はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
なお、下記の各手段に記載された発明は、「例えばパチンコ機等の遊技機においては、表示画面に複数の図柄等を変動表示する図柄表示装置を備えるものがあり、遊技領域に設けられた所定の作動口への入賞を契機として特別図柄の変動表示が開始される。また、同作動口への入賞時には大当たり抽選が行われ、大当たり当選時には、その旨の表示が図柄表示装置にて行われると共に大入賞口が開放され多量の遊技球が獲得できるようになっている。また、前記作動口に電動役物を付設し、その電動役物が開放されることで作動口への入賞を一時的に容易化するものがある。具体的には、遊技領域に設けられたスルーゲートを遊技球が通過すると、電動役物開放の抽選が行われると共に、上記図柄とは別の普通図柄の変動が開始され、当たり時には普通図柄の変動停止時に電動役物が所定時間だけ開放される。この場合、普通図柄の変動時間は通常30秒程度であり、最も短い周期で言えば、ほぼ30秒間隔で電動役物の開放が可能となっている。また、近年のパチンコ機では、遊技状態としていわゆる時短状態を設けたものがあり、該時短状態期間内では普通図柄の変動時間短縮等が行われ、それにより電動役物の開放機会が増やされるようになっている。時短状態に移行した場合には、次の大当たり当選があるまで、又は予め定められた遊技回数分だけ時短状態が継続される(例えば特許文献1参照)。さらに、遊技機によっては、大当たり状態が終了した場合に大当たり当選となる確率が高い高確率状態に移行し、予め定められた遊技回数分だけ高確率状態が継続した後に上記時短状態に移行するものもある。時短状態においては、作動口に遊技球が入球し易いため、少ない遊技球にて大当たり抽選を行わせることができる。また、作動口に遊技球が入球した場合には、遊技球が遊技者に付与される遊技機がある。このような遊技機の場合、通常遊技状態と比して、時短状態においては、遊技球を減らすことなく大当たり抽選を行わせることができる。」という背景技術について、「大当たり状態が終了した後に、高確率状態又は時短状態に移行する遊技機の場合、高確率状態においては大当たり抽選に当選する確率が高いため遊技への注目度を高めることができる。しかしながら、高確率状態よりも大当たり抽選に当選する確率が低いため、時短状態においては高確率状態ほど遊技への注目度を高めることができないおそれがある。なお、以上の問題は、パチンコ機に限らず、特定遊技状態として、大当たり状態を発生させることに当選する確率が高くなる遊技状態及び遊技者が投入する遊技媒体の数から遊技者に付与される遊技媒体の数を差し引いた遊技媒体数の1遊技回平均値が通常遊技状態よりも小さくなる遊技状態が設定されており、それらの特定遊技状態に大当たり状態が終了した場合に移行する遊技機に該当する問題である。遊技者が投入する遊技媒体の数から遊技者に付与される遊技媒体の数を差し引いた遊技媒体数の1遊技回平均値が通常遊技状態よりも小さくなる遊技状態として、例えば、スロットマシンにおいて再遊技に当選する確率が高くなる所謂リプレイタイムや、所定の手順にて停止操作手段を操作しなければ成立しない役に当選している場合に、当該所定の手順を教示する所謂アシストタイム等も該当する。本発明は上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、大当たり状態を発生させることに当選する確率が高くなる遊技状態及び遊技者が投入する遊技媒体の数から遊技者に付与される遊技媒体の数を差し引いた遊技媒体数の1遊技回平均値が通常遊技状態よりも小さくなる遊技状態が設定されている遊技機において、遊技への注目度を高めることを目的とするものである。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
手段1.遊技媒体を投入する投入手段(遊技球発射ハンドル18及び遊技球発射装置)と、
遊技媒体を払出す払出手段(払出装置358)と、
絵柄が表示される表示手段(図柄表示装置41)と、
前記投入手段からの遊技媒体の投入に基づいて、前記絵柄を変動表示させるべく前記表示手段を表示制御する表示制御手段(表示制御装置214)と、
前記表示手段による1回の変動表示を1遊技回として、遊技回毎に遊技者に有利な当たり遊技状態を発生させるか否かの当たり抽選を行う抽選手段(主制御装置271による始動入賞処理及び変動開始処理におけるステップS801)と
を備え、
前記抽選手段により当たり抽選に当選した場合に、遊技状態を当たり遊技状態へ移行させるとともに、前記表示制御手段は前記表示手段に当たり表示結果を停止表示させる(主制御装置271による第1遊技状態移行処理)遊技機であって、
前記投入手段により投入される遊技媒体数から前記払出手段により払出される遊技媒体数を差し引いた必要遊技媒体数の1遊技回平均値が通常遊技状態時よりも小さくなる状態とされた第1特定遊技状態(時短状態)を、当たり遊技状態の終了後に実行する第1モード(主制御装置271による第1特定遊技状態のステップS1112〜ステップS114の処理によって移行する時短状態)と、
前記第1特定遊技状態、及び前記抽選手段による当たり抽選の当選確率を高めた第2特定遊技状態(高確率状態)の両特定遊技状態を、当たり遊技状態の終了後に実行する第2モード(主制御装置271による第1遊技状態移行処理におけるステップS1112〜ステップS1116の処理によって移行する高確率状態及び第2遊技状態移行処理におけるステップS2301〜ステップS2304によって移行する時短状態)と
の両モードの実行情報が記憶された記憶手段(ROM502)を有するとともに、
所定の条件に基づき前記両モードのいずれかを設定する設定手段(主制御装置271による第1遊技状態移行処理のステップS1112〜ステップS1116及び第2遊技状態移行処理のステップS2301〜2304)を有し、
前記記憶手段には、前記第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(100回)が前記第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(20回)よりも多くなるように、継続遊技回数が記憶されていることを特徴とする遊技機。
手段1によれば、第1特定遊技状態が実行される第1モードを設定する又は第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態が実行される第2モードを設定する設定手段を有している。第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも、第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数は多い。
第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数の方が多いため、第1モードにおける第1特定遊技状態の方が第2モードにおける第1特定遊技状態よりも当たり遊技状態を発生させることに当選する期待度が高い。よって、第1モードにおける第1特定遊技状態の第2モードにおける第1特定遊技状態に対する当たり遊技状態を発生させることに当選することへの優位性を担保することができる。
第1モードが設定された場合には、第2特定遊技状態は実行されない。しかしながら第2モードにおける第1特定遊技状態よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の方が当たり抽選に当選することへの優位性が担保されている。よって、第2特定遊技状態が実行されないとしても、第1モードにおける第1特定遊技状態において当たり抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、第2特定遊技状態が実行されないとしても第1特定遊技状態への注目度を高めることができる。
なお、当たり状態が終了した後に第1モード又は第2モードのいずれが設定されるかを表示手段による当たり表示結果によって教示する遊技機の場合、当たり遊技状態に移行するか否かだけでなく、当たり遊技状態に移行する場合に当該当たり遊技状態が終了した場合に第1モード又は第2モードが設定されるか否かに遊技者は注目して遊技を行い、当たり表示結果への注目度を高めることができる。
手段2.遊技媒体を投入する投入手段(遊技球発射ハンドル18及び遊技球発射装置)と、
遊技媒体を払出す払出手段(払出装置358)と、
絵柄が表示される表示手段(図柄表示装置41)と、
前記投入手段からの遊技媒体の投入に基づいて、前記絵柄を変動表示させるべく前記表示手段を表示制御する表示制御手段(表示制御装置214)と、
前記表示手段による1回の変動表示を1遊技回として、遊技回毎に遊技者に有利な当たり遊技状態を発生させるか否かの当たり抽選を行う抽選手段(主制御装置271による始動入賞処理及び変動開始処理におけるステップS801)と
を備え、
前記抽選手段により当たり抽選に当選した場合に、遊技状態を当たり遊技状態へ移行させるとともに、前記表示制御手段は前記表示手段に当たり表示結果を停止表示させる遊技機であって、
前記投入手段により投入される遊技媒体数から前記払出手段により払出される遊技媒体数を差し引いた必要遊技媒体数の1遊技回平均値が通常遊技状態時よりも小さくなる状態とされた第1特定遊技状態(時短状態)、及び前記抽選手段による当たり抽選の当選確率を高めた第2特定遊技状態(高確率状態)の両特定遊技状態を、当たり遊技状態の終了後に実行する第1モード(主制御装置271による第1遊技状態移行処理におけるステップS2601〜ステップS2603及び第2遊技状態移行処理におけるステップS2303,ステップS2701,ステップS2702)及び第2モード(主制御装置271による第1遊技状態移行処理におけるステップS2601,ステップS2602,ステップS2604及び第2遊技状態移行処理におけるステップS2303,ステップS2701,ステップS2703)の実行情報が記憶された記憶手段(ROM502)を有するとともに、
所定の条件に基づき前記両モードのいずれかを設定する設定手段(主制御装置271による第1遊技状態移行処理のステップS2601〜2604及び第2遊技状態移行処理のステップS2303,ステップS2701〜2703)を有し、
前記記憶手段には、前記第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(100回)が前記第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(10回)よりも多くなるように、かつ前記第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数(1回)が前記第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数(5回)よりも少なくなるように、継続遊技回数が記憶されていることを特徴とする遊技機。
手段2によれば、第1モード又は第2モードを設定する設定手段を有している。第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数は多い。さらに、第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数は少ない。
第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数の方が多いため、第1モードにおける第1特定遊技状態の方が第2モードにおける第1特定遊技状態よりも当たり抽選に当選する期待度が高い。よって、第1モードにおける第1特定遊技状態の第2モードにおける第1特定遊技状態に対する当たり抽選に当選することへの優位性を担保することができる。
第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数は少ない。しかしながら第2モードにおける第1特定遊技状態よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の方が当たり抽選に当選することへの優位性が担保されている。よって、第2特定遊技状態の継続遊技回数が少ないとしても、第1モードにおける第1特定遊技状態にて当たり抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、第1特定遊技状態への注目度を高めることができる。
第1モード及び第2モードにおける各特定遊技状態の継続遊技回数に差異を設けた。第1特定遊技状態においては第2モードよりも第1モードの方が優位である。第2特定遊技状態においては、第1モードよりも第2モードの方が継続遊技回数が多く記憶されているため、第1モードよりも第2モードの方が優位である。これらにより、一方のモードに着目した場合に、他方のモードよりも優位な特定遊技状態がそれぞれのモードにあるため、第1モード又は第2モードのいずれが設定されたとしても遊技者の注目度が低下することを抑制することができる。
手段3.手段1又は手段2において、前記記憶手段は、前記第2モードよりも前記第1モードにおいて前記当たり抽選に当選する期待度が高くなるように、前記第1モード及び前記第2モードにおける前記第1特定遊技状態及び前記第2特定遊技状態の継続遊技回数を記憶していることを特徴とする遊技機。
手段3によれば、第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高くなるように第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態のそれぞれの継続遊技回数が記憶されている。第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高いため、第1モードが設定されることを期待して遊技者は遊技を行い、遊技への注目度を高めることができる。
手段1に適用した場合、第2モードにおける第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態において当たり抽選に当選する期待度を合わせたものよりも、第1モードにおける第1特定遊技状態にて当たり遊技状態を発生させることに当選する期待度の方が高くなるように継続遊技回数が記憶されている。すなわち、当たり抽選に当選する確率が高くなる第2特定遊技状態が実行されないとしても、第2モードに対する第1モードの当たり抽選に当選することへの優位性を担保している。これにより、第2モードではなく、第1モードが設定されることを期待して遊技者は遊技を行い、さらに、第1モードにおいて当たり抽選に当選することを期待して遊技を行い、第1モードにおける遊技への注目度を高めることができる。よって、当たり抽選に当選する確率が高くなる第2特定遊技状態が実行されないとしても第1モードにおける遊技への注目度を高める効果が発揮される。すなわち、第1モードでは第2特定遊技状態が実行されず、第1特定遊技状態が実行されるため、第1特定遊技状態の注目度を高めているということができる。
手段2に適用した場合、第2モードにおける第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態において当たり遊技抽選に当選する期待度を合わせたものよりも、第1モードにおける第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態にて当たり抽選に当選する期待度を合わせたものの方が高くなるように継続遊技回数が記憶されている。すなわち、当たり遊技抽選に当選する確率が高くなる第2特定遊技状態の継続遊技回数が少ないとしても、第1モードにおける第1特定遊技状態にて当たり抽選に当選する期待度が高くなるように第1特定遊技状態の継続遊技回数が記憶されているともいうことができる。
また、第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高く設定されているため、第2モードではなく第1モードが設定されることを期待して遊技者は遊技を行う。これにより、第1モード又は第2モードのいずれかが設定されるかに遊技者は注目し、遊技への注目度を高める効果が発揮される。さらに、第1モードにて当たり抽選に当選することを期待して遊技を行い、第1モードにおける遊技への注目度を高めることができる。
手段4.手段2又は手段3において、前記記憶手段は、前記第1モード及び前記第2モードにおける各特定遊技状態のうち、前記第1モードにおける前記第1特定遊技状態において前記当たり抽選に当選する期待度が最も高くなるように、前記第1モード及び前記第2モードにおける各特定遊技状態の継続遊技回数を記憶していることを特徴とする遊技機。
手段4によれば、第1モード及び第2モードにおける各特定遊技状態のうち、第1モードにおける第1特定遊技状態において当たり抽選に当選する期待度が最も高くなるように、第1モード及び第2モードにおける第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態の継続遊技回数が記憶されている。
第1モードにおける第1特定遊技状態にて当たり抽選に当選する期待度が高いため、第1特定遊技状態において当たり抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、第1特定遊技状態における遊技への注目度を高めることができる。
一の遊技回において当たり抽選に当選する確率が第2特定遊技状態は高いため、第2特定遊技状態において当たり抽選に当選する期待度が高くなっている場合、遊技者によっては第2特定遊技状態にのみ注目して遊技を行い、第1特定遊技状態には第2特定遊技状態ほどは注目しないことが考えられる。しかしながら、本手段の場合には、第1モードにおける第1特定遊技状態にて当たり抽選に当選する期待度が高いため、第1特定遊技状態における遊技への注目度が第2特定遊技状態ほど高まらないことを抑制することができる。
手段5.手段1乃至手段4のいずれか一において、前記第1特定遊技状態及び通常遊技状態において、前記抽選手段による前記当たり抽選に当選する確率は同一であることを特徴とする遊技機。
手段5によれば、第1特定遊技状態及び通常遊技状態において当たり抽選に当選する確率は同一である。
第1特定遊技状態及び通常遊技状態において当たり抽選に当選する確率が同一のため、例えば、第1特定遊技状態及び通常遊技状態における抽選手段による当たり抽選の処理を同一にすることも可能である。この場合、当たり抽選の処理を同一のものとすることができるため、第1特定遊技状態及び通常遊技状態においてそれぞれ抽選処理を記憶しておく必要がなくなり、遊技機の記憶容量が増大化することを抑制することができる。
手段1において、第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高い遊技機の場合、第1特定遊技状態よりも第2特定遊技状態の方が1遊技回において当たり抽選に当選する確率が高いとしても、第2モードよりも、第2特定遊技状態が実行されない第1モードの方がモード全体で比較した場合には当たり抽選に当選する期待度が高い。これにより、第2モードではなく第1モードが設定されることを期待して遊技者は遊技を行うものと考えられ、第1モードにおける第1特定遊技状態に注目して遊技者は遊技を行っているといえる。よって、第1特定遊技状態及び通常遊技状態において当たり抽選が同様に行われるとしても、第1特定遊技状態における遊技への注目度を高めることができる。
手段2において第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高い遊技機の場合、第1特定遊技状態よりも第2特定遊技状態の方が1遊技回において当たり抽選に当選する確率が高いとしても、モード全体で比較した場合には、第2モードと比して、第2特定遊技状態の継続遊技回数が少ない第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高い。これにより、遊技者は各モード全体を1まとめとして考え、第1モードが設定されることを期待して遊技を行い、第1モード又は第2モードのいずれのモードが設定されるかに注目して遊技を行う。これにより、遊技への注目度を高める効果が発揮される。
手段6.手段1乃至手段5のいずれか一において、前記抽選手段は、前記当たり抽選として、当たり遊技状態が終了した後に前記第1モード又は前記第2モードのいずれを設定するかの抽選を行い(主制御装置271による始動入賞処理のステップS204及び変動開始処理におけるステップS802,ステップS803)
前記設定手段は、
前記第1モードを設定することに当選している場合には、当たり遊技状態が終了した場合に前記第1モードを設定し、
前記第2モードを設定することに当選している場合には、当たり遊技状態が終了した場合に前記第2モードを設定することを特徴とする遊技機。
手段6によれば、当たり遊技状態が終了した場合に、第1モード又は第2モードのいずれを設定するかの抽選が抽選手段によって行われる。第1モードを設定することに当選している場合には、当たり状態が終了した場合に第1モードが設定され、第2モードを設定することに当選している場合には、当たり状態が終了した場合に第2モードが設定される。このように、抽選によって設定するモードを決定することによって、当たり遊技状態が終了した後に設定されるモードに不規則性を持たせることができる。
手段7.手段1乃至手段6のいずれか一において当たり遊技状態として、通常当たり遊技状態(可変入賞装置32が5回開放される大当たり)と、前記通常当たり遊技状態よりも遊技媒体の獲得期待値の高い特別当たり遊技状態(可変入賞装置32が15回開放される大当たり)とを有し、
前記設定手段は、前記特別当たり遊技状態が終了した場合に前記第1モードを設定することを特徴とする遊技機。
手段7によれば、当たり遊技状態として、通常当たり遊技状態と、特別当たり遊技状態とが設定されている。通常当たり遊技状態よりも特別当たり遊技状態は遊技媒体の獲得期待値が高く設定されているため、特別当たり遊技状態に移行することを期待して遊技者は遊技を行い、遊技への注目度を高めることができる。
また、手段3に適用した場合、第2モードよりも第1モードの方が当たり抽選に当選する期待度が高く設定されている。本手段によれば、特別当たり遊技状態が終了した後には第1モードが設定されるため、通常当たり遊技状態に対する特別当たり状態の優位性を高めることができる。よって、特別当たり遊技状態に移行することを一層期待して遊技者は遊技を行うことが考えられ、遊技への注目度を高める効果を顕著なものとすることができる。
手段8.遊技が実行される遊技領域を備えた遊技機本体(遊技盤30を含む本体枠12)と、
前記遊技領域に遊技球を投入する投入手段(遊技球発射ハンドル18及び遊技球発射装置)と、
遊技球を払出す払出手段(払出装置358)と、
絵柄が変動表示される表示手段(図柄表示装置41)と、
前記遊技領域に遊技球が入球可能な作動口(作動口33)と、
前記作動口に遊技球が入球したことに基づいて、前記絵柄を変動表示させるべく前記表示手段を表示制御する表示制御手段(表示制御装置214)と、
前記表示手段による1回の変動表示を1遊技回として、遊技回毎に遊技者に有利な当たり遊技状態を発生させるか否かの当たり抽選を行う抽選手段(主制御装置271による始動入賞処理及び変動開始処理におけるステップS801)と
を備え、
前記抽選手段により当たり抽選に当選した場合に、遊技状態を当たり遊技状態へ移行させるとともに、前記表示制御手段は前記表示手段に当たり表示結果を停止表示させる遊技機であって、
前記投入手段により投入される遊技球数から前記払出手段により払出される遊技球数を差し引いた必要遊技球数の1遊技回平均値が通常遊技状態時よりも小さくなる状態とされた第1特定遊技状態(時短状態)を、当たり遊技状態の終了後に実行する第1モード(主制御装置271による第1遊技状態移行処理におけるステップS1112〜ステップS1116の処理によって移行する高確率状態及び第2遊技状態移行処理におけるステップS2301〜ステップS2304によって移行する時短状態)と、
前記第1特定遊技状態、及び前記抽選手段による当たり抽選の当選確率を高めた第2特定遊技状態(高確率状態)の両特定遊技状態を、当たり遊技状態の終了後に実行する第2モード(主制御装置271による第1遊技状態移行処理におけるステップS1112〜ステップS1116の処理によって移行する高確率状態及び第2遊技状態移行処理におけるステップS2301〜ステップS2304によって移行する時短状態)と
の両モードの実行情報が記憶された記憶手段(ROM502)を有するとともに、
所定の条件に基づき前記両モードのいずれかを設定する設定手段(主制御装置271による第1遊技状態移行処理のステップS1112〜ステップS1116及び第2遊技状態移行処理のステップS2301〜ステップS2304)を有し、
前記記憶手段には、前記第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(100回)が前記第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(20回)よりも多くなるように、継続遊技回数が記憶されていることを特徴とする遊技機。
手段8によれば、第1特定遊技状態が実行される第1モードを設定する又は第1特定遊技状態及び第2特定遊技状態が実行される第2モードが設定する設定手段を有している。第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも、第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数は多い。
第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数の方が多いため、第1モードにおける第1特定遊技状態の方が第2モードにおける第1特定遊技状態よりも当たり抽選に当選する期待度が高い。よって、第1モードにおける第1特定遊技状態の第2モードにおける第1特定遊技状態に対する当たり抽選に当選することへの優位性を担保することができる。
第1モードが設定された場合には、第2特定遊技状態は実行されない。しかしながら第2モードにおける第1特定遊技状態よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の方が当たり抽選に当選することへの優位性が担保されている。よって、第2特定遊技状態が実行されないとしても、第1モードにおける第1特定遊技状態において当たり抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、第2特定遊技状態が実行されないとしても第1特定遊技状態への注目度を高めることができる。
手段9.遊技が実行される遊技領域を備えた遊技機本体(遊技盤30を含む本体枠12)と、
前記遊技領域に遊技球を投入する投入手段(遊技球発射ハンドル18及び遊技球発射装置)と、
遊技球を払出す払出手段(払出装置358)と、
絵柄が変動表示される表示手段(図柄表示装置41)と、
前記遊技領域に遊技球が入球可能な作動口(作動口33)と、
前記作動口に遊技球が入球したことに基づいて、前記絵柄を変動表示させるべく前記表示手段を表示制御する表示制御手段(表示制御装置214)と、
前記表示手段による1回の変動表示を1遊技回として、遊技回毎に遊技者に有利な当たり遊技状態を発生させるか否かの当たり抽選を行う抽選手段(主制御装置271による始動入賞処理及び変動開始処理におけるステップS801)と
を備え、
前記抽選手段により当たり抽選に当選した場合に、遊技状態を当たり遊技状態へ移行させるとともに、前記表示制御手段は前記表示手段に当たり表示結果を停止表示させる遊技機であって、
前記投入手段により投入される遊技球数から前記払出手段により払出される遊技球数を差し引いた必要遊技球数の1遊技回平均値が通常遊技状態時よりも小さくなる状態とされた第1特定遊技状態、及び前記抽選手段による当たり抽選の当選確率を高めた第2特定遊技状態の両特定遊技状態を、当たり遊技状態の終了後に実行する第1モード及び第2モードの実行情報が記憶された記憶手段(ROM502)を有するとともに、
所定の条件に基づき前記両モードのいずれかを設定する設定手段(主制御装置271による第1遊技状態移行処理のステップS2601〜2604及び第2遊技状態移行処理のステップS2303,ステップS2701〜2703)を有し、
前記記憶手段には、前記第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(100回)が前記第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数(10回)よりも多くなるように、かつ前記第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数(1回)が前記第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数(5回)よりも少なくなるように、継続遊技回数が記憶されていることを特徴とする遊技機。
手段9によれば、第1モード又は第2モードを設定する設定手段を有している。第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数は多い。さらに、第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数は少ない。
第2モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の継続遊技回数の方が多いため、第1モードにおける第1特定遊技状態の方が第2モードにおける第1特定遊技状態よりも当たり抽選に当選する期待度が高い。よって、第1モードにおける第1特定遊技状態の第2モードにおける第1特定遊技状態に対する当たり抽選に当選することへの優位性を担保することができる。
第2モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数よりも第1モードにおける第2特定遊技状態の継続遊技回数は少ない。しかしながら第2モードにおける第1特定遊技状態よりも第1モードにおける第1特定遊技状態の方が当たり抽選に当選することへの優位性が担保されている。よって、第2特定遊技状態の継続遊技回数が少ないとしても、第1モードにおける第1特定遊技状態において当たり抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、第1特定遊技状態への注目度を高めることができる。
第1モード及び第2モードにおける各特定遊技状態の継続遊技回数に差異を設けた。第1特定遊技状態においては第2モードよりも第1モードに優位性が担保されている。第2特定遊技状態においては、第1モードよりも第2モードの方が、継続遊技回数が多く記憶されているため、第1モードよりも第2モードに優位性が担保されている。一方のモードにおいて他方のモードよりも優位な特定遊技状態があるため、第1モード又は第2モードのいずれが設定されたとしても遊技者の注目度が低下することを抑制することができる。さらに、当たり遊技状態が終了した後に第1モード又は第2モードが設定されることによって、1のモードしか設定されない遊技機と比して、当たり遊技状態が終了した場合の遊技結果を多様化させることが可能となり、遊技が単調化することを抑制することができる。
手段10.手段8又は手段9において、前記作動口は、遊技球が通過し易い開放状態と通過しにくい又は通過できない閉鎖状態とに切り替え可能な開閉手段(電動役物39)を備え、
前記開閉手段を前記開放状態に切り替るべく制御する開閉制御手段(主制御装置271による電動役物開放処理)を備え、
前記開閉手段は、前記第1特定遊技状態において通常遊技状態よりも前記作動口を遊技球が通過し易くなるように前記開閉制御手段を前記開放状態に制御することを特徴とする遊技機。
手段10によれば、作動口に開閉手段が備えられており、第1特定遊技状態において通常遊技状態よりも作動口を遊技球が通過し易くなるよう開閉手段が制御される。これにより、第1特定遊技状態において作動口を遊技球が通過し易くなるため、通常遊技状態よりも遊技球を減少させることなく、作動口に遊技球を通過させることができる。通常遊技状態よりも遊技球を減少させることなく当たり抽選を行わせることができるため、第1特定遊技状態が終了する前に当たり遊技抽選に当選することを期待して遊技者は遊技を行い、遊技への注目度を高めることができる。
仮に、作動口を遊技球が通過すると、遊技球が遊技者に付与される遊技機の場合、第1特定遊技状態においては作動口を遊技球が通過し易いため、作動口を遊技球が通過することによって通常遊技状態よりも付与される遊技球の数が多くなる。これにより、通常遊技状態よりも遊技球を減少させることなく当たり抽選を行わせるでなく、場合によっては遊技球を増加させながら当たり抽選を行わせることができる。よって、第1特定遊技状態の通常遊技状態に対する付与される遊技球の数における優位性を高める効果が発揮される。さらに、第1特定遊技状態が終了する前に、当たり抽選に当選するか否かに遊技者は一層注目し、遊技への注目度を向上させることができる。
なお、上記手段3〜7のいずれかの構成を、上記手段1又は手段2に代えて上記手段8〜10に対して適用してもよい。また、上記手段3〜7のいずれかの構成を適用する場合、「遊技媒体」を「遊技球」に置き換えて適用すればよい。
手段11.手段1乃至手段10のいずれか一において、遊技媒体として遊技球を用い、複数の釘及び入球部が配設された前記遊技領域を有する遊技盤(遊技盤30)と、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射装置)と、同遊技球発射手段により遊技球を発射させるべく操作される発射操作手段(遊技球発射ハンドル18)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段11によれば、いわゆるパチンコ遊技機において上記手段1乃至手段10のいずれかの効果を享受することができる。
手段12.手段1乃至手段7のいずれか一において、遊技媒体として遊技メダルを用い、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
遊技メダルの受入完了状態で前記始動操作手段が操作された場合に各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に、各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段12によれば、いわゆるスロットマシンに対して上記手段1乃至手段7のいずれかの効果を享受することができる。
手段13.手段1乃至手段7のいずれか一において、遊技媒体として遊技球を用い、遊技機前方から視認可能な位置に設けられ、複数種の絵柄が変動表示される複数の絵柄表示領域と、遊技機前面部にて遊技球を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留された遊技球を取り込む取込装置と、該取込装置による遊技媒体の取り込みを開始させるべく操作される取込開始操作手段と、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させるべく操作される始動操作手段と、該各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を停止させるべく操作される複数の停止操作手段とを備え、
前記取込装置により所定数の遊技媒体が取り込まれ、さらに前記始動操作手段が操作された場合に、各絵柄表示領域における絵柄の変動表示を開始させ、絵柄の変動表示の停止後に各絵柄表示領域に表示されている絵柄により所定絵柄又は所定絵柄の組み合わせが成立していた場合には遊技者に特典が付与される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段13によれば、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機に対して上記手段1乃至手段7のいずれかの効果を享受することができる。
