JP5875147B2 - 複合材構造体及び航空機胴体 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体に適用されたテーパ部連結構造の強度を評価するための方法に関する。また、本発明は、発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体、該複合材構造体に適用されるテーパ部連結構造、該複合材構造体を適用した航空機胴体に関する。
近年、複合材の航空機胴体への適用が進んでいる。とりわけ、一体成形が可能であること及び曲面部材への成形性に優れるとの特性が着目され、炭素繊維強化プラスチック積層板の航空機胴体への適用が現実のものとなってきている。航空機胴体に適用される複合材の構造様式には、従前一般的なもの、すなわちアルミニウム合金製の機体に長年採用され続けてきたセミモノコック構造を流用するのが主流である。しかし、セミモノコック構造は、フレーム及びストリンガーを張り巡らせているので、重量及び部品点数が大きくなる。
これに対し、非特許文献1では、航空機胴体に適用される複合材の構造様式に、発泡コアサンドイッチパネルによる一体成形構造を採用することが提案されている。発泡コアサンドイッチパネルは、発泡材で製作される板状のコアと、コアの両面に接着されてコアを挟む一対の面板とを備えている。非特許文献1によれば、面板を炭素繊維強化プラスチックで製作しているので、前述の特性を生かした材料を提供することができるとしている。また、板金組立のセミモノコック構造と比べ、重量及び部品点数を低減することができるとしている。
発泡コアサンドイッチパネルは炭素繊維強化プラスチック製の面板を備えているので、その製造過程でオートクレーブ成型を必要とする。よって、航空機胴体のような大型の構造体に発泡コアサンドイッチパネルを適用する場合は、オートクレーブ装置の寸法上の制約に鑑み、小分けされた複数のパネルを個別に製造してこれらパネル同士を互いに結合するという方法を用いて構造体を得るのが現実的である。
そこで、非特許文献1では、発泡コアサンドイッチパネルにおける結合部位にいわゆるテーパードエンドクロージャー方式(tapered end closure type)を採用すること、及び、結合部位同士の結合にいわゆるバットスプライス方式(butt splice type)を採用することが提案されている。テーパードエンドクロージャー方式は、結合部位近傍でコアを傾斜させ、結合部位では2枚の面板を重ねて積層板にするという構造様式である。バットスプライス方式は、このような結合部位同士を対向させ(あるいは突き合わせ)、スプライス板を結合部位に架け渡して当該結合部位に結合するという継手様式であり、スプライス板を結合部位に結合するために、ボルト及びナット等のファスナが用いられる。
Y. Hirose et al., "Proposal of suppression of delamination for the foam core sandwich panel joint with filler", Advanced Composite Materials, Vol. 15, No.3, pp 319-339 (2006).
テーパードエンドクロージャー方式及びバットスプライス方式を採用した結合構造を有する複合材構造体の設計においては、結合構造における破壊をなるべく遅らせることと、複合材構造体の全体としての重量をなるべく低減することとを両立させることが肝要となる。結合構造における強度を定性的に、望ましくは定量的に評価することができればこの両立が可能になるかもしれないが、現在のところ、結合構造における強度を評価するための手法は十分には確立されていない。
結合構造の強度が結合構造及び発泡コアサンドイッチパネルの設計パラメータに依存することは無論であると言えるが、どの設計パラメータが結合構造の強度にどの程度影響を及ぼすのかについては確たる知見が存在しない。つまり、結合強度を適正に強度を評価するうえで重要となる設計パラメータが何であるのかも、明確に特定されていないのが現状である。例えば、テーパ部のテーパ角度は、オートクレーブ成型で適正に加圧し得る角度範囲の最大値(例えば45度程度)に経験的に設定され、半ば定数のように設定されているに過ぎず、実用に供されている状態における荷重条件に照らして設計されてはいない。
また、1つ1つの発泡コアサンドイッチパネルが、一対のテーパ部同士が対向してこれらテーパ部が互いに連続するような部位を有することもある。このような場合も、テーパ部が互いに連続する部位では板厚が特異に変化するので、他の部位とは独立してその強度を評価可能であることが好ましい。
そこで本発明は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体を提供するに際し、当該複合材構造体に適用されたテーパ部連結構造の強度を適正に評価可能にし、それによりテーパ部連結構造、発泡コアサンドイッチパネル、複合材構造体及び航空機胴体を最適に設計可能にすることを目的としている。
