JP5891474B1 - 造礁性サンゴを飾りサンゴにした場合の美的感性を増大させるための養殖方法 - Google Patents

造礁性サンゴを飾りサンゴにした場合の美的感性を増大させるための養殖方法 Download PDF

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【課題】従来の商品としての飾りサンゴは、自然のサンゴを漂白したものか、何ら美的価値を高める手法を用いて養殖されたサンゴではないために、やはり真っ白なままの飾りサンゴとしての商品しかありません。【解決手段】本発明は、有色ビーズ表面を覆うサンゴ骨格がある一定の厚さであれば、飾りサンゴにした場合に自然の風合いの色彩を飾りサンゴに与えられる事に気づいた事による発明です。糸通し有色ビーズを造礁性サンゴの破片に巻き付けて任意の期間養殖を行うことにより飾りサンゴに任意の色彩を与える事ができます。【選択図】図4

Description

造礁性サンゴは、古くから漂白されてインテリ用の飾りサンゴとして販売されてきました。しかし、これらの飾りサンゴは単に漂白したままで真っ白なままか、あるいは漂白後に人工的な着色が施されて販売されているだけです。インテリア品としての価値を高める事を目的に造礁性サンゴが育成、増殖されているのではないために従来的な飾りサンゴの商品しかありません。
本発明は、養殖中の造礁性サンゴが接触した物質の表面に薄く(約0.1mmから1.0mm)骨格を被覆した時期に海中にから取り上げて生体肉部分を除去し漂白した場合に被覆したサンゴ骨格が可視光透過性を持つという特徴に注目して開発した技術です。糸通しの赤色や青色等の有色ビーズを造礁性サンゴの破片に巻き付けて海中で養殖しビーズ表面のサンゴ生体が可視光透過性を有する範囲の適当な被覆厚(約0.1mmから1.0mm)に達した後、海中から取り上げてサンゴ生体肉部を除去し漂白した時に有色ビーズ表面の造礁性サンゴ被覆層の有する可視光透過性により有色のビーズがかすかに透けて見えます。さらに有色ビーズ表面のサンゴ骨格の有する微細構造により色彩にグラデーションが加わります。このように本発明は、造礁性サンゴを飾りサンゴにした場合の美的価値を高めるための造礁性サンゴの養殖方法に関するものです。
これまでの造礁性サンゴの養殖方法は、垂下式やひび建て式も含めすべての方法が造礁性サンゴの効率的な養殖と移植を行うための技術として考案されてきました。本発明のように海中から取り上げた後の飾りサンゴとしての美的価値を高めるための造礁性サンゴの養殖を目的とした技術は考案されていません。
特許登録第4947274号広報 特開2002−45075号広報 特開2001−321001広報 特許登録第2754314広報
現在、販売されている飾りサンゴは、造礁性サンゴの成長過程において人為的に美的価値を高めるための処置が加えられていないため、サンゴ生体肉部を除去して漂白した真っ白なままか、漂白後に着色した人工的な風合いの飾りサンゴだけです。
本発明は、造礁性サンゴの養殖期間と養殖方法に関するものです。造礁性サンゴの養殖期間を糸通し有色ビーズ表面のサンゴ骨格の被覆厚が生体肉部を除去して漂白した際にサンゴ骨格部が独特の可視光透過性と微細構造による造形美を有する範囲の厚さ、約0.1mm〜1mm厚とする造礁性サンゴの養殖方法に関するものです。
本発明がもたらす有色ビーズ表面のサンゴ骨格の被覆厚が0.1〜1.0mmだと有色ビーズ表面のサンゴ骨格の可視光透過性により白一色の飾りサンゴに有色ビーズの色が透けて現れます。さらにビーズ表面のサンゴ骨格の微細構造が色彩にグラデーションを加えるため自然な風合いの色彩が飾りサンゴに加えられます。
これまで、インテリア品として販売されてきた飾りサンゴは、海水中から取り上げた後に生体肉部を除去し漂白して販売されてきました。しかし、造礁性サンゴの養殖中に何らの人工的な美的価値を高める技法が施されてないために、古くから商品として販売されてきた真っ白なまま飾りサンゴとしての販売が行われてきたのです。漂白後に着色した飾りサンゴも少数ながらありますが、風合いが人工的で売れ行きが悪いためか色つきの飾りサンゴは少数しか作られません。
