JP5807961B2 - 比偏波間位相差演算装置、及びそれを用いた降雨観測システム並びに比偏波間位相差演算方法 - Google Patents

比偏波間位相差演算装置、及びそれを用いた降雨観測システム並びに比偏波間位相差演算方法 Download PDF

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Description

本発明は、二重偏波気象レーダーによる降雨観測時等における比偏波間位相差演算装置、及びそれを用いた降雨観測システム並びに比偏波間位相差演算方法に関する。
従来、気象レーダーにより、電波をアンテナから大気中へ射出し、射出された電波が雨に当たってアンテナに帰ってくることで、電波の強さを測定し、降雨位置、降雨強度及び降雨量を推定している降雨観測装置があった。
また、マルチパラメータレーダーにより得られる比偏波間位相差、反射因子差、反射因子 に基づき降雨強度の推定式、雨水量の推定式を用い、地上付近の気温 、観測仰角、標準大気の気温減率よりレンジ方向の温度プロファイルを計算し、温度依存性と仰角依存性を考慮した推定式の係数とべき指数を用いて降雨強度と雨水量の3次元分布を推定することで、降雨強度及び雨水量の3次元分布の推定精度を高めたものが開示されている(特許文献1)。
特許文献1に記載された技術では、マルチパラメータレーダーを用いることで、より正確な降雨強度推定ができるが、非常に強い降雨域の後面等の領域では、大きな降雨減衰が生じるため、降雨データが得られないことがあった。この場合、降雨データが取得できない領域について、他のレーダーにより判定をし、降雨データを得ていた。
しかしながら、他のレーダーがカバーできない領域等に関して、降雨減衰によって降雨データの取得が不能となる領域と、無降水領域とを区別し、判定することができず、データ合成や数値モデルへのデータ同化の際に誤差を生じることがあった。
そこで、特許文献2に記載された技術では、降雨減衰によって降雨データの取得が不能となる領域と、無降水領域とを、簡易に区別し、判定することができるようにした。
特開2006−208195号公報 特開2009−98001号公報
Fubbert,J. and V.N.Bringi, 1995:An iterative filtering technique for the analysis of copolar differential phase and dual-frequency radar measurements, J.Atmos. Oceanic Technol., 12, 643-648.
特許文献1及び2に記載されているように、粒径の大きな雨滴が落下するとき、空気抵抗によりその雨滴は水平方向の粒径よりも垂直方向の粒径の方が小さい扁平な形状となるため、雨の中では水平偏波の方が垂直偏波に比べ位相の遅れが大きくなることが知られている。
この偏波間の位相差ΦDPはマルチパラメータレーダーで観測可能な物理量であり、距離が遠くなるほど位相の遅れが積算されていくため、降雨中ではレーダーからの距離rが遠くなるほど大きくなる量である。偏波間の位相差ΦDPの距離微分は比偏波間位相差KDPと呼ばれ、以下の式(1)で示される。
Figure 0005807961
雨に対する比偏波間位相差KDPはその地点に水平方向に扁平な大きい水滴が多いほど大きな値となり、大きな水滴が多いほど降水強度も大きくなることから、雨の比偏波間位相差KDPと降水強度Rの間にはKDP−Rと呼ばれる関係が存在する。
DP−R関係を用いた定量的降雨強度推定において、偏波間の位相差ΦDPを精度よく観測することが重要であるが、偏波間の位相差ΦDPの観測に関していくつかの誤差要因が知られている。
図11は、後方散乱による位相差の例を示す図である。また、図12は、実際に観測した偏波間の位相差ΦDP及び比偏波間位相差KDPのレンジプロファイルを示す図である。図12(a)は、実際に観測した偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルを示す図、図12(b)は、実際に観測した比偏波間位相差KDPのレンジプロファイルを示す図である。
図11において、実線はレーダーで観測される式(2)のレンジプロファイル、破線は復元すべき偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルを示し、横軸は距離、縦軸は位相差を示す。
また、図12は、2005年7月9日神奈川県海老名市に設置されたマルチパラメータレーダーで観測した方位角232°、仰角2.6°における偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイル及び比偏波間位相差KDPのレンジプロファイルを示す。なお、比偏波間位相差KDPは、レンジ幅1kmのデータを用いた偏波間の位相差ΦDPの線形回帰により算出した。
例えば、非常に強い降雨の場合や降雨中に雹などの巨大な粒子が含まれる場合、後方散乱による位相差δが顕著になる場合がある。すると、図12の距離17km付近のように、その場所で偏波間の位相差ΦDPが過大に観測されてしまう。つまり、レーダーで観測される偏波間位相差Ψは、以下の式(2)のように表されるようになる。
Figure 0005807961
そして、ある場所の偏波間の位相差ΦDPが過大に観測されると、図12に示すように、その場所のレーダーに近い側で比偏波間位相差KDPが過大に計算され、反対側では負の比偏波間位相差KDPが計算されてしまう。
