JP5885266B2 - 結合系 - Google Patents

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Description

本発明は、標的分子を上に固定化するための合成表面の適合化に関する。
創薬研究および診断における種々の用途のために、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴサッカリドなどの生体分子を標的基材に結合させる単純なプロセスの必要性が存在する。Hermanson,et.al.,Bioconjugate Techniques:Academic Press,1996に記載される手法などの多くの手法が先行技術に存在するが、良好に用いられる方法の数は限られている。一方法は、ニッケルやコバルトなどの金属イオンと結合するポリヒスチジンタグの使用である。固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)は、タンパク質リフォールディング、バイオセンサー、プレート利用イムノアッセイなどの他の用途に適用されてきた信頼性の高い精製手順である(Ueda,E.K.M.,Gout,P.W.,and Morganti,L.J.Chromatography A,988(2003)1−23)。IMACでは、なんらかの固体担体に共有結合された金属キレート化基を介して金属イオンを固定化することにより、いくつかの遊離配位部位にポリHisタグを介してタンパク質を結合させることが可能である。続いて、結合されたタンパク質をイミダゾールや他のキレート化剤との競合により放出させることが可能である。
タンパク質放出は、IMACの必要要件であるが、標的タンパク質が早期に放出されることは、望ましくない。ランダムな金属−タンパク質結合の問題、予測不能な結合強度および再現性の問題を回避するために、ポリヒスチジンタグをタンパク質に組み込む必要がある。たとえそうであっても、金属とポリヒスチジンタグとの相互作用は、本質的に低い親和性相互作用であり、ただ1つのポリヒスチジンタグを有するほとんどのタンパク質は、固相アッセイで見いだされるような適用条件下で金属錯体基材から解離するおそれがある。そのような条件下で安定な結合を得るには、2つのポリヒスチジンタグが必要である(Nieba,L.,Nieba−Axmann,S.E.,Persson,A.,Hamalainen,M.,Edebratt,F.,Hansson,A.,Lidholm,J.,Magnusson,.,Karlsson,A.F.and Pluckthun,A.Anal.Biochem.,252(1997)217−228)。
合成表面または基材に標的分子を結合させる他の手法では、金属イオンを用いて標的分子と基材との間に配位錯体を形成することにより、以上に記載のポリヒスチジンタグの付加などの標的の事前修飾を必要とすることなく基材に標的分子を連結させる。とくに、PCT/AU2005/00966(国際公開第2006/002472号として公開された)を参照されたい。
標的分子に結合する新しいまたは改良された能力または機能を有する合成基材の必要性が依然として存在する。
標的分子に対する改良された結合親和性を有する合成基材の必要性もまた存在する。
標的分子へのいかなるコンフォメーション損傷をも最小限に抑える合成基材の必要性もまた存在する。
標的分子の改良された配向を提供するように適合化された合成基材の必要性もまた存在する。
標的分子に結合するように適合化されたかつ活性化状態で比較的長い貯蔵寿命を備えた合成基材、すなわち、標的分子に結合すべく後で使用した時に、標的分子に結合する能力の有意な損失を伴うことなく、より長期間にわたり貯蔵可能な基材、の必要性もまた存在する。
本明細書でいずれの先行技術が参照されても、この先行技術がオーストラリアやいずれの他の法域でも共通一般知識の一部を形成すること、この先行技術の妥当性が当業者により確認、理解、および考慮されると適正に予想しうること、を承認したりいずれの形でも示唆したりするものとみなしてはならない。
本発明は、以上に挙げた問題もしくは制約の少なくとも1つへの対処または以上に挙げた必要性の少なくとも1つへの対処を行おうとするものであり、一実施形態では、標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法を提供する。この方法は、以下のステップ、すなわち、
・合成基材を提供するステップと、
・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
・標的分子の不在下で金属イオンを基材と接触させることにより、基材が金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
・基材との配位錯体中の金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の存在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく基材を適合化する。
他の実施形態では、標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法を提供する。この方法は、以下のステップ、すなわち、
・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の不在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
・標的分子の不在下でオリゴマー金属錯体を基材と接触させることにより、基材がオリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく基材を適合化する。
特定の実施形態では、
・合成基材およびその上に固定化される標的分子を提供するステップと、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態で提供される形で、基材および標的分子と結合可能な金属イオンを提供するステップと、
・オリゴマー金属錯体を標的分子および基材と接触させることにより、基材および標的分子が、オリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された、かつオリゴマー金属錯体が、標的分子を基材と連結させるように配置された、配位錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、基材上に標的分子を固定化する、合成基材上に標的分子を固定化する方法を提供する。
他の実施形態では、
・標的分子を上に固定化すべく合成基材を提供するステップと、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態で提供される形で、基材および標的分子と結合可能な金属イオンを提供するステップと、
・オリゴマー金属錯体を基材と接触させることにより、基材がオリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく前記基材を適合化する、標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法を提供する。
標的分子と基材との間に安定な結合相互作用または連結を提供すべく、実質的にオリゴマー金属錯体の形態の2つ以上の金属イオンをスクリーニング/選択することが可能である。これは、実質的にすべてオリゴマー金属錯体の形態の2つ以上の金属イオンとの配位を介して、標的分子を基材上に固定化することを意味する。機能すると考えられる機構を以下でより詳細に説明する。
「実質的にすべてオリゴマー金属錯体の形態」という用語は、金属イオンの大半が、モノマー金属錯体とは対照的に、オリゴマー金属錯体(たとえば、ダイマー、トリマー、テトラマーなど)の形態をとることを意味する。たとえば、基材との配位錯体中の金属イオンの好ましくは75%超、好ましくは80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは98超または99%超は、オリゴマー金属錯体の形態をとる。組成物中のモノマーまたはオリゴマーの%量は、本明細書に記載のキャピラリー電気泳動法および当業者に公知の他の方法に従って決定可能である。
実質的にすべての金属イオンがオリゴマー金属錯体の形態をとる金属イオンの組成物は、モノマー錯体およびオリゴマー錯体を含む金属錯体のサンプルを分画してオリゴマー錯体を回収することにより取得可能である。いくつかの実施形態では、分画が不完全になることもあり、その場合、オリゴマー金属錯体と共に回収されるいくらかの残留モノマー金属錯体が存在することもあることは、わかるであろう。
他の実施形態では、組成物は、オリゴマー金属錯体の生成がモノマー金属錯体よりも有利になる条件で生成可能であり、その場合、組成物は、実質的にすべての金属イオンがオリゴマー金属錯体の形態で提供される形で金属イオンを含む。
特定の実施形態では、組成物は、特定条件下で基材に適用した時、モノマー金属錯体が基材上の限られたキレート化部位で実際上駆逐されるように、基材上の利用可能なキレート化部位で錯体を競合させることが可能な、モノマー金属錯体とオリゴマー金属錯体の両方の形態の金属イオンを含有する。
一実施形態では、
・合成基材およびその上に固定化される標的分子を提供するステップと、
・オリゴマー金属錯体およびモノマー金属錯体の形態の金属イオンの形で、基材および標的分子と結合可能な金属イオンを提供するステップと、
・オリゴマー金属錯体が標的分子および基材と優先的に結合する条件下で金属錯体を標的分子および基材と接触させることにより、基材および標的分子が、オリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された、かつオリゴマー金属錯体が、標的分子を基材と連結させるように配置された、配位錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、基材上に標的分子を固定化する、標的分子を合成基材上に固定化する方法を提供する。
さらなる実施形態では、この方法は、実質的にモノマー金属錯体を含まないことを特徴とする組成物の形で、オリゴマー金属錯体の組成物またはそれがコーティングされた基材を利用する。
オリゴマー金属錯体は、2つ以上のタイプの金属イオンを含みうるか、またはこの錯体は、単一タイプの元素金属イオンで構成されうる。
オリゴマー金属錯体は、同数の金属イオンを含みうる。他の選択肢として、基材上への標的分子のコンジュゲート化または固定化に使用されるオリゴマー金属錯体の組成物は、異数の金属イオンを有する錯体を含みうる。たとえば、組成物は、2、3、4、5、6個、およびそれより多くの金属イオンを含む錯体を有しうる。
オリゴマー金属錯体は、同一のコンフォメーション、ジオメトリー、または構造を有しうる。他の実施形態では、標的を基材上に固定化するための金属イオンの組成物は、異なるコンフォメーション、ジオメトリー、または構造を有するオリゴマー金属錯体を含有しうる。たとえば、あるものは線状、他のものは分岐状、他のものはクラスター状などでありうる。
本発明はまた、標的分子に対して示差結合特性を有するオリゴマー金属錯体(金属のダイマー、トリマー、テトラマーなど)の合成および選択と、標的分子に対する結合結果をさらに操作できるように特定の金属オリゴマーを提供することと、に依拠する。その結果、オリゴマー金属錯体は、オリゴマー金属錯体の改良された結合効果により、標的分子に対して、より高い結合親和性およびおそらくさまざまな選択性レベルの達成が可能になる。同様に、異なる比の異なるオリゴマー金属錯体の特定の混合物を選択することにより、標的分子および基材に対して、さらなる結合特性および選択性が可能になるであろう。
本明細書では、「基材」という用語は、特定の標的分子に結合することが望まれるいくつかの種を表すのに総称的に用いられる。「合成基材」は、一般的には、非生物基材である。すなわち、細胞や細胞断片ではない。「基材」は、対象標的分子の固定化に好適なプラットフォームである従来の固相材料でありうる。一般的には、使用される基材は、既存の固相用途で一般に使用される方式の合成基材であろう。たとえば、基材としては、シリカ/ガラス、金および他の金属、またはポリ(ビニルアルコール)表面もしくはメタクリレート表面をはじめとする種々のプラスチック/ポリマー材料の例が挙げられうる。基材は、任意の形態をとりうる。生物学的用途では、基材は、通常、ミクロンサイズもしくはナノメートルサイズのビーズ、膜、マルチウェルプレート、スライド、キャピラリーカラム、カートリッジ、または他の方式の形態をとるであろう。基材の表面は、すでに、カルボン酸、アミド、アミン、ヒドロキシル、アルデヒド、もしくは他の電子供与基を含有していてもよいし、またはその表面上に低レベルの電子供与基を呈するように修飾してもよい。後述するように、基材の表面特性は、最適な金属キレート化配位子を有していないものでもよいが、特定のオリゴマー金属錯体またはその特定の組合せの選択により、本明細書に記載の方法の有効性または最適化を達成することが可能である。
本発明の実施形態では、「基材」という用語は、検出可能な標識や他の分子種のようなものを包含するものとする。「標識」という用語は、検出可能な、したがって、それに結合された時に他の分子を同定すべく使用可能な、任意の種を意味するものとして、従来の意味で用いられる。標識の厳密な形態は、本発明の根底をなす原理があてはまるかぎり、とくに重要ではない。例として、標識は、放射性標識、酵素、特異的結合対成分(たとえば、アビジン、ストレプトアビジン)、比色マーカーまたは色素(たとえば、UV、VIS、または赤外の色素)、蛍光マーカー、化学発光マーカー、抗体、プロテインA、プロテインGなどでありうる。本発明は、診断アッセイの分野で特定の有用性を有しうる。また、原理的には、それに関連してシグナル検出の増大を提供すべく従来から使用されている任意の標識を利用しうる。これに関連して、この用語は、活性(検出可能)標識種自体または本発明に従って使用される金属錯体に活性標識を結合可能にする配位配位子に結合された活性標識種を意味するものとする。活性標識種の性質に依存して、活性標識種と金属錯体の金属との必須の会合を達成すべく、特定のオリゴマー金属錯体またはその特定の組合せのスクリーニングおよび選択が必要になることもある。
