JP5836831B2 - 画像修正装置及びそのプログラム - Google Patents
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Description
非特許文献1には、いわゆるインペインティング(Inpainting)の手法が開示されている。このインペインティング手法は、修正対象領域の周辺の等輝度線等の情報を、修正対象領域の内側に伝搬させていく手法(以下、第1従来手法という)である。
この第2従来手法は、動画像の修正対象の領域に予め定めた初期値を設定した第1のビデオシーケンスにおいて、各画素を中心に時空間方向にある大きさを持った画素情報である画像パッチのリスト(第1パッチリスト)を生成する。また、第2従来手法は、修正対象の動画像から修正対象領域を除外した第2のビデオシーケンスにおいて、第1のビデオシーケンスのデータセット(素材)となる画像パッチのリスト(第2パッチリスト)を生成する。
そして、第2従来手法は、修正後の新たな動画像を第1のビデオシーケンスとして、前記処理を繰り返し、コヒーレンスが最大となる動画像を、修正した動画像として出力する。
ここで、図30の画像から修正対象領域を除去して、この修正対象領域に隠された背景部分を復元する例で説明する。この画像は、奥側が森林で、芝生が生えた平地に柵が設置されており、この柵の手前を横切るように鷹が飛んでいる様子を撮影したものである。この森林は、濃淡が異なる木々が生い茂っている。また、この芝生は黄緑色であり、この柵は桃色である。さらに、この鷹は、胴部が黒色であり、頭部が白色であり、嘴が黄色であり、脚が茶色である。
また、説明を分かりやすくするため、図30では、柵を網掛で図示した。
さらに、第2従来手法は、画素値決定のプロセスにおいて、修正対象領域の境界から内側に対して重み付けがされているとしても、この直線的な構造物を長い距離にわたって延長することが困難である。
従って、第2従来手法では、図32のように柵が修正対象領域の中心まで延長されないことや、図33のように柵が修正対象領域の内側で接続されない(接続時につじつまが合わない)といった不正接続が発生する。この不正接続により、第2従来手法では、視覚的に望ましい結果が得られず、画像の品質が著しく低下することが多い。
さらに、二次元画像に含まれる構造物の領域分布情報である構造情報を推定することで、第2従来手法の問題を解決する手法も開示されている(非特許文献5)。
非特許文献3,4に記載の技術は、接続情報が複数存在する場合、それぞれを手動設定する必要があり、煩雑である。また、非特許文献3,4に記載の技術は、動画像を修正する場合、時間方向に正確な(つじつまのあった)接続情報を手動設定する必要もあり、非常に煩雑である。さらに、非特許文献3,4に記載の技術は、接続情報を手動設定するために、アプリケーションとして、インタラクティブなユーザーインターフェースの実現が必要となる。このように、接続情報に関する問題の原因となる接続情報の手動設定は、回避したいという強い要望がある。
また、延長領域は、修正対象領域の内側に延長された分割領域を示すものである。
そして、画像修正装置は、色占有率算出手段によって、領域代表色ごとの画素数と、修正対象隣接領域の全画素数との比である色占有率を算出する。
この領域代表色背景推定画像は、修正対象領域に隠された背景部分を領域代表色として推定した画像であり、修正対象領域に隠されていた直線的な構造物が領域代表色による減色表現で描画されている。
以下、「類似する画像パッチの探索による画像修正処理」を「画像修正処理」と略記する。
かかる構成によれば、画像修正装置は、相互接続ペアを正確に判定できる。
かかる構成によれば、画像修正装置は、交差条件を満たす可能性のない延長領域を有する接続領域が、接続可能ペアに含まれる事態を防止できる。
かかる構成によれば、画像修正装置は、修正対象領域の内側で途切れる背景部分も描画して、詳細な領域代表色背景推定画像を生成できる。
かかる構成によれば、画像修正装置は、ユーザが、修正対象領域を構成する分割領域を指定できるため、修正対象領域の輪郭をなぞって入力する場合に比べて、その手間を軽減できる。
本願第1発明によれば、背景部分の接続情報を示す相互接続ペアを求めるため、接続情報を手動設定する必要がない。また、本願第1発明によれば、構造物同士が交差しないといった適用条件が存在しないため、様々な画像に適用でき、汎用性を高くすることができる。さらに、本願第1発明によれば、画像修正処理を施す際、修正対象領域に隠されていた直線的な構造物が予め描画されているため、不正接続を防止して、高品質な背景復元画像を生成することができる。
