JP5900951B2 - モデル化方法、解析方法及びプログラム - Google Patents

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本発明は、モデル化方法、解析方法及びプログラムに関する。
近年、MEMS技術等によって、内径が微細なマイクロ流路が作成可能になってきている(例えば、特許文献1参照)。このようなマイクロ流路を直列又は並列に接続することにより、マイクロ流体回路網が形成され、マイクロ流体回路網から成る流体システムが、医療診断や環境解析、マイクロリアクタ装置などに用いられている。
このような流体システムでは、マイクロ流路内の流体の挙動の変動・バラツキが、医療診断や環境解析の結果に重大な影響を及ぼすことがある。このため、効率の良い流体システムの設計や運用を目的として、マイクロ流路内の流体の状態、より具体的には流速や圧力などの流体の物理量を精度良くかつ簡便に解析・予測できる方法の登場が望まれている。
これに対しマイクロ流路内を流れる流体の圧力や速度など物理量の解析・予測を行う方法には、大きく分けて以下に示すような方法が一般的に用いられてきた。
(1)有限要素法
有限要素法は、流路を3次元に要素分割し、各要素接点の速度(流速)や圧力等を求める。複雑な形状の流路に対応可能で分布定数系の解析を行うのに好適である。
(2)有限差分法
有限差分法は、分割要素が方形形状であるため、曲線形状の流路のモデル作成には工夫が必要であるが、3次元的な速度や圧力分布等の分布定数系の解析を行うことができる。さらに、非定常現象を扱うことができる。
特開2001−252896号公報
しかしながら、上述した2つの方法には、以下に示す課題がある。
有限要素法は、マイクロ流路内へ加えられる流体の境界条件を時間的に変更するような場合の解析、例えば、上流から流入する流体の速度を時間的に変更する場合や、下流からの圧力の変動に伴う内部の流体の流れの経時変化等の非定常現象に対応させることが困難で、一定時間毎に境界条件を変えて収束計算をするなどの工夫が必要であり、簡便な方法とは言えない。また、モデル作成(メッシュ生成)作業が面倒であるという不都合がある。
有限差分法は、非定常現象を扱うことはできるが、モデル作成(メッシュ生成)作業に技量を要する。
本発明の対象となるマイクロ流路では、圧力損失が大きく内圧が高くなるため、プラスチックなどの弾性材料であると流路の膨張・変動が起こりやすい。また、表面張力の影響が顕著となり気泡が流路内で局所的に残留しやすくなる。その結果、マイクロ流路を直列又は並列に複数接続したマイクロ流体回路網では、流量や圧力などに空間的な分布が生じるとともに、流量や圧力が時間と共に変動し、非定常現象を伴う場合が多くなる。したがって、マイクロ流体回路網の流れの解析には、構成するマイクロ流路毎に、弾性率などの物性値や残留気泡の有無・量などを容易に設定でき、全体の流体回路網モデルを、技量を要することなく、効率良く作成可能で、かつ非定常現象に対応した解析法が必要となる。
ロボットなど機械要素のリンクから成るモーション系の非定常現象の解析に用いられる方法として、モデルベース解析法がある。この方法では、実デバイスの配置を模して、解析用要素モデルを配置・連結することで、効率良く簡便に全体システムのモデルを作成することができる。ただし、モデルベース解析法は、解析対象をモーション系など連接質点系とみなせる場合に有効である。
一方、マイクロ流路内での流体の流れは、いわゆる分布定数系とみなすことができる。そこで、マイクロ流路内での流体の挙動をモデルベース法で解析・予測するには、分布定数系に適用することができる新たなモデル化手法が必要となる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、非定常性を有する分布定数系であるマイクロ流路内の流体の物理量変化を高精度かつ容易・簡便に解析することができるモデル化方法、解析方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るモデル化方法は、
マイクロ流路内の流体の流れをモデル化するモデル化方法であって、
プロセッサが、実行されるプログラムに従って、入力装置に入力された前記マイクロ流路の寸法に基づいて、前記マイクロ流路を、解析対象となる物理量について質点系とみなせる微小素片に仮想的に分割する分割工程と、
プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記分割工程において分割された前記各微小素片について解析対象となる物理量を入出力とするサブシステムを、その物理量を記述する1次元の微分方程式に従ってモデル化する第1のモデル化工程と、
プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記第1のモデル化工程においてモデル化された前記各微小素片のサブシステムのうち、隣接する微小素片のサブシステムの入出力を連接することにより、前記物理量を入出力とする前記マイクロ流路全体のモデルを生成する第2のモデル化工程と、
を含む。
この場合、流体システムを構成する複数のマイクロ流路について、前記分割工程と、前記第1のモデル化工程とを行い、
プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記第2のモデル化工程で生成された複数のマイクロ流路のうち、隣接するマイクロ流路全体のモデルの入出力を連接することにより、流体システム全体のモデルを生成する第3のモデル化工程をさらに含む、
ようにしてもよい。
また、前記解析対象の物理量には、
流体の流速、圧力、温度、流体中における所定の物質の濃度の少なくとも1つが含まれる、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る解析方法は、
本発明のモデル化方法を用いて生成されたマイクロ流路又は流体システムのモデルによって推定される解析対象の物理量に基づいて、プロセッサが、実行されるプログラムに従って、解析対象を解析し、解析結果を記憶装置に記憶する。
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
マイクロ流路内の流体の流れをモデル化するコンピュータに、
前記マイクロ流路を、解析対象となる物理量について質点系とみなせる微小素片に仮想的に分割する分割手順と、
前記分割手順において分割された前記各微小素片について解析対象となる物理量を入出力とするサブシステムを、その物理量を記述する1次元の微分方程式に従ってモデル化する第1のモデル化手順と、
前記第1のモデル化手順においてモデル化された前記各微小素片のサブシステムのうち、隣接する微小素片のサブシステムの入出力を連接することにより、前記物理量を入出力とする前記マイクロ流路全体のモデルを生成する第2のモデル化手順と、
を実行させる。
この発明によれば、非定常性を有する分布定数系であるマイクロ流路を、それぞれを質点系とみなせる複数の微小素片のサブシステムに分割し、隣接するサブシステムの入出力を連接する。このようにすれば、マイクロ流路内の流体の流れを正確に再現するモデルを構築することができる。このため、非定常性を有する分布定数系であるマイクロ流路内の流体の物理量変化を高精度かつ容易・簡便に解析することができる。
本発明の実施形態1に係る解析システムの概略的な構成を示すブロック図である。 図1の解析システムによって実行されるモデル生成プログラムのフローチャートである。 図1の解析システムの解析対象となるマイクロ流路の構造を模式的に示す図である。 図3のマイクロ流路を流動微小素片に分割した様子を示す図である。 図4の流動微小素片のサブシステムを示す図である。 図5のサブシステムの入出力を連接した様子を示す図である。 マイクロ流路全体のモデルを示す図である。 本発明の実施形態2に係る解析システムの解析対象となるマイクロ流路の構造を模式的に示す図である。 図8のマイクロ流路を流動微小素片に分割した様子を示す図である。 解析対象となる流体システムの構成の一例(その1)を示す図である。 解析システムによって生成された流体システムの流量のシミュレーションの結果の一例を示す図である。 解析システムによって生成された流体システムのモデルの一例を示す図である。 図12に示す流体システムのモデルによる流体の圧力のシミュレーション結果と、実際の計測結果とを比較したグラフである。 解析対象となる流体システムの構成のさらなる例を示す図である。 図14に示す流体システムにおける試薬の濃度変化を示すグラフである。 分岐を有する流体システムの構成の一例を示す図である。 図16の流体システム全体のモデルを示す図である。 図17のモデルにおける流速の変化を示すグラフである。 流体システム全体のモデルの一例を示す図である。 図19の流体システムのポンプ部の送液シーケンスを示すグラフである。 図19の流体システムのフローセルでの濃度変化を示すグラフである。
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1について説明する。