標識は、1つ以上のオリゴマー金属錯体に結合してもよく、オリゴマー金属錯体は、1つ以上の標識に結合してもよい。本発明の一実施形態では、標識は、複数の活性標識種を含む特性の高分子であってもよく、それは、1分子超のオリゴマー金属錯体に結合(キレート化)する能力を有する。
本明細書では、「標識」という用語はまた、そのままでは活性標識として機能する能力を有していないが、プレ標識標的分子の検出がなされるようにさらなる反応または機能化を行いうる、無機分子、有機分子、または生体分子(たとえば、合成ペプチドまたはオリゴヌクレオチド)などの(プレ標識)分子をも包含する。この場合、このさらなる反応/機能化は、オリゴマー金属錯体の金属イオンへのプレ標識分子および標的分子の結合にもともと関与する結合(配位)相互作用の破壊を伴うことなく行われる。ここでは、金属錯体の機能が標的分子とプレ標識分子との間で架橋剤として作用することであることは、わかるであろう。以上で説明したように、プレ標識分子は、金属錯体を介する結合を行うために、好適な配位配位子への結合が必要になることもある。
以下では、文脈上とくに必要とされないかぎり、参照を容易にするために、「標識」という用語および「標識化」などのその変化形は、標識がプレ標識でありかつ本発明の効果がプレ標識への標的分子の架橋を容易にすることである記載の実施形態を包含すべく用いられるものとする。とくに明記されていないかぎり、本発明との関連では、「標的分子」という用語は、標識することが望まれる任意の分子を意味する。
とくに明記されていないかぎり、本発明との関連では、「標的分子」という用語は、基材上に固定化することが望まれる分子を意味する。本発明の一実施形態では、標的分子は生物学的分子である。本発明は、標的分子として抗体に対して特定の適用可能性を有する。これは、標的分子という用語が基材表面に固定化することが望まれる任意の分子を包含しうることを述べたものである。たとえば、標的分子は、抗体、ストレプトアビジン、プロテインA、またはプロテインGなどのタンパク質でありうる。
本明細書では、「オリゴマー金属錯体」という用語は、連結一体化された2つ以上のモノマー種を含む金属錯体種を意味する。モノマー金属錯体は、溶液中の金属イオンが同様に溶液中に存在する電子供与体配位子と配位共有結合(供与共有結合とも呼ばれる)を形成した時に形成される金属種である。そのような配位子は、本明細書では、配位配位子、金属配位子、または単に配位子と呼ぶものとする。たとえば、水性溶液中では、クロム(III)は、中心クロムイオンの周りに配置された6つの配位水分子との八面体錯体として存在しうる。任意の所与の金属に対して形成されるモノマー金属錯体の性質は、金属イオンとの好適に安定な会合を形成する配位子の能力だけでなく、溶解中の配位子にも依存するであろう。配位子は、その構造および金属イオンとの相互作用により錯体を形成する能力に依存して、単座、二座、または多座でありうる。水和物および/またはアニオンは、溶液中で例外なく金属錯体の構造の一部になる配位子(対イオンとも呼ばれる)である。
オリゴマー金属錯体は、配位子の1つ以上の架橋相互作用を介して、これらのモノマー金属錯体の少なくとも2つを結合一体化して含む。より大きいオリゴマー錯体は、より多くの金属種をより多くの配位子で架橋して、多くのモノマー金属種を含むクラスターを形成することにより、形成可能である。モノマー金属錯体を結合一体化して、任意のコンフォメーション、ジオメトリー、または構造を有するオリゴマー金属錯体を形成することが可能である。たとえば、オリゴマー金属錯体は、線状、分岐状、またはクラスター状のジオメトリーまたはコンフォメーションを有しうる。たとえば、図1は、3つのクロム系オリゴマー錯体を示している。この特定の場合、異なるpH条件で、個別のモノマークロム錯体すなわち[Cr(HO)3+をその配位子を介して結合させ、ダイマー、トリマー、およびテトラマー、ならびにより大きいオリゴマーの金属錯体を形成することが可能である。一実施形態では、クロム系オリゴマー金属錯体は、加水分解性オリゴマー金属錯体である。他の実施形態では、クロムオリゴマー金属錯体は、2つ以上の個別の金属イオン間の他の架橋配位子を介して形成される。他の実施形態では、金属錯体を架橋する異なる方法を併用することが可能である。同様に、他の金属錯体は、オリゴマー種を形成し、その特定の形成方法に応じて、異なるオリゴマー集団が可能である。そのうえさらに、他の配位子または配位子の組合せを添加し、その特定の形成方法に応じて、より複雑なオリゴマー金属錯体を得ることが可能である。これ以降では、とくに明記されていないかぎり、「金属錯体」および「オリゴマー金属錯体」という用語は、同義的に用いられる。オリゴマー金属錯体の構造は、成分のモノマー型金属錯体と比較して、さらには異なるオリゴマー種との間で、おそらく異なる結合特性を付与するであろう。
さらに、オリゴマー金属錯体は、より大きい三次元複雑度を有するので、これは、モノマー金属錯体よりも大きい設計柔軟性を提供する。本発明は、標的分子とモノマー金属錯体に対して適切に強力なキレート化種を有していなくてもよい基材との間で所望の結合相互作用を達成すべく、最も好適なオリゴマー金属錯体またはその混合物を選択することに依拠する。このことを考慮すると、本発明は、金属のタイプおよびオリゴマーの形態に関して一連のさまざまなオリゴマー金属錯体への適用可能性を有すると考えられ、この金属錯体は、変化に富んでいるので、本発明のより大きい実施柔軟性を可能にする多様性の利点を呈する。
金属錯体が標的分子(もっと正確に言えば標的分子の領域)の結合を容易にする機構は、オリゴマー金属錯体に会合した1つ以上の配位子を標的分子により置き換えることが関与すると考えられる。これを行うために、標的分子は、標的分子との相互作用の前に金属イオンと会合してすでに存在する1つ以上の既存の配位配位子と比較した時、金属錯体の金属イオンとの優先的な会合を形成可能でなければならない。本発明の実施形態によれば、所望の結合相互作用を達成すべく、標的分子に対する金属イオンの結合特性を操作することが可能である。したがって、本発明の一実施形態では、金属イオンに会合する1つ以上の配位子は、必要に応じて標的分子の結合を制御すべく選択される。
オリゴマー金属錯体は、標的分子に関連して以上に記載したのと類似の配位子置換え機構により、基材への結合を容易にすることが可能であり、基材に対する金属イオンの結合特性もまた、必要に応じて操作可能である。
提案された機構を仮定すれば、結合時、標的分子は、金属イオンに会合する配位配位子であるので、金属イオンが標的分子に結合する時に形成される種を金属錯体であるとみなしうることは、わかるであろう。金属イオンが基材に結合する時に形成される種についても、同じことが言える。しかしながら、混乱を避けるために、とくに明記されていないかぎりまたは明らかでないかぎり、「金属錯体」という用語は、本明細書では、いずれかのそのような結合イベントが起こる前のオリゴマー金属錯体および会合配位配位子を意味すべく用いられるものとする。
本明細書では、とくに明記されていないかぎり、配位するおよび結合するならびに配位および結合相互作用という用語は、同義的に用いられる。論述したように、オリゴマー金属錯体の使用は、オリゴマー金属錯体と基材または標的分子との間の多重の結合相互作用に基づいて、より大きい結合安定性を付与する。錯体構造(金属イオンの数およびなんらかの配位子へのその個別の固有結合親和性)および使用条件に依存して、配位結合の強度は、本質的に非可逆共有結合から弱い結合相互作用まで調整可能である。
本発明に係る方法は、1つ以上の標的分子を固体基材上に固定化することまたは同定目的のなんらかの検出可能な「タグ」で標的分子を標識することが望まれる固相アッセイ(いわゆる捕捉アッセイ)で、おそらく特定の適用可能性を有するであろう。本発明はまた、アフィニティークロマトグラフィー、2Dゲル電気泳動、表面プラズモン共鳴(in vitroおよびin vivoイメージングの両方)、治療材料の送達、または標的分子が基材に結合した場合に有用であることが知られているプロセスおよび任意の他の用途で、有用性を有しうる。本発明は、実用上これらのいずれかに関連する本方法の適用に拡張される。
本明細書で用いられる場合、文脈上他の解釈が必要とされる場合を除いて、「comprise(〜を含む)」という用語およびその用語の変化形(「comprising」、「comprises」、「comprised」など)は、さらなる添加物、成分、整数、またはステップを除外するものではない。
本発明のさらなる態様および以上の節に記載の態様のさらなる実施形態は、例として与えられた以下の説明から、および添付の図面を参照すれば、明らかになるであろう。
加水分解性クロムオリゴマーの構造。 マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は、基材をGAM抗体に結合させるためにモノマークロムイオンを使用したかオリゴマークロムイオンを使用したかに依存して変化する。 約30%のモノマー成分を有するpH3の100mM過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体で処理されたAdemtechビーズは、Brown運動の消失を伴って凝集/集塊化を示す。 約30%のモノマー成分を有するpH3の10mM過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体で処理されたAdemtechビーズは、Brown運動の消失を伴って凝集/集塊化を示す。 約10%のモノマー成分を有するpH4の100mM過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体で処理されたAdemtechビーズは、Brown運動の消失を伴って凝集/集塊化を示す。 約10%のモノマー成分を有するpH4の10mM過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体で処理されたAdemtechビーズは、凝集/集塊化を示さず、未修飾ビーズに匹敵する十分なBrown運動を維持する。 凝集およびBrown運動は、ビーズの処理が異なると変化するが(図3〜6)、この実施例では、マウスモノクローナル抗体−HRPを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は、類似している。 マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は、基材をGAM抗体に結合するために使用されるクロムオリゴマー混合物が異なると変化する(それぞれ、タイプX、Y、およびZで表される)。 ヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するマウスモノクローナル抗体の結合能力は、基材をマウス抗体に結合するために使用されるクロムオリゴマー混合物が異なると変化する(それぞれ、タイプX、Y、およびZで表される)。 同一のモル濃度で異なる配位子を用いて異なるオリゴマー錯体を形成すると、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は変化する。 標的分子に結合する前に金属−基材錯体を前処理することにより、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力の2倍増加を達成することが可能である。この実施例では、オリゴマー金属−基材の形成後にpHを変化させることにより(2pH単位未満)、異なる結果が達成される。 表面が−OHまたは−COOHのいずれの官能基を有するかにかかわらず、オリゴマー金属錯体は、抗体をシリカ表面上に結合するのに有効である。この実施例は、オリゴマー金属錯体の1つの特定の配合物を用いた高分子ビーズで同等な性能を示す。 図12の場合と同一のオリゴマー金属−基材錯体を用いて、ストレプトアビジンを結合させると、ビオチン化分子を捕捉するその能力は、シリカ−COOH表面では2倍優れていることがわかる。 オリゴマー金属ビーズ錯体のカップリングに使用されるカップリング緩衝液が異なると、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は変化する。 活性化クロムオリゴマービーズ錯体は安定であり、ヤギ抗マウス(GAM)抗体をただちにまたは180日間貯蔵後にカップリングした場合、同一の性能を示す。結合を破壊すると推測されるPBS中に貯蔵したとしても、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するGAMのより良好な性能が得られる。
次に、本発明の特定の実施形態について詳細に言及する。本発明を実施形態に関連して説明するが、本発明をそれらの実施形態に限定しようとするものではないことは、理解されよう。そうではなく、本発明は、特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に包含されうるすべての代替形態、変更形態、および等価形態を対象としようとするものである。
