JP5904801B2 - 制御性t細胞への分化誘導能の予測方法及びその方法に用いられるバイオマーカー、並びにそれらの利用 - Google Patents

制御性t細胞への分化誘導能の予測方法及びその方法に用いられるバイオマーカー、並びにそれらの利用 Download PDF

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Description

本発明は、生体から採取された体液中のナイーブT細胞の制御性T細胞(以下、「Treg細胞」と記す)への分化誘導能の予測方法に関する。本発明はまた、生体から採取された体液を移植片として用いた場合の移植片対宿主病(Graft versus Host Disease:GVHD)の発症リスクの判定方法に関する。本発明はさらに、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するためのバイオマーカーに関する。
現在、白血病及び悪性リンパ腫などの造血器腫瘍、重症再生不良性貧血及び先天性免疫不全症などの疾患に対する有効な治療法として、造血幹細胞移植が広く利用されている。造血幹細胞は、患者の体内で血液細胞に分化することによって正常な血液細胞の数を増加させ、前記疾患に対する免疫を患者に付与することができる。
しかしながら、造血幹細胞移植の課題の一つとして、GVHDが挙げられる。GVHDは、移植片に含まれる提供者(ドナー)由来の免疫細胞(主にT細胞)が、免疫反応によって患者の体を異物とみなし、攻撃することによって発症する症状の総称であり、重篤な場合では死に至ることもある。
現在までに、造血幹細胞を移植された患者とGVHDとの関連について、多くの報告がなされている。例えば、非特許文献1は、骨髄移植患者において、GVHDが重症化するにつれて末梢血中のTreg細胞が直線的に減少することを開示している。同文献には、Treg細胞がGVHDの診断及び予測のためのバイオマーカーとなり得ることが記載されている。
また、非特許文献2には、ヒト末梢血由来のナイーブT細胞から分化誘導されたTreg細胞が、GVHDのモデルマウスの致死率を低下させることが開示されている。
近年、造血幹細胞を移植する方法として、臍帯血移植が注目されている。臍帯血(CB)は、採取時のドナーの負担が少なく、造血幹細胞を多量に含んでいるので、造血幹細胞の供給源として利用しやすい。また、臍帯血は、T細胞の絶対数が少なく、GVHDが発症するリスクがより低いと考えられている。
さらに、臍帯血に含まれているナイーブT細胞の性質が成人末梢血中のナイーブT細胞の性質と異なることが、臍帯血移植におけるGVHDの発症リスクが低いことに寄与していると考えられている。例えば、非特許文献3は、臍帯血中のナイーブT細胞が、成人末梢血中のナイーブT細胞に比べて、Treg細胞に非常に分化誘導されやすいことを開示している。
J.M. Magenauら, Biol Blood Marrow Transplant. 2010 Jul;16 (7) :907-914 K.L. Hippenら, Am J Transplant. 2011 Jun;11 (6) :1148-1157 J.H. Leeら, J Immunol. 2011 Aug 15;187 (4) :1778-1787
上述したように、臍帯血移植は、GVHDを発症しにくい造血幹細胞移植の手法として有望であるが、GVHDを引き起こす場合もあることが知られている。臍帯血などの体液に含まれているナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測することができれば、臍帯血などの移植片に起因するGVHDの発症リスクをあらかじめ判定することができるのではないかと考えられる。そのため、体液に含まれているナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する方法の提供が望まれている。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、臍帯血及び末梢血のような体液に含まれるナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する方法を提供することを目的とする。本発明はまた、臍帯血及び末梢血のような体液を移植片として用いた場合のGVHDの発症リスクを判定する方法を提供することを目的とする。本発明はさらに、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するためのバイオマーカーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ZAK(sterile alpha motif and leucine zipper containing kinase AZK)遺伝子の発現量が高いナイーブT細胞を、Treg細胞への分化誘導に適した条件下で培養すると、培養後の細胞がFOXP3遺伝子を高発現することを見出した。ここで、FOXP3は、Treg細胞への分化に関与する転写因子であり、FOXP3は、Treg細胞に特異的なマーカーであることが知られている。すなわち、ZAK発現量が高いナイーブT細胞が、Treg細胞への高い分化能力を有する傾向にあることを見出して、本発明を完成させた。
