JP5897461B2 - ミエリン塩基性タンパク質のイメージング - Google Patents

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Description

本発明は、ミエリン塩基性タンパク質のイメージングに関する。
神経系中における情報の流れは、ニューロンに沿ったイオン勾配の永続化を要求する。多くのニューロンでは、軸索に沿ったかかる勾配の効果的で効率的な永続化のために電気的絶縁が必要である。軸索を覆う脂質に富む誘電性物質であるミエリンは、このような絶縁機能を果たす。神経系は高いレベルのミエリンを含んでいて、特に多くのミエリン化軸索が束になっている場所に濃縮されている。かかる場所としては、例えば、脊髄路及び脊髄神経根、末梢神経系中の神経、並びに「灰白質」に対して総称的に「白質」といわれる脳内の線維路がある。非神経系組織にはミエリンが存在しないので、ミエリンの存在は神経組織を他のタイプの組織から識別することができる。即ち、脊髄及び脊髄神経根を脊柱の非神経要素から識別でき、また脳中の白質を灰白質から識別できる。
インビボ又はインビトロでミエリンを定性的又は定量的に可視化できることは、研究者達及び臨床医達に重要な診断及び治療ツールを与える。例えば、手術中に末梢神経を目視で同定できれば、外科医が神経の切断又は損傷を避けることが容易になる。神経の画像誘導手術における従前の努力は、造影剤又は逆行性輸送による軸索の蛍光標識を必要としないモダリティーを利用していた。第1のアプローチの問題点は、信号が通例あいまいなことである。
動物モデルにおける神経の逆行性標識は、文献中に広く報告されている。この方法は有効であり得るが、多くの固有の問題が存在している。標識は、造影剤をどこに注射するかに完全に依存する。神経が造影剤を取り込むことができなければ、神経は可視化されないであろう。場合によっては、逆行性輸送を容易にするために神経刺激が必要となる。逆行性輸送のために必要な長い時間は、臨床的には適さないかもしれない。
ミエリン化神経及び線維路は、前臨床的及び基礎的な神経科学研究者達によって実施される解剖学的研究において有用なランドマークとして役立つ。さらに、ミエリン鞘の形成は新しいニューロンの生成及び機能安定性における重要な段階であるので、ミエリンマーカーの利用可能性はかかる過程の研究に当たって研究者達を支援し得る。ミエリン標識方法はまた、数多くの治療法の開発、神経幹細胞の研究、及びミエリン関連ニューロパシーの推定動物モデルにおいても有用である。脊髄のインビボミエリンイメージングは、神経圧迫又は椎間板ヘルニアのような脊髄疾患並びに中枢又は末梢神経系中にミエリン損傷をもたらす多発性硬化症のようなミエリン関連ニューロパシーの診断及び治療に際して臨床医達を支援する。かかる病態を有する患者におけるミエリン化の量をインビボで測定できれば、ミエリン関連ニューロパシーの診断及び予後診断に際して臨床医達及び研究者達を支援することになろう。
脊髄神経根は脊柱管を横切るので損傷を受けることがあるが、特に脊髄神経根が結合して脊髄神経を形成する椎間孔内において傷つきやすい。頸部神経根障害、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア及び神経根圧迫のような症候群は、主として腫瘍又は他の病変に由来する圧迫によって引き起こされるが、これらは通常背痛又は頸痛を伴って現れる。背痛又は頸痛は各種の筋骨格的機序によって引き起こされることがあり、医師は神経系を検査して神経根又は脊髄の圧迫が存在するか否かを判定することが可能でなければならない。慢性の頸痛又は背痛の原因をイメージングによって同定できれば、外科医はこれらの症候群を効果的に治療することが可能であろう。
高ミエリン含有量組織の同定のために市販のFluoroMyelin色素を使用することを始めとするミエリン標識方法が存在している。しかし、1,4−ビス(p−アミノスチリル)−2−メトキシベンゼン(BMB)及び(E,E)−1,4−ビス(4’−アミノスチリル)−2−ジメトキシ−ベンゼン(BDB)のような若干の色素を除き、公表された色素の大部分は血液神経関門又は血液脳関門を通過することができない。
ミエリンは、中枢神経系(CNS)における乏突起膠細胞及び末梢神経系(PNS)におけるシュワン細胞によって生成されるタンパク質及び脂質に富む基質である。CNS及びPNSにおける2つの異なる細胞タイプ(即ち、それぞれ乏突起膠細胞及びシュワン細胞)がミエリンを生成するので、タンパク質及び脂質組成にはミエリンの出所に応じて類似点及び相違点が存在している。いずれの場合にも、ミエリンは約80%の脂質画分及び約20%のタンパク質画分から構成されている。多くの研究により、両画分の分子成分が調査されている。
ミエリン中の脂質画分は、コレステロール、コレステロールエステル、セレブロシド、スルファチド、スフィンゴミエリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、トリアシルグリセロール及びジアシルグリセロールを含んでいる。タンパク質画分は複数のタンパク質から構成され、PNS及びCNS細胞の両方によって生成されるミエリン塩基性タンパク質(MBP)、末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)、コネキシン32及びミエリン関連糖タンパク質(MAG)、PNSのみによって生成されるミエリンタンパク質ゼロ(MPZ)、並びにCNS細胞のみによって生成されるプロテオリピドタンパク質を含んでいる。
MBPは5〜15%を占めるミエリンの主タンパク質成分であって、これは約5mMのMBP濃度に相当する。円偏光二色性、NMR及びEPR分光法、原子間力顕微鏡検査などの技法は、MBPがβシート構造のコア要素を含むコンパクトなC形の形態を有し得るが、これは脂質と結合した場合のみであることを示唆している。ミエリン塩基性タンパク質と脂質との相互作用はコンホメーションの可変性を引き起こすことができ、機能にとって重要であり得る。
MBPと選択的に結合する薬剤は、ミエリン染色の向上をもたらし、それによって神経の可視化を助けることができる。神経の可視化は、未結合色素及び非特異的結合色素の最適排除並びに光学的性質の改善によってミエリンと周囲組織との間のコントラストの増強を可能にすることでさらに向上させることができる。700〜900nmの近赤外(NIR)域における光学的性質は、インビボでのミエリンの可視化のために理想的である。NIR域では、水、ヘモグロビン及び脂質の吸収は最小であり、分散は減少して光子の透過が向上する。また、自己蛍光は低く、NIR光は組織中に深く浸透すると共に、分散による影響が少ない。
国際公開第2009/029936号パンフレット
本明細書中には、ミエリン関連ニューロパシーの検出方法であって、ミエリン関連ニューロパシーのリスクがある被験体又はミエリン関連ニューロパシーに罹患していると診断された被験体を同定する段階、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤を被験体に投与する段階、及び被験体内に存在する薬剤を検出することで被験体内のミエリン化を測定する段階を含んでなる方法が提供される。
一実施形態では、薬剤は次の式Iの化合物、次の式Iの13C濃縮化合物、次の式Iの19F標識誘導体又は次の式Iの放射性同位体誘導体を含んでいる。
式中、R1はアルキル基であり、R2が電子供与基でありかつR3が電子求引基であるか、或いはR2が電子求引基でありかつR3が電子供与基である。
一実施形態では、薬剤は式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物、式Iの19F標識誘導体又は式Iの放射性同位体誘導体を含んでいて、式中のR1はアルキル基であり、R2は電子供与基であり、R3は−SO24(式中、R4はアルキル、置換アルキル、アミン又は置換アミンである。)である。
別の実施形態では、被験体におけるミエリン関連ニューロパシーを検出するためのキットであって、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤及び薬学的に許容されるキャリヤーを含んでなるキットが提供される。
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読んだ場合に一層よく理解されよう。
図1は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)抗体(図1A)及びBMB(図1B)で染色したラットの三叉神経組織切片の蛍光顕微鏡検査から得られた結果を示している。倍率は1000×である。 図2は、式Ia、式Ib、式II及び式IIIの薬剤によるラットの坐骨神経切片(上部パネル)及び三叉神経切片(下部パネル)のエクスビボ染色から得られた結果を示している。 図3は、式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)で処理されたマウスの三叉神経及び視神経の蛍光インビボイメージングから得られた結果を示している。 図4は、マウスの三叉神経上におけるMBP信号の位置と発蛍光団BMB及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の位置との間の相関関係を示している。BMB又は式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)を生きているマウスに投与し、クリアランス及び生体分布のために十分な時間後に神経を切除し、切片化し、次いでMBP抗体で染色した。 図5は、精製された天然様MBPの存在下及び不存在下でのBMB及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)に関するSpectramax M5アッセイを示している。 図6は、精製された天然MBP、ウシ血清アルブミン(BSA)又は天然MBPの脂質画分の存在下での式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)に関するSpectramax M5アッセイから得られたデータを示している。 図7は、式Iaの化合物によるラットの大腿神経切片(上部パネル)、坐骨神経切片(中央パネル)及び三叉神経切片(下部パネル)のエクスビボ染色から得られた結果を示している。 図8は、式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3)で処理されたマウスの腕神経叢中の神経の蛍光インビボイメージングから得られた結果を示している。 図9は、精製された天然様MBP又は変性MBPの存在下及び不存在下での式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=−CH3)及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CF3)に関するSpectramax M5アッセイを示している。式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3)は400nmで励起し、蛍光発光強度を610nmで読み取った。式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CF3)は430nmで励起し、蛍光発光強度を630nmで読み取った。
以下の詳細な説明は例示的なものであり、本願の発明及び該発明の用途を限定する意図はない。さらに、先行する発明の背景又は図面の説明中に示されるいかなる理論によっても限定する意図は存在しない。
特許請求される発明の主題を一層明確で簡潔に記載しかつ指摘するため、以下の説明及び添付の特許請求の範囲中で使用される特定の用語に関して以下に定義を示す。
「ミエリン関連ニューロパシー」とは、一般的には、神経細胞の一部を覆う絶縁体が症候群、疾患又は他の病態の一構成要素として損傷を受け又は機能不全に陥っている任意の状態をいう。ミエリン関連ニューロパシーには、特に限定されないが、多発性硬化症、ギヤン−バレー症候群、白質萎縮症、異染性白質萎縮症、レフスム病、腺白質萎縮症、クラッベ病、フェニルケトン尿症、カナバン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、アレグザンダー病、糖尿病性ニューロパシー、化学療法誘発ニューロパシー及びこれらの組合せがある。
「薬剤」とは、化合物が所望の濃度及び効力で投与されるようにして化合物を被験体内に導入するための溶液又はキャリヤーをいう。薬剤は、特に限定されないが、溶媒、安定化助剤、緩衝剤及びフィラーを含み得る。
薬剤がミエリンを含まない組織より高い頻度で、より迅速に、より長い持続時間で、又はより高い親和性をもってミエリンと結合すれば、薬剤はミエリンに対して「特異的結合」を示す。「非特異的結合」とは、非ミエリン含有組織に対する薬剤の結合をいう。特異的結合又は非特異的結合のような相対結合値に関しては、各試料は同様な物理的条件(即ち、温度、pH、処方及び投与モード)下で測定すべきである。一般に、特異的結合は、標的に対する薬剤の相対的に高い親和性及び相対的に低度乃至中等度の受容能力によって特徴づけられる。通例、親和性定数Kaが106-1以上である場合に結合は特異的と見なされる。親和性定数が高くなるほど親和性が高いことを表し、したがって通例は特異性が高いことを表す。例えば、抗体は通例106-1〜109-1以上の範囲内の親和性定数で抗原と結合する。「非特異的結合」は、通常、中等度乃至高度の受容能力と共に低い親和性を有する。非特異的結合は、通常は親和性定数が106-1未満である場合に起こる。薬剤を組織に接触させるために使用する時間及び方法を制御することで、非特異的結合は低減される。
