JP5843465B2 - 除草剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の除草活性成分を混合させてなる、各種有害な雑草を効率的に防除する除草剤組成物に関するものである。
現在、数多くの除草剤が市販されているが、防除の対象となる雑草は種類も多く、発生も長期間にわたるため、より除草効果が高く、幅広い殺草スペクトラムを有し、抑草期間が長く、かつ有用植物に安全で優れた除草特性を有する除草剤が求められている。
グリホサート塩類は、特許文献1に記載の非選択性茎葉処理除草剤として公知の除草活性成分であり、雑草生育期の除草効果は優れているが、スギナ、イタドリ、トラノオなど一部の雑草には効果が劣り、また、雑草の再生抑制効果が劣り、抑制期間が短いという解決すべき課題が残されていた。
また、イソウロンは、非特許文献1に記載の移行性除草剤として公知の除草活性成分であり、効力持続性があり、抑草期間は長いが、イネ科雑草に対する除草効果が劣るという解決すべき課題が残されていた。
また、メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類は、非特許文献1に記載の選択性移行型除草剤として公知の除草活性成分であり、効力発現速度が速いが、多年生、宿根性雑草には適用できないという解決すべき課題が残されていた。
除草効果が高く、幅広い殺草スペクトラムを有し、抑草期間が長く、かつ有用植物に安全で優れた除草特性を有する除草剤が望まれていた。
特開昭47−39538号公報
武藤聡雄著「農業概論」(株)技報堂発行 昭和45年
本発明の目的は、上記課題を解決し、除草効果が高く、幅広い殺草スペクトラムを有し、抑草期間が長く、かつ有用植物に安全で優れた除草特性を有する除草剤組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、殺草機構及び除草スペクトラムの異なる複数の除草活性成分を組み合わせることにより、各種の有害な雑草を効率的に防除し、かつ除草効果は該除草活性成分を単独に用いた場合と比べ、相乗的な効果が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、除草活性成分が、グリホサート塩類から選択される少なくとも1種と、イソウロンと、メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類と含有されてなる除草剤組成物である。
また、本発明は、該除草剤組成物が、粉末水和剤、顆粒水和剤、懸濁剤または粉剤であることを特徴とする除草組成物である。
以下に、本発明の除草剤組成物について、詳細に説明する。
本発明の除草剤組成物は、除草活性成分として、グリホサート塩類から選択される少なくとも1種と、イソウロンと、メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類と含有されてなるものである。
上記グリホサート塩類としては、例えば、アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩、トリメシウム塩等があげられ、これらの塩の少なくとも1種が用いられる。
上記メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類としては、例えば、アンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩、トリメシウム塩等があげられ、これらの塩の少なくとも1種が用いられる。
本発明の除草剤組成物における除草活性成分の配合割合としては、除草剤組成物100質量部(以下、「部」と略記する。)中、グリホサート塩類が0.1〜90部、イソウロンが0.1〜90部、メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類が0.05〜95部であり、除草効果の観点から、より好ましくは、グリホサート塩類が20〜50部、イソウロンが20〜50部、メコプロップ塩類またはメコプロップP塩類が5〜30部であり、除草対象となる地域、雑草の種類及び適用時期等によって、適宜、配合割合が選択される。
本発明の除草剤組成物は、上記除草活性成分を混合させて製剤化させるか、または、該除草活性成分に従来公知の固体担体(炭酸カルシウム等)、液体担体(エチレングリコール等)を混合させ、必要に応じて界面活性剤(ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート等)、浸透剤(アルキルアミンエトキシレート等)、展着剤(高級アルコールエトキシレート等)、増粘剤(キサンタンガム等)、凍結防止剤(グリセリン等)、結合剤(カルボキシメチルセルロース等)、固結防止剤(グリセリン等)、崩壊剤(結晶セルロース等)、防腐剤(ベンズイソチアゾール等)、消泡剤(シリコン系消泡剤等)及び流動性改良剤(ホワイトカーボン等)等の製剤用補助剤を添加させて、粉末水和剤、顆粒水和剤、懸濁剤または粉剤に製剤化させて調整される。また、散布作業の省力化及び取扱者の安全性向上の観点から、上記製剤を水溶性フィルムからなる包装体に封入させてもよい。
