JP5876431B2 - 小型電解水生成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、脱臭、殺菌や洗浄等に用いられる主としてオゾンガス、オゾン水、過酸化水素水の製造に用いる小型電解水生成装置に関する。
[殺菌消毒液]
従来、広範な環境における殺菌消毒剤として、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤が広く用いられている。中でも次亜塩素酸ナトリウム等次亜塩素酸塩は、価格面と効果の点で汎用されているが、医療、食品工業等、種々の分野で要求される微生物の殺菌、滅菌に対して、更にその効力を向上させるための多くの提案が特許文献1〜3に報告されている。
通常、このような組成物は各成分を水中に添加するか、各成分を含有する水溶液を混合することで調製される。
[電解水の代替利用]
しかしながら、塩素系殺菌剤を多量に使用すると弊害が発生する。例えば大量に食材を取り扱う工場、小売店では100mg/Lを越える次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄を行っており、これが食材の味を損なうのみならず危険性(トリハロメタンの増加)を生じさせるため問題視されている。
これを解決することを主目的として、電気分解により生成される電解水が、農業、食品、医療等の分野において有用であることが鋭意検討され、日本を中心に電解水、或いは、オゾン水への代替利用が進んでいる。クリーンな電気エネルギーを利用して、電極表面で化学反応を制御することにより、水素、酸素、オゾン、過酸化水素などを合成できるが、特に陽極での酸化反応では、水処理に有効な酸化剤(有効塩素、オゾンなど過酸化物)が生成し、一部OHラジカルなどの活性種も発生することが知られている(強酸性電解水の基礎知識、オーム社)。
電解水の優れた殺菌・消毒作用に着目し、医療現場や家庭での利用、例えば患部、切開部、留置カテーテルの経皮開口部等の殺菌、消毒、あるいはキッチン用品、ベビー用品、家具等の家庭用品、トイレ、浴槽等の住居まわりの殺菌、消毒に使用することが検討されている。このような電解水は、溶解によりイオンが生じる溶質、例えば塩化ナトリウム等を添加し、また必要に応じpH調整のための酸を添加した水(被電解水)を、電気分解することによって得られる。
[電解水の種類]
電解水は食品添加物以外にも利用可能である。電解セルでの陽極反応は、水のみの場合、
Figure 0005876431
の酸素発生が進行するが、触媒、電解条件によって、
Figure 0005876431
の通りオゾンが生成し、これを溶解したオゾン水が合成できる。
塩酸、塩化物イオンを添加した場合には、式(3)及び(4)に従って次亜塩素酸が生成するが、
Figure 0005876431
硫酸を添加した場合には式(5)の通り反応して過硫酸が生成する。
Figure 0005876431
炭酸イオンが存在する場合、式(6)の通り反応して過炭酸が生成する。
Figure 0005876431
陰極反応では、水素を過剰に溶解している水素水、アルカリイオン水などの合成可能である。
Figure 0005876431
また、過酸化水素などの合成も可能である。
このように、食品添加物として認可される酸性水のほかに、電解質の選択による複数の過酸化物を含有する電解水が製造できる。
[電解水の特徴]
食品添加物として認可されている電解水の種類には、
a)電解次亜水(20〜200mg/L、pH>7.5、水道水または0.2〜2%の食塩水原料、無隔膜セル)
b)微酸性電解水(10〜80mg/L、5<pH<6.5、2〜6%の塩酸原料、無隔膜セル)
c)弱酸性電解水(10〜60mg/L、2.7<pH<5、濃厚食塩水原料、有隔膜3室セル)
d)強酸性電解水(20〜60mg/L、2.2<pH<2.7、0.2%以下の食塩水原料、有隔膜2室セル)
がある(食安発0426第1号)。
これらの中で酸性水のメリットは、
(1)THMは酸性では生成しにくいため安全性が優れている。
(2)耐性菌が発生しにくい、オンサイトで管理がしやすい。
(3)アルカリ性電解水との併用処理ができる。
(4)水道水のような感覚で利用でき、手指に匂いが残らない。
(5)直前での使用で十分(殺菌時間が短い)。
などである。
従来の次亜塩素ナトリウム薬液処理では200mg/Lまで食品添加物として認可されているものの、味覚も悪くなり、残留性があるのに比較して、これらの電解水は装置としての初期投資はかかるが、低濃度で殺菌効果が高く、有益である。
[オゾン水の特徴]
前記の電解水のような機能水の中にオゾン水がある。オゾンは強力な酸化剤であり、殺菌性に優れ、また、使用後は安全な酸素にもどる、塩分を含まないため腐食を生じにくいなどの特長を有する。オゾン水は既に食品添加物リストに登載され、米国FDA(食品医薬品局)で食品貯蔵、製造工程での殺菌剤として認可(2001年)が得られている。既に食品工場内の殺菌、食品そのものの殺菌に多くの実績がある。最近では、皮膚科、眼科、歯科などの医療現場、獣医科分野においても、これまでの殺菌水と同等以上の効果を発揮しつつ、生体への負荷を軽減できることが注目されている。