「洗浄」とは、一般的には、特に限定されないが、ミエリンとの特異的結合を排除することなしに組織又は組織試料の非ミエリン化構成要素から非結合又は非特異的結合標識化合物を解離、分散又は除去するための媒質を提供するため、非標識溶液又は他の物質(例えば、特に限定されないが、水、食塩水、緩衝食塩水又はエタノール)中への浸漬或いはそれの反復適用によるフラッシングを行うような任意の方法をいう。
「基線蛍光」とは、何らかの蛍光発生化合物の投与又は結合及び外部電磁放射源への暴露後に放出される放射とは異なり、かかる蛍光発生化合物の投与又は結合の不存在下で外部電磁放射源に暴露した際に組織又は組織試料から放出される電磁放射の周波数及び強度(magnitude)をいう。
「組織切片を代表する対照試料」とは、分析すべき組織試料と同様なサイズ、形態又は構造の組織試料であって、他の試料のミエリンレベルを比較するための基準として役立つミエリンレベルを有する組織試料をいう。
「非経口投与」とは、被験体内に物質又は化合物を導入するための任意の手段であって、経口摂取又は胃腸管への直接導入を伴わないものをいう。非経口投与には、特に限定されないが、皮下注射、腹腔内注射、筋肉内注射、静脈内注射、鞘内注射、大脳内注射、脳室内注射又は脊髄内注射或いはこれらの任意の組合せがある。
「薬学的キャリヤー」とは、適用部位、周囲組織又は作製された組織切片への薬剤物質の適用を可能にする組成物であって、標的への特異的結合のために有効な滞留時間を薬剤に付与し、或いは簡便な遊離方法を提供する組成物をいう。可溶化方法は、特に限定されないが、pH調整、塩形成、イオン化可能な化合物の生成、共溶媒の使用、錯体形成、界面活性剤、ミセル、エマルジョン及びマイクロエマルジョンを含み得る。これらの例には、特に限定されないが、HCl、クエン酸、DMSO、プロピレングリコール、エタノール、PEG300、シクロデキストラン、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンがある。
「脱ミエリン化モデル」とは、神経細胞の一部を覆う絶縁体の実験的に誘発された任意の損傷又は機能不全であって、特に限定されないが、実験的アレルギー性脳脊髄炎を始めとするニューロパシー性脱ミエリン化の実験的研究において利用できるものをいう。
「再ミエリン化」とは、ニューロンの軸索を覆う絶縁体の自発的な、治療的な、又は実験的に誘発される修復、再生或いはその他の方法による構造又は機能性の強化をいう。
「アルキル」とは、線状、枝分れ又は環状炭化水素構造体及びこれらの組合せを含むものであり、低級アルキル及び高級アルキルを包含する。アルキル基はC20以下のものである。「低級アルキル」とは、炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4のアルキル基をいい、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル並びにn−、s−及びt−ブチルを含む。高級アルキルとは、炭素原子数7以上、好ましくは炭素原子数7〜20のアルキル基をいい、n−、s−及びt−ヘプチル、オクチル並びにドデシルを含む。シクロアルキルはアルキルの部分集合であり、炭素原子数3〜8の環状炭化水素基を包含する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びノルボルニルがある。アルケニル及びアルキニルとは、2以上の水素原子がそれぞれ二重結合又は三重結合によって置き換えられたアルキル基をいう。
「置換される」とは、特に限定されないが、アルキル、アルキルアリール、アリール、アリールアルキル及びヘテロアリールを含む残基において、残基の3以下のH原子が低級アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ハロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボキシ、カルボキシアルコキシ、カルボキサミド、アシルオキシ、アミジノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、OCH(COOH)2、シアノ、第一アミノ、第二アミノ、アシルアミノ、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリール又はヘテロアリールオキシで置き換えられていることをいう。
「電子供与基」とは、共役π系に電子密度を追加してそれの求核性を高める化化学基をいう。電子供与基は、π系に隣接した原子上の孤立電子対によって認識できる。電子供与基の例には、特に限定されないが、−NR’R”、−NHR、−NH2、−OH、−OR、−NHCOR、−OCOR、−R、−C65及び−CH=CR2がある。
「電子求引基」とは、共役π系から電子密度を除去して該構造の求核性を低下させる化化学基をいう。電子求引基は、π系に隣接した原子がより電気陰性の原子に対する複数の結合を有するか、或いは形式的な陽電荷を有することによって認識できる。電子求引基の例には、特に限定されないが、−COH、−COR、−COOR、−COOH、−COONH2、−COONHR、−COONR2、−COCl、−CF3、−CN、−C=C(CN)2、−SO3H、−NH3 +、−NR3 +、−NO2、−SO2R、−SO2NH2、−SO2NHR及び−SO2NR2がある。
薬剤が非ミエリン化組織より高い頻度で、より迅速に、より長い持続時間で、又はより高い親和性をもってミエリン化組織と結合するか、或いはミエリン化組織中により多く吸収され又はより多く蓄積されれば、薬剤はミエリン化組織に対して「特異的結合」を示す。一般に、特異的な取込みは標的に対する薬剤の相対的に高い親和性によって特徴づけられる。
特記しない限り、明細書及び特許請求の範囲中で使用される、成分の量、性質(例えば分子量)、反応条件などを表すすべての数は、あらゆる場合に「約」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、そうではないと表記されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲中に示される数値パラメーターは、本発明によって得ることが求められる所望の性質に応じて変動し得る近似値である。最低でも、特許請求の範囲の技術的範囲への等価物の原則の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも報告された有効数字の桁数を考慮しつつ通常の丸め技法を適用して解釈すべきである。
本明細書中に記載される化合物の多くは、1以上の非対称中心を含むことがあり、したがって鏡像異性体、ジアステレオマー及び他の立体異性体を生じることがある。これらは絶対立体配置の観点から(R)−又は(S)−として定義できる。薬剤の化学構造は、例えば、特に限定されないが、すべてのかかる可能な異性体並びにこれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を包含する。光学的に活性の(R)−及び(S)−異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を用いて製造でき、或いは通常の技法を用いて分割できる。本明細書中に記載される化合物がオレフィン性二重結合又は他の幾何学的非対称中心を含む場合には、特記しない限り、かかる化合物はE及びZ幾何異性体の両方を包含するものと想定されている。同様に、すべての互変異性体も包含される。
特定の実施形態では、ミエリン塩基性タンパク質に対する薬剤の特異的結合を利用してインビトロ又はインビボ試料中のミエリン塩基性タンパク質を定性的又は定量的に測定する方法が提供される。ミエリン塩基性タンパク質への特異的結合は、次の式Iの化合物、次の式Iの13C濃縮化合物、次の式Iの19F標識誘導体又は次の式Iの放射性同位体誘導体を含む薬剤によって達成できる。
式中、R1はアルキル基であり、R2が電子供与基でありかつR3が電子求引基であるか、或いはR2が電子求引基でありかつR3が電子供与基である。
特定の実施形態では、R1は炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の低級アルキル基であってよく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル並びにn−、s−及びt−ブチルを含む。電子供与基は、第一、第二又は第三アミン(−NH2、NHR、NR’R”)或いはアルコキシ基(−OR)を含み得る。電子求引基は、ニトリル基(−CN)、エステル(−COOR)又はスルホン(−SO2R)を含み得る。
各実施形態において、R2及びR3はベンゼン環のπ二重結合軌道及びオレフィン性置換基を介して共役しており、それによって電子が電子供与基から電子求引基に流れるための明確な経路を提供する。電子供与基は、他方の位置に電子求引基があることを条件にして、R2又はR3の位置にあり得る。
特定の実施形態では、R1はアルキル基であり、R2は電子供与基であり、R3は−SO24基(式中、R4はアルキル、置換アルキル、アミン又は置換アミン基である。)である。特定の実施形態では、R1は炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の低級アルキル基であってよく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル並びにn−、s−及びt−ブチルを含む。電子供与基は、第一、第二又は第三アミン或いはアルコキシ基を含み得る。R4は炭素原子数1〜6、好ましくは炭素原子数1〜4の低級アルキル基であってよく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル並びにn−、s−及びt−ブチルを含む。
他の実施形態では、R4は得られるスルホンの水溶性を向上させかつそのlogPを低下させるために使用できる。R4は、特に限定されないが、アルコキシ又はアルコールのような置換アルキル基であり得る。特定の実施形態では、アルコキシ基はエチレングリコール単位又はエチルグリコール末端停止アルコールを含み得る。例えば、R4は(CH2CH2O)nX又はCH2CH2CH2(OCH2CH2)nOX(式中、nは1〜6の整数であり、Xは水素、メチル又はエチルである。)であり得る。プロピル基の導入もまた、β排出の可能性を排除できる。
特定の他の実施形態では、R4はスルホンアミドを形成するための第一、第二又は第三アミンであり得る。アミン基には、特に限定されないが、NH2、NHR5及びNR56(式中、R5及びR6はアルキル又は置換アルキル基である。)がある。R5及びR6は同等のものであってもなくてもよく、また環構造を形成してもよい。例えば、R5及びR6は(CH2CH2O)nX、CH(CH2OX)2又はC(CH2OX)3(式中、nは1〜6の整数であり、Xは水素、メチル又はエチルである。)であり得る。他の例では、R5及びR6は置換ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンのような環構造を形成し得る。
各実施形態において、R2及び−SO24はベンゼン環のπ二重結合軌道及びオレフィン性置換基を介して共役しており、それによって電子が電子供与基から電子求引基に流れるための明確な経路を提供する。
このような共役及びR2からR3への(並びにR2から−SO24への)「プッシュプル」式電子の流れは、BMB及びBDBに比べて蛍光発生時により長波長のストークスシフトが起こる原因となり得る。実用に際しては、これは式Iの薬剤を用いた場合にミエリンと周囲組織との間のコントラスト増強を可能にし得る。
若干の実施形態では、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤は放射性同位体、13C濃縮化合物又は19F標識誘導体であり得る。若干の実施形態では、式Iの化合物の放射性同位体誘導体を製造し、放射性イメージングによってイメージングを行うことができる。別法として、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を製造することができる。
式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物、式Iの19F標識誘導体又は式Iの放射性同位体誘導体を含む薬剤は、その放出信号(例えば、式Iの放射性同位体誘導体からの磁気共鳴信号又は放出放射、自己蛍光放出、或いは薬剤の光学的性質)によって検出できる。式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物、式Iの19F標識誘導体又は式Iの放射性同位体誘導体を含む薬剤の検出方法としては、所期の用途及び医療職員又は研究職員に利用できるイメージング方法に応じ、蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、核シンチグラフィー、陽電子放出断層撮影法(「PET」)、単光子放出コンピューター断層撮影法(「SPECT」)磁気共鳴イメージング(「MRI」)、磁気共鳴分光法(「MRS」)、コンピューター断層撮影法(「CT」)又はこれらの組合せが挙げられる。
例えば、R3が−SO24に等しい式Iの特定の実施形態では、R4はMRIイメージングのためのフルオロアルキル(例えば、−CF3、−CH2CF3又は−OC(CF3)3)であり得る。他の例では、R4は−(CH2CH2O)nQ又はCH2CH2CH2O(CH2CH2O)mQ(式中、nは1〜5の整数であり、mは0〜4の整数であり、QはCH2CF3、CH(CF3)2又はC(CF3)3である。