本願第3発明によれば、交差条件を満たす可能性のない延長領域を有する接続領域が接続可能ペアに含まれる事態を防止できるため、背景部分がより詳細に復元された背景復元画像を生成することができる。
本願第5発明によれば、分割領域を修正対象領域として指定できるため、修正対象領域の輪郭をなぞって入力する場合に比べて、その手間を軽減でき、利便性を向上させることができる。
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像修正装置1の構成について説明する。
画像修正装置1は、入力画像から修正対象領域を除去すると共に、修正対象領域に隠された背景部分を復元するものである。このため、画像修正装置1は、図1に示すように、修正対象領域処理手段10と、初期構造分布推定手段20と、初期構造分布修正手段(第1画像修正手段)30と、最終修正手段(第2画像修正手段)40とを備える。
また、画像修正装置1は、カメラ(不図示)から入力画像を入力することとするが、予めカメラで撮影した入力画像を記憶手段(不図示)に記憶しておき、その記憶手段から入力画像を入力することとしてもよい。
図2,図3を参照して、領域分割処理について説明する(適宜図1参照)。
この領域分割・領域代表色算出手段11は、平均値シフト法(Mean Shift Segmentation法)等を応用した領域分割処理を入力画像に施す。この平均値シフト法では、一定の時空間バンド幅と色空間バンド幅とを指定することにより、時空間的に近隣にあり、かつ、RGB色空間等の色空間上での距離が近い画素の集合で、一つの分割領域(クラスタ)を形成する。その後、その微小な分割領域を統合して大きな分割領域にするために、それぞれの分割領域の算出色(平均色)画素の画素値同士の差が、非常に小さく設定された閾値(例えば、平均値シフト法で指定した色空間バンド幅の1/10)以下の領域を束ねていくことで、分割領域を形成する。このように、領域分割・領域代表色算出手段11は、平均値シフト法を応用することにより、入力画像を、総画素数に対して極めて小さい数の分割領域に分割できる。
なお、図2では、図面を見やすくするため、柵を網掛で図示した。
なお、IDを付与する規則は、分割領域を一意に識別できればよく、この例に制限されない。
修正対象領域入力手段12は、領域分割・領域代表色算出手段11から領域代表色画像が入力され、修正対象領域Hとして、この領域代表色画像を構成する分割領域の1以上を入力(指定)させるものである。
また、修正対象領域Hは、複数の分割領域が選択された場合、一筆書きできるように、全ての分割領域の最外周が連続していればよい。
また、以下の説明では、図30の鷹が修正対象領域Hであることとする。
さらに、接続領域リスト生成手段21は、抽出した接続領域92の両端から修正対象領域Hの内側に向けた2つの方向ベクトル93(図6)の延長線に挟まれる延長領域94(図7)を算出する(延長領域の算出)。
図4,5を参照して、接続領域の抽出について説明する(適宜図1参照)。
図4に示すように、接続領域リスト生成手段21は、領域分割・領域代表色算出手段11から入力された領域代表色画像において、修正対象領域入力手段12から入力された修正対象領域Hを外側に予め設定された画素数(例えば、1画素分)だけ拡大させて、修正対象隣接領域91を生成する。つまり、図4の修正対象隣接領域91は、おおよそ、図30の鷹(修正対象領域H)の輪郭を表しており、領域代表色を有する画素で構成されている。
図5では、各正方形が修正対象隣接領域91の各画素を表し、この正方形の内部に付されたA,B,C,Dが各画素の領域代表色を表す。この場合、接続領域リスト生成手段21は、修正対象隣接領域91において、隣接画素の画素値(RGB値)を比較することで領域代表色A,B,C,Dの境界を検出する。そして、接続領域リスト生成手段21は、領域代表色A,B,C,Dそれぞれの画素が連続する画素集合を求める。
なお、接続領域リスト生成手段21は、隣接画素の画素値を比較する代わりに、分割領域のIDが変化する位置を境界として検出してもよい。
この接続領域92は、修正対象領域Hの内側で他の分割領域に接続される可能性がある分割領域を示すものである。
図6,図7を参照して、延長領域の算出について説明する(適宜図1参照)。
