JP5904165B2 - 鋼板被膜中の塩素分析方法 - Google Patents

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本発明は、鋼板上に形成された被膜中の塩素を分析する方法に関するものである。
電磁鋼板表面には電気絶縁性を確保するために、通常、絶縁被膜(以下、単に、被膜と称することもある)が施される。この絶縁被膜には主として半有機系被膜(樹脂を含有するもの)と無機系被膜が用いられ、絶縁性以外にも密着性や耐食性、窒化防止性等様々な性質が要求される。被膜中に存在する塩素はこれらの性質のうち、特に鋼板の耐食性に大きな影響を与えるため、簡便に、精確な塩素分析値を求めることが要求されている。
被膜中の塩素の定量には、物理分析手法としては、EPMAやSEM-EDX、GDS、蛍光X線分析法などが用いられる。より定量的に被膜全体の平均情報が必要な場合には、被膜を溶解して溶液中の塩素をイオンクロマトグラフィーや吸光光度法等の湿式分析法で定量したり、被膜を物理的に剥ぎ取って熱分解−イオンクロマトグラフィーで定量する方法などが用いられ、品質管理や出荷管理に用いられている。(非特許文献1、非特許文献2)
また、特許文献1には、モルタルまたはコンクリート混練物中の塩化物イオン濃度の測定方法として、2クロム酸銀またはクロム酸銀を塩素イオンに接触させて塩化銀を析出させる方法が開示されている。
特開昭63-158458号公報
杉谷初雄、日立化成テクニカルレポートNo.19、 p7 (1992) 発行元 日立化成工業(株) 山本陽一郎、不二山東雄:塗装の研究、 No.130、p48 (1998) 発行元 関西ペイント(株)
上述の被膜中塩素定量法のうち、EPMAやSEM-EDX、GDS、蛍光X線分析法などの物理分析手法では、類似組成の標準物質を検量線として用いる相対分析法であることから、検量線作成のための標準物質の準備に多大な労苦を要する。つまり、検量線作成に用いた標準物質の塩素濃度の近傍の範囲の濃度でしか良い精度で定量できないため、分析しようとする塩素濃度に合わせ、多数の標準物質を用意しなければならない。また、標準物質において塩素のマトリックスとなる樹脂等に関しては、分析しようとする被膜の樹脂と同等でなければよい精度の定量ができないため、分析しようとする被膜の樹脂種が異なる都度、それに合わせた標準物質のセットが必要になる。さらに、分析面積が数μmφ〜数mmφと狭いことから被膜の平均組成を得るのが難しい。また、定量感度としてwt%からせいぜい0.1wt%オーダーの定量分析値しか得られず、微量分析が難しいという問題もある。
被膜溶解後にイオンクロマトグラフィーや吸光光度法等の湿式分析法で定量する方法や、被膜を物理的に剥ぎ取って熱分解−イオンクロマトグラフィーで定量する方法などでは、溶解、試料調製時に塩素が揮散したり、微量の塩素を定量するためには大面積の試料を溶解、剥離しなければならず、作業性の低下や作業の長時間化・煩雑化により分析精度が低下するという問題がある。
特許文献1に記載の方法では、二クロム酸銀またはクロム酸銀の溶解度は極めて小さいため(1.1×10-12g/100g)、ニクロム酸銀またはクロム酸銀を完全に溶解させて塩化銀のみを析出させるのは困難である。そのため、銀塩単離時に、ニクロム酸銀も塩化銀と共にフィルター捕集され、その後の銀定量に正誤差を与える。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、煩雑な操作を不要とし、鋼板上に形成された被膜中の塩素を簡便に、精度よく分析する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
鋼板上に形成された被膜を溶解し、塩化銀として析出させ、これを単離する。次いで、単離、捕集された塩化銀を再溶解して溶液中の銀を定量し、塩素量に換算することで、簡便に精度よく塩素の定量が可能となることを見出した。
本発明は上記知見に基づくものであり、特徴は以下の通りである。
