以下、本発明による通信装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による通信装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による通信装置は、空き周波数帯域の状況に応じて、繰り返し対象のデータを繰り返し含む通信データを送信するものである。
図1は、本実施の形態による通信装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による通信装置1は、空き周波数帯域を用いて通信を行うものであり、通信部11と、特定部12と、決定部13と、制御部14とを備える。なお、本実施の形態では、通信装置1がモバイルステーション(MS:Mobile Station)であり、通信装置1の通信先の装置であるアクセスポイント(AP:Access Point)が存在する場合について主に説明するが、そうでなくてもよいことは言うまでもない。通信装置1がAPであってもよい。
通信部11は、通信データを通信する。その通信データの通信は、例えば、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割する通信であってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。スペクトラム分割シングルキャリア変調方式以外の通信としては、例えば、スペクトラム分割を行わないシングルキャリア変調方式の通信であってもよく、スペクトラム分割を行わないマルチキャリア変調方式の通信であってもよく、あるいは、スペクトラム分割を行うマルチキャリア変調方式の通信であってもよい。いずれの通信であったとしても、通信部11は、1個または複数の周波数帯域を用いて通信データの通信を行うものとする。その1個または複数の周波数帯域は、特定部12によって特定された、使用されていない空き周波数帯域から選択されるものであり、後述するように、制御部14によって指定されるものである。その通信部11による通信は、送信であってもよく、送受信であってもよい。本実施の形態では、通信部11がスペクトラム分割シングルキャリア変調方式により送受信を行う場合について主に説明する。また、例えば、通信途中においてもキャリアセンスが行われ、その時点の空き周波数帯域を用いて通信が行われる場合には、その通信で用いられる単数または複数の周波数帯域は、通信途中においても適宜、切り替えられるうるものとなる。
また、通信部11は、通信データに含まれる繰り返されたシンボル系列を特定可能な情報である繰り返し情報をも送信してもよい。送信先の装置において、繰り返し情報によってそのシンボル系列を特定し、複数のシンボル系列を合成することができるようにするためである。なお、その繰り返し情報は、例えば、繰り返されたデータの量(例えば、ビット数やバイト数等)を特定可能な情報であってもよい。なお、繰り返されたデータの量を特定可能な情報は、例えば、繰り返されたデータの量そのものであってもよく、あるいは、繰り返されたデータの量を知ることができる情報であってもよい。後者の場合としては、例えば、繰り返されるデータにあらかじめ決められたデータ(例えば、誤り検出のための情報やトレリスビット等)が含まれる場合に、そのあらかじめ決められたデータを除いたデータの量であってもよい。そのデータの量を用いることによって、結果として、繰り返されたデータの量そのものを知ることができるからである。また、その繰り返し情報は、繰り返し数を含んでいてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。また、送信対象のデータに、繰り返し対象のデータと繰り返し対象でないデータとの両方が含まれる場合には、繰り返し情報に、その繰り返し対象でないデータの量を特定可能な情報が含まれていてもよく、あるいは、含まれていなくてもよい。また、通信部11は、その繰り返し情報を、例えば、制御データ等の通信で用いる制御チャネルを介して送信してもよく、または、送信対象のデータと共にデータチャネルを介して送信してもよい。後者の場合には、例えば、送信対象のデータにおいて、繰り返し対象のデータは繰り返しの対象となり、繰り返し情報を含むデータ(例えば、繰り返し対象のデータをペイロードに含むパケットのヘッダ等)は繰り返しの対象とならないようにしてもよい。受信時に、繰り返しに応じた合成を行う前に、繰り返し情報を取得(復調)できなければならないからである。
また、繰り返し数だけの繰り返し対象のデータを含む通信データを通信部11が受信する場合には、通信部11は、その通信データに含まれる繰り返されたシンボル系列を特定可能な繰り返し情報をも受信してもよい。その繰り返し情報は、例えば、通信相手の装置から送信されたものであってもよい。また、通信部11は、例えば、制御データ等の通信で用いる制御チャネルを介して繰り返し情報を受信してもよく、または、送信対象のデータと共にデータチャネルを介して送信してもよい。後者の場合には、前述のように、繰り返し情報を含むデータは繰り返しの対象となっておらず、先にそのデータのみを復調することによって繰り返し情報を取得し、その繰り返し情報を用いて、繰り返し対象のデータに応じたシンボル系列を合成し、合成後のシンボル系列を復調するようにしてもよい。
また、通信部11は、所定のタイムフレーム(例えば、5ms等)を単位とするCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)に基づくチャネルアクセスを行ってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。また、通信部11は、そのチャネルアクセスにおいて、セル内での多元接続を、タイムフレームを分割したスロットを単位とするTDMA/TDD(Time Division Multiple Access/Time Division Dultiplex)により実現してもよく、あるいは、そうでなくてもよい。
