JP5895818B2 - SiC単結晶の評価方法およびそれを適用したSiC単結晶の製造方法 - Google Patents

SiC単結晶の評価方法およびそれを適用したSiC単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、SiC単結晶の評価方法およびそれを適用したSiC単結晶の製造方法に関し、さらに詳しくはSiC単結晶中の不純物である窒素の濃度を非破壊的に評価し得るSiC単結晶の評価方法およびそれを適用したSiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi(シリコン)単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有し、不純物の添加によってp、n伝導型の電子制御も容易にできるとともに、広い禁制帯幅(4H型のSiC単結晶で約3.3eV、6H型のSiC単結晶で約3.0eV)を有するという特長を備えている。このため、Si単結晶やGaAs(ガリウム砒素)単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高温、高周波、耐電圧・耐環境性を実現することが可能であり、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
このSiC単結晶には、ドナー不純物として窒素が含有されている場合が多く、SiC単結晶の窒素濃度が素子の特性に影響を及ぼすことから、SiC単結晶中の窒素濃度を評価し得る評価方法が求められている。
従来、SiC単結晶界面の不純物の測定法として、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、フーリエ変換赤外分光法)が知られているが、不純物の有無は分析できるが定性分析でありSiC単結晶中の不純物である窒素濃度は評価し得ない。
また、SiC単結晶における窒素量の測定は感度の高いSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry、二次イオン質量分析法)あるいはXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy、X線光電子分光法)によって行われているが、前者は評価に用いた試料は基板として使用することができず、後者は結晶表面の測定に限られる。
結晶中に不純物を高濃度で含むSiC単結晶の評価としてはICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、誘導結合プラズマ−質量分析)、GC−MS(Gas Chromatograph-Mass Spectrometry、ガスクロマトグラフ−質量分析)が知られているが、いずれも試料を溶かして測定するため軽元素である窒素の測定には不向きである。
一方、半導体材料用、特にエピタキシャル層のSiC単結晶として5x1015atom/cm程度、またこのエピタキシャル膜を形成するための基板であるSiC単結晶は1019atom/cm程度の不純物である窒素濃度を有する結晶が求められている。このため、結晶中に窒素を5x1015atom/cm程度以上、特にSiC単結晶基板においては1018〜ax1019atom/cm(a=1〜5)の高濃度で含むSiC単結晶の評価を非破壊的に行うことができる評価方法が求められている。
この単結晶中の不純物を非破壊的に評価する必要性は、他の半導体材料、例えばシリコンにおいても同様であり、様々な検討がなされている。
赤外吸収法を用いた不純物分析や濃度解析法は、光の吸収量を多く得られることから、一般的には透過法が用いられ、SEMIやJEITAなどで規格化もされている。例えば、特開2002−350331号公報には、透過法によりシリコン単結晶を測定する方法が記載されている。一方、反射を用いた方法は、研究段階であり規格化されていない。
例えば、特許文献1には、基板の表面に基板よりも屈折率の大きいプリズムを接触させて、プリズムの基板と接する側の面で光を全反射させ、プリズムから基板側に滲み出た光によって評価を行う基板の評価方法が記載されている。そして、具体例として、酸素、炭素および窒素を含有するシリコン基板についてゲルマニウムプリズムを用いて赤外線を入射させ900〜1300cm−1の赤外光の波数で測定したスペクトルが示されている。
また、特許文献2には、酸素濃度が既知で異なる複数の半導体シリコン結晶に光を照射し、その反射光の照射光に対する振幅比および位相差から各酸素濃度における任意の波数の誘電関数実数部を求めることにより、予めその波数における酸素濃度と誘電関数実数部との相関を求めておく半導体シリコン結晶の酸素濃度評価方法が記載されている。そして、具体例として、シリコン結晶に光を直接照射して反射光を測定し、酸素濃度を求めた例が示されている。
また、特許文献3には、光源と、サンプルとの接触領域を含む内部反射素子と、該素子の前面における入射角が前記素子の臨界角以上で全反射になるように接触領域に向けて光を入射させ、接触領域から反射光を集光し、反射光を結像させる検出器を備えた分光装置及びスペクトル吸収画像を得る方法が記載されている。そして、内部反射素子としてゲルマニウム、シリコン、セレン化亜鉛又はダイヤモンドを用い得ること、具体例としてエポキシ樹脂ファイバーについてスペクトル測定値が示されている。
