「最初の決定的瞬間」という用語は、検討している製品を選択するか否かについて、買い物客が購入のために製品を最初に検討するために費やす決定の時間である。さらに、最初の決定的瞬間の主要な構成要素としては、1)選択のために検討される製品、2)購入が選択された場合、選択された製品、3)買い物客が選択のために特定の製品を検討するのに費やす時間、4)選択のための製品検討時における製品位置に対する買い物客の店内の推定位置(例えば、生鮮食品、ディスプレイ、特設売場(end-cap)など)、および、上で述べた4つの主要な要素のうちのいずれか1つの1つ、2つ、3つまたは4つが挙げられる。典型的には、最初の決定的瞬間には時間に幅があり、約2〜約7秒である。当業者であれば、最初の決定的瞬間が典型的な閾値を越えて延長する場合があり、そのような延長がなお、本明細書における最初の決定的瞬間についての定義の一部をなすことを容易に認識するであろう。
本明細書で使用される「意図した購入品」および「購入の意図」という用語は、買い物客が、購入の可能性を検討して、店の棚、売店またはディスプレイから製品を取り出すこと、ならびに、買い物客が手にした製品が買い物客の買い物リストに含まれることを意味する。
本明細書で使用される「追跡通信」という用語は、無線端末装置が買い物客にごく近接して配置されている場合、無線端末装置を追跡する通信マルチネットワークの能力を意味する。
本明細書で使用される「ゲートウェイサーバ」という用語は、ゲートウェイサーバによって、従業員タスク管理サーバ、コンピュータ支援発注システムコンピュータ、販売時点情報管理サーバ、位置追跡サーバ、ISPサーバまたは他の店のコンピュータなどの他の店サーバにルーティングされているスイッチを介して店の通信マルチネットワークからデータを受信するサーバを意味する。
本明細書で使用される「計算機能」という用語は、ソフトウェア、メモリおよび処理装置を備えたコンピュータまたはコンピュータのような装置で行われる、一般に当該技術分野で知られているありとあらゆるマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラに基づく計算タスクまたはルーチンを意味する。
本明細書で使用される「計算作業」という用語は、複雑なマイクロコントローラおよび/または中央処理装置(CPU)を有する公知のコンピュータおよび/またはサーバ型装置に関連づけられているその種の一般的な計算を意味する。計算作業を行うそのような装置は典型的に、広範囲なソフトウェアを実行して、その中の任意の各種ルーチンおよびサブルーチンを実行する能力を有する。
「影響」または製品選択に「影響を与えること」という用語は、(1)健康リスクの可能性、(2)より安価な代わりの製品(1つまたは複数)、(3)より高く評価されている代わりの製品(1つまたは複数)、(4)まもなく選択されるか選択された製品(1つまたは複数)に追加される補完的な製品、および/または(5)製品情報を買い物客に認識させるシステムの能力を意味する。本明細書では、好ましい影響を与えることによって、買い物客の最大の興味に一致する方法で買い物客を行動させたり、行動させなかったりすることに留意されたい。
本明細書で使用される「無線端末装置」という用語は、電子装置および、理想的には通信マルチネットワークを介して無線で動作し、かつ買い物客が小売店内全体を移動する際に、買い物客にごく近接して使用される携帯電子装置を意味する。各無線端末装置は、通信ネットワーク全体にわたってブラインドノードとして動作する。
本明細書で使用される「ブラインドノード」という用語は、追跡位置サブシステム以外のシステムに知られていない通信マルチネットワークのノードを意味する。
例示的な一実施形態では、無線端末装置は、「製品スキャン装置」に接続されている。本明細書で使用される「製品スキャン装置」という用語は、読み取り可能な媒体をスキャンする電子装置を指す。製品スキャン装置としては、写真を撮ることができる撮像装置が挙げられるが、これに限定されない。読み取り可能な媒体は、電子装置および場合により人間によって読み取りまたは理解可能な小売店内の商品または商品群のための固有の識別子である。バーコードは、読み取り可能な媒体の一例である。バーコードとしては、国際取引商品番号(GTIN)、UPC、UPC−A、UPC−E、EAN13、EAN8、Databar(複数の型)、GSl−128および当業者に知られている任意の他の製品識別コードが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの例示的な実施形態では、無線端末装置は、無線端末装置が買い物客にごく近接して一緒に保持されているインテリジェントショッピングカートに一時的に接続されている。本実施形態では、無線端末装置およびインテリジェントショッピングカートは、通信マルチネットワークに関連づけられかつ通信接続されている。他の例示的な実施形態では、無線端末装置は、インテリジェントショッピングカートに恒久的に接続されている。インテリジェントショッピングカートは、その中に商品を受容しかつ計量するように構成されたショッピングカートである。インテリジェントショッピングカートは、通信マルチネットワークのメッシュ型通信ネットワークによって追跡通信されている。
買い物客が無線端末装置を有しながら小売環境内全体にわたって買い物をする際に、前記買い物客の製品選択に影響を与える様々な方法を実施するためのシステムおよび方法が本明細書において提供される。例示的な一実施形態では、小売店は、実際のリアルタイム買い物客行動データ、買い物客位置データ、製品選択データおよび製品選択計時データを合わせたものを獲得し、それらを使用して1つまたは複数の影響力のあるメッセージを生成する。以下、これらの様々な種類のデータについて順番に定義する。
本明細書で使用される「買い物客位置データ」という用語は、公知の製品位置に対して無線端末装置に関連づけられている位置追跡装置によって追跡される買い物客の推定位置を意味する。買い物客位置データは、買い物客が小売店内全体を無線端末装置と共に移動する際に、論理エンジンが買い物客の推定位置を追跡する追跡位置サブシステムのプロダクトとして収集される。小売店は、位置追跡サブシステムによって、実際には買い物客にごく近接して保持されている無線端末装置に関連づけられている位置追跡装置の位置を追跡し、実際には人間を追跡しないため、買い物客の位置は推定される。時として、買い物客は、位置追跡装置に接続されている自分に割り当てられた無線端末装置から離れて歩いている。このような場合、買い物客位置データは不正確である。明確にすると、買い物客位置データは、所定の誤差許容範囲内では正確である。
本明細書で使用される「製品選択データ」という用語は、製品スキャン装置が、買い物客が購入のために選択した製品の読み取り可能な媒体をスキャンした際に収集される情報を意味する。前記製品選択データは、(名前および/または内部コードによる)各製品の識別および価格を含むが、これらに限定されない。場合によっては、製品選択データは、製品の製造業者または店への供給元の識別を含む。ある場合には、製品選択データは、購入のために買い物客によって選択された製品の重量またはいくつかの類似した測定単位(体積)を含む。例示的な実施形態では、製品選択データは、製品スキャン装置によって収集された製品選択データごとの日付時間スタンプも含む。
本明細書で使用される「製品選択計時データ」という用語は、論理エンジンによって追跡される、買い物客が製品選択の各時間に費やす時間を意味する。論理エンジンは、買い物客が店内全体にわたる移動速度を減速し始めるのと同時に買い物客の位置が製品位置データに適合する瞬間から、買い物客が1つまたは複数の製品の読み取り可能な媒体をスキャンする瞬間までに経過する時間を記録し始めることによって、製品選択計時データを生成する。製品選択計時データは、無線端末装置内に物理的に位置づけられた計時装置、無線端末装置上にプログラムされた計時ソフトウェア、あるいは論理エンジンに関連するハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって、決定および追跡される。例示的な実施形態では、誤った最初の決定的瞬間が検出された場合、前記製品選択計時データは削除される。誤った最初の決定的瞬間の検出については、以下により詳細に述べる。製品選択計時データはシステムに知られているが、それは、買い物客が店内全体を移動する際の買い物客の概位置が知られており、かつこの位置追跡データが、実際のリアルタイムで瞬間ごとに評価可能であるからである。
例示的な一実施形態では、小売店は(具体的には、論理エンジンを介して)、本明細書において製品位置として知られている各製品または各群の製品の位置を認識しているが、それは、店の従業員が、店に商品を仕入れた際に、各群の製品の位置を製品データベースに記録しているからである。店のほぼ全ての他の物理的な要素に店の地図上に配置されたかその上に並置された二次元のXおよびYグリッド上の座標が割り当てられているのと同様に、製品群の位置に製品位置地図上の座標が与えられている。例示的な一実施形態では、小売店は、論理エンジンを介して、前記小売店のディスプレイ上の製品の約80パーセントを超える正確な位置を認識している。他の実施形態では、小売店は、製品位置(前記小売店内のディスプレイ上の製品の正確な位置)の大半を認識している。従って、リアルタイムに収集された買い物客位置データによる小売店内の各無線端末装置の推定位置についての知識と、製品位置についての知識によって、小売店は、買い物客位置データを製品位置と比較して、買い物客が小売店内のディスプレイ上のある製品にごく近接する時を決定することができる。
実際には、本明細書におけるシステムは、買い物客の速度が買い物客の平均速度より実質的に遅いことを検出した場合、および、買い物客の店内における推定位置が店内の製品ディスプレイの前にある場合に、買い物客の製品選択への関与を検出する。この検出の一部は、購入の可能性についての製品検討時間と典型的な買い物客の店内での典型的な移動の2つの相対速度の比較を含む。例示的な実施形態では、店は、店内での買い物客の平均速度を含む特定の買い物客に関する詳細なプロフィールを有するため、論理エンジンの最初の決定的瞬間の検出は、非常に正確である。
本明細書で使用される「実際のリアルタイム買い物客行動データ」という用語は、買い物客の識別データ、位置追跡データ、製品スキャンデータおよび製品選択計時データを合わせたものを意味する。理想的には、実際のリアルタイム買い物客行動データは、買い物客の個人的および人口統計学的プロフィールも含む。
小売店の論理エンジンは、前記実際のリアルタイム買い物客行動データを用いて、影響力のあるメッセージを生成し、かつ小売店の中または周りで買い物をする際に前記買い物客にごく近接して位置する無線端末装置にそれを送信する。他の実施形態では、小売店は、製品選択計時データおよび買い物客の位置追跡データのみを使用して、影響力のあるメッセージを生成し、次いで、小売店の中または周辺で買い物をする際に前記買い物客にごく近接して位置する無線端末装置にそれを送信する。
論理エンジンは、本明細書において各買い物客が自分の買い物全体に費やす全時間としてみなされる「買い物計時データ」を生成する。買い物客が自分の買い物を完了していない場合、買い物計時データは不完全であるが、前記買い物客が自分の現在の買い物にその時点までに費やした時間を反映する。前記買い物計時データを生成するために、前記論理エンジンは、買い物客の無線端末装置が店の通信マルチネットワークと関連する最初の瞬間から、買い物客が店で精算をする時間までに買い物客が店内で費やす全時間を記録する。
