JP5804366B2 - 温度測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電対を用いた温度測定装置に関するものである。
従来から、熱電対を使用して、測定対象物の温度を測定する温度測定装置が知られている(例えば、特許文献1、2)。熱電対を使用した温度測定装置は、熱電対の一方の接点である温接点を測定対象物に接触または近づけ、熱電対の他方の接点である冷接点との温度差により生じる熱起電力(ゼーベック効果)により回路に流れた電流値を計測することで、温接点と冷接点と間の温度差(接点間温度差)を求める。また、これと同時に温度測定手段としての温度センサ(感温素子など)により冷接点の温度を測定して、その温度と上記接点間温度差とから測定対象物の温度を求める。
しかしながら、測定対象物の正確な温度を測定するには、冷接点の温度を正確に測定する必要があり、そのためには、冷接点の温度を測定する温度センサの較正を行う必要があった。温度センサを較正する方法としては、特許文献3、4に記載のものが知られている。特許文献3に記載の温度センサ較正方法では、既知の相転移温度を持つ温度標準物質及び温度センサを加熱炉内に設置する。そして、加熱炉内の温度を変化させていくと、温度標準物質の融点に相当する温度付近で温度標準物質の吸熱反応が発生する。この温度標準物質の吸熱反応は温度センサのリニアな出力変化での変曲点として検出される。そして、この変曲点の出力が検出されたときの温度を融点温度である温度標準とし、その温度標準を基づいて演算した補正値で温度センサの温度値を較正する。
また、特許文献4に記載の温度センサの較正方法は、高圧高温装置内を適温になるように加熱するヒータに標準物質を直列に接続し、高圧高温装置内の温度を検出しながらヒータへの投入電力を調整する。そして、ヒータによって高圧高温装置内を加熱していき標準物質の相転移が起きたことをヒータの電気抵抗又はヒータへの電圧・電流の変化で捕え、その時の温度を検出する。そして、その時のヒータへの投入電力を基準とし、温度センサの温度較正を行う。
しかし、特許文献3、4いずれも、一定の温度に制御した恒温環境となっている温度標準を備える大規模な設備が必要となる。更に、高い精度が求められるような高精度な熱電対温度測定装置においては、冷接点の温度を検出する温度センサとして高精度な温度センサが用いられ、細かい温度較正を行う必要となる。そのため、高精度な熱電対温度測定装置は温度標準が一定の安定した恒温環境槽内に搬送されて温度変化を細かくして温度較正を行うために長い時間を要することになり、生産効率が悪くなる。そして、熱電対温度測定装置のそれ以外の素子(熱電対など)が簡単な電送装置や光学装置で迅速に設定が完了するのに比べ、冷接点の温度を検出する温度センサとして高精度な温度センサを用いると、大量生産の製造工程において大量に取り扱うのにボトルネックとなっていてコストを削減することができない。このため、温度較正に要するコストが付加され、温度較正に要した熱電対温度測定装置の価格は温度較正に要しない熱電対温度測定装置の本体の価格に比して数倍ないし数十倍になる。特に精度の高いものを生産するためには精度の高い温度較正を行うため費用と、かなりの時間を要していた。
特許文献5には、冷接点近傍に既知の相転移温度を持つ導電性の相転移物質を設け、この相転移物質に一定の電圧を印加して相転移温度にまで加熱し、温接点(温度測定対象)の温度測定を行う温度測定装置が記載されている。相転移物質の相転移温度は既知であり、相転移物質が相転移するときは、吸熱反応が生じるため、所定時間、冷接点付近が相転移温度に維持される。よって、相転移物質を相転移温度に加熱し、相転移物質を相転移させ、そのときの熱電対の出力値を計測することで、熱電対の出力値と、相転移物質の既知の相転移温度とから、温接点(測定対象物)の温度を測定することができる。これにより、冷接点の温度を測定する温度センサが無くても、精度よく温接点(測定対象物)の温度を測定することができる。よって、精度よく温接点(測定対象物)の温度を測定するために、冷接点を測定する温度センサの較正を行う必要がなくなり、製造コストを抑えることができる。
上記特許文献5に記載の温度測定装置においては、相転移物質が相転移温度に達するまでの時間などを予め実験などで求めて、装置のメモリに記憶しておく必要がある。しかしながら、経時変化などで、相転移物質が相転移するまでの時間が変動してしまい、冷接点が相転移温度にまで達していない段階で温接点の温度測定を行ってしまったり、相転移物質の相転移が完了し、冷接点が相転移温度以上の温度状態で温接点の温度測定を行ってしまったりする場合がある。その結果、経時にわたり、良好な温度測定を行うことができないという課題が生じる。この課題に対して、相転移物質の量を多くし、相転移物質の相転移が完了するまで時間を長くし、相転移物質の加熱を開始してから、相転移物質が相転移し始めてから相転移が終了するまでの間の中間点までの時間を、装置のメモリに記憶しておくことで、経時変化などで、多少、相転移物質が相転移するまでの時間が変動したとしても、冷接点が、既知の相転移温度状態で、温接点の温度を測定することができる。しかしながら、相転移物質の量を多くすると、相転移物質が相転移温度に達するまでの時間が長くなり、迅速な温度測定ができなくなるという課題が生じる。
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、経時にわたり精度の高い温度測定を行うことができ、かつ、迅速な温度測定を行うことができる温度測定装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、熱電対と、上記熱電対の冷接点近傍に既知の相転移温度を持つ相転移物質と、上記相転移物質を加熱する加熱手段とを備え、上記加熱手段で上記相転移物質を加熱して、上記相転移物質が相転移したときの上記熱電対の出力値と、上記相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を測定する温度測定装置において、温度の変化に伴って上記相転移物質の相転移が起きたことを検出する相転移検出手段を備え、上記相転移検出手段が、上記相転移物質の相転移が起きたことを検出したときの上記熱電対の出力値に基づいて測定対象物の温度を測定することを特徴とするものである。
本発明においては、相転移検出手段を設けることで、相転移物質の相転移が起きたタイミングで、測定対象物の温度を測定することができる。これにより、相転移物質の量が少なく、相転移物質の相転移が終了するまでの時間が短くても、冷接点が既知の相転移温度状態のときの熱電対の出力値を得ることができ、精度の高い測定対象物の温度測定を行うことができる。このように、相転移物質の量を少なくすることができるので、相転移物質を迅速に相転移温度まで加熱することができる。よって、迅速な温度測定を行うことができる。
また、相転移物質が相転移するまでの時間が変動しても、冷接点が既知の相転移温度状態のときの熱電対の出力値を得ることができ、経時にわたり精度の高い温度測定を維持することができる。
本実施形態の温度測定装置のシース部の概略構成図。 同温度測定装置の温度計測部の概略構成図。 同温度計測部の基板の概略構成図。 温度測定装置の制御ブロック図。 時間推移における相変化物質の温度変化と、冷接点温度測定部の抵抗変化とを示す特性図。 相変化物質を加熱するときに冷接点温度測定部に流す電流に対する温度変化及び冷接点温度測定部の抵抗値変化を示す特性図。 測定対象物の温度測定のタイミングチャート。 測定対象物の温度測定のフローチャート。 温度測定部を別の基板に設けた構成を示す制御ブロック図。 温度測定部と相変化検出部とを別の基板に設けた構成を示す図。 温度測定部と相変化検出部とを別の基板に設けた構成を示す制御ブロック図。 変形例1の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の概略平面図。 変形例1の温度測定装置の制御ブロック図。 変形例2の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の概略平面図。 図14のA−A断面図。 変形例3の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の一例を示す概略平面図。 変形例3の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の他の例を示す概略平面図。 図17のB−B断面図。 変形例4の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の概略平面図。 変形例4の温度測定装置の制御ブロック図。 相変化したときの相変化物質の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムについて説明する図。 変形例5の温度測定装置の冷接点が設けられた基板の概略平面図。 図22のD−D断面図。 変形例5の温度測定装置の制御ブロック図。 変形例5の温度測定装置の温度キャリブレーションのタイミングチャート。 変形例5の温度測定装置の温度キャリブレーション、ゼーベック係数算出、測定対象物の温度測定のフローチャート。