さらに、特許文献4には、窒素がドープされた4H型炭化珪素バルク単結晶基板の表面に紫外線を照射し、該基板から発光して得られるフォトルミネッセンス光から4H型炭化珪素バルク単結晶基板に含まれる6H型積層欠陥を判別する炭化珪素バルク単結晶基板の欠陥検査方法が記載されている。
特開平7−297247号公報 特開平11−14543号公報 特開平11−132941号公報 特開2011−220744号公報
しかし、これら公知文献に記載の技術によっては、SiC単結晶中の不純物である窒素濃度を非破壊的に定量的に評価することは不可能であった。
従って、本発明の目的は、結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に評価し得るSiC単結晶の評価方法を提供することである。
また、本発明の目的は、SiC単結晶を成長させた後、結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に評価するSiC単結晶の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成した。
本発明は、結晶中の窒素濃度を評価するSiC単結晶の評価方法であって、
(1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させ、
(2)前記SiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射し、
(3)得られた赤外線スペクトルから966〜971cm−1の範囲で吸収波数のピーク値が変化する吸収ピーク強度を求め、
(4)得られた吸収ピーク強度に基いてSiC単結晶中の窒素濃度を評価する、
前記方法に関する。
また、本発明は、SiC単結晶の製造方法であって、
SiC単結晶を成長させる工程、および
得られたSiC単結晶中の窒素濃度を前記の評価方法によって評価する工程、
を含む、前記方法に関する。
本発明において、前記の吸収ピーク強度とは、後述の実施例の欄で詳述する測定法で測定したフーリエ変換赤外(FTIR)測定による赤外吸収スペクトルにおける966〜971cm−1の範囲での吸収ピーク信号に基く数値である。
また、本発明において、SiC単結晶よりも屈折率の高いとは、少なくとも966〜971cm−1の範囲で屈折率が高いことを意味する。
また、本明細書において非破壊的に評価するとは、窒素濃度が未知のSiC単結晶を破壊しないで評価することを意味する。
本発明によれば、結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上、好適には2x1016atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に評価し得る。
また、本発明によれば、SiC単結晶の窒素濃度が非破壊的に評価されて結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上、好適には2x1016atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶を容易に得ることができる。
図1は、予め窒素濃度が測定された4H−SiC単結晶および窒素濃度が未知の4H−SiC単結晶について本発明の実施態様におけるフーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定データの吸収ピーク強度を強度補正した赤外吸収スペクトルである。 図2は、予め窒素濃度が測定された4H−SiC単結晶および窒素濃度が未知の4H−SiC単結晶について本発明の実施態様におけるフーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定データの吸収ピーク強度を強度補正した赤外吸収スペクトルの吸収ピークの高さとして求められる吸収強度と4H−SiC単結晶中の窒素濃度との相関を示すグラフである。 図3は、本発明の範囲外の評価方法により予め窒素濃度が測定された4H−SiC単結晶について公知の文献[Journal of The Electrochemical Society 147 (6)2324-2327(2000)]に従って求めた固定信号である980cm−1相当の固定波数による吸収ピーク強度と4H−SiC単結晶中の窒素濃度との相関を示すグラフである。 図4は、窒素濃度の異なる3種類の4H−SiC単結晶について測定した吸収ピーク強度を補正していない赤外吸収スペクトルである。 図5は、不純物として窒素を含むSiC単結晶について本発明の実施態様の測定方法および従来法により測定した吸収ピーク強度を補正していない赤外吸収スペクトルである。 図6は、SiC単結晶について本発明の範囲外の測定方法における光を照射したときの屈折率の波数依存性を示すグラフである。 図7は、SiC単結晶について本発明の測定方法における光を照射したときの屈折率の波数依存性を示すグラフである。 図8は、実施例においてSiC単結晶と光学媒質との界面に赤外線を照射している状態を示す模式図である。