明確にすると、本明細書で使用される「論理エンジン」という用語は、スイッチおよびサーバを備えた1つまたは複数の電子装置を意味する。論理エンジンは、1つまたは複数のサーバ級のコンピュータなどのハードウェアを備えるが、ソフトウェアを介してある計算機能を実行する能力も備える。ソフトウェア以外の当該技術分野で知られている機構は、その機構によって、論理エンジンに論理関数を行わせて、位置算出、評価、行為計時などを提供させることができる限り使用することができる。論理エンジンは、スイッチ、ゲートウェイサーバおよび店のコンピュータ、例えば、従業員タスク管理サーバ、コンピュータ支援発注システムコンピュータ、店内処理装置(ISPサーバ)、位置追跡サーバ、コマースサーバまたは他の店のコンピュータの機能もさらに行うことができる。さらに、論理エンジンは、製品データベースおよび買い物客プロフィールデータベースを含むがこれらに限定されない小売店の主なデータベースとしての機能を果たす。機能的には、論理エンジンは、通信マルチネットワークの他の構成要素から受信したデータをルーティングし、編成し、管理しかつ格納する。例示的な実施形態では、論理エンジンは、光線追跡算出およびブラインドノード位置算出を行う手段を有する。本明細書に記載されている実施形態は「1つの論理エンジン」について述べているが、通信マルチネットワーク内の同じ機能を行うために複数の論理エンジンを使用できることが想定される。
本明細書に開示されているシステムおよび方法の全部ではないにしても大部分において、買い物客と小売店との必要な無線電子通信は、前記無線電子通信が小売店によって管理されている境界(例えば、店駐車場)を含むことができる小売店の敷地内の小売店自体の中で行われると、通信マルチネットワークを介して行われる。通信マルチネットワークが使用可能な実施形態では、2つ以上の通信ネットワークが、一緒であるが、必ずしも従属せずに機能して、買い物客によって使用される無線端末装置の位置を追跡し、製品の位置を追跡し、最初の決定的瞬間を追跡し、かつ小売店の中または周囲の製品および買い物客の識別を認識する。通信マルチネットワークは、(1)少なくとも2つのメッシュ型通信ネットワーク、(2)少なくとも2つの星型通信ネットワーク、(3)それにより位置追跡装置が動作する少なくとも1つの星型通信ネットワークおよび少なくとも1つのメッシュ型通信ネットワーク、または(4)当業者に知られている2種以上の他の通信ネットワークを含む。選択された実施形態では、通信マルチネットワークは、構造的には1つのネットワークであるが、機能的には、2つ以上の別々に機能するネットワークとして動作する。例えば、星型通信ネットワークおよびメッシュ型通信ネットワークとして同時に機能する1つのネットワークであってもよい。
例示的なメッシュ型通信ネットワークは、米国電気電子学会(IEEE)802.15.4通信プロトコル内で動作するZIGBEE通信ネットワークであるが、当業者であれば、802.15.4の代わりに用いることができる他の通信プロトコルを知っているであろう。本明細書において、メッシュ型通信ネットワークとしてZIGBEE通信ネットワークを使用する利点はいくつかある。ZIGBEE通信ネットワークは、その低消費電力、低実装費、高密度の構成要素の使用(例えば、1つのメッシュ型通信ネットワークにつき、数百個はないとしても数十個のマルチネットワークルータおよび/または無線端末装置の使用)およびその簡単な通信プロトコルで知られている。ZIGBEEプロトコルは、低速データレートおよび低消費電力で動作する無線通信ネットワークでの使用を目的としている。ZIGBEE通信ネットワークは、工業用制御、埋め込み検知、医学データ収集、煙および侵入者の警告、ビルディングオートメーション、ホームオートメーションおよび多くの他の用途のために使用することができる安価な通信マルチネットワークも提供する。得られるネットワークは非常に少量の電力を使用するため、個々の装置を、最初にインストールしたバッテリを用いて最長1年以上動作させることができる。
ZIGBEEプロトコルは、産業、科学および医療(ISM)無線帯域において、すなわち、欧州では868MHz、米国では915MHzおよび世界的な大部分の他の管轄区域では2.4GHzで動作する。ZIGBEE技術は、単純で、安価かつ容易に維持可能であることを目的としている。1つの実行では、ZIGBEE通信ネットワーク内の最も優れたマルチネットワークルータは、典型的なブルートゥースまたは他の無線インターネットノードのソフトウェアの約10%のみを必要とするが、ブルートゥースの実行も本明細書において想定されている。別の実行では、マルチネットワークルータは、ZIGBEE通信ネットワーク15内で使用される典型的なブルートゥースまたは他の無線インターネットノードのソフトウェアの約2%のみを含み、このようにして、技術的な複雑性および可能性のある維持費を大きく減少させる。
通信マルチネットワークの星型通信ネットワークもIEEE802.15.4通信プロトコル内で動作するが、それは、想定される特定の用途に応じて、異なるプロトコルで動作することができる。さらに、各メッシュ型通信ネットワークは、メッシュ型ネットワークオーガナイザを備える。通信マルチネットワークのある実施形態では、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、マルチネットワークオーガナイザと呼ばれる装置内に、データ通信無線機および1つまたは複数の情報ルータと共に収容されている。
メッシュ型ネットワークオーガナイザ(メッシュ型通信ネットワークのための無線機)は、メッシュ型通信ネットワークの全ての構成要素にアドレスを割り当てる。メッシュ型ネットワークオーガナイザは、ゲートウェイサーバからメッシュ型通信ネットワークへの1つの入口点である。メッシュ型ネットワークオーガナイザは、データパケットとしても知られている情報を、情報ルータおよび店の中央コンピュータへ/からルーティングする。一実施形態では、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、位置追跡データを、情報ルータおよび論理エンジンへ/からルーティングする。一実施形態では、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、イーサネット(登録商標)ケーブルを介して論理エンジンと通信するが、メッシュ型通信ネットワークに取り付けられた他の装置とはメッシュ型通信ネットワークを介して無線通信する。メッシュ型通信ネットワークに取り付けられる他の装置としては、想定される特定の用途に応じて、情報ルータ、無線端末装置、インテリジェントショッピングカート、HVACモニタおよび制御装置、セキュリティシステム、トラフィックカウンタおよび他の電子装置を挙げることができる。情報ルータ間の通信、および情報ルータとメッシュ型ネットワークオーガナイザとの通信は、有線または無線にすることができる。機能的には、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、従業員および買い物客の両方の無線端末装置の位置追跡データを管理者にルーティングする。メッシュ型ネットワークオーガナイザは無線機を介してデータを送信するため、それは、メッシュ型通信ネットワークの他の構成要素に電波を一斉送信するか放射状に放つ。
静止基準ノードとしても知られている情報ルータは、メッシュ型通信ネットワークのエンドノードであり、かつ固定された構成要素である。各静止基準ノードは、インテリジェントショッピングカート、無線端末装置、メッシュ型ネットワークオーガナイザ、他の情報ルータ、およびメッシュ型通信ネットワークに通信接続されている他のネットワーク装置から情報を受信しかつそこに情報を送信するために、メッシュ型通信ネットワークを介して動作する。各情報ルータは、任意の要求元無線端末装置に、受信信号強度表示(RSSI)、情報ルータの位置に属するXおよびY座標および最も近いデータ通信無線機のアドレスを送信する。各情報ルータは、1つまたは複数の無線機を備える。例としては、テキサスインスツルメンツモデル2430および2431が挙げられるが、これらに限定されない。
1つまたは複数の星型通信ネットワークを利用する実施形態では、星型通信ネットワークは、各星型通信ネットワークのハブノードまたは中央ノードとして動作するデータ通信無線機を備える。データ通信無線機は、データパケットとしても知られているデータ情報を、無線端末装置および論理エンジンへ/からルーティングする。一実施形態では、データ通信無線機は、論理エンジンと通信する際は、電線(例えば、イーサネット(登録商標)ケーブル)を介してデータを送信するが、無線端末装置、インテリジェントショッピングカートおよび/または他のブラインドノード、および星型通信ネットワークに取り付けられた電気装置とは、星型通信ネットワークを介して無線通信する。機能的には、データ通信無線機は、影響力のあるメッセージなどのデータを論理エンジンから無線端末装置にルーティングする。データ通信無線機は、厳密に直線で通信する代わりに、星型通信ネットワークの他の構成要素に電波を一斉送信するか放射状に放つ。
メッシュ型通信ネットワークおよび星型通信ネットワークを含む通信マルチネットワークの例示的な実施形態では、メッシュ型通信ネットワークの情報ルータおよび星型通信ネットワークのデータ通信無線機は、本明細書においてマルチネットワークルータと呼ばれる装置内に一緒に収容されている。前記マルチネットワークルータはそれぞれ、少なくとも3つのマイクロコントローラーユニット(MCU)無線機、すなわち、メッシュ型通信ネットワークのための情報ルータとして機能する1つのMCUおよび星型通信ネットワークのためのデータ通信無線機として機能する少なくとも2つのMCUを収容する。3つの無線機のうちの2つは、テキサスインスツルメンツモデル2430または2431などのこれらに限定されない低出力無線機であり、3つ目の無線機は、243xシリーズ以上のテキサスインスツルメンツモデルなどのより大きな出力を有する制御装置である。機能的には、マルチネットワークルータは、他のマルチネットワークルータと無線または有線で通信する。理想的には、マルチネットワークルータは、店内において買い物客、従業員および管理者によって使用される無線端末装置、インテリジェントショッピングカートおよび他の電気装置と無線通信する。マルチネットワークルータは、マルチネットワークオーガナイザを介して中央コンピュータまたは論理エンジンと通信する。
例示的な実施形態では、買い物客の位置追跡は、通信マルチネットワークのメッシュ型通信ネットワークを通して行われるが、星型通信ネットワークを通してそのような追跡機能を動作させることができる。無線端末装置は、通信マルチネットワークの静止無線機(メッシュ型通信ネットワークの情報ルータ、星型通信ネットワークのデータ通信無線機、または通信マルチネットワークのマルチネットワークルータ)と通信する。静止無線機は、買い物客が小売店内全体を移動する際に、買い物客にごく近接して配置されている無線端末装置にそれらの位置座標のXとYの組を送信する。さらに、各静止無線機の信号強度は、無線端末装置、論理エンジンまたは別の店サーバ(例えば、位置追跡サーバ)のいずれかによって測定される。無線端末装置の位置座標のXとYの組は、測定された信号強度および最も近い静止ルータの位置座標のXとYの組に基づいて算出される。本発明のある実施形態の買い物客の位置を追跡するサブシステムについては、2009年1月14日に出願された米国非仮特許出願第12,353,817号および2009年1月14日に出願された米国非仮特許出願第12,353,760号に詳しく説明されており、その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
例示的な一実施形態では、論理エンジンは、店内の製品および買い物客に関する位置データを格納する。買い物客の位置を追跡する例示的なサブシステムでは、論理エンジンは、店内で買い物をしている間に買い物客が選択する経路の地図である進行履歴(historical progression)を作成する。論理エンジンは、特定の買い物のために選択された進行履歴を、前記特定の買い物において買い物客が購入する商品のリストと突き合わせる。
