JP5848991B2 - 積層多孔性フィルム - Google Patents

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本発明は積層多孔性フィルムに関し、詳しくは、X線を含む放射線の遮蔽機能を有しながら通気性も兼ね備え、放射線防護服等として好適に用いられるものである。
放射線レベルが高い地域で作業員等を保護するため、使い捨ての繋ぎタイプで全身を覆う防護服が提供されている。該防護服は、ポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム,硫酸バリウム等の無機充填材を配合して製膜し、該膜を延伸させることによって得られた多孔性フィルムを用いて作製されている。前記多孔性フィルムは微細な無数の孔が連通していることから、通気性,透湿性を有しながらも、水を通さない特徴がある。
該防護服は放射性物質で汚染された液体の浸水を防止し、かつ、該防護服を透過できずに外面に付着する放射性物質を捕捉して人体を保護する機能を備え、通気性と透湿性を有するため、比較的着用しやすいものとなっている。
しかしながら、前記多孔性フィルムからなる防護服にはX線遮蔽材が設けられていないためX線遮蔽機能はない。よって、X線を含む電磁放射線が防護服を透過して、着用者が許容値を超える放射線の被爆を防止することができない問題がある。
従来、放射線を扱う施設の壁や扉には放射線遮蔽材が貼り付けられており、該放射線遮蔽材として比較的安価な鉛が用いられている。しかしながら、X線遮蔽材として鉛を用いた場合、鉛は生物だけでなく環境にも有害であり、特に欧州連合では、バーゼル条約,RoHSなどの法令規制物質であるため、鉛フリーまたは鉛の使用を極力抑えることが強く求められている。
上記観点から、特表2008−538136号公報(特許文献1)で提案されている防護服では、鉛ではなく、鉛と同等の原子番号,密度を持つ元素またはその化合物が放射線不透過性材料として用いられている。
具体的には、防護服は図5に示す複合材100から形成されており、タングステン,ビスマス,タリウム,バリウム等のナノ粒子からなる放射線不透過性材料とポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等のポリマーを混合した放射線不透過性ポリマー混合物から放射線遮蔽層101を形成している。この放射線遮蔽層101を2つの布層102と103とで挟んだ放射線防護層105を設け、さらに、この3層の放射線防護層105を防護するために無孔質のポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレンフィルムからなる化学防護層106〜108を積層している。
なお、特許文献1の段落0028には、放射線不透過性材料はタングステン75%、硫酸バリウム20%、ビスマス5%で配合することが好ましく、ポリマーはエチレン酢酸ビニルとポリエチレンの混合物が好ましく、放射線不透過性材料はポリマー混合物の50重量%超用いると記載されている。
特表2008−538136号公報
前記特許文献1で挙げられている放射線不透過性材料金属は、半導体,情報エレクトロニクス,電子機械,自動車,化学など幅広い産業分野で使用されている物質であり、非常に希少かつ高価である。よって、使い捨ての防護服として用いるには不適切であると共に資源枯渇の問題につながる。
更に、前記特許文献1の防護服となる複合材の各層は多孔質の積層体とは記載されておらず、逆に、放射線防護層105を防護するために無孔質のポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレンフィルムからなる化学防護層106〜108が積層されている。よって、この複合材100から形成される防護服は通気性を有さず、長時間の着用に適さない問題がある。
放射線防護服では、その素材が通気性を有すると放射線も透過して防護機能が低下する問題がある。一方、通気性がないと防護服・作業服として適さないものとなり、相反する問題がある。よって、本発明は、X線を含む放射線の遮蔽機能と、防護服の素材として適した通気性とを兼ね備えたX線遮蔽層を備えた積層多孔性フィルムを提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、
熱可塑性樹脂を含有する多孔性フィルムの基層と、X線減衰機能を有する無機微粒子と樹脂バインダーとを含有する多孔質のX線遮蔽層とを積層した積層多孔性フィルムとし、 該積層多孔性フィルムは、鉛当量0.002mmPb以上のX線遮蔽機能を有すると共に、透気度が10〜10,000秒/100mLであることを特徴とする積層多孔性フィルムを提供している。
前記積層多孔性フィルムは、
前記無機微粒子および前記樹脂バインダーを溶媒中に分散した塗布剤を調整し、
前記塗布剤を前記多孔性フィルムからなる基層の表面に塗工し、