図2は、通信部11における送信系11a(図2(a))と、受信系11b(図2(b))との詳細な構成を示すブロック図である。送信系11aは、通信データを、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割して送信する。受信系11bは、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により、複数の周波数帯域に応じた複数のサブスペクトラムに分割されて送信された通信データを受信する。
図2(a)において、送信系11aは、変調部31と、S/P(シリアル/パラレル)変換部32と、フーリエ変換部33と、スペクトラムマッピング部34と、逆フーリエ変換部35と、P/S(パラレル/シリアル)変換部36と、DA変換部37と、局部発信部38と、周波数変換部39と、電力増幅部40とを備える。
変調部31は、デジタル信号である通信データを受け付け、その通信データによりデジタル変調する。なお、PAPR(Peak to Average Power Ratio)特性をよくするためなどの目的で、スペクトラム分割前の変調波形をロールオフフィルタにより整形してもよい(そのことについては、例えば、次の文献を参照されたい)。また、変調時に誤り訂正の符号化を行ってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。また、本実施の形態による通信装置1では、繰り返し対象のデータを繰り返し数だけ含む通信データを送信するため、変調後のシンボル系列に対して、その繰り返しの処理が行われることになる。その処理については後述する。なお、繰り返し情報がヘッダ等に含まれる場合には、そのヘッダ等の変調後のシンボル系列と、繰り返し対象のデータの変調後のシンボル系列とが別々のものとなるように変調されることが好適である。受信時に、シンボル系列の合成(後述する)の前に、繰り返し情報に応じたシンボル系列を復調できるようにするためである。
文献:鈴木康夫、矢野一人、上羽正純、「スペクトラム分割シングルキャリア伝送の波形整形効果」、2010年電子情報通信学会ソサイエティ大会,B−5−137,p.491,2010年9月
S/P変換部32は、デジタル変調された通信データを、複数の並列配列の信号に変換する。なお、デジタル変調時にロールオフフィルタを用いた場合には、IFFTフレーム境界付近の出力信号が歪んでしまうため、S/P変換部32及びP/S変換部36において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。その重複率は、例えば、1/8であってもよい。
フーリエ変換部33は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムマッピングを行う。具体的には、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによってA1個に分割し、分割後のA1個の信号に対して、通信で用いる複数の周波数帯域に応じた周波数変換を行う。なお、スペクトラムマッピング部34は、高速フーリエ変換後の並列配列の信号である、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を、制御部14によって後述ように設定される複数の周波数帯域に分割するためのマッピング行列を生成し、そのマッピング行列を用いて、複数の分割送信スペクトラムブロックに含まれる複数の周波数成分を複数の周波数帯域に分割してもよい。このスペクトラムマッピング部34の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、S/P変換時に重複S/P変換を行っている場合には、周波数変換後の信号位相が不連続となるため、位相補正も行う(上記文献参照)。このA1は、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信を行う場合には、A1は2以上である。逆フーリエ変換部35は、スペクトラムマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部36は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。なお、前述のように、P/S変換部36は、重複P/S変換を行ってもよい。DA変換部37は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号をアナログ信号に変換する。局部発信部38は、周波数変換のための信号を生成する。周波数変換部39は、局部発信部38が生成した周波数変換のための信号を用いて、DA変換部37で生成された等価ベースバンド帯域送信信号を、送信周波数帯に変換する。電力増幅部40は、周波数変換部39により周波数変換された送信信号を、所望の電力まで増幅する。その送信信号が、アンテナ2を介して送信される。
なお、送信系11aの各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、送信系11aの構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による送信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。このように、送信系11aの構成には任意性が存在する。また、送信系11aは、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、送信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
