JP5815900B2 - 経口テストステロンエステル配合剤およびそれを含むテストステロン欠損を処置する方法 - Google Patents

経口テストステロンエステル配合剤およびそれを含むテストステロン欠損を処置する方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、一般に、テストステロン欠損の処置のためのテストステロンエステルの経口配合剤に関する。より詳細には本発明は、吸収および薬物動態を増強および長期化させるテストステロンウンデカノエート(TU)を含む医薬組成物に関する。
発明の背景
テストステロン(T)は、精巣の間質細胞内で産生される主要な男性ホルモンであり、男性性器の正常な成長、発達および維持、ならびに第二次性徴(例えば、声の低音化、筋肉の発達、ひげなど)を担う。テストステロンは、成人の生活全般を通して、精巣ならびにその付属構造である前立腺および精嚢の適切な機能のため、幸福感のため、そして性欲、勃起能力の維持のために必要である。
テストステロン欠損(血清T濃度の低下を特徴とするTの分泌不足)は、男性における医学的状態(例えば、性腺機能不全)を起こす可能性がある。男性の性腺機能不全に関連する症状としては、勃起不能および性欲減退、疲労およびエネルギー減失、うつ病、第二次性徴の退行、筋肉量の減少および脂肪量の増加が挙げられる。更に男性の性腺機能不全は、骨粗しょう症、メタボリック症候群、II型糖尿病、および心臓血管疾患の危険因子である。
様々なテストステロン補充療法薬が、男性性腺機能不全の処置に向けて市販されている。医薬調製物は、筋肉注射、移植片、アルキル化T(例えば、メチルテストステロン)の経口錠剤、局所ゲル、または局所貼付薬の形態でテストステロンおよびテストステロン誘導体の両方を含む。しかし現行のT療法は全て、Tの容易かつ臨床上効果的な方法を適切に提供することができない。例えば筋肉注射は疼痛があり、血清Tレベルの有意な用量間変動に関連し;T貼付薬は一般に、正常な(即ち、臨床的に無効な)範囲でのTレベル低下に関連し、実質的な皮膚刺激を誘発することが多く;Tゲルは、使用者から女性および小児への不安全な運搬に関連した。なお唯一認可された経口T療法メチルテストステロンは、肝臓毒性の有意な出現に関連する。それゆえ、時を経ても、テストステロン欠損の現行の処置法は、T量の低い男性の服薬順守が低く、そのため不十分な処置法である。
テストステロンおよびそのエステルは、生物学的利用度が乏しいか(初回腸通過および肝臓代謝が大規模であるため)、または無効である(身体がテストステロンプロドラッグからテストステロンを遊離することができないため)。例えばテストステロンおよび10炭素長未満の側鎖を有するテストステロンエステルは、主に、門脈循環を介して吸収されて、全てではないにしろ実質的には初回通過代謝となる。炭素鎖の長い(即ち、炭素が14以上の)脂肪酸エステルは、腸リンパにより吸収される可能性があるが、脂肪酸の鎖長が長い程、エステラーゼによるエステル加水分解でテストステロンを遊離する速度および度合いが低下し、このため薬理学的活性が非常に低くなる(即ち、臨床的に無効になる)。
テストステロンエステルの配合剤には、テストステロンエステルの選択以外に、特有の難題が存在する。胃腸環境は、明らかに水性の性質であり、吸収のために薬物を溶解させなければならない。しかしテストステロンおよび特にそのエステルは、水および水性媒体に極度に不溶性であり、TまたはTエステルが最初、配合剤に可溶化されたとしても、配合剤がインビボで薬物を沈殿させずに、または溶液から離脱せずに、溶解または分散された状態を維持できなければならない(しかしそのような性質は、インビトロでは例えば、模擬腸液中で配合剤の内容物を混合することにより検査することができる)。更に経口T配合剤は、所望の放出プロファイルに従ってTまたはTエステルを効果的に放出しなければならない。こうして効果的なTまたはTエステル配合剤は、最適な放出を伴う良好な溶解度と、目的の血漿または血清濃度プロファイルの満足度とでバランスを保たなければならない。
これらの理由から、とりわけテストステロンおよびテストステロンエステルの経口配合剤は、今日まで米国食品医薬品局(FDA)から認可されなかった。実際にFDAにより今日まで認可された唯一の経口テストステロン製品は、メチルテストステロン(メチル基がテストステロンのC−17位の「核」に共有結合して、肝臓代謝を阻害するが、メチルテストステロンがテストステロンのプロドラッグでないことにも留意されたい)であり、この認可は数十年前に得られている。不幸にも、メチルテストステロンの使用は、肝臓毒性の有意な発生率に関連しており、テストテストステロン量の低い男性の処置に処方されることはまれである。
先に言及された通り、テストステロンの脂肪酸エステルは、テストステロンを身体へ送達する更に別の潜在的様式(即ち、「プロドラッグ」として)を提供する。テストステロンは、一旦吸収されると、非特異的組織および血漿エステラーゼの作用を介して、エステルから遊離することができる。更に、n−オクタノール−水分配係数(logP)値により測定される、テストステロン部分の相対的疎水性および得られた分子の親油性が上昇することにより、そのようなプロドラッグを腸リンパから少なくとも一部吸収させて、それにより肝臓による初回通過代謝を減少させることができる。一般に少なくとも5のlogP値および少なくとも50mg/mLの油溶性を有する親油性化合物は、主にリンパ系を介して輸送される。
それらの見込みにもかかわらず、テストステロンエステルをはじめとするテストステロンのプロドラッグは、性腺機能が正常なレベルの、効果的で持続的な血清テストステロンレベルを実現する(即ち、平均血清T濃度が約300〜1100ng/dLの範囲に入る)手法で配合されることはなかった。実際に、テストステロンエステルをはじめとするテストステロンプロドラッグの経口投与医薬調製物は、未だにFDAに認可されていない。
こうして、性腺機能不全の男性(即ち、血清T濃度が300ng/dL以下の男性)を長期間にわたり処置するのに臨床上効果的となる最適な血清テストステロンレベルを提供するテストステロンエステルの経口配合剤が、依然として求められている。
発明の概要
本発明の一実施形態において、親水性界面活性剤の合計に対する親油性界面活性剤の合計の比(w/w)が約6:1〜3.5:1の範囲に入る、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、1日1または2回の経口投与により約300〜約1100ng/dLの範囲内に入る定常状態の平均血清テストステロン濃度を提供する、経口医薬組成物が提供される。その医薬組成物は、食事と一緒に投与されると、2500ng/dLを超えない、好ましくは1800ng/dLを超えない、最も好ましくは1500ng/dLを超えないCmaxを提供する。
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の親水性界面活性剤は、Cremophor RH40(ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアレート)を含み、少なくとも1種の親油性界面活性剤は、オレイン酸を含む。本発明の医薬組成物は、可溶化されたテストステロンウンデカノエートを18〜22重量%含んでいてもよく、更にエタノールなどの一価アルコールを実質的に含んでいなくてもよい。
本発明の別の実施形態において、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、性腺機能不全またはその症状を有する対象への1日1または2回の経口投与により、2500ng/dLを超えるCmax値の出現を回避しながら、より好ましくは1800ng/dLを超えるCmax値の出現を回避しながら、最も好ましくは1500ng/dLを超えるCmax値の出現を回避しながら、約300〜約1100ng/dLの範囲内に入る定常状態の平均血清テストステロン濃度を提供する、テストステロンウンデカノエートの投与製剤が提供される。
本発明の更に別の実施形態において、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、20重量%もの少量から50重量%もの多量までの範囲の脂肪量を有する食事と一緒の経口投与により、約30重量%の脂肪量を有する食事と一緒の経口投与により観察されたものと統計学的に有意でない平均血清テストステロン濃度を提供する、医薬組成物が提供される。