特に、本発明において、以下の実施態様を挙げることができる。
1)窒素濃度が既知で該濃度が異なる複数のSiC単結晶について前記(1)〜(3)によって吸収ピーク強度を求め、予め窒素濃度と吸収ピーク強度との相関を求めておく前記の評価方法。
2)前記赤外線スペクトルが、前記界面で赤外線を全反射させて得られる反射光のスペクトルである前記の評価方法。
3)前記光学媒質が、AsSe、SiおよびGeから選ばれる前記の評価方法。
4)前記SiC単結晶がバルクである前記の評価方法。
5)前記SiC単結晶が、4H型である前記の評価方法。
6)前記SiC単結晶を溶液法によって成長させる前記の製造方法。
本発明の実施態様のSiC単結晶の評価方法においては、
(1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させ、
(2)前記SiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射し、
(3)得られた赤外線スペクトルから966〜971cm−1の範囲で吸収波数のピーク値が変化する吸収ピーク強度を求め、
(4)得られた吸収ピーク強度に基いてSiC単結晶中の窒素濃度を評価する、
ことが必要であり、これによって結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上、好適には2x1016atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に定量的に評価することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
図1に示すように、本発明の実施態様における赤外吸収スペクトルは、予め窒素濃度が測定され該濃度が異なる複数の4H−SiC単結晶について、本発明の実施態様の評価方法により赤外線を照射してフーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定し、得られた吸収ピーク強度を強度補正した、縦軸が正規化した吸収強度で横軸が対数目盛りの波数である赤外吸収スペクトルであり、966〜971cm−1の範囲で吸収波数のピーク値を有している。
そして、図2に示すように、予め窒素濃度が測定され該濃度が異なる複数の4H−SiC単結晶の赤外吸収スペクトルの吸収強度を、4H−SiC単結晶中の窒素濃度に対してプロットすることにより1つの曲線を作成し得る。
そして、この曲線を検量線として用いて、窒素濃度が未知の4H−SiC単結晶について本発明の実施態様の評価方法によりフーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定し、得られた吸収ピーク強度から、4H−SiC単結晶中の窒素濃度を求めることができる。
本発明の実施態様においては、前記の(1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させ、(2)前記SiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射し、(3)得られた赤外線スペクトルから966〜971cm−1の範囲で吸収波数のピーク値が変化する吸収ピーク強度を求めることによって、図2に示すように4H−SiC単結晶中の吸収ピーク強度の各値に対して窒素濃度が一義的に対応した相関である検量線、あるいは相関式を得ることができる。そして、この相関に基いて窒素濃度が未知のSiC単結晶について前記の(1)〜(3)によって得た吸収ピーク強度を用いてSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に定量的に評価することができるのである。
これに対して、本発明の範囲外の評価方法、例えば前記(1)および(2)によって得られた予め窒素濃度が測定されて該濃度が異なる複数の4H−SiC単結晶の赤外吸収スペクトルについて、公知の文献[Journal of The Electrochemical Society 147 (6)2324-2327(2000)]に記載の980cm−1相当とされる固定波数による吸収強度(ピーク強度)を窒素濃度に対してプロットすると、図3に示すように、1つの曲線が作成される。しかし、得られた曲線は広い窒素濃度範囲において4H−SiC単結晶中の吸収ピーク強度の各値に対して2つの窒素濃度が対応するものである。つまり、前記の本発明の範囲外の評価方法によれば吸収ピーク強度を用いてSiC単結晶の窒素濃度を一義的に決めることができないのである。
前記の(1)〜(3)を満足させることによって得られる本発明の実施態様における赤外吸収スペクトルは、前述のように4H−SiC単結晶について赤外線を照射してフーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定して得られた吸収ピーク強度を後述の実施例の欄に示すようにフォークト(Voigt)関数にてピーク分離し強度補正した赤外吸収スペクトルである。