図1には、本実施形態に係るモデル化方法及び解析方法を実現する解析システム100の構成が示されている。解析システム100は、流体システムを解析する。解析対象となる流体システムは、微細な内径を有するマイクロ流路及びそれらを直列、並列に接続して構成されるマイクロ流体回路網である。このようなマイクロ流路としては、流体の流れが流路と平行で、近似的に1次元で物理量の変化を表すことができるほど微細である。一方、流路内の流体の圧力によって流路の断面積が動的に拡大・縮小するものが想定されている。
解析システム100は、コンピュータである。図1に示すように、解析システム100は、CPU10と、入力部11と、出力部12と、記憶部13とを備える。
CPU10は、解析システム100のプロセッサ(中央処理装置)である。このCPUがプログラムを実行することにより、解析システム100がその機能を発揮する。入力部11は、キーボードやポインティングデバイス等のオペレータの操作入力を受け付ける入力インターフェイスである。出力部12は、ディスプレイやスピーカ等を含み、CPU10によって実行されるプログラムの実行結果を表示する。
記憶部13には、モデル生成プログラム20とモデルプログラム21と解析プログラム22とが格納されている。モデル生成プログラム20は、解析対象のマイクロ流路又はマイクロ流体回路網(流体システム)のモデルを生成するためのプログラムである。CPU10は、モデル生成プログラム20を実行することにより、流体システムのモデルを生成する。すなわち、CPU10がモデル生成プログラム20を実行することにより、モデル化方法が実施される。
生成されたモデルは、モデルプログラム21として、記憶部13に格納される。CPU10は、モデルプログラム21を実行することにより、流体システムのモデルとして動作する。このモデルは、流体システムの物理量を推定するために用いられる。
解析プログラム22は、解析対象となる流体システムを解析するプログラムである。CPU10は、この解析プログラム22の実行により、モデルプログラム21を呼び出して実行し、モデルの出力となる物理量を推定し、解析対象である流体システムの物理量の解析を行う。すなわち、CPU10が解析プログラム22を実行することにより、解析方法が実施される。
図2には、解析システム100によって実行されるモデル生成プログラム20の工程が示されている。図2に示すように、CPU10は、マイクロ流路を仮想的な微小素片に分割する(ステップS1)。この工程が分割工程に対応する。この微小素片の長さは、微小素片が解析対象となる物理量について質点系とみなせるほどの長さとする。
図3には、本実施形態に係るモデル化方法のモデル化の対象となるマイクロ流路1が示されている。図3に示すように、マイクロ流路1の長さはLであり、内径はdである。内径dは十分に小さく、長さLは、内径dに対して十分に長くなっている。また、管路の厚さをeとする。
ここで、マイクロ流路1の長手方向に延びる軸をx軸とする。また、x=0、x=Lをそれぞれマイクロ流路1の端点とする。流体は、x=0でマイクロ流路1内に流入し、マイクロ流路内を+x方向に流れ、x=Lから流出する。ここで、マイクロ流路1内を流れる流体の流速をu(x,t)とし、その流体に生じる圧力をp(x,t)とする。図3に示すように、流体は、+x方向に流れるので、u(x,t)は、+x方向をその方向として示しており、p(x,t)は、−x方向をその方向として示している。
上述のように、マイクロ流路1の内径dが十分に小さく、長さLが十分に長ければ、マイクロ流路1内の流体の流れは、以下の式で示す1次元の流体方程式(オイラーの運動方程式、連続の式)で記述することができる。
Figure 0005900951

ここで、上記式(1)の右辺の第2項は、粘性項であり、ここでは管路抵抗を示す。νは、動粘性係数であり、流体の粘性係数を比重で割ったものである。
また、上記式(2)の右辺におけるaは次式で示される値である。
Figure 0005900951

ここで、上記式(3)において、Kは、マイクロ流路1を流れる流体の縦弾性係数である。また、cは流路両端の固定パラメータである。また、Eは、マイクロ流路1を構成する配管のヤング率である。αには、上記式(4)に示す値が代入される。また、上記式(4)において、α0は、気泡のボイド率であり、p0は、管内の代表圧力である。このαにより、内部に生じる気泡の影響をモデルに反映させることができる(日本機械学会編「機械工学便覧基礎編α4 流体工学」、第10章 非定常流れ、pp109〜111、丸善(2006) 参照)。