なお、ここで言う「テーパ部連結構造」は、互いに対向する一対のテーパ部を連結する構造である。当該一対のテーパ部は、別個の2つの発泡コアサンドイッチパネルにそれぞれ設けられていてもよいし、単一の発泡コアサンドイッチパネルに設けられていてもよい。前者の場合、テーパ部連結構造は、一対のテーパ部を結合するための継手として機能する。後者の場合、テーパ部連結構造は、単一の発泡コアサンドイッチパネルに含まれる部位であって、一対のテーパ部を当該発泡コアサンドイッチパネル内で連続させる部位として機能する。
上記目的達成のため、本発明に係る複合材構造体のテーパ部連結構造の強度評価方法は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成された複合材構造体に適用され、互いに対向する一対のテーパ部を連結するテーパ部連結構造の強度を評価するための方法であって、前記テーパ部連結構造における初期破壊及びその発生部位を特定する破壊特定ステップと、特定された初期破壊に応じて、前記テーパ部連結構造の強度を評価するための評価パラメータを選定するパラメータ特定ステップと、前記テーパ部連結構造の設計条件及び荷重条件を設定する条件設定ステップと、設定された設計条件及び荷重条件下において、特定された初期破壊の発生部位に対し、選定された評価パラメータを算出するパラメータ算出ステップと、算出された評価パラメータを所定の評価閾値と比較する比較ステップと、を有する。
前記初期破壊の発生部位が、前記一対のテーパ部の間に位置する積層面板であり、前記初期破壊が、当該積層面板の亀裂であってもよい。
前記評価パラメータが、前記初期破壊の発生部位におけるエネルギー解放率であり、前記評価閾値が、前記初期破壊の発生部位を成す材料の破壊靱性値であってもよい。
前記設計条件が、前記テーパ部のテーパ角度、前記発泡コアサンドイッチパネルの板厚を含んでいてもよい。
前記一対のテーパ部が前記複合材構造体の長手方向に対向し、前記テーパ部連結構造が前記一対のテーパ部を前記長手方向に連結するものであり、前記設計条件が、前記長手方向に隣接した前記テーパ部連結構造間、又は、前記テーパ部連結構造と前記複合材構造体の前記長手方向の端部との間の長さを含んでいてもよい。
前記複合材構造体が円筒状であり、前記一対のテーパ部が前記複合材構造体の円周方向に対向し、前記テーパ部連結構造が前記一対のテーパ部を前記円周方向に連結するものであり、前記設計条件が、前記複合材構造体の半径を含んでいてもよい。
前記複合材構造体が航空機胴体に適用されるものであり、前記荷重条件が、前記航空機胴体内外圧力差による与圧荷重を含んでいてもよい。
前記一対のテーパ部が前記航空機胴体の長手方向に対向し、前記テーパ部連結構造が前記一対のテーパ部を前記長手方向に連結し、前記荷重条件が、前記与圧荷重に基づく前記長手方向の引張り荷重と、前記航空機胴体の内面に付与される与圧荷重とを含んでいてもよい。
前記一対のテーパ部が前記航空機胴体の円周方向に対向し、前記テーパ部連結構造が前記一対のテーパ部を前記円周方向に連結し、前記荷重条件が、前記与圧荷重に基づく前記円周方向の引張り荷重を含んでいてもよい。
前記比較ステップにおける比較結果に基づいて前記設計条件を変更する条件再設定ステップを更に有し、前記条件再設定ステップの後に、前記パラメータ算出ステップ及び前記比較ステップが再試行されてもよい。
前記比較ステップにおいて、直前に算出された評価パラメータが、前記評価閾値と比べて第1偏差を越えて小さい又は第1比率を超えて小さいとの比較結果が出た場合、前記条件再設定ステップにおいて、前記テーパ部のテーパ角度を大きくするように又は前記発泡コアサンドイッチパネルの板厚を小さくするようにして、前記設計条件が変更されてもよい。
本発明に係る複合材構造体のテーパ部連結構造は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成された複合材構造体に適用され、互いに対向する一対のテーパ部を連結するテーパ部連結構造であって、前記一対のテーパ部が、前記複合材構造体の長手方向に対向しており、前記テーパ部のテーパ角度をθLとした場合、10度≦θL≦15度である。
前記長手方向に隣接した前記テーパ部連結構造間、又は、前記テーパ部連結構造と前記複合材構造体の前記長手方向の端部との間の長さをLとした場合、1000mm≦L≦1300mmであってもよい。
本発明に係る複合材構造体のテーパ部連結構造は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成された円筒状の複合材構造体に適用され、互いに対向する一対のテーパ部を連結するテーパ部連結構造であって、前記一対のテーパ部が前記複合材構造体の円周方向に対向しており、前記テーパ部のテーパ角度をθCとした場合、10度≦θC<30度である。
本発明に係る複合材構造体は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される円筒状の複合材構造体であって、長手方向に対向する一対のテーパ部を連結する長手方向連結構造と、円周方向に対向する一対のテーパ部を連結する円周方向連結構造と、を備え、前記長手方向連結構造における前記テーパ部のテーパ角度が、前記円周方向連結構造における前記テーパ部のテーパ角度付近である。
前記長手方向連結構造及び前記円周方向連結構造のうち少なくとも何れか一方が、別個の2つの発泡コアサンドイッチパネルの継手を成しており、前記継手は、前記2つの発泡コアサンドイッチパネルの外縁部それぞれに形成されたテーパ部同士を互いに結合してもよい。
