特許文献1、2のようにシールドカバーの内周面に例えばゴム製の付着防止板を固定した場合、付着防止板に付着した土砂は作業機の走行中の振動によってある程度、土砂が付着した時点で、自重で落下することを期待することはできる。
また特許文献2のように隣接する付着防止板を互いに重複させながら、シールドカバーの周方向に複数枚の付着防止板を配列させた場合には、ロータリ軸の回転の向きに合わせ、隣接する付着防止板の一方が他方を覆うように重複させることで、隣接する付着防止板間への土砂の進入をある程度、阻止することができる。
しかしながら、複数枚の付着防止板を重複させながら配列させた場合には、付着防止板のシールドカバーへの固定位置、あるいは土質によっては土砂が付着防止板間に進入し、溜まり易くなることがある。この現象は排水性がよく、水分の含有が少ない軽い土質の場合に起こり易い。
土砂が付着防止板とシールドカバーとの間に溜まり始めると、付着防止板が機能しなくなる上、付着防止板がシールドカバーに作業ロータ側から固定されている関係で、付着土砂の除去作業が難しい。
本発明は上記背景より、シールドカバーの作業ロータ側に面に付着した土砂、特にシールドカバーに付着防止板が固定された場合の、隣接する付着防止板間に進入した土砂の排除作業性のよいロータリ作業機のロータリカバーを提案するものである。
本発明のロータリカバーは、トラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体に支持される作業ロータとその上方を覆うシールドカバーと、前記シールドカバーの、前記作業機本体の進行方向後方側に連結され、前記作業ロータの後方を覆うエプロンを備えるロータリ作業機において、
前記シールドカバーがその周方向に配列する複数枚のカバー材を備え、この複数枚のカバー材の内、周方向に隣接するいずれかのカバー材間に、前記作業ロータが跳ね上げる土砂の排除用の開口が形成され、
前記複数の周方向に隣接するカバー材を互いに連結し、前記開口が断続的に形成されていることを構成要件とする。
ロータリカバーは作業ロータの上方を覆う前記シールドカバーのみを指す場合と、シールドカバーとその後方側に連結されるエプロンを含む場合がある。「シールドカバーの周方向」とは、作業ロータの周方向を指す。「土砂の排除」は、シールドカバーを含むロータリカバーに付着した土砂をロータリカバーの外周側からの作業により内周側(作業ロータ側)へ落下させることと、外周側からの作業により外周側へ排出させることを含む。
カバー材は例えばシールドカバーの幅方向(作業機本体の幅方向)の両端に配置される端板に一体化することによりシールドカバーを構成する。端板は伝動フレームからロータリ軸に動力を伝達するチェーン伝動ケース等に接合される。シールドカバーの開口は、例えばいずれか隣接するカバー材間に間隔が確保されることにより形成される。
開口の幅(シールドカバー周方向の幅)は少なくとも清掃具としてのホースやノズル等から噴射される水等の液体や空気等の気体が通過可能な大きさであればよいが、清掃具自体が挿入可能な大きさを有すれば、土砂の付着位置に直接、液体や気体を噴射させるか、ブラシ等で排除することができるため、土砂の排除効率が向上する。
本発明の一実施例ではシールドカバーを構成する複数枚のカバー材の内、周方向に隣接するいずれか2枚のカバー材間に間隔が確保されることにより、少なくとも清掃具からの液体や気体が通過可能な幅を持つ開口が形成されればよいため、開口がシールドカバーの幅方向に連続しているか、断続的に形成されているかは問わない。
またシールドカバーの作業ロータ側の面(内周面)に付着した土砂はシールドカバーの外周側から排除されるか、外周側からの作業により内周側へ落下すればよいから、シールドカバーの開口は作業ロータの軸に直交する断面上、周方向の少なくとも一部に形成されればよい。
作業ロータの軸に直交する断面上、開口はシールドカバーの周方向の1箇所、もしくは複数箇所に形成され、周方向の1箇所に関しては、シールドカバーの幅方向に断続的に形成される場合と、連続的に形成される場合がある。開口が幅方向に連続的に形成される場合には、付着土砂の排除作業を例えばブラシやホース等の清掃具を用いて行う上で、清掃具を開口に挿入したまま幅方向に往復させることができるため、土砂の排除が容易で、迅速に行える利点がある。上記のように開口がシールドカバーの幅方向に断続的に形成される場合にも、1個の開口がシールドカバーの幅方向に長い形状をしていれば、連続的に形成されている場合と同等の効果は得られる。
開口がシールドカバーの幅方向に連続するか否かを問わず、シールドカバーの周方向の少なくとも一部に土砂の排出を可能にする開口が形成されることで、開口を通じてシールドカバーの内周側に清掃具を挿入すること、またはホース等から噴射される液体や気体を通過させることが可能になる。この結果、シールドカバーに土除け材が固定され、隣接する土除け材間に土砂が詰まっている場合にも、シールドカバーの外周側から容易に排除することが可能である。