図2(b)において、受信系11bは、低雑音増幅部41と、周波数変換部42と、局部発信部43と、AD変換部44と、S/P変換部45と、フーリエ変換部46と、スペクトラムデマッピング部47と、逆フーリエ変換部48と、P/S変換部49と、復調部50とを備える。
低雑音増幅部41は、アンテナ2で受信された通信データのアナログ信号を受信し、その受信したアナログ信号(受信信号)を増幅する。周波数変換部42は、局部発信部43によって生成された信号を用いて、受信信号を周波数変換し、AD変換部44で変換できる等価ベースバンド帯域受信信号に変換する。局部発信部43は、その周波数変換部42での周波数変換のための信号を生成する。AD変換部44は、等価ベースバンド帯域受信信号であるアナログ信号をデジタル信号に変換する。S/P変換部45は、AD変換後のデジタル信号を受け付け、そのデジタル信号を複数の並列配列の信号に変換する。フーリエ変換部46は、S/P変換後の複数の並列配列の信号を受け付け、それらの信号を並列に高速フーリエ変換することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号を受け付け、その信号に対してスペクトラムデマッピングを行う。具体的には、スペクトラムデマッピング部47は、高速フーリエ変換後の信号をバンドパスフィルタによって通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたA2個の周波数帯域の信号に分割し、分割後のA2個の周波数帯域に応じた信号に対して周波数変換を行うことによって一つの周波数帯域の信号に結合する。なお、スペクトラムデマッピング部47は、スペクトラムマッピング部34と同様の手法によって、通信データの通信で用いられた複数の周波数帯域に応じたマッピング行列を生成し、そのマッピング行列の転置行列であるデマッピング行列を算出し、そのデマッピング行列を用いて、高速フーリエ変換後の並列配列の信号を一つの周波数帯域に結合してもよい。このスペクトラムデマッピング部47の詳細な処理については、例えば、前述の特許文献1を参照されたい。なお、A2は、通信で用いられるサブスペクトラムの個数であり、1以上の整数である。複数のサブスペクトラムを用いて通信が行われる場合には、A2は2以上である。また、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式により通信を行う場合には、通常、送信する通信データのサブスペクトラムの個数と、受信する通信データのサブスペクトラムの個数とは等しいため、A1=A2となるが、場合によっては異なっていてもよい。逆フーリエ変換部48は、スペクトラムデマッピング後の信号に対して、逆高速フーリエ変換を行い、時間領域の信号に戻す。P/S変換部49は、逆高速フーリエ変換後の信号を受け付け、並列配列の信号を直列配列に変換する。なお、受信された通信データにおいて、送信時と同様のシンボル系列の繰り返しが行われている場合には、復調前に、その繰り返されているシンボル系列を合成する処理が行われてもよい。その処理については後述する。復調部50は、P/S変換後の直列配列のデジタル信号(シンボル系列)を受け付け、そのデジタル信号をデジタル復調する。シンボル系列の合成が行われた場合には、その合成後のシンボル系列に対して復調が行われることになる。なお、変調時に誤り訂正の符号化が行われている場合には、復調時に誤り訂正の復号化を行ってもよい。
ここで、受信系11bにおいても、スペクトラムデマッピング部47の後段においてロールオフフィルタを用いてもよい。その場合には、逆フーリエ変換部48は、ロールオフフィルタから受け取った信号に対して逆フーリエ変換を行うことになる。また、ロールオフフィルタを用いる場合には、S/P変換部45及びP/S変換部49において、重複S/P変換及び重複P/S変換を行ってもよい。また、S/P変換時に重複変換を行っている場合には、信号位相が不連続とならないように、スペクトラムデマッピング部47において位相補正も行う。
なお、受信系11bの各構成要素が受け渡しを行う信号を、単に通信データと呼ぶこともある。また、受信系11bの構成は、これに限定されるものではなく、スペクトラム分割シングルキャリア変調方式による受信を行うことができるのであれば、他の構成であってもよい。例えば、S/P変換やP/S変換を行わなくてもよく、あるいは、高速フーリエ変換や逆高速フーリエ変換に代えて、離散フーリエ変換や逆離散フーリエ変換を用いてもよい。また、受信系11bにおいて、フーリエ変換部46とスペクトラムデマッピング部47との間において等化器(イコライザ)による等化処理を行ってもよい。このように、受信系11bの構成には任意性が存在する。また、受信系11bは、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な部分については、受信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
また、送信系11aにおける局部発信部38と、受信系11bにおける局部発信部43とは、同一のものであってもよい。すなわち、同一の局部発信部を用いて、周波数変換部39,42における周波数変換が行われてもよい。また、例えば、局部発信部38,43が生成する周波数が2.4GHzであり、周波数変換部39による周波数変換後の送信信号の周波数と、アンテナ2で受信された受信信号の周波数とが2.4GHzであり、等価ベースバンド帯域の送信信号、受信信号の周波数が0GHzであってもよい。なお、これらの周波数は一例であり、これらに限定されないことは言うまでもない。