当業者であれば、本発明を実施するうえで使用しうる本明細書に記載のものと類似のまたは等価な多くの方法および材料はわかるであろう。本発明は、記載の方法および材料になんら限定するものではない。
本明細書に開示および規定される本発明が本文もしくは図面に挙げたまたはそれらから明らかな個々の特徴の2つ以上のすべての代替的組合せに拡張されることは、理解されよう。これらのさまざまな組合せはすべて、本発明の種々の代替的態様を構成する。
本明細書に記載の本発明に至る研究において、PCT/AU2005/00966(国際公開第2006/002472号として公開された)に記載されるような金属錯体組成物の特定の操作により、標的分子に対する結合親和性が改良された、または結合標的分子の配向能力が改良された、または標的分子の機能の損傷が低減された、そして最も重要なこととして、修飾基材の改良された貯蔵寿命に関してロバスト性、再現性、および安定性が増大された、表面を有する合成基材の形成が可能であることを、本発明者は見いだした。操作されたおよび操作されていない形態の組成物の性質に関してさらなる検討を行った結果、一実施形態では、主要な差は、基材に結合される金属オリゴマーの割合であることが判明した。とくに、本明細書の実施例に記載されるように、PCT/AU2005/00966(国際公開第2006/002472号として公開された)の方法に従って作製された組成物および基材は、より低含有率のオリゴマー金属錯体(約70%以下)およびより高含有率のモノマー金属錯体(約30%まで)を有する傾向があることを、本発明者は見いだした。これとは対照的に、本明細書に開示される組成物および基材は、70%超および90%超のオリゴマー金属錯体含有率ならびに10%以下程度の少ないモノマー金属錯体含有率を有する。本明細書に記載の種々の実験を用いて、標的分子の改変された結合ならびに活性化基材(すなわち、標的に結合すべく本方法のプロセスにより適合化された基材)の増大改良されたロバスト性、再現性、および安定性の主要な利点は、より高含有率のオリゴマー金属錯体からもたらされうることを、本発明者は示した。これは、本発明の時点では予想外であった。
一実施形態では、本発明は、標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法である。この方法は、以下のステップ、すなわち、
・合成基材を提供するステップと、
・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
・標的分子の不在下で金属イオンを基材と接触させることにより、基材が金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
・基材との配位錯体中の金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の存在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく基材を適合化する。
この実施形態は、一般的には、コーティング中または層中の実質的にすべての金属錯体がオリゴマー錯体の形態で提供されることを特徴とするコーティングまたは層の形で、基材の表面上に金属錯体のコーティングまたは層を形成することに関する。本明細書でさらに論述されるように、次いで、標的分子を上に固定化すべく、オリゴマー金属錯体を上に配置した状態で基材を標的分子に結合することが可能であるという意味で、このプロセスの生成物は、「活性化基材」として参照されうる。
一般的には、2つ以上の金属イオンを架橋または他の形で連結または結合すべく電子供与基を形成する条件を提供することにより、オリゴマー金属錯体を形成することが可能であることを、本発明者は見いだした。これは、金属錯体と基材との接触から形成された組成物に約3.3〜11、好ましくは約4〜10、好ましくは約4〜8、または4、5、6、もしくは7のpHを提供するにより、実施可能である。PCT/AU2005/00966(国際公開第2006/002472号として公開された)では、pH条件は、一般的には3未満であり、いかなる調整も、生理食塩水溶液中で反応を行うことにより回避された。
以上に記載の実施形態に係る方法のプロセスステップは、1回の単一ステップとして実施可能である。重要なこととして、金属イオンと基材とを互いに接触させ、かつ関連組成物のpHを以上に記載の範囲に調整した後、基材と金属イオンとの配位錯体の形成および金属イオンのオリゴマー化が一般的には同時に行われることは、理解されよう。
仮説により拘束することを望むものではないが、以上に記載の実施形態では、比較的高いpH領域を実現すると、たとえば、基材上にさらには金属イオンと共に存在しうる架橋配位子(以下でさらに説明する)中に電子供与基が形成され、それにより、オリゴマー化および基材とオリゴマー金属錯体との配位錯体の形成が支援されると考えられる。
基材との配位錯体中の金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の存在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップは、標的分子の不在下で実施可能である。
基材との接触前に金属イオンにオリゴマー金属錯体を形成させうることは、理解されよう。こうした状況では、組成物中の実質的にすべての金属イオンが基材と接触させるべくオリゴマー金属錯体の形態で提供された組成物が形成される。したがって、他の実施形態では、標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法を提供する。この方法は、以下のステップ、すなわち、
・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の不在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
・標的分子の不在下でオリゴマー金属錯体を基材と接触させることにより、基材がオリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく基材を適合化する。
金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の不在下で金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップは、標的分子の不在下で実施可能である。
この実施形態では、オリゴマーは、組成物中の2つ以上の金属イオンを架橋または連結すべく電子供与基を形成する条件を提供することにより、モノマー金属錯体から優先的に形成される。これは、3.3〜約11、好ましくは約4〜10、好ましくは約4〜8、または4、5、6、もしくは7のpHを組成物に提供することにより、実施可能である。
本明細書に記載されるように、塩または架橋配位子を提供することにより、関連pH条件を提供することが可能である。「塩」は、一般的には、酸の1つ以上の水素原子を金属原子または電気陽性基により置き換えることから得られる化合物である。これに関連して、塩の例としては、NaOH、KOH、またはNHOH、および他のアルカリ性塩が挙げられる。一般的には、それらの好ましい塩は、金属錯体/基材組成物のpHを上昇させるもの、特定的には、基材との関連配位錯体中で配位配位子として機能しうる対イオンを提供するものである。
次に、関連架橋配位子について説明する。これは、とくに以上に記載のpH領域で、電子供与能を有する1つ以上の官能基を含有する化合物、一般的には有機化合物の形態をとりうる。この配位子は、「酸性」または「塩基性」の配位子として記述しうる。後者は、以上に記載のpH領域では脱プロトン形をとる。塩基性配位子の例は、本明細書に記載されており、好ましい配位子としては、アミン基またはイミン基を含有するもの、特定的にはエチレンジアミンが挙げられる。
以上に記載の実施形態に有用な金属イオンの例は、以下に記載されるとおりである。
他の実施形態では、本発明は、標的基材と標的分子との間で所定のおよび所望の結合相互作用を達成しうるオリゴマー金属錯体および/またはその混合物の形成および同定に依拠する。これに関して、オリゴマー金属錯体は、標的基材への標的分子の結合を容易にする架橋剤の形態であるとみなしうる。多成分結合を介して、オリゴマー金属錯体、標的基材、および標的分子が関与する安定な結合相互作用をこれらの種が互いに暴露される条件下で達成することが、その意図するところである。結合相互作用はまた、診断アッセイなどの本発明の実用的用途の条件下で安定でなければならない。
本発明を実施するうえで有用なオリゴマー金属錯体が、熱力学的に安定な配位子置換えを行うことにより、基材とのおよび標的分子との安定な結合相互作用(すなわち、配位結合)を、これらの種が互いに暴露される条件下(たとえば、pH、温度、イオン強度など)および本発明に係る方法が利用される実用的用途(たとえば、アッセイ)に関連する条件下で、形成しうるものであることは、わかるであろう。これは、一体的に組み合わされて所望の安定性を維持するオリゴマー錯体内の多重の金属キレート化を介して達成される。これに関して、基材−金属、金属−標的分子、および標的基材−金属−標的分子の結合相互作用は、結合相互作用が行われる支配的実用条件に依存して金属が他の形で行いうる他の利用可能な(配位配位子)結合相互作用よりも所望の相互作用が優先するように十分な数の金属結合相互作用が行われるので、熱力学的に安定である。これは、たとえば、オリゴマー金属錯体および/またはその混合物を介して結合された後で、標的分子が標的基材−金属錯体から解離した状態にならないようにする、金属と標的基材との間の相互作用の性質があることを意味する。
他の実施形態では、本発明に有用なオリゴマー錯体は、標的分子と十分に強い相互作用を形成するが、後で基材上のオリゴマー錯体から脱離しうるものである。
本発明の一実施形態では、オリゴマー金属錯体は、最終オリゴマー金属錯体の全分子量分布およびサイズ範囲を決定するように選択された、したがって、基材および/または標的分子に対する金属錯体の全結合特性を変化させる、1つ以上の結合配位子を含む。
本発明のさらなる実施形態では、オリゴマー金属錯体および標的基材は、標的分子への暴露前に互いに結合される。この実施形態では、標的分子の添加は、オリゴマー金属−基材錯体の形成直後に実施可能であるか、または他の選択肢として、ある期間にわたり貯蔵されたオリゴマー金属−基材錯体上で実施可能である。この場合、本発明に係る方法は、貯蔵可能であるとともに、標的分子を含有するアナライトに所定の金属−標的基材錯体を暴露したときに標的分子に結合する活性もある、オリゴマー金属−基材錯体を形成するステップを含む。金属−標的基材錯体の形成に好適なオリゴマー金属錯体の選択は、さまざまな因子に依存するであろう。金属−標的基材錯体が標的分子(もっと正確に言えば標的分子の領域)に結合する機構は、オリゴマー金属錯体に会合した1つ以上の配位子を標的分子により置き換えることが関与すると考えられる。これを行うために、標的分子は、標的分子との相互作用の前に金属錯体と会合してすでに存在する1つ以上の既存の配位配位子と比較した時、金属−標的基材錯体の金属イオンとの優先的な会合を形成可能でなければならない。本発明の実施形態によれば、標的分子との所望の結合相互作用を達成すべく、長期貯蔵に関しても標的分子に対しても金属−標的基材錯体の結合特性を操作することが可能である。
使用可能な金属イオンの例としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、ルテニウム、白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、および亜鉛などの遷移金属のイオンが挙げられる。クロム、ルテニウム、鉄、コバルト、アルミニウム、およびロジウムが好ましい。
本発明に係る金属の有用性は、金属の酸化状態に依存して変化しうる。たとえば、クロム(III)は、本発明の実施形態に有用でありうる。最終オリゴマー金属錯体の全分子量分布およびサイズ範囲を決定するために、1つ以上の結合配位子をオリゴマー金属錯体に組み込むことが可能である。電子供与種を含有する配位子を用いて、オリゴマー金属錯体を形成することが可能である。より複雑な構造に対しては、OHやNH2−などの単純イオンを架橋配位子として使用することが可能である。塩基性および酸性の配位子は両方とも、使用可能である。1つ以上の孤立電子対を含有する配位子は、とくに、アミン、イミン、カルボニル、エーテル、エステル、オキシム、アルコール、チオエーテルでありうる。塩基性配位子の他の例としては、ピリジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ヒスチジン、またはピリジン、最も好ましくはエチレンジアミンが挙げられる。プロトンを失って金属錯体に配位可能な酸性配位子は、とくに、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、エノール基、フェノール基、チオエノール基、またはチオフェノール基でありうる。酸性配位子の他の例としては、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、シュウ酸、またはサリチル酸が挙げられる。架橋配位子の組合せを使用することも可能である。たとえば、アミン配位子は、アンモニア、エチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミンなどを含む群から選択可能であるが、これらに限定されるものではない。そのような場合、OHまたはNH2−は両方とも、架橋配位子として作用しうる。カルボン酸を含有するような他の架橋配位子の添加により、そのようなオリゴマー金属錯体をさらに操作して、より複雑な構造を形成すことが可能である。2つ以上の金属イオンにわたり架橋可能な任意の配位子を用いてオリゴマー金属錯体を形成することが可能であり、結果として、標的基材および/または標的分子に結合するオリゴマー金属錯体の結合がさらに行われる。