本発明の更に別の実施形態において、親水性界面活性剤の合計に対する親油性界面活性剤の合計の比(w/w)が約6:1〜3.5:1の範囲に入る、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、1日1または2回の経口投与により約5時間の血清テストステロン急速相(rapid phase)半減期および約29時間の血清テストステロン終末半減期を提供する、医薬組成物が提供される。
本発明の更に別の実施形態において、親水性界面活性剤の合計に対する親油性界面活性剤の合計の比(w/w)が約6:1〜3.5:1の範囲に入る、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、テストステロン欠損またはその症状を有する対象への1日1または2回の経口投与により、連日処置レジメンの30日目に、7日目に観察されたものと実質的に同一の平均血清テストステロン濃度を提供する、医薬組成物が提供される。本発明によれば、連日処置レジメンの30日目に得られた平均血清テストステロン濃度は、60日目に観察されたものと実質的に同一になる場合もある。
本発明の別の実施形態において、親水性界面活性剤の合計に対する親油性界面活性剤の合計の比(w/w)が約6:1〜3.5:1の範囲に入る、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含み、約300〜約1100ng/dLの範囲内に入る定常状態の平均血清テストステロン濃度を提供する医薬組成物の効果的量を、テストステロン欠損またはその症状を有する対象へ経口投与することを含む、テストステロン欠損またはその症状を処置する方法が提供される。その組成物は、1日1回または1日2回投与されてもよく、約900〜1100ng/dLの範囲に入るCmax値を生じる可能性がある。
本発明によれば、その組成物は、少なくとも20重量%の脂肪を含む食事と一緒に投与してもよい。その方法は、日中のテストステロン薬物動態変動を実質的に生じない可能性があり、平均血清Tmaxが経口投与後約3〜7時間の範囲に入る可能性があり、反復投与時に定常状態血清テストステロン応答の実質的に有意な降下が観察されない。
本発明の好ましい実施形態において、
(a)15〜25重量%の可溶化テストステロンウンデカノエート;
(b)12〜18重量%の少なくとも1種の親水性界面活性剤;
(c)50〜65重量%の少なくとも1種の親油性界面活性剤;
(d)10〜15重量%のルリジサ油とペパーミント油との混合物、
を含み、一般には一価アルコール、具体的にはエタノールを含まなくてもよく、必要とする対象への経口投与により、約10時間〜約18時間の範囲内に入る血清テストステロン半減期(T1/2)を生じる、医薬組成物が提供される。Cremophor RH40は、好ましい親水性界面活性剤であり、好ましい親油性界面活性剤は、オレイン酸である。ルリジサ油およびペパーミント油は、両者とも考慮される親油性界面活性剤である。
特に好ましい実施形態において、組成物は、
(a)18〜22重量%の可溶化テストステロンウンデカノエート;
(b)15〜17重量%の少なくとも1種の親水性界面活性剤;
(c)50〜55重量%の少なくとも1種の親油性界面活性剤;および
(d)10〜15重量%のルリジサ油とペパーミント油との混合物、
を含む。ペパーミント油に対するルリジサ油の比は、8:1〜3:1、好ましくは6:1〜5:1、最も好ましくは5:1〜4:1の範囲内であってもよい。Cremophor RH40に加えて、Solutol HS−15、Tween 80およびTPGSが、好ましい親水性界面活性剤であり、オレイン酸に加えて、モノオレイン酸グリセロール、ラウリン酸プロピレングリコールおよびCapmul MCMが、好ましい親油性界面活性剤である。2種以上の親油性界面活性剤と2種以上の親水性界面活性剤との組み合わせも、企図される。
本発明の別の実施形態において、
(a)15〜25重量%の可溶化テストステロンウンデカノエート;
(b)12〜18重量%の1種以上の親水性界面活性剤;
(c)50〜65重量%の1種以上の親油性界面活性剤;
(d)10〜15重量%のルリジサ油とペパーミント油との混合物、
を含み、エタノールを含まず、1日1または2回の経口投与により、対象において約300〜約1100ng/dLの範囲内に入る平均の(または平均)定常状態血清テストステロン濃度Caveを生じる医薬組成物の効果的量を、性腺機能不全の対象へ経口投与することを含む、テストステロン欠損を処置する方法が提供される。その組成物は、場合により、脂肪量が約15重量%〜約25重量%またはそれを超える範囲の食事と一緒に投与してもよい。その方法によれば、以下の薬物動態パラメータの任意の1つまたは全てを、対象において実現してもよい:
(a)対象において900〜1100ng/dLの血清テストステロンCmax
(b)実質的に存在しない日中のテストステロン薬物動態変動;
(c)組成物投与後3〜7時間目の血清Tmax;および
(d)反復投与により観察される、実質的に降下しない定常状態血清テストステロン応答。
これに関連して、少なくとも1つの本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の記載に示されるか、または図面に例示される構成の詳細および構成成分の配列への適用に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、記載されたものに加えて、様々な方法で実践および実行される実施形態が可能である。同じく、本明細書および要約書で用いられる表現法および用語法が、説明を目的としており、限定と見なすべきでないことを理解しなければならない。
そのため本開示の基本となる概念が、本発明の複数の目的を実行するための他の部分、方法およびシステムの設計のための基本として直ちに用いられうることは、当業者に理解されよう。例えば本発明の幾つかの実施形態は、経口送達システム中で、TUを、テストステロン欠損に関連する症状を部分的に予防または軽減する他のホルモンなど他の活性薬物と組み合わせてもよい。それゆえ特許請求の範囲が、本発明の範囲および主旨を逸脱せず、そのような均等構造を含むと見なされることが重要である。
本発明のTU配合剤の1日1回または2回の経口投与による24時間にわたる血清Tレベルを示す。 オレイン酸(Restandol)中にTUを含む従来の経口TU配合剤に対する、本発明の配合剤を投与した性腺機能不全の男性の時間経過に対する血清T応答を示す。 本発明のTU配合剤の経口投与前に様々な脂肪量(重量%)の食事を消費した対象の、血清TレベルのTmax値を示す。 本発明のTU配合剤の経口投与前に、様々な脂肪量(重量%)の食事を消費した対象の、血清TレベルのCmax値を示す。 本発明のTU配合剤の経口投与前に、様々な脂肪量(重量%)の食事を消費した対象の、血清Tレベルの曲線下面積(AUC)値を示す。
本発明の詳細な説明
本発明は、性腺機能不全の男性へ1日2回以下の回数投与した場合に、米国食品医薬品局により許容されなければ不適切と見なされる高いCmax値を回避しながら、所望の「正常な」または性腺機能が正常な範囲(即ち、約300〜1100ng/dL)に入る、そのような男性の定常状態血清テストステロンレベル(濃度)を提供する、TUを含む経口医薬組成物を提供する。例えば、処置された対象の85%未満が、1500ng/dL以上のCmax値を有しうること、そしてどの対象も2500ng/dLを超えるCmax値を有しえないことが、FDA認可ガイドラインに述べられている。処置された対象の5%未満が、1800〜2500ng/dLの範囲内に入るCmax値を有する可能性がある。その上、本発明の配合剤は、自己乳化性薬物送達システム(SEDDS)になるように設計されているため、胃腸管内の腸液と混合されるとTU含有エマルジョン(または分散液)が形成される。
本発明の一実施形態において、テストステロンおよび/またはテストステロン分子のC−17位のエステルを、単独で、または他の有効成分と一緒に、本発明の配合剤を用いて経口送達してもよい。例えば、テストステロンウンデカノエートとI型もしくはII型5α−リダクターゼの経口活性阻害剤との組み合わせ、またはテストステロンウンデカノエートと合成プロゲスチンとの組み合わせが、幾つかの実施形態において好ましくなりうる。