特定部12は、通信に用いられていない周波数帯域である空き周波数帯域を特定する。その空き周波数帯域は、1個であってもよく、あるいは、複数であってもよい。特定部12は、結果として空き周波数帯域を特定することができるのであれば、その方法は問わない。例えば、特定部12は、キャリアセンスを行うことによって空き周波数帯域を特定してもよく、他の装置(例えば、APなど)で取得されたパワースペクトルを受け取り、そのパワースペクトルを用いてキャリアセンスと同様のことを行うことによって空き周波数帯域を特定してもよく、あるいは、他の装置(例えば、APなど)で特定された空き周波数帯域を示す情報を受け取ることによって、空き周波数帯域を特定してもよい。特定部12がキャリアセンスを行う場合には、特定部12は、例えば、キャリアセンスしきい値よりも低い信号強度の周波数帯域である空き周波数帯域を特定してもよく、あるいは、受信強度の平均がキャリアセンスしきい値よりも低い周波数帯域である空き周波数帯域を特定してもよい。また、そのキャリアセンスは、あらかじめ決められたキャリアセンス期間の間、行われてもよい。また、特定部12がキャリアセンスを行う場合には、特定部12は、通信部11における受信系11bの高速フーリエ変換後の信号を用いて、空き周波数帯域の検出を行ってもよい。すなわち、特定部12は、例えば、高速フーリエ変換後の周波数領域の信号から得たパワースペクトルをキャリアセンスしきい値と比較し、例えば、キャリアセンス期間において、そのキャリアセンスしきい値よりも振幅の大きい周波数帯域は使用されていると判断し、キャリアセンス期間において、そのキャリアセンスしきい値よりも振幅の小さい周波数帯域は使用されていないと判断してもよい。また、特定部12は、例えば、他の装置(例えば、APなど)から受信した空き周波数帯域と、自らがセンシングした空き周波数帯域とのうち、重複している帯域を、最終的な空き周波数帯域としてもよい。また、空き周波数帯域は、例えば、周波数帯域の上限の周波数と下限の周波数とによって示されてもよく、あるいは、あらかじめ周波数帯域ごとにインデックスが付与されており、そのインデックスによって示されてもよい。本実施の形態では、後者の場合について主に説明する。そのインデックスは、例えば、周波数インデックスやチャネルと呼ばれることもある。また、特定部12は、例えば、特定した空き周波数帯域を示す情報(例えば、周波数そのものでもよく、周波数インデックス等でもよい)を図示しない記録媒体に蓄積してもよい。また、結果として、空き周波数帯域を知ることができるのであれば、特定部12が行う処理内容は問わない。例えば、特定部12は、使用中の周波数帯域を取得してもよい。その場合でも、結果として、空き周波数帯域を知ることができるからである。
決定部13は、特定部12が特定した空き周波数帯域に応じて、通信データに含める繰り返し対象のデータの数を示す繰り返し数を決定する。なお、送信対象のデータは、繰り返し対象のデータと、繰り返し対象でないデータとに分けることができるものとする。そして、通信データには、繰り返し数に応じた数の繰り返し対象のデータと、1個の繰り返し対象でないデータとが含まれることになる。なお、繰り返し対象でないデータは、なくてもよい。すなわち、送信対象のデータのすべてが、繰り返し対象のデータであってもよい。また、空き周波数帯域の帯域幅(チャネル数)に応じて、送信できるデータ量が決定されることになる。したがって、決定部13は、通信データのデータ量に対応する帯域幅が、特定された空き周波数帯域の帯域幅以下となるように、その繰り返し数を決定する。なお、空き周波数帯域が広いほど、より多くのデータを送信することができるため、決定部13は、特定された空き周波数帯域が広いほど、より大きな繰り返し数を決定することになる。また、繰り返し数が同じ場合には、繰り返し対象のデータ量が多いほど、繰り返し後のデータ量が多くなるため、決定部13は、繰り返し対象のデータ量が多いほど、より小さな繰り返し数を決定することになる。また、決定部13は、例えば、特定部12が特定した空き周波数帯域において、繰り返し対象のデータを繰り返すことができる最大の繰り返し数を決定してもよい。繰り返し数が大きいほど、より品質の高い送信を行うことができるようになるからである。なお、決定部13は、所定の上限値以下の繰り返し数を決定してもよい。その場合に、決定部13は、所定の上限値以下における最大の繰り返し数を決定してもよい。例えば、空き周波数帯域が非常に広かったとしても、そのすべてを占有するのではなく、上限以下の範囲を用いるようにするためである。そのようにすることで、他の通信装置の通信機会を確保することができるようになる。また、広い周波数帯域を用いて通信を行うほど、干渉の影響をより受けやすくなるが、上限以下の範囲を用いることによって、そのような事態を回避することができうる。その所定の上限値は、例えば、あらかじめ決められた値であってもよく、あるいは、状況に応じて変わりうる値であってもよい。後者の場合としては、例えば、繰り返し対象のデータの優先度に応じて上限値が決められてもよく、あるいは、周波数の使用状況に応じて上限値が決められてもよい。優先度に応じて決められる場合には、例えば、優先度の高いデータを送信する際には、上限値が高く設定され、優先度の低いデータを送信する際には、上限値が低く設定されてもよい。すなわち、優先度が高いほど高い値となる上限値が設定されてもよい。また、周波数の使用状況に応じて決められる場合には、例えば、空き周波数帯域が非常に広い場合には、大きい上限値が設定され、空き周波数帯域があまり広くない場合には、小さい上限値が設定されてもよい。すなわち、空き周波数帯域が広いほど高い値となる上限値が設定されてもよい。また、通信部11による処理に応じて使用可能な周波数帯域(チャネル数)が決まっていることがある。例えば、高速フーリエ変換のポイント数に応じて、通信で使用可能なチャネル数が、1,2,4,5,8,9等のように、離散的となる場合がある。その場合には、決定部13は、通信データのデータ量に対応する帯域幅が、特定された空き周波数帯域のうち、通信部11で使用可能な周波数帯域の帯域幅以下となるように、その繰り返し数を決定する。例えば、上記の例の場合には、特定部12が特定した空きチャネル数が7であったとしても、決定部13は、その7チャネルのうち、通信部11で使用可能な5チャンネルに応じた繰り返し数を決定してもよい。