前記塗工後に乾燥して前記溶媒を蒸発させ、蒸発痕が隙間となった多孔質の前記X線遮蔽層を前記基層表面に形成して製造することが好ましい。
前記のように、本発明の積層多孔性フィルムは、多孔性フィルムからなる基層の表面にX線遮蔽層を設け、該X線遮蔽層は無機微粒子同士を樹脂バインダーで固着し、溶媒が蒸発した痕に隙間ができるため無孔層ではなく、前記のように、X線遮蔽層を多孔質層としている。具体的には、該X線遮蔽層と前記多孔質の基層との積層状態で透気度が10〜10,000秒/100mLの範囲となるようにしている。
本発明の多孔質のX線遮蔽層は、表面に露出する無機微粒子が透過するX線と接触してX線を遮蔽し、かつ、表面から内部の隙間に入るX線が内部の無機微粒子と接触することでさらにX線を遮蔽でき、X線遮蔽層の表面からX線遮蔽層の内部を透過して基層の多孔性フィルムに達する迄に、X線量を減衰して人体に取って許容範囲以下の線量にまで低減できる。かつ、X線遮蔽層の支持層として機能する基層を多孔性フィルムで形成し、かつ、X線遮蔽層も無孔とせず、多孔質積層体としているため、防護服の素材とした場合に通気性および通湿性を備え、着用感を高めることができる。
前記X線遮蔽層の無機微粒子は、鉛、タングステン、プラチナ、金を除く原子番号が55以上で、原子量が200未満の元素を含み、
前記基層の熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましい。
X線遮蔽層に用いる無機微粒子は、原子量、密度が高く、原子番号が大きい元素を含むものがX線の減衰に効果があり、よって、前記原子番号が55以上が好ましい。しかしながら、原子量が200以上となると重くなり、防護服の素材としては好ましくないため、原子量が200未満の元素とすることが好ましい。かつ、鉛やタングステンは人体および環境にとって好ましくなく、プラチナや金は高価であるため使い捨てする防護服には適さない。
また、多孔性フィルムからなる基層として、厚さ調整や空孔の調整が容易となる観点から延伸で穴空け加工するフィルムが好適に用いられ、この観点からポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオフィン系樹脂が好適に用いられる。
前記X線遮蔽層の無機微粒子はバリウム塩を含むものであり、該X線遮蔽層における無機微粒子の含有量は90質量%以上99.5質量%以下としていることが好ましい。
バリウム塩を含む無機微粒子として、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。バリウムは原子量が137.327と大きいため、X線減衰機能に優れ、かつ、原子量が200以上の鉛のように重くならず、かつ、人体や環境に対して優しく、さらに、比較的安価であるため、使い捨て防護服に採用できる。さらに、硫酸バリウム粉末等は安定した性状を備えており、取り扱いが容易であるため好ましい。
さらに、前記のように、X線遮蔽層における無機微粒子の含有量は90質量%以上99.5質量%以下、樹脂バインダーは0.5〜10質量%であることが好ましい。該樹脂バインダーは無機微粒子同士を部分的に結合すると共に無機微粒子を多孔性フィルムの基層に固着する機能を有するだけであり、X線遮蔽層はほぼ無機微粒子と該無機微粒子間の微小な隙間からなる構造としているため、X線遮蔽機能を高めることができる。
前記無機微粒子の平均粒子径が0.1〜20μmであることが好ましい。
前記基層は充填材を含むことが好ましい。
全体厚みは10〜300μm、厚み全体の10〜90%を前記X線遮蔽層とし、かつ、可撓性を有するものが好ましい。
素材の全体厚さは薄くする程、防護服の軽量化が図れ、かつ、可撓性および柔軟性を高めることができる。しかしながら、X線遮蔽機能を高めるためにはX線遮蔽層の厚さを大とすることが好ましく、よって、全体厚さを比較的薄くする一方、全体厚さの40〜80%、好ましくは50%以上をX線遮蔽層としている。
前記X線遮蔽層は、5〜500個の前記無機微粒子が厚さ方向に並んでいることが好ましい。X線遮蔽層の無機微粒子間の隙間を透過するX線が隙間に面する無機微粒子と接触することによって、遮蔽されるX線は増加する。よって、X線遮蔽層内で無機微粒子が厚さ方向で5〜500段で積み上げられると、透過するX線と無機微粒子との接触面積を増大でき、放射線の減衰作用を画期的に高めることができる。
前記基層とX線遮蔽層とからなる積層多孔性フィルムの目付量は20〜300g/mであることが好ましい。
積層多孔性フィルムの目付量が小さい程、軽量となる。前記20〜300g/mの積層多孔性フィルムの重さは、同一厚み鉛箔の重さの10〜90%となり、軽量なX線遮蔽材となる。このように、軽量化すると、防護服とした場合に長時間着用しても人体に与える負担を軽減できる。
また、前記本発明の積層多孔性フィルムを用いた放射線遮蔽材を提供している。