オゾン水のメリットとして、
(1)オゾン(OHラジカル)殺菌効果は細胞壁の酸化破壊であり無差別性のため耐性菌が存在しないといえる。
(2)残留性がない。
などがあり、必要に応じて他の残留性を有する酸化剤(過酸化水素、次亜塩素酸塩、過硫酸塩、過炭酸塩など)と併用すれば、より有効な殺菌処理が可能となる。
[オゾン水の従来製法]
オゾン水は従来から放電型のオゾンガス発生器を用いて製造することが一般的であり、数mg/Lのオゾン水を容易に製造でき、浄水処理、食品洗浄分野で利用されている。しかしながら、瞬時応答性に優れたハンディかつ高濃度なオゾン水装置の発生器としては以下の理由により不適当であった。
(1)オゾンをいったんガスとして発生させ、その後、水に溶解させる2つの工程を必要とすること。
(2)後述する電解法に比較して生成オゾン濃度が低いため高圧下で水中に注入し、溶解させ、製造する必要がある。
(3)発生電源が高電圧・高周波のため、小型化しにくい。
(4)放電によるオゾン水生成装置では、オゾンガス発生能力が安定するまで時間(数分間の待機時間)を要し、瞬時に一定濃度のオゾン水を調製することが困難である。
[電解オゾン製造法]
電解法は、放電法に比較して電力原単位は劣るが、高濃度のオゾンガス及び水が容易に得られる特徴により、電子部品洗浄などの特殊分野で汎用されている。原理的に直流低圧電源を用いるため、瞬時応答性、安全性に優れており、小型のオゾンガス、オゾン水発生器としての利用が期待されている。また、用途に応じて電池駆動、発電機駆動、交流直流変換駆動が選択できる。
オゾンガスを効率よく発生させるには、適切な触媒と電解質を選択することが不可欠である。電極材料として、白金などの貴金属、α−二酸化鉛、β−二酸化鉛、フルオロカーボンを含浸させたグラッシーカーボン、ダイヤモンドが知られている。電解質としては、硫酸、リン酸、フッ素基含有などの水溶液が利用されてきたが、これらの電解質は取り扱いが不便であり広く使用されてはいない。固体高分子電解質を隔膜として用い、純水を原料とする水電解セルは、その点で管理がしやすく、汎用されている。従来からの触媒である二酸化鉛では、12重量%以上の高濃度なオゾンガスが得られる(非特許文献1参照)。
直接合成方式と呼ばれるシステムでは、特許文献7に記載されているように、電極近傍の溶液に十分な流速を与えることで、ガス化する前にオゾン水として取り出すようにしている。また、純水以外の原料水を電解系に供給する場合は、貴金属電極触媒自体の活性が水質の影響を受けるため、寿命や効率などの電解性能が変動することは注意を要する。特許文献8では、導電性ダイヤモンドが機能水(オゾン含む)用電極として有用であることが開示されている。
[小型装置の開発]
医療現場や家庭でより簡易に殺菌、消毒等を行うために、携帯可能な小型の電解水噴出器が提案されている(特許文献4〜6)。小型であれば、室内、水回り、食器、衣類等の家庭用あるいは業務用の消臭、殺菌、漂白、又は人体、例えば手指等の殺菌、消毒等に広く使用することができる。
このため、前記課題の多くを解決でき、安価かつ高性能を得ることができ、携帯可能な、あるいは小さいスペースに設置可能な小型の電解セルの開発が望まれている。
小型のオゾンガス発生器など、空気清浄化を目的として、幾つかの発明がなされている。
1)特許文献9には、内部にオゾンガス生成装置を有する受話器を開示している。
2)特許文献10には、電話機のケーシング内に、オゾン発生装置と吸着剤を配し、循環ファンによってオゾンをハンドセットに送り、臭気を吸着剤に導く構造とする。
3)特許文献11には、電解型オゾン発生装置及びそれを用いた携帯型電子機器が開示されている。
4)特許文献12には、マイナスイオン発生部付き通信端末装置が開示されている。外部装置との通信機能と利用者が通話するための送受話器等を備えた通信端末装置で、通信端末装置の表面にマイナスイオン発生部を設けた通信端末装置の一実施例であるPHS端末において、公衆通信網との通信機能としてのインタフェースであるアンテナと、利用者が通話するための送受話器部の送話部と受話部とを備えたPHS端末の操作部背面側と、送受話器部との表面にマイナスイオン発生部とを設けたものである。
5)特許文献13には、携帯電話機にマイナスイオンを発生するイオン発生部1を備えたものが提案されている。
6)特許文献14には、水にオゾンを発生させる装置で、印刷回路基板上にオゾン発生用電極回路が形成されていて、陰極表面を粗くすることで水素ガスの気泡を大きく成長させ、結果として、オゾン水濃度が増加できることが開示されている。