かくして、本発明によれば、生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞におけるZAKの量を測定する工程と、
測定結果に基づいて、該ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する工程と
を含む、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能の予測方法を提供することができる。
また、本発明によれば、生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞におけるZAKの量を測定する工程と、
測定結果に基づいて、該体液を移植片として用いた場合の移植片対宿主病の発症リスクを判定する工程と
を含む、移植片対宿主病の発症リスクの判定方法を提供することができる。
また、本発明によれば、ZAK遺伝子の塩基配列を有するポリヌクレオチド又はZAKタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能予測用バイオマーカーを提供することもできる。
本発明によれば、生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を簡便に予測できる。また、本発明によれば、予測された分化誘導能に基づいて、採取した体液を移植片として用いた場合のGVHDの発症リスクを予測することができる。
採取後0日目のCBナイーブT細胞におけるZAK遺伝子の発現量と、ナイーブT細胞をTreg細胞分化誘導条件で培養させることにより得られた細胞の培養開始後6日目におけるFOXP3遺伝子の発現量とに基づいて、CBを2群に分けられることを示すグラフである。 採取後0日目のCBナイーブT細胞におけるZAK遺伝子の発現量と、ナイーブT細胞をTreg細胞分化誘導条件で培養させることにより得られた細胞の培養開始後6日目におけるFOXP3遺伝子の発現量との相関を示すグラフである。
本発明のナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能の予測方法(以下、単に「予測方法」という)は、生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞におけるZAKの量を測定する工程(測定工程)と、測定結果に基づいて、該ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する工程(予測工程)とを含むことを特徴とする。
本発明において、Treg細胞は、ナイーブT細胞から分化誘導され、免疫寛容の機構に関与する細胞であれば特に限定されない。Treg細胞としては、例えば、FOXP3陽性細胞が挙げられる。
本発明の実施形態において、体液は、生体から採取され、ナイーブT細胞を含む体液であれば特に限定されないが、例えば、末梢血、骨髄液、臍帯血などが挙げられる。それらの中でも、臍帯血が好ましい。なお、体液を採取される生体は哺乳動物であれば特に限定されないが、好ましくはヒトである。
ZAKの量は、当該技術において公知の方法により、体液から単離されたナイーブT細胞試料を用いて測定することができる。体液からのナイーブT細胞の単離は、例えば以下のようにして行う。
生体から採取された体液を遠心分離することにより細胞フラクションを得る。次いで、抗CD4抗体を結合させた磁気ビーズを用いて、上記のフラクションからCD4陽性細胞を粗精製する。
このようにして得たCD4陽性細胞を、蛍光標識抗体を用いて染色した後、セルソーターを用いて、CD4+CD25-CD45RA+CD45RO-の細胞をナイーブT細胞(以下、単に「ナイーブT細胞」ともいう)として分離する。
上記の測定工程において、測定の対象となるZAKは、MAPKKKファミリーに属する分子であることが知られている。また、ZAK遺伝子によりコードされるZAKタンパク質は、リン酸化されることによって活性化され、活性化されたZAKタンパク質はMMK7タンパク質をリン酸化することが知られている。
ZAK遺伝子の塩基配列自体は、既に公知である。これらは、例えばUniGene(米国国立医学図書館の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)により提供されるデータベース)などから知ることができる。ZAK遺伝子の塩基配列及びZAKタンパク質のアミノ酸配列のEntrez gene ID、UniGene ID、Transcript ID、Protein ID及びAffymetrix Probe Set IDを表1に示す。