以下、本発明を適用した温度測定装置の一実施形態について説明する。
図1は、温度測定装置100のシース部101の概略構成図であり、図2は、温度測定装置100の温度計測部110の概略構成図であり、図3は、温度計測部110の基板1の概略構成図である。
温度測定装置100は、熱電対の温接点を備えたシース部101と、冷接点を備えた温度計測部110とを有している。図1に示すように、温度測定装置100のシース部101は、金属保護管102(シース管)内に第1熱電材料103aと第2熱電材料103bとが接合された温接点Wを備えた熱電対103を有しており、セラミックなどの無機物質104が高圧充填されている。熱電対103の第1熱電材料103aの端部113aと、第2熱電材料103bの端部113bは、金属保護管102から露出している。
図2に示すように、温度計測部110は、本体ケース内にベース材2と、電気絶縁層3とからなる図3に示す基板1を有している。基板1には、上記熱電対103の第1熱電材料103aと同じ熱電材料で構成された第1接続電極10と、上記熱電対103の第2熱電材料103bと同じ熱電材料の構成された第2接続電極11とを備えている。この第1接続電極10および第2接続電極11は、基板1の略中央部まで延びており、そこで、Al、Ni、Siなどの金属材料などの導電性材料からなり、信号処理回路部20と接続する回路接続電極7と接合されており、熱電対の一対の冷接点Cを形成している。
第1接続電極10の冷接点と、第2接続電極11の冷接点との間には、相転移物質6と、相転移物質6を加熱する加熱手段としての加熱部5とが図の2点鎖線Aを基準線として線対称、かつ、2点鎖線Bを基準線として線対称に配置されている。このように、加熱部5と、相転移物質6とを一対の冷接点の間に対称配置することにより、一対の冷接点と相転移物質6とを同じ温度で加熱することができる。
相転移物質6は、狭い温度範囲を再現性良く高い精度で相転移するものであり、相転移前後において、温度(熱)、電気抵抗値、熱容量、粘性(流動性)、質量、固有振動数、誘電率いずれかの変化を伴うものである。本実施形態においては、その変化を検出することで、相転移物質6の相転移を検出する。相転移物質6はある温度で相転移する物質であればよい。特に、高精度に温度が決められている国際温度目盛として定められる温度を示す物質を用いれば、冷接点の温度補償を高精度に行うことができ、好ましい。また、相転移物質6としては、固体と液体、液体と気体などの間で再現性よく可逆的に相転移する条件や材料を選択することが好ましい。これにより、いつでも精度が維持された温度測定が可能となる。また、高精度に冷接点の温度補償するためには、相転移物質6は、利用する温度に近い相転移温度を有するものを用いるのが好ましい。また、相転移物質6としてパラフィンや酢酸ナトリウムなどを用い、既知の温度における過冷却温度に基づいて、相転移を検出してもよい。
相転移物質6の(熱)、粘性(流動性)や固有振動数の変化を検出して、相転移物質6の相転移を検出する場合は、次の材料を好適に用いることができる。すなわち、国際温度目盛ITS―90の定義定点であるGa:29.7646℃、In:156.5985℃、Sn:231.928℃、Zn:419.527℃、Al:660.323℃、Ag:961.78℃、Au:1064.18℃、Cu:1084.62℃などである。これらの材料は、融点(凝固点)が、特に高精度であり、好ましい。また、Bi:271.3 ℃や合金であるSn−Zn、Sn−Agや、Bi−Sn合金は混合比率によって130℃から170℃の範囲の加熱に際して、特定温度にて溶融させることができる。
また、相転移物質6の相転移を、質量や熱容量の変化で検出する場合は、酸化物であるBi、In、Sb、MoO、Pなどは固体から気体へ既知の狭い温度範囲で相転移するので、相転移温度における質量や熱容量の変化を良好に検知することができ、好ましい。
また、相転移物質6の相転移を、電気伝導度の変化で検出する場合は、CTRサ−ミスタにも用いられているVが好ましい。Vは、の結晶の構造変化による相転移が生じる相転移温度(80℃)よりも低いときは、単斜晶系で、抵抗が負の温度係数を持った半導体であるが、相転移温度(80℃)を超えると、ルチル構造・正方晶系となり、電気伝導度が2桁増加(抵抗が急激に減少)する。よって、相転移物質6の相転移を、電気伝導度の変化で検出する場合、相転移物質6として、Vを用いることにより、相転移物質6の相転移を良好に検出することができる。また、チタン酸バリウムを主成分とするPTCサ−ミスタも好適である。PTCサ−ミスタは、キュリー温度を超えると、結晶系は正方晶系から立方晶系へと相転移するため、それにともなって電気抵抗値が急激に上昇する。このように、既知の相転移温度で結晶性の変化に伴う電気伝導度の変化を生じる材料を、相転移物質6として用いることにより、相転移物質6の相転移を、電気伝導度の変化で良好に検出することができる。
また、相転移物質6の相転移を、誘電率の変化で検出する場合、光学的に相転移物質6の相転移を検出する場合、および、固有振動数の変化で検出する場合は、相転移物質6として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)を好適に用いることができる。タンタル酸ニオブ酸カリウムは、相転移温度にて結晶の構造相転移を生じ、誘電率と二次電気光学定数(Kerr定数)が最大となり、固有振動数が相転移温度(35.6℃)付近で急激に変化する。よって、相転移物質6の相転移を、誘電率の変化を検出する場合、光学的に相転移物質6の相転移を検出する場合、および、固有振動数の変化を検出する場合は、相転移物質6として、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1-xNbxO3)を用いることにより、良好に相転移物質6の相転移を検出することができる。
本実施形態においては、加熱部5は、Pt、NiCr、SiC,Cなどの温度依存性を持つ抵抗体とし、信号処理回路部20でこの抵抗体の抵抗値を求めることにより、温度変化を検知し、相転移物質の相転移を検知している。
基板1のベース材2は、Al、Ni、Siなどの金属材料などの導電性材料で構成される。電気絶縁層3は、相転移物質6の相転移温度よりも低いと、相転移してしまうので、相転移物質6よりも高い相転移温度の材料を選択する必要があり、SiO、Si、Al等の耐熱性材料が用いられる。本実施形態においては、導電性材料で形成されたベース材2上に形成された電気絶縁層3上に、第1、第2接続電極10、11、加熱部5、相転移物質6などを設けているが、ベース材2をガラスやセラミックなど電気絶縁性材料で構成した場合は、ベース材2上に第1、第2接続電極10、11、加熱部5、相転移物質6などを設けてもよい。