シールドカバーに付着した土の除去のための開口を形成することは、特開平1−211403号のように既に行われていることではある。この例では爪が掻き上げる土砂のシールドカバーからの通過を許容するために、多数の孔を有するエキスパンドメタル等の金属板からシールドカバーを構成しているが、実際には孔を通過しきれない土砂を孔の回りに付着させ、堆積させ易い不都合がある。またシールドカバーの内周面に土除け材を固定した状況を想定していないため、シールドカバーに複数枚の土除け材を固定した場合の、隣接する土除け材間に詰まった土砂の排出作業性は考慮されていない。
また特開昭57−170102号、実開平2−9005号のように格子状に2方向に並列する枠材と、枠材を含むシールドカバーの全面に張られるゴム材からシールドカバーを構成し、枠材間にゴム材の弾性変形を許容する開口を形成することもあるが、この開口は土砂の排除用に利用されることはないため、シールドカバーの内周面に土除け材を固定する場合には対応が利かない。
開口の、シールドカバー周方向における位置は主に爪が突設されるロータリ軸の回転の向き、または前記した土砂付着防止板(土除け材)の位置、もしくは複数枚の土除け材の配列によって決まる。
例えばシールドカバーの作業ロータ側の面に複数枚の土除け材が配置され、周方向に重なって固定される場合には、隣接する2枚の土除け材間に詰まった土砂を排除することの目的から、隣接する2枚の土除け材に跨る範囲の内、2枚の土除け材が重複しない範囲に開口が形成される。すなわち、回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材に重なる部分においては、上流側の土除け材が下流側の土除け材に重ならない範囲に開口が形成される(図1)。
1枚以上の土除け材は複数枚のカバー材の内、少なくともいずれかのカバー材の作業ロータ側の面に、土除け材の周方向一方側の位置で固定される。シールドカバーの、作業機本体の進行方向後方側に作業ロータの後方を覆うエプロンが連結され場合には、エプロンの作業ロータ側の面に、1枚以上の土除け材がその周方向一方側の位置で固定される。土除け材が周方向一方側の位置でカバー材、もしくはエプロンに固定される理由は、作業機本体の振動による土除け材の振動によって土除け材自身に付着している土砂の落下を促すためである。エプロンはシールドカバーに対し、作業ロータの軸と平行な軸の回りに回転(開閉)自在に連結される。
作業ロータ(爪)が圃場面に対し、進行方向前方から後方へ向かって回転(ダウンカット回転)する場合には、土砂はシールドカバーの後方側に付着しようとし、爪が進行方向後方から前方へ向かって回転(アップカット回転)する場合には、土砂はシールドカバーの前方側に付着しようとする。
この関係から、シールドカバーに1枚以上の土除け材が固定される場合には、作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材が下流側に位置する土除け材を作業ロータ側から覆う状態で重なって配置されることが合理的である。
爪がダウンカット回転するか、アップカット回転するかに関係なく、回転方向上流側の土除け材が下流側の土除け材を作業ロータ側から覆うことで、作業ロータの半径方向に見たとき、重なり部分で作業ロータ側に位置する土除け材がシールドカバー側に位置する土除け材の固定位置を含む部分を作業ロータ側から覆うことになる。すなわち下流側の土除け材の固定位置を上流側の土除け材が覆う状態になるため、下流側の土除け材の固定位置を上流側の土除け材で保護することができ、土除け材の固定位置への土砂の付着を回避、もしくは抑制することが可能になる。
土除け材には耐久性の面からゴムの使用が適するが、基本的には作業機本体の振動に伴って振動できる弾性を有し、付着した土砂を落下させる機能を持てば、材料は問われず、金属、合成樹脂等も使用される。
シールドカバーの内周面に複数枚の土除け材が配置され、各土除け材がその周方向の一方側でシールドカバーに固定される場合には、土除け材は固定端側から自由端側へかけて垂れ下がろうとし、土除け材は周方向に、シールドカバーの周面に対して傾斜する。このため、隣接する土除け材間に存在する土砂の排除のし易さからは、清掃具をシールドカバーの外周側から開口の内周側へ挿入する際に、作業ロータの軸に直交する断面上、清掃具がシールドカバーの周方向(接線方向)に沿って挿入可能であることが合理的である。
そこで、開口を形成する、あるいは開口に面する2枚の隣接するカバー材の内、少なくともいずれか一方のカバー材の開口側の端部がシールドカバーの外周側へ屈曲、もしくは湾曲させられることが適切である。カバー材の開口側の端部が屈曲等しない場合、開口を周方向(接線方向)に見たときの開口の幅(開口の周方向の幅)は小さく、清掃具の挿入が困難であるが、カバー材の開口側の端部が外周側へ屈曲等させられることで、開口を周方向に見たときの開口の周方向の幅(開口幅)が確保され、清掃具を寝かせた状態で挿入し易くなる利点がある。この場合、周方向に見たときの開口幅が確保される反面、平面視で見たときの開口幅を小さくすることができることで、万一、土除け材が破損したとしても、開口から上方へ直接抜け出る土がほとんどないため、シールドカバー表面(外周面)側への、開口を通じた土の噴出を回避できる利点も有する。