前記赤外吸収スペクトルを与えるピーク分離し強度補正前の赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外吸収(FTIR)測定して得られた吸収強度のデータを示し、図4に示すように、966〜971cm−1の範囲に微小なピークを有している。図4(a)はSIMSで測定された窒素濃度が1.5x1019atom/cm、図4(b)はSIMSで測定された窒素濃度が7.0x1018atom/cm、図4(c)はSIMSで測定された窒素濃度が7.6x1017atom/cmである4H−SiC単結晶の各々前記ピーク分離し強度補正前の赤外吸収スペクトルスペクトルである。
前記の要件(1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させることなく4H−SiC単結晶に赤外線を照射しても、透過法では図5(a)に示すように、反射法では図5(b)に示すように、いずれもベースラインに歪みが生じる異常分散が起こり、目的とする4H−SiC単結晶の赤外吸収スペクトルを得ることができない。
また、SiC単結晶は、赤外光領域での光の吸収が大きい。そのため、バルク状の単結晶の厚い基板に関しては、SiC単結晶による光の吸収の影響を受けることから、反射を用いた方法が好適に採用され得る。
本発明の実施態様の評価方法によって前記の要件(1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させ、(2)4H−SiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射することにより、反射法では図5(c)に示すように、ベースラインの歪みが解消されて目的とする不純物である窒素に基くピークを示す4H−SiC単結晶の赤外吸収スペクトルを得ることができるのである。
本発明の実施態様の評価方法において、前記の要件(1)〜(2)を満足することによってベースラインの歪みが解消されて目的とする不純物である窒素に基くピークを示す4H−SiC単結晶の赤外吸収スペクトルを得ることができる理論的な解明は十分にはなされていないが、以下のように考えることができる。SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させないで例えば、入射媒質を大気として赤外線を照射すると、1000cm−1近傍で空気の屈折率に対して4H−SiC単結晶の屈折率が急変(n=2.0→0.05)し、屈折率の大小関係が逆転する。このことが、図6に示すように、赤外吸収スペクトルにおいてベースラインの歪み(異常分散)を生じさせる。これに対して、SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させると、図7に示すように、この屈折率の急変が起こらずベースライン歪みが解消されることによると考えられる。
前記のSiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質としては、1000cm−1近傍、少なくとも966〜971cm−1でSiC単結晶の屈折率(2.0〜0.05)よりも屈折率の高いAsSe、(屈折率=3.15)、Si(屈折率=4.40)およびGe(4.00)から選ばれる材料が挙げられる。
本発明の実施態様の評価方法において、不純物である窒素を含むSiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射する際に、好適には前記界面で赤外線を全反射させて吸収ピークの強度を求め得る。前記の赤外線の照射において、入射角は高屈折率媒質の種類によって異なるが、通常45°以上85°以下であり得る。
本発明の実施態様において、前記のようにして、例えば920〜1000cm−1の観察範囲で得られたフーリエ変換赤外測定データについて、966〜971cm−1にある吸収ピーク強度を、赤外吸収測定で一般的に用いられているフォークト(Voigt)関数にてピーク分離し強度補正を行って求めることができる。
前記の吸収ピーク強度として、ピーク信号の波高値(ピークの高さ)あるいはピーク信号の積分強度、好適にはピーク信号の波高値(ピークの高さ)を用い得る。
本発明におけるSiC単結晶とは、例えば、バルク、ホモエピタキシャルおよびSiC基板上のSiCエピタキシャル薄膜等を挙げることができる。
本発明の評価方法は任意のタイプのSiC単結晶に適用し得るが、好適には4H型である4H−SiC単結晶に適用し得る。
前記のSiC単結晶は、SiC単結晶を結晶成長する際にドナー元素である窒素(N)を含有させて、SiC単結晶を成長させるための任意の成長法、例えば溶液法又は気相法によってSiC単結晶を成長させる方法によって得ることができる。
前記SiC単結晶の成長法における種結晶としては、成長させようとする結晶と同じ結晶構造のSiCバルク単結晶を使用することが好ましく、例えば溶液法では4H―SiCの単結晶が挙げられる。