また、他の誤差要因として、ノイズがある。図12(a)は、観測された偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルの例であるが、図12(a)に示すように、レーダーからのレンジが14kmから16km付近の間に強い降雨が存在し、その場所で偏波間の位相差ΦDPが大きく変化している。しかし、観測された偏波間の位相差ΦDPにはレンジビン毎に変動するようなノイズが含まれ、例えば、強雨域の後方で、電波の減衰により信号が弱くなっていると考えられる距離18km以遠の領域のように、信号のS/N比の小さくなるところでは、そのノイズの変動も大きくなる傾向がある。
図12(b)は図12(a)の偏波間の位相差ΦDPに対して、レンジ幅1kmの範囲で線形回帰を行い、求められた傾きから比偏波間位相差KDPを計算したものである。強雨域では大きな比偏波間位相差KDPが算出されているが、弱雨域では比偏波間位相差KDPのプロファイルが0の値を中心に変動している様子がみられる。
本来、降雨中では偏波間の位相差ΦDPは距離に関して単調増加するはずであり、比偏波間位相差KDPは常に正の値になるはずである。しかし、観測された偏波間の位相差ΦDPに含まれるノイズのため、本来は現れることのない負の比偏波間位相差KDPが計算されている。そのノイズによる比偏波間位相差KDPの変動の半値幅は1°km-1から2°km-1程度であるが、降雨強度に換算すると20mm hour-1から35mm hour-1であり、この比偏波間位相差KDPの変動は無視できるものではない。
本発明では、誤差要因による変動を補正して精度の良い比偏波間位相差KDPを演算する比偏波間位相差演算装置、及びそれを用いた降雨観測システム並びに比偏波間位相差演算方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の降雨減衰判定装置は、距離に関して変化する観測データの偏波間位相差の不連続な状況を補正し、元の連続的な観測された偏波間位相差を復元する偏波間位相差折り返し補正手段と、所定の閾値以下の偏波間相関係数を有する観測点のデータを、解析に使用しないように管理する品質管理手段と、観測された偏波間位相差の距離についての移動平均及び標準偏差を求め、それぞれの距離において、観測された偏波間位相差とその移動平均値との差が閾値を超えた場合、その距離のデータを移動平均値に置き換える外れ値除去手段と、降雨層と雨以外の降水粒子を含むと思われる領域を判別し、降雨層以外のデータを解析対象から外す降雨層の判別手段と、レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定する境界条件決定手段と、観測された偏波間位相差と求めるべき偏波間位相差との差の二乗及びローパスフィルタとして機能する距離に関する二階微分の二乗の和からなるコストファンクションを最小化する比偏波間位相差を決定する比偏波間位相差の決定手段と、を備えることを特徴とする。
また、前記観測データの後方散乱による位相差を除去する除去手段と、を備えることを特徴とする。
また、Jobs及びJ'obsを観測された偏波間位相差Ψと求めるべき偏波間位相差ΦDPとの差の二乗和、Jlpfをローパスフィルタとして機能するkの距離に関する二階微分の二乗和、kをKDPにレンジビンの幅及び2をかけたものの平方根、Clpfをローパスフィルタの調整パラメータ、Φnear,Φfarをそれぞれレンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件、とし、以下の式(A)〜(F)とおいた場合、
Figure 0005807961
前記コストファンクションJは、以下の式(G)〜(J)で定義されることを特徴とする。
Figure 0005807961
さらに、比偏波間位相差演算装置を用いた降雨観測システムは、水平と垂直の二種類の偏波の電波を使用する二重偏波気象レーダーと、前記二重偏波気象レーダーによって観測されたデータを元に比偏波間位相差を演算する比偏波間位相差演算装置と、前記二重偏波気象レーダーの取得した観測データ及び前記比偏波間位相差演算装置が演算した比偏波間位相差から降雨強度分布を推定する降雨強度推定手段と、前記二重偏波気象レーダーの取得した観測データ及び前記比偏波間位相差演算装置が演算した比偏波間位相差から検知不能領域を推定する降雨減衰判定手段と、前記降雨強度推定手段の観測結果と前記降雨減衰判定手段の観測結果とから降雨強度分布を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、比偏波間位相差演算方法は、距離に関して変化する観測データの偏波間位相差の不連続な状況を補正し、元の連続的な観測された偏波間位相差を復元するステップと、所定の閾値以下の偏波間相関係数を有する観測点のデータを、解析に使用しないように管理するステップと、観測された偏波間位相差の距離についての移動平均及び標準偏差を求め、それぞれの距離において、観測された偏波間位相差とその移動平均値との差が閾値を超えた場合、その距離のデータを移動平均値に置き換えるステップと、降雨層と雨以外の降水粒子を含むと思われる領域を判別し、降雨層以外のデータを解析対象から外すステップと、レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定するステップと、観測された偏波間位相差と求めるべき偏波間位相差との差の二乗及びローパスフィルタとして機能する距離に関する二階微分の二乗の和からなるコストファンクションを最小化する比偏波間位相差を決定するステップと、を有することを特徴とする。