[1]鋼板上の被膜を、銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンを含まないアルカリの溶液で溶解するステップ1と、前記ステップ1により被膜が溶解した溶液に銀を添加して、溶解液から塩素を塩化銀として析出させるステップ2と、前記ステップ2により析出した塩化銀を、溶液から単離するステップ3と、前記ステップ3により単離した塩化銀を、再溶解するステップ4と、前記ステップ4により再溶解した溶液中の銀を定量して塩素量を算出するステップ5からなることを特徴とする鋼板被膜中の塩素分析方法。
[2]前記ステップ3において、アルカリ不溶性の直孔を有するフィルターを用いることを特徴とする前記[1]に記載の鋼板被膜中の塩素分析方法。
ただし、直孔とは、一定の開口形状でフィルターを貫通しているフィルター孔を示す。
本発明によれば、鋼板上に形成された絶縁被膜中に含有される塩素を簡便に精度よく定量することが可能である。煩雑な操作を不要とし、少ないステップで塩素を分析することが可能となる。そして、絶縁被膜中の塩素含有量が少ない場合、あるいは絶縁被膜を有する鋼板試料自体が少ない場合にも、精確な塩素分析値を得ることができる。この分析結果を元に鋼板上絶縁被膜製造プロセスの最適化や高度な品質管理・プロセス管理が可能になる。
塩素添加量と銀分析値との関係を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明で対象とする鋼板について説明する。
本発明において、被膜を形成する鋼板については、鋼種等に特段の制約は無い。電磁鋼板が好適に用いられるが、その他、被膜中に存在する塩素の値を簡便に、精確に分析することを求められる耐食性化成被膜にも使用することもできる。
本発明は、鋼板上の被膜中に含まれる塩素が、被膜と共に、アルカリ性溶液に揮散することなく溶解すること、溶解した塩素は銀イオンと反応して不溶性の塩化銀を形成すること、不溶性の塩化銀をろ過捕集すればアルカリ性溶液に溶解した共存成分(被膜構成成分)から単離できること、単離、捕集した塩化銀はアルカリ性溶液に再溶解可能であること、再溶解した溶液中の銀は、プラズマ発光法、原子吸光法、質量分析法などで高感度に検出可能な元素であること、そして、銀は分析操作の途中で環境から混入する恐れの少ない元素であることから、塩素の代わりに銀をこれらの高感度分析法で定量して、塩化銀として存在していた塩素量に換算することにより塩素の高感度、高精度定量が可能になることに着目し、上記ステップで分析を行うことで、銀を高感度分析法で定量して塩化銀として存在していた塩素量に換算することを可能としたものである。
さらに、塩化銀を溶液から単離する際にアルカリ不溶性の直孔を有するフィルターを用いることにより次に行われる再溶解にて完全溶解が可能となる。すなわち、本発明は、鋼板上の被膜を、銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンを含まないアルカリの溶液で溶解する溶解するステップ1と、前記ステップ1により被膜が溶解した溶液に銀イオンの形態で銀を添加して、溶解液から塩素を塩化銀として析出させるステップ2と、前記ステップ2により析出した塩化銀を、溶液から単離するステップ3と、前記ステップ3により単離した塩化銀を、再溶解するステップ4と、前記ステップ4により再溶解した溶液中の銀を定量して塩素量を算出するステップ5からなることを特徴とする。
ステップ1