電気絶縁層3はCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜する。その電気絶縁層3上にフォトリソグラフにより第1、第2接続電極10、11、加熱部5、信号処理回路部20の回路などをパターン形成する。また、形成される加熱部5、第1、第2接続電極10、11、信号処理回路部20の回路などの導電性、相転移物質6の相転移に伴う液化流動性、周囲雰囲気との化学反応などを考慮して、適宜、部材を電気絶縁層3で覆って保護するのが好ましい。例えば、加熱部5や相転移物質6が、相転移物質6を加熱するときの熱により高温度になるため表面が周囲雰囲気により酸化したり腐食したりする場合、耐久性を高めるために、加熱部5や相転移物質全体を耐熱性の酸化物や窒化物の電気絶縁層3で被覆し不活性化(パッシベーション)する。具体的には、金属材料などの相転移物質6の場合、相転移物質6が表面に露出していると、周囲雰囲気によって金属酸化物に変化して、相転移温度が変化するおそれがある。また、相転移物質6が液化する場合は流動変形によって、温度分布が変わるおそれがある。その結果、これらは相転移を繰り返すと再現性が得られない場合がある。従って、相転移物質6が周囲雰囲気により化学変化するのを防止するために相転移物質6を周囲雰囲気に接しないように電気絶縁層3でパッシベーションしたり、相転移物質6が液化する場合の流動変形を防止するため相転移物質6を電気絶縁層3で包囲したりして、表面保護膜を形成する。さらに、国際温度目盛の定義定点を用い高精度に冷接点の温度を設定する場合には、標準気圧下(10.1325Pa)にて相転移物質6の凝固点(融点)を検出する必要がある。相転移物質6は、上述したように、SiO、Si、Al等の耐熱性材料からなる耐熱性電気絶縁層3を被覆した剛性を有する構造にすることにより、耐熱性電気絶縁層3の内部は一定圧力に維持される。これにより、周囲雰囲気の気圧が変化しても、相転移物質6が影響を受けず、相転移温度が変動するのを抑制することができる。。
また、半導体微細加工のフォトエッチング技術によって電気絶縁層3上にパターン形成する場合には積層段差が加工寸法精度に影響を与える。よって、冷接点と加熱部5と相転移物質6とをそれぞれ離間させて隣接配置する場合は、並列に同一平面上に配置する。これにより、積層段差を小さくし精度ばらつきが小さくできる。また、加熱部5と相転移物質6との間に間隔ができ、加熱部5と相転移物質6とは電気的に絶縁され、相転移物質6が導電性を有する場合であっても加熱部5との電気的影響をなくせる。
また、図2、図3に示すように、ベース材2の電気絶縁層3に形成された冷接点C、相転移物質6、加熱部5が設けられた領域22(以下、計測領域という)と対向する箇所は、エッチング処理により除去され、空洞部21となっている。これにより、冷接点C、加熱部5、相転移物質6が形成された電気絶縁層3の計測領域22は、ベース材2と非接触となるので、加熱部5、相転移物質6付近の熱容量を少なくすることができる。これにより、加熱部5ですばやく相転移物質6を加熱することができる。
図2に示すように、温度計測部110のケース111には、シース部101が、温度計測部110から抜き差し可能な、ソケット上の接続口111aを有している。また、ケース111の第1、第2接続電極の接続部10a,10bと対向する箇所には、加圧板バネ112が設けられている。加圧板バネ112には、接続口111aから差し込まれた熱電対の第1熱電材料の端部113aと、第2熱電材料の端部113bとが突き当る突き当て部112aと、第1、第2熱電材料の端部113a,113bの第1、第2接続電極の接続部10a,10bと対向面と反対側の面を加圧する加圧部112bと有している。
また、ケース111には、ケース111に対してスライド可能に設けられたスライドノブ114が設けられている。スライドノブ114には、加圧板バネ112に当接して、加圧板バネ112を、基板側へ押圧する押圧突起114aが設けられている。
ケース111の接続口111aに熱電対の第1熱電材料の端部113aと、第2熱電材料の端部113bとを差し込んでいくと、第1、第2の熱電材料の端部113a,113bが、加圧板バネ112の突き当て部112aと突き当たり、第1熱電材料の端部113aが、第1接続電極の接続部10aと対向し、第2熱電材料の端部113bが、第2接続電極の接続部11aと対向する。次に、スライドノブ114を、図中右側へスライドさせると、スライドノブ114の押圧突起114aが、加圧板バネ112と当接して、加圧板バネ112を基板側へ押圧する。加圧板バネ112が押圧突起114aに押圧されると、加圧板バネ112が基板側に撓んで、加圧板バネの加圧部112bが、第1、第2の熱電材料の第1、第2接続電極の接続部と対向面と反対側の面を加圧する。これにより、第1熱電材料の端部113aが、第1接続電極の接続部10aに当接し、第2熱電材料の端部113bが、第2接続電極の接続部11aに当接した状態で、シース部101が、温度計測部110に固定される。
シース部101を温度計測部110から取り外すときは、スライドノブ114を図中左側(シース部側)へスライドさせることにより、第1、第2の熱電材料の端部113a,113bの基板側への加圧が解除され、容易に第1、第2の熱電材料の端部113a,113bを、接続口111aから抜き出すことができる。
また、ベース材2がSiであれば、信号処理回路部20の各回路を集積しやすい。例えば、Siベース材を熱酸化させることにより表面にSiOを形成するか、Siベース材2上にCVDやスパッタリングによりSiO、Si、Al等の単層または複層の電気絶縁層3を形成する。次に、ポリシリコン層および酸化膜を形成後、酸化膜をマスクとしてポリシリコン層に加熱部5と信号処理回路部20の回路となる不純物拡散領域を形成する。次に、電気絶縁層3上にAl(アルミ)回路接続電極7、第1、第2接続電極10,11、相転移物質6などをCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜、フォトリソグラフによりパターン形成する。この場合、同一のSiベース材2、電気絶縁層3、ポリシリコン層、酸化膜および配線材料によりCMOS素子構造として、同一のチップ内に周辺回路を集積することができる。また、SOI(Si On Insulator)構造の基板を用いる場合は、BOX層を電気絶縁層3とし、SOI層に加熱部5と信号処理回路部20の回路となる不純物拡散領域を形成する。次にBOX層上に回路接続電極7、第1、第2接続電極10,11、相転移物質6などをCVD、スパッタリングやゾルゲル法および各種薄膜製造方法により成膜、フォトリソグラフによりパターン形成する。このように、Siベース材2、BOX層やSOI層によりCMOS素子構造として、同一のチップ内に周辺回路を集積することができる。
熱電対による温度測定を行うためのプログラムなどの制御プログラムを記憶した記憶メモリ(P-ROM)を、相転移物質6と同じ材料からなる相転移記憶メモリ(Ovonic Unified Memory)としてもよい。この相転移メモリは、急速な熱変化によって結晶相をアモルファス相に遷移させることによって、情報を記憶させるものである。具体的には、相転移メモリを構成する相転移物質をヒーターで加熱して冷却するときの温度と時間を制御することで、結晶状態あるいはアモルファス状態を作る。結晶状態のときは、電気抵抗値が低く、アモルファス状態のときは、電気抵抗が高くなる。この電気抵抗値の違いを用いて、情報を読み出すことができるのである。また、レジスタ等の記憶部にも上記相転移メモリを用いてもよい。このように、信号処理回路部20の記憶メモリとして、相転移物質6と同一の材料からなる相転移メモリを用いることにより、相転移部と、信号処理回路部20の記憶メモリとを同時にパターン形成することができ、製造工程を簡略化することができる。
また、信号処理回路部20には、熱電対の出力値に基づいて、測定対象物の温度を測定するためのインターフェイス、制御回路、レジスタ、ΔΣA/D、発信回路などを備えている。また、基板1の図中右側の端部には、アドレス入力用端子、GND用端子、クロック入力用端子、データ入出力用端子、電源入力用端子などの各端子8が設けられている。端子8は、例えば、図2に示すように、配線ワイヤ12、リードピン13を介して、電源や外部装置などに接続されている。このように、信号処理回路部20を冷接点Cが設けられた基板と同一基板に形成することで、加熱部5、熱電対からの信号をΔΣA/Dへ電送させる配線長を短くでき、ノイズを受け難く高精度に温度測定ができる。
図4は、湿度測定装置100の制御ブロック図である。
信号処理回路部20は、熱電対103の熱起電力を検出して、測定対象物30の温度を計測する温度測定手段たる温度測定部20b、相転移物質6を加熱して、相転移物質6に相転移が起きたことを検知するための相転移検知手段たる相転移検知部20aとを有している。