該放射線遮蔽材は、X線を含む放射線遮蔽機能、透湿性、防水性を備えているため放射線(X線)レベルの高い環境に位置する建造物、X線装置等を扱う医療施設、大学等の研究施設、家屋等の建造物の外装材、内装材、さらに、床材やカーテンのラミネート材が挙げられる。建造物の建材に利用する場合には難燃層等の所要の機能を有する層を積層することが好ましい。さらに、電池用セパレータを含む様々な用途の素材として用いることができる。
さらに、前記本発明の積層多孔性フィルムを用いた放射線防護服を提供している。
該放射線防護服はX線を含む放射線をX線遮蔽層で減衰するため、人体にとって安全であることが最重要であり、かつ、着用後は使い捨てされるため安価であることも重要な要件となる。本発明の防護服で用いるX線減衰機能を有する無機微粒子として、バリウム塩を含む硫酸バリウム等を用いると、人体にとって安全であり、かつ、比較的安価であるため前記した2つの要件を満たすことができるため、より好ましい。
また、防護服は通気性および通湿性を有し、かつ、軽量で可撓性を有するため、長時間着用できると共に作業性を阻害しない。
前記防護服では、X線遮蔽層は外面に露出させて位置させ、前記基層を前記X線遮蔽層より人体側の内面側とし、該基層の内面側に多孔質の不織布を積層することが好ましい。 前記基層の内面側に積層する多孔質の不織布は、衣類として必要な引張強度を付与するものであり、かつ、柔軟性を有する不織布を積層することで防護服の着用感を高めることができる。
前記のように、X線遮蔽層を外面に露出させて配置すると、X線を含む放射線を外面に露出する無機微粒子と接触させてX線遮蔽層内に侵入する前に捕捉して減衰できる。さらに、人体側に位置する多孔性フィルムの基層および多孔質の不織布に達するまでに、侵入したX線をX線遮蔽層中で遮蔽・減衰し、人体にとって無害の放射線量に低減できる。
なお、前記外面に位置するX線遮蔽層の外面に空孔率が高い不織布を積層し、X線遮蔽層を内面側の多孔性フィルムからなる基層とで挟持し、通気性を損なうことなくX線遮蔽層の支持強度を高めると共に保護し、X線遮蔽層の無機微粒子が他物質と接触して損傷を受けるのを防止してもよい。
前記のように、本発明の積層多孔性フィルムは、多孔性フィルムを基層とし、該基層の表面にX線減衰機能を有する無機微粒子を樹脂バインダーで部分的に固着したX線遮蔽層を設け、該X線遮蔽層も無機微粒子の間に隙間がある多孔質層としているため、X線遮蔽機能を有しながら通気性を備え、放射線防護服の素材として好適なものとなる。
本発明の積層多孔性フィルムを示し、(A)は断面図、(B)は要部拡大断面図である。 第2実施形態を示し、(A)は放射線防護服の概略図、(B)は該放射線防護服の素材の要部拡大断面図である。 第2実施形態の変形例を示す断面図である。 第3実施形態の放射線遮蔽材の断面図である。 従来例の断面図である。
以下、本発明に係わる積層多孔性フィルムについて説明する。
図1(A)(B)に示すように、本発明の第1実施形態の積層多孔性フィルム1は多孔性フィルムからなる基層2にX線遮蔽層3を積層した積層多孔性フィルムであり、放射線に対する防護服や防護材として用いられるものである。
以下に前記基層2、X線遮蔽層3の成分、構造および製造方法について詳述する。
[多孔性フィルム(基層)]
基層2は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。具体的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
中でも、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔性フィルムが好ましい。ポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂がより好適に用いられる。
ポリエチレン系樹脂として、エチレン単独重合体およびエチレン−プロピレン、エチレン−(1−ブテン)、エチレン−(1−ヘキセン)、エチレン−(4−メチル−1−ペンテン)およびエチレン−(1−オクテン)などのエチレン−(α−オレフィン)共重合体などが挙げられる。これらは、チーグラー系、フィリップス系などのマルチサイト触媒、またはメタロセン系などのシングルサイト触媒を用いて重合される。中でも、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の密度は、高密度ポリエチレンの場合、0.945〜0.970g/cm、直鎖状低密度ポリエチレンの場合、0.915〜0.940g/cmである。ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(以下、MFRと示す)はいずれも好ましくは0.1〜20g/10min、より好ましくは0.5〜10g/10minである。前記MFRが0.1g/10minより小さいと薄膜フィルムへの成形性が悪く、20g/10minより大きいと機械強度に乏しくなるため好ましくない。
ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体および(プロピレン−エチレン)ランダム共重合体、(プロピレン−ブテン)ランダム共重合体などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂の密度は0.86〜0.93g/cmが好ましく、ポリプロピレン系樹脂のMFRは好ましくは1〜20g/10min、さらに好ましくは2〜10g/10minである。前記MFRが1g/10minより小さいと薄膜フィルムへの成形性が悪く、20g/10minより大きいと機械強度に乏しくなるため好ましくない。
前記基層2は、樹脂を押出成形して無孔のフィルムを成形した後、延伸によって多孔性フィルムとしている。この製膜工程時の押出安定性,延伸性を向上させるため、高圧重合法で製造された低密度ポリエチレンを添加しても良い。これにより、生産性が総じて良くなるために好ましい。
前記基層2に充填材を含めることが好ましい。充填材を含めることにより、熱可塑性樹脂と充填材との界面剥離が延伸によって発現して、空孔2bが生じ、多孔性フィルムとなる。前記充填材の種類は特に限定されず、有機充填材でも無機充填材でも構わないが、製造面において無機充填材がより好ましい。無機充填材として、具体的には、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどが挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。
前記充填材の配合量は、熱可塑性樹脂100質量%に対して、充填材が60〜400質量%含まれていることが好ましい。前記充填材が規定された範囲だけ含有することによって、通気性が得られ、十分な透気特性を得ることができる。
前記基層2に含める充填材の平均粒子径は好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。該充填材の平均粒子径を0.1μm以上とすることで、粒子の分散不良および二次凝集の発生を十分に抑制することができる。一方、該充填材の平均粒子径が20μm以下とすることで、延伸時に多孔化した際に大きな空孔の発生に伴う強度低下が抑制され、十分な強度を確保することができる。また、樹脂との分散性・混合性を向上させる目的で、充填材を表面処理剤により表面処理させてもよい。表面処理剤として、脂肪酸、脂肪酸エステルなどをあらかじめ充填材にコーティングし、充填材表面を樹脂となじみ易くしておくことが好ましい。
また、多孔性フィルムの基層2は前記樹脂と充填材に必要に応じて可塑剤を添加してもよい。具体的には、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、金属石鹸、高級アルコール、ワセリン、パラフィンワックス、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ひまし油、水添ひまし油、硬化ひまし油、脱水ひまし油、芳香族エステル、芳香族アミドおよびポリエーテル、ポリエステルなどの低分子量ポリマー(オリゴマー)などの可塑剤、滑剤を良好に分散させる添加剤が挙げられる。
さらに、前記可塑剤のほかに使用目的に応じて、相容化剤、加工助剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、艶消し剤、界面活性剤、抗菌剤、消臭剤、結晶核剤、帯電防止剤、着色剤および顔料などの添加剤を樹脂組成物に添加してもよい。
さらに、前記基層2について、単層構造であっても積層構造であってもよい。積層構造に関しては、本発明の積層多孔性フィルムの機能を妨げない範囲であれば特に限定されない。層構成に関しては、対称構造、非対称構造、互層構造のいずれでもよく、層数に関しては、2層、3層、4層、5層と必要に応じて増やしてもよい。
前記多孔性フィルムからなる基層2は以下の工程で製造する。
前記樹脂と充填材および添加剤をタンブラー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどで混合・分散させる。本実施形態では樹脂としてポリエチレン系樹脂を用い、充填材として炭酸カルシウムを用いている。その後、一軸あるいは二軸混練機または押出機で溶融混練しペレットにする。その際、樹脂(ポリエチレン系樹脂)の融点以上、好ましくは融点+30℃から樹脂組成物分解温度未満で溶融混練する。
次いで、Tダイが装着された押出成型機、円ダイが装着されたインフレーション成型機などの公知の成型法を用いて、ペレットを溶融・製膜する。場合によっては、一旦ペレット化せず、直接製膜することも可能である。
製膜された未延伸フィルムは、延伸法によって多孔化する。延伸方法としてはロール法、テンター法およびストレッチ法などが挙げられる。延伸温度は、フィルムを構成する樹脂組成物の軟化点温度未満で延伸することによって、十分に多孔化が進行するために好ましい。延伸倍率は、1.5〜5.0倍行うことによって、通気性と防水性のバランスが十分保持できるために好ましい。