本発明の実施形態の多くは、テストステロンのウンデカン酸エステル(即ち、TU)を用いて記載および例示されるが、Tを含む疎水性化合物の他のエステルを、本明細書の教示に基づいて経口送達に適用することができる。実際に、本発明の薬物送達システムおよびそれから得られる組成物が、他のテストステロンエステル、例えばテストステロンの短鎖(C〜C)、中鎖(C〜C13)および長鎖(C14〜C24)脂肪酸エステル、好ましくは中鎖脂肪酸エステルなどの経口送達に適する可能性があることは、本明細書の教示から当業者に直ちに明白となるはずである。
本発明の配合剤は、1種以上の親油性界面活性剤および1種以上の親水性界面活性剤を含む混合物に溶解されたT−エステルを含む。本明細書に定義された親油性界面活性剤は、10未満、好ましくは5未満の親水性・親油性バランス(HLB)値を有する。本明細書に定義された親水性界面活性剤は、10を超えるHLB値を有する。(HLBは、界面活性剤などの界面活性両親媒性分子の親水性基と疎水性基との関連性ついての経験的表示である。それは、界面活性剤をインデックス化するために用いられており、その値は約1〜約45で変動し、非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤の両方を含む。HLBが高い程、界面活性剤の水溶性/水分散性が高くなる。)
本発明の一態様によれば、送達システム(即ち、親油性および親水性界面活性剤)の成分それぞれが個別に、可溶化特性を有し、有効成分の可溶化に一部寄与している。薬物の溶解に実質的に寄与するそれらの親油性界面活性剤を、本明細書において「一次」溶媒と定義する。しかし、溶解度が溶媒/配合剤の温度に影響を受けうることを、理解しなければならない。例えば約20%テストステロンウンデカノエートを含む本発明の配合剤は、30〜約40℃の範囲をはじめとする30℃以上では依然として可溶性である。
親水性界面活性剤成分は、GI管内で所望の配合剤分散性および薬物放出を実現するのに必要となる場合がある。即ち、親水性界面活性剤は、二次溶媒として作用することに加え、脂質担体マトリックスまたは一次溶媒中から薬物を放出させることが求められる場合がある。これに関して、Cremophor RH40などの高HLBの界面活性剤は、一般に十分となる可能性がある。有効成分の可溶化を損なわずに最適な薬物放出を提供するように、高HLBの界面活性剤のレベル(量)を調整することができる。
本発明の薬物送達システムにおいて適した親油性界面活性剤としては:
脂肪酸(C〜C24、好ましくはC10〜C24、より好ましくはC14〜C24)、例えばオクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸。オレイン酸が好ましい。
脂肪酸のモノ−および/またはジ−グリセリド、例えばImwitor 988(モノ−/ジ−カプリル酸グリセリル)、Imwitor 742(モノ−/ジ−カプリル酸/カプリン酸グリセリル)、Imwitor 308(モノカプリル酸グリセリル)、Imwitor 191(モノステアリン酸グリセリル)、Softigen 701(モノ−/ジ−リシノール酸グリセリル)、Capmul MCM(モノ−/ジ−カプリル酸/カプリン酸グリセリル)、Capmul MCM(L)(Capmul MCMの液体形態)、Capmul GMO(モノオレイン酸グリセリル)、Capmul GDL(ジラウリン酸グリセリル)、Maisine(モノリノール酸グリセリル)、Peceol(モノオレイン酸グリセリル)、Myverol 18−92(ヒマワリ油から蒸留されたモノグリセリド)、およびMyverol 18−06(水素化大豆油から蒸留されたモノグリセリド)、Precirol ATO 5(パルミトステアリン酸グリセリル)ならびにGelucire 39/01(半合成グリセリド、即ちC12〜18モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド)。この分類の親油性界面活性剤の好ましいものは、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸の部分グリセリド、ならびにそれらのブレンドである。
脂肪酸のモノ−および/またはジ−グリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、および/または酒石酸エステル、例えばMyvacet 9−45(蒸留されたアセチル化モノグリセリド)、Miglyol 829(コハク酸カプリル酸/カプリン酸グリセリル(caprylic/capric diglyceryl succinate)、Myverol SMG(モノ−/ジ−スクシニル化モノグリセリド)、Imwitor 370(クエン酸ステアリン酸グリセリル)、Imwitor 375(モノステアリン酸/クエン酸/乳酸グリセリル)およびCrodatem T22(モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)。
脂肪酸のプロピレングリコールモノ−および/またはジ−エステル、例えば、Lauroglycol(モノラウリン酸プロピレングリコール)、Mirpyl(モノミリスチン酸プロピレングリコール)、Captex 200(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)、Miglyol 840(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)およびNeobee M−20(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)。
脂肪酸のポリグリセロールエステル、例えば、Plurol Oleique(オレイン酸ポリグリセリル)、Caprol ET(ポリグリセリルを混合された脂肪酸)およびDrewpol 10.10.10(オレイン酸ポリグリセリル)。
低エトキシル化量のひまし油エトキシラート(HLB<10)、例えばEtocas 5(ひまし油1モルと反応させたエチレンオキシド5モル)およびSandoxylate 5(ひまし油1モルと反応させたエチレンオキシド5モル)。
エチレンオキシドを脂肪酸または脂肪酸グリセロールエステルと反応させることにより形成された酸およびエステルエトキシラート(HLB<10)、例えばCrodet 04(ポリオキシエチレン(4)ラウリン酸)、Cithrol 2MS(ポリオキシエチレン(2)ステアリン酸)、Marlosol 183(ポリオキシエチレン(3)ステアリン酸)およびMarlowet G12DO(ジオレイン酸グリセリル12EO)。脂肪酸のソルビタンエステル、例えばSpan 20(モノラウリン酸ソルビタン)、Crill 1(モノラウリン酸ソルビタン)およびCrill 4(モノオレイン酸ソルビタン)。
天然または水素化植物油グリセリドとポリアルキレンポリオールとのエステル交換生成物(HLB<10)、例えばLabrafil M1944CS(ポリオキシエチル化アプリコット核油)、Labrafil M2125CS(ポリオキシエチル化コーン油)およびGelucire 37/06(ポリオキシエチル化水素化ココナッツ)。Labrafil M1944CSが好ましい。
アルコールエトキシラート(HLB<10)、例えばVolpo N3(ポリオキシエチル化(3)オレイルエーテル)、Brij 93(ポリオキシエチル化(2)オレイルエーテル)、Marlowet LA4(ポリオキシエチル化(4)ラウリルエーテル)。
Pluronic、例えばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマーおよびブロックコポリマー(HLB<10)、例えばSynperonic PE L42(HLB=8)およびSynperonic PE L61(HLB=3)、
が挙げられる。
所望なら、例えば先に列挙されたような適切な親油性界面活性剤の混合物を用いてもよく、幾つかの例において、それらが有利であることが見出される。
