JP5896437B1 - オリジナルクラフト用シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単かつ短時間の作業で、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用し、肉薄で剛性が低いクラフト用シートの表面に平面的なオリジナル意匠を印刷したオリジナルクラフト用シートを安定的に製造する。【解決手段】肉薄で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキン11の裏面全域を、紙ナプキン11に比べて厚肉で剛性が高い印刷用紙15の表面に、低粘着性スプレー接着剤16を介して剥離自在に貼着して印刷用積層シート17を形成し、印刷用積層シート17を家庭用またはビジネス用のプリンタ12に通して、紙ナプキン11の表面に平面的なデザイン文字13を印刷する。印刷後、低粘着性スプレー接着剤16の粘着力に抗して印刷用紙15から紙ナプキン11を剥がし、オリジナルデコパージュ用紙ナプキン14を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、クラフト(手工芸品等)に使用される肉薄で剛性が低いクラフト用シートに、オリジナルな写真やデザイン等が印刷されたオリジナルクラフト用シートの製造方法に関する。
クラフトの一種として、デコパージュが知られている。デコパージュとは、フランス語のdecouper(切り抜く)を語源とし、紙や布等のシート(クラフト用シート)に印刷された絵柄や模様等をモチーフとして切り抜き、それを箱や皿などの対象物に貼り付けた後、表面を滑らかに仕上げて一体化させる飾り技法である。このデコパージュによれば、模様や絵柄を対象物に貼り付けるだけで簡単にかつ高度な装飾を行えるので、対象物の装飾手芸として人気が高い。
デコパージュ用のシートとして、デコパージュ用紙ナプキンが市販されている。このナプキンは、薄くて剛性が低い(こわさが低い(俗に“コシ”がない))矩形状の紙に、特殊構造の紙ナプキン印刷機を用いて絵柄等を印刷したものである。
しかしながら、市販のデコパージュ用紙ナプキンは工場で大量生産されるため、モチーフとなるデザインの種類に限りがあった。そのため、デコパージュの愛好者の間では自分で撮った写真や、オリジナルのデザインでデコパージュしたいというニーズがあった。
これに応えるため、例えば家庭用またはビジネス用のプリンタを使用し、紙ナプキンにオリジナルの写真やデザインを印刷することが容易に考えられる。しかしながら、“コシ”がない紙ナプキンをプリンタに通すと、プリンタの給紙装置のローラ間に紙ナプキンが適切に挟持されず、その結果、プリンタの搬送経路の途中で紙詰まりが生じたり、破れたりするおそれがあった。
従来、この課題を解消する技術として、例えば非特許文献1に開示された「オリジナル写真を使用したデコパージュ方法」等が知られている。この非特許文献1では、まずプリンタにより写真用紙に写真画像を印刷し、その後、写真用紙の表面にデコパージュのり(転写液)を塗布して乾燥させるという工程を数回繰り返す。次に、写真用紙を水に数時間浸漬し、写真用紙の裏紙(台紙)に十分に水をしみ込ませた後、写真の表面にコーティングされた膜を剥がして乾燥させ、モチーフの写真画像が付いた受像フィルムを得る。その後、受像フィルムを上記対象物のデコパージュに使用する。なお、オリジナルデザインについても、このような作業を施すことで同様の受像フィルムが得られる。
Atelier Mju*s、デコパージュ石鹸の作り方〜オリジナル写真〜-YouTube、[平成27年5月15日検索]、インターネット<URL:www.youtube.com/watch?v=tI69pcvy_x4>
しかしながら、非特許文献1の従来方法では、写真用紙の表面にデコパージュのりを塗布して乾燥させる工程を繰り返したり、印刷済みの写真用紙を水に何時間も浸漬する必要があった。そのため、デコパージュの作業が煩雑で、かつ作業時間が長くなっていた。