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開又は分解して示す斜視図、図3はパチンコ機10を構成する本体枠12の前面構成を示す正面図である。なお、図2、図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
図1〜図3に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えている。外枠11は、遊技ホールへの設置の際に、いわゆる島設備に取り付けられる。外枠11は、木製の板材を全体として矩形枠状に組み合わせた状態とされ、各板材を小ネジ等の離脱可能な締結部材により固定することによって構成されている。従って、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて構成部材の再利用(リユース)が容易な構成となっている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を合成樹脂やアルミニウム等の金属によって構成してもよい。
外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方側に開放できるようになっている。更に言うと、本パチンコ機10には右側に遊技球発射ハンドル18の設置箇所が設けられているため、遊技球発射ハンドル18とは反対側の側部を中心に本体枠12を開閉可能としたということができる。本体枠12は合成樹脂、具体的にはABS樹脂により構成されている。ABS樹脂を用いることにより、比較的低コストで耐衝撃性の高い本体枠12を得ることができる。本体枠12をアルミニウム等の金属によって構成してもよい。なお本実施の形態では、外枠11と本体枠12とにより遊技機本体が構成されている。外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。かかる構成では、本体枠12により遊技機本体が構成される。
本体枠12の前面側の下部位置には、前面板14が設けられている。前面板14は横長状に形成され、その横幅は本体枠12の横幅とほぼ一致するように構成されている。前面板14は、幅方向ほぼ中央部において手前側へ膨出した膨出部15aを有するベース部15と、ベース部15の膨出部15a内側に設けられ下方にくぼんだ皿形状をなす球受皿としての下皿16と、下皿16の奥側の壁面を構成する奥壁パネル17とを備えている。ベース部15は本体枠12に対してネジ等の締結部材により固定されていることから、ベース部15が本体枠12に対する取付部を構成している。ベース部15には膨出部15aよりも右方に、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル18が設けられている。奥壁パネル17には球排出口17aが設けられており、球排出口17aより排出された遊技球が下皿16内に貯留されるようになっている。
ベース部15の膨出部15a前面側にはスライド式の球抜きレバー19が設けられている。なお、球抜きレバー19はプッシュ式としてもよい。そして、球抜きレバー19が操作されると下皿16の底面に設けられた図示しない閉鎖板が一体に又はリンクを介して移動して球抜き穴が開放され、下皿16内の貯留球が下方に排出されるよう構成されている。球抜きレバー19には球抜き穴を塞ぐ側へ球抜きレバー19を付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられ、球抜きレバー19の操作が解除された際には付勢部材の付勢力によって閉鎖板が球抜き穴の開放位置に復帰する構成となっている。奥壁パネル17の球排出口17aとは異なる位置には、多数の小孔が集合したスピーカカバー部17bが形成されており、当該パネル17の後方に設置されたスピーカ20の出力音がスピーカカバー部17bを通じて前方に発せられるようになっている。
ベース部15には膨出部15aの左方に灰皿21が設けられている。灰皿21は、内部に溜まった吸い殻等を除去しやすいように手前側下方に反転可能に取り付けられており、その右側面と背面とでベース部15に対面している。具体的な図示は省略するが、灰皿21の右側面には当該灰皿21を回動可能な状態で片持ち支持するための支軸が設けられ、同背面には灰皿21が図示のように上方に開口した位置でベース部15に係止される係止部が設けられている。前面板14はその大部分が本体枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。前面板14はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。なお、灰皿21が近くに配置されている関係上、下皿16と奥壁パネル17とを構成する部位に関しては難燃性のABS樹脂を用い、仮に誤ってたばこ等を置いても燃えにくくなるよう構成することが好ましい。
本体枠12の前面側の前面板14を除く範囲には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。従って、前面板14と前扉枠13とにより本体枠12の前面側全体が覆われている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。なお、前扉枠13は前面板14と同様、ABS樹脂にて成形されている。前扉枠13はパチンコ機10の前面側に露出されるが、ABS樹脂で成形していることによって、装飾等の目的で表面の適宜箇所にメッキを施すことが可能となる。
前扉枠13の下部位置には、下皿16の上方において手前側へ膨出した膨出部22が設けられ、その膨出部22内側には上方に開口した上皿23が設けられている。上皿23は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置側へ導くための球受皿である。膨出部22前面側には上皿23用の球抜きレバー24が設けられており、この球抜きレバー24を操作すると上皿23の最下流部付近に設けられた球抜き通路(図示略)が開放され、上皿23内の貯留球が下皿16へ排出されるようになっている。なお、上皿23も下皿16等と同様、難燃性のABS樹脂にて構成することが可能である。膨出部22の前面側中央部には遊技者により操作可能なプッシュ式の選択スイッチ108が設けられており、この選択スイッチ108を操作すると後述する図柄表示装置41の表示モードが変更されるようになっている。また、選択スイッチ108は、図示しないランプが内蔵されており、選択操作が有効とされる状況下ではランプが点灯表示されることによって選択操作が有効であることが報知され、選択操作が無効とされる状況下では消灯されるようになっている。
本パチンコ機10では、ガラス扉枠と前飾り枠とを個別に設けこれらを前面枠(本実施の形態の本体枠に相当)に対して各々開閉可能とすると共に前飾り枠に上皿を設けていた従来構成と異なり、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13とし、前扉枠13に対して一体的に上皿23を設ける構成としている。この場合、ガラス扉枠と前飾り枠とを1つに統合して前扉枠13としたため、当該前扉枠13においてガラス支持構造の強度向上が実現できる。つまり、本パチンコ機10では、遊技領域の拡張を目的とし、その遊技領域拡張に伴い大きめのガラス137を前扉枠13に搭載している。従って、ガラス周囲の枠部分が幅狭になり、強度低下の問題が懸念されるが、ガラス下方に上皿一体の枠部分を設けること等によりガラス支持構造の十分な強度が確保できる。なお、ガラス137の縦横寸法は、従来一般に405mm×405mmであったのに対し、本パチンコ機10では453mm×434mmとしている。
また、前扉枠13は、少なくともその開閉の際に遊技球発射ハンドル18と干渉しないようにして下方に拡張されている。具体的な数値を示すと、パチンコ機下端から前扉枠13の下端までの寸法Laは、既存の一機種で例えば約201mmであるのに対し、本パチンコ機10では30mm程小さく、約172mmとなっている。また、これに伴いパチンコ機下端から上皿23の上端までの寸法Lbも小さくなっており、既存の一機種では例えば約298mmであるのに対し、本パチンコ機10では約261mmとなっている。ここで、上皿23の位置を下げたことにより、遊技ホールにおいてパチンコ機10左側に並設される球貸し装置のノズル先端との上下方向の距離が大きくなって貸球のこぼれ落ち等が懸念されるが、本実施の形態では、当該ノズルからの貸球排出部分となる左側部分において、膨出部22の壁面を他の壁面より高くした立ち上げ部22aを形成している。これにより、上皿23の位置を下げた構成にあっても貸球のこぼれ落ち等の不都合が解消されるようになっている。立ち上げ部22aの高さ寸法は上皿23の下げ寸法に見合うものであれば良く、その最大高さ寸法は本実施の形態では25mmとされている。
なお、前扉枠13においては、上皿形成のための膨出部22が手前側に大きく膨出して設けられるが、上皿23より上方のそれ以外の部位(後述する環状電飾部102等)は、球貸し装置のノズルとの干渉を避けるべく手前側への膨出が制限されている。具体的には、外枠11からの手前側への寸法が45〜50mmに制限されている。
図3に示すように、本体枠12は、外形が前記外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース25を主体に構成されており、樹脂ベース25の中央部には略円形状の窓孔26が形成されている。樹脂ベース25の後側には遊技盤30が着脱可能に装着されている。図4に示すように、遊技盤30は略四角形状の合板よりなり、その周縁部が樹脂ベース25の裏側に当接した状態で取着されている。すなわち、遊技盤30はパチンコ機10後方より取り付けられ、遊技盤30の前面部の略中央部分だけが樹脂ベース25の窓孔26を通じて本体枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30は、従来と同様、上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている。
次に、遊技盤30の構成を図4に基づいて説明する。遊技盤30には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35等がそれぞれ設けられている。実際には、一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33、スルーゲート34及び可変表示ユニット35は木ねじ等により遊技盤表面に取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット35が遊技盤30の略中央に配置され、その下方に作動口33が配置され、さらにその下方に可変入賞装置32が配置されている。また、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34が配置され、遊技盤30の下部両側に一般入賞口31がそれぞれ複数配置されている。作動口33には、所定の条件下で作動状態(開放状態)となる電動役物39が付随的に設けられている。前記一般入賞口31、可変入賞装置32及び作動口33に遊技球が入ると、それが後述する検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿23(場合によっては下皿16)に対し所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30の最下部にはアウト口36が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。アウト口36は、遊技盤30の下端略中央を逆U字状に切り欠いて形成されている。そのため、アウト口を穴状に形成していた従来構成に比べ、アウト口形成が容易となる(但し、図4では手前側にレールユニット50が重ねて設けられているため、アウト口36が閉じた状態で示されている)。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
遊技盤30の左右両側部には、組付相手である本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉を回避するように凹部としての切欠38が複数箇所に形成されている。
前述したとおり、本パチンコ機10では上皿23の位置を下げられており、それに伴い上皿23の最下流部に設けた遊技球の取込口の位置も同様に下げられている。この場合、遊技球取込口が比較的高い位置にあった従来構成では、遊技球取込口と遊技盤30とが前後に重なり、遊技盤30には遊技球取込口に対応する切欠を設ける必要があったが、本パチンコ機10では、遊技球取込口を下げたことにより遊技球取込口と遊技盤30とが前後に重なることがなく、遊技球取込口用の切欠の形成が不要となる。故に、遊技盤30の製作工程上、有利な構成となる。
可変表示ユニット35には、作動口33への入賞をトリガとして図柄を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット35には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム43が配設されている。このセンターフレーム43は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置41の表示画面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示画面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。センターフレーム43の上部両端には、作動口33を遊技球が通過したことに基づいて点灯する保留ランプ44が設けられている。遊技球が作動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ44の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ44は、図柄表示装置41の一部で変動表示される構成等であっても良い。上述したように、センターフレーム43の上部がパチンコ機10前方に延出していることにより、保留ランプ44の視認性が遊技球の落下により阻害されない構成となっている。センターフレーム43の下部には、保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート34を通過した回数は最大4回まで保留され、保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。スルーゲート34を遊技球が通過することによって電動役物39を開放するか否かの抽選が行われることとなる。
図柄表示装置41は8インチサイズの液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合には、大当たり発生となると共にそれ以降の遊技状態が特別遊技状態としての大当たり状態に移行する。この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。なお、図柄表示装置41は、液晶表示装置の他に、CRT,ドットマトリックス,7セグメント等その他のタイプにより表示画面を構成したものであってもよい。
また、風車37の下方に一般入賞口31が形成されており、一般入賞口31のさらに下方に、7セグ表示装置47が設けられている。7セグ表示装置47は作動口33に遊技球が入球したことに基づいて図柄が変動表示されるものであり、7セグ表示装置47における変動表示結果に基づいて遊技状態が大当たり状態に移行する。具体的には、1〜9,−が予め定められた順番にて高速に表示される。最終的に「−2」,「−1」,「−0」が表示された場合には、大当たり発生となると共にそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行し、最終的に「−−」が停止表示された場合には大当たり発生とならず大当たり状態に移行しない。
なお、図柄表示装置41における図柄の変動表示は、7セグ表示装置47における図柄の変動表示と同期するように行われるものである。そして、7セグ表示装置47における最終表示が「−2」,「−1」,「−0」となる場合に、図柄表示装置41には上述した所定の図柄の組み合わせが停止表示されることとなる。
また、7セグ表示装置47の下方には第1特定ランプ部48a,第2特定ランプ部48bが設けられている。第1,第2特定ランプ部48a,48bの内側には赤色発光タイプのLEDが配設されている。第1,第2特定ランプ部48a,48bは7セグ表示装置47と連動しているものであり、7セグ表示装置47の最終表示が「−2」であった場合に第1特定ランプ部48aが点灯し、7セグ表示装置47の最終表示が「−1」であった場合に第2特定ランプ部48bが点灯する。
可変入賞装置32は、通常状態において遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たり状態に移行すると遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、可変入賞装置32が開放状態となると、可変入賞装置32に遊技球が入賞し易い状態となる。そして、可変入賞装置32は、開放時間(例えば29.5秒)の経過又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞したことを閉鎖条件成立として閉状態に切り換えられる。大当たり状態は、可変入賞装置32が開閉されたことを1ラウンドとして、15ラウンドの開閉が行われるまで継続する。なお、可変入賞装置32の閉状態を、遊技球が入賞できない状態ではなく遊技球が入賞し難い状態としてもよい。
遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレール部材としてのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、より具体的には、摩擦抵抗を低減するべくフッ素配合のポリカーボネート樹脂が用いられている。レールユニット50は、内外二重に設けられた内レール部51と外レール部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、外レール部52は内レール部51の上方開放領域を囲むようにかつ内レール51の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。
内レール部51は、他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられている。また、外レール部52は、内レール部51と同様に他の樹脂部分と一体成型され、遊技盤30の面上にほぼ垂直に起立して設けられた支持部52aを有し、その支持部52aの内側面に、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするための摺動プレート52bが取り付けられている。摺動プレート52bは、長尺状をなすステンレス製の金属帯よりなり、複数箇所で支持部52aに支持されている。かかる場合、内レール部51と外レール部52とにより誘導レールが構成され、これら各レール部51,52が所定間隔を隔てて対向する部分により球案内通路が形成されている。なお、内外のレール部51,52が対向する部位では、遊技盤30との当接部53により各レール部51,52が連結されており、球案内通路は手前側に開放した溝状に形成されている。
レールユニット50において、前記球案内通路より遊技球が飛び出す部位(図4の左上部)には戻り球防止部材54が取着され、該飛び出した遊技球の最大飛翔部分に対応する部位(図4の右上部)には返しゴム55が取着されている。戻り球防止部材54により、一旦球案内通路から遊技盤30の上部へと飛び出した遊技球が球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、所定以上の勢いで発射された遊技球は返しゴム55に当たり、遊技領域の中央寄りに跳ね返されるようになっている。
レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされる。ここで、レールユニット50の上下及び左右の各端部は略直線状に形成されている。つまり、レールユニット50の上下及び左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。レールユニット50は、遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置に至るように配設されている。なお、レールユニット50の球案内通路に対応する部位のなかでも特に遊技球の受け入れ部位に関しては、当該レールユニット50を強固に取り付けて遊技球の飛びを安定させるべく、該当するフランジ56が他よりも多い箇所(本実施の形態では3カ所、他は2カ所)でネジ止めされている。
内レール部51及び外レール部52間の球案内通路の入口には、同球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。凸部57は、内レール部51の外周部から下方へ延びるように形成され、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路76(図3参照)に導く機能を有する。遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するためのスペース(図のSa,Sb)となっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58a,58bが形成されている。証紙等のシールを遊技盤30に直接貼り付ける構成とすることで、証紙等の不正な貼り直し等が行いにくいものとなっている。
遊技盤30においてレールユニット50よりも外方の左上部には、前後に貫通した中継端子孔59が設けられており、この中継端子孔59を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60がパチンコ機10前面側に露出されるようになっている。
次に、遊技領域について説明する。遊技盤30の盤面はレールユニット50(内外レール部51,52)により内外領域に区画され、略円形状に区画された内側領域が遊技領域とされている。特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て内レール部51及び外レール部52によって囲まれる領域のうち、内外レール部51,52の対向部分である球案内通路の領域を除いた領域として説明する。つまり、遊技領域は球案内通路部分を含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール部52によってではなく内レール部51によって特定される。また、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定され、遊技領域の下側限界位置はアウト口36が形成された遊技盤30の下端位置によって特定され、遊技領域の上側限界位置は外レール部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
ここで、前記遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらに460mm以上であることが望ましい。すなわち、遊技領域の幅寸法は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、さらには460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上又は480mm以上としてもよい。すなわち、遊技領域の高さ寸法は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組み合わせについては、上記数値を任意に組み合わせたものとすることができる。なお、遊技領域の幅又は高さが一定値以上となると、遊技領域の一部が遊技盤30の盤面を越えることも考えられるが、その越えた領域については他の部材を遊技盤面に沿って設けること等によって補えばよい。
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、本実施の形態のように従来と同様の大きさの遊技盤30を使用している前提下では相当に遊技領域を拡大しているといえる。なお、パチンコ機10の外形は遊技ホールへの設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。さらに好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。さらには、80%以上であってもよい。なお、80%以上を確保するには遊技領域の形状を略円形状とすることは困難となるため、隅部(例えば右下隅部や右上隅部)を拡張したような形状とすることが好ましい。
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
遊技領域の拡張に関連して、可変表示ユニット35の両側に位置するスルーゲート34は、該ゲート34を通過した遊技球が中央の方へ寄せられるような案内機構を有している。これにより、遊技領域が左右方向に拡張されている場合であっても、遊技球を中央の作動口33や可変入賞装置32の方へと案内することができ、ひいては、遊技領域が拡張されることにより遊技球が入賞しにくくなることによる興趣の低下が抑制されるようになっている。また、遊技領域が左右方向に拡張されていることによって、比較的大型の可変表示ユニット35を遊技領域中央に設けても、可変表示ユニット35の左右両側にスルーゲート34、風車37、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための三角釘等の誘導釘)、他の役物などを余裕をもって配設することができ、可変表示ユニット35の左右両側の遊技領域での遊技球の流れが単調とならず、遊技球の挙動を存分に楽しませることができる。
遊技盤30の左右両側部に切欠38が形成されて本体枠12の左右両側からの張出領域との干渉が回避されていること、レールユニット50において遊技盤30上の遊技領域の最大幅となる位置が遊技盤30の左右端位置にまで至るようになっていることは既に述べたが、更に後述するように、本体枠12の左右両側部に設けられる補強部材(軸受け金具235:図9参照)と施錠装置(基枠247、連動杆248等:図9参照)とを配置するための領域を残した幅となるようにして本体枠12に遊技盤30が取り付けられている。これらのことからも、遊技領域の拡張が図られている。
図3の説明に戻り、前記樹脂ベース25において、窓孔26(遊技盤30)の下方には、遊技球発射装置より発射された直後に遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース25に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後球案内通路を通じて遊技領域に案内される。前述のとおり遊技領域が従来よりも大幅に拡張されたことにより、球案内通路の曲率は小さくなっているため、打出球を安定化させるための工夫が必要となる。そこで、本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くして発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(すなわち発射レール61を立ち上げるようにし)、また発射レール61を遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成することで発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保するようにしている。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で球案内通路に案内できるようにしている。さらに打出球の安定化を図るべく、発射レール61を設置した金属板62を大型化すると共に該金属板62を多数箇所(本実施の形態では15〜20カ所)でネジ止めしており、これにより発射レール61が遊技盤30に対して強固に位置決めされている。
発射レール61と球案内通路との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路76が設けられている。従って、仮に遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らずファール球として球案内通路内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路76を介して下皿16に排出される。因みに、本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール先端部のファール球通路76に通じる隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
ファール球が球案内通路内を逆流してくる際、その多くは外レール部52に沿って流れ、外レール部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は球案内通路内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。この際、跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路76に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路76に確実に案内され、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前扉枠13側の球出口(上皿23の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前扉枠13側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の発射基端部付近にはその右側と手前側にそれぞれガイド部材63,64を設置してある。これにより、前扉枠13側の球出口から供給される遊技球が常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作が実現できる。また、遊技球発射装置には、基端部を中心に回動可能に支持された打球槌が設けられ、打球槌の回動に伴い遊技球が発射されるが、打球槌に関して軽量化が望まれている。それ故、アルミニウム等の軽金属への材料変更や槌シャフト部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(基端部と反対側の先端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなるという効果も得られる。
また、本体枠12の前面において発射レール61の左側には、左右一対の排出口66,67が形成されると共に、その前方に、排出口66,67より排出された遊技球を上皿23又は下皿16のいずれかに案内するための遊技球案内ユニット70が取り付けられている。便宜上以下の説明では、排出口66を第1排出口、排出口67を第2排出口ともいう。これら排出口66,67は、本体枠12の背面に設けられた遊技球分配部245(図10参照)に通じており、基本的に第1排出口66より遊技球の排出が行われ、この第1排出口66も含め上皿23に通じる通路が遊技球で一杯になると、第1排出口66に代えて第2排出口67より遊技球の排出が行われるようになっている。
遊技球案内ユニット70は、ポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂材料により内部を視認可能に構成され、本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した状態で本体枠12と前扉枠13との間に収まるよう厚みが比較的薄くなるように形成されている。遊技球案内ユニット70には、前述のファール球通路76が一体的に形成されている。遊技球案内ユニット70には、前記排出口66,67と下皿16とを連通するための球排出通路71が形成されている。遊技球案内ユニット70には、本体枠12の第1排出口66の手前側に、上皿23に連通する連通口72が形成され、連通口72を閉鎖するようにして開閉プレート73が取り付けられている。開閉プレート73は支軸74により回動可能に支持され、付勢手段としてのバネ75により連通口72を閉鎖する位置に常時付勢されている。
遊技球案内ユニット70の上記構成によれば、前扉枠13を開放した状態ではバネ75の付勢力により開閉プレート73が図示の如く起き上がり、連通口72を閉鎖する。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が球排出通路71を通じて下皿16に案内される。従って、連通口72の上流側に遊技球が貯留されている状態で前扉枠13を開放した場合、その貯留球は連通口72よりこぼれ落ちることなく、球排出通路71を通じて下皿16に流下する。つまり、前飾り枠が省略され前扉枠13に対して上皿23が直接設けられる構成とした本パチンコ機10にあっても、前扉枠13の開放に際し連通口72の上流側にある遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠13を閉鎖した状態では、前扉枠13の裏面に設けられた球通路樋138(図2参照)によりバネ75の付勢力に抗して開閉プレート73が押し開けられる。この状態では、第1排出口66より排出される遊技球が連通口72を介して上皿23に案内される。従って、連通口72より上流側の遊技球は上皿23に払い出される。なお、遊技球案内ユニット70の球排出通路71下流側には、下皿16に排出された遊技球が一杯(満タン)になったことを検知する下皿満タンスイッチが取り付けられている。
樹脂ベース25には、窓孔26の右下部に略四角形状の小窓78が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部スペース(図4のSa)に貼られた証紙等は、この小窓78を通じて視認できるようになっている。この小窓78から遊技盤30上に証紙等を直接貼り付けることも可能である。
樹脂ベース25には、窓孔26の左上部にも小窓79が設けられている。この小窓79は、図4で説明した遊技盤30の中継端子孔59に対応する位置にそれとほぼ同一の形状で設けられ、中継端子孔59及び小窓79を通じて、遊技盤裏面に設置した中継端子板の接続コネクタ60が本体枠12の前面側に露出される。かかる構成において、前扉枠13側に設けた各種ランプに対しては、本体枠12(樹脂ベース25)の小窓79より露出した接続コネクタ60を介して電気的な接続がなされている。樹脂ベース25の上部には、前扉枠13の開放の状態を検出するための前扉枠開放スイッチ27が設けられている。前扉枠開放スイッチ27は、樹脂ベース25の前面に出没可能なピンを有しており、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠13の閉鎖が検知され、本体枠12に対して前扉枠13を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠13の開放が検知されるようになっている。樹脂ベース25の左右2カ所には、本体枠12に対して前扉枠13を閉じた際に前扉枠13背面の金具類(図5に示す補強板131〜134)に接触し、且つその金具類を本体枠12側に導通させてアース(接地)するための金属片28a,28bが取り付けられている。従って、金属片28a,28bを通じて、前扉枠13背面の金具類が本体枠12側の施錠装置やヒンジ金具に導通され、これら施錠装置やヒンジ金具と共にアースされる。