図4に示すように、相転移検知部20aは、加熱部5に交流バイアスを印加するための加熱電源201と発振回路208を有している。また、加熱部5の抵抗値を検出する抵抗値検出部202、レジスタ203、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのΔΣA/D変換器205などを有している。温度測定部20bは、測定対象物30の温度計測を行うための熱起電力電圧検出部204、ゼーベック係数S、冷接点Cの温度(相転移物質6の相転移温度)、熱起電力などに基づいて、測定対象物の温度を計測する温度変換部207を有している。また、信号処理回路部20は、各回路を制御する制御回路209などを有している。
制御回路209から温度測定信号が入力されると、加熱電源201により加熱部5に加熱電流が印加され、加熱部5が発熱する。同時に、加熱部5の抵抗値が抵抗値検出部202で算出され、時刻と加熱部5の抵抗値とをレジスタ203に収納する。そして、加熱部5の抵抗値によって相転移物質6の相転移を検出し、その時の熱電対の熱起電力が、熱起電力電圧検出部204で検出される。熱起電力電圧検出部204で検出された熱起電力は、温度変換部207に出力され、温度変換部207は、ゼーベック係数Sと、熱起電力と、相転移物質6の既知の相転移温度(冷接点温度)とに基づいて、温接点の温度が求められ、測定対象物30の温度測定値として、出力される。
次に、本実施形態の温度測定装置100における相転移物質6の相転移の検出について概説する。ここでは相転移物質の相転移を相転移物質6の温度(熱)変化で検出する場合について、説明する。
図5は時間推移における相転移物質6の温度変化と、加熱部5の抵抗変化とを示す特性図である。図5に示すように、相転移物質6を加熱していき、相転移物質6が相転移温度(融点(凝固点):Mpa)になると吸熱反応が生じる。相転移物質6が固体であれば温度が上がっていくと相転移温度にて液体となりはじめ、全てが液体となる期間は相転移温度MPaを維持し、全てが液体となった以降は再び温度が上昇する。そのため、加熱部5の電気抵抗値が不連続な傾向となる部分が出現する。すなわち、図5に示すように、加熱部5の電気抵抗値R2のとき、相転移物質6が相転移したことを検知することができる。よって、温度依存性を有する抵抗体である加熱部5の抵抗値を測定しておき、測定抵抗値が抵抗値R2となったとき、熱電対の熱起電力を測定し、冷接点Cを既知の相転移温度として、測定対象物30の温度測定を行う。
相転移物質6を加熱する加熱部5の熱容量を小さくし、かつ均一な温度領域に形成することにより、相転移の時点をより正確に検出できる。また、本実施形態においては、相転移物質6の温度変化を検知する温度変化検知手段として加熱部5を用いている。図5に示すように、相転移物質6が固体から液体へ相転移が発生すると、相転移物質6が吸熱反応を示し、相転移開始から終了まで温度が変化しないので温度が維持され、加熱部5の抵抗体の電気抵抗値の増加傾向が平行状態へ変化する。相転移物質6の転移熱量(潜熱)が大きく、検出領域全体の熱容量に対して相転移物質6の熱容量が占める割合が大きいほど、この吸熱反応の時間(温度が変化しない時間)を長くすることができ、確実に相転移物質6の相変位を検出することができ、好ましい。信号処理回路部20の抵抗値検出部202は、加熱部5に印加した電圧値と、加熱部5に流れた電流値とから、時刻T0の加熱部5の電気抵抗値と、時刻T1の加熱部5の電気抵抗値とを推移データとして記憶する。そして、時刻T0の電気抵抗値と時刻T1の電気抵抗値とから、抵抗値Rと時刻Tとの関数(一次関数:R=aT+b)が演算される。この関数により求められた時刻T1後の抵抗値と、測定した時刻T1後の抵抗値Rとを比較していく。すると、時刻T2後で関数にフィットしないデータが生じ、相転移物質6が相転移したことを検知することができる。
図5に示すように、加熱部5の抵抗値がR2のときに、相転移物質6の相転移が起きるので、抵抗値がR2か否かを監視し、相転移物質6の相転移を検出することも考えられる。しかしながら、製造誤差、経時劣化により相転移物質6の相転移温度Mpaのときの加熱部5の抵抗値が変動する。よって、抵抗値R2か否かで、相転移物質6の相転移を検出する場合、相転移物質6の相転移を精度よく検出することができない場合がある。このため、本実施形態のように、抵抗値Rと時刻Tとの関数(一次関数:R=aT+b)を演算し、この関数にフィットしないデータが生じたときに、相転移物質6の相転移を検出することで、製造誤差、経時劣化により相転移物質6の相転移温度Mpaのときの加熱部5の抵抗値が変動したとしても、精度よく相転移物質の相転移を検出することができる。
図6は、相転移物質6を加熱するときに加熱部5に流す電流に対する温度変化及び加熱部5の抵抗値変化を示す特性図である。この図6においては、相転移物質6が液体から気体に相転移する例であり、熱容量の変化で相転移を検知する例である。図6に示すように、加熱部5へ流す電流値を増加させ、沸点Bpに達した時に相転移物質6が相転移する。相転移物質6が液体から気体へ既知の温度(昇華点又は沸点:Bp)で相転移すると、相転移物質6は蒸散が完了するまで、吸熱反応により温度上昇しない不連続な特性として現れる。しかし、蒸散により相転移物質6の質量が減少してゆくため、上記温度上昇しない不連続な特性は、図6に現れないほど、ごく短時間である。このため、相転移物質6が液体から気体に相転移する場合は、相転移物質6が固定から液体へ相転移する場合のように、吸熱反応により温度上昇しない不連続な特性を検出することは難しい。そこで、相転移物質6が液体から気体に相転移する場合は、蒸散前の温度上昇と、蒸散後の温度上昇の違いに基づいて、相転移を検知する。具体的には、相転移物質6が蒸散すると、加熱部周辺の熱容量が相転移物質6の分減少する。相転移物質6の蒸散により熱容量が減少することにより、温度上昇および加熱部5の増加量(傾き)が、相転移物質6が蒸散する前に比べて大きくなり、図6に示すように、温度(電気抵抗値)は、不連続な特性として顕著に現れるので、この不連続開始点(ごくわずかな温度上昇しない領域における後端)を検出する。よって、この場合も、相転移物質加熱直後に得られたデータから、加熱部5の電気抵抗値Rと時刻Tの関数(一次関数:R=aT+b)を演算し、この関数にフィットしないデータが生じれば相転移物質6が相転移したことを検知することができる。
図7は、測定対象物の温度測定のタイミングチャートであり、図8は、フローチャートである。
制御回路209に測定対象物30の温度測定実行信号が入力されると、加熱電源201が起動し(S1)、相転移物質6を加熱するための加熱電流が印加される(S2)。この加熱電流により、加熱部5が、相転移物質6の相転移温度付近に加熱される。また、抵抗値検出部202で電圧値Vcを検出して、抵抗値が算出され、算出された抵抗値は、レジスタ203に記憶される。また、算出した抵抗値と、これよりもひとつ前に算出した抵抗値とから差分値ΔRを算出する(S3)。
図7に示すように、時刻T2において、相転移物質6が相転移し加熱部5の抵抗値Rの差分値(時間微分)ΔR=0となる。制御回路209は、算出したΔRが、0か否かをチェックする(S4)。差分値ΔRが0であったら(S4のYES)、熱起電力電圧検出部204で、熱電対の熱起電力(電圧Vt)が検出される(S5)。熱起電力検出部204で検出された熱起電力(電圧Vt)は、温度変換部207に入力され、ゼーベック係数S、冷接点の温度(相転移物質の相転移温度Mpa)に基づいて、温接点の温度である測定対象物の温度を算出して(S7)、出力する(S8)。具体的には、温接点(測定対象物)の温度t2は、次の式で求めることができる。
t2=(Vt+Mpa×S)/S
本実施形態においては、ゼーベック係数Sを用いて、温接点(測定対象物30)の温度を求めているが、次のようにして測定対象物30の温度を求めてよい。すなわち、冷接点が0℃のときの温接点温度と熱起電力との関係を示すデータベースをメモリに記憶しておく。温度変換部207は、熱起電力とデータベースとから、冷接点が0℃のときにおける温接点の温度を求める。そして、この求めた温接点の温度に、冷接点の温度(既知の相転移温度Mpa)を加算することにより、測定対象物30の温度を求めるのである。
