JP5844989B2 - 手摺 - Google Patents

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本発明は、躯体の上に設置する手摺に関するものである。
ベランダやバルコニーに適用される手摺の施工にあっては、内部に支柱補強材を挿入した状態の支柱を躯体に設けた埋設穴に入れ、その支柱下部の周囲にモルタル等の充填剤を充填して、支柱下部と共に埋設穴を固める手法が一般的であった。
特開2007−138651号公報
上述した施工方法では、支柱と支柱補強材との間に空隙があることから、その支柱下部を躯体に埋設したときには、支柱上部から支柱内部へ浸入した雨水等がその壁部内周面や支柱補強材をつたって躯体の埋設穴の底に溜まり、これが躯体のコンクリートを劣化させ、さらに、支柱補強材を固定するアンカーを腐食する問題点があった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、支柱を躯体に埋設して支持したときに、上部構造物からの雨水等の浸水により躯体が劣化することのない手摺を提供することにある。
本発明は、躯体の上部に立設する手摺であって、支柱と支柱補強材とを備えており、支柱は、内部に支柱補強材を挿通しており、支柱補強材は、その下部を躯体に埋設してあると共に、支柱の下端は、躯体の内部に埋設せずに躯体の上部と隙間をあけて配置してあり、支柱補強材は、支柱の内周側に四隅が当接する中実材であるとともに、外周側部の四周すべてが肉抜きしてあることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明によれば、躯体の埋設穴には支柱補強材のみを挿入し、さらに埋設穴に充填剤を充填して固めると共に、支柱の下端は、躯体から隙間をあけた位置に配置されることから、支柱内部に浸水した雨水などが支柱壁部内周や支柱補強材をつたって流れ落ちたときに、埋設穴に浸水して躯体内部に滞留することなく、支柱下端の隙間から躯体の上面に落ちてそのまま排水されていく。したがって、浸水により躯体を劣化させることがなく、躯体内部のアンカーなどの金具類を腐食させることもないので、外的影響を受けにくく耐用年数の長い手摺を提供することができる。
本実施による手摺の(a)は、図3中のC−C線縦断面図であり、(b)は(a)中Bを拡大して示す縦断面図であり、(c)は、図1(a)中のA−A線横断面図である。 (a)〜(c)は、本実施による手摺の施工手順を示す斜視図である。 本実施による手摺の要部を拡大して示す斜視図である。 本発明の他の実施形態を示す(a)は、縦断面図であり、(b)は、一部を拡大した斜視図である。 本発明の他実施形態を示すものであり、(a)(b)は、右図から支柱補強材の斜視図、その支柱補強材を適用した手摺の縦断面図、(a)中D−D線または(b)中E−E線横断面図である。
以下に、各図面に基づいて本実施による手摺の説明をする。
本実施による手摺は、図3のように、コンクリート製の躯体5の上部に設置される複数の支柱1と、フェンス10(笠木2、横桟6、縦桟7、ブラケット8等)とからなっており、支柱1の内部には補強用の支柱補強材3が挿通している。また、本実施における手摺は、ベランダやバルコニー用の手摺に適用され、その躯体5は、足場を形成しており、排水を考慮して上面全体が建物側(一側)に向けてなだらかに下向きに傾斜している。また、躯体5に設けられる埋設穴Hは、支柱1の外周よりも大きな横断面ほぼ矩形状に設けられており、その埋設穴Hにモルタル(充填剤)4を充填して支柱補強材3及び上部構造物であるフェンス10を支持している。尚、充填剤については、モルタル4の他、生コンなどを打設してもよい。
支柱1は、図1(a)のように、アルミ製の中空押出し形材によるほぼ矩形筒型をなし、その内部Sに支柱補強材3を挿通するための挿通空間を有している。また、支柱1の上部には笠木2を固定するためのブラケット8が取り付けてあり、また、支柱1の長手方向中間部には、笠木2及びブラケット8と上下に間隔をあけて平行する横桟6が取り付けてあり、ブラケット8と横桟6の間には多数の縦桟7が間隔をあけて配してあり、以上の各部によりフェンス10を形成している。また、支柱1内部S下側には、支柱補強材3が挿通してあり、その支柱補強材3は、図1(c)のように、支柱1の四隅内周側にそれぞれ当接するほぼX字型の横断面を有している。