オリゴマー金属錯体は、標的基材上にすでに存在する単座、二座、または多座の配位子により、標的基材に結合可能である。電子供与基はいずれも、オリゴマー金属錯体と結合可能である。塩基性または酸性の配位子は両方とも、使用可能である。1つ以上の孤立電子対を含有する配位子は、とくに、アミン、イミン、カルボニル、エーテル、エステル、オキシム、アルコール、チオエーテルでありうる。プロトンを失って金属錯体に配位可能な酸性配位子は、とくに、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、エノール基、およびフェノール基でありうる。いくつかのそのような配位子は、モノマー金属錯体と強い結合相互作用を形成することが知られていないが、オリゴマー金属錯体内の多重の相互作用を介して、強い結合安定性を達成することが可能である。
一実施形態では、本発明に係る方法でのオリゴマー化のための金属イオンの濃度は、関連方法の生成物が非凝集基材になるように、たとえば、基材がビーズの形態をとる場合、非凝集ビーズになるように、選択可能である。
オリゴマー金属錯体に組み込まれる対イオンは、塩化物イオン、酢酸イオン、臭素物イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、ミョウバンイオン、および硫酸イオンよりなる群から選択可能であるが、これらに限定されるものではない。
他の実施形態では、基材に結合されるモノマー金属イオン錯体をオリゴマー化して(それへの好適な暴露により)(オリゴマー金属イオン錯体)−(標的基材)コンジュゲートを形成することが可能である。次いで、このコンジュゲートを標的分子に暴露し、基材への結合時に(依然として)金属イオンに会合している1つ以上の配位配位子の置換えの結果として、コンジュゲートの金属イオン部分で標的分子との結合相互作用を引き起こすことにより、基材を架橋する。以上に記載の金属錯体の場合と類似の選択基準があてはまるであろう。
他の実施形態では、オリゴマー金属イオン錯体を標的分子に結合して(それへの好適な暴露により)(金属イオン)−(標的分子)コンジュゲートを形成することが可能である。次いで、このコンジュゲートを基材に暴露し、標的分子への結合時に(依然として)金属イオン錯体に会合している1つ以上の配位配位子の置換えの結果として、コンジュゲートの金属イオン部分で標的基材との結合相互作用を引き起こすことにより、基材を架橋する。以上に記載のオリゴマー金属錯体の場合と類似の選択基準があてはまるであろう。
これらの場合、反応混合物はまた、典型的には、アナライトから標的分子を安定化させるために、緩衝剤または保存剤を含有しうる。本発明を意図したとおり機能させるために、緩衝剤または保存剤(もっと正確に言えば、緩衝剤または保存剤からの配位子/イオン)はいずれも、結合イベントがいかなる順序で行われようとも、標的分子を基材に結合するのに必要な結合相互作用に有害な妨害を与えないことが重要である。いずれの所与の系であっても、所望の相互作用が、所要の結合相互作用を他の形で損なうおそれのある相互作用よりも優先することを保証すべく、配位子化学を操作することが必要なこともある。
利用される厳密な方法に関係なく、基材および標的分子は、所望の結合効果を達成すべく、オリゴマー金属錯体を介して互いに相互作用しうることが重要である。これに関して、オリゴマー金属錯体は、分子「接着剤」として機能する。オリゴマー金属錯体を介する基材と標的分子との優先的結合は、標的基材および標的分子がオリゴマー金属錯体の存在下で互いに暴露される支配的条件に基づいて、主に熱力学的要件により決定されるであろう。アッセイとの関連では、これは、明らかに、アッセイが行われる条件および標的分子を含有するアナライトの特性に依存するであろう。
実際には、好適なオリゴマー金属錯体の同定は、本発明で使用される数およびタイプを含めて、種のさまざまな組合せのライブラリーを用いた探索プロセスを介して実施可能である。このプロセスによれば、使用されるオリゴマー金属化合物、基材、標的分子、および支配的条件に基づいて、多種多様な入替えを行って、オリゴマー金属錯体を形成する特定の金属化合物の能力、さまざまなオリゴマー集団が形成される条件、および特定の基材を特定の標的分子に結合するオリゴマー金属錯体の能力が評価される。オリゴマー金属錯体を介する相互作用による標的分子への基材の親和性は、望ましい結果を生じる変数の組合せを同定すべく評価可能である。このように進めることにより、実際には、所与の標的分子への観測された結合有効性に従って、変数の組合せを順位付けることが可能である。この探索プロセスは、大きい手法柔軟性を与える。たとえば、特定の標的分子に基づいて、機能的結合系を生成することが望ましいこともある。この場合、探索プロセスでは、その標的分子および標識に特異的な潜在的に有用な組合せを同定すべく、他の利用可能な変数を操作して、全体を通じて標的分子を一定に維持する。本発明の根底をなす一般概念(すなわち、標的分子への基材の結合を達成するためのオリゴマー金属錯体の使用)から逸脱することなく、この手法が広範な能力および範囲を有することは、わかるであろう。
一実施形態では、金属イオンは遷移金属である。例としては、ロジウム、白金、スカンジウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、ルテニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、または亜鉛が挙げられる。特定の金属化合物は、記載の探索プロセスでリード物質として一般に有用な錯体(水性溶液中)を生じることが判明した。Fe(III)、Co(III)、Al(III)、Cr(III)、およびRu(IV)などの種々の金属は、ダイマー、トリマー、テトラマー、およびより高次のオリゴマーを与える金属中心間のμ−ヒドロキソ架橋およびμ−オキソ架橋により形成されたより小さいオリゴマー種の分布で存在可能であるが、オリゴマー金属は、これらの金属イオンのみに限定されるものではなく、オリゴマー形成は、μ−ヒドロキソ架橋およびμ−オキソ架橋のみに限定されるものでもない。クロムオリゴマーは、本発明を実施するのにとくに好適であることが判明した。
他の実施形態では、アンモニア、エチルアミン、エチレンジアミンなどおよび/または酢酸、コハク酸などの他のキレート化配位子の添加を介して、他のオリゴマー種を形成することが可能であり、オリゴマー形成の実際の条件により、種々の形態の集団分布が変化する。オリゴマー錯体の可能な多様性は、大幅に拡張され、多重の結合相互作用を介して、低い電子供与能を有する基材および標的分子は、この時点で、本発明の実用的用途で安定な相互作用を形成可能である。金属オリゴマーのさまざまな集団を形成および使用する能力は、標的基材への標的分子の結合を必要とする用途の性能を改良するために適用されてこなかった。その結果、クロマトグラフィー、固相アッセイ、診断イメージング、治療薬剤送達、および他の対象用途で使用するためのなんらかの基材に結合された後の標的分子の性能を試験すべくオリゴマー金属錯体のさまざまな集団をスクリーニングする適用は、存在しない。さまざまな濃度の塩基配位子および/または潜在的キレート化配位子の添加を介するクロムオリゴマーのさまざまな集団の使用は、イムノアッセイでさまざまな結果を与えることが判明した。この観測は、特定の標的分子を用いた実験に基づく。
本発明の一実施形態では、オリゴマー金属錯体の形成時の配位子の性質は、金属錯体を構成しかつ標的分子による置換えに「利用可能」であるかを決定するのに役立ち、また、必要に応じて結合を操作すべく制御可能である。たとえば、標的分子の所与の官能基または領域が特定の金属錯体または金属−標識錯体に対して特定の結合親和性を呈することがわかっている場合、標的分子との相互作用が行われる時により容易に置き換えられる1つ以上の配位子を錯体に組み込むことにより、結合親和性を向上させることが可能であろう。このおよび類似の方法では、標的分子に結合すべく使用される錯体中に存在する配位配位子のタイプを変化させることにより、所与の標的分子のなんらかの官能基または領域への選択性を提供することが可能であろう。
本発明はまた、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとる形で、基材および標的分子と結合可能な配位部位を有する金属イオン
を含む、標的分子を基材上に固定化するための組成物を提供する。
本発明はまた、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態で提供される形で、基材および標的分子に結合される配位部位を有する金属イオン
を含む、サンプル中のアナライトを検出するための合成基材を提供する。
本発明はまた、
・以上に記載されるかつ標的分子を上に固定化して有する基材を提供するステップと、
・標的分子がアナライトに結合する条件で、基材をアナライトの存在または不在が決定されるサンプルと接触させるステップと、
・標的分子がアナライトに結合したかを決定するステップと、
を含み、それにより、サンプルがアナライトを含有するかを決定する、サンプルがアナライトを含有するかを決定する方法を提供する。
本発明はまた、
・金属イオンの実質的にすべてがオリゴマー金属錯体の形態をとる形で、基材および標的分子と結合可能な配位部位を有する金属イオン
を含む、標的分子を基材上に固定化するためのキットを提供する。
本明細書に開示および規定される本発明が本文もしくは図面に挙げたまたはそれらから明らかな個々の特徴の2つ以上のすべての代替的組合せに拡張されることは、理解されよう。これらのさまざまな組合せはすべて、本発明の種々の代替的態様を構成する。
本発明の実施形態を以下の実施例で例示するが、これらに限定されるものではない。
実施例1: モノマークロム錯体へのまたはオリゴマークロム錯体への基材の結合。
モノマークロムイオンを用いたビーズ基材上への標的分子の結合を、0%のモノマー形を含有するオリゴマークロム錯体の一例と比較した。
a. クロムモノマー溶液
簡潔に述べると、過塩素酸クロム六水和物(2.3g)を50mLの精製水に溶解させ、すべての固体が溶解するまで十分に混合した。Beckman Coulter ProteomeLab PA800キャピラリー電気泳動(CE)装置およびその推奨プロトコルを用いて、この溶液が2.1のpHを有し約99%のモノマーであることを見いだした。
クロムオリゴマー溶液
ビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミンを有する過塩素酸クロム。
簡潔に述べると、過塩素酸クロム六水和物(2.3g)を25mLの精製水に溶解させ、すべての固体が溶解するまで十分に混合した。同様に、545μlのビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミン溶液を25mLの精製水に添加した。溶液を組み合わせ、室温で2日間撹拌した。
既知濃度の新たに調製された水性過塩素酸クロム六水和物溶液をCEに付すことにより、モノマークロム種の計算ピーク面積を取得し、>0.9999の直線相関を得た。この標準曲線を用いて、過塩素酸クロム/ビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミン錯体の解析を行ったところ、CE解析により検出可能なモノマー種は見られなかった。溶液は4.3のpHを有していた。
b. 磁気ビーズ(Bangs)へのクロム溶液の追加。
ProMagカルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.PMC3N/9080)は、Bangs,IN,USAから供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。2×50μLのビーズ濃縮液を2×1.7mLのマイクロチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットにチューブごとに50μLのそれぞれのクロム溶液を添加する。回転させながら室温で1時間放置する。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
ローターからクロム活性化Bangs ProMagビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに50μlの50mM MES緩衝液(pH5.2)を添加する。撹拌、上清除去、およびMES添加をさらに2回繰り返す。上清除去後、50mM MES中の50μlの1.0mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
以下の手順に従って磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
抗体カップリングビーズ。
検出抗体: マウスIgG−FITC(2mgs/ml、Jackson,USA)
洗浄緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、0.05%Tween20含有
アッセイ緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、1%BSA、0.05%Tween20含有
マイクロプレート: 96ウェルMillipore0.42μmフィルタープレート(Millipore,USA)
アッセイプロトコル:
2.5μlの各ビーズサンプルを45μlのアッセイ緩衝液中に希釈する。少なくとも30秒間撹拌した後、40μlの懸濁液を除去し、760μlのアッセイ緩衝液中に再希釈する。10μg/mlの使用濃度になるようにマウスIgG−FITC検出抗体をアッセイ緩衝液中に希釈する。希釈ビーズ懸濁液を少なくとも30秒間撹拌した後、100μlの抗体被覆ビーズをウェルに添加する。真空濾過装置を用いてビーズ溶液をウェルから除去する。50μlの検出抗体を適切なウェルに添加した後、暗所でプレート振盪機上で室温で60分間インキュベートする。真空濾過装置を用いて検出抗体溶液をウェルから除去する。200μlの洗浄緩衝液をプレートの各ウェルに添加し、プレートをプレート振盪機上に30秒間配置する。200μlの上清をウェルから除去する。200μlの洗浄緩衝液を各ウェルに添加し、FACS Canto II(BD Biosciences,USA)でビーズの読取りを行う。
e. 結果の例。
モノマークロムイオンを用いて磁気ビーズに結合されたヤギ抗マウス抗体をオリゴマークロムイオンの場合と比較したところ、マウス抗体に結合する能力は非常に異なることがわかった。同一条件下で、オリゴマー配合物は、マウス抗体への結合が5倍であった(図2参照)。アミン添加剤は、2つの可能な作用機構によりオリゴマー化を開始しうる。特定的には、潜在的金属イオン間架橋を可能にしうる4つのアミノ基がビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミン錯体中に存在する。さらに、4.3のpHは、金属イオン間の加水分解性結合の形成を可能にしうる。
実施例2: さまざまな精製クロムオリゴマーの比較。
a. クロムのダイマーおよびトリマーの分画
Spiccia,L.,Marty W and Giovanoli,R.Hydrolytic Trimer of Chromium(III).Synthesis through Chromite Cleavage and Use in the Preparation of the”Active”Trimer Hydroxide,Inorganic Chemistry,1988,27,2660−2666、およびStunzi,H.and Marty,W.Early Stages of the Hydrolysis of Chromium(IIl)in Aqueous Solution.1.Characterization of a Tetrameric Species,Inorganic Chemistry,1983,22,2145−2150に記載の手順に従って、クロムのダイマー、トリマー、および他のオリゴマーを分画した。
簡潔に述べると、酸(約0.66M HClO)中のCr3+(5mL、0.5M)の溶液をメスフラスコ(50mL)に移し、激しく連続的に撹拌しながらNaOH(10mL、2M)を添加した。HClO(35mL、2M)を添加することにより、得られた緑色溶液をただちに酸性化した。この溶液を25℃で24時間放置した。次いで、アリコート(3mL)を採取し、水で90mLに希釈し、そして10mLの0.7M HClOを添加した。得られた溶液をSP Sephadex陽イオン交換カラム(1×5cm)上に吸着させた。1mLの0.5M NaCl0,+0.01M HCIOを添加することにより、溶出を開始した。1mLの0.5M NaCl0,+0.01M HCIOを添加することにより、溶出を開始した。上清溶出液のレベルが2mmに低下した時、さらに1mLのこの0.5M NaClOを添加し、次いで1mLの1M NaClO+0.01M HClO、そして再度さらなる6mL量のこの最後の溶液を添加した。この時点までに、青紫色モノマーのバンドは、有意に下方に移動し、同様に、青緑色ダイマーは、樹脂の頂部で緑色ポリマーから分離した。1mL次いで6mLの2M NaClO+0.02M HClO、次いで1mLの4M NaClO+0.04M HClOを用いて、溶出を継続した。その間に、モノマーおよびダイマーは完全に溶出し、トリマーの緑色バンドはカラムの底部に達した。この4M NaClO溶液を用いてさらに溶出させることにより、トリマーを得た。
カラムからの溶液をUV/Visにより分析したところ、異なるが類似した濃度の異なるUV−Vis活性種を含有することが判明した(表1参照)。
b. ルミネックスビーズへのクロムのモノマー、ダイマー、およびトリマーの添加。
ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを20秒間撹拌し、次いで、さらに20秒間超音波処理する。ビーズは、単一の単分散粒子として懸濁させなければならない。いずれの凝集体ビーズが観測された場合にも、凝集体が観測されなくなるまで、撹拌および超音波処理を繰り返す。100μLのビーズ濃縮液を1.7mLマイクロチューブ中に分配する。ビーズ溶液を14,000rpmで3分間遠心分離し、その後、チューブを取り出し、それを軽く叩いてチューブの側面のビーズを取り除き、次いで、さらに5分間遠心分離する。ビーズペレットから上清を注意深く除去し廃棄する。ビーズペレットにカラムから溶出した100μLのクロムオリゴマー溶液を添加する。添加、超音波処理、および撹拌の後、ときどき攪拌しながら懸濁液を60分間放置する。この時点後、ビーズを脱イオン水中で3回洗浄する。
c. クロム連結ビーズ表面へのTSH捕捉抗体のカップリング
50mM酢酸緩衝液(pH5.0)中の100μg/mLの濃度のTSH捕捉抗体(OEM Concepts抗体、クローン#057−11003)を使用した。遠心沈降により上清のないプラグにした250μLのクロム被覆ビーズに250μLの抗体溶液を添加した。溶液を撹拌し、超音波処理し、そしてときどき攪拌しながら1時間放置した。溶液を150mM生理食塩水で1回洗浄した。アッセイを行う前、0.05%のアジドを含有する4℃の生理食塩水中に抗体カップリングビーズを貯蔵した。
d. アミドカップリングによるTSH捕捉抗体のカップリング(対照)
推奨Luminex手順を用いて、抗TSHモノクローナル抗体(OEM Concepts抗体、クローン#057−11003)をLuminex xMAPマイクロスフェアにカップリングした。ビーズを室温に達するようにし、20秒間撹拌し、次いで、さらに20秒間超音波処理した。ビーズは、単一の単分散粒子として懸濁させなければならない。いずれの凝集体ビーズが観測された場合にも、凝集体が観測されなくなるまで、撹拌および超音波処理を繰り返す。100μLのビーズ濃縮液を1.7mLマイクロチューブ中に分配する。ビーズ溶液を14,000rpmで3分間遠心分離し、その後、チューブを取り出し、それを軽く叩いてチューブの側面のビーズを取り除き、次いで、さらに5分間遠心分離する。ビーズペレットから上清を注意深く除去し廃棄する。0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.3を用いて洗浄手順を繰り返す。
記載のとおり遠心沈降された各100μLのビーズ濃縮液(1.25×10個のビーズ)に、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液pH6.3中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(S−NHS)の50μLの50mg/mL溶液を添加し、そしてときどき攪拌しながら暗所で室温で20分間放置する。次いで、200μLの0.05M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)緩衝液pH5.0でビーズを2回洗浄した。
超音波処理および撹拌を行いながらビーズを200μLのMES緩衝液中に再懸濁した後、75μLの抗体(MES緩衝液中200μg/mL)を添加し、そして温和な振盪機上で室温で2時間インキュベートさせた。次いで、0.05%のTweenを有する2×200μLの10mM PBSでビーズを洗浄する。最後に、1%のBSAおよび0.05%のアジドを有する100μLの10mM PBS(pH7.4)中にビーズを貯蔵する。
e. TSHアッセイの実施
Luminex手順に従って、多重化ビーズ上でTSHアッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
抗体カップリングビーズ: 10μLの濃縮液を590μLのアッセイ緩衝液に添加する。
検出抗体: EZ−リンク−スルホ−NHS−LC−ビオチン(Pierce)を用いて、検出抗TSHモノクローナル抗体(Medix Biochemica抗体、クローン#5403)をビオチン化した。使用溶液は、1%のBSAを含有する10mM PBS中20μg/mLであった。
1%のBSAを含有する10mM PBS中にTSH標準液を調製した。
ストレプトアビジン−R−フィコエリトリン: 1%のBSAを含有する10mM PBS中20μg/mL
洗浄緩衝液: 1%のBSAを含有する10mM PBS
アッセイ緩衝液: 4%のBSAを含有する10mM PBS
アッセイプロトコル:
100μLの洗浄緩衝液を各ウェル中に配置し、徐々にウェルを空にするのに十分な真空を適用することにより、フィルタープレートをあらかじめ湿潤させる。20μLのTSH標準液を適切なマイクロリットルウェルに添加する。アッセイ緩衝液をゼロ(0uIU/ml)ウェルに添加する。10μLの希釈ビーズ混合物を適切なマイクロタイターウェルに添加する。暗所で室温で500rpmでフィルタープレートを1時間振盪し、次いで、20μLの抗TSH検出抗体溶液を適切なマイクロタイターウェルに添加する。暗所で室温で500rpmでフィルタープレートを30分間振盪し、次いで、20μLの希釈ストレプトアビジン−R−フィコエリトリン溶液を適切なマイクロタイターウェルに添加する。暗所で室温で500rpmでフィルタープレートを15分間振盪する。徐々にウェルを空にするのに十分な真空を適用することにより、溶液をウェルから除去する。100μLの洗浄緩衝液を各ウェル中に添加し、そして徐々にウェルを空にするのに十分な真空を適用する。洗浄手順を繰り返し、次いで、100μLの洗浄緩衝液を各ウェルに添加し、そして60秒間振盪する。プレートをLuminex XYP(商標)プラットフォーム中に装填し、読取りを行う。
f. 結果の例。
表2に示されるように、異なるクロム種を用いて抗TSH抗体をLuminexビーズに結合させた場合、TSHアッセイの結果は顕著に異なる。モノマークロムイオンの場合のシグナルがより劣っていることから、抗体の結合が劣っているかまたはオリゴマー種が抗体上の異なる部位に結合してTSH抗原に対するその結合能力が変化しているかのいずれかが示唆される。
実施例3: オリゴマー形成の増大: アミン結合配位子とヒドロキシド結合配位子との組合せ。
a. 異なるクロム溶液の形成。
クロムオリゴマー溶液(30%のモノマーを含有する)。簡潔に述べると、過塩素酸クロム六水和物(2.3g)を25mLの精製水に溶解させ、すべての固体が溶解するまで十分に混合した。同様に、190μlのエチレンジアミン溶液を25mLの精製水に添加した。溶液を組み合わせて、室温で一晩撹拌した。CEによれば、この溶液は約30%のモノマーを含有し、pHは約pH3.0で安定化される。脱イオン水で希釈することにより、100mMおよび10mMの両方の溶液を調製した。
クロムオリゴマー溶液(10%のモノマーを含有する)。pH5を超えずかつ12時間後にpH4で安定化されるように、以上の溶液(20ml)に1.5M水酸化ナトリウム溶液を滴下した。CEによれば、このpH改変溶液は、10%未満のモノマーを含有する。脱イオン水で希釈することにより、100mMおよび10mMの両方の溶液を調製した。
b. 磁気ビーズ(Ademtech)へのクロム溶液の添加。
Ademtechカルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.0215)は、Ademtech,Fra.から供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、ビーズを再懸濁させる。200μlのストック懸濁液(10mgのマイクロスフェア)を1.5mlマイクロ遠心チューブに取り出す。チューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、マイクロスフェアペレットを擾乱しないように注意して、Ademtech MasterBeads溶液を除去し廃棄する。磁気分離器からチューブを取り出して、マイクロスフェアを1.0mlの脱イオン水中に再懸濁させる。30秒間撹拌することによりマイクロスフェアを再懸濁させ、個別のチューブ中に4×250μlで分配する。チューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、マイクロスフェアを洗浄溶液から完全に分離させる。マイクロスフェアペレットを擾乱しないように注意して、洗浄溶液を除去し廃棄する。
マイクロスフェアを4×250μlの種々のクロム溶液中に再懸濁させる。30秒間撹拌することにより、マイクロスフェアを再懸濁させる。チューブローテーター中で転倒回転を用いてクロムオリゴマー溶液中で室温でマイクロスフェアを60分間インキュベートし、マイクロスフェアを懸濁状態に維持する。ビーズは、4℃の同一溶液中に貯蔵可能である。
異なるオリゴマー溶液により処理されたビーズの顕微鏡写真は、図3〜6に示される。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
ローターからクロム活性化Ademtechビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。チューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、クロム活性化Ademtechビーズを溶液から完全に分離させる。マイクロスフェアペレットを擾乱しないように注意して、溶液を除去し廃棄する。チューブを磁気分離器から取り出し、0.01%のTween20を含有する250μlの脱イオン水中にマイクロスフェアを30秒間再懸濁させる。チューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、ビーズを溶液から完全に分離させる。チューブを磁気分離器から取り出す。洗浄手順をもう1回繰り返す。