また、得られた多孔性フィルムの表面濡れ性を改善するため、表面処理を施しても良い。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理、オゾン処理などが挙げられる。中でも、コロナ処理がより好ましい。
[X線遮蔽層]
X線遮蔽層3は、無機微粒子5と樹脂バインダー6とを含有することが重要である。
無機微粒子5として、硫酸バリウム,炭酸バリウム,酸化バリウム,水酸化バリウム,塩化バリウム,硝酸バリウム,酢酸バリウム,チタン酸バリウム等のバリウム塩を用いることが好ましい。バリウム塩は、バリウムの原子番号,原子量が大きく、安価で、かつ、人体や環境への影響も低いため、鉛代替のX線減衰材として好ましい。中でも、化学的に安定な硫酸バリウムがより好ましい。
X線遮蔽層3における無機微粒子5の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。一方、上限に関して、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは99.0質量%以下である。
無機微粒子5の含有量が90質量%以上とすることによって、十分にX線遮蔽効果を有することができる。また、前記無機微粒子の含有量が99.5質量%以下であることによって、多孔性フィルムの基層2への塗工性および通気性が十分に保持されるため好ましい。
前記無機微粒子5の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.3〜10μmである。0.1μm未満であると、無機微粒子5が多孔性フィルムの基層2の空孔2bを塞ぎ通気性が悪化する。また、20μmより大きいと、多孔性フィルムの基層2とX線遮蔽層3との剥離強度低下,表面のザラつきおよび粒子脱落などの弊害が生じ、実用的でない。
無機微粒子5を互いに固着すると共に多孔性フィルムの基層2に無機微粒子5を固着するために、樹脂バインダー6を用いている。該樹脂バインダー6として熱可塑性バインダーを用いる場合は酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、塩化ビニル系、アクリル系、ポリオレフィン系、セルロース系、シリコーン系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルメチルエーテル系、ポリイソブチレン系、ポリビニルエーテル系およびポリアクリロニトリル系などが挙げられる。熱硬化型バインダーを用いる場合は、ユリア系、メラミン系、レゾルシノール系、フェノール系、エポキシ系、ポリウレタン系およびポリエステル系などが挙げられる。これらを1つまたは複数用いてもよい。
X線遮蔽層3は無機微粒子5と樹脂バインダー6を溶媒中に分散して調整した塗工液を多孔性フィルムからなる基層2に塗工して形成するのが好ましい。
前記溶媒として、水またはアルコール、ケトン、炭化水素などの有機溶剤を用い、これらを混合して用いてもよい。
他にも、粒子分散剤、界面活性剤、乳化剤、安定剤、増粘剤およびpH調整剤などを必要に応じて添加してもよい。
前記無機微粒子5、樹脂バインダー6と溶媒をホモジナイザー、ミキサーなどの攪拌装置を用いて、無機微粒子5および樹脂バインダー6を溶媒中に均一分散させて、塗布液を調整する。
該塗布液を多孔性フィルムの基層2の表面全体に塗工する。該塗工方法としてグラビアコート、バーコート、コンマコートおよびダイコートなどが挙げられる。
前記溶液を特定の厚みに塗工したのち、乾燥させる。乾燥時に溶媒が蒸発し、蒸発後に隙間7が発生し、X線遮蔽層3は隙間7がある多孔質層となる。この工程を1回もしくは複数回行って所要の厚さとしてX線遮蔽層3を形成する。
なお、X線遮蔽層3の厚さによって、X線遮蔽効果、多孔性、重量変化等の物性が変化するため、使用環境・目的に応じてX線遮蔽層3の厚さを適宜調節する必要がある。
前記工程で、多孔性フィルムからなる基層2にX線遮蔽層3を一体に積層した積層多孔性フィルム1を取得している。
該積層多孔性フィルム1は、基層2の厚みt1とX線遮蔽層3の厚みt2を合計した全体厚みt3を10〜300μmとするのが好ましい。より好ましくは全体厚みt3を30〜250μm、さらに好ましくは50〜200μmである。
前記全体厚みt3を10μm以上とすることによって、十分にX線を減衰することができる一方、全体厚みt3を300μm以下とすることによって、十分な柔軟性,通気性および着用時の快適性を付与することができる。
前記基層2とX線遮蔽層3とからなる積層多孔性フィルム1の目付量は20〜300g/mとしている。
該目付量とした積層多孔性フィルム1の重量は同一厚さとした鉛板の重量の10〜90%と非常に軽量となる。
また、積層多孔性フィルム1は、全体厚みt3の10〜90%をX線遮蔽層3の厚みt2とすることが好ましく、該X線遮蔽層3の厚みt2を20〜80%とすることがより好ましく、40〜80%とすることがさらに好ましい。