また、写真用紙の表面から剥離した受像フィルムの厚みは、デコパージュのりの塗布・乾燥を行った回数により変化するため、対象物への貼着に最適な厚みとなる受像フィルムを安定して得ることは困難であった。すなわち、フィルムが薄すぎればこれを剥がす際に受像フィルムが破れ易く、厚すぎれば最終的な仕上がりにごわつき感が生じて、美観が損なわれてしまう。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用し、薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキンに使用者が撮った写真や自作デザイン等の平面的なオリジナル意匠を印刷できるようにすれば、上述した問題は全て解消されることを知見し、本発明を完成させた。また、発明者は、本発明の適用対象がデコパージュに限らず、例えば手芸品、民芸品、工芸品、ペーパークラフト、ワイヤークラフトといった、その他のクラフトの飾り技法にも応用できることを知見するに至った。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単かつ短時間の作業を行うだけで、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用し、肉薄で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキンの表面に平面的なオリジナル意匠が印刷されたオリジナルクラフト用シートを安定して製造することができるとともに、低粘着性スプレー接着剤をスプレー塗布した1枚の印刷用紙を使用して、1枚の積層紙ナプキンから複数枚のオリジナルクラフト用シートを得ることができるオリジナルクラフト用シートの製造方法を提供することである。
請求項1に記載の本発明は、対象物の表面を手飾りするための薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキンを2〜4枚重ねた積層紙ナプキンから、表層の前記デコパージュ用紙ナプキンのみを剥がし、該表層のデコパージュ用紙ナプキンの表面に、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用して平面的なオリジナル意匠を顔料インクにより印刷したオリジナルクラフト用シートを製造するオリジナルクラフト用シートの製造方法であって、前記表層のデコパージュ用紙ナプキンに比べてサイズが小さくかつ厚肉で剛性が高い印刷用紙の表面全域に、低粘着性スプレー接着剤をスプレー塗布し、スプレー塗布後、前記印刷用紙の表面に前記表層のデコパージュ用紙ナプキンの裏面全域を剥離自在に貼着し、貼着後、前記印刷用紙からはみ出した前記表層のデコパージュ用紙ナプキンの外周部を切除することで、前記家庭用またはビジネス用のプリンタにより印刷される印刷用積層シートを形成し、該印刷用積層シートを前記家庭用またはビジネス用のプリンタに通して、前記表層のデコパージュ用紙ナプキンの表面に前記平面的なオリジナル意匠を印刷し、印刷後、前記低粘着性スプレー接着剤の粘着力に抗して前記印刷用紙から前記表層のデコパージュ用紙ナプキンを剥がして、前記オリジナルクラフト用シートを製造し、次に、該オリジナルクラフト用シートの製造に連続して、残った前記積層紙ナプキンから、次の表層の前記デコパージュ用紙ナプキンを剥がし、それを前記低粘着性スプレー接着剤がスプレー塗布された使用済みの前記印刷用紙の表面に剥離自在に貼着し、貼着後、前記使用済みの印刷用紙からはみ出した前記次の表層のデコパージュ用紙ナプキンの外周部を切除して次の印刷用積層シートを形成し、該次の印刷用積層シートを前記家庭用またはビジネス用のプリンタに通して、前記次の表層のデコパージュ用紙ナプキンの表面に前記平面的なオリジナル意匠を印刷し、印刷後、前記低粘着性スプレー接着剤の粘着力に抗して前記使用済みの印刷用紙から前記次の表層のデコパージュ用紙ナプキンを剥がして、次の前記オリジナルクラフト用シートを製造し、その後、上述した工程を、前記積層紙ナプキンの残った前記デコパージュ用紙ナプキンについて繰り返すことを特徴とするオリジナルクラフト用シートの製造方法である。
請求項2に記載の本発明は、前記印刷用紙の表面への前記低粘着性スプレー接着剤のスプレー塗布作業を、屋内に配置されたフィルタ付きの換気扇に、前記印刷用紙の裏面を正対させて、前記換気扇を作動しながら行うようにしたものである。
請求項3に記載の本発明は、前記印刷用紙への前記低粘着性スプレー接着剤のスプレー塗布作業を、上板の中央部に設けた前記印刷用紙の載置部の外周全域に、矩形枠状の飛散スプレー剤吸引口部が形成されたケーシング状の手持ちスプレースタンドを使用して行うものとし、該手持ちスプレースタンドに、前記飛散スプレー剤吸引口部に負圧力を作用させる掃除機の吸引ホースの連通口部と、吸引された前記低粘着性スプレー接着剤を捕集するフィルタとを配設し、前記上板の印刷用紙の載置部に、前記掃除機の負圧力によって前記印刷用紙を前記載置部に吸着させる吸着口を形成し、前記上板の外周縁全域に、飛散スプレー剤捕集フードを突設したものである。