前記継手が、前記一対のテーパ部に架け渡されたスプライス板と、前記スプライス板を前記一対のテーパ部それぞれに固定するファスナとを備えていてもよい。
本発明に係る航空機胴体は、上記複合材構造体によって構成される。
上記本発明によれば、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体を提供するに際し、当該複合材構造体に適用されたテーパ部連結構造の強度を適正に評価することができる。それにより、テーパ部連結構造、発泡コアサンドイッチパネル、複合材構造体及び航空機胴体の設計を最適化することができる。
航空機胴体に発泡コアサンドイッチパネルで構成される円筒状の複合材構造体を適用した場合を例にとり、本発明の実施形態に係る連結構造の配置例を示した斜視図である。 図1のII−II線に沿って切断して示す連結構造の断面図である。 本発明に係る複合材構造体のテーパ部連結構造の強度評価方法の手順を示すフローチャートである。 図1に示す長手方向連結構造のFEMモデルを示す図である。 エネルギー解放率の算出法を示す概念図である。 図4に示すFEMモデルにおいて適用された荷重条件を示す概念図である。 長手方向連結構造のテーパ角度とエネルギー解放率との相関関係を示すグラフである。 長手方向連結構造のテーパ角度とエネルギー解放率との相関関係、パネル長とエネルギー解放率との相関関係、円周方向連結構造のテーパ角度とエネルギー解放率との相関関係とを示すグラフである。 評価パラメータと評価閾値との対比の一例を示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の符号を付して重複する詳細な説明を省略する。
[航空機胴体,複合材構造体,発泡コアサンドイッチパネル,テーパ部連結構造]
図1は、本発明の実施形態に係る複合材構造体の一例として示す航空機胴体の斜視図である。図1に示す航空機胴体1は、発泡コアサンドイッチパネル製の複数個のセグメント2を順次に結合することにより構成された複合材構造体であり、全体として略円筒状に形成されている。なお、円周方向におけるセグメント2の個数や、長手方向におけるセグメント2の個数は、特に限定されない。本実施形態では一例として、4個のセグメント2が円周方向に順次に結合され、2個のセグメント2が長手方向に順次に結合されるものとしている。図1に示す航空機胴体1の構造様式は、サンドイッチパネルの一体成形構造であり、フレーム及びストリンガーを備えていない。なお、セグメント2は、単一の発泡コアサンドイッチパネルから成るので、以下の説明では、セグメントと同様、発泡コアサンドイッチパネルにも参照符号2を付して説明する。
図2は、図1のII−II線に沿って切断して示す断面図である。図2に示すように、発泡コアサンドイッチパネル2は、板状のコア3と、コア3の表面3b及び裏面3aそれぞれに設けられた一対の面板5,4とを有しており、コア3が一対の面板4,5にサンドイッチされている。コア3は、ポリエーテルイミド等の発泡材から製作される。一対の面板4,5は、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP)から製作され、炭素繊維綾織物を強化材とするプリプレグを積層することによって構成される。この場合、面板4,5は、プリプレグを[{(+45, -45)/(0. 90)}4]symで計16層積層して成るCFRP積層板とすることができる。また、計16層のプリプレグのうち、コアに隣接する(0, 90)層及び(+45, -45)層の2層については、樹脂体積含有率を他14層の含有率よりも大きくしたり、層厚を他14層の層厚よりも厚くしたりしてもよい。コア3と面板4の界面には樹脂フィルム(図示せず)が介在しており、それにより一対の面板4,5のコア3への接合信頼性の向上が図られている。
本実施形態に係る発泡コアサンドイッチパネル2には、いわゆるテーパードエンドクロージャー方式が適用されている。つまり、コア3の縁部には、テーパ部6が設けられている。テーパ部6において、表面3bは、コア3の中心寄りの部分と滑らかに連続している。そこで、テーパ部6は、裏面3aから表面3bに向かって傾斜して裏面3aを表面3bに繋ぐテーパ面7を有している。以下では、表面3bとテーパ面7とが成す角を「テーパ角度θ」と定義する。なお、テーパ部連結構造10の部位に応じて、θに添え字C又はLを付す場合もある。
面板4は、裏面3aからテーパ面7にまで亘り連続的に設けられている。一対の面板4,5は、表面3bとテーパ面7とが交わる尖端部8で重ね合わされる。尖端部8の内側には、一対の面板4,5が積層されることにより構成された積層面板部9が設けられる。このようにして、テーパ部6が、積層面板部9により外囲され且つ積層面板部9により閉塞されている。
このような構造を有した発泡コアサンドイッチパネル2の製造においては、コア3に樹脂フィルムが貼り付けられた後にプリプレグが積層される。このようにして製作された組立体がオートクレーブ成型される。これにより、炭素繊維強化プラスチック製の一対の面板4,5でコア3をサンドイッチした構造体を得ることができる。表面3bを治具上に設置する場合においては、テーパ角度θを45度以下に設定しておくことが好ましい。このように設定すると、面板4を構成するプリプレグのうちテーパ面7上に設けられている部分を良好に加圧することができ、強度を確保することができる。