本明細書において、「ZAKの量」とは、「ZAKの発現量」及び「ZAKの活性」の両方を意味する。ここで、「ZAKの発現量」は、ZAK遺伝子の発現量及びZAKタンパク質の発現量の両方を意味する。また、「ZAKの活性」は、「ZAKの活性値」で示すことができる。「ZAKの活性値」は、ZAKタンパク質が有する機能により示される作用の程度を示す値を意味する。そのような活性値としては、例えばキナーゼ活性値などが挙げられる。
本明細書において、「ZAKの量を示す値」は、測定値自体又はその値に基づいて算出された値であってもよく、例えば、質量(重量)、濃度、比、強度、レベルなどのいずれの形式又は単位でも表すことができる。
本明細書において、ZAK遺伝子の発現量とは、ZAK遺伝子のmRNA量又はその量を反映する物質の量、例えばmRNAから合成されるcDNA若しくはcRNAの量を意味する。
ZAK遺伝子の発現量は、例えば以下のようにして測定できる。
まず、ナイーブT細胞を含む試料から、フェノール抽出及びエタノール沈殿などの当該技術において公知の方法により核酸(RNA)を抽出する。次いで、得られた核酸中のZAK遺伝子の発現量を測定する。なお、核酸の抽出は、市販のRNA抽出キットを用いて行ってもよい。
ZAK遺伝子の発現量は、定量RT-PCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法のような核酸増幅法、ノザンハイブリダイゼーションのようなハイブリダイゼーション法、マイクロアレイなどの当該技術において公知の方法により測定できる。なお、これらの方法で用いられるプライマー及び核酸プローブは、当該技術において公知の方法により作製できる。また、その塩基配列は、ZAK遺伝子の塩基配列に基づいて適宜決定できる。
本明細書において、ZAKタンパク質の発現量とは、ZAK遺伝子によりコードされるタンパク質の量を意味する。
ZAKタンパク質の発現量は、例えば以下のようにして測定できる。
まず、細胞からタンパク質を抽出する。細胞からのタンパク質の抽出は、超音波による細胞の破砕、細胞可溶化液を用いる可溶化などの公知の方法により行うことができる。そして、ZAKタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて、ZAKタンパク質を測定することができる。具体的には、ZAKタンパク質は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ウェスタンブロット法、ローリー法などの当該技術において公知の方法により測定できる。
上記の抗体は、例えば、次のような当該技術において公知の手順により作製できる。ZAK遺伝子の塩基配列又はZAKタンパク質のアミノ酸配列に基づいて、ZAKタンパク質のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA分子を適切な発現ベクターに組み込む。得られた発現ベクターを適切な宿主細胞に導入し、得られた形質転換細胞を培養して、ZAKタンパク質を得る。得られたタンパク質を精製して免疫原とし、該免疫原と所望によりアジュバントとを用いて、適切な哺乳動物、例えばラット、マウスなどを免疫する。免疫された動物の脾臓細胞などから、目的の免疫原に対する抗体を産生する抗体産生細胞をスクリーニングにより選択する。得られた抗体産生細胞を、ミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを得て、これをスクリーニングすることにより、ZAK遺伝子によりコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生する抗体産生ハイブリドーマを得ることができる。得られた抗体産生ハイブリドーマを培養することにより、ZAKタンパク質に特異的に結合する抗体を得ることができる。
本明細書において、「キナーゼ活性値」とは、あるキナーゼが、その標的物質をリン酸化する能力又は活性を表す量、或いはそれらを反映する値を意味する。
キナーゼ活性値の測定は、任意の公知の測定方法を用いて、ZAKタンパク質によってリン酸化される基質のリン酸化状態を測定することにより行うことができる。上記の測定において用いられる基質としては、例えば、ZAKタンパク質キナーゼに対して特異性の低いユニバーサル基質又はZAK遺伝子が属するMAPキナーゼカスケードに関与する遺伝子によりコードされるタンパク質、例えば、MMK7タンパク質などが挙げられる。上記の測定において用いられる測定方法の例としては、32Pオートラジオグラフィー、ELISA又は質量分析(MS)によるリン酸化解析法などが挙げられる。
キナーゼ活性値は、市販のキナーゼ活性値の測定キットを用いて測定することもできる。このような測定キットとしては、ADP-Glo(商標)Kinase and Max Assay(Promega社)などが挙げられる。
