JP5881406B2 - 有機性廃水の処理方法及び有機性廃水の処理装置 - Google Patents

有機性廃水の処理方法及び有機性廃水の処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機性廃水の生物処理を安定して行う有機性廃水の処理方法及び有機性廃水の処理装置に関する。
有機性廃水を、好気性微生物を含む活性汚泥により処理する活性汚泥法は、浄化能力が高く、比較的に処理経費が少なくて済む等の利点があるため、下水処理や産業廃水処理等において広く一般に利用されている。また、活性汚泥処理の効率化や安定化、或いは余剰汚泥の減容化を図るため、種々の水処理方法が提案され、実施もされている。
例えば、処理対象とする排水(原水)の変動によって浄化処理が不安定になるのを防止するために、原水の調整槽に流入する前の排水のBOD濃度を吸光度センサーで計測し、排水の流量とBOD濃度とから生物負荷の大きさを求め、生物負荷が設定値を越えた時には廃水を高濃度廃水貯溜槽に貯溜し、該生物負荷が設定値以下となった時には高濃度廃水貯溜槽の排水を原水調整槽に戻すようにした方法が提案されている。該方法によれば、原水調整槽の容積を大きくすることなく、施設の排水処理能力を増大することなく、生物負荷の変動を吸収して設備の安定運転ができるとされている(特許文献1参照)。処理に寄与する微生物の点に着目し、従来より行われている活性汚泥法を改良し、その処理効率を格段に向上させ、同時に余剰汚泥の生成量を減少させることができる方法として、いわゆる2相活性汚泥法と呼ばれている方法がある(特許文献2参照)。該方法では、有機性廃水を、第1処理槽で、細菌処理して廃水中の有機物を酸化分解すると共に非凝集性の細菌に変換させた後、変換させた非凝集性細菌を、第2処理槽で固着性原生動物処理して捕食除去させている。また、該2相活性汚泥法を安定して行うために、第1処理槽の水質の悪化を検知して対応することについての提案もある(特許文献3参照)。
特許第4097505号公報 特公昭56−48253号公報 特開2000−51886号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、原水のBOD濃度を吸光度センサーで計測して負荷量を計算し、該負荷量が過多である場合は、負荷が設定値以下となるまで、原水を高濃度廃水貯溜槽に貯溜し、その後に調整槽に戻して原水のBOD濃度を均一にするとしているが、吸光度センサーでは、濁度を伴わない高濃度排水には対応できないという問題がある。また、高濃度廃水の量がどの程度となるかは予測が難しく、高濃度廃水貯溜槽を十分に大きなものにしておく必要があり、設備面での課題もある。さらに、高濃度廃水を通常の調整槽に戻すことは、大量の希釈水が必要になることを意味しており、本発明者らは、この点でも上記した従来技術は改善の余地があるとの認識をもつに至った。また、2相活性汚泥法において、原水のBOD濃度の変動を考慮して安定運転させる特許文献3に記載の方法は、第1処理槽中の水質の経時変化を測定し、これを最適化するものであるので、一時的にではあるが第1処理槽中の水質の悪化が生じて、処理を中断する場合があり、より安定した処理を継続的に行うためには改善の余地がある。
したがって、本発明の目的は、原水のBOD濃度が異常に高くなる変動に対して、処理を中断させることなく、より安定した処理を継続的に行うことができる有機性廃水の処理方法及び有機性廃水の処理装置を提供することにある。
上記した課題は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、有機性廃水が貯溜されている原水槽から原水を調整槽に送り、該調整槽で調整した原水を最終的に生物処理槽で活性汚泥処理した後、沈殿槽で固液分離を行う有機性廃水の処理方法において、上記原水槽から調整槽を介さずに原水を送る緊急避難槽と、該緊急避難槽の原水に対して高負荷処理を行うための高負荷処理槽とを設け、上記原水槽に設置したセンサーによって原水の水質変動を連続的又は断続的に監視し、センサーが水質の異常を感知している間は、上記原水槽から上記緊急避難槽に原水を送り、該緊急避難槽から調整槽を介さずに高負荷処理槽に原水を導入し、該高負荷処理槽で、高負荷処理である原生動物の実質的不存在下で行う細菌処理をした後、処理した一次処理廃水を生物処理槽に導入して生物処理して処理を連続的に行うことを特徴とする有機性廃水の処理方法を提供する。