前記のように、全体厚みt3を10〜300μmとし、X線遮蔽層3の厚みt2を10〜90%とすると、X線遮蔽層3の厚みt2は1〜270μmとなるのが好ましい。該X線遮蔽層3の厚みt2は、より好ましくは2〜240μm、さらに好ましくは10〜100μmである。
X線遮蔽層3は平均粒径が好ましくは0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmの無機微粒子5を用いている。前記X線遮蔽層3について、前記粒径の無機微粒子5が厚さ方向に5〜500段で積層する状態が好ましい。その際、無機微粒子5の粒径は前記0.1〜20μmの範囲でバラツキ、かつ、各段各列が整列されずランダムに積み上げられる。該X線遮蔽層3は、無機微粒子5が90〜99.5質量%とし、樹脂バインダー6は0.5〜10質量%と少量とし、溶媒を加えてスラリー状で塗工した後に溶媒が蒸発するため、図1(B)に示すように、無機微粒子5同士は樹脂バインダー6で部分的に接着すると共に、隣接する無機微粒子5の間に隙間7ができる。
前記X線遮蔽層3中の隙間7は三次元方向に連通し、X線遮蔽層3は多孔質層となる。該X線遮蔽層3の外側露出面3aから基層2との接着面3bの間の厚さ方向で無機微粒子5が好ましくは5〜500段で並び、厚さ方向の隙間7の両側に多数の無機微粒子5が露出する。これら多数の無機微粒子5が隙間7を透過するX線と接触し、接触した放射線の透過を遮蔽し、基層2に達するまでの間にX線量を効率よく減衰し、X線遮蔽層3のX線減衰率を飛躍的に高めることができる。なお、X線は隙間の透過速度が空気より遅いため、隙間7の透過時に接触した無機微粒子で放射線を効率よく減衰でき、基層2に達するまでに人体にとって無害な放射線量まで低減できる。
前記多孔性フィルムからなる基層2と多孔質のX線遮蔽層3とを積層した本発明の積層多孔性フィルム1の透気度は10〜10,000秒/100mLとしている。好ましくは50〜5,000秒/100mL、更に好ましくは100〜3,000秒/100mLとしている。
透気度が10,000秒/100mL以下であることによって、十分な通気性を有し、防護服の素材に用いた場合に着用性を高めることができる。一方、透気度が10秒/100mL以上であることによって、防水性およびバリア性という効果も十分に保持でき、放射性物質を含む液体の浸水を防止でき、放射線に対する防護機能も十分に備えている。
また、前記積層多孔性フィルム1は、無機微粒子5を有するX線遮蔽層3を積層していることで、鉛当量0.002mmPb以上のX線遮蔽機能を有するものとしている。X線遮蔽機能の観点から、好ましくは鉛当量0.003mmPb以上である。鉛当量が0.002mmPb未満であると、X線を含む放射線防護服として用いる場合に、放射線遮蔽機能を人体に取って許容できる放射線量に減衰することが難しくなる。
なお、鉛当量は大きい程好ましく、上限は特に限定されないが、鉛当量が0.200mmPbを越えるものとするには無機微粒子5の配合量を増加し、X線遮蔽層3の厚さを大とする必要がある。その場合、目付量が300g/cmを超えて重く且つ厚くなると共に可撓性や柔軟性が低下し、防護服の素材としては不適となる。
鉛当量(mmPb)は後述するX線透過試験設備を用いて透過率を計測し、その値から鉛当量を求めた。
[実施例]
以下に、本発明の積層多孔性フィルムの実施例および比較例を示す。なお、本発明の積層多孔性フィルムは下記実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
実施例1〜3および比較例1、2で用いた多孔性フィルムからなる基層の原材料および製造方法は以下の通りである。
原材料は以下の成分からなる。
・直鎖状低密度ポリエチレン(F30FG、日本ポリエチレン株式会社、密度:0.921g/cm、MFR:1.1g/10min)40.0質量%
・低密度ポリエチレン(LF441、日本ポリエチレン株式会社、密度:0.918g/cm、MFR:2.3g/10min)2.0質量%
・水添ひまし油(HCO−P3、川研ファインケミカル株式会社)3.0質量%
・炭酸カルシウム(ソフトン2600、備北粉化工業株式会社、平均粒子径0.8μm)55.0質量%
なお、ポリエチレン系樹脂の密度はJIS K7112、MFRはJIS K6922−2に準拠して測定した値である。
上記原材料をヘンシェルミキサーで攪拌後、180℃の二軸押出機で溶融混練し、ペレット化した。その後、円ダイを用いたインフレーション成形により190℃で製膜した。この製膜した無孔フィルムをロール法で60℃、3.2倍の一段延伸を行った。これにより、平均目付量20g/m、厚み18μmの多孔性フィルムからなる基層を得た。
[実施例1〜3]
X線遮蔽層の原材料および製造方法は以下のとおりである。組成は表1に示す。