本実施形態においては、冷接点Cの近傍に相転移物質6を設け、冷接点を相転移物質6の相転移温度に加熱し、相転移物質6の相転移が起きたことを検出し、そのときの熱電対の熱起電力から、測定対象物30の温度測定をしている。これにより、既知の相転移温度で冷接点の温度補償をすることができ、精度の高い温度測定をすることができる。また、相転移物質を相転移させるので、冷接点Cの温度が一定に維持された状態で、熱電対の熱起電力を検出することで、精度の高い温度測定をすることができる。
また、冷接点の温度を測定する冷接点温度センサ(感温素子など)が不要となり、精度の高い冷接点の温度を測定するために冷接点温度センサの温度較正が不要となる。その結果、製造コストが削減させ、安価に温度測定装置を提供することができる。
また、冷接点の温度を測定する冷接点温度センサが不要となるので、冷接点が設けられた基板1に信号処理回路部20を設けても、測定対象物30の温度測定の精度に悪影響を与えることがない。すなわち、従来は、信号処理回路部20も含めてひとつの基板に集積すると、冷接点温度センサの精度に影響する要素が多くなり、かえって冷接点温度センサの出力値のばらつき範囲が拡大してしまい、精度よく冷接点の温度を測定できない。その結果、測定対象物30の温度測定の精度が悪化してしまう。また、特別な設計上の工夫や高精度の製造条件で製造することで、冷接点温度センサの検知結果のばらつきを抑えることができるが、規格合格品の歩留まりが低くなり、冷接点が設けられた基板1と、信号処理回路部20が設けられた基板とを別々に設けたものに比べて、製造コストが高くなる。しかし、本実施形態においては、冷接点を相転移物質6の相転移温度に加熱し、上記のような方法で相転移物質6の相転移を検出したら、測定対象物30の温度測定を行うので、信号処理回路部20の個々の回路に特性にばらつきがあっても常に冷接点が相転移物質の相転移温度の状態で、測定対象物30の温度測定を行うことができる。よって、信号処理回路部20の個々の回路に特性にばらつきがあっても、測定対象物30の温度測定の精度に影響を与えることはない。また、特別な設計上の工夫や高精度の製造条件で製造する必要がないため、製造コストを抑えて、信号処理回路部20を、冷接点が設けられた基板1に集積することができる。また、信号処理回路部20を冷接点が設けられた基板1に集積することで、信号処理回路部20の各回路に接続するための配線を短くできノイズを受け難く高精度に相転移物質の相転移の検出や、測定対象物の温度測定を行うことができる。
また、図9に示すように、信号処理回路部20の相転移検知部20aは、冷接点と同じ基板に設け、温度測定部20bは、別の基板に設けるようにしてもよい。これにより、第1、第2接続電極10、11が経時使用で劣化(酸化、金属構造の変化など)した場合などのとき、温度測定部20bは、交換されず、そのまま用いることができる。また、冷接点の温度補償を、温度センサで冷接点の温度を計測する方法から、本実施形態のようにする場合は、基板1を変えるだけで、対応できる。
また、図10、図11に示すように、冷接点が設けられた基板1に信号処理回路部を設けない構成でもよい。この場合、冷接点Cが設けられた基板1には、相転移物質6と、加熱部5と、第1、第2接続電極10、11とが設けられている。そして、この基板1に設けられた各接続電極から配線ワイヤによりリードピンに接続されていて、リードピンから、図11のブロック図で示す相転移検知部20aや、温度測定部20bへと接続される。相転移検知部20aと、温度測定部20bとは、同じ基板に設けてもよいし、それぞれ別の基板に設けてもよい。
このように、信号処理回路部20を、冷接点が設けられた基板1と別にすることにより、第1、第2接続電極10、11が経時使用で劣化(酸化、金属構造の変化など)した場合などのときは、信号処理回路部20は、冷接点が設けられた基板1と一緒に交換されることはないので、交換部品が高価となることはない。また、冷接点が設けられた基板1がコンパクトになるため、設置の自由度を高めることができる。
また、冷接点が設けられた基板1と温度測定部とを電気的に接続するための配線ワイヤやリードピンの材質は、一般的に銅である。このため、上述したように、冷接点と信号処理回路部20(正確には、信号処理回路部20の熱起電力電圧検出部204)とを接続する回路接続電極7を、Al、Ni、Siなどで構成した場合、回路接続電極7と配線ワイヤとの温度の違いにより熱起電力を生じるおそれがある。よって、図9や図10に示すように、冷接点が設けられた基板に温度測定部を設けない構成においては、回路接続電極7と配線ワイヤとの温度の違いにより熱起電力を生じないように、回路接続電極7も銅で構成する。
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
[変形例1]
図12は、変形例1の温度測定装置100Aの冷接点Cが設けられた基板1の概略平面図であり、図13は、変形例1の温度測定装置100Aの制御ブロック図である。
図12に示すように、この変形例1の温度測定装置100Aは、加熱部5と、相転移物質6の温度変化を検知する温度変化検知部とを別々に設けたものである。図に示すように、温度変化検知部15は、加熱部5と相転移物質6との間に並列配置した。温度変化検知部15は、温度依存性を有する電気抵抗材料を用い、温度変化検知部15の抵抗変化に基づいて、相転移物質6の温度変化を検知する。
測定対象物30の温度測定を実行する場合は、加熱部5に加熱電流を印加して、相転移物質6を加熱するとともに、温度変化検知部15には、微弱な検出電流を印加して、抵抗値を算出し、上記のようにΔRを求める。温度変化検知部15の抵抗値変化ΔRが0のとき、相転移物質6に相転移が起こったことを検知することができる。温度変化検知部15の抵抗値変化ΔRに基づいて、相転移物質6の相転移を検知したら、そのときの熱電対の熱起電力を熱起電力電圧検出部202で測定する。そして、測定した熱電対の熱起電力と、ゼーベック係数Sと、冷接点の温度として、相転移物質6の既知の相転移温度(Mpa)とから、測定対象物30(温接点)の温度を算出する。
加熱部5と温度変化検知部15とを別に設けることで、加熱部5として、発熱効率の高い材料を用いることができ、消費電力を削減することができ、かつ、相転移物質6(冷接点付近)を迅速に、相転移物質6の相転移温度Mpaにまで加熱することができる。
[変形例2]
図14は、変形例2の温度測定装置100Bの冷接点Cが設けられた基板1の概略平面図であり、図15は、図14のA−A断面図である。
この変形例2の温度測定装置100Bは、相転移物質6を、加熱部5上に積層したものである。相転移物質6が導電性材料あれば図15に示すように、電気絶縁層3を加熱部5上に設けて、電気絶縁層3を介して相転移物質6を加熱部に積層させる。
また、この変形例2においても、ベース材2の計測領域22と対向する箇所を、エッチング処理により除去し、空洞部21を形成している。また、計測領域22の周囲に貫通孔9を設けた。これにより、加熱部5で相転移物質6を加熱する際の熱が、計測領域以外へ伝播するのを抑制することができ、相転移物質6を効率よく加熱することができる。
相転移物質6を加熱部5上に積層することで、相転移物質6を加熱する加熱部5と相転移物質6とが極近接し、加熱部5と相転移物質6との伝熱も等距離で均等になる。これにより、図3に示すように、加熱部5と相転移物質6とを並列配置したものに比べて、相転移物質6を配置する面積分削減される。よって、図3に示す構成に比べて、計測領域22の熱容量が小さくなるため、計測領域22の熱応答速度が早くなる。その結果、計測領域22を迅速に相転移温度にまで加熱することができ、迅速な温度測定を行うことができる。
[変形例3]
図16、図17は、変形例3の温度測定装置100Cの冷接点Cが設けられた基板の概略平面図である。また、図18は、図17のB−B断面図である。
この変形例3の温度測定装置100Cは、相転移物質を加熱部5近傍に分散配置したものである。図16は、基板1に信号処理回路部20を設けており、相転移物質6を加熱部5近傍に並列に配置したものである。