本発明の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。前記センサーが、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー、電気伝導率センサー又は吸光度センサーのいずれかである有機性廃水の処理方法;前記センサーとして、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー又は電気伝導率センサーのいずれかと、吸光度センサーとを併用する有機性廃水の処理方法;前記センサーが水質の異常を感知していない間は、原水槽から原水を調整槽に送り、該調整槽で調整した原水を前記高負荷処理槽に導入して処理をした後、処理した一次処理廃水を生物処理槽に導入して活性汚泥による処理を行う有機性廃水の処理方法;前記緊急避難槽から調整槽を介さずに高負荷処理槽に原水を導入する速度を、センサーが異常を感知していない間に行う調整槽から高負荷処理槽に原水を導入する際の速度の1/10〜1/2とする有機性廃水の処理方法である。
本発明の別の実施形態では、浄化処理対象の有機性廃水を貯溜するための原水槽と、原水を処理に適したものに調整するための調整槽と、有機性廃水を活性汚泥処理するための生物処理槽とを有してなる有機性廃水の処理装置であって、さらに、上記原水槽に設置した原水の水質の変動を連続的又は断続的に監視するためのセンサーと、該センサーで異常とされた原水を、上記調整槽を介さずに貯溜するための緊急避難槽と、該緊急避難槽に貯溜された原水を高負荷処理するための非凝集性細菌が多く生息している高負荷処理槽とを有することを特徴とする有機性廃水の処理装置を提供する。その好ましい形態としては、さらに、前記調整槽で調整した原水を高負荷処理槽へと導入する流路が設けられている有機性廃水の処理装置が挙げられる。
本発明によれば、処理対象とする原水のBOD濃度が異常に高くなる変動に対して、処理を中断させることなく、より安定した処理を継続的に行うことができる有機性廃水の処理方法が提供される。
本発明の有機性廃水の処理方法を実施するための処理システムの一例を示す模式図である。 本発明の有機性廃水の処理方法を実施するための処理システムの別の一例を示す模式図である。 図2に示した本発明の処理システムと、図4に示した従来例の処理システムとで並行して、同じ原水を、それぞれ継続して1週間処理した結果の、処理水のBOD値の変化をそれぞれプロットしたグラフである。 従来の有機性廃水の処理方法の処理システムの一例を示す模式図である。
次に、本発明の好ましい形態を挙げて本発明を詳細に説明する。図1又は図2は、本発明の有機性廃水の処理方法を実施するための処理フローの一例を示す模式図である。図1又は図2に示すように、本発明の有機性廃水の処理方法では、通常の活性汚泥法による浄化処理と同様に、原水の調整槽、生物処理槽(曝気槽)及び沈殿槽を有するが、さらに、原水を貯溜するための原水槽と、原水の水質変動を感知するためのセンサーと、該センサーによって水質が異常と判断された原水が調整槽へと送らずに回避できるようにするための緊急避難槽と、該緊急避難槽から調整槽を介さずに原水を送り、これを処理するための高負荷処理槽を有することを特徴とする。
本発明を構成する調整槽、生物処理槽(曝気槽)及び沈殿槽は、いずれも、通常行われている活性汚泥処理に用いられているものを用いることができ、特に限定されない。原水槽も原水を貯溜できればいずれのものであってもよいが、原水の水質変動を感知するためのセンサーが配置されていることを要する。そして、該センサーで、連続的又は断続的に原水の水質変動を監視するようにする。この場合に用いるセンサーとしては、例えば、原水の水質変動を感知できる、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー、電気伝導率センサー又は吸光度センサーのいずれかを用いればよい。例えば、有機性廃水のBOD値と、廃水の濁度(SS濃度)と相関があるので、吸光度センサーで濁度を測定することで原水の水質悪化を知ることができる。しかし、溶解性の有機物量が高くても、廃水に浮遊物が少ない場合や、廃水が無色に近い場合もあり、このような場合は、吸光度センサーでは廃水の水質の悪化を感知できない。廃水の水質の悪化を、有機廃水の性状によることなく、より正確に感知できるようにするためには、2種類のセンサーを併用することが好ましい。すなわち、廃水の濁度(SS濃度)を容易に測定できる吸光度センサーと、下記に挙げるセンサーとを組み合わせて併用することが好ましい。すなわち、有機性廃水のBOD値と、廃水のマイクロ波透過波や屈折率とは相関があるので、マイクロ波センサーや屈折率センサーのセンサーで測定することで、原水の水質悪化を知ることができる。特に、センサーとして、pHセンサー或いは電気伝導率センサーを用いれば、有機性廃水の水質の悪化を、有機廃水の性状によらず、より簡便な装置で、より正確に感知できるので好ましい。