制御部14は、繰り返し対象のデータの変調後のシンボル系列を、決定部13が決定した繰り返し数だけ含む通信データを通信部11に送信させる。決定部13の決定した繰り返し数がN回(Nは1または2以上の整数)であれば、制御部14は、変調後のシンボル系列をN個含む通信データを通信部11に送信させる。そのため、例えば、制御部14は、変調部31から変調後のシンボル系列を受け取り、そのシンボル系列をN回繰り返したシンボル系列を生成し、その生成したシンボル系列をS/P変換部32に渡してもよく、変調部31が変調したシンボル系列を、S/P変換部32にN回読み込ませるように制御し、N個のシンボル系列に対してS/P変換を行わせるようにしてもよい。このように、結果として、変調部31が変調したシンボル系列をN個含む通信データが送信されるように通信部11を制御するのであれば、その制御方法は問わない。
また、制御部14は、繰り返し対象のデータに応じたシンボル系列を複数含む通信データが受信された場合には、その複数のシンボル系列をP/S変換部49から受け取り、そのシンボル系列を合成する。そして、合成後のシンボル系列を復調部50に渡す。そのシンボル系列の合成は、そのシンボル系列に含まれる各シンボルを加算することによって行われる。例えば、通信部11が受信した通信データにおける繰り返し数がN回(Nは1または2以上の整数)であれば、制御部14は、N個のシンボル系列を合成して1個のシンボル系列を生成し、そのシンボル系列を復調部50に渡してもよい。なお、制御部14は、P/S変換後のシンボル系列において、繰り返されている部分を特定するために、送信元の装置から受け取った繰り返し情報を用いてもよい。なお、その繰り返し情報がヘッダ等に含まれる場合には、制御部14は、その繰り返し対象でないデータ(例えば、ヘッダ等)に対応するシンボル系列を先に復調させ、その復調結果から繰り返し情報を取得し、その繰り返し情報を用いて、N個のシンボル系列の合成を行ってもよい。
また、制御部14は、特定部12が特定した空き周波数帯域を用いて、通信部11に通信データを通信させる。具体的には、制御部14は、特定部12で特定された空き周波数帯域のうち、単数または複数の空き周波数帯域を選択し、その選択した空き周波数帯域で通信データを通信させる。その通信は、受信であってもよく、あるいは、送信であってもよい。その通信が受信である場合には、制御部14は、例えば、通信先の装置に対して、選択した空き周波数帯域を示す情報を通信部11に送信させてもよい。その結果、その通信先の装置から、その選択された複数の周波数帯域を用いた通信データが送信され、通信部11によってその通信データの受信が行われるようになる。なお、その通信部11による送信は、例えば、制御チャネルを用いて行われてもよい。また、制御部14が選択した空き周波数帯域を用いて行われる通信が送信である場合には、制御部14は、例えば、選択した空き周波数帯域を用いて通信部11に通信データを送信させてもよい。その結果、その選択された周波数帯域を用いた送信が行われるようになる。なお、その選択された周波数帯域は、決定部13が決定した繰り返し数だけの繰り返し対象のデータを含む通信データを送信可能な周波数帯域であるものとする。また、制御部14による使用周波数帯域の選択については、DSAにおいて公知であり、その詳細な説明を省略する。
ここで、繰り返し数の決定について簡単に説明する。なお、説明を簡単にするため、周波数帯域がチャネル数で指定される場合について説明する。通常、1チャネルの通信におけるシンボルレートは決まっている。したがって、デジタル変調で用いる変調方式(例えば、QPSK、16QAM等)と符号化率(例えば、1/2、3/4等)とが決まれば、M個のチャネルを用いた1回の通信で通信可能なデータのバイト数が決まることになる。ここで、空きチャネル数を「A」とする。また、M個のチャネルを用いた1回の通信で通信可能なデータのバイト数を「B(M)」とし、1回の通信で送信したい、繰り返しの対象のデータのバイト数を「C」、繰り返し対象でないデータ(例えば、ヘッダ等)のバイト数を「D」とする。すると、決定部13は、まず、使用可能なチャネル数「E」を決定する。前述のように、通信部11における制限や、上限値などに応じて、使用可能なチャネル数「E(≦A)」が決定される。なお、チャネル数の上限値等の制限が何もない場合には、E=Aとなる。使用可能なチャネル数「E」が決まると、送信可能な最大バイト数「B(E)」が決まる。したがって、繰り返し数「F」は、F=floor((B(E)−D)/C)となる。ここで、floor(x)は、実数xの床関数であり、x以下の最大の整数である。したがって、決定部13は、このようにして繰り返し数を決定することができる。また、その繰り返し数に応じたデータを含む通信データの送信で用いられるチャネル数「G」は、B(G)≧C×F+Dをみたす最小の整数値となる。このチャネル数「G」は、制御部14によって算出されてもよい。そして、制御部14によって、空きチャネルから、そのG個のチャネルが選択され、通信部11によって、その選択されたG個のチャネルを用いた通信が行われる。なお、上記説明ではバイト単位で処理を行うものとしたが、ビットパディングによる最終的な調整が可能であるため、上記処理をビット単位で行ってもよいことは言うまでもない。