特開2001−253803号公報 特開2001−342496号公報 特開2002−145710号公報 特開2000−79393号公報 特開2000−197889号公報 特開2001−276826号公報 特開平8−134677号公報 特開平9−268395号公報 登録実用新案第3107144号公報 特開平4−364644号公報 特開2002−121690号公報 特開2005−218073号公報 特開2009−147650号公報 公表特許2009−537289号公報
J. Electrochem. Soc., 132, 367(1985)
これまでの小型のオゾン電解セルでは、以下の課題があった。
(1)純水や井戸水、水道水を原料とする場合、溶液抵抗が大きいため、電解効率が悪い。
(2)伝導性を付与するために通常電解質を加えるが、用途によっては電解質を添加できない場合があった。
(3)イオン交換膜などを用いるとイオン伝導性が向上し、反応効率の増加が期待できるが、電極との接合が困難であった。
(4)該膜は通常非多孔性であり、通常は電解液の供給と生成物の除去のために、多孔性の電極が利用し、その形状が複雑であった。
(5)イオン交換能を有する粒子を電極間に充填してもよいが、組み立て上及び構造上、多くの制約があった。
然るに、前述のとおり、これまで小型の電解セルは提案されてきたが、具体的なセル仕様については開示がなかった。通常は、伝導性の乏しい電解液を電解することは困難であり、導電性を付与するイオン交換膜樹脂成分や支持電解質を添加するしかなかった。イオン交換膜成分がある場合、水道水原料で電解すると、陰極および膜内に硬度成分が付着し、電解が継続できなかった。酸による洗浄は手間であった。
本発明は、これらの問題を解決し、水道水や純水のような高抵抗率かつ不純物の多い原料水においても、安定的に、低電力でオゾン水、オゾンガスを発生できる小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第1の解決課題は、上記目的を達成するため、オゾン発生用陽極と陰極とを微小間隔を設けて対設し、前記オゾン発生用陽極と前記陰極間に原料水を供給して原料水を電解し、前記オゾン発生用陽極よりオゾンを含有する電解生成物を生成する小型電解水生成装置において、前記陽極と前記陰極との間隔を10μm〜100μmとしたことを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第2の解決課題は、上記目的を達成するため、前記陽極と前記陰極との間隔を10μm〜50μmとしたことを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第3の解決課題は、上記目的を達成するため、前記微小間隔に中性隔膜を設けたことを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第4の解決課題は、上記目的を達成するため、前記電解生成物が、オゾンと過酸化水素を含有する電解生成物であることを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第5の解決課題は、上記目的を達成するため、前記オゾン発生用陽極の少なくとも表面が導電性ダイヤモンド又は白金のいずれか一つの陽極触媒を有することを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第6の解決課題は、上記目的を達成するため、前記オゾン発生用陽極及び陰極の電極投影面当たりの電流密度が0.05A/cm2〜から1A/cm2であることを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第7の解決課題は、上記目的を達成するため、前記電解におけるセル電圧が30V以下であることを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明における第8の解決課題は、上記目的を達成するため、前記原料水が1KΩcm〜18MΩcmの抵抗率を有することを特徴とする小型電解水生成装置を提供することにある。
本発明は、イオン交換膜を使用することなく、スペーサーにより又は中性隔膜により、陽極と陰極の間隔が10μm〜100μmの微小間隔、好ましくは、10μm〜50μmの微小間隔を形成し、少なくともオゾンを電解合成するための小型電解水生成装置であり、オゾン以外の電解生成物として、過酸化水素を電解合成することができ、好ましくは、陽極触媒が導電性ダイヤモンド、白金のいずれかを用い、電極の投影面当たりの電流密度が0.05A/cm2〜から1A/cm2とし、原料水が1KΩcm〜18MΩcmの抵抗率の抵抗率を有していて、セル電圧が30V以下とすることにより、水道水のような高抵抗率かつ不純物の多い原料水においても、安定的に、低電力でオゾン水、オゾンガスを発生できる小型電解水生成装置を得ることができる。
即ち、本発明によれば、水道水や純水を原料とし、特に電解質を添加せず、安全にオゾン、オゾンガス、オゾン水を電解合成でき、また過酸化水素も合成できる小型簡便な装置となり、しかも、イオン交換膜がないため、スケールによる膜の閉塞、洗浄の手間がなく、汎用性が高い装置を得ることができる。