前記のように複数枚の土除け材が互いに重なりながらシールドカバーに固定される場合において、爪がダウンカット回転する場合には、作業ロータの回転方向上流側(シールドカバーの進行方向後方側)に位置する土除け材が下流側(シールドカバーの進行方向前方側)に位置する土除け材を作業ロータ側から覆う状態で重なる。この場合、土除け材は作業ロータの回転方向上流側の位置でシールドカバーに固定され、その固定位置から下流側へかけて自然に垂れ下がろうとするため、この土除け材の懸垂状態に沿った方向を向いて開口側の端部が屈曲等することが適切である。爪がアップカット回転する場合は、作業ロータの回転方向上流側がシールドカバーの進行方向前方側で、下流側が進行方向後方側となる。
隣接するカバー材の内、いずれのカバー材の端部を屈曲等させるかは、ロータリ軸の回転の向き、または土除け材の配列によって決まる。上記のように土除け材が回転方向上流側の位置でシールドカバーに固定される場合には、土除け材の懸垂状態に沿った形状に開口が形成されることが好ましいため、下流側に位置するカバー材の開口側の端部がシールドカバーの外周側へ屈曲等させられる。上流側に位置するカバー材の開口側の端部を屈曲等させることも可能であるが、下流側のカバー材を屈曲等させれば、屈曲角度が小さくて済むことによる。
シールドカバーの、作業機本体の進行方向後方側に作業ロータの後方を覆うエプロンが連結される場合には、このエプロンとその進行方向前方側に位置するカバー材との間に土砂排除用の開口が形成される。エプロンの進行方向前方側に位置するカバー材はシールドカバーの最も後方に位置するカバー材である。この場合も開口は例えばエプロンとカバー材との間に間隔が確保されることにより形成される。
シールドカバーとエプロンは別体であるため、エプロンはシールドカバーとの間に間隔を確保した状態で連結されれば、結果としてシールドカバーとの間に開口が形成される。エプロンは作業ロータの後方を覆うことから、シールドカバーの進行方向後方側に位置するカバー材との間に角度が付いてシールドカバーに連結される。
進行方向後方側のカバー材とエプロンの双方に土除け材が固定された場合、両土除け材間に詰まる土砂の排除作業はエプロンを跳ね上げた状態で行われ、エプロンを跳ね上げた状態ではエプロンに固定された土除け材がエプロンとシールドカバーとの連結部分におけるヒンジに接触し、カバー材の土除け材との間隔が拡大しようとする(図5)。このことから、シールドカバーに固定されている土除け材とエプロンに固定されている土除け材との間の清掃をする上では、シールドカバーとエプロンとの間の開口はシールドカバーの周方向から作業ロータの半径方向までの範囲を向いて形成されればよい。
エプロンに固定された土除け材も、シールドカバーに固定される土除け材と同じ働きをするため、爪がダウンカット回転する場合には、エプロンの土除け材がシールドカバーの進行方向後方側に固定される土除け材に作業ロータ側から覆う状態で重なり、アップカット回転する場合には、シールドカバーの土除け材がエプロンの土除け材に作業ロータ側から覆う状態で重なる。
シールドカバーの周方向に隣接する2枚の土除け材間への土砂の進入は、その隣接する2枚の土除け材の内、作業ロータの回転方向上流側に位置する土除け材の周方向固定側の反対側に、その側に隣接する土除け材に接触し得る当接部を形成することで、阻止することが可能である。
前記のように回転方向上流側に位置する土除け材は固定端側から自由端側へかけて垂れ下がろうとするため、下流側に位置する土除け材の内周面との間に空隙が形成されるが、上流側に位置する土除け材が自由端側に、下流側の土除け材の内周面に接触する当接部を有することで、上記空隙は平常時に閉塞されることになる。この結果、当接部がない場合より隣接する土除け材間に進入する土砂の量が削減されるため、シールドカバーの開口を通じた土砂の排除作業が軽減されることになる。
土除け材は作業機本体の振動に伴って自ら振動するため、平常時に当接部が下流側の土除け材に接触した状態を維持しながらも、自らの振動によって当接部が下流側の土除け材から分離することもある。
このような場合には、土除け材自体、もしくは当接部に、当接部が常に下流側の土除け材に接触する向きに復元力を発揮できるだけの弾性を与えることで、作業機本体の振動に拘らず、常に上流側の土除け材が下流側の土除け材に接触した状態を維持することが可能である。この他、当接部に発泡性の材料を使用する等により当接部が収縮状態で下流側の土除け材に接触し、土除け材から分離しようとするときに伸長、あるいは膨張する性能を持たせることによっても常に接触状態を維持することが可能である。