本体枠12の左端側(開閉軸線側)には、前扉枠13を開閉可能に支持するための支持機構として、上下一対の支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には上方へ突出する突起軸84が設けられている。なお、支持金具81,82に支持される前扉枠13の具体的構成については後述する。また、本体枠12の右端側(開閉軸線とは反対側)には、前扉枠13裏面側の開放端側に設けた上下一対の鉤金具155,156(図2参照)を挿入するための挿入孔87,88がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠12や前扉枠13を施錠状態とするための施錠装置が本体枠12の裏面側に隠れて配置される構成となっている。従って、鉤金具155,156が挿入孔87,88を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠13が本体枠12に対して開放不能に施錠される。
本体枠12の右下隅部には、外枠11に対する本体枠12の施錠及び解錠、並びに本体枠12に対する前扉枠13の施錠及び解錠を行うための鍵部材としてのシリンダ錠91が設置されている。シリンダ錠91は施錠装置に一体化されており、施錠装置のうちシリンダ錠91だけが本体枠12の前方に突出した状態で設けられている。この場合、シリンダ錠91は、遊技領域の最大幅となる位置とは異なる位置に設けられている。シリンダ錠91は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを左(反時計回り方向)に回すと本体枠12の施錠が解かれ、逆にキーを右(時計回り方向)に回すと前扉枠13の施錠が解かれるようになっている。
図2に示すように、本体枠12には、シリンダ錠91を囲むようにして縦長状のカバー部材92が取り付けられている。詳細な図示は省略するが、カバー部材92には、その上端部及び下端部に係止部(フック)が形成されている。従って、上側の係止部を本体枠12側に係止させると共に、下側の係止部を本体枠12と前面板14との間に挟み込むことにより、カバー部材92が本体枠12に取り付けられる。前扉枠13には、カバー部材92の形状に合わせて切欠部145が形成されており、前扉枠13を閉鎖した状態ではこの前扉枠13と共にカバー部材92がパチンコ機前面部を構成する。なお、前扉枠13を閉鎖したとき、カバー部材92に形成された鍔部が前扉枠13により押さえられ、カバー部材92のがたつきが防止されるようになっている。
次に、前扉枠13について図1,図5を参照しつつ説明する。なお、図5は、前扉枠13の背面図である。
前扉枠13には遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした視認窓としての窓部101が形成されている。窓部101は、円形に近い略楕円形状をなし、より詳しくは、その左右側の略中央部が上下側に比べて緩やかに湾曲した形状となっている。なお、前記略中央部が直線状になる形状であってもよい。前扉枠13の窓部101上方において、最も狭い部位のフレーム幅は約61mmである。本実施の形態における上記フレーム幅寸法は、本体枠12において外レール部52の最上部(遊技領域の上端)と本体枠12の上端との間の距離とほぼ一致するものであって、85mm〜95mm程度の上記フレーム幅を有する従来機種に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域における上部領域の視認性が確保されやすくなると共に、大型の可変表示ユニット35も比較的上方に配置することができるようになっている。窓部101上方のフレーム幅(最狭部位)の寸法は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、さらに望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下としても差し支えない。
前扉枠13の左右のフレーム部分は、フレーム幅を小さくするには制約があり、前扉枠13自体の強度及びガラス支持強度を確保するのに十分な幅寸法を必要とする。本実施の形態では、左右の各フレーム部分において最も狭い部位のフレーム幅を何れも約44mmとしている。この場合、本パチンコ機10にあっては遊技領域を大幅に拡張したことから、パチンコ機10の正面から見て左側すなわち開閉軸線側では、前扉枠13のフレーム幅が上記の通り約44mmとなるのに対し、レールユニット50の外レール部52の左端位置と本体枠12の左端位置との距離が約21mmとなり、後者の寸法がかなり小さいものとなっている。つまり本構成では、前扉枠13を閉鎖した状態において、球案内通路の一部が、前扉枠13の左側フレーム部分と重複し覆い隠されるようになる。しかしながら、球案内通路において遊技球が一時的に視認困難となったとしても、かかる球案内通路は遊技球が遊技領域に案内されるまでの通過領域に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。以上により、前扉枠13の十分な強度及びガラス支持強度を確保しつつも、遊技に何ら支障を及ぼすことなく遊技領域の拡張が可能となる。
前扉枠13の下端部における左右両側には、本体枠12表面や遊技盤30表面等(証紙等を含む)の一部を視認できるよう透明樹脂を取り付けた小窓107が設けられている。小窓107に取り付けられる透明樹脂は、その内部の証紙等を工場等で容易に機械読み取りできるよう平坦状に構成される。但し、小窓107に、内部の証紙等をホール作業者等が容易に目視できるよう拡大レンズ部を設けることも可能である。
前扉枠13にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり状態下や所定のリーチ演出時等において点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり状態下で点灯や点滅を行うことにより大当たり状態に移行していることを報知する。また、上皿23周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とがそれぞれ設けられている。なお、環状電飾部102は、内外二重の樹脂カバー層とその内側に収容された発射板付き発光体(LED)とよりなり、樹脂カバー層の各々の内側面には各層で縦横に交差する向きに突条(又は波状の突起)が設けられている。外側の樹脂カバー層は透明であり、内側の樹脂カバー層は有色である。従って、環状電飾部102を発光させれば、多数に分散化された状態、又は立体感を伴った状態の電飾が実現できるようになる。樹脂カバー層には、ガラス粉末入りの樹脂材料を用いると良い。このような樹脂カバー層の構成は、他の電飾部(例えば中央電飾部103や賞球ランプ105)に適用することもできる。
前扉枠13には、窓部101の下方位置に、貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で、貸球操作部120によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機(いわゆる現金機)では貸球操作部120が不要となるが、かかる場合には、貸球操作部120の設置部分に飾りシール等が付されるようになっている。これにより、貸球操作部120を設けた本パチンコ機10の構成において、カードユニットを用いたパチンコ機(いわゆるCR機)と現金機との共用が可能となる。
前扉枠13の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、図5に示すように、前扉枠13の裏側にあって窓部101の左右及び上下の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。これにより、補強板131〜134による電気経路の閉じたループが切断され、ノイズの原因となる磁界の発生等が防止されている。
図5の右側となる開閉軸線側の補強板131にはその上端部及び下端部に、本体枠12に対する組付機構として、組付金具151,152が取り付けられている。そして、本体枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前扉枠13側の組付金具151,152が取り付けられている。すなわち、下側の組付金具152には下面に開口する軸穴が形成されており、その軸穴に下側の支持金具82の突起軸84が挿入される一方、上側の組付金具151の軸部が上側の支持金具81の支持孔83に挿入されることにより、本体枠12に対して前扉枠13が開閉可能に支持されている。また、同補強板131にはその中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前扉枠13を閉じた状態で本体枠12の孔部12a(図3参照)に挿入されるように構成されている。これにより、上皿23を含む形態で前扉枠13を構成し、その上下の軸支間隔を長くした本パチンコ機10においても、中間位置における前扉枠13の浮き上がりが防止できる。それ故、前扉枠13を浮かしての不正行為等が抑制されるようになっている。
図5の左側となる開閉軸線とは反対側の補強板132には鉤形状をなす上下一対の鉤金具155,156が取り付けられている。これら鉤金具155,156は、後方に延び、本体枠12に設けた挿入孔87,88(図3参照)に対応するようにして設けられている。本体枠12に対して前扉枠13を閉鎖した際、鉤金具155,156が本体枠12側の挿入孔87,88に挿入されて施錠装置により施錠状態とされるようになっている。
下側の補強板134には、前記発射レール61に対向する位置に樹脂ケース136が取り付けられている。樹脂ケース136には、前記貸球操作部120用の回路基板が収容されている。樹脂ケース136の背面(図5に見える面)は平坦状をなし、前扉枠13を閉じた際に発射レール61の側壁を構成するようになっている。故に、発射レール61から遊技球が前方にこぼれ落ちることが防止される。
下側の補強板134の一部を切り欠いた部位には、パチンコ機10後方に向けて球通路樋138が設置されており、球通路樋138の少なくとも上方には、同じくパチンコ機10後方に向けて延びる庇(ひさし)部139が設けられている。この場合、本体枠12側に前扉枠13を閉じた状態では、球通路樋138と庇部139との間に、本体枠12側の連通口72上辺に沿って延びる突条が入り込むようにして配置される。故に、球通路樋138より針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の内側が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。ガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着されている。
前述した通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前扉枠13を閉じた状態にあっては、内外のレール部51,52間に形成された球案内通路の一部が前扉枠13により覆い隠される構成となっている。それ故、球案内通路では手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材54まで至らず戻ってくると、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前扉枠13に、球案内通路の手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。レールカバー140は略円弧状をなす板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記球案内通路の形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、球案内通路の基端部から先端部近傍までの区間を覆うようになっている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。また、レールカバー140の右端部(すなわち、レールカバー140を前扉枠13に取着した図5の状態で右端となる部位)には、球案内通路がガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。以上のレールカバー140の構成により、前扉枠13が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が球案内通路のほぼ全域を覆うこととなって、遊技球が球案内通路外に飛び出したり、外レール部52とガラス137との間にできる隙間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
また、レールカバー140の下部裏側には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ後方へ向けて突出する突条142が形成されている。突条142は、前扉枠13が閉じられた状態において、球案内通路内に入り込んだ状態で内レール部51に重なり合うように配置される。従って、例えば前扉枠13と本体枠12との隙間から針金やフィルム等を侵入させて不正行為を行おうとしても、球案内通路の内側にある遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良く、かかる構成によれば、より広い範囲で針金やフィルム等を侵入させにくくなり、針金やフィルム等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。なお、図6はパチンコ機10の背面図、図7はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示す分解斜視図である。
まず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面側には、各種制御装置(各種制御基板)が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されるとともに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御装置を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に本体枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御装置271(主基板)と音声ランプ制御装置272(音声ランプ制御基板)とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御装置311(払出制御基板)、発射制御装置312(発射制御基板)及び電源装置313(電源基板)を他方の取付台に搭載してユニット化している。以下においては、便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化され、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12又は遊技盤30の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置された場合に隠れた部位を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。実際には、図8の概略図に示すように、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重複する領域に、裏パックユニット203が配置されている。
第1制御基板ユニット201にはパチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1による軸線Aを中心に第1制御基板ユニット201が回動可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部すなわち支軸部M1の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。また、第2制御基板ユニット202にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4による軸線Bを中心に第2制御基板ユニット202が回動可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部すなわち支軸部M4の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。さらに、裏パックユニット203にはパチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に裏パックユニット203が回動可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部すなわち支軸部M6の反対側となる開放端側にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられるとともに、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10本体の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
各ユニット201〜203を回動可能に支持する支軸部M1,M4,M6は、各ユニット201〜203をパチンコ機10の裏面から開いた状態で容易に取り外し可能なヒンジ構造となっている。簡単に説明すると、第1制御基板ユニット201については、締結部M2の締結及び係止爪部M3の係止を解除すると共に、当該ユニット201を軸線Aを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203がない前提であれば、第1制御基板ユニット201を取り外すことができる。また、第2制御基板ユニット202については、締結部M5の締結を解除すると共に、当該ユニット202を軸線Bを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、第2制御基板ユニット202を取り外すことができる。さらに、裏パックユニット203については、締結部M7の締結及び係止部M8,M9の係止を解除すると共に、当該ユニット203を軸線Cを中心に回動させて展開し、その状態で持ち上げる。これにより、裏パックユニット203を取り外すことができる。
ここで、各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。この場合、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203に一部重複して設けられるため、裏パックユニット203を開かないことには第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能であり、さらに言うと、第1制御基板ユニット201及び裏パックユニット203が各々逆方向に展開する構成であるため、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ第1制御基板ユニット201を取り外すことが不可能である。従って、第1制御基板ユニット201を取り外すことに着目すると、他のユニット202,203に比べて取り外しが困難な構成となっている。さらに、施錠装置をキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっているため、より一層第1制御基板ユニット201の取り外しが困難なものとなっている。より具体的な構成については後述する。
次に、本体枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。なお、図9は本体枠12に遊技盤30を組み付けた状態でかつ前記各ユニット201〜203等を取り外した状態の構成を示す背面図、図10は本体枠12を後方より見た斜視図、図11は遊技盤30を後方より見た斜視図である。
遊技盤30は、樹脂ベース25に囲まれた四角枠状の設置領域に裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって後方へ脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動操作することができ、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とに切り換えることができるよう構成されている。図9にはロック状態を示す。左右3カ所の係止固定具211は金属片を折り曲げ形成したL型の金具であり、遊技盤30の固定状態で本体枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、下部1カ所の係止固定具212は合成樹脂製のI型の留め具である。
遊技盤30の中央に配置される可変表示ユニット35には、センターフレーム43(図4参照)を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、図柄表示装置41と表示制御手段としての表示制御装置214とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム43に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
遊技盤30の裏面には、可変表示ユニット35を取り囲むようにして集合板ユニット215が設けられている。集合板ユニット215は、薄板状の枠体として例えばABS樹脂等の合成樹脂により成形されるベースを有し、そのベース面が遊技盤30の裏面に当接されるようにして取り付けられている。集合板ユニット215には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット215の下方には、前記一般入賞口31、可変入賞装置32、作動口33の遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、本体枠12にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製の排出通路盤217が取り付けられており、排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部の例えば遊技ホールの島設備等へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図9に仮想線で例示するように、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも集合板ユニット215の回収通路216を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に集合板ユニット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複していない。従って、遊技盤30を本体枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿23の裏側に配置されており、上皿23に至る球排出口(図2の球通路樋138)より針金やフィルム等を差し込み、さらにその針金やフィルム等を本体枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで、本パチンコ機10では、図10に示すように、排出通路盤217には、球通路樋138の上部位置に対応する高さ位置に、本体枠12に重なり合うようにしてパチンコ機10前方に延びるプレート219を設けた。従って、本体枠12と排出通路盤217との隙間から針金やフィルム等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金やフィルム等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金やフィルム等を利用して可変入賞装置32を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
入賞検知機構について説明すると、図9に示すように、集合板ユニット215には、遊技盤30表側の一般入賞口31と対応する位置に入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32と対応する位置にカウントスイッチ223が設けられている。カウントスイッチ223は、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口33に対応する位置には作動口33への遊技球の入賞を検知する作動口スイッチ224が設けられ、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲート34の遊技球の通過を検知するゲートスイッチ225が設けられている。入賞口スイッチ221及びゲートスイッチ225は電気配線を通じて盤面中継基板226に接続され、カウントスイッチ223は可変入賞装置中継基板227に接続されている。そして、盤面中継基板226及び可変入賞装置中継基板227が主制御装置271に接続されている。作動口スイッチ224は中継基板を介さずに直接主制御装置271に接続されている。その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、可変入賞装置の開閉扉を開放するための可変入賞装置ソレノイドが設けられ、作動口33には、それに付随する電動役物39を開放するための電動役物ソレノイドが設けられている。
ここで、可変入賞装置が開放又は閉鎖される際の動作について簡単に説明する。可変入賞装置ソレノイドが励磁されていない場合、可変入賞装置32の開閉扉は該可変入賞装置32を閉鎖するよう起立した状態で保持される。一方、可変入賞装置ソレノイドが励磁された場合には、開閉扉が遊技機前方へと傾動して可変入賞装置32が開放される。その後、可変入賞装置ソレノイドの励磁が終了すると、開閉扉が上下方向に起立した状態に復帰して可変入賞装置32が閉鎖される。
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置271に取り込まれ、該主制御装置271よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信される。そして、払出制御装置311の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。
集合板ユニット215には、その右上部に盤用外部端子板230が設けられている。盤用外部端子板230には、図柄の変動が停止(確定)する毎に信号出力するための出力端子と、大当たり状態発生時に信号出力するための出力端子と、大当たり状態下で信号出力するための出力端子とが設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して遊技(遊技盤30側の状態)に関する信号が出力される。盤用外部端子板230は、取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられている。なお、図9に示すように、本体枠12裏側の左下部には、打球槌等を備えるセットハンドル228及び発射モータ229が設けられている。
集合板ユニット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる軸受け金具231が設けられ、この軸受け金具231には同一軸線上に上下一対の軸受け孔231aが形成されている。また、遊技盤30において、軸受け金具231の右方には上下一対の被締結孔(具体的にはナイラッチの取付孔)232が設けられ、軸受け金具231の上方には係止爪片233が設けられている。
本体枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、本体枠12にはその右端部に長尺状の軸受け金具235が取り付けられている。この軸受け金具235は補強部材としても機能する。図12に示すように、軸受け金具235は遊技盤30よりも下方へ延びる長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より後方へ起立させるようにして、下部2カ所に第2制御基板ユニット202用の軸受け部237が形成されると共に、上部2カ所に裏パックユニット203用の軸受け部238が形成されている。これら軸受け部237,238にはそれぞれ同軸の軸受け孔が形成されている。なお、第2制御基板ユニット202用の軸受け部237と裏パックユニット203用の軸受け部238とを各々個別の軸受け金具で構成することも可能である。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、本体枠12には、遊技盤30設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(具体的には、ナイラッチの取付孔)240が設けられている。本体枠12において遊技盤30の左上方、右寄り上方及び右寄り下方の各位置には、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具241,242,243がそれぞれ設けられている。なお、裏パックユニット203は、その上部に大量の遊技球を貯留することから、裏パックユニット203の上部を支持するための固定具241,242に関しては特に十分な強度を持つ構成とするのが望ましく、本実施の形態では回動式の固定具を用いている。
上記の如く本体枠12の左右一側部(図9では右側部)には長尺状の軸受け金具235が設けられる一方、本体枠12の左右他側部(図9では左側部)には施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠247と、その基枠247に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆248とを備え、基枠247の下部に前記シリンダ錠91が一体化されている。連動杆248は、シリンダ錠91の操作により上下いずれかの方向に移動する。連動杆248には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具249が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉鎖した際には、鉤金具249が外枠11側の支持金具(図示略)に係止され、施錠装置により施錠状態とされるようになっている。この場合、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が上方向に移動すると、外枠11に対する本体枠12の施錠が解除される。逆に、シリンダ錠91の操作によって連動杆248が下方向に移動すると、本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除される。
なお、本体枠12の左右側部に軸受け金具235と施錠装置(基枠247、連動杆248等)とが振り分けられる上記構成において、これら軸受け金具235及び施錠装置(基枠247、連動杆248等)を配置するための領域を残した幅となるようにして、本体枠12に前記遊技盤30が取り付けられている。これによっても遊技領域の拡張が図られていることは前述した通りである。
本体枠12の背面における遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿23、下皿16又は排出通路218のいずれかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。遊技球分配部245は、左側の開口部245aが第1排出口66を介して上皿23に通じ、中央の開口部245bが第2排出口67を介して下皿16に通じ、右側の開口部245cが排出通路218に通じるように、各通路が形成されている。遊技球分配部245は、本体枠12に対してネジ等により強固に取り付けられている。従って、遊技球分配部245の設置部位における浮き上がりが防止され、隙間から針金やフィルム等を侵入させることによる不正行為が防止できるようになっている。なお、本体枠12の下端部には、奥壁パネル17の裏側に設置されたスピーカ20の背後を囲むための合成樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、スピーカボックス246がスピーカ音を後方へ逃さないように機能することで低音域の音質改善が図られている。
次に、第1制御基板ユニット201の構成を図13〜図16に基づいて説明する。図13は第1制御基板ユニット201の正面図、図14は同ユニット201の斜視図、図15は同ユニット201の分解斜視図、図16は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、取付台251に主制御装置271と音声ランプ制御装置272とが搭載されている。主制御装置271は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックス273に収容されて構成されている。なお、基板ボックス273は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニット274によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス273が封印されている。
封印ユニット274はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図14等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニット274による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット274を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合発生の際や主基板の検査の際など基板ボックス273を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス273の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス273に残しておけば、基板ボックス273を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス275に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置272上には電源中継基板276が搭載されており、電源装置313の電源が電源中継基板276を介して表示制御装置214及び音声ランプ制御装置272に供給されるようになっている。
取付台251は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製であり、例えば緑や青等に着色されて不透明とされている。但し、取付台251は無色透明又は半透明であってもよい。取付台251の表面には平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は縦横に直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。基板搭載面252の上縁部及び下縁部にはそれぞれ、基板搭載面252より起立した起立部254が一体成形されている。そして、横長の基板搭載面252上に主制御装置271が配置されると共に、縦長の基板搭載面253上に音声ランプ制御装置272が配置される。このとき、主制御装置271は、上下の側部が起立部254にて支えられる。また、音声ランプ制御装置172は、複数箇所でネジ等により基板搭載面253に固定される。