前記の溶液法においては、成長炉内に断熱材を介して備えられたSi含有融液を収容する坩堝、該成長炉の周囲に設けられ該融液を加熱して一定温度に維持するための高周波コイルおよび昇降可能な支持棒が備えられ前記支持棒の先端に種結晶が設置された溶液法によるSiC単結晶成長装置を用いてSiC単結晶を結晶成長させ得る。
前記のSi含有融液としては、Siの融液用い、坩堝から炭素(C)が供給され、Nガスを炉内に供給することでN添加したSiC単結晶が得られる。
前記の成長法において、融液中の窒素量をSiCに対して0.01〜0.5atm%の範囲内で変化させることによって、SiC単結晶中の不純物である窒素の濃度を変化させることができる。
前記の温度の制御は、高周波誘導加熱によって加熱し、例えば放射温度計による融液面の温度観察および/又は支持部品(例えば炭素棒)内側に設置した熱電対、例えばW−Re(タングステン/レニューム)熱電対を用いて温度測定を行って求められた測定温度に基づいて温度制御装置によって行うことができる。
前記の溶液法によるSiC単結晶製造装置を用いてSiC単結晶を成長させる方法においては、溶液法におけるそれ自体公知の成長法、例えば黒鉛坩堝の形状、加熱方法、加熱時間、雰囲気、昇温速度および冷却速度を適用して結晶成長することができる。
例えば、高周波誘導加熱による加熱時間(原料の仕込みからSiC飽和濃度に達するまでの凡その時間)としては坩堝の大きさにもよるが30分間〜200時間程度(例えば3〜10時間程度)で、雰囲気としては希ガス、例えばHe、Ne、Arなどの不活性ガスやそれらの一部をNで置き換えたものが挙げられる。また、不活性ガスの一部をメタンガスで置き換えてもよい。
前記の結晶成長における成長温度は1800〜2100℃の温度に加熱した融液中で行うことが好ましい。
前記の昇華法においては、例えば、黒鉛製の坩堝内にSiC粉末を昇華原料として充填した黒鉛製の坩堝の蓋の内面に種結晶を取り付け、石英管の内部に設置し、Arガス及びN2ガスを二重石英管の内部に流し、SiC粉末が例えば2300℃以上の温度、例えば2300℃になりSiC単結晶基板が2200℃以上の温度、例えば2200℃になるようにし、石英管内を減圧にして種結晶上にSiC単結晶を成長させることができる。前記の原料にはさらにGa、In、Ge又はTeを含有させ得る。
N添加されたSiC単結晶としては、前述のように溶液成長法や昇華法で結晶成長を行った4H−SiC単結晶上にCVD(化学気相堆積)法にて、Si原料にモノシラン又はモノメチルシラン、C原料にプロパン又はメタンなどを用い、これらの原料をHなどのキャリアガスで1400〜2000℃に加熱された反応炉内に、N原料となるNがスとともに導入することで、N添加されたSiC単結晶膜を得ることができる。
本発明の製造方法は、前記のSiC単結晶を成長させる工程、および得られたSiC単結晶中の窒素濃度を前記の評価方法によって評価する工程を含む、SiC単結晶の製造方法である。
前記の製造方法によって、SiC単結晶の窒素濃度が非破壊的に評価されて結晶中に窒素を5x1015atom/cm以上、好適には2x1016atom/cm以上、特に1018〜ax1019atom/cm(a=1〜5)の高濃度で含むSiC単結晶を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施例を示す。
以下に示す測定法は例示であって、当業者が同等と考える測定法も同様に用い得る。
以下の各例において、SiC単結晶の赤外吸収スペクトルは、高屈折率の光学媒質をSiC単結晶上に接触させ、下記の条件で図8に示す照射方法でSiC単結晶と光学媒質との界面に赤外線を照射し、フーリエ変換赤外(FTIR)測定を行った。
測定装置:測定装置としてフーリエ変換赤外分光光度計 Bio−Rad FTS 5
75c
光学媒質:Ge(ゲルマニウム)
測定方法:全反射法
赤外線の照射条件:入射角85°
測定条件:分解能4cm−1、積算回数128回、ゲイン1、アパーチャ:オープン、
測定温度:室温、測定波数領域:600〜1200cm−1
また、以下の各例において、各SiC単結晶についての吸収ピークの強度は、前記のようにして600〜1200cm−1間でデータを取得した。920〜1000cm−1の観察範囲で得られたフーリエ変換赤外測定データについて、966〜971cm−1にある吸収ピーク信号の強度を、赤外吸収測定で一般的に用いられているフォークト(Voigt)関数にて強度補正を行いピーク信号の波高値によって求めた。
実施例1
1.不純物として窒素を含む4H−SiC単結晶の成長
溶液成長法を用いた4H−SiC単結晶成長において、原料としてSi60atm%、Cr40atm%、SiCに対してN(全量を窒素ガスとして供給)0.02〜0.2atm%を黒鉛製の坩堝内に投入し、成長温度2010℃の温度に加熱した融液中、種結晶として4H−SiC単結晶を1〜200時間浸漬し、約10時間結晶成長させた。
得られたSiC単結晶は下記のN濃度を有していた。
N濃度 7.0x1017〜1.5x1019atom/cm−3