同様に、R4がスルホンアミドを形成するための第二又は第三アミンであり得る場合、アミン基をフルオロアルキルで置換することができる。特定の実施形態では、R4はNHR5及びNR56(式中、R5及びR6は同等のものであってもなくてもよく、−CH2CF3又は−(CH2CH2O)nQ(式中、nは1〜6の整数であり、QはCH2CF3、CH(CF3)2又はC(CF3)3に等しい。)であり得る。NR56はまた、フルオロアルキル又はフルオロアルコキシル置換ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンのような環構造を形成し得る。
PETイメージングを用いるイメージング方法のためには、そのR1、R2、R3又はR4置換基を介して18F放射性同位体を式I中に組み込むことができる。特定の実施形態では、MRIイメージングで使用する19F標識誘導体に関して上記の例に記載したように、18F放射性同位体をR4置換基中に組み込むことができる。
記載されたイメージング方法は、ミエリン塩基性タンパク質の検出に関係する分析用途、診断用途又は予後診断用途に適用できる。かかる用途は、特に、手術中神経標識、脊髄イメージング、脳組織イメージング、ミエリン化レベルの非侵襲的インビボ測定、並びにミエリン化の機能やプロセス及びミエリンの機能不全や修復の調査を目的とする前臨床的及び基礎的な神経科学ベンチ研究において適用できる。
一実施形態では、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤を手術前に外科被験体に対して非経口的に投与し、薬剤をミエリン塩基性タンパク質に結合させると共に、ミエリン塩基性タンパク質を含まない組織から排除させることができる。別の実施形態では、手術中に手術領域への塗布、噴霧又は局所注射によって直接適用し、存在するミエリン塩基性タンパク質に結合させ、洗浄液で手術部位を洗浄して該部位から未結合組成物を排除させることができる。手術中は、薬剤の分光励起特性に合わせた光源を手術領域に照射すればよい。薬剤は、その分光発光特性に合わせた光学フィルターを通して観察できる。蛍光剤への特異的結合のため、神経及び他のミエリン含有組織はミエリン塩基性タンパク質を含まない組織から識別できる。これにより、外科医は蛍光組織を避けることでミエリン化組織を誤って切断又は損傷することを回避でき、或いは所期のミエリン化組織に対して正確に治療を施すことが容易になる。特定の実施形態では、薬剤は式Iの化合物を含んでいる。
ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤は、神経又は他のミエリン含有組織を標的とする手術又は治療(例えば、薬学的又は外科的神経ブロック)に先立ち、被験体に対して非経口的に投与できる。特定の実施形態では、ミエリン化組織は脊柱管及び椎孔の一部であり得る。他の実施形態では、ミエリン化組織は脳の一部であり得る。特定の実施形態では、薬剤は式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物、式Iの19F標識誘導体又は式Iの放射性同位体誘導体を含んでいる。
一実施形態では、式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を含むもののような薬剤を手術前に外科被験体に対して非経口的に投与して、ミエリン塩基性タンパク質に結合させると共に、特異的なミエリン塩基性タンパク質結合を排除することなくミエリン塩基性タンパク質を含まない組織から排除させることができる。
別の実施形態では、放射性同位体であってミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤を治療前に被験体に対して非経口的に投与して、結合させると共に、ミエリンを含まない組織から排除させることができる。次いで、核シンチグラフィー、PET、SPECT、CT、MRI、MRS又はこれらの任意の組合せのようなイメージング技法を用いてミエリン含有組織と非ミエリン含有組織との識別を助けることができ、またγ線カメラ、スキャナー又はプローブを使用することができる。かかる薬剤は、式Iの化合物の放射性同位体誘導体であり得る。
別の実施形態では、式Iの放射性同位体誘導体を含むもののような薬剤を、脊髄疾患(例えば、特に限定されないが、脊髄圧迫、脊髄神経根圧迫又は膨張椎間板)を有すると疑われ、又はそれを有すると判定され、又はそれに罹患している患者に対して非経口的に投与することができる。脊髄のミエリン塩基性タンパク質に結合させると共に、特異的なミエリン塩基性タンパク質結合を排除することなくミエリン塩基性タンパク質を含まない組織から排除させた後、PET、SPECT又はこれらの任意の組合せのような放射性同位体イメージングを用いてインビボで脊椎のイメージングを行うことができる。
診断画像を検査することで、臨床医は、脊髄又は関連する神経根が例えば脊柱又は異物によって侵害されているかどうか、そしてその場所はどこかを判定することができる。脊柱の構成要素の構造及び相対位置のような追加の情報を得るため、PET又はSPECTスキャンと共にCT又はMRIのような追加のスキャンを行うこともできる。一実施形態では、この方法を外科的処置に適用することで、手術中に脊髄領域のイメージングを行うことができる。
別の実施形態では、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤の放射性同位体誘導体のイメージングを行うことで、ミエリン化レベルがインビボで入手できる。ミエリン関連ニューロパシーに罹患していると診断されたか、又はそれを有すると疑われる被験体に対して薬剤を非経口的に投与する。ミエリン塩基性タンパク質に結合させると共に、特異的なミエリン塩基性タンパク質結合を排除することなくミエリン塩基性タンパク質を含まない組織から排除させた後、放射性同位体のインビボイメージングに適した方法によって中枢又は末梢神経系の構成要素のイメージングを行えばよい。かかる方法にはPET及びSPECTがある。イメージング結果を検査することで、臨床医は、薬剤の放射性同位体誘導体から放出されかつ適当なイメージング方法で検出されるシグナルのレベル及び解剖学的局在によって表されるミエリン化の量を決定できる。特定の実施形態では、薬剤は式Iの化合物の放射性同位体誘導体である。
患者におけるミエリン化が不十分であり得るかどうかを判定するため、ミエリン化レベルを、ミエリン関連ニューロパシーに罹患していないと考えられ又は知られている単数又は複数の被験体が示すミエリン化レベルと比較することができる。別の実施形態では、脱ミエリン化又は再ミエリン化の速度を測定することができる。脱ミエリン化を防止又は減速するか、或いはミエリン関連ニューロパシーに罹患している患者において再ミエリン化を促進すると考えられ又は予想される公知の又は提唱された治療剤で処置した後、治療剤で処置された患者において経時的にイメージングを行うことでミエリン化レベルを評価できる。イメージングは様々な時点で行い、ある時点でのミエリン化レベルを別の時点でのミエリン化レベルと比較することができる。
ミエリン関連ニューロパシーを示唆する陽性の結果は、対照試料におけるミエリン塩基性タンパク質の基線測定値に比べて、被験体のミエリン塩基性タンパク質の減少が統計的に有意であるようなものである。対照試料は、ミエリン関連ニューロパシーを伴わない類似の試料に由来するもの、又は経時的に測定された同じ被験体に由来するものであり得る。
さらに別の実施形態では、生検で採取された哺乳動物組織試料又はインビトロで培養された組織試料を、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤に接触させることができる。薬剤は、式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を含み得る。薬剤との接触を用いて、組織試料中におけるミエリン塩基性タンパク質の位置、存在又は量を決定できる。組織試料は、ミエリン関連ニューロパシーの立証又は意図されたモデルとして役立つように実験的に操作された被験体、或いはミエリン関連ニューロパシーの治療法として立証され又はかかる治療法である意図される1種以上の治療剤を投与された被験体から採取できる。かかる治療剤は、ミエリン化の機能及び過程並びにミエリンの機能不全及び修復を調べることを目的とする前臨床的評価又は基礎的神経科学研究に関連し得る。
生検又は培養組織の新鮮な凍結クリオスタット切片或いは固定若しくは包埋切片又は組織を、ミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤と接触させることができる。試料は、ミクロトーム、ビブラトーム又はクリオスタット調製のような各種の切片化技法を用いて調製できる。薬剤は、式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を含み得る。
ミエリン塩基性タンパク質に結合させた後、ミエリン塩基性タンパク質への特異的結合を排除することなく未結合ラベル及び非特異的結合ラベルを試料から除去するのに適した方法及び媒質で試料を洗浄することができる。
次いで、特に限定されないが、
蛍光顕微鏡検査、レーザー共焦点顕微鏡検査、交差偏光顕微鏡検査、オートラジオグラフィー、MRI、MRS又は他の適当可能な方法或いはこれらの任意の組合せを含む複数の検出、可視化又は定量化技法のいずれかを用いて、組織試料中のミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合した薬剤の存在又は量を評価し、そしてミエリン塩基性タンパク質の存在又は量を表すことができる。特定の実施形態では、薬剤は式Iの化合物、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を含み得る。薬剤による標識並びにその検出、可視化又は定量化はまた、ミエリン塩基性タンパク質以外の物質と特異的に結合する1種以上の他の化合物による標識並びにその検出、可視化又は定量化と共に実施することができる。
以下に示す非限定的な実施例により、本発明の様々な実施形態を記載する。
実施例1:神経組織切片の作製
坐骨神経、大腿神経、腕神経叢、三叉神経、視神経及び陰茎神経を含む各種の神経を雄Sprague Dawleyラット又は雄CD−1マウスから採取した。ホルマリンによる灌流及び/又は後固定によって組織を固定した。後固定に続いて、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に調製した20%スクロース溶液を用いて組織を凍結保護した。次いで、OCT媒体中でメタノール及びドライアイスを用いて神経をフラッシュ凍結した。場合によっては、PVDF膜を用いてOCT媒体中に神経を垂直に保った。Leicaミクロトーム上で薄切片(5〜10μm)をスライスし、−80℃のフリーザー内に貯蔵し、次いで抗体又は小分子化合物で染色した。
実施例2:抗体による神経組織切片の組織学的評価
基礎的な神経形態を確認するため、若干の神経をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。神経の連続切片を、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ミエリンタンパク質ゼロ(MPZ)、ミエリン関連糖タンパク質(MAG)及び末梢ミエリンタンパク質22(PMP22)並びにシュワン細胞タンパク質である2’,3’−サイクリックヌクレオチド3’−ホスホジエステラーゼ(CNPase)及びS100を含む一連のミエリンタンパク質に関して染色した。抗体販売者、カタログ番号及び希釈度を表Iに示す。神経は、自動Ventana Discovery XT免疫染色機(Roche社)上で染色した。非パラフィン包埋組織をセル・コンディショニング・ソリューションCC1(Ventana社)中で予備処理した。次いで、スライドを10%血清(二次抗体のホストによって決定された種)中でブロックした。一次及び二次抗体を手作業で適用し、免疫染色機上で加熱(37℃)し、途中ですすぎ洗いしながら1時間インキュベートした。次いで、スライドを免疫染色機から取り出し、Dawn皿洗い洗剤溶液ですすいでスライドから鉱油を除去した。次いで、スライドをVectashield(商標)マウンティング媒質によりカバースリップで覆った。すべての二次抗体はJackson ImmunoResearch Laboratories社から購入し、Cy3又はCy5とコンジュゲートし、1:200の希釈度で使用した。カバースリップで覆った後、各二次抗体にとって適したフィルターセットを使用しながら、20×のZeiss Axioimager顕微鏡上でスライドのイメージングを行った。
実施例3:小分子発蛍光団の光学的性質の測定
発蛍光団薬剤をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して10mMの原液を作製した。アリコートを取り、メタノール、水又はDMSO中で10nM〜1μMの発蛍光団溶液を調製した。3種の溶媒からの光学的測定値を求めた。吸光度スペクトルは、Perkin Elmer Lambda 20 UV/VIS分光計を用いて測定した。発光スペクトルは、PTI定常状態蛍光計を用いて生成した。
実施例4:発蛍光団による神経のエクスビボ染色