次に、通信装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3のフローチャートは、データチャネルにおける通信に関する処理を示すものであり、制御チャネルにおける通信は含まないものとする。また、繰り返し情報は、制御チャネルを介して送信されるものとする。
(ステップS101)通信部11は、送信を行うかどうか判断する。そして、送信を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。なお、通信部11は、例えば、送信対象のデータが存在する場合に、送信を行うと判断してもよく、あるいは、その他のタイミングで送信を行うと判断してもよい。
(ステップS102)特定部12は、空き周波数帯域を特定する。
(ステップS103)決定部13は、繰り返し対象のデータ量、空き周波数帯域等に応じて、繰り返し数を決定する。
(ステップS104)変調部31は、送信対象のデータを変調する。その結果、送信対象のデータに応じたシンボル系列が得られる。
(ステップS105)制御部14は、繰り返し数が2以上であるかどうか判断する。そして、繰り返し数が2以上である場合には、ステップS106に進み、繰り返し数が1である場合には、ステップS107に進む。
(ステップS106)制御部14は、繰り返し対象のデータの変調後のシンボル系列が、決定部13が決定した繰り返し数だけ繰り返されるように制御する。
(ステップS107)制御部14は、通信部11に、繰り返し対象のデータの変調後のシンボル系列を、決定部13が決定した繰り返し数だけ含む通信データを、通信部11に送信させる。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS108)通信部11は、通信データを受信したかどうか判断する。そして、通信データを受信した場合には、ステップS109に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。
(ステップS109)制御部14は、その受信された通信データにおいて、繰り返し対象のデータの繰り返しが行われているかどうか判断する。そして、繰り返しが行われている場合には、ステップS110に進み、そうでない場合には、ステップS111に進む。制御部14は、例えば、制御チャネルを介して繰り返し情報が受信されている場合に、繰り返しが行われていると判断し、繰り返し情報が受信されていない場合に、繰り返しが行われていないと判断してもよい。
(ステップS110)制御部14は、繰り返し数に応じた個数のシンボル系列を合成する。
(ステップS111)復調部50は、合成後のシンボル系列、または、合成されていないシンボル系列に対して復調を行う。そして、ステップS101に戻る。
なお、図3のフローチャートにおいて、前述のように、繰り返し情報の送受信については明記していないが、例えば、ステップS107の送信に先立って、あるいは、送信と共に、通信部11は、繰り返し情報を通信相手の装置に送信してもよい。また、ステップS108の受信に先立って、あるいは、受信と共に、通信部11は、繰り返し情報を通信相手の装置から受信してもよい。なお、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
ここで、通信データの一例について説明する。図4(a)は、繰り返し数が「1」である通信データを示す図である。「繰り返し1」で示される繰り返し対象となる部分には、送信対象のデータである「データ」と、誤り検出に用いられるCRC(Cyclic Redundancy Check)ビット「CRC」と、終端位置を示すために用いられるトレリスビット「T」と、変調のために追加されるパディング「MPAD」とが含まれている。変調時には、その繰り返し対象がデジタル変調され、シンボル系列に変換される。なお、通信データの終端には、SPADで示されるパディングが追加される。図4(b)は、繰り返し数が「2」である通信データを示す図であり、図4(c)は、繰り返し数が「3」である通信データを示す図である。図4(b)、図4(c)で示されるように、繰り返し数が大きくなるにつれてデータ量も大きくなり、それだけ広い通信帯域が必要となる。なお、繰り返し数が「4」以上の場合にも、通信データは、図4(b)、図4(c)と同様に、繰り返し対象となる部分を、繰り返し数だけ含むことになる。なお、繰り返し数が大きいほど、より広い帯域幅を用いて送信されることになる。すなわち、繰り返し数が大きいほど、データが周波数方向に拡散されて送信されることになる。したがって、繰り返し数によって拡散率が示されると考えることもできる。なお、通信データが繰り返さないデータを含む場合には、例えば、図4(d)のように、プリアンブルと、「繰り返し1」との間に、その繰り返し対象でないデータを含んでもよい。その繰り返さないデータも、図4(a)で示される繰り返し1と同様の構造であってもよく、あるいは、そうでなくてもよい。通常、繰り返し対象のデータは、例えば、送信先のアプリケーション等で用いられるデータ等のように通信以外で用いられるデータであり、繰り返し対象でないデータは、例えば、通信で用いられるデータである。したがって、例えば、パケットのペイロードが、繰り返し対象のデータとなり、パケットのヘッダが、繰り返し対象でないデータとなってもよい。なお、これは一例であり、ヘッダ等の通信で用いられるデータについても繰り返しの対象としてもよい。すなわち、送信対象のデータのうち、少なくとも一部を繰り返し対象のデータとしてもよい。