造礁性サンゴは、自然界において海底の岩に炭酸カルシウムの骨格で被覆着生して生育しています。岩以外のいろんな物質へも炭酸カルシウムの骨格で被覆着生する能力を有していてガラスやアルミニウムやステンレスなどの金属などへも炭酸カルシウムの骨格で被覆着生して生育していきます。
実際に造礁性サンゴにアルミニウム針金を巻き付けて(図6)養殖すると造礁性サンゴの成長によりアルミニウム針金上にサンゴ骨格を被覆して成長します。約1年間、海水中で養殖するとアルミ針金を完全に覆い尽くしてしまいます。直径3mm長さ1cmほどの小さなガラス棒に造礁性サンゴの小片を接触させて養殖した場合だと1年ほどでガラス棒自体が成長した造礁性サンゴの骨格中に完全に埋もれてしまうこともあります。この状態まで養殖した造礁性サンゴを海水中から取り上げて生体肉部を除去し漂白した場合はガラス棒がサンゴ骨格中にあるのがさえ外見からは判別できなくなります。
アルミニウム針金の代わりに造礁性サンゴに糸通し有色ビーズ巻き付けて養殖すると時間の経過とともに有色ビーズ表面にも炭酸カルシウムの骨格を被覆して成長します。サンゴ骨格が約0.1〜1mmほどの厚さに被覆成長した時点でこの養殖サンゴを海水中から取り上げ生体肉部を除去した後に漂白するとサンゴの骨格が可視光透過性を有しているため有色ビーズが透けて見え美しい色彩が表れる事が分かりました。また、サンゴポリプの住処であるサンゴ骨格表面は微小な凹凸が生体肉部を除去して漂白した後も失われずに残るために光の透視に微細な変化を与えてくれて美的価値を高めてくれます。この可視光透過性と微細構造による光の透過の変化により白一色だった飾りサンゴに自然の色彩を与える事ができの商品価値が著しく高められるのです。
造礁性サンゴの破片に巻きつけた有色ビーズ上のサンゴの被覆が1mmを超えるような長期間の養殖を行った造礁性サンゴを、飾りサンゴにした場合にはビーズ上に被覆したサンゴ骨格の可視光透過性がほぼ失われてしまい有色ビーズを外部から認識できなくなるため、これまで販売されてきた飾りサンゴと同様な真っ白な外観となります。つまり、有色ビーズ上のサンゴの被覆厚がサンゴ骨格の可視光透過性を有する範囲を超えてしまう期間養殖すると本発明の美的な優位性を失ってしまうのです。
このサンゴ骨格の可視光透過性は、造礁性サンゴを海水中で養殖している間は造礁性サンゴ生体内の褐虫藻などが光を遮蔽するために外部から認識することはできません。これまで美的感性を刺激するサンゴ骨格の可視光透過性を利用した造礁性サンゴの養殖方法が考案されてこなかったのは、海水中で造礁性サンゴを養殖している時には、薄い炭酸カルシウムのサンゴ骨格の被覆が可視光透過性を有するという事実が外見からは認識できなかったからなのです。
本発明は、造礁性サンゴの薄い炭酸カルシウム被覆(約0.1〜1.0mm)が可視光透過性を持っことを認識し、このサンゴ骨格の性質に注目して開発した技術です。飾りサンゴにした場合の美的価値を高めるための発明なのです。
造礁性サンゴの破片に有色ビーズを巻き付けて(図1)垂下して養殖し水中から取り出したサンゴの生体肉部を取り除き漂白した時点で有色ビーズ表面のサンゴ骨格が可視光透過性を有するような被覆厚(約0.1〜1.0mm)になる(図3)任意の期間だけ造礁性サンゴを海水中で増殖する方法に関するものです。
本発明を造礁性サンゴの養殖に用いる事により、インテリア用としての飾りサンゴの美的価値が高まります。これまで白色だけだった飾りサンゴに有色ビーズ上に被覆したサンゴ骨格の可視光透過性を利用した柔らかな色彩が加わり美的価値を高めます。さらにサンゴ骨格が有する表面の微細構造の凹凸により光の透過が変化し、よりいっそう美的感性を刺激します。
サンゴの垂下式養殖は、造礁性サンゴの枝を折り取り、折り取った枝にアルミやステンレスの針金等を巻き付けて(図6)海中に垂下して行う造礁性サンゴの養殖方法です。(特許登録第4947274号)折られたサンゴの枝は、傷口を修復して成長するとともに巻きつけたアルミやステンレスなどの針金にも炭酸カルシウムの骨格を被覆して成長していきます。2ケ月ほどすると折られた部分の傷口は新たなポリプと共肉部に覆われて外部から視認できなくなります。(図7)のように針金の部分もポリプと共肉部で被われて針金を海水中では視認するのが困難になります。針金での垂下養殖の場合には養殖期間が短いと生体肉部を取り除いて漂白した時に針金部分がサンゴ骨格から盛り上がってしまうのと針金が透けて見栄えが悪いのです。