対象物とは、クラフト用シートによって手飾りが可能な手芸品、民芸品、工芸品、ペーパークラフト、ワイヤークラフト等の素材となる物品である。
対象物の表面をクラフト用シートにより手飾りする方法としては、対象物の表面への貼着、巻き付け、糸・紐・帯(リボン)等による縛り付け、フックや針等による掛け止め等を採用することができる。
ここでいうオリジナルクラフト用シートとは、表面に平面的なオリジナル意匠が印刷された薄肉で剛性が低いクラフト用シートを意味する。
ここで、「薄肉で剛性が低いクラフト用シート」とは、こわさが低くて(“コシ”がなくて)、家庭用またはビジネス用のプリンタに通すと、プリンタの搬送経路の途中でシート詰まりが生じたり、破れるおそれがある“クラフト用の手飾りシート”である。
このクラフト用シートの素材としては、例えば紙、布帛、合成樹脂、皮革、金属などを採用することができる。紙製のクラフト用シートとしては、例えば無地(有色、無色)のデコパージュ用紙ナプキンを採用することができる。もちろん、工場出荷時に所定の写真や絵柄が印刷された従来のデコパージュ用紙ナプキンでもよい。この場合には、紙ナプキンの既存の印刷面にオリジナル意匠を追加して印刷する。
このクラフト用シートの厚さは、シート素材により異なるものの、紙の場合、例えば0.01〜0.05mmである。
このクラフト用シートの剛性(曲げこわさ)は、シート素材により異なる。一般的にシートのこわさは、その重さ(坪量)や厚さが大きいほど高くなり、特に厚さの影響が大きく、厚さの約3乗に正比例する。また、厚さが一定であれば密度(緊度)に正比例する。
このクラフト用シートの重さは、シート素材によって異なるものの、紙の場合は、例えば10〜40g/mである。
このクラフト用シートのサイズは任意である。好ましくは基材シートと同一サイズであるが、それより小さくてもその部分に印刷できれば支障ない。また、基材シートより大きすぎた場合には、その余剰部分をカットすればよい。
ここでいう「平面的なオリジナル意匠」としては、例えば、使用者等が撮影したオリジナル写真、手作りの模様や絵柄等を採用することができる。
ここで、低粘着性接着物とは、粘着力が低い特性から、薄肉で剛性が低いクラフト用シートを基材シートに剥離自在、すなわち貼って剥がせる機能を有した接着物のことである。
低粘着性接着物の種類としては、例えば、低粘着性接着剤、低粘着性スプレー接着剤、低粘着性両面テープ等が挙げられる。低粘着性スプレー接着剤の場合、スプレー塗布される面は、クラフト用シートの裏面でも、基材シートの表面でもよい。さらにはその両方でもよい。なお、クラフト用シートは、基材シートの表面に低粘着性スプレー接着剤をスプレー塗布した後、基材シートの表面に貼着した方が好ましい。これは、クラフト用シートを基材シートから剥離後、低粘着性スプレー接着剤の粘着力によってクラフト用シートが部分的に貼り合わさるの(皺)を防ぐためである。
低粘着性接着物によって基材シートの表面に貼着されるのは、クラフト用シートの裏面全域である。仮に、クラフト用シートの外周部のみを貼着すれば、家庭用またはビジネス用のプリンタに印刷用積層シートを通して印刷する際、主な印刷部分となるクラフト用シートの中央部分に皺が寄ってしまい、オリジナル意匠の印刷精度が低下したり、シートが傷つくおそれがある。
基材シートとは、薄肉で剛性が低いクラフト用シートを家庭用またはビジネス用のプリンタに支障なく通せるように、その厚さと剛性とを高めるための裏当てシートである。基材シートのサイズは任意である。ただし、プリンタに通せる大きさでなければならない。一般的にはA4サイズである。
基材シートの素材としては、例えば紙、布帛、合成樹脂、皮革、金属などを採用することができる。このうち、紙および合成樹脂が、低コストで取り扱いが容易であるために好ましい。紙製の基材シートとしては、例えば印刷用紙(コピー用紙)が挙げられる。
基材シートの厚さは、クラフト用シートより厚く、かつクラフト用シートと貼り合わせて印刷用積層シートとした際に、それが家庭用またはビジネス用のプリンタに通せる厚さである。
ここでいう家庭用またはビジネス用のプリンタに通せるシート厚さ(印刷用積層シートの厚さ)とは、家庭用またはビジネス用のプリンタの機種(種類)により異なるものの、概ね0.05mmを超えて1.3mm(手差しの場合)以下である。このことから、基材シートの厚さは、0.04mm〜1.25mmとなる。なお、一般的な印刷用紙(コピー用紙)の厚さは0.1mm程度である。
基材シートの重さは、シート素材によって異なるものの、紙の場合は、例えば40〜500g/mである。
