JP5835186B2 - バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法 - Google Patents

バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、バイオマスの連続加水分解装置で得られる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液を、連続加水分解処理装置の中間に位置する任意の取出口より加水分解処理液を取り出すことにより単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造比率を任意にコントロールすることができる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法に関する。
バイオマス資源は、水と炭酸ガスと太陽エネルギーから光合成により生産される有機資源であり、エネルギー源または化学原料として利用可能である。バイオマス資源は、バイオマス資源から生産される生産物の生産量と生産物の利用量を調和させることができれば、炭酸ガスの排出量を増加させないで利用できる再生可能資源である。
バイオマスとは、生活や産業活動を営む過程で不要物として排出される有機性廃棄物である「廃棄物系バイオマス」、農地にすき込まれたり、山林に放置されたりする農作物の非食用部(例えば、トウモロコシの茎・葉など)や間伐材などの「未利用バイオマス」、食料や木材の生産を目的とせず、物質・エネルギー資源を得ることを目的として、現在の休耕地や未利用地などで栽培される植物である「資源作物」、従来からの手法による品種改良や遺伝子組換技術によって生産性などの機能が改善された資源作物である「新作物」などを指す。
バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、細胞内含有成分等の成分により構成されており、成分比はバイオマスの種類によって異なっている。例えば、木質系バイオマスは、約50%のセルロース、20−25%のヘミセルロース、20−25%のリグニン、約5%の細胞内含有成分から構成されている。これらの成分は工業的な利用が可能である。例えば、セルロースは製紙用パルプ、あるいは溶解用パルプとして利用できる。また、セルロースはグルコースの重合体であるので、セルロースからグルコースやセロオリゴ糖を得ることができる。グルコースはエタノールや乳酸の発酵原料、セロオリゴ糖は機能性食品として利用可能である。グルコースを還元して得られた糖アルコール(ソルビトール)は、冷涼感を有する甘味料として広く利用されており、最近ではバイオマス由来プラスチック原料としても注目されている(非特許文献1)。
一方、ヘミセルロースは、キシラン、マンナン、あるいはガラクタンなどから構成される高分子ヘテロ多糖類であり、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトース等から構成されている。ヘミセルロースからキシロース、アラビノースなどの単糖やキシロオリゴ糖などのオリゴ糖を得ることができる。また、キシロース等の単糖類は、グルコースと同様に発酵原料として用いることも可能である。キシロースを還元して得られるキシリトールは、糖尿病患者用の輸液や、虫歯になりにくい甘味料としてチューインガム等に配合されている。マンノースを還元して得られるマンニトールは、甘味料として利用されており、また、利尿作用、脳関門を開き脳圧を低下させる作用、薬剤の脳内への輸送を促進する作用が報告されている(非特許文献2)。
さらに、キシロースやアラビノース等の五炭糖をフルフラールに変換することが可能であり、グルコースやマンノースなどの六炭糖を5−ヒドロキシメチルフルフラールに変換することが可能である。これらのフルフラール類は、医薬品の中間体、プラスチック原料、フルフリルアルコールの原料(フラン樹脂の原料)として用いることが可能である。5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸は、テレフタル酸の代替物質としてポリエステルのモノマーとしての利用が期待されている。また、5−ヒドロキシメチルフルフラールの水素化分解によって得られる2,5−ジメチルフランは、ガソリン代替燃料としての利用が期待されている。米国エネルギー省では、バイオマス資源からバイオプロセスを主要技術として開発可能であり産業として成立する可能性の高い化学品としてキシリトール、ソルビトール、2,5−フランジカルボン酸などの12種の化成品を挙げている(非特許文献3)。
バイオマスを加圧熱水処理することによりバイオマスを構成する成分を分解、抽出することができる。加圧熱水とは、温度が100−374℃であり、飽和蒸気圧以上に加圧した高温高圧の液体状態の水のことである。加圧熱水に対するバイオマス構成成分の反応性の違いを利用することで、バイオマスの構成成分の分離を行うことが可能である。例えば、加圧熱水の温度が100−140℃においては、細胞内有用成分(タンニン、テルペン、有機酸)や水溶性リグニンを回収できることが報告されている。また、加圧熱水の温度が140−230℃においては、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖や、キシロース、アラビノース、マンノース、ガラクトースなどの単糖類を回収できることが報告されている(特許文献1、非特許文献4〜6)。
上記の加圧熱水処理のうち、溶解パルプ製造時にクラフト蒸解法の前工程として用いられる加圧熱水処理は、前加水分解工程と呼ばれる。バイオマスから溶解パルプを製造するには、バイオマス中のヘミセルロースとリグニンを選択的に除去し、セルロース純度を高める必要がある。パルプ製造時の前加水分解は、セルロースの分解を抑制し、ヘミセルロースのみを分解する条件で実施される。前加水分解工程では、バイオマスに水を加えて加熱するだけで、ヘミセルロース中のアセチル基が脱離して酢酸を生成し、酸性となり酸加水分解が進む。ヘミセルロースには、六炭糖であるマンノース、グルコース、ガラクトース、五炭糖であるキシロース、アラビノースが構成糖として含まれている。前加水分解工程において、ヘミセルロースが加水分解すると上記の糖から構成されるオリゴ糖類が生成される。また、オリゴ糖の加水分解がさらに進むと単糖が生成される。これらの糖の中で、五炭糖であるキシロース、アラビノースは、3分子の脱水反応によりフルフラールに変換される(非特許文献7)。バイオマスを前加水分解処理した後の加水分解物(固形分)は、後段のクラフト蒸解工程で加水分解物中に残存するリグニン及びヘミセルロースが除去され、更に次工程で漂白処理を行うことで高純度のセルロース(溶解パルプ)が得られる。
前述のように前加水分解工程では、溶解パルプ(セルロース)を効率よく製造することが第1の目的であるため、前加水分解の条件は、溶解パルプの製造に適した条件で実施される。一般的には、原料チップ(絶乾重量)に対して2〜5程度の液比で水を加え、150℃〜180℃で1〜数時間処理される。また、原料の種類や目的とする溶解パルプの品質に応じて適した前加水分解条件が設定される。従って、前加水分解後の反応液に含まれるオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の比率は目的の比率にはなっていないため、目的の成分を効率的に生産することができないという問題がある。もし、ヘミセルロースに由来するオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産比率を任意にコントロールすることができれば、これらの成分の需要に合わせた生産が可能となる。工業的規模での実用化を目指す場合、目的とする必要な成分のみを効率的に生産することができるため経済性の面でも有利である。
バイオマスを原料として加圧熱水処理により生産物の生産量をコントロールする技術として、バイオマスへの加圧熱水の供給量を変更することによりヘミセルロース分解物とセルロース分解物の生産量の比率をコントロールする方法(特許文献2)、バイオマスを第1加水分解工程で主にヘミセルロースを分解し、第1工程の残渣を第2加水分解工程で主にセルロースを分解する方法(特許文献3)、バイオマスを140〜230℃で加圧熱水処理しヘミセルロースを分解抽出後、前記以上の温度で加圧熱水処理しセルロースを分解抽出する方法(特許文献4)が報告されている。しかし、バイオマスを加水分解して同時に得られた単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の各成分の生産比率をコントロールする技術は開示されていない。
特開平10−327900号公報 特開2011−144337公報 特開2010−253348公報 特開2002−59118公報