上記したセンサーによる原水の水質変動の監視は、連続的に行うことが好ましいが、例えば、1〜2時間毎、より好ましくは0.5〜1時間毎に断続的に行ってもよい。また、本発明者らの検討によれば、上記した方法で原水の水質変動を感知した場合に、例えば、BOD値が、通常の処理を行っている濃度の1.5〜2倍以上である場合に、上記したセンサーによって異常と判断されるように設計することが好ましい。具体的には、通常の処理をしている廃水におけるBOD濃度、濁度(SS濃度)等の数値に対して、1.5倍以上の値を検出した場合に、緊急避難槽へ送液できるように設計するとよい。
本発明の有機性廃水の処理方法は、図1又は図2に示したように、センサーによって水質が異常と判断された原水を調整槽へと送らずに緊急避難槽へと直送し、該原水を、調整槽を介さないで処理するようにしたことを特徴とする。具体的には、調整槽を介さないで緊急避難槽に送られた原水を、生物処理槽(曝気槽)に導入する前に、高負荷処理槽で高負荷処理を行い、その後、処理した一次処理廃水を生物処理槽(曝気槽)に導入して生物処理を行うことで連続処理することを特徴とする。高負荷処理としては、例えば、前記した2相活性汚泥法で行われている原生動物の実質的不存在下で行う細菌処理が挙げられる。すなわち、高負荷処理槽に、溶解性の有機物を栄養として増殖する分散性の細菌を添加した細菌槽を用いることで、溶解性の有機物を優先的に細菌に変換させ、これによって高負荷処理を行う。ここで、「原生動物の実質的不存在下」とは、原生動物の増殖が抑制され、その結果、細菌処理過程中に殆ど原生動物の新たな出現が見られない状態を意味する。
上記した細菌としては、好気性のものであれば任意であり、例えば、アルカリゲネス属菌、シュウドモナス属菌、バチルス属菌、アエロバクター属菌、フラボバクテリウム属菌等を挙げることができる。これらの中でも、バチルス属菌を使用することが好ましい。これらの細菌は、通常、廃水中に生存しており、廃水中の有機物を栄養源として増殖するので、高負荷処理槽の環境を、これらの細菌が選択的に増殖する環境とすれば、特に外部から添加する必要はない。しかしながら、有機性廃水の浄化処理を円滑に行なうためには、必要に応じて適当な種菌を浄化処理の開始時に外部から添加してもよい。その際に使用する種菌としては、例えば、「バイオコア BP」、「OF−10」、「サーブワン」(以上、商品名、日鉄環境エンジニアリング社製)等の微生物製剤が好適に利用できる。
センサーによって水質が異常と判断されない原水に対しては、図1に示したように、調整槽から生物処理槽(曝気槽)に導入して生物処理を行ってもよいが、図2に示したように、調整槽から高負荷処理槽に導入して処理し、処理した一次処理廃水を生物処理槽(曝気槽)に導入して2相活性汚泥法と同様の処理を行うことが好ましい。本発明において高負荷処理槽を設置した本来の目的は、緊急避難槽に送られた原水を高負荷処理することで、処理を連続的に安定して行うことを目的としているため、この点を主として設計する必要がある。すなわち、緊急避難槽へと送られる原水はBOD値が極めて高いものであるため、緊急避難槽から高負荷処理槽への導入速度が、通常の2相活性汚泥法で行われている調整槽から分散菌槽への導入速度に比べると遅くなり、処理に長時間かかることを意味するので、センサーによって水質が異常と判断されない原水を、調整槽を介して高負荷処理槽に導入して処理する場合には、この点を勘案して運転する必要がある。緊急避難槽から高負荷処理槽への原水の導入速度を、当該原水のBOD値にもよるが、例えば、通常の2相活性汚泥法で分散菌槽へ原水を導入する際の速度の1/10〜1/2程度のゆっくりとした速度とすることが好ましい。具体的には、通常のBOD値が4,000mg/Lの処理に対して、センサーによって検出されたBOD値が8,000mg/Lである場合は、導入速度を1/2程度とし、センサーによって検出されたBOD値が40,000mg/Lである場合は、1/10程度とすることが好ましい。