・無機微粒子:硫酸バリウム B−54(堺化学工業株式会社、平均粒子径1.2μm)
・無機微粒子:硫酸バリウム B−55(堺化学工業株式会社、平均粒子径0.66μm)
・樹脂バインダー:ポリビニルアルコール(PVA−124、株式会社クラレ、純度:94.0%以上、けん化度:98.0〜99.0%、平均重合度:2400)
・pH調整剤:塩酸(ナカライテスク株式会社、純度:99%以上)
・溶媒:2−プロパノール(ナカライテスク株式会社、純度:99%以上)
・溶媒:蒸留水
樹脂バインダーとして用いるポリビニルアルコールを蒸留水で溶解させた溶液に、前記無機微粒子を少量ずつ加えながら、ホモジナイザーで均一に分散させて、スラリー状溶液からなる塗布液を調整した。
前記製造した多孔性フィルムの基層をA4紙サイズに切り出し、前記塗布液をバーコーター#50で塗工し、25℃で30分間自然乾燥させた。これにより、基層2とX線遮蔽層を一体に積層した多孔性フィルムを製造した。
Figure 0005848991
[比較例1]
前記製造例1によって作成した多孔性フィルムからなる基層のみを用いた。
[比較例2]
孔の無い無垢のアルミニウム箔(厚み:12μm)のみを用いた。
実施例1〜3、比較例1、2の物性評価結果を表2に示す。
Figure 0005848991
表2に記載の物性評価は以下に記載の方法で行った。
(1)厚み(μm)
実施例1〜3の積層多孔性フィルムからなる試料および比較例1、2の試料を、それぞれ10cm四方の正方形に採取した。1枚につき5cm間隔で9点の測定点について、ミツトヨ製厚みゲージ547−055型を用い測定し、その平均値を求めた。
また、実施例1〜3のX線遮蔽層の厚み(μm)は、比較例1の基層の厚みを差し引いて算出した。
(2)透気度(秒/100mL)
JIS P8117(ガーレー試験機法)に規定される方法に準じた王研式透気度測定器(EG01−55型、旭精工株式会社製)を用い、サンプルは無作為に5点採取し、その平均値を求めた。
(3)鉛当量(mmPb)
以下のX線透過試験設備を用いて透過率を計測し、その値から鉛当量を求めた。
・X線透過試験装置:東芝 EX−260GH−3
・X線管電圧:100kV
・検出機器:ラドコン VICTOREEN Model500
プローブ VICTOREEN 550−4−T
・X線ビームの大きさ:φ22mm
測定方法は、発生装置からのX線を総ろ過(1mm厚みベリリウム箔+2mm厚みアルミニウム箔+0.3mm厚み銅箔)、直径φ22mmの鉛コリメーターで絞り試料を透過させ、透過したX線の線量を計測器で測定した。測定1点に対し10回測定を行い、平均値を求めた。得られた線量からX線透過率を求め、同条件における鉛箔のX線透過率から比較・換算した。
実施例1〜3の積層多孔性フィルムは、透気度が754〜1216秒/100mLの範囲で通気性を大きく損なわず、かつ、鉛当量が0.002〜0.005mmPbの範囲でX線減衰機能を有することが確認された。
一方、多孔性フィルムの基層のみでX線遮蔽層を有さない比較例1は、当然のことながら、X線減衰機能を全く有さなかった。アルミニウム箔のみを用いた比較例2は、わずかにX線減衰機能が見られるものの、金属箔であるため通気性は無かった。従って、比較例1、2は通気性を伴ったX線遮蔽材、もしくは防護服に不適であることが確認できた。
また、実施例1〜3および比較例1、2のX線遮蔽層の厚み(mm)、鉛当量換算(mmPb)、鉛箔との厚み比(倍)の実測結果を下記の表3に示す。
Figure 0005848991
表3において、比較例1ではX線減衰機能はないため鉛当量は0mmPbであり、比較例2の無垢のアルミ箔は0.001mmPbで若干X線減衰機能があるが、通気性は全くない。本発明の実施例1〜3は0.002〜0.005mmPbでアルミ箔以上のX線減衰機能を有することが確認できた。この表3の結果から、本発明の実施例1〜3は硫酸バリウムからなる無機微粒子を多段で積み重ねているため、通気性を保ちながらX線減衰機能が優れていることが確認できた。
なお、表3における鉛当量および鉛箔との厚み比は、前述したX線透過率の測定結果から求めた。
図2(A)(B)に本発明の第2実施形態の放射線防護服10を示す。
放射線防護服10はアッパーとボトムとを連続した繋ぎタイプで、かつ、フードも取り付け、顔を除く全身を被服できるもので、使い捨てとしている。
図2(B)に示すように、放射線防護服10は素材として、前記積層多孔性フィルム1の基層2に多孔性の不織布層11を積層した3層の積層多孔性素材12を用いている。
該3層の積層多孔性素材12はX線遮蔽層3を外面に露出させ、該X線遮蔽層3の内面に多孔性フィルムからなる基層2を配置し、該基層2の人体側となる内面に前記不織布層11を配置している。
前記不織布層11は多孔性フィルムからなる基層2より空孔率を大とし、透気度を小さくして通気性、通湿性を大としている。かつ、人体側の最内面に配置することで、内面側に柔軟性を持たせることで着用感を高めている。