シールドカバーがその周方向に配列する複数枚のカバー材から構成され、複数枚のカバー材の内、周方向に隣接するいずれかのカバー材間に、土砂排除用の開口を形成しているため、開口を通じてシールドカバーの内周側にブラシやホース等の清掃具を挿入すること、あるいはホース等から噴射される液体や気体が通過させることができる。この結果、シールドカバーに土除け材が固定され、隣接する土除け材間に土砂が詰まっている場合にも、シールドカバーの外側から容易に排除することができる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1はトラクタの後部に装着され、トラクタと共に走行する作業機本体10に支持される作業ロータ5とその上方を覆うシールドカバー2を備えるロータリ作業機において、
シールドカバー2がその周方向に配列する複数枚のカバー材21を備え、複数枚のカバー材21の内、周方向に隣接するいずれかのカバー材21、21間に、作業ロータ5が跳ね上げる土砂の排除用の開口21Aが形成されているロータリカバー1の構成例を示す。
作業機本体10は図6、図10に示すようにトラクタ後部のトップリンクとロアリンクからなる3点リンクヒッチ機構に連結されるトップマスト11と、ロアリンク連結部12を備え、この3点リンクヒッチ機構を介してトラクタの後部に昇降可能に装着される。トップマスト11の下端部には、トラクタのPTO軸にユニバーサルジョイント、伝動シャフト等を介して連結されるギアボックス13が配置され、ギアボックス13から作業機本体10の幅方向に伝動フレーム14と支持フレーム15が架設される。PTO軸からの動力はギアボックス13の入力軸13aに伝達され、入力軸13aで受けた動力は伝動フレーム14の内部を挿通する伝動シャフトに伝達される。
伝動フレーム14の先端部にはチェーン伝動ケース16が垂下する形で固定され、支持フレーム15の先端にはチェーン伝動ケース16に対向する端部カバー17が固定される。このチェーン伝動ケース16と端部カバー17との間に作業ロータ5のロータリ軸6が軸回りに回転自在に架設される。伝動シャフトとロータリ軸6間にはチェーンが張架され、チェーンを通じて伝動シャフトの動力がロータリ軸6に伝達される。シールドカバー2はその両端部の端板22、22においてチェーン伝動ケース16と端部カバー17に接合される。
ロータリ軸6の外周には周方向に適度な間隔を置いて耕耘爪等の爪7が突設される。爪7は主にナタ爪であるが、圃場面の土砂を掻き上げる機能を有すれば、代掻き機用や畦塗り機用等の爪も含む。爪7はロータリ軸6の軸方向には互いに干渉しない程度の間隔を置いて配置される。ロータリ軸6の軸方向に隣接する爪7、7は軸の中心に関して互いに角度が付いて配列し、ロータリ軸5の全体では爪7の先端部が図1に2点鎖線で示す円弧を描く。作業ロータ5はロータリ軸6とその外周に突設された爪7から構成され、作業ロータ5は耕耘ロータになる。
伝動フレーム14と支持フレーム15の下には作業ロータ5の爪7の回転範囲を覆い、作業機本体10を土砂から保護するシールドカバー2が配置される。シールドカバー2は図4に示すようにその上面(外周面)に突設された連結材2aにおいて伝動フレーム14と支持フレーム15の下に突設された下部ブラケット14a、15aに接合されることにより両フレーム14、15に支持される。図10、図11中、20は圃場面上を転動することで、図4に示すように作業中にある作業ロータ5の圃場面からの深度を調整するためのゲージホイールである。
シールドカバー2の、作業機本体10の進行方向後方側には作業ロータ5の後方を覆うエプロン3が伝動フレーム14の軸と平行な軸(後述の軸31a)の回りに回転自在に連結される。エプロン3の表面側、すなわち作業ロータ5の反対側の面にはエプロン3の圃場面との接地圧を適度に保つためと、エプロン3を跳ね上げた状態に保持するためのコンプレッションロッド18が接続される。
コンプレッションロッド18の一端、すなわちトラクタ側の端部(上端)は伝動フレーム14と支持フレーム15の上に固定された上部ブラケット14b、15bに回転自在に連結され、他端(下端)はエプロン3の表面に固定されたブラケット3aに軸方向の位置調整が自在な状態に接続される。コンプレッションロッド18にはコイルスプリング18aが内蔵されるか、外周を巻回することにより装着される。
コイルスプリング18aの一端(上端)はその軸方向に摺動可能な係止部18bに係止し、他端(下端)はコンプレッションロッド18の軸方向に移動可能で、任意の位置で停止可能なストッパ19に係止し、コイルスプリング18aは常に圧縮力を負担した状態にある。ストッパ19にはエプロン3のブラケット3aが接続され、ストッパ19はエプロン3の回転に伴い、コンプレッションロッド18に沿って移動する。
作業機本体10の作業時には図1、図4に示すようにコイルスプリング18aが係止部18bと停止状態のストッパ19に係止した状態にあり、係止部18bがコイルスプリング18aの反力に応じて軸方向に摺動することで、エプロン3の圃場面との接地圧が一定範囲内に納まるよう、エプロン3のレベルを調整する。エプロン3の跳ね上げ時には、図5、図9、図11−(b)に示すようにストッパ19がコンプレッションロッド18の上端側へ移動させられて停止させられることで、エプロン3の跳ね上げ状態を維持する。