航空機胴体1には、円周方向又は長手方向に隣り合うセグメント2同士を連結するため、テーパ部連結構造10が設けられている。テーパ部連結構造10は、互いに対向する一対のテーパ部6を連結する構造であり、本実施形態に係るテーパ部連結構造10には、いわゆるバットスプライス方式が適用されている。
隣り合う2つのセグメント2は、互いのテーパ部6及びこれを外囲する積層面板部9が対向するようにして並べられている。互いの表面3bは同じ側に向けられ、互いの積層面板部9は近接している。すると、一方のセグメント2の面板4及び積層面板部9、他方のセグメント2の面板4及び積層面板部9により、逆台形状の凹部11が形成される。この凹部11内に、平板状のスプライス板12が収容される。スプライス板12は、一方の積層面板部9と他方の積層面板部9との間に架け渡され、積層面板部9それぞれにボルト及びナット等のファスナ13を用いて結合される。スプライス板12は、アルミニウム合金で製作することができ、ファスナ13はチタン合金で製作することができる。
図1に括弧書参照符号を用いて関係性を示しているとおり、円周方向に隣り合うセグメント2同士を連結する構造10Cにも、長手方向に隣り合うセグメント2同士を連結する構造10Lにも、図2に示した構造様式を有するテーパ部連結構造10が適用されている。以下の説明では、上記構造10Cを「円周方向連結構造10C」、上記構造10Lを「長手方向連結構造10L」と称する。
円周方向連結構造10Cと長手方向連結構造10Lは、同じ構造様式を有しているが、航空機胴体11が実用に供されると、各連結構造10C,10Lに作用する荷重の態様は異なる。荷重条件が異なるので、設計条件も個々に最適化しておかなければ、何れか一方の疲労の進行が極端に速くなる又は遅くなる等の不都合が生じてしまう。
後に詳述するが、テーパ部連結構造10を有する円筒状の複合材構造体を航空機胴体1に適用した場合、セグメント2及びテーパ部連結構造10の設計条件に、胴体半径、面板4,5及びコア3の板厚、セグメント2の長手方向寸法(以下「パネル長L」と称す)、テーパ角度θが含まれる。なお、従前、少なくともテーパ角度θは、オートクレーブ成型時の制約のみに照らして半ば定数のように設定されているに過ぎず、実用に供されている状態における荷重条件に照らして設定されてはいない。
本実施形態に係るテーパ部連結構造10では、パネル長L及びテーパ角度θが、後述の強度評価方法を行うことによって得られた値に設定されており、それにより、テーパ部連結構造10に必要とされる強度を確保することができる。
具体的な一例を挙げると、航空機胴体1が小型旅客機用であってその半径が2.5〜3.0m程度(例えば2.87m)であり、コア3の板厚が30〜35mm程度(例えば34mm)であり、面板4,5の板厚が6〜7mm程度(例えば6.24mm)である場合において、パネル長Lは、長手方向連結構造10Lに必要な強度との兼ね合いから、1000〜1300mmに設定される。長手方向連結構造10Lのテーパ角度θLは、長手方向連結構造10Lに求められる強度との兼ね合いから、10〜30度、好ましくは15度付近に設定される。円周方向連結構造10Cのテーパ角度θCは、円周方向連結構造10Cに求められる強度との兼ね合いから、10〜30度、好ましくは15度付近に設定される。長手方向連結構造10Lのテーパ角度θLが円周方向連結構造10Cのテーパ角度θC付近の角度に設定されていれば、セグメント2の製造が簡単になって有益である。共に15度付近に設定されていれば、必要な強度も得られるので有益である。
以下、テーパ部連結構造10の強度評価方法を説明した後、上記のように設計条件を設定することの妥当性について説明する。
[強度評価方法]
図3は、本発明の実施形態に係る強度評価方法の手順を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、テーパ部連結構造10における初期破壊及びその発生部位を特定する(ステップS1)。次に、特定された初期破壊に応じて、テーパ部連結構造10の強度を評価するための評価パラメータを選定する(ステップS2)。次に、テーパ部連結構造10の設計条件及び荷重条件を設定する(ステップS3)。次に、設定された設計条件及び荷重条件下において、特定された初期破壊の発生部位に対し、選定された評価パラメータを算出する(ステップS4)。次に、算出された評価パラメータを所定の評価閾値と比較し(ステップS5)、それによりテーパ部連結構造10の強度を評価する。
上記強度評価方法を活用して設計の最適化を図ることも可能である。すなわち、評価パラメータを評価閾値と比較した結果、強度が不足しているとの評価や強度が過剰であるとの評価がなされると(ステップS6:NO)、テーパ部連結構造10の設計条件が変更される(ステップS3再試行)。なお、強度が不足しているとの評価がなされる場合の例として、直前に算出された評価パラメータが評価閾値と等しい場合を挙げることができる。強度が過剰であるとの評価がなされる場合の例として、直前に算出された評価パラメータが評価閾値と比べて第1偏差を超えて小さい場合、直前に算出された評価パラメータが評価閾値と比べて第1比率を超えて小さい場合を挙げることができる。このように、評価パラメータは、加減算に基づいて評価閾値と比較されてもよいし、乗除算に基づいて評価閾値と比較されてもよい。なお、第1偏差はゼロを含む概念であり第1比率は1を含む概念である。つまり、評価パラメータが単純に評価閾値よりも小さい場合に、強度不足であるとして設計条件を変更してもよい。