明確にすると、選択された実施形態では、論理エンジンによって完了される任意の計算または格納は、位置追跡サーバと呼ばれる特定のサーバによって行うことができる。従って、論理エンジンが本明細書においてこのような文脈で使用される場合はいつでも、位置追跡サーバの使用が想定されている。無線端末装置は、論理エンジンにその固有の識別子アドレスを連続的に送信し、論理エンジンに買い物客位置データを生成させる。上で使用されているように、本明細書における「連続的に」という用語は、ソフトウェア技術者によって定められた所定の時間間隔、例えば、5秒ごとまたは10秒ごとを意味する。さらに、前記無線端末装置が、無線端末装置のソフトウェアにプログラムされた所定の期間に静止している場合、無線端末装置は、自動的に電源を落とすかスイッチを切り、無線端末装置の固有の識別子アドレスの連続送信は終わる。無線端末装置が電源を落とす前の任意の期間は、所定の期間(例えば、10分または30分)として設定することができる。自動的に電源を落とすことができる利点は、エネルギー消費の減少である。さらに、例示的な実施形態では、無線端末装置がその静止位置から動作状態に戻ると、無線端末装置は、自動的に電源を立ち上げて、連続送信および追跡機構を復帰させる。
本明細書におけるシステムおよび方法の例示的な実施形態では、影響力のあるメッセージが前記買い物客の前記無線端末装置に送られる前に、小売店(具体的には論理エンジン)は、各買い物客の最初の決定的瞬間を検出する。いくつかの実施形態では、小売店は、買い物客の位置追跡装置が製品位置の前で所定の期間(例えば、3秒間)停止すると、買い物客が最初の決定的瞬間を経験しているとみなす。他の実施形態では、小売店は、ディスプレイ上の製品から所定の比の範囲内にある場合に、前記買い物客の位置追跡装置が前記店内で所定の速度に減速すると、買い物客が最初の決定的瞬間を経験しているとみなす。さらに他の実施形態では、小売店は、前記小売店内の前記買い物客の速度および位置(または買い物客位置データ)と、前記買い物客の買い物リストおよび前記買い物客の買い物リスト上にある前記小売店内のディスプレイ上の前記製品との近接さとの比較に基づいて、買い物客が最初の決定的瞬間を経験しているとみなす。
いくつかの実施形態では、みなされた最初の決定的瞬間が実際には誤った決定的瞬間であるか否かを決定するために、確証方法が使用される。明確にすると、論理エンジンは、前記買い物客が購入のために製品を検討しているようであるが、実際には選択のために製品を検討していない場合に、誤った最初の決定的瞬間を検出する可能性がある。例えば、前記買い物客が精肉部門に位置し、速度が減速していることを前記論理エンジンに示す買い物客の位置追跡データの知識によって、論理エンジン上のソフトウェアは、可能性のある最初の決定的瞬間をトリガし、それにより、影響力のあるメッセージを届けなければならないことを知らせる。但し、買い物客の位置(この例では、精肉部門)における「クリーンアップ(clean up)」の知識などのさらなる情報によって、論理エンジンは、買い物客が誤った最初の決定的瞬間を経験している可能性があることを決定する。論理エンジンがみなされた最初の決定的瞬間が誤っていると決定した場合、論理エンジンは、前記買い物客に前記影響力のあるメッセージを送らない。
最初の決定的瞬間の確証は、複数の方法で達成することができる。いくつかの実施形態では、論理エンジン上のソフトウェアは、前記製品選択データに関連づけて買い物客位置データを評価して、矛盾した情報を減少またはさらには排除し、誤った最初の決定的瞬間における影響力のあるメッセージの送信を阻止する。他の実施形態では、前記論理エンジンは、前記買い物計時データに関連づけて買い物客位置データを評価して、誤った最初の決定的瞬間を識別する。別の実施形態では、前記論理エンジンは、前記買い物計時データおよび前記買い物客の移動速度に関連づけながら買い物客位置データを評価して、誤った最初の決定的瞬間が存在するか否かを決定する。最初の決定的瞬間が検出された後に、確証が行われるある実施形態では、論理エンジン上のソフトウェアは、多くの場合製品および位置に特有な1つまたは複数の影響力のあるメッセージを自動的に送信して買い物客の行動に影響を与えるようにプログラムされている。
影響力のあるメッセージは、送信される前に論理エンジンによって生成される。買い物客の固有の個人的な識別が知られている場合、影響力のあるメッセージを、特定の買い物客の興味および過去の買い物行動に合わせて修正することができる。無線端末装置が店にごく近接して位置する度に、無線端末装置は、論理エンジンに信号を送ることによって、店の通信マルチネットワークと関連するため、買い物客が自分の無線端末装置と共に買い物をするときはいつでも、小売店は、買い物客の固有の個人的な識別を認識している。
買い物客の識別は、通常は買い物客が無線端末装置を使用し始める各前記買い物の始めに様々な方法で行われる。いくつかの実施形態では、前記無線端末装置が前記買い物の始めに前記買い物客に一時的に割り当てられている場合、買い物客の固有の個人的な識別は、買い物客が自分の無線端末装置に関連づけられている製品スキャン装置上の例示的な買い物客カードの読み取り可能な媒体をスキャンする瞬間に小売店に知られることになる。
他の実施形態では、前記買い物客が、永久的または半永久的に買い物客に以前に割り当てられた無線端末装置と共に前記店に入る場合、あるいは前記無線端末装置が買い物客によって購入された場合であっても、買い物客の固有の個人的な識別は、無線端末装置が前記小売店の前記通信マルチネットワークと関連する瞬間に小売店に知られることになる。無線端末装置が、永久的または半永久的に前記買い物客に以前に割り当てられている場合、買い物客は、自分の無線端末装置に関連づけられている製品スキャン装置上の自分の買い物客カードの読み取り可能な媒体を以前にスキャンしており、そのため、前記買い物客の固有の個人的な識別は、小売店との最初の関連時に特定することができる。
前記買い物客の固有の個人的な識別を識別するために、実際の物理的な買い物客カードは必要でない。買い物客カードが前記店によって利用されていない場合は、前記買い物客が前記小売店に自分の固有の個人識別情報を自発的に提供し、かつ買い物客の固有の個人識別情報が前記論理エンジンに入力された瞬間に、前記買い物客の固有の個人的な識別は、小売環境に知られるようになる。次いで、論理エンジンは、前記買い物客によって使用される無線端末装置の固有の識別アドレスに関連づけられている前記買い物客のための電子ファイルを開く。固有の個人識別情報の論理エンジンへの入力は、直接または間接的に行うことができる。それが間接的に行われる場合は、前記従業員または前記管理者が、前記固有の個人識別情報を、前記通信マルチネットワークに通信接続されているコンピュータに入力し、次いで、コンピュータは、固有の個人識別情報を前記通信マルチネットワークを介して前記論理エンジンに送信する。
例示的な一実施形態では、インテリジェントショッピングカートは、動作中に、論理エンジンに信号を送信することによって、通信マルチネットワークと関連する。次いで、インテリジェントショッピングカートは、一定期間(例えば、10または15分間)、同じ位置に放置されると、通信マルチネットワークの構成要素とのその通信を自動的に停止する。従って、前記インテリジェントショッピングカートが所定の時間にわたって動作していない場合には、インテリジェントショッピングカートは、前記論理エンジンに関連づけられておらず、かつそれによって追跡通信もされていない。無線端末装置と同様に、インテリジェントショッピングカートが使用されていない場合は、自動停止によって、エネルギーが節約される。インテリジェントショッピングカートまたは論理エンジン上にロードされたソフトウェアによって、許容範囲の設定が可能であり、そのため、店は、電力を下げる前にインテリジェントショッピングカートを静止させることができる時間をカスタマイズすることができる。他の実施形態では、インテリジェントショッピングカートは、通信マルチネットワークにごく近接している状態にある限り、通信マルチネットワークと連続的または連続的に近い通信状態にある。
論理エンジンは、個々の買い物客が構成員である買い物客のカテゴリに基づく買い物客の一般的な嗜好についての知識、および買い物客の正確なリアルタイム位置についての知識によって、(1)買い物客の推定上または一般的な嗜好および(2)店内の買い物客の正確なリアルタイム位置に合わせて変更した1つまたは複数の影響力のあるメッセージを送信する。例えば、マライア(ブランド志向の買い物客である29歳の専門職のアフリカ系アメリカ人女性)が、2年前に店から彼女に割り当てられた無線端末装置と共に、店内で買い物を開始する。マライアは、無線端末装置を受け取った2年前に自分のお得意様買い物客カードの読み取り可能な媒体をスキャンした。マライアが自分の無線端末装置と共に店内で買い物を開始すると、無線端末装置が店の通信マルチネットワークと関連し、店内に自分がいることを店に認識させる。小売店は、ブランド志向などの類似した買い物行動特徴を共有する買い物客のカテゴリの中にマライアを入れる。いくつかの実施形態では、小売店は、買い物客のカテゴリの全ての構成員に、彼らが個々に小売店に入店するとすぐに、買い物客のカテゴリに合わせて変更した1つまたは複数の影響力のあるメッセージを論理エンジンを介して送信する。例示的な実施形態では、論理エンジンは、最初の決定的瞬間が検出されると、買い物客のカテゴリの全ての構成員に、買い物客のカテゴリに合わせて変更した影響力のあるメッセージを送信する。
他の実施形態では、小売店は、過去の買い物行動ではなく人口統計学的データに基づいて買い物客を分類する。さらに他の例示的な実施形態では、前記小売店は、以前に示された買い物客の行動と人口統計学的データの両方に基づいて買い物客を分類する。そのような実施形態では、小売店は、ブランド志向で年齢層25〜35歳の専門職のアフリカ系アメリカ人女性全員に合わせて影響力のあるメッセージを変更するであろう。この場合、マライアは、ブランド志向で年齢層25〜35歳の専門職のアフリカ系アメリカ人女性を含む買い物客のカテゴリの全ての他の既知の構成員と同じ影響力のあるメッセージを受信するであろう。
影響力のあるメッセージは、例えば、買い物客に小売店がより高い利益を得る上で異なる大きさまたは量のあるブランドの洗剤を購入させるための提案を含む。買い物客に影響を与える他の可能性があるメッセージとしては、同様の買い物客のカテゴリの他の構成員が頻繁に購入する追加の製品を購入させるための提案が挙げられる。例えば、マライアが洗濯洗剤を陳列している通路にいる間に、彼女の固有の個人識別情報および店内における彼女の位置を認識している小売店は、彼女の無線端末装置に、柔軟剤またはしわとり剤(wrinkle releasing agent)を購入することを提案する影響力のあるメッセージを送信する。
他の実施形態では、各買い物客は、特に最初の決定的瞬間における彼女の固有の個人識別情報に合わせて変更された影響力のあるメッセージを受信する。この影響力のあるメッセージは、買い物客が構成員である買い物客のカテゴリに合わせて変更された影響力のあるメッセージへの追加であっても、その代わりであってもよい。例えば、店は、スティーブ(59歳の白人)が店で毎週100ドルを費やし、かつ、彼が洗濯洗剤を購入する場合、TIDE(登録商標)(3389568;The Procter and Gamble Company製;洗濯洗剤)という商標で市販されている洗濯洗剤しか購入しないことを知っている。この知識によって、店は、スティーブに対して、ブランドを切替えるように彼を誘導するために、CHEER(登録商標)(2825038;The Procter and Gamble Company製;洗濯洗剤)という商標で市販されている洗濯洗剤を購入すると購入価格の5ドル引きになるというような特別価格を提供することができる。スティーブは、自分の洗剤に対して割引を受けるため、利益を得る。小売店も、ある卸売業者を引き留めるか引き付けるためのある販売目的を満たすことおよびより高い利益率の可能性などの複数の方法で利益を得る。例えば、小売店は、TIDE(登録商標)よりもCHEER(登録商標)に対してより高い利益を有している場合があり、従って、スティーブがCHEER(登録商標)を購入し、場合によってはブランドを切替えるかもしれない場合には、小売店は、より高い利益率を得る。
