JP5830818B2 - 内燃機関の計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関において計測データを時系列で取得するための計測装置関するものである。
従来から、計測データを時系列で取得するための計測装置が知られている。この種の計測装置が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、テレメータ方式のリング挙動計測装置が記載されている。この計測装置は、内燃機関のピストンのピストンリングの挙動を計測する。この計測装置では、センサ及びトランスミッタがピストンに設けられ、センサの計測データがトランスミッタを介して送信アンテナから送信される。送信アンテナから送信された計測データは、受信アンテナにより受信され、信号復調器で復調される。
特開2001−174207号公報
ところで、従来の計測装置では、センサにより計測データを時系列で取得する計測動作中にトランスミッタから計測データが送信される。計測データはリアルタイムで送信される。このため、計測データの時間分解能が、トランスミッタの転送速度により制約され、十分な時間分解能を得ることができない場合があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、計測データを時系列で取得するための計測装置において、計測データの時間分解能を向上させることにある。
本発明は、内燃機関のピストン外側面の環状溝に挿入されるピストンリングの挙動を計測する計測装置であって、前記環状溝の上側に設けられ、前記ピストンリングの上下方向の動きを計測するギャップセンサと、前記センサと有線で接続され、前記センサの計測データを蓄積するメモリと、前記メモリに蓄積された計測データを無線通信により外部へ出力するデータ出力部とを備え、前記メモリ及びデータ出力部が、前記ピストンの内側面に設けられたことを特徴とする
本発明によれば例えば、ピストンリング挙動の計測動作中にセンサの計測データがメモリに蓄積され、メモリに蓄積された計測データが無線通信により計測動作後に外部へ出力される。計測動作中は、計測データが出力されない。トランスミッタ等を用いてリアルタイムでピストンリング挙動の計測データを送信する場合とは異なり、計測データを送信する機器の制約を受けない。従って、計測データの時間分解能を向上させることが可能である。
図1は、実施形態における内燃機関の縦断面図である。 図2は、実施形態における計測システムのブロック図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、本発明に係る計測装置30を備えた計測システム10である。計測システム10は、内燃機関20のピストン23のピストンリング27,28,29の挙動を計測する。計測システム10の計測装置30は、本発明の一例である。以下では、計測システム10について説明する前に、内燃機関20について説明する。
−内燃機関の構成−
本実施形態の内燃機関20は、図1に示すように、ピストン23が往復動するレシプロタイプのエンジンである。内燃機関20は、シリンダヘッド(図示省略)とシリンダブロック22とピストン23とを備えている。シリンダブロック22には、横断面が円形のシリンダ24が形成されている。シリンダヘッド、シリンダ24及びピストン23は、燃焼室10を区画している。
シリンダ24内には、ピストン23が往復自在に設けられている。ピストン23は、コネクティングロッド25を介して、クランクシャフト26に連結されている。クランクシャフト26は、シリンダブロック22に回転自在に支持されている。シリンダ24内においてシリンダ24の軸方向にピストン23が往復運動すると、ピストン23の往復運動がコネクティングロッド25によりクランクシャフト26の回転運動に変換される。
ピストン23の外周面には、周方向に延びる環状溝が3本形成されている。環状溝には、それぞれピストンリング27,28,29が設けられている。ピストン23の頂面に最も近い第1ピストンリング27、及び真ん中の第2ピストンリング28は、コンプレッションリングを構成する。ピストン23の頂面から最も離れた第3ピストンリング29は、オイルリングを構成する。本実施形態では、第1ピストンリング27の挙動を計測するためのセンサ31が、ピストンリング27が挿入されるピストン23の外側面であって、環状溝の上側に設けられている。
なお、シリンダヘッドには、点火プラグが1つ設けられている。シリンダヘッドには、シリンダ24に対して、吸気ポート及び排気ポートが形成されている。吸気ポートには、吸気バルブとインジェクターとが設けられている。一方、排気ポートには、排気バルブが設けられている。本実施形態では、インジェクターから噴射された燃料が吸気ポートを流れる空気に供給される。