図6では、図面を見やすくするため、接続領域92Cの領域代表色を示す“C”を省略した。また、図6では、修正対象領域Hの境界を一点鎖線で図示した。
図7では、図面を見やすくするため、修正対象隣接領域91を楕円形の実線で図示し、接続領域92を太線で図示し、延長領域94を網掛で図示した(図8〜図12も同様)。
この方向ベクトル931,932は、接続領域92Cの両端から修正対象領域Hの内側に向けて、接続領域92Cの境界方向を示すものである。言い換えるなら、方向ベクトル931,932は、修正対象領域Hの内側に向けて、分割領域を延長する方向を示す。
また、接続領域リスト生成手段21は、第1例又は第2例の何れを用いるか手動で設定できる。以下の説明では、接続領域リスト生成手段21が第1例の手法を用いることとする。
図8を参照して、対向条件の判定について説明する(適宜図1参照)。
例えば、分割領域の一部が修正対象領域Hの内側に入り込んだ場合、他の分割領域に接続されることがなく、後記する交差条件を満たす可能性がないといえる。このため、接続領域リスト生成手段21は、図8に示すように、接続領域92の2つの方向ベクトル931,932が対向条件を満たすか否かを判定することが好ましい。そして、接続領域リスト生成手段21は、対向条件を満たす接続領域92を、後記する接続可能ペアリスト生成手段22に出力しない。
また、対向条件を満さない、つまり、交差条件を満たす可能性がある接続領域92は、接続可能ペアリスト生成手段22に出力することは言うまでもない。
接続可能ペアリスト生成手段22は、接続領域リスト生成手段21から入力された接続領域リストに含まれる接続領域92A,92C,92Dの全組み合わせについて、領域代表色A,C,Dが類似するか否かを判定するものである。
この閾値は、領域分割・領域代表色算出手段11で用いた閾値に基づいて予め設定できる(例えば、領域代表色算出手段11の閾値の半分)。
この接続可能ペア(92A,92D)は、後記する相互接続ペアの候補である。
図9〜図12を参照して、交差条件の判定について、4つの具体例を説明する(適宜図1参照)。
図9,図10では、交差領域95のうち、修正対象領域Hの内側に含まれる部分をハッチングで図示した。
この第2例では、図10に示すように、2つの延長領域94が交差しており、交差領域95が形成される。しかし、この交差領域95のハッチング部分が、修正対象領域Hの内側に50%以上含まれていない。このため、相互接続ペア判定手段23は、2つの延長領域94が交差条件を満たさないと判定する。
この第3例では、図11に示すように、2つの延長領域94が平行のために交差せず、交差領域95が形成されない。つまり、交差領域95のハッチング部分が修正対象領域Hの内側に一切含まれない。このため、相互接続ペア判定手段23は、2つの延長領域94が交差条件を満たさないと判定する。
この第4例では、図12に示すように、2つの延長領域94が修正対象領域Hの内側で途切れるために交差せず、交差領域95が形成されない。このため、相互接続ペア判定手段23は、2つの延長領域94が交差条件を満たさないと判定する。
この相互接続ペア(92,92)は、互いに接続される接続領域92のペアを示した接続情報である。
その後、相互接続ペア判定手段23は、相互接続ペア(92,92)と、相互接続ペア(92,92)の接続領域92それぞれについて、2つの方向ベクトル93と延長領域94とを格納した相互接続ペアリストを生成して、色占有率算出手段24に出力する。
色占有率算出手段24は、相互接続ペア判定手段23から入力された相互接続ペアリストに含まれる相互接続ペア(92,92)について、領域代表色ごとの色占有率を算出するものである。
その後、背景塗りつぶし手段25は、生成した背景色画像と、色占有率算出手段24から入力された領域代表色の順及び相互接続ペアリストとを前景接続描画手段26に出力する。
図13を参照して、初期構造分布推定画像の生成について説明する(適宜図1参照)。
図13では、相互接続ペアを構成する接続領域は、それぞれ、符号92P,92Qで図示した。また、接続領域92Pの2つの方向ベクトルは、それぞれ、符号93P1,93P2で図示した。また、接続領域92Qの2つの方向ベクトルは、それぞれ、符号93Q1,93Q2で図示した。
また、図13では、図面を見やすくするため、修正対象隣接領域91を楕円形の実線で図示し、接続領域92を太線で図示し、点PXQから作られる2次ベジェ曲線L2を一点鎖線で図示した。