プリンタは家庭用でもビジネス用でもよく、その種類は限定されない。例えば、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、熱転写プリンタ、ドットプリンタ、ジェルジェットプリンタ、昇華型プリンタ等を採用することができる。なお、インクジェットプリンタ用のインクとしては、主原料に顔料を採用したものの方が、染料インクに比べてにじみが少ないため、薄肉で剛性が低いクラフト用シートに印刷するには好適である。
本発明のオリジナルクラフト用シートの製造方法によれば、低粘着性スプレー接着剤を介して、薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキンの裏面全域を、デコパージュ用紙ナプキンより厚肉で剛性が高い印刷用紙の表面に剥離自在に貼着して印刷用積層シートを形成し、その後、この印刷用積層シートを家庭用またはビジネス用のプリンタに通して、デコパージュ用紙ナプキンの表面に平面的なオリジナル意匠を印刷する。印刷後、低粘着性スプレー接着剤の粘着力に抗して印刷用紙からデコパージュ用紙ナプキンを剥がし、オリジナルクラフト用シート(オリジナルデコパージュ用紙ナプキン)を得る。
本発明は、このような(水に漬けない)簡単かつ短時間の作業を行うだけで、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用し、肉薄で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキンの表面に、平面的なオリジナル意匠が印刷されたオリジナルクラフト用シートを安定して製造することができる。
しかも、デコパージュ用紙ナプキンを2〜4枚重ねた積層紙ナプキンを使用し、そこから表層のデコパージュ用紙ナプキンのみを剥がし、剥がした表層のデコパージュ用紙ナプキンを、低粘着性スプレー接着剤がスプレー塗布されかつ再使用される印刷用紙に貼着して印刷用積層シートとし、その後、この印刷用積層シートを家庭用またはビジネス用のプリンタに通してオリジナルクラフト用シートを製造するという工程を連続して繰り返すことで、1枚の印刷用紙を使用し、1枚の積層紙ナプキンから複数枚のオリジナルクラフト用シートを得ることができる。
本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法により得られたオリジナルクラフト用シートの使用例を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法における粘着性接着物の塗布工程を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法におけるクラフト用シートの基材シートへの貼り合わせ工程を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法におけるプリンタによる印刷工程を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法のフローチャートである。 本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法におけるクラフト用シートの基材シートからの剥離工程を示す斜視図である。 本発明の実施例2に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法に使用される手持ちスプレースタンドの使用状態の斜視図である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
図1および図4に示すように、本発明の実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法は、図1に示す木製看板(対象物)10の表面を手飾りするため、薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキン(クラフト用シート)11の表面に、図4に示すインクジェットプリンタ(家庭用またはビジネス用のプリンタ)12によって、アルファベット等のデザイン文字(平面的なオリジナル意匠)13を印刷した、オリジナルデコパージュ用紙ナプキン(オリジナルクラフト用シート)14を製造する方法である。
以下、実施例1に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法を具体的に説明する。