望月政嗣、大島一史、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」p.p.114 岡田弘晃、「製剤設計及び革新的薬物送達システム(DDS)における創薬」YAKUGAKU ZASSHI、131、p.p.1271 (2011) Top Value Added Chemicals from Biomass Volume I−Results of Screening for Potential Candidates from Sugars and Synthesis Gas、DOE、Aug.2004 柴田 昌男、「バイオマス利用技術の開発を目指して―加圧熱水による処理技術―」、平成13年度産業技術総合研究所九州センター研究講演会要旨集 坂木 剛、「加圧熱水によるバイオマスの成分分離」Vol.7、 ページ245−248、日本エネルギー学会講演要旨集、1998年 安藤 浩毅、外5名、「加圧熱水を用いた木質バイオマスの分解挙動」、鹿児島県工業技術センター研究報告 No.14,ページ、2000 Furfural:Hemicellulose/xylosederived biochemical, Ajit Singh Mamman, Biofuels Bioproducts and Biorefining, Volume 2,Issue 5,p.p.438−454 (2008)
本発明の課題は、バイオマスから単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を任意の比率で製造する方法を提供することである。
本発明者らは、バイオマスの連続加水分解装置で得られる単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類を含有する加水分解処理液を、連続加水分解処理装置の中間に位置する任意の取出口より取り出すことにより単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の生産比率をコントロールすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)バイオマスの水性懸濁液を、連続加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを連続加水分解処理し、連続加水分解処理液を一次加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、連続加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間の任意の位置に取り付けられた固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の連続加水分解処理懸濁液から分離した連続加水分解処理液を加水分解処理の温度及び加圧を保った状態で連続的に取り出すことを特徴とするバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(2)前記連続加水分解装置の前記排出口の近傍から水性洗浄液を連続加水分解処置内に供給して前記固−液分離装置を備えた中間取出口と前記排出口との間で加水分解処理懸濁液と向流接触させることを特徴とする(1)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(3)前記連続加水分解装置の中間取出口より取り出された加水分解処理液を、該加水分解処理液からフルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を分離して回収する分離・回収工程に移送して処理することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(4)前記分離・回収工程が、前記加水分解処理液をフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離し、フルフラール含有蒸気を凝縮してフルフラール類含有水溶液を回収する濃縮分離工程と、該濃縮分離工程からの糖類含有濃縮液を精製処理する精製工程とを有することを特徴とする(3)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(5)前記糖類含有濃縮液の精製工程が、濃縮分離工程から得られる糖類含有濃縮液に中和剤を添加した後の糖類含有濃縮液を精製処理する工程であることを特徴とする(4)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(6)前記糖類含有濃縮液の精製工程が、固形分除去処理工程、脱色・脱塩処理工程を有することを特徴とする(4)項又は(5)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(7)前記糖類含有濃縮液の精製工程が、前記糖類含有濃縮液を、セラミックフィルターによるろ過処理工程、活性炭等による吸着処理工程、陽イオン交換樹脂処理工程と陰イオン交換樹脂処理工程よりなる少なくとも1種のイオン交換樹脂処理工程を有することを特徴とする(4)項〜(6)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(8)前記糖類含有濃縮液の精製工程が、前記糖類含有濃縮液を、セラミックフィルターによるろ過処理工程、活性炭等による吸着処理工程、複数の陽イオン交換樹脂処理工程と陰イオン交換樹脂処理工程が交互配置されているイオン交換樹脂処理工程を有することを特徴とする(4)項〜(7)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(9)前記糖類含有濃縮液の精製工程に引き続いて、精製処理された糖類含有濃縮液から単糖類とオリゴ糖類を分離し、回収する糖類成分分離工程を有することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(10)前記糖類成分分離工程が、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透膜ろ過装置から選ばれる二成分分離装置により単糖類とオリゴ糖類を分離する成分分離工程であることを特徴とする(9)項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
(11)前記バイオマスが木質バイオマスであることを特徴とする(1)項〜(10)項のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
本発明により、目的に応じて単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を任意の比率で製造することができるため、バイオマスからの生産効率の高い単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の製造方法が提供される。
本発明の単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の製造方法を実施することができる装置を示す図である。 連続加水分解による単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率の経時変化を示す図である。 連続加水分解装置から得られる加水分解処理液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を回収する工程を示す図である。 連続加水分解装置から得られる加水分解処理液から単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を回収する工程を示す図である。
以下、本発明のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の製造方法をさらに詳しく説明する。
(バイオマス原料)
本発明で用いるバイオマスとしては、例えば、木質系原料であれば、樹木、林地残材、間伐材、廃材等のチップ又は樹皮、製材工場等から発生するおが屑、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、広葉樹、針葉樹共に用いることができる。草本系として、ケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等のリグノセルロース系バイオマスが挙げられる。また、本発明のバイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。バイオマスが乾燥固形物または水分を含んだ固形物であれば、水と混合させスラリー状態にした後に、加水分解反応装置に供給することが好ましい。
本発明の方法で用いる連続加水分解装置は、連続的にバイオマスを加圧・加熱条件下に加水分解処理することができると共に、加水分解処理されたバイオマスと単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類及びその他の有機酸等の加水分解生成物を含む水溶液よりなる加水分解処理懸濁液から、加水分解処理温度と圧力を維持した状態の加水分解生成物を含む水溶液よりなる加水分解処理液を連続的に分離して取り出すことができる加圧、加熱加水分解処理装置である。
上記連続加水分解装置としては、図1に示すように、バイオマスと水よりなる水性懸濁液原料供給管路1が接続されている供給口Aと加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液の移送管路2が接続されている排出口Bと、該原料懸濁液の供給口Aと加水分解処理懸濁液の排出口Bとの中間部において、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する圧力及び温度条件下で懸濁液中のバイオマスが加水分解処理されている加水分解処理懸濁液から、水溶性の加水分解生成物を含有する水溶液からなる加水分解処理液部分を連続的に分離して取り出すことができる固−液分離装置Sを備えた中間取出口Gを持つ塔式の連続加水分解装置R1が挙げられる。
図1の装置においては、原料バイオマスは、水性懸濁液原料の供給管路1が接続されている供給口Aより水性懸濁液の状態で加圧・加熱加水分解装置R1内に連続的に供給され、加水分解処理を受けながら装置内を移動し、加水分解処理懸濁液を排出する移送管路2が接続されている排出口Bから加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液として連続的に排出されるとともに、供給口Aから排出口Bに至る装置の中間部に設置されている固−液分離装置Sにより装置内を移動する加水分解処理懸濁液から水溶性の加水分解生成物を含有する加水分解処理液の部分が分離され、加水分解処理の圧力と温度を維持したまま該装置中間取出口Gから連続的に移送管路3に取り出される。
前記加水分解装置R1の中間取出口Gは、水性懸濁液原料の供給管路1が接続されている供給口Aと加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液を排出する移送管路2が接続されている排出口Bの間であれば、図1の上下の矢印方向に移動した任意の位置に取り付けることができる。任意の位置に取り付けた中間取出口Gから加水分解処理液を取り出すことにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率をコントロールすることができるし、各成分の生産量をコントロールすることもできる。
固−液分離装置Sとしては、メッシュ(網目)が10μm〜5cmの範囲のストレーナーやフィルターが採用される。ストレーナーとしては、目詰まりのトラブルの回避と分離される水溶液中への懸濁物質の随伴を極力避けるために40〜500μmの範囲のストレーナーが好適に採用される。
図1に示されているように、洗浄液供給装置Wから供給管路6により加水分解装置R1の底部に洗浄液を供給して、加水分解装置R1の中間取出口Gから底部排出口Bに移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させることができる。供給管路6からの洗浄液は、連続的に供給しても良いし、断続的に供給しても良い。供給管路6からの洗浄液としては、水や酸を含む水溶液を用いることが望ましいが、中間取出口Gから移送管路3に取り出される加水分解処理液に悪影響を及ぼさない水溶液であれば特に制限なく用いることができる。底部に供給された洗浄液は、加水分解物の移動方向とは逆に下部から上部へ移動し、装置中間の固−液分離装置Sを備えた中間取出口Gから加水分解処理液と混合状態で移送管路3に取り出される。
上記のような向流洗浄操作を採用することによって、上部から下部へ移動する加水分解処理されたバイオマスを含有する水性懸濁液であって、前記固−液分離装置Sで加水分解処理液の一部分が除かれている、加水分解処理懸濁液中の加水分解生成物(単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類)を洗浄液中に移行させて前記移送管路3に取り出される加水分解処理液として回収できるので、加水分解処理バイオマスに随伴されて加水分解装置R1の底部の加水分解処理懸濁液とともに管路2から排出される加水分解物の損失が抑制されるというメリットがある。
(連続加水分解条件)
本発明の方法において、連続加水分解装置R1内での加水分解処理は、加圧下における熱水処理、酸処理、アルカリ処理等の方法を用いて行うことができるが、生成する単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を効率的に回収するためには、加圧、加熱状態の水又は酸水溶液を用いた処理が望ましい。加圧、加熱状態の水による処理の場合、バイオマスを水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理の方法としては、バイオマスを酸を含む水と混合し、加圧、加熱して加水分解を行う。酸水溶液処理で用いる酸は特に限定されないが、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸等を用いることができる。
加水分解処理に供するバイオマスを含有する水性懸濁液のpHは0.5〜5.0の範囲が好ましい。
加水分解処理の温度としては、120〜250℃で行うことができるが、140〜230℃が好ましく、150〜190℃がより好ましい。
加水分解処理の圧力は、0.35MPa〜2.8MPaであることが好ましい。
バイオマスと混合する水性液体とバイオマスの質量比(水性液体/バイオマス)は2〜8の範囲が好ましい。バイオマスと水性液体を混合して水性懸濁液原料を調製し、加水分解装置に供給して加水分解装置内で所定の温度と圧力で加水分解処理する。
バイオマスの加水分解処理時間は、バイオマスの種類や連続加水分解装置R1内の温度等に応じて適宜選択できる。例えば、140〜230℃で加水分解処理する場合、加水分解処理時間は0.5〜180分の範囲で適宜選択される。
以上の条件下での加水分解処理により、セルロースを主体とする加水分解処理バイオマスと、バイオマス由来の加水分解生成物であるフルフラール、オリゴ糖類、単糖類などを含有する加水分解処理液よりなる加水分解処理懸濁液が得られる。
生成するフルフラール類としては、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。生成するオリゴ糖類としては、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられ、前記オリゴ糖にアラビノース、マンノース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、4−o−メチルグルクロン酸等が側鎖として付加したオリゴ糖も含まれる。生成する単糖類としては、キシロース、アラビノース、グルコース、ガラクトース、マンノース等が挙げられる。
連続加水分解装置R1内で加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液は、連続加水分解装置R1の中間位置に設置されている固−液分離装置Sで水溶性の加水分解生成物を含有する水溶液からなる加水分解処理液の一部が分離されて移送管路3に取り出された後の懸濁液として連続加水分解装置R1の排出口Bに接続されている加水分解処理懸濁液の移送管路2から装置外に排出される。連続加水分解装置R1の中間位置の固−液分離装置Sから排出口Bに移動する加水分解処理されたバイオマスを含有する加水分解処理懸濁液を、洗浄液供給装置Wから供給管路6により連続加水分解装置R1内に供給する洗浄液と向流接触させることによって洗浄して排出口Bから排出することもできる。
溶解パルプの製造を目的として連続加水分解装置R1での連続一次加水分解処理(前加水分解)を行う場合、連続加水分解処理は溶解パルプの製造に適した条件(セルロースの過分解を防ぐ条件)で行われるため、副産物として得られるフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類は、一次加水分解処理のみでは効率よく生産することができないという問題がある。
しかし、本発明のように連続加水分解装置R1の円筒部の側面に取り付けられた中間取出口Gの位置を上下方向に移動させた位置に変更することにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率及び各成分の生産量をコントロールすることが可能となる。
連続加水分解装置R1から移送管路2に排出された加水分解処理懸濁液中のバイオマスよりなる固形分は、バイオマス由来の有用成分の製造原料として再利用することができる。
また、固形分の移送管路7によって蒸解工程に送られてパルプの製造原料として用いることができるので、本発明の加水分解方法は、溶解パルプ製造工程でクラフト蒸解の前工程である前加水分解工程とすることもできる。
連続加水分解装置R1から取り出された加水分解処理液は、さらにフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類の生産比率を制御するための二次加水分解処理工程、フルフラール類、オリゴ糖類、単糖類を分離するための濃縮工程等の次工程へ移送してさらに処理することができる。
このように連続加水分解装置R1を一次加水分解装置とし、得られた加水分解処理液(一次加水分解処理液)にさらに加水分解処理を施す二次加水分解装置を設けることにより、パルプ生産と同時にフルフラール類、オリゴ糖類、単糖類を効率よく生産することが可能になる。
二次加水分解処理を行う場合は、連続一次加水分解装置R1から加水分解液の移送管路3に取り出した一次加水分解処理液を直接二次加水分解装置に供給することもできるし、また、減圧濃縮装置等の濃縮装置を用いて一次加水分解処理液を濃縮してから二次加水分解装置に供給することもできる。
連続加水分解装置R1から取出された加水分解処理液あるいは、前記二次加水分解処理により得られた二次加水分解処理液は、濃縮分離工程へ移送されてフラッシュ蒸留やエバポレーター等よりなる濃縮分離装置Eによりフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離される。
フラッシュ蒸留装置としては、フラッシュタンク、フラッシュサイクロン等が使用される。
濃縮分離装置Eで分離された蒸気相には液相よりも高含有率でフルフラールが含まれており、この蒸気相をコンデンサー等の冷却装置により冷却して濃度の高いフルフラール水溶液として回収することができる。
濃縮分離装置の底部から水溶性の加水分解生成物であるオリゴ糖類や単糖類からなる糖類や酢酸等の有機酸を含有する糖類含有水溶液として糖類含有濃縮液を回収することができる。
(オリゴ糖類、単糖類の分離工程)
一次加水分解処理液、二次加水分解処理液あるいは前記の濃縮分離装置でフルフラール類を分離した後の糖類含有濃縮液に含まれる単糖類及びオリゴ糖類は、一般的に糖の精製プロセスで用いられる方法で分離・精製することができる。また、UF膜(限外濾過膜)、RO膜(逆浸透膜)、NF膜(ナノフィルトレーション)、分子ふるいクロマトグラフィー、疑似移動床クロマトグラフィー等を用いてオリゴ糖類を濃縮したり、オリゴ糖類及び単糖類を分離したりすることができる。一次加水分解処理液、二次加水分解処理液あるいは濃縮分離装置からの糖類含有濃縮液に含まれる着色成分や塩類等の不純物は、活性炭、イオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等)、吸着樹脂等を用いて除去することができる。
前記、濃縮分離装置で分離した後の糖類含有濃縮液は、糖類の精製を行う前にエバポレーターのような濃縮装置でさらに濃縮した糖類含有濃縮液として精製処理することができる。前記糖液含有濃縮液には、なお、少量のフルフラール類や有機酸類が含まれている場合が多いので、エバポレーターのような濃縮装置における蒸発画分からこれらの成分を有価物として回収することができる。また、これらの成分は糖を精製する際には精製負荷となるので、濃縮装置によってさらにこれらの成分を随伴される水分と共に糖類含有濃縮液から分離することにより糖類の精製工程での負荷を軽減することができる。濃縮装置を使用して糖液含有濃縮液の濃度が5〜60質量%の範囲になるように濃縮することが好ましく、20〜50質量%の範囲になるように濃縮することがさらに好ましい。
前記糖類含有濃縮液が酸性である場合は、アルカリを添加することにより中和することができる。用いるアルカリとしては、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。二次加水分解の工程において、硫酸を用いて処理を行った場合には、不溶性の塩を形成しうる水酸化カルシウムを用いた中和方法が、水酸化ナトリウム等の水溶性塩を用いるよりも、糖類含有濃縮液から除去し易いというメリットがあるため好ましい。このように、不溶性塩としてイオンを除去することにより、糖類の精製工程の負荷を低減することができる。
前記糖類含有濃縮液、あるいは中和した後の糖類含有濃縮液には不溶性の浮遊物や不溶性の塩類が含まれているため、濾過脱水装置を用いて不溶性の浮遊物や塩類を除去することが望ましい。予め不溶性の浮遊物や塩類を除去することにより、後の糖類の精製工程(活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂等)においてカラム内での目詰まりを低減でき、カラムに通液する水溶液の流速を安定に維持することができる。
濾過脱水装置としては、オリバーフィルター、ベルトフィルター、プレコートフィルター、ディスクフィルター、水平ベルトフィルターなどの真空濾過脱水装置、密閉式加圧濾過装置、フィルタープレス装置、ベルトプレス装置、スクリュープレス装置、バスケット型及びデカンター型遠心濾過脱水装置、回転加圧脱水装置、多重円盤脱水装置、中空糸膜濾過装置、クロスフロー型濾過装置等が使用できる。
後段の精製工程における負荷を減らすためには、より清澄度の高い濾液が得られる濾過装置が望ましい。そのような濾過装置としては、プレコートフィルター、ディスクフィルター、中空糸膜濾過装置、クロスフロー型濾過装置を用いることが望ましく、設置面積が小さくて済み、濾過助剤を使用せず、濾過後のケークなどの廃棄物が少なくてよい中空糸膜濾過装置、クロスフロー型濾過装置を用いることがより望ましい。使用する濾過助剤や膜の孔径としては、0.01μm〜100μmが望ましく、0.1μm〜10μmがより望ましい。使用する濾過助剤の種類としては、珪藻土やパーライト、並びにこれらを任意の割合で混合したものを使用できる。使用する膜の材質としては、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、セラミック、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等が使用でき、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、セラミックが洗浄薬液に対する耐久性が高いため望ましく、さらに物理的安定性に優れたセラミックがより望ましい。
活性炭としては、粒状炭、粉末炭等、糖液中の着色物質等の不純物の含量を低減する能力を有するものであれば特に制限なく用いることができる。用いる活性炭の平均細孔径は0.1nm〜5nmが望ましく、1.5nm〜3nmがさらに好ましい。また、細孔径の分布は0.1nm〜100nmの範囲でブロードとなっているものが望ましい。前記の細孔径を持つ活性炭を用いることにより効率良く糖液中の着色物質を除去することができる。また、粒状の活性炭を用いる方が、粉末状の活性炭を用いるよりも操作上、水溶液との分離が容易であり、薬液再生や焼成再生が行いやすい点で好ましい。
イオン交換樹脂を用いる場合は、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂を単独で用いても良いし、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を直列に連結させて用いることもできる。陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を直列に連結させる場合の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の順序は特に限定されない。また、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂は混合して用いることもできる。
吸着樹脂としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂(味の素ファインテクノ)社製、商品名:「ホクエツHS」、「ホクエツKS」)、スチレン−ジビニルベンゼン系樹脂(三菱化学社製、商品名:「ダイヤイオンHP20」、「ダイヤイオンHP21」)、等が挙げられる。
前記、活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂は、カラムに充填するか、バッチ方式で使用することができる。カラムに充填する場合、糖液をカラムに1回通液しても良いし、複数回繰り返し通液させても良い。
本発明では、前記連続加水分解装置で処理した加水分解処理液あるいは濃縮分離装置から得られる糖類含有水溶液を活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂から選ばれる少なくとも一つを用いて単糖類、オリゴ糖類を精製することができる。活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂の少なくとも2つ以上を用いる場合の順序は特に限定されないが、イオン交換樹脂における負荷を極力減少させるため、活性炭処理または吸着樹脂処理を行った後にイオン交換樹脂の処理を行うことが好ましい。
前記、活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂は、並列に設置し同時に平行して糖類を精製することもできる。並列して設置すれば、連続して処理を行う場合、樹脂の洗浄や交換が必要になっても、連続処理を停止することなく、洗浄と精製処理を同時に実施することが可能である。
前記連続加水分解装置から得られる加水分解処理液をクロスフロー型濾過装置で不純物を除去してから活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂へ供給することができるし、濃縮分離装置で濃縮して糖類含有濃縮液としてから活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂へ供給することもできるが、濃縮分離装置で濃縮してから活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂へ供給する方が、活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂の処理装置を小型化することが可能となるため好ましい。
前記、活性炭、イオン交換樹脂、吸着樹脂を用いることにより加水分解処理液に含まれる不純物を効率的に除去することができ、糖類(単糖類、オリゴ糖類)を効率的に精製することができる。
分子ふるいクロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィー、逆浸透膜濾過装置を用いて、グルコースとキシロースの分離や、ガラクトースとキシロースの分離等の特定成分同士の分離を行うことも可能である。分子ふるいクロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーを用いる場合は、連続処理が可能な疑似移動床式クロマト分離装置を用いることが望ましい。精製工程途中の糖液あるいは精製した糖液は、晶析を行うことによって、高純度の糖の結晶を得ることも可能である。
精製した単糖類を含む水溶液は、濃縮して液糖や水飴としたり、スプレードライによって粉末化することも出来る。また、精製した糖液をスプレードライヤーや凍結乾燥装置などを用いて粉末化することも可能である。
本発明では、加水分解処理液、精製工程途中の糖液あるいは精製した糖液等の単糖類を含む水溶液を発酵微生物(Saccharomyces cerevisiae等の酵母を含む微生物)を用いて単糖類を消費させ、オリゴ糖の含有比率を高めることもできる。同様に、微生物による糖の資化性の違いを利用して、五炭糖類と六炭糖類の混合液から六炭糖類のみを微生物によって消費させ、五炭糖類の含有比率を高めることもできる。
前記で得られたキシロースを含む水溶液、あるいは精製したキシロースから水素添加等の方法によりキシリトールに変換することもできる。また、Candida magnolia等のキシリトール生産菌を用い、キシロースをキシリトールに変換することもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
製造例1
ユーカリ・ペリータのチップ(厚さ2mm)1kg(乾燥重量)に対してイオン交換水5kgの比率で混合し、この混合物を原料として用いた。図1に示す連続加水分解装置R1の頂部供給口Aに接続している水性懸濁液供給管路1から上記水性懸濁原料を連続的に400質量部/時で供給し、連続加水分解装置R1で150℃、0.48MPaで加水分解処理を行い、加水分解処理された原料含有懸濁液を連続加水分解装置R1の排出口Bより連続的に排出した。原料が加水分解装置R1の供給口Aから供給されてから排出口Bから排出されるまでの時間(滞留時間)を100分に設定した。
原料供給開始3時間後(定常状態後)から加水分解装置R1の加水分解処理時間20分の位置の中間取出口Gより、加水分解装置R1内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解処理液(130質量部/時)をバルブを開き取り出した。取出した加水分解処理液の全糖、単糖類、オリゴ糖類、フルフラールの含有量を下記の方法で測定し、溶液中の定量値より、原料(乾燥重量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表1に示す。
<糖分析>
糖分析は、DIONEX社製糖分析システム(ICS5000)を用いた。カラムはCArBopAk PA−1 (20 × 250mm)を用い、20mM NaOH溶液を溶離液とし、0.25ml/minの流速で単糖を溶出させた。検出には、パルスアンペロメトリー検出器を用いた。単糖の標品として、グルコース、ガラクトース、マンノース、アラビノース、キシロースを用いた。これらの各成分の検量線を作成し、試料中の各単糖の含有量を求めた。
<全糖量の分析>
試料溶液に最終濃度が4質量%となるように硫酸を添加し、120℃で1時間加水分解を行った後、糖分析を実施し、試料中の各単糖の含有量を求め、その合計値を全糖量とした。
<オリゴ糖含有量の計算>
試料中の全糖量から、4質量%硫酸で加水分解を行う前の試料中の各単糖の含有量を差し引いた値をオリゴ糖含有量とした。
<フルフラール類の定量>
フルフラール類の定量にはAgilent社製HPLCシステムを用いた。カラムは、Bio−RAd社製Aminex HPX87P(7.8×300mm)を用い、5mM硫酸を溶離液とし、1ml/minの流速でフルフラール類を溶出させた。検出にはUV−Vis検出器を用いた。フルフラール類の標品として、フルフラールを用い、検量線を作成し、試料中の含有量を求めた。
製造例2
製造例1において、加水分解処理時間30分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
製造例3
製造例1において、加水分解処理時間40分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
製造例4
製造例1において、加水分解処理時間50分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
製造例5
製造例1において、加水分解処理時間60分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
製造例6
製造例1において、加水分解処理時間70分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
製造例7
製造例1において、加水分解処理時間80分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005835186
表1に示すように、150℃で連続加水分解処理を行った製造例においては、連続加水分解装置の中間取出口の位置を変えることにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率、及び各々の成分の生産量が異なる加水分解処理液が得られた。
単糖類の収率は、70分(製造例6)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。オリゴ糖類の収率は、60分(製造例5)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。フルフラール類の収率は、80分(製造例7)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。
また、20分(製造例1)、30分(製造例2)及び40分(製造例3)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液は、フルフラール類に対する糖類(単糖類+オリゴ糖類)の比率が高かった。
製造例8
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間20分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例9
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間30分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例10
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間40分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例11
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間50分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例12
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間60分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例13
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間70分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
製造例14
製造例1において、連続加水分解装置R1で、170℃、0.80MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間80分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表2及び図2に示す。
Figure 0005835186
表2及び図2に示すように、連続加水分解処理を170℃で行った試験においても、連続加水分解装置R1の中間取出口の位置を変えることにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率、及び各々の成分の生産量が異なる加水分解処理液が得られた。
単糖類の収率は、60分(製造例12)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。オリゴ糖類の収率は、40分(製造例10)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。フルフラール類の収率は、70分(製造例13)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。
製造例15
製造例1において、連続加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間20分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例16
製造例1において、連続加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間30分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例17
製造例1において、連続加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間40分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例18
製造例1において、連続加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間50分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例19
製造例1において、連続加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間60分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例20
製造例1において、一次加水分解装置R1で、190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間70分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
製造例21
製造例1において、一次加水分解装置R1で190℃、1.26MPaで加水分解処理を行なった以外は製造例1と同様の方法で加水分解処理を行った。加水分解処理時間80分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した。結果を表3に示す。
Figure 0005835186
表3に示すように、連続加水分解処理を190℃で行った試験においても、加水分解装置の中間取出口の位置を変えることにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率、及び各々の成分の生産量が異なる加水分解処理液が得られた。
単糖類の収率は、50分(製造例18)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。オリゴ糖類の収率は、30分(製造例16)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。フルフラール類の収率は、60分(製造例19)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。
以上の製造例1〜21(表1〜3)の結果より、150℃〜190℃において、連続加水分解装置R1の中間取出口の位置を変更することにより、目的に応じてオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産比率、生産量をコントロールできることが判明した。
製造例22
図1に示す連続加水分解装置R1において、装置底部の向流洗浄液供給装置Wから供給管路6により洗浄水を400質量部/時で供給して、前記目開き80μmのステンレス製金網Sが設置されている連続加水分解装置R1の中央部の取出口から下方に移動する加水分解処理懸濁液と向流接触させた以外は、製造例8(加水分解温度170℃)と同様の方法で連続加水分解処理を行った。
原料供給開始3時間後(定常状態後)から加水分解装置の加水分解処理時間20分の位置の中間取出口より、加水分解装置内の温度及び圧力を維持した状態で加水分解処理液(130質量部/時)をバルブを開き取り出した。取出した加水分解処理液の全糖、単糖類、オリゴ糖類、フルフラールの含有量を測定し、溶液中の定量値より、原料(乾燥重量)に対する各成分の収率を算出した。結果を表4に示す。
製造例23
製造例22において、加水分解処理時間30分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った。結果を表4に示す。
製造例24
製造例22において、加水分解処理時間40分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った結果を表4に示す。
結果を表4に示す。
製造例25
製造例22において、加水分解処理時間50分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った結果を表4に示す。
製造例26
製造例22において、加水分解処理時間60分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った結果を表4に示す。
製造例27
製造例22において、加水分解処理時間70分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った結果を表4に示す。
製造例28
製造例22において、加水分解処理時間80分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は、製造例22と同様の方法で連続加水分解処理を行った結果を表4に示す。
Figure 0005835186
図1に示す連続加水分解装置に洗浄液を供給するシステム(製造例22〜28)では、図1の洗浄液を供給しないシステム(製造例8〜14)と比較して、二次加水分解後の加水分解液に含まれる単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の収率が向上した。
製造例29
製造例8において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間20分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例8と同様の方法で連続加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例30
製造例9において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間30分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例9と同様の方法で連続加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例31
製造例10において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間40分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例10と同様の方法で連続加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例32
製造例11において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間50分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例11と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例33
製造例12において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間60分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例12と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例34
製造例13において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間70分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例13と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
製造例35
製造例14において、原料としてスギ(厚さ2mm)を用いて連続加水分解処理(170℃)を行い、加水分解処理時間80分の位置の中間取出口より加水分解処理液を取出した以外は製造例14と同様の方法で加水分解処理を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005835186
表5に示すように、原料としてスギを用いた試験(連続加水分解処理170℃)においても連続加水分解装置の中間取出口の位置を変えることにより、単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類の生産比率、及び各々の成分の生産量が異なる加水分解処理液が得られた。
単糖類の収率は、60分(製造例33)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。オリゴ糖類の収率は、40分(製造例31)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。フルフラール類の収率は、70分(製造例34)の位置の中間取出口から取出した加水分解処理液が最も高かった。
以上の結果より、ユーカリ、スギを用いた試験において、連続加水分解装置の中間取出口の位置を変更することにより、目的に応じてオリゴ糖類、単糖類、フルフラール類の生産比率、生産量をコントロールできることが確認できた。
製造例36
図3に示す製造工程に従って、フルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を製造した。
<キシロース高含有糖液の製造>
製造例12と同様の方法で一次加水分解処理を行った。一次加水分解処理後の一次加水分解処理液を移送管路3によりエバポレーター(濃縮分離装置E)に移送し、エバポレーターで液相(糖類含有濃縮液)と蒸気相(フルフラール含有蒸気)に分離した。エバポレーターでは液相の全糖濃度が25質量%となるまで濃縮した。一方、蒸気相を移送管路40を経由してコンデンサーCに送って凝縮し、フルフラールを高含量で含む凝縮液を回収管路41により取り出した。エバポレーターで分離した液相に含まれる沈殿物をセラミックフィルターCEを用いて除去して濾液を分離した。分離した濾液を、移送管路38により粒状活性炭(カルゴンカーボン製MS10)を充填した活性炭カラムACにSV=2の流速で通液し、脱色を行った。次に、脱色後の処理液を移送管路30により陽イオン交換樹脂CA(オルガノ製CT200)を充填したカラムへ通液し、さらに移送管路31により陰イオン交換樹脂AN(オルガノ製IRA96SB)を充填したカラムにSV=2で通液した。陰イオン交換樹脂ANから排出された処理液をさらに管路32を経由して陽イオン交換樹脂CAに通液し、次いで、管路33を経由して陰イオン交換樹脂ANへ通液させた後、陰イオン交換樹脂ANに接続している管路34から糖液として回収した。回収した糖液を、エバポレーターで濃縮し、70質量%の液糖を得た。得られた液糖の420nmにおける吸光度は0、電気伝導度は0.001mS/mであった。液糖の糖組成を表6に示す。
製造例37
図3に示す製造工程に従って、フルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を製造した。
<キシロオリゴ糖高含有糖液の製造>
製造例24と同様の方法で一次加水分解処理を行った。それ以外の操作は全て製造例36と同様の方法で試験した。エバポレーターで濃縮した70質量%の液糖の420nmにおける吸光度は0、電気伝導度は0.001mS/mであった。液糖の糖組成を表6に示す。
製造例38
図4に示す製造工程に従って、フルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を製造した。
<キシロオリゴ糖高含有糖液の製造>
製造例24と同様の方法で一次加水分解処理を行った。一次加水分解処理後の一次加水分解処理液を移送管路3によりエバポレーター(濃縮分離装置E)に移送し、エバポレーターで液相(糖類含有濃縮液)と蒸気相(フルフラール含有蒸気)に分離した。エバポレーターでは液相の全糖濃度が25質量%となるまで濃縮した。一方、蒸気相を移送管路40を経由してコンデンサーCで凝縮し、フルフラールを高含量で含む凝縮液を回収管路41により取り出した。エバポレーターで分離した液相に含まれる沈殿物をセラミックフィルターCEを用いて除去して濾液を分離した。分離した濾液を、移送管路38により粒状活性炭(カルゴンカーボン製MS10)を充填した活性炭カラムACにSV=2の流速で通液し、脱色を行った。次に、脱色後の処理液を移送管路30により陽イオン交換樹脂CA(オルガノ製CT200)を充填したカラムへ通液し、さらに移送管路31により陰イオン交換樹脂AN(オルガノ製IRA96SB)を充填したカラムにSV=2で通液した。陰イオン交換樹脂ANから排出された処理液をさらに移送管路32を経由して陽イオン交換樹脂CAに通液し、次いで、移送管路33を経由して陰イオン交換樹脂ANへ通液した。
次に、陰イオン交換樹脂ANに接続している移送管路35に排出された処理液を陽イオン交換樹脂(三菱科学製、ダイヤイオンUBK530(Na型))を充填した二成分分離クロマト分離装置SC(日本錬水製)に通液して単糖画分を回収管路37から回収し、オリゴ糖画分を移送管路36を経由してイオン交換樹脂IO:陽イオン交換樹脂(オルガノ製IRA120B)と陰イオン交換樹脂(オルガノ製XE583)を1:2の比率で混合充填したポリッシャーにSV=2の流速で通液し、糖液を回収管路42により回収した。回収した糖液をエバポレーターで濃縮し、70質量%の液糖とした。エバポレーターで濃縮した70質量%の液糖の420nmにおける吸光度は0、電気伝導度は0.001mS/mであった。液糖の糖組成を表6に示す。
製造例39
図3に示す製造工程に従って、フルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を製造した。
<キシロース高含有糖液の製造>
製造例36と同様の方法で実施した。活性炭カラムACの代替としてフェノール・ホルムアルデヒド樹脂:合成吸着樹脂(味の素ファインテクノ社製)を用いた以外は全て製造例36と同様の方法で液糖を製造した。エバポレーターで濃縮した70質量%の液糖の420nmにおける吸光度は0、電気伝導度は0.001mS/mであった。液糖の糖組成を表6に示す。
Figure 0005835186
製造例36、及び製造例39では、キシロースを高含量で含む液糖を製造することができた。一方、製造例37、及び製造例38では、オリゴ糖類を高含量で含む液糖を製造するこができた。
本発明の方法は、「廃棄物系バイオマス」等の未利用バイオマスを焼却処理することなくバイマス資源として有効利用して、医薬中間体、プラスチック原料などに用いられ、また、フラン樹脂の原料であるフルフリルアルコールの原料として用いられるフルフラールや、食品、食品添加物などとして幅広い需要が見込まれる単糖類、オリゴ糖類を製造できる方法であるし、地球温暖化対策技術として重要なCO2排出量の低減技術ともなり得るものである。
1:水性懸濁液原料の供給管路
6:洗浄液の供給管路
2,3,7,30〜33,35,36,38,39,40:移送管路
34,37,41,42:回収管路
R1:加水分解装置
S:ストレーナー
W:向流洗浄液供給装置
V:バルブ
VP:減圧バルブ
CE:セラミックフィルター
E:濃縮分離装置
AC:活性炭カラム
CA:陽イオン交換樹脂カラム
AN:陰イオン交換樹脂カラム
SC:二成分分離クロマト分離装置
IO:イオン交換樹脂カラム
C:コンデンサー
NE:中和剤

Claims (11)

  1. バイオマスの水性懸濁液を、連続加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを連続加水分解処理し、連続加水分解処理液を連続加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、連続加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間の任意の位置に取り付けられている固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の連続加水分解処理懸濁液から分離した加水分解処理液を加水分解処理の温度及び加圧を保った状態で取り出し、取り出した加水分解処理液を、該加水分解処理液からフルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を分離して回収する分離・回収工程に移送してフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離し、該フルフラール類含有蒸気を凝縮してフルフラール類含有水溶液として濃縮分離するとともに、該糖類含有濃縮液を精製工程に移送して該糖類含有濃縮液に中和剤を添加した後に糖類含有濃縮液を精製処理することを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  2. 前記糖類含有濃縮液の精製工程で、糖類含有濃縮液に対して固形分除去処理工程での処理、脱色・脱塩処理工程での処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  3. バイオマスの水性懸濁液を、連続加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを連続加水分解処理し、連続加水分解処理液を連続加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、連続加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間の任意の位置に取り付けられた固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の連続加水分解処理懸濁液から分離した加水分解処理液を加水分解処理の温度及び加圧を保った状態で取り出し、取り出した加水分解処理液を、該加水分解処理液からフルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を分離して回収する分離・回収工程に移送してフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離し、該フルフラール類含有蒸気を濃縮分離工程で凝縮してフルフラール類含有水溶液を回収するとともに、該糖類含有濃縮液を精製工程に移送して固形分除去処理工程での処理、脱色・脱塩処理工程での処理を行うことを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  4. 前記糖類含有濃縮液の精製工程で、前記糖類含有濃縮液に対して、セラミックフィルターによるろ過処理工程での処理、活性炭による吸着処理工程での処理、陽イオン交換樹脂処理工程と陰イオン交換樹脂処理工程よりなる少なくとも1種のイオン交換樹脂処理工程での処理、吸着樹脂による処理工程での処理から選ばれる少なくとも1種による精製処理を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  5. バイオマスの水性懸濁液を、連続加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを連続加水分解処理し、連続加水分解処理液を連続加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、連続加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間の任意の位置に取り付けられた固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の連続加水分解処理懸濁液から分離した加水分解処理液を加水分解処理の温度及び加圧を保った状態で取り出し、取り出した加水分解処理液を、該加水分解処理液からフルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を分離して回収する分離・回収工程に移送してフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離し、該フルフラール類含有蒸気を濃縮分離工程で凝縮してフルフラール類含有水溶液を回収するとともに、該糖類含有濃縮液を精製工程に移送して、セラミックフィルターによるろ過処理工程での処理、活性炭による吸着処理工程での処理、陽イオン交換樹脂処理工程と陰イオン交換樹脂処理工程よりなる少なくとも1種のイオン交換樹脂処理工程での処理、吸着樹脂による処理工程での処理から選ばれる少なくとも1種による精製処理を行うことを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  6. 前記糖類含有濃縮液の精製工程で、前記糖類含有濃縮液を、セラミックフィルターによるろ過処理工程での処理、活性炭による吸着処理工程での処理及び複数の陽イオン交換樹脂処理と陰イオン交換樹脂処理を交互に行うイオン交換樹脂処理工程での処理をからなる精製処理を行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  7. バイオマスの水性懸濁液を、連続加水分解装置の供給口より連続的に供給して装置内を移動させつつ単糖類、オリゴ糖類、フルフラール類を生成する加圧・加熱条件でバイオマスを連続加水分解処理し、連続加水分解処理液を連続加水分解装置の排出口より連続的に排出するとともに、連続加水分解装置の前記供給口と前記排出口の中間の任意の位置に取り付けられた固−液分離装置を備えた中間取出口より、装置内の連続加水分解処理懸濁液から分離した加水分解処理液を加水分解処理の温度及び加圧を保った状態で取り出し、取り出した加水分解処理液を、該加水分解処理液からフルフラール類、単糖類及びオリゴ糖類を分離して回収する分離・回収工程に移送してフルフラール類含有蒸気と糖類含有濃縮液に分離し、該フルフラール類含有蒸気を濃縮分離工程で凝縮してフルフラール類含有水溶液を回収するとともに、該糖類含有濃縮液を精製工程に移送して、セラミックフィルターによるろ過処理工程での処理、活性炭による吸着処理工程での処理、陽イオン交換樹脂処理と陰イオン交換樹脂処理を交互に行うイオン交換樹脂処理工程での処理からなる精製処理を行うことを特徴とする、バイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  8. 前記連続加水分解装置の前記排出口の近傍から水性洗浄液を連続加水分解処置内に供給して前記固−液分離装置を備えた中間取出口と前記排出口との間で加水分解処理懸濁液と向流接触させることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  9. 前記糖類含有濃縮液の精製工程に引き続いて、精製処理された糖類含有濃縮液から糖類成分分離工程において単糖類とオリゴ糖類を分離、回収する処理を行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  10. 前記糖類含有濃縮液の精製工程に引き続いて、精製処理された糖類含有濃縮液から糖類成分分離工程において、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィ−、逆浸透膜ろ過装置から選ばれる二成分分離装置により単糖類とオリゴ糖類の分離を行うことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
  11. 前記バイオマスが木質バイオマスであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオマスからの単糖類、オリゴ糖類及びフルフラール類の製造方法。
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