小売店は、様々な方法で買い物客の個人的な嗜好を学ぶ。例えば、小売店は、買い物客に、店の状態、好ましい製品および買い物の経験を改善する方法に関する提案について調査表を記入してもらうことができる。調査表は、小売店または自宅で、紙またはコンピュータのいずれかに記入することができる。小売店は、買い物客の個人的な嗜好を、小売店に関する各買い物客の買い物履歴を見直すことによって学ぶこともできる。さらに、小売店は、買い物客が作成した買い物リストを手入することができるが、それは、作成のために、および複数の方法で小売店と共有するために、システムによって買い物リストが提供されるからである。買い物客は、自宅で製品を使い切った際に、自宅に持ち帰った無線端末装置に関連づけられている製品スキャン装置を用いて製品の読み取り可能な媒体をスキャンすることができる。あるいは、前記買い物リストは、小売店が所有または監視するウェブサイト上で前記買い物客が電子的に作成し、次いで、ウェブサイトから、前記買い物客が買い物をする小売店の論理エンジンに前記買い物リストを伝達することができる。
例示的な実施形態では、論理エンジンは、以下を含むがこれらに限定されない様々な情報を認識している:(1)買い物客がお得意様買い物カードを得る際に買い物客から収集された人口統計学的情報、(2)例示的な買い物カードに関連づけられている購入履歴、(3)進行履歴、(4)買い物客調査表から収集された情報、および(5)買い物客の個人のコンピュータまたは無線端末装置によって、店でない位置(例えば、買い物客の自宅)で買い物客が作成した買い物リストおよび/または在庫リスト。小売店によって知られている、かなりの量の買い物客情報は、店でない位置で買い物客によって作成される。この買い物客情報の多くは、永久的または半永久的に買い物客に割り当てられた無線端末装置を介して、あるいはインターネットを介して、自宅にいる間に買い物客によって寄与される。店でない位置で作成されるこの多くの買い物客情報を入手できる小売店は、前記買い物客情報を使用して、影響力のあるメッセージを修正するか、あるいは買い物客の次の買い物の間に買い物客に対して使用するために予め作成された適当な影響力のあるメッセージを選択することによって買い物客に影響を与える。
小売店が買い物客の買い物リストを入手できることは、小売店および買い物客の両方にとって有利であるが、それは、小売店が、(1)完全なメニューを提供するために買い物客の買い物リストを補足するか、あるいは(2)レシピを完成させる追加の商品の購入を提案できるからである。例えば、買い物客の買い物リストにホットドッグおよびロールパンがある場合、小売店は、買い物客が調味料の通路にいる際に、買い物客によって使用されている無線端末装置に、買い物客がケチャップ、マスタードおよびレリッシュの購入を検討することを提案する影響力のあるメッセージを送信する。あるいは、小売店は、買い物客がごく僅かな追加材料の購入によって作成できるレシピの使用を提案することができる。例えば、小売店が、買い物客が買い物リスト上にチップスとサルサを有することを認識している場合、小売店は、ナチョーを作るために買い物客が追加としてチーズを購入することを提案する影響力のあるメッセージを送信することができる。
買い物客の在庫リストの知識および買い物客が小売店のある部門にいるという知識によって、買い物客がその部門から離れ始める直前に、あるいは、ちょうどその時に、小売店は、買い物客に影響力のあるメッセージを送信することができる。例えば、小売店は、前記買い物客の在庫リストにはない、その特定の部門において販売されているある製品を忘れないように買い物客に助言を送ることができる。
買い物客が次から次へと変わると同時に、影響力のあるメッセージの内容も変わる。影響力のあるメッセージの内容としては、レシピ提案の形態;買い物客の買い物リストのために提案される追加項目(entry);eクーポン;クーポンに類似しているが、小売環境と顧客との需要供給関係をより十分に反映し得る商品のターゲット価格設定;買い物客が買い物リスト上の製品を通過した際の警告;割引:製品レビュー;競合製品の提案;節約チャンスの拡大(例えば、可能性のあるシステム警告は、「2リットルのソフトドリンク5本を選択したお客様、さらに5本を購入すると、2.00ドルの割引になります」とすることができる);ブランド提携チャンス(例えば、「コカコーラ(登録商標)(コカコーラ社のソフトドリンクに対する登録商標)を選択したお客様、コカコーラ(登録商標)と一緒にレイズ(登録商標)(Recot社のポテトチップスに対する登録商標)をちょっとお試しになりませんか?」);製品選択の進行履歴に対する応答;一般的な製品警告(例えば、「この製品は鉄を含みます」または「これは酪農製品です」);買い物客のプロフィールに合わせて変更される製品警告(例えば、買い物客のプロフィールが買い物客の家族の誰かが落花生に対するアレルギーを有するというアレルゲンデータを含む場合、影響力のあるメッセージは「お客様がちょうど選択した製品は、落花生を扱う工場で製造されました」であってもよい);組み合わせ製品警告(例えば、「お客様は、本日受け取りのために注文された処方薬と矛盾する処方薬を先週購入されていますので、2種類の処方薬を服用する前に、掛かり付けのお医者様にご相談下さい」);ナトリウム含有量または脂肪分などの特定の製品情報を提供する健康意識警告;製品および店の調査表;小売店内で製品を見つける方法に関する内部地図;および当該技術分野で知られている他の影響力のあるメッセージが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、影響力のあるメッセージは、用いられる媒体の種類によって異なっていてもよく、例えば、テキストメッセージ、電子写真、図、ビデオ、音声、ハイパーリンクおよび双方向メッセージであってもよい。
影響力のあるメッセージを買い物客の製品検討に合わせて変更するこれらの方法に加えて、論理エンジンは、(1)買い物客が小売店内にいる日時、(2)小売店に既に知られている買い物客の一般的な嗜好、(3)小売店に既に知られている買い物客の個人的な嗜好、(4)買い物客の過去の購入品、(5)製品スキャンデータおよび買い物客位置データの論理エンジンによる編成によって店に知られる買い物客のリアルタイムな意図した購入品、(6)買い物客の買い物リスト、(7)買い物客の自宅の在庫リスト、(8)買い物客が特定の製品または製品群の購入の検討に費やす実際の時間、(9)1つまたは複数の商品のために買い物客が入力した予算に従って、買い物客が任意の1つまたはいくつかの商品に対して費やすことを選択した金額、(10)小売店における現在の販売促進用価格(広告されているか別の方法による)、(11)買い物客の過去の段階式電子クーポンまたは以前にスキャンされた紙クーポン、(12)買い物客のプロフィールにある「健康警告」(例:アレルゲン)に対する買い物客の要求、および(13)買い物客が購入する予定であるカテゴリにおける賞味期限間近のために値下げされた個々のパッケージへの警告に対する買い物客の要求を含むがこれらに限定されない情報を用いて、影響力のあるメッセージを変更する。上記リストは決して網羅的でなく、リストへの追加は容易に行うことができる。
理想的には、当該システムは、影響力のあるメッセージを提供し、次いで、それによって買い物客の製品選択に影響を与え、かつ、買い物客は製品の購入を遂行する。そのような影響を与えることとしては、より多くの製品を選択または検討される製品に追加すること、選択または検討された製品をシステムによって提案された製品と交換すること、および/または、買い物客または買い物客の家族の一員によるいくつかの既知のアレルギーまたは化学反応を理由に、選択された製品を除くことが挙げられるが、これらに限定されない。各反応は、実際のリアルタイム買い物客行動データが知られている場合には、論理エンジンによって測定することができる。但し、影響力のあるメッセージが、買い物客の製品選択に影響を与えない場合であっても、小売店は、小売店の提案に従わないという買い物客の決定を認識し、かつ製品が選択されなかった理由を後で解析および再調査するために、買い物客に特定のその情報を保持することができる。小売店は、どの種類の影響力のあるメッセージが最も効果的であるかについて、およびさらには、小売店内のどのディスプレイが、買い物客に製品を選択させるか否かに影響を与えたか否かについて分析することができる。この情報は、今後の影響力のあるメッセージを全ての他の種類の影響力のあるメッセージよりも優れるように変更する機会を小売店に与える。
対照的に、影響力のあるメッセージが論理エンジンによって個々に合わせて変更されず、その代わりに様々なすでに準備された影響力のあるメッセージから選択される実施形態がある。この場合、当該システムは、実際のリアルタイム買い物客行動データに基づいて、すでに準備された影響力のあるメッセージのうち最も影響力のあるものを選択する。他の実施形態は、変更された影響力のあるメッセージと予め作成された影響力のあるメッセージとの混合を用いる。
例示的な一実施形態では、買い物客は、自分が受信したい影響力のあるメッセージの種類を「選択する」。例えば、買い物客には、健康意識警告を望むものもいれば、むしろ製品価格設定、節約チャンス、販売促進などに関するより多くの情報を受信するものもいる。影響力のあるメッセージの種類の例について、以下に順番に説明する。
簡単に上で述べたように、いくつかの実施形態では、小売店は、買い物客があるレシピを作ることを提案することによって、買い物客行動に影響を与える。小売店が、レシピを完成させるためにある商品の購入を提案する場合、小売店は、買い物客の買い物リスト、買い物客の自宅の在庫リスト、または買い物中購入のために買い物客が既にスキャンして選択した商品などの、ある買い物客の情報を認識している。本明細書で使用される「レシピ」という用語は、レシピに酷似した所望の結果を達成するために、商品を購入しかついくつかの方法で組み立てる必要がある計画を含む。例えば、金物屋が買い物客が住宅塗料およびブラシを購入していることを認識している場合、例示的な一実施形態では、金物屋は、影響力のあるメッセージにおいて、買い物客が海綿および上塗りを購入するように提案し、それによって、買い物客は、不適当な(faux)塗装計画を完了することができる。
別の実施形態では、影響力のあるメッセージは、買い物客の既知の買い物リストを使用して、小売店内での買い物の間に移動するのに最善の経路を買い物客に提供する。小売店は、買い物客の買い物リスト上の全ての商品を見つけるための地図または方向を提供するであろう。例示的な実施形態は、買い物客に小売店内でのリアルタイムな事象に合わせて変更される買い物経路を提供する。
これらの実施形態によって、店は、各買い物客の位置、計時および個人的な情報を利用して、買い物客が購入を検討している製品に合わせて影響力のあるメッセージを変更することができる。さらに、影響力のあるメッセージは、買い物客が実際に購入のために製品の選択を検討している際に、通信マルチネットワークを介して無線端末装置に送信される。これは、最初の決定的瞬間時、その間またはその直後であってもよい。
図1は、小売店5の概略平面図を示す。特に、買い物客7、従業員8および管理者9が通信マルチネットワーク10の構成要素間の無線通信のために通信マルチネットワーク10内に配置されかつ関連づけられている小売店5のセクションの上面が示されている。通信マルチネットワーク10は、小売店5の中および周囲ならびに店の敷地内に配置されている。