発蛍光団をDMSOに溶解して10mMの原液を作製した。神経組織切片を含むスライドをPBSで3回すすいだ。組織切片を、PBS又は99μLのDMSO、100μLのクレマフォア(cremaphor)、600μLのラット血清及び200μLのPBSで希釈した各発蛍光団の10μM溶液と共に20分間インキュベートした。次いで、スライドをPBSで5分間ずつ3回洗浄し、Vectashieldを用いてカバースリップで覆い、倍率20×のZeiss Axioimager顕微鏡上でイメージングを行った。特注フィルターキューブ(励起フィルター:11nm帯域幅の387nm、409nm二色ミラー;発光フィルター:409nmングパス)を用いて、形態検査用及び画像解析用の画像を収集した。
発蛍光団及び各種のミエリン抗体による神経の共染色も実施した。これらのスライドは、多少の修正を加えた上記と同じプロトコルを用いて、Ventana Discovery XT上で染色した。発蛍光団を一次抗体溶液に直接添加することで、10μMの最終発蛍光団濃度及び表I記載の最終抗体希釈度を得た。20×のZeiss Axioimager顕微鏡を用いてスライドのイメージングを行い、以下のようにして解析した。すべての場合に、生のタグド・イメージ・フォーマット(tagged image format)画像を使用した。発蛍光団チャンネルを表す各画像内に、神経含有組織、隣接組織及び組織なしの領域を含む複数の円形の検査対象区域を描画した。すべての検査対象区域は同一サイズであり、画像の全領域が表示された。二次抗体チャンネルにも、同一の共局在化した検査対象区域を描画した。各検査対象区域からの平均チャンネルシグナル強度を相互にプロットした。二次抗体チャンネルをX軸上にプロットし、薬剤チャンネルをY軸上にプロットした。次いで、回帰係数を計算した。
実施例5:ラット脳からの天然ミエリン塩基性タンパク質の単離
発蛍光団結合度のさらなる評価のためにラット脳からの精製ミエリン塩基性タンパク質を使用した。Cell Biology(2006)3.25.1−3.25.19中のCurrent Protocolsからの変法を用いて粗ミエリンを単離した。粗ミエリンからの天然ミエリン塩基性タンパク質の単離は、NeuroReport 5(994)689−692からのプロトコルに従って実施した。簡単に述べれば、雄Sprague Dawleyラットから3つのラット脳を切除し、72mlの冷0.30Mスクロース溶液中に入れ、さいの目に切り、ホモジナイズした。ホモジネートを等容の0.83Mスクロース溶液上に重ね、4℃で75000gの超遠心に30分間かけ、2種のスクロース溶液の界面から粗ミエリンを回収した。
回収したミエリン画分を(20mM Tris−Cl、pH7.45、2mM EDTAナトリウム、1mMジチオトレイトール及びプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む)Tris−Cl緩衝液中でホモジナイズすることで、それに浸透圧ショックを加えた。追加のTris−Clを添加して最終容量を228mlにした。懸濁液を4℃で75000gの遠心に15分間かけた。ペレットをさらに2回ホモジナイズし、そのたびに4℃で12000gの超遠心に15分間かけた。ペレットを72mlの0.3Mスクロース溶液中に再懸濁した。再懸濁したペレット上に等容の0.83Mスクロース溶液を重ね、試料全体を4℃で75000gの超遠心に30分間かけた。精製ミエリンを界面から回収し、228mlのTris−Cl緩衝液中に再懸濁した。上記にようにしてTris−Cl緩衝液中での追加のホモジネーション及び遠心を行うことで過剰のスクロースを洗い流した。
ミエリンペレットを5容の(冷500mMNaCl/20mM Tris−HCl/20mM β−メルカプトエタノール、pH8.5を含む)緩衝液1中に30分間再懸濁し、次いでJA20上において15000rpm20分間遠心した。これを2回繰り返した。ペレットを2%CHAPS溶液中に可溶化し、氷上で30分間インキュベートし、次いでBeckman 42.1ローター上において40000rpmで45分間遠心した。CHAPS抽出物を、1%CHAPS溶液で予め平衡化したヒドロキシアパタイトカラム(1.6×5cm)上に装填した。脂質結合MBPを非吸着通過画分中に溶出させた。AmiconフィルターYM3を用いて通過画分を濃縮した。濃縮物を、(1%CHAPS、20mM Tris−Cl、pH8.5、1mM β−メルカプトエタノール、1mMジチオトレイトール、0.5mM EDTA、0.5mM EGTA、1mM 1,10−フェナントロリン、1mM酢酸亜鉛を含む)緩衝液2で予め平衡化したスペクトラゲルAcA 44ゲル濾過カラム上に装填した。脂質結合MBPを濃縮し、50%硫酸アンモニウムを用いて塩析し、凍結乾燥し、窒素下4℃で貯蔵した。試料は、標準の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びウェスタンブロット法で試験した。ゲル電気泳動用の試薬及び標準品はInvitrogen社から入手した。商業的に入手できるマウスMBP(Sigma社)を対照として使用した。
実施例6:単離した天然ミエリン塩基性タンパク質への発蛍光団結合
Spectramax蛍光アッセイ:0.5nmolの発蛍光団を低蛍光96ウェルプレート中にピペットで注入した。Spectramax M5マルチモダリティープレートリーダー(Molecular Devices社)を用いて、吸光度並びにピーク吸光度波長で励起した場合の発光特性を走査した。それぞれ0.5nmol(1当量)及び2nmol(4当量)のウシ血清アルブミン及び天然MBPを発蛍光団に添加し、発蛍光団の吸光度及び発光特性を再測定した。
Blight−Dyer抽出:天然MBPの凍結乾燥試料を、20mM HepesでpH7.4に緩衝された0.5%CHAPS中に1mg/mLの濃度で再構成した。このタンパク質の400μL試料から、Blight−Dyer抽出法を用いて脂質を抽出した。簡単に述べれば、各200μLのタンパク質試料に750μLのクロロホルム:メタノール(1:2、v:v)を添加し、試料をよく渦動させた。次いで、250μLのクロロホルムを添加し、試料を渦動させた。次に、250μLの蒸留水を添加し、試料を再び渦動させ、次いで1000gで5分間遠心した。下方画分(脂質画分)を回収し、窒素下で乾燥した後、実験のために適した緩衝液中に再構成した。脂質画分を上記のSpectramax蛍光アッセイで試験することで、MBPの脂質成分に対する薬剤の特異的結合を排除した。
実施例7:インビボイメージング
AAALAC公認施設で飼育されたCD−1マウス(25〜40g)を秤量し、2.5%イソフロランでの導入及び維持によって麻酔した。動物を加温パッド上に仰向けに置いた。片手で皮膚をぴんと張りながら、30ゲージ注射針を備えた300μl注射器を用いて、配合物1(100%DMSO、10000gで20分間遠心)又は配合物2(リン酸緩衝食塩水中の10%DMSO、5%Chremophor EL(商標)、75%マウス血清、10000gで20分間遠心)中の薬剤を50μモル/kgの量で腹腔内又は静脈内(配合物IIのみ)に注射した。動物を麻酔から回復させ、4時間にわたり正常に活動させた。その時点で、2.5%イソフロランでの導入及び維持によって動物を麻酔した。上記にようにして、100μlのFatal Plus(ペントバルビタール)を注射した。胸腔及び腹部を開いた。下大静脈を切断し、12mlのリン酸緩衝食塩水を心臓穿刺を通して約1ml/秒で注入し、次いでリン酸緩衝ホルマリンを注入した。主要神経を露出させ、発蛍光団にとって適するフィルターセットを備えたZeiss Lumar V.12外科顕微鏡を用いてイメージングを行った。
若干の場合には、インビボイメージング後に神経組織切片のエクスビボ組織学的評価を実施した。主要神経を切除し、ホルマリンによる後固定を4℃で一晩行い、次いでリン酸緩衝食塩水中に調製した20%スクロース溶液を用いて凍結保護した。次いで、OCT媒体中でメタノール及びドライアイスを用いて神経をフラッシュ凍結した。Leicaミクロトーム上で薄切片(5〜10μm)をスライスし、−80℃のフリーザー内に貯蔵し、次いで抗体で染色した。抗体による染色方法は上記に記載した通りであった。
実施例8:式I〜式IIIに対する中間体の合成
各種の化合物を合成し、ミエリンを含むインビトロ又はインビボ試料への特異的結合に関して試験した。かかる化合物は、表IIに示す置換基パターンに基づいて類別された。BMB及びBDBは、結合度及び光学的性質を比較するために使用した。
上記の通り、式Ia及び式Ibは好ましい構造を有している。式Iaは、R2がOR1基に対してオルト位にある完全に共役した置換基上の電子供与基である構造を表している。R3は、OR1基に対してメタ位にありかつR2で置換された基に対してパラ位にある完全に共役した置換基上の電子求引基である。
式Ibは電子供与基及び電子求引基の位置が逆転した化合物であって、R2がOR1基に対してメタ位にある完全に共役した置換基上の電子求引基である。R3は、OR1基に対してオルト位にありかつR2で置換された基に対してパラ位にある完全に共役した置換基上の電子供与基である。
式IIIは、2つの電子供与基を有する化合物を表している。式IVは、2つの電子求引基を有する化合物を表している。
末端アミノ部分の導入は、下記のスキームに従って製造した新しい構成単位4−t−ブトキシカルバモイルベンジルホスホネートの使用で行った。
ホーナー・ウィティッヒオレフィン化のための一般手順:アルデヒド及びホスホネート(それぞれ1当量の官能基)を含む乾燥バイアルに、乾燥テトラヒドロフラン(0.2M反応体濃度に相当する5ml/mmol、二官能性に関しては生じたジエチルリン酸カリウムを可溶化するため後に反応の過程で追加のTHFが必要となることがある)を添加した。次いで、カリウムtert−ブトキシド(1.2当量/ホスホネート基)を添加し、混合物をN2下で60℃に加熱し、GC−MS又はLC−MSでモニターした。大抵の反応は、これらの条件下では1.5時間以内に完全に進行した。次いで、ロトエバポレーターを用いて反応混合物を濃縮し、ブラインで希釈し、ジクロロメタンで抽出した。乾燥した抽出液を濃縮し、粗生成物をシリカゲル上に吸着させ、ヘキサン−酢酸エチル、ヘキサン−ジクロロメタン又はジクロロメタン−メタノールの勾配を用いるMPLCで精製した。
ジエチル−4−アミノベンジルホスホネート:ジエチル−4−ニトロベンジルホスホネート(283mg、1.03mmol)をアセトン−水(2.9ml/0.6ml)に溶解した溶液にZn粉末(270mg、4eq.)を添加し、次いで塩化アンモニウム(330mg、6eq.)を添加した。反応物を約45℃まで加温し、次いで15分以内に室温に戻した。GC−MSは、30分までに完全な転化が起こったことを示した。水酸化アンモニウム(2ml、25%)及び酢酸エチル(3ml)を添加し、混合物をブライン(3ml)で洗浄し、有機層を分離した。水性層をEtOAcで2回抽出し、有機層を合わせて乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。橙色の油状物を20mtorr及び30℃で1時間乾燥した後、次の段階に供した。
ジエチル−4−t−ブトキシカルバモイルベンジルホスホネート:ジエチル−4−アミノベンジルホスホネート(0.499g、2.05mmol)を水性THF(6.5ml THF/1.6ml水、80/20 v/v)に溶解した溶液に、tert−ブトキシカルボニル無水物(495mg、1.1eq.)及び重炭酸ナトリウム(258mg、1.5eq.)を添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。ブライン(5ml)を添加し、混合物をEtOAcで抽出し、乾燥し、MPLC(ヘキサン/酢酸エチル 45〜100%)で精製した。LC−MS(ESI+):366(M+Na+);385(M+CH3CN+H+)。1H−NMR(CDCl3):1.23(t,J=12Hz,6H);1.52(s,10H);3.12(d,J=75Hz,2H);4.04(td,J=7Hz,0.8Hz,4H);6.58(brs,0.85H);7.22(dd,J=6Hz,0.8H,2H);7.36(d,J=6Hz,2H)。
4−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール:4−ブロモ−2−メトキシベンズアルデヒド(5.2g、24.2mmol)をメタノール(20ml)及びトリメチルオルトホルメート(14ml、5.5eq.)に溶解した溶液にp−トルエンスルホン酸(46mg、0.01eq.)を添加し、混合物を3時間還流した。炭酸カリウム(125mg、0.03eq.)及びシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で除去し、固体残留物を装填カラムに充填し、MPLC(ヘキサン−酢酸エチルの40〜80%勾配)で精製した。MS(EI+):262,260(1/1,M+,10%);231,229(1/1,90%);215,213(1/1,10%);199,170,150,118,92,75,45(100%)。
4−ホルミル−2−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール:上記の臭化アリール(5.99g、22.9mmol)を−30℃の乾燥エーテル(65ml)に溶解した溶液に微量の1,10−フェナントロリンを添加し、次いでn−BuLiの2.6Mヘキサン溶液を添加した。1.2mlの添加後、橙色〜桃色の着色によって示されるようにすべての水分が消費された。この時点で、10mlのn−BuLi溶液を添加し(1.09eq.)、混合物を0℃まで加温し、この温度で45分間撹拌した。淡い桃色〜橙色の懸濁液を−78℃に冷却し、N−ホルミルピペリジン(5ml、1.95eq.)を滴下して処理した。混合物を室温まで放温し、20℃で1時間撹拌した。水を添加し、有機層を水で3回及びブラインで1回洗浄した。水性排液をエーテルで抽出し、有機層を合わせて乾燥し、減圧下で濃縮することで、GC−MSによれば純度99%の所望生成物をほぼ定量的な収量で得た。MS(EI+):210(10%,M+);179(100%);163,135,119,91,75,45(90%)。