図2〜図4に示すように、あらかじめ薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキン(以下、単に紙ナプキンという)11と、一般的な印刷用紙(基材シート)15と、スプレー缶Sに充填された低粘着性スプレー接着剤(低粘着性接着剤)16と、インクジェットプリンタ(以下、単にプリンという)12とを用意する。
紙ナプキン11は、食事の際に、油などの飛散による衣服の汚れを防止したり、食後に口の周りを拭いたりするための白無地で矩形状の紙製のテーブルナプキンである。2〜4枚重ねのものの場合には、表層のみを剥がして使用する。もちろん、残った層もそれぞれ使用できる。紙ナプキン11は、縦横450×450mm、厚さは0.02mm、重さは(坪量)14g/mである。
印刷用紙15は、白無地のA4サイズ(横210mm×縦297mm)のもので、厚さは0.1mm、重さは(坪量)65g/mである。
低粘着性スプレー接着剤16は、スリーエムジャパン社製のスプレーのり55(仮止め、再接着用)である。
プリンタ12は、エプソン社製のプロセレクションPX−7V(全8色・顔料インク)である。
次に、図5のフローチャートを参照して、実施例1のオリジナルクラフト用シートの製造方法を説明する。オリジナルデコパージュ用紙ナプキン(以下、単にオリジナル紙ナプキンという)14の製造は、Step101からStep10までの各工程を順次行うことでなされる。
Step101: 印刷用紙15の外周部の一辺部分を指先で持ち、ベランダ等の換気の良い場所で、印刷用紙15の表面全域に低粘着性スプレー接着剤16をスプレー塗布する(図2)。このとき、印刷用紙15をクリップにより掛止する載置板の一端部に握り柄を設けた用紙ホルダを使用すれば、低粘着性スプレー接着剤16により手が汚れにくい。
なお、屋内でのスプレー塗布時には、例えばフィルタ付きの換気扇(レンジフード)に印刷用紙15の裏面を正対させ、換気扇を作動しながらスプレー塗布した方が好ましい。こうすれば、外部飛散する低粘着性スプレー接着剤16の余剰分を吸引してその室内飛散を防止でき、かつ塗布ムラが生じ易い印刷用紙15の外周部全域に低粘着性スプレー接着剤16を容易にスプレー塗布できる。この場合、外部飛散した低粘着性スプレー接着剤16は換気扇のフィルタに捕集されるため、換気扇への影響はほとんどない。
Step102: 印刷用紙15を数分間放置し、低粘着性スプレー接着剤16を乾かす。
Step103: その後、低粘着性スプレー接着剤16の塗布面を上に向けて印刷用紙15をテーブルに載置し、皺にならないように印刷用紙15の上面の中央部に紙ナプキン11を重ねて剥離自在に貼り合わせる(図3)。
印刷用積層シート17は、厚さ0.12mm、重さ79g/mのものである。なお、印刷用紙15に低粘着性スプレー接着剤16をスプレー塗布するため、1回のスプレーで数枚の紙ナプキン11の印刷を行える。また、低粘着性スプレー接着剤16は、乾燥後も貼り合わされた紙ナプキン11の裏面に転着されやすい。そのため、後工程のデコパージュにおいて、デコパージュ用のり等を使用せずとも、オリジナル紙ナプキン14からデザイン文字13の部分を切り取ったモチーフMを木製看板10の表面に仮止めできる。
Step104: 印刷用積層シート17において、印刷用紙15からはみ出した紙ナプキン11の不要な外周部分を、ハサミやカッタにより切除する。こうして、プリンタ12に通して印刷を行える印刷用積層シート17が得られる。
Step105: 図4に示すように、得られた印刷用積層シート17をプリンタ12の手差しトレイ(A4用紙用トレイでも可能)にセットし、パソコンからプリンタ12に出力されたデザイン文字13の文字データに基づき、印刷用積層シート17の紙ナプキン11側の面に、平面的な所定のアルファベットの文字列を印刷する。なお、インクとして顔料を主成分とするものを採用したため、印刷された文字の紙ナプキン11へのにじみはほとんどない。
Step106: 紙ナプキン11を数分間放置し、印刷された文字のインクを乾燥させる。インクの乾燥が不十分であれば、後工程のデコパージュ作業時、デコパージュ用のりを重ね塗りしてモチーフMを木製看板10の表面に貼着するとき、文字がにじむおそれがある。
Step107: 低粘着性スプレー接着剤16の粘着力に抗して印刷用紙15から紙ナプキン11を剥がす(図6)。これにより、オリジナル紙ナプキン14が得られる(図1)。
なお、数枚のオリジナル紙ナプキン14を追加印刷したい場合には、Step103からStep106までの各工程を順次繰り返せばよい。その理由は、上述したように連続する数回の印刷であれば、印刷用紙15の表面に十分な低粘着性スプレー接着剤16が残るためである。