0.01%のTween20を含有する脱イオン水中に1mg/mLで1.0mLのGAM抗体溶液を調製する。250μlのGAM抗体溶液(250μgのGAM抗体を含有する)を種々のクロム活性化Ademtechビーズペレットに添加する。20秒間撹拌することにより、マイクロスフェアを再懸濁させる。チューブローテーター上で転倒回転を用いて、室温でマイクロスフェアを60分間インキュベートする。マイクロスフェアを含有するチューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、マイクロスフェアをGAM抗体溶液から完全に分離させる。マイクロスフェアペレットを擾乱しないように注意して、GAM抗体溶液を除去し廃棄する。チューブを磁気分離器から取り出し、0.05%のTween20、0.3%のPF−127、および0.025%のProclinを含有する250μlの50mM TBS pH8(貯蔵溶液)中にマイクロスフェアを再懸濁させる。30秒間撹拌する。チューブを磁気分離器上に少なくとも60秒間配置し、マイクロスフェアを溶液から完全に分離させる。マイクロスフェアペレットを擾乱しないように注意して、溶液を除去し廃棄する。チューブを磁気分離器から取り出す。洗浄手順をもう1回繰り返す。250μlの貯蔵溶液をGAM抗体カップリングマイクロスフェアに添加する。30秒間撹拌することにより、GAM抗体カップリングビーズを10mg/mLで再懸濁させる。GAM抗体カップリングAdemtechビーズを4℃で貯蔵する。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
以下の手順に従って磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
抗体カップリングビーズ
検出抗体: マウス抗ウサギIgG−HRP(0.8mg/ml、Jackson,USA)
洗浄緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、0.05%Tween20含有
アッセイ緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、1%BSA、0.05%Tween20含有
マイクロプレート: 96ウェルポリプロピレン白色プレートU字形(BioScience,Germany)
Adem−Mag96プレートマグネット(Ademtech,France)
PS−atto−基材(Lumigen,USA)
アッセイプロトコル:
10μlの各ビーズサンプルを90μlのアッセイ緩衝液中に希釈する。少なくとも30秒間撹拌した後、50μlの懸濁液を除去し、950μlのアッセイ緩衝液中に再希釈する。1.56ng/mlの使用濃度になるようにマウス抗ウサギIgG−HRP検出抗体をアッセイ緩衝液中に希釈する。希釈ビーズ懸濁液を少なくとも30秒間撹拌した後、50μlの抗体被覆ビーズをウェルに添加する。プレートをプレートマグネット上に5分間放置した後、ビーズ溶液をウェルから除去する。50μlの検出抗体を適切なウェルに添加した後、暗所でプレート振盪機上で室温で60分間インキュベートする。プレートマグネットを用いて検出抗体溶液をウェルから除去する。200μlの洗浄緩衝液をプレートの各ウェルに添加し、プレートをプレート振盪機上に30秒間配置する。200μlの上清をウェルから除去する。この洗浄をもう一度繰り返す。100μlのPS−attoを各ウェルに添加する。ルミネセンス法を用いたFLUOstar(BMG LABTECH,Germany)でビーズの読取りを行う。
e. 結果の例。
異なるオリゴマー組成物は、基材に異なる特性を与える。pH3の10mMおよび100mMの過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体は両方とも、Brown運動の消失を伴ってビーズの凝集を引き起こした(図3および4参照)。同様に、pH4の100mM過塩素酸クロム/エチレンジアミン錯体もまた、Brown運動の消失を伴ってビーズの凝集を引き起こした(図5参照)。しかしながら、pH4の10mM濃度(CEによれば約10%のモノマーを含有する配合物)は、観察可能な凝集を示さず、未修飾ビーズに匹敵する十分なBrown運動を維持した(図6参照)。これらの実施例では、マウス抗ウサギ抗体−HRPを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力に差がなかったことから(図7参照)、pH4へのpH調整は、GAMカップリング反応に有害な影響を及ぼさなかったことが示唆される。
実施例4: オリゴマー形成の増大: アミン配位子濃度の増大。
1つの特定のクロム塩および配位子を維持したまま、クロムオリゴマー表面への標的分子の結合に後続的に影響を及ぼす可能性がある異なる配位子濃度の影響を評価した。他の磁気ビーズを用いて過塩素酸クロム−エチレンジアミンを試験することにより、異なるエチレンジアミン濃度の影響を例示された。抗体結合は、負荷アッセイにより決定されるように配位子濃度によって変化しうる。
a. 過塩素酸クロム−エチレンジアミン溶液の調製。
過塩素酸クロム六水和物(3×1.15g)を3×25mLの精製水中に溶解させ、すべての固体が溶解するまでバイアルを十分に振盪する。67、134、および167.5μlのエチレンジアミン溶液を3つのクロム溶液に添加する。添加時に沈殿を生じるであろう。得られた溶液をプラットフォームミキサー上で48時間振盪する。沈殿が観測されないことが望ましい。もし残留沈殿があれば、溶液の遠心分離および上清の保持により除去されたい。
CE解析によれば、X、Y、およびZで表される3つの異なるサンプルは、それぞれ、オリゴマー錯体中に30%、10%、および0%のモノマー成分を含有する。関連pH点は、2.7、3.0、および3.3である。
b. 磁気ビーズへのクロムオリゴマーの添加。
BcMagカルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.FB−101)はBioclone(CA,USA)から供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。ビーズは、単一の単分散粒子として懸濁させなければならない。いずれの凝集体ビーズが観測された場合にも、凝集体が観測されなくなるまで、撹拌および超音波処理を繰り返す。50μLのビーズ濃縮液を1.7mLマイクロチューブ中に分配する。すべてのチューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットに50μLの異なるクロム溶液(それぞれ、タイプX、Y、およびZで表される)を添加し、チューブを30秒間撹拌し、次いで、ときどき攪拌しながら懸濁液を60分間放置する。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
ローターからクロム活性化BcMagビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。12.5μlの各タイプの活性化ビーズを他のチューブ中に分注する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの50mM MES緩衝液を添加する。撹拌し、mES緩衝液洗浄をさららに2回繰り返す。上清除去後、50μlの500μg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,USA)を添加し、懸濁液を30秒間撹拌し、次いで、ときどき攪拌しながら懸濁液を60分間放置する懸濁液を30秒間撹拌した後、すべてのチューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. クロム連結ビーズ表面へのマウスモノクローナル抗体のカップリング
ローターからクロム活性化BcMagビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。12.5μlの各タイプの活性化ビーズを他のチューブ中に分注する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの50mM MES緩衝液を添加する。撹拌し、MES緩衝液洗浄をさらに2回繰り返す。上清除去後、50μlの500μg/ml 3A1−マウスモノクローナル抗体(Agen,Australia)を添加し、懸濁液を30秒間撹拌し、次いで、ときどき攪拌しながら懸濁液を60分間放置する。懸濁液を30秒間撹拌した後、すべてのチューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
e. 抗体負荷アッセイの実施。
以下の手順に従って磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
抗体カップリングビーズ
検出抗体: ヤギ抗マウスIgG−R−フィコエリトリン(250μg ml、Sigma,USA)。
マウスIgG−FITC(2mgs/ml、Jackson,USA)
洗浄緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、0.05%Tween20含有
アッセイ緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、1%BSA、0.05%Tween20含有
マイクロプレート: PP白色、U形態(Greinerbio,USA)
アッセイプロトコル:
2.5μlの各ビーズサンプルを60μlのアッセイ緩衝液中に希釈する。少なくとも60秒間撹拌した後、20μlの懸濁液を除去し、480μlのアッセイ緩衝液中に再希釈する。20μg/mlの使用濃度になるようにマウスIgG−FITC検出抗体をアッセイ緩衝液中に希釈する。1μg/mlの使用濃度になるようにヤギ抗マウスIgG−RPE検出抗体をアッセイ緩衝液中に希釈する。
希釈ビーズ懸濁液を少なくとも60秒間撹拌した後、50μlの抗体被覆ビーズをウェルに添加する。50μlの検出抗体を適切なウェルに添加した後、暗所で室温で60分間インキュベートする。ビーズプレートを磁気プレート上に2分間配置し、100μlの上清をウェルから除去する。100μlの洗浄緩衝液を各ウェルに添加し、ビーズプレートを磁気プレート上に2分間配置し、100μlの上清をウェルから除去する。100μlのアッセイ緩衝液を添加した後、FACS Canto II(BD Biosciences,USA)でビーズの読取りを行う。
f. 結果の例
図8に示されるように、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は、GAM抗体を基材に結合するために使用されるクロムオリゴマー混合物が異なると変化する(それぞれ、タイプX、Y、およびZで表される)。
同様に、図9では、ヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するマウスモノクローナル抗体の結合能力は、マウス抗体を基材に結合するために使用されるクロムオリゴマー混合物が異なると変化する(それぞれ、タイプX、Y、およびZで表される)。
実施例5: オリゴマー形成の増大: 異なるアミン配位子の使用。
a. 異なるクロムオリゴマーの形成。
エチレンジアミンを有する過塩素酸クロム。
簡潔に述べると、過塩素酸クロム六水和物(2.3g)を25mLの精製水に溶解させ、すべての固体が溶解するまで十分に混合した。同様に、190μlのエチレンジアミン溶液を25mLの精製水に添加した。溶液を組み合わせて、室温で一晩撹拌した。CEによれば、この溶液は、ビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミンと共に30%のモノマー過塩素酸クロムを含有する。pHは、2.3であった。
簡潔に述べると、過塩素酸クロム六水和物(2.3g)を25mLの精製水に溶解させ、すべての固体が溶解するまで十分に混合した。同様に、545μlのビス(3−アミノプロピル)ジエチルアミン溶液を25mLの精製水に添加した。溶液を組み合わせ、室温で2日間撹拌した。CEによれば、この特定の溶液は、クロムモノマーに対応するピークを示さない。pHは、4.8であった。
b. 磁気ビーズ(Bangs)へのクロムオリゴマーの添加。
ProMagカルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.PMC3N/9080)は、Bangs,IN,USAから供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。2×550μLのビーズ濃縮液を2×1.7mLのマイクロチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットにチューブごとに550μLのそれぞれのクロムオリゴマー溶液を添加する。回転させながら室温で1時間放置する。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