そして、上記のように形成した手摺を躯体5上面に設置したとき、支柱補強材3の下部が躯体5の埋設穴Hに入ると共に、埋設穴Hにモルタル(充填剤)4を充填することで支柱補強材3下部の周囲が固められている。そして、躯体5上部から露出した支柱補強材3の上部に支柱1が挿入してあり、支柱補強材3により支柱1を起立した状態を保ち支持する。また、支柱1の下端部は、躯体5の上部に配置されることから、支柱1下端と躯体5上部の間に隙間Fが設けられるので、図1(c)のように、その隙間Fから支柱1の壁部の外周面あるいは内周面をつたって流れ落ちた雨水Wなどが躯体5上面に排水される。これにより、躯体5の内部に雨水Wが滞留しないことから、躯体5の劣化が防がれることになる。
以上のように形成された本実施による手摺の施工手順を図2(a)〜(c)に基づいて以下に説明する。第一の工程として、図2(a)のように、躯体5の上部外側に、躯体5長手方向に沿って間隔をあけて埋設穴Hを設ける。第二の工程として、図2(b)のように、埋設穴Hにモルタル4を充填する。第三の工程として、図2(c)のように、モルタル4が固まって支柱補強材3が躯体5に固定された後、その露出した支柱補強材3上部に支柱1を挿通することで、図3のような手摺が完成する。このとき、支柱補強材3に挿通する支柱1については、笠木2や縦桟7などの手摺の上部構造物をユニット化したフェンス10として組み立て済みのものを取り付けることもできる。
また、図4(a)(b)は、本発明の手摺の他の実施形態である。この手摺は、躯体5に設けたアンカー9で上部構造物を支持するものであり、本実施による支柱補強材23には、躯体5内部に設けてあるアンカー9側の固定具11に固定する固定具受け孔23aが設けてある。躯体5の埋設穴Hの底面にアンカーボルト9a付きのアンカー9を配置し、そのアンカー9の上部中央に溶接してある固定具11に支柱補強材23の固定具受け孔23aを固定する。そして、固定具受け孔23aに、シリコンゴム等の防水及び撥水性と弾性を兼ね備える素材で形成されたバックアップ材12を上方から圧入して塞ぎ、この状態の支柱補強材23の下部を埋設穴Hに入れると共に、その埋設穴Hにモルタル4を充填する。最後に、支柱補強材23に支柱1をその下端がモルタル4に近接する位置まで挿入してフェンス10を設置する。このように形成することにより、支柱補強材23をアンカー9に固定する現場においても、バックアップ材12によって支柱補強材23の固定具受け孔23aからの浸水を防いで躯体5内部への雨水Wの滞留を防ぐことができる。
また、図5(a)(b)は、本発明の手摺の他実施形態として、想定荷重によって支柱補強材の形状が相違するものである。図5(a)のものは、比較的小さな荷重に耐え得る設計がなされたものであり、支柱補強材33の断面が縦横5:3の比率で成形されており、その長辺側の両端部を支柱1内周壁面に当接し、支柱1を内部から支持するものである。また、図5(b)に示すものは、比較的大きな荷重に耐え得る設計がなされたものであり、支柱補強材43の四辺が同一寸法で成形してあると共に、支柱1の内周壁面の四周すべてに当接し、支柱補強材43で支柱1を支持するものである。このように形成しても、支柱補強材33,43は、埋設穴Hに充填したモルタル4に埋設されると共に、支柱1の下端がモルタル4の上端面よりも僅かに上方に位置するので、支柱1内部に浸水した雨水Wが支柱1壁部内周面をつたって流れ落ちていっても躯体5上面に排水され、躯体5内に雨水Wが滞留することがない。
本発明の手摺は、上記実施形態のものに限らず、支柱補強材3については、支柱1の内部Sに挿通して支柱1を支持できると共に、埋設穴Hに埋設されたときに充填剤4を充填しても上方に突出できる一定の長さを有するものであればよい。また、支柱1下端と躯体5の隙間Fについては、あまりにも躯体5との間隔が開きすぎると、その隙間Fから躯体5側から支柱1内部Sに雨水Wが吹き込む場合があるので、支柱1下端の一部のみに隙間Fを作る程度でよい(図1(b)参照)。さらに、支柱補強材23,33,43のように固定具受け孔23a,33a,43aを有し、そこにバックアップ材12を嵌め入れるものについては、アンカー9を配置しない躯体5においても使用することができる。
1 支柱
3,23,33,43 支柱補強材
4 モルタル(充填剤)
5 躯体
H 埋設穴
S 内部
F 隙間

Claims (1)

  1. 躯体の上部に立設する手摺であって、支柱と支柱補強材とを備えており、支柱は、内部に支柱補強材を挿通しており、支柱補強材は、その下部を躯体に埋設してあると共に、支柱の下端は、躯体の内部に埋設せずに躯体の上部と隙間をあけて配置してあり、支柱補強材は、支柱の内周側に四隅が当接する中実材であるとともに、外周側部の四周すべてが肉抜きしてあることを特徴とする手摺。
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