本発明者は、小型電解水生成装置1例として、30μmの電極間距離のダイヤモンド電極からなるセルを用い、電極間に純水を供給して電解試験を実施したところ、オゾンガスの発生を確認したことにある。
純水の抵抗率を1MΩcmとすると、10V程度の低い電圧において、陽陰電極反応における活性化過電圧の合計を5Vとして、0.05A/cm2以上のオゾンが発生可能となる比較的大きな電流が流れるのは1μm以下の距離であり、並行平板系のような電解セルにおいてこのような狭い極間に電極を向かい合わせる構造は、原料水あるいは生成したガスの物質移動が困難であり実用性に乏しい。従って、低電圧で電解質成分を含まない系での電解、特にオゾン発生は非常に困難と思われており、30V程度の低電圧で、30μmの電極間距離では、上記の電流が流れることを予想できなかった。
従来は、このような電解条件と電解セル構造を達成することは通常困難であると考えられてきた。また、10μm以下の距離に設置すると、発生気泡の滞留による液の流れが阻害され、細かな金属粒子などが原料水に存在するとショートし、流量を得るために吐出力の大きなポンプが必要となる。
通常は、数100μm以上の極間を保つ必要が生じる。しかし、このときのセル電圧は、純水であれば、0.1A/cm2を流すために1,000Vもの電圧を与える必要が生じる。これは人体に危険であるし、オゾンの発生に要する電力原単位の大幅な増加を招き、また、電解セルに使用する各種金属材料の腐食を加速する。使用材料の耐電圧特性、発熱によるオゾン電流効率の低下を起こさない条件が満たされない。
本発明者は、上記の知見に基づき、純水のような導電性の低い溶液を供給して、オゾンを電解して合成するための小型電解水生成装置について検討した結果、ある適切な電極間間隔を有するセル構造と電解条件下を与えれば30V以下の安全な電圧において、高濃度のオゾン水、あるいはオゾンガスを発生できる電解セル構造体を見出すことに成功した。
本発明の1実施例を示す電極間距離が1cmの平板型小型電解水性生成装置の模式図。 本発明の他の1実施例を示す電極間距離が1μmの平板型小型電解水性生成装置の模式図。 均一な電解質水溶液に浸した電極に、1Vの電圧をかけた瞬間の、横軸を空間座標、縦軸を電位としたモデル図。 均一な電解質水溶液に浸した電極に、1Vの電圧をかけた直後の、横軸を空間座標、縦軸を電位としたモデル図。 極間距離は、厚さ10μm、20μm、55μmのテフロンシートを用い、超純水に浸けながら、直流電源を用いて電流電圧測定を行ったときの本発明による他の実施例を示す平板型の小型電解水生成装置の斜視図。 各電極間距離で電流電圧測定の結果を示すグラフ。 本発明による他の実施例を示す薄層フローセルを用いた子が電解水生成装置のモデル図。 異なる流速における電流電圧曲線を示すグラフ。 定常状態におけるイオン分布と再結合のモデルを示す図。 (A)、(B)は、それぞれ、0.1mM−KCl水溶液及び純水電解における電流−電圧曲線を示すグラフ。 0〜8Vの純水電解における電流−電圧曲線を示すグラフ。 本発明の他の実施例を示す円筒型の小型電解水生成装置を示す斜視図。 本発明の他の実施例を示す更に他の円筒型の小型電解水生成装置を示す斜視図。 本発明の他の実施例を示す円盤型の小型電解水生成装置を示す斜視図。 本発明の他の実施例を示す更に他の円盤型の小型電解水生成装置を示す斜視図。
以下、図面とともに本発明を詳細に説明する。
超純水における電解原理:
超純水は、水のイオン積が、pKw=14(25℃)であり、[H+]と[OH-]がそれぞれ10-7M存在するが、電気抵抗率は18.2MΩcmである。尚、水道水には、様々なイオンが溶けているため、電気抵抗率はおよそ10kΩcmで、電流が流れやすい。それに比べ超純水の電気抵抗率は、水道水の1000倍以上で、電気分解し、電流を流すことは容易ではないと考えられる。
超純水に単位面積当たりの電極で1mAの電流を流す場合を考える。図1のように水が1cm四方の立方体の場合、
Figure 0005876431
という高電圧が必要となる。ここで、Eは直流電圧、Rは抵抗、Iは直流電流、ρは電気抵抗率、Lは抵抗の長さ、Sは抵抗の断面積である。一方、電極間の距離を1cmから1μmに縮めれば(図2)、1mAの電流を流すのに必要な電圧は(1)式を用いると
Figure 0005876431
となり、小さな電圧でも充分流れることになる。しかしながら、このようなセルを製造することは困難であり、液供給には圧力を要する。
均一な電解質水溶液に浸した電極に、1Vの電圧をかけたとする。横軸が空間座標、縦軸が電位のモデル図(以後同様)で考えると、図3に示すように、電圧をかけた瞬間、一方の極から他方の極まで1Vの電位差が直線的にかかる。
電極に電場を与えると、電位の符号と反対符号のイオンが溶液から電極に引き寄せられ、同じ符号のイオンは電極から引き離される。すると両電極付近の電解液には、電極とは異なる符号のイオンが過剰に分布することになり、