任意の薬学的に許容しうる親水性界面活性剤(即ち、10を超えるHLB値を有する)を、本発明において用いてもよい。幾つかの非限定的例としては:
ひまし油または水添ひまし油エトキシラート(HLB>10)、例えばCremophor EL(ポリオキシエチレン(35)ひまし油)、Cremophor RH40(ポリオキシエチレン(40)水添ひまし油)、Etocas 40(ポリオキシエチレン(40)ひまし油)、Nikkol HCO−60(ポリオキシエチレン(60)水添ひまし油)、Solutol HS−15(ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド)、α−トコフェロール−ポリエチレングリコール−1000−スクシナート(TPGS)およびアスコルビル−6パルミタート。Cremophor RH40が好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸誘導体、例えばTween 20(ポリオキシエチレン(20)モノラウラート)、Tween 80(ポリキシエチレン(20)モノオレアート)、Crillet 4(ポリオキシエチレン(20)モノオレアート)およびMontanox 40(ポリオキシエチレン(20)モノパルミタート)。Tween 80(ポリソルベート80)が好ましい。
Gelucire、好ましくはGelucire 50/13(パルミチン酸およびステアリン酸のPEGモノ−およびジ−エステル)。(Gelucireに関連して、最初の数値(即ち50)は材料の融点に対応し、二番目の数値(即ち13)はHLB値に対応する。)
脂肪酸エトキシラート(HLB>10)、例えばMyrj 45(ポリオキシエチレン(8)ステアレート)、Tagat L(ポリオキシエチレン(30)モノラウラート)、Marlosol 1820(ポリオキシエチレン(20)ステアレート)およびMarlosol OL15(ポリオキシエチレン(15)オレアート)。Myrj 45が好ましい。
アルコールエトキシラート(HLB>10)、例えばBrij 96(ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル)、Volpo 015(ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル)、Marlowet OA30(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル)およびMarlowet LMA20(ポリオキシエチレン(20)C12〜C14脂肪エーテル)。
PluronicまたはPoloxamerの商品名で市販されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・コポリマーおよびブロックコポリマー(HLB>10)、例えばSyperonic PE L44(HLB=16)およびSyperonic F127(HLB=22)としても公知のそれぞれPoloxamer 188および407。
陰イオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム。
アルキルフェノール界面活性剤(HLB>10)、例えばTriton N−101(ポリオキシエチレン(9−10)ノニルフェノール)およびSynperonic NP9(ポリオキシエチレン(9)ノニルフェノール)、が挙げられる。
言及された通り、本発明の一態様において、送達システム(即ち、親油性および親水性界面活性剤)の成分それぞれが、個別に溶媒特性を有しており、有効成分の可溶化に一部寄与する。このようにして、理論に束縛または限定されるものではないが、本発明は、追加の溶媒、例えば共溶媒を必要としないが、これらが、場合により本発明のシステムおよび配合剤に含まれてもよい。
本発明に適した選択的な共溶媒は、例えば水、短鎖一価、二価、および多価アルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、プロピレンカルボナート、平均分子量が約200〜約10,000のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(例えば、Transcutol HP)、およびそれらの組み合わせである。好ましくはそのような共溶媒、特にエタノールまたはモノエタノール類は、全て除外される。
本発明の実施形態に組み込まれうる追加の油としては、低分子量(最大C)の一価、二価、および多価アルコールを有する中鎖(C〜C13)または長鎖(C14〜C22)脂肪酸の完全なグリセロールトリエステルが挙げられる。本発明において使用される油の幾つかの例としては、植物油(例えば、大豆油、サフラワー種子油、コーン油、オリーブ油、ひまし油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、パーム油、菜種油、月見草油、ブドウ種子油、小麦胚芽オイル、胡麻油、アボカド油、アーモンド、ルリジサ、ペパーミントおよびアプリコット核油)、および獣脂(例えば、魚肝油、サメ油およびミンク油)が挙げられる。
本発明の他の実施形態において、(1)TU吸収、(2)TUからTへの代謝、および/または(3)Tからジヒドロテストステロン(DHT)への代謝、を生化学的に調整しうる成分を組み入れることにより、使用可能な血清テストステロンの割合を調整する(即ち、持続させる)方法および組成物。例えば、中鎖〜長鎖脂肪酸エステルの含有により、TU吸収を強化することができる。このようにして、より多くのTUを胃の中で加水分解させるのを食い止め、血流へ送り込んでもよい。言い換えれば脂肪酸エステルは、他の方法でTUを代謝するエステラーゼを拮抗阻害することができる。他のエステルまたはその組み合わせの例としては、食品添加物として用いられる植物エキスまたは温和な(benign)エステル(例えば、プロピルパラベン、酢酸オクチルおよび酢酸エチル)が挙げられる。
TU吸収を調整しうる他の成分としては、エンテロサイトまたは他の組織中に存在する、TからDHTへの変換を触媒する酵素である5α−リダクターゼの「天然」および合成阻害剤が挙げられる。この変換の完全または部分阻害は、TUの経口投与後に血清Tレベルの上昇と上昇の持続の両方を行い、同時に血清DHTレベルを低下させることができる。かなりの量の5α−リダクターゼ阻害剤γ−リノレン酸(GLA)を含有するルリジサ油は、TU代謝の「天然」調整物質の一例である。もちろん、ルリジサ油以外のGLAを、本発明のTU配合剤の別の成分として直接添加することができる。5α−リダクターゼの多くの天然阻害剤は、当該技術分野で公知であり(例えば、主として緑茶から得られるカテキンである没食子酸エピガロカテキン、およびノコギリヤシ類の液果のソーパルメットエキス)、その全てが本発明に適する可能性がある。本発明における使用に適した合成5α−リダクターゼ阻害剤の非限定的例としては、フィナステリド、デュタステリドなどの化合物が挙げられる。
本発明は、5α−リダクターゼ阻害剤に加えて、他の機構を介したT代謝の阻害剤の使用を企図する。そのような阻害の要点の1つが、エンテロサイトおよび肝臓細胞中に存在し、それによりテストステロンを代謝することが可能であるチトクロームP450アイソザイムCYP3A4であってもよい。従って本発明の選択された実施形態は、CYP3A4活性を阻害しうる成分を含有することが公知であるペパーミント油を含む。
本発明の組成物に含まれうる更に別の選択的成分は、油性薬物送達システム中で従来から用いられているもの、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソールおよび没食子酸プロピルなどの抗酸化剤;クエン酸、酒石酸、フマル酸、酢酸、グリシン、アルギニン、リシンおよびリン酸水素カリウムなどのpH安定化剤;水素化植物油、ビーズワックス、コロイド状二酸化ケイ素、マンニトール、ガム、セルロース、ケイ酸塩、ベントナイトなどの増粘剤/懸濁剤;サクランボ、レモン、およびアニス実香料などの着香剤;アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリンおよびシクラマートなどの甘味剤である。
本発明人は、1種以上の親油性界面活性剤と1種以上の親水性界面活性剤との相対的割合が、本発明の所望の薬物動態を実現するのに不可欠となりうることを学習した。より詳細には本発明人は、相対的に多量の(例えば、15%、18%、20%、22%、または25%を超える)T−エステルを可溶化しうるだけでなく、配合剤からのTエステルの最適な放出を提供しうる、親油性界面活性剤の合計と親水性界面活性剤の合計との比を発見した。好ましくは親水性界面活性剤に対する油の合計(例えば、全てが親油性界面活性剤と見なされる、オレイン酸+ルリジサ油+ペパーミント油)の比(w/w)は、約6:1〜1:1、6:1〜3:1、6:1〜3.5:1、または6:1〜4:1、より好ましくは約5:1〜3:1、最も好ましくは約4:1〜3:1の範囲内に入る。
以下の相対的重量濃度が好ましい(パーセント値は配合剤の総重量に基づく):
親水性界面活性剤:10〜20%、より好ましくは12〜18%、最も好ましくは15〜17%。
親油性界面活性剤:50〜70%、より好ましくは50〜65%、最も好ましくは50〜55%。
他の油:5〜15%、より好ましくは7〜15%、最も好ましくは10〜13%。
薬物:10〜30%、より好ましくは15〜25%、最も好ましくは18〜22%。
本発明の配合剤は、自己乳化性を有しており、水性媒体またはインビボでは腸液で希釈されると微細なエマルジョンを形成する。言い換えれば配合剤は、水性媒体と混合されると最適に分散されるよう設計された高含量の界面活性剤および脂質を有していてもよい。本発明の配合剤の自己乳化性の定性的記載は、それをインビトロで溶解する際に視覚的に観察することができる。その一方で、定量的測定は、レーザ光散乱および/またはUV/VIS分光光度計による溶解媒体中での濁度測定を利用して乳化された液滴の粒径で行ってもよい。これらの方法論のいずれも利用可能であり、当業者に公知である。
本発明による医薬組成物は、好ましくは周囲温度で液体または半固体である。更にこれらの医薬組成物は、固体担体粒子、例えば二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウムまたはアルミノメタケイ酸マグネシウム上に吸着させることにより固体投与製剤に変換して自由流動粉末を得れば、硬カプセルへ充填するか、または錠剤に圧縮することができる。例えば、開示が全体として参照により本明細書に組み入れられたUS2003/0072798を参照されたい。つまり本明細書における用語「可溶化された」は、液性溶液に溶解された、または固体担体中に均一に分散された医薬品有効成分(API)を説明するものと解釈しなければならない。サシェタイプの投与製剤も、形成および使用することができる。
本発明は、好ましくは脂質界面活性剤賦形剤(例えば、先に言及された親油性界面活性剤と親水性界面活性剤との任意に組み合わせ)の存在下で可溶化されるAPIを含む。したがって用いられる界面活性剤の融点は、得られた組成物が周囲温度で液体であるか、または半固体であるかを決定しうる一因子である。本発明の特に好ましい組成物は、液体経口単位投与製剤であり、より好ましくは硬または軟カプセル、例えばセルロース、カラギーナンまたはプルランで生成されたようなゼラチンまたは非ゼラチンカプセルに充填されている。液体ベースの医薬調製物をカプセル化する技術は、当業者に周知である。本明細書に記載された本発明の送達システムおよび配合剤は、1つの任意カプセル化法に限定されないため、具体的なカプセル化技術を更に議論する必要はない。
本発明による薬物担体システムおよび医薬調製物を、液体ベースの薬物担体システムのための従来技術により調製してもよい。本発明の好ましい担体システムを調製するための典型的手順において、親油性界面活性剤成分を適切なステンレス鋼容器中で計量し、その後、親水性界面活性剤成分を計量して任意の追加成分と一緒に容器へ添加する。好ましい方法において、疎水性薬物を、最初に親油性界面活性剤成分(例えば、オレイン酸)へ添加し、完全に溶解した後、親水性界面活性剤成分を添加してもよい。任意の例において、ホモジナイズミキサーまたは他の高せん断装置を用い、そして特に高融点の界面活性剤を用いて全ての成分を薬物添加の前後で確実に均質な液体状態にする場合は高温を利用することにより、成分の混合を実行してもよい。
疎水性薬物を計量して、ひとまとめにされた液体混合物へ添加する状況において、均質溶液が調製されるまで、混合を、好ましくは高温で継続する。配合剤を軟または硬のいずれかのカプセルにカプセル化する前に、脱気してもよい。幾つかの例において、加工を補助する適切なジャケット付き容器を用いて、充填配合剤を高温に保持してもよい。同じく幾つかの例において、均質溶液をカプセルへ充填する前にろ過してもよい(例えば、5ミクロンフィルターに通す)。
ここからテストステロンの送達に移るが、本発明の医薬組成物は、テストステロン療法に適する可能性がある。テストステロンは、男性における主たる内因性アンドロゲンである。精巣内のライディッヒ細胞は、テストステロンを1日に約7mg産生し、血清中濃度を約300〜約1100ng/dLの範囲内にする。女性も、卵巣と副腎の両方でテストステロンを合成するが、その量は性腺機能が正常な男性で観察される量の約10分の1である。循環するテストステロンの大部分(98%以上)が、性ホルモンが結合するグロブリンおよびアルブミンに結合されているが、遊離形態で放出された場合のみ生物学的に活性である。つまり用語「遊離」は、例えば生体分子、細胞および/または本明細書に記載された本発明の配合剤の脂質マトリックスに結合または封入されていないことと定義される。一般に本明細書に記載された「遊離」した薬剤は、血清中を循環する代謝酵素に接近可能である薬剤を指す。
本発明は、テストステロンまたはその任意の特定エステルの送達に限定されてはならないが、TUは、幾つかの実施形態で使用を好適にする特有の化学的および物理的特徴を提示することが見出された。本発明人は、詳細にはテストステロンのウンデカン酸エステルが、他の均等なエステル(例えば、テストステロンエナンタート(TE))で見出されたものよりも優れた生物学的利用度を生じうることを学習した。
その上、本発明の配合剤中でのTUの使用が、他の形態のT補充法(TUの経口配合剤など)で報告されたよりも血清のTに対するDHTの比が実質的に低いことに関連する(表1)。テストステロンは、直接、または5α−リダクターゼの作用を介したDHTへの変換に続いて、アンドロゲン受容体と相互作用する。DHTは、テストステロンよりも強力なアンドロゲンであり、一部の科学者により、高レベルになると前立腺がんのリスクが上昇すると考えられている。こうして本発明は、他の公知テストステロン送達ビヒクルを上回る、更に別の予測されなかった利点を提供する。
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ここに、本発明の具体的な実施形態を、非限定的実施例において記載する。表2に、本発明の教示に従って様々なTU配合剤の詳細な組成を示す。計算する場合、T1mgは、T−ウンデカノエート1.58mgに相当する。
表2の詳細な組成(mg/カプセル、および重量%)は、00号硬ゼラチンカプセルあたり800mg充填重量というおおよその充填重量に基づいている。しかし約100mg/カプセルよりも少ないテストステロンエステル量では、配合剤をより小さな合計充填重量になるように比例的に調整して、より小さな硬ゼラチンカプセル(例えば、必要に応じて0号以下のサイズ)を使用することができる。
なお、分類(例えば、親油性、親水性など)の全てではないにしろ多くの界面活性剤が、同じ分類の別の界面活性剤と交換しうることは、当業者に理解されるはずである。つまり表1にはオレイン酸を含む配合剤が列挙されるが、他の親油性界面活性剤(例えば、先に列挙されたもの)が同様に適切となりうることは、当業者に認識されるはずである。同様に表1には、Cremophor RH40(HLB=13)を含む配合剤が列挙されるが、他の親水性界面活性剤(例えば、先に列挙されたもの)が適切となりうることは、当業者に認識されるはずである。ルリジサ油、ペパーミント油、BHT、およびパルミチン酸アスコルビルを、化学的に類似した物質と置き換えてもよく、または排除してもよい。
本発明による、00号カプセルに充填された好ましいTU配合剤:
本発明を継続する際の配合剤のインビボおよびインビトロ性能データを、次に記載する。しかし本発明の範囲は、以下の実施例または実施例で試験された具体的配合剤に限定されてはならない。