ステップS3の再試行後、今回変更された設計条件下且つ前回設定された荷重条件下で、評価パラメータを前回同様にして算出する(ステップS4再試行)。次に、今回算出された評価パラメータを評価閾値と再比較し、それによりテーパ部連結構造10の強度を再評価する(ステップS5再試行)。強度が足りているとの評価がなされれば(ステップS6:YES)、設計条件が確定することとなる。
このように、本実施形態に係る強度評価方法によれば、テーパ部連結構造10において初期破壊及びその発生部位が特定され、当該初期破壊に応じて評価パラメータが選定され、設定された設計条件及び荷重条件下での評価パラメータが評価閾値と比較される。このような手順を踏むことにより、初期破壊が発生すると特定又は想定される部位において、強度を適正に評価することができ、構造全体に必要とされる強度をもたせた設計を適切に行うことができる。
次に、テーパ部連結構造10を有する円筒状の複合材構造体が航空機胴体1に適用されているとの想定の下で、上記方法をその手順に沿って具体的に説明する。
[初期破壊及びその発生部位の特定]
テーパ部連結構造10の初期破壊の破壊モード及びその発生部位を特定するため、模型を用いた強度試験を行うことが好ましい。なお、模型は、勿論実物大でもよいし、実物大を三次元的に縮小したものでもよいし、図2紙面直交方向にカットされたものでもよい。図2に参照符号「CIP」(すなわち、亀裂発生位置)で示すように、本件発明者が模型を用いて強度試験を行った結果、テーパ部連結構造10の初期破壊の発生部位は、積層面板部9の内部であってコア3の尖端部8から5mm程度離れた箇所であり、破壊モードは、当該部分の亀裂(層間剥離)であるとの知見を得た。なお、この強度試験では、テーパ部連結構造10に、一対のテーパ部6が向き合う方向に引張り荷重を破壊が生じるまで付加しており、テーパ角度θを30度に設定している。
この知見の確証性を得るため、FEMモデル等を用いて数値解析を付帯的に行うことが好ましい。図4は、長手方向連結構造10LについてのFEMモデルを例示している。図4に例示するモデルは、図1に示すII−II線に沿って切断して示す断面内の二次元モデルであり、円周方向には形状変化がない部位を対象としている。面板、コア、樹脂フィルムには、4節点平面ひずみ要素を用いている。
FEM解析を行うに先立ち、面板、コア及び樹脂フィルム等の寸法及び材料など、テーパ部連結構造10の仕様(つまり、設計条件)や、テーパ部連結構造10に付加される荷重条件をモデル内で設定する必要がある。また、後述するように、FEMモデルは、初期破壊を特定するステップのみならず、設計条件及び荷重条件を設定するステップや、評価パラメータを算出するステップでも活用され得るものである。
初期破壊及びその発生部位を特定するステップでは、FEMモデル内における面板、コア及び樹脂フィルムの仕様や荷重条件が、強度試験で用いた模型の仕様と同じに設定される。例えば、コアの板厚は34mm、各面板の板厚は6.24mm、積層面板部の板厚はその2倍、樹脂フィルムの板厚は0.254mm、テーパ角度θは30度としている。なお、面板は、プリプレグUT500/#135(強化材体積含有率Vf=56%)を[{(+45, -45)/(0. 90)}4]symで計16層積層して成るCFRP積層板としており、プリプレグ1層の層厚が0.38mmである。ただし、一対の面板のいずれも、コアに隣接する(0, 90)層及び(+45, -45)層の2層については、強化材体積含有率を46%、層厚を0.46mmとしている。表1は、コア3、樹脂フィルム及び4パターンのプリプレグの材料定数を示している。なお、表1中、Eは縦弾性率、Gは横弾性率、νはポアソン比である。
このステップでは、初期破壊の破壊モードがCFRP積層板の亀裂(層間剥離)であることに照らして、FEMモデルを用いて、強度試験により初期破壊が発生すると想定された部位(すなわち、積層面板部の内部であって尖端部から5mm程度離れた部位)におけるエネルギー解放率が算出される。エネルギー解放率は亀裂進展に伴って生じる全エネルギーの変化であり、エネルギー解放率が破壊靱性値と等しくなるときに、亀裂(層間剥離)が進展する。よって、算出されたエネルギー解放率が、積層面板部の材料の破壊靱性値と同じ値であれば、初期破壊の破壊モードが亀裂であってその発生部位が積層面板部の内部であるとする強度試験の結果に確証性が得られることとなる。
本件発明者が解析した結果、強度試験により初期破壊が発生すると想定された部位におけるエネルギー解放率が、積層面板部の材料の破壊靱性値と略同じ値(1.53kJ/m2)となることが判った。よって、テーパ部連結構造10における初期破壊及びその発生部位が確証をもって特定された。