ローターからクロムオリゴマー活性化Bangs ProMagビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに550μlの50mM MES緩衝液(pH5.2)を添加する。撹拌、上清除去、およびMES添加をさらに2回繰り返す。上清除去後、50mM MES中の550μlの1mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに550μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
以下の手順に従って磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
抗体カップリングビーズ。
検出抗体: マウスIgG−FITC(2mgs/ml、Jackson,USA)
洗浄緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、0.05%Tween20含有
アッセイ緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、1%BSA、0.05%Tween20含有
マイクロプレート: 96ウェルMillipore0.42μmフィルタープレート(Millipore,USA)
アッセイプロトコル:
2.5μlの各ビーズサンプルを50μlのアッセイ緩衝液中に希釈する。少なくとも30秒間撹拌した後、10μlの懸濁液を除去し、490μlのアッセイ緩衝液中に再希釈する。10μg/mlの使用濃度になるようにマウスIgG−FITC検出抗体をアッセイ緩衝液中に希釈する。希釈ビーズ懸濁液を少なくとも30秒間撹拌した後、50μlの抗体被覆ビーズをウェルに添加する。真空濾過装置を用いてビーズ溶液をウェルから除去する。50μlの検出抗体を適切なウェルに添加した後、暗所でプレート振盪機上で室温で60分間インキュベートする。真空濾過装置を用いて検出抗体溶液をウェルから除去する。200μlの洗浄緩衝液をプレートの各ウェルに添加し、プレートをプレート振盪機上に30秒間配置する。200μlの上清をウェルから除去する。100μlの洗浄緩衝液を各ウェルに添加し、FACS Canto II(BD Biosciences,USA)でビーズの読取りを行う。
e. 結果の例。
図10に示されるように、同一のモル濃度で異なる配位子を用いると、異なるオリゴマー錯体が形成され、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力が変化する。
実施例6: オリゴマー金属−基材錯体の加水分解性オリゴマー形成の操作。標的分子に結合する前の緩衝液を用いた活性化金属−基材錯体の前処理。
錯体中の電子供与条件の変化の影響ならびに標的分子結合およびその性能に及ぼすその後続的影響を調べるためのモデルとして、金属−基材錯体中に約30%のモノマー成分を有する配合物を使用した。MES緩衝液pH5.2とMES緩衝液pH7との比較により、異なる洗浄緩衝液の影響を例示した。表面結合クロムオリゴマーへの抗体結合は、負荷アッセイにより決定されるように、洗浄緩衝液pHの選択によって変化しうる。
a. クロム種の選択。
約30%のモノマー成分を有する、過塩素酸クロムとエチレンジアミンとの錯体(実施例5a参照)を使用した。
b. 磁気ビーズ(Dynal)への洗浄緩衝液の添加。
M−270カルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.143.16D)は、Dynal,IN,Norwayから供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。2×140μLのビーズ濃縮液を2×1.7mLマイクロチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットに420μLの過塩素酸クロム/エチレンジアミン溶液を添加する。回転させながら室温で1時間放置する。
ローターから過塩素酸クロム/エチレンジアミン活性化DynabeadsM−270を採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。50μlの溶液を2つのチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに50μLの洗浄緩衝液50mM MES(pH5.2)または50mM MES(pH7.0)を添加する。撹拌、上清除去を繰り返し、MES(pH5.2またはpH7.0)洗浄をさらに2回繰り返す。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
上清除去後、50mM MES(pH5.2またはpH7.0)中の50μlの0.5mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの50mM TBS緩衝液(pH8.0)を0.025%のProclin300と共に添加する。撹拌し、TBS緩衝液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
実施例5dですでに記載した手順に従って、磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。
e. 結果の例。
図11に示されるように、オリゴマー金属−基材錯体を形成した後かつGAMポリクローナル抗体の形態で標的分子を添加する前、pH条件を変化させることによる金属−基材錯体の後処理を用いて、オリゴマー金属組成物をさらに改変し、標的分子の結合および性能を後続的に変化させることが可能である。
実施例7: 最適金属オリゴマー−基材錯体の形成に及ぼす異なる表面および材料の影響。
約30%のモノマー成分を有する配合物をモデルとして用いて、基材の表面性が標的分子結合の性質およびその性能を有意に変化させうることを示した。
a. クロム種の選択。
約30%のモノマー成分を有する、過塩素酸クロムとエチレンジアミンとの錯体(実施例5a参照)を、モデルとして使用した。
b. ビーズ上の異なる表面の選択。
比較の目的のために、ヒドロキシル官能基およびカルボキシ官能基を有するシリカビーズを高分子ビーズと比較した。
Bangs,IN,USAからのProMag−COOH(Cat.No.PMC3N/9885)
Bangs,IN,USAからのSilica−OH(Cat No.SS06N)
Bangs,IN,USAからのSilica−COOH(Cat No.SC05H)
c. 磁気ビーズへの過塩素酸クロム/エチレンジアミンの添加。
実施例5bに記載したのと同様な方法で、すべてのビーズを処理した。
ローターからクロムオリゴマー活性化ビーズ(250μl)を採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに250μlの50mM MES緩衝液(pH5.2)を添加する。撹拌、上清除去、およびMES添加をさらに2回繰り返す。
d. 異なるクロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
上清除去後、50mM MES中の250μlの1mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに250μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
e. 抗体負荷アッセイの実施。
実施例5dですでに記載した手順に従って、磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。
f. 異なるクロム連結ビーズ表面へのストレプトアビジンのカップリング
ローターからクロムオリゴマー活性化ビーズ(250μl)を採取し、懸濁液を30秒間撹拌する(実施例参照6b)。チューブ(磁気ビーズ用)を磁気ラック上に1分間配置するか、またはチューブ(非磁気ビーズ用)を12,000SPRでマイクロ遠心分離機中に3分間配置し、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに250μlの50mM MES緩衝液(pH5.2)を添加する。撹拌、上清除去、およびMES添加をさらに2回繰り返す。上清除去後、50mM MES中の250μlの0.5mg/mlストレプトアビジン(Prozyme,Cat.No.SA10,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間または12,000SPRのマイクロ遠心分離機中に3分間配置し、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに250μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
g. ビオチン−RPE負荷アッセイの実施。
以下の手順に従って、ストレプトアビジンカップリングビーズ上でビオチン−フィコエリトリン(ビオチン−RPE)負荷アッセイを行った。簡潔に述べると、材料および方法は、記載のとおりである。
アッセイ成分:
ストレプトアビジンカップリングビーズ。
検出: ビオチン−PE(4mg/ml、Cat No.P811、Invitrogen,USA)
洗浄緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、0.05%Tween20含有
アッセイ緩衝液: 10mM PBS、pH7.4、1%BSA、0.05%Tween20含有
マイクロプレート: 96ウェルMillipore0.42μmフィルタープレート(Millipore,USA)
アッセイプロトコル:
5μlの各ビーズサンプルを25μlのアッセイ緩衝液中に希釈する。少なくとも30秒間撹拌した後、20μlの懸濁液を除去し、480μlのアッセイ緩衝液中に再希釈する。0.4μg/mlの使用濃度になるように検出ビオチン−RPEをアッセイ緩衝液中に希釈する。
希釈ビーズ懸濁液を少なくとも30秒間撹拌した後、100μlのストレプトアビジン被覆ビーズをウェルに添加する。真空濾過装置を用いてビーズ溶液をウェルから除去する。50μlの検出ビオチン−RPEを適切なウェルに添加した後、暗所でプレート振盪機上で室温で60分間インキュベートする。真空濾過装置を用いて検出ビオチン−RPE溶液をウェルから除去する。200μlの洗浄緩衝液をプレートの各ウェルに添加し、プレートをプレート振盪機上に30秒間配置する。200μlの上清をウェルから除去する。100μlの洗浄緩衝液を各ウェルに添加し、FACS Canto II(BD Biosciences,USA)でビーズの読取りを行う。
h. 結果の例。
図12に示されるように、表面が−OHまたは−COOHのいずれの官能基を有するかにかかわらず、オリゴマー金属錯体は、抗体をシリカ表面上に結合するのに有効である。この実施例は、オリゴマー金属錯体の1つの特定の配合物を用いた高分子ビーズで同等な性能を示す。同一のオリゴマー金属−基材錯体はまた、ストレプトアビジンの結合にも有効であるが、性能改善のプロファイルは、基材およびオリゴマー金属錯体の両方に依存する(図13参照)。
実施例8: 標的分子結合と組み合わせたオリゴマー金属−基材錯体の加水分解性オリゴマー形成の操作。
錯体中の電子供与条件の変化の影響を調べるためのモデルとして、金属−基材錯体を形成するための、約30%のモノマー成分を有する配合物を使用した。実施例8では、pHおよびイオン強度の差を比較することにより、標的分子カップリング条件の影響を例示する。
a. クロム種の選択。
約30%のモノマー成分を有する、過塩素酸クロムとエチレンジアミンとの錯体を使用した(実施例5a参照)。
b. 磁気ビーズ(Dynal)へのクロムオリゴマーの添加。
M−270カルボキシル末端磁気ビーズ(Cat.No.143.16D)は、Dynal,IN,Norwayから供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。2×170μLのビーズ濃縮液を2×1.7mLマイクロチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットに510μLのそれぞれのクロムオリゴマー溶液を添加する。回転させながら室温で1時間放置する。
ローターからクロムオリゴマー活性化DynabeadsM−270ビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。50μlの溶液を5つのチューブ中に分配する。チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに、50μLの異なるカップリング緩衝液25mM MES(pH6.5)、50mM MES(pH6.0、6.5、およびpH7.0)、ならびに100mM MES(pH6.5)を添加する。撹拌、上清除去を繰り返し、同一のMES洗浄条件をさらに2回使用する。
c. 異なるカップリング緩衝液pHを用いたクロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
上清除去後、同一のそれぞれのMES緩衝液中の50μlの0.5mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、チューブを磁気ラック上に1分間配置して、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの50mM TBS緩衝液(pH8.0)を0.025%のProclin300と共に添加する。撹拌し、TBS中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
実施例5dですでに記載した手順に従って、磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。
e. 結果の例。