ステップS1において、オペレータは、入力部11を操作して、上記マイクロ流路1の各寸法を入力する。このモデル化方法では、各種寸法が入力されたマイクロ流路1を、微小素片(流動微小素片)に分割する。図4には、マイクロ流路1を流動微小素片2に分割した様子が模式的に示されている。図4に示すように、マイクロ流路1は、長さΔxの流動微小素片2に分割されている。流動微小素片2を質点系とするため、長さΔxは、その間で、流体の流速や圧力の変化が無視できる程度の長さとする必要がある。一般に、流体の変化は緩やかであるから、長さΔxは、ある程度まで長くすることができる。
ここで、x位置xk、xk+1の間に位置する流動微小素片2に着目する。位置xkでの流速、圧力は、u(xk,t)、p(xk,t)であり、位置xk+1での流速、圧力は、u(xk+1,t)、p(xk+1,t)である。この場合、u(xk+1,t)、p(xk,t)は、それぞれ以下の式で表される。
Figure 0005900951

上記式(5)、式(6)は、上記式(1)、式(2)を各流動微小素片2に対応づけ、マイクロ流路1の流路方向に差分化していったものである。
上記式(5)、式(6)から明らかなように、u(xk+1、t)と、p(xk、t)は、u(xk、t)と、p(xk+1、t)が決まれば求めることができる。このことから、流動微小素片2は、図5に示すようなサブシステム3にブロック化することができる。
図2に戻り、そこで、ステップS1実行後、CPU10は、ステップS1において分割された各流動微小素片2を、図5に示すようなサブシステム3にモデル化する(ステップS2)。より具体的には、CPU10は、分割された各流動微小素片2について解析対象となる物理量を入出力とするサブシステム3を、その物理量を記述する1次元の微分方程式(上記式(1)、式(2))に基づく上記式(5)、(6)に従ってモデル化する。すなわち、このステップS2が、第1のモデル化工程に対応する。
図2に戻り、続いて、CPU10は、モデル化された各流動微小素片2のサブシステム3のうち、隣接する流動微小素片2のサブシステム3の入出力を連接することにより、流体の物理量を入出力とするマイクロ流路1全体のモデルを生成する(ステップS3)。すなわち、このステップS3が、第2のモデル化工程に対応する。
図6には、各流動微小素片2のサブシステム3の入出力が連接された様子が示されている。これにより、マイクロ流路1全体を現すモデルを構築することができる。なお、図6において、maxは、マイクロ流路1の分割数である。
図7には、サブシステム3を連接して構築されたマイクロ流路1を1つのブロックにまとめたものが示されている。このシステムでは、x=0におけるu(x,t)(すなわち図6に示すu(x0,t))と、x=Lにおけるp(x,t)(すなわち図6に示すp(xmax,t))とを入力とすれば、x=Lにおけるu(x,t)(すなわち図6に示すu(xmax,t))、x=0におけるp(x,t)(すなわち図6に示すp(x0,t))が出力される。
解析対象が複数のマイクロ流路1から成る流体システムである場合には、ステップS1乃至S3が、マイクロ流路1の数だけ繰り返され、各マイクロ流路1についてのモデルが生成される。
図2に戻り、続いて、CPU10は、隣接するマイクロ流路1のモデルの入出力を連接して流体システム全体のモデルを生成する(ステップS4)。流体システムが、このようなマイクロ流路1を直列又は並列につなぎ合わせたものである場合には、隣接するマイクロ流路1のモデルの入出力を連接することにより、流体システム全体のモデルを構築する。すなわち、このステップS4が、第3のモデル化工程に対応する。
すなわち、このようにして、モデル生成プログラム20が実行され、解析対象となる流体システムのモデルが生成される。生成されたモデルは、モデルプログラム21として、記憶部13に格納される。
続いて、CPU10は、解析プログラム22を実行する。CPU10は、解析プログラム22の実行中、生成したモデルプログラム21を実行し、物理量(流速、圧力)の入力に対する物理量の出力を得る。CPU10は、この出力に基づいて、流体システムを解析する。
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、非定常性を有する分布定数系であるマイクロ流路1を、それぞれを質点系とみなせる複数の流動微小素片2のサブシステム3に分割し、隣接するサブシステム3の入出力を連接する。このようにすれば、マイクロ流路1内の流体の流れを正確に再現するモデルを構築することができる。このため、非定常性を有する分布定数系であるマイクロ流路1内の流体の物理量を高精度かつ容易に解析することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