このように、前景接続描画手段26は、延長領域94に沿ったベジェ曲線L2を算出し、ベジェ曲線L2の上で描画円96を移動させながら、この描画円96P,96Qに含まれる各画素を相互接続ペア(92P,92Q)の領域代表色とする。これによって、前景接続描画手段26は、接続されると推定された接続領域92が領域代表色により構造的に接続された初期構造分布推定画像の生成を可能にしている。
以下、図11,図12に戻り、接続領域の延長描画について説明する(適宜図1参照)。
例えば、図11,図12のような接続可能ペア(92,92)は、修正対象領域Hの内側に延長される可能性がありながら、交差条件を満たさないために相互接続ペア(92,92)と判定されない。従って、この接続可能ペア(92,92)の接続領域92は、入力画像の修正対象領域Hで隠される背景部分において、この修正対象領域Hの内側に延長され、かつ、その途中で途切れる可能性がある。
以下、図30の柵に注目して、画像修正装置1が初期構造分布推定画像をどのように生成するか、具体例をあげて説明する。
修正対象領域入力手段12は、図30の鷹が修正対象領域Hとして入力される。
図14では、図面を見やすくするため、柵の部分を網掛で図示し(図17,図18,図23,図24も同様)し、鷹の部分における分割領域の図示を省略した。
図15,図16では、各正方形が各画素を表し、網掛で図示した画素が図14の柵の部分に対応し、黒塗りした画素が図14の修正対象領域Hに対応する。
また、図15,図16では、接続領域92を太線で図示した。
また、図30の柵に注目して説明したが、初期構造分布推定手段20は、柵以外についても同様の処理を施すことは言うまでもない。
初期構造分布修正手段30は、時空間上での解像度の階層関係に基づいて、修正対象画像(合成画像)に初期構造分布修正処理(第1の画像修正処理)を施して領域代表色背景復元画像を生成するものである。このため、初期構造分布修正手段30は、修正対象パッチリスト生成手段31と、素材パッチリスト生成手段32と、修正対象パッチリスト更新手段33と、を備えている。
なお、解像度の階層関係は、前記参考文献に記載されており、画像修正装置1の動作と共に詳細に説明する。
図19に示すように、修正対象画像Sは、xy座標の座標系で表されるフレーム画像の修正領域分の画像が時間方向tに連続した画像(動画像、映像)であるとする。このとき、座標(x、y)、時刻tにおける画素p=(x,y,t)を中心として、xy方向(空間方向)およびt方向(時間方向)に予め定めた大きさの画素群(Wp)、具体的にはそれら画像群の画素値の集合を画像パッチと呼ぶ。この画像パッチの大きさは、例えば、3×3×3画素、5×5×5画素、7×7×7画素等である。
素材パッチリスト生成手段32は、素材画像から、画素ごとに当該画素を中心画素とした予め定めた範囲の画素の画素値からなる画像パッチ(素材パッチ)で構成される素材パッチリストを生成するものである。この生成された素材パッチリストは、修正対象パッチリスト更新手段33に出力される。
また、この素材パッチリスト生成手段32が生成する素材パッチリストを構成する画像パッチ(素材パッチ)は、その元となる画像が、修正対象パッチリスト生成手段31で処理した画像と異なるだけである。
修正対象パッチリスト更新手段33は、修正対象パッチリストの画像パッチを、当該画像パッチと最も類似度が高い素材パッチリストの画像パッチで置換して修正対象パッチリストを更新し、類似度の累計(コヒーレンス〔関連度〕)が最大となる最近似パッチリストを生成するものである。
すなわち、修正対象パッチリスト更新手段33は、以下の(1)式に示すコヒーレンスCoの値が最大となる修正対象パッチリストを生成するものである。
この類似パッチ探索手段331は、修正対象パッチWpごとに、以下の(2)式(前記(1)式の関数sim)によって、修正対象パッチWpと素材パッチVqとの類似度を計算する。
なお、Vq(x,y,t)は、素材パッチVqの画像特徴量であって、その内容は、修正対象パッチWpの画像特徴量と同じである。
この類似パッチ置換手段333は、後記する更新終了判定手段335から終了の指示が通知されるまで、更新した修正対象パッチリストを類似パッチ探索手段331に出力する。これによって、修正対象パッチリストは、順次更新されることになる。
また、類似パッチ置換手段333は、更新した修正対象パッチリストを画素値更新手段334に出力する。