(E)−4−(4−(ジメトキシメチル)−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリル:THF(12ml)中の4−ホルミル−2−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール(452mg、2.15mmol)及び4−シアノベンジルジエチルホスホネート(545mg、1eq.)を含む乾燥バイアルに、カリウムt−ブトキシド(290mg、1.2eq.)を添加した。混合物は緑色に変わり、室温で10分以内にゲル状になった。混合物を穏やかに10分間還流し、ブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出した。溶液を乾燥し、粗生成物をEtOAcを用いてシリカゲルSPEカートリッジでフラッシュした。MS(EI+):309(12%,M+);278(100%);262,234,219,204(15%),190(20%),165,139,75,45(95%)。
(E)−4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリル:(E)−4−(4−(ジメトキシメチル)−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリル(70mg、0.227mmol)を水性THF(5ml水/25ml THF)に溶解した溶液にp−トルエンスルホン酸(1mg、0.02eq.)を添加し、混合物を3時間還流した。混合物を減圧下で濃縮し、EtOAc(3×)で抽出し、乾燥し、溶媒を真空中で除去することで、GC−MSによれば純度99%の所望生成物を得た。MS(EI+):263(100%,M+);246(40%),232,216,203(60%),190(65%),176,140,88。
式Iaの化合物の合成
tert−ブチル4−(4−(4−シアノスチリル)−2−メトキシスチリル)フェニルカルバメート:(E)−4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリル(142mg、0.54mmol)、ジエチル−t−ブトキシカルバモイルベンジルホスホネート(223mg、1.2eq.)及び乾燥テトラヒドロフラン(3ml)を含む乾燥バイアルに、グローブボックス内でカリウムt−ブトキシド(91mg、1.5eq.)を添加し、混合物をフードに戻し、60℃で90分間加熱した。混合物をブラインで希釈し、EtOAcで抽出し、乾燥し、MPLC(ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。収量:224mg(92%)。MS(ESI+):452(M+);475(M+Na+);495(M+CH3CN+H+)。
4−(4−(4−アミノスチリル)−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリル(式Ia、R1=CH3、R2=NH2、R3=CN):tert−ブチル4−(4−(4−シアノスチリル)−2−メトキシスチリル)フェニルカルバメート(27.4mg、60.6mmol)をジクロロメタン(4.8ml)に溶解した溶液にトリフルオロ酢酸(1.2ml)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、重炭酸ナトリウムの溶液で中和し、EtOAcで抽出した。粗生成物をMPLC(ジクロロメタン中1%トリエチルアミン、0〜2.5%メタノール勾配)で精製することで、LC−MSによれば純度>98%の所望色素を得た。MS(ESI+):352(M+);353(M+H+);394(M+CH3CN+H+)。1H−NMR(アセトン−D6):3.97(s,3H);4.8−4.95(br s,1H);5.67(d,J=20Hz,1H);6.70(dd,J=4Hz,0.4Hz,2H);7.14−7.40(m,8H);7.76−7.83(m−q−like,4H)。
メチル4−(4−(4−アミノスチリル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエート(式Ia、R 1 =CH 3 、R 2 =NH 2 、R 3 =CO 2 Me)の合成
ジメチル−4−カルボメトキシベンジルホスホネート:4−ブロモメチルメチルベンゾエート(2.29g、10mmol)及びトリメチルホスフィット(5.9ml、5eq.)の混合物を、撹拌しながら100℃で1.5時間加熱した。過剰のホスフィットを減圧下で除去し、残留油状物(GC−MSによれば純度99%)をそれ以上精製せずに次の段階で使用した。MS,m/e:258(M+,50%);227(60%);198(90%);162(35%);149(100%);121(42%);118(40%);109(58%);90(50%)。
メチル(E)−4−(4−(ジメトキシメチル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエート:この化合物は、一般的なホーナー・ウィティッヒ方法に従い、無水THF(15ml )中においてt−BuOK(404mg、1.2eq.)を塩基として使用しながら4−ホルミル−2−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール(630mg、3mmol)及びジメチル−4−カルボメトキシベンジルホスホネート(775mg、1eq.)から製造した。混合物を70℃で90分間加熱し、次いで前述のように処理し、ヘキサン/酢酸エチルの0〜30%勾配を用いるMPLCで精製した。収量:795mg(76%)。MS,m/e:342(M+)15%;311(M+−MeO,100%);294(5%);234(4%);164(12%);139(10%)。
メチル(E)−4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)ベンゾエート:この化合物は、(E)−4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)ベンゾニトリルの合成に関して記載した方法に従い、メチル(E)−4−(4−(ジメトキシメチル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエートの酸加水分解によって製造した。即ち、258mg(0.75mmol)のアセタールから、6ml THF/1.5ml水溶液中の1.7mgピリジニウムトリフレートの存在下で、30分間の還流及び冷却後にほぼ定量的収量(220mg)の所望生成物を綿毛状針状結晶の塊として得た。MS,m/e:296(M+,100%);264(15%);234(35%);164(45%);138,114,82(6%)。
tert−ブチル−4−(4−(4−カルボメトキシスチリル)−2−メトキシスチリル)フェニルカルバメート:乾燥バイアルに、メチル(E)−4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)ベンゾエート(222mg、0.75mmol)、ジエチル−4−t−ブトキシカルバモイルベンジルホスホネート(262mg、1.02eq.)及び乾燥テトラヒドロフラン(4ml)を添加した。グローブボックス内で固体カリウムt−ブトキシド(101mg、1.2eq.)を添加し、混合物をフードに戻し、70℃で90分間加熱した。混合物をブラインで希釈し、EtOAcで抽出し、乾燥し、MPLC(ヘキサン/酢酸エチル−10%ジクロロメタン、5〜80%勾配)で精製した。収量:300mg(82%)。MS(ESI+):485(M+);508(M+Na+);549(M+CH3CN+Na+)。
メチル4−(4−(4−アミノスチリル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエート(式I、R1=CH3、R2=NH2、R3=CO2CH3):tert−ブチル−4−(4−(4−カルボメトキシスチリル)−2−メトキシスチリル)フェニルカルバメート(300mg、0.62mmol)を42ppmのアミレンで安定化したジクロロメタン(48ml)に溶解した溶液にトリフルオロ酢酸(12ml)を添加し、混合物を室温で45分間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン中に取り、重炭酸ナトリウム溶液で中和し、水性相をジクロロメタンで抽出した。有機相を合わせてNa2SO4上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去することで、LC−MSによれば純度>98%の所望色素を得た。MS(ESI+):386(M+H+);427(M+CH3CN+H+)。
式Ibの化合物の合成
(E)−tert−ブチル4−(4−(ジメトキシメチル)−3−メトキシスチリル)フェニルカルバメート:THF(10ml)中の4−ホルミル−2−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール(408mg、1.93mmol)及びジエチル−4−t−ブトキシカルバモイルベンジルホスホネート(668mg、1eq.)を含む乾燥バイアルに、グローブボックス内でカリウムtert−ブトキシド(265mg、1.2eq.)を添加した。混合物をN2下に密封し、70℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。冷却した混合物にトリエチルアミン(0.5ml)を添加し、粗生成物を酢酸エチルで希釈し、シリカゲル上に吸着させた。生成物アセタールを、ヘキサン/酢酸エチルの10〜60%勾配を用いるMPLCで精製した。MS(ESI+):422(M+23,M+Na+)。収量:451.4mg(66%)。
(E)−tert−ブチル4−(4−ホルミル−3−メトキシスチリル)フェニルカルバメート:アセタール(451.4mg、1.13mmol)をTHF/H2O(6.6mlの80/20(v/v)、5.3ml THF/1.3ml H2O)に溶解した溶液に触媒量のピリジニウムトリフレート(2.6mg、0.01eq.)を添加し、混合物を60℃に3時間加熱した。この時点でのLC−MS(水/アセトニトリル、0.1%ギ酸アンモニウム)は、Boc基の喪失なしに完全な転化が起こったことを示した。粗混合物を減圧下でシリカゲル上に吸着させ、20〜60%B勾配を用いるMPLC(シリカ)で精製した。この場合、溶媒Aはヘキサンであり、溶媒Bは酢酸エチル中10%CH2Cl2であった。収量:319.1mg(46.8%)。H−NMR(アセトン−D6):1.52,(s,9H);4.06(s,3H);7.24(1H,d,J=16Hz);7.31(1H,d,J=6Hz);7.42−7.48(m,2H);7.62(4H,dd,J=15,6Hz);7.74(1H,d,J=6Hz);8.58(s,1H);10.42(s,1H)。
tert−ブチル4−(4−(4−シアノスチリル)−3−メトキシスチリル)フェニルカルバメート:乾燥バイアルに、(319.1mg、0.903mmol)、ジエチル−4−シアノベンジルホスホネート(233mg、1.02eq.)及び乾燥テトラヒドロフラン(4.7ml)を加えた。グローブボックス内で固体カリウムt−ブトキシド(121.5mg、1.2eq.)を添加し、混合物をフードに戻し、60℃で75分間加熱した。粗混合物を酢酸エチルで希釈し、シリカゲル上に吸着させ、ヘキサン(A)/酢酸エチル−10%ジクロロメタン(B)の20〜85%(B)勾配を用いるMPLCで精製することで、標記化合物をレモン色の固体(384mg、94%)として得た。MS(ESI+):452(M+);475(M+Na+);495(M+CH3CN+H+)。H−NMR(アセトン−D6):1.51(s,9H);4.01(s,3H);7.15−7.28(m,2H);7.3−7.42(m,2H);7.54−7.659m,4H);7.68−7.84(m,7H);8.53,(s,1H);C−NMR(アセトン−D6):55.14,79.26,100.81,118.26,124.37,127.12,128.96,132.45,139.64,142.82,152.73,157.70。
4−(4−(4−アミノスチリル)−2−メトキシスチリル)ベンゾニトリル(式Ib、R1=CH3、R2=NH2、R3=CN):上記のカルバメート(200mg、0.44mmol)を42ppmのアミレンで安定化した35mlのジクロロメタンに溶解した溶液にトリフルオロ酢酸(8.8ml)を添加し、混合物を室温で45分間撹拌した。アリコートの分析は完全な転化を示した。反応混合物を減圧下で蒸発乾固し、残留物をジクロロメタン中に取り、NaHCO3水溶液で洗浄し、有機相を分離し、粗生成物をシリカゲル上に吸着させ、ヘキサン(A)/ジクロロメタン+1%トリエチルアミン+1%MeOH(B)の10〜50%(B)勾配を用いるMPLCで精製した。MS(ESI+):352(M+);353(M+H+);394(M+CH3CN+H+)。
式IIの化合物の合成
