a)の要部積層構造例の変形例を示す模式図である。なお、図10(a)および図10(b)では、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する構成部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図10(a)において、本実施形態5のタッチパネルシステム1D(図1)における制御基板5Dの要部積層構造は、第3層および第5層としてのセンス配線層54およびセンス配線層55と、それらの間の第4層としての電源層58と、そのセンス配線層54上の第2層としてのグランド・プレーン層53と、その上の第1層としてのドライブ配線層50とを有している。
要するに、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLのうちの少なくとも複数のセンス配線SLが複数層(ここでは2層のセンス配線層54およびセンス配線層55)に分けられ、2層の間に電源回路58が介在されている。
第1層のドライブ配線層50には位置検出制御用のコントローラ部6および、図1の接続部4に接続されるコネクタが搭載されている。第1層上に搭載されたコネクタとコントローラ部6との間に複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとが配列されるが、例えば、複数のドライブ配線DLは、第1層のドライブ配線層50に配列され、複数のセンス配線SLは、図示しない各コンタクトを介して、第3層および第5層のセンス配線層54およびセンス配線層55の2層に分けてライン間隔を等間隔で配列されている。第1層のドライブ配線層50における金属層(Cu層)および絶縁層上には図5に示す保護膜51aが形成されている。
第2層のグランド・プレーン層53は配線全面が均一に配置されている。その電源層58には電源回路が設けられている。この第2層のグランド・プレーン層53により、第1層目のドライブ配線層50と、第3層および第5層のセンス配線層54およびセンス配線層55とが上下に電気的に分離されている。しかも、第3層と第5層としてのセンス配線層54とセンス配線層55の間には第4層としての電源層58が介在されている。これらによって、センス配線層54およびセンス配線層55において互いに隣接したセンス配線SLの各信号値から差分を取ってノイズを精度良く排除することができる。このように、隣接したセンス配線SLからの信号値を差分してノイズを取り除くために、隣り合うセンス配線SLは同条件になるように等間隔で平行に配線されている。
複数のセンス配線SLの配列例については、上記実施形態1の制御基板5の第4層目のセンス配線層54および第5層目のセンス配線層55における複数のセンス配線SLの配列例(図4A〜C)の他、上記実施形態2の制御基板5Aの第4層目のセンス配線層54Aおよび第5層目のセンス配線層55Aにおける複数のセンス配線SLの配列例(図7)のいずれかを本実施形態5に適用することができる。また、上記実施形態3の制御基板5Bの第4層目のセンス配線層54Bおよび第5層目のセンス配線層55Bにおける複数のセンス配線SLの順次交互の異なる層への配列例(図8)についても本実施形態5でセンス配線層54とセンス配線層55の間に電源層58が介在しているが、差分として適用することは可能である。
なお、第5層のセンス配線層55下にはそれらの配線以外の信号配線を跨ぐ配線など各種配線が設けられた図5に示すような基板57が配置されていてもよい。
以上により、本実施形態5によれば、ドライブ配線群(例えば複数のドライブ配線DL)を配列したドライブ配線層50と、センス配線群(例えば複数のセンス配線SL)を2分割してセンス配線層54およびセンス配線層55とに上下に分け、これらのドライブ配線層50とセンス配線層54およびセンス配線層55のセンス配線層との間にグランド・プレーン層53を介在させ、かつ、センス配線層54とセンス配線層55との間にも電源層58を介在させて、同一層の隣接センス配線SLから差分を取ってより確実にノイズを除去することができて、センス配線層54およびセンス配線層55の上下2層における連続端ライン(後端ラインと前端ライン)のいずれかを上下層に共に共有化している。なお、ここで、図10(a)のように電源層58およびグランド・プレーン層53を配置しつつ、図10(b)のように,電源層58の代わりにグランド・プレーン層53を配置し、グランド・プレーン層53の代わりに電源層58を配置してもよい。