また、前記レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定するステップは、前記レンジ近傍及び遠方から所定の個数の正常な観測データを用いて線形回帰直線を求めるステップと、前記レンジ近傍及び遠方で求めた前記線形回帰直線の傾きが正か負かを判断するステップと、前記レンジ近傍の前記線形回帰直線の傾きが正の場合、最近点に相当する値を近傍の境界条件とするステップと、前記レンジ近傍の前記線形回帰直線の傾きが負の場合、前記線形回帰直線を求めた前記レンジ近傍から所定の個数の正常な観測データの平均値を近傍の境界条件とするステップと、前記レンジ遠方の前記線形回帰直線の傾きが正の場合、最遠点に相当する値を遠方の境界条件とするステップと、前記レンジ遠方の前記線形回帰直線の傾きが負の場合、前記線形回帰直線を求めた前記レンジ遠方から所定の個数の正常な観測データの平均値を遠方の境界条件とするステップと、を有することを特徴とする。
このような比偏波間位相差演算装置、及びそれを用いた降雨観測システム並びに比偏波間位相差推定方法により、誤差要因による変動を補正して精度の良い比偏波間位相差KDPを演算することが可能となる。
本発明の実施形態の降雨観測システムの主要構成を示す図である。 二重偏波気象レーダーで観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正処理のフローチャートである。 二重偏波気象レーダーで観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正前と補正後を示す図である。 後方散乱による位相差の除去処理のフローチャートである。 降雨層及び融解層の概念図である。 偏波間位相差の境界条件決定処理のフローチャートである。 偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルと変数の概念図である。 コストファンクションを最小化する比偏波間位相差の決定処理のフローチャートである。 図12の観測された偏波間の位相差ΦDPに対して、本実施形態の手法を用いた結果を示す図である。 本実施形態における調整パラメータClpfの依存性を調べたものである。 後方散乱による位相差の例を示す図である。 偏波間の位相差及び比偏波間位相差のレンジプロファイルを示す図である。
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1は、本発明にかかる実施形態の降雨観測システムの主要構成を示す図である。
図中、1は降雨観測システム、2は二重偏波気象レーダー、3は比偏波間位相差演算装置、31は偏波間位相差折り返し補正手段、32は偏波間相関係数による偏波間位相差の品質管理手段、33は偏波間位相差の外れ値除去手段、34は後方散乱による位相差の除去手段、35は降雨層の判別手段、36は偏波間位相差の境界条件決定手段、37はコストファンクションを最小化する比偏波間位相差の決定手段、4は降雨強度推定手段、5は降雨減衰判定手段、6は出力手段である。
降雨観測システム1は、二重偏波気象レーダー2によって観測されたデータを元に、比偏波間位相差演算装置3で比偏波間位相差KDPを演算し、降雨強度推定手段4及び降雨減衰判定手段5で降雨の状態を求めて出力手段6から出力するものである。
本実施形態では、二重偏波気象レーダー2として、Xバンドマルチパラメータレーダーを適用する。二重偏波気象レーダー2は、水平と垂直の二種類の偏波の電波を使用する。これは、雨の強度により雨滴の形状が変化する原理を利用するからである。雨滴は粒径が大きくなると球状から扁平な形状に変化する。二重偏波気象レーダー2は、この形状の変化を、水平と垂直の二種類の偏波の電波により観測することができる。なお、本実施形態ではXバンドマルチパラメータレーダーを適用したが、これに限らず、二重偏波レーダーであればよい。二重偏波気象レーダー2は、アンテナから水平と垂直の二種類の偏波の電波を送信する。これらの電波は、雨滴で散乱し、アンテナに受信される。この受信された電波から観測データとして様々なパラメータが取得され、比偏波間位相差演算装置3に出力される。
比偏波間位相差演算装置3は、二重偏波気象レーダー2が出力した観測データを用いて、誤差要因による変動を補正して精度の良い比偏波間位相差KDPを推定するものである。詳細な構成については後述する。
降雨強度推定手段4は、二重偏波気象レーダー2の取得した観測データを比偏波間位相差演算装置3が補正演算した補正データから降雨強度分布を推定する。また、降雨減衰判定手段5は、二重偏波気象レーダー2の取得した観測データを比偏波間位相差演算装置3が補正演算した補正データから検知不能領域を推定する。そして、その結果を考慮し補正した観測結果の表示データや数値データを出力手段6が出力する。
なお、二重偏波気象レーダー2、降雨強度推定手段4、及び降雨減衰判定手段5については、特許文献1及び2に記載された技術を用いてもよい。
以下、比偏波間位相差演算装置3による比偏波間位相差KDPの推定方法について説明する。