実施例1−1日試験
配合剤Bを、性腺機能不全の男性への1日1回または2回投与による1日薬物動態プロファイルについて試験した。試験は、非盲検1日投与逐次(sequential)クロスオーバー薬物動態試験として設定した。性腺機能不全の男性12名を、インフォームドコンセントに記入した後登録し、対象12名全員が試験を完了した。各対象は、以下の通り、配合剤Bの日用量を投与された。
1.1日1回投与によりT(TUとして)を200mg、即ち、2カプセル/投与
2.1日2回投与によりT(TUとして)を200mg(100mg/投与)、即ち、1カプセル/投与
3.1日2回投与によりT(TUとして)を400mg(200mg/投与)
用量を、食事(1日1回投与の場合には朝食、1日2回投与の場合には朝食および夕食)の5分後に、カプセルとして対象へ投与した。表3に、試験の関連するPKパラメータを示す:
投与後24時間の平均血清T濃度(Cavg)は、試験された全てのレジメンで血清Tレベルの正の増加を示し、最良の応答はレジメン3で得られた(Cavg385ng/dL)。この試験で評価された経口Tエステル調製物への応答で観察された平均ピーク血清T濃度は、正常値の上限(即ち、1100ng/dL)を超えなかった。そして一部の対象は正常値の上限を上回るCmax T値を有したが、これらのピーク値の大部分は1200〜1400ng/dLの範囲内であった。任意の処置群の対象はいずれも、1500ng/dLを超えるCmaxを生じなかった。
平均血清T半減期(T1/2)は、レジメン1および2ではおよそ15時間であり、レジメン3では、T1/2は8時間であった。各レジメンにおいて、血清DHT濃度は、血清Tレベルに協調的に上昇した。全ての期間の平均DHT:T比(Ravg)が、液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC/MS/MS)による測定で正常範囲(即ち、0.03〜0.1)をわずかに超えていたが、臨床的に有意ではなかった
T均等物として食品と一緒に1日2回200mg投与されたTUは、対象の75%で最も有望な結果を生じ、300ng/dL(正常な性腺機能の低限)を超える血清T Cavgに達した。同様に対象の75%は、正常範囲内の平均血清T(即ち、0.03〜0.1ng/dL)に達した。少なくとも300ng/dLのCavgに達しなかった対象は、全員200ng/dLを超えており、TU用量のわずかな増加がこれらの対象における効果的な経口T補充療法となったことが示される。
ベースライン時の血清Tについてのデータを回収すると、経口TUで優れた用量直線性を示したT−エステルの用量とは無関係に、対象の大部分で血清TおよびDHT濃度の協調的な増加が観察された。DHT:T比がわずかに上昇したが、いずれの上昇も臨床的に有意でないと見なされた。他のT−エステル(例えば、TE)の同等な配合剤よりも小さい対象間変動性が、その配合剤で観察された。更に、「1日2回」投与レジメンでは、午前投与と夕方投与の間で平均ピーク血清T濃度または12時間AUCに差がなかった。
安全性に関しては、各処置レジメンにおいて頭痛が有害作用として報告されたが、1名を超える対象から報告された有害事象はなかった。重篤な有害事象または死亡は、この試験の間に生じず、有害事象により試験を早期に中止した対象はいなかった。つまり有害事象は全て、軽度と見なされた。
実施例2−7日間試験
配合剤Bを、性腺機能不全の男性へ1日2回投与した2用量の急性耐容性および定常状態血清薬物動態プロファイルについて試験した。非盲検反復投与クロスオーバー薬物動態試験として、試験を設定した(1つの群で食事の影響を検討した)。
性腺機能不全の男性29名を、インフォームドコンセントに記入した後登録し、そのうち24名が試験を完了した。試験を完了した各対象は、以下の通り、配合剤Bのレジメンを受けた。
1.1日2回投与でTUとしてのT600mg(300mg/投与)、即ち、3カプセル/投与を7日間連日投与
2.1日2回投与でTUとしてのT400mg(200mg/投与)を8日間連日投与
用量を、食事(朝食および夕食)開始の30分後に、対象へカプセルとして投与したが、8日目だけは午前に絶食して投与した。
Tへのピーク暴露量(Cmax)およびTへの総暴露量(AUC)は、内因性ベースラインTに関して較正した後の比例的な用量であった。ピークT濃度の時間(Tmax)は、処置それぞれの投与のおよそ4時間後に生じた。なお、TUおよびDHTU両方の血清濃度が、投与間隔内で上昇および降下し、投与間隔の開始時および終了時の濃度は、TUではピーク濃度の20%未満であり、DHTUではピーク濃度の25%未満であった。内因性T産生によるベースラインT濃度は、各処置で漸減した。その観察は、外来性Tによるゴナドトロピンの漸進的および持続的抑制と一致しており、それにより内因性Tの産生低下となった。少なくとも一部の抑制が、14日間の休薬期間に持続した。
同じく血清T薬物動態は、血清T濃度の日中変動を示さなかった。夜間投与(およそ午後8時の投与)では、午前投与(およそ午前8時の投与)と類似の濃度−時間プロファイルを生じた(図1)。午前投与後の濃度と午後投与後の濃度の間の類似性(レジメン1で評価)により、レジメン2(摂食)の12時間PKデータを用いて、1日2回投与でのT(TUとして)200mgに応答した全24時間PKプロファイルを正確に予測した。模擬による結果から、(a)対象の77%で、AUCに基づき24時間にわたる血清T Cavgが正常な性腺機能範囲に達し、それによりT補充生成物に関して現行のFDA有効性要件の75%が適合したこと、そして(b)対象はいずれもCmaxが1500ng/dLを超えず、「対象の85%未満がT補充製品で1500ng/dLを超えるCmaxを生じる」という現行のFDA基準を超えていることが示された。こうして現行のFDA指定の有効性評価項目とも一致して、対象はいずれも、2500ng/dLを超えるCmaxを有さず、試験された対象の5%未満が、1800〜2500ng/dLの範囲内のCmaxを有した。これらの結果が、任意の用量調整を行わずに実現されたことは、注目に値する。
表4に、1日2回投与によるTの午前と午後の定常状態薬物動態の比較を示す:
TUを高脂肪食と一緒に投与した場合に、標準食と一緒に投与した場合と類似の血清T濃度−時間プロファイルを生じた。これに対し、絶食条件下でTUを投与すると、血清T暴露(CmaxおよびAUC)が50%を超えて減少した(表5)。全ての例において、観察されたCmaxと計算されたCavgとに強い相関が観察され、経口Tエステル配合剤での特定のCavgをターゲットにすると、投与後に予測可能なピークTレベルを生じうることが示唆された。
DHT濃度はT濃度のわずか11〜34%であったが、DHT濃度はT濃度をたどっていた。TからDHTへの変換はわずかな非直線性を示し、Tに比較した濃度比例率よりも小さく増加した。T濃度が最高の時にDHT/T比が最小となり、TU処置開始前のDHT/T比はおよそ0.1であり、処置の間、定常状態での平均比は0.24であり、経口TUを投与した後の採取時間に応じて、およそ0.1〜0.35の範囲内であった。
経口TU処置開始前に平均エストラジオール濃度は、およそ11pg/mLであり、様々な処置の7日目は19pg/mL〜33pg/mLの範囲内であった(投与前濃度)。投与前の定常状態エストラジオール濃度は、およそ20〜30pg/mLであった。
実施例3−4週間試験
配合剤Bで、性腺機能不全の男性へ1日2回投与でT(TUとして)200mg(即ち、2カプセル/投与)を28日間処置した場合に、定常状態に達するのに必要となる時間を決定する試験も行った。試験は、非盲検反復投与薬物動態試験として設定した。
性腺機能不全の男性15名を、インフォームドコンセントに記入した後登録し、対象全員が試験を完了した。各対象は、TUとしてのT200mgを1日2回28日間投与された。
各対象について、「28日目」の一連のPK回収日を、試験の32日目のために計画した。それゆえ、投与に応じた各対象は、TUとしてのT400mg(即ち、T200mgを1日2回)を合計31日間連日投与され、最後の午前の用量はTUとしてのT200mgであった。食事(朝食および夕食)開始の30分後に投与するよう指導を受けた対象が、用量をカプセルとして投与された。
表6に、試験の関連するPKデータを示す:
対象の86.7%は、正常範囲内の血清T Cavgに達し、1800ng/dLを超えるCmax濃度を有する対象はおらず、1500ng/dLを超えるCmax濃度を有するのは対象の13.3%のみであった。(注:この試験を実施する間に、対象がターゲットとする有効性および安全性範囲内になるよう用量決定するのに、用量調整を行わなかった。)検査された配合剤中のTUに応答したTの半減期は、先行技術の配合剤中で経口投与された単独のTまたはTUで報告されたよりも明らかに長かった。例えば、先行技術のTU配合剤の経口投与後の、発表された血清Tプロファイルに基づいてほぼ半分と推定された値(即ち、2〜3時間)に比較して、本明細書に記載された本発明と一致した経口TU配合剤の臨床試験では、およそ5時間の消失半減期(α相)が観察された。29時間という長い消失(即ち、終末)半減期も、本発明の経口TU配合剤で観察された。しかし内因性T産生が、外来性Tの投与により抑制され、わずかな限定的抑制が最初の3日間で生じ、最大の抑制を生じるのに5〜7日間の連続処置が必要であった。
TおよびDHTの濃度は、処置の7日目に定常状態に達した。TおよびDHTの濃度は、5日目よりも3日目で大きくなっており、外来投与されたTが内因性Tを抑制して、それにより経口TUに応答した定常状態を実現するのに、一定の期間が必要であったことが示される。事実、外来性Tの添加により、内因性Tレベルが処置前の276ng/dLから抑制的T処置の28日後の108ng/dLへ抑制された。
しかし重要なこととして、1日2回投与の経口TUに応答して血清中Tが定常状態に達すると、血清Tの応答は、時間が経過してもほとんど、または全く降下しないことが観察された(即ち、連続TU投与により血清Tレベルが低下する傾向がなかった)。例えば15日目のCavgは、28日目に観察されたCavgと実質的に同程度であった(図2)。これに対して、当該技術分野の経口TU配合剤は、時間が経過すると平均Tを低下させる傾向があることが報告された(Cantrill, J. A. Clinical Endocrinol (1984) 21: 97−107)。当業者で公知の経口TUの配合剤で処置された性腺機能不全の男性では、治療の4週間後に観察された血清T応答が、性腺機能不全の男性の治療の初日に観察された応答よりも約30%低く、そのほとんどが、原発性性腺機能不全の形態を有し、つまり血清Tのベースラインレベルが低く(例えば、100ng/dL未満)、そのためTの低下を内因性Tの抑制のみで説明することはできない。
血清DHT濃度は、T濃度を密接にたどっており、DHTおよびDHT/T値が処置の間に4〜7倍上昇した。12時間の投与間隔での平均DHT/T比は、0.245であったが、その投与間隔での値は、平均最大比0.380〜平均最小比0.131の範囲内であった。経口TUでの処置を中止して36時間以内に、DHT濃度が処置前のレベルへ戻った。しかし外観では内因性T産生/放出の抑制が迅速に回復しないため、T濃度は処置前のレベルへ急速に戻らなかった。
エストラジオール(E2)濃度は、処置7日目に達した定常状態まで、単調に漸増することが示された。E2濃度も、投与間隔ではTの変化をたどる系統的変動を示した。E2の平均Cmax、Cavg、およびCmin値は、それぞれ30.6pg/mL、22.0pg/mLおよび15.5pg/mLであった。E2濃度は、経口TU処置の中止後36時間以内に処置前のレベルへ戻った。
Tの定常状態(28日目の午前投与)での平均Cmax、Cavg、およびCmin濃度は、それぞれ995ng/dL、516ng/dLおよび199ng/dLであった。Tの中央値Tmaxは、投与後5.0時間目に生じた。Cminは、平均でCmaxの23.5%であり、156%という変動係数が得られた。Tの消失半減期は、対象の約半数のみで評価することができ、それらの対照の中央値は、18.4時間であった(平均T1/2は29時間であった)。
実施例4−食品の影響試験
性腺機能不全の男性における配合剤Bの薬物動態に対する食事脂肪の任意の影響を、非盲検、2施設、5通りのクロスオーバー試験において試験した。4〜10日の休薬期間の後、T300mgの単回投与(TU475mg、配合剤Bを3カプセル)を、血清ベースラインTレベルが205.5±25.3ng/dL(平均±SE、範囲23〜334.1ng/dL)の性腺機能不全の男性16名に行った。対象を無作為化して、絶食状態で、または具体的量の脂肪(重量%):極低脂肪(6〜10%);低脂肪(20%);「正常な」食事脂肪(30%);または高脂肪(50%)で、約800カロリーを含有する食事摂取の30分後に、薬物を投与した。「正常な」食事は、統計学的比較の目的で比較因子(即ち、参照食)として確立された先験的なものであった。一連の血液試料を、薬物投与の後合計24時間の間に採取し、液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC/MS/MS)により血清テストステロンおよびジヒドロテストステロン(DHT)レベルを測定した。
経口TUの単回高用量に応答した血清Tに関して観察された薬物動態パラメータ(表7、図3〜5)が、低脂肪食および正常脂肪食と類似していること(実際にほとんど生物学的同等性があること)が見出された(即ち、90%信頼区間が85〜125%であった)。類似の血清T PKパラメータが、正常脂肪食と高脂肪食とを比較した場合にも観察された。そして高脂肪食ではより大きな血清T応答が得られたが(統計学的差異はなかったにしろ)、正常脂肪食との比較時に、最小二乗法の平均比が70〜143%に入った(30%未満の臨床的に有意でない差)。
PKの応答の変動から、経口TUの初回投与の後、または開始後数回の投与の後に最高になり、治療を継続すると低下するように思われた。結論として、血清TのPKパラメータに対する低〜正常〜高の範囲で変動させた食事脂肪の任意の影響は、慢性投与の間は有意でない可能性がある。このスタンスは、7日間処置から得たPKの知見(実施例2)と、30日間処置から得たPKの知見(実施例3)とで一致しており、経口TUの反復投与試験では、異なる食事条件下でのPKでも、CmacおよびCavg分布に関して同様の結果を示した[両方の試験とも1日2回としてT(TUとして)200mgを投与した]。
経口TUの後観察された血清T応答の統計学的比較を、食事を用いずに、または極低脂肪食、低脂肪食、または高脂肪食vs正常脂肪食(即ち、参照食)と一緒に実施して低脂肪食、または高脂肪食vs正常脂肪食の間でp<0.05レベルの統計学的有意差がないことが明らかとなった。これに対し、絶食で、または極低脂肪の朝食と一緒に経口TUをSEDDS配合剤として投与すると、血清T PKパラメータに、正常食に対する有意差(即ち、低下)が生じた。したがって、本発明の配合剤と一緒に摂取される食事の脂肪量が、「正常」とは実質的に異なりながら、得られたTレベルに臨床的に有意な影響を生じない可能性がある。つまり患者は、これまでの公知の経口TU配合剤ではかなわなかった、食事および摂取日により異なる食習慣の柔軟性を許容することができる。これまで当該技術分野で公知の経口TU配合剤は、絶食状態で任意の有意義な血清Tレベルを達成することができなかった。
実施例5−インビトロ溶解検査
本発明の配合剤の溶解試験をインビトロで行って、インビボで観察されたPKプロファイルとの相関性を評価した。最初の試験では、配合剤Bの溶解を試験した。Andriol Testocaps(登録商標)(ひまし油とラウリン酸プロピレングリコールとの混合物に溶解したソフトゲルあたりTU40mg)を、比較のために含めた。本質的に同じ用量のTU、即ち配合剤B 1カプセル(158.3mg TU)およびTestocapsのソフトゲル4個(40mg×4=160mg TU)を用いて、試験を実施した。溶解(即ち、各配合剤からのTUの放出)を、食事で刺激された腸液を模擬したFed State Simulated Intestinal Fluid(FeSSIF)媒体中で試験した。FeSSIFは、水酸化ナトリウム、氷酢酸、塩化カリウム、レシチン、およびタウロコール酸ナトリウムを含有している。最終的なエマルジョンは、pH5.0に調整されている。