ここで、図15及び図16に示すように、基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔256が形成されている。一方、主制御装置271の基板ボックス273には、その裏面の左右2カ所に回動操作式の固定具277が設けられている。主制御装置271を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔256に固定具277が挿通されるように主制御装置271を載置し、その状態で固定具277を回動操作することで主制御装置271がロックされる。従って、主制御装置271は第1制御基板ユニット201の裏面側から固定具277をロック解除しなければ取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が得られる。
また、取付台251において、主基板用の基板搭載面252の下方には、基板搭載面252の裏面空間に通じる開口を遮蔽するための遮蔽部257が設けられている。従って、基板搭載面252の下方より取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。また、第1制御基板ユニット201をパチンコ機10裏面に搭載した状態では、当該ユニット201の上部が裏パックユニット203により覆われるため、やはり取付台251の裏面に手などを差し入れることが阻止され、固定具277のロック状態を不正に解除することができないようになっている。
前述した通り、第1制御基板ユニット201は、裏パックユニット203を所定角度以上に大きく開いた状態又は同ユニット203を取り外した状態でなければ取り外すことが不可能であり、また、施錠装置を正しくキー操作して外枠11に対して本体枠12を開放しなければ、裏パックユニット203を開くことができない構成となっている。つまり、本体枠12を開くことができなければ、結果的に第1制御基板ユニット201を回動させたり取り外すことができず、ひいては主制御装置271の取り外しも不可能となる。それ故、主制御装置271の不正な載せ替えや盗難等を効果的に防止することができる。
主制御装置271は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置272はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているため、これら基板搭載面252,253に主制御装置271及び音声ランプ制御装置272を搭載した状態において各制御装置271,272はその一部を前後に重ねて配置される。つまり、図14等にも見られるように、主制御装置271はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置される。故に、主制御装置271に重なる領域まで音声ランプ制御装置272を拡張することが可能となり、また別の見方をすれば音声ランプ制御装置272に重なる領域まで主制御装置271を拡張することが可能となり、パチンコ機10という限られた大きさの中にあっても、各制御基板271,272の大型化に良好に対処できるとともに、各制御装置271,272を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、可変入賞装置32やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。なお、基板搭載面252の裏面には格子状のリブ258が設けられており、主制御装置271の支持強度が高められている。
取付台251の左端面には上下一対の掛止ピン261が設けられており、この掛止ピン261を前記軸受け金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して回動可能に片持ち支持される。取付台251の右端部には前記被締結孔232にはめ込まれる締結具として上下一対のナイラッチ262が設けられている。取付台251の上端部には前記係止爪片233が係止される長孔263が設けられている。従って、ナイラッチ262を被締結孔232にはめ込むと共に、長孔263に係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、軸受け金具231及び掛止ピン261が前記支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ262が前記締結部M2に、係止爪片233及び長孔263が前記係止爪部M3に、それぞれ相当する。
次に、第2制御基板ユニット202の構成を図17〜図19に基づいて説明する。図17は第2制御基板ユニット202の正面図、図18は同ユニット202の斜視図、図19は同ユニット202の分解斜視図である。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311及び発射制御装置312は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板により、賞球や貸出球の払出が制御される。発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われる。また、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、主制御装置271と同様、被包手段を構成する基板ボックス315がボックスベースとボックスカバーとを備え、それらが封印手段としての封印ユニット319によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、後述する払出モータの球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。基板搭載面302には、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が横並びとなった状態で搭載され、ネジ等で固定されている。電源装置313の基板ボックス317上には略平板状の台座プレート303が載置されるとともに台座プレート303上に払出制御装置311が搭載され、ネジ等で固定されている。払出制御装置311と電源装置313との間には台座プレート303が介在するため、例えばノイズ除去用の金属プレート等を設置するには台座プレート303に金属プレート等を取り付ければ良く、ノイズ対策が簡単に実現できる。
取付台301には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン305が設けられており、掛止ピン305を前記軸受け部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。取付台301の左端部には締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を前記被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が本体枠12に固定される。なお、軸受け部237及び掛止ピン305が前記支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が前記締結部M5に、それぞれ相当する。
次に、裏パックユニット203の構成を図20〜図22に基づいて説明する。図20は裏パックユニット203の正面図、図21は裏パックユニット203の分解斜視図である。図22はタンクレールの分解斜視図である。
裏パックユニット203は、裏パック351と遊技球の払出機構部352とが一体化されることにより構成されている。裏パック351は例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置272も併せて囲む構成となっている。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置214等を露出させることで、所定の検定等を容易に行うことができるようになっている。
裏パック351のベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、タンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、タンクレール356の下流側には上下方向に延びるケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出制御装置311の制御により払出モータ358aが駆動されて必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は払出通路359等を通じて前記上皿23等に供給される。なお、図示は省略するが、ケースレール357の上流部には、タンク355やタンクレール356から供給される遊技球の有無を検出するタンク球無しセンサが設けられている。また、払出装置358には、払出モータ358aの回転を検出する払出回転センサと、払い出される遊技球数をカウントする払出カウントスイッチとが設けられている。
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。バイブレータ360は、バイブモータとそのバイブモータを収容する合成樹脂製のケースとによりユニット化されており、2本の脚部360aでタンクレール356に取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
タンクレール356の構成ついて詳述すると、図22に示すように、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有している。レール本体361の上流部には球面状の球受部362が形成され、球受部362によりタンク355より落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれるようになっている。レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に塵埃を落下させるための開口部365が設けられている。レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。整流板367は、下流側ほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、その下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが発生し難くなっている。なお、レール本体361が帯電防止のために黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は球詰まり等を目視で確認できるように透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。整流板367には、遊技球の流下を阻止するための手動式のストッパ369が取り付けられている。
図20,図21の説明に戻り、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切り替え操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する合成樹脂材料、例えば導電性ポリカーボネート樹脂にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
裏パック351には、その右上部に枠用外部端子板390が設けられている。枠用外部端子板390には、タンク355やタンクレール356で遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、本体枠12の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠13の開放時に信号出力するための出力端子が設けられている。そして、これらの出力端子を通じて、遊技ホール側の管理制御装置に対して枠側の状態に関する信号が出力される。なお、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子はいわゆる現金機においては不要である。
裏パック351には、枠用外部端子板390に隣接して略四角形状の窓部391が設けられている。従って、裏パックユニット103を本体枠12に取り付けた状態では、窓部391を通じて遊技盤30裏面の盤用外部端子板230が露出し、裏パックユニット103を装着したままで盤用外部端子板230の操作を行うことができるようになっている。前述のとおり、盤用外部端子板230は取り外し容易な状態で集合板ユニット215に取り付けられていることから、盤用外部端子板230の配線を接続したままで、窓部391を介して当該盤用外部端子板230を取り出すことも可能となる。裏パック351の右上部には本体枠12の開放の状態を検出するための本体枠開放スイッチ392が設けられており、外枠11に対して本体枠12を閉じた状態では当該スイッチ392の金属接点が閉じて本体枠12の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠12を開いた状態では金属接点が開いて本体枠12の開放が検知されるようになっている。
裏パック351には、パチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン385が設けられており、掛止ピン385を前記軸受け部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が本体枠12に対して回動可能に片持ち支持される。裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を前記被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に前記固定具242を挿入した上で当該固定具242を回動操作することで、裏パックユニット203が本体枠12に固定される。また、前記固定具241,243によっても裏パックユニット203が本体枠12に固定される。なお、軸受け部238及び掛止ピン385が前記支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が前記締結部M7に、固定具242及び係止孔387が前記係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が前記係止部M9に相当する。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図23のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置271には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込み処理(図29参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図30参照)において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
主制御装置271のCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。主制御装置271の入力側には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。一方、主制御装置271の出力側には、払出制御装置311,表示制御装置214及び7セグ表示装置47が接続されている。また、第1,第2特定ランプ部48a,48bのLEDのスイッチも接続されており、各特定ランプ部48a,48bは主制御装置271により直接制御されている。なお、主制御装置271には、表示制御装置214に対して制御信号を送信するが表示制御装置214からの制御信号を受信しない一方向通信構成となるよう、ドライバ等の規制素子が設けられている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置271のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込み処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置271のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、停電の発生により、NMI割込み処理が即座に実行されるようになっている。
払出制御装置311のCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置271、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
表示制御装置214は、図柄表示装置41における図柄の変動表示や大当たり状態下の大当たり表示を制御するものである。表示制御装置214は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、2つの出力ポート528,529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力側には主制御装置271の出力側と選択スイッチ108が接続されている。表示制御装置214には、主制御装置271からの制御信号を受信するが主制御装置271側に制御信号を送信しない一方向通信構成となるよう、ドライバ等の規制素子が設けられている。入力ポート527の出力側には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されると共にバスライン530を介して出力ポート528が接続されている。出力ポート528の出力側には音声ランプ制御装置272が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力側には図柄表示装置41が接続されている。
表示制御装置214のCPU521は、主制御装置271から送信される表示コマンド等の各種コマンドや遊技者による選択スイッチ108の操作に基づいて図柄表示装置41の表示制御を行うと共に、音声ランプ制御装置272に対して制御コマンドを送信する。プログラムROM522は、CPU521により実行される各種の制御プログラムや表示モードに応じた背景画像データ等の固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、図柄表示装置41に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き替えることにより、図柄表示装置41の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、図柄表示装置41に表示される図柄やリーチ演出時に表示するキャラクタなどのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置41に表示させるものである。
音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214から送信される制御コマンドに基づいてスピーカ20や環状電飾部102等を制御するものであり、CPUやROM、RAM、各種ポート等を備えている。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置271や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置271や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置271のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置271及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置271及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込み処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込み処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置271及び払出制御装置311は、NMI割込み処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置271及び払出制御装置311のバックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。RAM消去スイッチ323が押された際、RAM消去スイッチ回路543は、主制御装置271及び払出制御装置311に対してRAM消去信号SG2を出力する。これにより、RAM消去スイッチ323が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御装置271及び払出制御装置311においてそれぞれのバックアップエリア503a,513aのデータがクリアされる。
ここで、図柄表示装置41の表示内容について図24、図25に基づいて説明する。図24は図柄表示装置41にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図25は図柄表示装置41の表示画面Gを示す図である。
図24(a)〜(j)に示すように、図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄の右側に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。この場合において、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、当該特定図柄で大当たりが発生した場合、遊技状態が大当たり状態に移行すると共に、さらにその後、特定遊技状態としての時短状態に移行する。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、当該非特定図柄で大当たりが発生した場合、大当たり状態に移行し、大当たり状態終了後は時短状態ではなく高確率状態に移行する。なお、高確率状態とは、大当たり状態の終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変状態のことをいい、通常状態(低確率状態)とは、上記高確率状態及び時短状態でない遊技状態をいう。また、時短状態とは通常状態よりも電動役物39が開放状態に制御される機会が増え、通常状態よりも、作動口33に遊技球が入球し易くなる状態のことである。
なお、詳細な説明は省略するが、一遊技回の時間は主制御装置271がRAM503に設けられた変動パターンテーブルから決定するものであり、決定された一遊技回の時間に基づいて7セグ表示装置47における図柄の変動表示が行われるものである。そして、主制御装置271が決定した一遊技回の時間に合わせて表示制御装置214による図柄表示装置41の制御が行われることとなる。本実施の形態では、時短状態よりも通常状態の方が一遊技回あたりの時間が短くなるように、一遊技回の時間を主制御装置271が変動パターンテーブルから決定する。これにより、通常状態よりも時短状態の方が一遊技回あたりの図柄の変動表示が行われる時間が短くなる。仮に、変動表示が行われている時間が上記のように短くならないとすると、作動口33に遊技球が入球し易くなることによって常に保留球格納エリアN1の値が最大値である4になってしまうことが考えられる。本実施の形態では、保留球格納エリアN1の値が4の場合には作動口33に遊技球が入球したとしても、大当たり状態に移行するか否かの抽選が行われない。時短状態において変動表示が行われる時間を短くすることによって、常に保留球格納エリアN1の値が4になってしまい、作動口33に遊技球が入球したとしても大当たり状態に移行するか否かの抽選が行われないことを抑制することができる。
なお、本実施の形態の場合、高確率状態は図柄の変動表示が5回行われた場合に終了するよう設定されている。非特定図柄で大当たりが発生した場合、5回の高確率状態を経て、20回の時短状態に移行する。特定図柄で大当たりが発生した場合には、高確率状態に移行することなく100回の時短状態に移行する。高確率状態及び時短状態については後に詳細に説明する。なお、本実施の形態では図柄の変動表示が開始し、その図柄の変動表示が終了するまでを一の遊技回としている。
次に、図柄表示装置41の表示画面Gについて説明する。図25(a)に示すように、図柄表示装置41の表示画面Gには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、上述した主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって右から左へとスクロールするように変動表示される。また、図25(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。
また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに大当たり図柄の組み合わせ(本実施の形態では同一主図柄の組み合わせ)が形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、大当たり発生として大当たり動画が表示されるようになっている。また、大当たりの前段階として、上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄がいずれかの有効ラインに停止表示されるとリーチとなり、その後にリーチ演出が行われる。なお以下の説明では便宜上、各主図柄を各々に付された数字で記述することとし、具体的にはそれぞれ「1」図柄、「2」図柄、「3」図柄、・・・「9」図柄と記述する。また、リーチとなった場合の上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄をリーチ図柄と記述し、リーチ図柄が停止した有効ラインをリーチラインと記述する。
また、表示画面Gの右下部には電動役物39が開放状態に制御されるか否かの抽選結果を示すために用いる普通画面Gaが設けられている。普通画面Gaについては、電動役物39の動作と合わせて後に説明する。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御装置271内のCPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、7セグ表示装置47の図柄表示の設定、第1,第2特定ランプ部48a,48bの発光の設定や、図柄表示装置41の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図26に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄を外れ変動させる際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、特定大当たりの際の昇格抽選等に使用する昇格乱数カウンタC4と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCSと、上図柄列Z1、中図柄列Z2及び下図柄列Z3の各外れ図柄の設定に使用する上・中・下の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLとを用いることとしている。さらに、電動役物39を開放状態に制御するか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC5を用いている。
このうち、カウンタC1〜C5,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCU,CM,CLは、CPU501内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口33への遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4の各値が時系列的に格納されるようになっている。さらに、RAM503には1つの実行エリアと4つの保留エリアとからなる役物保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアにはスルーゲート34を遊技球が通過することによって電動役物開放カウンタC5の値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜198)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1
回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、通常状態若しくは時短状態と、高確率状態とで2種類設定されており、通常状態及び時短状態で大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「7,11」であり、高確率状態下で大当たりとなる乱数の値の数は20で、その値は「13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,51,53,59,61,67,71,73,79,91,97」である。これにより、通常状態及び時短状態における一遊技回あたりの大当たりとなる確率は約1%、高確率状態下における一遊技回あたりの大当たりとなる確率は約10.1%となる。なお、大当たりとなる確率を変更してよいことはいうまでもなく、大当たりとなる確率を変更する場合には、乱数の数を変更にすることによって容易に行うことができる。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たり状態の終了後に高確率状態に移行させるか否かを決定することとしており、例えば、C2=0〜24が大当たり状態終了後に時短状態に移行する特定大当たりに該当し、C2=25〜49が大当たり状態終了後に遊技回が5回経過するまで高確率状態に移行する非特定大当たりに該当する。すなわち、大当たりの2分の1で特定大当たりとなり、大当たり状態終了後の2分の1で高確率状態に移行する。また、詳細は後述するが、大当たり種別カウンタC2により、停止表示させる大当たり図柄の組み合わせと、この大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる有効ラインとを決定可能な構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。また、本実施の形態では、可変入賞装置32が5回開放される大当たり状態と、可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態とが設定されている。この大当たり状態の種類についても大当たり種別カウンタC2を用いて決定しており、本実施の形態では大当たり種別カウンタC2の値が23又は24の場合に、可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態であることを意味する。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、最終停止図柄列(本実施の形態では中図柄列Z2)のその遊技回で大当たりとなり得る大当たり図柄(具体的にはリーチ図柄と同一の主図柄)がリーチラインから前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、最終停止図柄列の大当たり図柄がリーチラインの前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄が有効ラインに停止せずリーチとならない「完全外れ」とを抽選することとしている。つまり、本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって外れリーチを行うか否かを抽選することとしており、例えばC3=0,1が前後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、遊技状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
昇格乱数カウンタC4は、例えば0〜104の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり104)に達した後0に戻る構成となっている。詳細は後述するが、本実施の形態では、特定大当たりの場合に特定図柄ではなく非特定図柄の組み合わせを有効ラインに停止表示させ、大当たり状態下で特定大当たりであることを報知する昇格演出を行う場合がある。そして、昇格乱数カウンタC4によってこの昇格演出を行うか否かを決定することとしており、例えばC4=0〜8であれば昇格演出を行い、C4=9〜104であれば昇格演出を行わない。昇格乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
電動役物開放カウンタC5は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。詳細は後述するが、本実施の形態では、電動役物39を開放状態に制御するか否かの抽選を行う場合がある。そして、電動役物開放カウンタC5によってこの開放状態に制御するか否かを決定することとしており、例えば、C5=0〜190であれば、電動役物39を開放状態に制御し、C5=191〜250であれば、電動役物39を開放状態に制御しない。電動役物開放カウンタC5の値は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球がスルーゲート34を通過したタイミングでRAM503の役物保留球格納エリアに格納される。
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSによって、一遊技回あたりの時間が決定され、その決定された時間に基づいて7セグ表示装置47のおける変動表示の時間が決定されるとともに、図柄表示装置41におけるノーマルリーチ、スーパーリーチ等のいわゆるリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
上・中・下の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLは、大当たり抽選が外れとなった時に上図柄列Z1、中図柄列Z2、下図柄列Z3の左ラインL1に停止表示させる停止図柄を決定するためのものであり、各図柄列Z1〜Z3において変動表示される図柄の数と同数のカウンタ値が用意されている。すなわち、上・外れ図柄カウンタCUと下・外れ図柄カウンタCLには18個(0〜17)のカウンタ値が用意されており、中・外れ図柄カウンタCMには20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。上・外れ図柄カウンタCUにより上図柄列Z1の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定され、中・外れ図柄カウンタCMにより中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定され、下・外れ図柄カウンタCLにより下図柄列Z3の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定される。ちなみに、本実施の形態では、主図柄が昇順又は降順に配列された各図柄列Z1〜Z3がスクロールするように変動表示される。したがって、左ラインL1に停止表示させる図柄を決定すれば、中ラインL2と右ラインL3に停止表示させる図柄を一義的に導出することができる。