図17、図18に示す基板1は、信号処理回路部20を設けず、相転移物質6を、加熱部5上に積層配置したものである。また、この図17、図18に示す基板1は、計測領域22周囲に貫通孔9を設けたものである。
このように、相転移物質6を分散配置することにより、各相転移物質の熱容量を少なくすることができ、迅速に相転移物質6を相転移温度にまで加熱することができ、温度測定を迅速に行うことができる。
[変形例4]
図19は、変形例4の温度測定装置100Dの冷接点Cが設けられた基板の概略平面図であり、図20は、変形例4の温度測定装置の制御ブロック図である。
この変形例4の温度測定装置100Dは、相転移物質6を導電性とし、相転移したときの相転移物質6の抵抗値変化、電気容量変化などの電気的特性の変化を電気的に検知することで、相転移物質6の相転移を検知するものである。
この変形例4の温度測定装置100Dにおいては、加熱部5の近傍に一対の検出用リード線16が設けられており、この一対の検出リード線間に相転移物質が配置され、検出リード線16間を接続している。
相転移物質としては、Vなど、相転移すると、電気伝導度(抵抗値)や電気容量が大きく変動する物質を用いる。
図20に示すように、変形例4の温度測定装置100Dの信号処理回路部20は、検出リード線16に検出電流を流して、抵抗値や電気容量を検出する検出部210を有している以外は、先の図4と同じ構成である。
この変形例4の温度測定装置100Dにおける相転移物質の相転移の検出は、次のように行う。
まず、加熱部5に加熱電流を印加して、相転移物質6を加熱する。また、これと同時に、検出リード線16に検出電流を印加し、検出部210で抵抗値を算出する。相転移物質6が相転移すると、相転移物質6の電気伝導度が急激に変化し、抵抗値の値が変化する。これにより、相転移物質6が、相転移したことを検知することができる。相転移物質6が、相転移したことを検知したら、熱起電力電圧検出部204で、熱電対の熱起電力を測定し、温度変換部206で、ゼーベック係数、熱起電力、相転移物質6の相転移温度Mpa(冷接点温度)に基づいて、測定対象物30の温度を算出する。
すなわち、この変形例4では、検出部210で検出された抵抗値の時間微分ΔRLが、所定値以上の値となったこと制御回路209が検知したら、相転移物質が相転移したと検知するのである。
上記では、相転移物質6の相転移時の電気抵抗の変化を検出して、相転移物質6が、相転移したことを検知しているが、相転移物質の電気容量変化を検出して、相転移物質6が相転移したことを検知してもよい。
また、相転移したときの相転移物質6の流動(粘性)変化を電気的に検知することで、相転移物質の相転移を検知することもできる。
図21は、相転移したときの相転移物質6の流動(粘性)変化を電気的に検知するメカニズムについて説明する図である。同図では相転移物質6が固体から液体への相転移に伴う相転移物質6の流動(粘性)変化に伴う形状変化を説明している。
図21(a)に示すように、相転移物質6が固体の状態のときは、電気絶縁層3上の相転移物質6は、2つの分離しており、相転移物質6は2つの検出リード16a,16b間にまたがって断続している。その結果、検出用リード16aと16bとの間の電気接続がOFFとなっている。加熱部5の加熱により、固体の相転移物質6が既知の相転移温度Mpaになると、図の(b)に示すように液化によって流動し、電気絶縁層上の相転移物質6が一つとなり、相転移物質6は2つの検出リード16a,16b間にまたがって連続する。これにより、検出用リード16aと16bとの間の電気接続がOFFからONに切り替わり、相転移物質6の相転移を検出することができる。相転移物質6としては、表面張力が小さく、検出リード16、相転移物質6の下層の電気絶縁層3との濡れ性が大きい材質のものが好ましく、Inが適する。相転移物質6が冷えて、固化するときは、相転移物質6が収縮することにより、電気絶縁層3上の相転移物質6は、再び2つの分離する。
また、相転移物質6が固体から液体に相転移することによる流動性(粘性)の変化を電気的に検知することで、相転移物質6の相転移を検知する場合、相転移物質6を電気絶縁層3で覆ってしまうと、相転移物質6の流動性を阻害して、流動変形しないおそれがある。よって、図21の構成を採用する場合は、相転移物質6は電気絶縁層3を被覆せず露出させる。また、相転移物質6の量を少なくして、相転移物質6がすばやく相転移温度にまで加熱されるようにするのが好ましい。
[変形例5]
図22は、変形例5の温度測定装置100Eの冷接点Cが設けられた基板1の概略平面図であり、図23は、図22のD−D断面図であり、図24は、変形例5の温度測定装置100Eの制御ブロック図である。
この変形例5の温度測定装置100Eは、相転移物質6の下に圧電膜17を設けて、圧電膜17で、相転移物質6の相転移に伴う体積変化、剛性変化、固有振動数変化などを検出して、相転移物質6の相転移を検出するものである。
冷接点温度測定部5に隣接して設けられた一対の圧電駆動電極18間に圧電膜17を形成し電気絶縁層3を介して相転移物質6が積層されている。図24に示すように、信号処理回路部20には、圧電膜17からの電圧や周波数を検出する検出部211が設けられている以外は、先の図4と同じである。
まず、圧電膜17で相転移物質6の相転移に伴う固有振動数変化を検出する方法について説明する。周期的に力の周波数を試料に加え、その応答を測定する方法、すなわちメカニカルスペクトロスコピー(動的粘弾性測定:DMA)を適用することで、相転移物質6の相転移に伴う固有振動数変化を検出することができる。具体的には、圧電膜17に交流電圧を印加して、圧電膜17を所定の周波数で振動させる。例えば、相転移物質6が相転移して固有振動数が変化したとき、相転移物質6が圧電膜17の振動に共振するような周波数で、圧電膜17を振動させる。このように、圧電膜17を振動させることにより、圧電膜17上の相転移物質6が振動し、圧電膜17に対して、相転移物質6から応力が加わり、圧電膜17から所定の交流波が出力される。相転移物質6が相転移して、固有振動数が変化すると、相転移物質6が、圧電膜17の振動に共振して、大きく振動する。その結果、相転移物質6から圧電膜17に加わる力が増加し、圧電膜17ら出力される交流波の振幅が増大する。制御回路209では、圧電膜17から出力された交流波の振幅(電圧)の時間微分値ΔVを監視し、時間微分値ΔVが0でない値をとったら、相転移物質6が相転移したことを検知することができる。上記では、相転移物質6の相転移によって、相転移物質6が圧電膜17の振動に共振させているが、これとは逆に、相転移前の相転移物質6が、圧電膜17の振動に共振するよう、圧電膜17を振動させてもよい。また、図23に示すように、相転移物質6や圧電膜17は、基板1の空洞部21上に設けているので、圧電膜17が振動しやすく、高感度で相転移を検出することができる。
次に、圧電材料を用いた相転移物質6の相転移に伴う体積変化や剛性変化の検知について説明する。これは、相転移物質6から圧電膜17に加わる機械的な応力による圧電膜の抵抗変化である所謂ピエゾ抵抗効果を用いて、相転移物質6の相転移に伴う体積変化や剛性変化を検知するものである。具体的には、圧電膜に検知用の電流を印加する。相転移物質6が加熱されて、固体から液体に相転移すると、電気絶縁層3に覆われている相転移物質6の体積が増加する。これにより、相転移物質6の圧電膜17に対する応力が増加し、圧電膜17の抵抗値が変化する。よって、制御回路209において、電圧変化や、圧電膜17の抵抗値変化を検知することにより、相転移物質6の相転移を検知することができる。一方、相転移物質6の相転移に伴う剛性変化を検知する場合は、相転移物質6が固体から液体に相転移すると、相転移物質6の剛性が低下し、圧電膜17に加わる応力が低下する。その結果、圧電膜17の抵抗値が変化するので、制御回路209において、電圧変化や、圧電膜17の抵抗値変化を検知することにより、相転移物質の相転移を検知することができる。
図25は、変形例5の温度測定装置100Eの温度測定時の入出力信号のタイミングチャートであり、図26は、変形例5の温度測定装置100Eの温度測定のフローチャートである。
この図25、図26においては、相転移物質6の相転移に伴う剛性変化による圧電膜17の抵抗値変化(電圧変化)を検出することにより、相転移を検出するものである。