この画素値更新手段334は、得られたすべての修正対象パッチリストから、それぞれの修正対象画素に関係する修正対象パッチ群から得られるすべての画素値を用いて推定画素値を求め、これにより修正対象画像Sの修正対象領域Hの画素値を更新する。
なお、式(4)及び式(5)では、pが画素を表す。
ここで、コヒーレンスCoが最大となったときとは、これ以上、コヒーレンスCoの値が増加しないと判断したとき、例えば、コヒーレンスCoの増分割合が予め定めた閾値以下となったときである(コヒーレンスCoの収束)。
この修正対象画像Sは、図23に示すように、図2の領域代表色画像と同等の色解像度で、図30の鷹に隠された背景部分が領域代表色で復元されているため、領域代表色背景復元画像とも呼ばれる。
また、この修正対象画像Sは、図25に示すように、入力画像と同等の色解像度で、柵(網掛で図示)も含めて、鷹に隠された背景部分が復元されているため、背景復元画像とも呼ばれる。
図26を参照して、図1の画像修正装置1の全体動作について説明する(適宜図1参照)。
画像修正装置1は、外部から、入力画像が入力される(ステップS1)。
画像修正装置1は、領域分割・領域代表色算出手段11によって、領域代表色画像を生成し、分割領域ごとの領域代表色を算出する(ステップS2、領域分割処理)。
画像修正装置1は、修正対象領域入力手段12によって、修正対象領域Hを指定する(ステップS3)。
なお、この初期構造分布推定処理は、詳細を後記する(図27参照)。
なお、この初期構造分布修正処理は、詳細を後記する(図28参照)。
なお、この最終修正処理は、詳細を後記する(図29参照)。
図27を参照して、図26の初期構造分布推定処理について説明する(適宜図1参照)。
初期構造分布推定手段20は、領域分割・領域代表色算出手段11から、領域代表色画像と、分割領域ごとの領域代表色とが入力される(ステップS41)。
接続可能ペアリスト生成手段22は、接続領域リストに含まれる接続領域の全組み合わせについて、互いの領域代表色が類似するか否かによって接続可能ペアであるか否かを判定し(ステップS43)、接続可能ペアリストを生成する(ステップS44)。
背景塗りつぶし手段25は、色占有率が最高となる領域代表色を背景色として決定する(ステップS46)。
前景接続描画手段26は、色占有率が高い領域代表色の順番に相互接続ペアを描画する(ステップS48)。
<1回目の初期構造分布修正処理:最低解像度>
図28を参照して、図26の初期構造分布修正処理について説明する(適宜図1参照)。
初期構造分布修正手段30は、修正対象領域入力手段12から修正対象領域Hが入力される(ステップS62)。
修正対象パッチリスト生成手段31は、低解像度修正対象画像Sから、修正対象パッチで構成される修正対象パッチリストを生成する(ステップS66)。
関連度算出手段332は、探索された素材パッチの類似度を累計し、コヒーレンスを算出する(ステップS68)。
画素値更新手段334は、修正対象パッチリストを構成する修正対象パッチから、低解像度修正対象画像Sの修正対象領域Hに対して推定画素値を求める。これによって、低解像度修正対象画像Sは、修正対象領域Hの画素値が更新される(ステップS70)。
一方、コヒーレンスが最大であると判定した場合(ステップS71でYes)、画像修正装置1は、ステップS72の処理に進む。
ここで、中間解像度及び最大解像度での初期構造分布修正処理を行うため(ステップS72でYes)、画素値更新手段334は、修正対象領域Hの画素値が更新された低解像度修正対象画像Sを、修正対象パッチリスト生成手段31にフィードバックする。その後、画像修正装置1は、ステップS64の処理に戻る。
修正対象パッチリスト生成手段31は、フィードバックされた低解像度修正対象画像Sから、画素値が更新された修正対象領域Hを抽出して、中間解像度まで拡大する。また、修正対象パッチリスト生成手段31は、中間解像度の領域代表色画像の修正対象領域Hを、拡大した修正対象領域Hで置き換えて合成画像を生成する。以上の処理により、修正対象パッチリスト生成手段31は、中間解像度の中解像度修正対象画像Sを生成する。
このとき、中解像度修正対象画像Sは、ステップS70の処理によって、修正対象領域Hの画素値が更新される。
ここで、最大解像度での初期構造分布修正処理を行うため(ステップS72でYes)、画素値更新手段334は、修正対象領域Hの画素値が更新された中解像度修正対象画像Sを、修正対象パッチリスト生成手段31にフィードバックする。その後、画像修正装置1は、ステップS64の処理に戻る。