図1の通信マルチネットワーク10は、メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16を含む。但し、通信マルチネットワークの構成は、意図される特定の用途に応じて異なる。好ましくは、通信マルチネットワーク10は、少なくとも1つのメッシュ型通信ネットワークおよび少なくとも1つの星型通信ネットワークを含む。無線端末装置によって、買い物客7は、通信マルチネットワークを介して機械可読メッセージおよび位置情報を含むデータを論理エンジンに伝達する。例示的な実施形態では、人間が読み取り可能なメッセージ、およびバーコードなどの機械可読情報は、通信マルチネットワーク10の星型通信ネットワーク16を介して伝達されるが、オペレータのXおよびY位置座標は、通信マルチネットワーク10のメッシュ型通信ネットワーク14を介して追跡される。
買い物客7、従業員8および管理者9はそれぞれ、マルチネットワーク通信回線6およびマルチネットワークルータ11を介して、通信マルチネットワーク10のメッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16の両方に接続されている。図1は、マルチネットワークルータ11がメッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16の両方のために動作する一実施形態を示す。各マルチネットワークルータ11は、メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16を介するデータ送信のための構成要素を含むため、メッシュ型通信ネットワーク14または星型通信ネットワーク16のための無線機として動作させることができる。
選択された実施形態では、各マルチネットワークルータ11は、小売店5内で買い物をしているか働いている人の手の届かない位置に配置されている。例えば、図1では、各マルチネットワークルータ11は、小売店5の天井の近くまたはその中に位置する。好ましくは、必須ではないが、各マルチネットワークルータ11は、少なくとも3つの無線機、すなわち、メッシュ型通信ネットワーク14の情報ルータとして機能する1つ目の無線機および星型通信ネットワーク16のデータ通信無線機として機能する少なくともさらに2つの無線機を収容している。例示的な実施形態では、3つの無線機に加えて、各マルチネットワークルータ11は、それ自体のIEEEアドレスを完備したコンピュータ構成要素を備え、このコンピュータ構成要素によって、無線機のいずれかによって収集された情報を、ケーブル線(システム通信回線19として本明細書に示されている)を通して論理エンジン23に送信することができる。
通信マルチネットワーク10を利用する実施形態では、各マルチネットワークルータ11は、メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16の両方のために動作するのに必要な構成要素を全て含む。マルチネットワークルータ11は、少なくとも3つのマイクロコントローラーユニット(MCU)を備える。1つのMCUがメッシュ型通信ネットワーク14のために使用され、少なくとも2つが星型通信ネットワーク16のために使用される。各MCUは、好ましくはシステムオンチップ型のMCUであり、制御装置、1つまたは複数のレジスタ、ある容量のROM、ある容量のRAMおよび論理演算装置(ALU)を備える。
テキサスインスツルメンツCC2431MCUは、定められたデータ伝送速度でメッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16を介してデータを容易に送信できるため、メッシュ型通信ネットワーク14のための無線機の1つとして使用するための、および星型通信ネットワーク16上で使用される少なくとも2つの無線機のうちの1つのための例示的なMCUである。テキサスインスツルメンツCC2431MCUは、本明細書における通信マルチネットワーク10内に位置検出機能を提供することができる。あるいは、テキサスインスツルメンツCC2430MCUは、メッシュ型通信ネットワーク14のための無線機の1つとして使用するための、および星型通信ネットワーク16上で使用される2つの無線機のうちの1つのための例示的なMCUである。マルチネットワークルータ11の少なくとも3つの無線機の3つ目の無線機は、テキサスインスツルメンツCC243xシリーズの無線機よりも強力な無線機でなければならない。
図1に示すように、マルチネットワークオーガナイザ21は、星型通信ネットワーク16のためのハブとしても、メッシュ型通信ネットワーク14のためのメッシュ型ネットワークオーガナイザとしても動作する。メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16のための無線機は、同じ装置内に収容されるものとして本明細書に示されているが、意図される特定の用途に応じて、別個の装置内に収容することができる。全てのメッシュ型通信ネットワーク14が、メッシュ型ネットワークオーガナイザを必要とする。図1に示す実施形態では、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、データ通信無線機と共に収容されているため、マルチネットワークオーガナイザ21と呼ばれる。他の実施形態では、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、データ通信無線機を含まない独立型の装置内に収容することができる。
図1を参照すると、システム通信回線19は、各マルチネットワークルータ11を論理エンジン23に接続している状態で示されている。システム通信回線19は、無線または有線のいずれかであってもよく、図1、図2B、図3A、図3Bおよび図4では、それらが有線であることを示すために、実線で表わされている。イーサネット(登録商標)ケーブルは、各マルチネットワークルータ11と論理エンジン23との間の例示的な有線接続装置である。システム通信回線19は、あらゆるマルチネットワークルータ11およびマルチネットワークオーガナイザ21から論理エンジン23まで接続するため、よって、図に示すシステム通信回線19は単なる例示である。例示的な実施形態では、システム通信回線19は、マルチネットワークルータ11を互いに接続する。
図1には、メッシュ型通信ネットワーク14内のマルチネットワークルータ11間の伝送領域に対応するマルチネットワーク通信回線6も示されている。説明のために直線で表わされているが、実際には、マルチネットワーク通信回線6は必ずしも直線ではなく、より正確には、各マルチネットワークルータ11から発せられる伝送からなる円形領域である。各マルチネットワークルータ11のそのような領域を介して、データが送受信される。
実際には、メッシュ型通信ネットワーク14内のデータ伝送速度は、好ましくは少なくとも125のキロバイト/秒(KB/s)であるように構成されている。星型通信ネットワーク16内のデータ伝送速度は好ましくは、少なくとも250KB/sであるように構成されている。買い物客7と通信マルチネットワーク10との間のインタフェースは無線であり、かつマルチネットワーク通信回線6を通して(図7に示すような)無線端末装置40および(図8に示すような)インテリジェントショッピングカート50のいずれか一方または両方を介して買い物客7によってアクセスされる。
次に図2Aを参照すると、例示的なメッシュ型通信ネットワーク14の概略図が示されている。複数のマルチネットワークルータ11は、マルチネットワーク通信回線6を介してメッシュ型通信ネットワーク14の構成要素と無線通信している。メッシュ型通信ネットワーク14の構成要素としては、無線端末装置40、インテリジェントショッピングカート50、およびメッシュ型ネットワークオーガナイザとして動作するマルチネットワークオーガナイザ21(データ通信無線機と共に収容された状態で示されている)を挙げることができる。マルチネットワーク通信回線6は、メッシュ型通信ネットワーク14を構成する情報ルータと他の構成要素(例えば、無線端末装置40およびマルチネットワークオーガナイザ21)との間の通信の無線回線の方向および存在を示すために、破線で表されている。メッシュ型通信ネットワーク14によって、低消費電力、低動作費、定められた空間内での効果的な通信および低維持費などの多くの利点が得られる。
図2Aに示すように、各マルチネットワークルータ11は、メッシュ型通信ネットワーク14内の他のマルチネットワークルータ11の少なくともいくつかと通信する能力を有する。いくつかの実施形態では、各マルチネットワークルータ11は、あらゆる他のマルチネットワークルータ11、マルチネットワークオーガナイザ21、またはメッシュ型通信ネットワーク14に関連づけられている無線端末装置40と通信することができる。
メッシュ型通信ネットワーク14は、2つの接続構成のうちの1つを用いるローカルエリアネットワーク(LAN)である。1つの構成は、全てのマルチネットワークルータ11が互いに無線接続し、かつメッシュ内のあらゆる他のマルチネットワークルータ11と情報を送受信することができる完全なメッシュトポロジである。別の例示的な構成は、部分的なメッシュトポロジである。部分的なメッシュトポロジでは、各マルチネットワークルータ11は、メッシュ内で利用可能なマルチネットワークルータ11の中の全てではないがいくつかと無線接続されている。図2Aに示すメッシュ型通信ネットワーク14は、完全なメッシュトポロジ型である。
いくつかの実施形態では、メッシュ型通信ネットワーク14を介して転送されるデータは、買い物客7、従業員8および管理者9間のXおよびY位置座標などの小さいパケットのデータに限定される。好ましくは、位置追跡サブシステムは、メッシュ型通信ネットワーク14を通して実行される。本実施形態では、位置追跡サブシステムの機能は、マルチネットワークルータ11の情報ルータ構成要素を使用する。本実施形態では、情報ルータは必ずしも互いに通信するわけではないが、代わりに、無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50であり得る各ブラインドノードにXおよびY位置座標を提供する。選択された例示的な実施形態では、無線端末装置40は、無線端末装置40上にロードされた三角測量ソフトウェアによって、それ自体のXおよびY位置を算出する。無線端末装置40は、無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50の位置を三角測量するために、マルチネットワークルータ11内に含まれるものとして図2Aに示されている情報ルータのうちの少なくとも3つから信号を受信する。マルチネットワークルータ11はそれぞれ、それらのXおよびY位置座標を認識しているが、それは、論理エンジンが、各マルチネットワークルータにそれらのXおよびY位置座標を提供するからである。マルチネットワークルータ11は、マルチネットワークオーガナイザ21として示されているメッシュ型ネットワークオーガナイザに接続されており、マルチネットワークオーガナイザ21は、イーサネット(登録商標)ケーブル(図1、図2B、図3A、図3Bおよび図4のシステム通信回線19)を介して論理エンジン23(図1、図2Bおよび図3Aに示す)に接続されている。
いくつかの実施形態では、メッシュ型通信ネットワーク14は、ZIGBEE通信ネットワークである。ZIGBEEは、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)のためのIEEE802.15.4規格に基づく、小型の低電力デジタル無線機を用いる一連の高レベル通信プロトコルのための仕様の名前である。ZIGBEEは、低データレート、長バッテリ寿命および安全なネットワークを必要とする無線周波数(RF)用途を対象としている。