上記実施形態1では、1次元の流体方程式を用いてマイクロ流路1をモデル化したが、本実施形態では、マイクロ流路1内の熱・物質の拡散を記述する1次元の拡散方程式を用いて、マイクロ流路1をモデル化する場合について説明する。
図8には、本実施形態に係るモデル化方法のモデル化の対象となるマイクロ流路1が示されている。図8に示すマイクロ流路1は、図3に示すものと同じである。ここで、マイクロ流路1内を流れる流体に含まれる所定の物質の濃度をC(x,t)とする。
この場合、マイクロ流路1における1次元の拡散方程式は、以下のように記述することができる。
Figure 0005900951

ここで、Deffは、みかけ上の拡散係数であり、円管の場合、次式で示される。
Figure 0005900951

ここで、Dは拡散係数であり、Uは断面平均流速である。
本実施形態でも、マイクロ流路1を、流動微小素片2に分割する(図9参照)。x位置xk、xk+1の間に位置する流動微小素片2に着目する。位置xk+1での濃度C(xk+1、t)は、以下の式で表される。
Figure 0005900951
上記式(10)から明らかなように、C(xk+1、t)は、C(xk、t)、C(xk-1、t)と、u(xk、t)が決まれば求めることができる。このことから、流動微小素片2についても、C(xk、t)、C(xk-1、t)と、u(xk、t)を入力とし、C(xk+1、t)を出力とするサブシステム3にブロック化することができる。
そして、このサブシステム3の入出力を連接することにより、マイクロ流路1のモデルを生成することができる。さらに、マイクロ流路1のモデルの入出力を連接することにより、流体システム全体のモデルを生成することができる。
本実施形態に係る解析システム100は、上記実施形態1と同様に、図2に示すモデル生成プログラム20を実行して、流体システム全体のモデルを生成し、流体システムの解析に用いることができる。
次に、本実施形態に係る解析システム100を用いた様々な流体システムの解析例について説明する。
(流体システムの例その1)
図10には、流体システムの構成の一例が示されている。図10に示すように、この流体システムでは、シリンジポンプ30が、剛性管31に接続されている。さらに、剛性管31が、急縮小管32を介して弾性管33の一端に接続されている。弾性管33の他端は、急縮小管34を介して微小管35に接続されている。
微小管35は、急拡大管36に接続されている。弾性管33は、中を流れる流体の内圧によって断面積が拡大する。微小管35は、剛性が高く、かつ、圧力損失が小さくなっている。
シリンジポンプ30によりステップ状に配管に流量を与えた場合の弾性管33の内部の流量の変化を解析システム100を用いて予測した。ここでは、弾性管33を10等分した位置(1)〜(10)についての流量の変化をそれぞれ予測した。
図11には、各位置での流量の変化の予測結果が示されている。図11に示すように、弾性管33の入り口付近から、徐々に内部圧力により断面積が増加し、弾性管33の出口に向かうにつれて流量の立ち上がりに遅れが発生しているのがわかる。
上述のように、この例に係る流体システムは、シリンジポンプ30→剛性管31→急縮小管32→弾性管33→急縮小管34→微小管35と接続されたシステムである。解析システム100は、この流体システムについて、図12に示すようなモデルを生成する。図12に示すように、解析システム100は、剛性管31のモデル50、剛性管31の内部に発生する気泡のモデル51、急縮小管32、34のモデル52、弾性管33のモデル53、微小管35のモデル54、急拡大管36のモデル55をそれぞれ生成する。そして、解析システム100は、隣接するモデルの入出力を連接する。これにより、図12に示すような流体システムのモデルが生成される。気泡のモデル51は、コネクタ部分や圧力センサの分岐管の部分に気泡が残っていることを想定して生成されたものである。
図13には、図12に示す流体システムのモデルによる流体の圧力のシミュレーション結果と、実際の計測結果とを比較したグラフが示されている。6.67μL/sと3.33μL/sとの2つの流量で、圧力を計測し、解析システム100によるシミュレーションとを行った。図13に示すように、2つの流量ともに、計測とシミュレーション結果とは良く一致しているのがわかる。すなわち、解析システム100によって生成されたモデルでは、弾性管33の拡大や気泡の収縮による微小管35での流量の立ち上がりの遅れや、圧力の大きさなどが正確に再現されている。