二重偏波気象レーダー2で観測された偏波間位相差Ψには、電波が降雨中を伝搬する際に生じる偏波間の位相差ΦDP以外にもi)後方散乱の位相差δによる局所的な偏波間の位相差ΦDPのピーク、及びii)ノイズが含まれている。これらの誤差要因は、図11に示したように、局所的に現れるものであり、距離に関する相関関係はほぼ無いものと考える。よって、本実施形態では、レンジ全体のプロファイルが、二重偏波気象レーダー2観測された偏波間位相差Ψに近く、且つ単調増加する偏波間の位相差ΦDPを求めることにより、比偏波間位相差KDPを推定する。
図2は、二重偏波気象レーダー2で観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正処理のフローチャートである。また、図3は、二重偏波気象レーダー2で観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正前と補正後を示す図である。
偏波間位相差は、距離に関して連続的に変化していくパラメータであるが、位相は一般に0°〜360°の範囲で測定される。そのため、観測された偏波間位相差Ψが350°から370°に変化する場合、その測定値は、350°から360°へ変化した後、0°から10°に変化するような不連続な状況が生じる。このような状況を折り返しという。したがって、すべての処理に先立ち、図1に示した偏波間位相差折り返し補正手段31がこの折り返しを補正し、元の連続的な観測された偏波間位相差Ψを復元する。
図2に示すように、二重偏波気象レーダー2で観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正処理は、まず、ステップ1で、観測された偏波間位相差Ψiについてsin(Ψi)とcos(Ψi)を計算し、それぞれの距離について以下の式(3)で示す移動平均プロファイルを求める(ST1)。移動平均を求める際のデータの平均個数は、30個から50個程度、距離に換算して、3kmから5km程度とする。なお、iは距離に関する添え字である。
Figure 0005807961
次に、ステップ2で、最も二重偏波気象レーダー2に近い距離(i=0)に関して、以下の式(4)を求める(ST2)。
Figure 0005807961
次に、ステップ3で、i=1,2,3・・・に関して、ループ処理し、次の手順でΨiを求める(ST3)。
まず、以下の式(5)を計算する。
Figure 0005807961
続いて、以下の式(6)を満足する整数nを決定し、以下の式(7)とする。
Figure 0005807961
次に、ステップ4で、すべてのiに対して以下の式(8)を満足する整数miを決定する(ST4)。
Figure 0005807961
次に、ステップ5で、距離iにおける観測された偏波間位相差Ψiに対して、補正量360×miを加算する(ST5)。
このように、二重偏波気象レーダー2で観測された偏波間位相差Ψの折り返し補正処理を行うと、図3(a)のデータを図3(b)のデータのように、連続的に復元することが可能となる。
次に、偏波間相関係数による偏波間位相差の品質管理手段32によって、品質管理処理を実行する。
偏波間相関係数ρHVは、二重偏波気象レーダー2で測定可能なパラメータである。二重偏波気象レーダー2の受信機により出力される複素数形式の受信信号時系列について、水平及び垂直偏波に関する自己相関関数をそれぞれRH、RVとし、偏波間の相互相関関数をRHVとすると、以下の式(9)及び式(10)が成り立つ。ただし、argは、複素数の偏角である。
Figure 0005807961
偏波間相関係数ρHVが小さくなると、受信信号ノイズに対する偏波間の位相差ΦDP(観測される偏波間位相差Ψ)の応答は大きくなる。つまり、偏波間相関係数ρHVが小さい場合、観測された偏波間位相差Ψに現れるノイズ変動も多くなり、偏波間の位相差ΦDP(比偏波間位相差KDP)を高精度に決定することが困難になる。
通常の降雨中では、偏波間相関係数ρHVは1に近い値となるが、S/N比が小さい場合や、非降水エコーの場合は、1より小さい値となる。そこで、S/N比が小さい領域や非降水エコーのデータが偏波間の位相差ΦDP(比偏波間位相差KDP)の導出に悪影響を与えないように、所定の閾値以下の偏波間相関係数ρHVを有する観測点のデータを、未定義値や無効値を代入することで、解析に使用しないようにする。偏波間相関係数ρHVの閾値としては、0.5〜0.7程度が好ましい。
次に、偏波間位相差の外れ値除去手段33によって、外れ値除去処理を実行する。
外れ値除去処理では、観測された偏波間位相差Ψの距離についての移動平均及び標準偏差を求める。それぞれの距離において、観測された偏波間位相差Ψとその移動平均値との差が閾値を超えた場合、その距離のデータを移動平均値に置き換える。閾値は移動標準偏差の2倍程度とする。移動平均及び標準偏差を求める際のデータの平均個数は、30個から50個程度、距離に換算して、3kmから5km程度とする。
次に、後方散乱による位相差δの除去手段34によって、後方散乱による位相差の除去処理を実行する。後方散乱による位相差δの除去のために、本実施形態では、繰り返しフィルタ法(非特許文献1参照)を適用する。なお、後方散乱による位相差の除去処理は、ローパスフィルタの制御係数を比較的大きな値とした場合、同様の効果を得ることができるので、省略してもよい。
図4は、後方散乱による位相差の除去処理のフローチャートである。