本実施の形態では、CPU501に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値(本実施の形態ではそれぞれ18,20,18)を超えた場合に最大値の分だけ減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCU,CM,CLは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCU,CM,CLの組み合わせが、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファのいずれかに格納される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄バッファ、前後外れ以外リーチ図柄バッファ及び完全外れ図柄バッファのいずれかのバッファ値が取得される。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、昇格乱数カウンタC4、変動種別カウンタCSの大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
次いで、主制御装置271内のCPU501により実行される各制御処理を図27〜図39のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込み処理とNMI割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図27は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置271のCPU501により例えば2msec毎に実行される。
図27において、ステップS101では、各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置271に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ323を除く)の状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3、昇格乱数カウンタC4及び電動役物開放カウンタC5をそれぞれ1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238,104,250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C5の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
その後、ステップS104では、作動口33への入賞に伴う始動入賞処理(抽選手段)を実行する。この始動入賞処理を図28のフローチャートにより説明すると、ステップS201では、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)したか否かを作動口スイッチ224の検出情報により判別する。ステップS201で作動口スイッチ224の検出情報があった場合には、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行し、遊技球が5個払い出される。遊技球が作動口33に入賞したと判別すると、続くステップS202では、7セグ表示装置47及び図柄表示装置41の作動保留球数N1が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。作動口33への入賞があり、且つ作動保留球数N1<4であることを条件にステップS203に進み、作動保留球数N1を1インクリメントする。続くステップS204では、前記ステップS103で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び昇格乱数カウンタC4の各値を、RAM503の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。
ステップS202で作動保留球数N1が上限値であった場合又はステップS204の処理を行った場合、ステップS205〜ステップS208の役物保留カウンタ取得処理を行う。
ステップS205では、スルーゲート34を遊技球が通過したか否かを判定する。遊技球がスルーゲート34を通過した場合には、ステップS206に進み、役物保留球数N2が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。スルーゲート34を遊技球が通過し、且つ、役物保留球数N2<4であることを条件にステップS207に進み、役物保留球数N2を1インクリメントする。続く、ステップS208では、上述した電動役物開放カウンタC5の値をRAM503の役物保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。ステップS205でスルーゲート34を遊技球が通過したと判定されなかった場合、ステップS206にて役物保留球数N2の値が上限値以上と判定された場合には電動役物開放カウンタC5の値を格納することなく、始動入賞処理を終了する。また、上述したように、スルーゲート34を通過した遊技球の数に対応して、すなわち、役物保留球数N2の値に対応して保留ランプ46が対応した数だけ点灯するようになっている。そして、始動入賞処理の後、CPU501は本タイマ割込み処理を終了する。
なお、遊技球が作動口33に入賞(始動入賞)した場合、それに伴い図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、図柄が変動表示を開始してから終了するまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞を確認した場合、各カウンタ値の格納処理(ステップS204)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットすることとしている。具体的には、上記始動入賞処理は2msec周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C4の値と共に、RAM503の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する図柄の変動パターン設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に図柄変動が停止されるよう)変動パターンが設定されるようになっている。
図29は、NMI割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は、主制御装置271のCPU501により停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。このNMI割込みにより、電源遮断時の主制御装置271の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置271内のCPU501のNMI端子に出力され、CPU501は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。図29のNMI割込み処理プログラムは、主制御装置271のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置271の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理において、ステップS301では使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し、続くステップS302ではスタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する。さらに、ステップS303では電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し、ステップS304では電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する。ステップS305ではRAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。ステップS306では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、上記のNMI割込み処理は払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込みにより、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のCPU511のNMI端子に出力され、CPU511は実行中の制御を中断して図29のNMI割込み処理を開始する。その内容はステップS304の電源遮断通知コマンドの送信を行わない点を除き上記説明と同様である。
図30は、主制御装置271内のCPU501により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
メイン処理において、ステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置272、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。ステップS402では、払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信し、続くステップS403では、RAMアクセスを許可する。
その後、CPU501内のRAM503に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS404では電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し、続くステップS405ではRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS406ではRAM判定値を算出し、続くステップS407では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(ステップS414〜S416)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(ステップS414〜S416)に移行する。つまり、ステップS414ではRAM503の使用領域を0にクリアし、続くステップS415ではRAM503の初期化処理を実行する。また、ステップS416では割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源遮断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS408では電源遮断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS409では電源遮断の発生情報をクリアする。ステップS410ではサブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるためのコマンドを送信し、ステップS411では使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる。また、ステップS412,S413では、割込み許可/不許可を電源遮断前の状態に復帰させた後、電源遮断前の番地へ戻る。
次に、通常処理の流れを図31のフローチャートを参照しながら説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S508の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS510,S511のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、図柄表示装置41による図柄の変動表示に際しては停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、変動終了コマンド等の表示コマンドを表示制御装置214に対して送信する。さらに、大当たり状態への移行に際しては状態移行コマンドを、可変入賞装置32の開閉に際しては開放コマンドや閉鎖コマンドを表示制御装置214に対して送信する。
次に、ステップS502では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントすると共に、カウンタ値が最大値(本実施の形態では198)に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS503では、上図柄列Z1、中図柄列Z2及び下図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新を実行する。
各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新処理を説明すると、図32に示すように、ステップS601では、上図柄列Z1の外れ図柄カウンタCUの更新時期か否かを判別し、ステップS602では、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMの更新時期か否かを判別する。そして、上図柄列Z1の更新時期(ステップS601がYES)であればステップS603に進み、上図柄列Z1の外れ図柄カウンタCUを更新する。また、中図柄列Z2の更新時期(ステップS602がYES)であればステップS604に進み、中図柄列Z2の外れ図柄カウンタCMを更新する。さらに、下図柄列Z3の更新時期(ステップS601,S602が共にNO)であればステップS605に進み、下図柄列Z3の外れ図柄カウンタCLを更新する。ステップS603〜S605の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新では、前回のカウンタ値にRレジスタの下位3ビットの値を加算すると共にその加算結果が最大値を超えた場合に最大値の分だけ減算し、その演算結果を外れ図柄カウンタCU,CM,CLの今回値とする。上記外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新処理によれば、上図柄列Z1、中図柄列Z2及び下図柄列Z3の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLが1回の通常処理で1つずつ順に更新され、各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新時期が重なることはない。これにより、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCU,CM,CLの1セット分が更新されるようになっている。
その後、ステップS606では、上記更新した外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせが、いずれかの有効ラインに大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせになっているか否かを判別し、大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせである場合、そのまま本処理を終了する。大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせでない場合、ステップS607では、いずれかの有効ラインにリーチ図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせになっているか否かを判別し、リーチ図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせである場合、さらにステップS608では、それが前後外れリーチの組み合わせを停止表示させる組み合わせであるか否かを判別する。前後外れリーチの組み合わせを停止表示させる組み合わせである場合、ステップS609に進み、その時の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせをRAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納する。前後外れ以外リーチの組み合わせを停止表示させる組み合わせである場合には、ステップS610に進み、その時の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせをRAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納する。外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせが大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせでなく、且つリーチ図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせでもない場合(ステップS606,S607が共にNOの場合)、これは外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせが外れ図柄の組み合わせを停止表示させる組み合わせになっていることに相当し、かかる場合にはステップS611に進み、その時の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値の組み合わせをRAM503の完全外れ図柄バッファに格納する。
外れ図柄カウンタCU,CM,CLの更新処理の後、図31のステップS504では、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込む。その後、ステップS505では、7セグ表示装置47における図柄の変動表示を行わせるための7セグ表示制御処理を実行する。この7セグ表示制御処理では、大当たり判定や図柄表示装置41による図柄の変動表示,7セグ表示装置47の図柄の変動表示の設定などを行う。但し、7セグ表示制御処理の詳細は後述する。
その後、ステップS506では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。この遊技状態移行処理により、遊技状態が大当たり状態、高確率状態又は時短状態に移行する。続くステップS507において、高確率状態から時短状態へ、時短状態から通常状態へ移行する第2遊技状態移行処理を行う。第1遊技状態移行処理及び第2遊技状態移行処理についての詳細は後述する。
第2遊技状態移行処理を行ったら、ステップS508に進み、電動役物39を開放するか否か抽選を行い、さらに、当該抽選に当選した場合には電動役物39を開放状態に制御する電動役物制御処理を行う。電動役物制御処理についての詳細は後述する。
その後、ステップS509では、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する(ステップS510,S511)。つまり、ステップS510では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS511では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198)に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。
ここで、ステップS501〜S508の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
次に、前記ステップS505の7セグ表示制御処理を図33〜図37のフローチャートを参照して説明する。
第1特定ランプ部制御処理において、ステップS701では、今現在の遊技状態が大当たり状態であるか否かを判別し、大当たり状態である場合にはそのまま本処理を終了する。大当たり状態でない場合には、ステップS702にて7セグ表示装置47が変動表示中であるか否かを判別する。7セグ表示装置47が変動表示中でない場合にはステップS703に進み、7セグ表示装置47及び図柄表示装置41の作動保留球数N1が0よりも大きいか否かを判別する。そして、作動保留球数N1が0である場合には、そのまま本処理を終了する。
作動保留球数N1>0であれば、ステップS704に進む。ステップS704では、作動保留球数N1を1減算する。ステップS705では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。
ステップS706では、7セグ表示装置47における変動表示を開始する7セグ表示装置変動開始処理を実行する。具体的には、ステップS706の処理を行うことによって7セグ表示装置47における図柄の変動表示が開始される。具体的には、後述する変動表示時間が経過するまで7セグ表示装置47にて図柄の変動表示が行われることとなる。
その後、ステップS707では、図柄表示装置41による図柄の変動表示を開始させるための変動開始処理を実行する。ここで、変動開始処理について図34のフローチャートを用いて詳細に説明する。
変動開始処理では、ステップS801において、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。より具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値が、通常状態下で「337,673」のいずれかの場合に大当たりであると判別し、高確率状態下で「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」のいずれかの場合に大当たりであると判別する。
大当たりであると判別した場合にはステップS802に進み、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値が24以下か否かを判別する。大当たり種別カウンタC2の値が24以下である場合には特定大当たりであることを意味する。ステップS802にて大当たり種別カウンタC2の値が24以下と判定された場合には、ステップS803にて大当たり種別カウンタC2の値が23又は24であるか否かを判定する。上述したように、本実施の形態では、可変入賞装置32が開放する回数が、5回の大当たり状態と15回の大当たり状態とが設定されている。大当たり種別カウンタC2の値が23又は24の場合には、可変入賞装置32が開放する回数が15回の大当たり状態であることを意味する。それぞれの大当たり状態については、後に詳細に説明する。
ステップS803にて大当たり種別カウンタC2の値が23又は24と判定された場合には、ステップS804に進み、7セグ表示装置47の最終停止が「−2」となるよう「−2」表示フラグをセットするとともに、7セグ表示装置47に「−2」が表示された後に第1特定ランプ部48aが赤色に点灯するよう第1赤色フラグをセットする。7セグ表示装置に「−2」と表示され、第1特定ランプ部48aが赤色に点灯することによって、大当たり状態において可変入賞装置32が15回開放され、当該大当たり状態が終了した後に時短状態に移行することを意味する。
一方、ステップS803にて大当たり種別カウンタC2の値が23でも24でもないと判定された場合にはステップS805に進み、7セグ表示装置47の最終表示が「−1」なるよう「−1」フラグをセットするとともに、7セグ表示装置47に「−1」が表示された後に第2特定ランプ部48bが赤色に点灯するよう第2赤色フラグをセットする。7セグ表示装置に「−1」と表示され、第2特定ランプ部48bが点灯することによって、大当たり状態において可変入賞装置32が5回開放され、当該大当たり状態が終了した後に時短状態に移行することを意味する。
ステップ804又はステップS805の処理を行ったら、ステップS806に進み、特定フラグをセットする。また、ステップS807では、特定大当たりが発生することを示すと共に表示制御装置214に対して送信される特定コマンドを設定する。
続くステップS808では、図柄の変動表示を終了させた際に停止表示させる大当たり図柄の組み合わせを決定する大当たり図柄決定処理を行う。
大当たり図柄決定処理を図35のフローチャートに基づいて説明すると、ステップS901では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている昇格乱数カウンタC4の値が8以下か否かを判別する。昇格乱数カウンタC4の値が8以下でないと判別した場合には、昇格抽選に当選しなかったことを意味する。かかる場合にはステップS902にて大当たり図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値と対応する大当たり図柄の組み合わせを求める。
ここで、大当たり図柄テーブルとは、図36(a)に示すように、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせとの対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる場合に左ラインL1に停止表示させる各図柄列Z1〜Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。
本実施の形態における大当たり図柄の組み合わせは、中図柄列Z2に「4」図柄が2個配されているため、この2通りの「4」図柄の組み合わせを含めて10通り存在する。そして、有効ラインが5ライン設定されることから、大当たり発生となる各図柄列Z1〜Z3の停止パターンは50通り存在することとなる。そこで、大当たり図柄テーブルでは、大当たり種別カウンタC2の0〜49の各値と50通りの停止パターンとが対応付けられており、大当たり種別カウンタC2の値から大当たり発生となる場合の各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を導出できるようになっている。より詳しくは、大当たり種別カウンタC2の0〜24の各値が特定大当たり発生となる奇数図柄(特定図柄)の組み合わせの各停止パターンと対応付けられており、25〜49の各値が非特定大当たり発生となる偶数図柄(非特定図柄)の組み合わせの各停止パターンと対応付けられている。例えば、大当たり種別カウンタC2の値が2の場合、図柄の変動表示が終了した際に「5」図柄の組み合わせが中ラインL2に停止表示されることとなり、大当たり種別カウンタC2の値が27の場合、図柄の変動表示が終了した際に「6」図柄の組み合わせが中ラインL2に停止表示されることとなる。さらに具体的に説明すると、中ラインL2に「5」図柄の組み合わせが停止表示される場合、上図柄列Z1では「5」図柄と「6」図柄の間に配された副図柄が左ラインL1に停止表示され、中図柄列Z2と下図柄列Z3では「4」図柄と「5」図柄の間に配された副図柄が左ラインL1に停止表示される。したがって、大当たり図柄テーブルにおけるC2=2と対応するエリアには、上記各図柄を示す図柄番号の値、「11H,09H,09H」が格納されている。なお、「4a」図柄とは、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄との間に配された「4」図柄のことであり、「3」図柄と「5」図柄との間に配された「4」図柄との区別を容易なものとするため便宜上「4a」と記載している。また、上述した可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態の場合、対応している図柄は「7」図柄である。「7」図柄の組合せが成立した場合、又は昇格演出が行われることに当選し「6」図柄の組合せが成立した場合に、可変入賞装置32が15回開放される大当たりとなる。
続くステップS903では、大当たり図柄テーブルの参照結果に基づいて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定し、本処理を終了する。
一方、ステップS901にて昇格乱数カウンタC4の値が8以下であると判別した場合には、昇格抽選に当選したことを意味する。かかる場合にはステップS904に進み、昇格抽選に当選したことを示すと共に表示制御装置214に対して送信される昇格コマンドを設定する。その後、ステップS905では、昇格図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値と対応する大当たり図柄の組み合わせを求める。
ここで、昇格図柄テーブルとは、図36(b)に示すように、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせとの対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たり図柄の組み合わせを停止表示させる場合に左ラインL1に停止表示させる各図柄列Z1〜Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。但し、昇格図柄テーブルでは、大当たり図柄テーブルとは異なり、大当たり種別カウンタC2の0〜24の各値すなわち特定大当たり発生となる場合の各値と大当たり図柄の組み合わせとの対応関係のみが定められている。さらに、昇格図柄テーブルでは、大当たり種別カウンタC2の0〜24の各値が非特定大当たり発生となる偶数図柄の組み合わせの各停止パターンと対応付けられている。つまり、昇格抽選に当選した場合、特定大当たりであるにも関わらず非特定図柄の組み合わせが停止表示される。換言すれば、昇格抽選に当選すると、特定図柄の組み合わせではなく非特定図柄の組み合わせを停止表示させるように各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更するとも言える。詳細は後述するが、昇格抽選に当選した場合、大当たり状態下で特定大当たりであることが報知される。大当たり種別カウンタC2の0〜24の各値を非特定図柄の組み合わせの各停止パターン、すなわち非特定大当たりとなる25通りの停止パターンと対応付けることにより、いずれの有効ラインに非特定図柄の組み合わせが停止した場合であっても特定大当たりの余地を残すことが可能となり、高確率状態への移行に対する期待感を持続させることが可能となる。
続くステップS903では、昇格図柄テーブルの参照結果に基づいて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定し、本処理を終了する。
図34の説明に戻り、ステップS802において大当たり種別カウンタC2の値が24以下でない場合には非特定大当たりであることを意味する。かかる場合にはステップS809に進み、7セグ表示装置47の最終表示が「−0」となるよう「−0」表示フラグをセットするとともに、7セグ表示装置47に「−0」が表示された後に第2特定ランプ部48bが赤色に点灯するよう第2赤色フラグをセットする。7セグ表示装置47の最終表示が「−0」となり、第2特定ランプ部48bが点灯することによって、大当たり状態が終了した場合に、遊技回が5回経過することにより終了する高確率状態に移行することを意味する。ステップS810では、非特定大当たりが発生することを示すと共に表示制御装置214に対して送信される非特定コマンドを設定する。その後、ステップS811では上述した大当たり図柄テーブルを参照し、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC2の値と対応する大当たり図柄の組み合わせを求める。ステップS812では、大当たり図柄テーブルの参照結果に基づいて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定する。
ステップS808又はステップS812にて停止図柄コマンドを設定した後、ステップS813では、各図柄列Z1〜Z3の図柄が停止するまでの大当たり変動パターンを決定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を確認し、その値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかなリーチ種別を決定する。なお、変動種別カウンタCSの値と変動パターンとの関係は、図示しないテーブルにより予め規定されている。
ステップS814では、決定した変動パターンと、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄とに基づいて変動表示時間を導出する。具体的には、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別及び最終停止図柄列たる中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる図柄と、変動表示時間と、の関係が規定された図示しないテーブルに基づいて変動表示時間を導出する。その後、ステップS815では、大当たり変動パターン及び変動表示時間を示す大当たり変動パターンコマンドを設定し、続くステップS816では、7セグ表示装置47の変動表示時間を計測するためのタイマにステップS814にて導出した変動表示時間をセットし、本処理を終了する。
ステップS801で大当たりではないと判別した場合にはステップS817に進み、7セグ表示装置47の最終表示が「−−」となるよう「−−」表示フラグを設定する。7セグ表示装置47の最終表示が「−−」となることによっていずれの大当たり状態に移行することに当選しなかったことを意味する。ステップS818では、外れであることを示すと共に表示制御装置214に対して送信される外れコマンドを設定する。その後、ステップS819では外れの場合の変動パターンを決定する変動パターン決定処理を実行し、本処理を終了する。
変動パターン決定処理について図37のフローチャートを用いて説明すると、ステップS1001では、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているリーチ乱数カウンタC3の値に基づいてリーチ発生か否かを判別し、リーチ発生の場合、さらにステップS1002で、同じくリーチ乱数カウンタC3の値に基づいて前後外れリーチであるか否かを判別する。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3の値は0〜238のいずれかであり、そのうち「0,1」が前後外れリーチに該当し、「2〜21」が前後外れ以外リーチに該当し、「22〜238」がリーチなし(完全外れ)に該当する。
前後外れリーチ発生の場合、ステップS1003に進み、RAM503の前後外れリーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値を参照し、前後外れ以外リーチ発生の場合、ステップS1004に進み、RAM503の前後外れ以外リーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値を参照する。
ステップS1005では、上図柄列Z1の外れ図柄カウンタCUと下図柄列Z3の外れ図柄カウンタCLの各値が特定図柄によるリーチ発生となる値か否かを判別し、特定図柄によるリーチが発生する場合には、さらにステップS1006にて、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている昇格乱数カウンタC4の値が8以下か否かを判別する。昇格乱数カウンタC4の値が8以下の場合には、大当たりは発生しないものの昇格抽選に当選したことを意味する。かかる場合にはステップS1007に進み、リーチ図柄テーブルを参照する。