本発明の予測方法では、測定工程において得られた測定結果に基づいて、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する。
ここで、上記の分化誘導能は、ナイーブT細胞がTreg細胞へ分化する能力又は活性の程度を意味する。
上述のとおり、本発明者らは、ナイーブT細胞におけるZAKの量が、そのナイーブT細胞を、Treg細胞への分化誘導に適切な条件下で培養した後の細胞におけるFOXP3の発現量と相関することを見出している。
したがって、本発明において、ZAKの量に基づいて予測されたナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能は、分化誘導に適した条件下での培養後の細胞におけるFOXP3遺伝子の発現量又は該遺伝子によりコードされるタンパク質の発現量を反映する指標といえる。
本発明の好ましい実施形態においては、予測工程において、上記のようにして測定したZAKの量を示す値を閾値と比較することにより、移植片に含まれるナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測する。
より具体的には、予測工程において、ZAKの量を示す値が閾値以上である場合に、分化誘導能は高いと予測する。反対に、ZAKの量を示す値が閾値よりも低い場合に、分化誘導能は低いと予測する。
上記の閾値は特に限定されず、データの蓄積により経験的に設定することができる。例えば、閾値は次のようにして設定してもよい。まず、複数の体液サンプルのそれぞれに含まれるナイーブT細胞の一部を取り、それらについてZAKの量を測定する。次いで、残りのナイーブT細胞を、Treg細胞への分化誘導に適切な公知の条件の下で培養し、得られた細胞についてFOXP3発現量を測定する。そして、測定した検体をFOXP3発現量が高い群と低い群とに明確に区別できるZAKの量を示す値を、閾値として設定する。
上述のとおり、Treg細胞は、造血幹細胞の移植におけるGVHDの発症を抑えることが知られている。そして、本発明においては、ZAKの量は、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能との相関を示す。したがって、上記のようにして得られるZAKの量に基づいて、生体から採取された体液を移植片として用いた場合のGVHDの発症リスクを判定することができる。
本発明の移植片対宿主病の発症リスクの判定方法(以下、単に「判定方法」という)は、生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞におけるZAKの量を測定する工程と、測定結果に基づいて、該体液を移植片として用いた場合の移植片対宿主病の発症リスクを判定する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の判定方法における、ZAKの量を測定する工程は、上記のナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能の予測方法について述べた工程と同様にして行うことができる。
本発明の判定方法の実施形態においては、判定工程において、ZAKの量を示す値を閾値と比較して得られた結果に基づいて、該体液を移植片として用いた場合の移植片対宿主病の発症リスクを判定する。
より具体的には、判定工程において、ZAKの量を示す値が閾値以上である場合に、発症リスクは低いと判定する。反対に、ZAKの量を示す値が閾値よりも低い場合に、発症リスクは高いと判定する。
上記の判定工程において、ZAKの量は、上記に定義される値と同じものを用いることができる。また、上述したように、本発明においては、ZAKの量は、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能との相関を示す。したがって、本発明の予測方法に用いられる、上記の閾値は、移植片としての体液をGVHDの発症リスクの高い群と低い群とに明確に区別する閾値として用いられ得る。よって、本発明の予測方法においてTreg細胞への分化誘導能が高いと予測されるナイーブT細胞を含む体液は、移植片として用いられた場合にGVHDの発症リスクが低いと判定することができる。反対に、本発明の予測方法においてTreg細胞への分化誘導能が低いと予測されるナイーブT細胞を含む体液は、移植片として用いられた場合にGVHDの発症リスクが高いと判定することができる。
また、本発明の範囲には、ZAK遺伝子の塩基配列を有するポリヌクレオチド又はZAKタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能予測用バイオマーカー(以下、単に「バイオマーカー」ともいう)も含まれる。