修正対象パッチリスト生成手段31は、フィードバックされた中解像度修正対象画像Sから、画素値が更新された修正対象領域Hを抽出して、最高解像度まで拡大する。また、修正対象パッチリスト生成手段31は、領域代表色画像の修正対象領域Hを、拡大した修正対象領域Hで置き換えて合成画像を生成する。
この合成画像は、最高解像度の高解像度修正対象画像Sとなる。
この素材画像は、最高解像度の高解像度素材画像Dとなる(ステップS64)。
このとき、高解像度修正対象画像Sは、ステップS70の処理によって、修正対象領域Hの画素値が更新される。
ここで、全解像度で初期構造分布修正処理が完了したため(ステップS72でNo)、画素値更新手段334は、修正対象領域Hの画素値が更新された高解像度修正対象画像Sを、領域代表色背景復元画像として最終修正手段40に出力する。その後、画像修正装置1は、初期構造分布修正処理を終了する。
このように、初期構造分布修正手段30は、色解像度が領域代表色まで減色された修正対象画像S及び素材画像Dを処理対象とすることで、解像度の階層関係に基づいた初期構造分布修正処理を施すことができる。
<1回目の最終修正処理:最低解像度>
図29を参照して、図26の最終修正処理について説明する(適宜図1参照)。
最終修正手段40は、外部から入力画像が入力される(ステップS81)。
最終修正手段40は、修正対象領域入力手段12から修正対象領域Hが入力される(ステップS82)。
このとき、低解像度修正対象画像Sは、ステップS90の処理によって、修正対象領域Hの画素値が更新される。
ここで、中間解像度及び最大解像度での最終修正処理を行うため(ステップS92でYes)、画素値更新手段434は、修正対象領域Hの画素値が更新された低解像度修正対象画像Sを、修正対象パッチリスト生成手段41にフィードバックする。その後、画像修正装置1は、ステップS84の処理に戻る。
修正対象パッチリスト生成手段41は、フィードバックされた低解像度修正対象画像Sから、画素値が更新された修正対象領域Hを抽出して、中間解像度まで拡大する。また、修正対象パッチリスト生成手段41は、中間解像度の入力画像の修正対象領域Hを、拡大した修正対象領域Hで置き換えて合成画像を生成する。以上の処理により、修正対象パッチリスト生成手段41は、中間解像度の中解像度修正対象画像Sを生成する。
このとき、中解像度修正対象画像Sは、ステップS90の処理によって、修正対象領域Hの画素値が更新される。
ここで、最大解像度での最終修正処理を行うため(ステップS92でYes)、画素値更新手段434は、修正対象領域Hの画素値が更新された中解像度修正対象画像Sを、修正対象パッチリスト生成手段41にフィードバックする。その後、画像修正装置1は、ステップS84の処理に戻る。
修正対象パッチリスト生成手段41は、フィードバックされた中解像度修正対象画像Sから、画素値が更新された修正対象領域Hを抽出して、最高解像度まで拡大する。また、修正対象パッチリスト生成手段41は、入力画像の修正対象領域Hを、拡大した修正対象領域Hで置き換えて合成画像を生成する。
この合成画像は、時空間及び色空間上で最高解像度の高解像度修正対象画像Sとなる。
この素材画像は、時空間及び色空間上で最高解像度の高解像度素材画像Dとなる(ステップS84)。
このとき、高解像度修正対象画像Sは、ステップS90の処理によって、修正対象領域Hの画素値が更新される。
ここで、全解像度で最終修正処理が完了したため(ステップS92でNo)、画素値更新手段434は、修正対象領域Hの画素値が更新された高解像度修正対象画像Sを、背景復元画像として外部(例えば、表示装置)に出力する。その後、画像修正装置1は、処理を終了する。
このように、最終修正手段40は、色解像度が入力画像と同等の修正対象画像S及び素材画像Dを処理対象とすることで、解像度の階層関係に基づいた最終修正処理を施すことができる。
以下、本発明の実施形態に係る画像修正装置1について、変形例を具体的に説明する。
本実施形態では、入力画像を動画像(映像)として説明したが、静止画像であってもよい。
この場合、画像パッチは、時空間方向に大きさを持つ画像パッチではなく、空間方向(xy方向)のみに大きさを持つものとすればよい。
そして、類似パッチ探索手段331は、(3)式の代わりに、以下の(6)式を用いることとする。
本実施形態では、修正対象領域Hとなる分割領域をユーザにマウスで指定させることとしたが、本発明は、これに限定されない。