図14に示されるように、オリゴマー金属ビーズ錯体に対して異なるカップリング緩衝液を用いると、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するヤギ抗マウス(GAM)ポリクローナル抗体の結合能力は変化する。
実施例9: オリゴマー金属−基材錯体の加水分解性オリゴマー形成の操作。安定であるが活性である金属−基材錯体の形成。
錯体中の電子供与条件の変化の影響および貯蔵条件に依存するオリゴマー金属−基材錯体の長期貯蔵に及ぼすその後続的影響を調べるためのモデルとして、金属−基材錯体を形成するための、約30%のモノマー成分を有する配合物を使用した。dHOとMES緩衝液pH5.2とMES緩衝液pH7とを比較することにより、異なる洗浄緩衝液の影響を例示した。表面結合クロムオリゴマーへの抗体結合は、負荷アッセイにより決定されるように、貯蔵条件によって変化しうる。
a. クロム種の選択。
約30%のモノマー成分を有する、過塩素酸クロムとエチレンジアミンとの錯体(実施例5a参照)を使用した。
b. シリカ−COOHビーズ(Bangs)へのクロムオリゴマーの添加。
シリカカルボキシル末端ビーズ(Inv.L080722G)は、Bangs,IN,USAから供給された。ビーズを準備するために、室温に達するようにしてビーズを30秒間撹拌し、次いで、さらに60秒間超音波処理する。2×600μLのビーズ濃縮液を2×1.7mLマイクロチューブ中に分配する。すべてのチューブを2000rpmのマイクロ遠心分離機中に5分間配置し、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。ビーズペレットに600μLのクロムオリゴマー溶液を添加する。回転させながら室温で1時間放置する。クロムオリゴマー活性化シリカビーズを3つのチューブに分配する。チューブ1では、0.025%のProClin300を有する200μLのdH2Oでビーズを洗浄し、さらに2回繰り返した。0.025%のProClin300を有する200μlのdH2O中にクロムオリゴマー活性化シリカビーズを貯蔵した。チューブ2では、0.025%のProClin300を有する200μLの50mM MES pH5.2でビーズを洗浄し、さらに2回繰り返した。0.025%のProClin300を有する200μlの50mM MES pH5.2中にクロムオリゴマー活性化シリカビーズを貯蔵する。チューブ3では、0.025%のProClin300を有する200μLの10mM PBS pH7.4中でビーズを洗浄し、さらに2回繰り返した。0.025%のProClin300を有する200μlの10mM PBS pH7.4中にクロムオリゴマー活性化シリカビーズを貯蔵する。
異なる期間(0日間、7日間、30日間、および180日間)で異なるクロム活性化BangsシリカCOOHビーズを貯蔵し、抗体の結合を試験した。
c. クロム連結ビーズ表面へのヤギ抗マウスポリクローナル抗体のカップリング
ローターからクロムオリゴマー活性化DynabeadsM−270ビーズを採取し、懸濁液を30秒間撹拌する。すべてのチューブを2000rpmのマイクロ遠心分離機中に5分間配置し、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。各チューブに50μLの50mM MES(pH5.2)を添加する。撹拌、上清除去、およびMES添加をさらに2回繰り返す。上清除去後、50mM MES(pH5.2)中の50μlの1mg/ml Fc特異的ヤギ抗マウスポリクローナル抗体(Lampire Biological,Cat.No.7455527,USA)をビーズペレットに添加する。ビーズ溶液を30秒間撹拌する。回転させながらチューブを室温で1時間インキュベートする。
懸濁液を30秒間撹拌した後、すべてのチューブを2000rpmのマイクロ遠心分離機中に5分間配置し、ビーズペレットから注意深く上清を除去し廃棄する。チューブのビーズペレットに50μLの150mM生理食塩水を0.025%のProclin300溶液と共に添加する。撹拌し、生理食塩水溶液中で洗浄をさらに2回繰り返す。
d. 抗体負荷アッセイの実施。
実施例5dですでに記載した手順に従って、磁気ビーズ上で抗体負荷アッセイを行った。
e. 結果の例。
図15に示されるように、活性化クロムオリゴマービーズ錯体は安定であり、ヤギ抗マウス(GAM)抗体をただちにまたは180日間貯蔵後にカップリングした場合、同一の性能を示す。結合を破壊すると推測されるPBS中に貯蔵したとしても、マウスモノクローナル抗体−フルオレセインを捕捉するGAMのより良好な性能が得られる。
Figure 0005885266
Figure 0005885266

Claims (30)

  1. 標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法において、
    ・合成基材を提供するステップと、
    ・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、前記基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
    ・標的分子の不在下で前記金属イオンを前記基材と接触させることにより、前記基材が前記金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
    ・前記基材との前記配位錯体中の前記金属イオンの75%超がオリゴマー金属錯体の形態をとるように、前記基材の存在下で前記金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
    を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく前記基材を適合化し、
    当該方法は、前記金属イオンが前記基材と接触する時に2つ以上の金属イオンを架橋すべく電子供与基を形成する条件を提供するステップを含み、それにより、前記基材の存在下で前記金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成し、
    前記電子供与基を形成する条件が、前記金属イオンが前記基材と接触する時に約4〜10のpHを提供することにより提供されることを特徴とする方法。
  2. 標的分子を上に固定化すべく合成基材を適合化する方法において、
    ・金属イオンが標的分子と錯体化されない形で、基材と結合すべく金属イオンを提供するステップと、
    ・前記金属イオンの75%超がオリゴマー金属錯体の形態をとるように、基材の不在下で前記金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップと、
    ・標的分子の不在下で前記オリゴマー金属錯体を前記基材と接触させることにより、前記基材が前記オリゴマー金属錯体の金属イオンの配位部位に結合された配位錯体を形成するステップと、
    を含み、それにより、標的分子を上に固定化すべく前記基材を適合化し、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの75%超がオリゴマー金属錯体の形態をとり、
    前記金属イオンが組成物の形態で提供され、かつ基材の不在下で前記金属イオンからオリゴマー金属錯体を形成するステップが、前記組成物中の2つ以上の金属イオンを架橋すべく電子供与基を形成する条件を前記組成物に提供するステップを含み、
    前記電子供与基を形成する条件が、約4〜10のpHを前記組成物に提供することにより提供されることを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記pH条件が、アルカリ塩を提供することにより提供されることを特徴とする方法。
  4. 請求項に記載の方法において、前記アルカリ塩が、NaOH、KOH、またはNHOHであることを特徴とする方法。
  5. 請求項に記載の方法において、酸性基を有する化合物の形態で架橋配位子を提供するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
  6. 請求項に記載の方法において、前記酸性基が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、エノール酸基、フェノール酸基、チオエノール酸基、またはチオフェノール酸基であることを特徴とする方法。
  7. 請求項に記載の方法において、前記架橋配位子が、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、シュウ酸、またはサリチル酸であることを特徴とする方法。
  8. 請求項またはに記載の方法において、前記pH条件が、塩基性基を有する化合物の形態で架橋配位子を添加することにより提供されることを特徴とする方法。
  9. 請求項に記載の方法において、前記塩基性基がアミンまたはイミンであることを特徴とする方法。
  10. 請求項に記載の方法において、前記架橋配位子が、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ヒスチジン、またはピリジンであることを特徴とする方法。
  11. 請求項に記載の方法において、前記架橋配位子がエチレンジアミンであることを特徴とする方法。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記金属イオンが遷移金属イオンであることを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法において、前記遷移金属イオンが、ロジウム、白金、スカンジウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、ルテニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、または亜鉛であることを特徴とする方法。
  14. 請求項13に記載の方法において、前記金属イオンが、鉄、コバルト、アルミニウム、クロム、またはルテニウムであることを特徴とする方法。
  15. 請求項14に記載の方法において、前記金属イオンがクロムIIIであることを特徴とする方法。
  16. 請求項に記載の方法において、前記金属イオンが、前記架橋配位子を含む組成物の形態で提供されることを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法において、前記組成物がクロム金属イオンとエチレンジアミンとを含むことを特徴とする方法。
  18. 請求項1乃至17の何れか1項に記載の方法において、前記組成物が、対イオンをさらに含むことを特徴とする方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、前記対イオンが、塩化物イオン、酢酸イオン、臭素物イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、リン酸イオン、ミョウバンイオン、または硫酸イオンであることを特徴とする方法。
  20. 請求項1乃至19に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの80%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  21. 請求項20に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの85%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  22. 請求項21に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの90%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  23. 請求項22に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの95%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  24. 請求項23に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの98%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  25. 請求項24に記載の方法において、前記基材との前記配位錯体中の金属イオンの99%超がオリゴマー金属錯体の形態をとることを特徴とする方法。
  26. 請求項1乃至25の何れか1項に記載の方法において、前記オリゴマー錯体が2つ以上のタイプの金属イオンを含むことを特徴とする方法。
  27. 請求項1乃至26の何れか1項に記載の方法において、前記基材が、ビーズ、膜、マルチウェルプレート、スライド、またはキャピラリーカラムの形態をとることを特徴とする方法。
  28. 請求項1乃至27の何れか1項に記載の方法において、前記基材が、シリカ、ガラス、金、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリビニルフルオリドから作製されることを特徴とする方法。
  29. 請求項27に記載の方法において、前記基材が、ヒドロキシル化シリカ表面、ポリ(ビニルアルコール)表面、またはメタクリレート表面を含むことを特徴とする方法。
  30. 請求項1乃至29の何れか1項に記載の方法において、前記基材が、カルボン酸官能基、アミド官能基、アミン官能基、ヒドロキシル官能基、またはアルデヒド官能基の電子供与基を含有することを特徴とする方法。
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