次に、本実施の形態による通信装置1の動作について、具体例を用いて説明する。まず、この具体例における2.4GHzのISM帯で運用するDSAシステムの周波数チャネル構成について簡単に説明する。システム帯域幅は80MHzであり、帯域幅1MHzの周波数チャネルを80個設ける。その周波数チャネル番号の末尾が1または6となる16個のチャネルは、制御チャネルに指定され、チャネル割当情報等の制御情報伝送に使用される。その他のチャネルはデータチャネルに指定され、ペイロードの伝送に利用される。制御チャネルは、ホッピングパタンに基づき、タイムフレーム単位で変更される。これは、一部の帯域が他システムによって占有されている場合にも、送信機会を確保するためである。また、使用する制御チャネルに応じて、データチャネル選択範囲を制限することにより、セル間干渉を回避する。DSAシステムのタイムフレームは、各周波数チャネルのスペクトラムセンシングに用いる長さ200μsの送信停止区間と、それに続く情報伝送に用いられる8個のスロット(各スロットは600μs)とから構成される。スロットは、下りリンク・上りリンクにそれぞれ4個ずつ配分される。また、データ伝送を行うMSに対しては、下りリンク・上りリンク共に同数かつ同一番号のスロットが割り当てられる。AP,MS共に送信停止区間内においてセンシングを行い、制御チャネルとして使用予定の帯域が未使用と判定された場合にのみ、制御チャネルパケットを、その制御チャネルを介して送信する。制御チャネルパケットには、送信者側で実施した周波数チャネルにおけるセンシングの結果と、データチャネル選択情報、送信ペイロード長、使用する変調設定といったデータチャネルパケットの物理ヘッダに相当する情報、並びに一部のMACヘッダ情報が格納される。制御チャネルパケット送信と同時に使用可能なデータチャネルを適当数選択し、必要であればスペクトラム分割を行いつつペイロード送信用のデータチャネルパケットを送信する。なお、APは自身のセンシング結果のみに基づき、各周波数チャネルの使用可否を判断する。一方、MSは、APから通知されたAP側のセンシング結果、並びに自身が行ったセンシングの結果の双方で未使用と判定された周波数チャネルのみ使用可能と判断する。したがって、MSは下りリンク制御チャネルパケットが正常受信されなかった場合は、自身のパケット伝送を行わない。また、その制御チャネルを介して、繰り返し情報の送受信が行われる。
また、この具体例において、変調方式と、符号化率と、MCSIDと、送信可能バイト数との対応は、図5で示されるようになっているとする。図5において、MCSIDは、MCS(Modulation and Coding Scheme)を識別する情報である。また、図5(a)の送信可能バイト数は、4スロットを用いる場合における1チャネルの送信可能バイト数であり、図5(b)の送信可能バイト数は、4スロットを用いる場合における8チャネルの送信可能バイト数であり、図5(c)の送信可能バイト数は、4スロットを用いる場合における9チャネルの送信可能バイト数である。例えば、変調方式「QPSK」、符号化率「1/2」の場合には、8チャンネルでの送信可能バイト数は、「1440(バイト)」となる。なお、変調方式や符号化率は、送信対象のデータ量に応じて決定されてもよい。例えば、送信対象のデータ量が多い場合には、より多くのデータを送信できる変調方式や符号化率、すなわち、MCSIDの大きい値に対応した変調方式等が選択され、送信対象のデータ量が少なく場合には、より安定した送信を行うことができる変調方式や符号化率、すなわち、MCSIDの小さい値に対応した変調方式等が選択されてもよい。
また、この具体例において、使用可能なチャネル数は、1,2,4,5,8,9,16,20…となっているとする。また、この具体例では、変調方式として「QPSK」が採用され、符号化率として「1/2」が採用されているものとする。また、この具体例では、4スロットを用いた通信が行われるものとする。
まず、送信対象のデータが通信部11に渡され、通信部11によって、送信を行うタイミングであると判断されたとする(ステップS101)。その際における1回の通信で送信したい送信対象のデータはすべてが繰り返し対象のデータであり、その容量(サイズ)は、460バイトであったとする。通信部11は、そのデータ容量を決定部13と制御部14とに渡す。次に、特定部12は、キャリアセンスを行い、空き周波数帯域を特定する(ステップS102)。ここでは、10個のデータチャネルが空いていると特定されたとする。すると、特定部12は、その10個の空きチャネルを示す情報を制御部14に渡すと共に、空きチャネル数「10」を決定部13に渡す。
空きチャネル数「10」のうち、通信部11が使用可能な最大数は「9」であるため、決定部13は、9チャンネルを用いた際の送信可能バイト数「1621」と、繰り返し対象のデータのバイト数「460」とを用いて、floor(1621/460)=3を計算し、繰り返し数を「3」に決定する(ステップS103)。その繰り返し数「3」は、制御部14に渡される。制御部14は、その繰り返し数を受け取ると、460×3=1380を算出し、そのバイト数を送信可能な最小のチャネル数「8」を特定する。また、通信部11の変調部31は、繰り返し対象のデータを変調し、その変調後のシンボル系列を制御部14に渡す(ステップS104)。制御部14は、決定部13から受け取った繰り返し数が「3」であるため(ステップS105)、変調後のシンボル系列を3回繰り返した図4(c)に対応するシンボル系列をS/P変換部32に渡す(ステップS106)。そして、制御部14は、10個の空きチャネルから選択した8個のチャネルを用いた通信が行われるように、通信部11を制御する(ステップS107)。なお、制御部14が選択した8個のチャネルと、繰り返し対象のデータの容量である460(バイト)と、繰り返し数「3」とを含む繰り返し情報とは、制御チャネルを介して別途、通信先の装置に送信されているものとする。このようにして、送信対象のデータ(繰り返し対象のデータ)を繰り返し含む通信データの送信が行われることになる。