本発明のバイオマーカーがZAK遺伝子の塩基配列を有するポリヌクレオチドからなる場合、ポリヌクレオチドマーカーの量の測定は、任意の公知の測定方法を用いて行うことができる。例えば、ポリヌクレオチドマーカーの量は、定量RT-PCR、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法のような核酸増幅法、ノザンハイブリダイゼーション、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)のようなハイブリダイゼーション法、マイクロアレイなどの当該技術において公知の方法により測定できる。
また、本発明のバイオマーカーがZAKタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる場合、ポリペプチドマーカーの量の測定は、任意の公知の測定方法を用いて行うことができる。例えば、ZAKタンパク質は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ウェスタンブロット法、ローリー法などの当該技術において公知の方法により測定できる。
本発明のバイオマーカーがZAKタンパク質のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる場合、ZAKタンパク質のキナーゼ活性値を測定することもできる。ZAKタンパク質のキナーゼ活性値の測定は、任意の公知の測定方法を用いて、ZAKタンパク質によりリン酸化される基質のリン酸化状態を測定することにより行うことができる。上記の測定において用いられる基質としては、例えば、ZAKタンパク質キナーゼに対して特異性の低いユニバーサル基質又はZAK遺伝子が属するMAPキナーゼカスケードに関与する遺伝子によりコードされるタンパク質、例えば、MMK7タンパク質などが挙げられる。上記の測定において用いられる測定方法の例としては、32Pオートラジオグラフィー、ELISA又は質量分析(MS)によるリン酸化解析法などが挙げられる。
キナーゼ活性値は、市販のキナーゼ活性値の測定キットを用いて測定することもできる。このような測定キットとしては、ADP-Glo(商標)Kinase and Max Assay(Promega社)などが挙げられる。
本発明の範囲には、ZAK遺伝子の発現量を解析するためのプライマーセット又は核酸プローブ、ZAKタンパク質と特異的に結合する抗体、或いはZAKタンパク質によりリン酸化される基質を含む、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能予測用試薬も含まれる。本発明の試薬は、上記のプライマーセット、核酸プローブ、抗体又は基質を標識する少なくとも1つの標識分子、例えば、32P、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)などをさらに含んでいてもよい。また、本発明の試薬は、必要に応じて、緩衝液、発色基質、二次抗体、ブロッキング剤等の試薬を含んでいてもよい。
本発明の試薬がZAK遺伝子の発現量を解析するためのプライマーセットを含む場合、本発明の試薬は、ZAK遺伝子の発現量を測定し、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するために用いることができる。この場合、ZAK遺伝子の発現量の測定方法として、任意の公知の測定方法を用いることができるが、例としては、定量RT-PCR、LAMP法などが挙げられる。
本発明の試薬がZAK遺伝子の発現量を解析するための核酸プローブを含む場合、本発明の試薬は、ZAK遺伝子の発現量を測定し、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するために用いることができる。この場合、ZAK遺伝子の発現量の測定方法として、任意の公知の測定方法を用いることができるが、例としては、FISH、ノザンハイブリダイゼーション、マイクロアレイなどが挙げられる。
本発明の試薬がZAKタンパク質と特異的に結合する抗体を含む場合、本発明の試薬は、ZAKタンパク質の発現量を測定し、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するために用いることができる。この場合、ZAKタンパク質の発現量の測定方法として、任意の公知の測定方法を用いることができるが、例としては、ELISA、ウェスタンブロット法、ローリー法などが挙げられる。
本発明の試薬がZAKタンパク質によりリン酸化される基質を含む場合、本発明の試薬は、ZAKのキナーゼ活性値を測定し、ナイーブT細胞のTreg細胞への分化誘導能を予測するために用いることができる。この場合、ZAKタンパク質のキナーゼ活性値の測定は、任意の公知の測定方法を用いて、ZAKタンパク質によりリン酸化される基質のリン酸化状態を測定することにより行うことができる。上記の測定において用いられる基質としては、例えば、ZAKタンパク質キナーゼに対して特異性の低いユニバーサル基質又はZAK遺伝子が属するMAPキナーゼカスケードに関与する遺伝子によりコードされるタンパク質、例えば、MMK7タンパク質などが挙げられる。上記の測定において用いられる測定方法の例としては、32Pオートラジオグラフィー、ELISA又は質量分析(MS)によるリン酸化解析法などが挙げられる。