つまり、修正対象領域入力手段12は、表示装置に表示された入力画像において、修正対象領域Hとなる分割領域をユーザにマウスで直接入力させてもよい。例えば、修正対象領域入力手段12は、マウスによって選択された任意の2点を対角頂点とする矩形領域を修正対象領域Hとしてもよいし、マウスのボタンをクリックした状態で、マウス表示位置を中心とした、ある大きさを持った領域の移動軌跡を修正対象領域Hとしてもよい。さらに、修正対象領域入力手段12は、入力画像から除去したい領域が修正対象領域Hに含まれていれば、除去したい領域の輪郭を正確に入力しなくともよい。
本実施形態では、解像度の階層関係を3レベルとしたが、本発明は、これに限定されない。例えば、解像度の階層関係は、画像パッチのサイズ制限から、通常で3レベル程度であり、最大で9レベル程度となる。さらに、本実施形態では、初期構造分布推定処理を行っているため、解像度の階層関係をあまり多くすることなく、背景部分を詳細に復元できる。以上の点を考慮して、本発明では、解像度の階層関係を任意に設定できる。
本実施形態では、RGB色空間を用いることとしたが、本発明は、HSV色空間、L*a*b色空間等の色空間を利用することができる。
本実施形態では、図30の入力画像を一例として説明したが、本発明は、図30以外の入力画像に適用できることは言うまでもない。
本実施形態では、修正対象領域Hを1つとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明は、修正対象領域Hが複数の場合、修正対象領域Hのそれぞれに対して、本実施形態で説明した処理を施せばよい。
10 修正対象領域処理手段
11 領域分割・領域代表色算出手段(領域代表色画像生成手段)
12 修正対象領域入力手段
20 初期構造分布推定手段
21 接続領域リスト生成手段(接続領域抽出手段)
22 接続可能ペアリスト生成手段(接続可能ペア判定手段)
23 相互接続ペア判定手段
24 色占有率算出手段
25 背景塗りつぶし手段(背景色画像生成手段)
26 前景接続描画手段(背景推定画像生成手段)
30 初期構造分布修正手段(第1画像修正手段)
31 修正対象パッチリスト生成手段
32 素材パッチリスト生成手段
33 修正対象パッチリスト更新手段
331 類似パッチ探索手段
332 関連度算出手段
333 類似パッチ置換手段
334 画素値更新手段
335 更新終了判定手段
40 最終修正手段(第2画像修正手段)
41 修正対象パッチリスト生成手段
42 素材パッチリスト生成手段
43 修正対象パッチリスト更新手段
431 類似パッチ探索手段
432 関連度算出手段
433 類似パッチ置換手段
434 画素値更新手段
435 更新終了判定手段
Claims (6)
- 入力画像から修正対象領域を除去すると共に、前記修正対象領域に隠された背景部分を復元する画像修正装置であって、
前記入力画像を類似色の画素で構成される分割領域に分割し、前記分割領域ごとの平均色である領域代表色を算出し、前記分割領域の各画素を当該分割領域の領域代表色として設定した領域代表色画像を生成する領域代表色画像生成手段と、
前記領域代表色画像で前記修正対象領域に隣接する修正対象隣接領域において、同一の前記領域代表色の画素が予め設定した数以上連続する接続領域を抽出すると共に、前記接続領域の両端から前記修正対象領域の内側へ当該接続領域の境界方向を示す2つの方向ベクトルの延長線に挟まれる延長領域を算出する接続領域抽出手段と、
前記接続領域の全組み合わせについて前記領域代表色が類似するか否かを判定し、前記領域代表色が類似する接続領域の組み合わせを接続可能ペアとして出力する接続可能ペア判定手段と、
前記接続可能ペアそれぞれの延長領域が互いに交差することを示す交差条件を満たすか否かを判定し、前記交差条件を満たす接続可能ペアを相互接続ペアとして出力する相互接続ペア判定手段と、
前記領域代表色ごとの画素数と、前記修正対象隣接領域の全画素数との比である色占有率を算出する色占有率算出手段と、
前記色占有率が最高となる領域代表色を背景色として決定し、前記修正対象領域の全画素を前記背景色とした背景色画像を生成する背景色画像生成手段と、
全ての前記相互接続ペアについて、前記背景色の次に色占有率が高い領域代表色の順に、当該領域代表色を有する相互接続ペアそれぞれの延長領域に沿って、前記背景色画像の画素を当該相互接続ペアの領域代表色とすることで、前記修正対象領域に隠された背景部分を前記領域代表色とした領域代表色背景推定画像を生成する背景推定画像生成手段と、
前記領域代表色画像の修正対象領域を前記領域代表色背景推定画像で置き換えた合成画像に対し、類似する画像パッチの探索による画像修正処理を施して、前記領域代表色画像の前記背景部分が復元された領域代表色背景復元画像を生成する第1画像修正手段と、
前記入力画像の修正対象領域を前記領域代表色背景復元画像で置き換えた合成画像に対し、類似する画像パッチの探索による画像修正処理を施して、前記入力画像の前記背景部分が復元された背景復元画像を生成する第2画像修正手段と、
を備えることを特徴とする画像修正装置。 - 前記相互接続ペア判定手段は、前記延長領域の交差により形成される交差領域が前記修正対象領域の内側に予め設定された割合以上含まれることを示す前記交差条件が、予め設定されたことを特徴とする請求項1に記載の画像修正装置。
- 前記接続領域抽出手段は、前記2つの方向ベクトルが対向することを示す対向条件が予め設定され、前記接続領域の2つの方向ベクトルが前記対向条件を満たすか否かを判定し、前記対向条件を満たす接続領域を出力しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像修正装置。
- 前記背景推定画像生成手段は、前記相互接続ペア判定手段で交差条件を満たさないと判定された接続可能ペアについて、当該接続可能ペアそれぞれの接続領域から前記修正対象領域の内側に予め設定された範囲までの前記領域代表色背景推定画像の画素を、当該接続領域の領域代表色とすることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像修正装置。
- 前記修正対象領域として、前記領域代表色画像生成手段が分割した分割領域の1以上が指定され、指定された当該修正対象領域を前記接続領域抽出手段に出力する修正対象領域入力手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の画像修正装置。 - 入力画像から修正対象領域を除去すると共に、前記修正対象領域に隠された背景部分を復元するために、コンピュータを、
前記入力画像を類似色の画素で構成される分割領域に分割し、前記分割領域ごとの平均色である領域代表色を算出し、前記分割領域の各画素を当該分割領域の領域代表色として設定した領域代表色画像を生成する領域代表色画像生成手段、
前記領域代表色画像で前記修正対象領域に隣接する修正対象隣接領域において、同一の前記領域代表色の画素が予め設定した数以上連続する接続領域を抽出すると共に、前記接続領域の両端から前記修正対象領域の内側へ当該接続領域の境界方向を示す2つの方向ベクトルの延長線に挟まれる延長領域を算出する接続領域抽出手段、
前記接続領域の全組み合わせについて前記領域代表色が類似するか否かを判定し、前記領域代表色が類似する接続領域の組み合わせを接続可能ペアとして出力する接続可能ペア判定手段、
前記接続可能ペアそれぞれの延長領域が互いに交差することを示す交差条件を満たすか否かを判定し、前記交差条件を満たす接続可能ペアを相互接続ペアとして出力する相互接続ペア判定手段、
前記領域代表色ごとの画素数と、前記修正対象隣接領域の全画素数との比である色占有率を算出する色占有率算出手段、
前記色占有率が最高となる領域代表色を背景色として決定し、前記修正対象領域の全画素を前記背景色とした背景色画像を生成する背景色画像生成手段、
全ての前記相互接続ペアについて、前記背景色の次に色占有率が高い領域代表色の順に、当該領域代表色を有する相互接続ペアそれぞれの延長領域に沿って、前記背景色画像の画素を当該相互接続ペアの領域代表色とすることで、前記修正対象領域に隠された背景部分を前記領域代表色とした領域代表色背景推定画像を生成する背景推定画像生成手段、
前記領域代表色画像の修正対象領域を前記領域代表色背景推定画像で置き換えた合成画像に対し、類似する画像パッチの探索による画像修正処理を施して、前記領域代表色画像の前記背景部分が復元された領域代表色背景復元画像を生成する第1画像修正手段、
前記入力画像の修正対象領域を前記領域代表色背景復元画像で置き換えた合成画像に対し、類似する画像パッチの探索による画像修正処理を施して、前記入力画像の前記背景部分が復元された背景復元画像を生成する第2画像修正手段、
として機能させるための画像修正プログラム。
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