被膜を、銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンを含まないアルカリの溶液で溶解する。銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンとは、銀イオンに対して溶解度積が10-2以下のものであり、臭化物イオン、臭素酸イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオン、塩化物イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、ヨウ化物イオン、ヨウ素酸イオン、モリブデン酸イオン、リン酸イオン、硫化物イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオン、バナジン酸イオンなどである。アルカリの溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、あるいは水酸化カリウム水溶液などが有機系被膜、半有機系被膜、無機系被膜のいずれの被膜の溶解にも対応可能な点から好適である。濃度は、5wt%以上が好ましく、より好ましくは10wt%以上である。この範囲の濃度であれば、溶解がより迅速に進行する。時間は被膜の種類や被膜厚、用いる溶解液の濃度によって最適範囲が異なるが、通常は数秒から数10分間の浸漬で完全溶解する。溶液の温度は短時間で溶解を完了させるためには高い方がよく、通常50℃以上に加温することが好ましい。
ステップ2
被膜が溶解した溶液に銀イオンの形態で銀を添加して、溶解液から塩素を塩化銀として析出させる。塩化銀生成のために添加する銀として、硝酸銀溶液を用いることが溶液化の容易さの観点から好ましい。そして、溶解液中の塩素と等モル以上、好ましくはモル量として2倍以上、銀を添加することが好ましい。塩化銀として析出、例えば、塩化銀の沈殿物を生成、熟成するためには、そのまま静置しておいてもよいが、塩化銀の沈殿物の生成、熟成を加速するためには溶解液を加温する等の措置も有効である。
ステップ3
析出した塩化銀を、溶液から単離する。生成した塩化銀を溶液から分離する手段として、フィルターを用いてろ過を行うことがあげられる。その際、アルカリ不溶性の直孔を有するフィルターを用いることが好ましい。直孔を有するフィルターを用いることにより、次いで行われる塩化銀の再溶解操作で溶け残りを生じることなく、より完全な溶解が可能になる。フィルター孔径は1μm以下が好ましく、より好ましくは0.45μmである。塩素量が少なくなるほど、生成する塩化銀量が少なくなるのでより孔径の小さなものを用いたほうが塩化銀の全量捕集が可能になり、分析精度が向上する。被膜が溶解した溶液中の塩素量が十分に多い場合には、沈殿する塩化銀の量も多くなるため、溶液からろ過で分離した塩化銀を乾燥、恒量化して、その重量を秤量することによっても精度よく塩素量を求めることができる。
ステップ4
単離した塩化銀を、再溶解する。例えば、塩化銀の沈殿物を捕集したフィルターにアンモニア水溶液を添加して塩化銀を再溶解する。塩化銀の再溶解には、高濃度の塩酸、シアン化物やチオ硫酸塩の水溶液、アンモニア水溶液等が用いられる。中でもアンモニア水溶液は試薬として比較的高純度のものが入手しやすく、取り扱いも容易であるので好適に用いられる。
ステップ5
再溶解した溶液中の銀を定量して塩素量を算出する。再溶解した溶液中の銀の定量には、操作が簡便で高感度な原子吸光法やICP発光分析法が適用できる。さらに微量域の分析にはICP質量分析法やフレームレス原子吸光法の適用も好適である。ジチゾン、ローダニンなどを発色試薬とした吸光光度法も適用できる。溶液中の銀の定量には原子吸光法やICP質量分析法などの高感度分析法が適用できるので、塩素を直接定量する場合よりもきわめて簡便、高感度に定量できる。
定量された溶液中の銀は、塩化銀の溶解に起因するものなので、銀と当モルの塩素が上述の塩化銀溶解液中に存在することになる。よって、上述の方法で定量した銀量を塩素量に換算できる。
溶液中銀の定量にICP質量分析法を用いた場合に定量可能な被膜中の塩素の量は、1ng以下であり、従来の被膜溶解後にイオンクロマトグラフィーや吸光光度法等の湿式分析法で定量する方法や、被膜を物理的に剥ぎ取って熱分解−イオンクロマトグラフィーで定量する方法に比べて、極めて高感度に被膜中に存在する微量の塩素が定量できることになる。