図5は、エネルギー解放率の算出法を示す概念図である。エネルギー解放率の算出法は、特に限定されないが、亀裂閉口法(Crack closure method)を好適に採用することができる。亀裂閉口法は、エネルギー解放率が亀裂進展に伴って生じる全エネルギーの変化であるために亀裂進展の過程を逆に辿ればエネルギー解放率を求めることも可能になる、という考え方に基づく算出法である。エネルギー解放率Gは、開口変位(モードI)に対するエネルギー解放率GIと、剪断変位(モードII)に対するエネルギー解放率GIIとの和として定義した。つまり、亀裂先端近傍での節点jにおける節点力のx方向成分及びy方向成分をFxj、Fyjとし、節点(j-1)と節点(j-1)’の相対変位のx方向成分及びy方向成分をUx(j-1)-Ux(j-1)’、Uy(j-1)-Uy(j-1)’とした場合、開口変位に対するエネルギー解放率GI、剪断変位に対するエネルギー解放率GII、及びこれらの和として定義されるエネルギー解放率Gが、次式(1)〜(3)から算出される。
Figure 0005875147
[評価パラメータ・評価閾値の選定]
初期破壊を特定していく経緯を踏まえれば、本実施形態においては、評価パラメータに、初期破壊である亀裂(層間剥離)が発生する積層面板部でのエネルギー解放率を選定し、強度評価の際に評価パラメータと対比される評価閾値に、積層面板部の材料の破壊靱性値を採用すると、テーパ部連結構造10の強度を評価するうえで適切であるといえる。なお、初期破壊の破壊モードがCFRP積層板の亀裂(層間剥離)でない場合には、これに応じて評価パラメータ及び評価閾値が別のものに選定される可能性もある。
[荷重条件・設計条件の設定]
図6は、荷重条件を示す模式図を示している。航空機の飛行中は、機内が与圧される。そこで、本実施形態では、テーパ部連結構造10に付加される主要な荷重として、与圧荷重(胴体内外差圧に基づく荷重)を考慮している。円周方向連結構造10Cには、当該与圧荷重に基づき、円周方向の引張り荷重(Hoop荷重)が付加されると考えることができる。長手方向連結構造10Lには、当該与圧荷重に基づき、長手方向の引張り荷重と、胴体内側からの与圧荷重とが付加されると考えることができる。なお、長手方向の引張り荷重は、円周方向の引張り荷重に1/2を乗算することにより得ることができる。
本実施形態では、航空機胴体1が小型旅客機用であってその半径が2.87mであるとしている。また、胴体内部の気圧を0.78atm(気圧高度2000m)とし、胴体外部の気圧を0.26atm(気圧高度10000m)としている。このように設定された胴体半径及び胴体内外差圧に基づき、円周方向連結構造10Cに作用する円周方向の引張り荷重と、長手方向連結構造10Lに作用する長手方向の引張り荷重とが算出される。
設計条件には、この胴体半径の他、パネル長、コアの板厚、面板の板厚、テーパ角度が含まれるが、胴体半径は、適用対象である航空機の概略仕様が決まれば、殆ど定数として取り扱われることとなる。パネル長は、航空機の概略仕様が決まっても、長手方向に並ぶセグメントの個数に応じて、大きくその値が変わることとなる。コアの板厚、面板の板厚及びテーパ角度は、航空機の概略仕様に関わらず、航空機胴体1の設計の範疇内で比較的自由に設定及び変更可能な設計条件である。
図面を参照するまでもなく、コアの板厚及び面板の板厚は、テーパ部連結構造の強度(すなわち、積層面板部の内部におけるエネルギー解放率)に影響を及ぼす因子である。板厚が大きくなれば、積層面板部のエネルギー解放率は小さくなり、テーパ部連結構造10の強度が向上することとなる。そこで、パネル長及びテーパ角度の特性、すなわち、パネル長及びテーパ角度がテーパ部連結構造の強度に与える影響について、図面を参照しながら説明する。
図7は、テーパ角度と、長手方向連結構造の積層面板部の内部におけるエネルギー解放率との相関関係を示すグラフである。図7の横軸がテーパ角度、縦軸がエネルギー解放率を表している。図7には、荷重条件として長手方向の引張り荷重のみを考慮した場合を表す線と、荷重条件として長手方向の引張り荷重と与圧荷重とを両方とも考慮した場合を表す線とを示している。2本の線を対比すると、与圧荷重を考慮したエネルギー解放率は、与圧荷重を考慮しないエネルギー解放率よりも大きくなることがわかる。これは、与圧荷重が長手方向連結構造の強度に影響を及ぼしている証左であり、荷重条件として与圧荷重を考慮することに、高い妥当性がある。
長手方向の引張り荷重と与圧荷重とを両方とも考慮した場合を表す線を参照すると、テーパ角度の変化に伴ってエネルギー解放率が変化している。これは、テーパ角度が長手方向連結構造の強度に影響を及ぼす因子である証左である。具体的に言えば、テーパ角度が45度から小さくなるに連れて、エネルギー解放率が小さくなる。エネルギー解放率は、テーパ角度が15度付近の値をとるときに最小値をとる。テーパ角度が15度から小さくなるにつれて、エネルギー解放率は増加する。
図8は、パネル長及びテーパ角度がエネルギー解放率に与える影響を示したグラフである。図8に示すように、パネル長が大きくなるに連れ、長手方向連結構造の積層面板部の内部におけるエネルギー解放率が大きくなる。これは、パネル長が長手方向連結構造の強度に影響を及ぼす因子である証左である。