−計測システムの構成−
計測システム10は、図2に示すように、計測装置30と読取リーダー40(受信器)とを備えている。計測装置30は、ピストン23に設けられている。なお、図2において、実線の矢印は有線を介してのデータの流れを表し、破線の矢印は無線を介してのデータの流れを表す。
計測装置30は、センサ31とアンプ32とデジタル変換部33と計測側メモリ34と計測側通信部35とを備えている。図2に示すようにアンプ32、デジタル変換部33、計測側メモリ34および計測側通信部35は、体化された部材36含まれている。図1に示すように、この部材36は、ピストン23の内側面(コネクティングロッド25と対向する面)上に設けられる。また、図1に示すように、センサ31と部材36は有線で接続される。計測装置30は、センサ31により計測データを時系列で取得する計測動作を行う。計測装置30は、絶対時間を計測動作のトリガーとするタイマー式に構成されている。
具体的に、計測装置30は、計測動作の開始時刻及び終了時刻を記憶している。計測装置30は、開始時刻になると計測動作を行い、終了時刻になると計測動作を終了させる。計測装置30は、計測動作中にセンサ31が所定の時間間隔で計測値を取得し、その計測値を計測データとして出力する。そして、計測装置30は、センサ31から出力された計測データをアンプ32で増幅した後に、デジタル変換部33でデジタル変換を行い、そのデジタル変換後の計測データを計測側メモリ34に記憶する。
センサ31は、第1ピストンリング27の上下方向(ピストン23の往復方向)の動きを計測するためのギャップセンサである。センサ31は、第1ピストンリング27との距離を計測する。センサ31の計測データによれば、ピストン23の熱変形により第1ピストンリング27の挟み込み等の現象が発生しているか否かを判定することが可能になる。
アンプ32は、センサ31の計測データを増幅する。デジタル変換部33は、アナログ信号であるアンプ32の出力データを、デジタル信号に変換する。
計測側メモリ34は、例えばフラッシュメモリである。計測側メモリ34は、デジタル変換部33でデジタル変換された計測データを記憶する。計測側メモリ34は、計測動作中の全計測データを蓄積する。計測側メモリ34には、複数回分の計測動作の計測データを蓄積可能な容量のものが使用される。
計測側通信部35は、計測側アンテナと通信回路とを有している。計測側通信部35は、計測側アンテナが読取リーダー40からの送信開始信号を受けると、通信回路が計測側メモリ34に蓄積された1回分の計測動作の計測データを送信する。計測側通信部35は、計測側メモリ34に蓄積された計測データを無線で読取リーダー40へ出力する。計測側通信部35は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグである。計測側通信部35は、計測動作後に計測側メモリ34に蓄積された計測データを外部へ出力するデータ出力部を構成している。
読取リーダー40は、読取側通信部41とデータ復調部42と読取側メモリ43とを備えている。読取リーダー40は、計測側通信部35から送信された計測データを受信する。
具体的に、読取側通信部41は、計測装置30の近傍に移動させられると、送信開始信号を計測側通信部35に自動的に送信する。また、読取側通信部41は、送信開始信号を送信した後に計測側通信部35から送信される計測データを受信する。
データ復調部42は、読取側通信部41が受信した高周波信号をデジタルデータ列の計測データに変換する。読取側メモリ43は、データ復調部42で復調された計測データを記憶する。
読取リーダー40には、データ取り出し用のポート(例えば、USBポート)が設けられている(図示省略)。使用者は、USBケーブルを介してパーソナルコンピュータ等の電子計算機に読取リーダー40を接続することで、読取側メモリ43に蓄積された計測データを電子計算機に移動させることができる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、計測動作中に動いているピストン23に、センサ31と共に計測側メモリ34が設けられている。ここで、ピストン等の駆動体にセンサ31を設ける従来の計測システム10は、計測動作中にトランスミッタから計測データをリアルタイムで送信している。そのため、トランスミッタの転送速度の制約上、得られる計測データの時間分解能が足りない場合があった。それに対して、本実施形態では、ピストン23にセンサ31と共に計測側メモリ34を設けられ、計測動作中はセンサ31の計測データを計測側メモリ34に蓄積し、計測動作後にセンサ31の計測データを外部に送信している。リアルタイムで計測データを送信する場合とは異なり、計測データを送信する機器の制約を受けない。従って、計測データの時間分解能を向上させることが可能である。
−実施形態の変形例1−
変形例1の計測装置30では、使用者が計測動作の開始を計測装置30に指示するための入力ボタンが受信器40に設けられている。読取リーダー40は、使用者が入力ボタンを操作すると、計測動作を開始させる計測開始指令を無線で計測装置30へ出力する。計測装置30は、計測開始指令を受けると計測動作を開始する。
変形例1では、読取リーダー40が、計測装置30から計測データを受信するだけでなく、計測装置30へ計測開始指令を送る。計測開始指令は無線で送られる。従って、駆動体に計測装置30を設ける場合であっても、計測データの時間分解能を向上させつつ、信頼性の高い計測システム10を構成することができる。
なお、受信器40に、計測動作の終了を計測装置30に指示するための入力ボタンや、計測動作の一時停止/再開を計測装置30に指示するための入力ボタンが設けられていてもよい。計測動作の一時停止を行う場合は、一時停止前と後の計測データが1つのデータとして出力される。
−実施形態の変形例2−
変形例2の計測装置30では、計測側通信部35が計測側メモリ34に蓄積された計測データを有線(例えば、USBケーブル)で受信器40へ出力する。USBケーブルは、計測動作後に計測装置30から受信器40へ計測データを送るときに取り付けられる。一方、受信器40には、計測装置30を操作するための操作ボタン(入力部)が設けられている。受信器40は、使用者が操作ボタンを押すと、計測動作を開始させる計測開始指令を無線で計測装置30へ送信する。受信器40は、計測装置30に指令を出力する指令部を兼ねている。計測装置30は、計測開始指令を受けると計測動作を開始する。
変形例2では、計測側メモリ34に蓄積された計測データの出力が有線で行われ、計測開始指令の送受信が無線で行われる。従って、駆動体に計測装置30を設ける場合であっても、計測データの時間分解能を向上させつつ、信頼性の高い計測システム10を構成することができる。また、計測側メモリ34に蓄積された計測データの容量が膨大な場合であっても短時間で計測データを受信器40へ送ることができる。
−実施形態の変形例3−
変形例3の計測装置30は、計測動作の停止中におけるセンサ31の計測データに基づいて計測動作を開始するか否かを決定する。例えば、計測装置30は、センサ31の計測値が所定の閾値を超えた回数が所定値を超えると、計測動作を開始する。
変形例3では、計測動作を開始するか否かを決定するのに、計測動作の停止中におけるセンサの計測データが用いられる。従って、センサ31の検出対象の状態を計測時期に反映させることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態は、以下のように構成してもよい。
上記実施形態について、計測側メモリ34(例えば、SDカード)が取り外しできるように計測装置30が構成されていてもよい。
また、上記実施形態について、センサ31は、所定の物理量又は該物理量の変化量を検出するものであればよく、歪みゲージであってもよいし、温度センサ31であってもよい。また、センサ31は、タイヤの挙動(歪、温度、空気圧)を検出するものであってもよいし、駆動系のギアの挙動、モータコアの過電流を検出するものであってもよい。
また、上記実施形態について、人体の情報(例えば、心拍数)を計測するものであってもよい。
また、上記実施形態について、読取リーダー40のデータ構造(例えば、ビット数)に合わせて、計測側通信部35から送信されるデータを加工してもよい。
以上説明したように、本発明は、ピストンリング挙動の計測データを時系列で取得するための計測装置について有用である。
30 計測装置
31 センサ
32 計測側メモリ(メモリ)
35 計測側通信部(データ出力部)
40 読取リーダー(受信器)

Claims (1)

  1. 内燃機関のピストン外側面の環状溝に挿入されるピストンリングの挙動を計測する計測装置であって、
    前記環状溝の上側に設けられ、前記ピストンリングの上下方向の動きを計測するギャップセンサと、
    前記センサと有線で接続され、前記センサの計測データを蓄積するメモリと、
    前記メモリに蓄積された計測データを無線通信により外部へ出力するデータ出力部とを備え、
    前記メモリ及びデータ出力部が、前記ピストンの内側面に設けられたことを特徴とする、内燃機関の計測装置。
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