再び図2Aを参照すると、その最も単純な形態では、メッシュ型通信ネットワーク14は、1つまたは複数のマルチネットワークルータ11、少なくとも1つのマルチネットワークオーガナイザ21および無線端末装置40を備える。マルチネットワークオーガナイザ21は、メッシュ型通信ネットワーク14内のマルチネットワークルータ11の1つまたは複数を介してデータをルーティングする装置である。マルチネットワークオーガナイザ21は、システム通信回線19を介して論理エンジン23に接続されている。メッシュ型通信ネットワーク14は、ビーコンまたは非ビーコン型である。ビーコンネットワークでは、ビーコンが送信されている間のみマルチネットワークルータ11がアクティブであればよいため、電力使用はさらに抑えられる。非ビーコン型ネットワークの電力消費は、より高くなる可能性があるが、それは、通信マルチネットワーク10内のマルチネットワークルータ11のいくつかはアクティブでなくてもよいが、その少なくともいくつかが常にアクティブであるからである。しかし、通信マルチネットワーク10の中の全てまたは実質的に全てのマルチネットワークルータ11を連続的にアクティブにすることが可能である。
メッシュ型通信ネットワーク14がビーコンネットワークである実施形態では、マルチネットワークルータ11(より具体的には、情報ルータと呼ばれるメッシュ型通信ネットワークのための無線機)は、1秒当たり複数回にわたってブラインドノードにそれらのXおよびY位置座標を自動的に一斉送信する。ブラインドノードは、無線端末装置40およびインテリジェントショッピングカート50からなる群から選択される。本実施形態では、ブラインドノードは、それらの座標を求めてマルチネットワークルータ11に信号を送信する必要はない。
他の実施形態は、非ビーコン型メッシュ通信ネットワーク14を用いる。ビーコン非対応ネットワーク(すなわち、ビーコンオーダ(beacon order)が15であるネットワーク)では、マルチネットワークルータ11は、好ましくは連続的にアクティブであるデータ受信器を有する。これらの実施形態では、無線端末装置40によって求められると、メッシュ型ネットワークオーガナイザは、1つまたは複数のマルチネットワークルータ11を介してブラインドノードに信号を送り戻す。マルチネットワークオーガナイザ21は、マルチネットワークルータ11を管理し、無線端末装置40をメッシュ型通信ネットワーク14に関連づけ、マルチネットワークルータ11から受信した情報を格納し、かつマルチネットワークルータ11と無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50との間でメッセージをルーティングする。さらに、非ビーコン型のメッシュ型通信ネットワーク14の使用によって、いくつかの装置が連続的に受信する一方で他の装置は外部刺激が検出されたときにのみ送信を行う複数の装置型の異種ネットワークが可能になる。異種ネットワークの中の要素の1つの例は、無線光スイッチを有するランプである。ランプのノードは、ランプの電源に接続されているため常に受信しているが、バッテリ式の光スイッチは、光スイッチが入れられまで、「スリープ状態」または非アクティブ状態のままである。その後、光スイッチはアクティブになり、ランプにコマンドを送り、肯定応答を受信し、かつ非アクティブ状態に戻る。ビーコン型ネットワークでは、メッシュ型通信ネットワーク14内のマルチネットワークルータ11は、周期的にビーコンを送信して、他のネットワークノードにそれらの存在を確認する。そのようなノードは、ビーコン間にスリープ状態となり、このようにして、それらのデューティサイクルを減少させ、それらのバッテリ寿命を延ばす。
論理エンジン23、または他の実施形態では位置追跡サーバ31は、メッシュ型通信ネットワーク14内にいくつかの重要な機能を提供する。論理エンジン23によって提供される重要な機能は、計算機能、情報記憶、編成、応答、ネットワーク通知、データ優先順位、事象優先順位、光線追跡算出、進行履歴の作成、ヒートマップの作成などである。論理エンジンは、製品選択位置データを作成するために無線端末装置から所定の期間内で収集された買い物客位置データによって製品選択データを編成する。また、論理エンジンは、1回の買い物からの全ての製品選択位置データを編成して、総体的な製品選択位置データを作成し、各買い物客の総体的な製品選択位置データを買い物客の電子プロフィールに格納する。この買い物客の電子プロフィールによって、小売店は、さらに傾向を分析して、個別またはカテゴリごとに、論理エンジンを用いて買い物客の進行履歴を作成することができる。少なくとも1つのサーバ級コンピュータまたはサーバが好ましい。サーバは、その大きい計算および格納容量のために、本明細書における通信マルチネットワーク10に特に有用である。
次に図2Bを参照すると、例示的なメッシュ型通信ネットワーク14の機能の概略図が示されている。メッシュ型通信ネットワーク14は、メッシュ型通信回線6を介して論理エンジン23まで、マルチネットワークルータ11および無線端末装置40などのメッシュ型通信ネットワーク14の構成要素間をデータ転送する。図2Bは、論理エンジン23と無線端末装置40との間、および、論理エンジン23とインテリジェントショッピングカート50との間にデータの流れがあることを示す。
図3Aは、星型通信ネットワーク16の例示的な図を示す。図3Aでは、データ通信無線機(図3Aおよび図3Bではマルチネットワークルータ11内に収容されている)は、システム通信回線19に沿って論理エンジン23と直接通信する。システム通信回線19は、好ましくはマルチネットワークルータ11を論理エンジン23に接続する有線回線である。星型通信ネットワーク16の機能を説明するために、マルチネットワーク通信回線6は、マルチネットワークルータ11と無線端末装置40との通信が無線回線であり、よって、破線で表されている。好ましいシステム通信回線19は、高品質および高速度デジタル送信で音声およびその他の大きい量のデータを転送することができる。
星型通信ネットワーク16は、通信マルチネットワーク10に特に有用かつ重要である。250KB/s以上のそのデータ伝送速度によって、星型通信ネットワーク16は、速度および効率のためにより高いデータ伝送速度を必要とするデータストリームを運ぶ。音声データ、画像、ビデオおよび金融取引データは、例えば、より高い(例えば、250KB/s以上の)伝送速度での送信に最も適したデータ型である。このような種類の情報またはデータは、メッシュ型通信ネットワーク14を介して送信することができるが、メッシュ型通信ネットワーク14の代わりに、あるいは、それに加えて、星型通信ネットワーク16が好ましい。
本明細書における例示的な星型通信ネットワーク16は、IEEE802通信プロトコル内で動作する。IEEE802は、ローカルエリアネットワークおよびメトロポリタンエリアネットワークに対応するIEEE規格のファミリを指す。より具体的には、IEEE802規格は、可変サイズのデータパケットを運ぶネットワークに制限されている。これに対して、セル型ネットワークでは、例えば携帯電話に使用されるセルと呼ばれる短い均一なサイズの単位でデータが送信される。星型通信ネットワーク16は好ましくは、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth Sig, Inc.によって登録されているIEEE802.15.1および802.15.2のプロトコルのための通信機器)、WIMEDIA(登録商標)(一般にIEEE802.15.3プロトコルとして知られている、WiMedia Alliance Corporationによって登録されている無線マルチメディア装置の接続のための仕様)、Wi−Fi(IEEE802.11b)、Wi−Fi5(IEEE802.11a/HL2)、および上述のような好ましいプロトコル802.15.4のような他の無線プロトコルを含むがこれらに限定されない複数の通信プロトコルで動作することが認められている。
例示的な一実施形態では、IEEE802の中でも、星型通信ネットワーク16は、IEEE802.15.4通信プロトコル内でデータを送信する。IEEE802.15.4プロトコルは、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)を介して送られる送信を制御する。WPANは、ブルートゥース技術の使用を含むことができる。IEEE802.15.4通信プロトコルは、低データレート(例えば、約125KB/s)を有し、かつマルチネットワークルータ11において、長バッテリ寿命(例えば、数ヶ月またはさらには数年のバッテリ寿命)も可能にし、かつその非常に低い技術的な複雑性および低い所要電力で知られている。
次に図3Bを参照すると、星型通信ネットワーク16の例示的な図が示されている。本実施形態では、無線端末装置40およびインテリジェントショッピングカート50との全ての実質的な通信は、星型通信回線(マルチネットワーク通信回線6としてここに示されている)、マルチネットワークルータ11内に収容されているデータ通信無線機、スイッチ25およびゲートウェイサーバ27、ならびに、位置追跡サーバ31などの適当な店サーバを介して行われる。マルチネットワークルータ11とスイッチ25との通信は、意図される特定の用途に応じて有線または無線のいずれかであるシステム通信回線19を介して行われる。当該システムのいくつかの実施形態では、システム通信回線19は有線であるが、マルチネットワーク通信回線6は無線である。他の実施形態では、スイッチ25、ゲートウェイサーバ27および店サーバ29および位置追跡サーバ31は、論理エンジン23(図3Bには図示せず)と置き換えられる。
図4は、通信マルチネットワーク10の例示的な図を示す。図4では、マルチネットワークルータ11は、無線端末装置40に信号を提供する。例示的な一実施形態では、マルチネットワークルータ11は、無線端末装置40にマルチネットワーク情報ルータ11のXおよびY位置座標を提供する。無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50は、XおよびY位置座標中のそれ自体の位置を提供するのに必要な算出を行うか、あるいは、星型通信ネットワーク16を介して位置追跡サーバ31に信号を送出する。位置追跡サーバ31は、いくつかの実施形態では光線追跡および位置追跡算出を行う。例示的な実施形態では、論理エンジン23は、位置追跡算出を行う。上記の実施形態のいずれかの下で、各無線端末装置40およびインテリジェントショッピングカート50の位置は、無線端末装置40と、メッシュ型通信ネットワーク14のマルチネットワークルータ11の情報ルータの無線機との間で交換されたデータを介して店に知られる。
無線端末装置40が機能縮小型装置であり、かつ論理エンジン23または位置追跡サーバ31のいずれかが位置追跡計算を行う実施形態では、最も近いマルチネットワークルータ11内の情報ルータの無線機は、無線端末装置40にそれ自体のXおよびY位置座標を提供する。無線端末装置40に最も近いマルチネットワークルータ11内の情報ルータの無線機は、位置追跡サーバ31からXおよびY位置座標を受信するマルチネットワークオーガナイザ21から、無線端末装置40のXおよびY位置座標を受信する。いずれの場合も、小売店5(図1に示す)の地図上の無線端末装置40の位置は、通信マルチネットワーク10のメッシュ型通信ネットワーク14を介して、無線端末装置40および位置追跡サーバ31または論理エンジン23のいずれか一方に知られている。
例示的な一実施形態では、各無線端末装置40の位置が知られている状態で、買い物客7によって保持されている無線端末装置40は、星型通信ネットワーク16を介して店の従業員8および管理者9に情報を送り、かつそこから情報を受け取る。ある実施形態では、各インテリジェントショッピングカート50の位置が知られており、かつ、買い物客7によって使用されているインテリジェントショッピングカート50は、星型通信ネットワーク16を介して、従業員8、管理者9または論理エンジン23に情報を送りかつそこから情報を受け取る。いくつかの実施形態では、買い物客7と、従業員8、管理者9およびインテリジェントショッピングカート50からなる群の少なくとも1つとの全ての通信は、マルチネットワークルータ11、スイッチ25およびゲートウェイサーバ27、および位置追跡サーバ31などの適当な店サーバを介して行われなければならない。