ここで、リーチ図柄テーブルとは、リーチ図柄たる特定図柄及びリーチ発生となるリーチラインと、リーチ図柄たる非特定図柄及びリーチ発生となるリーチラインとの対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、特定図柄によってリーチ発生となる場合に左ラインL1に停止する上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄と、非特定図柄によってリーチ発生となる場合に左ラインL1に停止する上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄と、の対応関係が定められたテーブルである。図示は省略するが、リーチ図柄テーブルでは、図36に示した大当たり図柄テーブルのC2=0〜24の各結果と、昇格図柄テーブルのC2=0〜24の各結果とが対応付けられている。例えば、左ラインL1で「3」図柄によってリーチ発生となる場合の上図柄列Z1の外れ図柄カウンタCU及び下図柄列Z3の外れ図柄カウンタCLの値は、左ラインL1で「2」図柄によってリーチ発生となる場合の上図柄列Z1及び下図柄列Z3の値と対応付けられている(図36におけるC2=6の各欄を参照)。
ステップS1008では、リーチ図柄テーブルの参照結果に基づいて、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを上図柄列Z1と下図柄列Z3についてそれぞれ設定する。但し、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す中図柄列Z2の停止図柄コマンドについては、RAM503の対応するリーチ図柄バッファ(前後外れリーチ図柄バッファ又は前後外れ以外リーチ図柄バッファ)に格納された外れ図柄カウンタCMの値に基づいて設定する。つまり、外れリーチを行う状況下で昇格抽選に当選した場合、上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄のみを変更し、中図柄列Z2の停止図柄は変更しない。換言すれば、特定図柄による外れリーチを行う状況下で昇格抽選に当選した場合、リーチ図柄を非特定図柄に変更するとも言える。またこのとき、リーチ図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、上記各図柄(リーチ図柄)を変更せず、RAM503の対応するリーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの各値に基づいて、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定する。例えば、リーチ図柄バッファに格納された上・中・下の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの各値が上図柄列Z1から順に「3」図柄,「2」図柄,「3」図柄と左ラインL1に停止表示させることを示す値であった場合、リーチ図柄テーブルに基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止表示させる図柄を「2」図柄に変更すると、左ラインL1で「2」図柄,「2」図柄,「2」図柄と非特定図柄の組み合わせが停止表示されることとなる。したがって、このような場合には、RAM503の対応するリーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの各値に基づいて、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定する。換言すれば、リーチ図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、リーチ図柄の変更を禁止しているとも言える。
ステップS1005にてリーチ図柄が特定図柄でないと判別した場合、又はステップS1006にて昇格乱数カウンタC4の値が8以下でないと判別した場合には、ステップS1009に進み、RAM503の対応するリーチ図柄バッファに格納されている上・中・下の外れ図柄カウンタCU,CM,CLの各値に基づいて、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定する。
各図柄列Z1〜Z3の停止図柄コマンドを設定した後、ステップS1010では、各図柄列Z1〜Z3の図柄を停止させるまでのリーチ変動パターンを決定する。このとき、RAM503のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を確認し、その値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかなリーチ種別を決定する。なお、変動種別カウンタCSの値とリーチ変動パターンとの関係は、図示しないテーブルにより予め規定されている。
ステップS1011では、決定したリーチ変動パターンと、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄とに基づいて変動表示時間を導出する。このとき、上記ステップS812と同様に、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別及び最終停止図柄列たる中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる図柄と、変動表示時間と、の関係が規定された図示しないテーブルに基づいて変動表示時間を導出する。その後、ステップS1012では、リーチ変動パターン及び変動表示時間を示すリーチ変動パターンコマンドを設定し、ステップS1013では、7セグ表示装置47の変動表示時間を計測するためのタイマにステップS1011にて導出した変動表示時間をセットし、本処理を終了する。
リーチ発生でない場合(ステップS1001がNOの場合)には、ステップS1014にてRAM503の完全外れ図柄バッファに格納されている上・中・下の各外れ図柄カウンタCU,CM,CLの値を参照し、ステップS1015では、参照した各値に基づいて、左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定する。その後、ステップS1016では完全外れ変動パターン及び変動表示時間を示す完全外れ変動パターンコマンドを設定する。詳細は後述するが、本パチンコ機10では、完全外れの場合には所定時間の経過を以って上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が順次停止される。したがって、完全外れの場合には、変動種別カウンタCSの値に基づいて完全外れ変動パターンを決定することなく完全外れ変動パターンコマンドを設定する。その後、ステップS1013において7セグ表示装置47の変動表示時間を計測するためのタイマに完全外れの場合の変動表示時間をセットし、本処理を終了する。
図33の説明に戻り、ステップS702がYESの場合、すなわち7セグ表示装置47が変動表示中である場合にはステップS708に進み、先の変動開始処理S707にてセットした変動表示時間を経過したか否かを判別する。変動表示時間を経過していないと判別した場合には本7セグ表示制御処理を終了する。
ステップS708において変動表示時間を経過したと判別した場合には、ステップS709において7セグ表示装置変動終了処理を実行する。この7セグ表示装置変動終了処理は、7セグ表示装置47における最終停止図柄を表示するための処理である。具体的には、先の変動開始処理においてセットした「−2」,「−1」,「−0」,「−−」表示フラグのいずれがセットされているかを確認し、表示フラグと対応する図柄を表示する。また、第1,第2赤色フラグがセットされている場合には、セットされているフラグに対応して第1,第2特定ランプ部48a,48bのいずれかを点灯させる。
なお、ここで設定された7セグ表示装置47の表示は、次回の7セグ表示装置変動開始処理まで維持される。また、大当たり状態が終了した場合に各赤色フラグがクリアされ、第1,第2特定ランプ部48a,48bが消灯することとなる。
この7セグ変動表示装置変動終了処理を行った後、S710では変動表示時間が経過したことを示す変動終了コマンドを設定し、さらに、遊技状態が高確率状態又は時短状態の場合には一の変動表示が終了するために、主制御装置271のRAM503に設けられた遊技回数カウンタの値を1ディクリメントする。遊技回数カウンタについては後述する。ステップS710の処理を行った後に本第1特定ランプ部制御処理を終了する。
なお、この7セグ表示制御処理において設定された表示コマンド、具体的には、特定コマンド等の抽選結果コマンド,昇格コマンド,各図柄列Z1〜Z3の停止図柄コマンド,変動パターンコマンド,変動終了コマンドは、上述した図31の通常処理における外部出力処理S501において表示制御装置214に対して出力される。より詳しくは、図柄を変動表示させるにあたり、抽選結果コマンド→昇格コマンド→変動パターンコマンド→上図柄列Z1の停止図柄コマンド(上図柄コマンドともいう。)→中図柄列Z2の停止図柄コマンド(中図柄コマンドともいう。)→下図柄列Z3の停止図柄コマンド(下図柄コマンドともいう。)の順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドを出力し、変動表示時間を経過したタイミングで変動終了コマンドを出力するようになっている。また、表示制御装置214は、これらのコマンドに基づいて大当たり変動(大当たりリーチ変動)や外れリーチ変動の際に表示する予告キャラクタやリーチキャラクタ等の細かな表示内容を決定し、図柄表示装置41を直接的に表示制御する。これにより、図柄表示装置41の表示画面Gにおいて図柄の変動表示が行われる。
次に、前記ステップS506の第1遊技状態移行処理を図38のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS1101では、現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合にはステップS1102に進み、大当たり図柄の組み合わせが最終停止表示される大当たり変動が終了したか否かを判別する。具体的には、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値と、変動表示時間の経過とに基づいて判別する。大当たり変動が終了していない場合にはそのまま本処理を終了し、大当たり変動が終了した場合には、ステップS1103〜ステップS1105に示す大当たり状態開始処理を行う。大当たり状態開始処理では、ステップS1103において、大当たり種別カウンタC2の値が23又は24であったかを判定する。大当たり種別カウンタC2の値が23又は24であった場合には、上述したとおり、可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態であることを意味するため、ステップS1104においてRAM503に設けられたラウンドカウンタRCに15をセットする。大当たり種別カウンタC2の値が23又は24ではなかった場合には、可変入賞装置32が5回開放される大当たり状態であることを意味するため、ステップS1105にてラウンドカウンタRCに5をセットする。なお、ラウンドカウンタRCは、可変入賞装置32が開放された回数をカウントするためのカウンタである。その後、ステップS1106では可変入賞装置32を開閉させる開閉タイミングを計るためのタイマに5000(すなわち10秒)をセットし、続くステップS1107では状態移行コマンドを設定して本処理を終了する。ここで、状態移行コマンドとは表示制御装置214に対して送信されるものである。表示制御装置214は、当該コマンドを受信することにより、大当たり状態に移行したことを認識すると共に、今回の大当たり状態において5回又は15回のいずれの回数可変入賞装置32が開放されるかを認識する。さらに、大当たり状態に移行したことを示すオープニング動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。なお、セットされたタイマ値は、タイマ割込み処理の都度、すなわち2msec周期で1ずつ減算される。
一方、ステップS1101において遊技状態が大当たり状態である場合には、ステップS1108に進み、可変入賞装置32を開放又は閉鎖するための可変入賞装置開閉処理を行う。
可変入賞装置開閉処理では、図39のフローチャートに示す通り、先ずステップS1201にて可変入賞装置32を開放中であるか否かを判別する。具体的には、可変入賞装置ソレノイドの励磁状態に基づいてかかる判別を行う。可変入賞装置32を開放中でない場合には、ステップS1202にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別すると共に、ステップS1203にてタイマの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0である場合又はタイマの値が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRCの値が0でなく且つタイマの値が0である場合には、ステップS1204に進み、可変入賞装置32を開放すべく可変入賞装置ソレノイドを励磁状態とする。続くステップS1205では、可変入賞装置32に入賞した遊技球の数を記憶するための入賞カウンタPCに0をセットする。その後、ステップS1206ではタイマに14750(すなわち29.5秒)をセットすると共にステップS1207にて開放コマンドをセットし、本処理を終了する。この結果、可変入賞装置32が最大29.5秒間開放されることとなる。ここで、開放コマンドとは表示制御装置214に対して送信されるものである。表示制御装置214は、当該コマンドを受信することにより、可変入賞装置32が開放されたことを認識し、可変入賞装置32が開放されている間に表示すべき動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。
また、ステップS1201にて可変入賞装置32が開放中である場合にはステップS1208に進み、タイマの値が0か否かを判別する。タイマの値が0でない場合、ステップS1209にて可変入賞装置32に遊技球が入賞したか否かを判別する。具体的には、可変入賞装置中継基板227から遊技球入賞を意味する入賞検出信号を受信したか否かを判別する。そして、入賞検出信号を受信していない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、入賞検出信号を受信した場合には、ステップS1210にて入賞カウンタPCの値を1加算した後にステップS1211にて入賞カウンタPCの値が10か否かを判別し、10でない場合にはそのまま本処理を終了する。
ステップS1208にてタイマの値が0の場合、又はステップS1211にて入賞カウンタPCの値が10の場合には、可変入賞装置32の閉鎖条件が成立したことを意味する。かかる場合にはステップS1212にて可変入賞装置32を閉鎖すべく可変入賞装置ソレノイドを非励磁状態とする。続くステップS1213ではラウンドカウンタRCの値を1減算し、ステップS1214にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0でない場合にはステップS1215にてタイマに1000(すなわち2秒)をセットし、ラウンドカウンタRCの値が0である場合にはステップS1216にてタイマに5000(すなわち10秒)をセットする。その後、ステップS1217にて閉鎖コマンドをセットし、本処理を終了する。ここで、閉鎖コマンドとは表示制御装置214に対して送信されるものである。表示制御装置214は、当該コマンドを受信することにより、1回のラウンドが終了したことを認識し、例えば次回のラウンド数等を教示する開放前動画や、大当たり状態が終了したことを示すエンディング動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。
可変入賞装置開閉処理の後、ステップS1109ではラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別すると共に、ステップS1110にてタイマの値が0か否かを判別する。そして、ラウンドカウンタRC又はタイマの値の少なくとも一方が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRC及びタイマの値が0である場合には、ステップS1111に進み、大当たり状態を終了させる大当たり状態終了処理を行う。従って、大当たり状態下では、ラウンドカウンタRCにセットされた回数(すなわち15回)の可変入賞装置32の連続開放が許容される。また、大当たり状態終了処理では、上述した変動開始処理におけるステップS804,ステップS805,ステップS809のいずれかにてセットした各赤色フラグをクリアする。これにより、第1,第2特定ランプ部48a,48bが消灯することとなる。
大当たり状態終了処理を行った後、ステップS1112〜ステップS1116では状態移行処理を行う。すなわち、ステップS1112では、特定フラグがセットされているか否かを判別する。特定フラグがセットされている場合には特定大当たりが発生したことを意味するため、ステップS1113に進み、それ以降の遊技状態を時短状態とする時短状態移行処理を行い、特定フラグをクリアして本処理を終了する。時短状態移行処理を行ったらステップS1114に進み、時短状態が継続する遊技回数である遊技回数カウンタに100をセットする。上述したように、遊技回数カウンタは第1特定ランプ部制御処理におけるステップS710にて1ディクリメントされるものである。すなわち、特定大当たりが終了した場合には100回継続する時短状態に移行する。
一方、ステップS1112にて特定フラグがセットされていないと判定された場合には、ステップS1115に進み、それ以降の高確率状態とする高確率状態移行処理を行いステップS1116に進む。上述したとおり、本実施の形態では高確率状態は5回の遊技回に亘り継続するため、ステップS1116に進み、遊技回数カウンタに5をセットする。高確率状態及び時短状態については後に詳細に説明する。ステップS1114又はステップS1116の処理行ったら、本第1遊技状態移行処理を終了する。
次に、払出制御装置311内のCPU511により実行される払出制御について説明する。図40は、払出制御装置311のメイン処理を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
まず、ステップS1301では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。また、ステップS1302では、主制御装置271から送信される払出許可コマンドを受信するまで待機する。そして、払出許可コマンドを受信した時点でステップS1303に進んでRAMアクセスを許可すると共に、ステップS1304で外部割込みベクタの設定を行う。
その後、CPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。つまり、ステップS1305では電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し、続くステップS1306ではRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が設定されているか否かを判別する。また、ステップS1307ではRAM判定値を算出し、続くステップS1308では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわちバックアップの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断することも可能である。
RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(ステップS1315〜S1318)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM513の初期化処理(ステップS1315〜S1318)に移行する。つまり、ステップS1315ではRAM513の全領域を0にクリアし、続くステップS1316ではRAM513の初期化処理を実行する。また、ステップS1317ではCPU周辺デバイスの初期設定を行うと共に、ステップS1318では割込み許可を設定し、後述する払出制御処理に移行する。
一方、RAM消去スイッチ323が押されていない場合には、電源遮断の発生情報が設定されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。つまり、ステップS1309では電源遮断前のスタックポインタを復帰させ、ステップS1310では電源遮断の発生情報をクリアする。また、ステップS1311ではCPU周辺デバイスの初期設定を行い、ステップS1312では使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる。さらに、ステップS1313,S1314では、割込み許可/不許可を電源遮断前の状態に復帰させた後、電源遮断前の番地へ戻る。
次に、払出制御処理の流れを図41のフローチャートを参照しながら説明する。
図42において、ステップS1401では、主制御装置271からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する。ステップS1402では、発射制御装置312に対して発射許可の設定を行う。また、ステップS1403では、状態復帰スイッチ321をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。
その後、ステップS1404では、下皿16の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する。すなわち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿16の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、ステップS1405では、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する。すなわち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時、タンク球無し解除状態の設定を実行する。
その後、ステップS1406では、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する。
ステップS1407〜S1409では、賞球払出の処理を実行する。この場合、賞球の払出不可状態でなく且つ前記ステップS1401で記憶した総賞球個数が0でなければ(ステップS1407,S1408が共にNO)、ステップS1409に進み、図43に示した後述する賞球制御処理を開始する。また、賞球の払出不可状態又は総賞球個数が0であれば(ステップS1407,S1408のいずれかがYES)、ステップS1410〜S1412の貸出球払出の処理に移行する。
貸出球払出の処理において、貸出球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸出球払出要求を受信していれば(ステップS1410がNO、S1411がYES)、ステップS1412に進み、図43に示した後述する貸出球制御処理を開始する。また、貸出球の払出不可状態又は貸出球払出要求を受信していなければ(ステップS1410がYES又はS1411がNO)、後続の球抜きの処理を実行する。
ステップS1413では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続くステップS1414では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する。その後、本払出制御処理の先頭に戻る。
ここで、図42に示す賞球制御処理において、ステップS1501では、払出モータ358aを駆動させて賞球の払出を実行する。続くステップS1502では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1503に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図42の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1504に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1505に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図41の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1506に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1507で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図41の払出制御処理に戻る。
また、図43に示す貸出球制御処理において、ステップS1601では、払出モータ358aを駆動させて貸出球の払出を実行する。続くステップS1602では、払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別する。払出モータ358aの回転が正常でなければ、ステップS1603に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図41の払出制御処理に戻る。
また、払出モータ358aの回転が正常であれば、ステップS1604に進み、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する。遊技球のカウントが正常でなければ、ステップS1605に進み、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図41の払出制御処理に戻る。
さらに、遊技球のカウントが正常であれば、ステップS1606に進み、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸出球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別する。払出が完了していれば、ステップS1607で払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、図41の払出制御処理に戻る。
次に、表示制御装置214内のCPU521により実行される図柄表示装置41の表示制御のうち、図柄の変動表示に関する変動表示処理及び大当たり状態下における大当たり表示処理について説明する。
本実施の形態では、表示画面に表示される背景画像や、大当たり変動(大当たりリーチ変動)や外れリーチ変動の際に表示される予告キャラクタやリーチキャラクタ等が異なる表示モードを3種類備えており、遊技者が膨出部22前面側に設けられた選択スイッチ108を操作することによって表示モードを変更できる構成となっている。
そこで、変動表示処理の説明に先立ち、表示制御装置214が行う表示モード変更処理について図44のフローチャートを用いて説明する。
表示モード変更処理において、ステップS1701では現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別し、ステップS1702では図柄を変動表示中か否かを判別する。そして、現在の遊技状態が大当たり状態でなく、図柄を変動表示中でない場合(ステップS1701,ステップS1702が共にNOの場合)にはステップS1703に進み、選択スイッチ108が操作されたか否かを判別する。選択スイッチ108が操作されていない場合にはそのまま本処理を終了し、選択スイッチ108が操作された場合にはステップS1704にて現在の表示モードを確認し、ステップS1705にてモードフラグを設定する処理を行う。具体的には、表示制御装置214のワークRAM523には、3種類の各表示モードと対応したモードフラグをセットするための領域が設けられている。そして、第1表示モードフラグがセットされている場合には、第1表示モードフラグをクリアすると共に第2表示モードフラグをセットし、第2表示モードフラグがセットされている場合には、第2表示モードフラグをクリアすると共に第3表示モードフラグをセットし、第3表示モードフラグがセットされている場合には、第3表示モードフラグをクリアすると共に第1表示モードフラグをセットする。つまり、図柄表示装置41の表示モードは、選択スイッチ108が操作される毎に第1表示モード→第2表示モード→第3モードの順に変更される。その後、ステップS1706では、セットしたモードフラグと対応する背景画像を表示画面に表示させる等の処理を行い、本処理を終了する。
一方、現在の遊技状態が大当たり状態である場合や図柄を変動表示中である場合(ステップS1701、S1702のいずれかがYESの場合)には、選択スイッチ108の操作を確認することなく、表示モードを変更することなくそのまま本処理を終了する。つまり、これら状況下においては選択スイッチ108の操作が無効とされる。なお、選択スイッチ108には図示しないランプが内蔵されており、表示制御装置214は、大当たり状態や図柄を変動表示中の場合にはランプを消灯させ、大当たり状態でなく図柄を変動表示中でもない場合にはランプを点灯表示させるための制御コマンドを音声ランプ制御装置272に対して送信する。音声ランプ制御装置272は、表示制御装置214からの制御コマンドに従って選択スイッチ108に内蔵されたランプの駆動制御(点灯制御)を行う。
ここで、図23に示した通り、選択スイッチ108は、表示制御装置214の入力ポート527にのみ接続されており、主制御装置271の入力ポート505には接続されていない。また、表示制御装置214の出力ポート528,529は主制御装置271の入力側に接続されていない。つまり、各表示モードの管理は表示制御装置214が独自に行っており、主制御装置271は表示モードの管理に関与していない。このように表示制御装置214が独自に各表示モードの管理を行うことにより、主制御装置271の処理負荷を増大化させることなく図柄表示装置41における表示演出の多様化を図ることができ、遊技の単調化を抑制することが可能となる。
次に、主制御装置271から送信された表示コマンドの受信に基づいて行われる図柄の変動表示処理を、図45のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1801では、抽選結果コマンド又は昇格コマンドを受信したか否かを判別し、いずれかのコマンドを受信した場合にはステップS1802にてワークRAM523に対応するフラグをセットして、本処理を終了する。すなわち、特定コマンドを受信した場合には特定フラグをワークRAM523にセットし、非特定コマンドを受信した場合には非特定フラグをワークRAM523にセットし、外れコマンドを受信した場合には外れフラグをワークRAM523にセットし、昇格コマンドを受信した場合には昇格フラグをワークRAM523にセットする。つまり、表示制御装置214は、抽選結果コマンドの受信に基づいて大当たり発生の有無や大当たり種別を認識し、昇格コマンドの受信に基づいて主制御装置271側の昇格抽選に当選したことを認識する。
抽選結果コマンドと昇格コマンドのいずれも受信していないと判別した場合にはステップS1803に進み、変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する。変動パターンコマンドを受信した場合にはその受信内容をワークRAM523に格納すると共にステップS1804に進み、各図柄列Z1〜Z3が高速変動を開始するよう図柄表示装置41の表示制御を開始する。その後、ステップS1805では、今回の変動パターンが完全外れ変動か否かを判別し、完全外れ変動である場合にはそのまま本処理を終了する。一方、完全外れ変動でない場合には、受信したコマンドが大当たり変動パターンコマンド又はリーチ変動パターンコマンドであることを意味し、何らかのリーチ変動を行うことを意味する。かかる場合にはステップS1806に進み、中図柄列Z2の「1」図柄がリーチ発生のタイミング(すなわち下図柄列Z2の停止タイミング)で中ラインL2を通過するよう中図柄列Z2の図柄位置を調整し、本処理を終了する。かかる処理を行うことにより、リーチ発生時における中図柄列Z2の「1」図柄の位置をいかなるリーチ変動であっても同一とすることができる。故に、変動表示を終了させるまでの変動表示時間を、同一のリーチ変動であっても中図柄列Z2の停止図柄によって変化させることが可能となり、大当たり発生に対する期待感を高めることが可能となる。
ステップS1803にて変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS1807にて停止図柄コマンドを受信したか否かを判別する。停止図柄コマンドを受信した場合には、ステップS1808にて停止図柄コマンドが示す左ラインL1の停止図柄を、ワークRAM523に設けられた停止図柄格納エリアに設定する。続くステップS1809では、今回受信した停止図柄コマンドが下図柄コマンドか否かを判別する。上述した通り、主制御装置271は、上図柄コマンド→中図柄コマンド→下図柄コマンドの順で通常処理の都度1つずつ停止図柄コマンドを送信する。したがって、今回受信した停止図柄コマンドが下図柄コマンドでない場合には、全図柄列Z1〜Z3の停止図柄コマンドを受信していないことを意味するため、そのまま本処理を終了する。一方、今回受信した停止図柄コマンドが下図柄コマンドである場合、全図柄列Z1〜Z3の停止図柄コマンドを受信したことを意味するため、ステップS1810にて図柄位置調整処理を行い、本処理を終了する。図柄位置調整処理とは、左ラインL1に停止表示させる図柄として設定された各図柄列Z1〜Z3の図柄がその停止タイミングで違和感なく停止するよう図柄位置を調整する処理である。
図柄位置調整処理について、図46のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1901では、今回の変動パターンが完全外れ変動か否かを判別する。今回の変動パターンが完全外れ変動でない場合、大当たり変動パターンコマンド又はリーチ変動パターンコマンドを受信していることを意味し、これは何らかのリーチ変動を行うことを意味する。そこで、ステップS1902ではリーチ図柄が非特定図柄か否か、すなわち、いずれかの有効ラインに停止する上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄が偶数図柄か否かを判別する。リーチ図柄が非特定図柄でなく特定図柄である場合には、ステップS1903にて昇格演出を行うか否か等を決定する昇格演出処理を行う。
昇格演出処理では、図47のフローチャートに示すように、ステップS2001にて現在の表示モードを確認する。具体的には、ワークRAM523にいずれのモードフラグがセットされているかを確認する。ステップS2002では、現在の表示モードが第1表示モードか否かを判別し、第1表示モードである場合にはそのまま本処理を終了する。つまり、現在の表示モードが第1表示モードの場合には昇格演出処理を行わない。一方、第1表示モードでなく第2表示モード又は第3表示モードである場合には、ステップS2003にて昇格演出抽選を行う。