Figure 0005876431
の非平衡状態にある。この現象によって形成される、正電荷の薄い板と負電荷の薄い板が向かい合った電極界面の構造を、電気二重層という。この時のイオン分布と電位分布は、図4のようになる。各界面における電位差の和が水電解の理論分解電圧を越えない限り、溶液中のイオン量は増加しない。
次に、本発明に至る実験的検証の結果を示す。
実験的検証1:
図5に示すように、1cm×1cmの白金板2枚と、厚さの分かっているスペーサーを用いて、実験を行った。本実験で用いた極間距離は、厚さ10μm、20μm、55μmのテフロンシートであり、超純水に浸けながら、直流電源を用いて電流電圧測定を行った。
各電極間距離で電流電圧測定を行った結果として図6に示すグラフを得た。線a、b、cは、それぞれ、極間距離は、厚さ10μm、20μm、55μmの場合を示したものであり、参考として、電気抵抗率18MΩcmで厚さ10μm、断面積1cm2の仮想の抵抗器(電気抵抗18kΩ)を示すグラフを線dとして示した。
前述のように、電圧が低い時はほとんど電流が流れない。ところが、電圧が2V付近に達すると超純水に急激に電流が流れ出した。この現象はL=10μm、20μmのときには顕著に見られたが、L=55μmのときにはあまり見られなかった。これは2Vの電圧は溶液抵抗による電圧損失と界面の過電圧(水乖離反応電圧を含むと2V)、理論分解電圧の和であるが、電極間距離が大きいと抵抗損失が0.8Vを越え、電解が進行できる1.23Vより大きな値にならないためである。抵抗損失が0.8V以下になるような距離で、初めて電解電流が継続して流れ出すためである。
Figure 0005876431
プロトンは陰極に、水酸イオンは陽極に移動する。二つのイオン濃度の高い層衝突したところでは
Figure 0005876431
の反応により水が生成される。この水会合反応において溶液内のイオンによる電流量に相当して進行する。
実験的検証2:
図7に示す通り、1cm×4cmの白金板2枚と、厚さ25μmのテフロンシート、水を送り出すための4溶媒低圧グラディエントポンプを用いた。一枚の白金板には、水を出し入れするための穴を開け、その穴に合わせてテフロンシートに水の通り道となる切れ込みを入れた。60mL/h以下の流速で実験を行った。
図8にその結果を示した。約1.2V、1.7V付近で電流値の急激な上昇が見られた。また、流速が大きいときは電流値が小さく、流速が小さいときは電流値が大きくなるという結果になった。
約1.2V、1.7V付近で電流値が急激に上昇したことについて、これらの電圧付近で電極付近に大量のイオンが発生し、超純水のイオン濃度が高まったことは明らかである。
本発明において、オゾンが発生するような大きい電流密度が安定して流れた理由は、次のようなプロセスが想定される。
電位差の和が水の分解電圧の値である1.23Vを越えると、陽極では水の酸化が進行し、酸素とプロトンが生成、陰極では水の還元が進行して、水素ガスと水酸イオンが生成する。1.51Vを越えれば、理論的にはオゾン、1.7V以上では過酸化水素も生成する。
Figure 0005876431
対極ではこの逆反応以外に
Figure 0005876431
が進行する。
電流が流れ続けることで、各式の反応により生成するイオンの濃度が増加しつつ、溶液内を拡散、電気泳動し始める。陽極近傍にはプロトンが増加、陰極近傍には水酸イオンが増加し、やがて輸率の違いを反映した溶液中央部分で、プロトンと水酸イオンが会合する。実際には、プロトンが陰極に向かい、水酸イオンが陽極に向かい、それぞれの移動度に従い移動するため、プロトン移動度が大きい分、溶液の陰極寄りにて会合、水を合成していることが推定される。図9にはその様子を図で説明している。
各濃度は設定された電流に相当するイオンの移動と会合速度が等しくなるまで増加した後、定常の濃度状態となる。
イオンの生成機構としては、中性攪乱現象による水分解という反応があり、上記電解反応に並列的に進行する可能性がある。
また、電解セルを通過した水の伝導度は、ほぼ原料の値と等しくなる。これはプロトンと水酸イオンが会合した後に、伝導度が低下することを示唆している。
次に、流速に応じて電流値が変化したことについて説明する。電流が一定に流れていることは、イオンが電流に応じて生成していることを意味する。流速が小さいときは電極間のイオン濃度が高くなり電流が流れやすかった一方、流速が大きいときは、電極間のイオン濃度が低くなり、電流が流れにくかった。この傾向は原料の抵抗率が1kΩcmから100kΩcmのときに顕著となった。これは原料水の抵抗率(導電率)に比較して、電解で生じるイオンによる導電率の増加分が同程度であることを示唆している。
実験的検証3:
円柱状の白金棒の円盤面を並行に配置し、5μmの精度で2電極間距離を制御し、電流−電圧曲線を測定した。直径3mm、長さ40mmの円柱状の白金棒を2本用い、対向させる円盤面を#8000のラッピングフィルムシートで研き鏡面化した。電解には空気飽和した蒸留水を用いた。0.1mM−KCl水溶液(A)と、純水(B)を500μm以下の電極間距離で電解したときの電流−電圧曲線は、図10(A)、(B)に示す通り、0.1mMのイオンが存在するとき(A)としないとき(B)で、流れる電流は若干異なるものの1V以上で、数10μA(0.1mA/cm2)の電流が観察され、これらの電気抵抗率はそれほど異ならないことを示唆する。図10(B)の1.2〜1.5Vの電流値の立ち上がりから電流−電圧曲線の傾きを求め、電気抵抗率を計算した。電極間距離500〜50μmでは、水の電気抵抗率はほとんど一定で、110μmのとき227kΩ・cmの最小値を示した。
図10(A)、(B)において、電極間距離:(a)100,(b)200,(c)300,(d)400,(e)500μm、掃引速度0.01V/sを示したものである。
図11は、0〜8Vの純水電解における電流−電圧曲線を示したものであり、電極間距離は、(a)13,(b)25,(c)50,(d)100,(e)200,(f)300μmである。図11より、10V以下の電圧、10μm以上の電極距離で得られる最大電流密度は、約70mA/cm2であった。電極間隔が狭いことで、気泡生成がイオンの移動を妨げることも原因と推定され、好適な距離があることを示唆している。
次に、本発明に使用するセル構造、電解条件、原料水、陽極材料、陰極材料、隔膜について詳述する
[セル構造]
図7は、本発明の小型電解水生成装置の1例を示したものであり、平行平板構造を有しており、セル内における液流れは層流となる。また、図12、13に示すような円筒型構造又は図14及び15に示すような円板型構造としてもよい。また、少なくとも片方の電極が開口部を有する構造であってもよい。液供給および排出口はセル構造に従って任意に設計される。図12の小型電解水生成装置では、水流は円筒の間隙を流れる。図13のセルでは、上部からの水流の一部がセル内部にて電極面に垂直方向に変わる。
図14の小型電解水生成装置では、陽極に構成された供給口から上部に向かって水流が生じる。図15の小型電解水生成装置では、上部からの水流の一部を小型電解水生成装置内部にて電極面に垂直方向に変わる。
図13〜15の小型電解水生成装置では、電極が板状でないため、電極間の距離が離れている場所では電解は進行しない。
本発明の小型電解水生成装置の最大の特徴点は、オゾン発生用陽極と陰極とを微小間隔を設けて対設し、前記オゾン発生用陽極と前記陰極間に原料水を供給して原料水を電解し、前記オゾン発生用陽極よりオゾンを含有する電解生成物を生成する小型電解水生成装置において、前記陽極と前記陰極との間隔を10μm〜100μmとしたことにある。この電極間距離は、抵抗損失を低下させるためになるべく小さくすべきであるが、水を供給する際の圧力損失を小さくするため、10μm〜100μmにするのが好ましい。更に、10μm〜50μmにすることが更に好ましい。
[電解条件]
電解条件としては、合成するオゾン安定性から温度は40℃以下が好ましく、必要であれば外部から冷却し、水温度を下げておくことが好ましい。電流密度としては大きいほどオゾン電流効率が高くなるが、水温の上昇は避ける必要があるため、0.05〜1A/cm2が好ましい。
この電流密度の範囲は、オゾンが電解により発生するのに適する電流密度域を示したものであり、0.05〜1A/cm2にすることが更に好ましい。
圧力損失は電解により気泡が発生すると増加するため、これを考慮して高い吐出圧力(1MPa〜10MPa)をもつポンプなどの外部供給手段装置を付加する必要がある。一方で流量が大きい場合、ガスの蓄積、平均気泡率は低減するが、小型装置としての実用性、経済性を踏まえると、高圧かつ流量が大きいポンプは使用に適さない。本発明における気泡発生量は供給水量と同等レベルとなる。
前記電解におけるセル電圧は、電極などの金属部材が腐食劣化しますので、30〜50V以下にすることが好ましい。更に、30V以下にすることが好ましい。また、人体に近く接触するような使用方法を想定した場合、このような低電圧に維持することは安全上重要です。
[原料水]
原料水としては純水が好ましい。原料水の低効率は、1kΩcm以上が好ましく、特に1MΩcm以上がより好ましい。本発明における原料水の低効率の最大値は、18MΩcmであり、この値は、超純水で得られる究極の水抵抗率で、水の固有の解離定数に相当する値です。
純水以外に過酸、必要に応じて過酸化物を生成するために電解質溶液を用いることができる。このような塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等から選ばれる一種又は二種以上をあげることができる。しかしながら本発明では主にオゾンを得ることが目的であるため、それらの濃度は1mM以下に限定的されるべきである。