図5には、最初の決定的瞬間に買い物客7に影響を与えるためのシステムおよび方法の例示的な一実施形態のフローチャートが示されている。一般に、買い物客は、小売店5内の通信マルチネットワーク10を介して買い物客7の無線端末装置40に送信されるメッセージによって影響を与えられる。図5のステップ100では、買い物客7は、無線端末装置40と共に買い物を開始する。大部分の実施形態では、買い物客7が無線端末装置40と共に買い物を開始すると、無線端末装置40が買い物客7に割り当てられている場合には、買い物客7は、自分のお得意様買い物客カードをスキャンして、小売店5に買い物客7の識別をすぐに認識させる。ステップ105では、買い物をする際に、買い物客7にごく近接して保持されている無線端末装置40は、位置データを連続的に算出し、かつそれを論理エンジン23に送信する。論理エンジン23は、買い物客7の無線端末装置40から位置データを受信する。無線端末装置40が機能縮小型装置である実施形態では、最も近いマルチネットワークルータ11の座標は、無線端末装置40から論理エンジン23に送信され、そこで、論理エンジン23によって位置データが算出されるであろう。
ステップ110は、論理エンジン23が買い物客7にごく近接して保持されている無線端末装置40の位置を連続的に追跡することを示す。本明細書で使用される「連続的に」という言葉の使用は、ソフトウェアオペレータによって決定される増分として定義される。例えば、時間間隔は、3秒毎、5秒毎または10秒毎であってもよいが、これらに限定されない。時間間隔は、意図される特定の用途に応じて異なるであろう。
次いで、ステップ115に示すように、買い物客7は、製品の前で店中での移動を減速または停止し、最初の決定的瞬間を経験する。論理エンジン23は、買い物客の速度がある速度まで減速するか、あるいは買い物客7がある期間(例えば、3秒間)にわたってディスプレイの前で立ち止まった場合に、買い物客7が最初の決定的瞬間を経験している時を認識するソフトウェアによってプログラムされている。ステップ120では、買い物客7が、小売店5内での移動を製品の前で減速または停止すると、論理エンジン23は、小売店5内全体にわたる移動を減速または停止する期間に、買い物客7が減速または停止する時間、減速または停止する位置、および買い物客によって選択される製品の識別(何も選択されない場合も)を追跡する。ステップ125では、論理エンジン23は、ステップ120の間に収集された情報を評価して、買い物客7が最初の決定的瞬間を経験しているか否かを決定する。最初の決定的瞬間を決定するために、論理エンジン23は、買い物客7の追跡位置(買い物客位置データとしても知られている)を製品位置地図と比較して、買い物客と製品位置との比を生成する。製品と位置との比が約5フィート未満であると、論理エンジン23は買い物客7が製品にごく近接している時間の計時を開始する。買い物客7が製品を選択して、自分の無線スキャン装置でそれをスキャンし、製品選択データを作成すると、論理エンジン23は、買い物客7が製品を選択した時刻と製品位置との比が約5フィート未満であった最初の瞬間との差を用いる計時を停止する。論理エンジン23は、買い物客の意図した製品購入、買い物客と製品位置との比、および製品選択計時データを評価して、評価データを生成する。論理エンジンは、評価データが最初の決定的瞬間を示すか否かを決定する。
ステップ130では、買い物客7が評価データに基づいて最初の決定的瞬間を経験していることが決定された場合には、論理エンジン23は、最初の決定的瞬間の評価に基づく影響力のあるメッセージを、買い物客の無線端末装置40を介して買い物客7に送信する。ステップ135では、買い物客7は、自分の無線端末装置40上に影響力のあるメッセージを受信する。理想的には、最初の決定的瞬間を経験している間に、買い物客7は、ステップ140に示すように、自分の無線端末装置40上の影響力のあるメッセージを読む。理想的ではないが、買い物客7は、最初の決定的瞬間を経験していない場合に、この無線端末装置40上の1つまたは複数の影響力のあるメッセージを読むことができる。
この時点で、ステップ145では、買い物客7は、影響力のあるメッセージの先導に従うか否かを決める。例えば、影響力のあるメッセージが、買い物客によってスキャンされた1つの製品の代わりに代替製品を勧めると、ステップ145において、買い物客7は、影響力のあるメッセージが勧めた商品を購入することに決める。他の実施形態では、買い物客7は、自分の最初の決定的瞬間において、買い物客7が最初に意図していた量とは異なる量の製品を購入するように影響力のあるメッセージによって影響を与えられる。さらに他の実施形態では、買い物客7は、選択およびスキャンした製品とは異なる製品を購入することに決め、最初の製品を棚に戻し、提案された製品をスキャンする。ステップ145における買い物客の決定後、買い物客7は、買い物を続ける(ステップ100に戻る)か、既に選択した商品の精算に進む(ステップ150)。
図6は、小売店5内の通信マルチネットワーク10を介して買い物客7のインテリジェントショッピングカート50にメッセージを送信することによって、最初の決定的瞬間に買い物客7に影響を与えるためのシステムおよび方法の一実施形態のフローチャートである。図6のステップ200では、買い物客7は、インテリジェントショッピングカート50と共に買い物を開始する。大部分の実施形態では、買い物客7がインテリジェントショッピングカート50と共に買い物を開始すると、インテリジェントショッピングカート50(および組み込まれた無線端末装置)が買い物客7に割り当てられている場合、買い物客7は、自分のお得意様買い物客カードをスキャンし、小売店5に買い物客7の識別をすぐに認識させる。ステップ205では、買い物をする際に買い物客7にごく近接しているインテリジェントショッピングカート50は、位置データを連続的に算出し、かつそれを論理エンジン23に送信する。論理エンジン23は、買い物客7のインテリジェントショッピングカート50から位置データを受信する。インテリジェントショッピングカート50が機能縮小型装置である無線端末装置を備える実施形態では、最も近いマルチネットワークルータ11の座標が、インテリジェントショッピングカート50から論理エンジン23に送信され、そこで、位置データが論理エンジン23によって算出されるであろう。
ステップ210は、論理エンジン23が買い物客7にごく近接しているインテリジェントショッピングカート50の位置を連続的に追跡することを示す。本明細書で使用される「連続的に」という言葉の使用は、ソフトウェアオペレータによって決定される増分として定義される。例えば、時間間隔は、3秒毎、5秒毎または10秒毎にすることができるが、これらに限定されない。時間間隔は、意図される特定の用途に応じて変えることができる。
次いで、ステップ215に示すように、買い物客7は、製品の前で店内での移動を減速または停止して、最初の決定的瞬間を経験する。論理エンジン23は、買い物客の速度がある速度まで減速するか、あるいは買い物客が一定期間(例えば、3秒間)にわたってディスプレイの前で立ち止った場合に、買い物客7が最初の決定的瞬間を経験している時を認識するソフトウェアによってプログラムされている。ステップ220では、買い物客7が製品の前で減速または停止すると、論理エンジン23は、小売店5内全体にわたる移動を減速または停止する期間に、減速または停止する時間、減速または停止する位置、および買い物客によって選択される製品の識別(何も選択されない場合も)を追跡する。ステップ225では、論理エンジン23は、ステップ220の間に収集された情報を評価して、買い物客7が最初の決定的瞬間を経験しているか否かを決定する。最初の決定的瞬間を決定するために、論理エンジン23は、買い物客位置データを製品位置地図と比較して、買い物客と製品位置との比を生成する。製品と位置との比が約5フィート未満であると、論理エンジン23は買い物客7が製品にごく近接している時間の計時を開始する。買い物客7が製品を選択して、自分の無線スキャン装置でそれをスキャンし、それにより、製品選択データを作成すると、論理エンジン23は、買い物客7が製品を選択した時刻と製品位置比が約5フィート未満であった最初の瞬間との差を用いる計時を停止する。論理エンジン23は、買い物客の意図した製品購入、買い物客と製品位置との比、および製品選択計時データを評価して、評価データを生成する。論理エンジンは、評価データが最初の決定的瞬間を示すか否かを決定する。
ステップ230では、買い物客7が評価データに基づいて最初の決定的瞬間を経験していることが決定された場合、論理エンジン23は、最初の決定的瞬間の評価に基づく影響力のあるメッセージを、買い物客のインテリジェントショッピングカート50を介して買い物客7に送信する。ステップ235では、買い物客7は、自分のインテリジェントショッピングカート50上に影響力のあるメッセージを受信する。理想的には、最初の決定的瞬間を経験している間に、買い物客7はステップ240に示すように、自分のインテリジェントショッピングカート50上の影響力のあるメッセージを読む。理想的ではないが、買い物客7は、最初の決定的瞬間を経験していない場合に、このインテリジェントショッピングカート50上の1つまたは複数の影響力のあるメッセージを読む。
この時点で、ステップ245では、買い物客7は、影響力のあるメッセージの先導に従うか否かを決める。例えば、影響力のあるメッセージが、買い物客によってスキャンされた1つの製品の代わりに代替製品を勧めると、ステップ245において、買い物客7は、影響力のあるメッセージが勧めた商品を購入することに決める。他の実施形態では、買い物客7は、自分の最初の決定的瞬間において買い物客7が最初に意図していた量とは異なる量の製品を購入するように影響力のあるメッセージによって影響を与えられる。さらに他の実施形態では、買い物客7は、選択およびスキャンした製品とは異なる製品を購入することに決め、最初の製品を棚に戻し、提案された製品をスキャンする。ステップ245における買い物客の決定後、買い物客7は、買い物を続ける(ステップ200に戻る)か、既に選択した商品の精算に進む(ステップ250)。
図7は、複数のインタフェースボタン42を有する無線端末装置40の正面図を示す。無線端末装置40は、管理者、店従業員および買い物客のうちの少なくとも1人によって使用される。いくつかの実施形態では、位置追跡装置は、各無線端末装置40内に収容されている。無線端末装置40はバッテリ式であり、好ましくは充電式である。無線端末装置40は、それ自体を探し出し、かつ本明細書における既存の通信マルチネットワーク10に関連づける(すなわち、それ自体を無線接続する)能力を有する。本明細書における無線端末装置40は、機能縮小型装置または全機能搭載型装置であるが、電力消費がより低いため、機能縮小型装置が好ましい。いくつかの実施形態では、無線端末装置40は、スキャンされた商品をショッピングカート(インテリジェント型50または非インテリジェント型、図示せず)に入れるために買い物客7が商品をスキャンするために、および写真を撮るために有用な製品スキャン装置(図示せず)および撮像装置を備える。
