JP5833332B2 - 除菌方法 - Google Patents
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Description
(ただし、上記一般式(1)において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一若しくは異なるハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖または分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはOSO2R7基(R7は、炭素数1〜4のアルキル基または置換若しくは無置換のフェニル基である)である。)
なお、本発明において、『除菌』というときは、原核生物に加えて、真核生物であるかび、酵母、原生動物、アメーバなどの微生物の個体数を減少させることをいうものとする。
また、本発明において、単に『光』というときは、可視光線のみならず、紫外線や赤外線を含む電磁波のことをいうものとする。
(ただし、上記一般式(1)において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一若しくは異なるハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖または分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはOSO2R7基(R7は、炭素数1〜4のアルキル基または置換若しくは無置換のフェニル基である)である。)
対象微生物がグラム陰性菌の場合、ごく微量でも除菌効果を発揮でき、例えば大腸菌では0.1μM以上で除菌効果が現われ、0.5μM程度で十分に強い除菌効果を得ることができる。コンタクトレンズの連続装用に関連する角膜炎の起炎菌である緑膿菌に対しては、0.05μM以上で除菌効果が現われ、3μM程度で十分に強い除菌効果を得ることができる。
一方、グラム陽性菌の場合には、グラム陰性菌よりも高濃度とする必要がある。例えば、角膜炎の起炎菌として代表的な黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対しては、0.2μM以上で除菌効果が現われ、3μM程度で十分に強い除菌効果を得ることができる。
なお、上記一般式(1)で表される化合物は、285nm付近の光を吸収し、分解されやすいため、285nm付近の波長を含む光を避けることが好ましい。
本発明の除菌方法においては、光を連続照射してもよいが、短い休止時間を設けて断続的に照射してもよい。
コンタクトレンズを除菌するための除菌剤としては、従来、塩化ベンザルコニウム(以下、BACと略す。)やポリヘキサメチレンビグアナイド(以下、PHMBと略す。)などが使用されてきた。しかし、一般式(1)で表される化合物はBACやPHMBと比べてもヒトに対する毒性が低く、さらに本発明の除菌方法では、上記化合物の使用量を、単独使用の場合と比べて大幅に減らすことができるので、安全性に優れている。
また、発光ダイオードの照射装置は容易に小型化できるので、本発明の方法を実施するためのコンタクトレンズ用除菌装置は、例えば、1cm角程度に小型化することができる。
サブロー液体培地5mLを入れた試験管にカンジダ菌(Candida albicans NBRC 1385)を植菌し、これを24時間、110min-1の条件で振盪培養した。その後、6500rpm、4℃での遠心分離により集菌および生理食塩水を用いて2回洗菌したものを、滅菌済みのイオン交換水で再懸濁してカンジダ菌液を調製した。
(1)PYGC液体培地の調製
プロテオースペプトン(Sigma)5g、酵母エキス(OXIOD)5g、NaCl(関東化学)2.5gを450mLの蒸留水に溶解後、オートクレーブ滅菌し、室温まで冷却して第1液を調製した。
D(+)−グルコース(関東化学)5g、L−システイン・HCl 0.475g(関東化学)を蒸留水35mLに溶解し、これに0.5M Na2HPO4(関東化学)水溶液10mLと0.5M KH2PO4(関東化学)水溶液5mLを加えて混和し、この溶液をろ過滅菌(0.45μm、ADVANTEC)して第2液を調製した。
ろ過滅菌済みの0.4M MgCl2(関東化学)水溶液2.5mLと0.4M CaCl2(関東化学)水溶液0.5mLを第3液に加え、PYGC液体培地を調製した。
また、第1液のプロテオースペプトンと酵母エキスをそれぞれ2.5g、第2液のD(+)−グルコース(関東化学)を2.5gとしたこと以外は上記PYGC液体培地と同様にして、1/2 PYGC液体培地を調製した。
本実施例では、細胞内ATP量測定を行うために、可溶性有機物を添加しない培地を用いた。このための培地として、NaCl 120mg、MgSO4・7H2O(関東化学) 4mg、CaCl2 4mg、Na2HPO4 142mg、KH2PO4 136mgを蒸留水1000mLに溶解し、オートクレーブ滅菌したPage’s Amoeba Saline(PAS)を使用した。
Luria−Bertani培地(バクトトリプトン 10g、酵母エキス 5.0g、NaCl 5.0gを1Lにメスアップしたもの)5mL中で前培養した大腸菌を、2000mL容の坂口フラスコ中に調製した2倍濃度Nutrient Broth培地(Difco;以下NB培地と略す。)1000mLに加え、37℃において24時間振盪培養した。培養後の培地を450mL容遠心チューブに移し、6000rpm、4℃、10分間、遠心分離(MODEL50A−7、佐久間製作所)し、次いでPASで2回洗浄した後、PAS 100mLに再懸濁した。この大腸菌懸濁液を500mLの三角フラスコに移し、70℃、90分間、振盪下(90ストローク/分)で熱処理を行った。急冷の後、懸濁液を25mL遠沈管に分注し、使用時まで−80℃で保存した。
凍結保存シストアメーバを35℃の水浴で解凍後、10mLのPYGC液体培地を分注した培養フラスコ(培養面積25cm2、容量60mL)に0.1mL接種し、25℃で静置培養した。上清の汚れの程度に応じて培地を交換し、培養フラスコ底面に十分に増殖させて前々培養を行った。
実験に使用するアメーバの前培養は、上記前々培養アメーバを培地交換した後、培養フラスコの底面をボルテックスミキサーで激しく振動(20〜30秒間)し、剥離させて得たアメーバ懸濁液0.1mLを、1/2 PYGC液体培地9.9mLとOD660≒4に調整した熱処理大腸菌0.1mLとを混合した培養フラスコに接種し、25℃で4日間静置培養することにより行った。
上記(4)にて前培養した培養液の上清を廃棄し、PAS 10mLで培養フラスコ内を緩やかに洗浄した後、激しい振動によりアメーバを剥離させ、培養液を15mL遠沈管に入れて遠心分離により集菌(2150rpm、4℃、5分間、himac CF7D2、HITACHI)および洗浄(2回)を行い、10mL PASで再懸濁した。所期の栄養体アメーバ細胞数に血球計数盤(depth 0.1mm、1/400pmm、Thoma)を使用し、PASで2×105cells/mLに調整した。
上記(5)で調製した栄養体アメーバを、シスト形成培地(KCl 0.7g、CaCl2 0.8g、MgSO4・7H2O 0.8gを蒸留水1000mLに溶解後、オートクレーブ滅菌)中に2×105cells/mLとなるように添加してアメーバ懸濁液を調整した。シスト形成培地0.9mLを分注した48穴マイクロプレートに上記アメーバ懸濁液0.1mLを接種し、25℃で8日間静置培養することによりシスト化させた。
[実験例1]
滅菌イオン交換水で2×106cells/mLに調製したカンジダ菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れた。これに、終濃度が1mg/Lになるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社)溶液を添加後、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数をハイジェニアの添加から0、1、3、6時間後に測定した。結果を図2に黒丸●で示す。ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から1時間後には生菌数は10分の1に急減し、開始から6時間後には約100分の1にまで減少した。
生菌数の測定は、0.7% Tween80入り生理食塩水で菌液を10倍段階希釈し、各希釈液100μLを0.7% Tween80入りサブロー寒天培地に塗布し、48時間、30℃で培養後、コロニーを計数することにより行った。
ハイジェニアに代えて10%塩化ベンザルコニウム溶液(和光純薬工業;以下BACと略す。)を終濃度が1mg/Lになるように添加したこと以外は実験例1と同様にして実験を行った。結果を図2に逆黒三角▼で示す。BACとUVAの暴露から1時間後には生菌数が約6分の1に減少したが、その後は6時間を経過するまで生菌数に大きな変化は見られなかった。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例1と同様にして実験を行った。結果を図2に白丸○で示す。ハイジェニアの暴露から1時間後には生菌数が約6分の1に減少し、6時間後には20分の1に減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例2と同様にして実験を行った。結果を図2に逆三角▽で示す。BACの暴露から1時間後には生菌数が約6分の1に減少したが、その後は6時間を経過するまで生菌数に大きな変化は見られなかった。
ハイジェニア溶液を添加しなかったこと以外は実験例1と同様にして実験を行った。結果を図2に黒三角▲で示す。実験開始から6時間経過後に至るまで生菌数に大きな変化は見られなかった。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例1と同様にして実験を行った。結果を図2に×で示す。実験開始から時間の経過とともにわずかに生菌数が増加した。
[実験例7]
48穴マイクロプレート(IWAKI)に、上記(5)で調製した2×105cells/mLの栄養体アメーバ懸濁液0.1mL、上記(3)で調製した熱処理大腸菌懸濁液を、最終OD660が0.08になるように0.1mLおよびPAS 0.75mLを分注し、アメーバ定着のため2時間静置した後、終濃度が1mg/Lとなるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社製)溶液を0.05mL添加した。
結果を図3に黒丸●で示す。ATP量は、ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から急激に減少し、6時間後には約71分の1にまで減少した。
まず、各ウェルから上清を静かに除き、得られた上清0.9mLをルミチューブに分注し、これにATP消去試薬0.1mLを加えよく攪拌した。次いで、この溶液を別のルミチューブ3本に0.1mLずつ分注後、20分間静置することにより細胞外ATPを消去した。消去後、ATP抽出試薬を0.1mL加えよく攪拌し、30秒間の抽出時間後、発光試薬を0.1mL加え、30秒間積算の発光量から検量線(PAS溶媒で作成、検出限界9.52×10-2pmol/L)により浮遊アメーバ由来のATP量を算出した。
上清を除いた各ウェルにPAS 0.36mLおよびATP消去試薬0.04mLを加え、20分間静置して細胞外ATPを消去した。次に、ATP抽出試薬を0.4mL加えて混合し30秒間抽出した後、各ウェルから溶液を吸い取り、これをルミチューブ3本に0.2mLずつ分注し、発光試薬0.1mLを加え、浮遊アメーバ由来のサンプルと同様の手順にて付着アメーバ由来のATP量を算出した(PAS溶媒で検量線作成、検出限界9.52×10-2pmol/L)。データには示さないが、本測定法で含有する熱処理大腸菌由来のATP発光量は検出限界以下であった。
ハイジェニアに代えてBACを終濃度が1mg/Lになるように添加したこと以外は実験例7と同様にして実験を行った。結果を図3に逆黒三角▼で示す。ATP量は、BACおよびUVAの暴露開始から急激に減少し、6時間後にはハイジェニア+UVAの実験例7と同程度の約63分の1にまで減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例7と同様にして実験を行った。結果を図3に白丸○で示す。ハイジェニアの暴露から3時間後にはATP量が約3分の1に減少し、6時間後には約11分の1に減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例8と同様にして実験を行った。結果を図3に逆三角▽で示す。BACの暴露から時間の経過とともに穏やかにATP量が減少し、6時間後には4分の1に減少した。
ハイジェニア溶液の代わりにPAS0.05mLを添加したこと以外は実験例7と同様にして実験を行った。結果を図3に黒三角▲で示す。実験開始から時間の経過とともにATPが減少し、6時間後には40分の1に減少した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の代わりにPAS0.05mLを添加し、UVA照射をしないこと以外は実験例7と同様にして実験を行った。結果を図3に×で示す。実験開始から6時間経過後までATP量の変化はわずかであった。
なお、UVA−LED単独使用の場合と比べ、BACまたはハイジェニアを併用した際の6時間後におけるATP量は、それぞれ63%、56%に減少した。
[実験例13]
上記(6)で調製したシスト体アメーバからシスト形成培地を除いた後、各ウェルにPAS 1mLを添加してウェルを穏やかに洗浄し、次いで、PAS 0.95mLと、終濃度が3mg/Lとなるようにハイジェニア溶液を0.05mL添加した。
結果を図4に黒丸●で示す。ATP量は、ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から減少し、6時間後には11分の1にまで減少した。
ハイジェニアに代えてBACを終濃度が3mg/Lになるように添加したこと以外は実験例13と同様にして実験を行った。結果を図4に逆黒三角▼で示す。ATP量は、BACおよびUVAの暴露開始から減少し、6時間後には約17分の1にまで減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例13と同様にして実験を行った。結果を図4に白丸○で示す。ハイジェニアの暴露から6時間後にはATP量が約2分の1に減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例14と同様にして実験を行った。結果を図4に逆三角▽で示す。BACの暴露によるATP量の変化は少なく、6時間後ATP量は、実験開始直後の97%程度であった。
ハイジェニア溶液の代わりにPAS0.05mLを添加したこと以外は実験例13と同様にして実験を行った。結果を図4に黒三角▲で示す。実験開始から時間の経過とともにATPが減少し、6時間後には約7分の1に減少した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の代わりにPAS0.05mLを添加し、UVA照射をしないこと以外は実験例13と同様にして実験を行った。結果を図4に×で示す。実験開始から6時間経過後までATP量の変化はわずかであった。
なお、UVA−LED単独使用の場合と比べ、BACまたはハイジェニアを併用した際の6時間後におけるATP量は、それぞれ41%、64%に減少した。
[実験例19〜24]
ハイジェニアとBACの終濃度を1mg/Lとしたこと以外は実験例13〜18と同様にして、それぞれATP量の測定を行った(実験例19〜24)。結果を図5に示す。これらの結果から、抗菌剤濃度が1mg/Lでは、ハイジェニア、BACともに単独ではシスト体アメーバに対する殺アメーバ効果は弱く、UVA−LEDと併用しても殺アメーバ効果の併用効果は確認できなかった。
[実験例25]
大腸菌(Escherichia coli NBRC 12713)を、Luria−Bertani培地(バクトトリプトン 10g、酵母エキス 5.0g、NaCl 5.0gを1Lにメスアップしたもの)5mLを入れた試験管中で17時間、110min-1にて振盪培養して前培養した。前培養液を6500rpm、4℃で集菌および生理食塩水で2回洗菌し、滅菌イオン交換水で再懸濁し、2×106cells/mLに調製した。この大腸菌菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れ、次いで、終濃度が0.3μMになるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社)溶液を添加後、実験例1と同じUVA照射装置を用いて、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数をハイジェニアの添加から0、10、30および60分後に測定した。結果を図6に黒丸●で示す。ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から30分後には生菌数は10分の1に急減し、開始から60分後には約1万分の1にまで減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例25と同様にして実験を行った。結果を図6に白丸○で示す。生菌数はハイジェニアの暴露から緩やかに減少し、60分後には生菌数が約7分の1となった。
ハイジェニア溶液を添加しなかったこと以外は実験例25と同様にして実験を行った。結果を図6に黒三角▲で示す。実験開始から60分後には生菌数が100分の1まで減少した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例25と同様にして実験を行った。結果を図6に×で示す。実験開始から60分の間での生菌数の変化はなかった。
[実験例29]
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145)を、100mLの三角フラスコに入れた20mLのNB培地中で17時間、147min-1にて振盪培養して前培養した。前培養液を6500rpm、4℃で集菌および生理食塩水で2回洗菌し、滅菌イオン交換水で再懸濁し、2×106cells/mLに調製した。この緑膿菌菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れ、次いで、終濃度が0.05μMになるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社)溶液を添加後、実験例1と同じUVA照射装置を用いて、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数をハイジェニアの添加から0、10、30および60分後に測定した。結果を図7に黒丸●で示す。ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から30分後には生菌数は37分の1に急減し、開始から60分後には検出限界以下(10cells/mL未満)にまで減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例29と同様にして実験を行った。結果を図7に白丸○で示す。60分間のハイジェニアの暴露では生菌数の変化は認められなかった。
ハイジェニア溶液を添加しなかったこと以外は実験例29と同様にして実験を行った。結果を図7に黒三角▲で示す。実験開始から60分後には生菌数が770分の1まで減少した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例29と同様にして実験を行った。結果を図7に×で示す。実験開始から60分の間での生菌数の変化はなかった。
[実験例33]
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)を、Luria−Bertani培地5mLを入れた試験管中で、で17時間、110min-1にて振盪培養して前培養した。前培養液を6500rpm、4℃で集菌および生理食塩水で2回洗菌し、滅菌イオン交換水で再懸濁し、2×106cells/mLに調製した。この黄色ブドウ球菌菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れ、次いで、終濃度が3μMになるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社)溶液を添加後、実験例1と同じUVA照射装置を用いて、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数をハイジェニアの添加から0、10、30および60分後に測定した。結果を図8に黒丸●で示す。ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から30分後には生菌数は100分の1に急減し、開始から60分後には5000分の1まで減少した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例33と同様にして実験を行った。結果を図8に白丸○で示す。ハイジェニアの暴露から10分後には生菌数が100分の1まで激減し、60分後には生菌数が約3000分の1となった。
ハイジェニア溶液を添加しなかったこと以外は実験例33と同様にして実験を行った。結果を図8に黒三角▲で示す。実験開始から緩やかに生菌数は減少し、60分後には生菌数が10分の1となった。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例33と同様にして実験を行った。結果を図8に×で示す。実験開始から60分の間での顕著な生菌数の変化はなかった。
[実験例37]
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145)を、100mLの三角フラスコに入れた20mLのNB培地中で17時間、147min-1にて振盪培養して前培養した。前培養液を6500rpm、4℃で集菌および生理食塩水で2回洗菌し、滅菌イオン交換水で再懸濁し、これをR2A培地でOD660=0.017(2.0×107cells/mL)に調製し、それを6.7×106cells/mLに希釈したものを、48穴マイクロプレート(平底、非コーティングポリスチレン製、滅菌済み、IWAKI)の各ウェルに1mLずつ分注し、30℃、5日間静置培養することにより、プレート壁にバイオフィルムを形成させた。
バイオフィルムでの生菌数を確実に評価するため、上清における生菌数と、プレート壁に吸着したバイオフィルム表層および内部の生菌数を計数した。上清については、ウェル中の上清を試験管へ移し、プレートを風乾させた。その上清を0.7% Tween80入り生理食塩水で希釈してから、SCDLP寒天培地に塗布し、24時間培養後にコロニーカウントを行った。一方、風乾したウェルについては、0.7% Tween80入り生理食塩水を1mL加え、ウェルの底と壁を十分にピペッティングし、0.7% Tween80入り生理食塩水で希釈後、上清と同様の手順にてコロニーカウントを行った。結果を図9に棒グラフ(左端)で示す。網掛け棒を上清における生菌数、白色棒をバイオフィルム表層および内部の生菌数とした。ハイジェニアおよびUVAの暴露開始から60分後には上清生菌数は10cells未満、吸着生菌数は100cells未満までに急減した。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例37と同様にして実験を行った。結果を図9に棒グラフ(左から2番目)で示す。網掛け棒を上清における生菌数、白色棒をバイオフィルム表層および内部の生菌数とした。コントロール生菌数(右端)と比較し、ハイジェニアの暴露による生菌数の著しい変化は、60分暴露間では認められなかった。
ハイジェニア溶液を添加しない代わりに滅菌イオン交換水0.2mLを加えたこと以外は実験例37と同様にして実験を行った。結果を図9に棒グラフ(左から3番目)で示す。網掛け棒を上清における生菌数、白色棒をバイオフィルム表層および内部の生菌数とした。UVAの暴露開始から60分後には上清生菌数は、約1000分の1まで減少し、一方吸着生菌数は10cells未満までに急減した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液を添加しない代わりに滅菌イオン交換水0.2mLを加え、UVA照射もしないこと以外は実験例37と同様にして実験を行った。結果を図9に棒グラフ(右端)で示し、網掛け棒を上清における生菌数、白色棒をバイオフィルム表層および内部の生菌数とした。実験開始から60分後の生菌数は、上清においては108オーダー、バイオフィルムにおいては107オーダーであった。
[実験例41]
実験例25と同様の手順にて、2×106cells/mLの大腸菌菌液を調製した。この大腸菌菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れ、次いで、終濃度が0.3μMになるようにハイジェニア(タマ化学工業株式会社)溶液を添加後、70mmの距離から白色LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数をハイジェニアの添加から0、10、30、60分後に測定した。結果を図11に黒丸●で示す。ハイジェニアおよび白色LEDの暴露開始から30分後には生菌数は10分の1に減少し、開始から60分後には100分の1にまで減少した。
白色LEDを照射しなかったこと以外は実験例41と同様にして実験を行った。結果を図11に白丸○で示す。生菌数はハイジェニアの暴露から緩やかに減少し、60分後には生菌数が約7分の1となった。
ハイジェニア溶液を添加しなかったこと以外は実験例41と同様にして実験を行った。結果を図11に三角△で示す。実験開始から60分後には生菌数が約4分の1に減少した。
コントロール実験として、ハイジェニア溶液の添加も、白色LED照射もしないこと以外は実験例41と同様にして実験を行った。結果を図11に×で示す。実験開始から60分の間での生菌数の変化はなかった。
[実験例45]
滅菌イオン交換水で2×106cells/mLに調製したカンジダ菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れた。これに、終濃度が20mg/Lになるように式(2)化合物溶液を添加後、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数を式(2)化合物の添加から0、1、3、6時間後に測定した。結果を図12に黒丸●で示す。式(2)化合物およびUVAの暴露開始から1時間後には生菌数は1000分の1に急減し、開始から3時間後には不検出となった。なお、UVAの照射と生菌数の測定は、実験例1と同様の手順にて行った。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例45と同様にして実験を行った。結果を図12に白丸○で示す。式(2)化合物の暴露から1時間後には生菌数が約10分の1に減少し、その後は生菌数に大きな変化はなかった。
式(2)化合物を添加しなかったこと以外は実験例45と同様にして実験を行った。結果を図12に黒三角▲で示す。実験開始から6時間経過後に至るまで生菌数に大きな変化は見られなかった。
コントロール実験として、式(2)化合物の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例45と同様にして実験を行った。結果を図12に×で示す。実験開始から時間の経過とともにわずかに生菌数が増加した。
[実験例49]
滅菌イオン交換水で調整した2×106cells/mLの大腸菌(Escherichia coli NBRC 12713)菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れた。次いで、終濃度が4.5μMになるように式(2)化合物溶液を添加後、実験例1と同じUVA照射装置を用いて、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数を式(2)化合物の添加から0、10、30および60分後に測定した。結果を図13に黒丸●で示す。式(2)化合物およびUVAの暴露開始から30分後には生菌数は5分の1に急減し、開始から60分後には約1万分の1近くまで減少した。なお、生菌数の測定は、実験例25と同様の手順にて行った。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例49と同様にして実験を行った。結果を図13に白丸○で示す。生菌数は式(2)化合物の暴露から緩やかに減少し、60分後には生菌数が約3分の1となった。
式(2)化合物を添加しなかったこと以外は実験例49と同様にして実験を行った。結果を図13に黒三角▲で示す。実験開始から60分後には生菌数が100分の1まで減少した。
コントロール実験として、式(2)化合物溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例49と同様にして実験を行った。結果を図13に×で示す。実験開始から60分の間での生菌数の変化はなかった。
[実験例53]
滅菌イオン交換水で懸濁した2×106cells/mLの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 10145)菌液20mLを、深底90mmシャーレに入れた。次いで、終濃度が0.05μMになるように式(2)化合物溶液を添加後、実験例1と同じUVA照射装置を用いて、50mmの距離からUVA−LEDを連続照射しながら、30℃で静置培養した。菌液中の生菌数を式(2)化合物の添加から0、10、30および60分後に測定した。結果を図14に黒丸●で示す。式(2)化合物およびUVAの暴露開始から30分後には生菌数は83分の1に急減し、開始から60分後には検出限界以下(10cells/mL未満)にまで減少した。なお、生菌数の測定は、実験例29と同様の手順にて行った。
UVAを照射しなかったこと以外は実験例53と同様にして実験を行った。結果を図14に白丸○で示す。60分間の式(2)化合物の暴露では生菌数の変化は認められなかった。
式(2)化合物溶液を添加しなかったこと以外は実験例53と同様にして実験を行った。結果を図14に黒三角▲で示す。実験開始から60分後には生菌数が770分の1まで減少した。
コントロール実験として、式(2)化合物溶液の添加も、UVA照射もしないこと以外は実験例53と同様にして実験を行った。結果を図14に×で示す。実験開始から60分の間での生菌数の変化はなかった。
Claims (5)
- 除菌対象物と下記一般式(1)で表される化合物とを接触させながら、該対象物に発光ダイオードから発生した波長400nm〜315nmのUVAを照射することを特徴とする除菌方法。
(ただし、上記一般式(1)において、R1およびR4は、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐の同一または異なるアルキレン基であり、R2およびR5は、水素原子、同一若しくは異なるハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R3は、炭素数2〜12の直鎖または分岐のアルキレン基であり、R6は、炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはOSO2R7基(R7は、炭素数1〜4のアルキル基または置換若しくは無置換のフェニル基である)である。) - 前記除菌対象物と前記一般式(1)で表される化合物との接触を、該化合物を溶解した水系で行う請求項1又は2に記載の除菌方法。
- 前記除菌対象物がコンタクトレンズである請求項1〜3のいずれか一項に記載の除菌方法。
- 前記除菌対象物が、バイオフィルムが付着した物品である請求項1〜3のいずれか一項に記載の除菌方法。
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