データを表8および9に表わしており、本発明の配合剤が最初の30分以内におよそ40%のTUを放出し、4時間後にカプセル全体の約60%を放出した。しかしTestocap(登録商標)では、全4時間の間に薬物の放出はほとんど、または全くない(1%)。これら2種の配合剤によるTU溶解の観察された主な差は、少なくとも一部が配合剤B中の親水性界面活性剤、例えばCremophor RH40の存在に起因する可能性がある。これに対して、Andriol Testocaps(登録商標)は、油(ひまし油)および親油性界面活性剤(ラウリン酸プロピレングリコール)のみを組み入れている。
第二の試験において、5%Triton X100リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)を溶解媒体として用いたこと以外は同様のアッセイに、配合剤Aを供試した。結果を、以下の表10に示す。この試験では、本発明の配合剤によるTUの98%は、溶解の最初の15分以内に放出され、改めて、親水性界面活性剤Cremophor RH40の存在が、この急速な溶解およびTU放出を確かに促進した。
本発明の更に別の実施形態において、本明細書に開示された医薬組成物は、特定の男性避妊の方策の副作用の幾つかを寛解するのにも適する可能性がある。例えば、プロゲスチンに基づく男性の避妊は、黄体ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)を実質的に抑制し、それにより精子形成を抑制して、臨床的無精子症(精子数が連続2ヶ月間、約100万/mL精液未満であると定義)をまねく。しかし、プロゲスチンの投与は、定常状態の血清テストステロンレベルを有意に低下させるという望ましくない副作用も有する。
そのような状況では、例えばプロゲスチンの調製物をテストステロンまたはテストステロン誘導体(例えば、TU)と同時に提供することが好ましい可能性がある。より好ましくは、テストステロンとの組み合わせによりプロゲスチン(LHおよびFSH産生を実質的に抑制するのに十分な量)を含む本発明による医薬調製物が、提供される。幾つかの実施形態において、医薬調製物は、1日1回の経口送達用のものである。
本発明の配合剤は、数時間にわたりテストステロンを血清へ送達しうる長期放出性配合剤を提供することができる。実際に、本発明による血清テストステロンの半減期は、3〜7時間であり、好ましくは4、5、または6時間を超える。これに対して男性における血清テストステロン半減期は、10〜100分の範囲内と見なされる。
理論に束縛または限定されるものではないが、本発明の配合剤は、一態様において、門脈循環よりもむしろ腸リンパ系による薬剤の吸収を高めることにより、これらの結果を実現すると考えられる。別の態様において、同じく理論に束縛または限定されるものではないが、テストステロンのエステルを用いることにより、エステル分解を起こすのに必要な時間が、より長いT半減期に寄与すると考えられる。
本発明の経口投与は、約12時間ごとに1回のテストステロン療法が必要な患者により実施されると、所望の血清テストステロンレベルを維持することができる。より好ましい実施形態において、経口投与は、約24時間ごとに1回のテストステロン療法が必要な患者により実施される。一般に「所望の」テストステロンレベルは、テストステロン欠損を有さないことを特徴とするヒト対象において見出されるそれらのレベルである。
本発明を具体的な実施形態と関連づけて記載したが、更なる改良が可能であり、本願が本発明が用いる任意の変形例、使用、または変更を含む意図があることは理解されよう。一般に本発明の原理、および本発明が属する技術分野の公知または慣用的実践に含まれ、本明細書の先に示された肝要な特徴に適用される可能性があり、そして添付の特許請求の範囲に従う、本開示からの逸脱を含む。

Claims (12)

  1. 親水性界面活性剤の合計に対する親油性界面活性剤の合計の比(w/w)が6:1〜3.5:1の範囲であり、少なくとも1種の親油性界面活性剤および少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む担体中に可溶化されたテストステロンウンデカノエートを含む経口医薬組成物であって、
    前記可溶化テストステロンウンデカノエートを該経口医薬組成物の18〜22重量%含み、
    前記親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;水添ひまし油エトキシラート;パルミチン酸又はステアリン酸のPEGモノ−又はジ−エステル;脂肪酸エトキシラート;及びその組み合わせから選択され、
    前記親油性界面活性剤は、脂肪酸;脂肪酸のモノ−またはジ−グリセリド;脂肪酸のモノ−またはジ−グリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸エステル;脂肪酸のプロピレングリコールモノ−またはジ−エステル;脂肪酸のポリグリセロールエステル;天然または水素化植物油トリグリセリドとポリアルキレンポリオールとのエステル交換生成物;及びその組み合わせから選択される、経口医薬組成物。
  2. 少なくとも1種の親水性界面活性剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアレートを含む、請求項1に記載の経口医薬組成物。
  3. 少なくとも1種の親油性界面活性剤が、オレイン酸を含む、請求項1に記載の経口医薬
    組成物。
  4. 前記テストステロンウンデカノエートが、エタノールを実質的に含まない担体中に可溶
    化されている、請求項1に記載の経口医薬組成物。
  5. 15〜17重量%の少なくとも1種の親水性界面活性剤を含む、請求項1に記載の経口
    医薬組成物。
  6. 50〜55重量%の少なくとも1種の親油性界面活性剤を含む、請求項1に記載の経口
    医薬組成物。
  7. 性腺機能不全またはその症状を有する対象への1日1または2回の経口投与により、2500ng/dLを超えるCmax値の出現を回避しながら、300〜1100ng/dLの範囲内である定常状態の平均血清テストステロン濃度を提供する、請求項1に記載の経口医薬組成物。
  8. (a)18〜22重量%の可溶化テストステロンウンデカノエート;
    (b)50〜55重量%の、脂肪酸;脂肪酸のモノ−またはジ−グリセリド;脂肪酸のモノ−またはジ−グリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、または酒石酸エステル;脂肪酸のプロピレングリコールモノ−またはジ−エステル;脂肪酸のポリグリセロールエステル;天然または水素化植物油トリグリセリドとポリアルキレンポリオールとのエステル交換生成物;及びその組み合わせから選択される、少なくとも1種の親油性界面活性剤;
    (c)15〜17重量%の、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;水添ひまし油エトキシラート;パルミチン酸又はステアリン酸のPEGモノ−又はジ−エステル;脂肪酸エトキシラート;及びその組み合わせから選択される、少なくとも1種の親水性界面活性剤;
    (d)10〜15重量%のルリジサ種子油とペパーミント油との混合物、
    を含む、経口医薬組成物。
  9. 前記親水性界面活性剤が、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアレートである、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記親油性界面活性剤が、オレイン酸である、請求項8に記載の組成物。
  11. (a)19.7875重量%の可溶化テストステロンウンデカノエート;
    (b)51.6375重量%のオレイン酸;
    (c)16.05重量%のポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアレート;
    (d)10重量%のルリジサ種子油;
    (e)2.5重量%のペパーミント油;
    (f)0.025重量%のブチルヒドロキシトルエン、
    を含む、経口医薬組成物。
  12. 親水性界面活性剤に対する親油性界面活性剤の比が、4:1である、請求項8に記
    載の組成物。
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