表示制御装置214は、主制御装置271と同様、昇格演出抽選に使用する昇格演出カウンタHCを備えており、昇格演出抽選を行う際のカウンタ値に基づいて昇格演出抽選に当選したか否かを判別する。昇格演出カウンタHCは、例えば0〜104の範囲内で定期的に1ずつ更新され、最大値(つまり104)に達した後0に戻るループカウンタである。第2表示モードにおいては昇格演出抽選を行う際の昇格演出カウンタの値が0〜20であれば当選と判別し、第3表示モードにおいては昇格演出抽選を行う際の昇格演出カウンタの値が0〜52であれば当選と判別する。すなわち、特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させることを示す停止図柄コマンドを受信した場合に昇格演出を行うと決定する割合は、第1表示モードでは0であり、第2表示モードでは約5分の1であり、第3表示モードでは約2分の1である。同様に、特定図柄による外れリーチ変動を行うことを示す停止図柄コマンドを受信した場合に昇格演出を行うと決定する割合は、第1表示モードでは0であり、第2表示モードでは約5分の1であり、第3表示モードでは約2分の1である。つまり、本実施の形態では、表示モードに応じて昇格演出の行われる頻度が異なるようになっている。ステップS2004では昇格演出抽選に当選したか否かを判別し、当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。また、昇格演出抽選に当選した場合にはステップS2005にて昇格フラグをワークRAM523にセットし、ステップS2006〜S2014に示す停止図柄変更処理を行う。
ここで、停止図柄変更処理の説明に先立ち、本実施の形態における図柄の変動パターン及び各変動パターンにて行われる表示演出について説明する。
「完全外れ変動」とは、各図柄列Z1〜Z3の高速変動が一斉に開始され、5秒後に上図柄列Z1の変動表示が停止され、6秒後に下図柄列Z3の変動表示が停止され、7秒後に中図柄列Z2の変動表示が停止される変動パターンである。
より具体的には、1秒経過後の各図柄列Z1〜Z3の変動速度が有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できない速度(本実施の形態では、0.05秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)となるように、各図柄列Z1〜Z3の変動表示が一斉に開始される。各図柄列Z1〜Z3の高速変動は変動表示が開始されてから4秒を経過するまで行われ、4秒を経過すると有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう上図柄列Z1の変動速度が徐々に低下し、5秒後に上図柄列Z1の変動表示が停止される。そして、上図柄列Z1の変動表示が停止される5秒経過のタイミングから、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう下図柄列Z3の変動速度が徐々に低下し、6秒後に下図柄列Z3の変動表示が停止される。さらに、下図柄列Z3の変動表示が停止される6秒経過のタイミングから、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう中図柄列Z2の変動速度が徐々に低下し、7秒後に中図柄列Z2の変動表示が停止される。このとき、完全外れ変動では、いずれの有効ラインL1〜L5にも上図柄列Z1の図柄と下図柄列Z3の図柄とが同一主図柄で停止することはなく、各図柄列Z1〜Z3の変動表示に併せて予告キャラクタやリーチキャラクタが表示されることもない。
「リーチ変動」とは、下図柄列Z3の変動表示が6秒後に停止されるまでは完全外れ変動と同様であるが、このときいずれかの有効ラインL1〜L5に同一主図柄が停止してリーチ発生となり、7秒経過後も中図柄列Z2の変動表示が継続される変動パターンである。リーチ変動には、「ノーマルリーチ変動」と「スーパーリーチ変動」がある。ノーマルリーチ変動の場合には、リーチ発生となった際に表示モードに応じた予告キャラクタが所定確率で表示され、スーパーリーチ変動の場合には、リーチ発生となった際に表示モードに応じた予告キャラクタが常に表示される。また、ノーマルリーチ変動の場合には、予告キャラクタが表示されることはあるもののその後にリーチキャラクタが表示されることはなく、スーパーリーチ変動の場合には、予告キャラクタが表示された後の所定タイミングで表示モードやリーチラインに応じたリーチキャラクタが表示される。さらに、ノーマルリーチ変動とスーパーリーチ変動では、リーチ発生後の中図柄列Z2の変動表示態様が異なっている。
「ノーマルリーチ変動」の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過する(すなわち左ラインL1に到達する)ように変動表示され、その後は有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識可能な一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。そして、「1」図柄が再度中ラインL2に到達した以降のタイミングで予め設定した停止図柄が左ラインL1に到達すると、変動表示が停止される。
「スーパーリーチ変動」の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過してから「7」図柄が中ラインL2を通過するまでの間、ノーマルリーチ変動と同じ速度で変動表示される。つまり、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識可能な一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。その後、「7」図柄が中ラインL2を通過したタイミングで表示モードやリーチラインに応じたリーチキャラクタが表示画面に登場表示されると共に、このタイミングで中図柄列Z2の速度が変更される。具体的には、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できない速度(本実施の形態では、0.05秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)に変更される。リーチキャラクタが登場表示された後は、再びリーチキャラクタが登場表示される前と同じ速度(すなわち、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で中図柄列Z2が変動表示される。そして、リーチキャラクタが登場表示された以降のタイミングで予め設定した停止図柄が左ラインL1に到達すると、変動表示が停止される。
停止図柄変更処理において、ステップS2006では、今回の変動パターンがノーマルリーチ変動か否かを判別する。具体的には、ノーマルリーチ変動を示す大当たり変動パターンコマンド又はノーマルリーチ変動を示すリーチ変動パターンコマンドのいずれかを受信しているか否かを判別する。今回の変動パターンがノーマルリーチ変動である場合には、ステップS2007,S2008にてリーチラインが左ラインL1又は右ラインL3か否かを判別する。リーチラインが左ラインL1又は右ラインL3の場合にはステップS2009に進み、ノーマルリーチ用図柄テーブルを参照する。
ここで、ノーマルリーチ用図柄テーブルとは、図48(a)に示すように、停止図柄コマンドに基づいて設定したリーチ図柄と、実際に停止表示させるリーチ図柄との対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、停止図柄コマンドに基づいて設定した上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄と、実際に左ラインL1に停止させる上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。
上述した通り、ノーマルリーチ変動の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過する(すなわち左ラインL1に到達する)ように変動表示され、その後は一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。したがって、ノーマルリーチ変動の場合には、中図柄列Z2の左ラインL1に停止する図柄に応じて変動表示時間が異なることとなる。例えば、図48(b)に示すように、左ラインL1に「1」図柄の組み合わせを停止表示させることを示す停止図柄コマンドが主制御装置271から送信された場合、上図柄列Z1と下図柄列Z3の変動表示が停止されるまでに6秒要し、下図柄列Z3の変動表示が停止してから中図柄列Z2の「1」図柄が再度中ラインL2に到達するまでに9.5(=0.5×19)秒要し、この「1」図柄が左ラインL1に到達するまでに0.5秒要するため、変動表示時間は16秒となる。ここで、仮に表示制御装置214側で左ラインL1に「2」図柄が停止するように各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更した場合、変動表示時間が17(=6+0.5×19+0.5×3)秒となり、主制御装置271が決定した変動表示時間内に変動表示を終了させることができない。ところが、中図柄列Z2の「1」図柄を左ラインL1に停止表示させる場合、右ラインL3には「2」図柄が停止表示されることとなる。つまり、左ラインL1に「1」図柄の組み合わせを停止表示させると主制御装置271が決定した場合に右ラインL3に「2」図柄の組み合わせを停止表示させるよう表示制御装置214側で各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更したとしても、「1」図柄の組み合わせを左ラインL1に停止表示させた場合と変動表示時間に差異がなく、主制御装置271が決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができないという問題が生じない。同様に、右ラインL3に「1」図柄の組み合わせを停止表示させることを示す停止図柄コマンドが主制御装置271から送信された場合、中図柄列Z2の「4」図柄が左ラインL1に停止するため、左ラインL1に「4」図柄の組み合わせを停止させるよう表示制御装置214側で各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更したとしても、主制御装置271が決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができないという問題が生じない。
そこで、ステップS2010では、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて、ワークRAM523の停止図柄格納エリアに設定した上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄を変更し、本処理を終了する。より具体的には、停止図柄コマンドに基づいて設定したリーチ図柄が左ラインL1の「9」図柄の場合と右ラインL3の「1」図柄の場合には上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄を変更し、それ以外の場合には上図柄列Z1の左ラインL1に停止する停止図柄のみを変更する。これは、「1」〜「9」の主図柄が中図柄列Z2と下図柄列Z3には共に昇順に配されており、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄の間にのみ「4」図柄が配されているためである。換言すれば、昇格演出に当選し、且つ、左ラインL1又は右ラインL3にリーチ図柄として特定図柄が停止するノーマルリーチ変動を行う場合、右ラインL3又は左ラインL1にリーチ図柄として非特定図柄が停止するノーマルリーチ変動を行うようリーチ図柄を変更するとも言える。なお、受信した変動パターンコマンドがリーチ変動パターンコマンドであって、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、上記各図柄(リーチ図柄)を変更しない。例えば、停止図柄コマンドに基づいて設定した各図柄列Z1〜Z3の左ラインL1に停止する停止図柄が上図柄列Z1から順に「3」図柄,「9」図柄,「3」図柄であった場合、ノーマルリーチ用図柄テーブルに基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の「4」図柄が右ラインL3に停止するよう停止図柄を変更すると、右ラインL3で「4」図柄,「4a」図柄,「4」図柄と非特定図柄の組み合わせが停止表示されることとなる。したがって、このような場合には、上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更することなく本処理を終了する。換言すれば、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、リーチ図柄の変更を禁止しているとも言える。
一方、リーチラインが左ラインL1、右ラインL3のいずれでもない場合(ステップS2007,ステップS2008が共にNOの場合)には、昇格演出抽選に当選した場合であっても上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更することなく本処理を終了する。リーチラインが左ラインL1、右ラインL3のいずれでもない場合、リーチラインは中ラインL2,右下がりラインL4,右上がりラインL5のいずれかであることを意味する。かかる場合、いずれのリーチラインであっても中図柄列Z2の大当たり図柄は中ラインL2に停止することとなる。中図柄列Z2の大当たり図柄が中ラインL2に停止する場合、主図柄と副図柄が交互に配列された本実施の形態においては、他の有効ラインに中図柄列の主図柄が停止しない。つまり、リーチラインが左ラインL1でも右ラインL3でもない場合、非特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに停止させるためには中図柄列Z2の停止図柄を変更する必要があり、ノーマルリーチ変動で中図柄列Z2の停止図柄を変更した場合には変動表示時間が変化することに繋がる。そこで、リーチラインが上記各ラインでない場合には、昇格演出抽選に当選した場合であってもリーチ図柄を変更することなく本処理を終了する。
ステップS2006にて今回の変動パターンがノーマルリーチ変動でないと判別した場合、スーパーリーチ変動を示す大当たり変動パターンコマンド又はリーチ変動パターンコマンドを受信していることを意味する。かかる場合にはステップS2011に進み、スーパーリーチ用図柄テーブルを参照する。
スーパーリーチ用図柄テーブルとは、図49に示すように、停止図柄コマンドに基づいて設定したリーチ図柄と、実際に停止表示させるリーチ図柄との対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、停止図柄コマンドに基づいて設定した上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄と、実際に左ラインL1に停止させる上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。図50(a)はリーチラインが1ラインのみのいわゆるシングルリーチの場合のスーパーリーチ用図柄テーブルであり、(b)はリーチラインが2ラインある所謂ダブルリーチの場合のスーパーリーチ用図柄テーブルである。ここで、スーパーリーチ用図柄テーブルでは、ノーマルリーチ用図柄テーブルと異なり、リーチラインを変更することなくリーチ図柄を変更するように設定されている。つまり、大当たり変動パターンコマンドを受信した場合には中図柄列Z2の停止図柄をも変更する。かかる場合、主制御装置271が決定した変動表示時間内に図柄の変動表示が終了しない可能性が懸念されるが、上述したとおりスーパーリーチ変動の場合にはリーチキャラクタの登場表示が行われる際に中図柄列Z2の速度を高速に変更するため、この高速変動中に中図柄列Z2の図柄を差し替えることにより、主制御装置271が決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができる。
スーパーリーチ用図柄テーブルを参照した後、ステップS2012では、今回の変動パターンが大当たり変動であるか否かを判別する。具体的には、大当たり変動パターンコマンドを受信しているか否かを判別する。大当たり変動パターンコマンドを受信している場合にはステップS2013に進み、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて、ワークRAM523の停止図柄格納エリアに設定した全図柄列Z1〜Z3の左ラインL1に停止する停止図柄を変更し、本処理を終了する。また、大当たり変動パターンコマンドではなくリーチ変動パターンコマンドを受信している場合にはステップS2014に進み、ワークRAM523の停止図柄格納エリアに設定した上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄を変更し、本処理を終了する。なお、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、上記各図柄(リーチ図柄)を変更しない。換言すれば、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、リーチ図柄の変更を禁止しているとも言える。
図47の図柄位置調整処理の説明に戻り、リーチ図柄が非特定図柄である場合、又は昇格演出処理を行った後には、ステップS1904に進み、具体的なリーチ演出を決定するリーチ演出決定処理を行う。リーチ演出決定処理とは、大当たり変動やリーチ変動を行う場合に表示する予告キャラクタやリーチキャラクタ等を決定する処理である。
リーチ演出決定処理について図50のフローチャートを用いて説明すると、先ずステップS2101では、大当たり変動パターンコマンドを受信しているか否か、すなわち今回の変動パターンが大当たり変動であるか否かを判別する。大当たり変動パターンコマンドを受信している場合にはステップS2102に進み、特定コマンドを受信しているか否か、すなわち特定大当たりか否かを判別する。特定コマンドを受信している場合にはさらにステップS2103に進み、ワークRAM523の停止図柄格納エリアに設定した各図柄列Z1〜Z3の停止図柄が特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに停止表示させることを示すものであるか否かを判別する。ステップS2101〜ステップS2103が全てYESの場合、すなわち今回の変動パターンが特定大当たり発生となる大当たり変動であって特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させる場合にはステップS2104に進み、プレミアム演出抽選処理を行う。詳細な説明は省略するが、表示制御装置214は、プレミアム演出抽選に使用するプレミアム演出カウンタを備えており、当該処理を行う際のカウンタ値に基づいてプレミアム演出抽選に当選したか否かを判別する。プレミアム演出抽選の当選確率は現在の表示モードに関わりなく一定とされており、本実施の形態では約200分の1である。すなわち、特定図柄の組み合わせが最終停止表示される場合にプレミアム演出が行われる確率は約200分の1である。ステップS2105ではプレミアム演出抽選に当選したか否かを判別し、当選した場合にはステップS2106にてプレミアム演出を行うべく現在の表示モードやリーチライン等に応じたプレミアム予告キャラクタやプレミアムリーチキャラクタを設定し、本処理を終了する。一方、ステップS2101〜ステップS2103,ステップS2105のいずれかの判別結果がNOである場合には、通常演出を行うべく現在の表示モードやリーチライン等に応じた通常予告キャラクタや通常リーチキャラクタ等を設定し、本処理を終了する。
つまり、リーチ演出決定処理では、特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させる大当たり変動であってプレミアム演出抽選に当選した場合に限り、プレミアム演出を行うよう対応するプレミアム予告キャラクタやプレミアムリーチキャラクタ等を設定する。一方、その他の場合、すなわち外れリーチ変動を行う場合,非特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させる大当たり変動を行う場合,特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させる大当たり変動を行うがプレミアム抽選に当選しなかった場合には、プレミアム演出ではなく通常演出を行うよう対応する通常予告キャラクタや通常リーチキャラクタ等を設定する。さらにいうと、リーチ演出決定処理では、図柄の変動表示中に表示する図柄以外の識別情報を決定しており、変動表示時間と関与しない識別情報の表示を決定していると言える。
図47の図柄位置調整処理の説明に戻り、リーチ演出決定処理を行った後、ステップS1905では、5秒後に上図柄列Z1の停止図柄が左ラインL1に停止し、6秒後に下図柄列Z3の停止図柄が左ラインL1に停止するよう上図柄列Z1と下図柄列Z3の図柄位置を調整し、本処理を終了する。一方、ステップS1901にて今回の変動パターンが完全外れ変動であると判別した場合には、5秒後に上図柄列Z1の停止図柄が左ラインL1に停止し、6秒後に下図柄列Z3の停止図柄が左ラインL1に停止し、7秒後に中図柄列Z2の停止図柄が左ラインL1に停止するよう、全図柄列Z1〜Z3の図柄位置を調整し、本処理を終了する。
図柄位置調整処理は、下図柄コマンドの受信に基づいて速やかに開始され、上図柄列Z1の高速変動が終了する(すなわち4秒経過する)までに終了される。したがって、図柄位置調整処理とは、左ラインL1に停止表示させる図柄として設定された各図柄列Z1〜Z3の図柄がその停止タイミングで違和感なく停止するよう、高速変動中に各図柄列Z1〜Z3の図柄を差し替える処理であると言える。
図45の変動表示処理の説明に戻り、ステップS1807にて停止図柄コマンドを受信していないと判別した場合にはステップS1811に進み、変動終了コマンドを受信したか否かを判別する。変動終了コマンドを受信していない場合にはステップS1812に進み、表示制御処理を行って本処理を終了する。表示制御処理とは、受信した変動パターンコマンドの示す変動パターンで各図柄列Z1〜Z3を変動表示させると共に、上述したリーチ演出決定処理にて設定したプレミアムリーチキャラクタ等のキャラクタを所定のタイミングで表示させるべく図柄表示装置41を表示制御する処理である。また、ステップS1811にて変動終了コマンドを受信した場合にはステップS1813に進み、図柄の変動表示を終了させる変動終了処理を行い、本処理を終了する。
ここで、図柄表示装置41にて図柄を変動表示させる際に表示制御装置214のCPU521が行う表示制御の概略を説明する。
CPU521は、抽選結果コマンドを受信すると、画像コントローラ526に対する内部コマンドを生成する等の各種の演算処理を開始する。内部コマンドは図柄の変動表示開始から終了までの一連の表示演出を指定するためのコマンドであり、例えば図柄の高速変動データ,ノーマルリーチ変動データ,スーパーリーチ変動データや、予告キャラクタ表示データ、リーチキャラクタ表示データ等の制御データを含む内部コマンドがプログラムROM522に予め記憶されている。CPU521は、ワークRAM523に格納された情報(すなわち図柄の変動パターンや各図柄列Z1〜Z3の停止図柄、決定したリーチ演出等)に基づいてその都度必要な内部コマンドを生成し、当該内部コマンドに含まれる制御データを画像コントローラ526に対して順次出力する。これにより、画像コントローラ526は、CPU521からの指令(内部コマンド)に応じた描画処理を行い、図柄表示装置41にて図柄を変動表示させたりリーチキャラクタを登場表示させたりする。またこのとき、CPU521は、その都度の表示演出に同期させながら、音声類、ランプ類を駆動するための制御コマンドを音声ランプ制御装置272に対して送信する。これにより、音声ランプ制御装置272は、CPU521からの制御コマンドに従って音声類やランプ類を駆動させる。なお、抽選結果コマンドを受信すると、その後に変動終了コマンドを受信するまでの間、CPU521と画像コントローラ526との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。
次に、遊技状態が大当たり状態に移行した後に表示制御装置214が行う大当たり表示処理の具体的手順について概説する。図51は、表示制御装置214内のCPU521により実行される大当たり表示処理を示すフローチャートである。表示制御装置214は、図51に示す手順に従って主制御装置271から送信される各種コマンドを処理しつつ、図柄表示装置41の表示制御を実行する。
先ず、ステップS2201では、遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合、ステップS2202にて状態移行コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。ステップS2202にて状態移行コマンドを受信した場合、遊技状態が大当たり状態に移行したことを意味する。ステップS2203では、ステップS2202にて受信した状態移行コマンドが可変入賞装置32の開放される回数が15回又は5回のどちらに対応した大当たり状態であるかを判定する。ステップS2203にて15回開放される大当たり状態であると判定された場合にはステップS2204にてワークRAM523に設けられた表示ラウンドカウンタHRCに15をセットする。なお、上述したとおり、可変入賞装置32が1回開放されることが1ラウンドであり、可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態の場合、ラウンド数が15ラウンドである大当たり状態ともいえる。
ステップS2203にて15回開放される大当たり状態ではないと判定された場合にはステップS2205に進み、表示ラウンドカウンタHRCに5をセットする。ステップS2204又はステップS2205の処理を行ったら、ステップS2206に進む。ステップS2206では、大当たり状態に移行したこと等を教示するオープニング動画を図柄表示装置41に表示させるべくオープニング処理を開始して本処理を終了する。
ステップS2201にて遊技状態が大当たり状態であると判別した場合には、ステップS2207にて開放コマンドを受信したか否かを判別する。開放コマンドを受信した場合には、可変入賞装置32が開放されたことを意味する。そこで、開放コマンドを受信した場合には、ステップS2208〜ステップS2213に示す開放時処理を行い、本処理を終了する。なお、開放時処理については後述することとする。
ステップS2207にて開放コマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS2214にて閉鎖コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。一方、閉鎖コマンドを受信した場合には、開放状態にあった可変入賞装置32が閉鎖状態に切り換えられた、すなわち1回のラウンドが終了したことを意味する。かかる場合には、ステップS2215にて表示ラウンドカウンタHRCの値を1減算し、ステップS2216では表示ラウンドカウンタHRCの値が0か否かを判別する。表示ラウンドカウンタHRCの値が0でない場合には、設定されている可変入賞装置32の開放回数が残っていることを意味するため、ステップS2217に進み、次回のラウンド数等を遊技者に教示する開放前動画を図柄表示装置41に表示させるべく開放前処理を開始して本処理を終了する。また、表示ラウンドカウンタHRCの値が0である場合には設定されている可変入賞装置32の開放がすべて終了したことを意味するため、ステップS2218にて大当たり状態が終了することを教示するエンディング動画を図柄表示装置41に表示させるべくエンディング処理を開始して本処理を終了する。
可変入賞装置32が開放されている状況下にて行う開放時処理では、先ずステップS2208において、昇格フラグがセットされているか否かを判別する。昇格フラグがセットされていない場合には、現在のラウンド数やラウンド中に可変入賞装置32に入賞した遊技球数等を図柄表示装置41に表示させるべくステップS2210にて開放中処理を開始して本処理を終了する。一方、昇格フラグがセットされている場合には、主制御装置271又は表示制御装置214の昇格演出抽選に当選し、特定大当たりの状況下で非特定図柄の組み合わせを有効ラインに最終停止表示させたことを意味する。かかる場合には、ステップS2209にて表示ラウンドカウンタHRCの値が1か否かを判別し、1でない場合にはステップS2210にて開放中処理を行い、本処理を終了する。一方、表示ラウンドカウンタHRCの値が1の場合には、ステップS2211にて今回の大当たりが15ラウンドに対応した大当たり状態か否かを判定する。15ラウンドに対応した大当たり状態である場合には、表示ラウンドカウンタHRCに11をセットする。ステップS2211にて15ラウンドに対応して大当たりではないと判定された場合又はステップS2212の処理を行った場合、ステップS2213に進み昇格報知処理を行う。昇格報知処理では、具体的には、ステップS2211にて15ラウンドに対応した大当たり状態であると判定されなかった場合には、今回の大当たり状態が非特定大当たりではなく特定大当たりであることを報知する。また昇格報知処理では、ステップS2211にて15ラウンドに対応した大当たり状態であると判定された場合には、今回の大当たり状態が15ラウンドに対応した大当たり状態であることと、非特定大当たりではなく特定大当たりであることを報知する。昇格報知処理を行ったら、本処理を終了する。
つまり、本実施の形態では、昇格フラグがセットされていない場合、すなわち特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合と、非特定大当たりであって非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合とには、図柄表示装置41の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に可変入賞装置32に入賞した遊技球数等が表示される。一方、昇格フラグがセットされている場合、すなわち特定大当たりであって非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合には、1ラウンドから4ラウンドまで図柄表示装置41の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に可変入賞装置32に入賞した遊技球数等が表示され5ラウンド目にて、図柄表示装置41の表示画面に特定大当たりであることを報知する報知演出が表示されるとともに、15ラウンドに対応した大当たり状態である場合には15ラウンドに対応した大当たり状態であることを報知する報知演出が表示される。したがって、非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となった場合であっても、5ラウンド目に昇格演出が行われることを期待させながら大当たり状態下の遊技を行わせることが可能となり、大当たり状態下の遊技が単調化することを抑制することが可能となる。なお、大当たり変動の場合にセットされた昇格フラグは上述したエンディング処理S2214にてクリアされ、外れリーチ変動の場合にセットされた昇格フラグは変動終了時にクリアされる。
次に主制御装置271の通常処理におけるステップS507の第2遊技状態移行処理について説明する。第2遊技状態移行処理とは、大当たり状態が終了した場合に移行する高確率状態又は時短状態において主に行われる処理である。
先ず、具体的に行われる処理を説明するに先立ち、大当たり状態が終了した後に移行する高確率状態及び時短状態について詳細に説明する。
本実施の形態では、特定大当たりが終了した場合には、遊技状態が時短状態に移行する。時短状態とは電動役物39が通常状態よりも開放状態に制御される機会が増え、作動口33に遊技球が入球し易くなる遊技状態である。特定大当たりが終了し、時短状態に移行した場合には、変動表示が100回行われるまで時短状態が継続する。なお、時短状態における大当たり状態に移行するか否かの抽選は通常状態における抽選と同様である。また、非特定大当たりが終了した場合には、遊技状態が高確率状態に移行する。高確率状態は、変動表示が5回行われるまで継続する。また、変動表示が5回行われることによって高確率状態が終了した場合には、変動表示が20回行われることによって終了する時短状態に移行する。高確率状態においても電動役物39が開放状態に制御される機会が増え、作動口33に遊技球が入球し易くなる。これにより、時短状態及び高確率状態においては通常状態と比して、遊技球を減少させることなく遊技を行うことができる。
具体的に第2遊技状態移行処理にて行われる処理について図52を用いて詳細に説明する。
先ず、ステップS2301にて現在の遊技状態が高確率状態か否かを判定する。高確率状態と判定された場合には、ステップS2302に進み、遊技回数カウンタの値が0か否かを判定する。ステップS2302にて遊技回数カウンタの値が0と判定された場合には、高確率状態において図柄の変動表示が5回行われたことを意味し、ステップS2303にて遊技状態を時短状態に移行させる時短状態移行処理を行う。時短状態移行処理を行ったらステップS2304にて時短状態が継続する回数として遊技回数カウンタに20をセットする。ステップS2302にて遊技回数カウンタの値が0でないと判定された場合又はステップ2304にて遊技回数をセットした場合、本第2遊技状態移行処理を終了する。
一方、ステップS2301にて高確率状態ではないと判定された場合にはステップS2305に進み、遊技状態が時短状態であるか否かを判定し、時短状態でない場合には本第2遊技状態移行処理を終了する。
ステップS2305にて時短状態であると判定された場合にはステップS2306に進み、遊技回数カウンタの値が0か否かを判定する。遊技回数カウンタの値が0の場合には、設定された回数の図柄の変動表示が終了したことを意味するため、遊技状態を通常状態に移行する通常状態移行処理を行う。ステップS2306にて遊技回数カウンタの値が0でないと判定された場合又は通常状態移行処理を行った場合、本第2遊技状態移行処理を終了する。なお、時短状態移行処理及び通常状態移行処理では、表示制御装置214に遊技状態が移行したことを意味するコマンドを送信する。表示制御装置214は当該コマンドを受信することによって遊技状態がそれぞれ時短状態又は通常状態に移行したことを認識する。
上述したとおり、高確率状態は変動表示が5回行われることにより時短状態に移行し、当該時短状態は変動表示が20回行われることによって終了する。大当たり状態が終了し、時短状態に移行した場合、当該時短状態は変動表示が100回行われるまで継続する。一の遊技回のみで考えると高確率状態の方が大当たり状態に移行する期待度は高く設定されているが、変動表示が5回行われることによって高確率状態が終了してしまう。本実施の形態では、高確率状態及び変動表示が20回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する期待度よりも、変動表示が100回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する期待度の方が高くなるように、それぞれの遊技状態が終了するまでに行われる変動表示の回数及び大当たり状態に移行することに当選する確率が設定されている。
具体的には、変動表示が100回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する確率は約63.5%であり、高確率状態において大当たり状態に移行する確率は約41.1%であり、変動表示が20回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する確率は18.3%である。さらに、高確率状態又は変動表示が20回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する合成確率は約51.9%である。変動表示が100回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する確率と、当該合成確率とを比較することによって、変動表示が100回行われるまで継続する時短状態において大当たり状態に移行する期待度が一番高く設定されているということができる。