図1はロータリ軸6の回りを回転する爪7が通過する最下点のレベルとエプロン3の下端のレベルが等しいか、ほぼ等しい場合での作業ロータ5の作業時の様子を、図4は爪7が通過する最下点のレベルよりエプロン3の下端のレベルが例えば200mm程度、上に位置する場合での作業ロータ5の作業時の様子を示す。エプロン3の下端のレベルはコンプレッションロッド18のストッパ19の位置を調整することにより自由に設定される。図5はエプロン3を跳ね上げ、その状態で静止させたときの様子を示す。シールドカバー2の内周側の面の清掃は図5の状態で行われる。
シールドカバー2は図1、図2に示すようにその周方向に配列する複数枚のカバー材21と、カバー材21の幅方向両端に位置し、カバー材21が接合される端板22から構成される。図面では各カバー材21に1枚の土除け材4を固定していることに対応し、2枚のカバー材21からシールドカバー2を構成しているが、カバー材21の枚数は任意であり、必ずしも土除け材4の枚数に等しい必要もない。
周方向に配列するカバー材21、21の内、いずれか隣接する2枚のカバー材21、21は両者の対向する端部間に間隔が確保された状態で配列し、カバー材21、21間に間隔が空くことにより土砂の排除用の開口21Aが形成される。カバー材21、21間の開口21Aは図2に示すようにシールドカバー2の全幅に亘って連続的に形成される場合と、幅方向に断続的に形成される場合がある。
図2に示すように両カバー材21、21の端部が直線状である場合には、開口21Aはシールドカバー2の全幅に亘って連続的に形成されるが、例えば少なくともいずれか一方のカバー材21の端部が互いに連結可能な片を有し、凹凸状に形成されている場合には、開口21Aは幅方向に断続的に形成されることになる。
シールドカバー2の内周面に付着した土砂を排除する際には、主にシールドカバー2の外周側からブラシやホース等の清掃具を差し込み、土砂を内周側へ落下させるか、外周側へ排出させることにより排除が行われる。このため、図2に示すように開口21Aがシールドカバー2の全幅に亘って連続的に形成されている場合には、清掃具を開口21Aに挿入したまま、幅方向に往復させながら排除作業が行える利点がある。
開口21Aが断続的に形成されている場合にも、開口21Aの長さ(シールドカバー2幅方向の長さ)が幅(シールドカバー2周方向の幅)より大きければ、その開口21A内では清掃具を往復させることができるため、開口21A単位での排除作業は良好になる。
図面では周方向に隣接するカバー材21、21の幅方向の中間部に、シールドカバー2を伝動フレーム14と支持フレーム15に支持させるための連結材2aを突設しているため、幅方向に連続して形成されている開口21Aは連結材2aの位置で不連続になるが、清掃具を幅方向に往復させる作業性は確保されている。連結材2aが突設されなければ、開口21Aは幅方向に完全に連続する。
図面では各カバー材21に1枚の土除け材4を固定しているが、1枚のカバー材21に複数枚の土除け材4を固定することも、複数枚のカバー材21の内、いずれかのカバー材21にのみ土除け材4を固定することもある。図面では特に各カバー材21に固定された土除け材4、4間に土砂が詰まり、相対的に作業ロータ5の回転方向上流側に位置する土除け材4の外周面のカバー材21への固定部分にまで土砂が進入した場合を想定し、その固定部分からの土砂の排除を容易にするために、上流側の土除け材4をシールドカバー2の内、進行方向後方側に位置するカバー材21の開口21A寄りに固定している。
開口21A内への清掃具の挿入は、シールドカバー2の内周面に隣接して固定されている土除け材4、4間に詰まった土砂を排除する目的で行われるから、開口21Aは固定状態にある土除け材4の面に沿った方向に、詳しくは土除け材4のシールドカバー2への固定部分に平行、もしくはそれに近い方向に形成されることが適切である。固定部分は固定具8によってカバー材21の内周面に平行になった部分を指す。そこで、図1、図2では開口21Aを作業ロータ5の軸に直交する断面上、清掃具がシールドカバー2の周方向(接線方向)に沿って挿入可能に、作業ロータ5の半径方向に対し、傾斜した方向に開放する形で形成している。
シールドカバー2はその周方向に配列する複数枚のカバー材21から構成されるから、具体的には図1、図2に示すように開口21Aを形成する、あるいは開口21Aに面する2枚の隣接するカバー材21、21の内、少なくともいずれか一方のカバー材21の開口21A側の端部がシールドカバー2の外周側へ屈曲、もしくは湾曲させられることにより、開口21Aがシールドカバー2の周方向に沿った方向に向けられる。
図1に示すように爪7が矢印で示す向きにダウンカット回転する場合には、複数枚の土除け材4は回転方向上流側に位置する土除け材4が下流側に位置する土除け材4を作業ロータ5側から覆うように配列し、各土除け材4は周方向に回転方向上流側の位置でカバー材21に固定されるため、平常状態では固定位置(上流側)から自由端側(下流側)へかけて垂れ下がろうとする。この土除け材4の傾斜に合わせてカバー材21の開口21A側の端部が屈曲等させられる。