後方散乱による位相差の除去処理は、図4に示すように、まず、ステップ11で、観測された偏波間位相差Ψに対して4km程度のカットオフ周期を有するFIRフィルタを適用したプロファイルを作成し、Ψ’として出力する(ST11)。
次に、ステップ12で、FIRフィルタ適用前後の値の差|Ψi−Ψ'i|が所定の閾値より大きいか否かを判断する(ST12)。
ステップ12において、FIRフィルタ適用前後の値の差|Ψi−Ψ'i|が所定の閾値より大きい場合、ステップ13で、ΨiにΨ'iを代入する(ST13)。
ステップ12において、FIRフィルタ適用前後の値の差|Ψi−Ψ'i|が所定の閾値より小さい場合、ステップ14に進む。
次に、ステップ14で、すべてのレンジビンで値の置き換えが無くなったか否かを判断する(ST14)。
ステップ14において、すべてのレンジビンで値の置き換えが無くなっていない場合、ステップ11に戻る。
ステップ14において、すべてのレンジビンで値の置き換えが無くなった場合、後方散乱による位相差の除去処理を終了する。
次に、降雨層の判別手段35によって降雨層の判別処理を実行する。
図5は、降雨層及び融解層の概念図である。
本実施形態では、偏波間の位相差ΦDPの単調増加を仮定するため、降雨層のみで適用可能である。そのため、雨以外の降水粒子を含むと思われる図5に示した降雪層及び融解層のデータを、融解層下端に相当する距離以遠のデータに未定義値や無効値を代入することで、解析に用いないようにする。
降雨層の判別は、二重偏波気象レーダー2の観測結果を用いた降水粒子判別の結果を用いることも可能であるが、別途用意する気温の鉛直プロファイルやGPV(Grid Point Value)データから気温が0℃となる高度を調べて、融解層の厚さを仮定することでも決定することが可能である。
次に、偏波間位相差の境界条件決定手段36によって偏波間位相差の境界条件決定処理を実行する。偏波間位相差の境界条件決定処理では、レンジ近傍及び遠方における偏波間の位相差ΦDPの境界条件(Φnear・Φfar)を決定する。
図6は、偏波間位相差の境界条件決定処理のフローチャートである。また、図7は、偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルと変数の概念図である。
図7において、横軸は距離、縦軸は偏波間の位相差ΦDPである。また、点は観測された偏波間位相差Ψである。rnearは、有効データの存在する最近点におけるレーダーからの距離、rfarは、有効データの存在する最遠点におけるレーダーからの距離である。近傍境界領域BDnear内の点は偏波間の位相差ΦDPの近傍境界条件Φnearを決定するために用いられる近傍領域観測値、遠方境界領域BDfar内の点は偏波間の位相差ΦDPの遠方境界条件Φfarを決定するために用いられる遠方領域観測値である。近傍境界領域BDnear内の実線はその境界値の決定に用いられた近傍回帰直線A1であり、遠方境界領域BDfar内の実線はその境界値の決定に用いられた遠方回帰直線B1である。また、破線Lnは決定されたレンジ近傍の境界条件Φnearであり、破線Lfは決定されたレンジ遠方の境界条件Φfarである。
偏波間位相差の境界条件決定処理は、図6に示すように、まず、ステップ21で、レンジ近傍から指定した個数の正常な観測データを用いて、近傍境界条件算出のための区間を決定し、その区間内で近傍回帰直線A1を求める(ST21)。
本実施形態では、図7に示すように、近傍境界データとして近傍領域BDnear内のデータを使用し、近傍領域BDnear内で近傍回帰直線A1を求めた。なお、データの個数は、30個〜50個程度が好ましい。
次に、ステップ22で、近傍回帰直線A1の傾きが正か負かを判断する(ST22)。
ステップ22において、近傍回帰直線A1の傾きが正の場合、ステップ23で、近傍回帰直線A1の最近点に相当する値をレンジ近傍における近傍境界条件Φnearとする(ST23)。
ステップ22において、近傍回帰直線A1の傾きが負の場合、ステップ24で、近傍領域BDnear内のデータの平均値をレンジ近傍における近傍境界条件Φnearとする(ST24)。
本実施形態では、図7に示すように、近傍回帰直線A1の傾きが正なので、近傍回帰直線A1の最近点に相当する値をレンジ近傍における近傍境界条件Φnearとした。
次に、ステップ25で、レンジ遠方から指定した個数の正常な観測データを用いて、遠方境界条件算出のための区間を決定し、その区間内で遠方回帰直線B1を求める(ST25)。
本実施形態では、図7に示すように、遠方境界データとして遠方領域BDfar内のデータを使用し、遠方領域BDfar内で遠方回帰直線B1を求めた。なお、データの個数は、30個〜50個程度が好ましい。
次に、ステップ26で、遠方回帰直線B1の傾きが正か負かを判断する(ST26)。
ステップ26において、遠方回帰直線B1の傾きが正の場合、ステップ27で、遠方回帰直線B1の最遠点に相当する値をレンジ遠方における遠方境界条件Φfarとする(ST27)。
ステップ26において、遠方回帰直線B1の傾きが負の場合、ステップ28で、遠方領域BDfar内のデータの平均値をレンジ遠方における遠方境界条件Φfarとする(ST28)。
本実施形態では、図7に示すように、遠方回帰直線B1の傾きが負なので、遠方領域BDfar内のデータの平均値をレンジ遠方における遠方境界条件Φfarとした。