塩素が0.2ngから10mgまでの範囲で含まれている種々の塩素濃度のアルカリ溶解液(20wt%水酸化ナトリウム溶液)を調整し、本発明の方法によって定量される銀の定量値と元のアルカリ溶解液中に含まれていた塩素の量との相関を調査した結果を図1に示す。具体的には、塩素標準液(塩化ナトリム水溶液)を用いて塩素が0.2ngから10mgの範囲で含まれている異なった塩素濃度の20wt%水酸化ナトリウム水溶液(20ml)を10種類調整し、それぞれに、硝酸20mlと硝酸銀溶液(10mgAg/ml)2mlを添加後、静置して塩化銀の沈殿を生成させた。次いで、孔径0.2μmのポリカーボネート製フィルターを用いて沈殿を捕集し、14wt%アンモニア水溶液20mlに溶解後、純水で100mlに希釈した。この溶液中の銀をICP質量分析法を用いて定量した。検出にICP質量分析法を用いることにより、5桁以上の広い濃度範囲で直線性のよい相関関係が得られることが分かった。さらに、高濃度域の定量には、原子吸光法や吸光光度法等を用いればさらにダイナミックレンジの拡大が可能である。
鋼板の両面上に高純度アルミナ含有シリカとエポキシ樹脂を塗布して、鋼板温度200℃で焼付けを行い、両面それぞれの付着量1.0g/m2の被膜付鋼板を得た。次いで、この被膜付鋼板を50×50mmに切断し、90±5℃の範囲に加熱した20wt%水酸化ナトリウム水溶液15mlに浸漬して15秒間沸騰させ、両面の被膜を溶解した。次いで、溶解液に硝酸20mlを添加して酸性にした後、硝酸銀溶液(10mgAg/ml)2mlを添加・混合し、暗所に静置して塩化銀の沈殿物を生成、熟成させた。次いで、塩化銀の沈殿物を、直孔を有する孔径0.2μmのポリカーボネート製フィルターを用いて捕集した。
上記により得られた沈殿物を、以下の3通りの方法で処理、定量して被膜中の塩素量を求めた。
(1)沈殿物を乾燥、恒量化後、沈殿物の質量を測定して塩化銀量を求め、含有塩素量に換算した。
(2)沈殿物を捕集したフィルターに希アンモニア水溶液を添加して再溶解した。次いで、液中の塩素量を陰イオンクロマトグラフィーで定量した。
(3)沈殿物を捕集したフィルターに希アンモニア水溶液を添加して再溶解した。次いで、溶解液を一定量に希釈して、液中の銀量をICP質量分析法で定量して塩素量に換算した。
以上により得られた結果を表1に示す。
Figure 0005904165
表1によれば、本発明による上記(3)の方法では、RSD(相対標準偏差)3%未満であり、簡便に精度よく定量できていることがわかる。一方、比較例である(1)、(2)の方法では、定量下限未満(定量下限:(1)の方法は250μg(被膜中5wt%相当)、(2)の方法は20μg(被膜中0.4wt%相当))で、定量することができなかった。
また、比較例として、上記で用いた被膜付鋼板を50×50mmに切断した被膜付鋼板を、75±5℃の範囲に加熱した5wt%三酸化クロム水溶液 15mlに、15分間浸漬した。なお、三酸化クロム水溶液は、JIS K 3151-1996(塗装下地用りん酸塩化成処理剤)で、鋼板表層に形成されたりん酸塩化成被膜の質量測定のために用いられる除膜液である。
次いで、硝酸20mlを添加して酸性にした後、硝酸銀溶液(10mgAg/ml)2mlを添加・混合し、暗所に静置した。生成した沈殿が赤褐色であったため直孔を有する孔径0.2μmのポリカーボネート製フィルターを用いて捕集した。次いで、沈殿物をよく水洗して、乾燥後、沈殿物を従来公知の方法で蛍光X線分析を行なったところ沈殿物に多量のクロムが含有されていることがわかり、沈殿にはクロム酸銀が含まれていることが分かった。
以上の結果、三酸化クロム水溶液を用いた比較例では、塩化銀生成の際にクロム酸銀の赤褐色の沈殿物が大量に析出し、分析ができないことがわかった。
実施例1で用いた被膜付鋼板を50×50mmに切断し、90±5℃の範囲に加熱した20wt%水酸化ナトリウム溶液15mlに浸漬して15秒間沸騰させ、両面の被膜を溶解した。次いで、溶解液に硝酸20mlを添加して酸性にした後、硝酸銀溶液(10mgAg/ml)2mlを添加・混合し、暗所に静置して塩化銀の沈殿物を生成、熟成させた。次いで、塩化銀の沈殿物を下記5種類のフィルターを用いて捕集した。