上記のようにして高負荷処理槽で高負荷処理した一次処理廃水は、固着性原生動物が存在する通常の生物処理槽で活性汚泥処理を行う。高負荷処理によって、廃水中の溶解性有機物は、これを餌として増殖した非凝集性細菌(分散菌)に変換されているので、一次処理廃水が生物処理槽に導入されると、生物処理槽中の固着性原生動物によって非凝集性細菌が速やかに捕食される。活性汚泥槽内での原生動物による細菌除去率は極めて高いため、従来の活性汚泥法に比して高負荷運転が可能になる。上記の結果、本発明の有機性廃水の処理方法によれば、原水の水質が悪化してBOD値が異常に高くなったとしても、処理を安定して、しかも運転を停止することなく連続で行うことができる。また、本発明の有機性廃水の処理方法は、高負荷処理槽において生物処理の一部を非凝集性細菌(分散菌)によって処理した後、通常の活性汚泥処理を行うため、余剰汚泥の発生量を低減することができるので、経済的に多大な負荷がかかる余剰汚泥の処理の負荷が低減されるという効果も得られる。
ここで「固着性原生動物」とは、固体粒子や固体物質に対して固着し易い性質を持った原生動物、又は原生動物相互が固着凝集し易い性質を持った原生動物を意味し、通常使用されている活性汚泥に生息する。この様な性質を有する原生動物としては、例えば、ボルチセラ、エピステイリス、オペルクラリア、カルケシウム、ズータニウム等、有柄固着型の繊毛虫類等を挙げることができる。また、固体表面をホフクするようなアスピデスカ、ユープロテス等も汚泥と共に沈降し易いことから利用し得る。一方、「非固着性原生動物」とは、上記のような性質を有しない原生動物を意味する。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の単なる例示であって、本発明の限定を意図するものではない。
(原水の調製)
模擬試験をするため、実際の廃水から、通常の原水と、異常と判断されるべき原水とをそれぞれサンプリングして用意した。それぞれの原水の水質を表1に示した。
Figure 0005881406
(実施例1、比較例1)
実施例1として図2に示す処理フローで処理をし、比較例1として図4に示す処理フローで処理を行った。実施例1及び比較例1のいずれの場合も、処理槽として、容量1Lの原水槽と、容量5Lの調整槽と、曝気槽とを用いた。曝気槽については、実施例では容量9Lの曝気槽を用い、比較例では容量10Lの曝気槽をそれぞれ用いた。実施例の場合は、これに加えて容量1Lの緊急避難槽と、容量1Lの高負荷処理槽とを用いた。高負荷処理槽には種菌として微生物製剤の「サーブワン」(商品名、日鉄環境エンジニアリング社製)を添加して非凝集性細菌(分散菌)が主となるように構成し、曝気槽には、通常の活性汚泥槽を用いた。そして、先に用意した通常の原水と、異常な原水とを用いて下記のようにして浄化処理を行った。
原水槽に通常の原水を入れ、実施例1及び比較例1の処理フローで、それぞれ5L/日で原水を送り浄化処理を1日行った。そして、比較例1では、異常な原水を、緊急避難槽中に500mL入れて、該緊急避難槽から調整槽を介して曝気槽に導入し、浄化処理を7日間続けて行った。この場合、通常の原水と共に異常な原水を調整槽で希釈して調整し、調整した原水を曝気槽に導入して処理を行った。そして、処理水について、pH、BOD値およびSSを測定した。表2に測定結果を示し、これをグラフ化したものを図3に示した。これらの値は、1日〜7日までの各1日におけるデータの平均値と、異常な原水を流入する前における処理水のデータの平均値である。表2及び図3に示したように、処理水の性状は、7日後にも異常な原水が導入された影響があり悪化しており、異常な原水を導入前の性状の処理水にはならなかった。
実施例1では、調整槽から高負荷処理槽に原水を導入して1次処理し、その後、1次処理水を曝気槽に導入して処理した。比較例1の場合と同様に、異常な原水を流入する前における処理水のデータの平均値を表2に示した。その結果、BOD値およびSS共に、若干ではあるが、比較例1の処理に比べて実施例1の処理の方が処理水の水質に優れることを確認した。そして、異常な原水を緊急避難槽中に500mL入れて、該緊急避難槽から調整槽を介さずに、通常の原水と共に高負荷処理槽に異常な原水を導入して1次処理し、1次処理された原水を曝気槽に導入し、浄化処理を7日間続けて行った。この場合、異常な原水を緊急避難槽から高負荷処理槽に導入する速度を、通常の原水を導入する速度の1/10の速さとした。処理水について、比較例1と同様に、pH、BOD値およびSSを測定し、表2に測定結果を示した。また、これをグラフ化したものを図3に示したが、これらの値は、1日〜7日までの各1日におけるデータの平均値である。
Figure 0005881406