次に、コストファンクションを最小化する比偏波間位相差KDPの決定手段37によってコストファンクションを最小化する比偏波間位相差KDPの決定処理を実行する。
図8は、コストファンクションを最小化する比偏波間位相差の決定処理のフローチャートである。
コストファンクションを最小化する比偏波間位相差KDPの決定処理は、図8に示すように、まず、ステップ31で、偏波間位相差プロファイルの傾きの全区間平均値を求め、その値からkaを計算し、これをkmの初期値とする。ただし,mは距離に関する添え字でm=0,1,2,・・・,Nである(ST31)。
本手法では、KDPは、常に正の値をとると仮定するので、以下の式(11)が成り立つkiを定義する。ただし、iはmと同様に距離に関する添え字でi=0,1,2,・・・,Nである。
Figure 0005807961
まず、すべての処理に先立ち、kmの初期プロファイルを設定しておく。この初期プロファイルとして、全レンジビンにおける比偏波間位相差KDPの平均値に対応するkaをすべてのレンジビンに与える。
図7の偏波間の位相差ΦDPのプロファイルにおいて、プロファイルの傾きの平均値は、以下の式(12)で表されるので、式(1)と式(11)及び式(12)より、kmの初期値であるkaは、式(13)のように表される。
Figure 0005807961
次に、ステップ32で、現在のkmに対して、コストファンクション及びkmに関する微分値を計算する(ST32)。
観測された偏波間位相差ΨのレンジプロファイルΨiに近似させて求める偏波間の位相差ΦDPのレンジプロファイルを(ΦDPiとする。ここで、iは距離に関する添え字でi=0,1,2,・・・,Nである。この偏波間の位相差レンジプロファイル(ΦDPiに関して以下の式(14)が成り立つ図7に示すようなφiを定義する。
Figure 0005807961
式(1)より、φiを離散化した積分形で表現すると、以下の式(15)及び式(16)で表される。
Figure 0005807961
ただし、Δrはレンジビンの幅、(KDPiは比偏波間位相差のレンジプロファイルである。
式(11)を用いると、式(16)は式(17)のように置き換えられる。
Figure 0005807961
一方、図7に示すようなφ'iを以下の式(18)のように定義すると、φiと同様に、以下の式(19)及び式(20)が成り立つ。
Figure 0005807961
観測された偏波間位相差ΨのレンジプロファイルΨiに関しても同様に、以下の式(21)及び式(22)となるψi,ψ'iを定義する。
Figure 0005807961
ここで、最小にすべきコストファンクションJを以下の式(23)、式(24)、式(25)及び式(26)のように定義する。
Figure 0005807961
obs及びJ'obsは、観測された偏波間位相差Ψと求めるべき偏波間位相差ΦDPとの差の二乗和であり、Jlpfは、ローパスフィルタとして機能するkの距離に関する二階微分の二乗和である。Clpfは、ローパスフィルタの調整パラメータであって、ローパスフィルタの調整パラメータClpfが大きいほど結果は滑らかになる。
ここで、調整パラメータClpfによって調整されるローパスフィルタの特性について考察する。コストファンクションJは、観測データへのフィッティングを行うためのJobs+J'obsと、ローパスフィルタの機能を持つJlpfからなる。JlpfがJobs+J'obsより大きな値になる場合、コストファンクション全体におけるJlpfの寄与が大きくなるため、その平滑化の効果が大きくなる。逆に、JlpfがJobs+J'obsより小さな値になる場合、その平滑化の効果は小さくなる。
今、kが距離方向に波長Lで周期的に変化すると仮定して、kを以下の式(27)のようにおき、式(11)に代入すると、以下の式(28)のようになる。
Figure 0005807961
式(27)に対応するKDPの周期的変化の波長はL/2となり、その変動幅は0からa2/2Δrである。このkのrに関する二階微分の二乗は、以下の式(29)のようになる。
Figure 0005807961
この値のすべてのレンジビンにおける平均値は、以下の式(30)である。
Figure 0005807961
したがって、式(26)より、以下の式(31)が求まる。
Figure 0005807961
一方、Jobs及びJ'obsは、偏波間位相差の観測誤差の二乗平均に相当する量であり、その値をσobs 2とおくと、JlpfとJobs+J'obsがおよそ等しい値になる場合、以下の式(32)を満足し、変形すると式(33)となる。
Figure 0005807961
つまり、Lが式(33)の右辺よりも小さな値の場合、JlpfはJobs+J'obsよりも大きな値になるため、平滑化の効果が大きくなる。調整パラメータClpfの設定にあたっては、式(33)が数百メートルから数キロメートルになるような値を設定するとよい。
また、式(33)からわかるように、波長Lは調整パラメータClpfの1/4乗に比例する。つまり、調整パラメータClpfの値が10倍になっても、波長Lの変化量は約1.78倍しかないので、調整パラメータClpfの細かな変動にあまり意味はない。調整パラメータClpfの調整にあたっては、10-3倍から103倍程度の変化幅で行うことが好ましい。
変分法を用いてJを最小化するkmを求めるために、以下の式(34)、式(35)、及び式(36)のように、Jのkmについての偏微分を求める。
Figure 0005807961