図26に示すように、測定対象物30の温度測定実行信号が入力されると、加熱電源201が起動し(S11)、相転移物質6を加熱するための加熱電流が加熱部5に印加される(S12)。また、圧電膜17に検知電流を印加し、検出部211で電圧値を検出する。そして、図25に示すように、時刻T2で相転移物質6が相転移する温度(相転移物質6固有の既知の値である融点(凝固点):Mpa)になる。そのとき、相転移物質6が固相から液相に相転移することにより、相転移物質6の剛性が変化し、圧電膜17に加わる応力が低下する。その結果、電圧値Vfが低下し、相転移物質6に相転移が起きたことを検知することができる。
よって、図26に示すように、電圧値Vfが変化したことを検知(S13のYES)したら、熱起電力電圧検出部204で、熱電対の熱起電力(電圧Vt)を測定する(S15)。熱起電力検出部204で測定された熱起電力(電圧Vt)は、温度変換部207に入力され、ゼーベック係数S、冷接点の温度(相転移物質の相転移温度Mpa)に基づいて、温接点の温度である測定対象物の温度を算出して(S17)、出力する(S18)。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(18)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
熱電対と、熱電対の冷接点近傍に既知の相転移温度を持つ相転移物質と、相転移物質を加熱する加熱部5などの加熱手段とを備え、加熱手段で相転移物質を加熱して、相転移物質が相転移したときの熱電対の出力値と、相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を測定する温度測定装置において、温度の変化に伴って相転移物質の相転移が起きたことを検出する相転移検出部20aなどの相転移検出手段を備え、相転移検出手段が、相転移物質の相転移が起きたことを検出したときの熱電対の出力値に基づいて測定対象物の温度を測定する。
かかる構成を備えることで、上述したように、冷接点を相転移物質の相転移温度にした状態で、測定対象物の温度測定を行うことができ、精度の高い測定対象物の温度測定を行うことができる。また、相転移物質が相転移を起こす相転移温度は、変動することはないので、経時にわたり高精度な温度測定を行うことができる。また、冷接点の温度を測定して冷接点の温度補償をする温度測定装置のように、精度の高い温度測定ができるよう、冷接点の温度を測定する温度センサの較正をする必要がないため、温度測定装置の製造コストを下げることができ、温度測定装置を安価に提供することができる。
(2)
上記(1)に記載の態様の温度測定装置において、冷接点と、相転移物質と、加熱手段とを同じ基板に設けた。
かかる構成を有することで、上記相転移物質と上記冷接点とを、ほぼ同じ温度にすることができ、相転移物質の相転移が起きたとき、冷接点の温度を相転移物質が相転移する温度にすることができ、精度の高い温度測定を行うことができる。また、加熱手段で、冷接点および相転移物質を良好に加熱することもできる。
(3)
上記(1)または(2)に記載の態様の温度測定装置において、加熱手段を、温度依存性を有する抵抗体で構成し、相転移検出手段は、加熱手段の抵抗値変化に基づいて、相転移が起きたことを検出する。
上述したように、相転移物質の相転移が起こると、冷接点周辺の温度上昇が変化し、温度依存性の抵抗体の抵抗値も同様に変化する。よって、加熱手段の抵抗値変化に基づいて、相転移物質の相転移が起きたことを精度よく検知することができる。
(4)
また、上記(1)または(2)に記載の態様の温度測定装置において、上記相転移検出手段は、上記相転移物質に積層させた圧電膜17などの圧電体を有し、上記圧電体で上記相転移物質の体積、剛性および固有振動数のいずれかの変化を検出して、相転移が起きたことを検出する。変化物質が相転移して、体積や剛性が変化すると、相転移物質に積層の圧電体に対する応力が変化する。その結果、圧電体の抵抗が変化する。よって、圧電体の抵抗変化を検知することにより、上記圧電体で上記相転移物質の相転移に伴う体積や剛性の変化を検知することができ、精度よく相転移物質の相転移を検知することができる。また、圧電体を振動させて相転移物質を振動させることで、相転移物質が相転移して、固有振動数が変化し、圧電体の振幅が変化する。よって、圧電体の振幅変化を検知することにより、上記圧電体で、相転移物質の相転移に伴う固有振動数の変化を検知することができ、精度よく相転移物質の相転移を検知することができる。
(5)
また、上記(1)または(2)に記載の態様の温度測定装置において、上記相転移物質は、導電性であって、上記相転移検出手段は、上記相転移物質の電気特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出する。相転移物質によっては、相転移に伴って抵抗値や電気容量などの電気特性が変化する。よって、上記相転移物質の相転移に伴う抵抗値や電気容量などの電気特性を検知することで、精度よく相転移物質の相転移を検知することができる。
(6)
また、上記(1)乃至(5)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、冷接点が設けられた基板は、ベース材上に積層された絶縁層が設けられており、上記絶縁層に上記ベース材と接していない非接触領域を設け、上記非接触領域に、冷接点と、加熱手段と、相転移物質とを設けた。
かかる構成を備えることにより、基板の冷接点、加熱手段、相転移物質が配置された領域(計測領域)の熱容量を少なくなることがでる。これにより、迅速に冷接点と相転移物質とを相転移温度に加熱することができる。
(7)
また、上記(6)に記載の態様の温度測定装置において、絶縁層の非接触領域の近傍に貫通孔を設けた。
かかる構成を備えることで、非接触領域に設けられた加熱手段の熱が、基板の非接触領域以外の箇所に伝播するのを抑制することができ、効率よく冷接点、相転移物質を相転移温度にまで加熱することができる。
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、相転移物質を、国際温度目盛ITS−90に定義されている物質にした。
かかる構成を備えることで、ITS−90にトレーサブルナ冷接点温度設定が行え、精度の高い温度測定を行うことができる。
(9)
また、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、少なくとも相転移物質と加熱手段とを冷接点が設けられた基板に積層させた。これにより、相転移物質と加熱手段との伝熱効率が良くなり、迅速に相転移物質を相転移温度にまで加熱することができる。
(10)
また、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、少なくとも相転移物質と加熱手段とを冷接点が設けられた基板に並列に配置した。上記相転移物質と上記加熱手段とを上記冷接点が設けられた基板に積層させる場合は、加熱手段を基板に形成した後、加熱手段の上に絶縁層を積層させ、その上に相転移物質を設ける必要がある。一方、上記相転移物質と上記加熱手段とを上記冷接点が設けられた基板に並列に配置することにより、基板に加熱手段と相転移物質とを形成することができ、上記相転移物質と上記加熱手段とを上記冷接点が設けられた基板に積層させる場合に比べて、製造工程を減らすことができ、その結果、製造コストを抑えることができる。
(11)
また、上記(1)乃至(10)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、冷接点が設けられた基板に、相転移物質と、加熱手段とが設けられており、相転移物質を、加熱手段に隣接する箇所に分散配置した。これにより、各相転移物質の熱容量を少なくすることができ、迅速に相転移物質を相転移温度にまで加熱することができる。
(12)
また、上記(1)乃至(11)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、少なくとも相転移物質と加熱手段とを、一対の冷接点の間に形状と配置が対称となるように冷接点が設けられた基板に設けた。これにより、一対の冷接点と、相転移物質とを加熱手段で均一に加熱することができ、冷接点の温度と相転移物質との温度をほぼ同じにすることができる。