図8には、円周方向連結構造のテーパ角度と、円周方向連結構造の積層面板部の内部におけるエネルギー解放率との相関関係を併せて示している。図8に示すように、円周方向連結構造においても、テーパ角度の変化に伴ってエネルギー解放率が変化している。これは、テーパ角度が円周方向連結構造の強度に影響を及ぼす因子である証左である。円周方向連結構造では、長手方向連結構造とは異なり、テーパ角度が小さくなるに連れ、エネルギー解放率が単調減少する。詳細には、テーパ角度が45度から30度まで小さくなっていく間は、エネルギー解放率は緩やかに小さくなっていくが、テーパ角度θが30度から小さくなるに連れ、エネルギー解放率がそれまでと比べると急激に小さくなっていく。
以上のとおり、長手方向連結構造においても円周方向連結構造においても、テーパ角度は、テーパ部連結構造の強度に影響を及ぼす因子である。長手方向連結構造では、テーパ角度が15度付近であるときに、エネルギー解放率が最小値をとることが判る。一方、円周方向連結構造では、テーパ角度が小さくなるに連れ、エネルギー解放率が単調減少するが、テーパ角度が30度未満になると減少傾向が大きくなる。また、長手方向連結構造では、パネル長が連結構造の強度に影響を及ぼす因子であり、パネル長が短くなるにつれてエネルギー解放率が小さくなる。
従前、このような知見が存在しなかったので、テーパ角度及びパネル長が定数のように取り扱われていた。これに対し、本件発明者は、当該知見に基づいて、テーパ角度及びパネル長が、テーパ部連結構造の設計を強度との兼ね合いから最適化しようとするうえで変数のように取り扱われるべき設計条件であり、この設計条件の変更によって設計の最適化をなし得るとの着想を得た。当該知見及び着想の下、荷重条件と共に設計条件が設定される。
[評価パラメータの算出]
設計条件及び荷重条件が設定されると、FEMモデルを用いて、積層面板部の内部におけるエネルギー解放率が算出される。エネルギー解放率の算出法は、前述したとおり、亀裂閉口法を好適に用いることができる。
[評価パラメータと評価閾値との比較]
算出されたエネルギー解放率は、積層面板部の材料の破壊靱性値と比較される。図9は、強度の評価、設計条件の変更の手順について説明するためのグラフである。横軸がテーパ角度等の設計条件、縦軸がエネルギー解放率を表している。テーパ部連結構造の設計条件に関わらず破壊靱性値は一定であるので、図9の座標系内では、破壊靱性値を表す線は横軸に平行に延びることになる。この座標系内に、算出されたエネルギー解放率を設定された設計条件に対応させてプロットする。破壊靱性値を表す線からプロットまでの縦軸方向の乖離の程度が、強度の評価を反映したものになる。
つまり、プロットが破壊靱性値を表す線上にある場合、設定された設計条件及び荷重条件下において亀裂の進展を招くこととなるので、強度が不足していると評価されて然るべき状況である。プロットが破壊靱性値を表す線よりも縦軸方向下側にある場合は、設定された設計条件及び荷重条件下において亀裂の進展を抑制可能となるので、強度に余裕があると評価されて然るべき状況である。ただし、プロットが破壊靱性値を大きく下回っている場合(例えば、プロットが示すエネルギー解放率が破壊靱性値と比べて或る偏差ΔGを超えて小さい場合)には、設定された荷重条件に対して強度が過剰である可能性がある。これを受け、強度を若干下げてでも構造を簡略化する等して重量の低減を図る余地が残されていることを容易に認識することが可能になる。
本実施形態に係る強度評価方法によれば、前述したとおり、初期破壊が発生すると特定又は想定される部位において、強度を適正に評価することができ、構造全体に必要とされる強度をもたせた設計を適切に行うことができる。
そして、テーパ部連結構造10における初期破壊の発生部位が積層面板部の内部であり、当該初期破壊が、CFRP積層板から成る積層面板部の亀裂(層間剥離)であることが特定されることにより、当該特定結果に基づいて評価パラメータ及び評価閾値を適正に選定することができる。このため、強度を適正に評価することができる。特に、上記のように初期破壊が特定された場合には、評価パラメータを、初期破壊の発生部位におけるエネルギー解放率とし、評価閾値を初期破壊の発生部位を成す材料の破壊靱性値とすることで、強度を適正に評価することができる。
[設計条件の変更]
前述のように、エネルギー解放率が破壊靱性値よりも大きく下回っている場合(例えば、エネルギー解放率が破壊靱性値と比べて或る偏差ΔGを超えて小さい場合)には、強度を若干低下させても亀裂の進展を抑制可能となるので、そのような範囲内で設計条件を変更することが可能である。強度を低下させる方向へと設計条件を変更するにあたり、板厚を薄くしたり、パネル長を大きくしたり、テーパ角度を大きくしたりすることができる。板厚が薄くなれば、重量を小さくすることができる。パネル長が大きくなれば、長手方向のセグメント数を削減し得る。テーパ角度が大きくなれば、テーパ部の長手方向における寸法が小さくなり、テーパ部を比較的容易に製造することができるようになる。なお、板厚を薄くしながら、パネル長を小さくしたりテーパ角度を小さくしたりするのも勿論可能である。