表2及び図3に示したように、実施例1の処理では、異常な原水を導入から4日後には、処理水の性状は、通常の原水の処理を行った場合とほぼ同じになり、7日後には、異常な原水を導入する前の性状の処理水となった。
(実施例2)
図1に示す処理フローで処理したこと以外は実施例1と同様にして、途中で異常な原水を500mL緊急避難槽に入れ、高負荷処理槽に実施例1の場合よりもゆっくりと導入して高負荷処理して1次処理を行い、その後、1次処理した原水を曝気槽に導入して7日間の浄化処理を行った。通常の原水は、調整槽を介して曝気槽に導入して処理を行った。そして、実施例1の場合と同様に、処理水についてpH、BOD値およびSSを測定した。この結果、実施例1で行った処理の場合よりも、処理水の性状が、BOD値およびSS共に劣ったものの、7日後には異常な原水を導入する前の性状の処理水となった。
(センサーについての検討)
BOD値が10,000mg/Lで同一であるが、濁度(SS値)の異なる原水を3数種類用意し、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー、電気伝導率センサー、吸光度センサーの5種類のセンサーを用いて、異常を感知できるか否かの検討を行った。その結果、吸光度センサーは、有機性廃水中に浮遊物質が少ない、或いは無色に近い廃水には適応できないことを確認した。また、吸光度センサーと、マイクロ波センサー或いは屈折率センサーを組み合わせることによって、有機性廃水の性状、特に濁度に囚われることなく、異常廃水を検知することができることを確認した。さらに、pHセンサー或いは電気伝導率センサーを組み合わせることで、より確実な水質変化の感知を行うことがきることを確認した。

Claims (5)

  1. 有機性廃水が貯溜されている原水槽から原水を調整槽に送り、該調整槽で調整した原水を最終的に生物処理槽で活性汚泥処理した後、沈殿槽で固液分離を行う有機性廃水の処理方法において、
    上記原水槽から調整槽を介さずに原水を送る緊急避難槽と、該緊急避難槽の原水に対して高負荷処理を行うための高負荷処理槽とを設け、
    上記原水槽に設置したセンサーによって原水の水質変動を連続的又は断続的に監視し、センサーが水質の異常を感知している間は、上記原水槽から上記緊急避難槽に原水を送り、該緊急避難槽から調整槽を介さずに高負荷処理槽に原水を導入し、該高負荷処理槽で、高負荷処理である原生動物の実質的不存在下で行う細菌処理をした後、処理した一次処理廃水を生物処理槽に導入して生物処理して処理を連続的に行い、前記センサーが水質の異常を感知していない間は、原水槽から原水を調整槽に送り、該調整槽で調整した原水を前記高負荷処理槽に導入して処理をした後、処理した一次処理廃水を生物処理槽に導入して活性汚泥による処理を行い、且つ、
    前記緊急避難槽から調整槽を介さずに高負荷処理槽に原水を導入する速度を、センサーが異常を感知していない間に行う調整槽から高負荷処理槽に原水を導入する際の速度の1/10〜1/2とすることを特徴とする有機性廃水の処理方法。
  2. 前記センサーが、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー、電気伝導率センサー又は吸光度センサーのいずれかである請求項1に記載の有機性廃水の処理方法。
  3. 前記センサーとして、マイクロ波センサー、屈折率センサー、pHセンサー又は電気伝導率センサーのいずれかと、吸光度センサーとを併用する請求項1又は2に記載の有機性廃水の処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機性廃水の処理方法を実施するための、浄化処理対象の有機性廃水を貯溜するための原水槽と、原水を処理に適したものに調整するための調整槽と、有機性廃水を活性汚泥処理するための生物処理槽とを有してなる有機性廃水の処理装置であって、
    さらに、上記原水槽に設置した原水の水質の変動を連続的又は断続的に監視するためのセンサーと、該センサーで異常とされた原水を、上記調整槽を介さずに貯溜するための緊急避難槽と、該緊急避難槽に貯溜された原水を高負荷処理するための非凝集性細菌が多く生息している高負荷処理槽とを有することを特徴とする有機性廃水の処理装置。
  5. さらに、前記調整槽で調整した原水を高負荷処理槽へと導入する流路が設けられている請求項に記載の有機性廃水の処理装置。
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