ここで、開口21Aを形成する2枚のカバー材21、21の内、爪7の回転方向下流側に位置するカバー材21の端部を屈曲等させれば、上流側に位置するカバー材21の開口21A側の端部を屈曲等させる場合より小さい屈曲角度になり、加工が容易であるため、図面では下流側に位置するカバー材21の端部を屈曲させ、屈曲部21bを形成している。この場合、開口21Aの開口幅は作業ロータ5の半径方向、あるいは周方向の寸法ではなく、土除け材4の傾斜に沿った方向の寸法になる。
図面ではまた、1枚の鋼鈑(表板21a)を折り曲げ加工することにより、もしくは折り曲げ加工された複数枚の鋼鈑(表板21aと裏板21c)を組み合わせることにより前方側(下流側)のカバー材21を製作している。ここでは下流側のカバー材21の開口21A側の端部寄りの部分を折り返した状態でその部分を屈曲させ、屈曲部21bを形成することで、開口21Aに面する部分の強度と剛性を確保している。
開口21Aに面するカバー材21は図面ではシールドカバー2の最も前方に位置するカバー材でもあるが、最も前方に位置するカバー材21の前方寄り部分の内周面には、最も前方に位置する土除け材4に接触し、その土除け材4を傾斜状態にさせるための裏板21cを接合している。裏板21cはカバー材21の前方部分の剛性を確保する役目も持つ。
裏板21cはまた、土除け材4に接触してこれを傾斜させることで、シールドカバー2の内周面を爪7の先端が描く円形の軌跡に合わせて曲面(円弧面)に近い形状に形成し、複数枚の土除け材4がロータリ軸6の断面上、円弧面をなすように配置できるようにする機能も持つ。この場合、複数枚の土除け材4が、回転する爪7を最小の領域内で包囲する状態になるため、土砂がシールドカバー2側へ飛散する範囲を最小に留めることができる利点がある。
図示するようにシールドカバー2の後方側にエプロン3が連結される場合には、シールドカバー2の最も後方に位置するカバー材21とエプロン3との間にも、両者間に間隔が空くことにより開口21Bが形成される。
エプロン3は図3、図6に示すようにシールドカバー2に対しては蝶番31によって開閉自在に連結され、作業時以外の清掃時には図5に示すようにシールドカバー2の後方側から跳ね上げられた状態に保持されるため、開口21Bを通じての土砂の除去はエプロン3を跳ね上げた状態で行われる。
このため、開口21Bはエプロン3を跳ね上げた図5の状態にしたときに清掃具を挿入し、土砂を排除し易い方向に開放していることが適切である。この関係で、図面では跳ね上げた状態にあるエプロン3とシールドカバー2に干渉することなく、清掃具を深くまで挿入できるよう、作業ロータ5の半径方向、もしくはそれに近い範囲の方向に向けて開口21Bを形成している。
図面ではシールドカバー2の最も後方に位置するカバー材21を折り曲げ加工された2枚の鋼鈑(表板21dと裏板21e)から構成している。この場合、カバー材21の内周側に位置する鋼鈑(裏板21e)が開口21Bの内周側の空間を形成するため、鋼鈑(裏板21e)のエプロン3寄りの屈曲角度によって開口21Bの向きが決まる。図示する場合の開口21Bの開口幅は作業ロータ5の周方向の幅になる。カバー材21の内周側に位置する鋼鈑(裏板21e)は外周側に位置する鋼鈑(表板21d)と対になることで、カバー材21の剛性を確保すると共に、カバー材21とエプロン3に跨る蝶番31を接合するボルトを土砂から保護する役目を持つ。
爪7が掻き上げる土砂の飛散をシールドカバー2が抑制する上では、作業ロータ5を包囲するように複数枚の土除け材4を配置することが望ましい。そこで、図面では前方側に位置するカバー材21と後方側に位置するカバー材21を共に、表板21a、21dと裏板21c、21eから構成することで、シールドカバー2の内周面を爪7の先端が描く円形の軌跡に合わせて曲面(円弧面)に近い多角形状に形成し、この多角形状の内周面に土除け材4を固定している。
結果として複数枚の土除け材4がロータリ軸6の断面上、円弧面をなすように配置されることで、回転する爪7を最小の領域内で包囲するため、土砂がシールドカバー2側へ飛散する範囲を最小に留めることができる利点がある。シールドカバー2の周方向両側に位置する土除け材4が裏板21c、21eによって作業ロータ5側へ押されることで、複数枚の土除け材4は作業ロータ5を包囲するように円弧面をなすように配列するため、土砂の飛散を極力、抑制することができる。
シールドカバー2の作業ロータ5側の面(内周面)、または図1に示すようにシールドカバー2とエプロン3の作業ロータ5側の面(内周面)には、複数枚の土除け材4がシールドカバー2の周方向に配列し、固定される。エプロン3がない場合にはシールドカバー2にのみ土除け材4が固定される。
シールドカバー2にエプロン3が連結される場合、エプロン3は例えばシールドカバー2のエプロン3側の端部に伝動フレーム14の軸と平行(水平)に配置され、エプロン3の一部になる軸31aが蝶番31によって最も後方に位置するカバー材21に連結されることによりシールドカバー2に対して回転自在になる。エプロン3の一部である軸31aはその軸31aを包囲する形状をした羽根板31bに挿通することにより蝶番31を構成する。