本発明の除草剤組成物は、グリホサート塩類、イソウロン、及びメコプロップ塩類またはメコプロップP塩類からなる3種類の除草活性成分が含有されており、各除草活性成分を単用した場合及びこれらの2成分を組み合わせて用いた場合と比較して、適用範囲を超えて殺草スペクトルが相乗的に拡大され、除草効果の発現が早く、生育期の除草効果及び再生抑制効果が高く、長期間にわたって抑草効果が持続するため、除草剤の散布労力を低減することができる。
また、本発明の除草剤組成物は、さとうきび等の有用植物には安全であり、宅地、鉄道、公園、駐車場などの雑草防除に適用できる。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、実施例中の、「部」は質量部を示す。
製剤例1(粉末水和剤)
除草活性成分として、グリホサート塩類であるグリホサートイソプロピルアミン塩30部、イソウロン25部、及びメコプロップ塩類であるメコプロップPナトリウム塩5部に、添加剤として、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート5部、ホワイトカーボン5部、高級アルコールエトキシレート5部、アルキルアミンエトキシレート5部及び炭酸ナトリウム15部を均一に混合粉砕させて、製剤例1の粉末水和剤を得た。
製剤例2(顆粒水和剤)
除草活性成分として、グリホサート塩類であるグリホサートイソプロピルアミン塩(62%水溶液)69部、イソウロン25部及びメコプロップP塩類であるメコプロップPイソプロピルアミン塩5部に、添加剤として、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート2部、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル4部、ポリオキシエチレンアルキルアミン4部、ホワイトカーボン2部、カルボキシメチルセルロース2部及び炭酸水素ナトリウム15部を均一に混合させ混練しながら温度40℃で減圧乾燥後、押し出し造粒機を用いて0.15〜2.0mmの大きさに造粒させた後、温度40〜50℃にて乾燥させて、製剤例2の顆粒水和剤を得た。
製剤例3(懸濁剤)
除草活性成分として、グリホサート塩類であるグリホサートイソプロピルアミン塩(62%水溶液)40部、イソウロン20部及びメコプロップ塩類であるメコプロップカリウム塩(50%水溶液)8部に、添加剤として、エチレングリコール5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート5部、高級アルコールエトキシレート2部、アルキルアミンエトキシレート2部、シリコン系消泡剤0.5部及びベンズイソチアゾール0.1部と、水17部を加えて混合し、サンドグラインダーを用いて微粉砕させた後に、キサンタンガムを0.3部加えて、製剤例3の懸濁剤(フロアブル剤)を得た。
製剤例4(粉剤)
除草活性成分として、グリホサート塩類であるグリホサートイソプロピルアミン塩15部、イソウロン25部及びメコプロップP塩類であるメコプロップPナトリウム塩5部に、添加剤として、炭酸カルシウム47部、ホワイトカーボン6部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル1部、及びステアリン酸カルシウム1部を均一に混合粉砕させて、製剤例4の粉剤を得た。
次に、上記除草剤組成物の効果を、試験例をあげて、以下に説明する。
試験例1
製剤例1に示す本発明の除草剤組成物(粉末水和剤)について、殺草スペクトラム、すなわち一年生及び多年生イネ科、広葉植物並びにスギナに対する除草効果および再生抑制効果を評価するため、各植物の優占植生において試験を実施した。
試験方法は、薬剤処理時期を各植物の生育期とし、面積10aあたり製剤例1の水和剤3000g/水200L相当の散布液を調整し、各除草活性成分の処理量が、グリホサートイソプロピルアミン塩900g、イソウロン750g及びメコプロップPナトリウム塩150gとなるように散布処理した。
試験結果は、処理前の各植物の被度を100%として処理後の被度を生育期の除草効果(処理30日後)及び再生抑制効果(処理360日後)について観察調査して評価した。結果を表1に示す。なお、表中、評価基準を以下の符号で示した。
0〜5%:●、6〜10%:◎、11〜20%:○、21〜40%:□、41〜60%:△、>61%:×
本試験では、市販のグリホサートアンモニウム塩41%「液剤(商品名:ラウンドアップハイロード、モンサント社製)、イソウロン50%水和剤(商品名:イソキシール水和剤、日本農薬社製)およびメコプロップカリウム塩50%水溶剤(商品名:MCPP液剤、理研グリーン社製)を単用した場合と、それぞれ2剤を組合せて用いた場合を比較対象とした。
Figure 0005843465
表1の結果から、本発明の製剤例1の水和剤は、各除草活性成分を単用した場合及びそれらの2成分を組み合わせて用いた場合と比較して、生育期の除草効果及び再生抑制効果に優れ、かつより幅広い草種に高い除草効果を示した。