次に、通常処理のステップS508にて行われる電動役物制御処理について図53を用いて説明する。電動役物制御処理とは、電動役物39の制御に関する処理である。
先ず、ステップS2401にて開放フラグが有るか、すなわち、RAM503に設けられた開放フラグ格納エリアに開放フラグがセットされているかを判定する。開放フラグとは、電動役物39を開放状態に制御することを意味するフラグである。開放フラグがセットされていない場合にはステップS2402に進み、開放当選フラグが有るか、すなわち、RAM503に設けられた開放当選フラグ格納エリアに開放当選フラグがセットされているか否かを判定する。開放当選フラグとは、電動役物39を開放状態に制御する抽選に当選していることを意味するフラグである。開放当選フラグがセットされていない場合にはステップS2403に進み、役物タイマの値が0か否かを判定する。役物タイマとはRAM503に設けられたカウンタであり、電動役物39を制御する場合に用いる。
ステップS2403にて役物タイマの値が0である場合には、ステップ2404に進み、役物保留球格納エリアN2の値が0より大きいか否か、すなわち、役物保留球格納エリアN2に値が記憶されているかを判定する。役物保留球格納エリアに値が記憶されている場合にはステップS2405〜ステップS2413の電動役物開放抽選処理を行う。
先ず、ステップS2405にて遊技状態が高確率又は時短状態であるか否かを判定する。本実施の形態では、高確率状態及び時短状態における電動役物39の制御は同様に行なわれる。すなわち、ステップS2405では遊技状態が通常状態か否かを判定しているともいえる。ステップS2405にて遊技状態が高確率状態又は時短状態と判定された場合には、ステップS2406にて開放抽選を行う。開放抽選には電動役物開放カウンタC5を用いる。具体的には、役物保留球格納エリアに記憶されている値をシフトし、実行エリアにシフトされた電動役物開放カウンタC5の値が0〜190であった場合に、開放抽選に当選となる。また、開放抽選と同時に役物タイマに750をセットする。なお、役物タイマは0.2msec周期にて減算される。すなわち、750がセットされた場合には1.5秒にて0になる。ステップS2407では、役物タイマにセットした値と、開放抽選の抽選結果とを表示制御装置214にコマンドとして送信する。表示制御装置214は、当該コマンドを受信することによって上述した普通画面Gaにて電動役物39を開放するか否かの変動表示を行う。
ステップS2407の処理を行ったらステップS2408に進み、ステップS2406の開放抽選が当選であったか否かを判定する。開放抽選に当選していた場合には、ステップS2409にて開放当選フラグを開放当選フラグ格納エリアにセットし、RAM503に設けられた開放回数カウンタに3をセットする。開放回数カウンタは、電動役物39が開放した回数をカウントするために用いるカウンタである。すなわち、高確率状態又は時短状態において開放抽選に当選した場合には、電動役物39は3回開放される。ステップS2408にて開放抽選に当選していないと判定された場合又はステップS2409の処理を行った場合、本電動役物開放処理を終了する。
一方、ステップS2405にて高確率状態又は時短状態とは判定されなかった場合、ステップS2410に進む。ステップS2410では、ステップS2406と同様開放抽選を行う。また、役物タイマに14750をセットする。ステップS2411では、ステップS2410において行われた開放抽選の結果と、役物タイマにセットした値とを送信する。ステップS2411の処理を行ったらステップS2412に進み、ステップS2410の抽選結果が当選であったか否かを判定し、当該抽選結果が当選であった場合には、ステップS2413にて開放当選フラグをセットし、開放回数カウンタに1をセットする。これにより、例えば、通常状態にて開放抽選に当選した場合には、電動役物39は1回開放される。
ここで普通画面Gaにて行われる電動役物39を開放するか否かの変動表示について説明する。
ステップS2407又はステップS2411にてコマンドを受信することにより表示制御装置214は普通画面Gaにて電動役物39を開放するか否かの変動表示を行う。本実施の形態では、変動表示には貝の図柄(以下、普通図柄ともいう)を用いる。具体的には、ステップ2407又はステップS2411にて受信したタイマの値から変動表示の時間を算出し、変動表示の最後に抽選結果と対応した貝の図柄を停止表示する。開放抽選に当選していた場合には、変動表示の最後に貝が開いた図柄が停止表示し、開放抽選に当選していなかった場合には貝が閉じた図柄が停止表示する。これを視認することにより、開放抽選に当選していたか否かを遊技者は理解することができる。なお、変動表示の時間を算出とは、例えば、ステップS2407にて役物タイマの値が750と送信された場合、表示制御装置214は1.5秒に亘り普通図柄の変動表示を行う。
電動役物開放処理の説明に戻り、ステップS2402にて、開放当選フラグがセットされている場合には、ステップS2414に進み、役物タイマの値が0であるか否かを判定する。役物タイマの値が0でなかった場合には、普通図柄の変動表示が行われている最中であることを意味するため本役物開放処理を終了する。ステップS2414にて役物タイマの値が0と判定された場合には、ステップS2415に進み、RAM503に設けられた開放フラグ格納エリアに開放フラグをセットし、開放当選フラグをクリアする。ステップS2415の処理を行ったら本電動役物開放処理を終了する。
ステップS2401にて開放フラグがセットされている場合にはステップS2416に進み、電動役物開閉処理を行う。電動役物開閉処理とは、具体的に電動役物39を遊技球が入球し易い開放状態に制御したり、遊技球が入球しにくい閉鎖状態に制御したりするものである。
この電動役物開閉処理について図54を用いて詳細に説明する。
先ず、ステップS2501にて電動役物39が開放中であるか否かを判定する。電動役物39が開放中であるか否かは、電動役物39に設けられた電動役物ソレノイドが励起状態であるか否かで判定する。電動役物ソレノイドが励起状態になることによって電動役物39が開放状態になる。電動役物39が開放されている場合にはステップS2502に進み、役物タイマの値が0か否かを判定する。役物タイマの値が0である場合にはステップS2503に進み、電動役物39を閉鎖状態に制御する閉鎖処理を行い、役物タイマに250をセットする。役物タイマをセットしたら、ステップS2504に進み、開放カウンタの値を1ディクリメントする。その後、ステップS2505に進み、開放カウンタの値が0であるか否かを判定する。開放カウンタの値が0である場合には、ステップS2506に進み、開放フラグをクリアする。ステップS2502にて役物タイマが0でなかった場合、ステップS2505にて開放カウンタが0でなかった場合又はステップS2506にて開放フラグをクリアした場合、本電動役物開閉処理を終了する。
一方、ステップS2501にて電動役物39が開放中ではないと判定された場合、ステップS2507に進み、役物タイマの値が0か否かを判定する。すなわち、開放フラグがセットされ、一度も電動役物39が開放されていない場合又はステップS2502〜ステップS2505の処理が行われ、開放カウンタが0でなかった場合にステップS2507に進む。ステップS2507における役物タイマの値が0か否かとはステップS2503にてセットされた値が0になったか否かを判定している。すなわち、一度電動役物39が閉鎖状態に制御された場合、役物タイマに250がセットされ、その値が0になるまで電動役物39は開放状態に制御されない。これにより、電動役物39が閉鎖状態に制御された場合には少なくとも0.5秒の間は閉鎖状態が維持されることとなる。
ステップS2507にて役物タイマの値が0でないと判定された場合には本電動役物開閉処理を終了する。役物タイマの値が0であった場合にはステップS2508に進み、電動役物39を開放状態に制御する電動役物開放処理を行う。電動役物39を開放状態に制御したらステップS2509に進み、遊技状態を判定する。ステップS2509にて遊技状態が高確率状態又は時短状態と判定された場合にはステップS2510にて役物タイマに800をセットし、ステップS2509にて遊技状態が高確率状態又は時短状態ではないと判定された場合には役物タイマに100をセットする。すなわち、高確率状態又は時短状態の場合、電動役物39は開放状態に1.6秒の間維持され、高確率状態又は時短状態ではない場合、電動役物39は開放状態に0.2秒の間維持される。これにより、高確率又は時短状態において電動役物39は開放状態に維持される時間が長く設定されているため、作動口33に遊技球が入球し易くなるということがいえる。ステップS2510又はステップS2511にて役物タイマに値をセットしたら本電動役物開閉処理及び電動役物開放処理を終了する。
ここで、電動役物39が開放状態又は閉鎖状態に制御されている状態について図56を用いて詳細に説明する。
図55(a)は、電動役物39が閉鎖状態に制御されている状態である。この場合、遊技球はほぼ真上方向からのみ入球が可能となる。
図55(b)は、電動役物39が開放状態に制御されている状態である。この場合、電動役物39が閉鎖状態制御されている場合と比して、電動役物39が開放状態制御されている分だけ遊技球が作動口33に入球可能な角度が大きくなる。これにより、電動役物39が開放状態に制御されている場合には、遊技球はほぼ真上方向からのみならず、左上方向や右上方向からも入球可能となる。高確率状態及び時短状態において、通常状態よりも長期間の間、電動役物39は開放状態に制御されるために、通常状態と比して、高確率状態又は時短状態では作動口33に遊技球が入球し易くなっている。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
大当たり状態が終了した場合には、高確率状態又は時短状態のいずれかに移行する構成とした。これにより、大当たり状態が終了した場合に高確率状態又は時短状態のどちらに移行するかに遊技者は注目して遊技を行い遊技における注目度を高めることができる。
また、高確率状態において大当たり状態に移行する期待度が高く設定されている遊技機の場合、遊技者によっては時短状態にはあまり注目せず、高確率状態にのみ注目することが考えられる。本実施形態の場合には、一の遊技回で考えると、他の遊技状態と比して高確率状態が大当たり状態に移行する期待度が高く設定されている。しかしながら、高確率状態は変動表示が5回行われることによって終了するため、それぞれの遊技状態全体で比較した場合には、高確率状態において大当たり状態に移行する確率よりも、変動表示が100回行われることによって終了する時短状態において大当たり状態に移行する期待度の方が高くなるように設定されている。よって、高確率状態よりも、変動表示が100回行われることによって終了する時短状態の方が大当たり状態に移行する期待度を高くなり、時短状態における遊技の注目度を高めることができる。
さらに、高確率状態及び高確率状態が終了することによって移行する時短状態(変動表示が20回行われることによって終了する時短状態)において大当たり状態に移行することに当選する期待度よりも、大当たり状態が終了することによって移行する時短状態(変動表示が100回行われることによって終了する時短状態)において大当たり状態に移行する期待度が高くなるよう設定した。これにより、変動表示が100回行われることによって終了する時短状態に移行することを遊技者は一層期待して遊技を行い、遊技への注目度を高める効果を一層顕著なものとすることができる。さらに、変動表示が100回行われることによって終了する時短状態において大当たり状態に移行する確率が高いため、変動表示が100回行われることによって終了する時短状態における遊技の注目度を高める効果も発揮される。これらのように、遊技への注目度を高めることにより、遊技者が遊技を続ける継続意欲を高め、パチンコ機10の稼働率が低下することを抑制する効果も発揮される。
大当たり状態として可変入賞装置32が5回開放される大当たり状態と、可変入賞装置32が15回開放される大当たり状態とが設定されている。これにより、大当たり状態に移行する場合に、どちらの大当たり状態に移行するかに遊技者は注目して遊技を行い、遊技への注目度を高める効果が発揮される。
時短状態においては電動役物39を開放状態に制御することによって作動口33に遊技球が入球し易くするようにした。これにより、時短状態においては、通常遊技状態と比して遊技球を減少させることなく大当たり状態を発生させるか否かの抽選を行わせることができる。これにより、時短状態の通常遊技状態に対する大当たり状態を発生させるか否かの抽選を行わせることへの優位性を高めることができる。
特定大当たりの場合に非特定図柄の組合せが最終停止表示されることがある構成とすることにより、仮に非特定図柄の組合せが最終停止表示された場合であっても、大当たり状態の終了後に高確率状態へ移行する余地を残すことが可能となり、遊技の単調化を抑制することが可能となる。
本実施の形態では、表示制御装置214のみならず主制御装置271でも昇格演出を行うか否かを決定する構成としており、主制御装置271では特定大当たりである場合の約13分の1の確率で昇格演出を行うと決定する。したがって、特定大当たりの場合に主制御装置271から表示制御装置214に対して特定図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止図柄コマンドが送信される確率は約13分の12である。また、前記停止図柄コマンドを受信した場合、表示制御装置214において、第1表示モードでは昇格演出抽選を行わず、第2表示モードでは約5分の1の確率で昇格演出を行うと決定し、第3表示モードでは約2分の1の確率で昇格演出を行うと決定する。以上の結果、特定大当たりの場合に昇格演出が行われる確率は、第1表示モードでは約13分の1であり、第2表示モードでは約4分の1であり、第3表示モードでは約2分の1である。このように、表示モードを複数設定すると共に表示モードの管理を表示制御装置214が独自に行う構成とすることにより、主制御装置271の処理負荷を増大化させることなく表示制御装置214側で表示演出の多様化を図ることが可能となり、遊技の単調化を抑制することができる。
昇格抽選に当選した場合、特定図柄による外れリーチの場合にも主制御装置271でリーチ図柄を変更する構成とした。かかる構成とすることにより、特定図柄によるリーチ発生となった際に大当たり発生となる期待値が低下することや非特定図柄によるリーチ発生となった際に大当たり発生となる期待値が増加することを抑制することが可能となる。故に、いずれの有効ラインでどの図柄によるリーチが発生した場合であっても大当たり発生への期待を抱かせることが可能となる。
特定大当たりであって非特定図柄の組み合わせを最終停止表示させた場合、大当たり状態下で特定大当たりであることを報知する昇格演出を行う構成とすることにより、仮に非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合であっても、昇格演出が行われることを期待させながら大当たり状態下における遊技を行わせることが可能となる。この結果、通常状態下における遊技のみならず大当たり状態下における遊技の単調化をも抑制することが可能となる。
リーチ演出決定処理において、特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに最終停止表示させる大当たり変動であってプレミアム演出抽選に当選した場合に限り、プレミアム演出を行うよう対応するプレミアム予告キャラクタやプレミアムリーチキャラクタ等を設定する構成とした。かかる構成とすることにより、プレミアム演出が行われる機会を限られたものとすることが可能となり、プレミアム演出が行われた際の遊技者の優越感を高めることが可能となる。さらに、特定図柄の組み合わせが最終停止表示される場合に限ってプレミアム演出の行われる可能性があるため、非特定大当たりではなく特定大当たりが発生することに対して遊技者に優越感を抱かせるのみならず、プレミアム演出が行われたことに対して遊技者に優越感を抱かせることが可能となり、遊技の興趣を飛躍的に向上させることが可能となる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施の形態では、高確率状態は変動表示が5回行われた場合に終了し、高確率状態終了した場合に移行する時短状態は変動表示が20回行われた場合に終了し、さらに、大当たり状態が終了した場合に移行する時短状態は変動表示が100回行われることによって終了したが、かかる構成に限定されるものではない。
それぞれの遊技状態は何回変動表示が行われた場合に終了するよう設定されていてもよい。例えば、高確率状態が3回、7回、10回いずれかの回数に設定されていてもよい。
また、予め定められた期間が経過することによってそれぞれの遊技状態が終了してもよい。この場合、期間を計測する期間計測カウンタを設置するのが望ましい。
(2)上記実施の形態では、遊技回数をカウントする方法として遊技回数カウンタを用い、遊技回数カウンタが減算されていき、当該遊技回数カウンタの値が0になった場合に、遊技状態を移行させたが、かかる構成に限定されるものではない。変動表示が終了すると遊技回数カウンタの値が1加算され、予め定められた値になった場合に遊技状態を移行してもよい。さらに、遊技回数カウンタの値が減算されていく場合も0になった場合ではなく、例えば、遊技回数の値が−1,5,10等いくつになった場合に遊技状態を移行するよう設定されていてもよい。
(3)上記実施の形態では、大当たり状態として、可変入賞装置32が5回開放される大当たり状態と、15回開放される大当たり状態とが設定されていたが、かかる構成に限定されるものではない。
設定されている大当たり状態が2種でなくともよく、1種のみ大当たり状態が設定されていてもよいし、3種以上大当たり状態が設定されていてもよい。例えば、大当たり状態に移行した場合には必ず可変入賞装置32が15回開放されてもよい。さらには、可変入賞装置32が5回、10回、15回開放される3種類の大当たり状態が設定されていてもよい。
(4)上記実施の形態では、時短状態の一の遊技回における大当たり状態に移行する確率は通常状態と同じように設定されていたが、かかる構成に限定されるものではない。
通常状態よりも時短状態は、大当たり状態に移行する確率が高く設定されていてもよい。ただし、一の遊技回において大当たり状態に移行する確率が高確率状態よりも高くしないのが望ましい。
(5)上記実施の形態では、図柄の変動表示が始まり、当該変動表示が終了するまでを一の遊技回としたが、図柄の変動表示が始まり、当該変動表示が終了し、さらに、次の変動表示が始まるまでを一の遊技回としてもよい。すなわち、一の遊技回において図柄の変動表示が一度のみ行われるならばよい。なお、「一の遊技回」とは、図柄表示装置41に複数回変動表示が行われているかのように表示されるが内部的には一度の変動表示とされるものも含まれる。
(6)上記実施の形態では、大当たり状態が終了した場合、高確率状態又は時短状態のいずれかに移行する構成としたが、大当たり状態が終了した場合に通常状態に移行することがあってもよい。
この場合、例えば、大当たり種別カウンタC2を用いて大当たり状態が終了した場合に通常状態に移行するものを設定しておけばよい。
(7)上記実施の形態以外の遊技状態が設定されてもよい。例えば、高確率状態以外に通常状態よりも大当たり状態に移行する確率が高い遊技状態が設定されていてもよい。この場合、遊技状態が複数設定されることとなり、どの遊技状態に移行するかに遊技者は注目し、遊技における注目度を高める効果が発揮される。また、大当たり状態に移行する確率が異なる高確率状態として遊技状態が複数設定されていてもよい。
(8)上記実施の形態では、時短状態は電動役物39が通常状態よりも長い期間に亘り開放状態に制御されたが、かかる構成に限定されるものではない。時短状態は、通常状態よりも作動口33に遊技球が入球し易くなっていればよい。
例えば、時短状態においてはスルーゲート34を遊技球が通過した場合には電動役物39が開放状態に制御されることに当選する確率が高くなってもよい。
(9)上記実施の形態では、作動口33に遊技球が入球することによって遊技球が5個払い出されたが、かかる構成に限定されるものではない。すなわち作動口33に遊技球が入球した場合に払い出される遊技球の数は限定しない。例えば、1個、2個、3個、4個、10個等何個払い出されてもよい。さらには、作動口33に遊技球が入球したとしても遊技球が払い出されなくともよい。ただし、作動口33に遊技球が入球された場合に払い出される遊技球の数が少なくなると、時短状態の通常状態に対する優位性が弱まってしまうことが考える。
(10)上記実施の形態では特定大当たりの場合に、非特定大当たりに対応した図柄にて大当たり状態に移行し、当該大当たり中に特定大当たりであることを報知する昇格演出が行われたが、昇格演出がなくともよい。すなわち、特定大当たり又は非特定大当たりの場合に、それぞれに対応した図柄の組合せのみが停止することによって大当たり状態に移行する。この場合、図柄位置調整処理におけるステップS1903の昇格演出処理が必要なくなる。
(11)上記各実施の形態では、大当たり変動の場合と外れリーチ変動の場合のいずれであっても同じ当選確率で昇格演出抽選を行う構成としたが、大当たり変動の場合と外れリーチ変動の場合とで昇格演出抽選の当選確率が異なる構成としてもよいことは言うまでもない。
(12)上記実施の形態では、大当たり抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2とを個別に設けたが、大当たり種別カウンタC2を設けずともよい。すなわち、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて当たり外れの判定と特定大当たりか非特定大当たりかの判定を行う。
例えば、第1の実施形態において、通常状態下で大当たりとなる乱数の値は「37,73」の2つである。そこで、先ず大当たり乱数カウンタC1の値が「37,73」のいずれかであれば当たりと判定し、その後に再度大当たり乱数カウンタC1の値を確認し、「37」であれば特定大当たりと判定し、「73」であれば非特定大当たりと判定する構成とする。
または、「37」であれば特定大当たりと判定し、「73」であれば非特定大当たりと判定し、それ以外の値であれば外れと判定する構成とする。つまり、当たり外れの判定と当たり種別の判定とを1つの処理で行ってもよい。
(13)上記実施の形態では、パチンコ機に適用したものであったが、スロットマシンやスロットマシンとパチンコ機とを融合した遊技機に本発明を適用してもよい。すなわち、ボーナスゲームが終了した後に、ボーナスゲームを発生させることに当選する確率が高くなる場合や、1遊技回あたりにおいて遊技媒体が減少する量が少なくなる又は遊技媒体が払い出される場合が設定されていればよい。
例えば、ボーナスゲームを発生させることに当選する確率が高くなる場合として、内部的に当選しているボーナスゲームを発生させることができなくしている所謂ストック機においてボーナスゲームを発生可能にすることに当選する確率が高くなる高確率状態が考えられる。
さらに、1遊技回あたりにおいて遊技媒体が減少する量が少なくなる又は遊技媒体が払い出される場合として、通常状態よりも再遊技に当選する確率が高く設定されている所謂リプレイタイムが考えられる。リプレイタイム以外にも、所謂アシストタイムや、所謂チャレンジタイム等が考えられる。
(14)上記実施の形態では大当たり状態が終了した後に、高確率状態又は時短状態に移行したが、かかる構成に限定されるものではない。
大当たり状態が終了した後に、高確率状態及び時短状態に移行する第1モード及び第2モードが設定されており、第1モードにおける高確率状態の継続する遊技回数は第2モードにおける高確率状態の継続する遊技回数より少なく設定されている。さらに、第1モードにおける時短状態の継続する遊技回数は、第2モードにおける時短状態の継続する遊技回数よりも多く設定されているものが考えられる。
この場合、それぞれのモードにおいて大当たり状態を発生させることに当選する期待度に差異を設定しておくことによって大当たり状態が終了した後に、第1モード、第2モードのいずれのモードが実行されるかに遊技者は注目し、遊技への注目度を高める効果が発揮される。
この場合における一実施の形態を図56、図57を用いて説明する。なお、上記実施の形態と同様のものについては同じ番号を付して説明を省略する。
先ず、図56を用いて本実施形態における第1遊技状態移行処理について説明する。ステップS2601にて高確率状態移行処理を行う。高確率状態移行処理は上記実施の形態における高確率状態移行処理と同様である。続くステップS2602にて特定フラグが有るか否か、すなわち、特定フラグがセットされているかを判定する。特定フラグがセットされている場合にはステップS2602にて遊技回数カウンタに1をセットする。一方、特定フラグがセットされていなかった場合にはステップS2603にて遊技回数カウンタに5をセットする。すなわち、特定大当たりが終了した後には高確率状態に1遊技回のみ移行し、非特定大当たりが終了した後には高確率状態に5遊技回に亘り移行する。また、ステップS2602にて時短状態に移行する際に何遊技回数の時短状態に移行するかを決定するためにステップS2602にて特定時短フラグを特定時短フラグ格納エリアにセットする。
次に、図57を用いて本実施形態における第2遊技状態移行処理について説明する。
先ず、ステップS2701にて、特定時短フラグが有るか否か、すなわち特定時短フラグが特定時短フラグ格納エリアにセットされているかを判定する。特定時短フラグがセットされている場合にはステップS2702に進み、遊技回数カウンタに100をセットする。一方、特定時短フラグがセットされていなかった場合には、ステップS2703にて遊技回数カウンタに10をセットする。なお、特定時短フラグは、ステップS2702又は高確率状態から大当たり状態に移行する場合にクリアされる。
なお、本実施形態の場合、特定フラグがセットされておらず高確率状態から時短状態に移行した場合よりも、特定フラグがセットされており高確率状態から時短状態に移行した方が、大当たり状態を発生させることに当選する確率が高くなるように高確率状態及び時短状態の遊技回数が決定されている。これにより、高確率状態に移行している遊技回数が少ないとしても、時短状態が100回継続する特定大当たりが発生することを期待して遊技者は遊技を行い、さらに、当該時短状態にて大当たり状態を発生させることに当選することを期待して遊技を行う。よって、時短状態における遊技への注目度を高める効果が発揮される。
また、特定フラグがセットされて移行した高確率状態と、特定フラグがセットされておらず移行した高確率状態とにおいて大当たり状態を発生させることに当選する確率が異なっていてもよい。例えば、特定フラグがセットされて移行した高確率状態では大当たり抽選に当選する一遊技回あたりの確率が約15%に設定されており、特定フラグがセットされておらず移行した高確率状態では大当たり抽選に当選する一遊技回あたりの確率が約10%に設定されていてもよい。
(15)上記実施の形態では、時短状態においては、作動口33に遊技球が入球し易くしたが、かかる構成に限定されるものではない。
時短状態において遊技者に付与される遊技球が増加するようにしてもよい。例えば、時短状態において開放され易くなる入賞口が備えられており、当該入賞口に遊技球が入球することによって遊技者に遊技球が付与される。この場合、作動口33への遊技球の入球し易さは通常状態と変わらないが、入賞口に遊技球が入球し、遊技球が遊技者に付与されることによって、通常状態よりも遊技者は遊技球を減少させることなく、大当たり状態を発生させるか否かの抽選を行わせることができる。
なお、この場合、電動役物39は作動口33に備えられていなくともよいし、電動役物39が作動口33に備えられているとしても、時短状態において通常状態よりも作動口33に遊技球が入球し易くなるよう電動役物39が制御されなくともよい。
(16)時短状態及び高確率状態において、一の図柄の変動表示が行われる時間が通常状態よりも短くなったが、かかる構成に限定されるものでない。高確率状態又は時短状態の少なくとも一方において、通常状態と同様の時間にて図柄の変動表示が行われてもよい。
(17)上記実施の形態では、表示モードを3種類備えると共に表示モード毎に昇格演出抽選の当選確率が異なる構成について説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、表示モードを2種類備える構成としてもよいし、4種類以上の表示モードを有する構成としてもよい。或いは、表示モードを有さない、すなわち表示モードを変更することができない構成としてもよい。これら構成においても、表示制御装置214がリーチ図柄を変更可能な構成とすれば上記実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
(18)上記実施の形態では、選択スイッチ108を膨出部22の前面側に設けて遊技者により操作可能な構成としたが、例えば遊技盤30の背面側に設けて遊技場の管理者等が表示モードを選択可能な構成としてもよい。或いは、選択スイッチ108を設けず表示制御装置214が独自にいずれかの表示モードを設定する構成としてもよい。表示制御装置214が独自にいずれかの表示モードを設定する構成として、例えば所定回の遊技が行われる毎に表示モードを変更したり、大当たり状態の終了後に表示モードを変更したりする構成が考えられる。
(19)上記実施の形態では、図柄を変動表示中の場合には選択スイッチ108の操作を無効とする構成としたが、各図柄列Z1〜Z3を高速変動表示させている間は選択スイッチ108の操作を有効とする構成としてもよい。
(20)上記実施の形態では、選択スイッチ108に内蔵されたランプの駆動制御を音声ランプ制御装置272が行う構成としたが、表示制御装置214が行う構成としてもよいことは言うまでもない。
(21)上記実施の形態では、各図柄列Z1〜Z3の図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される構成について説明したが、上下方向にスクロールされるようにして変動表示される構成としてもよいことは言うまでもない。また、3つの図柄列が変動表示される構成に限らず、2つの図柄列が変動表示される構成や4つ以上の図柄列が変動表示される構成としてもよい。
さらにいうと、5つの図柄列の図柄が所定方向にスクロールされるようにして変動表示されると共に、1つの図柄列あたり3個の図柄が表示画面に停止表示される構成とし、そのうち3つの図柄列の図柄によって特定の図柄の組み合わせが形成された場合に大当たり発生となる構成としてもよい。かかる構成においては、両端2つの図柄列の変動表示を先ず停止させ、その後に内側2つの図柄列の変動表示を停止させ、最後に中央の図柄列の変動表示を停止させるようにする。かかる場合、上記各実施の形態と同様な3×3の図柄列の変動表示が3パターン行われることとなり、中央の図柄列の停止図柄によって変動表示時間が変化することとなるため、中央の図柄列以外の停止図柄(リーチ図柄)を変更する構成とすれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
(22)上記実施の形態では、上図柄列Z1の主図柄を降順に配列すると共に中図柄列Z2と下図柄列Z3の主図柄を昇順に配列する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、上図柄列Z1と下図柄列Z3の主図柄を降順に配列すると共に中図柄列Z2の主図柄を昇順に配列する構成としてもよい。つまり、少なくとも1つの図柄列における主図柄の配列が他の図柄列に対して逆順となる図柄配列であればよい。
(23)上記実施の形態では、左ラインL1(右ラインL3)に特定図柄が停止した場合に右ラインL3(左ラインL1)に非特定図柄が停止し、これら有効ラインにおいてリーチ図柄を変更可能な構成としたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば特定図柄と非特定図柄の間に副図柄が配されていない図柄配列の場合、左ラインL1に特定図柄が停止すると中ラインL2に非特定図柄が停止することとなる。したがって、中図柄列Z2の特定図柄が左ラインL1に停止する特定大当たりの場合に、中ラインL2,右下がりラインL4,右上がりラインL5のいずれかに非特定図柄の組み合わせが最終停止表示されるようリーチ図柄を変更する構成としてもよい。
(24)上記実施の形態における表示制御装置214は、状態移行コマンドに基づいて遊技状態が大当たり状態に移行したこと及びいずれの開放パターンが行われるのかを認識し、開放コマンドと閉鎖コマンドに基づいて可変入賞装置32の開閉を認識する構成としたが、可変入賞装置32の開閉と図柄表示装置41の表示とを連動させる構成であれば、かかる構成に限定されるものではない。
(25)上記実施の形態では、7セグ表示装置47及び第1,第2特定ランプ部48a,48bが一般入賞口31の下方に配設されている構成であったが、他の位置に配設されている構成であってもよい。例えば、7セグ表示装置47がアウト口36付近に配設されている構成であってもよい。
(26)上記実施の形態では、従来に比べて遊技領域が比較的大きいパチンコ機10について説明したが、これに限らず、従来のような遊技領域や窓部等を有するパチンコ機等の遊技機にも適用できる。また、上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなる所謂第3種パチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機やこれら構成を組み合わせたパチンコ機等の遊技機にも適用できる。さらには、遊技者に払い出すべき賞球を仮想遊技媒体として貯留記憶する貯留記憶手段を備えたパチンコ機にも適用できる。
(27)上記実施の形態では、主制御装置271が図柄表示装置41における停止図柄を決定したが、かかる構成に限定しない。
主制御装置271が図柄表示装置41における各図柄列リーチを行うか否かを決定したが、リーチを行うか否かや、どのようなリーチを行うか否か等を表示制御装置214が決定してもよい。
主制御装置271は、図柄の変動パターンやリーチ種別を決定せずに各図柄列Z1〜Z3の停止図柄と変動表示時間を決定し、表示制御装置214が図柄の変動パターンとリーチ種別を決定する構成であってもよい。かかる構成においても、主制御装置271の決定した各図柄列Z1〜Z3の停止図柄と変動表示時間によって表示制御装置214が図柄の変動パターンを導出できる構成であれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することが明らかである。また、この場合、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄をも表示制御装置214が決定してもよい。これらの場合も、大当たり抽選と変動表示時間とを主制御装置271が決定するため、7セグ表示装置47における変動表示と図柄表示装置41における変動表示との同期を行うことが可能となる。
さらには、主制御装置271は、大当たり状態に移行するか否かの抽選結果のみを表示制御装置214に送信し、図柄の変動表示時間をも表示制御装置214が決定してもよい。すなわち、図柄表示装置41における図柄の変動表示に関する処理を全て表示制御装置214が行う。この場合、表示制御装置214から主制御装置271に変動表示時間を送信すれば、主制御装置271が次の遊技回用の抽選結果を表示制御装置214に送信するタイミングを計ることができる。
また、以上の場合、表示制御装置214のみにて昇格演出を行うか否かを決定してもよい。表示制御装置214のみにて昇格演出を行うか否かを決定する場合、主制御装置271に設けられた昇格乱数カウンタC4が必要なくなる。