不織布層11は樹脂繊維から形成し、引張強度を積層多孔性フィルム1より大として、防護服の素材として強度を高めている。
前記防護服の積層多孔性素材12は、X線遮蔽層3に人体に有害な鉛を用いずにX線を含む放射線を遮蔽、減衰できるものとしており、かつ、通気性、通湿性に富み、さらに軽量であるため長時間着用しても負担にならず、着用感のよい放射線防護服10とすることができる。さらに、X線減衰用の無機微粒子5として比較的安価に入手できる硫酸バリウム等のバリウム塩を含む粉末を用いているため、使い捨て用とすることができる。
なお、防護服以外に、手袋、靴カバー、マスク等も前記積層多孔性素材12で形成することができる。
図3に第2実施形態の放射線防護服の変形例を示す。
該変形例では、X線遮蔽層3の外面にも不織布層14を積層し、X線遮蔽層3と基層2の内外面を不織布層11と14で挟んだ構造とし、積層多孔性素材15の全体強度を高めている。
図4に第3実施形態の壁材からなる放射線遮蔽材を示す。
該放射線遮蔽材20は建造物の壁の外面に張り付ける壁面材としており、前記基層2とX線遮蔽層3を積層した積層多孔性フィルム1に難燃層16を積層している。
前記放射線遮蔽材20を放射線レベルが高い区域に立地する建造物の壁外面に貼ると、建造物の内部への放射線の侵入を低減、阻止できる。
なお、放射線遮蔽材20は壁材以外に、床材、天井材、窓ガラス等の被覆材としても好適に用いられる。かつ、X線装置等のX線を含む放射線を発生する装置の被覆材や包装材等としても好適に用いられる。
1 積層多孔性フィルム
2 多孔性フィルムからなる基層
3 X線遮蔽層
5 無機微粒子
6 樹脂バインダー
7 隙間
10 放射線防護服

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂を含有する多孔性フィルムの基層と、
    X線減衰機能を有し、かつ、平均粒子径が0.1〜20μmの無機微粒子と樹脂バインダーとを含有する多孔質のX線遮蔽層とを積層した積層多孔性フィルムとし、
    前記X線遮蔽層は、前記無機微粒子を、前記X線遮蔽層の外側露出面から前記基層との接着面の間の厚さ方向で、5〜500段で積層した構造を有し、
    該積層多孔性フィルムは、鉛当量0.002mmPb以上のX線遮蔽機能を有すると共に、透気度が10〜10,000秒/100mLであることを特徴とする積層多孔性フィルム。
  2. 前記X線遮蔽層の無機微粒子は、鉛、タングステン、プラチナ、金を除く原子番号が55以上で、原子量が200未満の元素を有するものとし、
    前記基層の熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂を主成分とする請求項1に記載の積層多孔性フィルム。
  3. 前記X線遮蔽層の無機微粒子はバリウム塩を含むものであり、該X線遮蔽層における無機微粒子の含有量は90質量%以上99.5質量%以下である請求項1または請求項2に記載の積層多孔性フィルム。
  4. 前記樹脂バインダーが、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の積層多孔性フィルム。
  5. 前記基層は充填材を含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
  6. 前記積層多孔性フィルムの厚みが10〜300μm、厚み全体の10〜90%が前記X線遮蔽層であり、可撓性を有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
  7. 前記基層とX線遮蔽層とからなる積層多孔性フィルムの目付量は20〜300g/m である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルム。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムの製造方法であり、前記無機微粒子および前記樹脂バインダーを溶媒中に分散した塗布剤を調製し、
    前記塗布剤を多孔性フィルムからなる基層の表面に塗工し、
    前記塗工後に乾燥して前記溶媒を蒸発させ、蒸発痕が隙間となった多孔質の前記X線遮蔽層を前記基層表面に形成している積層多孔性フィルムの製造方法。
  9. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムを用いた放射線遮蔽材。
  10. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の積層多孔性フィルムを用いた放射線防護服。
  11. 前記X線遮蔽層は外面側、前記基層を前記X線遮蔽層より人体側の内面側とし、該基層の内面側に多孔質の不織布を積層している請求項10に記載の放射線防護服。
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