(流体システムの例その2)
図14には、解析対象となる流体システムの構成のさらなる例が示されている。図14に示すように、この流体システムでは、インジェクタ61から、バルブ62を介して、管63内に色素、例えばウラニンを一定量導入する。そして、色素の先端部分が拡散しない状態でバルブ62をシリンジポンプ60に切り替えて、一定流速で検出箇所まで送液する。検出箇所には、照明機器65とカメラ66とが設置されている。検出箇所では、管63は透明となっている。検出箇所は、照明機器65によって照明され、カメラ66によって撮像される。その撮像信号は、コンピュータ67に出力される。コンピュータ67は、入力した撮像信号に基づく画像により、検出箇所での色素濃度の時間変化を取得する。溶液は、回収部64に回収される。
層流では、管63内の流速分布は放射状となる。物質は、流体が流れる方向に対流で分散する。それによって生じた径方向の濃度分布により、径方向には分子分散→流れ方向に対する見かけ上の拡散係数を用いて1次元の拡散方程式で記述可能となる。したがって、管63内の色素物質の濃度変化も解析システム100で、シミュレーションすることが可能となる。そこで、この拡散現象を実験結果と解析システム100とで比較した。
図15には、図14に示す流体システムにおける検出箇所でのウラニンの濃度変化が2通り示されている。マークは計測結果を示し、ラインはシミュレーション結果を示す。図15では、2つの流速条件で色素濃度の立ち上がりが示されている。図15に示すように、シミュレーション結果における濃度の立ち上がり時期や立ち上がりの勾配は、計測結果と良く一致している。
(流体システムの例その3)
図16には、解析対象となる流体システムの構成のさらなる例が示されている。図16に示すように、この流体システムは、2つのシリンジポンプ70と、管72と、コネクタ73と、4分岐部74と、管75と、4つのY字型マイクロ混合デバイス76と、管77と、回収部78とで構成されている。
このように、この流体システムは、Y字型マイクロ混合デバイス76を4つ並べ、試薬等を混合するために設けられたものである。ここで、試薬等が混合される。各Y字型マイクロ混合デバイス76の下流には、長さの異なる管77が接続されている(500、600、700、800mm)。上流側の一方の管72には、気泡部71が設定されている。
図17には、図16の流体システムを解析システム100でモデル化することにより生成される流体システムのモデルが示されている。このモデルでは、モデル80がシリンジポンプ70に対応し、モデル82、83が管72等による管路に対応し、モデル84が4分岐部74に対応し、モデル85がY字型マイクロ混合デバイス76に対応する。
図18には、図17のモデルにより得られる各管77における流速の立ち上がりが示されている。図18に示すように、長さの異なる管77には、圧力抵抗に差異が出る。また、気泡の影響で、出口で濃度の立ち上がりに遅れが発生する。図17のモデルによるシミュレーションでは、これらの特性が、精度良く再現されている。
(流体システムの例その4)
図19には、解析対象となる流体システムの構成のさらなる例が示されている。この流体システムは、試薬を試料に混合し、発色反応生成物を生成するためのものである。図19に示すように、この流体システムは、ポンプシーケンサ90、洗浄液用ポンプ91、試料用ポンプ92、試薬用ポンプ93、マイクロ流路94、マイクロミキサ95、反応用流路96、フローセル97を構成要素としている。
ここで、試薬、試料、洗浄液を図20に示すシーケンスに沿って導入した場合について考える。解析システム100は、このようなシーケンスを入力とすれば、例えば、図21に示すようなフローセル97での各液の濃度変化を解析結果として出力することができる。
なお、上記実施形態において、実行されるプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをインストールすることにより、上述のプログラムを実行するシステムを構成することとしてもよい。
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、ダウンロード等するようにしてもよい。