(ア)直孔を有する孔径0.2μmのポリカーボネート製フィルター
(イ)直孔を有する孔径0.2μmの無機酸化アルミニウムメンブレンフィルター
(ウ)繊維状孔を有する孔径0.2μmのポリカーボネート製フィルター
(エ)繊維状孔を有する孔径0.2μmの親水性PTFE製フィルター
(オ)繊維状孔を有する孔径0.2μmのアセチルセルロース製フィルター
次いで、沈殿物を捕集したフィルターに希アンモニア水溶液を添加して再溶解した後、溶解液を一定量に希釈して、液中の銀量をICP質量分析法で定量した。
以上により得られた結果を表2に示す。
Figure 0005904165
表2より、(ア)および(イ)のフィルターを用いた場合は、RSD(相対標準偏差)3%未満であり、精度の良い分析結果が得られている。(ウ)(エ)(オ)のフィルターを用いた場合は、問題はないものの、(ア)および(イ)に比べて若干分析値が低くなっている。ばらつきも若干大きくなっている。(ウ)(エ)の繊維状フィルターでは捕集した塩化銀沈殿物の溶解が繊維の内部に入り込んで完全に溶解することが難しいものと予想される。(オ)のフィルターでは繊維内部への取り込みに加えて、アンモニア水溶液で沈殿物を溶解する際にフィルターが溶損してばらばらになるため、余分なろ別操作によるばらつきが生じるのに加えて、フィルター含有成分からの汚染の影響により、分析値のばらつきが大きくなったと考えられる。
(ア)および(イ)のフィルターを用いた分析結果から、被膜中の塩素含有率は0.05wt%と算出される。一方、被膜付鋼板中の塩素を燃焼イオンクロマトグラフィーで直接に分析するために、200mm×300mm試料6枚の被膜をナイフで削ぎとって分析を実施した。その結果、塩素の定量下限は0.1wt%であり、定量下限以下となって分析値が得られなかった。被膜の削ぎとりには多大の労力と技術が必要なのに加え、少量しか得られない試料の分析ではさらに定量下限が高くなる。このことより、少量試料から高精度高感度な塩素分析値が得られる本発明の有用性が確認できた。

Claims (2)

  1. 鋼板上の被膜を、銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンを含まないアルカリの溶液で溶解するステップ1と、
    前記ステップ1により被膜が溶解した溶液に銀を添加して、溶解液から塩素を塩化銀として析出させるステップ2と、
    前記ステップ2により析出した塩化銀を、溶液から単離するステップ3と、
    前記ステップ3により単離した塩化銀を、再溶解するステップ4と、
    前記ステップ4により再溶解した溶液中の銀を定量して塩素量を算出するステップ5
    からなる鋼板被膜中の塩素分析方法であって、
    前記ステップ4では塩酸、シアン化物、チオ硫酸塩またはアンモニアの水溶液により塩化銀を再溶解する、
    ことを特徴とする鋼板被膜中の塩素分析方法。
  2. 鋼板上の被膜を、銀イオンと難溶性の塩を形成するイオンを含まないアルカリの溶液で溶解するステップ1と、
    前記ステップ1により被膜が溶解した溶液に銀を添加して、溶解液から塩素を塩化銀として析出させるステップ2と、
    前記ステップ2により析出した塩化銀を、溶液から単離するステップ3と、
    前記ステップ3により単離した塩化銀を、再溶解するステップ4と、
    前記ステップ4により再溶解した溶液中の銀を定量して塩素量を算出するステップ5
    からなる鋼板被膜中の塩素分析方法であって、
    前記ステップ3において、アルカリ不溶性の直孔を有するフィルターを用いることを特徴とする鋼板被膜中の塩素分析方法。
    ただし、直孔とは、一定の開口形状でフィルターを貫通しているフィルター孔を示す。
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