以上説明したような簡単かつ短時間の作業を行うだけで、家庭用またはビジネス用のプリンタ12を使用し、肉薄で剛性が低い紙ナプキン11の表面に、平面的なデザイン文字13が印刷されたオリジナル紙ナプキン14を安定して製造することができる。
図示しないものの、得られたオリジナル紙ナプキン14は、その後、デコパージュ用の紙ナプキンとして従来と同様の方法で利用される。すなわち、オリジナル紙ナプキン14に印刷されたデザイン文字13をモチーフMとして切り抜き、そのモチーフMを木製看板10の表面に、デコパージュ用のりを刷毛により重ね塗りして貼り付けた後、さらに仕上げ剤(ワニス)を塗布して表面を滑らかに仕上げることで一体化させる。こうして、図1に示すオリジナル紙ナプキン14により表面が手飾りされた木製看板10が得られる。
次に、図7を参照して、本発明の実施例2に係るオリジナルクラフト用シートの製造方法を説明する。
この実施例2のオリジナルクラフト用シートの製造方法の特徴は、印刷用紙15へのスプレー塗布作業時、上板20の中央部に設けた印刷用紙15の載置部21が形成され、かつ載置部21の外周全域に矩形枠状の飛散スプレー剤吸引口部22が形成されたケーシング状の手持ちスプレースタンド23を使用する点である。
手持ちスプレースタンド23は、上板20と下板24とが印刷用紙15より縦横数cm大きい平面視して矩形状の容器を本体とする。載置部21の外周縁部には、その全周にわたって高さ1mm程度の用紙位置決め突条枠20aが形成されている。また、用紙位置決め突条枠20aの外周全域には、幅1cm程度の飛散スプレー剤吸引口部22が形成されている。そのため、載置部21は、上板20の周側板25の四隅部と各辺の中間部とに合計8枚の短幅な連結片板26を介して、上板20の中央部に支持されている。また、上板20の外周縁全域には、飛散スプレー剤吸引口部22からの吸引力を高めるため、高さ数cmの飛散スプレー剤捕集フード27が突設されている。なお、載置部21には、掃除機28の負圧力によって印刷用紙15を載置部21に吸着させる図示しない吸着口を所定数形成してもよい。さらに、上板20としては、図示しない多数の小孔を全面に有する多孔質板を採用してもよい。この場合、載置部21の外周に存在する小孔が飛散スプレー剤吸引口部22を構成する。
また、手持ちスプレースタンド23の下板24の中央部には、先端開口部30aに掃除機28の吸引ホース29が着脱自在に連通されるグリップ管(連通口部)30の元部が連結されている。下板24の中央部は貫通孔31を有し、この貫通孔31とグリップ管30の元端開口部30bとが連通している。グリップ管30の管内には、低粘着性スプレー接着剤16の掃除機28側への吸い込みを防止するフィルタ32が収納されている。
以下、図7を参照して実施例2におけるスプレー塗布作業を具体的に説明する。
印刷用紙15を用紙位置決め突条枠20aに位置決めした状態でこれを載置部21に載置するとともに、グリップ管30を握り、先端開口部に吸引ホース29を連通する。この状態で掃除機28を作動し、スプレー缶Sから低粘着性スプレー接着剤16をスプレー塗布する。
このとき、周辺に飛散した低粘着性スプレー接着剤16は、飛散スプレー剤捕集フード27により飛散スプレー剤吸引口部22へと導かれる。これにより、リビングなどの屋内の自由な場所で、低粘着性スプレー接着剤16の余剰分の室内飛散を防止しながら、スプレー塗布の作業ができる。しかも、塗布ムラが生じ易い印刷用紙15の外周部全域に低粘着性スプレー接着剤16を容易にスプレー塗布できる。
なお、飛散スプレー剤吸引口部22を通過した低粘着性スプレー接着剤16は、手持ちスプレースタンド23の内部空間に吸引された後、グリップ管30内のフィルタ32に捕集される。そのため、掃除機28の吸引ホース29の内周面に低粘着性スプレー接着剤16は付着しない。
本発明は、デコパージュなどのクラフトの手技によって、対象物を手飾りする際に使用される薄肉で剛性が低いクラフト用シートへの印刷技術として有用である。
10 木製看板(対象物)
11 薄肉で剛性が低いデコパージュ用紙ナプキン(クラフト用シート)
12 インクジェットプリンタ(家庭用またはビジネス用のプリンタ)
13 デザイン文字(平面的なオリジナル意匠)、
14 オリジナルデコパージュ用紙ナプキン(オリジナルクラフト用シート)
15 印刷用紙(基材シート)
16 低粘着性スプレー接着剤(低粘着性接着物)
17 印刷用積層シート
20 上板
21 載置部
22 飛散スプレー剤吸引口部
23 手持ちスプレースタンド
27 飛散スプレー剤捕集フード
28 掃除機
29 吸引ホース
30 グリップ管(連通口部)
32 フィルタ

Claims (3)