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、ダウンロード等してもよい。
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
本発明は、マイクロ流路において、流体の流れの方向に沿った流速や圧力などの物理量を解析・予測するのに好適である。特に、本発明は、医療診断や環境解析、マイクロリアクタ装置などに用いられる流体システムのマイクロ流体回路網の流体の流れを解析するのに好適である。
1 マイクロ流路
2 流動微小素片
3 サブシステム
10 CPU
11 入力部
12 出力部
13 記憶部
20 モデル生成プログラム
21 モデルプログラム
22 解析プログラム
30 シリンジポンプ
31 剛性管
32 急縮小管
33 弾性管
34 急縮小管
35 微小管
36 急拡大管
50、51、52、53、54、55 モデル
60 シリンジポンプ
61 インジェクタ
62 バルブ
63 管
64 回収部
70 シリンジポンプ
72 管
73 コネクタ
74 4分岐部
75 管
76 Y字型マイクロ混合デバイス
77 管
78 回収部
80、82、83、84、85 モデル
90 ポンプシーケンサ
91 洗浄液用ポンプ
92 試料用ポンプ
93 試薬用ポンプ
94 マイクロ流路
95 マイクロミキサ
96 反応用流路
97 フローセル
100 解析システム

Claims (5)

  1. マイクロ流路内の流体の流れをモデル化するモデル化方法であって、
    プロセッサが、実行されるプログラムに従って、入力装置に入力された前記マイクロ流路の寸法に基づいて、前記マイクロ流路を、解析対象となる物理量について質点系とみなせる微小素片に仮想的に分割する分割工程と、
    プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記分割工程において分割された前記各微小素片について解析対象となる物理量を入出力とするサブシステムを、その物理量を記述する1次元の微分方程式に従ってモデル化する第1のモデル化工程と、
    プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記第1のモデル化工程においてモデル化された前記各微小素片のサブシステムのうち、隣接する微小素片のサブシステムの入出力を連接することにより、前記物理量を入出力とする前記マイクロ流路全体のモデルを生成する第2のモデル化工程と、
    を含むモデル化方法。
  2. 流体システムを構成する複数のマイクロ流路について、前記分割工程と、前記第1のモデル化工程とを行い、
    プロセッサが、実行されるプログラムに従って、前記第2のモデル化工程で生成された複数のマイクロ流路のうち、隣接するマイクロ流路全体のモデルの入出力を連接することにより、流体システム全体のモデルを生成する第3のモデル化工程をさらに含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のモデル化方法。
  3. 前記解析対象の物理量には、
    流体の流速、圧力、温度、流体中における所定の物質の濃度の少なくとも1つが含まれる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモデル化方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモデル化方法を用いて生成されたマイクロ流路又は流体システムのモデルによって推定される解析対象の物理量に基づいて、プロセッサが、実行されるプログラムに従って、解析対象を解析し、解析結果を記憶装置に記憶する解析方法。
  5. マイクロ流路内の流体の流れをモデル化するコンピュータに、
    前記マイクロ流路を、解析対象となる物理量について質点系とみなせる微小素片に仮想的に分割する分割手順と、
    前記分割手順において分割された前記各微小素片について解析対象となる物理量を入出力とするサブシステムを、その物理量を記述する1次元の微分方程式に従ってモデル化する第1のモデル化手順と、
    前記第1のモデル化手順においてモデル化された前記各微小素片のサブシステムのうち、隣接する微小素片のサブシステムの入出力を連接することにより、前記物理量を入出力とする前記マイクロ流路全体のモデルを生成する第2のモデル化手順と、
    を実行させるプログラム。
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