シールドカバー2とエプロン3を合わせたロータリカバー1に複数枚の土除け材4が重なって固定される場合、2枚の土除け材4、4が重複しない範囲に開口21A、21Bが位置するように、各土除け材4のシールドカバー2とエプロン3への固定位置が決められる。具体的には図1に示すように回転方向上流側に位置する土除け材4が下流側に位置する土除け材4に重ならない範囲に開口21A、21Bが位置するように各土除け材4がシールドカバー2とエプロン3に固定される。
図1では作業ロータ5は矢印で示すように上流側から下流側へ向かって回転するため、下流側に位置する土除け材4と上流側に位置する土除け材4との間に土砂が進入する可能性は低い。但し、各土除け材4は独立して振動することから、上流側の土除け材4の自由端が作業ロータ5側へ変形し、下流側の土除け材4の自由端がシールドカバー2側へ変形したときに、両土除け材4、4間の間隔が拡大するため、下流側の土除け材4の内周面に衝突した土砂が上流側の土除け材4との間に入り込む可能性がある。このことが繰り返される結果、2枚の土除け材4、4間に進入した土砂が堆積していくことが想定される。
土砂が2枚の土除け材4、4間に堆積したときには、シールドカバー2の外周側から土除け材4、4間までにブラシ等を差し込み、塊状態にある土砂をシールドカバー2の外周側へ掻き出すか、内周側へ掻き落とすこと、またはホース等を差し込み、水や空気を噴射して土砂を洗い落とすことが行われる。シールドカバー2の後方に位置するカバー材21に固定された土除け材4と、エプロン3に固定された土除け材4との間に進入し、堆積した土砂の排除は図5に示すようにエプロン3を跳ね上げ、コンプレッションロッド18により静止させた状態で行われる。エプロン3の跳ね上げは作業機本体10を圃場から平坦な地盤上に移動させた場所で行われる。
エプロン3を跳ね上げた状態では、エプロン3に固定されている土除け材4のシールドカバー2側の面が蝶番31に接触する一方、自由端側がいずれかの爪7に接触し、固定端側がエプロン3の跳ね上げに追従することで、土除け材4は作業ロータ5側に凸に湾曲しようとする。結果として土除け材4とカバー材21との間の間隔が拡大するため、エプロン3を跳ね上げない状態よりエプロン3に固定されている土除け材4のシールドカバー2側の面の清掃が容易に、確実に行える。エプロン3に固定される土除け材4はエプロン3の跳ね上げに伴い、蝶番31の軸31aの回りに回転するため、土除け材4を固定する固定具8はエプロン3の跳ね上げ時に蝶番31に衝突しない位置に配置される。
土除け材4には主に数mm〜10数mm程度の肉厚を持つ硬質のゴムが使用され、作業機本体10の振動に伴って自ら振動できる程度の弾性を持ち、また図1に示すようにロータリ軸6の断面上は後述のようにシールドカバー2への拘束のない周方向の端部寄りが自重で垂れ下がる程度の剛性を有する。土除け材4がここで言う適度の弾性と剛性を有すれば、土除け材4の材料は限定されず、プラスチック製やステンレススティール等の金属製の板も使用される。土除け材4にはまた、シールドカバー2の周方向に一定の周長を持ち、幅方向に連続した形状の板状部材の他、その幅方向に連続した板状部材をロータリ軸6に直交する断面で切断した短冊状の板も使用される。
土除け材4はシールドカバー2とエプロン3にはボルトやピン等の固定具8によって交換可能に、着脱自在に固定される。固定具8は土除け材4の周方向(シールドカバー2の周方向)には1箇所、もしくは2箇所程度、配置される。隣接する土除け材4、4は後述のように固定具8による固定位置が進行方向後方側に、もしくは前方側に位置する土除け材4に覆われるように重なるから、ロータリ軸6の断面上は固定具8の配置数は少ない方がよく、図面では1箇所で固定している。固定具8は土除け材4の長さ方向(シールドカバー2の長さ(幅)方向)には適度の間隔をおいて配置される。
複数枚の土除け材4は、上流側の土除け材4が下流側の土除け材4を作業ロータ5側から覆うように重なるから、爪7が土砂を進行方向後方側へ掻き上げるように回転する場合には、図示するように後方側の土除け材4が前方側の土除け材4を覆うように固定され、逆向きに回転する場合には、前方側の土除け材4が後方側の土除け材4を覆うように固定される。
図1ではエプロン3を除くシールドカバー2に対して2枚の土除け材4を重ねて固定しているが、図示するようにエプロン3にも土除け材4が固定される場合には、その土除け材4とシールドカバー2の土除け材4を重ねることができるため、シールドカバー2には少なくとも1枚の土除け材4が固定されれば足りる。シールドカバー2には3枚以上の土除け材4が固定される場合もある。
複数枚の土除け材4は、隣接する2枚の土除け材4、4がシールドカバー2の周方向に一部において互いに重なり合いながら、シールドカバー2とエプロン3に固定される。シールドカバー2の周方向に隣接する土除け材4、4の重なり方は爪7の回転の向きによって決まる。