メチル4−(4−(4−ジメチルアミノスチリル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエート(式I、R1=CH3、R2=N(CH3)2、R3=CO2CH3):アミノエステル(式I、R1=CH3、R2=NH2、R3=CO2CH3)(231mg、0.6mmol)を1,2−ジクロロエタン(6.1ml)に溶解した溶液に、ホルムアルデヒド(1.44ml、37%、3eq.)、氷酢酸(0.34ml、10eq.)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(385mg、3eq.)の水溶液を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。水(12ml)を添加した。有機相を分離し、水性相をジクロロメタンで抽出し、有機相を合わせて硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。収量:240mg(98%)。MS(ESI+):414(M+H+);455(M+CH3CN+H+)。
メチル4−(4−(4−ジメチルアミノスチリル)−3−メトキシスチリル)安息香酸(式II、R1=CH3、R2=N(CH3)2、R3=CO2OH):上記のメチル4−(4−(4−ジメチルアミノスチリル)−3−メトキシスチリル)ベンゾエート(240mg、0.58mmol)を0℃の無水THF(6ml)に溶解した溶液にLiAlH4(35mg、95%、1.5eq.)を添加し、混合物を35分間撹拌した。アリコートの分析は、所望生成物(式III、R1=CH3、R2=N(CH3)2、R3=CO2OH)への完全でクリーンな転化を示した。次いで、0℃で激しく撹拌しながら、ロッシェル塩の水溶液(10ml)を注意深く添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、乾燥し、減圧下で蒸発させた。残留物をシリカゲル上に吸着させ、ヘキサン/酢酸エチルの30〜60%勾配を用いるMPLCで精製した。収量:204mg(92%)。MS(ESI+):386(M+H+);427(M+CH3CN+H+)。
式IIIの化合物の合成
1,4−ビス(ブロモメチル)−2−メトキシベンゼン)の合成:NBS(N−ブロモスクシンイミド)(34.5g、190mmol)を無水CCl4中に懸濁した懸濁液に過酸化ベンゾイル(50mg)を添加した。反応懸濁液を窒素雰囲気下において還流CCl4で加熱し、一晩撹拌した。GCMS(2mlのCH2Cl2中100μl)によって反応を追跡した。1時間の加熱後、反応混合物は透明であったが、GCMSはほんのわずかな転化しか示さなかった。過酸化ベンゾイル(100mg)を再び添加し、さらに13時間還流した。次いで、反応物をGCMSで分析した。得られた反応物をブフナー漏斗で濾過することで、スクシンイミド並びに未反応のNBSを除去した。溶媒の除去によって淡褐色のケークが得られた。次いで、ケークをヘキサン(3×200ml)で洗浄した。洗液を合わせて蒸発させることで、白色の非晶質固体(6.83g、26%)を得た。GCMS(m/z):293(M+),213(分子イオン),133。(短い15分法、75−300oC、20oC/分で10分間昇温、300oCに5分間保持)。
テトラエチル(2−メトキシ−1,4−フェニレン)ビス(メチレン)ジホスホネートの合成:反応物を7mlバイアル内に構成し、過圧を避けるためにゆるく栓をした。7mlバイアル内に、臭化ジベンジルを12mlのP(OEt)3(3当量)と共に導入した。次いで、それを135℃の加熱ブロック中で一晩加熱した。GCMSは出発原料の完全な転化を示した。GCMS(m/z):408(M+),271,215,104。(保持時間:8.9分)。
4,4’−(1E,1’E)−2,2’−(2−メトキシ−1,4−フェニレン)ビス(エテン−2,1−ジイル)ビス(ニトロベンゼン)(式III、R1=CH3、R2=R3=NO2)の合成:NaH(150mg、4.17mmol)を仕込んだオーブン乾燥済みの三つ口丸底フラスコに、ジホスホネート(1.0g、2.45mmol)の溶液を添加した。まず、加熱ブロック及びGE Sunlamp 275Wを用いて反応混合物を窒素下で加熱した。可変変圧器を用いて温度を70℃に調整した。16時間の還流後、氷水を注意深く添加することで反応物を急冷した。真空下での蒸発及び得られた暗色の油状物の再結晶により、化合物を赤色の結晶質固体(40%、410mg)として得た。(出発ビスホスホネートが0.5mmolのスケールでは、84%の収率が得られた。)GCMS及び1H NMRによって生成物の正体が確認された。
BMBの合成:4,4’−(1E,1’E)−2,2’−(2−メトキシ−1,4−フェニレン)ビス(エテン−2,1−ジイル)ビス(ニトロベンゼン)(1.0g、2.49mmol)、亜鉛粉末(2.87g、19.8mmol)及びNH4Cl(1.7g)をアセトン及び水の混合物(1.5L)(4:1)中に懸濁し、激しく撹拌しながら窒素雰囲気下で1.5時間還流した。次いで、反応混合物を冷却し、濾過し、真空中で減量した。NaOHペレットを添加することでpHを12〜13(pH紙)に調整し、次いでEtOAc(2×300ml)及びCH2Cl2(2×300ml)で抽出した。有機層を合わせてNa2SO4上で乾燥し、濾過し、蒸発させることで、赤色の粘稠な油状物(2.08g)を得た。次いで、SiO2上でヘキサン、酢酸エチル及びDIPEA(勾配:20〜100%のEtOAc)を用いるMPLCでBMBを精製した。主ピークに対応する画分を集め、合わせて蒸発させることで、赤橙色の固体(650mg、72%)を得た。1H NMRによってBMBの正体が確認された。
式Iの化合物の放射性同位体誘導体を製造し、放射性イメージングによってイメージングを行うことができる。別法として、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を製造することができる。特定の実施形態では、R1=CH2CH2OTs(式中、Tsはトシレートである)を有する式Iの化合物を、18F(PET)又は124I(SPECT)による放射性標識のための前駆体として使用できる。トシレート脱離基に対する他の選択肢は、放射性標識分野で一般に知られているようにして選択できる。さらに、R1=CF3又はC1〜C4ペルフルオロアルキルである式Iの化合物を19Fに基づくMRIのために使用でき、またR113Cメチル又は13C濃縮C1〜C4アルキルである式Iの化合物を13Cに基づくMRIのために使用できる。これらの化合物は、本明細書中に記載した一般的方法に従って製造できるか、或いはR1=Hである式Iの前駆体を介して求核性アルキル化で得ることができる。
別法として、式Iの化合物の13C標識誘導体は、式Iの化合物のアミノ官能基を13C濃縮ヨウ化メチル又は同様なC1〜C4アルキル化剤でアルキル化することで製造できる。式Iの化合物の19F誘導体は、式Iの化合物のアミノ官能基をC1〜C4フルオロ若しくはペルフルオロアルキルハライド、メシレート又はトシレートでアルキル化するか、ペンタフルオロフェニルベンゾイルクロリドのようなフルオロアシルハライドと反応させて対応するアミドを得るか、或いはカルボニル成分が13C又は19F部分を有する場合には還元アミノ化することで製造できる。他の実施形態では、式Iのアミン部分をアルキル化して2−ヒドロキシエチル誘導体を製造し、そのトシレート又はメシレートを18F(PET)及び124I(SPECT)による放射性標識のための前駆体として使用できる。
結果及び観測値
各種化合物の蛍光励起及び発光ピーク並びに相対結合度を表IIIに示す。
神経組織切片のヘマトキシリン及びエオシン染色の検査により、特徴的な神経形態を同定できることが明らかになった。各神経又は神経束は大きい円又は1群の大きい円として現れ、その内部に小さいドーナツ形のミエリン化軸索が確認できる。神経の連続切片を様々なミエリンタンパク質抗体で染色し、染色パターン及び形態をBMBの場合と比較した。
表IVには、免疫組織化学及びBMB染色が要約されている。単一の「+」は、陽性の染色シグナルが存在するが、抗体染色とBMB染色との間でパターンが異なることを示している。「+++」は、陽性のシグナル及び類似の形態を示している。「−」は、染色シグナルが存在しないことを示している。表IVに示される通り、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)は試験した様々な神経のすべてを通じてBMBの染色パターン及び形態と最もよく相関していた。
図1AはMBP抗体による三叉神経の切片の染色を示している一方、図1BはBMBによる三叉神経染色を示している。BMBによる結果は、MBP抗体の場合と同じである。ドーナツ形の構造はミエリン化神経線維である。図2は、坐骨神経及び三叉神経組織切片を式Ia、式Ib、式II及び式IIIからの薬剤例で染色した場合に得られた代表的な画像を示している。薬剤を用いない神経を含む対照スライド(図示せず)は、同じイメージング条件下で陰性であった。図示の通り、式Ia及び式Ibの薬剤による染色は、式II及び式IIIの薬剤に比べてミエリン塩基性タンパク質の可視化を増加させた。
薬剤を前臨床動物モデルに全身注射した場合、インビボイメージングは、前臨床動物モデルに全身注射された薬剤の一部が腕神経叢、顔面神経、三叉神経、横隔神経、迷走神経及び視神経を含む複数の組織中の神経に局在化することを明らかにした。隣接する筋肉組織は、非常に低いバックグラウンド結合度を有していた。発蛍光団を投与しない陰性対照動物の神経は、蛍光シグナルを有していなかった。図3は、式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)によるマウス外科モデルの三叉神経及び視神経の蛍光インビボイメージングを示している。薬剤のインビボ性能は、特に限定されないが、薬剤のミエリン結合性、血液神経関門透過性、代謝、血漿結合性、半減期、溶解度及びクリアランス速度を含む複数の因子の組合せである。エクスビボアッセイで神経組織切片を染色しなかった薬剤は、通例はインビボで試験しなかった。式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CO2CH3)及び(R1=CH3、R2=N(CH3)2及びR3=CN)の化合物は、インビボで神経を染色しなかった。式Ib(R1=CH3、R2=CN及びR3=NH2)はインビボで神経を染色した。BMBはインビボで神経を染色した。式II(R1=CH3、R2=N(CH3)2及びR3=N(CH3)2)、(R1=CH3、R2=OCH3及びR3=OCH3)及び(R1=CH3、R2=N(CH2)2CH3及びR3=N(CH2)2CH3)は、インビボで神経を染色しなかった。式II(R1=CH3、R2=SCH3及びR3=SCH3)は注射時に沈殿した。式II(R1=CH3、R2=N(CH3)2及びR3=CH2OH)は、インビボで弱い神経シグナルを示した。
若干の場合には、インビボ蛍光イメージング後に神経を切除した。神経を免疫組織化学的分析のために切片化した。図4は、マウスの三叉神経上におけるMBPシグナルの位置と発蛍光団BMB及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の位置との相関関係を示している。BMB又は式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)を生きているマウスに投与し、クリアランス及び生体分布のために十分な時間の後、神経を切除し、切片化し、次いでMBP抗体で染色した。図4は、動物に全身投与された発蛍光団と、神経切片上にエクスビボで投与されたMBP抗体との強い共局在を示している。式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)に関しては、発蛍光団染色とMBP抗体染色との間の相関係数は0.953であり、薬剤がミエリン塩基性タンパク質を標的としていることを強く支持している。
ラット脳から天然のミエリン塩基性タンパク質を精製し、生化学的アッセイで使用した。天然MBPはBMB及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の蛍光特性を変化させ、発蛍光団とMBPとの緊密な相互作用を示唆していた。図5は、BMB及び式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の励起及び発光特性が天然MBPとの結合で増強されたことを示している。その増強は、BMBよりも式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)においてはるかに顕著であった。
ベンゼン環のπ二重結合軌道及びオレフィン性置換基を介しての共役は、電子が式Iを横切って電子供与基R2から電子供与基R3に流れるための経路を提供し得る。このような電子の流れは、蛍光シグナルの一層顕著な増強に寄与し得る。
発蛍光団が天然MBPと結合した脂質と相互作用していた可能性を排除するため、クロロホルム:メタノール抽出を用いるBlight−Dyer法(Biochimie,1977,59,487−96)に従って天然MBPから脂質を抽出した。次いで、Spectramax M5マイクロプレートリーダーを用いる生化学的アッセイで抽出した脂質を使用することで、式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の蛍光特性の同様な増強が観測されるかどうかを判定した。図6は、式Ia(R1=CH3、R2=NH2及びR3=CN)の蛍光発光が天然MBPの存在下でのみ増強し、抽出した脂質又はBSA(ウシ血清アルブミン)の存在下では増強しなかったことを示している。結果は、薬剤がミエリン塩基性タンパク質成分と特異的に結合し、脂質成分とは結合しないことを示唆している。