  1. 対象物の表面を手飾りするための薄肉で剛性が低い白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンを2〜4枚重ねた積層紙ナプキンから、表層の前記白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンのみを剥がし、該表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの表面に、家庭用またはビジネス用のプリンタを使用して平面的なオリジナル意匠を顔料インクにより印刷したオリジナルクラフト用シートを製造するオリジナルクラフト用シートの製造方法であって、
    前記表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンに比べてサイズが小さくかつ厚肉で剛性が高い印刷用紙の表面全域に、低粘着性スプレー接着剤をスプレー塗布し、
    スプレー塗布後、前記印刷用紙の表面に前記表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの裏面全域を剥離自在に貼着し、
    貼着後、前記印刷用紙からはみ出した前記表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの外周部を切除することで、前記家庭用またはビジネス用のプリンタにより印刷される印刷用積層シートを形成し、
    該印刷用積層シートを前記家庭用またはビジネス用のプリンタに通して、前記表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの表面に前記平面的なオリジナル意匠を印刷し、
    印刷後、前記低粘着性スプレー接着剤の粘着力に抗して前記印刷用紙から前記表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンを剥がして、前記オリジナルクラフト用シートを製造し、
    次に、該オリジナルクラフト用シートの製造に連続して、残った前記積層紙ナプキンから、次の表層の前記白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンを剥がし、それを前記低粘着性スプレー接着剤がスプレー塗布された使用済みの前記印刷用紙の表面に剥離自在に貼着し、
    貼着後、前記使用済みの印刷用紙からはみ出した前記次の表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの外周部を切除して次の印刷用積層シートを形成し、
    該次の印刷用積層シートを前記家庭用またはビジネス用のプリンタに通して、前記次の表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンの表面に前記平面的なオリジナル意匠を印刷し、
    印刷後、前記低粘着性スプレー接着剤の粘着力に抗して前記使用済みの印刷用紙から前記次の表層の白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンを剥がして、次の前記オリジナルクラフト用シートを製造し、
    その後、上述した工程を、前記積層紙ナプキンの残った前記白無地で矩形状の紙製のデコパージュ用ナプキンについて繰り返すことを特徴とするオリジナルクラフト用シートの製造方法。
  2. 前記印刷用紙の表面への前記低粘着性スプレー接着剤のスプレー塗布作業は、屋内に配置されたフィルタ付きの換気扇に、前記印刷用紙の裏面を正対させて、前記換気扇を作動しながら行う請求項1に記載のオリジナルクラフト用シートの製造方法。
  3. 前記印刷用紙への前記低粘着性スプレー接着剤のスプレー塗布作業は、上板の中央部に設けた前記印刷用紙の載置部の外周全域に、矩形枠状の飛散スプレー剤吸引口部が形成されたケーシング状の手持ちスプレースタンドを使用して行うものとし、
    該手持ちスプレースタンドには、前記飛散スプレー剤吸引口部に負圧力を作用させる掃除機の吸引ホースの連通口部と、吸引された前記低粘着性スプレー接着剤を捕集するフィルタとが配設され、
    前記上板の印刷用紙の載置部には、前記掃除機の負圧力によって前記印刷用紙を前記載置部に吸着させる吸着口が形成され、
    前記上板の外周縁全域には、飛散スプレー剤捕集フードが突設された請求項1または請求項2に記載のオリジナルクラフト用シートの製造方法。
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