逆に、エネルギー解放率が破壊靱性値と等しい場合には、強度を向上させなければ亀裂が進展する可能性がある。よって、強度を向上させるべく、パネル長を短くしたり、テーパ角度を小さくしたりすることができる。強度を向上させるために、板厚を大きくしたり、板金組立のセミモノコック構造のように強度部材を追加するという選択肢に直ぐに頼る必要がなく、重量が大きくなるのをなるべく避けながら強度を向上させることができる。
以上のような手順を踏んだ結果として、前述したように、パネル長Lを1000〜1300mmに設定し、長手方向連結構造10Lのテーパ角度θLを10〜30度、好ましくは15度付近に設定し、円周方向連結構造10Cのテーパ角度θCを10〜30度、好ましくは長手方向連結構造のテーパ角度θL付近である15度付近に設定すると、必要な強度が確保されるようになり、テーパ部連結構造における破壊をなるべく遅らせることと、航空機胴体1の全体としての重量をなるべく低減することとを両立させることが可能になる。
[変形例]
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
例えば、荷重条件として、与圧荷重を考慮したが、その他の空力荷重が考慮されてもよい。また、設計条件を1パターン設定した後、実用に供するにあたって想定される2パターン以上の荷重条件を設定し、当該1パターンの設計条件下において、各荷重条件下での評価パラメータを算出するようにし、算出された全ての評価パラメータを評価閾値と比較するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合体構造体が円筒状であったが、平板状、直方体状など、その他の形状であってもよい。また、複合体構造体が小型旅客機用の航空機胴体に適用されているが、その他の用途の航空機胴体に適用されてもよいし、高速鉄道車両の先頭部構造等にも好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、発泡コアサンドイッチパネルの縁部にのみテーパ部を設け、テーパ部連結構造が、2つの発泡コアサンドイッチパネルを結合する継手として機能している。しかし、単一の発泡コアサンドイッチパネル内に互いに対向する一対のテーパ部が設けられていてもよい。この場合、テーパ部連結構造は、単一の発泡コアサンドイッチパネルに含まれる部位であって、一対のテーパ部を当該発泡コアサンドイッチパネル内で連続させる部位として機能する。このようなテーパ部連結構造についても、上記実施形態に係る強度評価方法を行うことによって設計の最適化を図ることができる。
本発明は、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体を提供するに際し、当該複合材構造体に適用されたテーパ部連結構造の強度を適正に評価することができ、それにより、テーパ部連結構造、発泡コアサンドイッチパネル、複合材構造体及び航空機胴体の設計を最適化することができるという顕著な作用効果を奏し、テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成される複合材構造体に適用すると有益である。
1 航空機胴体(複合材構造体)
2 セグメント(発泡コアサンドイッチパネル)
3 コア
4,5 面板
6 テーパ部
7 テーパ面
8 尖端部
9 積層面板部
10 テーパ部連結構造
10C 円周方向連結構造
10L 長手方向連結構造
11 凹部
12 スプライス板
13 ファスナ
Figure 0005875147

Claims (6)

  1. テーパ部を有する発泡コアサンドイッチパネルで構成された円筒状の複合材構造体であって、
    長手方向に互いに対向する一対のテーパ部を連結する長手方向連結構造を備え、
    前記発泡コアサンドイッチパネルは、発泡材から製作されたコアと、炭素繊維強化プラスチックから製作されて前記コアの表面および裏面それぞれに設けられる一対の面板とを備え、前記一対の面板が前記テーパ部の尖端部で重ね合わされ積層面板を構成し、
    前記長手方向連結構造における前記テーパ部のテーパ角をθLとした場合、10度≦θL≦15度である、複合材構造
  2. 前記長手方向に隣接した前記長手方向連結構造間、又は、前記長手方向連結構造と前記複合材構造体の前記長手方向の端部との間の長さをLとした場合、1000mm≦L≦1300mmである、請求項に記載の複合材構造
  3. 円周方向に対向する一対のテーパ部を連結する円周方向連結構、を備え、
    記円周方向連結構造における前記テーパ部のテーパ角度をθCとした場合、10度≦θC<30度であ請求項1に記載の複合材構造体。
  4. 前記長手方向連結構造及び前記円周方向連結構造のうち少なくとも何れか一方が、別個の2つの発泡コアサンドイッチパネルの継手を成しており、
    前記継手は、前記2つの発泡コアサンドイッチパネルの外縁部それぞれに形成されたテーパ部同士を互いに結合する、請求項に記載の複合材構造体。
  5. 前記継手が、前記一対のテーパ部に架け渡されたスプライス板と、前記スプライス板を前記一対のテーパ部それぞれに固定するファスナとを備える、請求項に記載の複合材構造体。
  6. 請求項乃至のいずれか1項に記載の複合材構造体によって構成されることを特徴とする航空機胴体。
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