(実施例1)
1.ナイーブT細胞の分離
抗CD4抗体を結合させた磁気ビーズ(Miltenyi Biotec社)を用いて、ヒト臍帯血(n=13;理化学研究所 バイオリソースセンター)から、CD4陽性細胞を粗精製した。
このようにして得たCD4陽性細胞を、表2に示す蛍光標識抗体を用いて染色した後、セルソーター(FACS Aria:Becton Dickinson社)を用いて、CD25陰性CD45RA陽性CD45RO陰性細胞をスクリーニングすることにより、CD4+CD25-CD45RA+CD45RO-の細胞をナイーブT細胞として分離した。
2.ナイーブT細胞のTreg細胞への分化培養
前記CBナイーブT細胞(n=13)を、10 ng/mlのIL-2及び10 ng/mlのTGF-βの存在下にYssel培地上で6日間培養し、Treg細胞に分化誘導させた。
3.ZAK遺伝子の発現量及びFOXP3遺伝子の発現量の測定
上記のようにして分離したCBナイーブT細胞からmRNAを抽出し、hZAK-684Fプライマー(5’-ACACACATGTCCTTGGTTGGAA-3’;配列番号5)及びhZAK-753Rプライマー(5’-TGACACAGGGAGACTCTGGATAAC-3’;配列番号6)を用いる定量RT-PCRにより採取後0日目におけるZAK遺伝子の発現量を測定した。また、上記のようにして分化培養したTreg細胞からmRNAを抽出し、hFOXP3_963Fプライマー(5'-CACCTGGCTGGGAAAATGG-3';配列番号7)及びhFOXP3_1025Rプライマー(5'-GGAGCCCTTGTCGGATGAT-3';配列番号8)を用いる定量RT-PCRによりFOXP3遺伝子の発現量を測定した。
4.ZAK遺伝子の発現量とFOXP3遺伝子の発現量との相関
CBナイーブT細胞におけるZAK遺伝子の発現量の測定結果と、CBナイーブT細胞をTreg細胞分化誘導条件で培養した後の細胞におけるFOXP3遺伝子の発現量の測定結果とを比較して、ZAK遺伝子の発現量とFOXP3遺伝子の発現量との相関を調べた。
結果を図1に示す。図1Aは、6日間のTreg細胞分化誘導条件での培養後の細胞におけるFOXP3遺伝子の発現量(n=13)を示す。図1Aに示されるように、ヒト臍帯血(CB)は、FOXP3遺伝子低発現群及び高発現群の2つの群に分けられた。図1Bは、各群についての、ヒト臍帯血CBから採取後0日目のCBナイーブT細胞におけるZAK遺伝子の発現量を示す。図1Bに示されるように、FOXP3低発現群のZAK遺伝子の発現量は低く、FOXP3高発現群のZAK遺伝子の発現量は高かった。図1Bに示されるように、ZAK遺伝子の発現量に閾値を設定することで、FOXP3低発現群と高発現群とを区別することができる。なお、図1Bにおいて設定される閾値は、設定可能な閾値の一例であり、これに限定されるものではない。
次いで、これらのZAK遺伝子の発現量について、6日間のTreg細胞分化誘導条件での培養後の細胞におけるFOXP3遺伝子の発現量との相関を調べた。その結果を図2に示す。図2より、採取後0日目におけるCBナイーブT細胞のZAK遺伝子の発現量と、6日間のTreg細胞分化誘導条件での培養後の細胞におけるFOXP3遺伝子の発現量とが有意に相関することが示された。

Claims (7)

  1. 生体から採取された体液に含まれるナイーブT細胞におけるZAK(sterile alpha motif
    and leucine zipper containing kinase AZK)発現量を測定する工程と、
    測定されたZAKの発現量を示す値が閾値以上である場合に、該ナイーブT細胞の制御性T細胞への分化能は高いと予測する工程と
    を含む、ナイーブT細胞の制御性T細胞への分化能の予測方法。
  2. 前記予測工程において、ZAKの発現量を示す値が閾値よりも低い場合に、前記分化能は低いと予測る請求項に記載の予測方法。
  3. 前記体液が、臍帯血、骨髄液又は末梢血である請求項1又は2に記載の予測方法。
  4. 前記ZAKの発現量が、ZAK遺伝子の発現量又はZAKタンパク質の発現量である請求項1〜3のいずれか1項に記載の予測方法。
  5. 前記制御性T細胞が、FOXP3陽性細胞である請求項1〜のいずれか1項に記載の予測方法。
  6. 前記体液が、移植片である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の予測方法。
  7. 前記体液からナイーブT細胞を分離する工程を含み、
    前記測定工程において、前記分離工程において分離されたナイーブT細胞のZAKの発現量を測定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の予測方法。
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