次に、繰り返し対象のデータを繰り返し含む通信データが受信された場合について説明する。この場合には、制御チャネルを介して、あらかじめ、通信データが送信されるデータチャネルと、繰り返し情報とが通信装置1に送信されていたとする。そして、繰り返し情報によって、繰り返し数が3回で、繰り返し対象のデータの容量が440(バイト)であることが示されていたとする。そのような状況で通信部11が通信データを受信すると(ステップS108)、制御部14は、繰り返しが行われていると判断し(ステップS109)、P/S変換後のシンボル系列において、繰り返されている3個のシンボル系列を特定する。そして、その3個のシンボル系列を合成したものを復調部50に渡す(ステップS110)。復調部50は、その合成結果であるシンボル系列に対して復調を行う(ステップS111)。その後、復調後の通信データは、適宜、通信装置1やその他の装置において用いられることになる。
以上のように、本実施の形態による通信装置1によれば、空き周波数帯域が多い場合には、繰り返し対象のデータの繰り返しを多くした通信データを送信することができる。その結果、受信側において、その繰り返された繰り返し対象データを合成することにより、ビットエラー率を低減させることができ、品質のよい通信を実現することができる。特に、空き周波数帯域を用いた通信では、短期的・定期的な通信機会が確保されていないため、確実な再送を保証できないが、このような送信を行うことにより、そのような再送が必要になる状況が起きないようにすることができうる。例えば、映像のデータや音声のデータなどのように、リアルタイム性の要求されるデータを送信する場合に、短期的・定期的な通信機会が確保されていないことは好ましくないが、本実施の形態による通信装置1のように、繰り返されたデータを含む通信データを送信することによって、再送信を減少させることができ、空き周波数帯域を用いた通信において、リアルタイム性をより確保しやすくなりうる。また、空いている周波数帯域の範囲内でその送信を行うため、他の通信に対する影響もほとんどないと考えられる。さらに、ISM帯などでの通信では、自装置が、ある周波数帯域で通信を行うと、他装置は、その周波数帯域とは別の周波数帯域を用いて通信を行うことになる。したがって、複数の繰り返し対象のデータに応じた信号を通信データに含む場合には、そうでない場合と比較して、より広い帯域幅を確保することになり、より安定した通信を継続できるようになると考えられる。
なお、本実施の形態では、通信装置1が、繰り返し対象のデータの繰り返された通信データを受信する場合について説明したが、そうでなくてもよい。通信装置1は、繰り返し対象のデータの繰り返された通信データを送信するだけのものであり、そのような通信データを受信しなくてもよい。その場合には、制御部14は、受信された通信データにおいて、繰り返されているシンボル系列を合成するための制御処理を行わなくてもよい。
また、本実施の形態による通信は、例えば、ISM帯において行われてもよく、あるいは、それ以外の帯域において行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、通信装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における通信装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、空き周波数帯域を用いて通信を行う通信装置1として機能させるためのプログラムであって、通信に用いられていない周波数帯域である空き周波数帯域を特定する特定部、特定部が特定した空き周波数帯域に応じて、通信データに含める繰り返し対象のデータの数を示す繰り返し数を決定する決定部、繰り返し対象のデータの変調後のシンボル系列を、決定部が決定した繰り返し数だけ含む通信データを、特定部が特定した空き周波数帯域を用いて送信させる制御部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する構成要素や、情報を出力する構成要素などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
図6は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による通信装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図6において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図7は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図7において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、前述の送信や受信の処理を行うためのハードウェア、例えば、DA変換器やAD変換器、変調器や復調器等を含んでいてもよく、あるいは、それらのハードウェアに接続されていてもよい。また、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による通信装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による通信装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。