次に、ステップ33で、現在のkmよりもコストファンクションを小さくするkmを求める(ST33)。
定義したコストファンクションJのkmに関する偏微分が既知であることから、本実施形態では、非線形計画問題を扱う準ニュートン法の一種であるBFGS(Broyden-Fletcher-Goldfarb-shanno)法を用いてコストファンクションJを最小化するkmを求める。なお、BFGS法に限らず、他の手法を用いてもよい。
ニュートン法では、あるベクトルv=(v1,v2,・・・,vn)の関数F(v)について、以下の式(37)で定義されるヘッセ行列A(v)を用いて、以下の式(38)により関数F(v)を最小化するvを求める。ただし、添え字kは反復回数を表す添え字であり、αは別途一次元探索で決定するステップサイズである。
Figure 0005807961
しかし、この漸化式にはヘッセ行列の逆行列が含まれており、その計算コストは非常に大きい。準ニュートン法と呼ばれる手法では、このヘッセ行列の逆行列の代わりに、それを逐次近似したHを使用し、次の漸化式(39)により最終的なvを求める。
Figure 0005807961
BFGS法では、次の漸化式(40)により、Hを求める。
Figure 0005807961
ただし、以下の式(41)〜式(43)とする。
Figure 0005807961
行列Hは、n×nのサイズを持つため、nが大きな問題をBFGS法で扱う場合、Hのための計算機メモリ容量が問題となる。レーダーデータの場合、レンジビン数は、数百個程度であるため、計算機上におけるHについてのメモリ使用量は、数メガバイト程度でしかないので、問題なく、BFGS法を使用することが可能である。
次に、ステップ34で、kmが収束したか否かを判定する(ST34)。
ステップ34において、kmが収束していない場合、ステップ32に戻る。
ステップ34において、kmが収束した場合、ステップ35で、最終的なkmに対応する比偏波間位相差KDPを式(11)より求める(ST35)。
図9は、図12の観測された偏波間の位相差ΦDPに対して、本実施形態の手法を用いた結果を示す図である。滑らかな線が本手法の結果である。
このレンジプロファイルのレンジビンの幅Δrは100mであり、調整パラメータClpfとして1.0×1011を用いた。なお、本実施形態では、繰り返しフィルタ法は使用していない。
図9(a)に示すように、観測された偏波間の位相差ΦDPには、距離17km付近で大きなδが含まれているが、本実施形態の結果では、δは除去されている。
また、観測された観測された偏波間の位相差ΦDPに対し、幅1kmの線形回帰により求めた比偏波間位相差KDPには、図9(b)に示すように、負の値が多く算出されているが、本実施形態の結果では、負の比偏波間位相差KDPは、算出されていない。さらに、距離15km付近の比偏波間位相差KDPのピーク値付近では、両方の手法によるプロファイルは、ほぼ一致している。
図10は、本実施形態における調整パラメータClpfの依存性を調べたものである。
図10(c)の結果は、図9(b)と同じものであり、その結果を基準として、調整パラメータClpfを変倍して結果を調べた。
図10(a)は図10(c)の調整パラメータClpfを10-2倍して、調整パラメータClpf=1.0×109とした場合、図10(b)は図10(c)の調整パラメータClpfを10-1倍して、調整パラメータClpf=1.0×1010とした場合、図10(d)は図10(c)の調整パラメータClpfを101倍して、調整パラメータClpf=1.0×1011とした場合、及び図10(e)は図10(c)の調整パラメータClpfを102倍して、調整パラメータClpf=1.0×1013とした場合、をそれぞれ示す図である。
調整パラメータClpfが大きくなるほど比偏波間位相差KDPの変動は滑らかになり、そのピーク値が小さくなることがわかる。また、調整パラメータClpfが小さくなると、ピーク手前側の比偏波間位相差KDPと比較してピーク奥側の比偏波間位相差KDPの落ち込みが急激になる様子が見られる。これは、比偏波間位相差KDPを正の値に拘束しながら偏波間の位相差ΦDPを観測地にフィットさせる際に、偏波間の位相差ΦDPの上方向に凸の部分で偏波間の位相差ΦDPの変化が抑えられ、比偏波間位相差KDPが0になるように働く効果がより小さな空間スケールの凸部に対しても現れてしまうためである。
また、観測された偏波間の位相差ΦDPにおいて、後方散乱による位相差δの影響も同様な凸として現れる。小さな調整パラメータClpfを使用する倍、繰り返しフィルタを適用することが好ましい。
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えないことは理解できよう。従って、本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
1…降雨観測システム
2…二重偏波気象レーダー
3…比偏波間位相差演算装置
31…偏波間位相差折り返し補正手段
32…偏波間相関係数による偏波間位相差の品質管理手段
33…偏波間位相差の外れ値除去手段
34…後方散乱による位相差の除去手段
35…降雨層の判別手段
36…偏波間位相差の境界条件決定手段
37…コストファンクションを最小化する比偏波間位相差の決定手段
4…降雨強度推定手段
5…降雨減衰判定手段
6…出力手段

Claims (6)