溶液のpHはアルカリや酸の添加により制御でき、殺菌効果を向上できるが、本発明のセルにおいては限定的な添加量において有効である。有機酸を使用することが溶液のpH制御の容易性の点から好ましい。ここで、水溶性の有機酸としては、コハク酸、乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等をあげることができる。アルカリ性に調製するためには、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム塩などが好ましい。これらの弱酸や弱塩基は抵抗率が一般に小さい。
原料水には、さらに殺菌力を向上させるため、界面活性剤を添加してもよい。溶液に界面活性剤を添加すると、電極表面の濡れ性が向上し、気泡の離脱が促進される。また、目的であるカビや菌の細胞膜との親和性も向上するので、殺菌効果が向上する。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤、アミンオキサイド(例えばアルキルジメチルアミンオキサイド)等の両性界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤等を使用することができる。界面活性剤の溶液における濃度は、0.01〜10重量%とすることが好ましい。
溶液、この他、殺菌力や清涼感を向上させる等のためにアルコールを添加してもよく、また、必要に応じて香料、色素、界面活性剤以外の殺菌剤、増粘剤、酵素、漂白剤、キレート剤、塩素化合物以外の電解質、防錆剤、ビルダーおよびエタノールやパラペンなどの防腐剤等を添加してもよい。特に、保存安定性の面からは被電解水が防腐剤を含有することが好ましい。
また、炭酸、酢酸、エタノールなどを溶解させておくと、オゾンの利用効率、安定性が向上することが知られている。これはそれらのオゾン溶解度が水の溶解度より大きくオゾンガスを有効にオゾン水として利用できること、または、オゾン分解を加速するOHラジカルをトラップする作用があり、オゾン水を安定化するためである。従って、これらの物質を原料水に適量溶解させておくことは好ましい。
水道水、井戸水、海水などの金属イオンを多く含む処理対象では、陰極表面に水酸化物或いは、炭酸化物が沈殿し反応が阻害される恐れがある。また陽極表面にはシリカなどの酸化物が析出する。これを防ぐために、逆電流を適当な時間(1分から1時間)ごとに与えることにより、陰極では酸性化し、陽極ではアルカリ化するため、発生ガス及び供給水の流動により加速され、析出物の脱離反応が容易に進行する。
[陽極]
オゾンを電解合成する電極としては、白金やダイヤモンド電極が知られている。ダイヤモンドは熱伝導性、光学的透過性、高温かつ酸化に対しての耐久性に優れており、特にドーピングにより電気伝導性の制御も可能であることから、半導体デバイス、エネルギー変換素子として有望とされている。ダイヤモンド電極は水の電解酸化では酸素以外にオゾン、過酸化水素の生成が報告されている。ダイヤモンド触媒は陽極の一部に存在すればよく、前記基材の一部が露出していても支障ない。
基材としてはSi(単結晶,多結晶)のみならず,Nb、Ta、Zr、Tiや、Mo、W、黒鉛、各種カーバイド上にも合成可能である。
代表的なダイヤモンドの製法である熱フィラメントCVD法について以下に説明する。炭素源となるメタンCH4など炭化水素ガス、或いはアルコールなどの有機物を用い、CVDチャンバー内に水素ガスと共に送り込み、還元雰囲気に保ちながら、フィラメントを熱し、炭素ラジカルが生成する温度1800−2400℃にする。このときダイヤモンドが析出する温度(750〜950℃)領域に電極基材を設置する。水素に対する炭化水素ガス濃度は0.1〜10vol%、圧力は20hPa〜1013hPa(1気圧)である。
ダイヤモンドが良好な導電性を得るために、原子価の異なる元素を微量添加することは不可欠である。ホウ素BやリンPの好ましい含有率は10〜10000ppmであり、更に好ましくは100〜3000ppmである。原料化合物にはトリメチルボロン(CH33Bを用いるが、毒性の少ない酸化ホウ素B23、5酸化2燐P25などの利用も好ましい。
[陰極]
陰極反応は主に水素発生であり、水素に対して脆化しない電極触媒が好ましく、白金族金属、ニッケル、ステンレス、チタン、ジルコニウム、金、銀、カーボンなどが好ましい。陰極基材としてはステンレス、ジルコニウム、カーボン、ニッケル、チタン、ダイヤモンドなどの金属に限定される。本発明の装置では、オゾンや過酸化物の溶解した水と接触する配置となるため、酸化耐性に優れたものが好ましい。
[隔膜]
電極反応で生成した活性な物質を安定に保つために中性隔膜を利用することは好ましい。膜はフッ素樹脂系、炭化水素樹脂系のいずれでも良いが、オゾンや過酸化物耐食性の面で前者が好ましい。該隔膜は、陽極、陰極で生成した物質が反対の電極で消費されるのを防止する。多孔性材料を電極間に充填してもよく、ウェブ状に繊維化した該材料も利用可能である。材料の空隙率としては液の均一な分散と抵抗率の考慮から20〜90%が好ましい。孔或いは材料粒子のサイズとしては5μm〜10μmが好ましい。