(13)
また、上記(1)乃至(12)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、上記相転移物質、上記加熱手段のいずれかが導電性部材で構成されており、導電性部材で構成された部材を電気絶縁材で他の部材間で電気的に絶縁した。これにより、電気的な短絡によるノイズを抑制することができる。
(14)
また、上記(1)乃至(13)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、上記相転移物質を相転移させるときの上記加熱手段の加熱温度を、上記相転移物質の相転移温度付近にした。これにより、相転移物質の相転移の際の無駄な電力消費を抑えることができる。
(15)
また、上記(1)乃至(14)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、少なくとも上記相転移物質の周囲を絶縁材で覆う表面保護膜を形成する。これにより、相転移物質の化学的変化などを抑制することができ、相転移温度が変化してしまうのを抑制することができる。また、圧力変化に伴う相転移温度の変動を防ぐこともできる。これにより、長期にわたり精度の高い温度測定を行うことができる。
(16)
また、上記(1)乃至(15)いずれかに記載の態様の温度測定装置において、冷接点、相転移物質、加熱手段、相転移検出手段および熱電対の出力値と相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を計測する温度測定部とを同じ基板に設けた。かかる構成を備えることにより、冷接点、相転移物質、加熱手段とを備えた基板と、相転移検出手段および熱電対の出力値と相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を計測する温度測定部とを別々な基板に設ける場合に比べて、製造コストを抑えることができる。また、ひとつの基板に集積することで、各回路に接続するための配線を短くできノイズを受け難く高精度に相転移物質の相転移の検出や、測定対象物の温度測定を行うことができる。
(17)
また、上記(16)に記載の態様の温度測定装置において、上記基板に設けられた記憶部を、上記相転移物質と同一の材料で構成された相転移記憶メモリとした。かかる構成とすることで、相転移物質と記憶部とをスクリーン印刷法などで基板1に同時に形成することができ、製造工程を削減でき、製造コストの増加を抑えることができる。
1:基板
2:ベース材
3:電気絶縁層
5:加熱部
6:相変化物質
7:回路接続電極
9:貫通孔
10:第1接続電極
11:第2接続電極
15:温度変化検出部
16:検出リード線
17:圧電膜
20:信号処理回路部
20a:相変化検出部
20b:温度測定部
21:空洞部
22:計測領域
30:測定対象物
100:温度測定装置
101:シース部
102:金属保護管
103:熱電対
103a:第1熱電材料
103b:第2熱電材料
104:無機物質
110:温度計測部
111:ケース
111a:接続口
112:加圧板バネ
114:スライドノブ
201:電源
202:抵抗値検出部
203:レジスタ
204:熱起電力電圧検出部
206:ゼーベック係数算出回路
207:温度変換部
209:制御回路
C:冷接点
W:温接点
特開2002−156279号公報 特許第3692908号公報 特許第4178729号公報 特開平2−039213号公報 特開昭59−228139号公報

Claims (16)

  1. 熱電対と、
    上記熱電対の冷接点近傍に既知の相転移温度を持つ相転移物質と、
    上記相転移物質を加熱する加熱手段とを備え、
    上記加熱手段で上記相転移物質を加熱して、上記相転移物質が相転移したときの上記熱電対の出力値と、上記相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を測定する温度測定装置において、
    温度の変化に伴って上記相転移物質の相転移が起きたことを検出する相転移検出手段を備え、
    上記相転移検出手段が、上記相転移物質の相転移が起きたことを検出したときの上記熱電対の出力値に基づいて測定対象物の温度を測定することを特徴とする温度測定装置。
  2. 請求項1の温度測定装置において、
    上記冷接点と、上記相転移物質と、上記加熱手段とを同じ基板に設けたことを特徴とする温度測定装置。
  3. 請求項1または2の温度測定装置において、
    上記加熱手段を、温度依存性を有する抵抗体で構成し、
    上記相転移検出手段は、上記加熱手段の抵抗値変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする温度測定装置。
  4. 請求項1または2の温度測定装置において、
    上記相転移検出手段は、上記相転移物質に積層させた圧電体を有し、上記圧電体で上記相転移物質の体積、剛性および固有振動数のいずれかの変化を検出して、相転移が起きたことを検出することを特徴とする温度測定装置。
  5. 請求項1または2の温度測定装置において、
    上記相転移物質は、導電性であって、
    上記相転移検出手段は、上記相転移物質の電気特性の変化に基づいて、相転移が起きたことを検出することを特徴とする温度測定装置。
  6. 請求項1乃至5いずれかの温度測定装置において、
    上記冷接点が設けられた基板は、ベース材上に積層された絶縁層が設けられており、
    上記絶縁層に上記ベース材と接していない非接触領域を設け、上記非接触領域に、上記冷接点と、上記加熱手段と、上記相転移物質とを設けたことを特徴とする温度測定装置。
  7. 請求項6の温度測定装置において、
    上記絶縁層の上記非接触領域の近傍に貫通孔を設けたことを特徴とする温度測定装置。
  8. 請求項1乃至7いずれかの温度測定装置において、
    上記相転移物質は、国際温度目盛ITS−90に定義されている物質であることを特徴する温度測定装置。
  9. 請求項1乃至8いずれかの温度測定装置において、
    少なくとも上記相転移物質と上記加熱手段とを上記冷接点が設けられた基板に積層させたことを特徴とする温度測定装置。
  10. 請求項1乃至8いずれかの温度測定装置において、
    少なくとも上記相転移物質と上記加熱手段とを上記冷接点が設けられた基板に並列に配置したことを特徴とする温度測定装置。
  11. 請求項1乃至10いずれかの温度測定装置において、
    上記冷接点が設けられた基板に、上記相転移物質と、上記加熱手段とが設けられており、
    上記相転移物質を、上記加熱手段に隣接する箇所に分散配置したことを特徴とする温度測定装置。
  12. 請求項1乃至11いずれかの温度測定装置において、
    少なくとも上記相転移物質と上記加熱手段とを、一対の冷接点の間に形状と配置が対称となるように上記冷接点が設けられた基板に設けたことを特徴とする冷却点温度測定装置。
  13. 請求項1乃至12いずれかの温度測定装置において、
    上記相転移物質および上記加熱手段のいずれかが導電性部材で構成されており、導電性部材で構成された部材を電気絶縁材で他の部材間で電気的に絶縁したことを特徴とする温度測定装置。
  14. 請求項1乃至13いずれかの温度測定装置において、
    上記相転移物質を相転移させるときの上記加熱手段の加熱温度を、上記相転移物質の相転移温度付近にしたことを特徴とする温度測定装置。
  15. 請求項1乃至14いずれかの温度測定装置において、
    少なくとも上記相転移物質の周囲を絶縁材で覆う表面保護膜を形成することを特徴とする
    温度測定装置。
  16. 請求項1乃至15いずれかの温度測定装置において、
    上記冷接点、上記相転移物質、上記加熱手段、上記相転移検出手段および上記熱電対の出力値と上記相転移物質の既知の相転移温度とに基づいて測定対象物の温度を計測する温度測定部とを同じ基板に設けたことを特徴とする温度測定装置
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