したがって、軽薄短小が求められるモバイル機器において、タッチパネル3に接続される、コントローラ部6が搭載される制御基板5Dの表面積が積層構造により平面視で縮小可能となり、タッチパネル3の周囲の狭い額縁領域内に制御基板5Dをより容易に収容できて、積層構造により平面視面積的に余裕ができてセンス配線SL間の距離を縮小することなくより離間することができてセンスライン間でノイズの影響をより軽減することができる。しかも、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLとの間にグランド・プレーン層53を介在させると共に、センス配線層54とセンス配線層55との間にも電源層58を介在させて、それらの間をより電気的に離間させてノイズの影響がより軽減でき、検出する静電容量値の精度をより向上させることができる。
また、複数のドライブ配線DLが配線された第1層のドライブ配線層50と、複数のセンス配線SLが配線された第3層および第5層であるセンス配線層54およびセンス配線層55との間にグランド・プレーン層53を設け、センス配線層54とセンス配線層55との間にも電源層58を設けたため、各センス配線SLのインピーダンスがより安定化すると共に、同じ性能を得るのにGND層53をより少なくして積層構造をより薄く構成することができる。
(実施形態6)
図11は、本発明の実施形態6として、本発明の実施形態1〜5のタッチパネルシステム1、1A〜1Dのいずれかを用いた電子機器の概略構成例を示すブロック図である。
図11において、本実施形態6の電子機器30は、上記実施形態1〜5のタッチパネルシステム1、1A〜1Dのいずれかを用いて指示体(指やタッチペンなど)による位置入力操作に対応して表示画面上に表示可能とするものである。
本実施形態6の電子機器30は、その具体例として、図1および図2の表示装置2と、表示装置2の表示を制御する表示装置制御部31(アプリケーション部に対応)と、表示装置2の表示画面上に配置されるタッチパネル3と、タッチパネル3に接続されるフレキシブルプリント基板(FPC)などの接続部4に接続される制御基板5または5Aまたは5Bまたは5Cまたは5Dと、この制御基板5または5Aまたは5Bまたは5Cまたは5D上に搭載され、タッチパネル3を駆動してタッチパネル3のタッチ座標を検出するコントローラ部6と、オン・オフスイッチやカメラスイッチなどユーザによる指示操作を受け付けるボタンスイッチ部32と、画像データを生成可能とする撮像部33と、音声データを音声に変換して出力するスピーカなどの音声出力部34と、集音して音声データに変換するマイクロホンなどの集音部35と、音声出力部34に送る音声データを処理すると共に、集音部35からの音声データを処理する音声処理部36と、外部電子機器との間で無線通信する無線通信部37と、無線通信データを電磁波として外部に送信すると共に、外部電子機器から放射された電磁波を受信するアンテナ38と、外部電子機器との間で有線通信する有線通信部39と、各種データを記憶する記憶部40と、機器全体の動作を制御する本体制御部41(図1のホスト端末8に対応)とを有している。なお、図1のホスト端末8ではその内部に表示装置制御部31としてのアプリケーション部を含んでいる。コントローラ部6は本体制御部41内に含んでいてもよいことは言うまでもないことである。
なお、上記実施形態1〜5では、特に詳細には説明しなかったが、制御基板は、複数のドライブ配線DLが配列された層と、複数のセンス配線SLが配列された層との間にグラウンド・プレーン層53および電源層58のうちの少なくともいずれかとを有している。これによって、ノイズの影響を軽減して、検出する静電容量値の精度を向上させることができる本発明の目的を達成することができる。
なお、上記実施形態1〜5では、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLのうちの少なくとも複数のセンス配線SLが単層から複数層(ここでは2層)に分けられて各層の平面視面積が、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLが共に配列された単層の平面視面積に比べて縮小(小さく)されて構成されている場合について説明したが、これに限らず、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLのうちの複数のドライブ配線DLが単層から複数層に分けられて各層の平面視面積が単層の平面視面積に比べて縮小(小さく)されて構成されていてもよい。したがって、複数のドライブ配線DLと複数のセンス配線SLのうちの少なくともいずれかが単層から複数層に分けられて各層の平面視面積が単層の平面視面積に比べて縮小(小さく)されて構成されていればよい。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜6を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜6に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜6の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。