試験例2
製剤例2に示す本発明の除草剤組成物(顆粒水和剤)について、除草効果及び再生抑制効果を評価するため、春期スギナ優先植生地において試験を実施した。
試験方法は、薬剤処理時期をスギナの生育期(草丈20〜35cm)とし、面積10aあたり製剤例2の顆粒水和剤3000g/水100L相当の散布液を調整し、各除草活性成分の処理量が、グリホサート1200g、イソウロン750g、及びメコプロップPイソプロピルアミン塩150gとなるように散布処理した。
試験結果は、薬剤処理前のスギナ被度を100%として処理後の被度を15日後、60日後、360日後に観察調査して評価した。結果を表2に示す。
本試験では、市販のグリホサートアンモニウム塩41%液剤(商品名:ラウンドアップハイロード、モンサント社製)、イソウロン50%水和剤(商品名:イソキシール水和剤、日本農薬社製)およびメコプロップカリウム塩50%水溶剤(商品名:MCPP液剤、理研グリーン社製)を単用した場合と、それぞれ2剤を組合せて用いた場合を比較対象とした。
Figure 0005843465
表2の結果から、本発明の製剤例2の顆粒水和剤は、各除草活性成分を単用した場合及びそれらの2成分を組み合わせて用いた場合と比較して、スギナに対する除草効果の発現が顕著に早くなるとともに除草効果が増大し、翌年の再生抑制効果においてもより高い効果を示した。
試験例3
製剤例3に示す本発明の除草剤組成物(懸濁剤)について、除草効果及び再生抑制効果を評価するため、春期スギナ優先植生地において試験を実施した。
試験方法は、薬剤処理時期をスギナ生育期(草丈20〜35cm)とし、面積10aあたり製剤例3の懸濁剤3000g/水200L相当の散布液を調整し、各除草活性成分の処理量が、グリホサート900g、イソウロン600gおよびメコプロップカリウム塩240gとなるように散布した。
試験結果は、薬剤処理前のスギナ被度を100%として処理後の被度を20日後、60日後、270日後に観察調査して評価した。結果を表3に示す。
本試験では、市販のグリホサートアンモニウム塩41%液剤(商品名:ラウンドアップハイロード、モンサント社製)を比較対象とした。
Figure 0005843465
表3の結果から、本発明の製剤例3の懸濁剤は、グリホサートアンモニウム塩41%液剤を単用した場合に比べ、スギナに対する除草作用の発現が早く、また翌年の再生抑制効果においてもより高い効果を示した。
試験例4
製剤例4に示す本発明の除草剤組成物(粉剤)について、除草効果及び再生抑制効果を評価するため、オヒシバ優先植生地において試験を実施した。
試験方法は、薬剤処理時期をオヒシバ発生初期(草丈10〜20cm)とし、面積10aあたり製剤例4の粉剤3000g相当、すなわち各除草活性成分の処理量が、グリホサート450g、イソウロン750gおよびメコプロップPナトリウム塩150gとなるように散布処理した。
試験結果は、薬剤処理前のオヒシバ被度を100%として処理後の被度を15日後、20日後、30日後、60日後に観察調査して評価した。結果を表4に示す。
本試験では、市販のグリホサートアンモニウム塩41%液剤(商品名:ラウンドアップハイロード、モンサント社製)を比較対象とした。
Figure 0005843465
表4の結果から、比較対象の市販グリホサート液剤は、処理20日後に生育期のオヒシバを枯殺するものの、同60日後には再生するオヒシバによりほぼ全体が占有されたのに対し、製剤例4の本発明の除草剤組成物は、オヒシバを枯殺し、処理60日後の再生も完全に抑制し、抑草期間を長く維持する効果を示した。
本発明の除草剤組成物は、グリホサート塩類、イソウロン、及びメコプロップ塩類またはメコプロップP塩類からなる3種類の除草活性成分が含有されてなり、各除草活性成分を単用した場合及びそれらの2成分を組み合わせて用いた場合と比較して、適用範囲を超えて殺草スペクトルが相乗的に拡大され、除草効果の発現が早く、生育期の除草効果及び再生抑制効果が高く、長期間にわたって抑草効果を持続するため、除草剤の散布労力を低減することができる。
また、本発明の除草剤組成物は、さとうきび等の有用植物には安全であり、宅地、鉄道、公園、駐車場などの雑草を防除するのに適用できる。

Claims (2)

  1. 除草活性成分として、グリホサートのアンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びトリメシウム塩から選択される少なくとも1種と、イソウロンと、メコプロップまたはメコプロップPのアンモニウム塩、イソプロピルアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びトリメシウム塩から選択される少なくとも1種とが含有されてなる除草剤組成物。
  2. 除草剤組成物が、粉末水和剤、顆粒水和物、懸濁剤または粉剤であることを特徴とする請求項1に記載の除草剤組成物。
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