爪7が矢印で示す向きに、ダウンカット回転する場合には、隣接する土除け材4、4間への土砂の進入を防止する観点から、後方側に位置する土除け材4が前方側に位置する土除け材4をロータリ軸6側から重なるように隣接する土除け材4、4が配置される。爪7が逆向きに、アップカット回転する場合には、進行方向前方側に位置する土除け材4が後方側に位置する土除け材4をロータリ軸6側から重なるように配置される。
図示するように爪7が進行方向後方へ向かって土砂を蹴るようにダウンカット回転する場合には、互いに重なる2枚の土除け材4、4の内、相対的にトラクタの進行方向前方側に位置する土除け材4はその重なり部分においてシールドカバー2に固定され、その土除け材4の固定位置(固定具8)は進行方向後方側に位置する土除け材4に覆われ、ロータリ軸6側から隠蔽される。
この場合、進行方向後方側に位置する土除け材4は前方側に位置する土除け材4の固定位置を覆いつつ、その土除け材4にロータリ軸6側から重なってシールドカバー2に固定される。エプロン3に固定される土除け材4はシールドカバー2の最も後方側に位置する土除け材4の固定位置を覆いつつ、その土除け材4にロータリ軸6側から重なる。各土除け材4のシールドカバー2への固定作業は、トラクタの進行方向前方側に位置する土除け材4から後方側に隣接する土除け材4へかけて順次、シールドカバー2に固定していく、という手順で行われる。
爪7がダウンカット回転する場合、進行方向前方側に位置する土除け材4は後方側に位置する土除け材4に覆われ、シールドカバー2には後方側の土除け材4に覆われる位置で固定されるから、シールドカバー2への固定位置は土除け材4の周方向に対し、進行方向後方側になる。
シールドカバー2への固定位置が土除け材4の周方向後方側であることで、土除け材4の前方側の端部から固定位置までの区間は拘束がないため、土除け材4の前方側の端部寄りの部分は自重で垂れ下がった状態になる。土除け材4の前方側端部から固定位置までの区間が自由であることで、この区間は作業機本体10の振動に伴って自由な振動が生じ、土除け材4は自身の振動によって付着している土砂を落下させる機能を有する。
図7はシールドカバー2の周方向に隣接する2枚の土除け材4、4の内、作業ロータ5の回転方向上流側に位置する土除け材4の周方向固定側の反対側に、2枚の土除け材4、4間への土砂の進入を阻止するために、その側に隣接する土除け材4の内周側の面に接触し得る当接部41を形成した場合の例を示す。図8は耕深を約200mmに維持しながら作業機本体10が走行中の状態を、図9はエプロン3を跳ね上げた様子を示している。
当接部41は図示するように土除け材4の、下流側に隣接する土除け材4側の端部(先端部)を折り返すか、この先端部に厚みを有する厚肉部を形成することにより、または先端部に別体の部品を一体化させる等により、その隣接する土除け材4の内周面に接触する厚みを有する形態に形成される。先端部を折り返すことは、主に土除け材4自身が先端部を折り返した形態を維持できる塑性変形可能な金属材料、もしくは合成樹脂等の場合に実施される。土除け材4がゴムの場合には、例えば先端部を膨出させた状態で、あるいは内部に中空部を有する先端部を形成することによって先端部に厚みを有する土除け材4が製作される。
例えば土除け材4を金属材料で製作し、土除け材4の先端部を折り返すことにより当接部41の弾性を維持しながら、折り返し(屈曲)部分を塑性変形させた場合には、土除け材4の振動に拘らず、当接部41を常に下流側の土除け材4の内周側の面に接触させた状態を得ることが可能である。例えば当接部41が図7〜図9に示すように隣接する土除け材4との接触時の圧力が大きいときに収縮し、圧力が小さくなったときに原形に復帰するような弾性を当接部41に付与しておくことで、常に隣接する土除け材4との接触状態を維持し、その土除け材4との間に空隙が形成されることを防止することが可能である。
当接部41にゴムを使用した場合にも、例えば厚みを有する先端部に形成される中空部の内部と外部を等圧にしておけば、下流側の土除け材4との接触時に受ける圧力が大きいときに収縮し、圧力が低下したときに膨張することが可能であり、常に隣接する土除け材4との接触状態を維持することが可能である。この他、当接部41には隣接する土除け材4への接触時に収縮し、土除け材4から分離しようとするときに伸長、あるいは膨張する発泡性の材料を使用することもできる。
前記のように回転方向上流側に位置する土除け材4は固定端側から自由端側へかけて垂れ下がろうとするため、平常時(作業機本体10の作業時)に下流側に隣接する土除け材4の内周面との間に空隙が形成される。また土除け材4は作業機本体10の振動に伴って振動するため、下流側に隣接する土除け材4との間の空隙が増減する。
これに対し、上流側の土除け材4が自由端側に、下流側の土除け材4の内周面との接触状態を維持する当接部41を有することで、平常時に、あるいは平常時に加え、土除け材4に生ずる振動が大きいときにも上記空隙を閉塞した状態に維持することが可能である。この結果、当接部41がない場合より隣接する土除け材4、4間に進入する土砂の量が削減されるため、シールドカバー2の開口21A、21Bを通じた土砂の排除作業が軽減されることになる。