尚、スペーサーを用いて、電極間の間隔を維持できれば、隔膜は、必ずしも設ける必要は、ない。一方、隔膜の代わりに、イオン交換膜を設けると、pHの分布が生じるため、スケールの析出は中性膜に比較して増加し、スケールによる膜の閉塞が生じるおそれがあり、好ましくない。一方、隔膜を使用した場合、生成物質の分離、対極での消耗を抑制する役割が期待される。
次に本発明の実施例、参考例及び比較例を示す。
<実施例1〜9>
電極として導電性ダイヤモンド触媒(ホウ素ドープ濃度1500ppm)を形成したSi基板製の平板(電極有効幅1cm、有効長さ3cm、板厚さ0.2cm)を陽極として用い、陰極として、同等の面積を有する白金板(板厚さ0.5mm)を、図7のように極間が10μmになるように配置した。純水の流量を電磁定量ポンプにより30〜120mL/Hとし、電流密度を0.06A/cm2から0.2A/cm2まで流した。オゾン水濃度は250nmのオゾン吸収光量から紫外分光光度計を用いて定量するか、あるいは1%KIの中性溶液(リン酸緩衝液)にオゾンを含むガスの一定量を注入して振り混ぜ、2KI+O3+H2O→I2+2KOH+O2により遊離したヨウ素の呈色を波長352nm付近での吸光度を測定し、算定した(吸収光度法オゾン定量、実験化学講座9分析化学[I]のp.29参照)。また、過酸化水素濃度は、試料に硫酸チタンを添加し、チタン錯体を形成させ、その410nmの吸収ピークから算出、定量した。
上記電解条件の組み合わせにおいて、得られたセル電圧、オゾン水濃度の結果を表1に示した。いずれの実施例においてもオゾンの生成が確認され、セル電圧は30V以下であった。また、実施例1、4、5、7では2mg/L以上の過酸化水素が生成した。
<実施例10〜24、26、参考例25、27>
実施例1〜9と同様の電解セルを用いて、極間は10μm、30μm、50μmに設定し、水道水の流量を30〜240mL/hとし、電流密度を0.1A/cm2から0.3A/cm2まで流した。同様の測定方法を用いてオゾン水濃度を計測したところ、多くの組み合わせにおいて1mg/L以上であることがわかった。表1中、1mg/L以下と記載されている欄においても、オゾンの存在は確認できた。過酸化水素は、いずれの場合においても1〜数mg/Lの濃度を確認した。参考例25、27においても電解に支障はないが、セル電圧が30Vを越えており、参考例とした。
<実施例28>
同様の試験を白金陽極で実施したところ、電圧は16Vとなり、オゾン水濃度は1mg/Lであった。
<比較例29>
電極間距離を5μmとし実施例1と同様に実施したところ、所定の水量を流せず、結果として電圧上昇となった。
<実施例30>
電極間距離を100μmとし実施例4と同様に実施したところ、電圧が30V以上となり、電流密度は0.01A/cm2で、オゾンの発生はわずかであった。
Figure 0005876431
本発明は、水道水や純水を原料とし、特に電解質を添加せず、安全にオゾン、オゾンガス、オゾン水を電解合成でき、また過酸化水素も合成できるとともに、セル形状は平板を平行に向い合せた構造であり、あるいは円筒を2重構造とした、小型簡便な装置となり、しかも、イオン交換膜がないため、スケールによる膜の閉塞、洗浄の手間がなく、汎用性が高い装置を得ることができ、小型装置を必要とする広い用途に使用することができる。

Claims (6)

  1. オゾン発生用陽極と陰極とを微小間隔を設けて対設し、前記オゾン発生用陽極と前記陰極間に原料水を供給して原料水を電解し、前記オゾン発生用陽極よりオゾンを含有する電解生成物を生成する小型電解水生成装置において、前記陽極と前記陰極との間に隔膜を設置することなく、前記陽極と前記陰極との間隔を10μm〜30μmとしたことを特徴とする小型電解水生成装置。
  2. 前記電解生成物が、オゾンと過酸化水素を含有する電解生成物であることを特徴とする請求項1に記載の小型電解水生成装置。
  3. 前記オゾン発生用陽極の少なくとも表面が導電性ダイヤモンド又は白金のいずれか一つの陽極触媒を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の小型電解水生成装置。
  4. 前記オゾン発生用陽極及び陰極の電極投影面の電流密度が0.05A/cm2〜1A/cm2であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の小型電解水生成装置。
  5. 前記電解におけるセル電圧が30V以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の小型電解水生成装置。
  6. 前記原料水が1KΩcm〜18MΩcmの抵抗率を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の小型電解水生成装置。
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