  1. 距離に関して変化する観測データの偏波間位相差の不連続な状況を補正し、元の連続的な観測された偏波間位相差を復元する偏波間位相差折り返し補正手段と、
    所定の閾値以下の偏波間相関係数を有する観測点のデータを、解析に使用しないように管理する品質管理手段と、
    観測された偏波間位相差の距離についての移動平均及び標準偏差を求め、それぞれの距離において、観測された偏波間位相差とその移動平均値との差が閾値を超えた場合、その距離のデータを移動平均値に置き換える外れ値除去手段と、
    降雨層と雨以外の降水粒子を含むと思われる領域を判別し、降雨層以外のデータを解析対象から外す降雨層の判別手段と、
    レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定する境界条件決定手段と、
    観測された偏波間位相差と求めるべき偏波間位相差との差の二乗及びローパスフィルタとして機能する距離に関する二階微分の二乗の和からなるコストファンクションを最小化する比偏波間位相差を決定する比偏波間位相差の決定手段と、
    を備えることを特徴とする比偏波間位相差演算装置。
  2. 前記観測データの後方散乱による位相差を除去する除去手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の比偏波間位相差演算装置。
  3. obs及びJ'obsを観測された偏波間位相差Ψと求めるべき偏波間位相差ΦDPとの差の二乗和、
    lpfをローパスフィルタとして機能するkの距離に関する二階微分の二乗和、
    kをKDPにレンジビンの幅及び2をかけたものの平方根、 Clpfをローパスフィルタの調整パラメータ、
    Φnear,Φfarをそれぞれレンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件、
    とし、
    以下の式(A)〜(F)とおいた場合、
    Figure 0005807961
    前記コストファンクションJは、以下の式(G)〜(J)で定義されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の比偏波間位相差演算装置。
    Figure 0005807961
  4. 水平と垂直の二種類の偏波の電波を使用する二重偏波気象レーダーと、
    前記二重偏波気象レーダーによって観測されたデータを元に比偏波間位相差を演算する比偏波間位相差演算装置と、
    前記二重偏波気象レーダーの取得した観測データ及び前記比偏波間位相差演算装置が演算した比偏波間位相差から降雨強度分布を推定する降雨強度推定手段と、
    前記二重偏波気象レーダーの取得した観測データ及び前記比偏波間位相差演算装置が演算した比偏波間位相差から検知不能領域を推定する降雨減衰判定手段と、
    前記降雨強度推定手段の観測結果と前記降雨減衰判定手段の観測結果とから降雨強度分布を出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の比偏波間位相差演算装置を用いた降雨観測システム。
  5. 距離に関して変化する観測データの偏波間位相差の不連続な状況を補正し、元の連続的な観測された偏波間位相差を復元するステップと、
    所定の閾値以下の偏波間相関係数を有する観測点のデータを、解析に使用しないように管理するステップと、
    観測された偏波間位相差の距離についての移動平均及び標準偏差を求め、それぞれの距離において、観測された偏波間位相差とその移動平均値との差が閾値を超えた場合、その距離のデータを移動平均値に置き換えるステップと、
    降雨層と雨以外の降水粒子を含むと思われる領域を判別し、降雨層以外のデータを解析対象から外すステップと、
    レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定するステップと、
    観測された偏波間位相差と求めるべき偏波間位相差との差の二乗及びローパスフィルタとして機能する距離に関する二階微分の二乗の和からなるコストファンクションを最小化する比偏波間位相差を決定するステップと、
    を有することを特徴とする比偏波間位相差演算方法。
  6. 前記レンジ近傍及び遠方における偏波間位相差の境界条件を決定するステップは、
    前記レンジ近傍及び遠方から所定の個数の正常な観測データを用いて線形回帰直線を求めるステップと、
    前記レンジ近傍及び遠方で求めた前記線形回帰直線の傾きが正か負かを判断するステップと、
    前記レンジ近傍の前記線形回帰直線の傾きが正の場合、最近点に相当する値を近傍の境界条件とするステップと、
    前記レンジ近傍の前記線形回帰直線の傾きが負の場合、前記線形回帰直線を求めた前記レンジ近傍から所定の個数の正常な観測データの平均値を近傍の境界条件とするステップと、
    前記レンジ遠方の前記線形回帰直線の傾きが正の場合、最遠点に相当する値を遠方の境界条件とするステップと、
    前記レンジ遠方の前記線形回帰直線の傾きが負の場合、前記線形回帰直線を求めた前記レンジ遠方から所定の個数の正常な観測データの平均値を遠方の境界条件とするステップと、
    を有することを特徴とする請求項5に記載の比偏波間位相差演算方法。
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