また、CVD法を用いた4H−SiC単結晶薄膜の成長法において、ホットウォール型のCVD装置に、原料としてモノシラン10ccm(cm/min.)、プロパン5ccm、Nガス20〜250ccmおよびキャリアガスとしてHを25Lm流し、成長温度1500℃で1時間程度加熱することで、前述の溶液法成長4H−SiC基板及び昇華法成長4H−SiC基板上に4H−SiCの単結晶薄膜を厚さ10μm形成した。N濃度は2.0x1016〜3.0x1017atom/cm−3であった。
2.4H−SiC単結晶の評価
上記の方法で成長させた、予め窒素濃度をSIMSで測定して評価して窒素濃度が各々1.5x1019atom/cm、7.0x1018atom/cm、7.6x1017atom/cmおよび2.0x1016atom/cmである4種類の4H−SiC単結晶について、前記の条件で赤外線を照射して全反射させて赤外吸収スペクトルを得た。
得られた赤外吸収スペクトルを図1に示す。
各SiC単結晶の吸収ピーク強度と窒素濃度との関係を、縦軸に吸収強度、横軸に窒素濃度を対数表示にして相関させて、検量線を作成し、図2として示す。
一方、窒素濃度が未知の4H−SiC単結晶について、上記と同様にして前記の条件で赤外線を照射して全反射させて赤外吸収スペクトルを得た。
得られた赤外吸収スペクトルを図1のa点として示す。
この4H−SiC単結晶の吸収ピークの強度は、0.0527であった。
図2の検量線から、窒素濃度は7x1018atom/cmと評価された。
比較例1
SIMSで予め窒素濃度を評価して窒素濃度が各々1.5x1019atom/cm、7.0x1018atom/cm、7.6x1017atom/cmおよび2.0x1016atom/cmである4種類の4H−SiC単結晶について、実施例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た。この赤外吸収スペクトルから980cm−1相当とされる固定波数による吸収強度(ピーク強度)を窒素濃度に対してプロットした。結果を図3に示す。
この図3からは、窒素濃度が未知の4H−SiC単結晶の吸収ピークの強度を求めても一義的に窒素濃度を評価できないことが明らかである。
比較例2
SIMSで予め窒素濃度を評価して窒素濃度が1.5x1019atom/cmである4H−SiC単結晶について、光学媒質としてGeを用いないで代りに大気を用いた他は実施例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た。この赤外吸収スペクトルを図5(b)に示す。
図5(b)から、この評価方法ではベースラインに歪みが生じる異常分散が起こり、不純物に基くピークを示す赤外吸収スペクトルを得ることがでず、4H−SiC単結晶中の窒素濃度を評価できないことが明らかである。
本発明のSiC単結晶の評価方法によって、結晶中に窒素を5x1016atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶の窒素濃度を非破壊的に評価し得る。
また、本発明の製造方法によれば、SiC単結晶の窒素濃度が非破壊的に評価されて結晶中に窒素を5x1016atom/cm以上の濃度で含むSiC単結晶を容易に得ることができる。

Claims (8)

  1. 結晶中の窒素濃度を評価するSiC単結晶の評価方法であって、
    (1)SiC単結晶の表面に前記SiC単結晶よりも屈折率の高い光学媒質を接触させ、
    (2)前記SiC単結晶と前記光学媒質との界面に赤外線を照射し、
    (3)得られた赤外線スペクトルから966〜971cm−1の範囲で吸収波数のピーク値が変化する吸収ピーク強度を求め、
    (4)得られた吸収ピーク強度に基いてSiC単結晶中の窒素濃度を評価する、
    前記方法。
  2. 窒素濃度が既知で該濃度が異なる複数のSiC単結晶について前記(1)〜(3)によって吸収ピーク強度を求め、予め窒素濃度と吸収ピーク強度との相関を求めておく請求項1に記載の評価方法。
  3. 前記赤外線スペクトルが、前記界面で赤外線を全反射させて得られる反射光のスペクトルである請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 前記光学媒質が、AsSe、SiおよびGeから選ばれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 前記SiC単結晶がバルクである請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
  6. 前記SiC単結晶が、4H型である請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
  7. SiC単結晶の製造方法であって、
    SiC単結晶を成長させる工程、および
    得られたSiC単結晶中の窒素濃度を請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法によって評価する工程、
    を含む、前記方法。
  8. 前記SiC単結晶を溶液法によって成長させる請求項7に記載の製造方法。
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