無線端末装置40は、実質的に、通信マルチネットワーク10から情報を受信し、かつそこに情報を送信する装置として機能する。図7では、無線端末装置40は、インタフェースボタン42を備えた状態で示されている。複数のインタフェースボタン42はそれぞれ、行われる機能を示しているが、複数のインタフェースボタン42のほとんどは、無線端末装置40に計算機能の実行を要求するよりも、実際には、通信マルチネットワーク10(図示せず)に接続されている他の装置に/から要求された送信を提供する。いくつかの実施形態では、無線端末装置40は、マルチネットワーク10に接続されている他の装置、例えば、論理エンジン23、または計算機能を行うことができる他の装置に計算のための情報を送信する。計算機能としては、光線追跡算出、価格算出および予算算出が挙げられるが、これらに限定されない。従って、図7の無線端末装置40上に示されているインタフェースボタン42は、通信マルチネットワーク10からの情報の受信または送信以外の無線端末装置40内の機能の作動を意味することを意図するものではなく、かつ、無線端末装置40上に使用されているいずれのボタン型によっても計算が行われることは非常に少なく、さらに言えば皆無であるが、それは、論理エンジン23または位置追跡サーバ31が光線追跡算出を行うからである。インタフェースボタン42のこの使用によって、店のグリッド上のそのXおよびY位置座標の算出などの計算機能に必要なハードウェアの数は減少する。
例えば、無線端末装置40は、以前にスキャンされかつインテリジェントショッピングカート50に入れられた商品の費用の累計をそれ自体が実質的に計算も保持もしない。その代わりに、カートボタン44は、押されると、無線端末装置40が、商品がスキャンされた後にショッピングカート50に入れられる商品をスキャンする準備が整っているという信号を通信マルチネットワーク10に送る。スキャンされた商品に関する情報は、通信マルチネットワーク10を介して無線で送信され、かつ、格納および/またはさらなる処理のために、最終的に論理エンジン23または位置追跡サーバ31にルーティングされる。
本明細書において、図7は例示であって、図示されているボタンの種類、構成および向きは、本発明の一部をなさないということに留意されたい。意図される特定の用途に応じて、無線端末装置40の範囲および目的の範囲内に適合するように、無数のボタンの種類、大きさ、形状、構成、記号、図形などを作成することができる。
無線端末装置40がほとんどあるいは全く計算をしないように構成されていると、無線端末装置40は、構築および実際の使用において非常に費用効果が高い。より低価格の構成要素(すなわち、高速演算処理装置およびメモリ)が使用されるため、無線端末装置40は盗難にあう可能性が低い。さらに、無線端末装置40が盗難にあった場合であっても、その取替原価はより複雑な装置の単位当たりの費用よりも格段に安い。無線端末装置40に高速演算処理装置およびメモリがない場合、高速演算処理装置および大きい精巧なメモリ型に依存する他の装置の相当量のソフトウェアも含まれない。さらに、無線端末装置40の単位当たりの費用が低いため、より多くの単位を小売店5のより多くの買い物客に配備することができる。各店が無線端末装置40によって使用可能な互換性ある通信マルチネットワーク10を所有する限り、無線端末装置40は、複数の食料品店で使用することもできる。
他の実施形態では、無線端末装置40は、その回路内、すなわち、そのマイクロコントローラ内の少なくとも一部で、ある複雑な計算機能を行う。例えば、店の地図上に重ね合わせた二次元グリッド上のそれ自体の位置を決定するために光線追跡算出を行う。本実施形態では、論理エンジン23または適当な店サーバ(例えば、位置追跡サーバ31)が、無線端末装置40において計算または他の種類の停止が生じた場合に、全機能搭載型無線端末装置40に対するバックアップとしての機能を果たすことが好ましいが、必須ではない。
無線端末装置40は、計算機能を有するか否かに関わらず、少なくとも1つのMCUを備える。本明細書におけるMCUは、好ましくはシステムオンチップ型MCUである。本明細書におけるMCUは、制御装置、1つまたは複数のレジスタ、ある容量のリードオンリーメモリ(ROM)、ある容量のランダムアクセスメモリ(RAM)および論理演算装置(ALU)を備える。無線端末装置40が計算作業の全てを行うわけではない実施形態では、ALUは、無線端末装置40内の任意の算出のために、たとえあってもほんの僅かにしかアクセスされないであろう。無線端末装置40がそれ自体で計算作業の大半を行う無線端末装置40の実施形態では、ALUは、計算のためにアクセスされ、従って、使用されるであろう。
いくつかの実施形態では、無線端末装置40は、少なくとも2つのMCUを備える。1つのMCUは、無線端末装置40からメッシュ型通信ネットワーク14に情報を送受信する。もう1つのMCUは、無線端末装置40から星型通信ネットワーク16に情報を送受信する。テキサスインスツルメンツCC2431MCUは、メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16の両方のためにデータを送信することができるため、本明細書において好ましい。また、CC2431MCUは、本明細書において、通信マルチネットワーク10内の位置検出機能を提供する。そのような位置検出は、そのように搭載されている任意の装置(無線端末装置40、インテリジェントショッピングカート50またはマルチネットワークルータ11に関わらず)を、通信マルチネットワーク10内のどこであっても場所を見つけかつ探すことができるという理由から、重要かつ好ましい機能である。
CC2431MCUのための技術仕様は、「32MHzのシングルサイクル低電力8051MCU;2.4GHzのIEEE802.15.4準拠RFトランシーバ;128KBのインシステムプログラマブルフラッシュ;超低電力要件;動作可能なZIGBEEプロトコルスタック(Z−スタック);および8キロバイトのSRAM、全ての電力モードにおいてデータを保持する4キロバイト」である。CC2431は、無線センサネットワークZIGBEE/IEEE802.15.4ソリューションのための真のシステムオンチップ(SOC)である。CC2431は、通信マルチネットワーク10内における無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50のいずれか一方の場所を見つけるために使用することができる位置検出ハードウェアモジュールを備える。これに基づいて、位置エンジンは、通信マルチネットワーク10内の未知の無線端末装置40またはインテリジェントショッピングカート50の位置の推定値を算出する。
メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16に沿った情報の流れおよび管理のために使用されるMCUに加えて、少なくとも1つの制御MCUが無線端末装置40内に用いられる。この制御MCUは、メッシュ型通信ネットワーク14および星型通信ネットワーク16に沿って情報を送受信するように構成された他のMCUを制御し、それを評価し、そこにメッセージを送り、そこから情報を受信し、かつそれを管理する。テキサスインスツルメンツによって開発されたMSP430は、制御MCUのための好ましいモデルである。MSP430は、低コストかつ低消費電力の組み込み用に設計された16ビットのプロセッサの周囲に構築されたマイクロコントローラである。それは、無線周波数(RF)またはバッテリ式用途に特によく適している。アイドルモードにおける消費電力は、1マイクロアンペア未満にすることができる。その最高の処理装置速度は、16MHzである。それは、電力消費を低下させるために減速させることができる。MSP430は、外部メモリバスを有しない。従って、それは、オンチップメモリに限定されており、好ましくは、最大128KBのフラッシュメモリおよび10KBのRAMを備える。
通信マルチネットワーク10が複数の星型通信ネットワーク16を含む実施形態では、無線端末装置40の内部ハードウェアの例示的な構成は、通信マルチネットワーク10、および無線端末装置40内の全ての他の必要な機能を制御する制御MCUとの通信を担う2つのMCUを備える。この構成では、2つのMCUのうちの1つは、常に通信マルチネットワーク10に関連づけられかつ無線接続されている。他のMCUは、通信マルチネットワーク10に無線接続されていない場合、通信マルチネットワーク10に接続するために通信マルチネットワーク10によって送信される最も強い無線信号を探す。関連づけられていないMCUによって検出される信号が、現在関連づけられている星型通信ネットワーク16によって送信されている信号よりも強くなると、関連づけられていないMCUは関連状態に変わり、かつ、以前に関連づけられていたMCUは非関連状態に変わり、次いで、通信マルチネットワーク10からの利用可能な最も強い無線信号を探し始めるであろう。MCU間のそのような関連づけおよび非関連づけのプロセスは、買い物客7が店の周りを移動し、かつ小売店5内に位置づけられた1つの星型通信ネットワーク16から別の星型通信ネットワーク16に移動する際に絶えず行われている。
通信マルチネットワーク10が複数の星型通信ネットワーク16を備え、かつメッシュ型通信ネットワーク14を備えていない他の実施形態では、無線端末装置40からの情報の同時送受信を担う2つのMCU(好ましくはテキサスインスツルメンツCC2431)はどちらも、通信マルチネットワーク10に関連づけられている。そのような二重の関連づけによって、無線端末装置40から、あるいは、無線端末装置40へのより大きなデータパケットの送信が可能になる。これらのより大きいデータパケットとしては、音声データ、ビデオ、および無線送信(すなわち、無線端末装置40と通信マルチネットワーク10との無線送信)が256KB/s以上の伝送速度によって最も容易になる他のデータ型が挙げられる。
次に図8を参照すると、小売店5内の買い物客7によって使用される例示的なインテリジェントショッピングカート50が示されている。外観的には、インテリジェントショッピングカート50は、最も知られている従来のショッピングカートのように見える。インテリジェントショッピングカート50は、ハンドル52、ハンドル52に取り付けられたかご54、およびかご54の下に配置されている下部台車56を有する。しかし、インテリジェントショッピングカート50は、通信マルチネットワーク10を介して小売店5と通信しているため、「インテリジェント」である。インテリジェントショッピングカート50にMCU(好ましくはテキサスインスツルメンツCC2431)が搭載されている場合、それは、通信マルチネットワーク10を介する論理エンジン23との情報の受信および送信を担う。さらに、インテリジェントショッピングカート50が、撮像装置およびスクリーンを収容するか、あるいは撮像装置およびスクリーンを収容する無線端末装置40と組み合わせられている場合、買い物客7は、論理エンジン23から受信される影響力のあるメッセージを読むことができる。いくつかの実施形態では、インテリジェントショッピングカート50は、小売店5が小売店5内全体にわたってインテリジェントショッピングカート50の位置を追跡できるように追跡装置を備える。
図8に示すように、インテリジェントショッピングカート50は、かご54の内面55に配置されている計量装置58も備える。いくつかの実施形態では、計量装置58は、フック60の形態である。各計量装置50またはフック60は、その上にものが置かれた物体の変形または歪を測定する歪ゲージ(図示せず)に接続されている。歪ゲージは、商品がその上に置かれて測定可能な変形が生じると、フック60の変形を測定する。測定可能な変形は、フック60に加えられる商品の重量の少なくとも一部の尺度である。
以上、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、それらは、限定としてではなく例として提示されていることを理解されたい。本発明の範囲を逸脱せずに、本明細書における形態および細部の様々な変更が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。従って、本発明の実施形態は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるものである。