JP5822721B2 - プラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システム - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムに関するものである。
従来、例えば、ガスタービンの分野では、高い耐熱性を持たせるために、耐熱金属で構成された静翼、動翼、及び燃焼器の壁材等の表面に、酸化物セラミックスからなるセラミックス層を積層した遮熱コーティング(TBC:Thermal Barrier Coating)を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。この遮熱コーティングは、例えば、プラズマ溶射等の成膜方法を用いて形成される。
特開2011−214054号公報
一般的に、プラズマ溶射は、作動ガス中で一対の電極間にアーク放電を発生させて、高温高速のプラズマジェットを発生させ、該プラズマジェットに溶射材を投入して皮膜を形成するものである。プラズマ溶射では、電極間に繰り返し高電圧が印加されるため、電極の消耗による歩留まりの低下や皮膜組織の品質劣化などが発生する。
従来、電極の交換時期については明確な基準がなく、作業員が歩留まりの様子や皮膜組織の品質に基づいて電極の交換を判断していた。従って、歩留まりの低下やコーティング組織の劣化などを未然に防ぐことができず、また、作業員の負担も大きかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電極交換における作業員の負担を軽減することのできるプラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、水素ガスを含む作動ガス中で、一対の電極間にアーク放電を発生させて高温高速のプラズマジェットを発生させ、該プラズマジェットに溶射材を投入して皮膜を形成するプラズマ溶射の電極管理装置であって、電極に所定値以上の電圧低下または電力低下が生じた場合に、水素ガス量および前記電極に流れる電流を調整することにより、プラズマ出力を回復させる制御手段と、前記水素ガス量および前記電流上限値それぞれ記憶する記憶手段と、前記水素ガス量または前記電流が前記記憶手段に記憶されている前記上限値を超えた場合に作動する報知手段とを具備し、前記制御手段は、前記電極に所定値以上の電圧低下または電力低下が生じた場合に、まずは前記水素ガス量を調整することにより前記プラズマ出力を回復させ、前記水素ガス量が前記上限値に達した後は、前記水素ガス量を前記上限値で維持しながら、前記電流を増加させることにより、前記プラズマ出力を回復させるプラズマ溶射の電極管理装置を提供する。
本発明によれば、成膜時において、電極に電圧低下または電力低下が生じた場合には、制御手段が電力上昇に寄与するパラメータである水素ガス量および電極に流れる電流を調整する。これにより、低下していた電力を回復させることができ、よって、プラズマ出力を略一定に保つことが可能となる。また、水素ガス量または電極に流れる電流の値が記憶手段に記憶されている上限値を超えた場合には、報知手段が作動し、電極の交換時期が報知される。これにより、作業員は、この報知に従って電極を交換するだけでよく、従来に比べて、作業員の労力を軽減することが可能となる。
このように、水素ガス量だけでなく、電極に流れる電流も増加させることにより、水素ガス量だけを制御する場合に比べて、より長い期間に渡ってプラズマ出力を略一定に保つことが可能となる。
上記プラズマ溶射の電極管理装置において、記憶手段に記憶されている水素ガス量の上限値は以下のように決定されることが好ましい。
事前に、前記電極の電圧低下または電力低下に応じて前記作動ガス中に含まれる水素ガス量を変化させて、それぞれ異なる水素ガス量で複数の試験片に皮膜を形成し、複数の前記試験片の各々に形成された皮膜の品質評価を行う。そして、予め設定されている全ての評価項目の基準値を満足する皮膜を形成したときの最大の水素ガス量を特定し、特定した前記最大の水素ガス量を上限値として決定する。
このようにして水素ガス量の上限値を決定し、記憶手段に記憶することで、歩留まりや皮膜の品質が一定量以上低下する前に、電極を交換させることが可能となる。これにより、電極の消耗による歩留まりの低下を抑制することができるとともに、皮膜の所望の品質を維持することができる。
上記プラズマ溶射の電極管理装置において、前記皮膜の品質が全ての評価項目の基準値を満足し、かつ、該皮膜を形成したときの歩留まりが所定の値以上である最大の水素ガス量を上限値としてもよい。
このように、歩留まりも考慮して上限値を設定することで、歩留まりも効果的に抑制することが可能となる。
上記プラズマ溶射の電極管理装置において、記憶手段に記憶されている電流の上限値は以下のように決定されることが好ましい。事前に、前記水素ガス量を上限値に設定した状態で、前記電極の電圧低下または電力低下に応じて前記電極に流れる電流を変化させて、それぞれ異なる電流値で複数の試験片に皮膜を形成する。そして、複数の前記試験片の各々に形成された皮膜の品質評価を行い、予め設定されている全ての評価項目の基準値を満足する皮膜を形成したときの最大の電流値を特定し、特定した前記最大の電流値を上限値として決定する。
このように、水素ガス量だけでなく、電極に流す電流の上限値を決定して記憶手段に記憶しておく。これにより、水素ガス量と電極に流れる電流の両方を制御する場合においても、歩留まりや皮膜の品質が一定量以上低下する前に、電極を交換させることが可能となり、電極の消耗による歩留まりの低下を抑制することができるとともに、皮膜の所望の品質を維持することができる。
本発明は、上記いずれかのプラズマ溶射の電極管理装置を備えるプラズマ溶射システムを提供する。
本発明によれば、電極交換における作業員の負担を軽減することができるという効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係るプラズマ溶射システムの全体構成を概略的に示した図である。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ溶射システムの全体構成を概略的に示した図である。
〔第1実施形態〕
以下に、本発明の第1実施形態に係るプラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態では、本発明に係るプラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムをガスタービンに用いられる静翼、動翼、燃焼器等の高温部材の遮熱コーティングの形成に適用する場合について説明する。なお、本発明はこの例に限定されず、他の目的で皮膜を形成するプラズマ溶射に広く適用することが可能である。
図1は、本実施形態に係るプラズマ溶射システムの概略構成を示した図である。
図1に示すように、プラズマ溶射システム1は、プラズマ溶射を行うプラズマ溶射装置10と、プラズマ溶射装置10が備える電極の交換時期を作業員に報知する電極管理装置20とを備えている。
プラズマ溶射装置10は、プラズマ溶射部2と、作動ガス供給装置3と、粉末供給装置4とを主な構成として備えている。
プラズマ溶射部2は、アノード陽極5aとカソード陰極5bとからなる一対の電極5を備えている。電極5には、溶射用電源6から高電圧が印加される。電極5における電圧及び電流は計測部13によって計測され、電圧計測値及び電流計測値が電極管理装置20に出力される。
作動ガス供給装置3は、プラズマ溶射部2に作動ガスを供給するものであり、アルゴンガスと水素ガスとを混合して作動ガスを生成するガス混合部7を備えている。ガス混合部7には、アルゴンガス供給路L1を介してアルゴンガスが、水素ガス供給路L2を介して水素ガスが供給される。ガス混合部7において生成された作動ガスは、作動ガス供給路L3を介してプラズマ溶射部2に供給される。
アルゴンガス供給路L1及び水素ガス供給路L2には、ガス圧力及び流量を調整するための調節弁8,9がそれぞれ設けられている。
粉末供給装置4は、プラズマ溶射部2のプラズマジェット出力側に設けられた粉末供給ポート11と、粉末供給ポート11に遮熱コーティング用溶射粉を供給する溶射粉供給部12とを備えている。
電極管理装置20は、制御部(制御手段)21と、記憶部(記憶手段)22と、報知部(報知手段)23とを備えている。
制御部21には、計測部13から電圧計測値及び電流計測値が入力される。制御装置21は、電極5に所定値以上の電圧低下(または所定の電力(=電圧×電流)低下)が生じた場合に、電圧上昇に寄与するパラメータを調整することにより、プラズマ出力を回復させる。例えば、制御部21は、予め設定されている第1閾値以上の電圧低下が電極5に生じた場合に、調節弁9の開度を開く方向に調節し、作動ガス中に含まれる水素ガス量を増加させる。
また、制御装置21は、計測部13から通知された電圧計測値及び電流計測値を電極管理装置20が備える図示しない表示部に表示させる機能を有していてもよい。
水素ガスは、電極5の電圧を上昇させる効果がある。よって、水素ガス量を増加させることにより電極5の電圧を回復させることができ、プラズマ出力を略一定に保つことが可能となる。
水素ガス量の増加制御の一例としては、予め設定されている所定量増加させる方法や、電極5の電圧が第1閾値よりも大きな値に設定されている第2閾値に達するまで水素ガス量を増加させる方法が挙げられる。
記憶部22には、作動ガス中に含まれる水素ガス量の上限値が格納されている。なお、上限値の決定方法については、後述する。
報知部23は、作動ガス中に含まれる水素ガス量が記憶部22に格納されている上限値に達した場合に作動し、電極の交換を作業員に知らせる。報知部23は、例えば、ランプや表示器などであってもよく、また、通信媒体を介して上位の監視システム等にその旨を通知するような構成とされていてもよい。
このようなプラズマ溶射システム1においては、作動ガス供給装置3によって作動ガスがプラズマ溶射部2に供給されている状態で、溶射用電源6から電極5に高電圧が印加され、アーク放電が発生する。アーク放電の発生により、プラズマジェットJが発生し、そこに粉末供給ポート11から遮熱コーティング用溶射粉が投入されることで、溶融と加速が行われ、距離を置いて設置された母材30の表面に遮熱コーティング31が形成される。
このようにして、遮熱コーティング31の形成が繰り返し行われることにより、電極5が消耗する。電極が消耗すると、カソード側の先端形状が変化し、アーク長(アーク放電距離)が短くなり、電圧が低下する。これにより、計測部13により計測される電圧計測値が低下し、制御部21が所定値以上の電圧低下が生じたと判断すると、例えば、水素ガス供給路L2に設けられている調節弁9の開度を所定量開くことにより、水素ガス量を増加させる。これにより、電極5の電圧が回復し、プラズマ出力が略一定とされる。
そして、電極5の劣化に伴い一定量の電圧低下が生じる度に、制御部21によって水素ガス量の増加制御が繰り返し行われることにより、作動ガスに含まれる水素ガス量が記憶部22に記憶されている上限値に達すると、報知部23が作動してその旨が報知され、作業員に対して電極の交換時期を通知する。これにより、電極の交換時期を通知された作業員は、電極の交換を速やかに行うことが可能となる。
また、このようにして電極の交換時期を通知しても、電極の交換が行われなかった場合には、報知部23が作動してから所定の期間後に、プラズマ溶射を停止させることとしてもよい。これにより、品質が低下した遮熱コーティングの形成を停止することができる。
また、電極管理装置20においては、報知部23により電極交換を報知したときから予め設定されている所定の期間が経過しても電極交換が行われなかった場合には、プラズマ溶射を停止させ、遮熱コーティングの形成工程を停止させることとしてもよい。
次に、記憶部22に記憶されている上限値の決定方法について説明する。上限値は、事前に試験を行うことにより決定される。すなわち、事前に、プラズマ溶射装置10を通常通り作動させて、遮熱コーティングの形成を繰り返し行う。遮熱コーティングを繰り返し行うことにより、電極5の電圧低下が発生すると、上述のように、制御部21によって作動ガス中に含まれる水素ガス量を増加させ、電圧を回復させ、プラズマ出力を略一定に保つ。
また、このような電圧低下に伴う水素ガス量の増加制御が開始されると、遮熱コーティングを所定回数行う毎に、或いは、所定の時間インターバルで、試験片に対して遮熱コーティングを実施する。なお、試験片に遮熱コーティングを実施していない期間においては、製品(例えば、静翼、動翼、燃焼器の壁面等)に対して遮熱コーティングを実施することとしてもよい。この場合、製品に対する遮熱コーティングの実施は、既にコーティングの性能が補償されている水素ガス量範囲内で行うものとする。このように、製品に対しても遮熱コーティングを実施することにより、生産性を向上させることが可能となる。
このようにして、異なる水素ガス量に対する遮熱コーティングの試験片を得ることができる。次に、このようにして得た各試験片の遮熱コーティングの品質評価を行い、全ての評価項目における基準値を満足するか否かを判定する。そして、全ての評価項目における基準値を満足する遮熱コーティングの中で、水素ガス量が最大のものを抽出し、そのときの水素ガス量を上限値に決定する。
このようにして決定された水素ガス量の上限値は、記憶部22に記憶され、以降の遮熱コーティングの形成において用いられることとなる。
上記評価項目の一例としては、例えば、コーティングの断面組織観察によるコーティング内部の割れの有無、緻密度の評価、レーザ熱サイクル試験によるコーティングの熱伝導率及び耐熱サイクル性の評価などが挙げられる。
また、上記評価に加えて、遮熱コーティング時における溶射フレームの安定度、歩留まり、電極の消耗度なども評価結果として考慮することとしてもよい。
以上説明してきたように、本実施形態に係るプラズマ溶射の電極管理装置20及びプラズマ溶射システム1によれば、成膜時において、電極5に電圧低下が生じた場合には、水素ガス量を増加させることによりプラズマ出力を略一定に保ち、更に、水素ガス量が記憶部22に記憶されている上限値に達した場合に、報知部23が作動し、電極の交換時期を報知する。したがって、作業員は、この報知に従って電極5を交換するだけでよく、従来に比べて、作業員の労力を軽減することが可能となる。
更に、実際の成膜運転時と同じ条件で事前に試験を行って、水素ガス量が異なる状態における試験片の遮熱コーティングの状態を評価し、全ての評価項目の基準値を満たすときの水素ガス量の最大値を上限値として記憶部22に記憶するので、歩留まりや遮熱コーティングの品質が一定量以上低下する前に電極を交換することができる。これにより、電極の消耗による歩留まりの低下を抑制することができるとともに、皮膜の所望の品質を維持することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るプラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムについて、図面を参照して説明する。
上述した第1実施形態では、水素ガス量を増加させることで、電圧を回復させて、プラズマ出力を一定に制御していたが、本実施形態では、電極5に流す電流を増加させることで、電圧低下によって生じた電力(電圧×電流)の低下を回復させる。電力(電圧×電流)を一定に保つことで、プラズマ出力を一定に制御することが可能となる。
以下、本実施形態に係るプラズマ溶射の電極管理装置及びプラズマ溶射システムについて、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
図2は、本発明の第2実施形態に係るプラズマ溶射システムの全体構成を概略的に示した図である。図2において、図1と同一の構成については同一の符号を付している。
図2において、記憶部22´には、電流の上限値が記憶されている。制御部21´は、計測部13によって計測される電極5の電圧計測値と電流計測値とから電力を算出し、電力が予め設定されている第1閾値以下となった場合に、電流を増加させる。電流の増加制御の一例としては、予め設定されている所定量増加させる方法や、電力が第1閾値よりも大きな値に設定されている第2閾値に達するまで増加させる方法が挙げられる。
そして、電極5の電力が第1閾値以下となる度に、電流値の増加を繰り返し行うことにより、電流が累積的に増加し、電流値が記憶部22´に格納されている上限値に達した場合に、報知部23が作動し、電極交換の報知を行う。
記憶部22´に格納される上限値は、上述した第1実施形態と同様の手法により求められたものである。
すなわち、電流値の上限値を決定するための試験を事前に行う。具体的には、プラズマ溶射装置10を通常通り作動させて、遮熱コーティングの形成を繰り返し行う。遮熱コーティングを繰り返し行うことにより、電極5の電力が第1閾値以下となると、制御部21´が電極5に流れる電流を増加させる。また、このような電力低下に伴う電流の増加制御が開始されると、所定の時間間隔で、或いは、遮熱コーティングを所定回数行う毎に、試験片に対して遮熱コーティングを実施し、異なる電流を流した時の遮熱コーティングの試験片を得る。なお、このときも、試験片に対する遮熱コーティングを行う場合以外は、製品(例えば、静翼、動翼、燃焼器の壁面等)に遮熱コーティングを行うこととしてもよい。これにより、生産性を向上させることができる。
このようにして、電流値がそれぞれ異なるときの複数の試験片を得ると、各試験片の遮熱コーティングの品質評価を行い、全ての評価項目における基準値を満足するか否かを判定する。そして、全ての評価項目における基準値を満足している試験片が得られた中で最大の電流値を上限値に決定する。
このように、電極5に流す電流を増加させることによってもプラズマ出力を一定とすることができ、また、電流値を増加させることにより上限値に達した場合には、電極5の交換が報知部23によって報知される。これにより、作業員の負担を軽減することができるとともに、歩留まりの所定量以上の低下及び遮熱コーティングの所定量以上の品質劣化を未然に防止することが可能となる。
なお、本実施形態では、電力が第1閾値以下となった場合に電流を増加させることとしたが、電極5の電圧が予め設定されている所定の閾値以下となった場合に、電流を増加させることとしてもよい。
また、上述した第1実施形態では水素ガス量を、第2実施形態では電極5に流れる電流値をそれぞれ個別に増加させる場合について説明したが、例えば、水素ガス量と電流値の両方のパラメータを制御することにより、電極5への電力を回復させ、プラズマ出力を一定とする制御を行うこととしてもよい。
例えば、電流値よりも水素ガス量の方が歩留まりへの寄与が大きいため、最初は水素ガス量を増加させることにより電極5の電圧を回復させ、水素ガス量が上限値に達してしまった後は、水素ガス量を上限値で維持しながら、電流値を増加させることにより電極5に供給される電力を回復させてプラズマ出力を一定に保つこととしてもよい。
この場合、記憶部には、水素ガス量の上限値と電流値の上限値との両方が記憶されていることとなる。また、この場合における電流の上限値については、水素ガス量を上限値に維持した状態で、電流値をそれぞれ異ならせたときの遮熱コーティングの試験片を得、これらの中から全ての評価項目において基準値を超える最大の電流値を上限値として設定することとすればよい。
また、上記各実施形態に加えて、出力一定の範囲内でアルゴンガス流量を増加させることとしてもよい。アルゴンガスの流量を増加させると、プラズマジェットのガス流量が増加するため、プラズマジェットの噴射を加勢することができる。また、アルゴンガスは粘性が高いため、アークを噴射方向に押し出す特性も併せ持つ。
このように、アルゴンガス流量を増加させることによっても、歩留まり低下や遮熱コーティングの品質劣化の抑制を期待することができる。
1,1´ プラズマ溶射システム
2 プラズマ溶射部
3 作動ガス供給装置
4 粉末供給装置
5 電極
5a アノード陽極
5b カソード陰極
6 溶射用電源
9 調節弁
10 プラズマ溶射装置
13 計測部
20,20´ 電極管理装置
21,21´ 制御部
22,22´ 記憶部
23 報知部

Claims (5)

  1. 水素ガスを含む作動ガス中で、一対の電極間にアーク放電を発生させて高温高速のプラズマジェットを発生させ、該プラズマジェットに溶射材を投入して皮膜を形成するプラズマ溶射の電極管理装置であって、
    電極に所定値以上の電圧低下または電力低下が生じた場合に、水素ガス量および前記電極に流れる電流を調整することにより、プラズマ出力を回復させる制御手段と、
    前記水素ガス量および前記電流上限値それぞれ記憶する記憶手段と、
    前記水素ガス量または前記電流が前記記憶手段に記憶されている前記上限値を超えた場合に作動する報知手段と
    を具備し、
    前記制御手段は、前記電極に所定値以上の電圧低下または電力低下が生じた場合に、まずは前記水素ガス量を調整することにより前記プラズマ出力を回復させ、前記水素ガス量が前記上限値に達した後は、前記水素ガス量を前記上限値で維持しながら、前記電流を増加させることにより、前記プラズマ出力を回復させるプラズマ溶射の電極管理装置。
  2. 事前に、前記電極の電圧低下または電力低下に応じて前記作動ガス中に含まれる水素ガス量を変化させて、それぞれ異なる水素ガス量で複数の試験片に皮膜を形成し、
    複数の前記試験片の各々に形成された皮膜の品質評価を行い、
    予め設定されている全ての評価項目の基準値を満足する皮膜を形成したときの最大の水素ガス量を特定し、
    特定した前記最大の水素ガス量が前記上限値として前記記憶手段に記憶されている請求項に記載のプラズマ溶射の電極管理装置。
  3. 前記皮膜の品質が全ての評価項目の基準値を満足し、かつ、該皮膜を形成したときの歩留まりが所定の値以上である最大の水素ガス量が前記上限値として前記記憶手段に記憶されている請求項に記載のプラズマ溶射の電極管理装置。
  4. 事前に、前記水素ガス量を上限値に設定した状態で、前記電極の電圧低下または電力低下に応じて前記電極に流れる電流を変化させて、それぞれ異なる電流値で複数の試験片に皮膜を形成し、
    複数の前記試験片の各々に形成された皮膜の品質評価を行い、
    予め設定されている全ての評価項目の基準値を満足する皮膜を形成したときの最大の電流値を特定し、
    特定した前記最大の電流値が前記上限値として前記記憶手段に記憶されている請求項1から請求項3のいずれかに記載のプラズマ溶射の電極管理装置。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載のプラズマ溶射の電極管理装置を備えるプラズマ溶射システム。
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