今までのサンゴの垂下式養殖では、針金を巻いた跡が見えると見苦しく見栄えが悪いため針金上を被覆するのサンゴ骨格の被覆厚が針金の存在が分からなく被覆厚なるように養殖期間を長くしてきました。
造礁サンゴの生体破片に糸通しビーズを巻き付けて垂下増殖した場合の海水中でのサンゴ生体破片の模式図です。 造礁サンゴ破片に糸通しビーズを巻き付けた直後に生体部分を除去して漂白した場合のサンゴ骨格の模式図です。 造礁サンゴの生体破片に糸通しビーズを巻き付けて約2ケ月ほど垂下増殖した場合の海水中でのサンゴ生体破片の模式図です。 造礁サンゴの生体破片に糸通しビーズを巻き付けて約2ケ月ほど垂下増殖した場合のサンゴ生体部分を除去して漂白した場合のサンゴ骨格の模式図です。 糸通しビーズ上に薄く被覆したサンゴ骨格が美的価値を高める範囲を示した模式図です。 直径1mmのアルミ針金を用いて造礁性サンゴ生体破片を垂下養殖した場合の模式図です。 直径1mmのアルミ針金を用いて造礁性サンゴ生体破片を、およそ2か月間海中で垂下養殖場合の模式図ですした。 図4の漂白したサンゴ骨格のエナメル線に新たにビーズを通して商品化を図ったサンゴ骨格の模式図です。
0.3mmのエナメル線で通した2mmの有色ビーズを用意します。図1のように用意した糸通し有色ビーズ(1)を5cmほどの造礁性サンゴの小片(2)に結び付けます。0.3mmエナメル線(3)を垂下用の紐として使用し垂下養殖します。同日に約200個の5cmほどの造礁性サンゴを同様な糸通し有色ビーズに巻き付けて垂下養殖をします。
参考のために、糸通しビーズを巻きつけた直後に造礁性サンゴの生体肉部を除去して漂白したサンゴ骨格の模式図を図2に示してあります。
1ケ月半ほどが経過した時点でサンゴ骨格の被覆厚を確認するために同じ日に垂下養殖を始めた造礁性サンゴの2〜3個を海水中から取り上げて生体肉部をエアーガンで吹き飛ばします。生体肉部を除去するとサンゴ骨格を通して内部のビーズの色が視認できます。図3は海水中で約1ヶ月半ほど養殖した造礁性サンゴ生体破片の模式図です。サンゴ骨格がほぼすべてのビーズ表面を被覆しており且つ、サンゴ骨格を通して内部のビーズの色が淡く視認できれば、同一の日に垂下養殖を始めた出荷する任意の数の養殖サンゴを海水中から取り出します。
海水中から取り出した養殖サンゴを3日〜4日ほど淡水中に置いておきます。淡水中においた養殖サンゴの肉部が腐敗してきたらエアーガンで肉部を吹き飛ばし塩素系漂白剤の約1/50倍液中に置いて漂白します。
漂白液中に1日から2日ほど置いた養殖サンゴ骨格は、ビーズ部分以外は真っ白になります。サンゴ骨格が真っ白になった事を確認して漂白液中から取り出します。淡水でサンゴ骨格から漂白剤を洗い流してから乾燥させます。図4は、ビーズ表面のサンゴ被覆の状態を表した模式図です。
乾燥が終わったサンゴ骨格の垂下に使った0.3mmのエナメル線にビーズを通します。図8のような形態にして有色ビーズ付き飾りサンゴの完成です。
乾燥が終わったサンゴ骨格は0.3mmエナメル線を根本で切り取るだけでも飾りサンゴの置物として商品化できます。
(1)有色ビーズ
(2)造礁性サンゴの破片
(3)エナメル線
(4)有色ビーズ上のサンゴ被覆
(5)有色ビーズの色彩による美的感性を刺激する範囲
(6)アルミ線
(7)アルミ線上のサンゴ被覆
(8)エナメル線に追加したビーズ

Claims (1)

  1. 造礁性サンゴの破片に、糸通し有色ビーズを巻きつけて成長させ造礁性サンゴの成長に伴う有色ビーズ表面へのサンゴ骨格の被覆厚が可視光透視性を有する範囲の被覆厚に達した時期に海中から取り上げる期間とする事を特徴とする造礁性サンゴの養殖方法。
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