式I(R 1 =CH 3 、R 2 =NH 2 及びR 3 =SO 2 CH 3 )の合成
スキーム2に略示した変換方法に従って式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3)を製造した。アルデヒド3及びホスホネート5の製法は、米国特許出願第12/478300号に記載されている。
ジエチル4−メチルスルホニルベンジルホスホネート2b:
4−メチルスルホニルベンジルブロミド2a(1g、4mmol)をトリエチルホスフィット(2.8ml、16mmol)に溶解した溶液を2時間かけて100℃まで加温した。GC−MSは完全な転化が起こったことを示した。混合物を真空下で揮発分除去することで、所望生成物を淡黄色の油状物(1.22g、99%)として得た。GC−MS(EI+):306(M+),278,263,250,227,199,183,170,124,109,107(100%),104,97,90。
(E)−2−メトキシ−4−(4−(メチルスルホニル)スチリル)ベンズアルデヒド4:
2下でホスホネート2(579mg、1.89mmol)を含む乾燥バイアルに乾燥THF(4ml)を添加し、次いでt−BuOK(250mg、2.268mmol)を3mlの乾燥THFに溶解した溶液を添加した。室温で5分間撹拌した後、アルデヒド3を3mlの乾燥THFに溶解した溶液を滴下し、混合物を60℃の浴温で2時間撹拌した。N2流下で反応物の体積を減少させ、酢酸エチル及びブラインを添加し、水性相のpHを希(0.1N)HClで3に調整した。混合物を振盪し、相を分離し、水性相を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥した。乾燥剤を濾別し、シリカゲル60を添加し、化合物をシリカゲル上に吸着させ、ジクロロメタン−酢酸エチルの5〜30%(v/v)勾配を用いるMPLCで精製した。黄色固体、504mg(74%)。LC−MS(ESI+):317(M+H+),358(M+CH3CN+H+).NMR(CD2Cl2):10.46(s,1H),7.97(2H,dd,J=8.2,0.8Hz),7.85(1H,J=8.6Hz),7.78(2H,dd,J=8.2,0.8Hz),7.35(2H,d,J=0.8Hz),7.28(1H,d,J=12.6Hz),7.21(1H,d,J=0.8Hz),4.04(3H,s),3.09(3H,s)。
tert−ブチル4−(2−メトキシ−4−(4−(メチルスルホニル)スチリル)スチリル)フェニルカルバメート6:
THFに対するアルデヒド4の溶解性が悪いので、次のように改変したオレフィン化方法を使用した。N2下で乾燥THF(1ml)中にホスホネート5(105mg、0.3075mmol)を含む乾燥バイアルに、t−BuOK(40.3mg、0.36mmol)を0.25mlのTHFに溶解した溶液を添加し、次いでt−BuOKをすすいだ0.25mlのTHF洗液を添加した。青色の混合物をN2下で室温で5分間撹拌し、次いで乾燥THF(1ml)中におけるアルデヒド4の溶液−懸濁液にカニューレを通して添加した。添加の完了後、赤れんが色の溶液を62℃の浴温で1時間撹拌した。この時点でのLC−MSは、所望生成物への非常にクリーンで完全な転化を示した。生成物は、THFを除き、大抵の常用溶媒に対する溶解性が悪い。反応混合物を回転蒸発で乾燥し、過剰の塩基をドライアイスの小片で中和し、固体をCO2ブランケット下に一晩放置した。次いで、それをTHFに溶解し、シリカゲル上に吸着させ、ヘキサン−THFの40〜80%勾配を用いるMPLCで精製した。化合物は60%(v/v)THFで淡橙色の固体(124mg(83%))として溶出する。MS(ESI+):505(M+),528(M+Na+)。H−NMR(アセトン−D6):8.47(1H,s),7.93(2H,d,J=8.5Hz),7.85(2H,d,J=8.5Hz),7.68(1H,d,J=8Hz),7.57(2H,d,J=8.5Hz),7.51(2H,d,J=8.1Hz),7.47(1H,s),7.42(2H,dd,J=12,3.2Hz),7.34(1H,s),7.28−7.23(2H,m),3.98(3H,s),3.12(3H,s),1.49(9H,s)。C−NMR(アセトン−D6):158.21,153.81,143.82,140.39,138.16,133.27,130.02,128.83,128.01,127.59,127.32,122.03,121.01,119.35,80.26,56.20,44.56,28.69。
4−(2−メトキシ−4−(4−(メチルスルホニル)スチリル)スチリル)アニリン(式I、R 1 =CH 3 、R 2 =NH 2 及びR 3 =SO 2 CH 3 ):
40ppmのアミレンを含むジクロロメタン(0.8ml)にBoc−3111(6、16.4mg、32.4μmol)を溶解した溶液にTFA(0.2ml)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。LC−MS分析は、非常にクリーンで完全な脱保護を示した。溶媒をN2流でストリッピングし、化合物を0.2mlのTHFに溶解し、シリカSPEカートリッジ上に吸着させた。ヘキサンによる初期溶出の後、50μlのトリエチルアミンを添加してTHFで溶出することで、10.5mg(81%)の所望色素を暗赤色の固体として得た。MS(ESI+):406(M+H+),447(M+CH3CN+H+)。
スキーム3に略示した合成変換方法に従って、ホスホネート8及び(アルデヒド3の異性体である)アルデヒド9を含む数種の他の中間体を製造した。
2−(トリメチルシリル)エチル4−((ジエトキシホスホリル)メチル)フェニルカルバメート8:
ジエチル4−アミノベンジルホスホネート(922mg、3.8mmol)をジクロロメタン(12.6ml)に溶解した溶液にトリエチルアミン(2.60ml、19mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌し、次いでスクシンイミジルTEOC(985mg、3.876mmol)を一度に添加し、混合物を室温で40時間撹拌した。溶液をブライン(3×)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、シリカゲル上に吸着させ、ヘキサン−酢酸エチルの50〜100%勾配を用いるMPLCで精製した。低温でろう状に凝固する無色油状物。収量:822mg(56%)。注記:後続の画分は純度99%未満の追加生成物522mgを与えた。MS(ESI+):388(M+H+),410(M+Na+)。NMR(CD2Cl2):7.39(2H,d,J=8.3Hz),7.23(2H,dd,J=17.4,2.2Hz),4.24−4.28(2H,m),4.02−4.06(2H,m),3.12(2H,d,J=23.2Hz),1.28(6H,J=7.2Hz),1.06(2H,m),0.1(9H,s)。C−NMR(CD2Cl2):153.76,137.51(d,J=3.7Hz),130.16(d,J=6.6Hz),126.12(d,J=8.8Hz),118.61,63.18,62.03(d,J=6.6Hz),33.47,32.10,17.68,16.19(d,J=5.8Hz),−1.86。
4−ブロモ−3−メトキシベンズアルデヒド:
2−ブロモ−5−ヨードアニソール(5g、16mmol)及び1,10−フェナントロリンの結晶(指示薬)を乾燥Et2O(45ml)に溶解した溶液をドライアイス−アセトン浴中で−78℃に冷却した。n−BuLiの溶液(ヘキサン中2.5M)を、終点に達するまで滴下した(7.8ml)。混合物をこの温度で撹拌し、その間に濃厚なスラリーが生じた。懸濁液に乾燥N−ホルミルピペリジン(3.46ml、31.2mmol)を注射器で添加し、混合物を30分かけてゆっくりと室温まで放温した。この時点でのGC−MSはヨウ化アリールの不存在を示した。反応混合物を1N HCl(2回)及びブライン(1回)で洗浄し、水性相をエーテルで抽出し、有機相を合わせてNa2SO4上で乾燥し、溶媒をロトバップ上で除去して淡黄色の油状物を得、これをそのまま次の段階に供した。注記:アリコートを少量の冷メタノールで洗浄したところ、白色の結晶質生成物が得られた。MS(EI+):216(M+,100%),214(M+,100%),215,213,201,199,187,185,172,170,157,155,145,143,119,105,92,77,63。
4−(ジメトキシメチル)−2−メトキシメトキシベンズアルデヒド9:
上記の粗アルデヒド(3.4g、15.8mmol)をメタノール(62ml)及びトリメチルオルトホルメート(17ml、158mmol)に溶解した。p−トルエンスルホン酸一水和物(300mg、0.158mmol)を添加し、混合物を3時間還流した。室温に冷却した後、1さじの固体NaHCO3を添加し、混合物を10分間撹拌し、シリカゲル上に吸着させ、ヘキサン−酢酸エチル(20〜60%EtOAc)で溶出するMPLCで精製した。収量:3.81g(92%)の淡黄色油状物であって、これを次の段階に供した。MS(EI+):262(M+),260(M+),231(100%),229(100%),216,215,214,213,122,75。
上記の臭化アリール−アセタール(3.812g、14.6mmol)及び1,10−フェナントロリンの結晶(指示薬)を−78℃(アセトン−ドライアイス浴)の乾燥エーテル(41ml)に溶解した溶液に、n−BuLiのヘキサン溶液(2.5M)を当量(6.3ml)までゆっくりと添加した。5分後、ドライアイス−アセトン浴をアセトニトリル−ドライアイス浴と交換し、混合物を−40℃の内温で45分間撹拌した。この時点で、N−ホルミルピペリジン(3.16ml、28.47mmol)を注射器で添加し、混合物を1時間かけて室温まで放温した。次いで、水を注意深く添加し、有機層を水(3×)及びブライン(1回)で洗浄し、水性相をエーテルで抽出し、有機相を合わせて乾燥し(Na2SO4)、粗生成物を
ヘキサン/酢酸エチル(5〜40%(v/v)、次いで60%(v/v)EtOAc)で溶出するMPLCで精製した。収量:2.604g(85%)の無色油状物。MS(EI+):210(M+),179(100%),163,151,135,119,108,91,75。
スキーム4に略示した変換方法に従って式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CF3)を製造した。Boc保護アミノアルデヒドが使用できるが、代わりにTEOC保護アミノアルデヒド10を使用した。
所要のジエチル−4−トリフルオロメチルスルホニルベンジルホスホネートは、下記の手順に従って製造した。
5.11gの臭化ベンジルに12mlのトリエチルホスフィットを添加した。得られた溶液を80℃で4時間加熱した。反応混合物を窒素流下で濃縮し、次いで大きいシリカゲルカラム(約250mlのシリカ)上で精製した。かかるカラムを80/20ヘキサン/CH2Cl2で溶出すると共に、CH2Cl2の比率を増加させ、最後にMTBEを加えて生成物を溶出した。収量は定量的であった。1H NMR(CDCl3):7.61ppm(2H,d,J=8.0Hz),7.37ppm(2H,dd,J=8.3,2.4Hz),4.04ppm(4H,dq,J=1.5,7.1Hz),3.18ppm(2H,d,J=22Hz),1.30ppm(6H,t,J=7.1Hz)。13C NMR(CDCl3):136.5ppm(d,J=2.9Hz),135.2ppm(d,J=9.5Hz),130.9ppm(d,J=6.6Hz),129.5ppm(dq,J=2.9,307Hz),122.8ppm(m),62.3ppm(d,J=6.6Hz),33.7ppm(d,J=138Hz),16.3ppm(d,J=6.6Hz)。
5mlのCHCl3中の0.50gのスルフィドに0.266gのMCPBAを添加し、反応混合物を室温で60時間撹拌した。HPLCで分析したアリコートは、2つの主ピークを示した。さらに0.060gのMCPBAを添加し、反応物を24時間撹拌した。反応混合物を窒素下で濃縮し、15mlのMTBEで処理し、約6mlの0.8M NaHCO+で、さらに約4mlの0.8M NaHCO+で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカゲルカラム及び100%CH2Cl2で始まって100%MTBEで終わる勾配を用いるISCO分取システム上でそれを精製した。収量は定量的であった。1H NMR(CDCl3):7.98ppm(2H,d,J=8.2Hz),7.61ppm(2H,dd,J=2.3,8.5Hz),4.06ppm(4H,dq,J=8.1,7.1Hz),3.28ppm(2H,d,J=22.5Hz),1.25ppm(6H,t,J=7.1Hz)。13C NMR(CDCl3):142.2ppm(d,J=9.3Hz),131.3ppm(d,J=6.1Hz),130.9ppm(d,J=2.2Hz),129.6ppm(m),119.7ppm(q,J=325.8Hz),62.5ppm(d,J=7.0Hz),34.3ppm(d,137.1Hz),16.3ppm(d,J=5.9Hz)。
(E)−2−(トリメチルシリル)エチル4−(4−ホルミル−2−メトキシスチリル)フェニルカルバメート10:
ホスホネート8(537.5ml、1.346mmol)を含む乾燥バイアルに乾燥THF(3ml)を添加し、次いでt−BuOK(180mg、1.607mmol)をTHF(2ml)に溶解した溶液を添加し、混合物を室温で5分間撹拌した。次いで、アルデヒド9(278mg、1.32mmol)をTHF(2ml)に溶解した溶液を滴下し、混合物をN2下において64℃の浴温で2時間撹拌した。混合物を氷で冷却し、pHをNaHSO4で5.5に調整し、次いでNaHCO3で7に調整し、飽和ブラインを添加し、混合物を酢酸エチル(4×)で抽出した。溶媒をロトバップ上で除去し、得られた油状物をTHF(925ml)及び水(5ml)に溶解した。触媒量のピリジニウムトリフレート(3mg)を添加し、混合物を60℃で75分間撹拌した。固体NaHCO3(50mg)を添加して5分間撹拌した後、溶液をロトバップ(最終圧力10torr)上で蒸発乾固し、黄色の固体をシリカゲル上に吸着させ、MPLC(ヘキサン−THF)で精製した。MS(ESI+):397(100%,M+),398(28%),299(6%)。H−NMR(CD2Cl2):9.98(1H,s),7.79(1H,d,J=7.8Hz),7.56(2H,d,J=8.6Hz),7.50(2H,dd,J=9.2,0.9Hz),7.44−7.47(3H,m),7.28(1H,d,J=16.6Hz),6.81(1H,br s),4.27−4.32(2H,m),4.00(3H,s),1.08−1.12(2H,m),0.11(9H,s)。
2−(トリメチルシリル)エチル4−(2−メトキシ−4−(4−(トリフルオロメチルペルオキシチオ)スチリル)スチリル)フェニルカルバメート:
ジエチル4−トリフルオロメチルスルホニルベンジルホスホネート(91.3mg、0.253mmol)を乾燥THF(0.25ml)に溶解した溶液に、t−BuOK(31mg、0.277mmol)をTHF(0.25ml、次いで0.25mlの洗液)に溶解した溶液を添加し、溶液を室温で5分間撹拌した。次いで、アルデヒド10(98.5ml、0.248mmol)をTHF(1ml、次いで2×0.25mlの洗液)に溶解した溶液を添加し、溶液をN2下において60℃で90分間撹拌した。混合物をTHFで希釈し、粉末ドライアイスで注意深く中和した。次いで、粗混合物をシリカゲル上に吸着させ、ヘキサン−THFの30〜10%THF勾配を用いる12g Gold Labelカラムスタック上でのMPLCで精製した。収量:106mg(69.5%)。MS(ESI+):604(M+H+)。
4−(2−メトキシ−4−(4−(トリフルオロメチルペルオキシチオ)スチリル)スチリル)アニリン(式I(R 1 =CH 3 、R 2 =NH 2 及びR 3 =SO 2 CH 3 )):
40ppmのアミレンを含むジクロロメタン(0.8ml)に上記のTEOC−11(10.7mg、17.75μmol)を溶解した冷(℃)溶液にTFA(0.2ml)を滴下し、混合物を約30分かけてゆっくりと室温まで放温し、全部で90分間撹拌した。LC−MSは、所望生成物への完全で非常にクリーンな転化を示した。揮発分を窒素流でストリッピングし、暗色の残留物をジクロロメタンに再溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥し、溶媒をN2流で再びストリッピングすることで、クリーン(99%積分値)な生成物を暗橙色の粉末(7.5mg、92%収率)として得た。MS(ESI+):460(M+H+).H−NMR(CD2Cl2):8.03(2H,d,J=8.5Hz),7.83(2H,d,J=8.5Hz),7.64(1H,d,J=8.1Hz),7.38−7.42(3H,m),7.32(1H,d,J=16.4Hz),7.21−7.25(1H,ddJ=8.1Hz,1.5Hz,flanked by 1H,d,J=16.4Hz),7.14(1H,m,flanked by 1H,d,J=16.4Hz),6.71(2H,d,J=8.3Hz),5.36(1H,m,J=1Hz),3.99(3H,s)。
式Iの化合物の放射性同位体誘導体を製造し、放射性イメージングによってイメージングを行うことができる。別法として、式Iの13C濃縮化合物又は式Iの19F標識誘導体を製造することができる。特定の実施形態では、R1=CH2CH2OTs(式中、Tsはトシレートである)を有する式Iの化合物を、18F(PET)による放射性標識のための前駆体として使用できる。トシレート脱離基に対する他の選択肢は、放射性標識分野で一般に知られているようにして選択できる。さらに、R1又はR3=SO2CF3又はC1〜C4ペルフルオロアルキルである式Iの化合物を19Fに基づくMRIのために使用でき、またR1又はR313Cメチル又は13C濃縮C1〜C4アルキルである式Iの化合物を13Cに基づくMRIのために使用できる。
別法として、式Iの化合物の13C標識誘導体は、式Iの化合物のアミノ官能基を13C濃縮ヨウ化メチル又は同様なC1〜C4アルキル化剤でアルキル化することで製造できる。式Iの化合物の19F誘導体は、式Iの化合物のアミノ官能基をC1〜C4フルオロ若しくはペルフルオロアルキルハライド、メシレート又はトシレートでアルキル化するか、ペンタフルオロフェニルベンゾイルクロリドのようなフルオロアシルハライドと反応させて対応するアミドを得るか、或いはカルボニル成分がC又は19F部分を有する場合には還元アミノ化することで製造できる。他の実施形態では、式Iのアミン部分をアルキル化して2−ヒドロキシエチル誘導体を製造し、そのトシレート又はメシレートを18F(PET)による放射性標識のための前駆体として使用できる。
結果及び観測値
各種化合物の蛍光励起及び発光ピーク並びに相対結合度を表Vに示す。「+++」は、エクスビボ組織化学的アッセイによる神経結合度を示している。
神経組織切片のヘマトキシリン及びエオシン染色の検査により、特徴的な神経形態を同定できることが明らかになった。各神経又は神経束は大きい円又は1群の大きい円として現れ、その内部に小さいドーナツ形のミエリン化軸索が確認できる。神経切片を発蛍光団で染色した。図7は、発蛍光団による三叉神経、坐骨神経及び大腿神経の染色を示している。図示の通り、ドーナツ形のミエリン化構造が見られる。薬剤を用いない神経を含む対照スライド(図示せず)は、同じイメージング条件下で陰性であった。
薬剤を前臨床動物モデルに全身注射した場合、インビボイメージングは、前臨床動物モデルに全身注射された薬剤の一部が腕神経叢、顔面神経、三叉神経、横隔神経、迷走神経及び視神経を含む複数の組織中の神経に局在化することを明らかにした。隣接する筋肉組織は、非常に低いバックグラウンド結合度を有していた。発蛍光団を投与しない陰性対照動物の神経は、蛍光シグナルを有していなかった。図8は、式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3)によるマウス外科モデルの腕神経叢神経の蛍光インビボイメージングを示している。薬剤のインビボ性能は、特に限定されないが、薬剤のミエリン結合性、血液神経関門透過性、代謝、血漿結合性、半減期、溶解度及びクリアランス速度を含む複数の因子の組合せである。エクスビボアッセイで神経組織切片を染色しなかった薬剤は、通例はインビボで試験しなかった。
ラット脳から天然のミエリン塩基性タンパク質を精製し、生化学的アッセイで使用した。天然MBPは式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3又はSO2CF3)の蛍光特性を変化させ、発蛍光団とMBPとの緊密な相互作用を示唆していた。図9は、式I(R1=CH3、R2=NH2及びR3=SO2CH3又はSO2CF3)の蛍光発光強度が天然MBPとの結合で増強されたことを示している。変性MBPとの結合は蛍光強度の顕著な増強をもたらさなかった。ベンゼン環のπ二重結合軌道及びオレフィン性置換基を介しての共役は、電子が式Iを横切って電子供与基R2から電子供与基R3に流れるための経路を提供し得る。このような電子の流れは、蛍光シグナルの一層顕著な増強に寄与し得る。
本発明は、その技術思想又は本質的な特徴から逸脱することなしに他の特定の形態で実施できる。したがって、上記の実施形態はずべての点において本明細書中に記載された発明を限定するものではなく例示するものと見なすべきである。かくして、本発明の技術的範囲は上記の記載ではなく添付特許請求の範囲によって表され、したがって特許請求の範囲の意味及び同等性の範囲内にあるすべての変更はそれに包含されるものとする。

Claims (15)

  1. ミエリン関連ニューロパシーの検出方法に用いられるイメージング剤であって、当該イメージング剤が、次の式Iの化合物、次の式Iの13C濃縮化合物、次の式Iの19F標識誘導体又は次の式Iの放射性同位体誘導体を含んでおり、前記検出方法が、
    ミエリン関連ニューロパシーのリスクがある被験体又はミエリン関連ニューロパシーに罹患していると診断された被験体を同定する段階、
    イメージング剤を被験体に投与する段階、
    被験体内に存在するイメージング剤を検出することで被験体内のミエリン化を測定する段階、及び
    被験体内のミエリン化を対照試料と比較する段階であって、被験体内のイメージング剤レベルの方が低いことがミエリン関連ニューロパシーを表す段階
    を含んでいる、イメージング剤。
    (式中、R1はアルキル基であり、
    2が電子供与基でありかつR3が電子求引基であるか、或いは
    2が電子求引基でありかつR3が電子供与基である。)
  2. 当該イメージング剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で測定して、100nm以上のストークスシフトを示す、請求項1記載のイメージング剤。
  3. 1が炭素原子数1〜6の低級アルキル基であり、電子供与基が第一アミノ、第二アミン、第三アミン又はアルコキシであり、電子求引基がニトリル基又はエステルである、請求項1又は請求項2記載のイメージング剤。
  4. 1がアルキル基であり、R2が電子供与基であり、R3が−SO24(式中、R4はアルキル、置換アルキル、アミン又は置換アミンである。)である、請求項1又は請求項2記載のイメージング剤。
  5. 投与が、静脈内注射、腹腔内注射、皮下注射、筋肉内注射、鞘内注射、大脳内注射、脳室内注射、脊髄内注射又はこれらの組合せからなる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のイメージング剤。
  6. 検出が、γ線イメージング、MRI、MRS、CEST、PARACEST又はこれらの組合せによって実施される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のイメージング剤。
  7. さらに、被験体内のイメージング剤の量を定量化する段階を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のイメージング剤。
  8. ミエリン関連疾患が、多発性硬化症、ギヤン−バレー症候群、白質萎縮症、異染性白質萎縮症、レフスム病、腺白質萎縮症、クラッベ病、フェニルケトン尿症、カナバン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、アレグザンダー病、糖尿病性ニューロパシー、化学療法誘発ニューロパシー又はこれらの組合せからなる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のイメージング剤。
  9. 手術領域におけるミエリン塩基性タンパク質のイメージング方法に用いられるイメージング剤であって、当該イメージング剤が、次の式Iの化合物、次の式Iの13C濃縮化合物、次の式Iの19F標識誘導体又は次の式Iの放射性同位体誘導体を含んでおり、前記イメージング方法が、
    手術部位をイメージング剤に接触させる段階、及び
    イメージング剤を検出する段階
    を含んでいる、イメージング剤。
    (式中、R1はアルキル基であり、
    2が電子供与基でありかつR3が電子求引基であるか、或いは
    2が電子求引基でありかつR3が電子供与基である。)
  10. 当該イメージング剤が、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で測定して、100nm以上のストークスシフトを示す、請求項9記載のイメージング剤。
  11. 1が炭素原子数1〜6の低級アルキル基であり、電子供与基が第一アミノ、第二アミン、第三アミン又はアルコキシであり、電子求引基がニトリル基又はエステルである、請求項9又は請求項10記載のイメージング剤。
  12. 1がアルキル基であり、R2が電子供与基であり、R3が−SO24(式中、R4はアルキル、置換アルキル、アミン又は置換アミンである。)である、請求項9又は請求項10記載のイメージング剤。
  13. 検出段階が、
    式Iの化合物の分光励起特性に合わせた光源を手術領域に照射すること、及び
    式Iの化合物の分光発光特性に合わせた光学フィルターを通して手術領域を観察すること
    を含む、請求項9乃至請求項12のいずれか1項記載のイメージング剤。
  14. 検出段階が手術部位のγ線イメージングを含む、請求項13記載のイメージング剤
  15. 被験体におけるミエリン関連ニューロパシーを検出するためのキットであって、
    キットは薬学的キャリヤー及びミエリン塩基性タンパク質と特異的に結合する薬剤を含んでなり、
    薬剤は次の式Iの化合物、次の式Iの13C濃縮化合物、次の式Iの19F標識誘導体又は次の式Iの放射性同位体誘導体を含む、キット。
    (式中、R1はアルキル基であり、
    2が電子供与基でありかつR3が電子求引基であるか、或いは
    2が電子求引基でありかつR3が電子供与基である。)
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